(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】液圧回転機及びピストンシュー
(51)【国際特許分類】
F04B 1/22 20060101AFI20231206BHJP
F03C 1/253 20060101ALI20231206BHJP
F04B 1/2014 20200101ALI20231206BHJP
【FI】
F04B1/22
F03C1/253
F04B1/2014
(21)【出願番号】P 2019164725
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】593056543
【氏名又は名称】株式会社タカコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 義彦
(72)【発明者】
【氏名】石崎 義公
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雄一
(72)【発明者】
【氏名】辻田 友貴
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-324746(JP,A)
【文献】特開2009-108781(JP,A)
【文献】特開平09-256948(JP,A)
【文献】特開2015-151897(JP,A)
【文献】実開昭57-172181(JP,U)
【文献】特開2001-271763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/22
F03C 1/253
F04B 1/2014
F04B 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトが連結されて前記シャフトと共に回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに形成され前記シャフトの周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に挿入され前記シリンダの内部に容積室を区画するピストンと、
前記ピストンの先端部に回転自在に連結されるピストンシューと、
前記ピストンシューが摺接する斜板と、
前記シリンダブロックを収容するケースと、を備え、
前記ピストンシューは、
前記ピストンの前記先端部に回転自在に連結される連結部と、
前記斜板に摺接する摺接面を有し前記連結部に接続される摺接部と、を有し、
前記摺接部は、前記摺接面の外周縁に開口する開口部を複数有して前記摺接面に形成される流体通路を有し、
前記シリンダ内の前記容積室と前記ピストンシューの前記摺接部の前記摺接面とは、前記ピストン又は前記ピストンシューによって遮断されていることを特徴とする液圧回転機。
【請求項2】
前記ピストンの移動方向における前記容積室の一端部は、前記ピストンによって閉塞されることを特徴とする請求項1に記載の液圧回転機。
【請求項3】
互いに直交する2つの前記流体通路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液圧回転機。
【請求項4】
前記連結部は、前記ピストンの前記先端部に回転自在に摺接する接触面を有し、
前記ピストンシューは、前記流体通路及び前記接触面に開口する連通路を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の液圧回転機。
【請求項5】
シャフトが連結されてシャフトと共に回転するシリンダブロックを有する液圧回転機に
おいて前記シリンダブロックに形成されるシリンダに挿入されるピストンの先端部に回転自在に連結されるピストンシューであって、
前記ピストンの前記先端部に回転自在に連結される連結部と、
前記連結部に連結され斜板に摺接する摺接面を有する摺接部と、を有し、
前記摺接部は、前記摺接面の外周縁に開口する開口部を複数有して前記摺接面に形成される流体通路を有し、
前記流体通路は、複数の前記開口部間での作動流体の流れのみを許容することを特徴とするピストンシュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧回転機及びピストンシューに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピストンの端部に連設されるピストンシューを備えるピストンポンプが開示されている。このピストンシューは、ピストンに連設された球面軸受けと、カムプレート上を摺動する摺動面を有するディスク部と、球面軸受けとディスク部とを接続し球面軸受けの直径よりも小さい直径に設定された首部と、を有する。ディスク部のカムプレートに対向する側には、潤滑油を蓄える静圧ポケットが設けられる。ピストンの内部には、軸方向に沿って潤滑油が導かれるキリ穴が形成され、ピストンシューの球面軸受け、首部、及びディスクには、ピストンのキリ穴に導かれた潤滑油を、ディスク部の静圧ポケットを介して摺動面に導くキリ穴が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるピストンポンプでは、ピストンポンプが吸い込んで吐出する作動油の一部が、ピストン及びピストンシューに形成されるキリ穴を通じて、潤滑油として静圧ポケットに導かれる。これにより、静圧軸受が構成され、ピストンシューが円滑に摺動することができる。
【0005】
しかしながら、このようなピストンポンプでは、作動油に含まれるコンタミネーション(以下、「コンタミ」とも称する。)がピストンシューと斜板(カムプレート)との間に挟み込まれることがある。これにより、ピストンシューと斜板との摺接面でコンタミに起因した偏摩耗が生じ、静圧軸受構造を維持できなくなるおそれがある。静圧軸受構造が維持されないと、ピストンポンプが吸い込んだ作動油がピストンシューと斜板との間から漏れ出してしまい、液圧回転機の作動が不安定になる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、液圧回転機の作動を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液圧回転機であって、シャフトが連結されてシャフトと共に回転するシリンダブロックと、シリンダブロックに形成されシャフトの周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、シリンダ内に摺動可能に挿入されシリンダの内部に容積室を区画するピストンと、ピストンの先端部に回転自在に連結されるピストンシューと、ピストンシューが摺接する斜板と、シリンダブロックを収容するケースと、を備え、ピストンシューは、ピストンの先端部に回転自在に連結される連結部と、斜板に摺接する摺接面を有し連結部に接続される摺接部と、を有し、摺接部は、摺接面の外周縁に開口する開口部を複数有して摺接面に形成される流体通路を有し、シリンダ内の容積室とピストンシューの摺接部の流体通路とは、ピストン又はピストンシューによって遮断されていることを特徴とする。
【0008】
この発明では、シリンダブロックの回転によってピストンシューが斜板に摺接しながら回転するのに伴い、ケース内の作動流体が流体通路の少なくとも一つの開口部を通じて流体通路に導かれ、その他の開口部からケース内へ排出される。このように流体通路を通過する作動流体によって、ピストンシューと斜板とが潤滑される。また、流体通路を通過する作動流体の流れが生じるため、ピストンシューと斜板との間におけるコンタミの滞留が抑制され、コンタミに起因したピストンシューと斜板との間の偏摩耗の発生を抑制できる。さらに、ピストンシューの摺接部の摺接面がシリンダ内の容積室とは遮断されているため、容積室の作動流体は流体通路には導かれない。このため、容積室の作動流体がピストンシューと斜板との間から漏れ出すことが抑制される。
【0009】
また、本発明は、ピストンの移動方向における容積室の一端部が、ピストンによって閉塞されることを特徴とする。
【0010】
この発明では、容積室とピストンシューの流体通路とがピストンによって遮断される。
【0011】
また、本発明は、互いに直交する2つの流体通路を有することを特徴とする。
【0012】
この発明では、流体通路の開口部が等角度間隔で摺接面の外周縁に開口する。よって、1つの流体通路のみが形成される場合と比較して、摺接面における作動流体の流れを増やすことができると共に、流体通路へ作動流体を流入させやすくなる。したがって、ピストンシューと斜板との潤滑をより効果的に行うことができると共に、ピストンシューと斜板との間でコンタミが挟み込まれることをより一層抑制することができる。
【0013】
また、本発明は、連結部が、ピストンの先端部に回転自在に摺接する接触面を有し、ピストンシューは、流体通路及び接触面に開口する連通路を有することを特徴とする。
【0014】
この発明では、連通路を通じて作動流体が連結部とピストンの先端部との間に導かれるため、連結部の接触面とピストンの先端部とが潤滑される。
【0015】
また、本発明は、シャフトが連結されてシャフトと共に回転するシリンダブロックを有する液圧回転機においてシリンダブロックに形成されるシリンダに挿入されるピストンの先端部に回転自在に連結されるピストンシューであって、ピストンの先端部に回転自在に連結される連結部と、連結部に連結され斜板に摺接する摺接面を有する摺接部と、を有し、摺接部は、摺接面の外周縁に開口する開口部を複数有して摺接面に形成される流体通路を有し、流体通路は、複数の開口部間での作動流体の流れのみを許容することを特徴とする。
【0016】
この発明では、作動流体が流体通路の少なくとも一つの開口部を通じて流体通路に導かれ、その他の開口部から排出される。このように流体通路を通過する作動流体によって、ピストンシューと斜板とが潤滑される。また、流体通路を通過する作動流体の流れが生じるため、ピストンシューと斜板との間におけるコンタミの滞留が抑制され、コンタミに起因したピストンシューと斜板との間の偏摩耗の発生を抑制できる。このため、液圧回転機の容積室の作動流体がピストンシューと斜板との間から漏れ出すことが抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液圧回転機の作動が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る流体圧装置を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る液圧回転機の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る液圧回転機のシリンダブロックを示す端面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る液圧回転機のピストン及びピストンシューを示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る液圧回転機のピストンシューを示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係る液圧回転機のピストン及びピストンシューを示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態の比較例に係る液圧回転機のピストン及びピストンシューを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る液圧回転機100及び流体圧装置101について説明する。
【0020】
本実施形態では、液圧回転機100が、作動油を作動流体とするアキシャル型の油圧回転機100である場合について説明する。油圧回転機100は、外部からの動力によりシャフト1が回転してピストン6が往復動することで、作動流体としての作動油を供給可能なピストンポンプ100として機能し、また外部から供給される作動油の流体圧によりピストン6が往復動してシャフト1が回転することで、回転駆動力を出力可能なピストンモータとして機能する(
図2参照)。なお、油圧回転機100は、ピストンポンプとしてのみ機能するものでもよいし、ピストンモータとしてのみ機能するものであってもよい。
【0021】
以下の説明では、油圧回転機100をピストンポンプ100として使用した場合について例示し、油圧回転機100を「ピストンポンプ100」と称する。
【0022】
ピストンポンプ100は、
図1に示すように、流体圧装置101において、流体圧機器102の油圧供給源として使用される。
【0023】
流体圧装置101は、作動油を貯留するタンクTと、タンクTから作動油を吸い込んで吐出するピストンポンプ100と、ピストンポンプ100から吐出される作動油が導かれる流体圧機器102と、を備える。
【0024】
本実施形態では、流体圧装置101は、作動油中のコンタミの含有量を測定するためのコンタミ測定装置であり、流体圧機器102は、コンタミの含有量を実際に測定する測定器である。流体圧機器102に導かれた作動油は、タンクTへ還流される。
【0025】
以下、ピストンポンプ100の具体的構成について説明する。
【0026】
ピストンポンプ100は、
図2に示すように、動力源によって回転するシャフト1と、シャフト1に連結されシャフト1と共に回転するシリンダブロック2と、シリンダブロック2を収容するケース3と、を備える。
【0027】
ケース3は、両端に開口部3b,3cが設けられるハウジング3aと、ハウジング3aの一方の開口部3bを封止しシャフト1が挿通するフロントカバー4と、ハウジング3aの他方の開口部3cを封止しシャフト1の端部を収容するエンドカバー5と、を備える。
【0028】
ハウジング3a、フロントカバー4、及びエンドカバー5のそれぞれは、外形が円形に形成されて径が互いに略同一の円筒面状の外周面を有する。フロントカバー4及びエンドカバー5は、ハウジング3aに結合され一体化される。これにより、ケース3が構成される。なお、ハウジング3aへのフロントカバー4及びエンドカバー5の結合は、例えば、溶接、かしめ、又はボルト締結等の方法を用いることができる。なお、ハウジング3a、フロントカバー4、及びエンドカバー5の外径形状は、円形に限られず、例えば四角形など任意に設定することができる。
【0029】
フロントカバー4の挿通孔4aを通じて外部に突出するシャフト1の一方の端部1aには、動力源が連結される。シャフト1の端部1aは、第一軸受部16を介してフロントカバー4の挿通孔4aに回転自在に支持される。
【0030】
ケース3の内部は、作動油で満たされている。ケース3の内部は、ケース3に形成されるドレンポート(図示省略)を通じてタンクT(
図1参照)に連通する。なお、ケース3の内部は、後述する吸込通路11に連通してケース3内の作動油が吸込通路11に環流するように構成されてもよい。
【0031】
シャフト1の他方の端部1bは、エンドカバー5に設けられる収容凹部5aに収容され、第二軸受部17を介して回転自在に支持される。
【0032】
エンドカバー5は、ハウジング3aに結合される基部5bと、基部5bからシャフト1の軸方向に突出しハウジング3aに挿入される円筒部5cと、円筒部5cからシャフト1の軸方向に突出しシリンダブロック2の基端面2cが摺接する支持部5dと、を有する。支持部5dは、球面状の支持面5eによって、シリンダブロック2の基端面2cと摺接しシリンダブロック2を支持する。シリンダブロック2の基端面2cは、支持部5dの支持面5eの球面に対応する形状に形成される。エンドカバー5の支持面5eとシリンダブロック2の基端面2cとの間には、わずかに作動油が導かれ静圧軸受が構成される。
【0033】
シリンダブロック2は、シャフト1が貫通する貫通孔2aを有する。貫通孔2aには、シャフト1がスプライン結合される。これにより、シリンダブロック2はシャフト1の回転に伴って回転する。
【0034】
シリンダブロック2には、
図2及び
図3に示すように、一方の端面2dに開口部を有する複数(本実施形態では7つ)のシリンダ2bがシャフト1と平行に形成される。複数のシリンダ2bは、シリンダブロック2の周方向に所定の間隔を持って形成される。シリンダブロック2には、
図2に示すように、複数のシリンダ2bにそれぞれ開口する複数のシリンダポート10が形成される。なお、ピストン6の数(シリンダ2bの数)は、本実施形態のような7本に限られず、任意に設定できる。
【0035】
シリンダ2bには、
図2及び
図4に示すように、容積室7を区画する円柱状のピストン6が往復動自在に挿入される。ピストン6は、中実部材として形成される。ピストン6の基端部6bは、シリンダ2bの内壁面と共に容積室7を区画する。ピストン6は中実であるため、容積室7のピストン6側の端部は、ピストン6の基端部6bにより閉塞される。ピストン6の先端側は、シリンダ2bの開口部から突出し、その先端部は球面座6aとして形成される。球面座6aの外面6cは、球面状に形成される(
図4参照)。
【0036】
ピストンポンプ100は、ピストン6の球面座6aに回転自在に連結されるピストンシュー(以下、単に「シュー」とも称する。)20と、シリンダブロック2の回転に伴ってシュー20が摺接する斜板30と、をさらに備える。
【0037】
シュー20は、各ピストン6の球面座6aを受容して球面座6aに回転自在に連結される連結部としての受容部21と、斜板30に摺接する摺接面25aを有し受容部21に接続される摺接部としての平板部25と、を備える。
【0038】
受容部21には、
図4に示すように、端部に開口しピストン6の球面座6aを受容する凹部22が形成される。受容部21の凹部22の内面には、球面状の接触面22aが形成される。接触面22aは、受容した球面座6aの外面6cと摺接する。このようにして、シュー20は球面座6aに対してあらゆる方向に角度変位可能に構成され、ピストン6と受容部21とが回転可能に連結される。
【0039】
平板部25は、円板状に形成される。平板部25の摺接面25aは、平坦に形成される。平板部25の摺接面25aには、
図4及び
図5に示すように、ケース3内の作動油が通過する2つの流体通路41,42が形成される。2つの流体通路41,42は、平板部25の径方向に延びて互いに直交する。2つの流体通路41,42が交差する部分には、摺接面25aから窪む円形のポケット45が形成される。ポケット45は、流体通路41,42の一部を構成している。
【0040】
2つの流体通路41,42は、それぞれ平板部25の円筒状の外周面25cに開口している(
図4参照)。具体的には、一方の流体通路41は、摺接面25aの外周縁25b(摺接面25aと平板部25の円筒状の外周面25cとが交わる部位)に開口する一対の開口部41a,41bを有する。また、他方の流体通路42は、摺接面25aの外周縁25bに開口する一対の開口部42a,42bを有する。つまり、流体通路41,42の開口部41a,41b,42a,42bは、摺接面25aの外周縁25bに対して、周方向に等角度間隔で設けられる。
【0041】
流体通路41,42は、
図4に示すように、一定の深さ(摺接面25aに垂直な方向の寸法)を有して、平板部25の径方向に沿って形成される。なお、流体通路41,42は、深さが一定に形成されるものに限られない。例えば、流体通路41,42は、それぞれ平板部25の径方向に沿ってポケット45から外周面25cに向かうにつれて、深さが大きくなるようなテーパ状に形成されてもよい。平板部25の外周面25c側(径方向外側)の流体通路41,42の深さをポケット45側よりも相対的に大きくすることによって、ケース3内の作動油を流体通路41,42内へ導きやすくなる。
【0042】
斜板30は、
図2及び
図4に示すように、フロントカバー4の内壁に固定され、シャフト1の軸に垂直な方向から傾斜した斜板摺接面30aを有する。シュー20の平板部25の摺接面25aは、斜板摺接面30aに対して面接触する。
【0043】
流体通路41,42にケース3内から作動油が導かれることによって、シュー20の摺接面25aと斜板30の斜板摺接面30aとが潤滑される。これにより、シュー20が斜板30に対して滑らかに摺動することができる。また、ポケット45が形成されることで、摺接面25aにおいて作動油が通過する面積が増加するため、より効果的に摺接面25aを潤滑することができる。
【0044】
また、シュー20には、
図4及び
図5に示すように、摺接面25aに形成されるポケット45と受容部21の凹部22の内側とを連通する連通路46が形成される。連通路46を通じて受容部21の接触面22aとピストン6の球面座6aの外面6cとの間に作動油が導かれることで、受容部21の接触面22aと球面座6aの外面6cとが潤滑される。
【0045】
エンドカバー5には、
図2に示すように、タンクT(
図1参照)と連通しタンクTからの作動油が導かれる吸込通路11と、シリンダブロック2の容積室7から吐出される作動油を導く吐出通路12と、が形成される。
【0046】
吸込通路11は、シリンダブロック2のシリンダポート10を通じて容積室7に連通する。また、吐出通路12は、シリンダブロック2のシリンダポート10を通じて容積室7に連通する。
【0047】
ピストンポンプ100では、駆動源の動力によりシャフト1が回転駆動され、シリンダブロック2が回転すると、各シュー20が斜板30に対して摺動し、各ピストン6が斜板30の傾斜角度θ(
図4参照)に応じたストローク量でシリンダ2bに沿って往復動する。各ピストン6の往復動により、各容積室7の容積が増減する。
【0048】
シリンダブロック2の回転により拡大する容積室7には、エンドカバー5の吸込通路11及びシリンダブロック2のシリンダポート10を通じて、作動油が吸い込まれる。一方、シリンダブロック2の回転により縮小する容積室7からは、シリンダブロック2のシリンダポート10及び吐出通路12を通じて、作動油が吐出される。
【0049】
このように、ピストンポンプ100では、シリンダブロック2の回転に伴って作動油の吸込と吐出が連続的に行われる。
【0050】
ここで、本発明の理解を容易にするために、
図7を参照して、本発明の比較例について説明する。
【0051】
図7に示すように、比較例では、シュー20の摺接面25aにはポケット45が形成される一方、本実施形態のような摺接面25aの外周縁25bに開口する流体通路41,42は形成されていない。つまり、ポケット45は、摺接面25aの外周縁25bには開口していない。また、ピストン6には軸心に沿って貫通する導入通路6dが形成されており、ピストン6の導入通路6d及びシュー20の連通路46を通じて、容積室7の作動油がポケット45に導かれる。ポケット45に導かれる作動油によって、シュー20の摺接面25aと斜板30の斜板摺接面30aとの間に静圧軸受が構成される。これにより、シュー20と斜板30の摺動抵抗が低減される。
【0052】
流体圧機器102で使用される作動油中には、主に金属粉からなるコンタミが含まれることがある。ポケット45に導かれた作動油中のコンタミは、シュー20と斜板30との間に挟み込まれることがある。比較例は、シュー20と斜板30との間に静圧軸受構造が構成されるものであり、作動油の流れを積極的に生じさせるものではないため、斜板30とシュー20との間に挟み込まれたコンタミは、取り除かれずに滞留しやすい。シリンダブロック2の回転によりシュー20がシャフト1の回りを回転すると、シュー20と斜板30との間に挟み込まれたコンタミによってシュー20及び斜板30において偏摩耗が生じる。これにより、シュー20と斜板30との間で静圧軸受構造を維持できなくなり、容積室7の作動油がポケット45からシュー20と斜板30との間で摩耗した部分を通じてケース3内に導かれる。
【0053】
さらに、静圧軸受構造が維持できないことでシュー20が傾いた状態で斜板30に対して摺接すると、シュー20と斜板30との間の摩耗がさらに進展する。また、偏摩耗によって静圧軸受構造が維持されなくなると、シリンダブロック2がエンドカバー5に対して傾いて、シリンダブロック2とエンドカバー5の支持部5dとの間でも偏摩耗が生じることがある。この結果、吸込通路11及び吐出通路12を通過する作動油が、シリンダブロック2とエンドカバー5の支持部5dの間からケース3内に漏れ出すおそれもある。
【0054】
容積室7、吸込通路11、又は吐出通路12の作動油がケース3内に漏れ出すと、ピストンポンプ100は、所望の圧力で作動油を吐出できず、動作が不安定となる。
【0055】
特に、シリンダブロック2の回転速度が低速であるほど、静圧軸受構造を構成するためのポケット45内の圧力を高めにくい。このため、ピストンポンプ100を低速で使用する場合には、シュー20と斜板30との間からの作動油の漏れ量が少なくても、静圧軸受構造の維持が難しくなり、作動が不安定になりやすい。
【0056】
これに対し、本実施形態では、シリンダブロック2の回転により各シュー20が斜板30に対して摺動ながらシャフト1の回りを回転すると、ケース3内の作動油がシュー20の流体通路41,42に導かれる。具体的には、作動油は、流体通路41,42のそれぞれの開口部41a,41b及び開口部42a,42bのいずれか一つ又は複数を通じて流体通路41,42内に流入し、流体通路41,42を通過して残りの開口部41a,41b,42a,42bから再びケース3内に流出する。このように流体通路41,42を通過する作動油によって、シュー20の摺接面25aと斜板30の斜板摺接面30aとが潤滑される。また、流体通路41,42を通過する作動油の流れによってシュー20と斜板30との間におけるコンタミの滞留が抑制され、コンタミに起因したシュー20と斜板30との間の偏摩耗の発生を抑制できる。
【0057】
さらに、ピストン6は中実に形成されており、容積室7とシュー20の流体通路41,42とは、ピストン6によって遮断される。つまり、容積室7と流体通路41,42とは、互いに連通せず、容積室7の作動油は流体通路41,42には導かれない。よって、仮に、シュー20と斜板30の摺接面25aに偏摩耗が生じたとしても、容積室7の作動油がケース3内に漏れ出すことが抑制される。したがって、ピストンポンプ100は、所望の圧力によって作動油を吐出でき、安定して動作することができる。
【0058】
なお、流体通路41,42と容積室7とが「遮断される」又は「連通しない」とは、ピストンポンプ100を構成する各部材間の微小な隙間を通じて流体通路41,42と容積室とが連通することを排除する意味ではない。
【0059】
また、シュー20と斜板30との間の偏摩耗の発生が抑制されることで、シリンダブロック2とエンドカバー5との傾きも抑制され、シリンダブロック2とエンドカバー5との間の偏摩耗の発生も抑制される。これにより、シリンダブロック2とエンドカバー5との間からの作動油の漏れも抑制される。よって、ピストンポンプ100の動作をより安定させることができる。
【0060】
別の観点からいえば、ピストンポンプ100は、容積室7、吸込通路11、及び吐出通路12からのケース3内への作動油の漏れが抑制されるため、高い容積効率を発揮することができ、高精度の定量ポンプとして使用することができる。
【0061】
また、本実施形態では、流体圧装置101は、作動油中のコンタミを測定するコンタミ測定装置である。このため、多量のコンタミや粒径が大きいコンタミを含んだ作動油が利用されることがある。ピストンポンプ100は、作動油中のコンタミに起因したシュー20と斜板30との間の偏摩耗の発生を抑制することができるものであるため、多量のコンタミが含まれる作動油等が利用される場合であっても、安定して作動することができる。つまり、ピストンポンプ100は、作動油に多量のコンタミや粒径が大きいコンタミが含まれるような流体圧装置101に対して利用されると好適である。
【0062】
コンタミが多く含まれる作動油が利用される流体圧装置101としては、例えば、本実施形態のコンタミ測定装置に加え、建設機械のトランスミッション(流体圧機器102)を駆動する流体圧制御装置がある。建設機械のトランスミッション用の流体圧制御装置では、トランスミッションの切り換えにより作動油中に金属粉が混入しやすい。ピストンポンプ100は、このような流体圧制御装置に利用される場合でもコンタミによる偏摩耗に起因した不安定な動作が生じにくいため、ピストンポンプ100、ひいては流体圧制御装置が安定して作動することができる。
【0063】
また、ピストンポンプ100は、高い容積効率を発揮でき高精度の定量ポンプとして使用することができるため、吐出流量の変化に対して高い精度が求められる用途、例えば、流量計や定量液送ポンプとして利用することも好適である。
【0064】
また、一般に、ピストンポンプ100が小型であるほど、シュー20と斜板30との間の偏摩耗の量が小さくても、容積室7の作動油がケース3内に漏れやすい。そして、ピストンポンプ100が小型であるほど、容積室7の作動油の漏れがピストンポンプ100の性能(吐出圧、容積効率)に与える影響が大きい。よって、本実施形態に係るピストンポンプ100は、小型に構成されることで、上述の効果を顕著に発揮できる。
【0065】
なお、本明細書でいう「小型」とは、シャフト1の周方向におけるピストン6のピッチ長P[mm](
図3参照)が、15mm以下であって、ポンプ容量が8ml/rev以下のものをいう。ポンプ容量は、ピストン径Dp[mm](
図4参照)、ピストン数[本]、シリンダ2bのピッチ円直径PCD[mm](
図3参照)、斜板30の傾斜角度θ[°](
図4参照)によって定まる。例えば、ピストン径Dpが9mm、ピストン数が9本、ピッチ円直径PCDが41mm、斜板30の傾斜角度θが15°である場合は、ピストン6のピッチ長Pが約14.3mm、ポンプ容量が約6.3ml/revであり、このようなピストンポンプ100は小型といえる。なお、一般に、小型のピストンポンプでは、ピストン6の数は、3~11本の範囲内で設定される。ただし、ピッチ長Pが15mm以下であって、ポンプ容量が8ml/rev以下であれば、ピストン6の数が3~11本の範囲外であっても、ピストンポンプ100は「小型」であるといえる。
【0066】
また、本実施形態では、ピストン6は、中実に形成されており、比較例のような導入通路6dを備えていない。このため、導入通路6dと、受容部21の凹部22とピストン6の球面座6aとの間の隙間と、を通じて容積室7の作動油がケース3内に漏れ出すことも抑制され、より一層ピストンポンプ100の作動を安定させることができる。
【0067】
また、仮に、ピストンポンプ100が、本実施形態に係るシュー20と、導入通路6dを有する比較例のピストン6と、を備える場合、シュー20に形成される連通路46によって流体通路41,42と容積室7とは遮断されずに互いに連通する。この場合、容積室7の作動油が、ピストン6の導入通路6d、シュー20の連通路46及び流体通路41,42を通じてケース3内に連通し、容積室7の作動油が積極的にケース3内に漏れ出す。このため、ピストンポンプ100は、シュー20及び斜板30に摩耗が生じていなくとも、所定の圧力で作動油を吐出できない。そして、このようなピストンポンプ100の異常は、早期に検知することができる。つまり、シュー20に連通路46が形成されることで、導入通路6dを有するピストン6を誤って使用する誤組付けが生じた場合であっても、検査段階において異常を早期に検知することができ、誤組付けされた製品が出荷されることを防止できる。
【0068】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0069】
ピストンポンプ100では、シリンダブロック2の回転によってピストンシュー20が斜板30に摺接しながら回転するのに伴い、ケース3内の作動流体が流体通路41,42の開口部41a,41b,42a,42bのいずれかから流体通路41,42に導かれ、その他のいずれかからケース3内へ排出される。このように流体通路41,42を通過する作動流体によって、シュー20と斜板30とが潤滑されると共にシュー20と斜板30との間におけるコンタミの滞留が抑制される。このため、コンタミに起因したシュー20と斜板30との間の偏摩耗の発生を抑制できる。さらに、流体通路41,42がシリンダ2b内の容積室7とは遮断されているため、容積室7の作動油は流体通路41,42には導かれない。このため、容積室7の作動油がシュー20と斜板30との間から漏れ出すことが抑制され、ピストンポンプ100の作動が安定する。
【0070】
また、ピストンポンプ100では、シュー20には、流体通路41,42と凹部22とに開口する連通路46が形成される。これにより、流体通路41,42及び連通路46を通じて、ケース3内の作動油が凹部22とピストン6の球面座6aとの間に導かれる。よって、シュー20の凹部22の接触面22aとピストン6の球面座6aの外面6cとを潤滑することができる。さらに、導入通路6dが形成されるピストン6を誤って組付けた場合であっても、シュー20に連通路46が形成されることで、ピストンポンプ100は所望の圧力で作動油を吐出できないため、その異常を早期に検知することができる。
【0071】
また、ピストンポンプ100では、互いに直交する2つ流体通路41,42がシュー20の摺接面25aに形成され、流体通路41,42の開口部41a,41b,42a,42bが等角度間隔で摺接面25aの外周縁25bに開口する。よって、1つの流体通路のみが形成される場合と比較して、摺接面25aにおける作動油の流れを増やすことができると共に、流体通路41,42へ作動油を流入させやすくなる。したがって、シュー20と斜板30との潤滑をより効果的に行うことができると共に、シュー20と斜板30との間でコンタミが挟み込まれることをより一層抑制することができる。
【0072】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0073】
上記実施形態では、シュー20の摺接面25aには、互いに直交する2つの流体通路41,42が形成される。これに対し、流体通路41,42は、少なくとも一つが摺接面25aに形成されるものであればよい。また、流体通路は、平板部25の外周縁25bに開口する開口部を少なくとも2つ(一対)有するものであれば、その形状は上記実施形態に限られない。言い換えれば、流体通路は、平板部25の外周縁25bに開口する開口部を3つ以上有するものでもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ピストン6は中実に形成され、ピストン6によって容積室7と流体通路41,42とが遮断される。これに対し、ピストン6は、容積室7に臨む端面に有底穴が形成されていてもよい。この場合であっても、容積室7と流体通路41,42とはピストン6によって遮断される。また、容積室7の端部は、ピストン6の端面及び穴の底面によって閉塞される。つまり、ピストン6は、少なくとも一部に中実部分が形成されていれば、容積室7と流体通路41,42を遮断する。
【0075】
また、
図6に示すように、上記実施形態における連通路46を廃止して、シュー20によって容積室7と流体通路41,42とを遮断してもよい。この場合には、流体通路41,42の内壁面は、受容部21の内面に開口するような穴が形成されない連続面によって構成される。これにより、流体通路41,42は、開口部41a,41b,42a,42b間での作動油の流れのみを許容する。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、この変形例においては、ピストン6には、容積室7に臨む端面と球面座6aの外周面とに開口する導入通路6d(
図6参照)が形成されてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、ピストン6の先端部に球面座6aが形成され、シュー20の連結部は球面座6aを受容する受容部21として形成される。これに対し、シュー20の連結部が球面座として形成され、ピストン6の先端部に球面座を受容する凹部を有する受容部が形成されてもよい。
【0077】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0078】
ピストンポンプ100は、シャフト1が連結されてシャフト1と共に回転するシリンダブロック2と、シリンダブロック2に形成されシャフト1の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダ2bと、シリンダ2b内に摺動可能に挿入されシリンダ2bの内部に容積室7を区画するピストン6と、ピストン6の先端部(球面座6a)に回転自在に連結されるシュー20と、シュー20が摺接する斜板30と、シリンダブロック2を収容するケース3と、を備え、シュー20は、ピストン6の先端部(球面座6a)に回転自在に連結される受容部21と、斜板30に摺接する摺接面25aを有し連結部に接続される平板部25と、を有し、平板部25は、摺接面25aの外周縁25bに開口する開口部41a,41b,42a,42bを有して摺接面25aに形成される流体通路41,42を有し、シリンダ2b内の容積室7とシュー20の平板部25の流体通路41,42とは、ピストン6によって遮断されている。
【0079】
この構成では、シリンダブロック2の回転によってシュー20が斜板30に摺接しながら回転するのに伴い、ケース3内の作動油が流体通路41,42の少なくとも一つの開口部を通じて流体通路41,42に導かれ、その他の開口部からケース3内へ排出される。このように流体通路41,42を通過する作動油によって、シュー20と斜板30とが潤滑される。また、流体通路41,42を通過する作動油の流れが生じるため、シュー20と斜板30との間におけるコンタミの滞留が抑制され、コンタミに起因したシュー20と斜板30との間の偏摩耗の発生を抑制できる。さらに、流体通路41,42がシリンダ2b内の容積室7とは遮断されているため、容積室7の作動油は流体通路41,42には導かれない。このため、容積室7の作動油がピストンシュー20と斜板30との間から漏れ出すことが抑制される。したがって、ピストンポンプ100の作動が安定する。
【0080】
また、ピストンポンプ100では、ピストン6の移動方向における容積室7の一端部は、ピストン6によって閉塞される。
【0081】
この構成では、容積室7とシュー20の流体通路41,42とがピストン6によって遮断される。
【0082】
また、ピストンポンプ100は、互いに直交する2つの流体通路41,42を有する。
【0083】
この構成では、流体通路41,42の開口部41a,41b,42a,42bが等角度間隔で摺接面25aの外周縁25bに開口する。よって、1つの流体通路のみが形成される場合と比較して、摺接面25aにおける作動油の流れを増やすことができると共に、流体通路41,42へ作動油を流入させやすくなる。したがって、シュー20と斜板30との潤滑をより効果的に行うことができると共に、シュー20と斜板30との間でコンタミが挟み込まれることをより一層抑制することができる。
【0084】
また、ピストンポンプ100では、受容部21は、ピストン6の先端部に回転自在に摺接する接触面22aを有し、シュー20は、流体通路41,42及び接触面22aに開口する連通路46を有する。
【0085】
この構成では、連通路46を通じて作動油が受容部21とピストン6の先端部との間に導かれるため、受容部21の接触面22aとピストン6の先端部とが潤滑される。
【0086】
ピストンポンプ100におけるピストン6の先端部に回転自在に連結されるシュー20は、ピストン6の先端部に回転自在に連結される受容部21と、受容部21に連結され斜板30に摺接する摺接面25aを有する円板状の平板部25と、を有し、平板部25は、摺接面25aの外周縁25bに開口する開口部41a,41b,42a,42bを有して摺接面25aに形成される流体通路41,42を有し、流体通路41,42は、複数の開口部41a,41b,42a,42b間での作動油の流れのみを許容する。
【0087】
この構成では、シリンダブロック2の回転によってピストンシュー20が斜板30に摺接しながら回転するのに伴い、ケース3内の作動油が流体通路41,42の少なくとも一つの開口部41a,41b,42a,42bを通じて流体通路41,42に導かれ、その他の開口部41a,41b,42a,42bからケース3内へ排出される。このように流体通路41,42を通過する作動油によって、シュー20と斜板30とが潤滑される。また、流体通路41,42を通過する作動油の流れが生じるため、シュー20と斜板30との間におけるコンタミの滞留が抑制され、コンタミに起因したシュー20と斜板30との間の偏摩耗の発生を抑制できる。さらに、流体通路41,42がシリンダ2b内の容積室7とは遮断されているため、容積室7の作動油は流体通路41,42には導かれない。このため、容積室7の作動油がピストンシュー20と斜板30との間から漏れ出すことが抑制される。したがって、ピストンポンプ100の作動を安定させることができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0089】
1…シャフト、2…シリンダブロック、2b…シリンダ、3…ケース、6…ピストン、6a…球面座(先端部)、7…容積室、20…ピストンシュー、21…受容部(連結部)、22a…接触面、25…平板部(摺接部)、25a…摺接面、25b…外周縁、30…斜板、30a…斜板摺接面、41,42…流体通路、41a,41b,42a,42b…開口部、46…連通路、100…ピストンポンプ(液圧回転機)