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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】信号機制御装置及び信号機制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/08 20060101AFI20231206BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231206BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G08G1/08 C
G08G1/09 F
G08G1/16 D
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019032599
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020135804
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】木内 大樹
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204241(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035301(WO,A1)
【文献】特開2018-185667(JP,A)
【文献】特開2011-164064(JP,A)
【文献】特開2002-150475(JP,A)
【文献】特開2017-182191(JP,A)
【文献】特開平10-320688(JP,A)
【文献】特開2018-055272(JP,A)
【文献】特開2002-245595(JP,A)
【文献】特開2003-061134(JP,A)
【文献】特開2006-178833(JP,A)
【文献】特開2001-236593(JP,A)
【文献】特開2018-018284(JP,A)
【文献】特開2015-219641(JP,A)
【文献】特開平10-091899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
G08B 19/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の周辺に位置する、当該信号機を制御する第1撮像装置を備える信号機制御装置であって、
前記信号機の周辺の車道に位置する人、あるいは当該車道を渡ろうとしている人が所持する電子機器から送信される、当該人にトラブルが発生したことを示す第1の通知に応じて、当該電子機器から取得する当該電子機器の位置と、前記第1撮像装置が取得する画像とに基づいて当該トラブルが発生した人を特定する第1特定部と、
前記第1特定部で特定された前記トラブルが発生した前記人の位置に基づいて前記人の移動速度を取得する取得部と、
前記移動速度に基づいて前記信号機を制御する制御部と
を備える、信号機制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号機制御装置であって、
記第1特定部は、前記第1の通知に応じて、前記トラブルが発生した前記人が、前記車道に位置するか、前記信号機の周辺の歩道に位置するかを判定し、
前記制御部は、前記第1特定部が前記車道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定すると、前記トラブルが発生した前記人の前記移動速度に基づいて、前記信号機を制御する、信号機制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号機制御装置であって、
前記取得部は、前記トラブルが発生した前記人の現在の移動速度を取得し、
前記制御部は、前記現在の移動速度に基づいて、前記信号機を制御する、信号機制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の信号機制御装置であって、
前記取得部は、前記トラブルが発生した前記人の通常の移動速度を取得し、
前記制御部は、前記通常の移動速度に基づいて、前記信号機を制御する、信号機制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の信号機制御装置であって、
前記取得部は、前記トラブルが発生した前記人の現在の移動速度と、前記トラブルが発生した人の通常の移動速度とを取得し、
前記制御部は、前記現在の移動速度及び前記通常の移動速度のうち遅い方の移動速度に基づいて、前記信号機を制御する、信号機制御装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1撮像装置は、前記第1特定部が前記車道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、前記トラブルが発生した前記人が前記車道に位置することを通知する第1通知情報を表示する、信号機制御装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1撮像装置は、前記第1特定部が前記歩道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、前記トラブルが発生した前記人が前記歩道に位置することを通知する第2通知情報を表示する、信号機制御装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1特定部が前記車道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、前記車道上の車両に対して第2の通知を行う、信号機制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の信号機制御装置であって、
前記第2の通知には、前記車両に対して、撮影を行い、得られた撮影画像を保存することを指示する第1撮影保存通知が含まれる、信号機制御装置。
【請求項10】
請求項2から請求項9のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1特定部が前記トラブルが発生した前記歩道に前記人が位置すると判定した場合、前記車道上の車両に対して第3の通知を行う、信号機制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の信号機制御装置であって、
前記第3の通知には、前記車両に対して、撮影を行い、得られた撮影画像を保存することを指示する第2撮影保存通知が含まれる、信号機制御装置。
【請求項12】
請求項2から請求項11のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1特定部が前記車道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、前記信号機の周辺に位置する携帯型機器に対して第4の通知を行う、信号機制御装置。
【請求項13】
請求項2から請求項12のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1特定部が前記歩道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、前記信号機の周辺に位置する携帯型機器に対して第5の通知を行う、信号機制御装置。
【請求項14】
請求項2から請求項13のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1撮像装置は、前記第1特定部が前記車道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、撮影を行う、信号機制御装置。
【請求項15】
請求項2から請求項14のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1撮像装置は、前記第1特定部が前記歩道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、撮影を行う、信号機制御装置。
【請求項16】
請求項2から請求項15のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記第1特定部が前記車道に前記トラブルが発生した前記人が位置すると判定した場合、前記トラブルが発生した前記人が位置する場所での車両の進行方向を特定する第2特定部をさらに備え、
前記第1撮像装置よりも、前記進行方向とは逆方向側に位置する第2撮像装置に対して第6の通知を行う、信号機制御装置。
【請求項17】
請求項1に記載の信号機制御装置であって、
前記制御部は、
前記信号機が前記人の前記車道の横断許可を示す場合、前記信号機が前記横断許可を示す間に前記人が前記車道を渡り切れるか否かを、前記移動速度に基づいて判定し、
前記信号機が前記横断許可を示す間に前記人が前記車道を渡り切れないと判定した場合、前記信号機が前記横断許可を示す時間を延長する、信号機制御装置。
【請求項18】
請求項17に記載の信号機制御装置であって、
前記制御部が、前記信号機が前記横断許可を示す間に前記人が前記車道を渡り切れないと判定した場合、前記人が所持する電子機器に対する通知を行う、信号機制御装置。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記信号機制御装置は、前記第1特定部、前記取得部及び前記制御部を有する前記第1撮像装置だけで構成される、信号機制御装置。
【請求項20】
請求項1から請求項18のいずれか一つに記載の信号機制御装置であって、
前記信号機制御装置は、前記第1撮像装置と、前記第1撮像装置と通信可能な情報処理装置とを備える、信号機制御装置。
【請求項21】
撮像装置を備える装置での信号機制御方法であって、
信号機の周辺の車道に位置する人、あるいは当該車道を渡ろうとしている人が所持する電子機器から送信される、当該人にトラブルが発生したことを示す第1の通知に応じて、当該電子機器から取得する当該電子機器の位置と、前記撮像装置が取得する画像とに基づいて当該トラブルが発生した人を特定する工程と、
特定された前記トラブルが発生した前記人の位置に基づいて前記人の移動速度を取得する工程と、
前記移動速度に基づいて前記信号機を制御する工程と
を備える、信号機制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号機の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5523250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号機を制御する場合、適切に信号機を制御することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、信号機を適切に制御することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
信号機制御装置、情報処理装置及び信号機制御方法が開示される。一の実施の形態では、信号機制御装置は、信号機の周辺に位置する、当該信号機を制御する第1撮像装置を備える。信号機制御装置は、第1特定部、取得部及び制御部を備える。第1特定部は、信号機の周辺の車道に位置する人、あるいは当該車道を渡ろうとしている人を、当該人が所持する電子機器から取得する当該電子機器の位置と、第1撮像装置が取得する画像とに基づいて特定する。取得部は、第1特定部で特定された人の移動速度を取得する。制御部は、移動速度に基づいて信号機を制御する。
【0009】
また、一の実施の形態では、信号機制御方法は、撮像装置を備える装置での信号機制御方法である。信号機制御方法は、信号機の周辺の車道に位置する人、あるいは当該車道を渡ろうとしている人を、当該人が所持する電子機器から取得する当該電子機器の位置と、撮像装置が取得する画像とに基づいて特定する工程を備える。信号機制御方法は、特定された人の移動速度を取得する工程と、を備える。信号機制御方法は、移動速度に基づいて信号機を制御する工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
信号機を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】通信システムの一例を示す図である。
図2】通信システムの一例を示す図である。
図3】携帯型電子機器の外観の一例を示す斜視図である。
図4】携帯型電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
図5】路側機の構成の一例を示すブロック図である。
図6】車両に搭載される電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
図7】センター装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8】信号機制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】信号機制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】歩行者が車道上に位置する様子の一例を示す図である。
図11】歩行者が車道上に位置する様子の一例を示す図である。
図12】信号機制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】信号機制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図14】信号機制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<通信システムの概要>
図1及び2は通信システム1の一例を示す図である。通信システム1は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)で使用されるシステムである。具体的には、通信システム1は、ITSの安全運転支援通信システムとして使用されることが可能である。安全運転支援通信システムは、安全運転支援システムと呼ばれたり、安全運転支援無線システムと呼ばれたりする。
【0013】
図1に示されるように、通信システム1は、複数の携帯型電子機器2と、複数の路側機3と、複数の電子機器40がそれぞれ搭載された複数の車両4と、センター装置5とを備える。センター装置5は情報処理装置であると言える。複数の携帯型電子機器2と、複数の路側機3と、複数の電子機器40と、センター装置5とは、ネットワーク6に接続されている。複数の携帯型電子機器2と、複数の路側機3と、複数の電子機器40と、センター装置5とは、ネットワーク6を通じて互いに通信することが可能である。車両4は、それに搭載された電子機器40によって、携帯型電子機器2等の他の装置と通信することが可能である。ネットワーク6には、中継装置及びインターネット等が含まれる。以後、携帯型電子機器2を単に電子機器2と呼ぶことがある。また、車両4に搭載された電子機器40を車載機器40と呼ぶことがある。携帯型電子機器2は携帯機器とも言える。
【0014】
路側機3は、図2に示されるように、例えば、車道8に設けられた横断歩道80の近くに位置する。図2に示される車道8は、片側1車線の車道であって、第1車線8aと、当該第1車線8aの対向車線となる第2車線8bとを備える。路側機3は、例えば、第1車線8aの近くに位置する。
【0015】
車道8の近くには、車道8に沿って車道8に併設された2つの歩道9が存在する。2つの歩道9は、第1車線8aに沿って第1車線8aに併設された歩道9aと、第2車線8bに沿って第2車線8bに併設された歩道9bとを備える。
【0016】
ここで、本例では、歩道とは、車道に沿って当該車道に併設された、歩行者が通行するための道路であるとする。また、車道を横切る横断歩道は、歩道とは別のものであって、車道に含まれるものとする。
【0017】
車道8の上方には、車両4の横断歩道80の通行を制御するための2つの車両用信号機10が位置する。2つの車両用信号機10は、第1車線8aの上方に位置し、第1車線8aを走行する車両4の運転者が視認可能な車両用信号機10aと、第2車線8bの上方に位置し、第2車線8bを走行する車両4の運転者が視認可能な車両用信号機10bとを備える。
【0018】
また、車道8の近くには、歩行者の横断歩道80の通行を制御するための2つの歩行者用信号機11が位置する。2つの歩行者用信号機11は、第1車線8a側の歩道9aの上方に位置する歩行者用信号機11aと、第2車線8b側の歩道9bの上方に位置する歩行者用信号機11bとを備える。横断歩道80を歩道9b側から歩道9a側に向かって横断する歩行者は歩行者用信号機11aを視認可能である。一方で、横断歩道80を歩道9a側から歩道9b側に向かって横断する歩行者は歩行者用信号機11bを視認可能である。
【0019】
通信システム1では、路側機3と、車道8を走る自動車等の車両4と、歩道9を歩くユーザ20が所持する電子機器2とが、互いに通信を行うことが可能である。ユーザ20は、人であって、歩行者であるとも言える。また、複数の車両4は、互いに通信することが可能である。路側機3と車両4との間の通信、車両4間の通信、路側機3と歩行者の電子機器2との間の通信、歩行者の電子機器2と車両4の間の通信は、それぞれ、路車間通信、車車間通信、路歩間通信、歩車間通信と呼ばれる。以後、ユーザ20を歩行者20と呼ぶことがある。
【0020】
電子機器2は、ユーザ20からの所定の入力に応じて、当該電子機器2の位置情報等をセンター装置5等に送信することが可能である。ユーザ20は、例えば、自身にトラブルが発生した場合に、電子機器2に対して所定の入力を行う。センター装置5は、電子機器2のユーザ20にトラブルが発生した場合に所定の処理を行うことが可能である。歩行者20によって所持される電子機器2は、歩端末と呼ばれることがある。
【0021】
路側機3は、図2に示されるように、後述するカメラ320及び表示部340を備える。第1車線8aを走行する車両4の運転者及び第2車線8bを走行する車両4の運転者は、路側機3の表示部340の表示を視認することが可能である。
【0022】
横断歩道80の近くに位置する路側機3は、当該横断歩道80の車両4の通行を制御するための車両用信号機10a及び10bと、当該横断歩道80の歩行者の通行を制御するための歩行者用信号機11a及び11bとを制御することが可能である。路側機3は、その周辺に位置する車両用信号機10a及び10b及び歩行者用信号機11a及び11bを制御することが可能であると言える。
【0023】
また路側機3は、例えば、車両用信号機10及び歩行者用信号機11の灯火に関する情報及び道路規制に関する情報などを車両4及び電子機器2に通知することが可能である。また、路側機3は、その周辺の車両4及び歩行者を検知することが可能である。横断歩道80の近くに位置する路側機3は、例えば、横断歩道80を渡る歩行者を検知することが可能である。そして、路側機3は、検知した車両4及び歩行者に関する情報を、車両4及び電子機器2に通知することが可能である。また、路側機3は、車両4及び電子機器2から通知される情報を、他の車両4及び電子機器2に通知することが可能である。
【0024】
車両4は、自身の位置、速度及びウィンカーに関する情報などを、車載機器40を使用して、他の車両4、路側機3及び電子機器2に対して通知することが可能である。そして、車両4は、他の装置から通知される情報に基づいて警告等の各種通知を運転者に行うことによって、運転者の安全運転を支援することが可能である。車両4は、車載機器40が備えるスピーカ及び表示装置等を利用して、運転者に各種通知を行うことが可能である。
【0025】
本例の通信システム1では、一つの路側機3とセンター装置5が、信号機の周辺の人の移動速度に基づいて当該信号機を制御する信号機制御装置7(図1参照)を構成している。信号機制御装置7は、信号機制御システムとも言える。本例では、通信システム1は複数の路側機3を備えることから、通信システム1では、複数の路側機3をそれぞれ備える複数の信号機制御装置7が存在する。信号機制御装置7の動作については後で詳細に説明する。
【0026】
このように、通信システム1では、路車間通信、車車間通信、路歩間通信及び歩車間通信が行われることによって、車両4の運転者の安全運転が支援される。
【0027】
なお図2の例では、車両4として、自動車の車両が示されているが、車両4は、自動車以外の車両であってもよい。例えば、車両4は、バスの車両であってもよいし、路面電車の車両であってもよい。
【0028】
<電子機器の構成例>
図3は電子機器2の外観の一例を示す斜視図である。図4は電子機器2の電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示されるように、電子機器2は、当該電子機器2の外装を成すケース21を備える。ケース21は、例えば、細長い板状を成しており、ユーザ20が片手でそれを所持することが可能な形状となっている。電子機器2は、例えば、子供あるいはお年寄りに所持される機器である。なお、電子機器2のユーザ20は、子供及びお年寄り以外であってもよい。また、ケース21の形状は図3の例には限られない。
【0029】
電子機器2は、ケース21以外にも、図4に示されるように、制御部200、通信部210、操作ボタン220、衛星信号受信部230及びブザー240を備える。制御部200、通信部210、操作ボタン220、衛星信号受信部230及びブザー240は、ケース21内に収納されている。ユーザ20が操作ボタン220を操作できるように、操作ボタン220の表面の一部はケース21から露出している。
【0030】
制御部200は、電子機器2の他の構成要素を制御することによって、電子機器2の動作を統括的に管理することが可能である。制御部200は制御装置あるいは制御回路とも言える。制御部200は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。
【0031】
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路IC及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
【0032】
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続又は処理を実行するように構成された1以上の回路又はユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続き又は処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
【0033】
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス及び構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
【0034】
本例では、制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201及び記憶部202を備える。記憶部202は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの、CPU201が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部202が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROM(フラッシュメモリ)である。記憶部202には、電子機器2を制御するための制御プログラム202a等が記憶されている。制御部200の各種機能は、CPU201が記憶部202内の制御プログラム202aを実行することによって実現される。
【0035】
なお、制御部200の構成は上記の例に限られない。例えば、制御部200は、複数のCPU201を備えてもよい。また制御部200は、少なくとも一つのDSP(Digital Signal Processor)を備えてもよい。また、制御部200の全ての機能あるいは制御部200の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部202は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。記憶部202は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを備えていてもよい。
【0036】
通信部210は、有線及び無線の少なくとも一方でネットワーク6に接続されている。電子機器2の通信部210は、ネットワーク6を通じて、他の電子機器2、路側機3、車載機器40及びセンター装置5と通信することが可能である。また、通信部210は、路側機3とネットワーク6を介さずに直接無線通信することが可能である。通信部210は、例えば、ITSに割り当てられている700MHz帯を使用して、路側機3と直接無線通信を行うことが可能である。通信部210は、他の装置から受信した情報を制御部200に出力する。通信部210は、制御部200からの情報を他の装置に送信する。通信部210は通信回路とも言える。以後、単に700MHz帯と言えば、ITSに割り当てられている700MHz帯を意味する。
【0037】
なお、電子機器2の通信部210は、他の電子機器2、車載機器40及びセンター装置5の少なくとも一つと、ネットワーク6を介さずに直接通信することが可能であってもよい。この場合、通信部210は、例えば、700MHz帯を使用して、他の電子機器2、車載機器40及びセンター装置5の少なくとも一つと直接無線通信を行ってもよい。また、通信部210は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能であってもよい。この場合には、通信部210は、基地局を通じて、インターネットに接続された機器(例えば、携帯電話機及びウェブサーバ等)と通信することが可能である。また通信部210は、近距離無線通信を行うことが可能であってもよい。例えば、通信部210は、Bluetooth(登録商標)に準拠して無線通信することが可能であってもよい。また通信部210は、WiFi等の無線LAN(Local Area Network)を用いて無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部210は、他の無線通信方式に基づいて無線通信することが可能であってもよい。
【0038】
操作ボタン220は、ユーザ20にトラブルが発生した場合に当該ユーザ20が操作するボタンである。ユーザ20は、操作ボタン220を操作することによって、ユーザ20にトラブルが発生したことを電子機器2に対して通知することができる。操作ボタン220は、例えば押しボタンである。電子機器2を所持する子供あるいはお年寄りは、例えば、不審者に襲われた場合、急に体調を壊して動けなくなった場合、交通事故に巻きまれた場合などに、操作ボタン220を操作する。操作ボタン220が操作させると、操作ボタン220から操作信号が制御部200に出力される。制御部200は、操作ボタン220から操作信号が入力されると、操作ボタン220が操作されたと判断する。
【0039】
衛星信号受信部230は、測位衛星が送信する衛星信号を受信することが可能である。衛星信号受信部230は衛星信号受信回路とも言える。衛星信号受信部230は、受信した衛星信号に基づいて、電子機器2の絶対的な位置(言い換えれば、絶対座標系の位置)を示す位置情報を取得することが可能である。衛星信号受信部230は、電子機器2の位置情報を取得する位置取得部あるいは位置取得回路であると言える。衛星信号受信部230が取得する位置情報は、例えば、緯度、経度及び高度で表される。以後、衛星信号受信部230を単に受信部230と呼ぶことがある。
【0040】
受信部230は、例えばGPS受信機であって、GPS(Global Positioning System)の測位衛星からの無線信号を受信することが可能である。受信部230は、受信した無線信号に基づいて、電子機器2の現在位置を、例えば緯度、経度及び高度で算出し、算出した緯度、経度及び高度を含む位置情報を制御部200に出力する。受信部230は、位置情報を繰り返し取得する。電子機器2の位置情報は、当該電子機器2を持つユーザ20の位置を示す位置情報であるとも言える。
【0041】
なお受信部230は、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの信号に基づいて電子機器2の位置情報を求めてもよい。例えば、受信部230は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、COMPASS、Galileoあるいは準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellites System)の測位衛星からの信号に基づいて電子機器2の位置情報を求めてもよい。
【0042】
ブザー240は、制御部200による制御によって、音を出力したり、音の出力を停止したりする。
【0043】
本例では、操作ボタン220が操作されると、制御部200は、ユーザ20にトラブルが発生したことを示すトラブル発生情報を生成する。そして、制御部200は、通信部210に、生成したトラブル発生情報を、例えばセンター装置5に対して送信させる。トラブル発生情報には、例えば、受信部230で取得される位置情報と、電子機器2の識別情報とが含まれる。また、電子機器2の制御部200は、通信部210に、トラブル発生情報を当該電子機器2の周辺の路側機3に対して送信させる。このとき、通信部210は、例えば、700MHz帯を使用して、周辺の路側機3に対してトラブル発生情報をブロードキャストする。以後、操作ボタン220をトラブルボタン220と呼ぶことがある。
【0044】
電子機器2の構成は、上記の例に限られない。例えば、電子機器2はスピーカ及び表示部の少なくとも一方を備えてもよい。また電子機器2は、スマートフォン等の携帯電話機であってもよい。また、電子機器2は、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル機器などであってよい。電子機器2として採用されるウェアラブル機器は、リストバンド型あるいは腕時計型などの腕に装着するタイプであってもよいし、ヘッドバンド型あるいはメガネ型などの頭に装着するタイプであってもよいし、服型などの体に装着するタイプであってもよい。
【0045】
<路側機の構成例>
図5は路側機3の構成の一例を示すブロック図である。図5に示されるように、路側機3は、制御部300、通信部310、カメラ320、センサー330及び表示部340を備える。制御部300は、路側機3の他の構成要素を制御することによって、路側機3の動作を統括的に管理することが可能である。制御部300は制御装置あるいは制御回路とも言える。制御部300は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。電子機器2の制御部200が備えるプロセッサについての上記の説明は、制御部300が備えるプロセッサについても適用することができる。
【0046】
本例では、制御部300は、CPU301及び記憶部302を備える。記憶部302は、ROM及びRAMなどの、CPU301が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部302が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROMである。記憶部302には、路側機3を制御するための制御プログラム302a等が記憶されている。制御部300の各種機能は、CPU301が記憶部302内の制御プログラム302aを実行することによって実現される。
【0047】
なお、制御部300の構成は上記の例に限られない。例えば、制御部300は、複数のCPU301を備えてもよい。また制御部300は、少なくとも一つのDSPを備えてもよい。また、制御部300の全ての機能あるいは制御部300の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部302は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。
【0048】
通信部310は、有線及び無線の少なくとも一方でネットワーク6に接続されている。路側機3の通信部310は、ネットワーク6を通じて、他の路側機3、電子機器2、車載機器40及びセンター装置5と通信することが可能である。また、路側機3の通信部310は、他の路側機3、電子機器2及び車載機器40とネットワーク6を介さずに直接無線通信することが可能である。通信部310は、例えば、700MHz帯を使用して、路側機3の周辺の車載機器40と、路側機3の周辺の電子機器2と直接無線通信を行うことが可能である。また、路側機3の通信部310は、例えば、700MHz帯を使用して、当該路側機3の隣の路側機3と直接無線通信を行うことが可能である。通信部310は、他の装置から受信した情報を制御部300に出力する。通信部310は、制御部300からの情報を他の装置に送信する。通信部310は通信回路とも言える。
【0049】
また通信部310は、車両用信号機10及び歩行者用信号機11に接続されている。制御部300は、通信部310を介して、車両用信号機10及び歩行者用信号機11を制御することが可能である。
【0050】
なお、路側機3の通信部210は、センター装置5と、ネットワーク6を介さずに直接通信することが可能であってもよい。この場合、通信部210は、例えば700MHz帯を使用して、センター装置5と直接無線通信を行ってもよい。また、通信部310は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能であってもよい。また通信部310は、近距離無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部310は、WiFi等の無線LANを用いて無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部310は、他の無線通信方式に基づいて無線通信することが可能であってもよい。
【0051】
カメラ320は、車道8あるいは歩道9の上方に位置する。カメラ320は、路側機3の周辺の道路の様子を撮影することが可能である。言い換えれば、カメラ320は、車両用信号機10及び歩行者用信号機11の周辺の道路の様子を撮影することが可能である。本例では、カメラ320は、横断歩道80の様子と、その周囲の様子とを撮影することが可能である。カメラ320は、一方の歩道9aにおける、横断歩道80の周辺の部分の様子と、他方の歩道9bにおける、横断歩道80の周辺の部分の様子とを撮影することが可能である。カメラ320で生成された画像は制御部300に入力される。カメラ320は、例えば動画を撮影することが可能である。
【0052】
センサー330は、路側機3の周辺の道路の状況を検出することが可能である。センサー330は、例えば、レーダーセンサ及び赤外線センサ等を備えている。センサー330は、例えば、路側機3の周辺の歩行者及び車両4を検出することが可能である。センサー330は、検出結果を制御部300に出力する。
【0053】
表示部340は、制御部300によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。表示部340は、図2に示されるように、車道8の上方に位置する。これにより、車道8上の車両4の運転者は、表示部340で表示される情報を視認することができる。表示部340は、発光体として、例えば発光ダイオードを備える。なお、表示部340は発光ダイオード以外の発光体を備えてもよい。例えば、表示部340は液晶ディスプレイであってもよいし、有機ELディスプレイであってもよい。
【0054】
<車載機器の構成例>
図6は車載機器40の構成の一例を示す図である。車載機器40は、例えば、カーナビゲーション装置と、ラジオ等を含む音響機器とを備える。車載機器40は、カーナビゲーション装置及び音響機器のうち、カーナビゲーション装置だけを備えてもよいし、音響機器だけを備えてもよい。また、車載機器40は、車両4のライト及び方向指示器等を制御する車両制御機能を有してもよい。
【0055】
図6に示されるように、車載機器40は、例えば、制御部400、通信部410、表示部420、タッチパネル430、衛星信号受信部440、スピーカ450、センサー460及びカメラ470を備える。
【0056】
制御部400は、車載機器40の他の構成要素を制御することによって、車載機器40の動作を統括的に管理することが可能である。制御部400は制御装置あるいは制御回路とも言える。制御部400は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。電子機器2の制御部200が備えるプロセッサについての上記の説明は、制御部400が備えるプロセッサについても適用することができる。
【0057】
本例では、制御部400は、CPU401及び記憶部402を備える。記憶部402は、ROM及びRAMなどの、CPU401が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部402が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROMである。記憶部402には、車載機器40を制御するための制御プログラム402a等が記憶されている。制御部400の各種機能は、CPU401が記憶部402内の制御プログラム402aを実行することによって実現される。
【0058】
なお、制御部400の構成は上記の例に限られない。例えば、制御部400は、複数のCPU401を備えてもよい。また制御部400は、少なくとも一つのDSPを備えてもよい。また、制御部400の全ての機能あるいは制御部400の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部402は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。
【0059】
通信部410は、有線及び無線の少なくとも一方でネットワーク6に接続されている。車載機器40の通信部410は、ネットワーク6を通じて、他の車載機器40、路側機3、電子機器2及びセンター装置5と通信することが可能である。また、通信部410は、路側機3とネットワーク6を介さずに直接無線通信することが可能である。通信部410は、例えば、700MHz帯を使用して、車両4の周辺の路側機3と直接無線通信を行うことが可能である。通信部410は、他の装置から受信した情報を制御部400に出力する。通信部410は、制御部400からの情報を他の装置に送信する。通信部410は通信回路とも言える。
【0060】
なお、車載機器40の通信部410は、他の車載機器40、電子機器2及びセンター装置5の少なくとも一つと、ネットワーク6を介さずに直接通信することが可能であってもよい。この場合、車載機器40の通信部410は、例えば、700MHz帯を使用して、他の車載機器40、電子機器2及びセンター装置5の少なくとも一つと直接無線通信を行ってもよい。また、通信部410は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能であってもよい。また通信部410は、近距離無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部410は、WiFi等の無線LANを用いて無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部410は、他の無線通信方式に基づいて無線通信することが可能であってもよい。
【0061】
表示部420は、例えば、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイである。表示部420は、制御部400によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。
【0062】
タッチパネル430は、表示部420の表示画面に対する指等の操作子による操作を検出することが可能である。タッチパネル430は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルである。車載機器40のユーザが指等の操作子によって、表示部420の表示画面に対して操作を行ったとき、その操作に応じた電気信号をタッチパネル430は制御部400に入力することが可能である。制御部400は、タッチパネル430からの電気信号に基づいて、表示画面に対して行われた操作の内容を特定することが可能である。そして制御部400は、特定した操作内容に応じた処理を行うことが可能である。
【0063】
衛星信号受信部440は、測位衛星が送信する衛星信号を受信することが可能である。衛星信号受信部440は衛星信号受信回路とも言える。衛星信号受信部440は、受信した衛星信号に基づいて、車両4の絶対的な位置(言い換えれば、絶対座標系の位置)を示す位置情報を取得することが可能である。衛星信号受信部440は、車両4の位置情報を取得する位置取得部あるいは位置取得回路であると言える。衛星信号受信部440が取得する位置情報は、例えば、緯度、経度及び高度で表される。以後、衛星信号受信部440を単に受信部440と呼ぶことがある。
【0064】
受信部440は、例えばGPS受信機であって、GPSの測位衛星からの無線信号を受信することが可能である。受信部440は、受信した無線信号に基づいて、車両4の現在位置を、例えば緯度、経度及び高度で算出し、算出した緯度、経度及び高度を含む位置情報を制御部200に出力する。受信部440は、位置情報を繰り返し取得する。
【0065】
なお受信部440は、GPS以外のGNSSの測位衛星からの信号に基づいて電子機器2の位置情報を求めてもよい。例えば、受信部440は、GLONASS、IRNSS、COMPASS、Galileoあるいは準天頂衛星システムの測位衛星からの信号に基づいて車両4の位置情報を求めてもよい。
【0066】
スピーカ450は、例えばダイナミックスピーカである。スピーカ450は、制御部400からの電気的な音信号を音に変換し、それによって得られた音を車載機器40の外部に出力することが可能である。
【0067】
センサー460は、例えば、複数種類のセンサーを備える。センサー460は、例えば、加速度センサー、地磁気センサー及びジャイロセンサー等を備える。制御部400は、加速度センサー、地磁気センサー及びジャイロセンサーでの検出結果に基づいて、車両4の進行方向等を特定することが可能である。また制御部400は、加速度センサー、地磁気センサー及びジャイロセンサーでの検出結果に基づいて、受信部440で取得される位置情報を補正することが可能である。センサー460が備えるセンサーの種類はこの限りではない。
【0068】
カメラ470は、車両4の周辺を撮影することが可能である。カメラ470は、例えば、車両4の前方の様子を撮影することが可能である。カメラ470は、制御部400による制御によって、例えば動画を撮影する。カメラ470は、ドライブレコーダと呼ばれるカメラであってもよいし、他のカメラであってもよい。
【0069】
以上のような構成を備える車載機器40では、通信部410が、路側機3の通信部310が送信する情報を受信する。車載機器40では、制御部400が、受信部440及びセンサー460で得られた各種情報等に基づいて、車両4に関する車両情報を生成する。車載機器40は、生成した車両情報及び路側機3からの情報等に基づいて、車両4の運転者に対して警告等の通知を行う。車載機器40は、表示部420及びスピーカ450等を用いて、車両4の運転者に対して警告等の通知を行うことができる。
【0070】
<センター装置の構成例>
図7はセンター装置5の構成の一例を示すブロック図である。図7に示されるように、センター装置5は、制御部500及び通信部510を備える。制御部500は、センター装置5の他の構成要素を制御することによって、センター装置5の動作を統括的に管理することが可能である。制御部500は制御装置あるいは制御回路とも言える。制御部500は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。電子機器2の制御部200が備えるプロセッサについての上記の説明は、制御部500が備えるプロセッサについても適用することができる。
【0071】
本例では、制御部500は、CPU501及び記憶部502を備える。記憶部502は、ROM及びRAMなどの、CPU501が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部502が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROMである。記憶部502には、センター装置5を制御するための制御プログラム502a等が記憶されている。制御部500の各種機能は、CPU501が記憶部502内の制御プログラム502aを実行することによって実現される。
【0072】
なお、制御部500の構成は上記の例に限られない。例えば、制御部500は、複数のCPU501を備えてもよい。また制御部500は、少なくとも一つのDSPを備えてもよい。また、制御部500の全ての機能あるいは制御部500の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部502は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。
【0073】
通信部510は、有線及び無線の少なくとも一方でネットワーク6に接続されている。通信部510は、ネットワーク6を通じて、電子機器2、路側機3及び車載機器40と通信することが可能である。通信部510は、他の装置から受信した情報を制御部500に出力する。通信部510は、制御部500からの情報を他の装置に送信する。通信部510は通信回路とも言える。
【0074】
なお、通信部510は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能であってもよい。また通信部510は、近距離無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部510は、WiFi等の無線LANを用いて無線通信を行うことが可能であってもよい。また通信部510は、他の無線通信方式に基づいて無線通信することが可能であってもよい。
【0075】
以上のような構成を有するセンター装置5は、電子機器2からトラブル発生情報を受け取ると、所定の処理を実行する。センター装置5では、通信部510が電子機器2からトラブル発生情報を受信すると、制御部500は、当該電子機器2のユーザ20にトラブルが発生したと判断する。そして、制御部500は、発生したトラブルに応じる処理を行う。
【0076】
例えば、制御部500は、受信されたトラブル発生情報に含まれる位置情報が示す位置においてトラブルが発生したことを通知するトラブル通知情報を生成する。そして、制御部500は、通信部510に、生成したトラブル通知情報を、所定の通信装置に対して送信させる。通信部510は、トラブル通知情報を例えば警察署あるいは交番が有する通信装置に送信してもよい。このとき、通信部510は、トラブルが発生したユーザ20の位置に最も近い警察署あるいは交番の通信装置にトラブル通知情報を送信してもよい。警察署あるいは交番が備える通信装置がトラブル通知情報を受信すると、例えば、トラブルが発生したユーザ20が存在する場所まで警察官が駆けつけることになる。また、通信部510はトラブル通知情報を警備会社が有する通信装置に送信してもよい。警備会社が備える通信装置がトラブル通知情報を受信すると、例えば、トラブルが発生したユーザ20が存在する場所まで警備員が駆けつけることになる。また、通信部510は、受信したトラブル発生情報に含まれる識別情報に対して予め通知先の装置が対応付けられている場合には、当該通知先の装置にトラブル通知情報を送信してもよい。ユーザ20が子供である場合、通知先の装置としては、例えば、ユーザ20の親の携帯電話機が考えられる。また、ユーザ20がお年寄りである場合、通知先の装置としては、例えば、ユーザ20の子供の携帯電話機が考えられる。
【0077】
なお、センター装置5がトラブル発生情報を受信したときの当該センター装置5の動作は上記の限りではない。また、電子機器2は、操作ボタン220が操作されたときに、トラブル発生情報を送信しているが、電子機器2に対する他の入力に応じてトラブル発生情報を送信してもよい。例えば、電子機器2がマイクを備える場合を考える。この場合、電子機器2は、ユーザ20が発する所定の音声がマイクに入力されたとき、トラブル発生情報を送信してもよい。他の例として、電子機器2が、当該電子機器2の振動を検出する加速度センサーを備える場合を考える。この場合、電子機器2は、ユーザ20が電子機器2に加える所定の振動を加速度センサーが検出したとき、トラブル発生情報を送信してもよい。
【0078】
<信号機制御装置の動作例>
図8及び9は、信号機制御装置7の路側機3がトラブル発生情報を受信する場合の当該信号機制御装置7の動作の一例を示すフローチャートである。図8及び9の処理についての以下の説明においては、トラブルボタン220が操作された電子機器2を対象電子機器2と呼ぶ。また、対象電子機器2を所持するユーザ20、つまりトラブルが発生したユーザ20を対象ユーザ20あるいは対象歩行者20と呼ぶ。また、対象電子機器2からトラブル発生情報を受信する路側機3を対象路側機3と呼ぶ。
【0079】
図8に示されるように、ステップs1において、対象路側機3の通信部310が、対象電子機器2からトラブル発生情報を直接受信すると、ステップs2が実行される。700MHz帯を用いた通信の通信距離はあまり大きくないことから、対象路側機3が対象電子機器2からトラブル発生情報を直接受信できる場合には、対象電子機器2は対象路側機3に近い位置に存在すると言える。
【0080】
ステップs2において、対象路側機3の制御部300は、ステップs1で受信されたトラブル発生情報に含まれる位置情報に基づいて、カメラ320で得られる画像において対象ユーザ20を特定するユーザ特定処理を実行する。ユーザ特定処理は、カメラ320で得られる画像に対象ユーザ20が写っているか否かを判定する処理であるとも言える。ユーザ特定処理については後で詳細に説明する。以後、カメラ320で得られる画像をカメラ画像と呼ぶことがある。また、対象ユーザ20が写るカメラ画像を対象カメラ画像と呼ぶことがある。
【0081】
次にステップs3において、制御部300は、ステップs2のユーザ特定処理において、対象ユーザ20がカメラ画像において特定できたか否かを判定する。ユーザ特定処理において対象ユーザ20が特定された場合、言い換えれば、カメラ画像に対象ユーザ20が写っている場合、ステップs4が実行される。一方で、ユーザ特定処理において対象ユーザ20が特定されなかった場合には、言い換えれば、カメラ画像に対象ユーザ20が写っていない場合、図8の処理が終了する。
【0082】
ステップs4において、制御部300は、対象ユーザ20が位置する場所を特定する。ステップs4では、制御部300は、例えば対象カメラ画像に基づいて、対象ユーザ20が車道8に位置するか、歩道9に位置するかを判定する。制御部300は、例えば、道路の形状情報を含む地図情報に基づいて、対象カメラ画像において、車道8が写る領域と、歩道9が写る領域とを特定する。この地図情報は記憶部302内に記憶されている。そして、制御部300は、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域が、車道8が写る領域内に存在する場合には、対象ユーザ20が車道8に位置していると判定する。一方で、制御部300は、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域が、歩道9が写る領域内に存在する場合には、対象ユーザ20が歩道9に位置していると判定する。制御部300は、対象カメラ画像に対して画像処理を行うことによって、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域を特定することができる。制御部300は、例えば、人工知能(AI)を用いて、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域を特定してもよい。例えば、制御部300は、ニューラルネットワークを用いて、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域を特定してもよい。
【0083】
本例では、カメラ画像には、車道8における、横断歩道80以外の部分はほとんど写らないことから、ステップs4の処理は、対象ユーザ20が横断歩道80に位置するか、歩道9に位置するかを判定する処理であると言える。
【0084】
ステップs4において、対象ユーザ20が車道8に位置すると判定されると、ステップs5とステップs11が実行される。言い換えれば、対象歩行者20が横断歩道80に位置すると判定されると、ステップs5とステップs11が実行される。一方で、対象ユーザ20が歩道9に位置すると判定されると、図9に示されるステップs21が実行される。
【0085】
ステップs5において、制御部300は、車道8上の対象ユーザ20の現在の移動速度を取得する。対象ユーザ20の移動速度は歩行速度であるとも言える。制御部300は、例えば対象カメラ画像に基づいて、対象ユーザ20の現在の移動速度を取得する。対象ユーザ20の移動速度に応じて、対象カメラ画像での対象ユーザ20の位置が変化することから、制御部300は、対象カメラ画像に対して画像処理を行うことによって、対象ユーザ20の現在の移動速度を取得することができる。対象ユーザ20の現在の移動速度は、対象ユーザ20の実際の移動速度であると言える。
【0086】
なお、対象路側機3が対象ユーザ20の現在の移動速度を取得する方法は上記の例に限られない。例えば、対象電子機器2が、対象ユーザ20の移動速度を含むトラブル発生情報を送信する場合には、対象路側機3は、受信したトラブル発生情報から、対象ユーザ20の移動速度を取得してもよい。対象電子機器2は、例えば、受信部230で得られる位置情報に基づいて、対象ユーザ20の現在の移動速度を求めることができる。
【0087】
ステップs5の後、ステップs6において、信号機制御装置7は、対象ユーザ20の通常の移動速度を取得する。ステップs6では、まず、路側機3の制御部300が、通信部310に、ステップs1で受信されたトラブル発生情報に含まれる識別情報をセンター装置5に対して送信させる。センター装置5の記憶部502には、各電子機器2について、当該電子機器2の識別情報と、当該電子機器2のユーザ20に関するユーザ情報とが対応付けられている。ユーザ情報には、例えば、ユーザ20の年齢及び性別が含まれている。センター装置5では、通信部510が対象路側機3から対象電子機器2の識別情報を受信すると、制御部500は、記憶部502内において、受信された識別情報に対応付けられているユーザ情報を取得する。このユーザ情報は、対象ユーザ20のユーザ情報である。制御部500は、対象ユーザ20のユーザ情報に基づいて、対象ユーザ20の通常の移動速度を求める。
【0088】
ここで、記憶部502には、男性の各年齢について、その年齢の人についての平均的な歩行速度が記憶されている。また記憶部502には、女性の各年齢について、その年齢の人についての平均的な歩行速度が記憶されている。制御部500は、ユーザ情報に含まれる対象ユーザ20の性別及び年齢と同じ性別及び年齢の人の平均的な歩行速度を記憶部502から取得する。そして、制御部500は、取得した平均的な歩行速度を、対象ユーザ20の通常の移動速度として使用する。これにより、信号機制御装置7では、車道8に存在する対象歩行者20の通常の移動速度が取得される。ステップs6において、制御部500は、通信部510に、取得した通常の移動速度を対象路側機3に対して送信させる。なお、ユーザ20の通常の移動速度の取得方法はこれに限られない。
【0089】
ステップs6の後、ステップs7において、対象路側機3は、カメラ画像に写る横断歩道80の通行を制御するための車両用信号機10及び歩行者用信号機11を制御する。ステップs7において、対象路側機3の制御部300は、対象ユーザ20の現在の移動速度と通常の移動速度のうち遅い方の移動速度を特定する。そして、制御部300は、特定した遅い方の移動速度に基づいて、車両用信号機10及び歩行者用信号機11を制御する。以後、ステップs6で特定された遅い方の移動速度を特定速度と呼ぶことがある。
【0090】
例えば、ステップs6が実行されるタイミングで、歩行者用信号機11が青色に点灯している場合を考える。この場合、制御部300は、通信部310を介して歩行者用信号機11を制御することにより、歩行者用信号機11の青色の点灯時間を本来の時間よりも延長する。そして、制御部300は、特定速度が遅いほど、青色の点灯時間の延長時間を長くする。これにより、車道8上において、歩行者20にトラブルが発生した場合であっても、歩行者用信号機11が青色に点灯している間に歩行者20が車道8を渡り切れる可能性が向上する。言い換えれば、横断歩道80上において、歩行者20にトラブルが発生した場合であっても、歩行者用信号機11が青色に点灯している間に歩行者20が横断歩道80を渡り切れる可能性が向上する。よって、歩行者20の安全性が向上する。制御部300は、歩行者用信号機11の青色の点灯時間を延長する場合には、それに合わせて、車両用信号機10の赤色の点灯時間を延長する。
【0091】
他の例として、ステップs6が実行されるタイミングで、歩行者用信号機11が青色に点滅している場合を考える。この場合、制御部300は、通信部310を介して歩行者用信号機11を制御することにより、歩行者用信号機11の状態を、青色に点滅している状態から、青色に点灯する状態に変化させる。そして、制御部300は、特定速度が遅いほど、青色の点灯時間を長く設定する。これにより、歩行者20の安全性が向上する。制御部300は、歩行者用信号機11の状態を、青色の点滅状態から青色の点灯状態に変化させる場合には、それに合わせて、車両用信号機10の赤色の点灯時間を延長する。
【0092】
他の例として、ステップs6が実行されるタイミングで、歩行者用信号機11が赤色に点灯している場合を考える。この場合、制御部300は、通信部310を介して歩行者用信号機11を制御することにより、歩行者用信号機11の状態を、赤色に点灯している状態から、青色に点灯する状態に変化させる。そして、制御部300は、特定速度が遅いほど、青色の点灯時間を長く設定する。これにより、歩行者20の安全性が向上する。制御部300は、歩行者用信号機11の状態を、赤色の点灯状態から青色の点灯状態に変化させる場合には、それに合わせて、車両用信号機10の状態を、青色の点灯状態あるいは黄色の点灯状態から、赤色の点灯状態に変化させる。
【0093】
このように、本例の信号機制御装置7は、信号機の周辺の車道8に位置する歩行者20を特定している。そして、信号機制御装置7は、特定した車道8上の歩行者20の移動速度に基づいて当該信号機を制御している。これにより、歩行者20の安全性が向上するように信号機を適切に制御することができる。
【0094】
また、歩行者20の移動速度は、当該歩行者20が車道8を渡っている間に変化することがある。本例のように、信号機制御装置7が、歩行者20の現在の移動速度と、歩行者20の通常の移動速度のうち、遅い方の移動速度に基づいて信号機を制御することによって、歩行者20の安全性がさらに向上する。
【0095】
また本例では、信号機制御装置7は、トラブル発生情報の受信に応じて、言い換えれば、対象電子機器2からの対象ユーザ20のトラブルの発生の通知に応じて、対象ユーザ20が車道8に位置するか、歩道9に位置するかを判定している。そして、信号機制御装置7は、対象ユーザ20が車道8に位置すると判定した場合、対象ユーザ20の移動速度に基づいて信号機を制御している。これにより、車道8上で歩行者20にトラブルが発生した場合であっても、当該歩行者20が車道8を安全に渡れる可能性を向上することができる。
【0096】
なお、信号機制御装置7は、特定速度の代わりに、ステップs5で取得する対象ユーザ20の現在の移動速度を使用してもよい。つまり、信号機制御装置7は、対象ユーザ20の現在の移動速度に基づいて信号機を制御してもよい。この場合には、ステップs6の実行が不要となる。
【0097】
また、信号機制御装置7は、特定速度の代わりに、ステップs6で取得する対象ユーザ20の通常の移動速度を使用してもよい。つまり、信号機制御装置7は、対象ユーザ20の通常の移動速度に基づいて信号機を制御してもよい。この場合には、ステップs5の実行が不要となる。
【0098】
上述のように、ステップs4において、対象ユーザ20が車道8に位置すると判定されると、ステップs5だけではなく、ステップs11が実行される。ステップs11において、対象路側機3の制御部300は、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを通知する第1通知情報を生成する。そして、制御部300は、第1通知情報を表示部340に表示させる。第1通知情報は、文字、記号及び図形の少なくとも一つが使用されて表示される。例えば、表示部340は、第1通知情報として、「車道上の歩行者にトラブル発生」といった文字列と、注意を促す図形とを表示する。これにより、対象路側機3の周囲の人は、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを容易に認識することが可能となる。例えば、対象路側機3の周囲を走行する車両4の運転者及び対象路側機3の周囲の歩行者は、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを容易に認識することが可能となる。よって、対象路側機3の周囲に存在する人は、トラブルが発生した歩行者に対する適切な対応をとることが可能となる。
【0099】
ステップs11の後、ステップs12において、対象路側機3は、周辺の車両4に対する通知を行うための第2通知情報を、周辺の車両4に対して送信する。第2通知情報には、上述のステップs11で生成された第1通知情報が含まれる。さらに第2通知情報には、車両4に対して、撮影を行い、得られた撮影画像を保存することを指示する撮影保存通知を行うための第3通知情報が含まれる。ステップs12において、対象路側機3では、制御部300が、通信部310に、第2通知情報を周辺の車両4に対して送信させる。これにより、車両4に対しては、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することが通知されるとともに、撮影保存通知が行われる。車両4に対して、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することが通知されることによって、当該車両4の運転者は、トラブルが発生した歩行者が周辺の車道8に存在することを容易に認識することが可能となる。ステップs12において、通信部310は、例えば700MHz帯を使用して、第2通知情報を周辺の車両4に対してブロードキャストする。
【0100】
車両4では、車載機器40の通信部410が対象路側機3からの第2通知情報を受信する。車載機器40の制御部400は、通信部410で受信された第2通知情報に含まれる第1通知情報に基づいて、トラブルが発生した歩行者が周辺の車道8に存在することを、スピーカ450及び表示部420の少なくとも一方を使用して運転者に通知する。さらに、制御部400は、第2通知情報に含まれる第3通知情報による撮影保存通知に応じた処理を行う。制御部400は、撮影保存通知を受け取ったときにカメラ470が撮影中ではない場合、カメラ470に動画撮影を開始させる。そして、制御部400は、カメラ470が所定時間(例えば数秒から数十秒)動画撮影を行うと、カメラ470で得られた撮影画像をトラブル発生時画像として記憶部402に保存する。トラブル発生時画像は、カメラ470で所定時間撮影された動画である。制御部400は、例えばタッチパネル430に対して所定の操作が行われると、記憶部402内のトラブル発生時画像を表示部420に表示させる。トラブル発生時画像については、例えば、車載機器40は自動的に記憶部402から消去することはなく、車載機器40のユーザからの消去指示があった場合に、記憶部402から消去する。
【0101】
一方で、制御部400は、通信部410が撮影保存通知を受け取ったときにカメラ470が撮影中の場合、撮影保存通知を受け取ったタイミングに基づいて決定した特定期間においてカメラ470で得られる撮影画像を、当該特定期間外においてカメラ470で得られた撮影画像とは別の画像として記憶部402に保存する。言い換えれば、制御部400は、特定期間においてカメラ470で得られた撮影画像を、当該特定期間外においてカメラ470で得られた撮影画像とは別の画像ファイルとして記憶部402に保存する。さらに、言い換えれば、制御部400は、特定期間においてカメラ470で撮影された動画を、当該特定期間外においてカメラ470で撮影された動画とは別の動画として記憶部402に保存する。
【0102】
ここで、車両4が撮影保存通知を受け取ったタイミング(言い換えれば、車載機器40が第2通知情報を受け取ったタイミング)から第1所定時間前のタイミングを第1タイミングとする。また、車両4が撮影保存通知を受け取ったタイミングよりも第2所定時間後のタイミングを第2タイミングとする。特定期間としては、例えば、第1タイミングから第2タイミングまでの期間が採用される。第1及び第2所定時間のそれぞれは、例えば、数秒から数十秒に設定される。第1所定時間と第2所定時間は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、特定期間としては、車両4が撮影保存通知を受け取ったタイミングから第2タイミングまでの期間が採用されてもよい。以後、特定期間においてカメラ470で得られる撮影画像(言い換えれば特定期間においてカメラ470で撮影された動画)を、特定期間画像と呼ぶことがある。また、特定期間外においてカメラ470で得られる撮影画像を、特定期間外画像と呼ぶことがある。
【0103】
制御部400は、例えばタッチパネル430に対して所定の操作が行われると、記憶部402内の特定期間画像を表示部420に表示させる。特定期間画像については、例えば、車載機器40は自動的に記憶部402から消去することはなく、車載機器40のユーザからの消去指示があった場合に、記憶部402から消去する。なお、制御部400は、例えばタッチパネル430に対して所定の操作が行われると、記憶部402内の特定期間外画像を表示部420に表示させてもよい。
【0104】
制御部400は、特定期間画像を保存する場合、特定期間画像を識別するための識別情報と、当該特定期間画像とを互いに対応付けて記憶部402に保存してもよい。また、制御部400は、特定期間画像と特定期間外画像とを別々の記憶領域に保存してもよい。この場合、記憶部402は、特定期間画像を記憶するための第1記憶領域と、特定期間外画像を記憶するための第2記憶領域とを有する。車載機器40において、複数の特定期間画像が得られる場合には、当該複数の特定期間画像は第1記憶領域に記憶される。
【0105】
このように、本例では、信号機を制御する信号機制御装置7は、トラブルが発生した歩行者が、当該信号機の周辺の車道8に位置すると判定した場合、当該信号機の周辺の車両4に対して撮影保存通知を行う。これにより、車両4のカメラ470で撮影された撮影画像を確認することによって、車道8上においてトラブルが発生した歩行者の様子を確認することが可能となる。よって、信号機制御装置7の利便性が向上する。
【0106】
ステップs12の後、ステップs13において、制御部300は、通信部310に、ステップs11で生成した第1通知情報を周辺の電子機器2に対して送信させる。これにより、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することが周辺の電子機器2に対して対象路側機3から通知される。その結果、電子機器2のユーザ20は、トラブルが発生した歩行者が周辺の車道8に存在することを容易に認識することが可能となる。ステップs13において、通信部310は、例えば、700MHz帯を使用して、第1通知情報を周辺の電子機器2に対してブロードキャストする。
【0107】
電子機器2では、通信部210が第1通知情報を受信すると、制御部200は、ブザー240を鳴らして、トラブルが発生した歩行者が周辺の車道8に存在することをユーザ20に通知する。なお、電子機器2がスピーカを備える場合には、制御部200は、スピーカから音を出力させて、トラブルが発生した歩行者が周辺の車道8に存在することをユーザ20に通知してもよい。また、電子機器2が表示部を備える場合には、制御部200は第1通知情報を表示部に表示させてもよい。
【0108】
このように、本例では、信号機を制御する信号機制御装置7は、トラブルが発生した歩行者が、当該信号機の周辺の車道8に存在すると判定した場合、当該信号機の周辺に位置する電子機器2に対して通知を行う。これにより、電子機器2のユーザ20は、周辺の車道8に、トラブルが発生した歩行者が存在することを容易に認識することが可能となる。周辺の車道8に、トラブルが発生した歩行者が存在することを認識したユーザ20は、その歩行者に対して適切な対応をとることが可能となる。よって、信号機制御装置7の利便性が向上する。
【0109】
ステップs13の後、ステップs14において、対象路側機3の制御部300は、カメラ320に撮影を行わせる。カメラ320は、例えば数秒から数十秒動画を撮影する。これにより、対象路側機3のカメラ320で撮影された撮影画像を確認することによって、車道8上においてトラブルが発生した歩行者の様子を確認することが可能となる。よって、信号機制御装置7の利便性が向上する。
【0110】
ステップs14の後、ステップs15において、対象路側機3の制御部300は、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することの通知先の路側機3を決定する。ステップs15では、制御部300は、まず、車道8において対象ユーザ20が位置する場所での車両4の進行方向を特定する。本例では、制御部300は、対象ユーザ20が第1車線8aに位置するのか、第2車線8bに位置するのかを特定する。制御部300は、対象ユーザ20が第1車線8aに位置する場合には、第1車線8aでの車両4の進行方向を、対象ユーザ20が位置する場所での車両4の進行方向とする。一方で、制御部300は、対象ユーザ20が第2車線8bに位置する場合には、第2車線8bでの車両4の進行方向を、対象ユーザ20が位置する場所での車両4の進行方向とする。記憶部302内には、第1車線8aでの車両4の進行方向を示す情報と、第2車線8bでの車両4の進行方向を示す情報とが記憶されている。以後、制御部300によって特定される、対象ユーザ20が位置する場所での車両4の進行方向を、特定進行方向と呼ぶことがある。
【0111】
制御部300は、対象ユーザ20が写る対象カメラ画像と、記憶部302内の地図情報とに基づいて、対象ユーザ20が第1車線8aに位置するのか、第2車線8bに位置するのかを特定することができる。制御部300は、地図情報に基づいて、対象カメラ画像において、第1車線8aが写る領域と、第2車線8bが写る領域とを特定する。そして、制御部300は、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域が、第1車線8aが写る領域内に存在する場合には、対象ユーザ20が第1車線8aに位置していると判定する。一方で、制御部300は、対象カメラ画像において、対象ユーザ20の足元が写る領域が、第2車線8bが写る領域内に存在する場合には、対象ユーザ20が第2車線8bに位置していると判定する。
【0112】
制御部300は、対象ユーザ20が位置する場所での車両4の進行方向を特定すると、対象路側機3よりも、特定進行方向とは逆方向側に位置する路側機3を、通知先の路側機3として決定する。制御部300は、例えば、対象路側機3の隣の路側機3であって、対象路側機3よりも、特定進行方向とは逆方向側に位置する路側機3を、通知先の路側機3として決定する。以後、対象路側機3の隣の対象路側機3であって、対象路側機3よりも、特定進行方向とは逆方向側に位置する路側機3を、一つ手前の路側機3と呼ぶことがある。また、対象路側機3の隣の対象路側機3であって、対象路側機3よりも特定進行方向側に位置する路側機3を、一つ先の路側機3と呼ぶことがある。
【0113】
ステップs15の後、ステップs16において、対象路側機3は、一つ手前の路側機3に対して、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを通知する。ステップs16において、制御部300は、通信部310に、ステップs11で生成された第1通知情報と一つ手前の路側機3の識別情報とを、例えば700MHz帯を使用して周辺の路側機3に対してブロードキャストさせる。対象路側機3の記憶部302には、一つ手前の路側機3の識別情報と、一つ先の路側機3の識別情報とが記憶されている。
【0114】
ここで、700MHz帯を使用した通信の通信距離はあまり大きくなく、路側機3が700MHz帯を使用してブロードキャストした情報は、当該路側機3の隣の路側機3には届くものの、さらに隣の路側機3までは届かない。対象路側機3の通信部310がブロードキャストした識別情報及び第1通知情報は、一つ手前の路側機3と、一つ先の路側機3とで受信される。識別情報及び第1通知情報を受信した路側機3は、受信した識別情報と、記憶部302内の自身の識別情報とを比較する。この比較は制御部300で行われる。制御部300は、比較の結果、両方の識別情報が一致する場合には、受信した第1通知情報が自分宛ての情報であるとして、当該第1通知情報を記憶部302に記憶する。一方で、制御部300は、両方の識別情報が一致しない場合には、受信した第1通知情報が自分宛ての情報ではないとして、第1通知情報を破棄する。本例では、一つ手前の路側機3は、受信した第1通知情報が自分宛ての情報であるとして、第1通知情報を記憶部302に記憶する。これにより、対象路側機3から一つ手前の路側機3に対して、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することが通知される。一方で、一つ先の路側機3は、受信した第1通知情報が自分宛ての情報ではないとして、第1通知情報を破棄する。したがって、一つ先の路側機3に対しては、結果として、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することが通知されない。
【0115】
例えば、図10に示されるように、トラブルが発生した対象ユーザ20Aが、対象路側機3Aの周辺の第1車線8aに存在する場合を考える。図10の場合、路側機3Bが一つ手前の路側機3となり、路側機3Cが一つ先の路側機3となる。したがって、対象路側機3Aから、路側機3Bに対して、トラブルが発生した歩行者20Aが車道8に存在することが通知される。一方で、路側機3Cには、トラブルが発生した歩行者20Aが車道8に存在することは通知されない。
【0116】
他の例として、図11に示されるように、対象ユーザ20Aが、対象路側機3Bの周辺の第2車線8bに存在する場合を考える。図11の場合、路側機3Cが一つ手前の路側機3となり、路側機3Bが一つ先の路側機3となる。したがって、対象路側機3Aから、路側機3Cに対して、トラブルが発生した歩行者20Aが車道8に存在することが通知される。一方で、路側機3Bには、トラブルが発生した歩行者20Aが車道8に存在することは通知されない。
【0117】
ステップs16の後、ステップs17において、一つ手前の路側機3の制御部300は、通信部310に、記憶部302内の第1通知情報を周辺の車両4に対して送信させる。このとき、通信部310は、例えば700MHz帯を使用して、第1通知情報を周辺の車両4に対してブロードキャストする。
【0118】
車両4では、車載機器40の通信部410が、一つ手前の路側機3から第1通知情報を受信する。車載機器40の制御部400は、通信部410で受信された第1通知情報に基づいて、車両4の前方においてトラブルが発生した歩行者が車道8上に存在することを、スピーカ450及び表示部420の少なくとも一方を使用して運転者に通知する。これにより、車両4の運転者は、前方においてトラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを容易に認識することができる。よって、運転者は、トラブルが発生した歩行者に対する適切な対応をとることが可能となる。
【0119】
ステップs17の後、ステップs18において、一つ手前の路側機3の制御部300は、記憶部302内の第1通知情報に基づいて、一つ手前の路側機3よりも前方において、トラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを通知する情報を表示部340に表示させる。これにより、一つ手前の路側機3の周囲に存在する人は、前方においてトラブルが発生した歩行者が存在することを容易に認識することができる。例えば、一つ手前の路側機3の周囲を走行する車両4の運転者及び一つ手前の路側機3の周囲の歩行者は、前方においてトラブルが発生した歩行者が車道8に存在することを容易に認識することができる。よって、一つ手前の路側機3の周囲に存在する人は、トラブルが発生した歩行者に対する適切な対応をとることが可能となる。
【0120】
信号機制御装置7は、ステップs7及びs18の両方が終了すると(ステップs20)、図8の処理を終了する。
【0121】
図9に示されるステップs21においては、対象路側機3の制御部300は、トラブルが発生した歩行者が歩道9に存在することを通知する第4通知情報を生成する。そして、制御部300は、第3通知情報を表示部340に表示させる。第3通知情報は、文字、記号及び図形の少なくとも一つが使用されて表示される。例えば、表示部340は、第3通知情報として、「歩道上の歩行者にトラブル発生」といった文字列と、注意を促す図形とを表示する。これにより、対象路側機3の周囲に存在する人は、歩道9上において歩行者にトラブルが発生したことを容易に認識することが可能となる。例えば、対象路側機3の周囲を走行する車両4の運転者及び対象路側機3の周囲の歩行者などは、トラブルが発生した歩行者が歩道9に位置することを容易に認識することが可能となる。よって、対象路側機3の周囲に存在する人は、トラブルが発生した歩行者に対する適切な対応をとることが可能となる。
【0122】
ステップs21の後、ステップs22において、対象路側機3は、周辺の車両4に対する通知を行うための第5通知情報を、周辺の車両4に対して送信する。第5通知情報には、上述のステップs21で生成された第4通知情報が含まれる。さらに第5通知情報には、車両4に対して撮影保存通知を行うための上述の第3通知情報が含まれる。ステップs22において、対象路側機3では、制御部300が、通信部310に、第5通知情報を周辺の車両4に対して送信させる。これにより、車両4に対しては、トラブルが発生した歩行者が歩道9に存在することが通知されるとともに、撮影保存通知が行われる。車両4に対して、トラブルが発生した歩行者が歩道9に存在することが通知されることによって、当該車両4の運転者は、トラブルが発生した歩行者が周辺の歩道9に存在することを容易に認識することが可能となる。ステップs22において、通信部310は、例えば700MHz帯を使用して、第5通知情報を周辺の車両4に対してブロードキャストする。
【0123】
車両4では、車載機器40の通信部410が対象路側機3からの第5通知情報を受信する。車載機器40の制御部400は、通信部410で受信された第5通知情報に含まれる第4通知情報に基づいて、トラブルが発生した歩行者が周辺の歩道9に存在することを、スピーカ450及び表示部420の少なくとも一方を使用して運転者に通知する。さらに、制御部400は、第5通知情報に含まれる第3通知情報による撮影保存通知に応じた処理を行う。この処理は、上述のステップs12での処理と同様である。
【0124】
このように、本例では、信号機を制御する信号機制御装置7は、トラブルが発生した歩行者が、当該信号機の周辺の歩道9に位置すると判定した場合、当該信号機の周辺の車両4に対して撮影保存通知を行う。これにより、車両4のカメラ470で撮影された撮影画像を確認することによって、歩道9上においてトラブルが発生した歩行者の様子を確認することが可能となる。よって、信号機制御装置7の利便性が向上する。
【0125】
ステップs22の後、ステップs23において、制御部300は、通信部310に、ステップs21で生成した第4通知情報を周辺の電子機器2に対して送信させる。これにより、トラブルが発生した歩行者が歩道9に存在することが、対象路側機3から周辺の電子機器2に対して通知される。その結果、電子機器2のユーザ20は、トラブルが発生した歩行者が周辺の歩道9に存在することを容易に認識することが可能となる。ステップs23において、通信部310は、例えば、700MHz帯を使用して、第4通知情報を周辺の電子機器2に対してブロードキャストする。
【0126】
電子機器2では、通信部210が第4通知情報を受信すると、制御部200は、ブザー240を鳴らして、トラブルが発生した歩行者が周辺の歩道9に存在することをユーザ20に通知する。なお、電子機器2がスピーカを備える場合には、制御部200は、スピーカから音を出力させて、トラブルが発生した歩行者が周辺の歩道9に存在することをユーザ20に通知してもよい。また、電子機器2が表示部を備える場合には、制御部200は第4通知情報を表示部に表示させてもよい。
【0127】
このように、本例では、信号機を制御する信号機制御装置7は、トラブルが発生した歩行者が、当該信号機の周辺の歩道9に位置すると判定した場合、当該信号機の周辺に位置する電子機器2に対して通知を行う。これにより、電子機器2のユーザ20は、周辺の歩道9に、トラブルが発生した歩行者が存在することを容易に認識することが可能となる。周辺の歩道9に、トラブルが発生した歩行者が存在することを認識したユーザ20は、その歩行者に対して適切な対応を行うことが可能となる。
【0128】
ステップs23の後、ステップs24において、対象路側機3の制御部300は、カメラ320に撮影を行わせる。カメラ320は、例えば数秒から数十秒動画を撮影する。これにより、対象路側機3のカメラ320で撮影された撮影画像を確認することによって、歩道9上においてトラブルが発生した歩行者の様子を確認することが可能となる。よって、信号機制御装置7の利便性が向上する。ステップs23の後、図8の処理は終了する。
【0129】
なお、ステップs11~s14の少なくとも一つの処理は実行されなくてもよい。また、ステップs15~s18の処理は実行されなくてもよい。また、ステップs21~s24の少なくとも一つの処理は実行されなくてもよい。
【0130】
また、一つ手前の路側機3は、記憶部302内の第1通知情報を周辺の電子機器2に対して送信してもよい。この場合、通信部310は、例えば700MHz帯を使用して、第1通知情報を周辺の電子機器2に対してブロードキャストする。第1通知情報を受信した電子機器2は、例えばブザー240を鳴らすことにより、トラブルが発生した歩行者が車道8上に存在することをユーザ20に通知する。
【0131】
図12及び13は、上述のユーザ特定処理(図8のステップs2)の詳細の一例を示すフローチャートである。図12に示されるように、ステップs41おいて、対象路側機3の制御部300は、カメラ画像において人物を特定する人物特定処理を実行する。人物特定処理は、カメラ画像に人物が写っているか否かを判定する処理であるとも言える。ステップs41において、制御部300は、カメラ画像に対して画像処理を行うことによって、カメラ画像において人物を特定することができる。制御部300は、例えば、ニューラルネットワークを用いた機械学習等の人工知能を用いて、カメラ画像において人物を特定してもよい。
【0132】
人物特定処理が実行された後、ステップs42において、制御部300は、人物特定処理において、人物がカメラ画像において特定できた否かを判定する。制御部300は、人物がカメラ画像において特定できなかった場合、言い換えれば、カメラ画像に人物が写っていない場合、ユーザ特定処理は終了する。この場合、上述の図8のステップs3では、カメラ画像において対象ユーザ20が特定できなかったと判定される。
【0133】
一方で、ステップs42において、制御部300が、人物がカメラ画像において特定できたと判定した場合、言い換えれば、カメラ画像に人物が写っている場合、ステップs43が実行される。ステップs43では、制御部300は、人物特定処理で特定した人物(以後、特定人物と呼ぶことがある)が一人であるか否かを判定する。言い換えれば、制御部300は、カメラ画像に写る人物が一人か否かを判定する。
【0134】
ステップs43において、特定人物が一人であると判定されると、ステップs44において、制御部300は、特定人物が写るカメラ画像に基づいて、特定人物の絶対的な位置を示す位置情報を取得する。この位置情報は、電子機器2の受信部230で取得される位置情報と同様に、例えば、緯度、経度及び高度で表される。制御部300は、特定人物が写るカメラ画像において、特定人物の足元が写る領域を特定する。そして、制御部300は、特定した領域に写る場所の絶対的な位置を示す位置情報を、特定人物の位置情報として取得する。路側機3のカメラ320の画角、設置高さ及び設置角度(言い換えればカメラ320の向き)は一定であることから、制御部300は、カメラ画像に写る各場所の絶対的な位置(緯度、経度及び高度)を求めることができる。
【0135】
ステップs44の後、ステップs45において、制御部300は、対象ユーザ20の位置と、特定人物の位置とが近いか否かを判定する。ステップs45において、制御部300は、ステップs1で受信されたトラブル発生情報に含まれる対象ユーザ20の位置情報が示す位置と、ステップs44で取得した特定人物の位置情報が示す位置との間の距離を求める。そして、制御部300は、求めた距離がしきい値未満である場合、対象ユーザ20の位置と、特定人物の位置とが近いと判定する。一方で、制御部300は、求めた距離がしきい値以上である場合、対象ユーザ20の位置と、特定人物の位置とが近くはないと判定する。
【0136】
ステップs45においてNOと判定されると、ユーザ特定処理が終了する。この場合、ステップs3ではNOと判定される。一方で、ステップs45においてYESと判定されると、ステップs46において、制御部300は、特定人物が対象ユーザ20であると判定して、ユーザ特定処理を終了する。ステップs46が実行される場合、図8のステップs3では、カメラ画像において対象ユーザ20が特定できたと判定される。
【0137】
ステップs43においてNOと判定されると、つまり、人物特定処理において複数の人物が特定された場合、図13に示されるように、ステップs51が実行される。ステップs51において、制御部300は、上述のステップs44と同様にして、複数の特定人物が写るカメラ画像に基づいて、複数の特定人物のそれぞれの位置情報を取得する。
【0138】
次にステップs52において、制御部300は、複数の特定人物において、その位置が対象ユーザの位置に近い特定人物が存在するか否かを判定する。ステップs52において、制御部300は、複数の特定人物のそれぞれについて、当該特定人物の位置と、対象ユーザ20の位置とが近いか否かについて、上述のステップs45と同様にして判定する。
【0139】
ステップs52においてNOと判定されると、ユーザ特定処理が終了する。この場合、図8のステップs3では、カメラ画像において対象ユーザ20が特定できなかったと判定される。一方で、ステップs52においてYESと判定されると、ステップs53が実行される。ステップs53において、制御部300は、複数の特定人物において、その位置が対象ユーザの位置に近い特定人物が一人であるか否かを判定する。
【0140】
ステップs53においてYESと判定されると、上述のステップs46が再度実行される。このステップs46では、複数の特定人物に含まれる、その位置が対象ユーザの位置に近い特定人物が対象ユーザ20であると判定される。
【0141】
一方で、ステップs53においてNOと判定されると、ステップs54が実行される。ステップs54において、制御部300は、ステップs53が規定回数実行されたか否かを判定する。規定回数は例えば2以上に設定される。
【0142】
ステップs54においてYESと判定されると、対象ユーザ20が特定されずにユーザ特定処理が終了する。一方で、ステップs54においてNOと判定されると、ステップs55において、制御部300は時間経過処理を実行する。つまり、制御部300は、一定時間経過するのを待つ。一定時間が経過すると、ステップs56が実行される。ステップs56において、制御部300は、通信部310に、対象ユーザ20の最新の位置情報を要求する要求情報を対象電子機器2に対して送信させる。
【0143】
対象電子機器2では、通信部210が要求情報を受信すると、制御部200は、受信部230から最新の位置情報を取得する。そして、制御部200は、通信部210に、最新の位置情報を対象路側機3に対して送信させる。
【0144】
ステップs56の後、対象路側機3の通信部310は、ステップs57において、対象電子機器2から対象ユーザ20の最新の位置情報を受信する。ステップs57の後、再度ステップs41が実行される。このステップs41では、制御部300は、カメラ320で得られる最新のカメラ画像において人物を特定する人物特定処理を実行する。その後、対象路側機3は同様に動作する。2回目以降のステップs45及びs52では対象ユーザ20の最新の位置情報が使用される。
【0145】
以上のように、本例のユーザ特定処理では、制御部300は、カメラ画像に基づいて当該カメラ画像に写る人の位置情報を取得している。そして、制御部300は、カメラ画像に写る人の位置情報と、対象ユーザ20の位置情報との比較結果に基づいて、当該人が対象ユーザ20であるか否かを判定している。これにより、位置情報を用いて簡単に対象ユーザ20をカメラ画像において特定することができる。
【0146】
<信号機制御装置の他の動作例>
図14は、信号機制御装置7の他の動作を示すフローチャートである。本例では、各電子機器2は、周辺の路側機3に対して、当該電子機器2に関する機器情報を定期的あるいは不定期的に繰り返し送信する。電子機器2の機器情報には、当該電子機器2の受信部230で得られる最新の位置情報と、当該電子機器2の識別情報とが含まれる。また、電子機器2の機器情報には、当該電子機器2のユーザ20の移動速度も含まれる。上述のように、電子機器2は、例えば、受信部230で得られる位置情報に基づいて、ユーザ20の移動速度を求めることができる。電子機器2の通信部210は、例えば700MHz帯を使用して、周辺の路側機3に対して機器情報をブロードキャストする。
【0147】
図14に示されるように、ステップs71において、信号機制御装置7の路側機3の通信部310は、電子機器2から機器情報を受信する。以後、図14の処理を説明する場合、電子機器2から機器情報を受信した路側機3を対象路側機3と呼ぶ。また、対象路側機3が受信した機器情報を送信した電子機器2を対象電子機器2と呼び、その電子機器2のユーザ20を対象ユーザ20と呼ぶ。
【0148】
ステップs71の後、ステップs72において、対象路側機3の制御部300は、ステップs71で受信された機器情報に含まれる位置情報に基づいて、カメラ320で得られるカメラ画像において対象ユーザ20を特定するユーザ特定処理を実行する。このユーザ特定処理は、上述の図8のステップs2のユーザ特定処理と同様である。
【0149】
次にステップs73において、制御部300は、ステップs72のユーザ特定処理において、対象ユーザ20がカメラ画像において特定できたか否かを判定する。ユーザ特定処理において対象ユーザ20が特定された場合、言い換えれば、カメラ画像に対象ユーザ20が写っている場合、ステップs74が実行される。一方で、ユーザ特定処理において対象ユーザ20が特定されなかった場合には、言い換えれば、カメラ画像に対象ユーザ20が写っていない場合、図14の処理が終了する。
【0150】
ステップs74において、制御部300は、対象ユーザ20が位置する場所を特定する。ステップs74では、制御部300は、上述のステップs4(図8)と同様にして、対象ユーザ20が車道8に位置するか、歩道9に位置するかを判定する。
【0151】
ステップs74において、対象ユーザ20が車道8に位置すると判定されると、ステップs76が実行される。言い換えれば、対象ユーザ20が横断歩道80に位置すると判定されると、ステップs76が実行される。一方で、対象ユーザ20が歩道9に位置すると判定されると、ステップs75が実行される。
【0152】
ステップs75において、制御部300は、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしているか否かを判定する。ステップs75において、制御部300は、例えば、対象ユーザ20が写るカメラ画像に基づいて、対象ユーザ20が車道8の近くに存在し、かつ対象ユーザの顔が車道8の方に向いていることを特定した場合、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしていると判定する。制御部300は、対象ユーザ20が写るカメラ画像に対して画像処理を行うことによって、対象ユーザ20が車道8の近くに存在し、かつ対象ユーザの顔が車道8の方に向いていることを特定することができる。制御部300は、例えば、ニューラルネットワークを用いた機械学習等の人工知能を用いて、対象ユーザ20が写るカメラ画像に対して画像処理を行うことによって、対象ユーザ20が車道8の近くに存在し、かつ対象ユーザの顔が車道8の方に向いていることを特定してもよい。
【0153】
また制御部300は、対象ユーザ20が写るカメラ画像に基づいて、対象ユーザ20が車道8に向かって移動していることを特定した場合、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしていると判定してもよい。制御部300は、対象ユーザ20が写るカメラ画像に対して画像処理を行うことによって、対象ユーザ20が車道8に向かって移動していることを特定することができる。制御部300は、例えば、ニューラルネットワークを用いた機械学習等の人工知能を用いて、対象ユーザ20が車道8に向かって移動していることを特定してもよい。
【0154】
本例では、カメラ画像には、車道8における、横断歩道80以外の部分はほとんど写らないことから、ステップs75の処理は、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしているか否かを判定する処理であると言える。
【0155】
ステップs75において、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしていると判定された場合、ステップs76が実行される。一方で、ステップs75において、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしていると判定されてなかった場合、図14の処理が終了する。
【0156】
ステップs76において、制御部300は、信号機が歩行者の車道8の横断許可を示しているか否かを判定する。ここで、歩行者用信号機11が青色に点灯している状態と青色に点滅している状態とをあわせて青色に点灯点滅している状態と呼ぶ。ステップs76にいて、制御部300は、歩行者用信号機11が青色に点灯点滅しているとき、信号機が歩行者の車道8の横断許可を示していると判定する。一方で、制御部300は、歩行者用信号機11が赤色に点灯しているとき、信号機が歩行者の車道8の横断許可を示していないと判定する。以後、歩行者の車道8の横断許可を単に横断許可と呼ぶことがある。
【0157】
ステップs76において、信号機が横断許可を示していないと判定されると、つまり、歩行者用信号機11が赤色に点灯していると判定されると、ステップs77が実行される。ステップs77において、制御部300は、通信部310に、対象ユーザ20が危険である旨を通知する第6通知情報を対象電子機器2に対して送信させる。第6通知情報を受信した対象電子機器2では、制御部200が、ブザー240を鳴らす。これにより、歩行者用信号機11が赤色に点灯しているにもかかわらず、車道8に位置する歩行者あるいは車道8を渡ろうとしている歩行者に対して警告を行うことができる。ステップs77の後、図14の処理が終了する。
【0158】
一方で、ステップs76において、信号機が横断許可を示していると判定されると、ステップs78が実行される。ステップs78において、信号機制御装置7は、信号機が横断許可を示す間に対象ユーザ20が車道8を渡り切れるか否かを、対象ユーザ20の移動速度に基づいて判定する。言い換えれば、信号機制御装置7は、歩行者用信号機11が青色に点灯点滅している間に、対象ユーザ20が横断歩道80を渡り切れるか否かを、対象ユーザ20の移動速度に基づいて判定する。
【0159】
ステップs76では、まず対象路側機3の制御部300は、対象ユーザ20が写るカメラ画像に基づいて、対象ユーザ20が、第1車線8a側の歩道9aに向かって移動しているのか、第2車線8b側の歩道9bに向かって移動しているのかを特定する。制御部300は、カメラ画像に対して画像処理を行うことによって、対象ユーザ20が、歩道9aに向かって移動しているのか、歩道9bに向かって移動しているのかを特定することができる。制御部300は、例えば、ニューラルネットワークを用いた機械学習等の人工知能を用いて、対象ユーザ20が、歩道9aに向かって移動しているのか、歩道9bに向かって移動しているのかを特定してもよい。そして、制御部300は、対象ユーザ20が、歩道9aに向かって移動しているのか、歩道9bに向かって移動しているのかを示す移動方向情報を生成する。その後、制御部300は、通信部310に、ステップs71で受信した機器情報と、移動方向情報と、信号情報とをセンター装置5に対して送信させる。信号情報には、現在から、歩行者用信号機11が青色に点灯点滅している状態から赤色に点灯する状態に変化するまでの時間が含まれている。以後、当該時間を、青色から赤色に変化するまでの時間と呼ぶことがある。
【0160】
センター装置5では、通信部510が機器情報、移動方向情報及び信号情報を受信すると、制御部500は、受信された機器情報に含まれる識別情報に対応するユーザ情報を記憶部502から取得する。そして、制御部500は、上記のステップs6(図8)と同様に、取得したユーザ情報に基づいて、対象ユーザ20の通常の移動速度を取得する。次に、制御部500は、受信された機器情報に含まれる移動速度、つまり、対象ユーザ20の現在の移動速度と、対象ユーザ20の通常の移動速度のうち、遅い方の移動速度を特定する。そして、制御部500は、特定した遅い方の移動速度に基づいて、信号機が横断許可を示す間に対象ユーザ20が車道8を渡り切れるか否かを判定する。
【0161】
例えば、制御部500は、機器情報に含まれる位置情報が示す位置から、車道8における、移動方向情報が示す方向側の端までの距離を求める。つまり、制御部500は、対象ユーザ20の位置から、車道8における、移動方向情報が示す方向側の端までの距離を求める。以後、当該距離を、車道8の端までの距離と呼ぶことがある。
【0162】
例えば、移動方向情報が、対象ユーザ20が歩道9bに向かって移動していることを示す場合を考える。この場合、制御部500は、対象ユーザ20の位置から、車道8における歩道9b側の端までの距離を求める。また、移動方向情報が、対象ユーザ20が歩道9aに向かって移動していることを示す場合を考える。この場合、制御部500は、対象ユーザ20の位置から、車道8における歩道9a側の端までの距離を求める。制御部500は、記憶部502内の地図情報に基づいて、車道8における、移動方向情報が示す方向側の端の位置を求める。そして、制御部500は、対象ユーザ20の位置から、特定した位置までの距離を、車道8の端までの距離とする。
【0163】
制御部500は、車道8の端までの距離を、特定した遅い方の移動速度で除算する。そして、制御部500は、それによって得られた時間を、対象ユーザ20が、車道8における、移動方向情報が示す方向側の端まで到達するまでにかかる予測時間とする。以後、当該予測時間を、車道8の端までに到達するまでの予測時間と呼ぶ。
【0164】
次に制御部500は、車道8の端までに到達するまでの予測時間と、信号機情報に含まれる、青色から赤色に変化するまでの時間とを比較する。制御部500は、車道8の端までに到達するまでの予測時間が、青色から赤色に変化するまでの時間以下の場合、信号機が横断許可を示す間に対象ユーザ20が車道8を渡り切れると判定する。つまり、制御部500は、歩行者用信号機11が青色に点灯点滅している間に、対象ユーザ20が横断歩道80を渡り切れるかと判定する。一方で、制御部500は、車道8の端までに到達するまでの予測時間が、青色から赤色に変化するまでの時間よりも大きい場合、信号機が横断許可を示す間には、対象ユーザ20は車道8を渡り切れないと判定する。つまり、制御部500は、歩行者用信号機11が青色に点灯点滅している間には、対象ユーザ20は横断歩道80を渡り切れないと判定する。ステップs78において、制御部500は、信号機が横断許可を示す間に対象ユーザ20が車道8を渡り切れないと判定すると、その旨を通知する第7通知情報を生成する。そして、ステップs78において、制御部500は、通信部510に、生成した第7通知情報を対象路側機3に対して送信させる。
【0165】
ステップs78においてYESと判定されると、図14の処理が終了する。一方で、ステップs78においてNOと判定されると、ステップs79が実行される。ステップs79において、第7通知情報を受信した対象路側機3は、対象電子機器2に対する通知を行う。ステップs79において、対象路側機3の制御部300は、対象ユーザ20が危険であることを通知する第8通知情報を生成する。そして、制御部300は、通信部310に、第8通知情報を対象電子機器2に対して送信させる。これにより、対象電子機器2に対して、対象ユーザ20が危険であることが通知される。第8通知情報を受信した対象電子機器2では、制御部200が、ブザー240を鳴らす。これにより、信号機が横断許可を示す間に車道8を渡り切れない可能性がある歩行者に対して警告を行うことができる。言い換えれば、歩行者用信号機11が青色に点灯点滅している間に、横断歩道80を渡り切れない可能性がある歩行者に対して警告を行うことができる。
【0166】
ステップs79の後、ステップs80において、対象路側機3は、信号機が横断許可を示す時間を延長する。例えば、ステップs80の実行タイミングにおいて、歩行者用信号機11が青色に点灯している場合を考える。この場合、制御部300は、通信部310を介して歩行者用信号機11を制御することにより、歩行者用信号機11の青色の点灯時間を本来の時間よりも延長する。このとき、制御部300は、上述のステップs7と同様に、特定した遅い方の移動速度が遅いほど、青色の点灯時間の延長時間を長くしてもよい。制御部300は、歩行者用信号機11の青色の点灯時間を延長する場合には、それに合わせて、車両用信号機10の赤色の点灯時間を延長する。
【0167】
他の例として、ステップs80の実行タイミングにおいて、歩行者用信号機11が青色に点滅している場合を考える。この場合、制御部300は、通信部310を介して歩行者用信号機11を制御することにより、歩行者用信号機11の状態を、青色に点滅している状態から、青色に点灯する状態に変化させる。そして、制御部300は、歩行者用信号機11を一定時間青色に点灯させる。このとき、制御部300は、特定した遅い方の移動速度が遅いほど、青色の点灯時間を長くしてもよい。制御部300は、歩行者用信号機11の状態を、青色の点滅状態から青色の点灯状態に変化させる場合には、それに合わせて、車両用信号機10の赤色の点灯時間を延長する。ステップs80が実行されると、図14の処理は終了する。
【0168】
なお、ステップs80の実行タイミングにおいて、歩行者用信号機11が青色に点滅している場合には、制御部300は、歩行者用信号機11の青色の点滅時間を延長してもよい。このとき、制御部300は、特定した遅い方の移動速度が遅いほど、青色の点滅時間の延長時間を長くしてもよい。制御部300は、歩行者用信号機11の青色の点滅時間を延長する場合には、それに合わせて、車両用信号機10の赤色の点灯時間を延長する。
【0169】
また、ステップs78において、制御部300は、遅い方の移動速度の代わりに、対象ユーザ20の現在の移動速度を使用してもよい。
【0170】
また、制御部300は、ステップs78において、遅い方の速度の代わりに、対象ユーザ20の現在の移動速度を使用してもよい。つまり、制御部300は、車道8の端までの距離を、対象ユーザ20の現在の移動速度で除算し、それによって得られた時間を、車道8の端までに到達するまでの予測時間としてもよい。また、制御部300は、ステップs78において、遅い方の速度の代わりに、対象ユーザ20の通常の移動速度を使用してもよい。つまり、制御部300は、車道8の端までの距離を、対象ユーザ20の通常の移動速度で除算し、それによって得られた時間を、車道8の端までに到達するまでの予測時間としてもよい。
【0171】
また、図14の処理において、ステップs79が実行されなくてもよい。また図14の処理において、ステップs80が実行されなくてもよい。また、本例においても、路側機3がトラブル発生情報を受信した場合、図8及び9の処理が実行されてもよい。
【0172】
このように、図14の例では、信号機制御装置7は、信号機の周辺の車道8を渡ろうとしている歩行者を特定し、特定した歩行者の移動速度に基づいて当該信号機を制御している。これにより、歩行者20の安全性が向上するように信号機を適切に制御することができる。
【0173】
また、図14の例では、信号機制御装置7は、信号機が横断許可を示す間に、対象ユーザ20が車道8を渡り切れないと判定した場合、信号機が横断許可を示す時間を延長している。これにより、信号機が横断許可を示す間に、対象ユーザ20が車道8を渡り切れる可能性が向上し、その結果、歩行者20の安全性が向上する。
【0174】
また、図14の例では、信号機制御装置7は、信号機が横断許可を示す間に、対象ユーザ20が車道8を渡り切れないと判定した場合、対象電子機器2に対する通知を行っている。これにより、対象電子機器2は対象ユーザ20に対して警告を通知することができる。よって、歩行者の安全性が向上する。
【0175】
また、図8及び9の処理での対象路側機3が行う処理の一部については、センター装置5が実行してもよい。例えば、センター装置5は、図8のステップs12の処理を実行してもよい。この場合、車両4はその位置情報を繰り返しセンター装置5に送信する。また、対象路側機3はその位置情報と第2通知情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象路側機3の位置情報と、各車両4の位置情報とに基づいて、対象路側機3の周辺の車両4を特定する。そして、センター装置5の通信部510は、特定した周辺の車両4に対して第2通知情報を送信する。また、センター装置5は、同様にして、図9のステップs22の処理を実行してもよい。
【0176】
また、センター装置5はステップs13を実行してもよい。この場合、電子機器2はその位置情報を繰り返しセンター装5に送信する。また、対象路側機3は、その位置情報と第1通知情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象路側機3の位置情報と、各電子機器2の位置情報とに基づいて、対象路側機3の周辺の電子機器2を特定する。そして、センター装置5の通信部510は、特定した周辺の電子機器2に対して第1通知情報を送信する。また、センター装置5は、同様にして、図9のステップs23の処理を実行してもよい。
【0177】
また、センター装置5はステップs15を及びs16を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、その位置情報と、対象ユーザ20が写る対象カメラ画像と、対象ユーザ20の位置情報と、第1通知情報とをセンター装置5に送信する。また、センター装置5は、各路側機3の位置情報と、第1車線8aでの車両4の進行方向と、第2車線8bでの車両4の進行方向とを記憶している。ステップs15において、センター装置5の制御部500は、対象ユーザ20の位置情報に基づいて、対象カメラ画像において対象ユーザ20を特定する。次に、制御部500は、対象カメラ画像と記憶部502内の地図情報に基づいて、対象ユーザ20が第1車線8aに位置するか第2車線8bに位置するかを判定する。そして、制御部500は、その判定結果に基づいて、一つ手前の路側機3を特定する。制御部500は、特定した一つ手前の路側機3を通知先の路側機3とする。その後、ステップs16にいて、センター装置5の通知部510は、一つ手前の路側機3に対して第1通知情報を送信する。センター装置5がステップs15を実行する場合、制御部500は、トラブルが発生したユーザ20が位置する場所での車両4の進行方向を特定する特定部として機能する。
【0178】
また、センター装置5はステップs4の処理を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、対象カメラ画像と対象ユーザ20の位置情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象ユーザ20の位置情報に基づいて、対象カメラ画像において対象ユーザ20を特定する。そして、制御部500は、対象カメラ画像と記憶部502内の地図情報に基づいて、対象ユーザ20が車道8に位置するか、歩道9に位置するかを判定する。センター装置4がステップs4を実行する場合、制御部500は、車道8に位置する対象ユーザ20を特定する特定部として機能する。
【0179】
また、センター装置5はステップs5の処理を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、対象カメラ画像と対象ユーザ20の位置情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象ユーザ20の位置情報に基づいて、対象カメラ画像において対象ユーザ20を特定する。そして、制御部500は、対象カメラ画像に基づいて、対象ユーザの現在の移動速度を求める。
【0180】
また、センター装置5はステップs2の処理を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、対象カメラ画像と対象ユーザ20の位置情報をセンター装置5に送信する。センター装置5は、対象カメラ画像及び対象ユーザ20の位置情報に基づいて、図12及び13の処理を実行する。また、センター装置5はステップs3の処理を実行してもよい。
【0181】
また、図14の処理での対象路側機3が行う処理の一部については、センター装置5が実行してもよい。例えば、センター装置5は、図14のステップs77の処理を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、対象電子機器2の識別情報と第6通知情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象電子機器2の識別情報に基づいて、通信部510に、対象電子機器2に対して第6通知情報を送信させる。
【0182】
また、センター装置5は、ステップs74の処理を実行してもよい。この場合の通信システム1の動作は、センター装置5がステップs4を実行する場合の動作と同様である。
【0183】
また、センター装置5は、ステップs75の処理を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、対象カメラ画像と対象ユーザ20の位置情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象ユーザ20の位置情報に基づいて、対象カメラ画像において対象ユーザ20を特定する。そして、制御部500は、対象カメラ画像に基づいて、対象ユーザ20が車道8を渡ろうとしているか否かを判定する。
【0184】
また、センター装置5は、ステップs79の処理を実行してもよい。この場合、対象路側機3は、対象電子機器2の識別情報と第8通知情報をセンター装置5に送信する。センター装置5の制御部500は、対象電子機器2の識別情報に基づいて、通信部510に、対象電子機器2に対して第8通知情報を送信させる。
【0185】
また、センター装置5はステップs72の処理を実行してもよい。この場合の通信システム1の動作は、センター装置5がステップs2を実行する場合の動作と同様である。また、センター装置5はステップs73の処理を実行してもよい。
【0186】
上記の例では、信号機制御装置7は、路側機3及びセンター装置5を備えているが、信号機制御装置7は路側機3のみで構成されてもよい。例えば、図8及び9に示される処理においては、ステップs6の処理は、対象路側機3とセンター装置5が協調することによって実行されている。信号機制御装置7が路側機3のみで構成される場合には、電子機器2は、当該電子機器2のユーザ20のユーザ情報を含むトラブル発生情報を送信する。そして、ステップs6において、対象路側機3の制御部300は、ステップs1で受信されたトラブル発生情報に含まれるユーザ情報に基づいて、対象ユーザ20の通常の移動速度を求める。対象ユーザ20の通常の速度の求め方については、上記と同様である。
【0187】
また、図14に示される処理においては、ステップs78の処理が、対象路側機3とセンター装置5が協調することによって実行されている。信号機制御装置7が路側機3のみで構成される場合には、電子機器2は、当該電子機器2のユーザ20のユーザ情報を含む機器情報を送信する。そして、ステップs78において、対象路側機3の制御部300は、ステップs71で受信された機器情報に含まれるユーザ情報に基づいて、対象ユーザ20の通常の移動速度を求める。その後、制御部300は、機器情報に含まれる、対象ユーザ20の現在の移動速度と、対象ユーザ20の通常の移動速度のうち、遅い方の移動速度を特定する。そして、制御部300は、センター装置5が車道8の端に到達するまでの時間を求める場合と同様にして、遅い方の速度と、対象ユーザの位置と、移動方向情報と、記憶部302内の地図情報とに基づいて、車道8の端までに到達するまでの予測時間を求める。次に制御部300は、車道8の端までに到達するまでの予測時間と、信号機情報に含まれる、青色から赤色に変化するまでの時間とを比較する。制御部300は、車道8の端までに到達するまでの予測時間が、青色から赤色に変化するまでの時間以下の場合、信号機が横断許可を示す間に対象ユーザ20が車道8を渡り切れると判定する。一方で、制御部300は、車道8の端までに到達するまでの予測時間が、青色から赤色に変化するまでの時間よりも大きい場合、信号機が横断許可を示す間には、対象ユーザ20は車道8を渡り切れないと判定する。
【0188】
以上のように、通信システム1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0189】
2 携帯型電子機器
3 路側機
5 センター装置
7 信号機制御装置
300,500 制御部
320 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14