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特許7397530磁気粘性制動デバイス、特に操作デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】磁気粘性制動デバイス、特に操作デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16D 63/00 20060101AFI20231206BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20231206BHJP
【FI】
F16D63/00 P
G05G5/03 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022525517
(86)(22)【出願日】2020-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020080613
(87)【国際公開番号】W WO2021084121
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102019129548.3
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019135030.1
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516274645
【氏名又は名称】インベンタス エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】INVENTUS ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン バトログ
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-108470(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018100390(DE,A1)
【文献】特開2006-349073(JP,A)
【文献】特開2011-027719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 63/00
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動のトルクを変化させる磁気粘性制動デバイス、特に少なくとも回転運動によって動作状態を調整する磁気粘性操作デバイス(100)であって、少なくとも1つのアクスルユニット(2)と、前記アクスルユニット(2)に対して回転自在な少なくとも1つの回転体(3)と、少なくとも前記回転体(3)の回転位置を検出するセンサデバイス(5)と、を備え、前記回転体(3)の回転のトルクは、少なくとも1つの磁気粘性制動装置(4)によって狙い通りに調整でき、前記センサデバイス(5)が、少なくとも1つの磁気リングユニット(15)と、少なくとも1つの磁場センサ(25)と、を備え、前記磁場センサ(25)が、前記アクスルユニット(2)に対して回転自在に固定して接続され、かつ前記磁気リングユニット(15)に対して径方向及び/又は軸方向に隣接して配置される磁気粘性制動デバイス(1)において、
前記磁場センサ(25)が、少なくとも部分的に前記アクスルユニット(2)の内部に配置され
前記アクスルユニットが、少なくとも部分的に磁場センサ(25)を放射状に取り囲む少なくとも1つのアクスル部を備え、前記アクスル部の導磁率は、前記制動装置(4)の電気コイルと協働するコアよりも低いことを特徴とする、磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項2】
前記磁気リングユニット(15)が、前記回転体(3)の軸方向端面に配置される、請求項1に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項3】
前記磁気リングユニット(15)の少なくとも一部が、前記磁場センサ(25)及び/又は前記アクスルユニット(2)をリング状に取り囲む、請求項1又は2に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項4】
前記磁気リングユニット(15)及び前記磁場センサ(25)が、互いに同軸に配置される、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項5】
前記磁場センサ(25)が前記アクスルユニット(2)の穴(12)の中に配置され、前記制動装置(4)の電気的接続(14)も前記穴(12)を通る、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項6】
前記磁場センサ(25)が、少なくとも1つの回路基板(35)上に配置され、少なくとも前記制動装置(4)が、前記回路基板(35)に電気的に接続され、前記制動デバイス(1)に接触するための少なくとも1本の接続線路(11)が、前記回路基板(35)に接続され、前記回路基板(35)が、前記アクスルユニット(2)の内部に配置され、前記接続線路(11)が、前記アクスルユニット(2)の外に延在する、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス。
【請求項7】
前記磁場センサ(25)が、前記アクスルユニット(2)の中の少なくとも1つの材料によって包み込まれ、及び/又は、前記回路基板(35)が、前記アクスルユニット(2)の中の少なくとも1つの材料によって包み込まれる、請求項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項8】
前記磁気リングユニット(15)の少なくとも一部が、前記アクスルユニット(2)をリング状に取り囲む、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項9】
前記回転体(3)は、少なくとも1つのくさび軸受装置(6)によって減速及び/又は停止することができ、前記くさび軸受装置(6)は、前記磁気リングユニット(15)と前記制動装置(4)のコイルユニット(24)との間に軸方向に配置される、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項10】
前記磁場センサ(25)及び/又は前記磁気リングユニット(15)が、前記回転体(3)の端面に配置され、前記回転体(3)の端面が、前記アクスルユニット(2)の端面に位置し、前記磁場センサ(25)の少なくとも1本の信号線路(45)が、前記制動装置(4)の磁場を通らないように、前記アクスルユニット(2)の端面から出て来る、請求項1~のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項11】
前記磁場センサ(25)及び前記磁気リングユニット(15)が、前記回転体(3)の端面に配置され、前記回転体(3)の端面が、前記アクスルユニット(2)の端面に位置し、前記磁場センサ(25)の少なくとも1本の信号線路(45)が前記アクスルユニット(2)の端面から出ており、前記信号線路(45)における信号伝送が光学的に行われる、請求項1~10のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項12】
前記信号線路(45)の少なくとも一部は、前記アクスルユニット(2)自体が光導波路として機能するように、少なくとも1つの穴によって設けられる、請求項11に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項13】
前記磁気リングユニット(15)及び/又は前記磁場センサ(25)が、前記回転体(3)によって境界を定められる放射状円周線の内側に配置される、請求項1~12のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項14】
前記磁気リングユニット(15)が、前記回転体(3)によって境界を定められる受け入れチャンバ(13)の外部に配置され、前記磁気リングユニット(15)と前記回転体(3)の間には、前記受け入れチャンバ(13)内に入れられた磁気粘性媒体(34)が出て来ることを防ぐために、前記回転体(3)及び前記アクスルユニット(2)を密閉するように支持する少なくとも1つの密閉デバイス(7)が配置される、請求項1~13のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの導磁性の壁(8)が、前記磁気リングユニット(15)と前記制動装置(4)の間に配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項16】
前記壁(8)が、少なくとも部分的に前記回転体(3)の端壁によって形成され、及び/又は、前記壁(8は、前記回転体(3)の開放端面を少なくとも部分的に閉鎖するように構成され、及び/又は、前記壁(8)が、密閉デバイス(7)の支持構造体として構成される、請求項15に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項17】
前記磁場センサ(25)が、前記回転体(3)によって境界を定められる受け入れチャンバ(13)の内部に配置され、前記磁場センサ(25)が、少なくとも密閉ユニット(17)によって、前記受け入れチャンバ(13)内にある磁気粘性媒体(34)から分離される、請求項1~16のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【請求項18】
前記磁場センサ(25)が、前記回転体(3)の前記回転位置に加え、前記アクスルユニット(2)に対する前記回転体(3)の少なくとも1つの軸方向位置も検出するように構成されている、請求項1~17のいずれか1項に記載の磁気粘性制動デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動のトルクを変化させる磁気粘性制動デバイス、特に少なくとも回転運動によって動作状態を調節する磁気粘性操作デバイスに関する。制動デバイスは、少なくとも1つのアクスルユニットと、アクスルユニットに対して回転自在な少なくとも1つの回転体を備える。回転体の回転トルクは、少なくとも1つの磁気粘性制動デバイスにより、狙い通りに調整することができる。
【背景技術】
【0002】
このような制動デバイスを使用すれば、回転運動の停止に関する限り、特に狙い通りに減速することができる。制動デバイスは、操作デバイスとして構成される場合もある。このような操作デバイスは、多種多様な電気製品においてますます頻繁に使用され、その用途には、例えば自動車(例えばセンターコンソール、ハンドル、座席等の操作要素)、医療技術(例えば医療デバイスを調整するための)、又はスマートデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、コンピュータ周辺機器、コンピュータマウス、ゲームコントローラ、ジョイスティック)、オフハイウェイ車両(例えば、農業機械の操作要素)、ボート/船舶、及び航空機が含まれ、例えばメニューから選択し、又は正確な調整を行うこともできる。磁気粘性制動デバイスを使用することにより、回転運動について、例えば様々なモーメント、停止点及びラッチを設定することができる。そのため、動作状態を調整する際に、ユーザをサポートし、非常に正確に設定することができ、したがって操作の複雑さを軽減する特定の感触(触覚フィードバック)を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁気粘性制動デバイスを狙い通りに作動させるために、通常、回転位置を監視するセンサデバイスが設けられる。しかし、制動デバイスにセンサデバイスを構造的に収容することは、かなりの困難を伴う。
【0004】
したがって、センサデバイス(例えば、磁気リングからセンサまでの距離)は通常、監視される部品に対して非常に狭い公差範囲内で配置しなければならない。そのような部品の距離を逸脱すると、例えば、測定信号の劣化及び破壊的なノイズが生じる。これは、微細なラッチ、停止位置での回転方向の反転、又は回転方向(時計回り又は反時計回り)における停止、並びに正確な調整オプション(90,112インクリメントのセンサなど)に対して、特に大きな欠点である。また、通常は多数の部品が関わってくるため、境界面も多くなって公差の連鎖も長くなり、したがって合計公差も大きくなる。
【0005】
制動デバイスの寸法は通常極めて小さいため、さらなる問題が発生する。したがって、例えばサムローラとして構成される制動デバイスの場合、このサムローラは、例えば自動車のハンドル上又はハンドルスポーク上の1本の指(例えば親指)で回転可能なホイール(ローラ)に使用されるので、サムローラの直径が12mmしか利用できないということはよくある。したがって、センサデバイスの設置スペースは非常に限られる。このため全体として、組立、コスト及び設置スペースの点で最適化する必要がある。
【0006】
これに関連して、本発明の目的は、改善した制動デバイスを提供することである。特に、センサデバイスの構造的収容(設置スペースの要件、部品の配置、部品の合計公差等)が改善されている。ここで好ましくは、できるだけ高精度であると同時に磁気粘性制動デバイスにおける一体化が省スペースで済む、信頼性の高いセンサ検出が可能である。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する制動デバイスによって達成される。本発明の好ましい改良形態は、従属請求項の対象である。本発明のさらなる利点及び特徴は、全体的な説明及び例示的な実施形態の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による制動デバイスは磁気粘性式であり、回転運動のトルクを変化させるため及び/又は回転運動を減速させるために機能するものである。制動デバイスは、特に少なくとも回転運動によって動作状態を調整する磁気粘性操作デバイスである。制動デバイスは、少なくとも1つのアクスルユニットを備える。制動デバイスは、少なくとも1つの回転体を備える。回転体は、アクスルユニットに対して及び/又はアクスルユニットの周囲で回転自在である。(アクスルユニットに対する)回転体の回転のトルクは、少なくとも1つの磁気粘性制動装置によって狙い通りに調整することができる。特に回転体の回転自在性は、制動装置によって狙い通りに減速及び/又は停止することができる。制動デバイスは、回転体の回転位置、特にアクスルユニットに対する回転位置を検出する少なくとも1つのセンサデバイスを備える。ここで、センサデバイスは、アクスルユニットに対して回転自在に固定して接続される少なくとも1つの磁場センサを備える。特に磁場センサは、少なくとも1つの磁気リングユニットに対して径方向及び/又は軸方向に隣接して配置される。センサデバイスは、少なくとも1つの磁気リングユニットを備える。特に、磁場センサは、アクスルユニットの内部に(少なくとも部分的に、又は実質的に、又は完全に)配置される。
【0009】
本発明による制動デバイスは多くの利点を提供する。1つの実質的な利点は、磁場センサの配置によって提供されることである。これにより、部品の公差の連鎖が特に短く(センサ固定部と磁石固定部の間の合計公差が低いか、又は部品数が少ない)、同時にセンサ検出の信頼性が特に高いままで、省スペースな収容が実現可能になる。磁場センサをアクスルユニットへ接続すると、特に公差を最適化させて一体化することができる。また本発明にしたがって磁場センサを配置すると、利用可能な設置スペースにおいて実質的な利点が得られる。この利点は、例えば特に小型のフィンガーローラ又はマウスホイールの場合に非常に有利である。また本発明によれば、制動デバイスの磁場からセンサを、特に効果的かつ簡単に遮蔽することができる。
【0010】
特にアクスルユニットは、少なくとも部分的に磁場センサを放射状に取り囲む少なくとも1つのアクスル部を備える。特に磁場センサは、アクスル部の内部に(少なくとも部分的に、特に大部分が、好ましくは完全に)配置される。特にアクスル部は、少なくとも部分的にアクスル部を形成する少なくとも1つの放射状(特に筒状)の壁を有する。
【0011】
アクスル部の導磁率がコアよりも低いこと、特に制動装置の電気コイルと協働するコアよりも低いことが、特に好ましくかつ有利である。この場合には、第1に、磁場センサが磁気リングユニットの磁場から不所望に遮蔽されることがない。それにより、第2に、制動装置の磁場の望ましくない影響から、磁場センサを特に簡単かつ効果的に保護することもできる。
【0012】
特にコアは導磁性材料で作製され、又は少なくとも1種の導磁性材料を含む。特にコアは強磁性材料で作製される。特にコアは、1を超える、好ましくは10を超える、特に好ましくは100を超える又は1000を超える比透磁率を有する。
【0013】
特にアクスル部は、10未満、好ましくは2未満、特に好ましくは1未満の比透磁率を有する。特にアクスル部は非導磁性材料から作製され、又は少なくとも1つのそのような材料を含む。特にアクスル部は常磁性材料及び/又は反磁性材料から作製される。特にアクスル部はプラスチックで作製される。アクスルユニット全体をこのように、例えばプラスチックで作製することも可能である。次いで、好ましくは、コアは別個に構成され、かつアクスルユニットに取り付けられ又は接続される。
【0014】
特にアクスルユニットは、制動デバイスを取り付けるための支持構造体を提供し、及び/又は少なくとも1つのそのような構造体を備える。特に、少なくとも1つの制動装置をアクスルユニットに取り付けることができる。特に回転体は、(少なくとも1つの軸受装置によって)アクスルユニットに回転自在に取り付けられる。好ましくは、アクスル部は、アクスルユニットの少なくとも1つの支持部を形成する。アクスル部は、特にアクスルユニットの軸部である。
【0015】
アクスルユニットは、複数の部品から作成することが可能であり、その方が有利である。次いで、特にアクスルユニットは、少なくとも2つのアクスル部、すなわち、少なくとも1つのある(第1)アクスル部と、少なくとも1つの別のアクスル部を備える。特に別のアクスル部の導磁率は、ある(第1)アクスル部よりも高い。別のアクスル部は、好ましくはコアを形成し、又はコアの一部である。
【0016】
これらのアクスル部は、互いに軸方向及び/又は径方向に配向されてもよい。特に別のアクスル部は、ある(第1)アクスル部に軸方向に隣接する。したがって、別のアクスル部は、少なくとも部分的にアクスル部を放射状に取り囲んでもよい。特に、アクスル部と別のアクスル部(又は全てのアクスル部)は互いに固定して接続され、それによりこれらのアクスル部が支持アクスルユニットを形成するのが好ましい。例えば、これらのアクスル部は、互いにボルト締めされ、及び/又は接合され、及び/又は別の適切な方法で結合されてもよい。
【0017】
好ましくは、アクスル部とコアが互いに(固定して)接続される。特に、アクスル部とコアが一体になって、アクスルユニット又は少なくともアクスルユニットの一部(特に支持部)を形成する。しかし、(第1)アクスル部がアクスルユニット又はアクスルユニットの支持部を形成し、別のアクスル部、特にコアが(第1)アクスル部によって支持されてもよい。
【0018】
またアクスルユニットは、少なくとも3つのアクスル部を備えてもよい。特にコアは、少なくとも(第1)アクスル部と少なくとも第3アクスル部によって軸方向において取り囲まれる中央アクスル部を形成する。
【0019】
またアクスルユニットは一体的に構成されてもよい。次いでアクスル部は、特にアクスルユニットの一体型部品であり、特に破壊せずに解放することができない。次いでコアは、特にアクスルユニットの別個の部分を形成し、この部分は、少なくとも間接的にアクスルユニットに着脱可能であるのが好ましい。次いで、特に好ましくは、アクスルユニットがホルダとして形成され、またアクスルユニットは、支持アクスル機能と同様、コア用及び/又はコイル用の受け入れ装置も備える。
【0020】
特にコアは、(第1)アクスル部に軸方向に隣接して配置される。特に、少なくとも1つの電気コイル(コイルユニット)が、コアの周囲及び/又はコアの内側に配置され、好ましくは巻き付けられる。特に電気コイルは、コアの周囲に軸方向に巻き付けられ、特に電気コイルの磁場が(アクスルユニットを通って)アクスルユニットの長手方向軸に対して横方向に延在するように、コイル面に広がっている。さらに又は代替的に、電気コイルは、コアの周囲に径方向に巻き付けられ、特に電気コイルの磁場がアクスルユニットの長手方向軸に沿って又は平行に延在するように、コイル面に広がっていてもよい。
【0021】
好ましくは、回転体はフィンガーローラとして構成され、特に好ましくはサムローラとして構成される。好ましくは、回転体は、少なくとも1本の指で回転するように取り付けられる円筒状部品として構成される。特に制動デバイスは、たった1本の指で操作するように設けられる。特に制動デバイスは、水平位置の操作に適しており、また水平位置を操作するように構成される。特に回転体の回転軸は、垂直方向よりも水平方向の位置をとる。しかし、制動デバイスを直立させて(垂直方向に配位して)操作することも可能である。この場合、制動デバイスは、特に通常2本以上の指で保持される。また回転体は、回転つまみ又は同様のものとして構成されてもよく、特に少なくとも1つのプッシュ機能及び/又はプル機能を備えてもよい。このプッシュ/プル機能は、例えばあるメニューオプションを選択又は確認するために使用されてもよい。
【0022】
特に回転体又はフィンガーローラの直径は、50mm未満、好ましくは20mm未満、特に好ましくは15mm未満である。例えば、回転体の直径は、最大12mmである。しかし、回転体の直径をより大きく又は小さくすることも可能であり、特定の用途の場合にはその方が有利である。
【0023】
少なくとも1つの追加部品によって回転体を取り囲み、回転体の直径を増大させることが可能である。追加部品は、例えばリング又は同様のものとして構成される。追加部品は、触感を改善するために少なくとも1つの輪郭を有してもよく、特に溝付き及び/又はゴム引きあるいは同様の処理がされていてもよい。
【0024】
好ましくは、磁気リングユニットは回転体の軸方向端面に配置される。こうすることで、磁気リングユニットの収容が特に有利になる。磁気リングユニットは、軸方向端面に直接取り付けられてもよい。しかし、磁気リングユニットは、少なくとも1つの接続要素を介して回転体の軸方向端面に取り付けることも可能である。また磁気リングユニットは、回転体の軸方向端面に配置し、制動デバイスの別の位置にある対応する接続要素を介して取り付けることも可能である。
【0025】
磁気リングユニットの少なくとも一部が磁場センサをリング状に取り囲むと、好ましくかつ有利である。特に磁気リングユニットは、磁場センサの周囲に放射状に配置される。特に磁気リングユニットは、少なくとも部分的に(好ましくは完全に)アクスルユニットの外側に配置される。特に磁気リングユニットは、アクスルユニットのアクスル部を取り囲む。特に磁場センサは、軸方向において磁気リングユニットの中心に配置される。これは、磁場センサが磁気リングユニットと同一の長手軸方向位置に配置されることを意味する。しかし、磁場センサは磁気リングユニットに対して軸方向にずれていてもよい。本発明の文脈において、このような位置情報、特に「径方向」及び「軸方向」は、特に回転体の回転軸を指す。
【0026】
また磁気リングユニットと磁場センサが互いに同軸に配置されると、好ましくかつ有利である。こうすることで、寸法が特に小さい場合、例えばサムローラの場合にも、収容が特に省スペースになる。特にこの場合の磁場センサは、磁気リングユニットによって取り囲まれる。磁場センサは、特に軸方向及び/又は径方向において、磁気リングユニットの中心に配置される。特に磁場センサは、磁気リングユニットの回転軸から狙い通りに径方向にずれている。また磁場センサは、磁気リングユニットに対して軸方向にずれて配置されてもよい。
【0027】
磁場センサは、磁気リングユニットの回転軸からずれて配置されてもよい。またこの配置は、磁場センサが全体として中心に配置されている場合、例えば磁場センサがアクスルユニットの内側に配置され、磁気リングユニットによってリング状に取り囲まれている場合に行われてもよい。磁気リングユニットの回転軸に対して磁場センサを狙い通りにずらせば、回転角度の測定を改善することができる。したがって、例えば、磁気リングユニットの2極のみを用いても、各回転位置を精密に規定することができ、したがって、あらゆる角度を可能な限り精密に測定することができる。したがって、絶対値式エミッタを特に簡単に実装することができる。
【0028】
特に好ましい実施形態では、磁場センサはアクスルユニットの内部に配置される。こうすることで、磁場センサの収容が特にコンパクトになり、また同時に収容の公差が最適化される。この場合のアクスルユニットは、特に少なくとも1つの穴を有し、この穴の中に磁場センサが配置される。特に、穴はアクスル部の内部を通る。本発明の文脈において、穴は、穴開け加工によって作成されるか否かにかかわらず、特にその他のあらゆる適当な凹部及び/又は通路開口部も意味する。穴は、特にアクスルユニットを長手方向に通る。穴は、特に連続するように設計される。また穴は止まり穴として形成されてもよい。
【0029】
特に磁場センサは、アクスルユニットの中心に配置される。特に磁場センサの少なくとも1つのアクティブセンサ部は、アクスルユニットの内部に配置される。好ましくは、磁場センサ全体がアクスルユニットの内部に配置される。磁場センサは、アクスルユニットの内側及び/又は外側に取り付けられてもよい。特に磁場センサの少なくとも1つの固定部は、アクスルユニットの内側及び/又は外側に配置される。本発明の文脈において、磁場センサの位置情報は、特に少なくともアクティブセンサ部についても指す。
【0030】
好ましくは、磁場センサはアクスルユニットの穴の中に配置され、制動装置の電気的接続もこの穴を通る。ここで電気的接続は、特にコイルユニット用の少なくとも1本の供給線路及び/又は制御線路を備える。こうすることで、設置スペースの利用が有利になり、センサ信号を特に簡単に伝送することができる。特に電気的接続は、端面においてアクスルユニットから出て来る。
【0031】
磁場センサは、特に少なくとも1つの回路基板上に配置される。回路基板は、例えばプリント回路基板であり、又は少なくとも1つのそのような回路基板を備える。また好ましくは、少なくとも制動装置、特にコイルユニットが、回路基板に電気的に接続される。また好ましくは、制動デバイスに接触する少なくとも1本の接続線路が、回路基板に接続される。回路基板がアクスルユニットの内側に配置されるのが、好ましくかつ有利である。また接続線路は、アクスルユニットの外に延在することが好ましい。
【0032】
特に、ここで回路基板は、上記の穴の中に配置される。特に接続線路はこの穴を通る。特に接続線路は、端面においてアクスルユニットから出て来る。こうすることで、設置が特に簡単かつ迅速になり、また対応する部品の収容がコンパクトになる。
【0033】
接続線路は、特に少なくとも1つのプラグコネクタユニットを備える。例えば、6ピン又は8ピンプラグコネクタユニットが設けられる。したがって、制動デバイスは、操作対象の部品、例えば車両電子システムに、特に迅速かつ確実に接続することができる。プラグコネクタを差し込むことにより、操作ユニットを取り付け位置(例えば操作部のホルダ)に固定してもよい。
【0034】
好ましくは、磁場センサはアクスルユニットの中に入れられ、及び/又は少なくとも1つの材料によって包み込まれる。特にこの場合、穴はこの材料によって少なくとも部分的に充填される。特に好ましくは、回路基板は、アクスルユニット内の少なくとも1つの材料によって包み込まれる。好ましくは、プラスチック又は他の適切な材料が提供される。したがって、磁場センサ又は回路基板は、外部の影響から確実に保護されてもよく、また簡単な方法で取り付けられてもよい。
【0035】
有利な実施形態では、磁場センサはアクスルユニットの軸方向端部の端面に配置され、特に好ましくは端面の中心に配置される。ここで磁場センサは、少なくとも部分的にアクスルユニットの内部に配置される。このように収容することで、センサの品質と、設置の複雑さ及び設置スペースの要件との両方に関して利点が得られる。特に磁場センサはアクスルユニットの端面に配置され、この端面は回転体の内部に配置される。ここで好ましくは、磁気リングユニットは回転体の外部に配置される。ただし、磁気リングユニットは回転体の内部に配置されてもよい。このような実施形態では、磁場センサが磁気リングユニットに対して軸方向にずれて配置されてもよい。ただし、磁場センサは、磁気リングユニットと同一の長手軸方向位置に設けることもできる。
【0036】
特に磁場センサは、アクスルユニット上及び/又はアクスルユニット内に直接取り付けられる。例えば、磁場センサは、収容成形又は類似の手段を使用して、アクスルユニットに接続されてもよい。しかし、少なくとも1つの接続構造体を使用して、磁場センサをアクスルユニットに取り付けることも可能である。また磁場センサは、少なくとも部分的にアクスルユニットの端面の中に後退してもよい。また磁場センサは、アクスルユニットの軸方向端部に放射状に配置されてもよい。
【0037】
特に磁気リングユニットの少なくとも一部は、アクスルユニットをリング状に取り囲む。特に磁気リングユニットは、アクスルユニットの周囲に放射状に配置される。したがって、特に磁気リングユニットは、アクスルユニットの長手方向に対して配置される。特に磁気リングユニット及びアクスルユニットは、互いに同軸となるように配置される。ここで、アクスルユニットは配置の中心にあることが好ましい。
【0038】
有利かつ好ましい改良形態では、磁場センサは、磁気リングユニットとアクスルユニットの間に少なくとも部分的に配置される。次いで、特に磁場センサは、磁気リングユニットの内側に放射状に配置される。次いで、特に磁気リングユニットは、磁場センサをリング状に取り囲む。
【0039】
回転体は、少なくとも1つの軸受装置によって、アクスルユニットに回転自在に取り付けられることが好ましい。例えば、軸受装置は、少なくとも1つの転がり軸受及び/又は平軸受、並びに/あるいは少なくとも1つの別の適切なデザインの軸受を備える。
【0040】
制動装置は、少なくとも1つのくさび軸受装置を備えることが好ましい。少なくとも1つのくさび軸受装置が、制動装置に割り当てられてもよい。くさび軸受装置は、特に少なくとも1つの、好ましくは複数の転動体を備える。これらは円筒状及び/又は球状の転動体であってもよい。くさび軸受装置は、この場合は特に転がり軸受として構成され、又は少なくとも1つのそのような軸受を備える。
【0041】
制動装置は、回転体の回転自在性を、くさび軸受装置、コイルユニット及び磁気粘性媒体によって狙い通りに減衰及び/又は減速及び/又は停止するのに特に適しており、またそうするように構成される。制動装置は、減速又は停止後の回転体の回転自在性のモーメントを、やはりくさび軸受装置、コイルユニット及び磁気粘性媒体によって狙い通りに低減するのに特に適しており、またそうするように構成される。
【0042】
ここで、くさび軸受装置、特にくさび軸受装置の転がり軸受、好ましくは転がり軸受の転動体は、磁気リングユニットと制動装置の間、特に磁気リングユニットと制動装置のコイルユニットとの間に軸方向に配置されるのが好ましい。こうすることで、コイルユニットの磁場から特に有利な間隔を空けて磁気リングユニットを配置することができる。
【0043】
減衰は、特にいわゆるくさび効果によって行われる。くさび効果については、本出願人による先の特許出願(例えば、独国特許出願公開第102018200390号明細書)に開示されている。この場合、回転体内の転動体は、コイルユニット及びアクスルユニットに隣接する。転動体は、磁気粘性流体によって取り囲まれる。コイルユニットの磁場は、回転体のハウジングを通って転動体を通過し、アクスルユニットを通って閉じる。ここで、転動体の運動を制動し、したがって回転体の運動を制動するくさびが、磁気粘性流体中で生じる。転動体は、ボール、円筒状ローラ、又は他の部品であってもよい。
【0044】
磁場センサは、特にくさび軸受装置と磁気リングユニットの間に軸方向に配置される。また磁場センサは、コイルユニットと磁気リングユニットの間に軸方向に配置されてもよい。
【0045】
磁気リングユニットは、特にくさび軸受装置と磁場センサの間に軸方向に配置される。磁気リングユニットは、コイルユニットと磁場センサの間に軸方向に配置されてもよい。このような設計により、コンパクトな構造が実現可能になり、また有利な検出品質も実現可能になる。
【0046】
磁場センサ及び/又は磁気リングユニットが回転体の端面に配置され、回転体の端面もアクスルユニットの端面上に位置し、アクスルユニットの端面から磁場センサの少なくとも1本の信号線路が、制動装置の磁場を通らないように出て来ることが可能である。このことは、磁場センサからの信号がコイルデバイスの磁場によって妨害されないという利点を有する。特に制動デバイスの接続線路もこの端面に配置される。端面は、特に軸方向の端部領域を意味する。
【0047】
また、磁場センサ及び特に磁気リングユニットも回転体の端面に配置され、回転体の端面はアクスルユニットの端面の反対側に位置し、アクスルユニットの端面から磁場センサの少なくとも1本の信号線路が出て来るようにすることも可能である。そのような実施形態では、好ましくは信号線路における信号伝送は光学的に行われる。したがって、磁場センサからの信号は、コイルデバイスの磁場を通っても不都合に途絶することはない。特に信号伝送は、少なくとも信号線路がコイルデバイスの磁場を通る位置では、光学的に行われる。特に信号線路は、少なくとも1つの光導波路を備え、又は少なくとも一部が光導波路であるように構成される。特に信号線路の少なくとも一部は、アクスルユニット内の穴を通る。
【0048】
好ましくは、信号線路の少なくとも一部は、アクスルユニット内の少なくとも1つの穴によって設けられる。好ましくは、アクスルユニット自体が光導波路として機能する。穴は、特に上記の穴である。このような設計において、磁場センサは、特にアクスルユニットの端面又は内部に配置される。
【0049】
全ての実施形態において、磁気リングユニット及び/又は磁場センサは、回転体によって境界を定められる(放射状)円周線の内側に配置されるのが、特に好ましい。特に磁気リングユニット及び/又は磁場センサは、回転体の(放射状)円周を越えて突出しない。特に磁気リングユニット及び/又は磁場センサは、回転体の半径を超えて突出しない。特に磁気リングユニット及び磁場センサは、回転体の円周線の内側に放射状に配置される。特に円周線は、回転体自体によって境界を定められ、回転体上に配置される追加部品ではない。
【0050】
磁気リングユニットは、回転体によって境界を定められる受け入れチャンバの外側に配置することが可能である。ここで特に、少なくとも1つの密閉デバイスが、磁気リングユニットと回転体の間に配置される。特にこの密閉デバイスは、受け入れチャンバ内に入れられた磁気粘性媒体が出て来ることを防ぐために、回転体及びアクスルユニットを密閉するように支持する。密閉デバイスは、特にアクスルユニットを支持する少なくとも1つの密閉部を備える。密閉デバイスは、特に回転体を支持する少なくとも1つの密閉部を備える。密閉デバイスは、少なくとも1つの摺動シールを備え、又はそのように構成される。しかし、磁気リングユニットは、受け入れチャンバの内部に配置することも可能である。
【0051】
好ましくは、少なくとも1つの特に導磁性の壁が、磁気リングユニットと制動装置との間、特に制動装置のコイルユニットとの間に配置される。特に壁は、磁気リングユニットの磁場が制動装置内及び/又は受け入れチャンバ内に散乱し、それによって磁気粘性媒体に好ましくない影響を及ぼすことを防ぐように、磁気リングユニットの磁場を遮蔽するのに適しており、またそうするように構成される。
【0052】
特に、このため壁は強磁性体及び/又は常磁性体を含み、又はそれで構成される。また壁は反磁性体を含んでもよく、又はそれで構成されてもよい。また回転体及び/又はコアもこのような材料で作製することが可能である。例えばこの材料は、例えば69~82%のニッケルを含むニッケル鉄合金である。また磁場を遮蔽する他の金属(いわゆるミューメタル)も可能である。特に壁は、少なくとも1000、好ましくは少なくとも1万、特に好ましくは少なくとも100000又は少なくとも500000の比透磁率を有する。
【0053】
壁は、少なくとも部分的に回転体の端壁によって設けられるのが好ましい。この端壁は特に閉鎖端壁であり、アクスルユニットはこの端壁を貫通して延在はしない。次いでこの壁は、特に回転体と一体的に形成される。
【0054】
また、壁が回転体の開放端面を少なくとも部分的に閉鎖する構成とすることも可能であり、その方が好ましい。次いでアクスルユニットは、壁を貫通して延在するのが好ましい。次いで壁は、特にアクスルユニット用の少なくとも1つの通路開口部を有する。また壁は、密閉デバイスの支持構造体として構成することも可能であり、その方が有利である。特に少なくとも1つのアクスルユニット用密閉部及び少なくとも1つの回転体用密閉部が壁面に取り付けられる。このような設計では、壁は、特にアクスルユニットに取り付けられる。
【0055】
磁場センサは、回転体によって境界を定められる受け入れチャンバの内部に配置することが可能である。回転体は、特に受け入れチャンバを形成する。特に磁場センサは、少なくとも密閉ユニットによって、受け入れチャンバ内に入れられた磁気粘性媒体から分離される。密閉ユニットは、特に少なくとも1つの密閉リング(Oリング)又はアクスルユニットの周囲を放射状に通る同様のものを備える。密閉デバイスは、特に回転体及びアクスルユニットを密閉するように支持する。磁場センサは、アクスルユニットの少なくとも1つの壁によって磁気粘性媒体から分離されるのが好ましい。
【0056】
次いで、特に磁場センサは、少なくとも部分的に回転体の端面の隆起部の中に配置される。次いで、特に磁気リングユニットは、回転体の外側に位置する。隆起部は、特に端面の中心に配置される。このような実施形態では、磁場センサは、特にアクスルユニットの端面の内部及び/又は端面に配置される。隆起部は、特に回転体の端面に配置され、この端面からアクスルユニットは出て来ない。また磁場センサは回転体の外側に配置されてもよい。
【0057】
磁場センサは、回転体の回転位置に加え、アクスルユニットに対する少なくとも1つの軸方向位置も検出するように構成することも可能であり、その方が好ましい。次いで、特に磁場センサは、三次元磁場センサとして構成される。特に軸方向位置は、磁気リングユニットによって検出される。特に軸方向位置は、磁場センサに対する磁気リングユニットの軸方向位置によって検出される。このような実施形態は、動作状態が押圧運動及び引張運動によっても調整される制動デバイスにとって特に好都合である。特に制動デバイスは、少なくとも1つの押圧運動によっても動作状態を調整するのに適しており、またそのように構成される。押圧運動は、特に回転体の回転運動の回転軸方向において行われる。
【0058】
有利な改良形態では、磁場センサは少なくとも2つのセンサユニットを備える。特にこれらのセンサユニットは、互いに径方向に隣接して配置される。好ましくは、これらのセンサユニットは、共通の中心の周囲に放射状に配置される。この中心は、特にアクスルユニットの縦軸又は回転軸の中に位置する。こうすることで、測定結果を大幅に改善することができる。これらのセンサユニットは、共通の回路基板上に配置することが可能である。ここで、これらのセンサユニットは、回路基板の周囲に同心円状に配置される。特にこれらのセンサユニットは、それぞれ少なくとも1つのアクティブセンサ部を備える。特にこれらのセンサユニットは、共通の磁気リングユニットによって放射状に取り囲まれる。
【0059】
特に回転体は、アクスルユニットの周囲で回転自在である。特にアクスルユニットは、静止するように構成される。特にアクスルユニットは、アクスルユニットに受け入れられる部品のための、及び特にアクスルユニットに取り付けられる回転体のための、及び/又は制動装置のための、及び/又はセンサデバイスのための支持構造体を提供する。制動デバイスが正しく取り付けられた状態にあるとき、アクスルユニットは、少なくとも1つのブラケット又は同様のものに取り付けられてもよい。特にアクスルユニットは、少なくとも1つのアクスル、特に中空アクスルを備え、又はそのようなアクスルとして構成される。特にアクスルユニットの(理論上の)長手方向軸は、回転体の(理論上の)回転軸を提供する。特にアクスルユニットと回転体は、互いに同軸に配置される。
【0060】
また、アクスルユニットが回転自在であり又は回転部分を形成することも可能であり、アクスルを取り囲む回転体が静止するように構成されることも可能である。次いで、特にアクスルユニットは、回転体の中に回転自在に受け入れられる。次いでアクスルユニットはシャフトとして記載されてもよい。
【0061】
次いで(磁場)センサの電気的接続は、好ましくはケーブル又はワイヤを介して実施されるのではなく、互いに対して移動可能であり、かつ互いに固定結合されない接点、例えば摺動接点を介して実施される。また(磁場)センサの電気的接続は、無線で、例えば誘導式のエネルギー及びデータ伝送、並びに/又は光伝送、並びに/又は無線LANやBluetooth(登録商標)等の無線伝送を介して実施することもできる。磁場センサの電気的接続は、渦巻ばね及び/又は可撓性ケーブルを介して実施することもできる。これは、1回も完全に回転しない、あるいは1回だけ又は数回だけ完全に回転する場合に有利である。特に、磁場センサの少なくとも1本の信号線路はこのように構成される。制動装置(特に電気コイル)の電気的接触も、このように、例えば誘導電流伝送によって構成することができる。
【0062】
回転体は、特にスリーブとして構成され、特に導磁性材料で構成される。特に回転体は、少なくとも1つの回転スリーブを備え、又はそのような回転スリーブとして構成される。特に回転体は回転つまみとして構成される。特に回転体は筒状である。特に回転体は、2つの端面と、その間に延在する円筒壁を有する。ここで回転体は、好ましくは少なくとも1つの閉鎖端面を備える。両端面は、少なくとも部分的に閉鎖されてもよい。特に回転体は一体的に形成され、特に円筒壁は少なくとも1つの端壁に一体的に接続される。
【0063】
特にアクスルユニットは、回転体の中に、好ましくは回転体の受け入れチャンバの中に延在する。特に回転体は、アクスルユニットが開放端面において回転体の外に延在するように、アクスルユニット上に構成され、またそのようにアクスルユニット上に配置される。ここで、特に回転体の他の端面は閉じられている。
【0064】
制動デバイスは、特に狙った磁場を生成する少なくとも1つの作動式コイルユニットを備える。制動装置、好ましくは少なくともコイルユニットは、特にアクスルユニット上に回転自在に固定して配置される。
【0065】
制動装置は、特に少なくとも1つの磁気粘性媒体を含む。媒体は特に流体であり、この流体は好ましくは粒子の運び手としての液体を含む。特に、流体中には磁性粒子、好ましくは強磁性粒子が存在する。また、媒体は粒子のみを含んでもよく、搬送媒体が存在しなくてもよい(真空)。
【0066】
特に制動装置は、センサデバイスによって検出される少なくとも1つの信号に応じて作動してもよい。好ましくは、センサデバイスに応じて制動装置を作動させるために、制御デバイスが設けられる。特に制御デバイスは、センサデバイスからの信号に応じて、コイルユニットと共に狙った磁場を生成するのに適しており、またそうするように構成される。制動装置は、特にダンパデバイスでもある。
【0067】
特に、媒体用に少なくとも1つの受け入れチャンバが設けられる。特に受け入れチャンバは、回転体によって形成される。受け入れチャンバ内には、例えばくさび軸受装置及び/又はコイルユニット及び/又は磁場センサ及び/又は磁気リングユニット等の別の部品を配置することが可能である。受け入れチャンバは、相互に密閉される部分チャンバに分割することが可能である。好ましくは、磁気粘性媒体用にある部分チャンバが設けられる。特に磁場センサは、別の部分チャンバ内に配置される、すなわち、媒体を含む部分チャンバ内には配置されない。
【0068】
特に、制動デバイス、特に制動装置は、少なくとも1つのくさび軸受装置、好ましくは少なくとも1つの転がり軸受を備える。特にくさび軸受装置、好ましくはくさび軸受装置の転動体は、媒体によって(直接)取り囲まれる。好ましくは、制動デバイスは、受け入れチャンバから媒体が出て来ることを防ぐために、少なくとも1つの密閉デバイス及び/又は少なくとも1つの密閉ユニットを備える。特に受け入れチャンバは、回転体及びアクスルユニットに対して密閉される。くさび軸受装置は、特にアクスルユニットを放射状に取り囲む。
【0069】
センサデバイスは、特に絶対値式エミッタとして構成される。またセンサデバイスは、増分式エミッタとして、又は別の適切な設計として構成されてもよい。センサデバイスは、特に制御デバイス及び/又は制動装置に能動的に接続される。
【0070】
磁気リングユニットは、特にリング状に閉じて形成される。また、磁気リングユニットは、リング状に開口して形成されてもよい。特に磁気リングユニットは、少なくとも1つの永久磁石を備え、又は永久磁石として構成される。特に磁気リングユニットは、少なくとも1つの北磁極と少なくとも1つの南磁極を提供する。特に少なくとも1つの遮蔽デバイスが、コイルユニットの磁場からその磁場を遮蔽する磁気リングユニットに割り当てられる。遮蔽デバイスは、特に上述の壁を備え、又は上述の壁によって形成される。
【0071】
磁場センサは、特に磁気リングユニットの磁場の方位を検出するのに適しており、またそうするように構成される。特に磁場センサはホール効果センサ(特に3Dホール効果センサ)として構成され、又はホール効果センサを少なくとも1つ備える。また磁気リングユニットの磁場を検出する他の種類の好適なセンサも可能である。
【0072】
本発明の使用に適している制動装置は、独国特許出願公開第102018100390号明細書にも記載されている。独国特許出願公開第102018100390号明細書の全開示は、本明細書によって本出願の開示内容の一部とされる。
【0073】
特に好ましくは、全ての実施形態において、制動装置のコイルユニット(電気コイル)の磁場からセンサデバイスを少なくとも部分的に遮蔽するために、少なくとも1つの遮蔽デバイスが設けられる。遮蔽デバイスは、磁気リングユニットを(少なくとも部分的に、特に完全に)取り囲む少なくとも1つの遮蔽体と、遮蔽体と磁気リングユニットの間に配置される少なくとも1つの分離ユニットと、遮蔽体と回転体の間に配置される少なくとも1つの磁気的分離デバイスと、を備える。分離ユニット及び分離デバイスは、特に遮蔽体の何倍も小さい導磁率を有する。
【0074】
遮蔽体は、特に磁場センサと磁気リングユニットの間には配置されず、その結果、遮蔽体は、検出される磁気リングユニットの磁場から磁場センサを遮蔽しない。
【0075】
好ましくは、遮蔽体は磁気リングユニットを少なくとも部分的に、少なくとも径方向外側で取り囲み、及び/又は、遮蔽体は磁気リングユニットを少なくとも部分的に、少なくとも制動装置のコイルユニットに対向する少なくとも1つの軸方向側で取り囲む。
【0076】
好ましくは、遮蔽体は、断面がL字状又はU字状の遮蔽リングとして構成される。
【0077】
分離ユニットは、特に遮蔽体と磁気リングユニットの間を通る少なくとも1つの隙間と、隙間の中に配置される少なくとも1つの充填媒体と、を備える。
【0078】
好ましくは、充填媒体は、磁気リングユニットを遮蔽体に回転自在に固定して接続する。
【0079】
本出願人は、少なくとも回転体の回転位置を検出する少なくとも1つのセンサデバイスにおける、少なくとも1つのアクスルユニットと、アクスルユニットに対して回転自在な少なくとも1つの回転体と、を備えるセンサ装置を請求する権利を留保する。ここで、アクスルユニット、回転体及びセンサデバイスは、本発明による制動デバイスについて本明細書に記載した通りに構成される。
【0080】
本発明のさらなる利点及び特徴は、添付の図面を参照して以下に説明する例示的な実施形態の記載から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、本発明による制動デバイスの概要を示す縦断面図である。
図2図2は、制動デバイスのさらなる実施形態の概要を示す縦断面図である。
図3図3は、図2と同様の縦断面図である。
図4図4は、図2と同様の縦断面図である。
図5図5は、本発明による制動デバイスにおけるアクスルユニットの概要を示す縦断面図である。
図6図6は、さらなる制動デバイスの概要を示す縦断面図である。
図7図7aは図6と同様の縦断面図、図7b~7dは図7aの制動デバイスの詳細図、図7eはセンサ信号の推移を示す概略図である。
図8図8a~8eは、制動デバイスの概要を示す3次元図である。
【0082】
図1は、本発明による制動デバイス1を示す。制動デバイス1は、本明細書では操作デバイス100として構成され、回転自在な回転体3を有する。回転体3は、動作状態を調整するためのフィンガーローラ23又はサムローラ102として構成される。したがって、ここで操作は、少なくとも回転体3を回転させることによって行われる。
【0083】
ここで回転体3は、本明細書では軸受装置(本明細書では詳細には図示せず)によってアクスルユニット2に回転自在に取り付けられる。ここでアクスルユニット2は第1制動部品2を形成し、回転体は第2制動部品3を形成する。また、ここで回転体3は、転がり軸受として構成されるくさび軸受装置6によって、アクスルユニット2に回転可能に取り付けられてもよい。しかし好ましくは、くさび軸受装置6は、アクスルユニット2上の回転体3の取り付け部22のためには提供されていない又は取り付け部22のために部分的に提供されているだけだが、以下に示す制動装置3のために機能する。ここでくさび軸受装置6の転動体は、後でより詳細に説明する制動体44として機能する。
【0084】
アクスルユニット2は、操作対象の物体、例えば自動車の内部、医療デバイス又はスマートデバイスに取り付けることができる。このため、ここでアクスルユニット2は取り付け手段(詳細には図示せず)を備える。
【0085】
ここで回転体3は、アクスルユニット2の長手方向、すなわち回転軸に沿って移動可能なように設けられてもよい。次いで、回転つまみ3を回し、押し及び/又は引くことによって、すなわち回転つまみ3を動かすことによって操作が行われる。
【0086】
ここで回転体3は、スリーブとして構成され、円筒壁と、円筒壁に一体的に接続される端壁を備える。アクスルユニット2は回転体3の開放端側から出て来る。
【0087】
フィンガーローラ23は、追加部品33(本明細書では点線で示す)を装備してもよい。こうすることで直径が増大し、例えばコンピュータマウス103上若しくはゲームコントローラ上、特にゲームパッド105上にある1本の指で回転可能なホイール、又はコンピュータキーパッドのサムローラ102上の回転式制御装置の場合に容易に回転できる。
【0088】
ここで回転つまみ3の回転運動は、回転つまみ3の内部にある受け入れチャンバ13内に配置される磁気粘性制動装置4によって減衰される。制動装置4のコイルユニット24は、受け入れチャンバ13内に入れられた磁気粘性媒体34に作用する磁場を生成する。この磁場により、媒体34中で磁気分極可能な粒子が局所的に強くクロスリンクする。これにより、制動装置4は、狙い通りに減速又は完全に停止さえし、また特に回転運動を狙い通りに解放もする。したがって制動装置4では、例えば対応する知覚可能なラッチ又は動的に調整可能なストッパによって、回転体3の回転運動中に触覚フィードバックを達成することができる。
【0089】
コイルユニット24の電力供給及び作動のために、ここで制動装置4は電気的接続14を備える。電気的接続14は、例えば回路基板35又はプリント回路基板又はケーブル線路として構成される。ここで接続線路11は、アクスルユニット2の長手方向に伸びている穴12を通って延在する。
【0090】
ここで受け入れチャンバ13は、媒体34が出て来ることを防ぐために、密閉デバイス7及び密閉ユニット17によって外部から密閉される。ここで媒体34は磁気粘性媒体34である。ここで密閉装置7は回転体3の開放端面を閉鎖する。このため、第1密閉部27が回転体3の内部を支持する。第2密閉部37がアクスルユニット3を支持する。ここで密閉部27、37は、壁8として構成される支持構造体に取り付けられ、及び/又はそのような支持構造体として構成される。
【0091】
ここで密閉ユニット17はOリングとして構成され、アクスルユニット3を放射状に取り囲む。密閉ユニット17は、アクスルユニット2及び回転体3に当接する。このようにして、受け入れチャンバ13のうち媒体34で充填される部分は、受け入れチャンバ13の別の部分に対して密閉される。
【0092】
制動装置4を作動できるように回転体3の回転位置を監視するために、ここでセンサデバイス5が設けられる。センサデバイス5は、磁気リングユニット15及び磁場センサ25を備える。
【0093】
ここで磁気リングユニット15は正反対に分極され、N極とS極を有する。ここで磁場センサ25は、ホール効果センサとして構成され、磁気リングユニット15によって放射される磁場を測定し、したがって信頼性の高い回転角度の測定をすることができる。
【0094】
また好ましくは、ここで磁場センサ25は、回転体3の回転に加え、アクスルユニット2に対する軸方向の運動も測定できるように、三次元的に構成される。こうすることで、回転機能と押しボタンの機能(押す/引く)の両方を、同一の磁場センサ25で同時に測定することができる。しかし、制動デバイス1は回転機能だけ装備してもよい。
【0095】
特に有利には、センサデバイス5が制動デバイス1に組み込まれる。このため、ここで磁場センサ25はアクスルユニット2の穴12に挿入される。磁気リングユニット15は、磁場センサ25を放射状に取り囲み、回転体3に取り付けられる。これは、長さの公差が適用されず、精密に製造可能な公差が適用されるのは直径の公差だけであるという利点を有する。回転する回転体3と静止するアクスルユニット2の間の径方向の軸受隙間は、これに対応して小さくなっており、量産の際にも容易に管理される。
【0096】
さらなる利点は、測定が径方向について行われ、測定信号の質を実質的に決めるのは径方向の距離なので、回転体3とアクスルユニット2の間の軸方向運動又は変位はセンサ信号に好ましくない影響を与えないことである。
【0097】
さらなる利点は、センサが内部に配置されるので、ここに示す配置が汚れや液体の影響を特に受けないことである。また、穴12の中の磁場センサ25は、例えばプラスチックによって包み込まれてもよい。
【0098】
磁場センサ25の収容をさらに改善するために、ここで磁場センサ25は、回路基板35上又はプリント回路基板上に配置される。ここで、コイルユニット24又はその接続14も、回路基板35と接触している。
【0099】
さらに、制動デバイス全体が接続線路11を介して操作対象のシステムに接続され、また接続線路11は回路基板35にも取り付けられる。したがって、例えば6ピン又は8ピンプラグコネクタを回路基板35に取り付けてもよく、このプラグコネクタを介して、磁場センサ25とコイルユニット24の両方とも、対応するコントローラに接続することができる。ここで、センサ信号を伝送する信号線路45も、接続線路11の中に配置される。
【0100】
したがって、制動デバイス1は、特に簡単かつ迅速に設置することができる。故障や障害に対してシステム全体を特に強固にするために、回路基板35を穴12の中に入れ、磁場センサ25をアクスルユニット2の中に入れてもよい。
【0101】
図2は、センサデバイス5の構造的収容の点で、上記の実施形態とは実質的に異なる制動デバイス1の実施形態を示す。ここで、磁気リングユニット15は回転体3の端面に配置される。この端面は閉鎖されている、すなわち、アクスルユニット2はこの端面を貫通して延在はしない。
【0102】
ここで、磁場センサ25用の特に省スペースな収容部が、アクスルユニットの内部及び回転体3の内部に設けられる。このため、受け入れチャンバ13内に、アクティブセンサ部を有する磁場センサ25が配置される。磁場センサ25の別の部分は、アクスルユニット2の中に延在し、そこに取り付けられる。磁場センサ25は、受け入れチャンバ13のうち、密閉ユニット17によって媒体34を含む部分から分離された部分の中にある。ここで、受け入れチャンバ13のこの部分は、回転体3の中心隆起部の中に存在する。本明細書では、磁場センサ25はアクスルユニット2の端面に取り付けられる。
【0103】
ここで磁気リングユニット15の軸方向のずれの位置はかなり概略的に示されており、例えば磁気リングユニット15は、回転体3により近接して配置され、磁場センサ25をリング状に取り囲んでもよい。
【0104】
ここに示す実施形態では、磁場センサ25は回転体3の端面に配置され、この端面は、信号線路45又は接続線路11の出口とは反対側に位置する。したがって、この場合のセンサ信号は、アクスルユニット2の中の穴12を通って反対側に伝導され、そのためコイルユニット24の磁場を通過しなければならない。
【0105】
信号の途絶を避けるため、ここで信号伝送は光学的に行われる。このため、ここで光信号は、単にアクスルユニット2の穴12を通って放出される。しかし、信号線路45は、少なくともコイルユニット24の領域では、光導波路として構成されるように設けられてもよい。信号の送信及び受信のために、対応するフォトダイオード(ここでは詳細は示さず)が設けられる。
【0106】
図3は、アクスルユニット2の構造設計の点で、上記の実施形態と実質的に異なる実施形態を示す。ここでアクスルユニット2は、磁場センサ25を放射状に取り囲むアクスル部415を有する。アクスル部415の導磁率はコア21よりも低い。ここでコア21は、制動装置4の電気コイル24の巻線を担持する。したがって、磁気リングユニット15の磁場は、磁場センサ25の領域でアクスルユニット2を特に良く貫通できるので、センサ分解能を改善することができる。
【0107】
ここでコア21は、アクスルユニット2の支持用第2アクスル部425を形成する。このため、ここでアクスル部415、425は、互いに固定して接続され、例えば互いにねじ止めされる。ここでアクスル部415、425は、密閉部37がコア21を支持するように寸法設定される。ここでコア21はアクスル部415よりも硬い材料で構成されるため、密閉部37がアクスルユニット2に乗り上げることは確実に回避される。
【0108】
図4はアクスルユニット2の実施形態を示し、この実施形態では、第2アクスル部425が第1アクスル部415の一部を放射状に取り囲む。第2アクスル部425は、やはりこの場合もコイル24用のコア21によって形成される。第1アクスル部415は、磁場センサ25の軸方向領域に露出して形成される。そのため、磁場センサ25はコア21によって遮蔽されない。制動装置4の領域では、次いで第2アクスル部425又はコア21が第1アクスル部415を放射状に取り囲む。このようにして、コア21を特に簡単に取り付けることができる。
【0109】
図1図4に示す実施形態では、壁8が導磁性であるように構成される。こうすることにより、磁気リングユニット15の磁場とコイルユニット24の磁場が互いに好ましくない影響を及ぼし合うことを防ぐことができる。例えば、壁8は磁場を遮蔽する金属、例えば比透磁率が少なくとも10万の金属から作製される。例えば、壁8はニッケル鉄合金で作製される。同時に、ここで壁8は、密閉装置7の接続としての役割を果たす。図2に示す磁気リングユニット15の磁場をコイルユニット24の磁場から遮蔽するために、回転体3の端面は導磁性材料で作製される。
【0110】
図5はアクスルユニット2の詳細図を示し、この場合にはアクスルユニット2が3つのアクスル部415、425、435で構成される。第1アクスル部415は磁場センサ25の容器として機能し、このため図3及び4を参照して上記のように設計される。第1アクスル部415には第2アクスル部425が接続され、第2アクスル部425はコア21によって形成される。第2アクスル部425には第3アクスル部435が隣接し、第3アクスル部435はアクスルユニット2の軸方向端部を形成する。したがって、例えば回転体3を第3アクスル部435に取り付けてもよい。また、別のコア21が第3軸部435に隣接することも可能である。そのため、これに対応する広範囲に及ぶ磁場を、強い制動効果で生成することができる。
【0111】
図6は、制動装置4のコイルユニット24の磁場からセンサデバイス5を遮蔽する遮蔽デバイス9を備える、本発明による制動デバイスを示す。ここに示す制動デバイス1は、遮蔽デバイス9の点だけでなく、特に回転体3や追加部品33の設計の点においても上記の制動デバイス1と異なる。ここに示す制動デバイス1は、例えばコンピュータマウス103のマウスホイール106、フィンガーローラ23又はサムローラ102である。
【0112】
この場合の回転体3は筒状のスリーブとして構成され、その外側は追加部品33によって完全に取り囲まれる。ここで追加部品33は、磁気リングユニット15から離れる方向を向く径方向端面で、回転体3の終端となる。
【0113】
追加部品33は、直径が実質的に拡大した放射状周囲突出部を有する。この突出部により、ここに示す制動デバイス1は、コンピュータマウス103等のマウスホイール106に特に適したものになる。ここで突出部は、特に滑りにくい材料、例えばゴムがはめ込まれた溝を有するように構成される。
【0114】
ここに示す制動デバイス1は、互いに離間している2つのくさび軸受装置6を有する。これらのくさび軸受装置6は、それぞれアクスルユニット2の周囲に放射状に配置される幾つかの制動体44を装備する。コイルユニット24は、これらのくさび軸受装置6の間に配置される。ここで制動体44は、例えば回転体3の内面上若しくはアクスルユニット2の外面上を転がり又はそこに配置される転動体であり、アクスルユニットの外面からわずかに、特に最低限の距離だけ離れている。
【0115】
磁気リングユニット15は、磁気リングユニット15が回転体3の回転に対して共に回転するように、回転体3に回転自在に固定して結合される。ここで磁場センサ25は、アクスルユニット2の穴12に挿入される。磁気リングユニット15は、磁場センサ25を放射状に取り囲み、端部に軸方向に配置される。磁場センサ25は、ここで磁気リングユニット15の軸心から軸方向にずれて配置される。こうすることで、アクスルユニット2に対する回転体3の軸方向位置を、特に高分解能で再現性良く感知することができる。
【0116】
遮蔽デバイス9は遮蔽体19を備え、ここで遮蔽体19は遮蔽リング190として構成される。また遮蔽デバイス9は分離ユニット29を備え、ここで分離ユニット29は、媒体291で充填される隙間290によって形成される。また遮蔽デバイス9は磁気的分離デバイス39を備え、ここで磁気的分離デバイス39は、分離スリーブ390及び分離隙間391によって形成される。
【0117】
ここで分離スリーブ390は軸方向壁392を有し、軸方向壁392には密閉デバイス7が配置される。また軸方向壁392には軸受装置22(詳細には図示せず)が配置されてもよい。
【0118】
ここで遮蔽体19はL字状の断面を有し、導磁率が特に高い材料で作製される。遮蔽体19は、磁気リングユニット15の径方向外側と、及び軸方向のうちコイルユニット24を向く側で、磁気リングユニット15を取り囲む。磁気的分離のために、隙間290は、遮蔽体19と磁気リングユニット15の間に配置され、充填媒体291で充填される。充填媒体291は、特に低い導磁率を有する。また磁気リングユニット15は、充填媒体291を介して遮蔽体19に取り付けられる。
【0119】
回転体3と遮蔽体19の間の磁気的分離は、分離デバイス39によって達成される。このため、分離スリーブ390及び充填媒体291は、分離隙間391内に配置され、特に低い導磁率を有する。ここで分離スリーブ391は、遮蔽体19、追加部品33及び回転体3に、回転自在に固定して接続される。
【0120】
回転体3をセンサデバイス5からさらに効果的に分離するために、ここで回転体3は、分離スリーブ390から軸方向に離間して配置される。ここで磁気リングユニット15に対向する回転体3の端部は、制動体44を越えて突出しない。また回転体3は、追加部品33に対して軸方向に引っ込んでおり、又は短くなっている。こうすることで、回転体3と分離スリーブ390を、非常に小さな設置スペース内で、特に有利に磁気的及び物理的に分離することができる。
【0121】
制動効果用のコイルユニット24の磁場が回転体3を通って流れるので、このような実施形態は、特に良好な遮蔽をもたらす。この磁束が磁場センサ25に及ぼす影響をできるだけ小さくするために、回転体3は軸方向でより早く終端し、非導磁性の追加部品33が構造的な機能(ベアリング点、密閉点等)を引き継ぐ。これにより、磁場センサ25からの距離がさらに大きくなり、組立体全体が軽くなる。
【0122】
回転体3は、導磁率が特に高い材料から作製される。しかし、追加部品33及び分離スリーブ390は、非導磁性材料で作製される。ここで遮蔽体19及び回転体3は、例えばミューメタルから作製される。ここで非導磁性材料として説明した部品は、例えばプラスチックで構成され、その比透磁率は10未満である。
【0123】
回転角度の測定をしばしば中断させる可能性のある問題の領域は、とりわけ径方向領域である。ここでこれらの領域は、適切な材料、例えばジャケットの役割を果たす導磁性鋼でできた遮蔽体19によって遮蔽される。したがって、磁気リングユニット15の磁場をさらに増幅してもよい。その結果、磁気リングユニット15をより小さく(薄く)でき、したがって、材料、設置体積及び製造コストを節約することができる。
【0124】
本発明による構成は、遮蔽体19の壁厚が変化している点と、磁気リングユニット15と遮蔽体19の間に隙間290が設けられている点で改善されている。遮蔽及び増幅は、磁気リングユニット15と遮蔽体19の間の隙間290によって、最適に適合することができる。ここで遮蔽体19の材料は磁気飽和状態にならないように選択されるので、外部磁場は十分に遮蔽することができる(飽和状態にある材料だと、空気と同様に、すなわち磁場定数μ0で磁場が通過できてしまう)。磁気リングユニット15と遮蔽体19の間の隙間290を有利に設計することで、磁場は、遮蔽体19によってあまり強く閉じず、磁場センサ25を通る中心部の磁場は、十分均一になり、遮蔽体19のない同一又はより大型の磁気リングユニット15と比較して増加する。
【0125】
ここに示す遮蔽デバイス9の寸法は、コンピュータマウス103のマウスホイール106に特に適しており、例えば以下の寸法を有する。遮蔽リング190の厚さは0.5mm、遮蔽リング190と磁気リングユニット15の間隔も0.5mm、磁気リングユニット15の幅は2mm、磁気リングユニット15の直径は8mmである。この場合、コイルユニット24の実現可能な干渉磁場は140μTであり、角度測定で生じる可能性のある誤差は0.1°である(参考:地球の磁場はヨーロッパで約48μT)。
【0126】
図7aは、プッシュプル機能を統合した変形例を示す。ボタン474は作動式でもよく、自動的にリセットされる。ここで2つの支持点412、418の直径は、同じサイズになるように選択される。その結果、第1制動部品2(アクスルユニットに対応)が第2制動部品3(回転体に対応)に対して軸方向に移動しても、チャンバ内の体積は変化しない。第1制動部品2が図7aの配向において左に移動すると、磁場センサ25の磁気リングユニット15からの距離が増加又は変化する。
【0127】
図7eに示すように、軸方向に移動すると受信信号468が変化する。図7eは、磁場センサ25によって検出された信号468の振幅469の曲線を、制動部品2、3の軸方向の移動量(横軸)の関数として示す。磁場センサ25が磁気リングユニット15に対して軸方向に移動すると、検出信号468の振幅469は変化する。したがって、追加部品33の軸方向の移動又は押下げ、すなわち追加部品33の横方向の移動を検出することができる。また同一の磁場センサ25を使用して回転角度を検出することもできる。回転角度を検出するために、磁場の方向が測定される。強度は軸方向の位置を決定する。したがって、信号468の変化が、制動デバイス1の軸方向の作動、すなわちボタン474の軸方向の作動を示す。角度位置の決定及び軸方向位置の決定のために単一の(多次元)ホール効果センサを使用できるので、このことは有利である。
【0128】
図7aでは、第1制動部品2は、第2制動部品3の内部に配置され、ホルダ404によって形状嵌め及び/又は力嵌めにより保持される。ホルダ404は、例えば外部のブラケット又はデバイスに取り付けられてもよい。通常、ホルダ404は回転自在に固定して取り付けられる。第2制動部品3は、第1制動部品2に対して連続的に回転できるように第1制動部品2で受け止められる。
【0129】
図7b及び図7cに示すように、ブラケット404は、好ましくは2つの部品で形成されてもよい。こうすることで、とりわけ電気線路の設置、特に第1制動部品2の内部のセンサ線路45の設置が簡単になる。ケーブルは、ここでは開口しているケーブル通路又は穴12に通して配置することができる。
【0130】
図7dは、再びセンサデバイス3を詳細に示す。ここで第1制動部品2及び第2制動部品3は、回転部として構成され、単に(点線で)示されているだけである。ここでセンサデバイス5は、磁気的に分離されるように、分離デバイス39を介して回転自在な第2制動部品3上に載っている。ここで遮蔽デバイス9は、3枚の遮蔽体19で構成される。さらに、磁気的に分離するために分離ユニット29も設けられる。磁気リングユニット15は、磁気粘性制動装置1の方位及び回転角度の測定に使用される。磁場センサ25は、第1制動部品2の内部に配置される。また、例えば操作つまみ101が押し下げられる場合、検出のために小さな相対的軸方向移動を利用することもできる。
【0131】
図8a~8fは、本発明を備えるデバイスを示す。この場合の制動デバイス1は、それぞれ触覚操作デバイス100として構成される。
【0132】
図8aは触覚操作つまみ101を示す。操作つまみは、ブラケット50を介して取り付けられる。ここで操作つまみ101は、スリーブ部を介して操作される。またユーザインターフェースは、情報を伝送するために使用されてもよい。
【0133】
図8bでは、制動デバイス1は、触覚操作デバイス100を備えるサムローラ102として形成されている。好ましくは、サムローラ102は、例えばステアリングホイールに使用することができる。しかし、サムローラ102はこの用途に限定されない。また、一般にサムローラ102は、設置状況に応じて別の指で使用してもよい。
【0134】
図8c及び図8dは、本発明による制動デバイス1を、コンピュータマウス103のマウスホイール106として示す。磁気粘性制動デバイス1は、触覚フィードバックを制御するために使用してもよい。
【0135】
図8eは、触覚操作デバイス100として制動デバイス1を備えるジョイスティック104を示す。図8fは、ゲーム状況に応じた触覚フィードバックをプレイヤーに与えるための制動デバイス1を備えるゲームパッド105を示す。
【0136】
好ましくは、低合金鋼は残留磁場を保持することができる。好ましくは、鋼が規則的に又は必要に応じて(例えば特別な交流磁場によって)消磁される。
【0137】
好ましくは、磁場が通って流れる部品として、FeSi3P材料(ケイ素鋼)又は関連材料が使用される。
【0138】
全ての場合において、音声制御機能又は音制御機能も実装してもよい。制動装置は、音声制御機能によって最適に制御されてもよい。
【0139】
好ましくは、回転ユニットが回転していない場合、すなわち角度が一定である場合、電流は時間が経つにつれて連続的に減少する。また電流が速度(回転ユニットの回転角速度)に依存して変化してもよい。
【0140】
提示されるセンサ構造の原理は、純粋に磁気粘性的な回転ダンパに限定されず、回転角度の特に有利な測定が望まれる回転自在な部品を備える任意のデバイスに適用することもできる。
【0141】
<符号の説明>
1 制動デバイス
2 アクスルユニット
3 回転体
4 制動装置
5 センサデバイス
6 くさび軸受装置
7 密閉デバイス
8 壁
9 遮蔽デバイス
11 接続線路
12 穴
13 受け入れチャンバ
14 接続
15 磁気リングユニット
17 密閉デバイス
19 遮蔽体
21 コア
22 軸受装置
23 フィンガーローラ
24 コイルユニット
25 磁場センサ
27 密閉部
29 分離ユニット
33 追加部品
34 媒体
35 回路基板
37 密閉部
39 分離デバイス
44 制動体
45 信号線路
50 ブラケット
100 操作デバイス
101 操作つまみ
102 サムローラ
103 コンピュータマウス
104 ジョイスティック
105 ゲームパッド
106 マウスホイール
190 遮蔽リング
226 ラッチポイント
228 端部停止
229 端部停止
237 角度距離
238 停止モーメント
239 掛止モーメント
240 ベースモーメント
290 隙間
291 充填媒体
390 分離スリーブ
391 分離隙間
392 軸方向壁
404 ホルダ
412 支持点
415 アクスル部
416 直径
417 直径
418 支持点
425 アクスル部
435 アクスル部
448 摺動リングガイド
468 信号
469 振幅
474 ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f