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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】鉄筋結束機および電動作業機
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/04 20160101AFI20231206BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20231206BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20231206BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H02P6/04
E04G21/12 105E
B25B25/00 A
B21F15/06
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019227721
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021097509
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 峻汰
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将裕
(72)【発明者】
【氏名】河合 佑樹
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-101860(JP,A)
【文献】特開2009-261243(JP,A)
【文献】特開2005-057858(JP,A)
【文献】特開2018-171828(JP,A)
【文献】特公平04-008860(JP,B2)
【文献】特開平06-233580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/04
E04G 21/12
B25B 25/00
B21F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋結束機であって、
第1モータを有しており、ワイヤを送る送り機構と、
第2モータを有しており、前記ワイヤを捩る捩り機構と、
前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、
モータ制御信号出力先切換回路を備えており、
前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、前記汎用入出力ポートよりも高速での信号処理が可能なモータ制御信号出力ポートを備えており、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットの前記モータ制御信号出力ポートから出力されるモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力し、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択する、鉄筋結束機。
【請求項2】
鉄筋結束機であって、
第1モータを有しており、ワイヤを送る送り機構と、
第2モータを有しており、前記ワイヤを捩る捩り機構と、
前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、
モータ制御信号出力先切換回路と、
前記コントロールユニットとは別個に設けられており、前記第1モータに短絡ブレーキ信号を出力する第1ブレーキ回路を備えており、
前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えており、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットの前記モータ制御信号出力ポートから出力されるモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力し、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択し、
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第1ブレーキ回路が前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する、鉄筋結束機。
【請求項3】
前記第1ブレーキ回路は、前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する際に、前記モータ制御信号出力先切換回路から前記第1モータに前記モータ制御信号を出力する信号線上に前記短絡ブレーキ信号を出力し、
前記第1ブレーキ回路が前記短絡ブレーキ信号を出力する前に、前記コントロールユニットは前記コントロールユニットから前記モータ制御信号出力先切換回路に前記モータ制御信号を出力する信号線上に前記短絡ブレーキ信号を出力する、請求項の鉄筋結束機。
【請求項4】
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第1モータの回転が停止する前に、前記第2モータの回転が開始する、請求項2または3の鉄筋結束機。
【請求項5】
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる前に、前記第1ブレーキ回路が前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する、請求項2から4の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項6】
鉄筋結束機であって、
第1モータを有しており、ワイヤを送る送り機構と、
第2モータを有しており、前記ワイヤを捩る捩り機構と、
前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、
モータ制御信号出力先切換回路と、
前記コントロールユニットとは別個に設けられており、前記第2モータに短絡ブレーキ信号を出力する第2ブレーキ回路を備えており、
前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えており、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットの前記モータ制御信号出力ポートから出力されるモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力し、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択し、
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第2モータを選択した状態から前記第1モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第2ブレーキ回路が前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する、鉄筋結束機。
【請求項7】
前記第2ブレーキ回路は、前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する際に、前記モータ制御信号出力先切換回路から前記第2モータに前記モータ制御信号を出力する信号線上に前記短絡ブレーキ信号を出力し、
前記第2ブレーキ回路が前記短絡ブレーキ信号を出力する前に、前記コントロールユニットは前記コントロールユニットから前記モータ制御信号出力先切換回路に前記モータ制御信号を出力する信号線上に前記短絡ブレーキ信号を出力する、請求項の鉄筋結束機。
【請求項8】
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第2モータを選択した状態から前記第1モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第2モータの回転が停止する前に、前記第1モータの回転が開始する、請求項6または7の鉄筋結束機。
【請求項9】
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第2モータを選択した状態から前記第1モータを選択した状態に切り換わる前に、前記第2ブレーキ回路が前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する、請求項6から8の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項10】
前記出力切換信号が、前記コントロールユニットの前記汎用入出力ポートから出力される、請求項1から9の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項11】
前記モータ制御信号出力先切換回路が、デマルチプレクサを備える、請求項1から10の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項12】
前記第1モータが、第1ブラシレスモータである、請求項1から11の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項13】
前記第2モータが、第2ブラシレスモータである、請求項1から12の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項14】
モータ回転信号入力元切換回路をさらに備えており、
前記第1モータが、第1ブラシレスモータであって、
前記第2モータが、第2ブラシレスモータであって、
前記第1ブラシレスモータは、第1ホールセンサを備えており、
前記第2ブラシレスモータは、第2ホールセンサを備えており、
前記コントロールユニットが、モータ回転信号入力ポートをさらに備えており、
前記モータ回転信号入力元切換回路は、前記第1ホールセンサからの第1ホールセンサ信号と前記第2ホールセンサからの第2ホールセンサ信号のうちの選択された一方を前記モータ回転信号入力ポートに入力し、
前記モータ回転信号入力元切換回路は、入力切換信号に応じて、前記第1ホールセンサ信号と前記第2ホールセンサ信号のうちの一方を選択する、請求項1から11の何れか一項の鉄筋結束機。
【請求項15】
前記入力切換信号と前記出力切換信号が同一の信号である、請求項14の鉄筋結束機。
【請求項16】
電動作業機であって、
第1モータと、
第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、
モータ制御信号出力先切換回路を備えており、
前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、前記汎用入出力ポートよりも高速での信号処理が可能なモータ制御信号出力ポートを備えており、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットの前記モータ制御信号出力ポートから出力されるモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力し、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択する、電動作業機。
【請求項17】
電動作業機であって、
第1モータと、
第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、
モータ制御信号出力先切換回路と、
前記コントロールユニットとは別個に設けられており、前記第1モータに短絡ブレーキ信号を出力する第1ブレーキ回路を備えており、
前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えており、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットの前記モータ制御信号出力ポートから出力されるモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力し、
前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択し、
前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第1ブレーキ回路が前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する、電動作業機。
【請求項18】
前記第1ブレーキ回路は、前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する際に、前記モータ制御信号出力先切換回路から前記第1モータに前記モータ制御信号を出力する信号線上に前記短絡ブレーキ信号を出力し、
前記第1ブレーキ回路が前記短絡ブレーキ信号を出力する前に、前記コントロールユニットは前記コントロールユニットから前記モータ制御信号出力先切換回路に前記モータ制御信号を出力する信号線上に前記短絡ブレーキ信号を出力する、請求項17の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、鉄筋結束機および電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉄筋結束機が開示されている。前記鉄筋結束機は、第1モータを有しており、ワイヤを送る送り機構と、第2モータを有しており、前記ワイヤを捩る捩り機構と、前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-116307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、モータをコントロールユニットによって制御する構成においては、コントロールユニットは、通常の汎用入出力ポートのほかに、高速での信号処理が可能なモータ制御信号出力ポートを備えることが好ましい。コントロールユニットがモータ制御信号出力ポートを備える場合、モータ制御信号をモータ制御信号出力ポートから出力することで、モータをより精度よく制御することが可能となる。
【0005】
しかしながら、コントロールユニットにモータ制御信号出力ポートを多数設けると、コントロールユニットのコストアップにつながる。このため、単一のコントロールユニットによって複数のモータを制御する構成とした場合、それぞれのモータに対応したモータ制御信号出力ポートを別個に設けたコントロールユニットを用いると、コントロールユニットを搭載した制御基板の大幅なコストアップを招いてしまう。本明細書では、単一のコントロールユニットによって複数のモータを制御する構成において、大幅なコストアップを招くことなく、モータを精度よく制御することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は鉄筋結束機を開示する。前記鉄筋結束機は、第1モータを有しており、ワイヤを送る送り機構と、第2モータを有しており、前記ワイヤを捩る捩り機構と、前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、モータ制御信号出力先切換回路を備えていてもよい。前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えていてもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットからのモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力してもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択してもよい。
【0007】
上記の構成によれば、1つのモータに対応するモータ制御信号出力ポートから、第1モータへのモータ制御信号と、第2モータへのモータ制御信号を、選択的に出力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、送り機構の第1モータと捩り機構の第2モータの両方を精度よく制御することができる。
【0008】
本明細書は電動作業機も開示する。前記電動作業機は、第1モータと、第2モータと、前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、モータ制御信号出力先切換回路を備えていてもよい。前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えていてもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットからのモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力してもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択してもよい。
【0009】
上記の構成によれば、1つのモータに対応するモータ制御信号出力ポートから、第1モータへのモータ制御信号と、第2モータへのモータ制御信号を、選択的に出力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、第1モータと第2モータの両方を精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の鉄筋結束機2の斜視図である。
図2】実施例1の鉄筋結束機2の内部構成を示す側面図である。
図3】実施例1の鉄筋結束機2の送り機構24の斜視図である。
図4】実施例1の鉄筋結束機2の案内機構26の近傍の断面図である。
図5】実施例1の鉄筋結束機2について、被操作部材72が初期位置にある状態の保持部82と切断機構28との側面図である。
図6】実施例1の鉄筋結束機2について、被操作部材72が切断位置にある状態の保持部82と切断機構28との側面図である。
図7】実施例1の鉄筋結束機2の捩り機構30の斜視図である。
図8】実施例1の鉄筋結束機2のスクリューシャフト84と、クランプガイド86と、挟持部材90と、付勢部材92との上面図である。
図9】実施例1の鉄筋結束機2のアウタスリーブ102がクランプガイド86に対して前進位置にある状態の保持部82の断面斜視図である。
図10】実施例1の鉄筋結束機2の上側挟持部材114の上面図である。
図11】実施例1の鉄筋結束機2の下側挟持部材116の上面図である。
図12】実施例1の鉄筋結束機2の挟持部材90の前面図である。
図13】実施例1の鉄筋結束機2について、案内ピン110が上側案内孔118aと下側案内孔126aとの中間位置にある状態の挟持部材90と案内ピン110との断面斜視図である。
図14】実施例1の鉄筋結束機2について、案内ピン110が上側案内孔118aと下側案内孔126aとの後部にある状態の挟持部材90と案内ピン110との断面斜視図である。
図15】実施例1の鉄筋結束機2の回転制限部150の斜視図である。
図16】実施例1の鉄筋結束機2について、アウタスリーブ102の段差部102aとクランプガイド86の段差部86cとが当接している状態の保持部82の断面斜視図である。
図17】実施例1の鉄筋結束機2について、ベース部材152と付勢部材162、164とを外した状態の保持部82と回転制限部150との側面図である。
図18】実施例1の鉄筋結束機2の送りモータ32および捩りモータ76の分解斜視図である。
図19】実施例1の鉄筋結束機2の送りモータ32および捩りモータ76のステータ174,186とセンサ基板178,190の前面図である。
図20】実施例1の鉄筋結束機2の制御基板20の回路構成を示す図である。
図21】実施例1の鉄筋結束機2のインバータ回路212,214の回路構成の例を示す図である。
図22】実施例1の鉄筋結束機2のモータ制御信号出力先切換回路204の回路構成の例を示す図である。
図23】実施例1の鉄筋結束機2のモータ制御信号出力先切換回路204の回路構成の別の例を示す図である。
図24】実施例1の鉄筋結束機2のモータ制御信号出力先切換回路204の回路構成のさらに別の例を示す図である。
図25】実施例1の鉄筋結束機2のブレーキ回路218,220の回路構成の例を示す図である。
図26】実施例1の鉄筋結束機2のモータ回転信号入力元切換回路206の回路構成の例を示す図である。
図27】実施例1の鉄筋結束機2のモータ回転信号入力元切換回路206の回路構成の別の例を示す図である。
図28】実施例1の鉄筋結束機2のモータ回転信号入力元切換回路206の回路構成のさらに別の例を示す図である。
図29】参考例の鉄筋結束機2において、送りモータ32および捩りモータ76が正回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwとモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートである。
図30】参考例の鉄筋結束機2において、送りモータ32および捩りモータ76が逆回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwとモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートである。
図31】実施例1の鉄筋結束機2において、送りモータ32および捩りモータ76が正回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwとモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートである。
図32】実施例1の鉄筋結束機2において、送りモータ32および捩りモータ76が逆回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwとモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートである。
図33】一般的なブラシレスモータの、トルク、回転数および進角制御における進角の関係を示すグラフである。
図34】一般的なブラシレスモータの、トルク、電流および進角制御における進角の関係を示すグラフである。
図35】変形例の鉄筋結束機2において、送りモータ32および捩りモータ76が正回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwとモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートである。
図36】変形例の鉄筋結束機2において、送りモータ32および捩りモータ76が逆回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwとモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートである。
図37】実施例1の鉄筋結束機2のMCU202が行う処理のフローチャートである。
図38図37のS2の送りモータ第1駆動処理の詳細を示すフローチャートである。
図39図37のS4の捩りモータ第1駆動処理の詳細を示すフローチャートである。
図40図37のS6の送りモータ第2駆動処理の詳細を示すフローチャートである。
図41図37のS8の捩りモータ第2駆動処理の詳細を示すフローチャートである。
図42図37のS10の捩りモータ第3駆動処理の詳細を示すフローチャートである。
図43】実施例1の鉄筋結束機2の送りモータ32および捩りモータ76の動作タイミングを説明する図である。
図44】実施例2の鉄筋結束機302の制御基板308の回路構成を示す図である。
図45】実施例2の鉄筋結束機302のフルブリッジ回路316,18の回路構成の例を示す図である。
図46】実施例2の鉄筋結束機302のブレーキ回路320,322の回路構成の例を示す図である。
図47】実施例3の鉄筋結束機402の制御基板404の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された鉄筋結束機および電動作業機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0012】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0013】
本明細書及び/又は請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、第1モータを有しており、ワイヤを送る送り機構と、第2モータを有しており、前記ワイヤを捩る捩り機構と、前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、モータ制御信号出力先切換回路を備えていてもよい。前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えていてもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットからのモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力してもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、1つのモータに対応するモータ制御信号出力ポートから、第1モータへのモータ制御信号と、第2モータへのモータ制御信号を、選択的に出力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、送り機構の第1モータと捩り機構の第2モータの両方を精度よく制御することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記出力切換信号は、前記コントロールユニットの前記汎用入出力ポートから出力されてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、コントロールユニットが行う処理のタイミングに合わせて、モータ制御信号出力先切換回路の切換えを行うことができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記モータ制御信号出力先切換回路は、デマルチプレクサを備えていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、モータ制御信号出力先切換回路を実現することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機は、前記第1モータに短絡ブレーキ信号を出力する第1ブレーキ回路をさらに備えていてもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第1ブレーキ回路が前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0021】
上記の構成によれば、コントロールユニットが第1モータを制御する状態から、第2モータを制御する状態に切り換わる時に、第1ブレーキ回路によって第1モータに短絡ブレーキがかかるので、第1モータを速やかに停止させることができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第1モータの回転が停止する前に、前記第2モータの回転が開始してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、第1モータの回転が停止した後に、第2モータの回転が開始する場合に比べて、鉄筋の結束に要する時間を短縮することができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第1モータを選択した状態から前記第2モータを選択した状態に切り換わる前に、前記第1ブレーキ回路が前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0025】
モータ制御信号出力先切換回路が第1モータを選択した状態から第2モータを選択した状態に切り換わる時に、第1モータが慣性により回転すると、回生電流が生じてバッテリ等の電源に劣化や故障を招くおそれがある。上記の構成によれば、モータ制御信号出力先切換回路が第1モータを選択した状態から第2モータを選択した状態に切り換わる時に、第1モータが慣性により回転することを抑制することができる。
【0026】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1ブレーキ回路が前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する前に、前記コントロールユニットは前記第1モータに前記短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0027】
仮に、コントロールユニットが第1モータに短絡ブレーキ信号を出力する前に、第1ブレーキ回路が第1モータに短絡ブレーキ信号を出力すると、第1ブレーキ回路からコントロールユニットに電流が流れ込むおそれがある。上記の構成によれば、第1ブレーキ回路からコントロールユニットに電流が流れ込むことを抑制することができる。
【0028】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機は、前記第2モータに短絡ブレーキ信号を出力する第2ブレーキ回路をさらに備えていてもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第2モータを選択した状態から前記第1モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第2ブレーキ回路が前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0029】
上記の構成によれば、コントロールユニットが第2モータを制御する状態から、第1モータを制御する状態に切り換わる時に、第2ブレーキ回路によって第2モータに短絡ブレーキがかかるので、第2モータを速やかに停止させることができる。
【0030】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第2モータを選択した状態から前記第1モータを選択した状態に切り換わる時に、前記第2モータの回転が停止する前に、前記第1モータの回転が開始してもよい。
【0031】
上記の構成によれば、第2モータの回転が停止した後に、第1モータの回転が開始する場合に比べて、鉄筋の結束に要する時間を短縮することができる。
【0032】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記モータ制御信号出力先切換回路が前記第2モータを選択した状態から前記第1モータを選択した状態に切り換わる前に、前記第2ブレーキ回路が前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0033】
モータ制御信号出力先切換回路が第2モータを選択した状態から第1モータを選択した状態に切り換わる時に、第2モータが慣性により回転すると、回生電流が生じてバッテリ等の電源に劣化や故障を招くおそれがある。上記の構成によれば、モータ制御信号出力先切換回路が第2モータを選択した状態から第1モータを選択した状態に切り換わる時に、第2モータが慣性により回転することを抑制することができる。
【0034】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2ブレーキ回路が前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力する前に、前記コントロールユニットは前記第2モータに前記短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0035】
仮に、コントロールユニットが第2モータに短絡ブレーキ信号を出力する前に、第2ブレーキ回路が第2モータに短絡ブレーキ信号を出力すると、第2ブレーキ回路からコントロールユニットに電流が流れ込むおそれがある。上記の構成によれば、第2ブレーキ回路からコントロールユニットに電流が流れ込むことを抑制することができる。
【0036】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1モータは、第1ブラシレスモータであってもよい。
【0037】
上記の構成によれば、第1モータを長寿命化することができるとともに、メンテナンスの頻度を低減することができる。
【0038】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2モータは、第2ブラシレスモータであってもよい。
【0039】
上記の構成によれば、第2モータを長寿命化することができるとともに、メンテナンスの頻度を低減することができる。
【0040】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束機は、モータ回転信号入力元切換回路をさらに備えていてもよい。前記第1モータは、第1ブラシレスモータであってもよい。前記第2モータは、第2ブラシレスモータであってもよい。前記第1ブラシレスモータは、第1ホールセンサを備えていてもよい。前記第2ブラシレスモータは、第2ホールセンサを備えていてもよい。前記コントロールユニットは、モータ回転信号入力ポートをさらに備えていてもよい。前記モータ回転信号入力元切換回路は、前記第1ホールセンサからの第1ホールセンサ信号と前記第2ホールセンサからの第2ホールセンサ信号のうちの選択された一方を前記モータ回転信号入力ポートに入力してもよい。前記モータ回転信号入力元切換回路は、入力切換信号に応じて、前記第1ホールセンサ信号と前記第2ホールセンサ信号のうちの一方を選択してもよい。
【0041】
第1モータや第2モータがブラシレスモータである場合、コントロールユニットに高速での信号処理が可能なモータ回転信号入力ポートを設けておいて、ホールセンサ信号をモータ回転信号入力ポートに入力することで、ブラシレスモータをより精度よく制御することが可能となる。上記の構成によれば、1つのブラシレスモータに対応するモータ回転信号入力ポートに、第1ブラシレスモータの第1ホールセンサ信号と、第2ブラシレスモータの第2ホールセンサ信号を選択的に入力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、第1モータと第2モータの両方を精度よく制御することができる。
【0042】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記入力切換信号と前記出力切換信号は同一の信号であってもよい。
【0043】
上記の構成によれば、モータ回転信号入力元切換回路とモータ制御信号出力先切換回路を共通の信号によって切り換えるので、回路構成を簡素化することができる。
【0044】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動作業機は、第1モータと、第2モータと、前記第1モータおよび前記第2モータを制御するコントロールユニットと、モータ制御信号出力先切換回路を備えていてもよい。前記コントロールユニットは、汎用入出力ポートと、モータ制御信号出力ポートを備えていてもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、前記コントロールユニットからのモータ制御信号を、前記第1モータと前記第2モータのうちの選択された一方に出力してもよい。前記モータ制御信号出力先切換回路は、出力切換信号に応じて、前記第1モータと前記第2モータのうちの一方を選択してもよい。
【0045】
上記の構成によれば、1つのモータに対応するモータ制御信号出力ポートから、第1モータへのモータ制御信号と、第2モータへのモータ制御信号を、選択的に出力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、第1モータと第2モータの両方を精度よく制御することができる。
【0046】
(実施例1)
図1に示すように、鉄筋結束機2は、複数の鉄筋RをワイヤWで結束する鉄筋結束機である。例えば、鉄筋結束機2は、直径が16mm以下の細径の鉄筋Rや、直径が16mmよりも大きい(例えば直径が25mmまたは32mmの)太径の鉄筋RをワイヤWで結束する。ワイヤWの直径は、例えば、0.5mmから2.0mmの間の値である。
【0047】
鉄筋結束機2は、本体4と、グリップ6と、バッテリ取付部10と、バッテリBと、リールホルダ12と、を備えている。グリップ6は、作業者が把持するための部材である。グリップ6は、本体4の後側下部に設けられている。グリップ6は、本体4と一体的に形成されている。グリップ6の前側上部には、トリガ8が取り付けられている。グリップ6の内部には、トリガ8が押し込まれたか否かを検出するトリガスイッチ9(図2参照)が収容されている。バッテリ取付部10は、グリップ6の下部に設けられている。バッテリ取付部10は、グリップ6と一体的に形成されている。バッテリBは、バッテリ取付部10に着脱可能に取り付けられる。バッテリBは、例えばリチウムイオンバッテリのである。リールホルダ12は、本体4の下方に配置されている。リールホルダ12は、グリップ6よりも前方に配置されている。なお、本実施例では、後述する捩り機構30の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0048】
リールホルダ12は、ホルダハウジング14と、カバー部材16と、を備えている。ホルダハウジング14は、本体4の前側下部と、バッテリ取付部10の前部に取り付けられている。カバー部材16は、ホルダハウジング14の下部の回動軸14a周りに回動可能に、ホルダハウジング14に取り付けられている。ホルダハウジング14とカバー部材16とによって、収容空間12a(図2参照)が画定されている。収容空間12aには、ワイヤWが巻回されているリール18が配置されている。即ち、リールホルダ12は、リール18を内部に収容している。
【0049】
リールホルダ12の後面には、表示部12bと、操作部12cが設けられている。操作部12cは、鉄筋結束機2の結束力等の各種の設定に関するユーザからの操作を受け入れる。表示部12bは、現在の鉄筋結束機2の設定に関する情報を表示可能である。
【0050】
図2に示すように、鉄筋結束機2は、制御基板20と、表示基板22を備えている。制御基板20は、バッテリ取付部10に収容されている。制御基板20は、鉄筋結束機2の動作を制御する。表示基板22は、リールホルダ12の後部に収容されている。表示基板22は、図示省略の配線によって制御基板20に接続されている。表示基板22は、表示部12bに向けて発光する設定表示LED22a(図20参照)と、ユーザによる操作部12cへの操作を検知する設定スイッチ22b(図20参照)を備えている。
【0051】
鉄筋結束機2は、送り機構24と、案内機構26と、切断機構28と、捩り機構30と、を備えている。送り機構24は、本体4の前下部に収容されている。送り機構24は、ワイヤWを案内機構26に送り出す送り出し動作と、ワイヤWを案内機構26から引き戻す引き戻し動作を実行する。案内機構26は、本体4の前部に配置されている。案内機構26は、送り機構24から送り出されたワイヤWを鉄筋Rの周りに円環状に案内する。切断機構28は、本体4の下部に収容されている。切断機構28は、鉄筋Rの周りに巻回された状態のワイヤWを切断する切断動作を実行する。捩り機構30は、本体4に収容されている。捩り機構30は、鉄筋Rの周りのワイヤWを捩る捩り動作を実行する。
【0052】
(送り機構24の構成)
図3に示すように、送り機構24は、送りモータ32と、減速部34と、送り部36を備えている。送りモータ32は、図示省略の配線によって制御基板20に接続されている。送りモータ32は、バッテリBから供給される電力によって駆動する。送りモータ32は、制御基板20によって駆動を制御される。送りモータ32は、減速部34を介して、送り部36の駆動ギヤ42に接続している。減速部34は、例えば遊星歯車機構によって、送りモータ32の回転を減速して駆動ギヤ42に伝達する。
【0053】
本実施例において、送りモータ32は、ブラシレスモータである。図18に示すように、送りモータ32は、コイル170が巻回されたティース172を備えるステータ174と、ステータ174の内部に配置されたロータ176と、ステータ174に固定されたセンサ基板178を備えている。ステータ174は、磁性体から構成されている。ロータ176は、周方向に磁極が並んで配置された永久磁石を備えている。図19に示すように、センサ基板178には、ホールセンサ180が設けられている。ホールセンサ180は、第1ホール素子180a、第2ホール素子180bおよび第3ホール素子180cを備えている。第1ホール素子180a、第2ホール素子180bおよび第3ホール素子180cは、ロータ176からの磁力を検出する。ホールセンサ180は、センサ基板178において、送りモータ32の正回転に対して電気角が25°の進角となり、送りモータ32の逆回転に対して電気角が25°の遅角となる位置に配置されている。なお、本実施例においては、制御基板20は、送りモータ32の逆回転に対しては、電気角60°ごとのパターンを1段階ずらして出力する。このため、送りモータ32の正回転に対しては、25°の進角で制御が行われ、送りモータ32の逆回転に対しては、60°-25°=35°の進角で制御が行われる。
【0054】
図3に示すように、送り部36は、ベース部材38と、ガイド部材40と、駆動ギヤ42と、第1ギヤ44と、第2ギヤ46と、ギヤ支持部材48と、付勢部材52と、を備えている。ガイド部材40は、ベース部材38に固定されている。ガイド部材40は、ガイド孔40aを有している。ガイド孔40aは、下端部が広く上端部が狭いテーパ形状を有している。ガイド孔40aには、ワイヤWが挿通される。
【0055】
駆動ギヤ42は、減速部34に連結している。第1ギヤ44は、ベース部材38に回転可能に支持されている。第1ギヤ44は、駆動ギヤ42と噛み合っている。第1ギヤ44は、駆動ギヤ42の回転により回転する。第1ギヤ44は、溝44aを有する。溝44aは、第1ギヤ44の外周面において、第1ギヤ44の回転方向に沿う方向に形成されている。第2ギヤ46は、第1ギヤ44と噛み合っている。第2ギヤ46は、ギヤ支持部材48に回転可能に支持されている。第2ギヤ46は、溝46aを有している。溝46aは、第2ギヤ46の外周面において、第2ギヤ46の回転方向に沿う方向に形成されている。ギヤ支持部材48は、揺動軸48aを介してベース部材38に揺動可能に支持されている。付勢部材52は、第2ギヤ46が第1ギヤ44に近づく方向に、ギヤ支持部材48を付勢する。これにより、第2ギヤ46が第1ギヤ44に押し当てられる。この結果、第1ギヤ44の溝44aと第2ギヤ46の溝46aとの間にワイヤWが挟持される。ギヤ支持部材48が付勢部材52の付勢力に抗して押し込まれると、第2ギヤ46が第1ギヤ44から離れる。これにより、リール18を交換する場合、第1ギヤ44の溝44aと第2ギヤ46の溝46aとの間にワイヤWを容易に通すことができる。
【0056】
ワイヤWが第1ギヤ44の溝44aと第2ギヤ46の溝46aとの間に挟持された状態で送りモータ32が回転することによって、ワイヤWが移動する。本実施例では、送りモータ32が逆回転すると、駆動ギヤ42が図3に示す方向D1に回転して、ワイヤWが案内機構26に向けて送り出される。送りモータ32が正回転すると、駆動ギヤ42が図3に示す方向D2に回転して、ワイヤWが案内機構26から引き戻される。
【0057】
(案内機構26の構成)
図4に示すように、案内機構26は、ワイヤガイド56と、上側案内アーム58と、下側案内アーム60を備えている。ワイヤガイド56の内部には、送り機構24から送り出された後のワイヤWが通過する。ワイヤガイド56の内部には、突起部56aが形成されている。
【0058】
上側案内アーム58は、本体4の前上部に設けられている。上側案内アーム58は、上側案内通路58aを有する。上側案内通路58aには、ワイヤガイド56の内部を通過したワイヤWが通過する。上側案内通路58aには、第1案内ピン61と第2案内ピン62とが配置されている。ワイヤWがワイヤガイド56の突起部56aと、第1案内ピン61と、第2案内ピン62とに接触しながら上側案内通路58aを通過すると、ワイヤWに下向きの巻きぐせが付与される。
【0059】
下側案内アーム60は、本体4の前下部に設けられている。下側案内アーム60は、下側案内通路60aを有する。下側案内通路60aには、上側案内通路58aを通過したワイヤWが通過する。図4では、下側案内アーム60と捩り機構30とによって隠れて見えないワイヤWの一部が、破線によって図示されている。
【0060】
(切断機構28の構成)
図5に示すように、切断機構28は、切断部材66と、リンク部68と、を備えている。切断部材66は、ワイヤWを切断する部材である。図4に示すように、切断部材66は、送り機構24から案内機構26に送り出されるワイヤWが通過する通路上に配置されている。ワイヤWは、切断部材66の内部を通過する。切断部材66は、本体4に対して回動軸66a(図5参照)周りに回動可能に支持されている。切断部材66が図4に示す方向D3に回転すると、切断部材66によってワイヤWが切断される。
【0061】
図5に示すように、リンク部68は、連結部材70と、被操作部材72と、付勢部材74と、を備えている。連結部材70は、切断部材66と被操作部材72とを連結する。被操作部材72は、本体4に対して回動軸72a周りに回動可能に支持されている。被操作部材72は、通常時、付勢部材74によって、初期位置に付勢されている。付勢部材74による付勢力よりも大きい力が被操作部材72に加わると、被操作部材72は、回動軸72aの周りを回動する。これにより、連結部材70が前方に向けて移動し、切断部材66が回動軸66aの周りを回動する。被操作部材72が回動軸72aの周りを初期位置から図6に示される所定の位置まで回動すると、切断部材66の回動によりワイヤWが切断される。以下では、前記状態での被操作部材72の位置を、切断位置と呼ぶ。
【0062】
(捩り機構30の構成)
図7に示すように、捩り機構30は、捩りモータ76と、減速部78と、保持部82と、を備えている。捩りモータ76は、図示省略の配線によって制御基板20に接続されている。捩りモータ76は、バッテリBから供給される電力によって駆動する。捩りモータ76は、制御基板20によって駆動を制御される。捩りモータ76は、減速部78を介して、保持部82のスクリューシャフト84に接続されている。減速部78は、例えば遊星歯車機構によって、捩りモータ76の回転を減速してスクリューシャフト84に伝達する。
【0063】
本実施例において、捩りモータ76は、ブラシレスモータである。本実施例では、捩りモータ76は、送りモータ32と同様の構成を備えている。図18に示すように、捩りモータ76は、コイル182が巻回されたティース184を備えるステータ186と、ステータ186の内部に配置されたロータ188と、ステータ186に固定されたセンサ基板190を備えている。ステータ186は、磁性体から構成されている。ロータ188は、周方向に磁極が並んで配置された永久磁石を備えている。図19に示すように、センサ基板190には、ホールセンサ192が設けられている。ホールセンサ192は、第1ホール素子192a、第2ホール素子192bおよび第3ホール素子192cを備えている。第1ホール素子192a、第2ホール素子192bおよび第3ホール素子192cは、ロータ188からの磁力を検出する。ホールセンサ192は、センサ基板190において、捩りモータ76の正回転に対して電気角が25°の進角となり、捩りモータ76の逆回転に対して電気角が25°の遅角となる位置に配置されている。なお、本実施例においては、制御基板20は、捩りモータ76の逆回転に対しては、電気角60°ごとのパターンを1段階ずらして出力する。このため、捩りモータ76の正回転に対しては、25°の進角で制御が行われ、捩りモータ76の逆回転に対しては、60°-25°=35°の進角で制御が行われる。
【0064】
本実施例では、捩りモータ76と送りモータ32は、同一の構成を備えている。このため、ステータ174とステータ186には共通の部品が使用されており、ロータ176とロータ188には共通の部品が使用されており、センサ基板178とセンサ基板190には共通の部品が使用されている。
【0065】
図7に示すように、保持部82は、スクリューシャフト84と、クランプガイド86(図8図9参照)と、付勢部材92(図8図9参照)と、スリーブ88と、挟持部材90と、を備えている。
【0066】
スクリューシャフト84は、減速部78に連結している。捩りモータ76が正回転すると、スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84は左ねじの方向に回転する。捩りモータ76が逆回転すると、スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84は右ねじの方向に回転する。
【0067】
図8に示すように、スクリューシャフト84は、太径部84aと、細径部84bと、を備えている。太径部84aは、スクリューシャフト84の後部に位置しており、細径部84bは、スクリューシャフト84の前部に位置している。太径部84aの外周面には、螺旋状のボール溝84cが形成されている。ボール溝84cには、ボール94が嵌合する。太径部84aと細径部84bとの段差には、円環状のワッシャ96が配置されている。細径部84bの前部には、係合溝84dが形成されている。
【0068】
図9に示すように、細径部84bの前部は、クランプガイド86の凹部86aに入り込んでいる。クランプガイド86の係合ピン86bは、スクリューシャフト84の細径部84bの係合溝84dに入り込んでおり、係合溝84dの前側面および後側面と係合可能である。クランプガイド86の外周面には、段差部86cが形成されている。段差部86cよりも後方にあるクランプガイド86の外周面は、段差部86cよりも前方にあるクランプガイド86の外周面よりも大径である。
【0069】
また、細径部84bは、付勢部材92に挿通している。付勢部材92は、ワッシャ96とクランプガイド86との間に配置されている。付勢部材92は、クランプガイド86をワッシャ96から離れる方向に付勢する。
【0070】
スクリューシャフト84とクランプガイド86とは、スリーブ88に挿入されている。スリーブ88は、インナスリーブ100と、アウタスリーブ102と、を備えている。インナスリーブ100には、スクリューシャフト84の太径部84aが挿通されている。インナスリーブ100には、ボール穴(図示省略)が形成されている。ボール穴には、ボール94が嵌合する。インナスリーブ100は、ボール溝84cとボール穴との間に嵌合したボール94を介して、即ち、ボールねじを介してスクリューシャフト84と連結している。ボール溝84cが形成されている範囲では、スクリューシャフト84がインナスリーブ100に対して回転すると、インナスリーブ100は、スクリューシャフト84に対して前後方向に移動する。
【0071】
アウタスリーブ102には、スクリューシャフト84とクランプガイド86とインナスリーブ100とが挿入されている。アウタスリーブ102は、前後方向に延びる円筒形状を有する。アウタスリーブ102の内周面には、段差部102aが形成されている。段差部102aよりも前方にあるアウタスリーブ102の内周面は、段差部102aよりも後方にあるアウタスリーブ102の内周面よりも小径である。アウタスリーブ102は、止めねじ106によって、インナスリーブ100に固定されている。アウタスリーブ102は、インナスリーブ100とともに動作(即ち、移動または回転)する。ボール溝84cが形成されている範囲では、スクリューシャフト84がインナスリーブ100に対して回転すると、アウタスリーブ102は、インナスリーブ100とともに、スクリューシャフト84に対して前後方向に移動する。また、スクリューシャフト84がインナスリーブ100に対して回転すると、アウタスリーブ102は、クランプガイド86に対して前進位置と後進位置との間を移動する。以下では、アウタスリーブ102がクランプガイド86に対して前進位置に向かって(即ち、前方に向かって)移動することを、アウタスリーブ102が前進するといい、アウタスリーブ102がクランプガイド86に対して後退位置に向かって(即ち、後方に向かって)移動することを、アウタスリーブ102が後退するという。
【0072】
保持部82は、支持部材104をさらに備えている。支持部材104は、アウタスリーブ102の外周面を覆っている。支持部材104は、アウタスリーブ102に対して回転可能である。支持部材104は、アウタスリーブ102に対して前後方向に移動可能である。アウタスリーブ102は、支持部材104を介して、本体4に支持されている。
【0073】
挟持部材90は、クランプガイド86の前部に支持されている。挟持部材90は、アウタスリーブ102が備える2個の案内ピン110(図8参照)によって、アウタスリーブ102に対して移動可能に支持されている。挟持部材90は、ワイヤWを挟持する部材である。挟持部材90は、スクリューシャフト84の回転に連動して開閉する。
【0074】
挟持部材90は、上側挟持部材114と、下側挟持部材116と、を備えている。上側挟持部材114は、下側挟持部材116と上下方向に対向している。図10に示すように、上側挟持部材114は、上側基部118と、第1上側突部120と、上側連結部121と、第2上側突部122と、を備えている。上側基部118は、クランプガイド86と案内ピン110とに支持される部分である。上側基部118は、2個の上側案内孔118aを備えている。2個の上側案内孔118aは、互いに同一の形状を有している。2個の上側案内孔118aは、前後方向に延びており、上側基部118を上方から見たとき、後方から前方に向かって右側に傾斜している。
【0075】
第1上側突部120は、上側基部118の左前端部から前方に向かって延びている。上側連結部121は、第1上側突部120の中央右端部から右方向に向かって延びている。第2上側突部122は、上側連結部121から前方に向かって延びている。第1上側突部120と第2上側突部122とは、左右方向に離れている。第1上側突部120と第2上側突部122との間には、第1ワイヤ通路124が形成されている。第1ワイヤ通路124には、送り機構24から送り出された後であって、案内機構26の上側案内通路58aに達する前のワイヤWが通過する。
【0076】
挟持部材90は、図12に示す第1抜け止め部123をさらに備えている。第1抜け止め部123は、上側挟持部材114と一体的に形成されている。第1抜け止め部123は、第2上側突部122の前端部から下方に向かって延びている。第1抜け止め部123は、前後方向に関して、下側挟持部材116と部分的に重なっている。第1抜け止め部123は、挟持部材90によって挟持されたワイヤWが挟持部材90から抜け出ることを抑制する。
【0077】
図11に示すように、下側挟持部材116は、下側基部126と、第1下側突部128と、下側連結部129と、第2下側突部130と、を備えている。下側基部126は、クランプガイド86と案内ピン110とに支持される部分である。下側基部126は、2個の下側案内孔126aを備えている。下側基部126を上方から見たときの下側案内孔126aの形状は、左右方向に直交する平面に対して、上側基部118を上方から見たときの上側案内孔118aの形状と面対称の関係にある。即ち、2個の下側案内孔126aは、前後方向に延びており、下側基部126を上方から見たとき、後方から前方に向かって左側に傾斜している。
【0078】
第1下側突部128は、下側基部126の右前端部から前方に向かって延びている。下側連結部129は、第1下側突部128の中央左端部から左方に向かって延びている。第2下側突部130は、下側連結部129の中央前端部から前方に向かって延びている。第1下側突部128と第2下側突部130とは、左右方向に離れている。第1下側突部128と第2下側突部130との間には、第2ワイヤ通路132が形成されている。第2ワイヤ通路132には、案内機構26の下側案内通路60aを通過した後のワイヤWが通過する。
【0079】
挟持部材90は、第2抜け止め部131をさらに備えている。第2抜け止め部131は、下側挟持部材116と一体的に形成されている。第2抜け止め部131は、第2下側突部130の左前端部から左方に延びている。第2抜け止め部131は、挟持部材90によって挟持されたワイヤWが挟持部材90から抜け出ることを抑制する。第2抜け止め部131と下側連結部129とは、前後方向に離れている。第2抜け止め部131と下側連結部129との間には、補助通路134が形成されている。
【0080】
図8に示すように、上側挟持部材114と下側挟持部材116とが上下方向に重なり合っている状態で、アウタスリーブ102の案内ピン110は、上側案内孔118aと下側案内孔126aとのそれぞれに挿通されている。アウタスリーブ102がクランプガイド86に対して前後方向に移動すると、案内ピン110は、上側案内孔118a内と下側案内孔126a内を前後方向に移動する。案内ピン110が上側案内孔118aと下側案内孔126aの前部に配置されている場合、図12に示すように、第1ワイヤ通路124と第2ワイヤ通路132とは開いている。このときの挟持部材90の状態を、全開状態と呼ぶ。
【0081】
アウタスリーブ102がクランプガイド86に対して後退すると、案内ピン110は、上側案内孔118a内と下側案内孔126a内を後方に向かって移動する。上側挟持部材114がクランプガイド86に対して右方向に向かって動くと、下側挟持部材116がクランプガイド86に対して左方向(即ち、上側挟持部材114が移動する方向と反対の方向)に向かって動く。上側挟持部材114が右方向に向かって動く距離は、下側挟持部材116が左方向に向かって動く距離と同一である。挟持部材90を上下方向に見たとき、上側挟持部材114と下側挟持部材116とは、互いに近接する方向に動く。図13に示すように、案内ピン110が上側案内孔118a内と下側案内孔126a内を中間位置まで移動すると、第2ワイヤ通路132は、第2上側突部122によって塞がれる。一方、第1ワイヤ通路124は、第2下側突部130に形成された補助通路134によって、開いている。このときの挟持部材90の状態を、半開状態と呼ぶ。第2ワイヤ通路132にワイヤWが配置されていた場合、ワイヤWは、第2上側突部122と第1下側突部128との間の第1挟持箇所P1に挟持されて固定される。以下では、第1挟持箇所P1によって挟持されるワイヤWの部分を、第1被挟持箇所WP1と呼ぶ。半開状態では、第1抜け止め部123は、第1挟持箇所P1を前方から塞いでいる。なお、図13では、前後方向に関する第1抜け止め部123の位置が破線によって図示されている。第1抜け止め部123は、鉄筋R(図13に図示省略)と第1挟持箇所P1との間に配置されている。
【0082】
図14に示すように、案内ピン110が上側案内孔118aと下側案内孔126aの後部まで移動すると、第1ワイヤ通路124は、第2下側突部130によって塞がれる。第2ワイヤ通路132は、第2上側突部122によって塞がれたままである。このときの挟持部材90の状態を、全閉状態と呼ぶ。第1ワイヤ通路124にワイヤWが配置されていた場合、ワイヤWの第1被挟持箇所WP1が挟持部材90の第1挟持箇所P1によって把持されたまま、ワイヤWは、第1上側突部120と第2下側突部130との間の第2挟持箇所P2に挟持されて固定される。以下では、第2挟持箇所P2によって挟持されるワイヤWの部分を、第2被挟持箇所WP2と呼ぶ。全閉状態では、第1抜け止め部123は、第1挟持箇所P1を前方から塞いでおり、第2抜け止め部131は、第2挟持箇所P2の直下前方に配置されている。なお、図14では、第2抜け止め部131の前端部が、第1抜け止め部123を示す破線よりも短ピッチの破線によって図示されている。第2抜け止め部131は、鉄筋R(図14に図示省略)と第2挟持箇所P2との間に配置される。
【0083】
図7に示すように、保持部82は、プッシュプレート140をさらに備えている。プッシュプレート140は、インナスリーブ100の後端部に形成されているリブ100aと、アウタスリーブ102の後端部との間に挟持されている。プッシュプレート140は、捩りモータ76の駆動に伴うスクリューシャフト84の回転によって、インナスリーブ100とアウタスリーブ102とともに、スクリューシャフト84に対して前後方向に移動する。
【0084】
図5図6に示すように、プッシュプレート140は、切断機構28の被操作部材72を操作する。図5に示すように、通常時、プッシュプレート140は、被操作部材72の突片72bから離れている。このとき、被操作部材72は、初期位置に位置している。プッシュプレート140がスクリューシャフト84の回転によってスクリューシャフト84に対して後退すると、プッシュプレート140は、突片72bに当接して被操作部材72を後方に押す。これにより、被操作部材72が回動軸72aの周りを回動し、連結部材70が前方に移動し、切断部材66は回動軸66aの周りを回動する。プッシュプレート140は、被操作部材72を操作することによって、切断部材66を操作することができる。図6に示すように、被操作部材72が切断位置まで回動すると、切断部材66によって切断部材66の内部を通過するワイヤWが切断される。その後、プッシュプレート140がスクリューシャフト84の回転によってスクリューシャフト84に対して前進すると、被操作部材72は、付勢部材74によって付勢され、回動軸72aの周りを初期位置まで回動する。これにより、連結部材70と切断部材66も、図5に示す状態に戻る。
【0085】
プッシュプレート140には、初期状態検出マグネット140aと、把持検出マグネット140bが設けられている。図7に示すように、捩り機構30は、初期状態検出マグネット140aからの磁力を検出する初期状態検出センサ136と、把持検出マグネット140bからの磁力を検出する把持検出センサ138を備えている。初期状態検出センサ136と把持検出センサ138は、本体4に対して位置が固定されている。捩り機構30が初期状態にある時に、初期状態検出センサ136は初期状態検出マグネット140aと対向して配置される。このため、初期状態検出センサ136は、捩り機構30が初期状態にあるか否かを検出することができる。捩り機構30において、挟持部材90が半開状態にある時、すなわち挟持部材90がワイヤWの前端を保持した時に、把持検出センサ138は把持検出マグネット140bと対向して配置される。このため、把持検出センサ138は、捩り機構30において挟持部材90がワイヤWの前端を保持した状態にあるか否かを検出することができる。
【0086】
図7に示すように、アウタスリーブ102の後部外周面には、フィン144が形成されている。フィン144は、前後方向に延びている。フィン144は、アウタスリーブ102の回転を許容または禁止する。本実施例では、アウタスリーブ102の外周面において、8個のフィンが、互いに45度の間隔を有して配置されている。また、本実施例では、フィン144は、7個のショートフィン146と、1個のロングフィン148と、を備えている。ロングフィン148の前後方向の長さは、ショートフィン146の前後方向の長さよりも長い。前後方向において、ロングフィン148の前端部の位置は、ショートフィン146の前端部の位置と同一である。一方、前後方向において、ロングフィン148の後端部は、ショートフィン146の後端部よりも後方にある。
【0087】
鉄筋結束機2は、図15に示す回転制限部150をさらに備えている。図17に示すように、回転制限部150は、アウタスリーブ102に近接する位置に配置されている。回転制限部150は、フィン144と協働することにより、アウタスリーブ102の回転を許容または禁止する。図15に示すように、回転制限部150は、ベース部材152と、上側ストッパ154と、下側ストッパ156と、揺動軸158、160と、付勢部材162、164と、を備えている。ベース部材152は、本体4に対して固定されている。上側ストッパ154は、揺動軸158を介して、ベース部材152に揺動可能に支持されている。上側ストッパ154は、規制片154aを備えている。規制片154aは、上側ストッパ154の下部に位置している。付勢部材162は、規制片154aを外側に開く方向(即ち、規制片154aがベース部材152から離れる方向)に付勢している。
【0088】
スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84が右ねじの方向に回転する場合、ショートフィン146とロングフィン148とは、規制片154aを押し込む。このため、上側ストッパ154は、アウタスリーブ102の回転を禁止しない。一方、スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84が左ねじの方向に回転する場合、ショートフィン146とロングフィン148とは、アウタスリーブ102の回転方向に規制片154aと当接する。このため、上側ストッパ154は、アウタスリーブ102の回転を禁止する。スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84が右ねじの方向に回転する場合は、捩り機構30が鉄筋Rの周りのワイヤWを捩り終わり、初期状態に復帰する場合に該当する。また、スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84が左ねじの方向に回転する場合は、捩り機構30が鉄筋Rの周りのワイヤWを挟持して捩る場合に該当する。
【0089】
下側ストッパ156は、揺動軸160を介して、ベース部材152に揺動可能に支持されている。下側ストッパ156は、規制片156aを備えている。規制片156aは、下側ストッパ156の上部に位置している。規制片156aは、規制片154aと対向している。規制片156aの後端部は、規制片154aの後端部よりも後方に配置されている。規制片156aの前端部は、規制片154aの前端部よりも後方に配置されている。付勢部材164は、規制片156aを外側に開く方向(即ち、規制片156aがベース部材152から離れる方向)に付勢している。
【0090】
スクリューシャフト84を後方から見て、スクリューシャフト84が右ねじの方向に回転する場合、ショートフィン146とロングフィン148とは、アウタスリーブ102の回転方向に規制片156aと当接する。このため、下側ストッパ156は、アウタスリーブ102の回転を禁止する。一方、スクリューシャフト84を後方からみて、スクリューシャフト84が左ねじの方向に回転する場合、ショートフィン146とロングフィン148とは、規制片156aを押し込む。このため、下側ストッパ156は、アウタスリーブ102の回転を禁止しない。
【0091】
なお、鉄筋結束機2の機械的な構成については、上記の構成に種々の変更を加えてもよい。例えば、鉄筋結束機2において、リールホルダ12を、本体4の後部に配置してもよく、送り機構24を、本体4のリールホルダ12と案内機構26の間に配置してもよい。この場合、リール18と、送りモータ32と、捩りモータ76は、いずれもグリップ6よりも上方に配置される。あるいは、制御基板20や表示基板22を、本体4の内部に収容してもよい。この場合、制御基板20や表示基板22は、グリップ6よりも上方に配置される。
【0092】
(鉄筋結束機2の動作)
次に、図4図9図16図17を参照して、鉄筋結束機2が鉄筋RをワイヤWで結束する動作を説明する。鉄筋結束機2が鉄筋RをワイヤWで結束する際には、送り出し工程と、先端保持工程と、引き戻し工程と、後端保持工程と、切断工程と、引っ張り工程と、捩り工程と、が順に実行される。ここで、鉄筋結束機2が鉄筋RをワイヤWで結束する動作を実行する前の初期状態では、図9に示すように、スクリューシャフト84の前部のみがインナスリーブ100の内部に配置されている。また、ロングフィン148は、上側ストッパ154の規制片154aと下側ストッパ156の規制片156aとの間に挟まれている。また、アウタスリーブ102は、クランプガイド86に対して前進位置にある。2個の案内ピン110が2個の上側案内孔118aと2個の下側案内孔126aの前部に位置しており、挟持部材90は全開状態にある。図5に示すように、プッシュプレート140は、被操作部材72の突片72bから離れており、被操作部材72は、初期位置にある。
【0093】
(送り出し工程)
初期状態から、送りモータ32が逆回転すると、送り機構24は、リール18に巻回されているワイヤWを所定長さだけ送り出す。ワイヤWの先端部は、切断部材66の内部、第1ワイヤ通路124、上側案内通路58a、下側案内通路60a、第2ワイヤ通路132を順番に通過する。これにより、図4に示すように、ワイヤWが鉄筋Rの周りに円環状に巻き回される。
【0094】
(先端保持工程)
この状態から、捩りモータ76が正回転すると、スクリューシャフト84が左ねじの方向に回転する。ロングフィン148は、アウタスリーブ102の回転方向に上側ストッパ154の規制片154aと当接しており、アウタスリーブ102の左ねじの方向の回転が禁止される。このため、アウタスリーブ102は、インナスリーブ100とともにクランプガイド86に対して後退する。アウタスリーブ102の後退に伴い、2個の案内ピン110は、2個の上側案内孔118a内と2個の下側案内孔126a内を前部から中間位置まで移動する。挟持部材90は、全開状態から半開状態に変わり、第2上側突部122と第1下側突部128との間の第1挟持箇所P1に、ワイヤWの先端近傍部(即ち、第1被挟持箇所WP1)が挟持されて固定される。これにより、ワイヤWの先端近傍部が挟持部材90によって保持される。この状態では、第1抜け止め部123は、挟持部材90の第1挟持箇所P1を前方から塞いでいる。
【0095】
(引き戻し工程)
この状態から、捩りモータ76が停止し、送りモータ32が正回転すると、送り部36は、鉄筋Rの周りのワイヤWを引き戻す。ワイヤWの先端部近傍は、挟持部材90によって保持されており、鉄筋Rの周りのワイヤWが縮径する。
【0096】
(後端保持工程)
この状態から、捩りモータ76が再び正回転すると、アウタスリーブ102は、インナスリーブ100とともにクランプガイド86に対してさらに後退する。アウタスリーブ102の後退に伴い、2個の案内ピン110は、2個の上側案内孔118a内と2個の下側案内孔126a内を中間位置から後部まで移動する。挟持部材90は、半開状態から全閉状態に変わり、第1上側突部120と第2下側突部130との間の第2挟持箇所P2に、ワイヤWの後端近傍部(即ち、第2被挟持箇所WP2)が挟持されて固定される。これにより、ワイヤWの後端近傍部が挟持部材90によって保持される。この状態では、第1抜け止め部123は、挟持部材90の第1挟持箇所P1を前方から塞いでおり、第2抜け止め部131は、挟持部材90の第2挟持箇所P2の直下に配置されている。また、第1抜け止め部123と第2抜け止め部131とは、鉄筋RとワイヤWとの間に配置されている。
【0097】
(切断工程)
この状態から、捩りモータ76の正回転に伴いアウタスリーブ102がクランプガイド86に対してさらに後退する。図6に示すように、プッシュプレート140は、アウタスリーブ102とともに後退しており、被操作部材72の突片72bに当接して後方に向かって押し込む。被操作部材72が回動軸72aの周りを切断位置まで回動すると、切断部材66は、回動軸66aの周りを所定の位置まで回動する。これにより、切断部材66の内部を通過するワイヤWが切断される。鉄筋Rの周りのワイヤWは、挟持部材90によって、ワイヤWの先端部近傍と後端部近傍との2点で保持される。
【0098】
(引っ張り工程)
この状態から、捩りモータ76の正回転に伴いアウタスリーブ102がクランプガイド86に対してさらに後退すると、図16に示すように、アウタスリーブ102の段差部102aがクランプガイド86の段差部86cに当接する。このため、アウタスリーブ102は、クランプガイド86に対してさらに後退することができず、クランプガイド86と一体となって後退する。これにより、挟持部材90が後退し、即ち、挟持部材90が鉄筋Rから離れる方向に移動し、鉄筋Rの周りのワイヤWが鉄筋Rから離れる方向に引っ張られる。引っ張り工程が実行されている間、第1抜け止め部123は、第1挟持箇所P1の前方を塞いでおり、第2抜け止め部131は、第2挟持箇所P2の直下前方に配置されている。このため、ワイヤWが引っ張られることに伴いワイヤWに付与される張力によって、ワイヤWが挟持部材90に対して前方に移動した場合、ワイヤWの先端近傍部WP1が第1抜け止め部123に当接し、ワイヤWの後端近傍部WP2が第2抜け止め部131に当接する。これにより、ワイヤWは、挟持部材90から抜け出ることなく、鉄筋Rから離れる方向に引っ張られる。
【0099】
(捩り工程)
この状態から、捩りモータ76の正回転に伴いアウタスリーブ102がクランプガイド86とともに後退すると、図17に示すように、ロングフィン148は、アウタスリーブ102の回転方向に上側ストッパ154の規制片154aと当接しなくなる。これにより、アウタスリーブ102の左ねじの方向の回転が許容される。この状態では、付勢部材92は圧縮されており、クランプガイド86をワッシャ96から離す方向に付勢する付勢力が、付勢部材92からクランプガイド86に付与される。このため、インナスリーブ100のボール穴に嵌合されたボール94と、スクリューシャフト84のボール溝84cとの間に摩擦力が作用する。この結果、クランプガイド86が回転すると、アウタスリーブ102はスクリューシャフト84に対して後退することなく、アウタスリーブ102は、スクリューシャフト84と一体となって左ねじの方向に回転する。これにより、クランプガイド86と挟持部材90とが左ねじの方向に回転し、挟持部材90によって保持されたワイヤWが捩られる。捩り工程が実行されている間、引っ張り工程が実行されている場合と同様に、第1抜け止め部123は、第1挟持箇所P1の前方を塞いでおり、第2抜け止め部131は、第2挟持箇所P2の直下前方に配置されている。このため、ワイヤWが捩られることに伴いワイヤWに付与される張力によって、ワイヤWが挟持部材90に対して前方に移動した場合、ワイヤWの先端近傍部WP1が第1抜け止め部123に当接し、ワイヤWの後端近傍部WP2が第2抜け止め部131に当接する。これにより、ワイヤWは、挟持部材90から抜け出ることなく捩られる。
【0100】
(初期状態復帰工程)
その後、捩りモータ76が逆回転して、スクリューシャフト84が右ねじの方向に回転する。アウタスリーブ102が右ねじの方向に回転し、ショートフィン146またはロングフィン148が下側ストッパ156の規制片156aに当接して、アウタスリーブ102の右ねじの方向の回転が禁止される。クランプガイド86をワッシャ96から離す方向に付勢する付勢力が、付勢部材92からクランプガイド86に付与されており、アウタスリーブ102は、クランプガイド86と一体となって前進する。係合ピン86bが係合溝84dの前端部に当接すると、アウタスリーブ102は、クランプガイド86に対して前進する。2個の案内ピン110が、2個の上側案内孔118a内と2個の下側案内孔126a内を後部から前部まで移動すると、挟持部材90が全開状態に変わる。これにより、挟持部材90に保持されていたワイヤWが挟持部材90から外れる。ショートフィン146が規制片156aに当接していた場合、アウタスリーブ102がクランプガイド86に対して前進して、ショートフィン146が規制片156aの前端部よりも前方に移動すると、アウタスリーブ102が再度右ねじの方向に回転する。ロングフィン148が規制片156aに当接すると、アウタスリーブ102の回転が禁止される。これにより、捩り機構30が初期状態に復帰する。
【0101】
(制御基板20の回路構成)
図20に示すように、制御基板20には、制御電源回路200、MCU(Micro Control Unit)202、モータ制御信号出力先切換回路204、モータ回転信号入力元切換回路206、ゲートドライブ回路208、210、インバータ回路212、214、電流検出回路216、ブレーキ回路218、220等が設けられている。
【0102】
制御電源回路200は、バッテリBから供給される電力を所定の電圧に調整して、MCU202、ブレーキ回路218,220等に電力を供給する。
【0103】
図21に示すように、インバータ回路212は、スイッチング素子222a,222b,224a,224b,226a,226bを備えている。スイッチング素子222a,222b,224a,224b,226a,226bは、電界効果トランジスタであり、詳しくは、絶縁ゲートを有するMOSFETである。スイッチング素子222aは、正極側電位線228とモータ電力線232を接続している。スイッチング素子222bは、負極側電位線230とモータ電力線232を接続している。スイッチング素子224aは、正極側電位線228とモータ電力線234を接続している。スイッチング素子224bは、負極側電位線230とモータ電力線234を接続している。スイッチング素子226aは、正極側電位線228とモータ電力線236を接続している。スイッチング素子226bは、負極側電位線230とモータ電力線236を接続している。正極側電位線228は、バッテリBの正極側電源電位に接続されている。負極側電位線230は、電流検出回路216に接続されている。モータ電力線232,234,236は、送りモータ32のコイル170(図18図19参照)に接続されている。
【0104】
同様に、インバータ回路214は、スイッチング素子238a,238b,240a,240b,242a,242bを備えている。スイッチング素子238a,238b,240a,240b,242a,242bは、電界効果トランジスタであり、詳しくは、絶縁ゲートを有するMOSFETである。スイッチング素子238aは、正極側電位線244とモータ電力線248を接続している。スイッチング素子238bは、負極側電位線246とモータ電力線248を接続している。スイッチング素子240aは、正極側電位線244とモータ電力線250を接続している。スイッチング素子240bは、負極側電位線246とモータ電力線250を接続している。スイッチング素子242aは、正極側電位線244とモータ電力線252を接続している。スイッチング素子242bは、負極側電位線246とモータ電力線252を接続している。正極側電位線244は、バッテリBの正極側電源電位に接続されている。負極側電位線246は、電流検出回路216に接続されている。モータ電力線248,250,252は、捩りモータ76のコイル182(図18図19参照)に接続されている。
【0105】
ゲートドライブ回路208は、モータ制御信号UH1,VH1,WH1,UL1,VL1,WL1に応じて、インバータ回路212の各スイッチング素子222a,224a,226a,222b,224b,226bを導通と非導通の間で切り換えることで、送りモータ32の動作を制御する。なお、送りモータ32が回転している時に、ゲートドライブ回路208がスイッチング素子222a,224a,226a,222b,224b,226bを全て非導通とすると、送りモータ32への電力供給が遮断され、送りモータ32は慣性による回転を継続した後、停止する。また、送りモータ32が回転している時に、ゲートドライブ回路208がスイッチング素子222a,224a,226aを非導通とし、スイッチング素子222b,224b,226bを導通とすると、送りモータ32にはいわゆる短絡ブレーキがかかり、送りモータ32の回転は即座に停止する。なお、以下では、UL1,VL1,WL1が全てH電位であるモータ制御信号UH1,VH1,WH1,UL1,VL1,WL1(この場合、スイッチング素子222b,224b,226bは全て導通となる)を、短絡ブレーキ信号ともいう。
【0106】
同様に、ゲートドライブ回路210は、モータ制御信号UH2,VH2,WH2,UL2,VL2,WL2に応じて、インバータ回路214の各スイッチング素子238a,240a,242a,238b,240b,242bを導通と非導通の間で切り換えることで、捩りモータ76の動作を制御する。なお、捩りモータ76が回転している時に、ゲートドライブ回路210がスイッチング素子238a,240a,242a,238b,240b,242bを全て非導通とすると、捩りモータ76への電力供給が遮断され、捩りモータ76は慣性による回転を継続した後、停止する。また、捩りモータ76が回転している時に、ゲートドライブ回路210がスイッチング素子238a,240a,242aを非導通とし、スイッチング素子238b,240b,242bを導通とすると、捩りモータ76にはいわゆる短絡ブレーキがかかり、捩りモータ76の回転は即座に停止する。なお、以下では、UL2,VL2,WL2が全てH電位であるモータ制御信号UH2,VH2,WH2,UL2,VL2,WL2(この場合、スイッチング素子238b,240b,242bは全て導通となる)を、短絡ブレーキ信号ともいう。
【0107】
図20に示すように、電流検出回路216は、インバータ回路212およびインバータ回路214と、バッテリBの負極側電源電位の間に配置されている。電流検出回路216は、インバータ回路212およびインバータ回路214を流れる電流の大きさを検出する。電流検出回路216は、検出された電流値を、MCU202に出力する。
【0108】
MCU202は、モータ制御信号出力ポート202aと、モータ回転信号入力ポート202bと、汎用入出力ポート202cを備えている。モータ制御信号出力ポート202aは、ブラシレスモータへのモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLの出力のために設けられており、汎用入出力ポート202cよりも高速での信号処理が可能である。モータ回転信号入力ポート202bは、ブラシレスモータからのホールセンサ信号Hu,Hv,Hwの入力のために設けられており、汎用入出力ポート202cよりも高速での信号処理が可能である。表示基板22の設定表示LED22aおよび設定スイッチ22b、トリガスイッチ9、初期状態検出センサ136、把持検出センサ138、電流検出回路216は、MCU202の汎用入出力ポート202cに接続されている。
【0109】
MCU202のモータ制御信号出力ポート202aは、モータ制御信号出力先切換回路204に接続されている。モータ制御信号出力先切換回路204は、MCU202の汎用入出力ポート202cから出力される切換信号SWに応じて、モータ制御信号出力ポート202aから出力されるモータ制御信号UH、VH,WH,UL,VL,WLの出力先を、ゲートドライブ回路208とゲートドライブ回路210の間で切り換える。
【0110】
図22に示すように、モータ制御信号出力先切換回路204は、デマルチプレクサ260を備える構成としてもよい。MCU202から出力される切換信号SWがH電位の場合に、デマルチプレクサ260は、MCU202から出力されるモータ制御信号UHを、ゲートドライブ回路208にモータ制御信号UH1として出力する。MCU202から出力される切換信号SWがL電位の場合に、デマルチプレクサ260は、MCU202から出力されるモータ制御信号UHを、ゲートドライブ回路210にモータ制御信号UH2として出力する。なお、ここでは理解を容易にするため、モータ制御信号UHに対応する構成のみ説明したが、モータ制御信号出力先切換回路204は、他のモータ制御信号VH,WH,UL,VL,WLについても同様の構成を備えている。
【0111】
あるいは、図23に示すように、モータ制御信号出力先切換回路204は、FET262,264と、NOTゲート266を備える構成としてもよい。MCU202から出力される切換信号SWがH電位の場合に、FET262はオンとなり、FET264はオフとなる。この場合、モータ制御信号出力先切換回路204は、MCU202から出力されるモータ制御信号UHを、ゲートドライブ回路208にモータ制御信号UH1として出力する。MCU202から出力される切換信号SWがL電位の場合に、FET262はオフとなり、FET264はオンとなる。この場合、モータ制御信号出力先切換回路204は、MCU202から出力されるモータ制御信号UHを、ゲートドライブ回路210にモータ制御信号UH2として出力する。なお、ここでは理解を容易にするため、モータ制御信号UHに対応する構成のみ説明したが、モータ制御信号出力先切換回路204は、他のモータ制御信号VH,WH,UL,VL,WLについても同様の構成を備えている。
【0112】
あるいは、図24に示すように、モータ制御信号出力先切換回路204は、NORゲート268,270と、NOTゲート272,274を備える構成としてもよい。MCU202から出力される切換信号SWがH電位の場合に、NORゲート268はMCU202から出力されるモータ制御信号UHを出力し、NORゲート270はL電位を出力する。この場合、モータ制御信号出力先切換回路204は、MCU202から出力されるモータ制御信号UHを、ゲートドライブ回路208にモータ制御信号UH1として出力する。MCU202から出力される切換信号SWがL電位の場合に、NORゲート268はL電位を出力し、NORゲート270はMCU202から出力されるモータ制御信号UHを出力する。この場合、モータ制御信号出力先切換回路204は、MCU202から出力されるモータ制御信号UHを、ゲートドライブ回路210にモータ制御信号UH2として出力する。なお、ここでは理解を容易にするため、モータ制御信号UHに対応する構成のみ説明したが、モータ制御信号出力先切換回路204は、他のモータ制御信号VH,WH,UL,VL,WLについても同様の構成を備えている。
【0113】
図25に示すように、ブレーキ回路218は、モータ制御信号出力先切換回路204からゲートドライブ回路208に出力される、モータ制御信号UL1,VL1,WL1の信号線に接続されている。ブレーキ回路218は、MCU202の汎用入出力ポート202cから出力されるブレーキ信号BR1に応じて、送りモータ32に短絡ブレーキをかける。ブレーキ回路218は、トランジスタ274a,274b,274c,274dと、抵抗器276a,276b,276c,276d,276e,276f,276g,276hを備えている。MCU202から入力されるブレーキ信号BR1がL電位の場合、トランジスタ274aがオフとなり、トランジスタ274b、274c、274dが何れもオフとなるので、ゲートドライブ回路208には、モータ制御信号出力先切換回路204から出力されたモータ制御信号UL1,VL1,WL1がそのまま入力される。MCU202から入力されるブレーキ信号BR1がH電位の場合、トランジスタ274aがオンとなり、トランジスタ274b、274c、274dが何れもオンとなるので、ゲートドライブ回路208に入力されるモータ制御信号UL1,VL1,WL1は、全てH電位となる。この場合、ゲートドライブ回路208には短絡ブレーキ信号が入力され、送りモータ32には短絡ブレーキがかけられる。
【0114】
同様に、ブレーキ回路220は、モータ制御信号出力先切換回路204からゲートドライブ回路210に出力される、モータ制御信号UL2,VL2,WL2の信号線に接続されている。ブレーキ回路220は、MCU202の汎用入出力ポート202cから出力されるブレーキ信号BR2に応じて、捩りモータ76に短絡ブレーキをかける。ブレーキ回路220は、ブレーキ回路218と同様の構成を備えている。ブレーキ回路220は、トランジスタ278a,278b,278c,278dと、抵抗器280a,280b,280c,280d,280e,280f,280g,280hを備えている。MCU202から入力されるブレーキ信号BR2がL電位の場合、トランジスタ278aがオフとなり、トランジスタ278b、278c、278dが何れもオフとなるので、ゲートドライブ回路210には、モータ制御信号出力先切換回路204から出力されたモータ制御信号UL2,VL2,WL2がそのまま入力される。MCU202から入力されるブレーキ信号BR2がH電位の場合、トランジスタ278aがオンとなり、トランジスタ278b、278c、278dが何れもオンとなるので、ゲートドライブ回路210に入力されるモータ制御信号UL2,VL2,WL2は、全てH電位となる。この場合、ゲートドライブ回路210には短絡ブレーキ信号が入力され、捩りモータ76には短絡ブレーキがかけられる。
【0115】
図20に示すように、送りモータ32のホールセンサ180と、捩りモータ76のホールセンサ192は、モータ回転信号入力元切換回路206に接続されている。モータ回転信号入力元切換回路206は、MCU202のモータ回転信号入力ポート202bに接続されている。モータ回転信号入力元切換回路206は、MCU202から出力される切換信号SWに応じて、送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1と、捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2のうちの何れか一方を、MCU202のモータ回転信号入力ポート202bに入力する。
【0116】
図26に示すように、モータ回転信号入力元切換回路206は、マルチプレクサ282を備える構成としてもよい。MCU202から出力される切換信号SWがH電位の場合に、マルチプレクサ282は、送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1を、ホールセンサ信号HuとしてMCU202に出力する。MCU202から出力される切換信号SWがL電位の場合に、マルチプレクサ282は、捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2を、ホールセンサ信号HuとしてMCU202に出力する。なお、ここでは理解を容易にするため、ホールセンサ信号Huに対応する構成のみ説明したが、モータ回転信号入力元切換回路206は、他のホールセンサ信号Hv,Hwについても同様の構成を備えている。
【0117】
あるいは、図27に示すように、モータ回転信号入力元切換回路206は、FET284,286と、NOTゲート288を備える構成としてもよい。MCU202から出力される切換信号SWがH電位の場合に、FET284はオンとなり、FET286はオフとなる。この場合、モータ回転信号入力元切換回路206は、送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1を、ホールセンサ信号HuとしてMCU202に出力する。MCU202から出力される切換信号SWがL電位の場合に、FET284はオフとなり、FET286はオンとなる。この場合、モータ回転信号入力元切換回路206は、捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2を、ホールセンサ信号HuとしてMCU202に出力する。なお、ここでは理解を容易にするため、ホールセンサ信号Huに対応する構成のみ説明したが、モータ回転信号入力元切換回路206は、他のホールセンサ信号Hv,Hwについても同様の構成を備えている。
【0118】
あるいは、図28に示すように、モータ回転信号入力元切換回路206は、NORゲート290,292,294と、NOTゲート296を備える構成としてもよい。MCU202から出力される切換信号SWがH電位の場合に、NORゲート290は送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1を反転して出力し、NORゲート292はL電位を出力するので、NORゲート294は送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1を出力する。この場合、モータ回転信号入力元切換回路206は、送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1を、ホールセンサ信号HuとしてMCU202に出力する。MCU202から出力される切換信号SWがL電位の場合に、NORゲート290はL電位を出力し、NORゲート292は捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2を反転して出力するので、NORゲート294は捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2を出力する。この場合、モータ回転信号入力元切換回路206は、捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2を、ホールセンサ信号HuとしてMCU202に出力する。なお、ここでは理解を容易にするため、ホールセンサ信号Huに対応する構成のみ説明したが、モータ回転信号入力元切換回路206は、他のホールセンサ信号Hv,Hwについても同様の構成を備えている。
【0119】
なお、図20に示すように、送りモータ32のホールセンサ180と、捩りモータ76のホールセンサ192は、MCU202の汎用入出力ポート202cにも接続されている。MCU202は、汎用入出力ポート202cに入力される、送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1と、捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2を監視することができる。
【0120】
(送りモータ32および捩りモータ76の進角制御)
MCU202は、送りモータ32や捩りモータ76の動作を制御する際に、モータ回転信号入力ポート202bに入力されるホールセンサ信号Hu,Hv,Hwに基づいて、モータ制御信号出力ポート202aからモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。以下では、MCU202が送りモータ32や捩りモータ76の動作を制御する際に行う進角制御について説明する。
【0121】
図29は、参考例として、進角制御を行わない場合の、ブラシレスモータを正回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwと、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートを示している。図30は、参考例として、進角制御を行わない場合の、ブラシレスモータを逆回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwと、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートを示している。
【0122】
図31は、本実施例の鉄筋結束機2において、ブラシレスモータを正回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwと、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートを示している。本実施例の鉄筋結束機2では、送りモータ32や捩りモータ76を正回転する際には、ホールセンサ180,192が電気角で25°進んだ状態でホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1,Hu2,Hv2,Hw2を出力しており、MCU202は25°進角したホールセンサ信号Hu,Hv,Hwに基づいてモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。このため、送りモータ32や捩りモータ76の正回転の際には、25°の進角制御が行われる。
【0123】
図32は、本実施例の鉄筋結束機2において、ブラシレスモータを逆回転する際の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwと、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートを示している。本実施例の鉄筋結束機2では、送りモータ32や捩りモータ76を逆回転する際には、ホールセンサ180,192が電気角で25°遅れた状態でホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1,Hu2,Hv2,Hw2を出力しているものの、MCU202は、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLの出力パターンを1段階(電気角で60°に相当する)前倒しして出力する。このため、MCU202は、60°-25°=35°の進角でモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。すなわち、送りモータ32や捩りモータ76の逆回転に対しては、35°の進角制御が行われる。
【0124】
上記のように、本実施例の鉄筋結束機2では、送りモータ32や捩りモータ76の正回転時の進角(例えば25°)に比べて、逆回転時の進角(例えば35°)を大きく設定している。この構成の利点について、以下に説明する。
【0125】
図33は、一般的なブラシレスモータのトルクと、回転数と、進角制御における進角の関係を示している。図33に示すように、トルクが大きくなるほど、回転数は小さくなる。また、図33に示すように、トルクが小さい場合には、進角制御における進角が大きいほど回転数が大きく、トルクが大きい場合には、進角制御における進角が大きいほど回転数は小さくなる。
【0126】
図34は、一般的なブラシレスモータのトルクと、電流と、進角制御における進角の関係を示している。図34に示すように、トルクが大きくなるほど、電流は大きくなる。また、図34に示すように、進角制御における進角が大きいほど、電流は大きくなる。
【0127】
本実施例の鉄筋結束機2においては、送りモータ32を逆回転させる場合、すなわちワイヤWを送り出す場合には、送りモータ32にはそれほど大きなトルクが作用しない。この場合は、進角制御における進角を大きくすることで、回転数を大きくすることができ、送り出し工程に要する時間を短縮することができる。なお、進角制御における進角を大きくすると電流は大きくなるが、送り出し工程では送りモータ32の電流はもともと小さいので、送りモータ32とインバータ回路212の発熱が問題となることはない。
【0128】
逆に、送りモータ32を正回転させる場合、すなわちワイヤWを引き戻す場合には、送りモータ32に大きなトルクが作用する。この場合は、進角制御における進角を小さくすることで、回転数を大きくすることができ、引き戻し工程に要する時間を短縮することができる。また、進角制御における進角を小さくすることで、送りモータ32に流れる電流を小さくすることができ、送りモータ32とインバータ回路212の過剰な発熱を抑制することができる。
【0129】
本実施例では、送りモータ32に関して、正回転時の進角制御における進角を25°とし、逆回転時の進角制御における進角を35°としている。これによって、引き戻し工程における時間短縮および電流低減を実現しつつ、送り出し工程における時間短縮を実現することができる。なお、正回転時および逆回転時の進角制御における進角は、上記の数値に限定されるものではなく、例えば、正回転時の進角制御における進角を20°とし、逆回転時の進角制御における進角を40°としてもよい。
【0130】
本実施例の鉄筋結束機2においては、捩りモータ76を正回転させる場合、すなわちワイヤWを捩る場合には、捩りモータ76に大きなトルクが作用する。この場合は、進角制御における進角を小さくすることで、回転数を大きくすることができ、捩り工程に要する時間を短縮することができる。また、進角制御における進角を小さくすることで、捩りモータ76に流れる電流を小さくすることができ、捩りモータ76とインバータ回路214の過剰な発熱を抑制することができる。
【0131】
逆に、捩りモータ76を逆回転させる場合、すなわち捩り機構30を初期状態に復帰させる場合には、捩りモータ76にはそれほど大きなトルクが作用しない。この場合は、進角制御における進角を大きくすることで、回転数を大きくすることができ、初期状態復帰工程に要する時間を短縮することができる。なお、進角制御における進角を大きくすると電流は大きくなるが、初期状態復帰工程では捩りモータ76の電流はもともと小さいので、捩りモータ76とインバータ回路214の発熱が問題となることはない。
【0132】
本実施例では、捩りモータ76に関して、正回転時の進角制御における進角を25°とし、逆回転時の進角制御における進角を35°としている。これによって、捩り工程における時間短縮および電流低減を実現しつつ、初期状態復帰工程における時間短縮を実現することができる。なお、正回転時および逆回転時の進角制御における進角は、上記の数値に限定されるものではなく、例えば、正回転における進角を20°とし、逆回転における進角を40°としてもよい。
【0133】
なお、上記の実施例では、送りモータ32や捩りモータ76が正回転する際には、ホールセンサ180,192が電気角で25°進んだ状態でホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1,Hu2,Hv2,Hw2を出力し、送りモータ32や捩りモータ76が逆回転する際には、ホールセンサ180,192が電気角で25°遅れた状態でホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1,Hu2,Hv2,Hw2を出力するように、センサ基板178、190においてホールセンサ180,192を配置している。これとは異なり、送りモータ32や捩りモータ76の正回転および逆回転に対して、ホールセンサ180,192からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1,Hu2,Hv2,Hw2が進角や遅角を有さないように、センサ基板178、190においてホールセンサ180,192を配置しておいて、MCU202における処理によって、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwに対して所望の進角でモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力してもよい。この場合、MCU202は、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwから、電気角が60°進むのに要する時間を計測し、計測された時間から、電気角25°に対応する時間と電気角35°に対応する時間をそれぞれ算出し、正回転および逆回転においてモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力するタイミングをそれぞれ変更する。図35は、このような手法によって、ブラシレスモータを正回転する際に、25°で進角制御を行う場合の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwと、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートを示している。図36は、このような手法によって、ブラシレスモータを逆回転する際に、35°で進角制御を行う場合の、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwと、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLのタイミングチャートを示している。なお、このような手法を用いる場合、送りモータ32や捩りモータ76の回転数が変化する毎に、電気角25°および電気角35°に対応する時間を算出し直す必要がある。上記の実施例のように、センサ基板178、190におけるホールセンサ180,192の配置によって、正回転時および逆回転時の進角制御における進角を設定する構成では、送りモータ32や捩りモータ76の回転数が変化する場合であっても、MCU202において特別な処理を行うことなく、正回転時および逆回転時に所望の進角で進角制御を行うことができる。
【0134】
(MCU202が実行する処理)
MCU202は、トリガスイッチ9がオフからオンに切り換わると、図37の処理を実行する。図37の処理では、MCU202は、S2の送りモータ第1駆動処理(図38参照)、S4の捩りモータ第1駆動処理(図39参照)、S6の送りモータ第2駆動処理(図40参照)、S8の捩りモータ第2駆動処理(図41参照)、S10の捩りモータ第3駆動処理(図42参照)を順に実行する。
【0135】
(送りモータ第1駆動処理)
以下では図38を参照しながら、送りモータ第1駆動処理の詳細について説明する。S12では、MCU202は、切換信号SWとしてH電位を出力し、モータ制御信号出力先切換回路204とモータ回転信号入力元切換回路206を、それぞれ送りモータ32側に切り換える。
【0136】
S14では、MCU202は、送りモータ32を逆回転させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。これによって、送りモータ32が逆回転し、ワイヤWを送り出す送り出し工程が開始される。
【0137】
S16では、MCU202は、ワイヤWの送り出し量が所定値に達するまで待機する。ワイヤWの送り出し量は、例えば、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwをカウントすることで算出することができる。S14で送りモータ32の駆動を開始してからの経過時間に基づいて算出することができる。ワイヤWの送り出し量が所定値に達すると(YESとなると)、処理はS18に進む。
【0138】
S18では、MCU202は、送りモータ32を停止させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLとして短絡ブレーキ信号を出力する。これによって、送りモータ32にブレーキがかけられる。
【0139】
S20では、MCU202は、ブレーキ信号BR1としてH電位を出力する。これによって、ブレーキ回路218が、モータ制御信号UL1、VL1,WL1をH電位に維持する。なお、S18でMCU202が短絡ブレーキ信号を出力する前に、ブレーキ回路218がモータ制御信号UL1,VL1,WL1をH電位に維持すると、ブレーキ回路218からMCU202のモータ制御信号出力ポート202aに電流が流れ込むおそれがある。本実施例のように、S18でMCU202が短絡ブレーキ信号を出力した後に、ブレーキ回路218がモータ制御信号UL1,VL1,WL1をH電位に維持する構成とすることで、ブレーキ回路218からMCU202のモータ制御信号出力ポート202aに電流が流れ込むことを防止することができる。S20の処理の後、図38の処理は終了する。
【0140】
(捩りモータ第1駆動処理)
以下では図39を参照しながら、捩りモータ第1駆動処理の詳細について説明する。S22では、MCU202は、切換信号SWとしてL電位を出力し、モータ制御信号出力先切換回路204とモータ回転信号入力元切換回路206を、それぞれ捩りモータ76側に切り換える。なお、S22の処理を実行する時点で、ブレーキ回路218がモータ制御信号UL1,VL1,WL1をH電位に維持しているので、モータ制御信号出力先切換回路204が捩りモータ76側に切り換わり、送りモータ32側にMCU202からの短絡ブレーキ信号が出力されなくなっても、送りモータ32に対するブレーキが維持される。
【0141】
S24では、MCU202は、捩りモータ76を正回転させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。これによって、捩りモータ76が正回転し、ワイヤWの先端を保持する先端保持工程が開始される。
【0142】
S26では、MCU202は、停止判断期間が開始するまで待機する。停止判断期間は、送りモータ32にブレーキをかけた後、送りモータ32がすでに停止していると想定される期間である。MCU202は、例えば、図38のS18で送りモータ32にブレーキをかけ始めた時からの経過時間が所定時間に達した場合に、停止判断期間が開始したものと判断する。停止判断期間が開始すると(YESとなると)、処理はS28へ進む。
【0143】
S28では、MCU202は、汎用入出力ポート202cで監視している送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1に変化があるか否かを判断する。ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1に変化がある場合(YESの場合)、処理はS30へ進む。S30では、MCU202は、エラーが発生したものと判断して、エラー処理を実行する。ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1に変化がない場合(NOの場合)、処理はS32へ進む。
【0144】
S32では、MCU202は、停止判断期間が終了したか否かを判断する。MCU202は、例えば、S26で停止判断期間が開始してからの経過時間が所定時間に達した場合に、停止判断期間が終了したものと判断する。停止判断期間が終了していない場合(NOの場合)、処理はS28へ戻る。停止判断期間が終了すると(YESとなると)、処理はS34へ進む。
【0145】
S34では、MCU202は、ブレーキ信号BR1としてL電位を出力する。これによって、ブレーキ回路218による、モータ制御信号UL1、VL1,WL1のH電位への維持が解除される。
【0146】
S36では、MCU202は、ワイヤWの先端が保持されるまで待機する。ワイヤWの先端が保持されたか否かは、把持検出センサ138の検出信号に基づいて判断することができる。ワイヤWの先端が保持されると(YESとなると)、処理はS38へ進む。
【0147】
S38では、MCU202は、捩りモータ76を停止させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLとして短絡ブレーキ信号を出力する。これによって、捩りモータ76にブレーキがかけられる。
【0148】
S40では、MCU202は、ブレーキ信号BR2としてH電位を出力する。これによって、ブレーキ回路220が、モータ制御信号UL2、VL2,WL2をH電位に維持する。本実施例のように、S38でMCU202が短絡ブレーキ信号を出力した後に、ブレーキ回路220がモータ制御信号UL2,VL2,WL2をH電位に維持する構成とすることで、ブレーキ回路220からMCU202のモータ制御信号出力ポート202aに電流が流れ込むことを防止することができる。S40の処理の後、図39の処理は終了する。
【0149】
(送りモータ第2駆動処理)
以下では図40を参照しながら、送りモータ第2駆動処理の詳細について説明する。S42では、MCU202は、切換信号SWとしてH電位を出力し、モータ制御信号出力先切換回路204とモータ回転信号入力元切換回路206を、送りモータ32側に切り換える。なお、S42の処理を実行する時点で、ブレーキ回路220がモータ制御信号UL2,VL2,WL2をH電位に維持しているので、モータ制御信号出力先切換回路204が送りモータ32側に切り換わり、捩りモータ76側にMCU202からの短絡ブレーキ信号が出力されなくなっても、捩りモータ76に対するブレーキが維持される。
【0150】
S44では、MCU202は、送りモータ32を正回転させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。これによって、送りモータ32が正回転し、ワイヤWを引き戻す引き戻し工程が開始される。
【0151】
S46では、MCU202は、停止判断期間が開始するまで待機する。MCU202は、例えば、図39のS38で捩りモータ76にブレーキをかけ始めた時からの経過時間が所定時間に達した場合に、停止判断期間が開始したものと判断する。停止判断期間が開始すると(YESとなると)、処理はS48へ進む。
【0152】
S48では、MCU202は、汎用入出力ポート202cで監視している捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2に変化があるか否かを判断する。ホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2に変化がある場合(YESの場合)、処理はS50へ進む。S50では、MCU202は、エラーが発生したものと判断して、エラー処理を実行する。ホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2に変化がない場合(NOの場合)、処理はS52へ進む。
【0153】
S52では、MCU202は、停止判断期間が終了したか否かを判断する。MCU202は、例えば、S46で停止判断期間が開始してからの経過時間が所定時間に達した場合に、停止判断期間が終了したものと判断する。停止判断期間が終了していない場合(NOの場合)、処理はS48へ戻る。停止判断期間が終了すると(YESとなると)、処理はS54へ進む。
【0154】
S54では、MCU202は、ブレーキ信号BR2としてL電位を出力する。これによって、ブレーキ回路220による、モータ制御信号UL2,VL2,WL2のH電位への維持が解除される。
【0155】
S56では、MCU202は、ワイヤWの引き戻しが完了するまで待機する。例えば、MCU202は、電流検出回路216で検出される電流値が所定値以上となった場合に、ワイヤWの引き戻しが完了したと判断する。ワイヤWの引き戻しが完了すると(YESとなると)、処理はS58へ進む。
【0156】
S58では、MCU202は、送りモータ32を停止させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLとして短絡ブレーキ信号を出力する。これによって、送りモータ32にブレーキがかけられる。
【0157】
S60では、MCU202は、ブレーキ信号BR1としてH電位を出力する。これによって、ブレーキ回路218が、モータ制御信号UL1、VL1,WL1をH電位に維持する。S60の処理の後、図40の処理は終了する。
【0158】
(捩りモータ第2駆動処理)
以下では図41を参照しながら、捩りモータ第2駆動処理の詳細について説明する。S62では、MCU202は、切換信号SWとしてL電位を出力し、モータ制御信号出力先切換回路204とモータ回転信号入力元切換回路206を、捩りモータ76側に切り換える。なお、S62の処理を実行する時点で、ブレーキ回路218がモータ制御信号UL1,VL1,WL1をH電位に維持しているので、モータ制御信号出力先切換回路204が捩りモータ76側に切り換わり、送りモータ32側にMCU202からの短絡ブレーキ信号が出力されなくなっても、送りモータ32に対するブレーキが維持される。
【0159】
S64では、MCU202は、捩りモータ76を正回転させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。これによって、捩りモータ76が正回転し、ワイヤWの後端を保持する後端保持工程と、ワイヤWを切断する切断工程と、ワイヤWを引っ張る引っ張り工程と、ワイヤWを捩る捩り工程が、順に実行されていく。
【0160】
S66では、MCU202は、停止判断期間が開始するまで待機する。MCU202は、例えば、図40のS58で送りモータ32にブレーキをかけ始めた時からの経過時間が所定時間に達した場合に、停止判断期間が開始したものと判断する。停止判断期間が開始すると(YESとなると)、処理はS68へ進む。
【0161】
S68では、MCU202は、汎用入出力ポート202cで監視している送りモータ32からのホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1に変化があるか否かを判断する。ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1に変化がある場合(YESの場合)、処理はS70へ進む。S70では、MCU202は、エラーが発生したものと判断して、エラー処理を実行する。ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1に変化がない場合(NOの場合)、処理はS72へ進む。
【0162】
S72では、MCU202は、停止判断期間が終了したか否かを判断する。MCU202は、例えば、S66で停止判断期間が開始してからの経過時間が所定時間に達した場合に、停止判断期間が終了したものと判断する。停止判断期間が終了していない場合(NOの場合)、処理はS68へ戻る。停止判断期間が終了すると(YESとなると)、処理はS74へ進む。
【0163】
S74では、MCU202は、ブレーキ信号BR1としてL電位を出力する。これによって、ブレーキ回路218による、モータ制御信号UL1,VL1,WL1のH電位への維持が解除される。
【0164】
S76では、MCU202は、ワイヤWの捩りが完了するまで待機する。例えば、MCU202は、電流検出回路216で検出される電流値が、ワイヤWの結束力の設定値に応じた電流値以上となった場合に、ワイヤWの捩りが完了したと判断する。ワイヤWの捩りが完了すると(YESとなると)、処理はS78へ進む。
【0165】
S78では、MCU202は、捩りモータ76を停止させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLとして短絡ブレーキ信号を出力する。これによって、捩りモータ76にブレーキがかけられる。
【0166】
S80では、MCU202は、捩りモータ76が停止するまで待機する。捩りモータ76が停止したか否かは、モータ回転信号入力ポート202bに入力される捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2に基づいて判断することができる。捩りモータ76が停止すると(YESとなると)、図41の処理は終了する。
【0167】
(捩りモータ第3駆動処理)
以下では図42を参照しながら、捩りモータ第3駆動処理の詳細について説明する。
【0168】
S82では、MCU202は、捩りモータ76を逆回転させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLを出力する。これによって、捩りモータ76が逆回転し、捩り機構30が初期状態に復帰する初期状態復帰工程が開始される。
【0169】
S84では、MCU202は、捩り機構30が初期状態に復帰するまで待機する。捩り機構30が初期状態に復帰したか否かは、初期状態検出センサ136の検出信号に基づいて判断することができる。捩り機構30が初期状態に復帰すると(YESとなると)、処理はS86へ進む。
【0170】
S86では、MCU202は、捩りモータ76を停止させるように、モータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WLとして短絡ブレーキ信号を出力する。これによって、捩りモータ76にブレーキがかけられる。
【0171】
S88では、MCU202は、捩りモータ76が停止するまで待機する。捩りモータ76が停止したか否かは、モータ回転信号入力ポート202bに入力される捩りモータ76からのホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2に基づいて判断することができる。捩りモータ76が停止すると(YESとなると)、図42の処理は終了する。
【0172】
図43は、図37図42の一連の処理における、送りモータ32と、捩りモータ76の動作の様子を示している。上記の処理においては、送りモータ第1駆動処理において、送りモータ32にブレーキをかけ始めた後、送りモータ32が完全に停止する前に、捩りモータ第1駆動処理において、捩りモータ76の正回転を開始させる。これによって、送りモータ32が完全に停止した後に、捩りモータ76の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。また、上記の処理においては、捩りモータ第1駆動処理において、捩りモータ76にブレーキをかけ始めた後、捩りモータ76が完全に停止する前に、送りモータ第2駆動処理において、送りモータ32の正回転を開始させる。これによって、捩りモータ76が完全に停止した後に、送りモータ32の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。さらに、上記の処理においては、送りモータ第2駆動処理において、送りモータ32にブレーキをかけ始めた後、送りモータ32が完全に停止する前に、捩りモータ第2駆動処理において、捩りモータ76の正回転を開始させる。これによって、送りモータ32が完全に停止した後に、捩りモータ76の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。
【0173】
(実施例2)
本実施例の鉄筋結束機302は、実施例1の鉄筋結束機2と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例の鉄筋結束機302について、実施例1の鉄筋結束機2と相違する点について説明し、実施例1の鉄筋結束機2と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0174】
図44に示すように、本実施例の鉄筋結束機302は、送りモータ32の代わりに、送りモータ304を備えている。送りモータ304は、ブラシ付きモータである。また、本実施例の鉄筋結束機302は、捩りモータ76の代わりに、捩りモータ306を備えている。捩りモータ306は、ブラシ付きモータである。
【0175】
本実施例の鉄筋結束機302は、制御基板20の代わりに、制御基板308を備えている。制御基板308には、制御電源回路200、MCU(Micro Control Unit)350、モータ制御信号出力先切換回路310、ゲートドライブ回路312、314、フルブリッジ回路316、318、電流検出回路216、ブレーキ回路320、322等が設けられている。
【0176】
図45に示すように、フルブリッジ回路316は、スイッチング素子324a,324b,326a,326bを備えている。スイッチング素子324a,324b,326a,326bは、電界効果トランジスタであり、詳しくは、絶縁ゲートを有するMOSFETである。スイッチング素子324aは、正極側電位線228とモータ電力線328を接続している。スイッチング素子324bは、負極側電位線230とモータ電力線328を接続している。スイッチング素子326aは、正極側電位線228とモータ電力線330を接続している。スイッチング素子326bは、負極側電位線230とモータ電力線330を接続している。正極側電位線228は、バッテリBの正極側電源電位に接続されている。負極側電位線230は、電流検出回路216に接続されている。モータ電力線328,330は、送りモータ304のコイル(図示省略)に接続されている。
【0177】
同様に、フルブリッジ回路318は、スイッチング素子332a,332b,334a,334bを備えている。スイッチング素子332a,332b,334a,334bは、電界効果トランジスタであり、詳しくは、絶縁ゲートを有するMOSFETである。スイッチング素子332aは、正極側電位線244とモータ電力線336を接続している。スイッチング素子332bは、負極側電位線246とモータ電力線336を接続している。スイッチング素子334aは、正極側電位線244とモータ電力線338を接続している。スイッチング素子334bは、負極側電位線246とモータ電力線338を接続している。正極側電位線244は、バッテリBの正極側電源電位に接続されている。負極側電位線246は、電流検出回路216に接続されている。モータ電力線336,338は、捩りモータ306のコイル(図示省略)に接続されている。
【0178】
ゲートドライブ回路312は、モータ制御信号LH1,RH1,LL1,RL1に応じて、フルブリッジ回路316の各スイッチング素子324a,324b,326a,326bを導通と非導通の間で切り換えることで、送りモータ304の動作を制御する。なお、送りモータ304が回転している時に、ゲートドライブ回路312がスイッチング素子324a,324b,326a,326bを全て非導通とすると、送りモータ304への電力供給が遮断され、送りモータ304は慣性による回転を継続した後、停止する。また、送りモータ304が回転している時に、ゲートドライブ回路312がスイッチング素子324a,326aを非導通とし、スイッチング素子324b,326bを導通とすると、送りモータ304にはいわゆる短絡ブレーキがかかり、送りモータ304の回転は即座に停止する。なお、以下では、LL1,RL1が全てH電位であるモータ制御信号LH1,RH1,LL1,RL1(この場合、スイッチング素子324b,326bは全て導通となる)を、短絡ブレーキ信号ともいう。
【0179】
同様に、ゲートドライブ回路314は、モータ制御信号LH2,RH2,LL2,RL2に応じて、フルブリッジ回路318の各スイッチング素子332a,332b,334a,334bを導通と非導通の間で切り換えることで、捩りモータ306の動作を制御する。なお、捩りモータ306が回転している時に、ゲートドライブ回路314がスイッチング素子332a,332b,334a,334bを全て非導通とすると、捩りモータ306への電力供給が遮断され、捩りモータ306は慣性による回転を継続した後、停止する。また、捩りモータ306が回転している時に、ゲートドライブ回路314がスイッチング素子332a,334aを非導通とし、スイッチング素子332b,334bを導通とすると、捩りモータ306にはいわゆる短絡ブレーキがかかり、捩りモータ306の回転は即座に停止する。なお、以下では、LL2,RL2が全てH電位であるモータ制御信号LH2,RH2,LL2,RL2(この場合、スイッチング素子332b,334bは全て導通となる)を、短絡ブレーキ信号ともいう。
【0180】
図44に示すように、電流検出回路216は、フルブリッジ回路316およびフルブリッジ回路318と、バッテリBの負極側電源電位の間に配置されている。電流検出回路216は、フルブリッジ回路316およびフルブリッジ回路316を流れる電流の大きさを検出する。電流検出回路216は、検出された電流値を、MCU350に出力する。
【0181】
MCU350は、モータ制御信号出力ポート350aと、汎用入出力ポート350cを備えている。モータ制御信号出力ポート350aは、ブラシ付きモータへのモータ制御信号LH,RH,LL,RLの出力のために設けられており、汎用入出力ポート350cよりも高速での信号処理が可能である。表示基板22の設定表示LED22aおよび設定スイッチ22b、トリガスイッチ9、初期状態検出センサ136、把持検出センサ138、電流検出回路216は、MCU350の汎用入出力ポート350cに接続されている。
【0182】
MCU350のモータ制御信号出力ポート350aは、モータ制御信号出力先切換回路310に接続されている。モータ制御信号出力先切換回路310は、MCU350の汎用入出力ポート350cから出力される切換信号SWに応じて、モータ制御信号出力ポート350aから出力されるモータ制御信号LH,RH,LL,RLの出力先を、ゲートドライブ回路312とゲートドライブ回路314の間で切り換える。モータ制御信号出力先切換回路310の回路構成は、実施例1のモータ制御信号出力先切換回路204の回路構成と略同様である。
【0183】
図46に示すように、ブレーキ回路320は、モータ制御信号出力先切換回路310からゲートドライブ回路312に出力される、モータ制御信号LL1,RL1の信号線に接続されている。ブレーキ回路320は、MCU350の汎用入出力ポート350cから出力されるブレーキ信号BR1に応じて、送りモータ304に短絡ブレーキをかける。ブレーキ回路320は、トランジスタ340a,340b,340cと、抵抗器342a,342b,342c,342d,342e,342fを備えている。MCU350から入力されるブレーキ信号BR1がL電位の場合、トランジスタ340aがオフとなり、トランジスタ340b、340cが何れもオフとなるので、ゲートドライブ回路312には、モータ制御信号出力先切換回路310から出力されたモータ制御信号LL1,RL1がそのまま入力される。MCU350から入力されるブレーキ信号BR1がH電位の場合、トランジスタ340aがオンとなり、トランジスタ340b、340cが何れもオンとなるので、ゲートドライブ回路312に入力されるモータ制御信号LL1,RL1は、全てH電位となる。この場合、ゲートドライブ回路312に短絡ブレーキ信号が入力され、送りモータ304には短絡ブレーキがかけられる。
【0184】
同様に、ブレーキ回路322は、モータ制御信号出力先切換回路310からゲートドライブ回路314に出力される、モータ制御信号LL2,RL2の信号線に接続されている。ブレーキ回路322は、MCU350の汎用入出力ポート350cから出力されるブレーキ信号BR2に応じて、捩りモータ306に短絡ブレーキをかける。ブレーキ回路322は、トランジスタ344a,344b,344cと、抵抗器346a,346b,346c,346d,346e,346fを備えている。MCU350から入力されるブレーキ信号BR2がL電位の場合、トランジスタ344aがオフとなり、トランジスタ344b、344cが何れもオフとなるので、ゲートドライブ回路314には、モータ制御信号出力先切換回路310から出力されたモータ制御信号LL2,RL2がそのまま入力される。MCU350から入力されるブレーキ信号BR2がH電位の場合、トランジスタ344aがオンとなり、トランジスタ344b、344cが何れもオンとなるので、ゲートドライブ回路314に入力されるモータ制御信号LL2,RL2は、全てH電位となる。この場合、ゲートドライブ回路314には短絡ブレーキ信号が入力され、捩りモータ306には短絡ブレーキがかけられる。
【0185】
MCU350は、トリガスイッチ9がオフからオンに切り換わると、図37図42と同様の処理を実行する。なお、本実施例では、送りモータ304や捩りモータ306がホールセンサを備えていないので、図39のS26-S32の処理や、図40のS46-S52の処理や、図41のS66-S72の処理は行わない。また、本実施例では、図39のS16の処理において、ワイヤ送り出し量の算出を、例えばS14で送りモータ304が逆回転を開始してからの経過時間に基づいて行う。さらに、本実施例では、図41のS80の処理において、捩りモータ306が停止したか否かの判断を、例えばS78で捩りモータ306に停止を指示してからの経過時間に基づいて行う。同様に、本実施例では、図42のS88の処理において、捩りモータ306が停止したか否かの判断を、例えばS86で捩りモータ306に停止を指示してからの経過時間に基づいて行う。
【0186】
本実施例の鉄筋結束機302においても、送りモータ第1駆動処理において、送りモータ304にブレーキをかけ始めた後、送りモータ304が完全に停止する前に、捩りモータ第1駆動処理において、捩りモータ306の正回転を開始させる。これによって、送りモータ304が完全に停止した後に、捩りモータ306の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。また、本実施例の鉄筋結束機302においても、捩りモータ第1駆動処理において、捩りモータ306にブレーキをかけ始めた後、捩りモータ306が完全に停止する前に、送りモータ第2駆動処理において、送りモータ304の正回転を開始させる。これによって、捩りモータ306が完全に停止した後に、送りモータ304の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。さらに、上記の処理においては、送りモータ第2駆動処理において、送りモータ304にブレーキをかけ始めた後、送りモータ304が完全に停止する前に、捩りモータ第2駆動処理において、捩りモータ306の正回転を開始させる。これによって、送りモータ304が完全に停止した後に、捩りモータ306の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。
【0187】
(実施例3)
本実施例の鉄筋結束機402は、実施例1の鉄筋結束機2や実施例2の鉄筋結束機302と略同様の構成を備えている。以下では、本実施例の鉄筋結束機402について、実施例1の鉄筋結束機2や実施例2の鉄筋結束機302と相違する点について説明し、実施例1の鉄筋結束機2や実施例2の鉄筋結束機302と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0188】
図47に示すように、本実施例の鉄筋結束機402は、ブラシ付きモータである送りモータ304と、ブラシレスモータである捩りモータ76を備えている。
【0189】
本実施例の鉄筋結束機402は、制御基板20の代わりに、制御基板404を備えている。制御基板404には、制御電源回路200、MCU(Micro Control Unit)202、モータ制御信号出力先切換回路406、ゲートドライブ回路210、312、インバータ回路214、フルブリッジ回路316、電流検出回路216、ブレーキ回路220、320等が設けられている。
【0190】
モータ制御信号出力先切換回路406は、MCU202のモータ制御信号出力ポート202aに接続されている。モータ制御信号出力先切換回路406は、MCU202の汎用入出力ポート202cから出力される切換信号SWに応じて、モータ制御信号出力ポート202aから出力されるモータ制御信号UH、VH,WH,UL,VL,WLの出力先を、ゲートドライブ回路210とゲートドライブ回路312の間で切り換える。なお、MCU202は、送りモータ304を制御する際には、モータ制御信号UH,VH,WH,ULとしてブラシ付きモータの制御に用いるモータ制御信号LH,RH,LL,RLを出力し、捩りモータ76を制御する際には、ブラシレスモータの制御に用いるモータ制御信号UH、VH,WH,UL,VL,WLを出力する。
【0191】
本実施例の鉄筋結束機402では、捩りモータ76のホールセンサ192は、MCU202のモータ回転信号入力ポート202bに接続されている。MCU202は、捩りモータ76を制御する際には、モータ回転信号入力ポート202bに入力されるホールセンサ信号Hu,Hv,Hwに基づいて、モータ制御信号UH、VH,WH,UL,VL,WLを出力する。
【0192】
MCU202は、トリガスイッチ9がオフからオンに切り換わると、図37図42と同様の処理を実行する。なお、本実施例では、送りモータ304がホールセンサを備えていないので、図39のS26-S32の処理や、図41のS66-S72の処理は行わない。また、本実施例では、図39のS16の処理において、ワイヤ送り出し量の算出を、例えばS14で送りモータ304が逆回転を開始してからの経過時間に基づいて行う。
【0193】
本実施例の鉄筋結束機402においても、送りモータ第1駆動処理において、送りモータ304にブレーキをかけ始めた後、送りモータ304が完全に停止する前に、捩りモータ第1駆動処理において、捩りモータ76の正回転を開始させる。これによって、送りモータ304が完全に停止した後に、捩りモータ76の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。また、本実施例の鉄筋結束機402においても、捩りモータ第1駆動処理において、捩りモータ76にブレーキをかけ始めた後、捩りモータ76が完全に停止する前に、送りモータ第2駆動処理において、送りモータ304の正回転を開始させる。これによって、捩りモータ76が完全に停止した後に、送りモータ304の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。さらに、上記の処理においては、送りモータ第2駆動処理において、送りモータ304にブレーキをかけ始めた後、送りモータ304が完全に停止する前に、捩りモータ第2駆動処理において、捩りモータ76の正回転を開始させる。これによって、送りモータ304が完全に停止した後に、捩りモータ76の正回転を開始させる場合に比べて、ワイヤWで鉄筋Rを結束するまでに要する時間を短縮することができる。
【0194】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2,302,402は、送りモータ32,304(第1モータの例)を有しており、ワイヤWを送る送り機構24と、捩りモータ76,306(第2モータの例)を有しており、ワイヤWを捩る捩り機構30と、送りモータ32,304よび捩りモータ76,306を制御するMCU202,350(コントロールユニットの例)と、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406を備えている。MCU202,350は、汎用入出力ポート202c、350cと、モータ制御信号出力ポート202a,350aを備えている。モータ制御信号出力先切換回路204,310,406は、MCU202,350からのモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WL(またはLH,RH,LL,RL)を、送りモータ32,304と捩りモータ76,306のうちの選択された一方に出力する。モータ制御信号出力先切換回路204,310,406は、切換信号SW(出力切換信号の例)に応じて、送りモータ32,304と捩りモータ76,306のうちの一方を選択する。
【0195】
上記の構成によれば、1つのモータに対応するモータ制御信号出力ポート202a,350aから、送りモータ32,304へのモータ制御信号UH1,VH1,WH1,UL1,VL1,WL1(またはLH1,RH1,LL1,RL1)と、捩りモータ76,306へのモータ制御信号UH2,VH2,WH2,UL2,VL2,WL2(またはLH2,RH2,LL2,RL2)を、選択的に出力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、送り機構24の送りモータ32,304と捩り機構30の捩りモータ76,306の両方を精度よく制御することができる。
【0196】
1つまたはそれ以上の実施形態において、切換信号SWは、MCU202,350の汎用入出力ポート202c、350cから出力される。
【0197】
上記の構成によれば、MCU202,350が行う処理のタイミングに合わせて、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406の切換えを行うことができる。
【0198】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406は、デマルチプレクサ260を備えている。
【0199】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406を実現することができる。
【0200】
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2,302,402は、送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力するブレーキ回路218,320(第1ブレーキ回路の例)をさらに備えている。モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が送りモータ32,304を選択した状態から捩りモータ76,306を選択した状態に切り換わる時に、ブレーキ回路218,320が送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力する。
【0201】
上記の構成によれば、MCU202,350が送りモータ32,304を制御する状態から、捩りモータ76,306を制御する状態に切り換わる時に、ブレーキ回路218,320によって送りモータ32,304に短絡ブレーキがかかるので、送りモータ32,304を速やかに停止させることができる。
【0202】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が送りモータ32,304を選択した状態から捩りモータ76,306を選択した状態に切り換わる時に、送りモータ32,304の回転が停止する前に、捩りモータ76,306の回転が開始する。
【0203】
上記の構成によれば、送りモータ32,304の回転が停止した後に、捩りモータ76,306の回転が開始する場合に比べて、鉄筋Rの結束に要する時間を短縮することができる。
【0204】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が送りモータ32,304を選択した状態から捩りモータ76,306を選択した状態に切り換わる前に、ブレーキ回路218,320が送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力する。
【0205】
モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が送りモータ32,304を選択した状態から捩りモータ76,306を選択した状態に切り換わる時に、送りモータ32,304が慣性により回転すると、回生電流が生じてバッテリBに劣化や故障を招くおそれがある。上記の構成によれば、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が送りモータ32,304を選択した状態から捩りモータ76,306を選択した状態に切り換わる時に、送りモータ32,304が慣性により回転することを抑制することができる。
【0206】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブレーキ回路218,320が送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力する前に、MCU202,350が送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力する。
【0207】
仮に、MCU202,350が送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力する前に、ブレーキ回路218,320が送りモータ32,304に短絡ブレーキ信号を出力すると、ブレーキ回路218,320からMCU202,350に電流が流れ込むおそれがある。上記の構成によれば、ブレーキ回路218,320からMCU202,350に電流が流れ込むことを抑制することができる。
【0208】
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2,302,402は、捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力するブレーキ回路220,322(第2ブレーキ回路の例)をさらに備えている。モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が捩りモータ76,306を選択した状態から送りモータ32,304を選択した状態に切り換わる時に、ブレーキ回路220,322が捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力する。
【0209】
上記の構成によれば、MCU202,350が捩りモータ76,306を制御する状態から、送りモータ32,304を制御する状態に切り換わる時に、ブレーキ回路220,322によって捩りモータ76,306に短絡ブレーキがかかるので、捩りモータ76,306を速やかに停止させることができる。
【0210】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が捩りモータ76,306を選択した状態から送りモータ32,304を選択した状態に切り換わる時に、捩りモータ76,306の回転が停止する前に、送りモータ32,304の回転が開始する。
【0211】
上記の構成によれば、捩りモータ76,306の回転が停止した後に、送りモータ32,304の回転が開始する場合に比べて、鉄筋Rの結束に要する時間を短縮することができる。
【0212】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が捩りモータ76,306を選択した状態から送りモータ32,304を選択した状態に切り換わる前に、ブレーキ回路220,322が捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力してもよい。
【0213】
モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が捩りモータ76,306を選択した状態から送りモータ32,304を選択した状態に切り換わる時に、捩りモータ76,306が慣性により回転すると、回生電流が生じてバッテリBに劣化や故障を招くおそれがある。上記の構成によれば、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406が捩りモータ76,306を選択した状態から送りモータ32,304を選択した状態に切り換わる時に、捩りモータ76,306が慣性により回転することを抑制することができる。
【0214】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ブレーキ回路220,322が捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力する前に、MCU202,350が捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力する。
【0215】
仮に、MCU202,350が捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力する前に、ブレーキ回路220,322が捩りモータ76,306に短絡ブレーキ信号を出力すると、ブレーキ回路220,322からMCU202,350に電流が流れ込むおそれがある。上記の構成によれば、ブレーキ回路220,322からMCU202,350に電流が流れ込むことを抑制することができる。
【0216】
1つまたはそれ以上の実施形態において、送りモータ32は、ブラシレスモータ(第1ブラシレスモータの例)である。
【0217】
上記の構成によれば、送りモータ32を長寿命化することができるとともに、メンテナンスの頻度を低減することができる。
【0218】
1つまたはそれ以上の実施形態において、捩りモータ76は、ブラシレスモータ(第2ブラシレスモータの例)である。
【0219】
上記の構成によれば、捩りモータ76を長寿命化することができるとともに、メンテナンスの頻度を低減することができる。
【0220】
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、モータ回転信号入力元切換回路206をさらに備えていてもよい。送りモータ32は、ブラシレスモータ(第1ブラシレスモータの例)である。捩りモータ76は、ブラシレスモータ(第2ブラシレスモータの例)である。送りモータ32は、ホールセンサ180(第1ホールセンサの例)を備えている。捩りモータ76は、ホールセンサ192(第2ホールセンサの例)を備えている。MCU202は、モータ回転信号入力ポート202bをさらに備えている。モータ回転信号入力元切換回路206は、ホールセンサ180からの第1ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1とホールセンサ192からの第2ホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2のうちの選択された一方をモータ回転信号入力ポート202bに入力する。モータ回転信号入力元切換回路206は、切換信号SW(入力切換信号の例)に応じて、第1ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1と第2ホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2のうちの一方を選択する。
【0221】
送りモータ32や捩りモータ76がブラシレスモータである場合、MCU202に高速での信号処理が可能なモータ回転信号入力ポート202bを設けておいて、ホールセンサ信号Hu,Hv,Hwをモータ回転信号入力ポート202bに入力することで、ブラシレスモータをより精度よく制御することが可能となる。上記の構成によれば、1つのブラシレスモータに対応するモータ回転信号入力ポート202bに、送りモータ32の第1ホールセンサ信号Hu1,Hv1,Hw1と、捩りモータ76の第2ホールセンサ信号Hu2,Hv2,Hw2を選択的に入力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、送りモータ32と捩りモータ76の両方を精度よく制御することができる。
【0222】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータ回転信号入力元切換回路206とモータ制御信号出力先切換回路204は、同一の切換信号SWに応じて切り換わる。
【0223】
上記の構成によれば、モータ回転信号入力元切換回路206とモータ制御信号出力先切換回路204を共通の信号によって切り換えるので、回路構成を簡素化することができる。
【0224】
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2,302,402(電動作業機の例)は、送りモータ32,304(第1モータの例)と、捩りモータ76,306(第2モータの例)と、送りモータ32,304および捩りモータ76,306を制御するMCU202,350(コントロールユニットの例)と、モータ制御信号出力先切換回路204,310,406を備えている。MCU202,350は、汎用入出力ポート202c、350cと、モータ制御信号出力ポート202a,350aを備えている。モータ制御信号出力先切換回路204,310,406は、MCU202,350からのモータ制御信号UH,VH,WH,UL,VL,WL(またはLH,RH,LL,RL)を、送りモータ32,304と捩りモータ76,306のうちの選択された一方に出力する。モータ制御信号出力先切換回路204,310,406は、切換信号SW(出力切換信号の例)に応じて、送りモータ32,304と捩りモータ76,306のうちの一方を選択する。
【0225】
上記の構成によれば、1つのモータに対応するモータ制御信号出力ポート202aから、送りモータ32,304へのモータ制御信号UH1,VH1,WH1,UL1,VL1,WL1(またはLH1,RH1,LL1,RL1)と、捩りモータ76へのモータ制御信号UH2,VH2,WH2,UL2,VL2,WL2(またはLH2,RH2,LL2,RL2)を、選択的に出力することができる。このような構成とすることによって、大幅なコストアップを招くことなく、送りモータ32,304と捩りモータ76,306の両方を精度よく制御することができる。
【符号の説明】
【0226】
2 :鉄筋結束機
4 :本体
6 :グリップ
8 :トリガ
9 :トリガスイッチ
10 :バッテリ取付部
12 :リールホルダ
12a :収容空間
12b :表示部
12c :操作部
14 :ホルダハウジング
14a :回動軸
16 :カバー部材
18 :リール
20 :制御基板
22 :表示基板
22a :設定表示LED
22b :設定スイッチ
24 :送り機構
26 :案内機構
28 :切断機構
30 :捩り機構
32 :送りモータ
34 :減速部
36 :送り部
38 :ベース部材
40 :ガイド部材
40a :ガイド孔
42 :駆動ギヤ
44 :第1ギヤ
44a :溝
46 :第2ギヤ
46a :溝
48 :ギヤ支持部材
48a :揺動軸
52 :付勢部材
56 :ワイヤガイド
56a :突起部
58 :上側案内アーム
58a :上側案内通路
60 :下側案内アーム
60a :下側案内通路
61 :第1案内ピン
62 :第2案内ピン
66 :切断部材
66a :回動軸
68 :リンク部
70 :連結部材
72 :被操作部材
72a :回動軸
72b :突片
74 :付勢部材
76 :捩りモータ
78 :減速部
82 :保持部
84 :スクリューシャフト
84a :太径部
84b :細径部
84c :ボール溝
84d :係合溝
86 :クランプガイド
86a :凹部
86b :係合ピン
86c :段差部
88 :スリーブ
90 :挟持部材
92 :付勢部材
94 :ボール
96 :ワッシャ
100 :インナスリーブ
100a :リブ
102 :アウタスリーブ
102a :段差部
104 :支持部材
106 :止めねじ
110 :案内ピン
114 :上側挟持部材
116 :下側挟持部材
118 :上側基部
118a :上側案内孔
120 :第1上側突部
121 :上側連結部
122 :第2上側突部
123 :第1抜け止め部
124 :第1ワイヤ通路
126 :下側基部
126a :下側案内孔
128 :第1下側突部
129 :下側連結部
130 :第2下側突部
131 :第2抜け止め部
132 :第2ワイヤ通路
134 :補助通路
136 :初期状態検出センサ
138 :把持検出センサ
140 :プッシュプレート
140a :初期状態検出マグネット
140b :把持検出マグネット
144 :フィン
146 :ショートフィン
148 :ロングフィン
150 :回転制限部
152 :ベース部材
154 :上側ストッパ
154a :規制片
156 :下側ストッパ
156a :規制片
158 :揺動軸
160 :揺動軸
162 :付勢部材
164 :付勢部材
170 :コイル
172 :ティース
174 :ステータ
176 :ロータ
178 :センサ基板
180 :ホールセンサ
180a :第1ホール素子
180b :第2ホール素子
180c :第3ホール素子
182 :コイル
184 :ティース
186 :ステータ
188 :ロータ
190 :センサ基板
192 :ホールセンサ
192a :第1ホール素子
192b :第2ホール素子
192c :第3ホール素子
200 :制御電源回路
202 :MCU
202a :モータ制御信号出力ポート
202b :モータ回転信号入力ポート
202c :汎用入出力ポート
204 :モータ制御信号出力先切換回路
206 :モータ回転信号入力元切換回路
208 :ゲートドライブ回路
210 :ゲートドライブ回路
212 :インバータ回路
214 :インバータ回路
216 :電流検出回路
218 :ブレーキ回路
220 :ブレーキ回路
222a :スイッチング素子
222b :スイッチング素子
224a :スイッチング素子
224b :スイッチング素子
226a :スイッチング素子
226b :スイッチング素子
228 :正極側電位線
230 :負極側電位線
232 :モータ電力線
234 :モータ電力線
236 :モータ電力線
238a :スイッチング素子
238b :スイッチング素子
240a :スイッチング素子
240b :スイッチング素子
242a :スイッチング素子
242b :スイッチング素子
244 :正極側電位線
246 :負極側電位線
248 :モータ電力線
250 :モータ電力線
252 :モータ電力線
260 :デマルチプレクサ
262 :FET
264 :FET
266 :NOTゲート
268 :NORゲート
270 :NORゲート
272 :NOTゲート
274 :NOTゲート
274a :トランジスタ
274b :トランジスタ
274c :トランジスタ
274d :トランジスタ
276a :抵抗器
276b :抵抗器
276c :抵抗器
276d :抵抗器
276e :抵抗器
276f :抵抗器
276g :抵抗器
276h :抵抗器
278a :トランジスタ
278b :トランジスタ
278c :トランジスタ
278d :トランジスタ
280a :抵抗器
280b :抵抗器
280c :抵抗器
280d :抵抗器
280e :抵抗器
280f :抵抗器
280g :抵抗器
280h :抵抗器
282 :マルチプレクサ
284 :FET
286 :FET
288 :NOTゲート
290 :NORゲート
292 :NORゲート
294 :NORゲート
296 :NOTゲート
302 :鉄筋結束機
304 :送りモータ
306 :捩りモータ
308 :制御基板
310 :モータ制御信号出力先切換回路
312 :ゲートドライブ回路
314 :ゲートドライブ回路
316 :フルブリッジ回路
318 :フルブリッジ回路
320 :ブレーキ回路
322 :ブレーキ回路
324a :スイッチング素子
324b :スイッチング素子
326a :スイッチング素子
326b :スイッチング素子
328 :モータ電力線
330 :モータ電力線
332a :スイッチング素子
332b :スイッチング素子
334a :スイッチング素子
334b :スイッチング素子
336 :モータ電力線
338 :モータ電力線
340a :トランジスタ
340b :トランジスタ
340c :トランジスタ
342a :抵抗器
342b :抵抗器
342c :抵抗器
342d :抵抗器
342e :抵抗器
342f :抵抗器
344a :トランジスタ
344b :トランジスタ
344c :トランジスタ
346a :抵抗器
346b :抵抗器
346c :抵抗器
346d :抵抗器
346e :抵抗器
346f :抵抗器
350 :MCU
350a :モータ制御信号出力ポート
350c :汎用入出力ポート
402 :鉄筋結束機
404 :制御基板
406 :モータ制御信号出力先切換回路
図1
図2
図3
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図40
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