(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20231206BHJP
A43B 7/14 20220101ALI20231206BHJP
A43B 7/1425 20220101ALI20231206BHJP
A43B 7/144 20220101ALI20231206BHJP
A43B 7/145 20220101ALI20231206BHJP
A43B 7/1435 20220101ALI20231206BHJP
A61F 5/14 20220101ALI20231206BHJP
【FI】
A43B17/00 E
A43B7/14 A
A43B7/1425
A43B7/144
A43B7/145
A43B7/1435
A61F5/14
(21)【出願番号】P 2022528444
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009637
(87)【国際公開番号】W WO2021246016
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2020098771
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520200687
【氏名又は名称】中沢 達
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】中沢 達
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-226042(JP,A)
【文献】特開2007-89833(JP,A)
【文献】特開2010-275(JP,A)
【文献】特開2012-5637(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192477(JP,U)
【文献】国際公開第2014/061110(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0118017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00- 23/30
A43C 1/00- 19/00
A43D 1/00-999/00
A61F 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略足形の中敷き本体と、
前記中敷き本体上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、
前記下側緩衝部上に配設され、足趾、母趾球及び小趾球の位置に相当する部分を支持する略U字状の上側緩衝部と、
前記中敷き本体上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、
を含んで成ることを特徴とする靴の中敷き。
【請求項2】
前記下側緩衝部と前記上側緩衝部とを積層した高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の靴の中敷き。
【請求項3】
前記上側緩衝部上に配設され、前記足趾を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の靴の中敷き。
【請求項4】
略足形の中敷き本体と、
前記中敷き本体上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、
前記中敷き本体上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、
を含んで成り、
前記中敷き本体が、
IP関節から母趾球の位置に相当する部分に形成される母趾孔と、
少なくとも示趾球、中趾球、及び環趾球の位置に相当する部分に形成されるMP関節孔と、
小趾球の位置に相当する部分に形成される小趾球孔と、
踵骨中央部の位置に相当する部分に形成される踵孔と、
を備えることを特徴とする靴の中敷き。
【請求項5】
前記下側緩衝部の上面の高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の靴の中敷き。
【請求項6】
前記下側緩衝部上に配設され、足趾を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の靴の中敷き。
【請求項7】
中底上面の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、
前記下側緩衝部上に配設され、足趾、母趾球及び小趾球の位置に相当する部分を支持する略U字状の上側緩衝部と、
前記中底上面の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、
を含んで成ることを特徴とする中敷き構造を備えた靴。
【請求項8】
前記下側緩衝部と前記上側緩衝部とを積層した高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の中敷き構造を備えた靴。
【請求項9】
前記上側緩衝部上に配設され、前記足趾の位置に相当する部分を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の中敷き構造を備えた靴。
【請求項10】
中底上面の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、
前記中底上面の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、
を含んで成り、
前記中底が、
IP関節から母趾球の位置に相当する部分に形成される母趾孔と、
少なくとも示趾球、中趾球、及び環趾球の位置に相当する部分に形成されるMP関節孔と、
小趾球の位置に相当する部分に形成される小趾球孔と、
踵骨中央部の位置に相当する部分に形成される踵孔と、
を備えることを特徴とする中敷き構造を備えた靴。
【請求項11】
前記下側緩衝部の上面の高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする請求項10に記載の中敷き構造を備えた靴。
【請求項12】
前記下側緩衝部上に配設され、足趾の位置に相当する部分を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の中敷き構造を備えた靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴に関し、特に、足のアーチ構造に係るアーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正、更には姿勢矯正に好適な靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
人の足には三つのアーチ構造、具体的には内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチが形成されている。これら三つのアーチ構造は歩行において大変重要な機能を有している。例えば、歩行時の衝撃を吸収するクッションの役割、次の一歩を踏み出す際のバネの役割、立位姿勢や歩行姿勢の安定性を保持する役割などを担っている。そして、アーチが低下するとこれらの機能が発揮されにくくなって歩行障害や関節障害、足裏の痛みを生じたり、外反母趾や扁平足、開張足などの足の障害につながったりするため、アーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正が非常に重要となる。
【0003】
そこで、足のアーチ構造を支持する構成を備えた靴の中敷きが種々開示されている(例えば、特許文献1から特許文献3参照。)。特許文献1に開示されたアーチ部を有する靴中敷きは、足底全体の輪郭を有し、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有する弾性または粘弾性パッドとよりなることを特徴とする。
【0004】
また、特許文献2に開示されたインソールは、全体として板状である可撓性材料からなり、足裏に対応した平面形状を有するインソール本体の上面に、(1)第2趾~第4趾の中足骨アーチ部に当接するように隆起した中央隆起部、(2)前記中央隆起部から外側縦アーチ方向へ連続的に延設され、外側縦アーチの下部を横断するように隆起した外側縦アーチ隆起部、(3)前記中央隆起部の内側先端から、第1中足骨と第2中足骨との間に沿ってこれらの中足骨骨頭部付近まで連続的に延設された第1-第2中足骨間隆起部、を一体的に形成した中足骨隆起を設けたことを特徴とする。
【0005】
更に、特許文献3に開示された靴の中敷きは、所定高さ厚みを備えると共に所定箇所に一定の段差を形成したベース部に、所定の突起部を形成して構成したものであって、ベース部が踵底面全体と対応する踵面部と、土踏まず部分が大きく抉れた細幅面部と、基節骨と対応する先面部とを備えた外形状で、細幅面部の内側から先面部後縁に至る内縁段差、及び先面部前縁に先端段差を形成し、突起部を、ベース部周縁における踵部の尾端、内外側、及び先部の内外側に設けたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-226042号公報
【文献】特開2010-275号公報
【文献】実用新案登録第3224343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された靴中敷きでは粘弾性部によって、また特許文献2に開示されたインソールでは隆起部によって、更に特許文献3に開示された靴の中敷きでは細幅面部や先面部、内縁段差、周壁などによって、足のアーチを支持する構成となっている。つまり、従来の中敷きにおいては、アーチを直接支持することによって、歩行姿勢の安定、歩行障害の緩和、アーチの回復、アーチ低下の予防などを図っている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る粘弾性部などでアーチを直接支持する構成では、アーチの動きが拘束されてしまうため、歩行時にアーチ構造の本来の機能、すなわち前述したクッション機能やバネ機能などを十分に発揮することが困難となる。
【0009】
また、アーチが直接支持されることによって歩行障害の緩和やアーチ低下の予防効果はある程度期待できる。しかし、足裏の感覚を頼りに、自ら立位姿勢や歩行姿勢を矯正する効果は得られにくいものと思料する。
【0010】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、足のアーチ構造に係るアーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正が図られるとともに、足裏の感覚を頼りにバランス感覚を維持する、或いはバランス感覚を高めて自ら立位姿勢や歩行姿勢を矯正する効果が得られる靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、請求項1に記載の発明は、略足形の中敷き本体と、前記中敷き本体上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、前記下側緩衝部上に配設され、足趾、母趾球及び小趾球の位置に相当する部分を支持する略U字状の上側緩衝部と、前記中敷き本体上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、を含んで成ることを特徴とする靴の中敷きである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記下側緩衝部と前記上側緩衝部とを積層した高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記上側緩衝部上に配設され、前記足趾を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、略足形の中敷き本体と、前記中敷き本体上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、前記中敷き本体上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、を含んで成り、前記中敷き本体が、IP関節から母趾球の位置に相当する部分に形成される母趾孔と、少なくとも示趾球、中趾球、及び環趾球の位置に相当する部分に形成されるMP関節孔と、小趾球の位置に相当する部分に形成される小趾球孔と、踵骨中央部の位置に相当する部分に形成される踵孔と、を備えることを特徴とする靴の中敷きである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記下側緩衝部の上面の高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の発明において、前記下側緩衝部上に配設され、足趾を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、中底上面の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、前記下側緩衝部上に配設され、足趾、母趾球及び小趾球の位置に相当する部分を支持する略U字状の上側緩衝部と、前記中底上面の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、を含んで成ることを特徴とする中敷き構造を備えた靴である。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記下側緩衝部と前記上側緩衝部とを積層した高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の発明において、前記上側緩衝部上に配設され、前記足趾の位置に相当する部分を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の発明は、中底上面の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部と、前記中底上面の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部と、を含んで成り、前記中底が、IP関節から母趾球の位置に相当する部分に形成される母趾孔と、少なくとも示趾球、中趾球、及び環趾球の位置に相当する部分に形成されるMP関節孔と、小趾球の位置に相当する部分に形成される小趾球孔と、踵骨中央部の位置に相当する部分に形成される踵孔と、を備えることを特徴とする中敷き構造を備えた靴である。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記下側緩衝部の上面の高さと、前記踵支持部の上面の高さが略同一に設定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載の発明において、前記下側緩衝部上に配設され、足趾の位置に相当する部分を支持する足趾支持部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴によると、足のアーチ構造に係るアーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正が図られる。特に、アーチを直接支持する構成ではなく、下側緩衝部や上側緩衝部が平面形状をなすため、足裏の感覚を頼りにバランス感覚を維持する、或いはバランス感覚を高めて自ら立位姿勢や歩行姿勢を矯正する効果が得られる。
【0024】
また、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴において、下側緩衝部と上側緩衝部とに段差を設けることによって、歩行時やつま先立ちの際に母趾球や小趾球より足裏側に出っ張ることとなる示趾球、中趾球、環趾球の部分を自然に支持することができ、長時間の歩行や立位姿勢でも足裏に痛みが生じにくく、歩行障害や関節障害などを抑制することができる。
【0025】
更に、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴において、下側緩衝部と上側緩衝部を積層した高さと、踵支持部の上面の高さが略同一に設定されることによって、アーチ低下の予防効果、バランス感覚の維持、姿勢矯正効果を更に高めることが可能となる。
【0026】
また、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴において、上側緩衝部上に、足趾の位置に相当する部分を支持する足趾支持部が配設されることによって、歩行時に足趾によって地面を蹴る感覚や立位姿勢の際に足趾で地面を掴む感覚がより得やすくなり、姿勢の安定性向上、足裏の疲労軽減が図られる。
【0027】
また、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴において、中敷き本体、或いは中底の所定の箇所に貫通孔(母趾孔、MP関節孔、小趾球孔、踵孔)を設けることによって、歩行時やつま先立ちの際に母趾球や小趾球より足裏側に出っ張ることとなる示趾球、中趾球、環趾球の部分が若干沈み込んで足裏前方部分を自然に支持することができ、長時間の歩行でも足裏に痛みが生じにくく、歩行障害や関節障害などを抑制することができる。また、立位姿勢においても、各趾球の位置及び踵の位置に相当する部分に形成された貫通孔に各趾球部分及び踵部分が若干沈み込むことによって足裏前方部分及び踵部分を平面的に支持することができるため、足裏の痛みの緩和、或いは痛みが生じにくくなる。
【0028】
また、運動時において、特に始動時や停止時には母趾に大きな負担が掛かるが、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴において、下側緩衝部と上側緩衝部を積層する、或いは中敷き本体、または中底に母趾孔を形成することによって、母趾への負担を大幅に軽減することができ、足裏の痛みの緩和、或いは痛みが生じにくくなる。
【0029】
更に、本発明に係る下側緩衝部と上側緩衝部とを積層した態様と比較して、本発明に係る中敷き本体、または中底の所定の箇所に貫通孔を形成した態様は、中敷き及び中敷き構造の厚みを薄くすることができる。
【0030】
また、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴に係る中敷き本体、または中底の所定の箇所に貫通孔を形成した態様において、下側緩衝部の上面の高さと、踵支持部の上面の高さが略同一に設定されることによって、アーチ低下の予防効果、バランス感覚の維持、姿勢矯正効果を更に高めることが可能となる。
【0031】
また、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴に係る中敷き本体、または中底の所定の箇所に貫通孔を形成した態様において、下側緩衝部上に、足趾の位置に相当する部分を支持する足趾支持部が配設されることによって、歩行時に足趾によって地面を蹴る感覚や立位姿勢の際に足趾で地面を掴む感覚がより得やすくなり、姿勢の安定性向上、足裏の疲労軽減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る靴の中敷きの平面図である。
【
図2A】
図1に示した靴の中敷きの右側面図である。
【
図3A】
図1に示した靴の中敷きに係る下側緩衝部の平面図である。
【
図3B】
図1に示した靴の中敷きに係る上側緩衝部の平面図である。
【
図4】
図1に示した靴の中敷きに足を置いた状態を示した平面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る靴の中敷きの平面図である。
【
図6A】
図5に示した靴の中敷きの右側面図である。
【
図7】
図5に示した靴の中敷きに足を置いた状態を示した平面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る靴の中敷きの平面図である。
【
図9】
図8に示した靴の中敷きに係る中敷き本体と足の位置関係を示した平面図である。
【
図10】
図8に示した靴の中敷き本体及び下側緩衝部と、足の位置関係を示した平面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係る靴の中敷きの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴について、まず下側緩衝部と上側緩衝部とを積層した態様(以下、「積層タイプ」という。)に係る靴の中敷きの実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係る靴の中敷き1(左足用)の平面図、
図2Aは
図1に示した本実施形態の靴の中敷き1の右側面図、
図2Bは
図1におけるA-A断面図、
図3Aは本実施形態の靴の中敷き1に係る下側緩衝部3の平面図、
図3Bは靴の中敷き1に係る上側緩衝部4の平面図、
図4は本実施形態の靴の中敷き1に足を置いた状態を示す平面図である。
【0034】
図1~
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る積層タイプの靴の中敷き1は、略足形の中敷き本体2と、中敷き本体2上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部3と、この下側緩衝部3上に配設され、足趾10、母趾球21及び小趾球25の位置に相当する部分を支持する略U字状の上側緩衝部4と、中敷き本体2上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部5と、を含んで成ることを特徴とする。
【0035】
本実施形態の靴の中敷き1に係る中敷き本体2上の前方に配設される下側緩衝部3は、
図3Aに示すような平面形状を成し、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分、すなわち足趾10、母趾球21、示趾球22、中趾球23、環趾球24及び小趾球25の部分を平面的に支持する。
【0036】
ここで、
図4に示すように、足裏にある母趾球21は、母趾11につながる第1中足骨骨頭部分に位置する膨らみ部分であり、小趾球25は、小趾15につながる第5中足骨骨頭部分に位置する膨らみ部分である。そこで、これらと同様に、足裏において、示趾12につながる第2中足骨骨頭部分を示趾球22、中趾13につながる第3中足骨骨頭部分を中趾球23、環趾14につながる第4中足骨骨頭部分を環趾球24とする。母趾球21や小趾球25と違って、示趾球22や中趾球23、環趾球24の部分に目立った膨らみ部分はないが、本願において、第2中足骨骨頭部分を示趾球22、第3中足骨骨頭部分を中趾球23、第4中足骨骨頭部分を環趾球24、と便宜上定義する。
【0037】
次に、本実施形態に係る下側緩衝部3上に配設される上側緩衝部4は、
図3Bに示すように平面視が略U字状をなし、足趾10、母趾球21及び小趾球25の位置に相当する部分を支持する。下側緩衝部3上に略U字状をなす上側緩衝部4を配設することによって、
図2及び
図4に示すように、足趾10、母趾球21及び小趾球25が位置することとなる部分は、下側緩衝部3と上側緩衝部4とが積層された状態となる。また、示趾球22、中趾球23及び環趾球24が位置することとなる部分は、下側緩衝部3が露出した状態となり、下側緩衝部3と上側緩衝部4とによって段差が形成される。
【0038】
そして、本実施形態に係る中敷き本体2上の後方に配設される踵支持部5は、踵の位置に相当する部分を支持する。なお、踵支持部5は、下側緩衝部3や上側緩衝部4と同様、平面状に形成されてもよいが、踵を安定支持するべく、踵の周囲を包み込むような肉厚部5aを備えていることが好ましい。
【0039】
以上の構成を備える本実施形態の積層タイプの靴の中敷き1によると、従来のようなアーチを直接支持する構成ではなく、下側緩衝部3及び上側緩衝部4が平面形状をなすため、足裏の感覚を頼りにバランス感覚を維持したり、バランス感覚を高めて自ら立位姿勢や歩行姿勢を矯正したりする効果が得られ、アーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正が図られる。
【0040】
また、本実施形態の靴の中敷き1において、下側緩衝部3上に略U字状をなす上側緩衝部4を配設することによって、足趾10、母趾球21及び小趾球25が位置することとなる部分は、下側緩衝部3と上側緩衝部4とが積層された状態となり、足趾10、母趾球21及び小趾球25が上側緩衝部4の上面によって直接、平面的に支持されるとともに、下側緩衝部3と上側緩衝部4との積層構造によって地面からの衝撃が吸収され、歩行時における足趾10、母趾球21及び小趾球25への衝撃が緩和されることとなる。
【0041】
更に、示趾球22、中趾球23及び環趾球24が位置することとなる部分は、下側緩衝部3が露出した状態となって、下側緩衝部3と上側緩衝部4とに段差が形成されるため、歩行時やつま先立ちの際に母趾球21や小趾球25より足裏側に出っ張ることとなる示趾球22、中趾球23、環趾球24の部分を自然に支持することができ、長時間の歩行や立位姿勢でも足裏に痛みが生じにくく、歩行障害や関節障害などを抑制することができる。
【0042】
また、運動時において、特に始動時や停止時には母趾に大きな負担が掛かるが、本実施形態の靴の中敷き1において、下側緩衝部3と上側緩衝部4とを積層することによって、母趾11及び母趾球21への負担を大幅に軽減することができ、足裏の痛みの緩和、或いは痛みが生じにくくなる。
【0043】
なお、本実施形態の靴の中敷き1において、下側緩衝部3、上側緩衝部4及び踵支持部5の高さ(厚み)は特に限定されるものではないが、
図2Bに示すように、下側緩衝部3と上側緩衝部4を積層した高さ(厚み)と、踵支持部5の上面5bの高さ(踵支持部5の厚み)が略同一に設定されていることがより好ましい。このように、下側緩衝部3と上側緩衝部4とを積層した高さと、踵支持部5の上面5bの高さが略同一に設定されることによって、アーチ低下の予防効果、バランス感覚の維持、姿勢矯正効果を更に高めることが可能となる。
【0044】
本発明の他の実施形態として、
図5~
図7に示した靴の中敷き1aは、基本的な構成は上述した実施形態に係る積層タイプの靴の中敷き1と同様、略足形の中敷き本体2と、中敷き本体2上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部3と、この下側緩衝部3上に配設され、足趾10、母趾球21及び小趾球25の位置に相当する部分を支持する略U字状の上側緩衝部4と、中敷き本体2上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部5と、を含んで成る。更に本実施形態の靴の中敷き1aにおいては、足趾10を支持する足趾支持部6が、上側緩衝部4上に配設されていることを特徴とする。
【0045】
本実施形態の靴の中敷き1aに係る足趾支持部6は、靴の中敷き1aの先端部分に配設されており、
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、足趾支持部6が最上段に配設され、その下側に上側緩衝部4、更にその下側に下側緩衝部3が配設されることによって、段差が形成されることとなる。従って、
図7に示すように、足趾10が足趾支持部6によって支持され、母趾球21及び小趾球25が上側緩衝部4で支持され、示趾球22、中趾球23及び環趾球24が下側緩衝部3によって支持されることとなる。
【0046】
以上のように、本実施形態の靴の中敷き1aによると、本発明の一実施形態に係る靴の中敷き1と同様の効果が得られるとともに、上側緩衝部4上に、足趾10を支持する足趾支持部6が配設されていることによって、歩行時に足趾10によって地面を蹴る感覚や立位姿勢の際に足趾10で地面を掴む感覚がより得やすくなり、姿勢の安定性向上、足裏の疲労軽減が図られる。
【0047】
次に、本発明の靴の中敷きの他の実施形態として、中敷き本体の所定の箇所に貫通孔を備える態様(以下、「有孔タイプ」という。)を
図8~
図10に示す。本実施形態に係る有孔タイプの靴の中敷き1bは、略足形の中敷き本体2aと、中敷き本体2a上の前方に配設され、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分を支持する下側緩衝部3と、中敷き本体2a上の後方に配設され、踵の位置に相当する部分を支持する踵支持部5とを含んで成る。そして、
図9に示すように、本実施形態の靴の中敷き1bに係る中敷き本体2aが、IP関節16から母趾球21の位置に相当する部分に形成される母趾孔31と、少なくとも示趾球22、中趾球23及び環趾球24の位置に相当する部分に形成されるMP関節孔32と、小趾球25の位置に相当する部分に形成される小趾球孔33と、踵骨中央部の位置に相当する部分に形成される踵孔34とを備えることを特徴とする。
【0048】
本実施形態の靴の中敷き1bに係る中敷き本体2a上の前方に配設される下側緩衝部3は平面形状を成し(
図3A参照)、つま先から中足骨骨頭部分の位置までに相当する部分、すなわち足趾10、母趾球21、示趾球22、中趾球23、環趾球24及び小趾球25の部分を支持する。
【0049】
また、本実施形態に係る中敷き本体2a上の後方に配設される踵支持部5は、踵の位置に相当する部分を支持する。なお、踵支持部5は、下側緩衝部3と同様、平面状に形成されてもよいが、踵を安定支持するべく、踵の周囲を包み込むような肉厚部を備えていてもよい。
【0050】
本実施形態に係る中敷き本体2a上の前方に下側緩衝部3が配設されることによって、足趾10、母趾球21、示趾球22、中趾球23、環趾球24及び小趾球25の部分が支持されるとともに、IP関節16から母趾球21の位置に母趾孔31が位置し、示趾球22、中趾球23及び環趾球24の位置にMP関節孔32が位置し、小趾球25の位置に小趾球孔33が位置することとなる(
図9参照)。
【0051】
また、本実施形態に係る中敷き本体2a上の後方に踵支持部5が配設されることによって、踵の位置に相当する部分が支持されるとともに、踵骨中央部の位置に踵孔34が位置することとなる。
【0052】
以上の構成を備える本実施形態に係る有孔タイプの靴の中敷き1bによると、従来のようなアーチを直接支持する構成ではなく、下側緩衝部3及び踵支持部5が平面形状をなすため、足裏の感覚を頼りにバランス感覚を維持したり、バランス感覚を高めて自ら立位姿勢や歩行姿勢を矯正したりする効果が得られ、アーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正が図られる。
【0053】
また、本実施形態の靴の中敷き1bにおいて、中敷き本体2a上に下側緩衝部3を配設することによって、足趾10、母趾球21、示趾球22、中趾球23、環趾球24及び小趾球25は、下側緩衝部3の上面によって直接支持されるとともに、下側緩衝部3によって地面からの衝撃が吸収され、歩行時における足趾10や母趾球21、小趾球25等への衝撃が緩和されることとなる。
【0054】
また、本実施形態の靴の中敷き1bにおいて、中敷き本体2aの所定の箇所に母趾孔31、MP関節孔32、小趾球孔33及び踵孔34を設けることによって、歩行時やつま先立ちの際に母趾球21や小趾球25より足裏側に出っ張ることとなる示趾球22、中趾球23及び環趾球24の部分をMP関節孔32内に沈み込ませることができる。従って、足趾10、母趾球21、示趾球22、中趾球23、環趾球24及び小趾球25をバランス良く支持することができるため、長時間の歩行でも足裏に痛みが生じにくく、歩行障害や関節障害などを抑制することができる。
【0055】
更に、立位姿勢においては、母趾球21が母趾孔31に、示趾球22、中趾球23及び環趾球24がMP関節孔32に、小趾球25が小趾球孔33に、踵部分が踵孔34にそれぞれ若干沈み込むことによって、足裏前方部分及び踵部分を安定的に支持することができるため、足裏の痛みの緩和、或いは痛みが生じにくくなる。
【0056】
また、運動時において、特に始動時や停止時には母趾11及び母趾球21に大きな負担が掛かるが、本実施形態の靴の中敷き1bにおいて、中敷き本体2aに母趾孔31を形成することによって、母趾11及び母趾球21への負担を大幅に軽減することができ、足裏の痛みの緩和、或いは痛みが生じにくくなる。
【0057】
また更に、積層タイプの実施形態に係る靴の中敷き1と比較して、本実施形態に係る有孔タイプの靴の中敷き1bは、厚みを薄くすることができる。
【0058】
なお、本実施形態に係る有孔タイプの靴の中敷き1bにおいても、下側緩衝部3及び踵支持部5の高さ(厚み)は特に限定されるものではないが、下側緩衝部3の上面の高さ(下側緩衝部3の厚み)と、踵支持部5の上面の高さ(踵支持部5の厚み)は略同一に設定されていることがより好ましい。このように、下側緩衝部3の上面の高さと、踵支持部5の上面の高さが略同一に設定されることによって、アーチ低下の予防効果、バランス感覚の維持、姿勢矯正効果を更に高めることが可能となる。
【0059】
本発明の有孔タイプの他の実施形態として、
図11に示した靴の中敷き1cは、基本的な構成は上述した実施形態に係る靴の中敷き1bと同様、略足形の中敷き本体2aの所定の位置に母趾孔31、MP関節孔32、小趾球孔33及び踵孔34が形成され、中敷き本体2a上の前方に下側緩衝部3が配設され、中敷き本体2a上の後方に踵支持部5が配設されている。そして、本実施形態の靴の中敷き1cにおいては、下側緩衝部3上に、足趾10を支持する足趾支持部6が配設されていることを特徴とする。
【0060】
本実施形態の靴の中敷き1cに係る足趾支持部6は、靴の中敷き1cの先端部分に配設されており、足趾支持部6が下側緩衝部3上に配設されることによって、段差が形成されることとなる。従って、足趾10が足趾支持部6によって平面的に支持され、母趾球21、示趾球22、中趾球23、環趾球24及び小趾球25が下側緩衝部3で支持されることとなる。
【0061】
以上のように、本実施形態の靴の中敷き1cによると、本発明の一実施形態に係る靴の中敷き1bと同様の効果が得られるとともに、下側緩衝部3上に、足趾10を支持する足趾支持部6が配設されていることによって、歩行時に足趾10によって地面を蹴る感覚や立位姿勢の際に足趾10で地面を掴む感覚がより得やすくなり、姿勢の安定性向上、足裏の疲労軽減が図られる。
【0062】
以上、本発明の靴の中敷きの種々の実施形態について詳述したが、上記の積層タイプの実施形態に係る靴の中敷き1、1aにおける下側緩衝部3、上側緩衝部4、踵支持部5及び足趾支持部6、また、上記の有孔タイプの実施形態に係る靴の中敷き1b、1cにおける下側緩衝部3、踵支持部5及び足趾支持部6は、何れも着脱自在に構成されてもよい。下側緩衝部3、上側緩衝部4、踵支持部5及び足趾支持部6を着脱自在に構成することによって、足の形状や状態、また使用者の好みに合わせて各部を厚みの異なるものに交換することができ、容易に調整することができる。
【0063】
なお、既存の平面的な靴の中敷きに、本実施形態に係る着脱自在の下側緩衝部3、上側緩衝部4、踵支持部5及び足趾支持部6を適宜配設することによって、本発明の靴の中敷き、特に積層タイプの靴の中敷きと同様の効果を得ることができる。
【0064】
その他、本発明の積層タイプの実施形態に係る靴の中敷き1において、中敷き本体2、下側緩衝部3、上側緩衝部4及び踵支持部5が一体成型された態様であってもよく、靴の中敷き1aにおいては、中敷き本体2、下側緩衝部3、上側緩衝部4、踵支持部5及び足趾支持部6が一体に成型された態様であってもよい。同様に、本発明の有孔タイプの実施形態に係る靴の中敷き1bでは中敷き本体2b、下側緩衝部3及び踵支持部5が一体成型された態様であってもよく、靴の中敷き1cでは、中敷き本体2b、下側緩衝部3、踵支持部5及び足趾支持部6が一体成型された態様であってもよい。
【0065】
次に、本発明の中敷き構造を備えた靴の実施形態であるが、積層タイプの中敷き構造を備えた靴は、靴の中底上面に、本発明の靴の中敷きに係る下側緩衝部、上側緩衝部及び踵支持部がそれぞれ配設されたものであり、有孔タイプの中敷き構造を備えた靴は、靴の中底に、母趾孔、MP関節孔、小趾球孔及び踵孔を形成するとともに、当該各孔が形成された靴の中底上に下側緩衝部及び踵支持部がそれぞれ配設されたものであって、本発明の靴の中敷きと略同様の構成を備える。なお、中底上面に配設される下側緩衝部、上側緩衝部及び踵支持部は着脱自在に構成されてもよい。
【0066】
また、積層タイプの中敷き構造を備えた靴の実施形態においては、中底と下側緩衝部、上側緩衝部及び踵支持部が一体に成型されてもよい。つまり、中底上面において、その前方に下側緩衝部と上側緩衝部が一体成型され、後方に踵支持部が一体成型された態様であってもよい。同様に、有孔タイプの中敷き構造を備えた靴の実施形態においても、母趾孔、MP関節孔、小趾球孔及び踵孔が形成された靴の中底上に、下側緩衝部及び踵支持部が一体成型された態様であってもよい。
【0067】
以上の構成を備える本発明の実施形態に係る積層タイプの中敷き構造を備えた靴によっても、従来のようなアーチを直接支持する構成ではなく、下側緩衝部や上側緩衝部が平面形状をなすため、足裏の感覚を頼りにバランス感覚を維持したり、バランス感覚を高めて自ら立位姿勢や歩行姿勢を矯正したりする効果が得られ、アーチ低下の予防、アーチの回復及び矯正が図られる。
【0068】
また、本発明の積層タイプの中敷き構造を備えた靴の実施形態においては、中底上面に配設される下側緩衝部と上側緩衝部を積層した高さ(厚み)と、踵支持部の上面の高さ(踵支持部の厚み)を略同一に設定することが好ましい。一方、本発明の有孔タイプの中敷き構造を備えた靴の実施形態においては、所定の位置に母趾孔等が形成された中底上面に配設される下側緩衝部の高さ(下側緩衝部の厚み)と、踵支持部の上面の高さ(踵支持部の厚み)を略同一に設定することが好ましい。これらの構成によって、アーチ低下の予防効果、バランス感覚の維持、姿勢矯正効果を更に高めることが可能となる。
【0069】
更に、本発明の中敷き構造を備えた靴の実施形態において、積層タイプ及び有孔タイプの何れの態様にも足趾を支持する足趾支持部が配設されてもよく、この足趾支持部は積層タイプであれば上側緩衝部、有孔タイプであれば下側緩衝部と一体成型された態様であってもよい。本発明の中敷き構造を備えた靴の実施形態において、足趾支持部が配設されることによって、歩行時に足趾によって地面を蹴る感覚や立位姿勢の際に足趾で地面を掴む感覚がより得やすくなり、姿勢の安定性向上、足裏の疲労軽減が図られる靴を提供することができる。
【0070】
以上、本発明の靴の中敷き、及び中敷き構造を備えた靴の実施形態について詳述したが、上記の実施形態は本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、各実施形態において図示した下側緩衝部3、上側緩衝部4、踵支持部5及び足趾支持部6の外形状は一例であり、特に下側緩衝部3、上側緩衝部4及び足趾支持部6に係るつま先部分の外形状ついては、使用者の足の形状(ギリシャ型、エジプト型、スクエア型など)に合わせて、適宜調整されることが好ましい。
【0071】
また、本発明の有孔タイプの靴の中敷きに係る中敷き本体、或いは有孔タイプの中敷き構造を備えた靴に係る中底に形成されるMP関節孔の大きさ(長さ)は特に限定されず、少なくとも示趾球、中趾球及び環趾球の位置に相当する部分にMP関節孔が形成されていればよいが、使用者の足の形状に容易に対応すべく、
図9に示したMP関節孔32のように、示趾球22、中趾球23及び環趾球24の位置に相当する部分から、第2中足骨26、第3中足骨27及び第4中足骨28の各中足骨中間位置に相当する部分に形成されてもよい。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0072】
1、1a、1b、1c:靴の中敷き
2、2a:中敷き本体
3:下側緩衝部
4:上側緩衝部
5:踵支持部
5a:肉厚部
5b:踵支持部の上面
6:足趾支持部
10:足趾
11:母趾
12:示趾
13:中趾
14:環趾
15:小趾
16:IP関節
21:母趾球
22:示趾球
23:中趾球
24:環趾球
25:小趾球
26:第2中足骨
27:第3中足骨
28:第4中足骨
31:母趾孔
32:MP関節孔
33:小趾球孔
34:踵孔