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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 328
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019226799
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021096605
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 敬二
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160050(JP,A)
【文献】特開2019-074906(JP,A)
【文献】特開2010-149465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が備えるOSの上で動作するアプリケーションのプログラムであって、
前記情報処理装置のコンピュータを
ユーザから印刷要求を受付ける第一の受付手段と、
前記印刷要求に応じて表示された、前記OSの標準の印刷設定ダイアログで指定された印刷設定情報を取得する取得手段と、
印刷対象データと前記印刷設定情報とに基づいて、前記印刷設定ダイアログがプレビューを表示するためのプレビューデータを生成する第一の生成手段と、
前記印刷設定ダイアログに前記プレビューデータを返却する返却手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
情報処理装置のコンピュータを、前記印刷設定ダイアログを介して受け付けた印刷指示に応じて、前記印刷対象データに基づいて印刷用データを生成する第二の生成手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
情報処理装置のコンピュータを、前記印刷設定情報に含まれる印刷設定で印刷が続行可能であるか否かを判断する判断手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記判断手段は、前記印刷設定情報に含まれるプリンタドライバを示す情報に基づいて印刷が続行可能であるか否かを判断することを特徴とする、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
情報処理装置のコンピュータを、
前記印刷要求に対応する印刷設定をユーザから受け付ける第二の受付手段としてさらに機能させることを特徴とする請求項3または4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記判断手段は、前記取得手段で取得した前記印刷設定情報と、前記第二の受付手段で受け付けた印刷設定との間に禁則関係がない場合に印刷が続行可能であると判断することを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
印刷が続行不可能であると前記判断手段が判断した場合に、
前記第一の生成手段は印刷が続行不可能であることを示すエラーメッセージを含む前記プレビューデータを生成することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記判断手段は、印刷が続行不可能であると判断した場合に、印刷用データの生成要求に対し、エラーを返却することを特徴とする、請求項3から7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第一の生成手段は、印刷可能領域とそれ以外の領域とを識別できるような加工を施した前記プレビューデータを生成することを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第一の生成手段は、前記取得手段が取得した前記印刷設定情報に基づいて、印刷装置で実行される印刷処理に対応する加工を施した前記プレビューデータを生成することを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
情報処理装置のコンピュータを、前記印刷設定情報の変更があるか確認する確認手段としてさらに機能させ、
前記取得手段は、前記確認手段が前記印刷設定情報の変更があることを確認した場合に、前記印刷設定ダイアログから印刷設定情報を再取得することを特徴とする、請求項1から10の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
OS上で動作するアプリケーションのプログラムを備える情報処理装置であって、前記プログラムを実行することによって、
ーザから印刷要求を受付ける受付手段と
記印刷要求に応じて表示された前記OSの標準の印刷設定ダイアログで指定された印刷設定情報を取得する第一の取得手段と
刷対象データと前記印刷設定情報とに基づいて、前記印刷設定ダイアログがプレビューを表示するためのプレビューデータを生成する第一の生成手段と
記印刷設定ダイアログに前記プレビューデータを返却する返却手段と、
として機能することを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
OS上で動作するアプリケーションのプログラムを実行する情報処理装置によって実行される方法であって、
ユーザから印刷要求を受付ける受付工程と、
前記印刷要求に応じて表示された前記OSの標準の印刷設定ダイアログで指定された印刷設定情報を取得する第一の取得工程と、
印刷対象データと前記印刷設定情報とに基づいて、前記印刷設定ダイアログがプレビューを表示するためのプレビューデータを生成する第一の生成工程と、
前記印刷設定ダイアログに前記プレビューデータを返却する返却工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置、および方法に関する。特に、印刷機能を提供するアプリケーションに関するプログラム、情報処理装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置の制御用ソフトウェアとしてホストコンピュータにインストールされたプリンタドライバを利用し、ホストコンピュータに接続された印刷装置に対して印刷を行う構成が一般に知られる。ホストコンピュータには、基本ソフトウェアであるオペレーティングシステム(OS)がインストールされており、プリンタドライバはそのOSの規定する仕様に従って構成され、OSから呼び出されて動作する。印刷装置を提供するベンダは、OSの仕様に適合するプリンタドライバを提供することにより、そのOSを用いてプリンタに印刷を指示する手段を提供することができる。
【0003】
印刷機能を有するアプリケーションは、プリンタドライバに対して印刷要求を発行することで、印刷装置に対する印刷を実現することができる。OSとしてMicrosoft(登録商標)のWindows(登録商標)を利用する場合、アプリケーションのアーキテクチャとしてWin32やWPFと呼ばれるアーキテクチャが利用される。Win32やWPFでは、印刷要求の発行のための手段として複数の方法が用意されている。例えば、Win32アプリケーションは、印刷要求を発行する際に、OSの提供する標準的な印刷用のダイアログを表示しても良いし、表示しなくても良い。また、Win32アプリケーションは、印刷設定を変更するためにプリンタドライバが提供するGUI(Graphical User Interface)を利用しても良いし、利用せずに直接印刷設定を変更しても良い。
【0004】
近年、Windows(登録商標)において、UWP(Universal Windows Platform)アプリケーションと呼ばれる、新しいアプリケーションアーキテクチャが登場した。UWPアプリケーションからプリンタドライバに対して印刷要求を発行すると、MPD(Modern Print Dialog)というOS標準の印刷用ダイアログが表示される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-194766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、UWPアプリケーションでは、印刷要求時にMPDが表示されるため、アプリケーションの種類によらず、ユーザは統一的な操作感で印刷指示を行うことができる。一方、上記の印刷用ダイアログにおいて、印刷設定をより明確に反映したプレビュー表示が求められる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、OS標準の印刷用ダイアログに、印刷設定をより明確に反映したプレビュー表示を行わせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のような課題を解決するため、本発明のプログラムの一態様は、情報処理装置が備えるOS上で動作するアプリケーションのプログラムであって、前記情報処理装置のコンピュータをユーザから印刷要求を受付ける第一の受付手段と、前記印刷要求に応じて表示された、前記OS標準の印刷設定ダイアログで指定された印刷設定情報を取得する取得手段と、印刷対象データと前記印刷設定情報とに基づいて、前記印刷設定ダイアログがプレビューを表示するためのプレビューデータを生成する第一の生成手段と、前記印刷設定ダイアログに前記プレビューデータを返却する返却手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、OS標準の印刷用ダイアログに、印刷設定をより明確に反映したプレビュー表示を行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図。
図2】印刷システムのブロック構成図。
図3】印刷指示を行う場合の画面を説明するための模式図。
図4】UWPアプリケーションの画面構成例。
図5】UWPアプリケーションの印刷処理初期化処理のフローチャート。
図6】写真印刷モードの場合に表示されるMPDの印刷設定画面の例。
図7】ディスクレーベル印刷モードの場合に表示されるMPDの印刷設定画面の例。
図8】UWPアプリケーションのパジネート処理のフローチャート。
図9】UWPアプリケーションのプレビュー生成処理のフローチャート。
図10】非サポートプリンタが選択されたときのMPDの印刷設定画面の例。
図11】UWPアプリケーションの印刷データ生成処理のフローチャート。
図12】UWPアプリケーションの設定変更処理のフローチャート。
図13図2のブロック間の動作の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0012】
<実施形態1>
(印刷システムのハードウェア構成)
図1は、印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図である。本図において、ホストコンピュータ101は、情報処理装置の一例であり、入力インタフェース110、CPU111、ROM112、RAM113、外部記憶装置114、出力インタフェース115、及び入出力インタフェース116を有する。また、入力インタフェース110には、キーボード118、ポインティングデバイス117などの入力デバイスが接続され、出力インタフェース115には、表示部119などの表示デバイスが接続されている。
【0013】
ROM112には、後述したUWP(Universal Windows Platform)アプリケーションの印刷初期化のための初期化プログラムが格納される。外部記憶装置114には、アプリケーションプログラム群、オペレーティングシステム(OS)、プリンタドライバ、その他の各種のデータが格納されている。RAM113は、外部記憶装置114に格納された各種プログラムをCPU111が実行する際のワークメモリ等として使用される。
【0014】
なお、本実施形態では、CPU111が、ROM112に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、ホストコンピュータ101における後述の機能及び後述するフローチャートに係る処理が実現される。プリンタなどの印刷装置102は、入出力インタフェース116を介して、ホストコンピュータ101と接続されている。本実施形態では、ホストコンピュータ101と印刷装置102が分かれて構成されるものとして説明を行うが、これらが一つの情報処理装置として構成されていてもよい。
【0015】
(印刷システムのブロック構成)
図2は、印刷システムのブロック構成図である。ここでは、OS202としてMicrosoft(登録商標)のWindows(登録商標)8以降のOSを搭載したホストコンピュータ101を用い、V4プリンタドライバと呼ばれるアーキテクチャで動作する印刷システムを前提として説明する。
【0016】
図2に示すCPU111が、ROM112に格納されたプログラムを実行することによって、UWPアプリケーション201、OS202、WSDA205、およびプリンタドライバ206として機能する。
【0017】
UWPアプリケーション201は、印刷機能を有する印刷アプリケーションであり、画像、テキストなどを含む印刷対象データの閲覧、編集、移動、および削除の少なくとも何れかの操作や、ユーザの印刷要求を受付けることが可能なアプリケーションである。OS202は、MPD(Modern Print Dialog)203およびプリントマネージャ204を含む。MPD203は、印刷結果を画面上で確認できる印刷プレビュー機能と、基本的な印刷設定をユーザが選択可能な機能とを有する、アプリケーションによらず共通の印刷設定画面(印刷設定ダイアログ)である。なお、図2の例では、MPD203がOS202上で動作する例について記載しているが、これに限らず、MPD203がOS202の外部のアプリケーションとして存在してもよい。この場合でもMPD203は、OS標準の印刷用ダイアログであり、印刷の際にOS202により起動される。また、UWPアプリケーション201は図2において外部アプリケーションとして示しているが、OS上で動作してもよい。プリントマネージャ204は、OS202の機能であり、印刷設定を変更、確認するためのUWPアプリケーション201、MPD203、およびWSDA205から情報を取得し、プリンタドライバ206を介して印刷装置102に印刷を指示する。WSDA(Windows Store Device Application)205は印刷装置を提供するベンダ(以後、プリンタベンダ)が提供するプリンタドライバ206の機能を拡張するためのアプリケーションである。
【0018】
ここで、図13を参照して、本実施形態に係るUWPアプリケーション201、MPD203、プリントマネージャ204、およびWSDA205が実行する一連の印刷処理の一例について説明する。
【0019】
まず、S1301で、ユーザはUWPアプリケーション201の起動を指示する。起動を指示されたUWPアプリケーション201は、S1302で表示部119に画面を表示する。図3(A)に、印刷アプリケーションであるUWPアプリケーション201が提供する画面301の一例を示す。S1303において、ユーザからの印刷要求をUWPアプリケーション201が受付けると、S1304でプリントマネージャ204に通知を行う。なお、ブロック間の通信またはユーザから各ブロックへの指示は、各ブロック同士をつなぐ矢印で示しているが、OS202を介して行われてもよい。
【0020】
UWPアプリケーション201がユーザから印刷要求を受付けると、OS202の機能であるプリントマネージャ204により、S1305でMPD(印刷設定ダイアログ)203が起動される。また、プリントマネージャ204は、S1306で、UWPアプリケーション201に印刷設定情報を送信し、プレビューデータの生成要求を送信する。続いて、UWPアプリケーション201は、S1307で、プリントマネージャ204から取得した印刷設定情報と、UWPアプリケーションのコンテンツ(印刷対象データ)の少なくとも一部とに基づいてプレビューデータを生成する。続いて、UWPアプリケーション201はS1308でMPD203にプレビューデータを渡してプレビューデータの描画指示を行う。プレビューデータの生成処理については図9を参照して後述する。S1309で、MPD203は、プレビューデータを用いて図3(B)に示すMPDが提供する印刷設定画面302の表示を行う。この印刷設定画面302において、ユーザは、印刷に使用するプリンタドライバ206の選択を行うことができる。さらに、印刷設定画面302において、基本的な印刷設定を指示することもできる。
【0021】
さらに、S1310において、印刷設定画面302上でのユーザからの指示を受け、S1311で通知を受信したプリントマネージャ204は、S1312でWSDA205に起動指示を行う。起動指示を受けたWSDA205は、S1313において、詳細な印刷設定をユーザが選択可能な画面を起動する。具体的には、図3(B)の印刷設定画面302において「その他の設定」ボタン303が指定されると、図3(C)に示すWSDA205が提供する詳細設定画面304が表示される。この詳細設定画面304でユーザは更に詳細な印刷設定を指示することができる。なお、WSDA205が提供する詳細設定画面304内に表示されている原稿画像のように見える画像は、WSDAが元々備えているサンプル画像である。よって、UWPアプリケーションにより生成された描画データに基づくプレビュー画像ではなく、描画データが変わっても変化しないサンプル画像である。また、WSDA205は、MPDが提供する印刷設定画面302上でユーザがボタン303を指示した場合にのみ起動されるものであって、印刷設定時に必ず起動されるわけではない。
【0022】
続いて、S1314でユーザ操作によって詳細設定の変更指示を受信したWSDA205は、S1315に変更内容を通知する。すると、プリントマネージャ204は、S1316で変更した印刷設定情報を格納する。ここで、印刷設定を示す情報は、OSの定義する書式に基づきXML形式で記述されたものであり、PrintTicketと呼ばれるデータ内に含まれる。WSDA205はPrintTicketを参照及び変更することができるが、描画データ(紙面上に印刷を形成する元となる画像やテキスト情報等)を参照することはできない。なお、図13には図示されていないが、PrintTicketは、選択されたプリンタドライバ206によって生成される。また、プリンタドライバ206は、設定可能な機能と選択項目をOSの定義する書式に基づきXML形式で記述したPrintCapabilitiesを生成する機能も有する。WSDA205は、このPrintCapabilitiesに記述された情報に基づきユーザインタフェースを提供する。
【0023】
続いて、プリントマネージャ204は、S1317で、更新した印刷設定を示す情報をUWPアプリケーション201に通知する。続いて、印刷設定を再取得したUWPアプリケーション201は、S1318~S1319で、S1307~S1308と同様にプレビューデータを生成し、MPD203に通知する。続いて、S1320で、MPD203は取得したプレビューデータに基づいて表示している画面を更新する。なお、印刷設定画面302において印刷設定が変更された場合も同様に、変更された設定がプリントマネージャ204に通知される。続いて、S1306~S1308と同様の処理によってUWPアプリケーション201はプレビューデータを生成し、S1309と同様の処理によって、MPD203に表示される画面を更新してもよい。
【0024】
図3で示した印刷設定の後に、OS202のMPD203が提供する印刷設定画面302において、ユーザによって「印刷」ボタンが押下される(S1321)ものとする。続いて、MPD203は「印刷」ボタンの押下を印刷指示として受付け、MPD203は「印刷」ボタンが押下されたことをプリントマネージャ204に通知する(S1322)。通知を受けたプリントマネージャ204は、S1323において、UWPアプリケーション201に印刷用データ(文書データ)の生成を要求する。指示を受けたUWPアプリケーション201は、S1324で印刷用データを生成し、S1325でプリントマネージャ204に生成した印刷用データを送信する。プリントマネージャ204は、UWPアプリケーション201が生成した印刷用データと、前述のPrintTicketを元に、S1326で印刷データを生成する。この印刷コマンドは、XML Paper Specification(以後、XPS)という書式で記述されたXPS文書であってもよい。
【0025】
OS202は、プリントマネージャ204が生成したXPS文書をスプールファイルとして格納する。プリンタドライバ206は、スプールファイルとして格納されたXPS文書をOS202から受け取り、XPS文書に含まれる印刷設定情報に従い、XPS文書を印刷装置102が解釈可能な印刷コマンドに変換し出力する。以上が、UWPアプリケーション201からの印刷の基本処理である。
【0026】
(UWPアプリケーション201の画面構成の例)
図4は、画像を印刷する機能を有するUWPアプリケーション201の画面構成例を示す図である。UWPアプリケーション201の画面は、左側のメニュー画面401と、右側のメイン画面402により構成される。メニュー画面401には、選択ボタン403、編集ボタン404、印刷ボタン405が含まれる。ユーザにより選択ボタン403が押下されると、メイン画面402に、外部記憶装置114に保存されている画像の一覧が表示される。ユーザは、この画面上で、印刷したい任意数の画像を選択することができる。ここでは、2つの画像がユーザにより選択されたものとする。ユーザにより編集ボタン404が押下されると、メイン画面402に、選択した画像と、それを編集するための画面が表示される。ユーザは、この画面上で、選択した画像に対してトリミングや色味調整等の加工を施したり、任意のテキストを追加したりすることができる。ユーザにより、印刷ボタン405が押下されると、メイン画面402に、印刷を実行するための画面が表示される。図4のメイン画面402には、この印刷画面が表示されている。印刷画面には、印刷対象である、ユーザが選択し編集した画像406及び画像407が表示される。写真印刷ボタン408は、印刷対象を写真として印刷するためのボタンである。文書印刷ボタン409は、印刷対象を文書として印刷するためのボタンである。ディスクレーベル印刷ボタン410は、印刷対象を印刷可能なディスク上に印刷するためのボタンである。
【0027】
(UWPアプリケーションの印刷初期化処理)
図5は、本印刷システムにおけるUWPアプリケーション201の印刷初期化処理のうち主要な処理フローを示した図である。以降、UWPアプリケーション201を、各処理の主体として説明することもあるが、実際には、対応するプログラムをCPU111が実行することで、対応する機能が実現されることになる。なお、全ての処理は必ずしも一つのプロセス上で逐次的に実行されるものではなく、一度OS側に処理が移り、再度OSから呼び出されるようなケースもあり得る。あくまでUWPアプリケーション201の主要な処理を、便宜的にわかりやすく示したフローである。
【0028】
図4の写真印刷ボタン408、文書印刷ボタン409、ディスクレーベル印刷ボタン410のいずれかがユーザにより押下されると、UWPアプリケーションは図5の印刷初期化処理を開始する。まず、UWPアプリケーション201は、印刷用イベントハンドラをプリントマネージャ204に登録する(S501)。これにより、プリントマネージャ204は、MPD203の画面表示や、プリンタドライバ206への印刷処理を実行するために必要な特定の事象(イベント)が発生した際に、UWPアプリケーション201の印刷用イベントハンドラの処理を呼び出す。印刷用イベントハンドラには、プレビューデータ生成処理、パジネート処理、印刷用データ生成処理の3つがある。UWPアプリケーション201のそれぞれのイベントハンドラ内の処理の詳細は後述する。次に、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204に対し、印刷用UIの表示を指示する(S502)。次に、UWPアプリケーション201は、現在の印刷モードを判定する(S503)。
【0029】
ユーザにより写真印刷ボタン408が押下された場合、UWPアプリケーション201は、印刷モードを写真印刷モードと判断し(S503で「写真撮影」)、S504に進む。本初期化処理において、UWPアプリケーション201は、MPD203に表示する印刷設定の種類を指定することができる。写真印刷モードでは、UWPアプリケーション201は、表示する印刷設定として、用紙サイズ、印刷の向き、用紙の種類、フチなし印刷、印刷部数、カラーモードを指定する(S504)。これにより、MPD203には、写真印刷に必要となる印刷設定のみが表示される事となり、ユーザが不適切な印刷設定を指定することを軽減でき、利便性が向上する。また、本初期化処理において、UWPアプリケーション201は、各印刷設定のデフォルトの選択値を指定することができる。写真印刷モードでは、UWPアプリケーション201は、用紙サイズのデフォルトの印刷設定値として、4x6を指定し(S505)、用紙の種類のデフォルトの印刷設定値として、写真用紙を指定する(S506)。このように、写真印刷で一般的に利用される設定値を予め指定しておくことで、ユーザが印刷設定を正しく指定しなかった場合の失敗印刷を軽減する事ができ、利便性が向上する。最後に、UWPアプリケーション201は、MPD上で印刷設定が変更された時に呼び出される設定変更イベントハンドラを登録する(S512)。UWPアプリケーション201の設定変更イベントハンドラの処理は後述する。以上が、写真印刷モードにおける、UWPアプリケーションの印刷初期化処理である。
【0030】
図6は、写真印刷モードの場合に表示されるMPD203の印刷設定画面の一例を示す図である。印刷設定画面601には、印刷するプリンタを指定するプリンタ選択部602と、ユーザが印刷設定を指定可能な印刷設定部603とが表示される。印刷設定部603に表示される項目は、UWPアプリケーション201がS504で指定した印刷設定である。また、印刷設定画面601の起動時の印刷設定の初期値として、S505、S506で指定した選択値が選択されている。
【0031】
図5のフローの説明に戻る。ユーザにより文書印刷ボタン409が押下された場合(S503で「文書印刷」)、UWPアプリケーション201は、印刷モードを文書印刷モードと判断し、S507に進む。文書印刷モードでは、UWPアプリケーション201は、表示する印刷設定として、用紙サイズ、印刷の向き、両面印刷、シート毎のページ数、印刷部数、カラーモードを指定する(S507)。次に、UWPアプリケーション201は、用紙サイズのデフォルトの印刷設定値として、レターを指定し(S508)、用紙の種類のデフォルトの印刷設定値として、普通紙を指定する(S509)。このように、写真印刷同様、文書印刷で一般的に利用される印刷設定、及び初期値を指定しておくことで、ユーザの失敗印刷を軽減する事ができ、利便性が向上する。最後に、UWPアプリケーション201は、写真印刷モードの時と同様にS512の処理を実行する。以上が、文書印刷モードにおける、UWPアプリケーションの印刷初期化処理である。
【0032】
ユーザによりディスクレーベル印刷ボタン410が押下された場合(S503で「ディスクレーベル印刷」)、UWPアプリケーション201は、印刷モードをディスクレーベル印刷モードと判断し、S510に進む。ディスクレーベル印刷モードでは、UWPアプリケーション201は、表示する印刷設定として、用紙サイズ、用紙の種類を指定する(S510)。ディスクレーベル印刷で指定すべき用紙サイズや用紙の種類は、プリンタベンダが独自に定義するものであり、UWPアプリケーション201は、このような印刷設定値を、本初期化処理内で指定することはできない。従って、ディスクレーベル印刷モードでは、UWPアプリケーション201は、用紙サイズや用紙の種類の初期値を指定する事無く、S512の処理を実行し、処理を終了する。
【0033】
図7は、ディスクレーベル印刷モードの場合に表示されるMPD203の印刷設定画面の一例を示す図である。印刷設定画面701の印刷設定部703に表示される項目は、UWPアプリケーション201がS510で指定した印刷設定である。
【0034】
上述の処理により、MPD203が表示する印刷設定画面には、ユーザがUWPアプリケーション201で指定した印刷目的に必要な印刷設定のみが表示されると共に、好適な印刷設定の初期値が設定される。これにより、ユーザが不適切な印刷設定を変更する事を軽減することができ、ユーザビリティが向上する。なお、図5で説明した3つの印刷モードや、それぞれの印刷モードが選択されたときに表示する印刷設定やその初期値は一例であって、これに限定されるものではない。
【0035】
<UWPアプリケーションのパジネート処理>
図8は、UWPアプリケーション201がS501で登録したイベントハンドラのうちの、パジネート処理の内容を示すフローチャートである。以降、UWPアプリケーション201を、各処理の主体として説明することもあるが、実際には、対応するプログラムをCPU111が実行することで、対応する機能が実現されることになる。
【0036】
このパジネート処理は、MPD203上でユーザが印刷設定を変更した場合等にプリントマネージャ204から呼び出される。MPD上で指定されている印刷設定は、プリントマネージャ204からUWPアプリケーション201に渡される。まず、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204から渡される、用紙サイズ、及び印刷可能領域をRAM113に保存する(S801)。用紙サイズは、MPD203上でユーザにより選択されたもので、Letterや4x6等の設定値が存在する。印刷可能領域は、用紙サイズの中で、印刷装置102が印刷可能な領域の原点、及びそのサイズを示す情報である。この情報は、MPD203上でユーザにより選択された印刷設定情報を元に、プリントマネージャ204が、プリンタドライバ206に問い合わせることで返却されるPrintCapabilitiesに含まれる。アプリケーションは、このPrintCapabilitiesから得た印刷可能領域に収まるように描画データを形成することで、印刷装置が変更されても、それぞれの印刷装置の所望する印刷可能領域内に収まる最適な印刷を実現することができる。また、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204から渡されたその他の印刷設定をRAM113に保存する(S802)。
【0037】
次に、UWPアプリケーション201は、印刷可能領域が規定のサイズか否かを判断する(S803)。規定のサイズであった場合、UWPアプリケーション201は、現在、MPD203で選択されているドライバがサポートドライバである旨をRAM113に保存する(S804)。規定のサイズでは無かった場合、UWPアプリケーション201は、現在、MPD203で選択されているドライバがサポートドライバでない旨をRAM113に保存する(S805)。前述の通り、印刷可能領域は、印刷装置102の種類により異なるため、この値が特定の値か否かによって、印刷装置102が特定の印刷装置であるか否か、例えばUWPアプリケーション201がサポートする対象か否かを判断することできる。UWPアプリケーション201は、この情報を利用することによって、MPD203で選択されたプリンタドライバがサポート対象か否かに応じて、処理を変えることができる。この処理は後述する。なお、ここでは、印刷装置、及びプリンタドライバがサポート対象か否かを判断するために、印刷可能領域を利用したが、プリンタドライバを特定可能なその他の情報を元に判断してもよい。最後に、UWPアプリケーション201は、今回の印刷における合計のページ数を、プリントマネージャ204に指定する(S806)。例えば図4のように2枚の画像の印刷を行う場合は、合計のページ数は2となる。以上がUWPアプリケーション201のパジネート処理の内容である。
【0038】
(UWPアプリケーションのプレビュー生成処理)
図9は、UWPアプリケーション201がS501で登録したイベントハンドラのうちの、プレビュー生成処理の内容を示すフローチャートである。以降、UWPアプリケーション201を、各処理の主体として説明することもあるが、実際には、対応するプログラムをCPU111が実行することで、対応する機能が実現されることになる。
【0039】
このプレビュー生成処理は、MPD203上に印刷結果の概要を示す印刷プレビューを表示するために、プリントマネージャ204から呼び出される。まず、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャから要求ページ番号を取得する(S901)。UWPアプリケーション201は、このページ番号の印刷プレビューをプリントマネージャ204に返却する必要がある。そうすることで、MPD203上に、ユーザが指定したページの印刷プレビューが正しく表示される。次に、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204から渡される印刷設定中のカラーモードがモノクロであるかを判断する(S902)。カラーモードがカラーであるとUWPアプリケーション201が判定した場合(S902でNo)、S901で取得した要求ページ番号に対応する印刷コンテンツをCanvasオブジェクト上に描画する(S903)。例えば、図4のような2つの画像を印刷するケースにおいて、S901で取得する要求ページ番号が2であった場合、2枚目の画像407をCanvasオブジェクト上に描画する。UWPアプリケーション201が実現したい印刷によって、例えばS801で取得した印刷可能領域に、画像407をフィットさせる形で描画する等しても良い。S902の判定がYes、すなわちカラーモードがモノクロであった場合は、S901で取得した要求ページ番号に対応する印刷コンテンツをモノクロ化してCanvasオブジェクト上に描画する(S903)。このように構成することで、MPD203上の印刷プレビューは、カラーモードがカラーとなっている場合はカラーで、カラーモードがモノクロとなっている場合はモノクロで表示される。これにより、ユーザはMPD203上で、より実際の印刷結果に近い印刷プレビューを確認することができる。
【0040】
次に、UWPアプリケーション201は、MPD203で選択されているプリンタドライバがサポートされているドライバか否かを判断する(S905)。この判断は、S804、及びS805でRAM上に保存された情報を元になされる。非サポートドライバであると判断した場合、UWPアプリケーション201は、サポートドライバが選択されていないため、印刷が続行可能ではない旨を示すエラーメッセージをCanvasオブジェクト上に描画する(S906)。続いて、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204に、要求ページのページデータとして生成したCanvasを渡す(S915)。
【0041】
このようなプレビュー生成処理によりMPD203が生成する印刷設定画面を図10に示す。印刷設定画面1001上では、プリンタ選択部1002にPrinter Bが選択されている。ここでは、Printer Bは、UWPアプリケーション201にサポートされていないドライバ(非サポートドライバ)であるとする。印刷設定画面1001上の印刷プレビュー領域1003には、UWPアプリケーション201がS906で描画した、サポートドライバが選択されておらず、印刷が続行不可能である旨を示すエラーメッセージが描画された印刷プレビューが表示される。印刷設定画面上のプリンタ選択部は、MPD203により自動的に表示されるものであり、OS202にインストールされている全てのプリンタドライバが列挙される。従って、UWPアプリケーション201は、通常、特定のプリンタドライバに対してのみ印刷を許可するように構成することができない。しかしながら、本実施形態においては、UWPアプリケーション201の処理によって、非サポートドライバが選択された場合に、そのプリンタが非サポートである旨をMPD203上の印刷プレビューに表示することでユーザに報知することができる。また、後述する処理により、UWPアプリケーション201は、非サポートドライバが選択された状態でユーザが印刷を指示しても、印刷に失敗するよう制御する。これらの処理によって、UWPアプリケーション201は、MPD203で全てのプリンタドライバが選択可能に構成される場合であっても、特定のプリンタドライバに対してのみ印刷可能に構成すると共に、そのことを正しくユーザに伝えることができる。UWPアプリケーション201は、前述の処理により、MPD203が生成する印刷設定画面の表示内容をある程度コントロールすることができるが、MPD203が処理をしている最中に、独自のポップアップウィンドウを表示することはできない。そのような条件下であっても、本実施形態のUWPアプリケーション201は、印刷プレビュー領域1003に表示するためのCanvasオブジェクトにメッセージを描画する事で、ユーザにエラー等の情報を伝える事ができる。なお、MPD203の処理中にUWPアプリケーション203が独自のポップアップウィンドウを表示できる場合、印刷が続行不可能である旨を示すエラーメッセージは、印刷プレビューとは異なる形態、例えばポップアップウィンドウで通知されてもよい。
【0042】
図9のフローチャートの説明に戻る。S905で、MPD203で選択されているドライバがサポートドライバであると判断した場合、UWPアプリケーション201は、印刷モードがディスク印刷モードであるか否かを判定する(S907)。S907の判定は、S503と同じ方法で判定される。ディスク印刷モードであると判断した場合、UWPアプリケーション201は、S908からS910までのディスク印刷用の処理を実行する。まず、UWPアプリケーション201は、Canvas上でディスクの印刷可能領域以外の領域を、半透明の白で塗りつぶす(S908)。このような加工によって、プレビュー領域からユーザが印刷可能領域とそれ以外の領域とを識別することができる。次に、UWPアプリケーション201は、印刷設定がディスク印刷用の設定になっているかを判断する(S909)。具体的には、S801やS802でRAM上に保存した印刷設定において、用紙サイズがディスクレーベルを示すものになっているか等を確認する。S908で印刷設定がディスク印刷用になっていないと判断した場合、UWPアプリケーション201は、印刷要求で指定された印刷モードと、印刷設定との間に禁則関係が生じているため、印刷の続行が不可能であると判定する。そのため、印刷が続行不可能であることを示すエラーメッセージをCanvasに描画する(S910)。
【0043】
S908からS910の処理を実施したCanvasを、S907でプリントマネージャ204に渡したときに、MPD203が生成する印刷設定画面について図7を用いて説明する。MPD203が生成する印刷設定画面701上の印刷プレビュー704では、ディスクレーベルの印刷可能領域以外の領域、すなわち中心部分とディスクレーベルの外形より外側の領域が半透明の白で塗りつぶされた状態になる。これにより、ユーザは、印刷対象がディスクレーベル上で所望する位置やサイズで印刷されるか、欠けることが無いか、を確認することができる。また、703で示されるように、用紙サイズ及び用紙の種類に正しくディスクレーベル用の設定が為されていない場合、印刷プレビュー704上に、印刷モードと印刷設定とに禁則関係が生じ、印刷が続行不可能であることを示すエラーメッセージが表示される。また、後述する処理により、UWPアプリケーション201は、このエラーメッセージが表示される条件下でユーザが印刷を指示しても、描画データを返さず、エラーメッセージを返す。既に述べたように、ディスクレーベル印刷で指定すべき用紙サイズや用紙の種類は、プリンタベンダが独自に定義するものであり、UWPアプリケーション201は、このような選択値を、図5で示す初期化処理内で指定することはできない。つまり、UWPアプリケーション201は、MPD203が生成する印刷設定画面において、あらかじめディスクレーベル印刷に適した用紙サイズ、用紙の種類を選択するように制御することはできない。本実施形態では、前述のような処理によって、ユーザはディスクレーベル印刷に適した印刷設定が指定されていないことを知ることができ、また不適切な印刷設定の状態では印刷を続行することができない。これにより、ディスクレーベル印刷時のユーザビリティを向上すると共に、印刷設定ミスによる失敗印刷を防ぐことができる。なお、MPD203が処理をしている最中にUWPアプリケーション203が独自のポップアップウィンドウを表示でき、印刷モードと印刷設定とに禁則関係が生じている場合、印刷を続行するか否かを問い合わせるポップアップメッセージを表示してもよい。この場合、ユーザが印刷を続行するよう指示した場合には印刷用データをプリントマネージャ204に渡し、印刷をキャンセルするよう指示した場合にはエラーメッセージを返してもよい。
【0044】
図9の説明に戻る。S907で印刷モードがディスク印刷ではない場合、またはS910の処理の後、UWPアプリケーション201は、S805でRAM上に保存した印刷設定において両面印刷がONになっているかを確認する(S911)。両面印刷がONの場合(S911でYes)、UWPアプリケーション201は、Canvas上に両面印刷であることを示すオブジェクトを描画する(S912)。例えば、UWPアプリケーション201は、Canvasの右下に、ページの端がめくれているように見える画像を挿入する。このようなCanvasをプリントマネージャ204に渡すことで、MPD203が生成する印刷設定画面において、両面印刷がONになっている場合にのみ、ページの端がめくれるような印刷プレビューが表示される。これにより、ユーザは、裏面にも印刷する両面印刷がONかOFFかを、印刷プレビュー上で直観的に認識することができる。
【0045】
両面印刷がOFFの場合(S911でNo)またはS912の処理の後、UWPアプリケーション201は、S805でRAM上に保存した印刷設定においてフチなし印刷がONになっているかを確認する(S913)。フチなし印刷がONであるとUWPアプリケーション201が判定した場合(S913でYes)、UWPアプリケーション201は、Canvas上でフチなしはみ出し領域を半透明の白で塗りつぶす(S914)。通常、プリンタドライバ206は、フチなし印刷を実現する場合、プリンタドライバ206の能力情報を示すPrintCapabilities上において、用紙サイズ全体を印刷可能領域とする。このようなPrintCapabilitiesを元に、アプリケーションは用紙サイズ全体に印刷コンテンツを配置する。プリンタドライバ206、及び印刷装置102は、用紙サイズ全体に配置されたコンテンツをわずかに拡大し、実際の用紙サイズに対してはみ出して印刷することにより、フチなし印刷を実現する。従って、印刷装置102が生成する印刷物において、アプリケーションが生成した印刷コンテンツは、全ての辺がわずかに欠けて印刷される。UWPアプリケーション201は、S914において、この欠ける領域(フチなしはみ出し領域)を半透明の白で塗りつぶす。なお、このフチなしはみ出し領域のサイズは、プリンタドライバ206及び印刷装置102により異なる。UWPアプリケーションは、サポートドライバのフチなしはみ出し領域のサイズを予め保持しておくか、或いはS801で保存する印刷可能領域情報等から決定する。
【0046】
UWPアプリケーション201は、フチなし印刷がOFFであると判定した場合(S913でNo)またはS914の処理の後、プリントマネージャ204に要求ページのページデータとして生成したCanvasを渡し(S915)、処理を終了する。S914の処理によりMPD203が生成する印刷設定画面について図6を用いて説明する。MPD203が生成する印刷設定画面601上では、フチなし印刷としてオンが選択されている。印刷プレビュー603には、S914の処理により、印刷コンテンツのうち、フチなしはみ出し領域が、薄く表示される。これにより、ユーザは、フチなし印刷時に欠ける領域を印刷前に確認することができるため、失敗印刷を軽減することができる。
【0047】
以上がUWPアプリケーション201のプレビュー生成処理である。通常、UWPアプリケーションのプレビュー生成処理は、印刷するコンテンツをそのままの形でプリントマネージャ204に返却するが、本実施形態では、指定されている印刷設定に応じたプレビュー用の加工を施した上で返却する。それにより、MPD203が生成する印刷設定画面上において、指定された印刷設定がより視覚的に反映された印刷プレビューを提供することができる。また、本実施形態におけるUWPアプリケーションは、印刷プレビュー用の加工を利用して、適切な印刷設定が指定されていないことをユーザに報知し、失敗印刷を軽減することができる。さらに、本実施形態におけるUWPアプリケーションは、印刷プレビュー用の加工を利用して、非サポートドライバが選択された時に、印刷できないことをユーザに報知することができる。これにより、UWPアプリケーションを、特定のプリンタドライバ専用の印刷アプリケーションとして構成することができる。
【0048】
<UWPアプリケーションの印刷データ生成処理>
図11は、UWPアプリケーション201がS501で登録したイベントハンドラのうちの、印刷データ生成処理の内容を示すフローチャートである。以降、UWPアプリケーション201を、各処理の主体として説明することもあるが、実際には、対応するプログラムをCPU111が実行することで、対応する機能が実現されることになる。
【0049】
この印刷データ生成処理は、MPD203上でユーザが印刷を指示した場合に、プリントマネージャ204から呼び出される。まず、UWPアプリケーション201は、S804及びS805でRAM113上に保存した情報を元に、これから印刷を行うプリンタドライバがサポートドライバであるか否かを判断する(S1101)。サポートドライバでなかった場合、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204に対し、エラーを返却する(S1102)。この処理により、UWPアプリケーション201は、サポートされていないドライバが選択された状態でユーザが印刷を指示した場合であっても、印刷しないように構成する事ができる。
【0050】
次に、UWPアプリケーション201は、印刷モードがディスク印刷モードであるか否かを判定する(S1103)。S1103の判定は、S503と同じ方法で判定される。ディスク印刷モードであると判断した場合、UWPアプリケーション201は、S801やS802でRAM上に保存した印刷設定において、用紙サイズや用紙種類がディスクレーベル印刷を示すものになっているかを確認する(S1104)。印刷モードがディスク印刷であって、印刷設定がディスク印刷ではない場合(S1103がYesかつS1104がNo)の場合、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204に対しエラーを返却し(S1102)、処理を終了する。この処理により、UWPアプリケーション201は、ディスクレーベル印刷が正しく実行されないと判断した場合に、印刷を中止するよう構成することができる。
【0051】
UWPアプリケーション201が、印刷モードはディスク印刷ではないと判定した場合(S1103がNo)または印刷設定はディスク印刷であると判定した場合(S1104がYes)、UWPアプリケーション201は処理をS1105に進める。UWPアプリケーション201は、S1105からS1110までの処理を、印刷の合計ページ数分繰り返す。S1106で、UWPアプリケーション201は、現在のページ番号に対応する印刷コンテンツをCanvasに描画する。次に、UWPアプリケーション201は、印刷モードがディスク印刷モードであるか否かを判定する(S1107)。ディスク印刷モードである場合(S1107でYes)、UWPアプリケーション201は、Canvas上でディスクの印刷可能領域以外を白で塗りつぶす(S1108)。ディスク印刷モードではない場合(S1107でNo)は、UWPアプリケーション201は、処理をS1109に進める。このように構成することで、印刷装置102が、ディスクレーベルの外側の領域に不正な印刷を行う事を防ぐことができる。次に、UWPアプリケーション201は、作成したCanvasをPrintDocumentに追加する(S1109)。PrintDocumentは、印刷文書全体を示すオブジェクトである。以上のような、S1106からS1109までの処理を、印刷の合計ページ数分繰り返す。UWPアプリケーション201は、プレビュー生成処理のS907で生成したCanvasをキャッシュとしてRAM113上に保存しておき、S1106からS1108までの処理をスキップし、生成済みのCanvasを利用するよう構成しても良い。これにより、無駄な処理をスキップし、高速に印刷処理を実行することができる。但し、プレビュー用の特殊加工であるS908やS910等の処理を施している場合は、UWPアプリケーション201は、生成済みのCanvasは利用せず、S1106からS1108までの処理で印刷用に再生成する。
【0052】
最後に、UWPアプリケーション201は、PrintDocumentの作成完了を指示し、作成したPrintDocumentをプリントマネージャ204に返却し(S1111)、図11の処理を終了する。以上が、UWPアプリケーション201の印刷データ生成処理である。
【0053】
このように、本実施形態におけるUWPアプリケーション201は、特定の条件下でプリントマネージャ204にエラーを返却することで印刷処理を中断するよう構成する。これにより、不適切な印刷設定による印刷ミスを軽減すると共に、特定のプリンタドライバ専用の印刷アプリケーションとして構成することができる。また、UWPアプリケーション201は、印刷データ生成処理において、プレビュー生成処理で生成するプレビュー用のCanvasとは異なる印刷用のCanvasを生成する。これにより、UWPアプリケーション201は、S908やS910のようなプレビュー専用の描画が含まれない、正しい印刷要求をプリンタドライバ206に対して発行することができる。
【0054】
<UWPアプリケーションの設定変更処理>
図12は、本印刷システムにおけるUWPアプリケーション201の設定変更処理のうち主要な処理フローを示した図である。以降、UWPアプリケーション201を、各処理の主体として説明することもあるが、実際には、対応するプログラムをCPU111が実行することで、対応する機能が実現されることになる。この設定変更処理は、UWPアプリケーション201がS512で登録した設定変更イベントハンドラの処理である。
【0055】
この設定変更処理は、MPD203上でユーザが印刷設定を変更した場合に、プリントマネージャ204から呼び出される。UWPアプリケーション201は、MPD203上で変更された設定が用紙種類であるかを確認する(S1201)。変更された設定情報は、プリントマネージャ204から渡される。変更された設定がメディアタイプではない場合(S1201でNo)、UWPアプリケーション201は、MPD203上で変更された設定が両面印刷であるかを確認する(S1202)。同様に、変更された設定が両面印刷設定ではない場合(S1202でNo)、UWPアプリケーション201は、MPD203上で変更された設定がカラーモードであるかを確認する(S1203)。S1201、S1202、S1203の何れかがYesの場合、UWPアプリケーション201は、プリントマネージャ204に対し、印刷プレビューの再描画を指示する(S1204)。こうすることで、プリントマネージャは、UWPアプリケーションのパジネート処理(図8)及びプレビュー生成処理(図9)を呼び出すため、結果としてMPD203上の印刷プレビューが再描画される。以上が、UWPアプリケーション201の、設定変更処理である。
【0056】
例えば、通常、用紙種類が変更されても、MPD203上に表示される印刷プレビューは変化しないため、印刷プレビューの再描画は必要ない。しかし、本実施形態において、UWPアプリケーション201は、MPD203上に表示される印刷プレビューの利便性を向上させるため、プレビュー用の特殊な描画を施してもよい。図12に示す設定変更処理を実行することで、用紙種類が変更された場合等について、プレビューの再描画処理を確実に実行することができる。
【0057】
以上のように、本実施形態において、UWPアプリケーション201は、プレビュー生成処理と印刷データ生成処理で異なるデータを生成する。これにより、正しい印刷結果を担保しながら、印刷結果を直観的に理解しやすい印刷プレビューをMPD203上に表示することができる。さらに、UWPアプリケーション201は、印刷設定やプリンタドライバの種類を判定し、印刷が続行できないことをユーザに報知すると共に、印刷が指示されたとしても印刷が実行されないよう制御する。以上のような処理により、MPD203を経由して印刷されるUWPアプリケーションのアーキテクチャにおいて、MPD203上での印刷設定の利便性を向上することができる。また、UWPアプリケーションを特定のプリンタドライバ専用のアプリケーションとして構成することができる。
【0058】
なお、本実施形態におけるUWPアプリケーション201は、写真印刷、文書印刷、ディスクレーベル印刷の3つの印刷モードを持つが、これ以外のモードを持つよう構成可能なことは言うまでもない。さらに、UWPアプリケーション201は、カラーモード、両面印刷、用紙サイズ、用紙種類等の印刷設定を判定して、プレビュー生成処理を行うが、それ以外の印刷設定にも応用可能であることは言うまでもない。例えば、UWPアプリケーション201は、割り付け印刷が指定されていることを検知した場合に、割り付け処理を施したプレビューを生成する等しても良い。
【0059】
<その他の実施形態>
上述した実施形態は、以下の処理を実行することによっても実行される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。これによって、上述した目的を達成することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0060】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0061】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。
【0062】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。そして、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ってもよい。その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0063】
101:ホストコンピュータ、102:印刷装置、201:UWPアプリケーション、202:OS、203:MPD、204:プリントマネージャ、205:WSDA、206:プリンタドライバ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13