(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】トレーニング支援プログラム、トレーニング支援方法、サーバ装置及びトレーニング支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20231206BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231206BHJP
【FI】
G16H20/00
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019195089
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂入 整
(72)【発明者】
【氏名】小林 知己
(72)【発明者】
【氏名】立石 貴己
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138950(JP,A)
【文献】特開2011-138530(JP,A)
【文献】特開2013-239115(JP,A)
【文献】特開2013-210713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する端末装置と通信回線を介して接続されたサーバ装置を、
複数のトレーニングメニューに係るデータ
を含むトレーニングメニューデータから、
前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間に応じたトレーニングメニューに係るデータを抽出するトレーニングメニュー抽出手段、
前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出したトレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させるトレーニングメニュー送信制御手段、
として機能させ
、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューに係るデータを抽出することを特徴とするトレーニング支援プログラム。
【請求項2】
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な列車の混雑状況に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザが乗車している列車の混雑状況
と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な列車の混雑状況に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車の混雑状況において実施可能なトレーニングメニューに係るデータを
、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なものとして抽出したトレーニングメニューに係るデータからさらに抽出することを特徴とする請求項1に記載のトレーニング支援プログラム。
【請求項3】
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な乗車姿勢に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザの乗車姿勢
と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な乗車姿勢に係るデータと、を対比し、前記ユーザの乗車姿勢において実施可能なトレーニングメニューに係るデータを
、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なものとして抽出したトレーニングメニューに係るデータからさらに抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載のトレーニング支援プログラム。
【請求項4】
前記トレーニングメニュー送信制御手段は、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間毎に、
前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出した前記トレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させることを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載のトレーニング支援プログラム。
【請求項5】
前記サーバ装置を、
前記端末装置を所持するユーザが所定の路線の
所定の乗車駅と所定の降車駅との間の経路上の列車に乗車しているかを判定する乗車判定手段
、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段、
としてさらに機能させ
、
前記乗車判定手段は、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報を複数回分用いて特定した前記端末装置の移動に係る情報と、
を用いて、
前記端末装置の最新の位置情報に係る位置が、前記所定の路線の前記所定の乗車駅と前記所定の降車駅との間の経路上であり、前記端末装置が所定の速度以上の速度で移動しており、かつ、前記端末装置の移動方向が、前記所定の乗車駅から前記所定の降車駅に向かう方向と一致する場合に、前記端末装置を所持する前記ユーザが、前記所定の路線の前記所定の乗車駅と前記所定の降車駅との間の経路上の列車に乗車していると判定することを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載のトレーニング支援プログラム。
【請求項6】
前記サーバ装置を、
前記ユーザの運動量の目標に係る情報を取得する運動目標データ取得手段、
所定の条件が満たされた場合に、前記ユーザの運動量の目標の達成の有無を判定する運動量目標達成判定手段、
前記運動量目標達成判定手段が、前記ユーザの運動量の目標が達成されていないと判定した場合に、トレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させる追加トレーニングメニュー送信制御手段、
としてさらに機能させる請求項1から
5のいずれか一項に記載のトレーニング支援プログラム。
【請求項7】
複数のトレーニングメニューに係るデータ
を含むトレーニングメニューデータから、
端末装置のユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間に応じたトレーニングメニューに係るデータを
コンピュータが抽出するトレーニングメニュー抽出ステップと、
前記トレーニングメニュー抽出ステップにおいて抽出したトレーニングメニューを、
前記コンピュータが端末装置によって前記ユーザに提示させるトレーニングメニュー提示ステップと、
を含
み、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出ステップにおいて前記コンピュータは、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューに係るデータを抽出することを特徴とするトレーニング支援方法。
【請求項8】
ユーザが所持する端末装置と通信回線を介して接続され、
複数のトレーニングメニューに係るデータ
を含むトレーニングメニューデータから、
前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間に応じたトレーニングメニューに係るデータを抽出するトレーニングメニュー抽出手段と、
前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出したトレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させるトレーニングメニュー送信制御手段と、
を備え
、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューに係るデータを抽出することを特徴とするサーバ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のサーバ装置と、
前記サーバ装置と通信回線を介して接続された端末装置と、
を備え、
前記端末装置は、
前記サーバ装置の前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出したトレーニングメニューに係るデータを、前記サーバ装置から受信するトレーニングメニュー受信手段と、
前記トレーニングメニュー受信手段が受信したトレーニングメニューに係るデータを、提示手段によって前記ユーザに提示させるトレーニングメニュー提示制御手段と、
を備えることを特徴とするトレーニング支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング支援プログラム、トレーニング支援方法、サーバ装置及びトレーニング支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりに伴い、ユーザのフィジカル面及び/又はメンタル面のトレーニングを支援するスマートフォン等の携帯端末向けのアプリケーションが開発されている。
このようなアプリケーションは、ユーザがジム等に通わずともトレーニングを行うことができるように、スマートフォン等の携帯端末にトレーニングメニューを提供するものであるが、多くのユーザが通勤・通学等のための列車による移動に相当の時間を費やしていることから、このような移動時間をトレーニングに活用可能とするため、列車による移動中のユーザにトレーニングメニューを提供することを念頭に置いたアプリケーションが開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社東急スポーツオアシスホームページ、[令和1年10月9日検索]、インターネット<URL:https://www.sportsoasis.co.jp/info/det363.html>、TOP/リリース|業界初「コソ・トレ・イン(電車エクササイズ)」をTOQビジョンで放映開始~忙しくて運動時間が作れない方へ電車の中で健康習慣~
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
列車内で実施するのに適したトレーニングメニューは、ユーザ自身の状況や、ユーザが乗車している列車の状況等に応じて異なることから、列車による移動時間に効率的にトレーニングを行うためには、ユーザ自身の状況や、ユーザが乗車している列車の状況等に応じて、適切なトレーニングメニューが提供される必要がある。
しかし、従来のアプリケーションは、列車に乗車しているユーザに、ユーザ自身の状況や、ユーザが乗車している列車の状況等に応じて、適切なトレーニングメニューを提供するものではなかった。
【0005】
本発明の課題は、列車に乗車しているユーザに、適切なトレーニングメニューを提供可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トレーニング支援プログラムであって、
ユーザが所持する端末装置と通信回線を介して接続されたサーバ装置を、
複数のトレーニングメニューに係るデータを含むトレーニングメニューデータから、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間に応じたトレーニングメニューに係るデータを抽出するトレーニングメニュー抽出手段、
前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出したトレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させるトレーニングメニュー送信制御手段、
として機能させ、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューに係るデータを抽出することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のトレーニング支援プログラムであって、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な列車の混雑状況に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザが乗車している列車の混雑状況と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な列車の混雑状況に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車の混雑状況において実施可能なトレーニングメニューに係るデータを、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なものとして抽出したトレーニングメニューに係るデータからさらに抽出することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のトレーニング支援プログラムであって、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な乗車姿勢に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザの乗車姿勢と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な乗車姿勢に係るデータと、を対比し、前記ユーザの乗車姿勢において実施可能なトレーニングメニューに係るデータを、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なものとして抽出したトレーニングメニューに係るデータからさらに抽出することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のトレーニング支援プログラムであって、
前記トレーニングメニュー送信制御手段は、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間毎に、前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出した前記トレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のトレーニング支援プログラムであって、
前記サーバ装置を、
前記端末装置を所持するユーザが所定の路線の所定の乗車駅と所定の降車駅との間の経路上の列車に乗車しているかを判定する乗車判定手段、
前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段、
としてさらに機能させ、
前記乗車判定手段は、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記端末装置の位置情報を複数回分用いて特定した前記端末装置の移動に係る情報と、
を用いて、
前記端末装置の最新の位置情報に係る位置が、前記所定の路線の前記所定の乗車駅と前記所定の降車駅との間の経路上であり、前記端末装置が所定の速度以上の速度で移動しており、かつ、前記端末装置の移動方向が、前記所定の乗車駅から前記所定の降車駅に向かう方向と一致する場合に、前記端末装置を所持する前記ユーザが、前記所定の路線の前記所定の乗車駅と前記所定の降車駅との間の経路上の列車に乗車していると判定することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のトレーニング支援プログラムであって、
前記サーバ装置を、
前記ユーザの運動量の目標に係る情報を取得する運動目標データ取得手段、
所定の条件が満たされた場合に、前記ユーザの運動量の目標の達成の有無を判定する運動量目標達成判定手段、
前記運動量目標達成判定手段が、前記ユーザの運動量の目標が達成されていないと判定した場合に、トレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させる追加トレーニングメニュー送信制御手段、
としてさらに機能させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、トレーニング支援方法であって、
複数のトレーニングメニューに係るデータを含むトレーニングメニューデータから、端末装置のユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間に応じたトレーニングメニューに係るデータをコンピュータが抽出するトレーニングメニュー抽出ステップと、
前記トレーニングメニュー抽出ステップにおいて抽出したトレーニングメニューを、前記コンピュータが端末装置によって前記ユーザに提示させるトレーニングメニュー提示ステップと、
を含み、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出ステップにおいて前記コンピュータは、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューに係るデータを抽出することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、サーバ装置であって、
ユーザが所持する端末装置と通信回線を介して接続され、
複数のトレーニングメニューに係るデータを含むトレーニングメニューデータから、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間に応じたトレーニングメニューに係るデータを抽出するトレーニングメニュー抽出手段と、
前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出したトレーニングメニューに係るデータを、送信手段によって前記端末装置へと送信させるトレーニングメニュー送信制御手段と、
を備え、
前記トレーニングメニューデータは、各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、
前記トレーニングメニュー抽出手段は、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間と、前記トレーニングメニューデータに含まれる各トレーニングメニューについて実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータと、を対比し、前記ユーザが乗車している列車が走行している駅間の区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューに係るデータを抽出することを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、トレーニング支援システムであって、
請求項8に記載のサーバ装置と、
前記サーバ装置と通信回線を介して接続された端末装置と、
を備え、
前記端末装置は、
前記サーバ装置の前記トレーニングメニュー抽出手段が抽出したトレーニングメニューに係るデータを、前記サーバ装置から受信するトレーニングメニュー受信手段と、
前記トレーニングメニュー受信手段が受信したトレーニングメニューに係るデータを、提示手段によって前記ユーザに提示させるトレーニングメニュー提示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、列車に乗車しているユーザに、適切なトレーニングメニューを提供可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るトレーニング支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係るトレーニング支援システムにおける動作の流れの全体を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係るトレーニング支援システムにおける列車内トレーニングの実施時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係るトレーニング支援システムにおける追加トレーニングの実施時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係るトレーニング支援システムにおけるデータの流れを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図5に基づいて、本発明の実施形態であるトレーニング支援システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下において説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
【0021】
[第1 構成の説明]
トレーニング支援システム100は、ユーザUの通勤時間・通学時間等の列車による移動時間を利用したフィジカル面及び/又はメンタル面のトレーニングを支援するためのシステムであり、
図1に示すように、トレーニング支援システム100を提供する企業等が保有するサーバ装置1と、トレーニング支援システム100を利用するユーザUがそれぞれ所持する端末装置2と、を備えて構成されている。
また、サーバ装置1と端末装置2との間は、通信ネットワークNを介して接続されている。
【0022】
[1 サーバ装置]
サーバ装置1は、例えば、トレーニング支援システム100を提供する企業等が保有するPC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器であり、後述のように、鉄道により移動中のユーザUが所持する端末装置2へのトレーニングメニューに係るデータの送信等を行う。
なお、サーバ装置1は、必ずしもトレーニング支援システム100を提供する企業等自らが保有することを要せず、例えば、クラウドサービスを提供する企業等が保有するPC、WS等の情報機器を利用してもよい。
【0023】
サーバ装置1は、
図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0024】
制御部11は、サーバ装置1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部12に記憶されたプログラムとCPUとの協働により、サーバ装置1の各部を統括制御する。
【0025】
記憶部12は、サーバ装置1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等のトレーニング支援システム100の運用に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0026】
記憶部12には、ユーザUに係る情報が記憶されるユーザデータベース121と、鉄道路線に係る情報が記憶される路線データベース122と、トレーニングメニューに係る情報が記憶されるトレーニングメニューデータベース123と、端末装置2へと提供される音声データが記憶される音声データベース124と、端末装置2へと提供される画面データが記憶される画面データベース125と、ユーザUからの要請に応じて端末装置2へとトレーニングメニューを提供する際のサーバ装置1への指令内容が組み合わされたプログラムであるトレーニングメニュー提供プログラムP1と、ユーザUの日毎の運動量を集計する際のサーバ装置1への指令内容が組み合わされたプログラムである運動量集計プログラムP2と、ユーザUの運動量が目標から不足する場合に端末装置2へとトレーニングメニューを提供する際のサーバ装置1への指令内容が組み合わされたプログラムである追加トレーニングメニュー提供プログラムP3と、が備えられている。
なお、これらプログラムは、それぞれ別個のプログラムとして記憶されていることを必ずしも要せず、単一のプログラムが、これら複数のプログラムとしての指令内容を含むものであってもよい。
【0027】
ユーザデータベース121には、氏名、住所、連絡先等のユーザUの個人情報に係るデータである個人情報データD1と、ユーザUの自宅の最寄り駅の名称に係るデータである自宅最寄駅データD2-1及びユーザUの通勤先又は通学先の最寄り駅の名称に係るデータである通勤・通学先最寄駅データD2-2を含むユーザUの通勤又は通学の経路に係るデータである通勤・通学ルートデータD2と、例えば運動によって消費する消費カロリー等により設定されたユーザUが目標とする一日当たりの運動量のデータである運動目標データD3と、乗車駅データD4-1と降車駅データD4-2とを含む、ユーザUが指定する乗車経路に係るデータである乗車経路データD4と、端末装置2ひいては端末装置2を所持するユーザUの所在位置に係るデータである位置データD5と、端末装置2から取得したユーザUの乗車姿勢に係るデータである乗車姿勢データD6と、端末装置2から取得したユーザUが歩行した歩数に係る日毎のデータである歩数データD7と、後述のように歩行による消費カロリーと、列車内トレーニングによる消費カロリーとを合算したユーザUの運動量に係る日毎のデータである運動量データD8と、が記憶される。
なお、本発明において運動量とは、物理における一般的な意味とは異なり、例えば消費したカロリーの値等で表される、ユーザUが実施したトレーニング、歩行等の運動の量のことを言う。
【0028】
路線データベース122には、トレーニング支援システム100によりトレーニングメニューの提供が可能な鉄道の路線に係るデータである路線データD9と、路線データD9に含まれる路線の混雑状況に係るデータである混雑状況データD10と、が記憶されている。
路線データD9は、トレーニングメニューの提供が可能な鉄道の路線(以下、「サービス対象路線」という。)に関し、路線上に存在する駅の位置情報、駅間の区間(鉄道路線の隣り合う駅と駅の間の部分のことをいう。)の経路の位置情報、各区間の所要時間(前の駅から次の駅に到着するまでに要する時間のことをいう。)に係るデータ等を含む。なお、駅間の経路の位置情報としては、駅間において線路が敷かれている位置を特定できるものであればよく、例えば、所定の距離毎に、経路上の経度及び緯度に係る座標の情報を記憶することにより構成すればよい。
また、混雑状況データD10は、サービス対象路線内における区間及び時刻(例えば1時間単位)と、統計的なデータに基づく複数段階の所定の混雑度のランク(例えば、空いている方から順に混雑度1から5の5段階)とを対応付けて記憶したデータである。
【0029】
トレーニングメニューデータベース123には、トレーニング支援システム100によりユーザUに対し提供可能なトレーニングメニューに係るデータであるトレーニングメニューデータD11と、トレーニングメニューデータD11に含まれるトレーニングメニュー毎の消費カロリーに係るデータである消費カロリーデータD12と、が記憶されている。
トレーニングメニューデータD11は、列車内で実施可能なフィジカル面又はメンタル面に係る多数のトレーニングメニューが、実施可能な混雑状況データD10に係る混雑状況及び乗車姿勢データD6に係るユーザUの乗車姿勢と対応付けて記憶されたデータである。
例えば、動きの大きいフィジカル面のトレーニングメニューについては、混雑度のランクが比較的低い場合と対応付けて記憶され、メンタル面のトレーニングや、フィジカル面のトレーニングであっても、動きの小さいものは、混雑度のランクが比較的高いものと対応付けて記憶されている、また、例えば、起立した状態の方が実施し易いトレーニングメニューについては、起立した乗車姿勢と対応付けて記憶され、着席した状態の方が実施し易いトレーニングメニューについては、着席した乗車姿勢と対応付けて記憶されている。
さらに、トレーニングメニューデータD11は、各トレーニングメニューにつき、これを実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含む。なお、後述のように、トレーニングメニューは区間毎にサーバ装置1へと提供されることから、トレーニングメニューの完了が区間通過後となることがないように、実施可能な駅間の区間の所要時間は、実際にトレーニングメニューの実施に要する時間(トレーニングメニュー音声データD13に含まれる各トレーニングメニューに対応する音声データの再生時間)よりも所定の時間分長く設定される。
また、消費カロリーデータD12は、トレーニングメニューデータD11に含まれるトレーニングメニュー毎に、これを実施した場合にユーザUが消費するカロリーにつき記憶したデータである。
【0030】
音声データベース124には、トレーニングメニュー音声データD13と、トレーニング終了音声データD14と、が記憶されている。
トレーニングメニュー音声データD13は、トレーニングメニューデータD11に含まれるトレーニングメニュー毎に作成された、これを実施する際のユーザUに対する指示に係る音声のデータである。
トレーニング終了音声データD14は、後述のように、乗車経路データD4の降車駅データD4-2に係る降車駅に近づいた際に、トレーニングの終了を告げるための音声のデータである。
【0031】
画面データベース125には、乗車姿勢選択画面データD15と、追加トレーニング実施推奨画面データD16と、が記憶されている。
乗車姿勢選択画面データD15は、ユーザUが自らの列車への乗車姿勢を選択するための画面である乗車姿勢選択画面のデータであり、乗車姿勢選択画面は、例えば、シートに着席、つり革につかまって起立、ポールにつかまって起立等の複数の所定の乗車姿勢の中から、自らの現在の姿勢を選択可能に構成されている。
追加トレーニング実施推奨画面データD16は、後述のようにユーザの運動量が運動目標データD3に係る運動量に不足する場合において、トレーニングの実施を推奨するための画面である追加トレーニング実施推奨画面のデータであり、追加トレーニング実施推奨画面は、ユーザUが特定の日において運動目標データD3に係る目標運動量を達成できていない旨と、追加トレーニングの実施を推奨するメッセージと、ユーザUがトレーニングの実施を希望する場合に操作するソフトウェアボタンと、を含む画面である。
【0032】
通信部13は、サーバ装置1と端末装置2との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタ等を有する通信インターフェースであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0033】
[2 端末装置]
端末装置2は、例えば、ユーザUが携帯するスマートフォン、タブレット等の情報通信端末であり、後述のように、ユーザUにより入力された情報、ユーザUの位置情報等のサーバ装置1への送信や、サーバ装置1から受信したトレーニングメニューのユーザUへの提示等を行う。
端末装置2は、例えば、サーバ装置1と同様に、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えると共に、更に、表示部24と、操作部25と、位置情報取得部26と、音声再生部27と、歩数情報取得部28と、を備えて構成されている。
【0034】
記憶部22内には、トレーニング支援アプリケーション221が備えられている。トレーニング支援アプリケーション221は、トレーニング支援システム100使用時の端末装置2への指令内容が組み合わされたプログラムであり、後述のように当該プログラムに従って、制御部21によって、ユーザUにより入力された情報、ユーザUの位置情報等のサーバ装置1への送信や、サーバ装置1から受信したトレーニングメニューのユーザUへの提示等が行われる。
【0035】
表示部24は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を備え、制御部21から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0036】
操作部25は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、ユーザUからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部21へと出力する。操作部25は、例えば、表示部24と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよい。
なお、操作部25は、上記のキーボード、タッチパネル等に限定されず、音声入力、テキスト入力等によってユーザUの意思を反映できるものであれば、種々の手段を用いることができる。
【0037】
位置情報取得部26は、端末装置2の現在位置に関する情報を取得する部分であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機が用いられる。GPS受信機は、GPSを構成する複数のGPS衛星から提供される測位用電波であるGPS信号を受信し、これを用いて、端末装置2ひいてはそれを所持するユーザUの位置情報を取得する。
なお、位置情報取得部26としては、端末装置2の位置情報を取得可能なものであればよく、GPS受信機には限られない。例えば、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)受信機等、その他の衛星測位システムに係る信号の受信機を使用してもよい。また、例えば、所定の駅の駅構内や所定の列車の車両内に備えられたビーコン発信機が発信したビーコン信号を受信し、これを用いて、所定の駅の駅構内、所定の列車の車両内といった形で、位置情報を取得するものであってもよい。
【0038】
音声再生部27は、音声データを再生する部分であり、後述のようにサーバ装置1から送信された音声データを再生し、ユーザUに伝達可能なものであれば特に限定されない。例えば、ヘッドフォン、イヤフォン等を接続可能な端子や、ヘッドフォン、イヤフォン等と無線接続するためのインターフェース等を備えて構成される。
【0039】
歩数情報取得部28は、ユーザUが歩行した歩数に係る情報を取得する部分であり、例えば、一般的な歩数計同様、加速度センサ、ジャイロセンサ等を有し、ユーザUが歩行した歩数をカウントし、ユーザUが歩いた歩数に係る情報を日単位で取得する。
【0040】
[3 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網、有線LAN通信網等であり、サーバ装置1と端末装置2との間で、データの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。また、サーバ装置1と端末装置2との間に、例えば他のサーバ等が介在している場合においても、サーバ装置1と端末装置2とは、通信ネットワークNを介して接続されているものとする。
【0041】
[第2 動作の説明]
以下、実施形態に係るトレーニング支援システム100の動作の流れについて説明する。トレーニング支援システム100の動作は、
図2に示すように、大きく分けて、ステップS1からS4の4つのステップからなる。
【0042】
[1 ステップS1:アカウント作成]
トレーニング支援システム100の利用を希望するユーザUは、システムの利用開始前に、まず、アカウント作成を行う。
具体的には、ユーザUは、まず、端末装置2から、所定のWEBサイト等にアクセスの上、トレーニング支援アプリケーション221のダウンロードを行う。ダウンロードされたトレーニング支援アプリケーション221は、制御部21によって、記憶部22に記憶される。
【0043】
トレーニング支援アプリケーション221のダウンロードが完了した後、ユーザUは、続いて、端末装置2の操作部25を用いて、個人情報データD1、通勤・通学ルートデータD2及び運動目標データD3を入力する。
なお、通勤・通学ルートデータD2については、ユーザUの入力を待つことなく、例えば、ユーザUが使用する列車の定期券と連動して、自動的に取得されるようにしてもよい。
これらのデータの入力は、トレーニング支援アプリケーション221に従って、制御部21が、必要項目の入力欄が設けられた所定の入力フォームを表示部24に表示し、ユーザUがこれに入力することによって行われる。
【0044】
これらのデータが入力されると、端末装置2においては、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従って、入力されたデータを、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図5に示すようにサーバ装置1に送信し、通信部13によってこれらのデータを受信したサーバ装置1においては、制御部11が、受信したデータを、記憶部12のユーザデータベース121に記憶する。この際、通勤・通学ルートデータD2及び運動目標データD3は、当該ユーザUに係る個人情報データD1と紐付けて記憶される。
【0045】
なお、ユーザUによるトレーニング支援アプリケーション221のダウンロード並びに個人情報データD1、通勤・通学ルートデータD2及び運動目標データD3の入力を要するのは、初回のトレーニング支援システム100利用開始前の一度のみであり、それ以降ユーザUは、通勤・通学ルートデータD2含まれる通勤・通学ルートや、運動目標データD3に含まれる一日あたりの運動による消費カロリーの目標値等につき変更したい場合にのみ、変更部分につき入力すればよい。
【0046】
[2 ステップS2:列車内トレーニングの実施]
トレーニング支援アプリケーション221をダウンロードした端末装置2を携帯するユーザUは、サービス対象路線の列車乗車時において希望する場合に、
図3に示すようにステップS2-1からステップS2-9の過程を経て、サーバ装置1から列車の車内で実施可能なトレーニングメニューの提供を受け、これを実施することができる。具体的には、以下のとおりである。
【0047】
[(1) ステップS2-1:乗車経路情報の入力]
ユーザUは、サーバ装置1の路線データベース122に記憶された路線データD9にデータが含まれる所定の鉄道路線であるサービス対象路線への乗車前に、まず、端末装置2の操作部25を用いて、制御部21により、記憶部22に記憶されたトレーニング支援アプリケーション221を起動させる。
なお、どの鉄道路線がサービス対象路線に該当するかについては、例えば、トレーニング支援アプリケーション221のダウンロード時に、所定のマニュアル等の形で、ユーザUに通知しておけばよい。
【0048】
続いて、ユーザUは、操作部25を用いて、トレーニング支援アプリケーション221によって提供される所定の選択画面に従い、サービス対象路線への乗車駅及び降車駅を選択する。
選択が完了すると、制御部21は、トレーニング支援アプリケーション221に従って、選択された乗車駅に関するデータ(乗車駅データD4-1)及び選択された降車駅に関するデータ(降車駅データD4-2)を含む乗車経路データD4を、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図5に示すようにサーバ装置1へと送信する。
【0049】
通信部13によって乗車経路データD4を受信したサーバ装置1においては、制御部11が、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、乗車経路データD4を、記憶部12のユーザデータベース121に、当該端末装置2のユーザUに係る個人情報データD1と紐付けた上で記憶する。
【0050】
[(2) ステップS2-2:乗車判定]
トレーニング支援アプリケーション221がダウンロードされた端末装置2においては、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従い、所定の間隔毎に、位置情報取得部26に、端末装置2の位置情報を取得させる。
位置情報取得部26によって、端末装置2の位置情報に係るデータ(位置データD5)が取得される度に、制御部21は、トレーニング支援アプリケーション221に従い、位置データD5を、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図5に示すようにサーバ装置1へと送信する。
【0051】
また、サーバ装置1においては、通信部13によって位置データD5を受信する度に、制御部11が、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、位置データD5を、記憶部12のユーザデータベース121に、受信時間と共に、当該端末装置2のユーザUに係る個人情報データD1と紐付けた上で記憶する。したがって、サーバ装置1のユーザデータベース121には、ユーザU毎に、所定の間隔毎の位置情報という形で、過去の移動履歴に係るデータが記憶されていることとなる。
【0052】
そこで、ステップS2-1において乗車経路データD4を受信したサーバ装置1においては、それ以降、制御部11が、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、乗車経路データD4を送信した端末装置2から位置データD5を受信する度に、受信した位置データD5と、ユーザデータベース121に記憶された当該端末装置2に係る直前の位置データD5とを用いて、ユーザUがサービス対象路線の乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の経路上の列車に乗車しているかにつき判定する。
【0053】
すなわち、まず、制御部11は、最新の位置データD5と、記憶部12の路線データベース122に記憶された路線データD9とを対照し、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が、乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の経路上であるか否かを判定する。
上記経路上であると判定した場合は、制御部11は、さらに、最新の位置データD5と、その直前の位置データD5とを対比して、端末装置2の移動の有無、移動速度及び移動方向を特定し、端末装置2が所定の速度以上で移動しており、かつ移動方向が乗車駅データD4-1に係る乗車駅から降車駅データD4-2に係る降車駅へと向かう方向と一致している場合に、制御部11は、ユーザUが、サービス対象路線の乗車経路データD4に係る経路上の列車に乗車していると判定する。
【0054】
なお、例えばサービス対象路線が環状の路線である場合等においては、乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の経路は2本以上存在することとなる。このように、乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の経路が複数存在する場合においても、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が、乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の複数の経路のうちいずれかの上にあり、端末装置2が所定の速度以上で移動しており、かつ、移動方向が、上記の最新の位置データD5に係る位置が含まれる経路を用いて乗車駅データD4-1に係る乗車駅から降車駅データD4-2に係る降車駅へと向かう方向と一致している場合に、制御部11は、ユーザUが、サービス対象路線の乗車経路データD4に係る経路上の列車に乗車していると判定する。
【0055】
上記判定は、ユーザUが、サービス対象路線の乗車経路データD4に係る経路上の列車に乗車していると判定されるまで繰り返し行われ、乗車していると判定された段階でステップS2-3へと進むこととなる。
【0056】
[(3) ステップS2-3:乗車区間の特定]
続いて、サーバ装置1は、ユーザUが乗車している列車が走行している区間を特定する。
すなわち、上記のように記憶部12の路線データベース122に記憶された路線データD9には、サービス対象路線につき、各駅及びその間を繋ぐ経路の位置情報が含まれていることから、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従い、端末装置2から取得した最新の位置データD5と、路線データD9とを対照し、ユーザUが乗車している列車が走行している区間を特定する。
【0057】
なお、後述(ステップS2-8)のように、一つのトレーニングメニューが終了した後に、次の駅が、降車駅データD4-2に係る駅でない場合には、再びステップS2-3に戻り乗車区間の特定からなされることとなるが、2回目以降の乗車区間の特定時においては、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従い、特定された区間が前回特定された区間と同一であった場合には、所定の間隔を空けて再度上記のようにして乗車区間の特定を行い、これが前回特定された区間と変わった時点で、当該区間を乗車区間と特定して次のステップへと進む。
【0058】
[(4) ステップS2-4:乗車姿勢の特定]
続いて、サーバ装置1は、ユーザUの列車内における乗車姿勢に係るデータを取得し、ユーザUの乗車姿勢を特定する。
【0059】
具体的には、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、乗車姿勢選択画面に係るデータ(記憶部12の画面データベース125に記憶された乗車姿勢選択画面データD15)を、当該画面を表示部24に表示させる旨の端末装置2への所定の指令を付して、通信部13から通信ネットワークNを介して、
図5に示すように端末装置2へと送信する。
乗車姿勢選択画面は、上記のように、ユーザUが、例えば、シートに着席、つり革につかまって起立、ポールにつかまって起立等の複数の所定の乗車姿勢の中から、自らの現在の姿勢を選択可能に構成された画面である。
【0060】
通信部23によって乗車姿勢選択画面データD15を受信した端末装置2においては、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従って、乗車姿勢選択画面を、表示部24に表示させる。
【0061】
表示部24に乗車姿勢選択画面が表示されると、ユーザUは、乗車姿勢選択画面に従って、自らの乗車姿勢を選択する。ユーザUによって乗車姿勢が選択されると、制御部21は、ユーザUによって選択された乗車姿勢に係るデータ(乗車姿勢データD6)を、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図5に示すようにサーバ装置1へと送信する。通信部13によって乗車姿勢データD6を受信したサーバ装置1においては、制御部11が、受信したデータを、記憶部12のユーザデータベース121に、当該乗車に係る乗車経路データD4と紐付けて記憶する。
【0062】
なお、乗車姿勢選択画面データD15を端末装置2の記憶部22に記憶しておき、サーバ装置1は、端末装置2へと乗車姿勢選択画面を表示部24に表示させる旨の所定の指令のみを送信するようにし、当該指令に応じ、端末装置2において制御部21が、記憶部22に記憶された乗車姿勢選択画面を表示部24に表示させるようにしてもよい。
【0063】
[(5) ステップS2-5:混雑状況の特定]
続いて、サーバ装置1は、ユーザUが乗車している列車の混雑状況について特定する。
【0064】
具体的には、サーバ装置1の記憶部12の路線データベース122には、上記のように混雑状況データD10が記憶されており、混雑状況データD10は、サービス対象路線内における区間及び時刻と、統計的なデータに基づく複数段階の所定の混雑度とを対応付けて記憶したデータであることから、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従い、混雑状況データD10から、現在時刻及びステップS2-3において特定されたユーザUの乗車区間に対応したデータを抽出する。
したがって、例えば、混雑状況データD10が、空いている方から順に1から5の5段階で混雑度が設定されたデータあれば、混雑状況は、これに応じて1から5の5段階で特定されることとなる。
【0065】
なお、混雑状況の特定方法は、上記のように統計的なデータである混雑状況データD10に基づくものにとどまらず、実際にユーザUが乗車している列車車両の混雑度をリアルタイムに検出の上、なされるようにしてもよい。
例えば、列車の各車両に、車両番号を示すビーコン信号を発信するビーコン発信機と、車両重量を計測する重量センサとを備え、さらに、端末装置2がビーコン受信部を備えるようにし、端末装置2が受信したビーコン信号をサーバ装置1へと送信することで、サーバ装置1において、端末装置2を所持するユーザUが乗車している具体的な車両番号を特定し、かつ、サーバ装置1が列車の各車両の重量センサから各車両の重量に係る情報を取得するようにする。
これによって、サーバ装置1において、ユーザUが乗車している車両の重量に基づき、実際の混雑度を特定することが可能となる。
【0066】
[(6) ステップS2-6:トレーニングメニューの抽出]
続いて、サーバ装置1は、ステップS2-3からS2-5における特定結果に応じて、実施可能なトレーニングメニューの抽出を行う。
【0067】
具体的には、サーバ装置1の制御部11は、まず、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、トレーニングメニューデータベース123に記憶されたトレーニングメニューデータD11から、ステップS2-3において特定されたユーザUの乗車区間、ステップS2-4において特定されたユーザUの乗車姿勢、及びステップS2-5において特定されたユーザUが乗車する列車の混雑状況に対応したメニューを選択する。
【0068】
すなわち、上記のように、トレーニングメニューデータD11は、各トレーニングメニューにつき、これを実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、路線データD9は、各区間につきその所要時間に係るデータを含むことから、制御部11は、まず、ステップS2-3において特定されたユーザUの乗車区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューを、トレーニングメニューデータD11から抽出する。
【0069】
また、トレーニングメニューデータD11は、各トレーニングメニューにつき、これを実施可能な乗車姿勢データD6に係るユーザUの乗車姿勢に係るデータを含むことから、制御部11は、上記のように乗車区間の所要時間に基づいて抽出されたトレーニングメニューから、さらに、ステップS2-4において特定されたユーザUの乗車姿勢において実施可能なトレーニングメニューを抽出する。
【0070】
また、トレーニングメニューデータD11は、各トレーニングメニューにつき、これを実施可能な混雑状況データD10に係る混雑状況に係るデータを含むことから、制御部11は、上記のように乗車区間の所要時間及び乗車姿勢に基づいて抽出されたトレーニングメニューから、さらに、ステップS2-5において特定されたユーザUの乗車列車の混雑状況において実施可能なトレーニングメニューを抽出する。
【0071】
[(7) ステップS2-7:トレーニングメニューの提示]
続いて、サーバ装置1は、ステップS2-6において抽出したトレーニングメニューを端末装置2へと送信し、端末装置2によって、ユーザUに提示させる。
【0072】
具体的には、サーバ装置1の制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、音声データベース124に記憶されたトレーニングメニュー音声データD13から、ステップS2-6において抽出されたトレーニングメニューに係る音声データを抽出する。
【0073】
続いて、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、トレーニングメニュー音声データD13から抽出されたデータを、当該データに係る音声を音声再生部27によって再生させる旨の端末装置2への所定の指令を付して、通信部13から通信ネットワークNを介して、
図5に示すように端末装置2へと送信する。すなわち制御部11は、トレーニングメニュー音声データD13という音声のデータに含む形で、トレーニングメニューデータD11を端末装置2へと送信することとなる。
通信部23によってトレーニングメニュー音声データD13から抽出されたデータを受信した端末装置2においては、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従って、受信したデータに係る音声を、音声再生部27によって再生させる。
【0074】
なお、ステップS2-6において抽出された実施可能なトレーニングメニューが複数存在する場合には、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、この中からいずれかのトレーニングメニューを選択の上、当該トレーニングメニューに係るデータをトレーニングメニュー音声データD13から抽出の上、端末装置2へと送信する。
このような選択は、例えば、制御部11が、ステップS2-6において抽出された複数のトレーニングメニューからランダムで行うようにしてもよいし、制御部11が、ステップS2-6において抽出されたトレーニングメニューから一つを選択させる所定の選択画面を端末装置2へと送信してこれを表示部24に表示させ、当該画面に従ったユーザUの選択に応じて行うようにしてもよい。
【0075】
[(8) ステップS2-8:トレーニング終了判定]
ステップS2-7において提示したトレーニングメニューの実施(トレーニングメニュー音声データD13から抽出されたデータに係る音声の再生)が終了すると、制御部11は、トレーニングの継続又は終了の判定を行う。
【0076】
すなわち、端末装置2の制御部21は、ステップS2-7において受信したトレーニングメニュー音声データD13から抽出されたデータに係る音声の再生が終了すると、トレーニング支援アプリケーション221に従い、トレーニングメニューが終了した旨を通知する情報(トレーニングメニュー終了通知データD17)を、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図5に示すようにサーバ装置1へと送信する。
【0077】
トレーニングメニュー終了通知データD17を受信したサーバ装置1においては、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、記憶部12のユーザデータベース121に記憶された位置データD5と、路線データベース122に記憶された路線データD9とを参照の上、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が、ステップS2-1においてユーザUが入力した乗車経路データD4の降車駅データD4-2に係る駅の位置から所定の距離内に位置するかにつき判定する。
【0078】
端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が、ステップS2-1においてユーザUが入力した乗車経路データD4の降車駅データD4-2に係る駅の位置から所定の距離内に位置している場合、制御部11は、次の駅はユーザUの降車駅であり、ユーザUがトレーニングを終了するものと判定し、ステップS2-9へと進む。
【0079】
一方、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が、ステップS2-1においてユーザUが入力した乗車経路データD4の降車駅データD4-2に係る駅の位置から所定の距離内に位置していない場合、制御部11は、次の駅はユーザUの降車駅ではなく、ユーザUがトレーニングを継続するものと判定し、ステップS2-3に戻り、次の区間を特定の上、次の区間に対応した運動メニューを提供することとなる。
【0080】
なお、トレーニングの終了の判定は、上記のように位置データD5に係る位置と乗車経路データD4の降車駅データD4-2に係る駅の位置との距離から行う場合に限られない。
例えば、サービス対象路線内を走行する列車の全ての車両内でビーコン信号を発信すると共に、これを端末装置2において受信するようにしておき、端末装置2においてビーコン信号を受信しなくなった時点で、ユーザUが列車から降りたものとして、トレーニングを終了するものと判定してもよい。また、例えば、両者を組み合わせて、位置データD5に係る位置と乗車経路データD4の降車駅データD4-2に係る駅の位置との距離が所定の距離内となり、かつ端末装置2においてビーコン信号を受信しなくなった時点で、ユーザUが列車から降りたものとして、トレーニングを終了するものと判定してもよい。
【0081】
[(9) ステップS2-9:トレーニング終了通知]
ステップS2-8において、ユーザUがトレーニングを終了するものと判定した場合、制御部11は、トレーニングメニュー提供プログラムP1に従って、記憶部12の音声データベース124に記憶されたトレーニング終了音声データD14を、当該音声を音声再生部27によって再生させる旨の端末装置2への所定の指令を付して、通信部13から通信ネットワークNを介して、
図5に示すように端末装置2へと送信する。
通信部23によってトレーニング終了音声データD14を受信した端末装置2においては、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従って、受信したデータに係る音声を、音声再生部27によって再生させる。
【0082】
[3 ステップS3:運動量の集計]
サーバ装置1においては、ユーザU毎に、歩行及びステップS2において説明した列車内トレーニングに係る一日当たりの運動量が集計されている。具体的には、以下のとおりである。
【0083】
まず、サーバ装置1においては、ユーザUの歩行による運動量が集計される。
すなわち、トレーニング支援アプリケーション221がダウンロードされた端末装置2においては、ユーザUに携帯されている間、常に、歩数情報取得部28によって、ユーザUが歩行した日毎の歩数に関するデータ(歩数データD7)が取得されており、端末装置2の制御部21は、トレーニング支援アプリケーション221に従い、歩数データD7を、例えば所定の間隔毎に、通信部23から通信ネットワークNを介して、
図5に示すようにサーバ装置1へと送信する。
サーバ装置1においては、通信部13によって歩数データD7を受信する度に、制御部11が、運動量集計プログラムP2に従って、歩数データD7を、記憶部12のユーザデータベース121に、当該端末装置2を所持するユーザUに係る個人情報データD1と紐付けた上で記憶し、さらに歩数データD7に係る歩数を消費カロリーに換算した上で、記憶部12のユーザデータベース121において、当該ユーザUに係る個人情報データD1と紐付けて記憶された運動量データD8の当該日付に係るデータに加算する。
【0084】
さらに、サーバ装置1においては、ステップS2において説明したようにユーザUにトレーニングメニューを提示するたびに、提示したトレーニングメニューの実施による運動量が集計される。
すなわち、ステップS2-7において、トレーニングメニュー音声データD13からステップS2-6において抽出したトレーニングメニューに対応した音声データを送信すると、サーバ装置1の制御部11は、運動量集計プログラムP2に従って、トレーニングメニューデータベース123に記憶された消費カロリーデータD12から、送信した音声データに係るトレーニングメニューの消費カロリーに係るデータを抽出し、抽出した消費カロリーの値を、記憶部12のユーザデータベース121において、音声データを送信した端末装置2を所持するユーザUに係る個人情報データD1と紐付けて記憶された運動量データD8の当該日付に係るデータに加算する。
【0085】
このようにして、ユーザデータベース121には、各ユーザUに係る個人情報データD1と紐付けて、ユーザUの各日付における歩行による消費カロリーに、列車内において実施したトレーニングによる消費カロリーを合算した合計の消費カロリーに係るデータである運動量データD8が、ユーザUが歩行し、又は列車内においてトレーニングを実施するたびに更新されつつ記憶されている。
【0086】
[4 ステップS4:追加トレーニングの実施]
ユーザUが、帰宅時においても、運動目標データD3として設定した一日当たりの目標運動量を達成できていない場合、サーバ装置1は、
図4に示すようにステップS4-1からステップS4-5の過程を経て、追加のトレーニングメニューの提供を行う。具体的には以下のとおりである。
【0087】
[(1) ステップS4-1:帰宅判定]
ステップS2-2において述べた通り、トレーニング支援アプリケーション221がダウンロードされた端末装置2においては、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従い、所定の間隔毎に、位置情報取得部26に、端末装置2の位置情報を取得させ、取得された端末装置2の位置情報に係るデータ(位置データD5)は、これが取得される度に、通信ネットワークNを介してサーバ装置1へと送信され、記憶部12のユーザデータベース121に、当該端末装置2のユーザUに係る個人情報データD1と対応付けた上で記憶されている。
また、サーバ装置1の記憶部12のユーザデータベース121には、ユーザUの自宅最寄駅に係るデータである自宅最寄駅データD2-1を含む、ユーザUの通勤・通学ルートに係るデータである通勤・通学ルートデータD2が記憶されている。
【0088】
そこで、サーバ装置1においては、制御部11が、追加トレーニングメニュー提供プログラムP3に従って、端末装置2から送信された位置データD5を通信部13によって受信する度に、路線データベース122に記憶された路線データD9に含まれる各駅の位置情報を参照の上、受信したユーザUの最新の位置データD5と、自宅最寄駅データD2-1に係るユーザUの自宅最寄駅に係る位置情報とを対比し、最新の位置データD5に係るユーザUの位置と、自宅最寄駅データD2-1に係るユーザUの自宅最寄駅の位置との間の距離が、所定の距離内となったか否かを判定する。
【0089】
制御部11は、最新の位置データD5に係るユーザUの位置と、自宅最寄駅データD2-1に係るユーザUの自宅最寄駅の位置との間の距離が、所定の距離内となった場合に、ユーザUが帰途に就いていると判定し、ステップS4-2へと進む。一方、これ以外の場合、制御部11は、次に位置データD5を受信した際に、再度上記の処理を実施することとなる。
【0090】
[(2) ステップS4-2:目標達成の判定]
ステップS4-1において、ユーザUが帰途に就いていると判定した場合、続いて、サーバ装置1の制御部11は、当該ユーザUが、運動目標データD3に係る一日当たりの運動量の目標を達成しているかにつき判定する。
【0091】
具体的には、制御部11は、追加トレーニングメニュー提供プログラムP3に従って、ユーザUの当該日付における、ステップS4-1において帰途に就いているものと判定された時点における運動量データD8と、ステップS1においてユーザUが入力した運動目標データD3とを対比する。
【0092】
対比の結果、運動量データD8に係る消費カロリーの値が、運動目標データD3に係る消費カロリーの値を上回っていた場合、運動目標データD3に係るユーザUの運動量の目標が達成されていることから、制御部11は、ステップS4に係る処理を終了する。
これに対して、対比の結果、運動量データD8に係る消費カロリーの値が、運動目標データD3に係る消費カロリーの値を下回っていた場合、運動目標データD3に係るユーザUの運動量の目標が達成されていないことから、ステップS4-3以降へと進むこととなる。
【0093】
[(3) ステップS4-3:乗車判定]
ステップS4-2において、運動量データD8に係る消費カロリーの値が、運動目標データD3に係る消費カロリーの値を下回っていた場合、続いて、サーバ装置1の制御部11は、ユーザUが、サービス対象路線に乗車しているかにつき判定する。
【0094】
具体的には、制御部11は、まず、当該ユーザUに係る最新の位置データD5と、記憶部12の路線データベース122に記憶された路線データD9とを対照し、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が、路線データD9に含まれるサービス対象路線の経路上であるか否かを判定する。
上記経路上であると判定した場合は、制御部11は、さらに、最新の位置データD5と、その直前の位置データD5とを対比して、端末装置2の移動の有無、移動速度及び移動方向を特定し、端末装置2が所定の速度以上で移動しており、かつ移動方向が通勤・通学ルートデータD2の自宅最寄駅データD2-1に係る駅へと向かう方向と一致している場合に、制御部11は、ユーザUが、サービス対象路線を走行している列車に乗車していると判定し、ステップS4-4へと進む。一方、これ以外の場合、制御部11は、次に位置データD5を受信した際に、再度上記の処理を実施することとなる。
【0095】
[(4) ステップS4-4:追加トレーニング実施希望の判定]
ステップS4-2において、運動量データD8に係る消費カロリーの値が、運動目標データD3に係る消費カロリーの値を下回っていた場合に、さらにステップS4-3において、ユーザUが、サービス対象路線に乗車していると判定した場合、サーバ装置1の制御部11は、追加トレーニングメニュー提供プログラムP3に従って、記憶部12の画面データベース125に記憶された、追加トレーニングの実施を促す所定の画面(追加トレーニング推奨画面)のデータである追加トレーニング実施推奨画面データD16を、当該画面を表示部24に表示させる旨の端末装置2への所定の指令を付して、通信部13から通信ネットワークNを介して、
図5に示すように端末装置2へと送信する。
追加トレーニング推奨画面は、ユーザUが当該日において運動目標データD3に係る目標運動量を達成できていない旨と、追加トレーニングの実施を推奨するメッセージと、ユーザUがトレーニングの実施を希望する場合に操作するソフトウェアボタンと、を含む画面である。
【0096】
ユーザUが、追加トレーニングの実施を希望し、追加トレーニング推奨画面に表示されたソフトウェアボタンを操作した場合、端末装置2の制御部11は、当該操作がなされた旨の情報(追加トレーニング実施希望データD18)を、通信部13から、通信ネットワークを介して、
図5に示すようにサーバ装置1へと送信する。追加トレーニング実施希望データD18を通信部13によって受信したサーバ装置1においては、制御部11が、ユーザUが追加トレーニングの実施を希望しているものと判定し、ステップS4-5へと進む。
【0097】
一方、追加トレーニング実施推奨画面データD16を端末装置2へと送信してから、所定の時間経過しても、通信部13によって追加トレーニング実施希望データD18を受信しなかった場合、サーバ装置1においては、制御部11が、ユーザUが追加トレーニングの実施を希望していないものと判定し、ステップS4に係る処理を終了する。
【0098】
[(5) ステップS4-5:追加トレーニングの実施]
ステップS4-4において、サーバ装置1が通信部13によって追加トレーニング実施希望データD18を受信し、制御部11が、ユーザUが追加トレーニングの実施を希望しているものと判定すると、サーバ装置1においては、ステップS2-3において説明したのと同様に乗車区間の特定がなされ、以下、自宅最寄駅データD2-1に係る駅を、ステップS2-8における降車駅データD4-2に係る駅として扱って、ステップS2-3からS2-8において説明したのと同様の過程を経てトレーニングが実施され、トレーニングを実施した区間の終了駅と自宅最寄駅データD2-1に係る駅とが一致した時点で、トレーニング終了通知を行い、トレーニングを終了することとなる。
【0099】
[第3 効果の説明]
本実施形態に係るトレーニング支援システム100によれば、サーバ装置1において、端末装置2を所持するユーザUがサービス対象路線に乗車していると判定された場合に、トレーニングメニュー音声データD13が端末装置2へと送信されることから、ユーザUが、端末装置2を操作してサービス対象路線に乗車した旨をサーバ装置1に通知せずとも、ユーザUが列車に乗車している適切なタイミングで、トレーニングメニューを提供することができる。
【0100】
また、サーバ装置1において、トレーニングメニューデータD11から、混雑状況データD10に従ってユーザUが乗車する車両の混雑状況に応じたトレーニングメニューが抽出され、当該メニューに係るデータがトレーニングメニュー音声データD13から抽出されて端末装置2へと送信されることから、ユーザUに、列車の混雑状況に応じて適切なトレーニングメニューを提供することができる。
【0101】
また、サーバ装置1において、トレーニングメニューデータD11から、乗車姿勢データD6に従ってユーザUの乗車姿勢に応じたトレーニングメニューが抽出され、当該メニューに係るデータがトレーニングメニュー音声データD13から抽出されて端末装置2へと送信されることから、ユーザUに、列車内における乗車姿勢に応じて適切なトレーニングメニューを提供することができる。
【0102】
また、トレーニングメニュー音声データD13が、列車の駅間の区間毎にサーバ装置1から端末装置2へと送信されることから、区間毎に、列車の混雑状況やユーザの乗車姿勢等の変化に対応し、適切なトレーニングメニューを提供することができる。
【0103】
また、トレーニングメニューデータD11が各トレーニングメニューにつき実施可能な駅間の区間の所要時間に係るデータを含み、路線データD9が各区間の所要時間に係るデータを含み、制御部11が各区間において所要時間内で実施可能なトレーニングメニューを抽出することで、各トレーニングメニューを区間毎に終了させることができる。
【0104】
また、サーバ装置1が、ユーザUの一日あたりの運動量の目標に係るデータである運動目標データD3と、ユーザUの実際の運動量を集計したデータである運動量データD8と、を用いて運動目標データD3に係る目標の達成の有無を判定し、運動目標データD3に係る目標が達成されていない場合に、トレーニングメニュー音声データD13を送信して、追加のトレーニングメニューを提供することで、ユーザUが運動量に係る目標を達成することを支援することも可能となる。
【0105】
[第4 変形例]
乗車判定は、ステップS2-2において説明したように、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置並びに端末装置2の移動の有無、移動速度及び移動方向を用いて行うことが、判定精度の観点から好ましいが、これに限定されない。
例えば、判定精度が低下することから好ましくはないものの、これら全ての情報を用いることなく、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の経路上である場合において、端末装置2が所定の速度以上で移動している場合や、端末装置2の最新の位置データD5に係る位置が乗車駅データD4-1に係る乗車駅と降車駅データD4-2に係る降車駅との間の経路上である場合において、端末装置2の移動方向が乗車駅データD4-1に係る乗車駅から降車駅データD4-2に係る降車駅へと向かう方向と一致している場合に、ユーザUがサービス対象路線の乗車経路データD4に係る経路上の列車に乗車していると判定するといった判定方法を採ることも可能である。
【0106】
トレーニングメニューの提示は、ステップS2-7において説明したように、音声によることが好ましいが、これに限られず、例えば、トレーニングメニューを提示する画面を、端末装置2の表示部24に表示させることにより行ってもよい。
この場合、サーバ装置1の記憶部12には、音声データベース124のトレーニングメニュー音声データD13に代えて、画面データベース125に、各トレーニングメニューの実施につきガイドする画面のデータであるトレーニングメニュー画面データを記憶しておき、サーバ装置1の制御部11は、このようなデータから、ステップS2-6において抽出されたトレーニングメニューに対応したデータを抽出する。
【0107】
その上で、制御部11は、抽出したデータを、当該データに係る画面を表示部24に表示させる旨の端末装置2への所定の指令を付して、通信部13から通信ネットワークNを介して端末装置2へと送信し、通信部23によって当該データを受信した端末装置2において、制御部21が、トレーニング支援アプリケーション221に従って、受信したデータに係る画面を、表示部24によって表示させることとなる。すなわち、この場合、制御部11は、トレーニングメニュー画面データという画面のデータに含む形で、トレーニングメニューデータD11を端末装置2へと送信することとなる。
【0108】
なお、この場合、トレーニングメニューの実施時間につき、音声の場合のような予め決まった再生時間は存在しないことから、ステップS2-8において、端末装置2の制御部21は、例えば、表示からトレーニングメニュー毎に定められた所定の時間後に、トレーニングメニュー終了通知データD17をサーバ装置1へと送信するようにすればよい。
【0109】
また、上記の音声によるトレーニングメニューの提示と、画面によるトレーニングメニューの提示とを併用し、端末装置2の音声再生部27から再生される音声と、表示部24に表示される画面とを併用して、ユーザUにトレーニングメニューを提示するようにしてもよい。
【0110】
なお、画面により、又は画面と音声の併用により行ってもよい点は、ステップS2-9において説明したトレーニング終了通知についても同様である。
【0111】
また、上記においては、ステップS2-6からS2-7において、ユーザUの乗車区間の所要時間で実施可能なトレーニングメニューを区間毎に抽出の上、提供する場合につき説明したが、これに限られず、例えば、一つ一つのトレーニングメニューに係る音声を数十秒程度の短いものとした上で、記憶部12のユーザデータベース121に記憶された端末装置2の最新の位置データD5に係る位置と、路線データベース122に記憶された路線データD9に含まれる次の駅の位置との距離が所定の距離以内となるまで、同一の音声を繰り返し流すようにしてもよい。
【0112】
また、上記においては、ステップS4-2において、運動量に係る目標達成の判定を、運動量データD8に係る消費カロリーの値と、運動目標データD3に係る消費カロリーの値との対比によって行う場合につき説明したが、これに限られない。
例えば、運動目標データD3を、消費カロリーではなく運動の時間や回数で設定するようにして、運動量に係る目標達成の判定も、運動の時間や回数から行うようにしてもよい。また、運動目標データD3を、例えば、腕、足等の身体の部位ごとに設定の上、部位ごとに運動量の目標達成の有無を判定し、目標を達成していないと判定された部位に対するトレーニングメニューを提供するようにしてもよい。
【0113】
また、上記においては、運動目標データD3に係る目標をユーザUが達成できていない場合に、ステップS4-5において、ステップS2と同様にしてトレーニングメニューを提供する例について説明したが、これに代えて、サーバ装置1からの指令に応じて、端末装置2において、例えば、表示部24に表示される画面によって、自宅最寄駅データD2-1に係る駅の手前の駅で降車の上、徒歩で帰宅するというトレーニングメニューを提示するようにしてもよい。
この際には、運動目標データD3に対して不足するカロリー分を消費できる歩行距離となるように、降車駅を指示するようにしてもよい。
【0114】
また、上記においては、ステップS2-3でユーザU自身が、トレーニングを実施する乗車経路を指定する場合につき説明したが、例えば定期券に係る乗車経路と連動させ、予め設定された乗車駅と降車駅との間で、自動的にステップS2-2からS2-9に係る処理が実行されるようにしてもよい。
【0115】
また、上記においては、ステップS4-1で、自宅最寄駅データD2-1に係る駅との位置関係を基に帰宅判定を行う場合につき説明したが、これに限られず、例えば所定の時刻を過ぎた場合にユーザUが帰途に就いていると判定するような形で、時刻を基に帰宅判定を行うようにしてもよい。
【0116】
また、ユーザUがトレーニング支援システム100使用中に、端末装置2の表示部24に表示される画面には、例えば、提携企業、提携スポーツジム等の広告や、提携スポーツジム、駅構内の店舗、駅に近隣した店舗等のクーポンが表示されるようにしてもよい。
【0117】
また、トレーニングメニューデータD11の内容は、必ずしも全てのユーザUに対して一律なものであることを要しない。
例えば、一部のメニューを有料とし、これを支払ったユーザUに対してのみ提供するようにしてもよい。
また、例えば、列車の車両内に備えられたビーコン等を用いて、ユーザUが乗車している路線を特定し、路線ごとに提供するメニューを変えてもよい。例えば、比較的混雑することの多い路線については、混雑時向けの動きの少ないメニューの数を増やし、反対に比較的空いていることの多い路線については、閑散時向けの動きの多いメニューを増やすといった形で、提供するメニューの種類を変えることができる。
【0118】
また、ユーザUが運動目標データD3として設定した消費カロリーの値と、これを達成するために必要となるトレーニングメニューとその実施回数等のデータを、端末装置2の表示部24に表示するようにしてもよい。
さらに、ユーザUが実施したトレーニングメニューの種類と、それを実施した区間、実施した時間等のデータが、サーバ装置1の記憶部12又は端末装置2の記憶部22に自動的に記録され、ユーザUが事後的にこれを呼び出して、過去に実施したトレーニングの内容を確認できるようにしてもよい。
【0119】
また、上記においては、ステップS2-1でユーザUが経路情報を入力した後に、乗車判定がなされ、トレーニングメニューの提供の処理が開始される場合につき説明したが、ユーザUが列車に乗車すると、サーバ装置1において自動的に乗車判定がなされ、プッシュ通知等によって、ユーザUに対してトレーニングの実施を促すようにしてもよい。
【0120】
また、例えば、サーバ装置1において、各列車内で本システムに従ってトレーニングを実施している人数や、実施しているメニューの種類等のデータを集計の上、これを端末装置2へと送信し、端末装置2においてこれを表示部24に表示することで、ユーザUが自らが乗車している列車内でのシステムの使用状況を把握できるようにしてもよい。
【0121】
また、例えば、事前に実施したアンケートの結果や、インターネットの閲覧記録等のデータを基にして、ユーザUをその趣味嗜好に従って分類し、その分類に従って、提供されるトレーニングメニューを変えてもよい。
また、同じ列車であっても車両ごとに混雑度が区々となる場合が多いことから、上記のように例えば各車両に備えられたビーコンと重量センサ等を用いて、ユーザUが乗車している車両番号と、各車両の実際の混雑度を特定の上で、当該情報をサーバ装置1から端末装置2へと送信し、端末装置2においてユーザUの趣味嗜好に一致したトレーニングメニューを実施可能な閑散車両の車両番号を通知し、閑散車両への移動を促すようにしてもよい。
また、ユーザUの趣味嗜好についてのデータを取得していない場合においても、例えば空いていて、実施可能なメニューが多い車両を通知することで、閑散車両への移動を促すようにしてもよい。
【0122】
また、本システム使用中の端末装置2の表示部24に、ユーザUの位置データD5に合わせて、近隣に存在する店舗等の広告が表示されるようにしてもよい。
また、例えば、ユーザUが実施しているトレーニングメニューに合わせて、所定のヘルスケア関連の読み物コンテンツが配信されるようにしてもよいし、端末装置2に記憶された又は所定のクラウドサーバ等に記憶された所定の音楽ファイルを読み込んで、音声再生部27を用いて再生することで、ユーザUがシステムを使用している際に、これをBGMとして使用することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
100 トレーニング支援システム
1 サーバ装置
11 制御部(トレーニングメニュー抽出手段、トレーニングメニュー送信制御手段、乗車判定手段、運動量目標達成判定手段、追加トレーニングメニュー送信制御手段)
12 記憶部
P1 トレーニングメニュー提供プログラム(トレーニング支援プログラム)
P2 運動量集計プログラム(トレーニング支援プログラム)
P3 追加トレーニングメニュー提供プログラム(トレーニング支援プログラム)
13 通信部(送信手段、位置情報取得手段、運動目標データ取得手段)
2 端末装置
21 制御部(トレーニングメニュー提示制御手段)
22 記憶部
221 トレーニング支援アプリケーション(トレーニング支援プログラム)
23 通信部(トレーニングメニュー受信手段)
24 表示部(提示手段)
25 操作部
26 位置情報取得部
27 音声再生部(提示手段)
28 歩数情報取得部
N 通信ネットワーク(通信回線)
D3 運動目標データ
D5 位置データ(位置情報)
D6 乗車姿勢データ
D9 路線データ
D10 混雑状況データ
D11 トレーニングメニューデータ