(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66F 7/02 20060101AFI20231206BHJP
A47C 17/84 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B66F7/02 F
A47C17/84
(21)【出願番号】P 2023114759
(22)【出願日】2023-07-12
【審査請求日】2023-07-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-249614(JP,A)
【文献】特開2020-138829(JP,A)
【文献】特開2002-219026(JP,A)
【文献】実開平02-088566(JP,U)
【文献】特開2014-198984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/00- 7/28,13/00-19/02
A47C 17/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の昇降ガイド部と、
荷物を搭載した状態で、前記昇降ガイド部に沿って昇降移動できる昇降床部と、
前記昇降床部の対向する端部のそれぞれに接続して、前記昇降床部を昇降移動させる一対のホイスト部と、を備え、
前記昇降ガイド部は、第1方向に所定間隔を隔てて配置されて、昇降方向に延びる少なくとも2本のガイドレールを有し、前記ガイドレールは、壁に固定され、前記昇降床部は、前記ガイドレールを転動する車輪部を有し
、
前記ガイドレールは、対向する一対のフランジを有し、
前記車輪部は、第1車輪と、前記第1車輪の下方に位置して前記第1車輪と同期して昇降移動する第2車輪と、を有し、
前記第1車輪は一対の前記フランジのうち一方に接した状態で転動するとともに、前記第2車輪は一対の前記フランジのうち他方に接した状態で転動することを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
少なくとも2本のガイドレールを転動する車輪部のそれぞれは、第1方向に延びる第1フレームを介して相互に接続し、対向して設けられる一対の前記第1フレームは、第1方向と直交する方向となる第2方向に延びる第2フレームを介して相互に接続することを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記ホイスト部は、前記第1フレームに所定間隔で取り付けられる一対のシーブと、天井に固定された状態でワイヤーを巻き取り・巻き戻しできるウインチとを有し、前記ワイヤーの端部は天井に固定され一対の前記シーブの下端を経由してウインチに収容されることを特徴とする請求項2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記シーブは、前記壁と、前記第1フレームとの間に配置されることを特徴とする請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
一対の前記フランジは、第1方向に沿った状態で対向することを特徴とする請求項
1に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記ガイドレールは、前記昇降床部の降下移動を制限する降下制限部が装着され、
前記昇降床部が下限位置に至るとき、前記昇降床部と前記降下制限部は、相互に嵌め込まれた状態となることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記ガイドレールは、前記昇降床部の上昇移動を制限する上昇制限部が装着され、
前記昇降床部が上限位置に至るとき、前記昇降床部と前記上昇制限部は、相互に嵌め込まれた状態となることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記昇降床部は、横臥できるベッド本体を有することを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を搭載できる昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市に立地する住宅や、シェルターにおいては狭小な空間に居住することを余儀なくされることが多く、空間を効率的に利用できる設備の需要が増加している。すなわち、空間のより効率的な利用に対する強いニーズが存在する。
【0003】
特許文献1は、一対の摺動レールを重心位置からオフセットして設けられてなるベッド本体と、摺動レールを上下動可能に保持するためのレールガイドと、ベッド本体の下端位置を決定するストッパーを備えてなる耐力柱と、ベッド本体の荷重を相殺すべくワイヤーおよびプーリーを介して接続されたウエイトとからなり、且つワイヤーの端部は重心位置と摺動レールの間の位置に係止される昇降ベッドである。また、ウエイトの重量は、ベッド本体と摺動レーの合計重量の8割~10割の重さに設定されている。本特許文献で開示される昇降ベッドは、簡単な構成で部品点数も少なく安価に提供でき、人力のみで数秒で昇降が可能で、さらにコンクリート製の住宅のみならず、木造住宅やネジ施工不可などの制限を受ける賃貸住宅にも設置可能となる。
【0004】
特許文献2は、複数本立設したガイドレールに沿ってベッド架台を昇降自在にする昇降ベッドであって、渦巻き状に巻回された鋼帯を内蔵し、この鋼帯の巻き出し長さに比例してばね定数が変化することにより常に一定のばね力を付勢することのできる定荷重ばねを備え、鋼帯の一端をベッド架台に連結してベッド架台の昇降にともなって鋼帯が巻き取り,巻き出しされるように構成したものである。本特許文献で開示される昇降ベッドは、昇降装置の構造が簡単で、かつ、安価に製造することができ、室内のスペースを有効に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3188239号公報
【文献】実開平5-37165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2で提案されている発明は、片持ち式の昇降ベッドであることから、ベッド本体の先端部のたわみが支持部の付け根部分と比べて大きくなり、快適な睡眠が阻害される可能性がある。また、片持ち部に大きな力が作用するため、強度の面で不安が残る。また、地震発生時に、ベッド本体は上下左右に大きく揺れることから、就寝者がベッド本体から振り落とされる可能性も否定できない。
【0007】
さらに、特許文献1で提案されている発明は、重量バランスをとるためのウエイトが一定の空間を占有するこという問題がある。大きな省スペース化は期待できない。また、特許文献2で提案されている発明は、左右各別に設けられた巻上機構の作動を同調させて昇降することがむつかしいという問題がある。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、簡単な設備であるにもかかわらず地震時の安定が確保できて、しかも円滑な昇降ができる昇降装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、昇降装置であって、対向する一対の昇降ガイド部と、荷物を搭載した状態で、昇降ガイド部に沿って昇降移動できる昇降床部と、昇降床部の対向する端部のそれぞれに接続して、昇降床部を昇降移動させる一対のホイスト部と、を備え、昇降ガイド部は、第1方向に所定間隔を隔てて配置されて、昇降方向に延びる少なくとも2本のガイドレールを有し、ガイドレールは、壁に固定され、昇降床部は、ガイドレールを転動する車輪部を有し、ガイドレールは、対向する一対のフランジを有し、車輪部は、第1車輪と、第1車輪の下方に位置して第1車輪と同期して昇降移動する第2車輪と、を有し、第1車輪は一方のフランジに接した状態で転動するとともに、第2車輪は他方のフランジに接した状態で転動することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、昇降装置は、対向する一対の昇降ガイド部と、荷物を搭載した状態で、昇降ガイド部に沿って昇降移動できる昇降床部を備えており、昇降ガイド部は、第1方向に所定間隔を隔てて配置されて、昇降方向に延びる少なくとも2本のガイドレールを有していることから、昇降床部は姿勢を維持した状態での昇降方向への昇降移動が可能となる。また、ガイドレールは、壁に固定されていることから、強度に優れ、特に地震時の耐久安定性を確保できる。
【0011】
好ましくは、少なくとも2本のガイドレールを転動する車輪部のそれぞれは、第1方向に延びる第1フレームを介して相互に接続し、対向して設けられる一対の前記第1フレームは、短手方向と直交する方向となる第2方向に延びる第2フレームを介して相互に接続する。
【0012】
この構成によれば、少なくとも2本のガイドレールを転動する車輪部のそれぞれは、第1方向に延びる第1フレームを介して相互に接続し、対向して設けられる一対の前記第1フレームは、短手方向と直交する方向となる第2方向に延びる第2フレームを介して相互に接続するので、車輪部は第1フレームおよび第2フレームを介して強固に連結できる。
【0013】
好ましくは、ホイスト部は、第1フレームに所定間隔で取り付けられる一対のシーブと、天井に固定された状態でワイヤーを巻き取り・巻き戻しできるウインチとを有し、ワイヤーの端部は天井に固定され一対のシーブの下端を経由してウインチに収容されることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ホイスト部は動滑車を構成するので、昇降床部を昇降移動するために必要なウインチの負荷を低減できる。
【0015】
好ましくは、シーブは、壁と、第1フレームとの間に配置されることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、シーブは壁と、第1フレームとの間に生じた隙間部分に配置されるので、設備の省スペース化を図りえる。
【0018】
好ましくは、一対のフランジは、第1方向に沿った状態で対向することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1車輪は第1方向に沿った一方のフランジを転動し、第2車輪は第1方向に沿った一方のフランジを転動するので、昇降床部の安定した姿勢を確保した状態で、昇降移動が可能となる。
【0020】
好ましくは、ガイドレールは、昇降床部の降下移動を制限する降下制限部が装着され、昇降床部が下限位置に至るとき、昇降床部と降下制限部は、相互に嵌め込まれた状態となることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、ガイドレールは、昇降床部の降下移動を制限する降下制限部が装着され、昇降床部が下限位置に至るとき、昇降床部と降下制限部は、相互に嵌め込まれた状態となるので、昇降床部は、下限位置で第1方向および第2方向の変位を強力に抑制される。
【0022】
好ましくは、ガイドレールは、昇降床部の上昇移動を制限する上昇制限部が装着され、昇降床部が上限位置に至るとき、昇降床部と上昇制限部は、相互に嵌め込まれた状態となることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、ガイドレールは、昇降床部の上昇移動を制限する上昇制限部が装着され、昇降床部が上限位置に至るとき、昇降床部と上昇制限部は、相互に嵌め込まれた状態となるので、昇降床部は、上限位置で第1方向および第2方向の変位を強力に抑制される。
【0024】
好ましくは、昇降床部は、横臥できるベッド本体を有することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、昇降床部は、横臥できるベッド本体を有するので、昇降装置を省スペース化が求められる居住空間や、シェルターの避難空間に設置可能なベッドとして有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】地下シェルターに設置された昇降装置の正面断面図である。
【
図4】第1車輪、第2車輪の配置を説明する部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、
図1~6を参照して本発明の昇降装置1の実施形態を詳述する。
【0028】
図1、2に示す通り、昇降装置1は、対向する一対の昇降ガイド部10、10、昇降ガイド部10に沿って昇降方向DLに昇降移動できる昇降床部20、および昇降ガイド部10の端部に接続する一対のホイスト部30、30を備えている。昇降ガイド部10,10は、対向して設けられる壁101a、101bに固定されている。昇降床部20は横臥できるベッド本体28を有している。ホイスト部30を動作したとき、昇降床部20は昇降ガイド部10に移動方向を誘導されて、昇降方向DLに昇降移動する。
【0029】
昇降装置1は、シェルター100の室内空間に設置されているが、これに限るものではない。住居に設置してもよい。また、シェルター100は一部または全部が地下120に設けられる、いわゆる地下シェルターであるが、地上に設けられるシェルターであってもよい。
【0030】
昇降ガイド部10は、昇降方向DLに延びる2本のガイドレール50、60で構成されている。2本のガイドレール50、60は、第1方向D1に所定間隔で配置されて、壁101aに固定されている。なお、ガイドレール50、60は対をなしており、一方のガイドレール50、60は壁101aに固定され、他方のガイドレール50、60は、壁101aに対向する壁101bに固定されている。本実施形態では、ガイドレールの本数を2本としているが、これに限定されるわけではない。複数本であればよく、3本以上であってもよい。
【0031】
ガイドレール50、60を後述するように転動する車輪部70a、70bは、第1方向D1に延びる第1フレーム21を介して相互に連結されている。第1フレーム21は対をなしており、対向して設けられている。一対の第1フレーム21、21は、第2方向D2に延びる第2フレーム22を介して接続している。第1フレーム21と第2フレーム22は剛結されており、梯子状をなしている。ここで、第1方向D1は壁101a、あるいは壁101bに沿う方向であり、第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向である。また、昇降方向DLは、第1方向D1および第2方向D2に直交する方向である。
【0032】
ベッド本体28は、着脱できる状態で第2フレーム22に固定されている。ベッド本体28の形状は、避難者が横臥して就寝できる大きさを確保することが好ましい。また、軽量であって、折りたたむことができることが好ましい。本実施形態では、避難者が第2方向D2に沿って横臥することを想定して、形状を決定しているが、これに限るものではない。避難者が第1方向D1に沿って横臥することを想定して形状を決定してもよい。また、対向する壁101a、101bの間隔が広い場合は、2人以上が列状に横臥できる形状としてもよい。
【0033】
ベッド本体28は、下限位置で水平姿勢が維持できることが好ましい。これにより、ベッド本体28に横臥することで、快適な睡眠が確保し得る。
【0034】
ベッド本体28の下方に、搭載すべき荷物(図示せず)が収容できる収容部29が設けられている。収容部29は、昇降床部20が下限位置に至るとき、床103に接触しない高さであるとともに、昇降床部20が上限位置に至るとき、昇降床部20の直下を歩行できる高さとすることが好ましい。なお、荷物はベッド本体28に搭載してもよい。この場合、昇降床部20が上限位置に至るとき、荷物は、天井102に接触しない形状とすることが好ましい。
【0035】
ホイスト部30は、一対のシーブ31、31、およびワイヤー33を巻き取り・巻き戻しできるウインチ32を有している。シーブ31は、軸心を中心として回動できる円盤形状の部材であり、軸心は所定間隔で第2フレーム22に固定されている。シーブ31は壁101aと第2フレーム22の間に生じる隙間に配置されている。
【0036】
ウインチ32は天井102に固定されている。ワイヤー33の一端は天井102に固定され、一対のシーブ31、31の下端を経由してウインチ32に収納されている。すなわち、シーブ31とウインチ32で動滑車を構成している。ウインチ32を動作してワイヤー33を巻き取ると、シーブ31は回動を伴って上昇移動する。シーブ31を回動可能に固定する昇降床部20はシーブ31と同期して昇降移動する。また、移動方向は、昇降ガイド部10によって昇降方向DLに制限される。
【0037】
図3、4に示す通り、ガイドレール50、60は、壁101a、101bに固定されており、昇降方向DLに沿って延びている。ガイドレール50は、断面視が溝形形状の部材であり、対向する第1フランジ51、第2フランジ52を有している。第1フランジ51と第2フランジ52はウェブ53を介して接続している。第2フランジ52は、壁101aに固定されている。ガイドレール60、およびガイドレール60を構成する第1フランジ61、第2フランジ62、ウェブ63は、ガイドレール50、第1フランジ51、第2フランジ52、およびウェブ53とほぼ同じ構成であることから説明は省略する。
【0038】
ガイドレール50を転動する車輪部70aは、第1車輪71aと、第2車輪72aを有している。第1車輪71a、および第2車輪72aは第1フレーム21に固定されており、回動軸周りに回動できる構造である。第1車輪71aは第1フランジ51を転動し、また、第1車輪71aの下方に位置する第2車輪72aは、第2フランジ52を転動する。
【0039】
ガイドレール60を転動する車輪部70bは、第1車輪71bと、第2車輪72bを有している。第1車輪71b、および第2車輪72bは第1フレーム21に固定されており、それぞれの回動軸周りに回動できる構造である。第1車輪71bは第1フランジ61を転動し、また、第1車輪71bの下方に位置する第2車輪72bは、第2フランジ62を転動する。
【0040】
第1フレーム21が、第1車輪71a、71b、および第2車輪72a、72bを接続するとともに、対向する第1フレーム21、21が第2フレーム22を介して接続することで、昇降床部20が昇降移動するときの姿勢を安定させることができる。
【0041】
昇降床部20が姿勢を維持した状態で昇降方向DLに昇降移動するメカニズムについて
図3、4を参照して説明する。
【0042】
昇降床部20が、壁101aから壁101bの方向に変位しようとするとき、第1車輪71a、71bは第1フランジ51、61に押し付けられた状態となるとともに、第2車輪72a、72bは第2フランジ52、62に押し付けられた状態となり、昇降床部20に、壁101bから壁101aの方向に変位しようとする力が作用する。これにより、昇降床部20は当初の位置に戻ろうとする。
【0043】
昇降床部20が、壁101bから壁101aの方向に変位しようとするときも同様に、昇降床部20に、壁101aから壁101bの方向に変位しようとする力が作用する。これにより、昇降床部20は当初の位置に戻ろうとする。
【0044】
図5に示す通り、ガイドレール50の下端部に降下制限部15aが装着されている。同様に、ガイドレール60の下端部に降下制限部15bが装着されている。降下制限部15aはガイドレール50の第1フランジ51から対向する壁101bの方向に向かって突出している。降下制限部15bはガイドレール60の第1フランジ61から対向する壁101bの方向に向かって突出している。降下制限部15a、15bに、凸部16a、16bが設けられている。凸部16a、16bの床103からの高さは、同じとなるように設定されている。
【0045】
第1フレーム21の下端部に凸部16a、16bに対応する凹部77a、77bが設けられる当接部76a、76bが装着されている。降下制限部15a、15bと当接部76a、76bが当接することで昇降床部20の降下移動が制限されて、昇降移動部は下限位置に至る。同時に、凸部16a、16bと凹部77a、77bは緩く嵌合する。これにより、昇降床部20の第1方向D1、第2方向D2の移動は制限される。
【0046】
例えば、地震発生後にシェルターに避難した場合、余震が発生する可能性が高く、余震に起因して昇降床部20が揺れる、あるいは破損するなどの事態が想定されるが、凸部16a、16bと凹部77a、77bを緩く嵌合させておくことで、かかる事態を回避できる。これにより、避難者は安心してベッド本体28で睡眠できる。
【0047】
図6に示す通り、ガイドレール50の上端部に上昇制限部17aが装着されている。同様に、ガイドレール60の上端部に上昇制限部17bが装着されている。上昇制限部17a、17bは下降制限部の構造とほぼ同じであることから説明は省略する。
【0048】
第2フレーム22の両端部に凸部18a、18bに対応する凹部79a、79bが設けられる当接部78a、78bが装着されている。上昇制限部17a、17bと当接部78a、78bが当接することで昇降床部20の上昇移動が制限されて、昇降移動部は上限位置に至る。同時に、凸部18a、18bと凹部79a、79bは緩く嵌合する。これにより、昇降床部20の第1方向D1、第2方向D2の移動は制限される。
【0049】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、
図7に示す通り、ホイスト部230は壁201に固定される固定シーブ231を取り付けてもよい。この場合、昇降床部20を昇降させるために必要な力は、本実施形態のホイスト部30と比較して半減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る昇降装置は、上述の通り、シェルターに設けられる昇降式のベッドとしても適用できるほか、工場における荷揚げ、荷下ろし作業や、住居の床を昇降して高さを変える設備としての利用も可能である。このように、用途適用範囲が広いことから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0051】
1 :昇降装置
10 :昇降ガイド部
15a、15b :降下制限部
16a、16b :上昇制限部
20 :昇降床部
21 :第1フレーム
22 :第2フレーム
28 :ベッド本体
30 :ガイドレール部30
31 :シーブ
32 :ウインチ
33 :ワイヤー
50、60 :ガイドレール
51,61 :第1フランジ
52,62 :第2フランジ
70a、70b :車輪部
71a、71b :第1車輪
72a、72b :第2車輪
101a、101b :壁
102 :天井
103 :床
D1 :第1方向
D2 :第2方向
DL :昇降方向
【要約】
【課題】簡単な設備であるにもかかわらず地震時の安定が確保できて、しかも円滑な昇降ができる昇降装置を提供する。
【解決手段】昇降装置1は、対向する一対の昇降ガイド部、昇降ガイド部に沿って昇降方向DLに昇降移動できる昇降床部20、および昇降ガイド部の端部に接続する一対のホイスト部30、30を備えている。昇降ガイド部は、対向して設けられる壁101a、101bに固定されている。昇降床部20は横臥できるベッド本体28を有している。ホイスト部30を動作したとき、昇降床部20は昇降ガイド部に移動方向を誘導されて、昇降方向DLに昇降移動する。
【選択図】
図1