(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】把持アーム
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
(21)【出願番号】P 2023117964
(22)【出願日】2023-07-20
【審査請求日】2023-07-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597009703
【氏名又は名称】北日本通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伊織
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/032672(WO,A1)
【文献】特開2013-158408(JP,A)
【文献】特開2016-140372(JP,A)
【文献】特開2010-188007(JP,A)
【文献】特開2011-015946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム本体部と、該アーム本体部の先端部に対して着脱可能な爪部材とを備え、景品取得装置に取り付けられて景品を把持するために用いられる把持アームであって、
前記爪部材は、基端部にガイド溝を有するとともに、該ガイド溝に連通する挿通孔が開設されており、
前記アーム本体部の先端部には、前記爪部材を所定位置に取り付けた場合に前記挿通孔と整合する位置に軸孔が開設されているとともに、該軸孔に挿通される固定部材が設けられており、
前記固定部材は、前記爪部材の前記ガイド溝にガイドされながら該爪部材を前記所定位置に案内可能な軸部と、該軸部における前記アーム本体部の該爪部材の取付側の先端部に設けられ、該爪部材を該所定位置に取り付けた状態で該爪部材を該アーム本体部に対して押圧するための押圧部と、該アーム本体部の該爪部材の取付側とは反対側に設けられ、該軸部が前記軸孔から抜脱するのを防止する抜止部と、該押圧部が該アーム本体部に対して押圧する方向に付勢する付勢手段とを備えていることを特徴とする把持アーム。
【請求項2】
前記固定部材が可動可能な第一の状態と、前記押圧部により前記爪部材を前記アーム本体部に対して押圧した状態で前記固定部材を保持する第二の状態とに変位可能な保持部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の把持アーム。
【請求項3】
前記保持部材は、前記アーム本体部の前記爪部材の取付側とは反対側において、前記固定部材の軸方向とは交差する方向に、第一の位置と第二の位置との間でスライド可能に設けられており、
前記保持部材が前記第一の位置では、該保持部材が前記固定部材の軸方向の動きに干渉しない状態とされることで前記第一の状態となり、該保持部材が前記第二の位置では、該固定部材の軸方向の動きを規制することで前記第二の状態となることを特徴とする請求項2に記載の把持アーム。
【請求項4】
前記保持部材が前記第二の位置になると該保持部材のスライド方向における該保持部材の後端近傍に進出し、該第二の位置にある該保持部材を所定の押圧力を加えて前記第一の位置にスライドさせることで後退可能に構成された係合突部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の把持アーム。
【請求項5】
前記固定部材
の可動範囲を規制する規制手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の把持アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持アームに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム機に代表される景品取得ゲーム装置は、筐体内部に形成されたプレイフィールド内に多数の景品が載置されて使用されるものである。遊戯者は、レバーやボタン等の操作手段を用いて把持アームを有する景品取得装置をプレイフィールド内で移動させることができる。そして、遊戯者は、所望とする景品が載置されている位置まで景品取得装置を移動させた後、把持アームでこの景品を把持させ、その状態で、景品排出口まで揚送することにより、景品を獲得することができる。
【0003】
このような景品取得ゲーム装置で使用される景品取得装置の把持アームには先端部に爪部材が着脱可能に取り付けられており、プレイフィールド内に載置される景品の種類に応じて、オペレータによって適切な形態の爪部材を選択して使用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の把持アームは、爪部材をネジ止めにて把持アームに取り付けられる構成であるため、爪部材の交換作業負担が大きく、また、ネジを緩めた際に爪部材が落下し、爪部材を紛失してしまうおそれもある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、爪部材の交換作業を簡便にすることにより作業負担を軽減することができる把持アームを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、アーム本体部と、該アーム本体部の先端部に対して着脱可能な爪部材とを備え、景品取得装置に取り付けられて景品を把持するために用いられる把持アームであって、
前記爪部材は、基端部にガイド溝を有するとともに、該ガイド溝に連通する挿通孔が開設されており、
前記アーム本体部の先端部には、前記爪部材を所定位置に取り付けた場合に前記挿通孔と整合する位置に軸孔が開設されているとともに、該軸孔に挿通される固定部材が設けられており、
前記固定部材は、前記爪部材の前記ガイド溝にガイドされながら該爪部材を前記所定位置に案内可能な軸部と、該軸部における前記アーム本体部の該爪部材の取付側の先端部に設けられ、該爪部材を該所定位置に取り付けた状態で該爪部材を該アーム本体部に対して押圧するための押圧部と、該アーム本体部の該爪部材の取付側とは反対側に設けられ、該軸部が前記軸孔から抜脱するのを防止する抜止部と、該押圧部が該アーム本体部に対して押圧する方向に付勢する付勢手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の把持アームにおいて、
前記固定部材が可動可能な第一の状態と、前記押圧部により前記爪部材を前記アーム本体部に対して押圧した状態で前記固定部材を保持する第二の状態とに変位可能な保持部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の把持アームにおいて、
前記保持部材は、前記アーム本体部の前記爪部材の取付側とは反対側において、前記固定部材の軸方向とは交差する方向に、第一の位置と第二の位置との間でスライド可能に設けられており、
前記保持部材が前記第一の位置では、該保持部材が前記固定部材の軸方向の動きに干渉しない状態とされることで前記第一の状態となり、該保持部材が前記第二の位置では、該固定部材の軸方向の動きを規制することで前記第二の状態となることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の把持アームにおいて、
前記保持部材が前記第二の位置になると該保持部材のスライド方向における該保持部材の後端近傍に進出し、該第二の位置にある該保持部材を所定の押圧力を加えて前記第一の位置にスライドさせることで後退可能に構成された係合突部を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の把持アームにおいて、
前記固定部材の可動範囲を規制する規制手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、爪部材の交換作業を簡便にすることにより作業負担を軽減することができる把持アームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態におけるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す把持装置に取付可能な把持アームであって、(A)は、その右側面図であり、(B)は、その平面図である。
【
図3】
図1に示す把持装置に取付可能な把持アームであって、(A)は、その正面図であり、(B)は、その背面図である。
【
図4】
図1に示す把持装置に取付可能な把持アームであって、(A)は、その底面図であり、(B)は、その斜視図である。
【
図7】爪部材をアーム本体部から取り外す要領について説明する側断面部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る景品取得ゲーム装置(例えば、クレーンゲーム機)について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
まず、
図1を用いて、本発明に適用することができる景品取得ゲーム装置の一例としてのクレーンゲーム機100の全体構成について説明する。
図1の説明において、左右、前後、上下とは、クレーンゲーム機100の遊戯者が正面側から見た状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0016】
クレーンゲーム機100は、例えば、縦長の直方体形状によって形成されており、底面にキャスタCが適宜数取り付けられている。したがって、ゲームセンター等の遊戯場のスタッフがクレーンゲーム機100を押動することにより容易に搬送することができるようになっている。
【0017】
クレーンゲーム機100は、箱状の基台1と、基台1の上方に形成されたプレイフィールド2と、プレイフィールド2の上方を覆う天井部3とを備えて構成されている。
【0018】
基台1には、例えば、クレーンゲーム機100の全体制御を行う制御部を有する制御基板等が収容されており、基台1の前面の右側に設けられた開閉扉1aを開放することにより、内部にアクセスすることができるようになっている。また、基台1の前面中央下部には、後述するコインセレクタ84a,84bによって受け付けられた硬貨やコインを回収するための集金扉1bが開閉可能に設けられている。
【0019】
プレイフィールド2は、多数の景品Pが載置される底部2aを有するとともに、前面板2b、左側面板2c、右側面板2d、背面板2e及び上述した天井部3により閉塞された内部空間が形成されている。そして、前面板2b、左側面板2c及び右側面板2dは、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、内部空間が視認できるようになっている。なお、前面板2bは、例えば、スライドドアによって構成されており、スライドドアを開放することで、プレイフィールド2内にアクセスできるようになっている。
【0020】
プレイフィールド2の底部2aの左前隅部には、方形状に開口された景品排出口4が設けられており、景品Pを下方に排出することができるようになっている。景品排出口4から排出された景品Pは、景品取出室6まで落下し、基台1の前面の左側に設けられた扉体7を開放することにより、景品取出室6にある景品Pを取り出すことができるようになっている。ここで、扉体7は、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、扉体7を介して内部を視認することができるようになっている。また、底部2aには、景品排出口4の右側端部及び後側端部を囲うように仕切板5が立設されており、底部2aに載置され、あるいは、積み上げられた景品Pが景品排出口4から落下するのを抑制している。
【0021】
プレイフィールド2の上方には、景品取得装置として機能する把持装置200が設けられ、固定ロッド200a及び伸縮ロッド200bによって垂下されている。天井部3には、図示しないが、2本の縦行用レールがそれぞれ左右両端近傍に前後方向に延びて平行に設けられるとともに、1本の横行用レールが2本の縦行用レールに架設されている。横行用レールは、縦行用モータにより縦行用レールの延在方向に沿って移動可能に構成されている。この横行用レールには、伸縮ロッド200bを固定ロッド200aに対して伸縮可能な伸縮装置が横行用モータにより横行用レールの延在方向に沿って左右方向に移動可能に設けられている。また、伸縮装置は、伸縮ロッド200bの伸縮動作を行うことにより、伸縮ロッド200bの先端に取り付けられた把持装置200を上下方向に変位させることができる。
【0022】
把持装置200は、伸縮ロッド200bが取り付けられる本体部200Aと、本体部200Aに支持された1又は複数本の把持アーム203とを備えて構成されている。把持アーム203は、本体部200Aに備えられたモータ等のアクチュエータにより開閉可能に取り付けられており、景品Pを把持可能とされている。なお、把持アーム203の具体的構成については後述する。
【0023】
一方、基台1の前面中央には、操作部8が設けられており、箱型形状をなしている。操作部8は、その上面に、操作レバー81、操作ボタン82及び表示部83が配置されている。操作レバー81及び操作ボタン82は、遊戯者により操作が可能となっており、表示部83には、例えば、遊戯可能残り回数や遊戯残り時間等が表示される。遊戯者は、操作レバー81を操作することにより把持装置200をプレイフィールド2内の任意の位置に移動させ、操作ボタン82を操作することにより、把持装置200を下降させるとともに、把持動作を行わせることができる。把持装置200は、把持動作が終了すると上昇し、把持アーム203を閉状態に維持させながら景品排出口4の上方に移動し、把持アーム203を開状態に変化させる。このとき、景品Pが把持装置200により把持されていた場合には、景品排出口4に向けて景品Pが落下して景品取出室6に案内され、その結果、遊戯者は、景品取出室6から景品Pを取り出すことができる。
【0024】
また、操作部8の前面には、2つのコインセレクタ84a,84bが並設されており、それぞれ受付可能な硬貨やメダルの種類が異なっている。本実施形態では、例えば、コインセレクタ84aは、100円硬貨のみ受付可能に構成されており、コインセレクタ84bは、500円硬貨のみ受付可能に構成されているが、これに限定されない。コインセレクタ84a,84bにより受け付けられた硬貨やメダルは、例えば、基台1の下部の回収箱に集められ、遊戯場の管理者が開錠操作して集金扉1bを開放させることにより、回収することができるようになっている。また、操作部8の前面は開閉可能に構成されており、例えば、遊戯場の管理者が開錠操作して操作部8の前面を開放させることにより、操作部8のメンテナンス等を行うことができるようになっている。また、コインセレクタ84a,84bに換えて、あるいは、コインセレクタ84a,84bに加えて、ICカードあるいは二次元コードから決済情報を読取可能なリーダライタ装置を設け、当該リーダライタ装置により読み取った決済情報に基づいて、クレジットの受付を可能に構成されてもよい。
【0025】
次に、把持装置200に設けられる把持アーム203の構成について、
図2~
図6を参照しながら説明する。なお、
図2以降の説明において、上下、左右、中心側、外側とは、把持装置200の中心軸から見た状態を基準とした上下、左右、中心側、外側を意味する。
【0026】
図2~
図6に示すように、把持アーム203は、側面視略L字状に形成されたアーム本体部203bと、アーム本体部203bの先端に着脱可能に取り付けられて略く字状に折り曲げ形成された金属製の爪部材203aとを備えて構成されている。アーム本体部203bの基端部には、把持装置200に取り付けるためのアーム取付部203cが形成されており、アーム取付部203cが把持装置200に取り付けられることにより、把持装置200の駆動によって、把持アーム203が開閉動作し、景品Pを把持することができるようになっている。
【0027】
図3(A)に示すように、アーム本体部203bの中心側面(爪部材203aの取付側面)には、その下部に段差が設けられており、この段差に爪部材203aが取付可能な爪設置部2101が形成されている。この段差の高さ寸法は、爪部材203aの厚みと略同じとされている。また、アーム本体部203bにおける爪設置部2101の段差部分中央において、爪設置部2101の中央上端から下方に突出するように位置決め突部2102が一体に形成されており、後述する爪部材203aのガイド溝2201に嵌合し、爪部材203aの位置決め手段として機能している。また、爪設置部2101の中央よりもやや下方に円柱状の位置決めボス2103が中心側に向けて突設されており、後述する爪部材203aの位置決め孔2203に嵌合し、位置決め突部2102とともに爪部材203aの位置決め手段として機能している。なお、位置決め突部2102と位置決めボス2103の形状は上述したものに限定されず、適宜の形状を採用してもよい。
【0028】
また、位置決め突部2102の下方には、軸孔2112(
図5参照)が開設されており、
図3(B)に示す固定部材2104の軸部2104aが挿通されている。固定部材2104は、把持アーム203の中心側(爪部材203aの取付側)端部には平ネジ頭状の押圧部2104bが軸部2104aと一体に設けられており、外側端部にはナット状の抜止部材2104cが取り付けられている。押圧部2104bの直径及び抜止部材2104cの直径は、それぞれ軸孔2112よりも大きくされており、固定部材2104が抜脱するのを防止する機能を有している。なお、固定部材2104は、上述したような構成に限らず、軸孔2112に挿通可能な軸部2104aを有するとともに軸孔2112から抜脱するのを防止する機能を有する構成であればいずれのものも採用することができる。
【0029】
固定部材2104には、抜止部材2104bに隣接して断面視コ字状の規制部材2105が軸部2104aに挿通して設けられており、軸部2104aの可動範囲を規制している。すなわち、規制部材2105は、押圧部2104bの中心側方向への突出量を規制する機能を有しているということができる。また、アーム本体部203bと抜止部材2104cとの間には、弾性部材として機能するスプリングバネ2104dが軸部2104aに巻回されており、押圧部2104bがアーム本体部203b(すなわち、爪設置部2101)に対して押圧する方向に軸部2104aが付勢するように設けられている。
【0030】
固定部材2104は、上述したように構成されているため、抜止部材2104cを押圧することにより、規制部材2105がアーム本体部203bに当接する位置を限度として、スプリングバネ2104dの付勢力に抗して軸部2104aが変位可能とされている。その結果、押圧部2104bが突出し、アーム本体部203bに取り付けられた爪部材203aに対する押圧力を解除することができるようになっている。
【0031】
また、
図5に示すように、アーム本体部203bの外側(爪部材203aの取付側面とは反対側)には、断面視コ字状に刳り抜かれたハウジング203dが形成されており、固定部材2104の他端側がこのハウジング203d内に配置されている。ハウジング203dの両側壁面には、規制部材2105の移動を案内する案内溝2105aが形成されており、また、
図3(B)に示すように、固定部材2104の配置位置の上方には、後述するスライダ2106を案内するための案内部2108が内側に向けて突設されている。
【0032】
また、固定部材2104の上方には、スライダ2106が配置されており、上端近傍に突設されたレバー部2107を操作することで、案内部2108に案内されながら上下方向にスライドさせることができるようになっている。スライダ2106は、略中央下方が方形状に切り欠かれた切欠部2109が形成されているとともに、その両側が脚部2110として構成されており、スライダ2106を下方にスライドさせた際に、切欠部2109が固定部材2104の軸部2104aに入り込むことで、スライダ2106と固定部材2104とが干渉しないようにされている。また、脚部2110は、その下端部と上端近傍とがそれぞれ上方から下方にかけて傾斜する一方で、規制部材2105の脚部が下方から上方に向けて傾斜しており、スライダ2106の脚部2110と規制部材2105との当接面が形成されている。
【0033】
図5に示すように、アーム本体部203bには、係合突部として機能するボールプランジャ2111が埋設されており、ケーシング2111a内に球状の先端部2111bと先端部2111bを付勢するバネ部材2111cとが収容されている。スライダ2106が上方に位置する状態では、先端部2111bがスライダ2106の底面に押圧され、バネ部材2111cの付勢力に抗してケーシング2111a内に収容され、スライダ2106が下方に移動してボールプランジャ2111が露出した状態となると、バネ部材2111cの付勢力により先端部2111bが突出してスライダ2106の上端と係合可能となる。本実施形態では、上述したように構成されているので、スライダ2106が下方に移動してボールプランジャ2111の先端部2111bと係合している状態でスライダ2106を上方に移動させようとする場合に、所定の抵抗力が付与されるので、スライダ2106が不用意に上方に移動することを抑制することができる。
【0034】
爪部材203aは、
図3(A)に示すように、上方が略台形状とされるとともに、下方が把持装置200の中心側に略25度折り曲げられ、下端部が半円状とされている。また、爪部材203aの上端中央には、アーム本体部203bに設けられた固定部材2104の軸部2104aを挿通させてガイドするとともに、アーム本体部203bに形成された位置決め突部2102に嵌合するガイド溝2201が形成されている。また、
図5に示すように、ガイド溝2201の下端には、爪部材203aが爪設置部2101に設置された際にアーム本体部203bの軸孔2112が整合する挿通孔2202が設けられている。挿通孔2202は、上面が固定部材2104の押圧部2104bの形状に沿ってすり鉢状をなしている。挿通孔2202の下方には、アーム本体部203bに設けられた位置決めボス2103が嵌合する位置決め孔2203が設けられている。
【0035】
爪部材203aは、上述したようにして構成されているので、アーム本体203bに対して着脱自在とされており、遊戯に用いる景品Pの大きさや形状に応じて適宜のものに容易に交換することができるようになっている。
【0036】
本実施形態では、上述したようにして構成されているので、スライダ2106が下方の位置にある場合には、スライダ2106の脚部2110が規制部材2105の脚部と面接触して係合され、固定部材2104の移動が抑止される。これにより、爪部材203aが固定部材2104の押圧部2104bによってアーム本体部203bに対して押圧され、爪部材203aがアーム本体部203bより不用意に外れてしまうのを抑制することができる。
【0037】
また、爪部材203aのガイド溝2201と位置決め孔2203が、それぞれアーム本体部203bの位置決め突部2102と位置決めボス2103に嵌合されて取り付けられるので、爪部材203aのぐらつきを防止し、しっかりとアーム本体部203bに対して固定することができるようになっている。
【0038】
以上のようにして構成された把持アーム203における爪部材203aのアーム本体部203bに対する取り付け及び取り外しの要領について、
図7を参照しながら説明する。なお、
図7(a)に示す状態では、スライダ2106の脚部2110と規制部材2105の脚部とが係合しており、固定部材2104が変位できないようになっている。
【0039】
先ず、アーム本体部203bから爪部材203aを取り外す場合には、
図7(a)に示すように、レバー部2107を上方に向けて所定の押圧力で押圧すると、スライダ2106の後端に係合しているボールプランジャ2111の先端部2111bがバネ部材2111cの付勢力に抗して先端部2111bがケーシング2111a内に没入し、スライダ2106の上方への移動が可能となり、スライダ2106を上端位置まで移動させることができる。
【0040】
すると、
図7(b)に示すように、スライダ2106の脚部2110と規制部材2105の脚部との係合が解除され、固定部材2104が変位可能な状態となる。
図7(b)に示す状態では、固定部材2104のスプリングバネ2104の付勢力により爪部材203aが押圧部2104bにより押圧された状態が維持され、爪部部材203aがアーム本体部203bから分離するのを抑制している。
【0041】
その後、
図7(c)に示すように、固定部材2104の抜止部材2104cを押圧すると、スプリングバネ2104dの付勢力に抗して固定部材2104が把持装置200の中心側に向けて移動し、押圧部2104bの爪部材203aに対する押圧力が解除される。この状態で、爪部材203aをアーム本体部203bから引き離しながら下方に引き抜くと、固定部材2104の軸部2104aが爪部材203aのガイド溝2201に沿って引き抜く方向に案内され、爪部材203aがアーム本体部203bから分離させることができる。
【0042】
一方、爪部材203aをアーム本体部203bに取り付ける場合は、上述した爪部材203aの取り外し手順と逆の手順により、容易に爪部材203aをアーム本体部203bに取り付けることができるようになっている。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の把持アーム203は、アーム本体部203bと、アーム本体部203bの先端部に対して着脱可能な爪部材203aとを備え、景品取得装置200に取り付けられて景品を把持するために用いられる。爪部材203aは、基端部にガイド溝2201を有するとともに、ガイド溝2201に連通する挿通孔2202が開設されている。アーム本体部203bの先端部には、爪部材203aを所定位置に取り付けた場合に挿通孔2202と整合する位置に軸孔2112が開設されているとともに、軸孔2112に挿通される固定部材2104が設けられている。固定部材2104は、爪部材203aのガイド溝2201にガイドされながら爪部材203aを所定位置に案内可能な軸部2104aと、軸部2104aにおけるアーム本体部203bの爪部材203aの取付側の先端部に設けられ、爪部材203aを所定位置に取り付けた状態で爪部材203aをアーム本体部203bに対して押圧するための押圧部2104bと、アーム本体部203bの爪部材203aの取付側とは反対側に設けられ、軸部2104aが軸孔2112から抜脱するのを防止する抜止部材2104cと、押圧部2104bがアーム本体部203bに対して押圧する方向に付勢するスプリングバネ2104bとを備えている。その結果、爪部材の交換作業を簡便にすることにより作業負担を軽減することができる把持アーム及び景品取得装置を提供することができる。また、爪部材の交換作業の際に、不用意に爪部材がアーム本体部より離脱して落下してしまう等の不都合が生じにくくなる。
【0044】
また、本実施形態では、固定部材2104が可動可能な第一の状態と、押圧部2104bにより爪部材203aをアーム本体部203bに対して押圧した状態で固定部材2104を保持する第二の状態とに変位可能なスライダ2106を備えている。その結果、爪部材203aをしっかりと保持することができ、爪部材が不用意にアーム本体部より外れてしまうのを防止できる。
【0045】
また、本実施形態では、スライダ2106は、アーム本体部203bの爪部材203aの取付側とは反対側において、固定部材2104の軸方向とは交差する方向に、第一の位置と第二の位置との間でスライド可能に設けられている。スライダ2106が第一の位置では、スライダ2106が固定部材2104の軸方向の動きに干渉しない状態とされることで第一の状態となり、スライダ2106が第二の位置では、固定部材2104の軸方向の動きを規制することで第二の状態となる。その結果、保持部材のスライド操作により、爪部材の保持を簡便に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態では、スライダ2106が第二の位置になるとスライダ2106のスライド方向におけるスライダ2106の後端近傍に進出し、第二の位置にあるスライダを所定の押圧力を加えて第一の位置にスライドさせることで後退可能に構成されたボールプランジャ2111を備えたので、保持部材が不用意にスライド移動して爪部材の保持が解除されてしまう不都合が防止できる。
【0047】
また、本実施形態では、固定部材2104の可動範囲を規制する規制部材2105を備えたので、固定部材のストロークを必要最小限にすることで固定部材の操作を簡便にすることができるようになる。
【0048】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
100 クレーンゲーム機(景品取得ゲーム装置)
200 把持装置(景品取得装置)
203 把持アーム
203a 爪部材
203b アーム本体部
2104 固定部材
2104a 軸部
2104b 押圧部
2104c 抜止部材(抜止部)
2104d スプリングバネ(付勢手段)
2105 規制部材(規制手段)
2106 スライダ(保持部材)
2111 ボールプランジャ
2112 軸孔
2201 ガイド溝
2202 挿通孔
【要約】
【課題】爪部材の交換作業を簡便にすることにより作業負担を軽減することができる把持アームを提供する。
【解決手段】固定部材2104は、爪部材203aのガイド溝2201にガイドされながら爪部材203aを所定位置に案内可能な軸部2104aと、軸部2104aにおけるアーム本体部203bの爪部材203aの取付側の先端部に設けられ、爪部材203aを所定位置に取り付けた状態で爪部材203aをアーム本体部203bに対して押圧するための押圧部2104bと、アーム本体部203bの爪部材203aの取付側とは反対側に設けられ、軸部2104aが軸孔から抜脱するのを防止する抜止部材2104cと、押圧部2104bがアーム本体部203bに対して押圧する方向に付勢するスプリングバネとを備えている。
【選択図】
図3