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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】リード線の挿入方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231206BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20231206BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H05K13/04 N
B25J13/00 Z
H05K13/08 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017111399
(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公開番号】P2018206982
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-05-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康彦
(72)【発明者】
【氏名】坂東 賢二
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊満
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】吉田 昌弘
【審判官】久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-15188(JP,A)
【文献】特開2015-95574(JP,A)
【文献】実開平7-3200(JP,U)
【文献】特開2002-198696(JP,A)
【文献】実開昭61-39000(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード線付き電子部品のリード線を配線基板に穿設されたスルーホールに挿入するためのリード線の挿入方法であって、
前記リード線付き電子部品と、前記リード線付き電子部品が実装される箇所に隣接して他の電子部品が実装されるように構成された前記配線基板と、前記リード線を前記スルーホールに案内するためのガイド孔を含む治具と、前記リード線付き電子部品及び前記治具に対して作業を行うロボットと、を準備する第1のステップと、
前記ロボットによって、前記リード線付き電子部品を保持する第2のステップと、
前記治具の一方側の側面を前記他の電子部品と対向させるように、且つ前記治具のガイド孔の内壁の底面側端部を前記配線基板に穿設されたスルーホールに宛がうようにして、前記配線基板に前記治具を載置する第3のステップと、
前記ロボットによって、前記ガイド孔の内壁に前記リード線の先端部を当接させ、前記配線基板の側へと摺動させることにより、前記リード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入する第4のステップと、を備え、
前記ガイド孔は、天面から底面に向かうに連れて横断面積が小さくなるように、且つ前記治具の一方側の側面において開放されて穿設されており、
前記ロボットは、
第1のロボットアームと、
前記第1のロボットアームに取り付けられ、前記リード線付き電子部品を保持して作業を行うことにより、前記第2のステップ及び前記第4のステップを行う第1のエンドエフェクタと、
第2のロボットアームと、
前記第2のロボットアームに取り付けられ、前記治具を保持して作業を行うことにより、前記第3のステップを行う第2のエンドエフェクタと、を含み、
前記第1のエンドエフェクタは、その基部に回転可能に設けられ、且つ前記リード線付き電子部品を保持するための保持装置を含み、
前記保持装置は、それぞれが前記リード線付き電子部品を1つ保持し且つ周方向において互いに間隔を空けて放射状に設けられる複数の保持部を有し、
前記第1のステップにおいて、前記リード線付き電子部品を複数個準備し、
前記第2のステップにおいて、前記保持装置を回転させつつ、前記複数の保持部それぞれに前記リード線付き電子部品を保持させることで、前記リード線付き電子部品を複数個保持し、
前記第4のステップにおいて、前記配線基板に対向して保持されているリード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入し、
前記第4のステップを行ったあとで、
前記治具の一方側の側面を他の電子部品又は前記第4のステップが既に行われたリード線付き電子部品と対向させるように、且つ前記治具のガイド孔の内壁の底面側端部を前記配線基板に穿設された次のスルーホールに宛がうようにして、前記配線基板に前記治具を載置する第3のステップを再び行い、且つ、
前記保持装置を再び回転させて前記複数のリード線付き電子部品のうちの次のリード線付き電子部品を前記配線基板に対向させたうえで、前記次のリード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入する第4のステップを再び行い、
前記第3のステップを再び行い、且つ前記第4のステップを再び行うことを繰り返すことで、前記リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を繰り返し行う、リード線の挿入方法。
【請求項2】
前記保持装置は、前記リード線付き電子部品それぞれのリード線に異常があるか否かを検出するための検出手段をさらに含む、請求項1に記載のリード線の挿入方法。
【請求項3】
前記検出手段は、
前記第1のエンドエフェクタの基部に設けられ、且つ前記保持部及びそれに保持されているリード線付き電子部品が回転するとき、前記リード線付き電子部品のリード線に光線を照射する投光器と、
前記保持部及びそれに保持されているリード線付き電子部品を介して前記投光器と対向するように前記第1のエンドエフェクタの基部に設けられ、且つ前記投光器から照射された光線を受光する受光器と、
を有する、請求項2に記載のリード線の挿入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リード線の挿入方法及びその実施に用いる保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リード線付き電子部品のリード線を配線基板に穿設されたスルーホールに挿入するためのリード線の挿入方法が知られている。また、その実施に用いる治具が知られている。このような治具として、例えば、特許文献1に記載された電子部品固定用治具がある。
【0003】
特許文献1の電子部品固定用治具は、互いに着脱自在とされた複数の分割部材を備える。これら分割部材には、それぞれ上下両端面に渡って溝が設けられ、分割部材を互いに組み合わせた状態で溝が互いに対向して孔が形成されるようになっている。これら孔は円錐形状をなし、一側開口部が他側開口部より大きく形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-198696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の電子部品固定用治具は、リード線付き電子部品が実装される箇所に隣接して他の電子部品が実装されるような場合(すなわち、配線基板に密集した状態で複数の電子部品が実装されるような場合)、当該他の電子部品に妨げられて、リード線付き電子部品のリード線をスルーホールに挿入し難くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、配線基板に密集した状態で複数の電子部品が実装されるような場合であっても、リード線付き電子部品のリード線をスルーホールに円滑に挿入することができる、リード線の挿入方法及びその実施に用いる治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るリード線の挿入方法は、リード線付き電子部品のリード線を配線基板に穿設されたスルーホールに挿入するためのリード線の挿入方法であって、前記リード線付き電子部品と、前記リード線付き電子部品が実装される箇所に隣接して他の電子部品が実装されるように構成された前記配線基板と、前記リード線を前記スルーホールに案内するためのガイド孔を含む治具と、を準備する第1のステップと、前記リード線付き電子部品を保持する第2のステップと、前記治具の一方側の側面を前記他の電子部品と対向させるように、且つ前記治具のガイド孔の内壁の底面側端部を前記配線基板に穿設されたスルーホールに宛がうようにして、前記配線基板に前記治具を載置する第3のステップと、前記ガイド孔の内壁に前記リード線の先端部を当接させ、前記配線基板の側へと摺動させることにより、前記リード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入する第4のステップと、を備え、前記ガイド孔は、天面から底面に向かうに連れて横断面積が小さくなるように、且つ前記治具の一方側の側面において開放されて穿設されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、治具に穿設されたガイド孔が治具の一方側の側面において開放されて穿設されているため、当該一方側の側面に隣接して他の電子部品が実装されている場合であっても、他の電子部品に妨げられることなく、配線基板に治具を載置する第3のステップを行うことができる。したがって、本発明に係るリード線の挿入方法は、配線基板に密集した状態で複数の電子部品が実装されるような場合であっても、リード線付き電子部品のリード線をスルーホールに円滑に挿入することができる。
【0009】
前記第1のステップにおいて、前記リード線付き電子部品及び前記治具に対して作業を行うロボットをさらに準備し、前記ロボットは、第1のロボットアームと、前記第1のロボットアームに取り付けられ、前記リード線付き電子部品を保持して作業を行うことにより、前記第2のステップ及び前記第4のステップを行う第1のエンドエフェクタと、第2のロボットアームと、前記第2のロボットアームに取り付けられ、前記治具を保持して作業を行うことにより、前記第3のステップを行う第2のエンドエフェクタと、を含んでもよい。
【0010】
この構成によれば、ロボットを用いることで、人手を要することなく効率的に、本発明に係るリード線の挿入方法を実施することができる。
【0011】
前記第1のエンドエフェクタは、その基部に回転可能に設けられ、且つ前記リード線付き電子部品を保持するための保持装置を含み、前記保持装置は、それぞれが前記リード線付き電子部品を1つ保持し且つ周方向において互いに間隔を空けて放射状に設けられる複数の保持部を有し、前記第1のステップにおいて、前記リード線付き電子部品を複数個準備し、前記第2のステップにおいて、前記保持装置を回転させつつ、前記複数の保持部それぞれに前記リード線付き電子部品を保持させることで、前記リード線付き電子部品を複数個保持し、前記第4のステップにおいて、前記配線基板に対向して保持されているリード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入し、前記第4のステップを行ったあとで、前記治具の一方側の側面を他の電子部品又は前記第4のステップが既に行われたリード線付き電子部品と対向させるように、且つ前記治具のガイド孔の内壁の底面側端部を前記配線基板に穿設された次のスルーホールに宛がうようにして、前記配線基板に前記治具を載置する第3のステップを再び行い、且つ、前記保持装置を再び回転させて前記複数のリード線付き電子部品のうちの次のリード線付き電子部品を前記配線基板に対向させたうえで、前記次のリード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入する第4のステップを再び行い、前記第3のステップを再び行い、且つ前記第4のステップを再び行うことを繰り返すことで、前記リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を繰り返し行ってもよい。
【0012】
この構成によれば、リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができる。その結果、人手を要することなく一層効率的に、本発明に係るリード線の挿入方法を実施することができる。
【0013】
前記保持装置は、前記リード線付き電子部品それぞれのリード線に異常があるか否かを検出するための検出手段をさらに含んでもよい。
【0014】
この構成によれば、検出手段を用いて、リード線に異常があった場合にそれを検出することができる。したがって、例えば、曲りや欠損等のリード線の異常が検出されたリード線付き電子部品の実装を取り止めたり、或いはその曲りや欠損に応じてリード線の先端部を当接させる箇所(ガイド孔の内壁の一部)をずらすことで、異常が生じているリード線をスルーホールに挿入可能にしたりすることができる。
【0015】
前記検出手段は、前記第1のエンドエフェクタの基部に設けられ、且つ前記保持部及びそれに保持されているリード線付き電子部品が回転するとき、前記リード線付き電子部品のリード線に光線を照射する投光器と、前記保持部及びそれに保持されているリード線付き電子部品を介して前記投光器と対向するように前記第1のエンドエフェクタの基部に設けられ、且つ前記投光器から照射された光線を受光する受光器と、を有してもよい。
【0016】
この構成によれば、リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができ、それと同時に、リード線付き電子部品それぞれのリード線に異常があるか否かを検出することができる。
【0017】
前記課題を解決するために、本発明に係る保持装置は、上記したリード線の挿入方法の実施に用いられ、前記リード線付き電子部品を保持するための保持装置を前記第1のエンドエフェクタが有しており、前記保持装置は、前記第1のエンドエフェクタの基部に回転可能に設けられ、且つ、前記リード線付き電子部品を1つ保持し、且つ周方向において互いに間隔を空けて放射状に設けられる保持部を複数有し、前記第1のステップにおいて、前記リード線付き電子部品が複数個準備され、前記第2のステップにおいて、回転しつつ、前記複数の保持部それぞれに前記リード線付き電子部品を保持することで、前記第1のステップにおいて準備されたリード線付き電子部品を複数個保持し、前記第4のステップにおいて、前記配線基板に対向して保持しているリード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入し、前記第4のステップを行ったあとで、前記治具の一方側の側面を他の電子部品又は前記第4のステップが既に行われたリード線付き電子部品と対向させるように、且つ前記治具のガイド孔の内壁の底面側端部を前記配線基板に穿設された次のスルーホールに宛がうようにして、前記配線基板に前記治具を載置する第3のステップが再び行われ、且つ、再び回転して前記複数のリード線付き電子部品のうちの次のリード線付き電子部品を前記配線基板に対向させたうえで、前記次のリード線付き電子部品のリード線を案内して前記スルーホールに挿入する第4のステップを再び行い、前記第3のステップが再び行われ、且つ前記第4のステップを再び行うことを繰り返すことで、前記リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を繰り返し行うことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができる。その結果、人手を要することなく一層効率的に、本発明に係るリード線の挿入方法の実施に用いる保持装置を提供することができる。
【0019】
前記リード線付き電子部品それぞれのリード線に異常があるか否かを検出するための検出手段をさらに含んでもよい。
【0020】
この構成によれば、検出手段を用いて、リード線に異常があった場合にそれを検出することができる。したがって、例えば、曲りや欠損等のリード線の異常が検出されたリード線付き電子部品の実装を取り止めたり、或いはその曲りや欠損に応じてリード線の先端部を当接させる箇所(ガイド孔の内壁の一部)をずらすことで、異常が生じているリード線をスルーホールに挿入可能にしたりすることができる。
【0021】
前記検出手段は、前記第1のエンドエフェクタの基部に設けられ、且つ前記保持部及びそれに保持されているリード線付き電子部品が回転するとき、前記リード線付き電子部品のリード線に光線を照射する投光器と、前記保持部及びそれに保持されているリード線付き電子部品を介して前記投光器と対向するように前記第1のエンドエフェクタの基部に設けられ、且つ前記投光器から照射された光線を受光する受光器と、を有してもよい。
【0022】
この構成によれば、リード線付き電子部品のリード線を案内してスルーホールに挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができ、それと同時に、リード線付き電子部品それぞれのリード線に異常があるか否かを検出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、配線基板に密集した状態で複数の電子部品が実装されるような場合であっても、リード線付き電子部品のリード線をスルーホールに円滑に挿入することができる、リード線の挿入方法及びその実施に用いる保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いるロボットの概略構成を示す図である。
図2】前記ロボットが備える保持装置に複数のリード線付き電子部品を保持させた状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いる検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための側面図である。
図4】前記検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための底面図であり、(a)が第1の光線が第1のリード線に照射されたとき、(b)が第2の光線が第2のリード線に照射されたときの図である。
図5】本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いる治具の外観斜視図である。
図6】前記治具のガイド孔及びその近傍部分の拡大斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法が備える第3のステップ及び第4のステップを説明するための概略図である。
図8】本発明の変形例に係るリード線の挿入方法の実施に用いる検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための側面図である。
図9】前記検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための底面図であり、(a)が第1の光線が第1のリード線に照射されたとき、(b)が第2の光線が第2のリード線に照射されたとき、(c)が第3の光線が第3のリード線に照射されたとき、(d)が第4の光線が第4のリード線に照射されたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法及びその実施に用いる保持装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0026】
(ロボット11)
図1は、本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いるロボットの概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いるロボット11は、台車に固定されたベース12と、ベース12に支持された一対のロボットアーム13a、13b(第1のロボットアーム13a及び第2のロボットアーム13b)と、ベース12内に収納された制御装置14と、を備えている。ロボット11は、人一人分に相当する限られたスペース(例えば610mm×620mm)に設置することができる。
【0027】
以下では、一対のロボットアームを広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。本実施形態のロボット11は、配線基板の実装現場に適用され、配線基板にリード線付き電子部品を実装する作業を行う。
【0028】
(一対のロボットアーム13a,13b)
第1のロボットアーム13a(図中右のロボットアーム)及び第2のロボットアーム13b(図中左のロボットアーム)は、それぞれ、ベース12に対して移動可能に構成された水平多関節型ロボットアームである。第1のロボットアーム13aは、アーム部15とリスト部17と第1のエンドエフェクタ18aとを備えている。第2のロボットアーム13bは、アーム部15とリスト部17と第2のエンドエフェクタ18bとを備えている。なお、これら一対のロボットアーム13a,13bは、それぞれ、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
【0029】
アーム部15は、本例では、第1リンク15aおよび第2リンク15bとで構成されている。第1リンク15aは、ベース12の上面に固定された基軸16と回転関節J1により連結され、基軸16の軸心を通る回転軸線L1まわりに回動可能である。第2リンク15bは、第1リンク15aの先端と回転関節J2により連結され、第1リンク15aの先端に規定された回転軸線L2まわりに回動可能である。
【0030】
リスト部17は、第1のエンドエフェクタ18a又は第2のエンドエフェクタ18bが取り付けられるメカニカルインターフェース19を有し、第2リンク15bの先端と直動関節J3及び回転関節J4を介して連結されている。リスト部17は、直動関節J3によって、第2リンク15bに対し昇降移動可能である。リスト部17は、回転関節J4によって、第2リンク15bに対し垂直な回転軸線L3まわりに回動可能である。
【0031】
第1のエンドエフェクタ18aは、右のリスト部17のメカニカルインターフェース19に連結されている。すなわち、第1のエンドエフェクタ18aは、第1のロボットアーム13aの先端に設けられている。同様に、第2のエンドエフェクタ18bは、左のリスト部17のメカニカルインターフェース19に連結されている。すなわち、第2のエンドエフェクタ18bは、第2のロボットアーム13bの先端に設けられている。
【0032】
上記構成の一対のロボットアーム13a,13bは、それぞれ、関節J1~J4を有する。そして、一対のロボットアーム13a,13bには、それぞれ、関節J1~J4に対応付けられるように、駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。また、第1のロボットアーム13aの第1リンク15aの回転軸L1と、第2のボットアーム13bの第1リンク15aの回転軸線L1とは同一直線上にあり、第1のロボットアーム13aの第1リンク15aと第2のロボットアーム13bの第1リンク15aとは上下に高低差を設けて配置されている。
【0033】
(第1のエンドエフェクタ18a)
図2を参照して、第1のエンドエフェクタ18aについて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いるロボットが備える保持装置に複数のリード線付き電子部品を保持させた状態を示す図である。
【0034】
第1のエンドエフェクタ18aは、その基部に回転可能に設けられ且つリード線付き電子部品Eを保持するための保持装置60と、当該保持装置60とリスト部17を接続する接続部70と、を含む。
【0035】
従来から、リード線の挿入方法の実施に用いられ、リード線付き電子部品を保持するための保持装置が知られていた。このような保持装置として、例えば、特開2000-94238号公報に記載の電子部品の保持装置がある。
【0036】
前記先行文献の保持装置は、まず駆動源によりホルダーがガイドに案内されて直結運動を行なう。このとき案内爪が互いに接近して一方の案内爪が他方の案内爪の下面に潜り込み電子部品のリード線が案内爪の溝内に案内される。このとき同時に加工装置が下降することによりスライダーを介して案内爪は、電子部品のリード線を案内爪の溝内に案内した状態で下降することになり、電子部品のリード線を加工治具のリード線逃がし穴に挿入するという動作が完了する。
【0037】
ところで、前記先行文献の保持装置は、リード線を挿入する作業に時間を要してしまうという問題があった。特に、本実施形態のように、配線基板に密集した状態で複数の電子部品が実装されているような場合に、前記問題が顕著になり得た。また、前記先行文献の保持装置は、リード線ごとに相違する異常に応じて挿入が行われるわけではないため、リード線の挿入を確実に行うことができないという問題もあった。
【0038】
そこで、本実施形態に係る保持装置は、リード線付き電子部品のリード線をスルーホールに円滑且つ確実に挿入することができるように構成されている。
【0039】
保持装置60は、リード線付き電子部品Eを1つ保持し且つ周方向において互いに間隔を空けて放射状に設けられる保持部68を複数有する。具体的には、保持装置60は、その中央部が接続部70の下端部(基部)に回転可能に設けられる円板部材62と、円板部材62の円周方向において互いに等間隔をおいて、径方向に沿って放射状に延在するように、円板部材62に接続される8本の保持機構64と、8本の保持機構64それぞれの先端部に設けられる保持部68と、を有する。
【0040】
8本の保持機構64は、それぞれ、1つのリード線付き電子部品Eを保持して作業を行う。8本の保持機構64は、それぞれ、長手方向の寸法を有した同様の構造である。したがって、図2では見た目の煩雑さを避けるため、図中右上に位置する保持機構64についてのみ詳細に符号を付し、他の7本の保持機構64についての符号は適宜省略してある。8本の保持機構64は、それぞれ、円板部材62の径方向に沿って延在する径方向延在部66と、径方向延在部66の先端部に設けられる保持部68と、を有する。本実施形態に係る保持部68は、両側から挟み込むように拘束して(チャックして)リード線付き電子部品Eを保持するものである。しかしながら、この場合に限定されず、8本の保持部68それぞれは、負圧を利用して吸着することにより保持する等、他の態様でリード線付き電子部品Eを保持するものであってもよい。
【0041】
(検出手段100)
図3及び図4を参照して、保持装置60が備える検出手段100について説明する。保持装置60は、複数のリード線付き電子部品Eそれぞれのリード線に異常があるか否かを検出するための検出手段100を含んでもよい。図3は、本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いる検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための側面図である。図4は、前記検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための底面図であり、(a)が第1の光線が第1のリード線に照射されたとき、(b)が第2の光線が第2のリード線に照射されたときの図である。
【0042】
当該検出手段100は、軸方向の寸法が互いに異なる2本のリード線L、L(図中短いほうがリード線L、長いほうがリード線L)の曲がりや欠損等の異常の有無を検出するものである。検出手段100は、第1のエンドエフェクタ18aの基部に設けられ、保持部68及びそれに保持されたリード線付き電子部品Eが回転するとき、当該リード線付き電子部品Eのリード線に光線R、Rを照射する投光器110a、110bと、保持部68及びそれに保持されているリード線付き電子部品Eを介して投光器110a、110bと対向するように第1のエンドエフェクタ18aの基部に設けられ、投光器110a、110bから照射された光線R、Rを受光する受光器112a、112bと、を有する。具体的には、検出手段100は、正常状態にある前記2本のリード線L、Lのうちの一方のリード線Lの先端部に図中破線矢印で示す第1の光線Rを照射する第1の投光器110aと、第1の投光器110aから照射された第1の光線Rを受光する第1の受光器112aと、正常状態にある前記2本のリード線のうちの他方のリード線Lの先端部に図中破線矢印で示す第2の光線Rを照射する第2の投光器110bと、第2の投光器110bから照射された第2の光線Rを受光する第2の受光器112bと、を有する。
【0043】
好ましくは、図4に示すように、検出手段100を通過するリード線付き電子部品Eを底面視したとき、一方のリード線L1の根元部と他方のリード線L2の根元部とを結ぶ直線は、第1の光線R1及び第2の光線R2と平行にならない。より好ましくは、リード線付き電子部品Eを底面視したとき、一方のリード線L1の根元部と他方のリード線L2の根元部とを結ぶ直線は、第1の光線R1及び第2の光線R2に対して約45°程度傾斜している。これにより、一方のリード線L1と他方のリード線L2が第1の光線R1を遮るタイミングが同じになることがなく、且つ一方のリード線L1と他方のリード線L2が第2の光線R2を遮るタイミングが同じになることがない。その結果、リード線の異常を検出する精度を向上させることができる。
【0044】
ここで、例えば、見た目の煩雑さを避けるため図2においてその図示を省略してあるが、第1の投光器110a及び第2の受光器112bが保持機構64の手前側に設けられ、第2の投光器110b及び第1の受光器112aが保持機構64の奥側に設けられることにより、第1の光線Rが手前側から奥側に向かう方向に投光され、且つ第2の光線Rが奥側から手前側に向かう方向に投光されてもよい。
【0045】
本実施形態では、保持装置60が45°回転するとき、保持装置60に保持された8つのうちいずれか1つのリード線付き電子部品Eについて、その一方のリード線Lが第1の光線Rを遮るように移動し、且つその他方のリード線Lが第2の光線Rを遮るように移動する。そして、検出手段100は、このとき第1の受光器112a及び第2の受光器112bそれぞれが受光する第1の光線R及び第2の光線Rの受光量の変化に基づいて、2本のリード線L、Lの異常の有無を検出する。
【0046】
(治具80)
さらに、図5及び図6を参照して、第2のエンドエフェクタ18bに取り付けられる治具について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いる治具の外観斜視図である。また、図6は、前記治具のガイド孔及びその近傍部分の拡大斜視図である。
【0047】
本実施形態に係る治具80は、第2のエンドエフェクタ18bに取り付けられる取付け部82と、当該取付け部82の下端部から屈曲して図3及び図4中略手前側に延び、略平板状に形成された載置部84と、を含む。当該載置部84の図3及び図4中略手前側に位置する側面及びその近傍部分には、リード線付き電子部品Eのリード線を配線基板のスルーホールに案内するためのガイド孔88が2つ穿設されている。2つのガイド孔88は、それぞれ、天面から底面に向かうに連れて横断面積が小さくなるように、且つ載置部84の図3及び図4中略手前側に位置する側面(治具の一方側の側面)において開放されて穿設されている。
【0048】
(リード線の挿入方法)
本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法の一例について、主に図7を参照して説明する。図7は、本発明の一実施形態に係るリード線の挿入方法が備える第3のステップ及び第4のステップを説明するための概略図である。なお、図7では見た目の煩雑さを避けるため、リード線付き電子部品Eを保持して作業を行う保持装置の図示は省略してある。
【0049】
まず、複数のリード線付き電子部品Eと、リード線付き電子部品Eが実装される箇所に隣接して他の電子部品E´が実装されるように構成された配線基板90と、リード線を配線基板90に穿設されたスルーホール98に案内するためのガイド孔88を含む治具80と、リード線付き電子部品E及び治具80に対して作業を行うロボット11と、を準備する。なお、ロボット11の第1のエンドエフェクタ18aは、その基部に回転可能に設けられ、且つリード線付き電子部品Eを保持するための保持装置60を含む。本実施形態では、このようにして第1のステップが行われる。
【0050】
次に、保持装置60を回転させつつ、複数の保持部68それぞれにリード線付き電子部品Eを保持させることで、リード線付き電子部品Eを複数個保持する。具体的には、複数のリード線付き電子部品Eが準備された設置スペースの上方に保持装置60を移動し、そこから保持装置60を下降させて8本のうちで下方へと延びる1つの保持機構64の保持部68に1つのリード線付き電子部品Eを保持させる。そのあと、保持装置60を45°回転させて前記保持機構64とは別の保持機構64を下方へと延びるようにしたうえで、当該別の保持機構64に1つのリード線付き電子部品Eを保持させる。これを繰り返すことで、保持装置60に複数のリード線付き電子部品Eを保持させる。本実施形態では、このようにしてリード線付き電子部品Eを保持する第2のステップが行われる。なお、このときの保持装置60の回転動作により、検出手段100によってリード線の異常の有無の検出が行われてもよい。
【0051】
さらに、図7(a)に示すように、第2のエンドエフェクタ18bによって、治具80の一方側の側面を他の電子部品E´と対向させるように、且つ治具80のガイド孔88の内壁の底面側端部を配線基板90に穿設されたスルーホール98に宛がうようにして、配線基板90に治具80を載置する。このようにして第3のステップが行われる。
【0052】
そして、図7(b)に示すように、第1のエンドエフェクタ18aによって、ガイド孔88の内壁にリード線の先端部を当接させ、配線基板90の側へと摺動させ、図7(c)に示すように、リード線を案内してスルーホール98に挿入する。このようにして第4のステップが行われる。
【0053】
上記のようにして、1つのリード線付き電子部品Eを配線基板90に穿設されたスルーホール98に挿入することができる。
【0054】
さらに、第4のステップを行ったあとで、治具80の一方側の側面を他の電子部品E´又は第4のステップが既に行われたリード線付き電子部品Eと対向させるように、且つ治具80のガイド孔88の内壁の底面側端部を配線基板90に穿設された次のスルーホール98に宛がうようにして、配線基板90に治具80を載置する第3のステップを再び行い、且つ、保持装置60を再び回転させて複数のリード線付き電子部品Eのうちの次のリード線付き電子部品Eを配線基板90に対向させたうえで、次のリード線付き電子部品Eのリード線を案内してスルーホール98に挿入する第4のステップを再び行う。このように、保持装置60により複数のリード線付き電子部品Eを保持したうえで、第3のステップを再び行い、且つ前記第4のステップを再び行うことを繰り返すことで、リード線付き電子部品Eのリード線を案内してスルーホール98に挿入する作業を繰り返し行うことができる。
【0055】
具体的には、まず、1つ目のリード線付き電子部品Eをスルーホール98に挿入したあと(すなわち、図7(c)に示す状態にしたあと)、当該リード線付き電子部品Eを保持部68から解放する。次に、当該保持部68を配線基板90から離間させたうえで、保持装置60を再び回転させ、次のリード線付き電子部品Eを配線基板90に対向した状態にする。なお、このときの保持装置60の回転動作により、検出手段100によってリード線の異常の有無の検出が行われてもよい。さらに、当該回転に連動させて、保持装置60及びそれに保持された7つのリード線付き電子部品E、並びに第2のエンドエフェクタ18b及びそれに保持された冶具80を図7(c)中右側に移動させる。そして、治具80の一方側の側面を上記1つ目のリード線付き電子部品Eと対向させるように、且つガイド孔88の内壁の底面側端部を図7(c)に示すリード線付き電子部品Eの右側に隣接して穿設されているスルーホール98に宛がうようにして配線基板90に治具80を載置する。このようにして再び第3のステップが行われる。この後の手順については上記1つ目のリード線付き電子部品Eをスルーホール98に挿入する場合と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0056】
上記手順を繰り返すことにより、ロボット11を用いて、リード線付き電子部品Eのリード線を案内してスルーホール98に挿入する作業を繰り返し行うことができる。
【0057】
また、上記したリード線の挿入方法の実施に用いられ、リード線付き電子部品Eを保持するための保持装置60は、8本の保持機構64の先端部それぞれにリード線付き電子部品Eを保持するための保持部68を有し、リード線付き電子部品Eを保持する第2のステップにおいて、回転しつつ、複数のリード線付き電子部品Eを保持したうえで、前記第2のエンドエフェクタによって前記第3のステップを行われたあと、配線基板90に対向して保持されるリード線付き電子部品Eに対して第4のステップを行い、第4のステップを行ったあとで、再び回転して複数のリード線付き電子部品Eのうちの次のリード線付き電子部品Eを配線基板90に対向させ、第3のステップ及び第4のステップを再び行い、これを繰り返すことで、リード線付き電子部品Eのリード線を案内してスルーホール98に挿入する作業を繰り返し行う。
【0058】
(効果)
本実施形態に係るリード線の挿入方法は、治具80に穿設されたガイド孔88が治具80の一方側の側面において開放されて穿設されているため、当該一方側の側面に隣接して他の電子部品E´が実装されている場合であっても、他の電子部品E´に妨げられることなく、配線基板90に治具80を載置する第3のステップを行うことができる。したがって、本発明に係るリード線の挿入方法は、配線基板90に密集した状態で複数の電子部品E(及び他の電子部品E´)が実装されるような場合であっても、リード線付き電子部品Eのリード線をスルーホール98に円滑に挿入することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るリード線の挿入方法は、第1のステップにおいて、リード線付き電子部品E及び治具80に対して作業を行うロボット11をさらに準備し、当該ロボット11を用いて、第2乃至第4のステップが行われる。このようにすることで、人手を要することなく効率的に、本実施形態に係るリード線の挿入方法を実施することができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、第1のエンドエフェクタ18aの保持装置60によって、リード線付き電子部品Eのリード線を案内してスルーホール98に挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができる。その結果、人手を要することなく一層効率的に、本発明に係るリード線の挿入方法を実施することができる。
【0061】
そして、本実施形態では、検出手段100を用いて、リード線に異常があった場合にそれを検出することができる。したがって、例えば、曲りや欠損等のリード線の異常が検出されたリード線付き電子部品Eの実装を取り止めたり、或いはその曲りや欠損に応じてリード線の先端部を当接させる箇所(ガイド孔の内壁の一部)をずらすことで、異常が生じているリード線をスルーホールに挿入可能にしたりすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、保持部68及びそれに保持されたリード線付き電子部品Eが回転するとき、保持部68に保持されたリード線付き電子部品Eのリード線に光線R、Rを照射する投光器110a、110bと、投光器110a、110bから照射された光線R、Rを受光する受光器112a、112bと、を有する。この構成によれば、リード線付き電子部品Eのリード線を案内してスルーホール98に挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができ、それと同時に、リード線付き電子部品Eそれぞれのリード線に異常があるか否かを検出することができる。
【0063】
本実施形態に係るリード線の挿入方法の実施に用いられる保持装置60は、回転しつつ、複数のリード線付き電子部品Eを保持したうえで、再び回転する等して第3のステップ及び第4のステップを繰り返し行うことで、リード線付き電子部品Eを案内してスルーホール98に挿入する作業を短い時間で繰り返し行うことができる。その結果、人手を要することなく一層効率的に、本発明に係るリード線の挿入方法の実施に用いる保持装置60を提供することができる。
【0064】
(変形例)
上記実施形態では、リード線付き電子部品Eを保持する第2のステップを行ったあとで、配線基板90に治具80を載置する第3のステップを行う場合について説明したが、これに限定されない、すなわち、配線基板90に治具80を載置したあとで、リード線付き電子部品Eを保持するようにしてもよいし(すなわち、第3のステップを行ったあとで、第2のステップを行ってもよいし)、これらを同時に行うようにしてもよい。
【0065】
上記実施形態では、図2において、保持装置60に保持される複数のリード線付き電子部品Eそれぞれが互いに同じ寸法及び構造である場合を図示したが、これに限定されない。すなわち、複数のリード線付き電子部品Eをそれぞれは、互いに異なる寸法であってもよいし、互いに異なる構造であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、第1のエンドエフェクタ18aが保持装置60を含み、当該保持装置が有する複数の保持部68により複数のリード線付き電子部品Eを一度に保持して繰り返し作業を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1のエンドエフェクタ18aは、1つの保持部68のみ含んでもよいし、平坦な面から突出するように設けられた複数の保持部68を含んでもよい。これにより、第1のエンドエフェクタ18aの構造を簡単にすることができる。
【0067】
上記実施形態では、第1のステップにおいて、リード線付き電子部品E及び治具80に対して作業を行うロボット11をさらに準備し、当該ロボット11を用いて、第2乃至第4のステップが行われる場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、第1のステップにおいてロボット11を準備せずに、第2乃至第4のステップを人の手で行うようにしてもよい。これにより、ロボット11を購入等して準備する必要がなくなるため、本実施形態に係るリード線の挿入方法を導入する際にコストダウンを図ることができる。
【0068】
上記実施形態では、検出手段100は、保持装置60の回転動作により、リード線の異常の有無の検出を行うものであったが、この場合に限定されない。すなわち、検出手段100は、保持装置60とは別の場所に設けられてもよい。このとき、第1のロボットアーム13aにより保持装置60を検出手段100が設けられた場所まで移動し、リード線の異常の有無の検出が行われてもよい。
【0069】
上記実施形態では、検出手段100は、軸方向の寸法が互いに異なる2本のリード線L、Lの曲がりや欠損等の異常の有無を検出する場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、検出手段100は、軸方向の寸法が互いに異なる4本のリード線L、L、L、Lの曲りや欠損等の異常の有無を検出するものであってもよいし、その他のリード線の曲りや欠損等の異常の有無を検出するものであってもよい。
【0070】
ここで、図8及び図9を参照して、検出手段100が、軸方向の寸法が互いに異なる4本のリード線L、L、L、Lの曲りや欠損等の異常の有無を検出する場合の好ましい一例について説明する。図8は、本発明の変形例に係るリード線の挿入方法の実施に用いる検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための側面図である。図9は、前記検出手段によってリード線の異常の有無を検出する場合を説明するための底面図であり、(a)が第1の光線が第1のリード線に照射されたとき、(b)が第2の光線が第2のリード線に照射されたとき、(c)が第3の光線が第3のリード線に照射されたとき、(d)が第4の光線が第4のリード線に照射されたときの図である。
【0071】
当該検出手段100は、軸方向の寸法が互いに異なる4本のリード線L、L、L、Lの曲がりや欠損等の異常の有無を検出するものである。検出手段100は、例えば、上記実施形態で説明した保持装置60が回転するとき、保持装置60に保持されたリード線付き電子部品Eのリード線に光線R、R、R、Rを照射する投光器110a、110b、110c、110dと、投光器110a、110b、110c、110dから照射された光線R、R、R、Rを受光する受光器112a、112b、112c、112dと、を有する。具体的には、検出手段100は、正常状態にあるリード線Lの先端部に第1の光線Rを照射する第1の投光器110aと、第1の投光器110aから照射された第1の光線Rを受光する第1の受光器112aと、正常状態にあるリード線Lの先端部に第2の光線Rを照射する第2の投光器110bと、第2の投光器110bから照射された第2の光線Rを受光する第2の受光器112bと、正常状態にあるリード線Lの先端部に第3の光線Rを照射する第3の投光器110cと、第3の投光器110cから照射された第3の光線Rを受光する第3の受光器112cと、正常状態にあるリード線Lの先端部に第4の光線Rを照射する第4の投光器110dと、第4の投光器110dから照射された第4の光線Rを受光する第4の受光器112dと、を有する。
【0072】
好ましくは、図9に示すように、検出手段100を通過するリード線付き電子部品Eを底面視したとき、リード線Lの根元部とリード線Lの根元部とを結ぶ直線は、第1の光線R、第2の光線R、第3の光線R、及び第4の光線Rと平行にならない。より好ましくは、リード線付き電子部品Eを底面視したとき、リード線Lの根元部とリード線Lの根元部とを結ぶ直線は、第1の光線R、第2の光線R、第3の光線R、及び第4の光線Rに対して約45°程度傾斜している。これにより、リード線Lとリード線Lが第1の光線Rを遮るタイミングが同じになることがなく、同様に、第2の光線R、第3の光線R及び第4の光線Rを遮るタイミングが同じになることもない。その結果、リード線の異常を検出する精度を向上させることができる。なお、リード線Lの根元部とリード線Lの根元部とを結ぶ直線についても同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0073】
なお、検出手段100による検出結果は、推論・判断などの知的な機能を人工的に実現するための自己学習機能を有するコンピュータシステム(いわゆる「人工知能(AI)」)に蓄積するようにしてもよい。そして、当該コンピュータシステムは、蓄積した検出結果(例えば、リード線が正常な状態からどの程度曲がったり欠損したりしているか等)に基づいて、リード線の異常(曲りや欠損等)に応じて、リード線の先端部を当接させる箇所(ガイド孔の内壁の一部)をずらすようにロボット11を制御することで、異常が生じているリード線を自動的にスルーホールに挿入できるようにしてもよい。
【0074】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0075】
11 ロボット
12 ベース
13a、13b 一対のロボットアーム
14 制御装置
15a、15b 一対のリンク
16 基軸
17 リスト部
18a 第1のエンドエフェクタ
18b 第2のエンドエフェクタ
19 メカニカルインターフェース
60 保持装置
62 円板部材
64 保持機構
66 径方向延在部
68 保持部
70 接続部
80 治具
82 取付け部
84 載置部
88 ガイド孔
90 配線基板
98 スルーホール
100 検出手段
110 投光器
112 受光器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9