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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】結紮具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020005831
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021112346
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】塚本 俊彦
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-017712(JP,U)
【文献】特表2005-512758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0224695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結紮具であって、
弾性を有し、伸縮可能な環状体と、
前記環状体の周方向における一部に係合する係合部分を有し、かつ、少なくとも一部分にX線不透過性材料を含有しているマーカーと、
備える、
結紮具。
【請求項2】
請求項1に記載の結紮具であって、
前記マーカーにおける前記係合部分の形状は、前記環状体の前記一部を囲む環状である、
結紮具。
【請求項3】
請求項2に記載の結紮具であって、
前記マーカーにおける前記係合部分の前記環状体を囲んでいる周長は、前記環状体の前記一部の横断面の外形線の長さより長い、
結紮具。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の結紮具であって、
前記マーカーは、前記係合部分から延び、かつ、X線不透過性材料を含有している延出部分を有している、
結紮具。
【請求項5】
請求項4に記載の結紮具であって、
前記延出部分の最大幅は、前記係合部分の最大幅より広い、
結紮具。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の結紮具であって、
前記マーカーの前記係合部分におけるX線不透過性材料の含有率は、前記延出部分におけるX線不透過性材料の含有率より小さい、
結紮具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、静脈瘤や憩室等の患部を結紮するための結紮具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の消化管等に形成された憩室および静脈瘤等の患部を結紮(患部を縛ること)するために、結紮用デバイスが用いられる。結紮用デバイスは、筒体と、ゴム製の結紮用Oリングとを備え、例えば内視鏡等の先端に装着される。結紮用Oリングは、引き延ばされた状態で筒体の外周に装着されている。結紮用デバイスを体内に挿入し、患部を筒体内に吸引し、結紮用Oリングを筒体の先端側に押し出して離脱させる。離脱した結紮用Oリングは、収縮し、患部の吸引部分に装着され、患部が結紮される。結紮された患部は、血行が止まり、縮小、消失、血栓化あるいは壊死する。役割を終えた結紮用Oリングは、最終的には排泄される。
【0003】
患部の結紮の治療後、体内に結紮用Oリングが残存するか否かを確認する必要がある。そこで、従来、結紮用OリングにX線不透過性材料を含有させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような結紮用Oリングを用いることにより、内視鏡を再度、体内に挿入することなく、レントゲン検査やCT(Computed Tomography)検査等により体内における結紮用Oリングの有無を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-56721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の結紮用Oリングでは、ゴム等の弾性材料に、相対的に弾性が低いX線不透過性材料が含有されているため、結紮用Oリング自体の強度(破断強度)が低く、その結果、例えば、患部を十分に結紮させることができないというおそれがあった。なお、結紮用Oリング自体を太くすれば、強度を高めることは可能であるが、結紮用Oリングは、体内に残存するものであるため、極力、細くて小さいものが望ましい。
【0006】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示される結紮具は、結紮具であって、弾性を有する環状体と、前記環状体の周方向における一部に係合する係合部分を有し、かつ、少なくとも一部分にX線不透過性材料を含有しているマーカーとを、備える。本結紮具は、弾性を有する環状体と、該環状体とは別体であるマーカーとを備える。マーカーは、環状体の周方向における一部分に係合する係合部分を有する。このため、本結紮具によれば、X線不透過性材料を含有する従来の結紮用Oリングに比べて、環状体の強度(破断強度)の低下を抑制できる。また、マーカーの少なくとも一部はX線不透過性材料を含有している。このため、X線を用いて、体内における結紮具の有無を確認することができる。すなわち、本結紮具によれば、環状体の強度の低下の抑制と、X線による体内における結紮具の有無の確認とを両立することができる。
【0009】
(2)上記結紮具において、前記マーカーにおける前記係合部分の形状は、前記環状体の前記一部を囲む環状である構成としてもよい。本結紮具によれば、例えば、マーカーにおける係合部分の形状が、C字状など、環状体の一部の全周を囲まない形状である構成に比べて、環状体からマーカーが離脱することを抑制することができる。
【0010】
(3)上記結紮具において、前記マーカーにおける前記係合部分の長さは、前記環状体の前記一部の横断面の外形線の長さより長い構成としてもよい。本結紮具によれば、例えば、マーカーにおける係合部分の長さが環状体の横断面の外形線の長さ以下である構成に比べて、マーカーにおける係合部分の存在に起因して環状体の弾性変形が制約されることが抑制される。また、環状体におけるマーカーの位置の自由度を確保することができる。
【0011】
(4)上記結紮具において、前記マーカーは、前記係合部分から延び、かつ、X線不透過性材料を含有している延出部分を有している構成としてもよい。本結紮具によれば、例えば、マーカーが延出部分を有しない構成に比べて、X線による体内における結紮具の有無の確認の容易性を向上させることができる。
【0012】
(5)上記結紮具において、前記延出部分の最大幅は、前記係合部分の最大幅より広い構成としてもよい。本結紮具によれば、マーカーの係合部分の存在に起因する環状体の弾性変形の制約を抑制しつつ、延出部分の存在による結紮具の有無の確認の容易性をより向上させることができる。
【0013】
(6)上記結紮具において、前記マーカーの前記係合部分におけるX線不透過性材料の含有率は、前記延出部分におけるX線不透過性材料の含有率より小さい構成としてもよい。本結紮具によれば、X線による体内における結紮具の有無の確認の容易性を確保しつつ、X線不透過性材料を含有することに起因する係合部分の強度の低下を抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、結紮具、結紮具を備える結紮用デバイス等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における結紮用デバイス1の構成を概略的に示す斜視図
図2】第1実施形態における結紮具100の構成を概略的に示す説明図
図3】第1実施形態における結紮具100の構成を概略的に示す説明図(部分的断面図)
図4】第2実施形態における結紮具100aの構成を概略的に示す説明図(部分的断面図)
図5】第3実施形態における結紮具100bの構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
A-1.結紮用デバイス1の構成:
図1は、第1実施形態における結紮用デバイス1の構成を概略的に示す斜視図である。図1には、結紮用デバイス1における先端側のみ示されており、基端側は省略されている。また、後述のスライダ3は、仮想線で示されている。図1において、Z軸正方向側が、体内に挿入される先端側(遠位側)であり、Z軸負方向側が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。なお、図1では、結紮用デバイス1がZ軸方向に平行な直線状となった状態を示しているが、結紮用デバイス1は湾曲させることができる程度の柔軟な部分を有してもよい。また、図1には、後述の結紮具100が拡大して示されている。
【0017】
図1に示すように、結紮用デバイス1は、内側筒体2と、スライダ3と、外側筒体4と、結紮具100と、を備える。
【0018】
内側筒体2は、テーパ部分22と同径部分24とを有する。同径部分24は、内側筒体2の長手方向(Z軸方向)の全長にわたって略同一である外径を有する。テーパ部分22は、同径部分24の先端側に隣接して配置されており、テーパ部分22の外周面は、内側筒体2の先端に向かって外径が連続的に小さくなるテーパ面になっている。内側筒体2の形成材料としては、例えば、金属材料、樹脂材料、セラミックス材料を用いることができる。
【0019】
スライダ3は、内側筒体2の外周を囲むように配置された筒状体であり、内側筒体2に対して上記長手方向(Z軸方向)に沿って移動可能に設けられている。スライダ3の内周面には、該スライダ3の周方向に沿って延びる3つの環状溝32が形成されている。スライダ3は、環状溝32が内側筒体2の同径部分24の外周側に位置する収納位置から、環状溝32が内側筒体2のテーパ部分22の外周側に位置する押し出し位置(図1参照)に、例えば流体駆動により移動可能とされている(図1の白抜き矢印参照)。スライダ3の形成材料としては、処置時の視野を広く保つために、透光性材料、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アクリル樹脂等であってもよい。なお、スライダ3の形成材料は、透光性材料でなくてもよい。
【0020】
外側筒体4は、内側筒体2における同径部分24の外周を囲むように配置された筒状体である。スライダ3は、内側筒体2と外側筒体4との間において上記長手方向(Z軸方向)に沿って移動可能に配置されている。外側筒体4の形成材料としては、例えば、金属材料、樹脂材料、セラミックス材料を用いることができる。
【0021】
A-2.結紮具100の詳細構成:
図2は、第1実施形態における結紮具100の構成を概略的に示す説明図であり、図3は、結紮具100の構成を概略的に示す説明図である。図3には、図2のIII-IIIの位置における結紮具100の一部の断面(後述のOリング110の周方向に直交する断面)の構成が示されている。
【0022】
図2に示すように、結紮具100は、Oリング110と、マーカー120と、を備える。Oリング110は、弾性を有する環状体である。本実施形態では、Oリング110の横断面(Oリング110の軸方向に垂直な断面)の形状は、略矩形であるが(図3参照)、円形や楕円等であってもよい。Oリング110の色は、周辺組織との違いが際立つ色(例えば黒等)であることが好ましい。Oリング110の形成材料としては、内側筒体2に装着可能に十分に伸び、患部を壊死させるのに十分な結紮力を有すると共に、生体適合性を有している限り特に限定されず、例えば、天然ゴム、合成ゴム又は熱可塑性エラストマー等の弾性材料を用いることができる。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーの例としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。なお、Oリング110は、Oリング110自体の強度(破断強度)に実質的に影響がない程度の量(例えば1重量%以下)であれば、X線不透過性材料を含有していてもよい。Oリング110は、特許請求の範囲における弾性を有する環状体の一例である。また、本明細書では、ある部材の「横断面」とは、同部材の軸方向(長手方向)に垂直な断面をいう。
【0023】
マーカー120は、Oリング110とは別体である。マーカー120は、係合部分122と、延出部分124と、を有する。係合部分122は、Oリング110の周方向における一部に係合している。係合部分122は、Oリング110に接合されていない。本実施形態では、Oリング110の軸方向から見たときの係合部分122の形状は、Oリング110の軸周りを囲む環状である(図3参照)。また、Oリング110の軸方向から見たときの係合部分122の全長(係合部分122の内周側の長さ)は、Oリング110の横断面の外形線の長さ(図3のOリング110の矩形の4辺の合計の長さ)より長い。
【0024】
延出部分124は、係合部分122から延びるように形成されている。本実施形態では、延出部分124の全長は、Oリング110の周方向長さより長い。なお、係合部分122と延出部分124とは、1本の線状体の一端部分を環状にしたものである。ただし、マーカー120は、係合部分122と延出部分124とが別体として形成され、互いに接合された構成であってもよい。なお、本実施形態では、係合部分122は、Oリング110よりも細く、Oリング110に対して十分な柔軟性を有する。
【0025】
マーカー120は、全体的に、X線不透過性材料を含有している。X線不透過性材料としては、例えば、金、白金、タングステン、プラチナ、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金など)、または硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、次炭酸ビスマス、バリウム等のX線不透過性材料、あるいは、X線不透過性材料の粉末を含んでいてもよい。なお、マーカー120は、さらに、X線不透過性材料以外の材料を含有していてもよい。例えば、マーカー120は、柔軟性を確保するために、樹脂材料(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂等)を含有していてもよい。なお、マーカー120におけるX線不透過性材料の含有量は、1.0重量%以上であることが好ましく、10.0重量%以上であることがより好ましい。また、マーカー120におけるX線不透過性材料の含有量は、略100重量%であってもよい。
【0026】
A-3.結紮具100の使用例:
各結紮具100は、結紮用デバイス1において、スライダ3の各環状溝32内に収容される。具体的には、結紮用デバイス1におけるスライダ3が収納位置にある状態では、結紮具100は、結紮用デバイス1における内側筒体2の同径部分24の外周に引き延ばされて装着されるとともに、該同径部分24の外周面とスライダ3の環状溝32とによって形成される空間内に収容される。図1に拡大して示すように、収容された結紮具100では、マーカー120の延出部分124が、Oリング110の外周に沿って配置されている。本実施形態では、延出部分124は、Oリング110の全周を囲みつつ、延出部分124の先端が係合部分122を超える位置まで延びている。
【0027】
次に、結紮用デバイス1を、例えば内視鏡(図示しない)の先端に装着し、体内に挿入し、患部を内側筒体2内に吸引する。この吸引状態で、スライダ3を収納位置から押し出し位置に移動させると、それに伴って、結紮具100が内側筒体2のテーパ部分22側に押し出される。すると、結紮具100は、収縮し、スライダ3の環状溝32から離脱してテーパ部分22の外周面に移動し、テーパ部分22のテーパ面によって内側筒体2の先端に案内されて内側筒体2から離脱する。離脱した結紮具100のOリング110は、収縮し、患部の吸引部分に装着され、患部が結紮される。そして、該Oリング110に係合したマーカー120がX線により確認されることになる。
【0028】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の結紮具100は、弾性を有するOリング110と、Oリング110とは別体であるマーカー120とを備える(図2参照)。マーカー120は、環状体の周方向における一部分に係合する係合部分122を有する。このため、本実施形態によれば、X線不透過性材料を含有する従来の結紮用Oリングに比べて、Oリング110の強度の低下を抑制できる。また、本実施形態によれば、例えばマーカー120がOリング110の周方向に全周にわたって配置された構成に比べて、マーカー120の存在に起因してOリング110の弾性変形が制約されることが抑制される。また、マーカー120はX線不透過性材料を含有している。このため、X線を用いて、体内における結紮具100の有無を確認することができる。すなわち、本実施形態によれば、Oリング110の強度の低下の抑制と、X線による体内における結紮具100の有無の確認とを両立することができる。
【0029】
本実施形態では、Oリング110の軸方向から見たときの係合部分122の形状は、Oリング110の一部を囲む環状である(図3参照)。本実施形態によれば、例えば、係合部分122の形状が、C字状など、Oリング110の軸周りの全周を囲まない形状である構成に比べて、Oリング110からマーカー120が離脱することを抑制することができる。
【0030】
本実施形態では、Oリング110の軸方向から見たときの係合部分122の全長は、Oリング110の外形線の長さより長い。本実施形態によれば、例えば、係合部分122の全長がOリング110の外形線の長さ以下である構成に比べて、マーカー120における係合部分122の存在に起因してOリング110の弾性変形が制約されることが抑制される。また、Oリング110におけるマーカー120の位置の自由度を確保することができる。
【0031】
本実施形態では、マーカー120における延出部分124は、X線不透過性材料を含有している。本実施形態によれば、例えば、マーカー120が延出部分を有しない構成に比べて、X線による結紮具100の体内における位置の把握容易性を向上させることができる。
【0032】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における結紮具100aの構成を概略的に示す説明図である。図4には、Oリング110aの周方向に直交する横断面構成が示されている。以下では、第2実施形態の結紮具100aの構成の内、上述した第1実施形態の結紮具100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0033】
図4に示すように、第2実施形態の結紮具100aは、Oリング110aと、マーカー120aと、を備える。Oリング110aは、弾性を有する環状体である。ただし、Oリング110aの横断面の形状は、略円形である。マーカー120aは、Oリング110aの周方向における一部に係合する係合部分を有し、延出部分を有しない。マーカー120a(係合部分)の形状は、C字状であり、マーカー120aの開口幅は、Oリング110aの直径より小さい。また、マーカー120aは、X線不透過性材料を含有していており、かつ、少なくともOリング110aより硬い材料により形成されている。このため、マーカー120aは、Oリング110aから離脱しにくい。本実施形態によれば、Oリング110aの強度の低下の抑制と、X線による体内における結紮具100aの有無の確認とを両立することができる。
【0034】
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態における結紮具100bの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第3実施形態の結紮具100bの構成の内、上述した第1実施形態の結紮具100と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0035】
図5に示すように、第3実施形態の結紮具100bは、上記Oリング110と、マーカー120bと、を備える。マーカー120bは、上記係合部分122と、延出部分124bとを備える。延出部分124bの最大幅は、係合部分122の最大幅より広い。具体的には、延出部分124bは、係合部分122から離れるほど幅が広くなる部分を有する。これにより、延出部分124bの存在による結紮具100bの有無の確認の容易性をより向上させることができる。
【0036】
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0037】
上記各実施形態における結紮用デバイス1や結紮具100,100a,100bの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態において、結紮用デバイス1のスライダ3には、環状溝32が、1つ、2つ、または、4つ以上形成されていてもよい。
【0038】
上記第1実施形態において、マーカー120の延出部分124の長さは、Oリング110の周方向長さの3/4以下の長さでもよいし、Oリング110の全周長の1/2以下の長さでもよい。また、マーカー120は、係合部分122のみ備え、延出部分124を備えない構成であってもよい。また、マーカー120の係合部分122におけるX線不透過性材料の含有率は、延出部分124におけるX線不透過性材料の含有率より小さくてもよい。例えば、係合部分122はX線不透過性材料を含有せずに、延出部分124だけX線不透過性材料を含有してもよい。これにより、X線による体内における結紮具100の有無の確認の容易性を確保しつつ、X線不透過性材料を含有することに起因する係合部分122の強度の低下を抑制することができる。この場合、係合部分122を弾性材料により形成することができる。
【0039】
上記各実施形態の結紮具100,100a,100bは、Oリング110,110aにマーカー120,120a,120bが1つ係合した構成であったが、環状体に複数のマーカーが係合した構成であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態における各部材の材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば上記各実施形態において、マーカー120,120a,120bの全体が、X線不透過性材料により形成された線材(例えばタングステンにより形成された線材や白金により形成された線材)であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1:結紮用デバイス 2:内側筒体 3:スライダ 4:外側筒体 22:テーパ部分 24:同径部分 32:環状溝 100,100a,100b:結紮具 110,110a:Oリング 120,120a,120b:マーカー 122:係合部分 124,124b:延出部分
図1
図2
図3
図4
図5