IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社バンダイの特許一覧

<>
  • 特許-玩具 図1
  • 特許-玩具 図2
  • 特許-玩具 図3
  • 特許-玩具 図4
  • 特許-玩具 図5
  • 特許-玩具 図6
  • 特許-玩具 図7
  • 特許-玩具 図8
  • 特許-玩具 図9
  • 特許-玩具 図10
  • 特許-玩具 図11
  • 特許-玩具 図12
  • 特許-玩具 図13
  • 特許-玩具 図14
  • 特許-玩具 図15
  • 特許-玩具 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20231206BHJP
   A63H 3/00 20060101ALI20231206BHJP
   A63H 3/16 20060101ALI20231206BHJP
   A63H 3/50 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A63H33/00 301E
A63H3/00 M
A63H3/16
A63H3/50 Z
A63H33/00 J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019065815
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162835
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】船山 哲治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健吾
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-056646(JP,A)
【文献】特開昭53-009654(JP,A)
【文献】特開平07-265551(JP,A)
【文献】特開2005-240201(JP,A)
【文献】実開昭60-149692(JP,U)
【文献】実開昭60-149695(JP,U)
【文献】実開昭60-149696(JP,U)
【文献】米国特許第04662627(US,A)
【文献】米国特許第05503274(US,A)
【文献】「アンパンマン アニメ おもちゃ びっくらたまご バスボール 入浴剤 バスボム お風呂に入るよ(ハートマーク) アニメキッズ」,YouTube[online][video],2018年01月13日,<https://www.youtube.com/watch?v=xo-yPAqIj-E>,特に4:36-7:11参照、[2023年4月26日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 3/00
A63H 3/16
A63H 3/26
A63H 3/50
A63H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を外部から透視可能な容器部と、
液体に対し可溶で前記容器部の内部に配置可能な情報部と、
前記容器部の内部に配置可能な物品と、を備え、
前記情報部は、シート状を成し、少なくとも一方面に絵柄および/または文字列を含む情報源が設けられ、前記容器部の内部に少なくとも一部が外部から視認できるように配置され、前記物品は前記容器部の内部に少なくとも一部が外部から視認できないように配置されている、
玩具。
【請求項2】
前記液体は、水を主成分とする、
請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記容器部は、筒状を成す、
請求項1または2に記載の玩具。
【請求項4】
前記物品は、組み立て可能な複数の部品から成る、
請求項1~3のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項5】
前記容器部の内部に配置可能で前記物品を包囲可能な遮蔽部をさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項6】
前記遮蔽部は、前記容器部の底部上に配置され、
前記情報部は、前記遮蔽部上に配置されている、
請求項5に記載の玩具。
【請求項7】
前記容器部の開口部を開閉可能な蓋部をさらに備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項8】
前記蓋部は、前記容器部に装着可能な蓋部本体と、前記容器部に対する前記液体の給排を制御可能な操作部とを有する、
請求項7に記載の玩具。
【請求項9】
前記蓋部は、前記操作部の操作を規制するための規制部をさらに有する、
請求項8に記載の玩具。
【請求項10】
前記規制部は、前記蓋部に着脱可能に設けられている、
請求項9に記載の玩具。
【請求項11】
前記蓋部本体は、前記容器部に装着された状態で前記玩具を上下反転させた際に前記容器部を自立できるように構成されている、
請求項8~10のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項12】
前記容器部を自立可能な台座部をさらに備える、
請求項1~11のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項13】
前記情報部の可溶を促進する可溶促進部をさらに備える、
請求項1~12のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項14】
前記可溶促進部は、前記液体に対し可溶で前記液体によってガスを発する材料を含む、
請求項13に記載の玩具。
【請求項15】
前記可溶促進部は、前記物品を覆うように配置されている、
請求項13または14に記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具と玩具用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水溶性粉体(入浴剤や洗剤)を固形化した収容体の内部に、布帛類や布製玩具類等を圧縮して固形化した固形布製品を収容した水溶性収容体が開示されている。この水溶性収容体は、浴槽内や洗濯機の水槽内に投入して収容体を溶かし、かつ、固形布製品の固形状態を解除し、この後に布製品を広げることによってその形状やデザインが認識できるようにしている。
【0003】
前掲の水溶性収容体は、固形状態が解除された布製品を広げるまでその形状やデザインが認識できないように工夫したものであるが、水溶性粉体として入浴剤や洗剤が使用されているために使用場所が限られており、卓上等の他の場所で使用することを念頭に置いたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-225760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用場所の制限を解消して興趣性を向上できる玩具および玩具用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る玩具は、内部を外部から透視可能な容器部と、液体に対し可溶で前記容器部の内部に配置可能な情報部と、前記容器部の内部に配置可能な物品とを備え、前記情報部は前記容器部の内部に少なくとも一部が外部から視認できるように配置され、前記物品は前記容器部の内部に少なくとも一部が外部から視認できないように配置されている。また本発明に係る玩具は、内部を外部から透視可能な容器部と、液体に対し可溶で前記容器部の内部に配置可能な情報部と、前記容器部の内部に配置可能な物品と、を備え、前記情報部は、シート状を成し、少なくとも一方面に絵柄および/または文字列を含む情報源が設けられ、前記容器部の内部に少なくとも一部が外部から視認できるように配置され、前記物品は前記容器部の内部に少なくとも一部が外部から視認できないように配置されている。また、本発明に係る玩具用容器は、内部を外部から透視可能な容器部と、液体に対し不溶で前記容器部の内部に配置可能な遮蔽部と、前記容器部の開口部を開閉可能な蓋部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る玩具および玩具用容器によれば、使用場所の制限を解消して興趣性を向上できる玩具および玩具用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)は本発明の適用例を示す観賞玩具(使用前状態)の前面図、図1(B)は同観賞玩具の上面図、図1(C)は図1(B)のS1-S1線に沿う同観賞玩具の断面図である。
図2図2(A)は図1に示した容器部の図1(B)対応の断面図、図2(B)は同容器部の上面図、図2(C)は同容器部の下面図である。
図3図3(A)は図1に示した物品(分解状態)を示す図、図3(C)は組み立て後の物品を示す図である。
図4図4(A)は図1に示した遮蔽部の図1(B)対応の断面図、図4(B)は同遮蔽部の上面図である。
図5図5(A)は図1に示した蓋部の規制部除外の上面図、図5(B)は同蓋部の規制部の前面図、図5(C)は同蓋部の規制部の下面図、図5(D)は同蓋部の操作部の動作説明図、図5(E)は同蓋部の操作部の下面図である。
図6図6図1に示した台座部の上面図である。
図7図7図1に示した観賞玩具の組み立て方法例の説明図である。
図8図8図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図9図9図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図10図10図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図11図11図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図12図12図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図13図13図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図14図14図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図15図15図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
図16図16図1に示した観賞玩具の使用方法例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、便宜上、図1(A)の手前を前、奥側を後、左側を右、右側を左、上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらと同様に向きを表記する。
【0010】
《観賞玩具の構造》
まず、図1図6を用いて、本発明の玩具の適用例である観賞玩具10(使用前状態)の構造について説明する。
【0011】
図1は観賞玩具10の使用前状態を示すものであって、当該観賞玩具10は、容器部11と、情報部12と、物品(分解状態)13と、遮蔽部14と、蓋部15と、台座部16と、可溶促進部17とを備える。
【0012】
容器部11は、後述の液体DW(図8を参照)に対して不溶で、透明または半透明(着色したものを含む)に形成されていて、内部の空洞11a内を外部から透視(視認)可能である。この容器部11は、図2(A)~図2(C)に示したように、好ましくは筒状、詳しくは円柱状の空洞11aの上端に開口部11bを有し下端に底部11cを有する円筒状を成している。また、空洞11aの内面下部には、上面視が概ね矩形状の張り出し部11dが左右対称に設けられ、容器部11の外面下部には、各張り出し部11dに対応して下面視が概ね矩形状の窪み部11d1が設けられている。さらに、空洞11aの内面の各張り出し部11dの上方位置には、当該各張り出し部11dよりも張り出し量が小さな突起部11eが左右対称に設けられている。さらに、容器部11の外面上部には、蓋部15を装着するためのネジ部11fが設けられている。なお、容器部11の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレンテレフタレート(PET)等の様々な樹脂材料を用いることが好ましいが、更に好ましくはPETを用いることで、透明性が高く内部が視認しやすく、また、堅牢性が高い容器を提供することが可能である。
【0013】
情報部12は、液体DWに対して可溶で、好ましくは可撓性を有するシート状を成し、少なくとも一方面に物品13に対応した情報源12a、例えば物品13それ自体の絵柄や物品13に関連した絵柄等が設けられている。なお、情報源12aは、絵柄以外にも文字列や色彩等であってもよい。また、情報源12aは、必ずしも物品13に対応した情報でなくても良く、情報源12aが物品13に対応した情報でない場合、より使用者の驚き感を高めることが可能であるし、情報源12aが物品13に対応した情報である場合、より使用者の想像力を利用した興趣性の高い玩具を提供することが可能である。情報源12aを設けることにより、より玩具の興趣性を高めることが可能である。
【0014】
図1に示した使用前状態では、情報部12が例えば横長矩形状のシート状を成す場合、当該情報部12は、適宜丸めた状態で容器部11の空洞11a、詳しくは遮蔽部14上に配置されている。すなわち、情報部12および情報源12aは、容器部11の内部の空洞11aに外部から視認できるように配置されている。なお、情報部12および情報源12aは、少なくとも一部が外部から視認できれるように配置されればよい。
【0015】
ここで、液体DWと情報部12について補足する。液体DWは水を主成分とする液体であって、好ましくは公知の飲用水(飲用に適した水)、例えば水道水や市販のミネラルウォーター等である。情報部12の材料は液体DWに可溶であれば特段の制限はないが、好ましくは公知の水溶紙(溶けやすく加工したもの)等である。また、情報部12に設けられた情報源12aの材料は、好ましくは公知の水溶性インキ等である。
【0016】
物品13は、液体DWに対して不溶で、図3(A)に示したように、好ましくは組み立て可能な複数の部品13a~13dから成る。図3(A)に示した部品13aは胴部、部品13bは頭部、部品13cは腕部、部品13dは脚部に相当し、凹凸嵌合等によって図3(B)に示した自立可能な形態に組み立てることができる。
【0017】
図1に示した使用前状態では、物品13を構成する複数の部品13a~13dは、分解状態で、容器11の空洞11aの底部11c上に配置されている。この分解状態の物品13は、情報部12、遮蔽部14および可溶促進部17によって隠されているため、容器11の外部から視認することはできない。なお、本実施形態では、物品13の全体が容器11の外部から視認できないようになっているが、これに限られず、物品13の少なくとも一部が容器11の外部から視認できないようになっていればよい。物品13の全体が容器11の外部から視認できない、あるいは、物品13の全体像が連想できない状態で外部から視認可能になっていることにより、より使用者の期待感を高めることができ、玩具の興趣性を高めることが可能である。
【0018】
なお、物品13を構成する部品数は5個よりも多くても少なくてもよい。また、部品数を増加する場合には、胴部13aに相当する部品13aを組み立て可能な複数の部品で構成し、頭部に相当する部品13bを組み立て可能な複数の部品で構成し、腕部に相当する部品13cを組み立て可能な複数の部品で構成し、脚部13dに相当する部品13dを組み立て可能な複数の部品で構成してもよい。さらに、組み立て後の物品13は図3(B)以外のキャラクターの他、生物や無生物等を模したものであってもよい。
【0019】
遮蔽部14は、液体DWに対して不溶で、好ましくは不透明に形成されている。この遮蔽部14は、図4(A)および図4(B)に示したように、概ね円筒状を成し、上面視が円形の孔14aを上面に有し、左右面視が矩形状のスリット14bを左右部分に左右対称に有する。ちなみに、遮蔽部14の外径は、容器部11の空洞11aの内径よりも僅かに小さく、遮蔽部14の上下方向寸法は、容器部11の底部11cの上面と各突起部11eの下端との上下方向寸法よりも僅かに小さく、各スリット14bの幅および上下方向寸法は、容器部11の各張り出し部11dの幅および上下方向寸法よりも僅かに大きい。
【0020】
図1に示した使用前状態では、遮蔽部14は、各スリット14bに容器部11の各張り出し部11dが挿入され、その下端が容器部11の底部11cに接し、その上方向の移動を容器部11の容器部11の各突起部11eで規制された状態で、容器部11の空洞11aに配置されている。また、容器部11の空洞11aに配置された遮蔽部14は、空洞11aの底部11c上に配置された複数の部品13a~13dを囲んでいる。
【0021】
蓋部15は、液体DWに対して不溶で、好ましくは不透明に形成されており、容器部11の空洞11aにつながる開口部を開閉可能である。この蓋部15は、図5(A)~図5(E)に示したように、容器部11に装着可能な蓋部本体15aと、容器部11の空洞11aに対する液体DWの給排液を制御可能な操作部15bと、操作部15bを不動とするための着脱可能な規制部15cとを有する。
【0022】
蓋部本体15aは、概ね円錐台筒状を成し、内面下部に設けられた容器部11のネジ部11fに取り付け可能なネジ部15a1と、上面に90角度間隔で設けられた上面視が矩形状の排液溝15a2と、内面中間部に設けられた上面視が円状の仕切り部15a3と、仕切り部15a3に180度間隔で設けられた上面視が扇状の給排液孔15a4と、仕切り部15a3の上面に設けられた上面視が矩形状の操作補助部15a5と、仕切り部15a3の下面中央に設けられた円柱状軸部15a6とを有する(図5(A)と図5(D)と図1(B)を参照)。ちなみに、蓋部本体15aの外径は、観賞玩具10を上下反転させたときでも容器部11を自立できるように容器部11の外径よりも大きく設定されている。
【0023】
操作部15bは、円盤部15b1と、円盤部15の上面に180度間隔で設けられた操作補助部15b2と、円盤部15b1の下面中央に設けられた円柱状軸受け部15b3と、各操作補助部15b2と隣接して円盤部15bに設けられた円孔群から成る制御孔15b4とを有する(図5(E)と図5(D)と図1(B)を参照)。ちなみに、各操作補助部15b2の幅は、蓋部本体15aの操作補助部15a5の幅と同じかほぼ同じである。この操作部15bは、その軸受け部15b3を蓋部本体15aの軸部15a6に回転可能に嵌め込まれ、円盤部15b1の上面が蓋部本体15aの仕切り部15a3の下面に回転可能に接し、各操作補助部15b2が蓋部本体15aの各給排液孔15a4を通じて上方向に突出するように設けられている(図1(B)を参照)。ちなみに、蓋部本体15aに設けられた操作部15bの各操作補助部15b2の上面高さ位置は、蓋部本体15aの操作補助部15a5の上面高さ位置と同じかほぼ同じである。
【0024】
すなわち、操作部15bは、その各操作補助部15b2が蓋部本体15aの操作補助部15a5と上面視で十字状を成すとき(図5(A)を参照)、円盤部15b1の各制御孔15b4が無い部分によって蓋部本体15aの各給排液孔15a4を給排不可能に閉塞できる。また、各操作補助部15b2が動かされて円盤部15b1が回転すると(図5(D)を参照)、円盤部15b1の各制御孔15b4が蓋部本体15aの各給排液孔15a4内に変位し、当該各制御孔15b4を通じて蓋部本体15aの各給排液孔15a4を給排可能に開放できる。
【0025】
規制部15cは、蓋部本体15aの操作補助部15a5と操作部15bの各操作補助部15b2とを被覆可能な外径を有する円盤部15c1と、円盤部15c1の下面に設けられた円筒状の筒部15c2と、筒部15c2の下面に90度間隔で設けられた規制溝15c3とを有する(図5(B)と図5(C)を参照)。ちなみに、筒部15c2の外径は、円盤部15c1の外径よりも小さく、各規制溝15c3の幅は、蓋部本体15aの操作補助部15a5の幅および操作部15bの各操作補助部15b2の幅よりも僅かに大きく、各規制溝15c3の上下方向寸法は、蓋部本体15aの操作補助部15a5の上下方向寸法よりも僅かに大きい。
【0026】
すなわち、規制部15cは、蓋部本体15aの操作補助部15a5と操作部15bの各操作補助部15b2とが上面視で十字状を成すとき(図5(A)を参照)、各規制溝15c3を蓋部本体15aの操作補助部15a5と操作部15bの各操作補助部15b2に嵌め込みで取り付けることができ、この取り付け状態では操作部15bの各操作補助部15b2を動かすことはできない。つまり、操作部15bの各操作補助部15b2は、蓋部15から規制部15cを外して前掲の嵌め込みを解除することによって動かせる状態となる。ちなみに、この取り付け状態における規制部15cの円盤部15c1の上面高さ位置は、蓋部本体15aの上面高さ位置と同じかほぼ同じである。
【0027】
図1に示した使用前状態では、蓋部15は、蓋部本体15aのネジ部15a1が容器部11のネジ部11fに取り付けられ、操作部15bの円盤部15b1の下面が容器部11の開口部11bに接して当該開口部11bを閉塞している。また、同使用前状態では、蓋部15の操作部15bの各操作補助部15b2が蓋部本体15aの操作補助部15a5と上面視で十字状を成しており、これら操作補助部15b2および15a5に規制部15cの各規制溝15c3が嵌め込まれて取り付けられている。
【0028】
台座部16は、液体DWに対して不溶で、好ましくは不透明に形成されている。この台座部16は、図6に示したように、概ね円筒状を成し、上面視が円形の窪み部16aを有し、上面視が矩形状の突部16bを窪み部16の内面の左右部分に左右対称に有する。ちなみに、台座部16の窪み部16aの内径は、容器部11の外径よりも僅かに大きく、各突部16bの幅、突出量および上下方向寸法は、容器部11の各窪み部11d1の幅、深さおよび上下方向寸法よりも僅かに小さい。また、台座部16の外径は、観賞玩具10(容器部11)を自立できるように容器部11の外径よりも大きく設定されている。
【0029】
図1に示した使用前状態では、台座部16は、窪み部16aに容器部11の下部が挿入され、各突部16bが容器部11の各窪み部11d1が嵌まり込んだ状態で、容器部11に取り付けられている。
【0030】
可溶促進部17は、液体DWに対する情報部12の可溶を促進するためのもので、好ましくは液体DWに可溶で、かつ、液体DWによってガスを発生する材料を含む。この可溶促進部17は、概ね円柱状を成し、その外径は遮蔽部14の内径よりも僅かに小さく、その厚さは、容器部11の空洞11a内に配置された遮蔽部14の内側の上面と容器部11の各張り出し部11dの上端との上下方向寸法よりも僅かに小さい。
【0031】
図1に示した使用前状態では、可溶促進部17は、その上面を遮蔽部14の内側の上面に接し、その下面を容器部11の各張り出し部11dの上端に接し、その外周面を遮蔽部14で覆われた状態で配置され、空洞11aの底部11c上に配置された複数の部品13a~13dを覆っている。
【0032】
ここで、可溶促進部17について補足する。可溶促進部17が液体DWによってガスを発生する材料を含む場合、当該材料には、水(H0)との反応によって人体に無害な炭酸ガス等のガスを発生可能なものが適宜使用可能であり、好ましい例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩と、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸類との組み合わせを挙げることができる。炭酸塩と有機酸類との配合比はガス発生時間、すなわち、情報部12の可溶に要する時間や使用者の観賞時間に応じて適宜変更することができる。また、情報部12の可溶とともに、液体DWの着色を行う場合には、人体に無害な食用色素等の色素を前記材料に添加してもよい。
【0033】
《観賞玩具の組み立て例》
次に、図7を用いて、図1に示した観賞玩具10の組み立て例について説明する。なお、ここで説明する組み立て例はあくまでも一例であって観賞玩具10の使用方法を制限するものではない。ちなみに、この組み立て例は、図1に示した観賞玩具10を繰り返し使用する場合にも利用できる。
【0034】
組み立てに際しては、容器部11の下部に台座部16を取り付けたものと、分解状態の物品13(部品13a~13d)と、可溶促進部17が収容された遮蔽部14と、情報部12と、蓋部15(図示省略)を用意する。無論、可溶促進部17と遮蔽部14とを別々に用意してもよい。
【0035】
そして、容器部11の空洞11aに分解状態の物品13を入れて底部11c上に配置し、この後に、空洞11aに可溶促進部17が収容された遮蔽部14を入れて遮蔽部14の各スリット14bを容器部11の各張り出し部11dに挿入する。可溶促進部17と遮蔽部14とを別々に用意された場合には、可溶促進部17が容器部11の各張り出し部11d上に置き、この後に、その外側を遮蔽部14で覆うようにして当該遮蔽部14の各スリット14bを容器部11の各張り出し部11dに挿入する。そして、情報部12が例えば横長矩形状のシート状を成す場合、当該情報部12を適宜丸めた状態で容器部11の空洞11aに入れて遮蔽部14上に配置する。最後に蓋部15の蓋部本体15aのネジ部15a1を容器部11のネジ部11fに取り付けて、容器部11の開口部11bを閉塞する。以上で図1に示した観賞玩具10の組み立てが完了する。
【0036】
《観賞玩具の使用方法例》
次に、図8図16を用いて、図1に示した観賞玩具10の使用方法例について作用効果を交えて説明する。なお、ここで説明する使用方法例はあくまでも一例であって観賞玩具10の使用方法を制限するものではない。
【0037】
使用に際しては、図8に示したように、観賞玩具10の台座部16を卓上等の平坦面(2点鎖線を参照)に置く。そして、蓋部15から規制部15cを外し、この後に、蓋部15の操作部15bを動かして(図5(D)を参照)、蓋部本体15aの各給排液孔15a4を開放して液体DWを給排可能な状態とする。そして、蓋部15の蓋部本体15aの仕切り部15a3に向かって液体DW(例えば水道水)を注ぎ込む。
【0038】
注ぎ込まれた液体DWは、図9に示したように、蓋部本体15aの各給排液孔15a4と操作部15bの各制御孔15b4を通じて容器部11の空洞11aに流し込まれるため、空洞11aが液体DWでほぼ一杯になったところで、当該注ぎ込みを停止する。そして、蓋部15の操作部15bを復帰させて(図5(A)を参照)、蓋部本体15aの各給排液孔15a4を閉塞して液体DWを給排不可能な状態とする。そして、先に外した規制部15cを蓋部15に取り付けて、操作部15bの各操作補助部15b2が動かないようにする。
【0039】
そして、図10に示したように、容器部11の空洞11aに液体DWが充填された後のものを手指で把持して持ち上げ、前後左右に数秒程度振ってから卓上等の平坦面に置く。情報部12は液体DWとの接触により溶け始め、可溶促進部17も液体DWとの接触によってガスを発生し始めるが、振ることによって情報部12の可溶と可溶促進部17からのガス発生が促され、可溶促進部17で発生し上昇するガスの気泡BUにより情報部12が動かされてその可溶が促進される。また、可溶促進部17に色素が含まれている場合には、ガス発生に伴って液体DWが変色する。
【0040】
前掲のガス発生および気泡BUの上昇は、情報部12の可溶を促進する他に、独特の雰囲気を演出する役目も果たしている。すなわち、情報部12が溶けていく様子をガスの気泡BUにより目立たせて使用者を引きつけることができるため、ガス発生を利用しない場合と比べて使用者の視覚と聴覚に訴える力が格段向上する。また、情報部12の可溶に数十秒程度を要する場合でも、ガスの気泡BUによる演出によって当該時間をもてあますことも解消できる。ちなみに、情報部12は完全に液体DWに溶けて無くなる訳ではなく、可溶促進部17も完全に液体DWに溶けて無くなら場合もある得るため、容器部11の空洞11a内の液体DWはこれらの残渣が混合した混合液体MWとなる。
【0041】
ガス発生が停止した後は、図11に示したように、蓋部15から規制部15cを外し、この後に、全体を上下反転させてから蓋部15を卓上等の平坦面に置き、蓋部15に対して容器部11を少し回転させる。容器部11の開口部11bは蓋部15の操作部15bの円盤部15b1に接しているため、この回転に伴って操作部15bが動かされて(図5(D)を参照)、蓋部本体15aの各給排液孔15a4が給排可能な状態となる。
【0042】
すなわち、容器部11の空洞11b内の混合液体MWは、図11に示したように、蓋部本体15aの各給排液孔15a4と操作部15bの各制御孔15b4を通じて蓋部本体15aの各排液溝15a2から外部に排出する。また、分解状態の物品13が空洞11a内を自重落下して、容器部11の外部から視認できるようになる。
【0043】
容器部11の空洞11b内の混合液体MWの排出が完了した後は、図12に示したように、蓋部本体15を回して容器部11から外して、分解状態の物品13を自重落下によって空洞11a内から取り出す。取り出された分解状態の物品13には先に述べた残渣が付着している場合があるので、好ましくは水道水等を用いて当該残渣を除去する。そして、分解状態の物品13を組み立てて図3(B)に示した自立可能な形態とする。
【0044】
混合液体MWの排出と分解状態の物品13の取り出しが完了した後は、好ましくは水道水等を用いて当該容器部11の空洞11aを洗浄し乾燥させ、図13に示したように、台座部16を卓上等の平坦面に置き、先に蓋部15から外した規制部15cを容器部11の空洞11aに入れ、当該規制部15cの筒部15c2を遮蔽部14の孔14aに挿入し、かつ、円盤部15c1の下面が遮蔽部14の上面に接するように配置する。
【0045】
容器部11の空洞11a内に規制部15cを配置した後は、図14に示したように、先に組み立てた物品13を容器部11の空洞11aに入れ、当該物品13を規制部15cの円盤部15c1上に自立状態で配置する。
【0046】
容器部11の空洞11a内に組み立て後の物品13を配置した後は、図15に示したように、先に容器部11から外した蓋部本体15を当該容器部11に取り付ける。以上で図16に示したような外観、すなわち、組み立て後の物品13が筒状ショーケース内に展示されているような外観を有する展示形態を得ることができる。
【0047】
《変形例》
次に、前述の観賞玩具10に係る変形例について紹介する。
【0048】
(1)前述の使用方法例では1回のみの使用を前提として説明を行ったが、予備の可溶促進部17を用意しておくか、あるいは、別種類の情報源12および物品13と予備の可溶促進部17を用意しておけば、前述の組み立て方法例によって使用前状態の観賞玩具10を再度組み立てて、繰り返し使用することも可能である。
【0049】
(2)容器部11の空洞11a内に分解状態の物品13を配置したものを例示したが、組み立て不要の物品13を空洞11a内に配置することも可能である。
【0050】
(3)容器部11とは別に台座部16を備えたものを例示したが、容器部11そのものが自立できる外形(外径)を有する場合や、容器部11が台座部の代わりとなる部分を一体に有する場合には、台座部16を排除することも可能である。
【0051】
(4)可溶促進部17を備えるものを例示したが、容器部11の空洞11aに液体DWが充填された後のものを振る行為によって情報部12の可溶を行うことを前提とする場合には、可溶促進部17を排除することも可能である。この場合には、情報部12の一部によって遮蔽部14の孔14aを塞ぐようにすれば、あるいは、情報部12によって分解状態の物品13を囲むようにすれば、容器部11の空洞11aに当該物品13を外部から視認できないように配置することができる。
【0052】
(5)情報部12と分解状態の物品13と可溶促進部17を除く構成、すなわち、容器部12と遮蔽部14と蓋部15は、前述の観賞玩具10を作製する場合の容器として極めて有用である。換言すれば、容器部12と遮蔽部14と蓋部15とを備える容器を準備しておけば、情報部12と分解状態の物品13と可溶促進部17の種類が変わった場合でも、この変化に追従して所期の観賞玩具を作製することができる。
【0053】
(6)可溶促進部17は粉末状または粒状ものものでもよい。その場合の可溶促進部17の量は容器11の空洞11aの底部11c上の物品13の少なくとも一部を覆う量とし、物品13の種類が外部から視認しても判別できない量とすると興趣性が高まる。
【符号の説明】
【0054】
10…観賞玩具、11…容器部、11a…空洞、12…情報部、12a…情報源、13…物品、13a~13d…物品を構成する組み立て可能な部品、14…遮蔽部、15…蓋部、15a…蓋部本体、15b…操作部、15c…規制部、16…台座部、17…可溶促進部、DW…液体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16