(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電子デバイス及びその作製方法、並びに表示装置及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/36 20060101AFI20231206BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H05K3/36 B
G09F9/00 348Z
(21)【出願番号】P 2019121100
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安達 勲
(72)【発明者】
【氏名】奥野 晴美
【審査官】原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-280036(JP,A)
【文献】特開2013-207115(JP,A)
【文献】特開2018-056277(JP,A)
【文献】特開2006-120815(JP,A)
【文献】特開平11-121892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/36
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の端子電極が設けられた第1の端子を備える第1のモジュールと、
複数の第2の端子電極が設けられた第2の端子を備える第2のモジュールと、を備え、
前記第1の端子電極と前記第2の端子電極とは自己凝集半田を介して接続されており、
前記第1の端子又は前記第2の端子には、自己凝集半田の一部が凝集されたダミー電極が1本以上設けられて
おり、
前記第1の端子又は前記第2の端子には、前記第1の端子電極の間及び前記第2の端子電極の間を一定の間隔にする複数の柱状構造体が設けられており、
前記柱状構造体は、隣接する2つの第1の端子電極の間又は隣接する2つの第2の端子電極の間のいずれかに設けられており、
前記複数の柱状構造体は、前記第1の端子電極の延伸方向に配置され、互いに離間している
、電子デバイス。
【請求項2】
前記第2のモジュールは、前記第1のモジュールの基板端面に接続されている
、請求項
1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1の端子と前記第2の端子とは、前記第1の端子電極と前記自己凝集半田との金属結合、前記第2の端子電極と前記自己凝集半田との金属結合
、及び熱硬化性樹脂による接着
、によ
り接合されている
、請求項1
又は2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記自己凝集半田の形成工程は、
前記熱硬化性樹脂中に複数の半田粒子を均一に分散させたペースト状の材料を前記第1の端子に塗布することと、
前記半田粒子を含むペースト状の材料が塗布された前記第1の端子に前記第2の端子を密着させて
、加熱前に加圧
する、又は加熱とともに加圧することと、を含む
、請求項
3に記載の電子デバイスの作製方法。
【請求項5】
複数の基板側端子電極が設けられた基板側端子を備える表示パネルと、
複数のFPC側端子電極が設けられたFPC側端子を備えるFPCと、を備え、
前記基板側端子電極と前記FPC側端子電極とは自己凝集半田を介して接続されており、
前記基板側端子又は前記FPC側端子には、自己凝集半田の一部が凝集されたダミー電極が1本以上設けられて
おり、
前記基板側端子又は前記FPC側端子には、前記基板側端子電極の間及び前記FPC側端子電極の間を一定の間隔にする複数の柱状構造体が設けられており、
前記柱状構造体は、隣接する2つの基板側端子電極の間又は隣接する2つのFPC側端子電極の間のいずれかに設けられており、
前記複数の柱状構造体は、前記基板側端子電極の延伸方向に配置され、互いに離間している
、表示装置。
【請求項6】
前記FPCは、前記表示パネルの基板端面に接続されている
、請求項
5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記基板側端子と前記FPC側端子とは、前記基板側端子電極と前記自己凝集半田との金属結合、前記FPC側端子電極と前記自己凝集半田との金属結合
、及び熱硬化性樹脂による接着
、によ
り接合されている
、請求項
5又は6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記自己凝集半田の形成工程は、
前記熱硬化性樹脂中に複数の半田粒子を均一に分散させたペースト状の材料を前記基板側端子に塗布することと、
前記半田粒子を含むペースト状の材料が塗布された前記基板側端子に前記FPC側端子を密着させて
、加熱前に加圧
する、又は加熱とともに加圧することと、を含む
、請求項
7に記載の表示装置の作製方法。
【請求項9】
前記複数の柱状構造体が、前記第1の端子電極の延伸方向に配置された第1から第3の柱状構造体を含み、前記第1の柱状構造体と前記第2の柱状構造体との間の距離が、前記第2の柱状構造体と前記第3の柱状構造体との間の距離より大きい、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記複数の柱状構造体が、前記基板側端子電極の延伸方向に配置された第1から第3の柱状構造体を含み、前記第1の柱状構造体と前記第2の柱状構造体との間の距離が、前記第2の柱状構造体と前記第3の柱状構造体との間の距離より大きい、請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス及びその作製方法、並びに表示装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子デバイスを構成する電子部品は、基板の表面に設けられた配線パターンと、該電子部品に設けられた端子部と、が接続されることで、該基板の表面に実装される。
従来、この接続には、半田粉、又は半田層を表面に有する導電性粒子を含む異方性導電ペーストが用いられていた。
近年、例えばディスプレイ装置においては、表示画像の高精細化が進み、これに伴って基板側の配線パターンのピッチ(間隔)も例えば100μm以下と狭くなっている。このような狭ピッチの配線パターンを有する場合、異方性導電膜を用いることによる接続抵抗の増加及び絶縁性の低下は、より顕著になる。
【0003】
従来技術の一例である特許文献1には、電子部品を基板端面に強固に接合しつつ、電気導通性を高めて接続抵抗を抑えることのできる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術のように、自己凝集性を有する導電性材料を用いる場合には、導電性材料が過多であれば隣接する電極との間に短絡を生じ、又は導電性材料が過少であれば接続すべき電極間が接続されないことがある。
また、電極のない領域からの導電性材料が電極上に集まるため、特に端子部の端において隣接する電極との間に短絡が生じ、接続不良が発生しやすい。
すなわち、上記の従来技術では、導電性材料の塗布量によっては接続不良が生じてしまう、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、隣接する電極間の短絡を防止するとともに、接続すべき電極間を確実に接続する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明は、複数の第1の端子電極が設けられた第1の端子を備える第1のモジュールと、複数の第2の端子電極が設けられた第2の端子を備える第2のモジュールと、を備え、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極とは自己凝集半田を介して接続されており、前記第1の端子又は前記第2の端子には、自己凝集半田の一部が凝集されたダミー電極が1本以上設けられている電子デバイスである。
【0008】
又は、本発明は、複数の第1の端子電極が設けられた第1の端子を備える第1のモジュールと、複数の第2の端子電極が設けられた第2の端子を備える第2のモジュールと、を備え、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極とは自己凝集半田を介して接続されており、前記第1の端子又は前記第2の端子には、自己凝集半田の一部が凝集された内部端子より幅が太い端部電極が設けられている電子デバイスである。
【0009】
上記構成の本発明において、前記第1の端子又は前記第2の端子には、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極との間隔を一定にする複数の柱状構造体が設けられ、前記柱状構造体は、隣接する2つの第1の端子電極の間及び隣接する2つの第2の端子電極の間の少なくともいずれか一方に設けられていることが好ましい。
【0010】
上記構成の本発明において、前記第2のモジュールは、前記第1のモジュールの基板端面に接続されていてもよい。
【0011】
上記構成の本発明において、前記第1の端子と前記第2の端子とは、前記第1の端子電極と前記自己凝集半田との金属結合、前記第2の端子電極と前記自己凝集半田との金属結合及び熱硬化性樹脂による接着により、接合されていることが好ましい。
【0012】
上記構成の本発明における前記自己凝集半田の形成工程は、前記熱硬化性樹脂中に複数の半田粒子を均一に分散させたペースト状の材料を前記第1の端子に塗布することと、前記半田粒子を含むペースト状の材料が塗布された前記第1の端子に前記第2の端子を密着させて加熱前に加圧し、又は加熱とともに加圧することと、を含む。
【0013】
又は、本発明は、複数の基板側端子電極が設けられた基板側端子を備える表示パネルと、複数のFPC(Flexible Printed Circuits)側端子電極が設けられたFPC側端子を備えるFPCと、を備え、前記基板側端子電極と前記FPC側端子電極とは自己凝集半田を介して接続されており、前記基板側端子又は前記FPC側端子には、自己凝集半田の一部が凝集されたダミー電極が1本以上設けられている表示装置である。
【0014】
又は、本発明は、複数の基板側端子電極が設けられた基板側端子を備える表示パネルと、複数のFPC側端子電極が設けられたFPC側端子を備えるFPCと、を備え、前記基板側端子電極と前記FPC側端子電極とは自己凝集半田を介して接続されており、前記基板側端子又は前記FPC側端子には、自己凝集半田の一部が凝集された内部端子より幅が太い端部電極が設けられている表示装置である。
【0015】
上記構成の本発明において、前記基板側端子又は前記FPC側端子には、前記基板側端子電極と前記FPC側端子電極との間隔を一定にする複数の柱状構造体が設けられ、前記柱状構造体は、隣接する2つの基板側端子電極の間及び隣接する2つのFPC側端子電極の間の少なくともいずれか一方に設けられていることが好ましい。
【0016】
上記構成の本発明において、前記FPCは、前記表示パネルの基板端面に接続されていてもよい。
【0017】
上記構成の本発明において、前記基板側端子と前記FPC側端子とは、前記基板側端子電極と前記自己凝集半田との金属結合、前記FPC側端子電極と前記自己凝集半田との金属結合及び熱硬化性樹脂による接着により、接合されていることが好ましい。
【0018】
上記構成の本発明における前記自己凝集半田の形成工程は、前記熱硬化性樹脂中に複数の半田粒子を均一に分散させたペースト状の材料を前記基板側端子に塗布することと、前記半田粒子を含むペースト状の材料が塗布された前記基板側端子に前記FPC側端子を密着させて加熱前に加圧し、又は加熱とともに加圧することと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、隣接する電極間の短絡を防止するとともに、接続すべき電極間を確実に接続することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電子デバイスである表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す基板側接続部の一部を示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面及び上面の一点鎖線部分における断面を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す自己凝集半田の形成前の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る電子デバイスである表示装置が備える表示パネルに含まれる基板側接続部の一部を示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面及び上面の一点鎖線部分における断面を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る電子デバイスである表示装置が備える表示パネルに含まれる基板側接続部の一部を拡大した上面及び上面の一点鎖線部分における断面を示す図である。
【
図8】
図8は、表示パネルの基板端面にFPCが接続された形態の表示装置の一部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、FPCの接続時における
図8に示す矢印の方向から観察した表示装置の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0022】
<実施形態1>
図1は、本実施形態に係る電子デバイスである表示装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示す表示装置1は、基板側接続部5を含む表示パネル2と、電子部品側接続部6を含む電子部品3と、を備える。
FPC4は、基板側接続部5と電子部品側接続部6とを接続する。
【0023】
表示パネル2は、基板上にマトリクス状に配置された複数の画素及びこれら複数の画素の各々への信号を制御する回路等を含むモジュールである。
ここで、基板としては、ガラス基板及び樹脂基板を例示することができる。
電子部品3は、表示パネル2に信号を出力する制御回路を含むモジュールである。
ここで、電子部品3としては、表示パネル2を制御する制御回路を含むLSI(Large Scale Integration)を例示することができる。
FPC4は、表示パネル2と電子部品3とを接続する、配線パターン等が設けられたフィルム状の配線基板を含むモジュールである。
基板側接続部5は、表示パネル2とFPC4とを接続する部分であり、電子部品側接続部6は、電子部品3とFPC4とを接続する部分である。
【0024】
図2は、
図1に示す基板側接続部5の一部を示す概略図である。
図2に示す基板側接続部5では、表示パネル2に設けられた基板側端子20と、FPC4に設けられたFPC側端子40とが重畳している。
ここで、基板側端子20には基板側端子電極21が複数設けられており、FPC側端子40にはFPC側端子電極41が複数設けられており、複数の基板側端子電極21の各々と複数のFPC側端子電極41の各々とは、電気的に接続されている。
更には、基板側端子20には複数の基板側端子電極21及び複数のFPC側端子電極41のいずれにも電気的に非接続であるダミー電極100が1本以上設けられている。
ダミー電極100には、後述するように、余剰分の半田が凝集される。
【0025】
基板側端子電極21は、半田と接合する導電性材料の単層構造により形成することができ、このような導電性材料としては、スズ(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)及び銅(Cu)を例示することができる。
又は、基板側端子電極21は、半田と接合する導電性材料であるスズ(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)又は銅(Cu)と、他の導電性材料であるクロム(Cr)、モリブデン(Mo)又はチタン(Ti)との積層構造により形成することもできる。
FPC側端子電極41は、半田と接合する導電性材料により形成することができ、このような導電性材料としては、スズ(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)及び銅(Cu)を例示することができる。
【0026】
図3は、
図2に示す点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面及び上面の一点鎖線部分における断面を示す図である。
なお、
図3においては、2つの基板側端子電極21を基板側端子電極21a,21bと表記して両者を区別し、2つのFPC側端子電極41をFPC側端子電極41a,41bと表記して両者を区別する。
【0027】
図3に示すように、基板側端子20に設けられた基板側端子電極21aは、自己凝集半田101aを介してFPC側端子40に設けられたFPC側端子電極41aに接続され、基板側端子20に設けられた基板側端子電極21bは、自己凝集半田101bを介してFPC側端子40に設けられたFPC側端子電極41bに接続されている。
また、
図3に示すように、基板側端子20とFPC側端子40との間において、端子電極、ダミー電極及び自己凝集半田が設けられていない部分には、熱硬化性樹脂102が配されている。
熱硬化性樹脂102は、自己凝集半田101a,101bを形成する半田粒子よりも融点の低い材料で形成されている。
【0028】
図4は、
図3に示す自己凝集半田101a,101bの形成前の状態を示す図である。
図4に示すように、
図3に示す自己凝集半田101a,101bは、熱硬化性樹脂102中に、銅(Cu)又はスズ(Sn)等を含む半田合金材料からなる複数の半田粒子103を均一に分散させたペースト状の材料を基板側端子20に塗布し、ペースト状の材料にFPC側端子40を重ねることにより形成される。
ここで、複数の半田粒子103を含むペースト状の材料の塗布は、スクリーン印刷法により行ってもよいし、メッシュマスクを用いた印刷法により行ってもよいし、インクジェット法により行ってもよい。
【0029】
そして、半田粒子103を含むペースト状の材料が塗布された基板側端子20には、所定の精度で位置合わせされたFPC側端子40が密着される。
これには、異方性導電膜による接合法と同様の熱圧着装置が用いられ、基板側端子20とFPC側端子40とが互いに接近する方向に、所定の温度及び時間で加圧される。
ここでは、加熱とともに加圧する場合には、加圧は、例えば加熱して150℃で15分間行う。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、加熱前に加圧してもよい。
このように加熱して加圧されると、熱硬化性樹脂102及び複数の半田粒子103は溶融し、溶融した複数の半田粒子は凝集しつつ、基板側端子電極21a,21b、FPC側端子電極41a,41b及びダミー電極100に引き寄せられていく。
そして、最終的には、
図3に示すように、自己凝集して金属結合した半田によって、基板側端子電極21aとFPC側端子電極41aとの間には自己凝集半田101aが形成され、基板側端子電極21bとFPC側端子電極41bとの間には自己凝集半田101bが形成され、ダミー電極100とFPC側端子40との間には自己凝集半田101cが形成される。
また、基板側端子20とFPC側端子40との間には、溶融した熱硬化性樹脂が集まり、基板側端子20とFPC側端子40とが熱圧着により接着されて放冷される。
【0030】
このようにして、基板側端子電極21aとFPC側端子電極41aとが、自己凝集半田101aによって選択的に金属結合されることで電気的に接続され、基板側端子電極21bとFPC側端子電極41bとが、自己凝集半田101bによって選択的に金属結合されることで電気的に接続される。
また、基板側端子20とFPC側端子40とは、基板側端子電極21aと自己凝集半田101aとの間の金属結合と、FPC側端子電極41aと自己凝集半田101aとの間の金属結合と、基板側端子電極21bと自己凝集半田101bとの間の金属結合と、FPC側端子電極41bと自己凝集半田101bとの間の金属結合と、熱硬化性樹脂による接着と、により、機械的に接合される。
【0031】
なお、このような自己凝集半田としては、例えば、商品名「リフロー実装異方性導電ペーストエポウェル APシリーズ」(積水化学工業株式会社製)又は商品名「Low-Temperature-Curable conductive」(日立化成株式会社製)等を用いることができる。
【0032】
また、
図3に示すように、ダミー電極100に接して自己凝集半田101cが設けられているが、ダミー電極100と重畳する位置にはFPC側端子電極が設けられておらず、また、ダミー電極100は、基板側端子電極21a,21bのいずれにも電気的に接続されていない。
このようにダミー電極100が設けられていることにより、フローティング状態のダミー電極100が余剰分の半田を凝集するため、隣接する電極間の短絡を防止することができる。
【0033】
なお、半田粒子103を含むペースト状の材料には半田粒子103が均一に分散されているため、基板側端子電極21a,21bが設けられていない部分に配された半田粒子103は、複数の基板側端子電極21a,21bのうち外側に配置された電極に凝集しやすい。
そのため、ダミー電極100は、複数の基板側端子電極21a,21bの外側に配置された電極に隣接して設けられることが好ましい。
【0034】
なお、余剰分の半田を凝集しやすくするために、基板側端子20とFPC側端子40とが重畳する部分において、ダミー電極100の面積は基板側端子電極21a,21bの面積よりも広くすることが好ましい。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、基板側端子20とFPC側端子40とが重畳する部分において、ダミー電極100の面積は基板側端子電極21a,21bの面積と同じであってもよいし、基板側端子電極21a,21bの面積よりも狭くてもよい。
また、
図3ではダミー電極100は一つだけ設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の電極によりダミー電極100が構成されていてもよい。
また、ペースト状の材料に含まれる半田粒子103を適正量よりも多めにすると、接続すべき電極間を確実に接続することも可能である。
【0035】
なお、本実施形態では、基板側端子20にダミー電極100が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、FPC側端子40にダミー電極100が設けられていてもよい。
又は、ダミー電極100ではなく、内部端子である基板側端子電極21及びFPC側端子電極41よりも幅が広い端部電極が内部端子の外側に設けられていてもよい。
【0036】
<実施形態2>
実施形態1では、余剰分の導電性材料を凝集するダミー電極によって、隣接する電極間の短絡を防止可能な形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態では、基板側端子とFPC側端子との間隔を一定にすることで、隣接する電極間の短絡を防止するとともに、接続すべき電極間を確実に接続することが可能な形態について説明する。
【0037】
図5は、本実施形態に係る電子デバイスである表示装置が備える表示パネルに含まれる基板側接続部5Aの一部を示す概略図である。
図5に示す基板側接続部5Aは、
図2に示す基板側接続部5の変形例である。
図5に示す基板側接続部5Aは、基板側端子20に代えて基板側端子20Aを備える点が基板側接続部5と異なり、その他の構成は同じである。
基板側端子20Aには、ダミー電極100に代えて、同一高さの複数の柱状構造体200が設けられている点が基板側端子20と異なる。
隣接する複数の基板側端子電極21の間には複数の柱状構造体200が設けられており、複数の柱状構造体200によって基板側端子20AとFPC側端子40との間隔が一定に保たれている。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、柱状構造体200はFPC側端子40側に設けられていてもよいし、基板側端子20側及びFPC側端子40側の双方に設けられていてもよい。
複数の柱状構造体200の高さは、1μm以上10μm以下とするとよく、複数の柱状構造体200の形成材料としては、感光性アクリル樹脂を例示することができる。
なお、
図5において二点鎖線で示す部分は、半田粒子103を含むペースト状の材料を塗布する部分であり、この部分では半田粒子103を含むペースト状の材料が均一に行き渡るように、複数の柱状構造体200の間隔を広くしている。
【0038】
図6は、
図5に示す点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面及び上面の一点鎖線部分における断面を示す図である。
なお、
図6においては、
図3と同様に、2つの基板側端子電極21を基板側端子電極21a,21bと表記して両者を区別し、2つのFPC側端子電極41をFPC側端子電極41a,41bと表記して両者を区別する。
【0039】
図6においては、
図3と同様に、基板側端子20に設けられた基板側端子電極21aは、自己凝集半田101aを介してFPC側端子40に設けられたFPC側端子電極41aに接続され、基板側端子20に設けられた基板側端子電極21bは、自己凝集半田101bを介してFPC側端子40に設けられたFPC側端子電極41bに接続されている。
また、
図6においては、
図3と同様に、基板側端子20AとFPC側端子40との間において、端子電極、自己凝集半田及び柱状構造体が設けられていない部分には、熱硬化性樹脂102が配されている。
図6に示すように、互いに隣接する基板側端子電極21aと基板側端子電極21bとの間には柱状構造体200が設けられているため、基板側端子電極21aと基板側端子電極21bとの短絡が柱状構造体200によって防止されるとともに、基板側端子20AとFPC側端子40との間隔が一定に保たれる。
このように、基板側端子20AとFPC側端子40との間隔が一定であれば、基板側端子20AとFPC側端子40との間に配されるペースト状の材料を一定量に制御することができる。
そのため、柱状構造体200の高さを固定し、且つペースト状の材料の塗布量を一定とすることで、導電性材料の塗布量も一定となるため形成不良が生じず、隣接する電極間の短絡を防止し、且つ接続すべき電極間を確実に接続させることができる。
【0040】
なお、このような柱状構造体200は、表示パネル2が液晶パネルである場合には液晶パネルの画素部に設けられる、画素基板とカラーフィルタ基板との間にギャップを形成するための柱状スペーサーと同一工程によって形成することが可能である。
【0041】
また、
図6では柱状構造体200は、柱状スペーサーと同様の錐台形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、柱状であってもよい。
また、
図6では柱状構造体200は、四角錐台としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の角錐台であってもよいし、円錐台であってもよい。
【0042】
<実施形態3>
実施形態1では、余剰分の導電性材料を凝集するダミー電極によって、隣接する電極間の短絡を防止可能な形態について説明し、実施形態2では、ダミー電極のない構成において基板側端子とFPC側端子との間隔を一定にすることで、隣接する電極間の短絡を防止するとともに、接続すべき電極間を確実に接続する形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態では、実施形態1,2を組み合わせて、余剰分の導電性材料を凝集するダミー電極が設けられた構成において基板側端子とFPC側端子との間隔を一定にすることで、隣接する電極間の短絡を防止するとともに、接続すべき電極間をより確実に接続する形態について説明する。
なお、本実施形態において、実施形態1,2と共通する部分についてはその説明を援用するものとする。
【0043】
図7は、本実施形態に係る電子デバイスである表示装置が備える表示パネルに含まれる基板側接続部5Bの一部を拡大した上面及び上面の一点鎖線部分における断面を示す図である。
図7に示す基板側接続部5Bは、基板側端子20に代えて基板側端子20Bを備える点が基板側接続部5と異なり、その他の構成は同じである。
図7に示す基板側端子20Bには、
図3に示す基板側端子20と同様に、ダミー電極100が設けられ、
図6に示す基板側端子20Aと同様に、複数の柱状構造体200が設けられており、その他の構成は
図3に示す基板側端子20及び
図6に示す基板側端子20Aと同じである。
本実施形態の構成によれば、隣接する電極間の短絡を防止し、且つ接続すべき電極間をより確実に接続させることができる。
【0044】
<実施形態4>
実施形態1~3では、表示パネル2の一主面とFPC4の一主面とを重畳させて接続する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示パネル2の基板端面、すなわち基板側面にFPC4を接続してもよい。
なお、本実施形態において、実施形態1,2と共通する部分についてはその説明を援用するものとする。
【0045】
図8は、表示パネル2の基板端面にFPC4が接続された形態の表示装置1の一部を示す斜視図である。
図8に示すように、本実施形態に係る表示装置1では、2つの基板によって構成される表示パネル2の基板端面にFPC4が基板側接続部5を介して接続されている。
【0046】
図9は、FPC4の接続時における
図8に示す矢印の方向から観察した表示装置1の一部を示す側面図である。
本実施形態では、
図9に示すように、表示パネル2を構成する基板2a,2bが治具300に固定され、FPC側端子電極41aが基板2a,2b側を向くようにFPC4が治具301に固定され、基板2bに設けられた基板側端子電極21aとFPC側端子電極41aとの間に半田粒子を含むペースト状の材料が配され、治具302により、所定の温度及び時間で基板側接続部5に加圧が行われる。
ここで、加圧は、加熱とともに行ってもよいし、又は加熱前に行ってもよい。
なお、FPC4には柱状構造体200が設けられており、基板側端子電極21aとFPC側端子電極41aとの間隔は一定に保たれている。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、柱状構造体200はFPC4側ではなく表示パネル2側に設けられていてもよいし、表示パネル2側及びFPC4側の双方に設けられていてもよい。
そして、上記の加圧により、表示パネル2の基板端面の基板側端子電極21aとFPC側端子電極41aとは、自己凝集半田101aを介して接続され、表示パネル2の基板端面とFPC4とは、熱硬化性樹脂102により接合される。
【0047】
以上説明したように、基板側接続部5が表示パネル2の基板端面すなわち基板側面に形成される形態であっても、隣接する電極間の短絡を防止し、且つ接続すべき電極間を確実に接続させることができる。
【0048】
なお、図示していないが、本実施形態においても、実施形態1と同様に、基板側接続部5にダミー電極100が設けられていてもよい。
本実施形態においては、ダミー電極100はFPC4側に設けられていることが好ましい。
【0049】
なお、実施形態1~4においては表示装置を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示装置以外の電子デバイスにも適用することが可能である。
【0050】
また、実施形態1~4においては、基板側端子とFPC側端子とを接続しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2つの基板側端子が接続される構成に適用してもよい。
【0051】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 表示装置
2 表示パネル
2a,2b 基板
3 電子部品
4 FPC
5 基板側接続部
6 電子部品側接続部
20,20A,20B 基板側端子
21,21a,21b 基板側端子電極
40 FPC側端子
41,41a,41b FPC側端子電極
100 ダミー電極
101a,101b,101c 自己凝集半田
102 熱硬化性樹脂
103 半田粒子
200 柱状構造体
300,301,302 治具