IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲーの特許一覧

特許7397587埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置
<>
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図1
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図2
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図3
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図4
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図5
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図6
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図7
  • 特許-埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】埋め込みの設定部品を有する安全スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20231206BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H05K7/12 U
H05K1/18 Q
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019117051
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2020010025
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】10 2018 115 243.4
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ツィンザー
(72)【発明者】
【氏名】ロタール メルツ
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-511863(JP,A)
【文献】実開昭57-20173(JP,U)
【文献】実開平2-140801(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を制御するための、前記負荷をオンに切り換え、かつ安全にオフに切り換えるための、安全スイッチング装置(10)であって、入力信号を受信するための少なくとも1つの入力と、出力信号を出力するための1つの出力とを有し、かつ、前記出力信号を前記入力信号の関数として供給するための電気回路を有し、
前記電気回路は、プリント回路基板(12)上に配置されており、かつ、当該安全スイッチング装置の動作パラメータを設定するための、少なくとも1つの設定部品(16)に結合されており、
前記プリント回路基板(12)の表面(14)が、実装平面(26)を区画しており、
前記少なくとも1つの設定部品(16)は、ハウジング(58)内に配置された調整素子(20)を有しており、前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)が前記実装平面(26)と交差するよう、前記プリント回路基板(12)に埋め込まれて配置されており、
前記調整素子(20)は、前記実装平面(26)に平行に延び、かつ前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)の前側(60)に垂直な回転軸を区画する軸部(22)を有するアクチュエータ(18)を備え、前記実装平面(26)は前記前側(60)と交差しており
前記前側(60)は、前記調整素子(20)が作動されたときに引張荷重が前記プリント回路基板(12)へと伝達されるように、前記プリント回路基板(12)に少なくともその一部が当接している、安全スイッチング装置。
【請求項2】
前記設定部品(16)は、調整ポテンショメータまたはトリミングポテンショメータであって、前記調整素子(20)は、回転またはシフトによって機械的に抵抗値を変更できる電気抵抗部品を有している、請求項1に記載の安全スイッチング装置。
【請求項3】
前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)は、前記前側(60)の反対側にある後側(62)を有しており、前記後側(62)は、前記調整素子(20)が作動されたときに引張荷重が前記プリント回路基板(12)へと印加されるように、前記プリント回路基板(12)に少なくともその一部が当接している、請求項1に記載の安全スイッチング装置。
【請求項4】
前記プリント回路基板(12)は、前記調整素子の前記ハウジング(58)を挿通できる切り欠き(30)を有している、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の安全スイッチング装置。
【請求項5】
負荷を制御するための、前記負荷をオンに切り換え、かつ安全にオフに切り換えるための、安全スイッチング装置(10)であって、入力信号を受信するための少なくとも1つの入力と、出力信号を出力するための1つの出力とを有し、かつ、前記出力信号を前記入力信号の関数として供給するための電気回路を有し、
前記電気回路は、プリント回路基板(12)上に配置されており、かつ、当該安全スイッチング装置の動作パラメータを設定するための、少なくとも1つの設定部品(16)に結合されており、
前記プリント回路基板(12)の表面(14)が、実装平面(26)を区画しており、
前記少なくとも1つの設定部品(16)は、ハウジング(58)内に配置された調整素子(20)を有しており、前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)が前記実装平面(26)と交差するよう、前記プリント回路基板(12)に埋め込まれて配置されており、
前記設定部品(16)は、前記プリント回路基板(12)の表面(14)上の前記電気回路に接触する少なくとも1つの接触素子(54)を有し、
前記ハウジング(58)は、前側(60)、前記前側(60)の反対側の後側(62)、および周方向の側面(64)を有する本体を区画しており、前記接触素子(54)は、前記ハウジング(58)内の電気抵抗部品に接触するために、前記実装平面(26)から間隔を置いて、前記周方向の側面(64)のうち少なくとも1つの側面に接続されている、安全スイッチング装置。
【請求項6】
当該安全スイッチング装置は、それぞれが前記実装平面(26)に平行に延びる第1(40)および第2の側面(42)を備えるハウジングを有しており、前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)は、前記第1および第2の側面(40、42)の間で中央に配置されている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の安全スイッチング装置。
【請求項7】
前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)は、前記第1の側面(40)および前記第2の側面(42)から等しい距離に配置されており、前記第1および第2の側面(40、42)のそれぞれに当接している、請求項6に記載の安全スイッチング装置。
【請求項8】
前記第1の側面(40)および/または前記第2の側面(42)は、前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)が中で延びる、または中を通って延びる、窪み(72)を有している、請求項6に記載の安全スイッチング装置。
【請求項9】
安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための設定部品(16)であって、
ハウジング(58)内に配置された調整素子(20)と、前記調整素子(20)を調整するためのアクチュエータ(18)と、前記調整素子(20)を前記安全スイッチング装置の電気回路に電気的に接続するための、前記ハウジング(58)から張り出した接触素子(54)とを備え、
前記ハウジング(58)は、前側(60)、前記前側(60)の反対側の後側(62)、および、前記前および後側(60、62)から間隔の空いた周方向の側面(64)を有する本体を区画しており、前記接触素子(54)は、一方の端で、前記周方向の側面(64)の少なくとも1つと接触するよう、かつ、反対側の端で端子表面(66)を形成するよう構成されており、前記端子表面(66)は、当該設定部品(16)が意図されたとおりに実装されたときに、前記ハウジング(58)の前記前および後側(60、62)と交差する実装平面(26)に接触し、
前記接触素子(54)は、前記ハウジング(58)内の電気抵抗部品に接触するために、前記実装平面(26)から間隔を置いて、前記周方向の側面(64)の少なくとも1つの側面に接続されている、設定部品。
【請求項10】
安全スイッチング装置を製造するための方法であって、
電気回路を配置するための実装平面(26)を区画する少なくとも1つの表面(14)を有するプリント回路基板(12)を設けるステップと、
前記安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための設定部品(16)を設けるステップであって、前記設定部品(16)は、前記電気回路に結合されており、かつ、ハウジング(58)内に配置された調整素子(20)を備えているステップと、
前記電気回路および前記設定部品(16)を配置するステップであって、前記電気回路は、前記プリント回路基板(12)の前記表面(14)上に配置され、前記設定部品(16)は、前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)が前記実装平面(26)と交差するように、前記プリント回路基板(12)の前記表面(14)上に埋め込まれて配置されるステップとを含み、
前記設定部品(16)を設けるステップにおいて、前記調整素子(20)は、前記実装平面(26)に平行に延び、かつ前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)の前側(60)に垂直な回転軸を区画する軸部(22)を有するアクチュエータ(18)を備え、
前記電気回路および前記設定部品(16)を配置するステップにおいて、前記実装平面(26)は前記前側(60)と交差しており、前記前側(60)は、前記調整素子(20)が作動されたときに引張荷重が前記プリント回路基板(12)へと伝達されるように、前記プリント回路基板(12)に少なくともその一部が当接している、方法。
【請求項11】
安全スイッチング装置を製造するための方法であって、
電気回路を配置するための実装平面(26)を区画する少なくとも1つの表面(14)を有するプリント回路基板(12)を設けるステップと、
前記安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための設定部品(16)を設けるステップであって、前記設定部品(16)は、前記電気回路に結合されており、かつ、ハウジング(58)内に配置された調整素子(20)を備えているステップと、
前記電気回路および前記設定部品(16)を配置するステップであって、前記電気回路は、前記プリント回路基板(12)の前記表面(14)上に配置され、前記設定部品(16)は、前記調整素子(20)の前記ハウジング(58)が前記実装平面(26)と交差するように、前記プリント回路基板(12)の前記表面(14)上に埋め込まれて配置されるステップとを含み、
前記設定部品(16)を設けるステップにおいて、前記設定部品(16)は、前記表面(14)上の前記電気回路に接触する少なくとも1つの接触素子(54)を有し、前記ハウジング(58)は、前側(60)、前記前側(60)の反対側の後側(62)、および周方向の側面(64)を有する本体を区画しており、
前記電気回路および前記設定部品(16)を配置するステップにおいて、前記接触素子(54)は、前記ハウジング(58)内の電気抵抗部品に接触するために、前記実装平面(26)から間隔を置いて、前記周方向の側面(64)の少なくとも1つの側面に接続されている、方法。
【請求項12】
前記電気回路および前記埋め込まれた設定部品をハンダ付けするステップをさらに含み、配置およびハンダ付け用に表面実装技術のみを使用する、請求項10または請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を制御するための、特に負荷をオンに切り換えかつ安全にオフに切り換えるための安全スイッチング装置であって、入力信号を受信するための少なくとも1つの入力と、出力信号を出力するための1つの出力とを有し、かつ、出力信号を入力信号の関数として供給する電気回路を有する、安全スイッチング装置に関する。さらには、本発明は、このような安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための設定部品、および、このような安全スイッチング装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した種類の安全スイッチング装置は、例えば下記特許文献1から公知である。
【0003】
この種の安全スイッチング装置は、プレス機またはフライス工具などの電気的に駆動される機械をオンに切り換え、かつ安全にオフに切り換えるために、主に工業部門で使用される。特に、機械的に作動される非常停止ボタンといった安全センサと連動して、安全スイッチング装置は、緊急時に、機械を素早くかつ安全にオフに切り換えるよう機能する。この目的のために、例えば、オフに切り換えられることになる機械の電源が、電気機械的なスイッチング素子の作業接点を介して供給される。これは、機械の電源を遮断するために、安全スイッチング装置によって作動できる。
【0004】
安全スイッチング装置は通常、中央での設置および管理のため、制御キャビネット内に収容される。制御キャビネット内の空間は制限されるため、できるだけ小さな空間内でできるだけ多くの機能を持たせられるようにするために、安全スイッチング装置をできるだけ小さく実施するのが望ましい。
【0005】
電子的なスイッチング素子を有し、従来の中継技術の通常のリレーがなくてもよい、安全スイッチング装置が、この目的のためにますます多く使用されている。かさばるリレーを削除することにより、17.5mmというハウジング幅を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第196 26 129 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
他の機械部品または電気機械部品を電子的な均等物と置換することにより、ハウジング幅をさらに低減できる。さらには、純粋な電子素子に重点を置くことにより、製造努力を、表面実装技術などの、電子機器の製造における単独の製造工程に限定できる場合に特に、低減できる。このように、純粋に電子部品、特にSMD部品、で形成された回路を有する安全スイッチング装置を実施するのが望ましい。
【0008】
しかし、安全スイッチング装置で通常使用されるいくつかの電気機械部品は、純粋な電子素子で置換するのが困難または不可能である。これらの素子は、利用可能でないか、必要な安定性を提供しないか、または、安全の観点から安全スイッチング装置で使用するのに適していないかのいずれかである。
【0009】
この背景に照らして、本発明の目的は、改良された安全スイッチング装置を提供することである。特に、より小さいサイズを、例えばより小さいハウジング幅を有し、従来の安全スイッチング装置に匹敵する安全性および安定性を可能にする、安全スイッチング装置を規定することを目的とする。さらには、より少ない製造努力で製造できる安全スイッチング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、この目的は、冒頭に記述した種類の安全スイッチング装置であって、前記電気回路は、プリント回路基板上に配置されており、かつ、当該安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための、少なくとも1つの設定部品に結合されており、さらに前記プリント回路基板の表面が実装平面を区画しており、前記少なくとも1つの設定部品は、ハウジング内に配置された調整素子を備えており、前記調整素子の前記ハウジングが前記実装平面と交差するよう、前記プリント回路基板上に埋め込まれて配置されている、安全スイッチング装置により解決される。
【0011】
本発明の別の局面によれば、この目的は、安全スイッチング装置を製造するための方法であって、電気回路を配置するための実装平面を区画する少なくとも1つの表面を有するプリント回路基板を設けるステップと、前記安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための設定部品を設けるステップであって、前記設定部品は、前記電気回路に結合されており、かつ、ハウジング内に配置された調整素子を備えているステップと、前記電気回路および前記設定部品を配置するステップであって、前記電気回路は、前記プリント回路基板の前記表面上に配置され、前記設定部品は、前記調整素子の前記ハウジングが前記実装平面と交差するように、前記プリント回路基板上に埋め込まれて配置されるステップとを含む方法により解決される。
【0012】
本発明のさらに別の局面によれば、この目的は、安全スイッチング装置の動作パラメータを調整するための設定部品であって、ハウジング内に配置された調整素子と、前記調整素子を調整するためのアクチュエーと、前記調整素子を前記安全スイッチング装置の電気回路に電気的に接続するための、前記ハウジングから張り出した接触素子とを備え、前記ハウジングは、前側、前記前側の反対側の後側、および、前記前および後側から互いに間隔の空いた周方向の側面を有する本体を区画しており、前記接触素子は、一方の端で、前記周方向の側面の少なくとも1つと接触するよう、かつ、反対側の端で端子表面を形成するよう構成されており、前記端子表面は、当該設定部品が意図されたとおりに実装されたときに、前記ハウジングの前記前および後側と交差する前記実装平面に接触する、設定部品によっても解決される。
【0013】
ゆえに、本発明の着想は、プリント回路基板に埋め込まれた安全スイッチング装置の電気回路の少なくとも1つの設定部品を配置することにある。本明細書で埋め込まれたとは、設定部品のハウジングが、プリント回路基板の表面により区画される実装平面と交差しているということを意味している。したがって、部品は、通常のように表面には配置されず、表面にある穴状の窪み内へと埋め込まれて配置される。好適にも、設定部品の下側の縁は、もはやプリント回路基板の上方に配置されず、電気回路の全体的な構造体の下側の縁を形成できる。
【0014】
通常の安定性および信頼性を可能にするために、用途によって、より大きな電気機械部品の使用が必要となった場合であっても、このようにして、電気回路の全体的な高さを好適に低減することができる。埋め込み組み立て(recessed assembly)および対応する低減された設置高さにより、ハウジング幅を10%~15%低減することができ、12.5mmという好ましいハウジング幅が可能となる。
【0015】
埋め込み組み立てはさらに、調整部品が作動されたときに、圧力を好適に吸収することをも可能にする。これにより、安定性および信頼性が向上する。
【0016】
安全スイッチング装置用の、実績があり、試験済みの設定部品を再利用でき、同時に、ハウジング幅を低減できるのが好適である。実績があり、試験済みの設定部品を再利用することにより、製造コストを節約できる。同時に、検査および受入試験のための労力は、安全装置にとって必須であるが、新しい装置について低減できる。これは、開発に伴う内部試験を割愛できるからである。冒頭で言及した目的は、このようにして完全に解決される。
【0017】
好ましい改良形態では、前記設定部品は、調整ポテンショメータまたはトリミングポテンショメータであって、前記調整素子は特に、回転またはシフトによって機械的に抵抗値を変更できる電気抵抗部品を有している。
【0018】
通常の調整ポテンショメータは、十分な位置決め精度および十分な機械的耐久性を有しており、約10mmの全体的な高さを有している。通常の安全スイッチング装置では、調整ポテンショメータの全体的な高さが、電気回路の全体的な構造体の高さを決定的に左右することが明らかとなっている。ゆえに、全体的な高さをさらに低減するために、実績のある調整ポテンショメータを、より小さな部品と置換する必要がある。しかし、これらは全く利用できず、または、作動中の機械的応力に耐えるのに必要な安定性を有していない。ゆえに、設定ポテンショメータの埋め込み組み立ては、実績のある位置決め精度および安定性を維持しつつ安全スイッチング装置の全体的な高さを低減することに、特に好適に寄与する。
【0019】
さらなる改良形態では、前記調整素子は、前記実装平面に平行に延び、かつ前記アクチュエータの前記ハウジングの前側に垂直な回転軸を区画する軸を有するアクチュエータを備え、前記実装平面は前記前側と交差している。
【0020】
ゆえに、この改良形態では、アクチュエータは、調整素子を調整するのに使用できるシャフトを有する、回転式ポテンショメータである。通常の標準的な回転式ポテンショメータでは、調整素子は、シャフトが調整用に中央において突出している、円形または立方形のハウジング内に配置されている。この設計により、考え得る最小の表面領域での、設定部品の考え得る最大の位置決め精度および安定性が可能となる。埋め込み組み立てにより、シャフトが調整素子のハウジングから中央において現れる標準的な調整素子を使用しながら、シャフトをプリント回路基板の直上に配置する、またはプリント回路基板の表面に載置することが可能となる。この改良形態により、全体的な高さを好適に低減しながら、調整素子用の標準的な部品を使用することができ、ゆえに、製造コストに良好な影響が及ぶ。
【0021】
好ましい改良形態では、前記調整素子の前記ハウジングは、前記前側の反対側の後側を有しており、これは、前記アクチュエータが作動されたときに引張荷重が前記プリント回路基板へと移転されるように、前記プリント回路基板に少なくとも一部が当接している。
【0022】
この改良形態では、調整素子は、後側でプリント回路基板に少なくとも一部が接触している。このようにして、調整素子が位置決めまたは実装されたときに調整素子に働く圧力を、プリント回路基板へと好適に移転できる。これにより、安定性が向上し、かつ、組み立て処理が好適に簡略化される。
【0023】
さらに好適な改良形態では、前記前側も、前記アクチュエータが作動されたときに引張荷重が前記プリント回路基板へと移転されるように、前記プリント回路基板に少なくとも一部が当接している。
【0024】
この改良形態では、調整素子のハウジングは、少なくとも2つの反対方向へ、プリント回路基板により固定されている。このようにして、特に「ぶれ(blurring)」、すなわち組み立て中の変位、を好適に相殺できる。このようにして、組み立てをさらに簡略化できる。
【0025】
さらなる改良形態では、前記プリント回路基板は、前記調整素子の前記ハウジングを挿通できる切り欠きを有している。
【0026】
ゆえに、この改良形態では、プリント回路基板は、調整素子のハウジングを挿入できる、穴状の窪みを有している。窪みは、プリント回路基板を研磨することにより、特に容易に形成できる。それによって、設定部品の支持を好適に改善でき、かつ、設定部品の周りの空気循環を向上できる。
【0027】
さらなる改良形態では、前記設定部品は、前記表面上の前記電気回路に接触する少なくとも1つの接触素子を有している。
【0028】
この改良形態では、埋め込まれた設定部品は、プリント回路基板の表面上の接触素子を介して、回路の残部に電気的に接続されている。接触素子は好適には、配線部品と同様にハウジングから突出するが、ここでは、共通の表面上にある電気回路に接触できるよう屈曲される、接続ピンであってもよい。他の部品は、SMD技術で設計されているのが好ましい。本改良形態により、埋め込まれた部品を、表面実装技術を使用して、従来のSMD部品同様に組み立ておよびハンダ付けすることも可能となる。それによって、追加のウェーブハンダ付け処理の必要を除くことができ、製造を単独実装技術(single mounting technology)に切り換えることができる。ゆえに、この改良形態は、製造努力の低減にも好適に寄与する。
【0029】
好ましい改良形態では、少なくとも1つの接触素子が、前記実装平面から間隔を置いた前記アクチュエータの前記ハウジングと接触している。
【0030】
ゆえに、この改良形態では、調整素子のハウジングでの接触は、実装平面レベルでは行われず、埋め込み組み立てにより実装平面からオフセットされた、調整素子のハウジングの側面の1つで行われるのが好ましい。これにより、通常PCBに挿通されるピンのみを、表面実装技術を使用するために上に屈曲した、通常の単一の配線された調整素子の使用が可能となる。すでに言及したように、標準的な素子の使用には、埋め込み組み立てを特に費用効率よく実現できるという利点がある。
【0031】
さらなる改良形態では、当該安全スイッチング装置は、それぞれが前記実装平面に平行に延びる第1および第2の側面を備えるハウジングを有しており、前記調整素子の前記ハウジングは、前記第1および第2の側面の間で中央に配置されている。
【0032】
この改良形態では、安全スイッチング装置のハウジング幅は、調整素子をハウジング側部の間で中央に配置した状態で、2つの側面により規定される。中央配置により、安全スイッチング装置への設定部品の割り当てを、中央からはずれた配置でよりも、オペレータにより良く見えるようにしながら、多数の安全スイッチング装置を互いに並べて配置することができる。このようにして、誤った割り当てによる構成誤りを容易に回避できる。
【0033】
好ましくは、前記調整素子の前記ハウジングは、前記第1の側面および前記第2の側面から等しい距離に配置されており、前記ハウジングは、前記第1および第2の側面に当接している。これにより、シャフトなどの制御部品が中央において突出している円形または立方形のハウジングを有する、従来の調整素子を使用できる。この改良形態では、実績のある標準的な部品を、埋め込み組み立て用に再利用できる。
【0034】
あるいは、前記第1の側面および/または前記第2の側面は、前記調整素子の前記ハウジングが中で延びる、または中を通って延びる、窪みを有していてもよい。このようにして、最小のハウジング幅を、調整素子の高さまで、さらに低減できる。同時に、このような窪みはさらに、アクチュエータを固定かつ安定させる。
【0035】
上述した本発明の特徴、および、以下にこれから説明される特徴を、示唆したそれぞれの組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせにおいても、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく使用できることが、理解されるであろう。
【0036】
本発明の実施形態を、以下の説明において、より詳細に説明し、かつ、図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】取り囲むハウジングを除いた、本発明の実施形態に係る安全スイッチング装置を示す頂面図および側面図である。
図2】取り囲むハウジングを有する、図1に係る実施形態を示す図である。
図3図1および図2の実施形態に係る安全スイッチング装置を示す分解図である。
図4】本発明の3つの実施形態をそれぞれ示す正面図である。
図5】本発明に係る設定部品を示す斜視図、正面図、頂面図および側面図である。
図6】T字形の切り欠きを有する、本発明に係るプリント回路基板を示す図である。
図7】十字形の切り欠きを有する、本発明に係るプリント回路基板を示す図である。
図8】本発明のプリント回路基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下において、図面を詳細に説明する。同じ参照符号は、すべての図面において同じ部品を指し、各図面について、詳細に説明しない。
【0039】
図1は、取り囲むハウジングを省いた、本発明の実施形態に係る安全スイッチング装置の頂面図および側面図を示している。図1では、本発明の実施形態に係る安全スイッチング装置の全体を、参照番号10で示している。
【0040】
安全スイッチング装置は、プリント回路基板12を備えており、プリント回路基板12の表面14には、本質的な機能(すなわち例えば、オンに切り換え、かつ安全にオフに切り換えること)を果たす電気回路が配置されており、それについては、明瞭さのために、ここでは詳細に説明しない。電気回路は、負荷を制御するのに本質的な素子を含んでおり、評価ユニット、入力および出力回路、ならびに、複数のスイッチング素子を含む1つまたはそれ以上の回路を特に備えていてもよい。
【0041】
好ましくは、電気回路は、SMD(surface mount device)技術において実現される。すなわち、これは本質的に、表面実装によりプリント回路基板12の表面14上に配置されるSMD部品を備えている。スルーホール技術(THT)部品と異なり、SMD部品はワイヤ接続を有しておらず、ハンダ付け可能な接続面により、プリント回路基板12の表面14に直接ハンダ付けされている。ゆえに、表面実装時に、部品、それらの端子、および、それらの接続は、プリント回路基板12の表面14上に配置される。
【0042】
従来の安全スイッチング装置に関し、貫通実装(push-through mounting)および表面実装を、安全スイッチング装置のプリント回路基板を完全に配備するために、順次行うことができ、かつ、しばしば順次行われる。ゆえに、2つの処理工程が通常、プリント回路基板を配備するのに必要とされる。しかし製造努力を低減するために、1つの実装技術のみを使用するのが望ましく、それには、サイズの低減が可能であるゆえに、SMD部品を有する表面実装が好ましい。ゆえに、電気回路全体を、SMD部品で形成することができる。
【0043】
これの例外が、安全スイッチング装置の動作パラメータを設定するための部品である。その理由は、これらが通常、手動で操作され、それゆえに、機械的応力にさらされることを意図されているからである。この理由で、こうした設定部品は通常、安全スイッチング装置において配線部品(wired component)として設けられる。なぜなら、スルーホール実装(すなわち、プリント回路基板への配線の挿入)は、さらなる機械的安定性をもたらすからである。
【0044】
機械的安定性に加えて、機械的精度も、部品の設定にとって重要である。安全スイッチング装置用の動作パラメータを設定するのに使用されることになる設定部品に関し、例えば適切なラスタ化により、それぞれの個々の状態を精確に設定することが可能でなければならない。ゆえに、設定部品の構造は、設定部品の最小サイズを規定する、特定の前提条件に結び付けられる。10mmという最小の構造高さが、安全関連の用途について許容可能な、頑丈な設定部品用に確立されており、それにより、約17.5mmという最小の達成可能なハウジング幅を、従来の実装により達成できる。
【0045】
本発明によれば、一定した、または、より増し加わった安定性で、より小さいハウジング幅を可能にする、このような設定部品の代替的なアセンブリが提案される。
【0046】
図1では、動作パラメータを設定するための3つの設定部品が示されており、それぞれは、参照番号16で表されている。この好ましい実施形態では、設定部品16は、安全スイッチング装置の規定の数の動作状態を設定するのに使用できる、回転式ポテンショメータまたはロータリースイッチである。回転素子の精確な位置決めまたは位置保持を可能にする、機械的なラスタ化をこのために規定しておくのが好ましい。
【0047】
設定部品16それぞれは、アクチュエータ18および調整素子20を備えている。アクチュエータ18は、ユーザが調整のために移動することができ、調整素子20は、調整動作を動作変数(好ましくは電気的な動作変数)へと変換する。
【0048】
アクチュエータ18は、調整素子20に接続された軸部22であってもよい。軸22は回転プレート24を有するものであってもよい。調整素子20は、アクチュエータ18を移動することにより抵抗値を機械的に変更できる、電気的な抵抗部品であるのが好ましい。
【0049】
本発明に係る安全スイッチング装置の調整素子20は、電気回路の実装平面26へと埋め込まれる。電気回路の実装平面26は、プリント回路基板12の表面14により定義される。埋め込まれたとは、この明細書において、調整素子20のハウジングが実装平面26と交差し、それゆえに例えば、ハウジングの一部がプリント回路基板12の裏側28から突出することを意味する。裏側28とは、表面14の反対の側である。
【0050】
好ましくは、プリント回路基板12は、調整素子20が挿通される、埋め込みアセンブリ(recessed assembly)用の1つまたはそれ以上の切り欠き30(図6も参照)を有している。ゆえに、調整素子20のサイズは、従来の安全スイッチング装置における調整素子と比較して、変更されないままとすることができる。また全体の構造体の高さを低減できる。これは、調整素子20が、プリント回路基板12の表面14の上方に実装されておらず、プリント回路基板12によって取り囲まれているためである。ゆえに調整素子20の元のサイズおよび機械的特性を保持しながら、ハウジング幅の低減を実現できる。
【0051】
くわえて、図1に示すような好適な構成では、設定部品16は、電気回路を設けたプリント回路基板12の表面14に接触していてもよい。これは、従来の「配線された」設定部品を使用することにより、容易に実現できる。その配線は、部品本体に向かって屈曲されており、その結果、配線32の自由端34が、埋め込み位置にある場合であっても、プリント回路基板12の表面14に到達する。この構成では、設定部品16を、残りの電気回路の他のあらゆるSMD部品同様、好適に扱うことができる。
【0052】
埋め込まれた設定部品16は、その配線32が表面14へと延びるよう設計されており、それゆえに、通常の表面実装により、他のSMD部品と一緒に実装およびハンダ付けすることができる。この目的のために、配線32の自由端34も、表面14上のハンダ付け可能な端子表面上に配置され、電気回路の他の部品と同じ仕方でハンダ付けされる。すなわち、好ましい構成では、他の場合には通常では配線される設定部品を、組み立て処理において通常のSMD部品同様に扱ってもよく、それにより、以前は必要であった、スルーホール組み立て用のウェーブハンダ付け処理を完全に削除できる場合に特に、製造努力が低減される。
【0053】
図2および図3は、上述した実施形態を、斜視図、正面図および分解図において示しているが、図1と異なり、取り囲むハウジングをそれぞれ有している。取り囲むハウジングは、第1および第2のハウジング部36、38を有しており、それらの間に、電気回路を含むプリント回路基板12が配置されている。2つのハウジング部36、38の側面40、42は、実装平面26に対して本質的に平行にされており、プリント回路基板12を両側で覆っている。
【0054】
電気回路の本質的に一面側に偏った構造ゆえに、プリント回路基板12は、本質的にハウジング部36、38の間に配置されている。すなわち、実装平面26は、第2の側面42からよりも、第1の側面40からの距離が小さい。調整平面44は、設定部品16の平行軸部22により区画されるが、好適には2つの側面40、42に対して中央位置に延びている。アクチュエータ18の中央揃えにより、多数の安全スイッチング装置を隣同士に配置しながら、ユーザは、設定部品16をそれぞれの安全スイッチング装置に容易に割り当てることができ、横方向にオフセットされたアクチュエータによる不正確な割り当てを回避できる。
【0055】
設定部品16の軸部22は空間的に、前側パネル46の背後に配置されており、その結果、部品を1つの方向から容易に実装できる。組み立ての順序は、第1のハウジング部36、アクチュエータ18と調整素子20とを含む設定部品16が取付けられた組み立てられたプリント回路基板12、前側パネル46、および最後に第2のハウジング部38、であってもよい。組み立て中に、張り出した軸部22への損傷を避けるため、組み立て中に、軸部22を第1のハウジング部36上で支持してもよい。
【0056】
第1および/または第2のハウジング部36、38上の機械的な止め具48を、アクチュエータ18のさらなる安定化を達成するために使用することもできる。好適には、設定部品16を組み立て用の埋め込み位置に固定するために、組み立て中にアクチュエータ18を、第1のハウジング部36の機械的な止め具48上に載置できる。
【0057】
図4は、配置された設定部品を有する、3つの組み立てられた安全スイッチング装置の例を、正面図において示している。中央にある安全スイッチング装置は、12.5mmのハウジング幅Bを有する好ましい構成に対応している。アクチュエータ18の中央の軸は、2つのハウジング側部40、42間で中央に延びており、周方向の目盛り(scale marking)50、すなわち記号52の周方向の配置が可能となっている。
【0058】
ここで左および右の図に示すように、本発明に従って組み立てられたプリント回路基板は依然として、より幅の広いハウジングにおいて使用できる。ゆえに、本発明に従って組み立てられたプリント回路基板は、過去にさかのぼって、旧式のハウジングに対して互換性があり、その際、前面パネルを置換しなければならない場合がある。
【0059】
より幅の広いハウジングでも、本発明に係る設計を適用できる。これは、アクチュエータの中心軸の横方向の整列により、アクチュエータに対する横方向の表示用に、より多くの空間を利用可能にするためである。
【0060】
本明細書に記載の安全スイッチング装置は単なる例と理解されるべきであること、埋め込み実装(recessed mounting)を使用する他の実施形態を考え得ることを理解されたい。
【0061】
図5は、設定部品16の好ましい実施形態を、異なる各視点で示している。
【0062】
この実施形態における設定部品16は、アクチュエータ18および調整素子20を有する、回転式ポテンショメータである。アクチュエータ18は、調整素子20に回転可能に取り付けられた軸部22であり、調整素子20は、軸部22を回転することにより抵抗値を機械的に変更できる、電気抵抗部品である。
【0063】
この種の回転式ポテンショメータは通常、設定部品16を電気回路に結合できる、3つの接続を有している。回路は、連続的に調整可能な分圧器として主に使用される。接続は、接触素子54の形態で実現される。
【0064】
設定部品16は、調整またはトリミングポテンショメータとして実施される。調整またはトリミングポテンショメータは、例えば、安全スイッチング装置の限られた数の規定の動作パラメータを例えば初期設定中に一度設定するといった、通常はめんどうな調整のみのために設計されている。この目的のために、調整素子20は離散的なラスタ化(discrete rasterization)を有しており、それにより、各静止位置が規定の状態に対応する。ラスタ化は、変更が意図的な作動によってのみ生じるようにアクチュエータ18をそれぞれの静止位置に保持するよう設計されている。これは、例えば、ねじ回しの助けで軸部22に配置された回転プレート24によって軸を調整可能とすることにより達成できる。くわえて、ハウジング上に配置された止め具と相互作用して軸部22の過回転を防止する追加の止め具56を回転プレート24上に直接、あるいは軸部22上に、配置することにより、過回転保護を実施できる。
【0065】
特に、安全スイッチング装置に関し、誤った設定により安全が危険にさらされないようラスタ化および過回転保護を確実かつ頑丈に設計することが重要である。ゆえに、すでに言及したように、サイズまたは種類の選択を相当に規制する、機械的に頑丈な設定部品16が必要である。これらの構造的な制限にもかかわらず、安全技術では、安全関連の規定に適合するために、本明細書に示したような調整ポテンショメータが好んで使用される。
【0066】
調整素子20は、トーラスの形態の抵抗素子が封入されているハウジング58内に配置されている。ハウジング58は、前側60、反対側の後側62および周方向の側面64を有する矩形であるのが好ましい。側面64は、前および後側60、62から互いに間隔が空いている。アクチュエータ18の軸部22は、本明細書に示すように、前側60から中央に突出しているのが好ましい。
【0067】
本発明によれば、設定部品16は、ハウジング58により区画される本体と交差する、実装平面26上の電気回路に接触するよう設計されている。これは、電気回路が、ハウジング58の前および後側60、62と交差する平面上に、好ましくは直角に実装されていることを意味している。ゆえに、設定部品16を、上述したようにプリント回路基板12により区画される実装平面26へと埋め込んで配置することが可能となる。
【0068】
図5に示すように、接触素子54は一方の側に、組み立て中に実装平面26に載るように設計された、接触表面66を有している。くわえて、接触素子54は、ハウジング58内の電気抵抗部品に接触するために、周方向の側面64の少なくとも1つの側面に接続されている。この好ましい設計には、通常の接触と比べて調整素子20が変更される必要がないという利点がある。これは、配線ポテンショメータまたはSMDポテンショメータであってさえ、接触が通常、側面64上で行われるためである。ゆえに、本発明に係る設定部品16用に、調整素子20に対して構造的な変更を行う必要がない。そのため、安全用途用にすでに承認されている調整素子20を再利用することができ、それにより、装置の型式承認(type approval)が簡略化される。
【0069】
好ましくは、従来の配線された設定部品が、本発明に係る設定部品16の製造用の基礎として機能でき、その際、既存の配線が、特にその製造に続いて屈曲され、その結果、配線が実装平面26にまで達し、かつ接続表面66が一方の側に形成される。あるいは、接触素子54も、それ以外では変更されない設定部品の所望の接触を達成するために、長さに応じて切って、改造した打ち抜き機を使用して成形することができる。
【0070】
事前組み立てした軸部22を有する、本発明に係る設定部品16を、ベルトで供給し、SMD配置システムにより直接処理できるのが好ましい。ゆえに、軸の分離した実装は必要でない。設定部品16は、他のあらゆるSMD部品と同様に実装でき、その結果、配線された設定部品用に通常必要とされるウェーブハンダ付け処理を完全に削除することができる。
【0071】
調整素子20のハウジング58が、本明細書に示す立方形状に限定されず、例えば別の実施形態において円形であってもよいことも理解されたい。さらには、埋め込み組み立てを可能にする、他の接触方法が考えられる。
【0072】
図6および図7は、埋め込み組み立て用、特に設定部品の埋め込み組み立て用のプリント回路基板の2つの実施形態を示している。
【0073】
図6および図7では、上述した種類の3つの設定部品16をそれぞれ、共通の切り欠き30内に配置している。すなわち、設定部品16は、プリント回路基板12に挿通されており、それらの接触素子54は、プリント回路基板12の表面14の一方の側に載っている。
【0074】
切り欠き30は、図6および図7において、それらの輪郭が異なっている。
【0075】
図6では、単一の設定部品16用の切り欠き30が、T字形状の輪郭68を有しており、その際、幅Sが、設定部品16の後側62の少なくとも一部がプリント回路基板12に乗っているように選択される。軸部22に沿った設定部品16に対する圧力負荷は、設定部品のアクチュエータの作動中に生じ得るが、設定部品16の後側62を乗せることにより、プリント回路基板12へと移転できる。このようにして、配線の破断などの、機械的応力によって引き起こされる損傷を、好適に防止できる。ゆえに、全体の安定性が向上する。
【0076】
図7に係る実施形態では、設定部品16用の切り欠き30は、十字形の輪郭70を有している。図6に係る先の実施例の説明に加えて、設定部品16の前側60も少なくとも一部が、プリント回路基板12に対して乗っている。このようにして、軸部22に沿った引張荷重を、プリント回路基板12へと移転できる。同時に、両側での位置固定により、組み立て処理中、特に接触素子をハンダ付けする際に、部品が滑るのを防止する。ゆえに、本実施形態は、表面実装用に特に適している。
【0077】
一般に、切り欠き30は、その形状にかかわらず、設定部品16の周りの空気循環が増加するという利点をもたらす。その結果、設定部品16は、その設計ゆえに定期的に電力損失を変換しなければならないが、熱をより良好に環境中に放散できる。プリント回路基板12および隣接する部品は、広く間隔の空いた接触素子54により、温度上昇が少なくなり、その結果、通常の表面実装または貫通実装と比較して、所与の空気循環で、設定部品16に対する、より高い考え得る電気負荷を全体として可能にする。
【0078】
最後に、図8は、ハウジング幅をさらに低減できる好ましい実施形態を示している。図8は、安全スイッチング装置および設定部品16の1つの好ましい実施形態の断面を示している。設定部品16は、第1のハウジング部36と第2のハウジング部38との間に、上述した仕方で配置されている。
【0079】
第1および第2のハウジング部36、38はそれぞれ、アクチュエータ18を支持する機械的な止め具48を備えている。機械的な止め具の一方は回転プレート24に係合しており、回転プレート24に設けられた止め具と一緒に、過回転保護を形成している。
【0080】
さらには、ハウジング幅をさらに低減するためのこの好ましい構成では、調整素子20のハウジング58が嵌合する窪み72が、第1および第2のハウジング部36、38に設けられている。窪み72は第1および第2のハウジング部36、38における窪みであってもよく、または、別の実施形態では、ハウジング部36、38を通る開口の形態の切り欠きであってもよい。いずれの変形例も、ハウジング幅Bのさらなる低減を可能にする。これは、ハウジング幅Bが、調整素子20のハウジング58の全体の高さに本質的に依存しているためである。
【0081】
窪み72は、調整素子20のさらなる固定および安定化にも寄与する。さらには、ハウジング部36、38中の開口により、空気循環が好適に改善される場合がある。
【0082】
記載した実施形態の個々の特徴が、それぞれの実施形態に限定されず、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0083】
さらには、本発明の保護の範囲は、明細書で説明した、または図に示した特徴によってではなく、以下の特許請求の範囲によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8