(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】コード読取装置及び商品データ登録システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/14 20060101AFI20231206BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231206BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G06K7/14 065
G06K7/10 372
G06K7/10 456
G06K7/10 468
G07G1/00 311E
(21)【出願番号】P 2020022550
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 英浩
(72)【発明者】
【氏名】川口 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 信介
(72)【発明者】
【氏名】服部 大祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 航太
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-089088(JP,A)
【文献】特開2012-079006(JP,A)
【文献】特開2011-186649(JP,A)
【文献】特開平02-083686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K7/00-7/14
G06K17/00-19/18
G07G1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を順次撮像する
第1の撮像部および第2の撮像部と
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像を記憶する記憶部と、
予め定められた順序にしたがって前記記憶部に記憶された画像ごとに物品に付されたコードシンボルのコード情報を読み取るコード情報読取部と、
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部のうち、一の撮像部で撮像された画像に基づいて前記コード情報読取部で読み取ったコード情報を出力するとともに、当該コード情報を出力してから
前記第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像のいずれからも出力した前記コード情報が前記コード情報読取部で読み取られなくなるまでの期間は
、前記コード情報読取部がコード情報を読み取ったとしても出力しない出力部と、
を備えたことを特徴とするコード読取装置。
【請求項2】
物品を順次撮像する
第1の撮像部および第2の撮像部と
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像を記憶する記憶部と、
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部で撮像された順序にしたがって前記記憶部に記憶された画像ごとに物品に付されたコードシンボルのコード情報を読み取るコード情報読取部と、
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部のうち、一の撮像部で撮像された画像に基づいて前記コード情報読取部で読み取ったコード情報を出力するとともに、当該コード情報を出力してから
前記第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像のいずれからも出力した前記コード情報が前記コード情報読取部で読み取られなくなるまでの期間は
、前記コード情報読取部がコード情報を読み取ったとしても出力しない出力部と、
を備えたことを特徴とするコード読取装置。
【請求項3】
商品に付されたコードシンボルから商品コードを読み取るコード読取装置と、
前記コード読取装置で読み取った商品コードに基づいて商品登録を行う登録装置と、
を備えた商品データ登録システムであって、
前記コード読取装置は、
商品を順次撮像する
第1の撮像部および第2の撮像部と
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像を記憶する記憶部と、
予め定められた順序にしたがって前記記憶部に記憶された画像ごとに商品に付されたコードシンボルで示される商品コードを読み取るコード情報読取部と、
前記登録装置に対して、前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部のうち、一の撮像部で撮像された画像に基づいて前記コード情報読取部で読み取った商品コードを出力するとともに、当該商品コードを出力してから
前記第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像のいずれからも出力した前記商品コードが前記コード情報読取部で読み取られなくなるまでの期間は
、前記コード情報読取部が商品コードを読み取ったとしても出力しない出力部と、
を備えたことを特徴とする商品データ登録システム。
【請求項4】
商品に付されたコードシンボルから商品コードを読み取るコード読取装置と、
前記コード読取装置で読み取った商品コードに基づいて商品登録を行う登録装置と、
を備えた商品データ登録システムであって、
前記コード読取装置は、
商品を順次撮像する
第1の撮像部および第2の撮像部と
前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像を記憶する記憶部と、
前記撮像部で撮像された順序にしたがって前記記憶部に記憶された画像ごとに商品に付されたコードシンボルが示す商品コードを読み取るコード情報読取部と、
前記登録装置に対して、前記
第1の撮像部および前記第2の撮像部のうち、一の撮像部で撮像された画像に基づいて前記コード情報読取部で読み取った商品コードを出力するとともに、当該商品コードを出力してから
前記第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像のいずれからも出力した前記商品コードが前記コード情報読取部で読み取られなくなるまでの期間は
、前記コード情報読取部が商品コードを読み取ったとしても出力しない出力部と、
ことを特徴とする商品データ登録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コード読取装置及び商品データ登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS(Point Of Sales)端末においては、コード読取装置で商品に付されたバーコードなどのコードシンボルからコード情報である商品コードを読み取り、読み取った商品コードに基づいて顧客が購入する商品の登録(以下、商品登録という)を行う。コード読取装置として、撮像部が撮像した商品の画像から商品に付されたコードシンボルを認識し、上記商品の商品コードを読み取る、いわゆる画像認識形式のものが知られている(特許文献1)。
【0003】
上記画像認識形式のコード読取装置においては、撮像部が商品に付されたコードシンボルを撮像することで商品コードを読み取る。商品コードの読み取り操作を行うPOS端末のオペレータは、商品に付されたコードシンボルを撮像部が撮像できる読取位置に位置させる。このため、上記コード読取装置は、オペレータが読取位置を把握していないと、商品コードの読み取りに時間を要するという問題があり、商品コードの読み取りを容易にすることが要請されている。特に、読み取り操作に慣れていない顧客が商品コードの読み取りを行うセルフ式のコード読取装置では、その要請が強い。
【0004】
そこで、撮像部を複数設けて読取位置を広くすることで商品コードの読み取りを容易にすることが考えられるが、単に撮像部を複数設けただけでは、二重読取を引き起こす可能性がある。二重読取とは、同じ商品について、商品コードを複数回読み取って出力してしまうことである。二重読取がなされると、POS端末では、顧客が購入する商品は1個であるにもかかわらず、複数個分の商品登録がなされてしまう。なお、上記した二重読取の問題は、POS端末に用いられるコード読取装置に限ったものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、商品などの物品に付されたコードシンボルのコード情報の読み取りを容易にしつつ、コード情報の二重読取を抑制することが可能なコード読取装置及び商品データ登録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のコード読取装置は、物品を順次撮像する第1の撮像部および第2の撮像部と前記第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像を記憶する記憶部と、予め定められた順序にしたがって前記記憶部に記憶された画像ごとに物品に付されたコードシンボルのコード情報を読み取るコード情報読取部と、前記第1の撮像部および前記第2の撮像部のうち、一の撮像部で撮像された画像に基づいて前記コード情報読取部で読み取ったコード情報を出力するとともに、当該コード情報を出力してから前記第1の撮像部および前記第2の撮像部が撮像した画像のいずれからも前記出力したコード情報が前記コード情報読取部で読み取られなくなるまでの期間は、前記コード情報読取部がコード情報を読み取ったとしても出力しない出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の商品データ登録システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の商品データ登録システムの外観を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態における複数の撮像部とコードシンボルとの位置関係の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態のコード読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態のコード読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態の複数の撮像部の読み取りタイミングの一例(読み取りタイミングが同期する例)を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の商品データ登録システムにおけるデータの流れの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態のコード読取装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態のコード読取装置の制御部の読取/出力処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態の複数の撮像部の読み取りタイミングの変形例(読み取りタイミングが異なる例)を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態の複数の撮像部の読み取りタイミングの他の変形例(読み取りタイミングが一部一致する例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態のコード読取装置及び商品データ登録システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、商品データ登録システムの概要を示す図である。商品データ登録システム1は、コード読取装置10と、POS端末50とを備える。POS端末50は、登録装置の一例であって、商品を購入する顧客自身が商品登録と会計処理を行う、いわゆるセルフ式のPOS端末である。コード読取装置10とPOS端末50とは、通信可能に接続されている。
【0009】
図2は、商品データ登録システム1の外観を示した図である。コード読取装置10は、撮像部の一例である第1カメラ11および第2カメラ12を備える。第1カメラ11は、水平方向から商品を撮像し、第2カメラ12は、第1カメラ11よりも上方に位置して、斜め下方に向けて商品を撮像する。これによって、商品に付されたバーコードを読み取りやすくしている。なお、商品は物品の一例であり、バーコードはコードシンボルの一例である。第1カメラ11、第2カメラ12は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えている。これらカメラは、顧客が商品登録を行う際に商品を撮像する。コード読取装置10は、第1カメラ11、第2カメラ12が撮像した商品に付されているバーコードからコード情報である商品コードを読み取る。また、コード読取装置10は、制御部を内蔵した図示しない制御ボックスを備えている。
【0010】
POS端末50は、本体51と、カゴ置き台52と、袋詰め台53とを備えている。本体51は、入出金部54を備え、内部に上記制御ボックスを収容している。入出金部54は、硬貨投入部55、硬貨排出部56、紙幣投入部57、及び紙幣排出部58を備える。硬貨投入部55は、本体51の上面に凹状に形成された硬貨載置部59と連続的に設けられて、顧客が支払う硬貨の投入を受け付ける投入口である。硬貨排出部56は、図示しない排出口から排出された釣銭、硬貨投入部55から投入された硬貨のうち受付けられずに戻された硬貨等を受ける受け皿である。紙幣投入部57は、顧客が支払う紙幣の投入を受け付ける投入口である。紙幣排出部58は、釣銭として排出される紙幣の排出口である。
【0011】
カゴ置き台52は、顧客が商品登録を行う際に、購入する商品を収納した買い物カゴを置くための置台である。袋詰め台53は、商品登録が済んだ商品を入れる買い物袋を配置する置台である。袋詰め台53は、一対の袋掛けフック60を備える。袋掛けフック60は、上記した買い物袋を引っ掛けて保持するものである。袋詰め台53の上部には、支柱部61が設けられている。支柱部61には、ディスプレイ62、表示灯63が設けられている。ディスプレイ62は、例えば液晶パネルで構成されて、各種情報を表示するとともに、表面に顧客の操作を受け付けるタッチパネルを備える。表示灯63は、POS端末50にトラブルが発生したときに点灯し、トラブルの発生を店員に通知する電灯である。
【0012】
図3は、第1カメラ11、第2カメラ12と、コードシンボルの一例であるバーコードが付された商品と、の位置関係を模式的に示す図である。
図3に示す状態は、顧客が商品Mを水平状態として商品コードを読み取らせる場合を示している。商品Mの上面に付されたバーコードBは、上方に向いているため、第1カメラ11では撮像できず、第2カメラ12で撮像することができる。言い換えれば、第1カメラ11のみ設けられている場合、
図3に示すバーコードBを撮像することはできず、顧客は商品の位置を変えてバーコードBが第1カメラに向くようにする必要がある。これに対し、カメラを複数設けた場合は、他のカメラ(
図3では第2カメラ12)でバーコードを撮像できるので、バーコードBの撮像が容易となり、結果として商品登録に要する時間が短縮されて商品登録作業が効率化される。
【0013】
次に、コード読取装置10のハードウェア構成について説明する。
図4は、コード読取装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。コード読取装置10は、制御部20、メモリ部30、コントローラ40、通信I/F(Interface)41等を備えている。制御部20、メモリ部30、コントローラ40、通信I/F41はバス42を介して互いに接続されている。
【0014】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23を備えている。CPU21、ROM22、RAM23は、互いにバス42を介して接続されている。CPU21は、コード読取装置10全体を制御する。ROM22は、CPU21の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM23は、CPU21のワークエリアとして使用され、ROM22やメモリ部30に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。RAM23は、複数の撮像部が撮像した画像を記憶する記憶部である画像記憶部24を備える。すなわち、画像記憶部24は、第1カメラ11、第2カメラ12で撮像された画像を記憶するエリアである。画像記憶部24は、複数のフレームバッファを備える。各フレームバッファは、第1カメラ11、第2カメラ12で順次撮像された1つの画像をそれぞれ記憶する。制御部20は、CPU21がROM22やメモリ部30に記憶されRAM23に展開された制御プログラムに従って動作することによって、コード読取装置10の各種制御処理を実行する。
【0015】
メモリ部30は、制御プログラム部31、撮像タイミング部32、商品コード部33を備えている。制御プログラム部31は、各種制御プログラムが記憶されたエリアである。撮像タイミング部32は、第1カメラ11、第2カメラ12の撮像タイミングを記憶するエリアである。詳細は後述するが、撮像タイミング部32は、第1カメラ11、第2カメラ12について、
図7、
図10、
図11に示すような撮像タイミングを記憶している。撮像タイミングは、コード読取装置10のユーザが撮像タイミング部32に記憶された中から選択して設定する。商品コード部33は、多数のバーコードと、これらバーコードが示す商品コードと、を関連付けて記憶する。コード読取装置10は、第1カメラまたは第2カメラで撮像した画像からバーコードを認識し、商品コード部33を参照することで商品コードを読み取る。
【0016】
コントローラ40は、第1カメラ11、第2カメラ12と接続されている。これにより、制御部20は、コントローラ40を介して、第1カメラ11、第2カメラ12と画像などのデータの送受信が可能となっている。通信I/F41は、POS端末50と接続されている。これにより、制御部20は、POS端末50と、データの送受信が可能となっている。
【0017】
次に、コード読取装置10の機能構成について説明する。
図5は、コード読取装置10の機能構成を示すブロック図である。コード読取装置10は、制御部20のCPU21がROM22や制御プログラム部31に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、指示受付部201、撮像制御部202、画像取得部203、画像補正部204、記憶制御部205、コード情報読取部206、出力制御部207、出力部208、として機能する。なお、上記各機能構成はハードウェアで実現してもよい。
【0018】
指示受付部201は、POS端末50から商品コードの読み取り開始及び終了の指示を受け付ける。精算を始める際に、顧客がPOS端末50のディスプレイ62に表示された開始ボタンをタッチすると、POS端末50は、指示受付部201に読取開始指示を送信する。また、購入しようとする商品全ての商品登録が終わって、顧客がPOS端末50のディスプレイ62に表示された精算ボタンをタッチすると、POS端末50は、指示受付部201に読取終了指示を送信する。指示受付部201は、これら開始指示及び終了指示を受け付ける。
【0019】
撮像制御部202は、複数の撮像部の撮像タイミングを制御する。具体的には、撮像制御部202は、第1カメラ11及び第2カメラ12に制御信号を出力して、これらカメラの撮像タイミングを制御する。撮像制御部202は、指示受付部201が開始指示を受け付けると、第1カメラ11及び第2カメラ12の撮像タイミングを設定された撮像タイミングに制御する。また、撮像制御部202は、指示受付部201が終了指示を受け付けると、第1カメラ11及び第2カメラ12による撮像を停止する。
【0020】
画像取得部203は、第1カメラ11及び第2カメラ12から、これらカメラが撮像した画像を取得する。画像補正部204は、画像取得部203が取得した画像を画像記憶部24のフレームバッファに記憶するにあたり必要な画像の補正を行う。記憶制御部205は、画像補正部204で補正された画像を、予め定められた決まりに基づいて画像記憶部24のフレームバッファに記憶させる。
【0021】
コード情報読取部206は、予め定められた順序にしたがって前記記憶部に記憶された画像ごとに物品に付されたコードシンボルのコード情報を読み取る。具体的には、コード情報読取部206は、画像記憶部24のフレームバッファから所定の順序で画像を抽出し、抽出した画像から商品に付されたバーコードを認識する。次に、コード情報読取部206は、認識したバーコードとメモリ部30の商品コード部33とを参照することによって、撮像した商品の商品コードを読み取る。
【0022】
出力制御部207は、出力部208を制御する。出力部208は、コード情報読取部206で読み取ったコード情報を出力するとともに、当該コード情報を出力してから所定期間は同じコード情報は出力しない。具体的には、出力部208は、出力制御部207によって制御されて、コード情報読取部206で読み取った商品コードをPOS端末50に出力する。また、出力部208は、出力制御部207によって制御されて、商品コードを出力してから所定期間は同じ商品コードは出力しない。より詳細には、出力部208は、ある画像で読み取った商品コードを出力すると、その後に第1カメラおよび第2カメラで撮像した画像のいずれからも同じ商品コードを読み取らなくなるまでの期間は当該商品コードを出力しない。この期間が所定期間の一例であり、これにより、商品コードの二重読取を防止している。なお、出力部208が商品コードを出力しない所定期間は上記した期間に限らない。例えば、実験等に基づいて、顧客が商品の商品コードを読み取ってから当該商品を第1カメラ及び第2カメラの撮像範囲外に位置させるまでの時間を推定し、この推定した時間を所定期間としてもよい。
【0023】
次に、コード読取装置10における画像を含むデータの流れについて、
図6、
図7を参照して説明する。
図6は、本実施形態における、第1カメラ11および第2カメラ12の撮像タイミングを示している。第1カメラ11は、タイミングAa、Ab、Acで撮像し、第2カメラ12は、タイミングBa、Bb、Bcで撮像する。タイミングAaとBa、AbとBb、AcとBcとはそれぞれ一致しており、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングは同期している。
【0024】
図7は、画像を含むデータの流れを示す図である。第1カメラ11、第2カメラ12で撮像された商品の画像は、画像取得部203によって制御部20に取り込まれる。第1カメラ11で撮像された画像は、画像補正部204が備える第1画像補正部2041で補正される。同様に、第2カメラ12で撮像された画像は、画像補正部204が備える第2画像補正部2042で補正される。画像記憶部24は、第1フレームバッファ241、第2フレームバッファ242、第3フレームバッファ243、及び第4フレームバッファ244を備える。第1画像補正部2041、第2画像補正部2042で補正された画像は、記憶制御部205によって、予め定められた決まりに基づいて、画像記憶部24に記憶される。
【0025】
第1カメラ11で撮像された画像は、撮像順に第1フレームバッファ241、第3フレームバッファ243に記憶される。すなわち、
図6に示すように、タイミングAaで撮像された画像は第1フレームバッファ241に、タイミングAbで撮像された画像は第3フレームバッファ243に、それぞれ記憶される。また、タイミングAcで撮像された画像は、タイミングAaで撮像された画像が記憶された第1フレームバッファ241に上書きされて記憶される。このように、第1カメラ11で撮像された画像は、撮像された順に、第1フレームバッファ241→第3フレームバッファ243→第1フレームバッファ241→第3フレームバッファ243と記憶されていく。
【0026】
第2カメラ12で撮像された画像は、第1カメラ11で撮像された画像と同様な処理によって画像記憶部24に記憶される。すなわち、第2カメラ12で撮像された画像は、撮像順に第2フレームバッファ242、第4フレームバッファ244に記憶される。
図6に示すように、タイミングBaで撮像された画像は第2フレームバッファ242に、タイミングBbで撮像された画像は第4フレームバッファ244に、それぞれ記憶される。また、タイミングBcで撮像された画像は、タイミングBaで撮像された画像が記憶された第2フレームバッファ242に上書きされて記憶される。このように、第2カメラ12で撮像された画像は、撮像された順に、第2フレームバッファ242→第4フレームバッファ244→第2フレームバッファ242→第4フレームバッファ244と記憶されていく。
【0027】
コード情報読取部206は、予め定められた順序にしたがって、各フレームバッファにアクセスして、各フレームバッファに記憶された商品の画像からバーコードを認識し、商品コードを読み取る。詳細には、コード情報読取部206は、第1フレームバッファ241→第2フレームバッファ242→第3フレームバッファ243→第4フレームバッファ244→第1フレームバッファ241の順にアクセスして、商品コードを読み取る。したがって、
図6で示すタイミングで撮像された画像に対するコード情報読取部206による商品コードの読取順序は、Aaの画像→Baの画像→Abの画像→Bbの画像→Acの画像→Bcの画像・・・となる。このように、本実施形態において、コード情報読取部206が予め定められた順序にしたがって画像から商品コードを読み取るとは、撮像された順、かつ、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングが同じ場合は第1カメラ11の画像から先に読み取るということである。コード情報読取部206が読み取った商品コードは、出力部208によってPOS端末50に出力される。なお、画像補正部204とコード情報読取部206とで画像処理部210が形成される。
【0028】
次に、制御部20の処理について説明する。
図8は、制御部20の全体の処理を示すフローチャートである。
【0029】
制御部20は、指示受付部201がPOS端末50から商品コードの読取開始指示を受信したか否かを判断し(S1)、読取開始指示を受信したと判断しない場合(S1のNo)、S1の処理に戻って待機する。S1において、読取開始指示を受信したと判断した場合(S1のYes)、撮像制御部202は、第1カメラ11及び第2カメラ12に対して撮像指示を行う(S2)。本実施形態においては、上述したとおり、撮像制御部202は、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングを同期させる。
【0030】
続いて、画像取得部203は、第1カメラ11及び第2カメラ12から商品を撮像した画像を取得する(S3)。次に、記憶制御部205は、上述したとおり、予め定められた決まりに基づいて、画像取得部203が取得し画像補正部204が必要な補正を行った画像を、画像記憶部24に記憶させる記憶処理を行う(S5)。本実施形態において、読取開始指示を受けてから最初の記憶処理は、第1カメラ11が最初に撮像した画像を第1フレームバッファ241に記憶させる。続いて、コード情報読取部206と出力部208とによって、読取/出力処理を実行する(S5)。この読取/出力処理については、別途フローチャートを用いて説明する。
【0031】
制御部20は、読取/出力処理が終了すると、指示受付部201がPOS端末50から停止指示を受けたか否かを判断する(S6)。指示受付部201が停止指示を受けていない場合(S6のNo)、画像取得部203は、上記した予め定められた決まりに基づいた次の画像を第1カメラ11または第2カメラ12から取得し(S7)、制御部20は、S4の処理に戻る。本実施形態では、次の画像は、第2カメラ12が最初に撮像した画像(
図6におけるBaの画像)である。S6において、指示受付部201が停止指示を受け付けた場合(S6のYes)、記憶制御部205は、画像記憶部24に記憶されている内容をクリアして処理を終える。
【0032】
次に、画像取得部203が取得した画像から、コード情報読取部206が商品コードを読み取り、この商品コードを出力部208が出力する、読取/出力処理について、
図9を参照して説明する。
【0033】
コード情報読取部206は、画像記憶部24から画像を読み出す(S11)。続いて、制御部20は、コード情報読取部206が読み出した画像から商品コードを読み取ったか否かを判断する(S12)。すなわち、制御部20は、コード情報読取部206が読み出した画像からバーコードを認識できたか否かを判断する。
【0034】
コード情報読取部206が商品コードを読み取らない場合(S12のNo)、制御部20は、前回読み出した画像の処理においても商品コードを読み取らなかったか否かを判断する(S13)。前回の画像で商品コードを読み取っている場合(S13のYes)、読取/出力処理を終了する。前回の画像で商品コードを読み取っていない場合(S13のNo)、それまでに出力部208がPOS端末50に送信した商品コード(送信コード)がRAM23に記憶されているか否かを判断する(S14)。本実施形態では、S13でNOの場合、今回の画像を撮像したカメラと異なるカメラでもバーコードを認識していないので、商品が両カメラの撮像領域から外れたと判断している。なお、今回と前回の画像だけでなく、複数回前の画像の全てでバーコードを認識しない場合に商品が両カメラの撮像領域から外れたと判断してもよい。
【0035】
送信コードが記憶されている場合(S14のYes)、制御部20は、記憶された送信コードにかかる商品の商品登録が完了したとして、記憶されている送信コードをクリアし(S15)、読取/出力処理を終了する。S14において、RAM23に送信コードが記憶されていない場合(S14のN)、制御部20は、S15の処理をスキップして読取/出力処理を終了する。
【0036】
S12において、コード情報読取部206が商品コードを読み取った場合(S12のYes)、制御部20は、RAM23に送信コードが記憶されているか否か判断する(S16)。RAM23に送信コードが記憶されていない場合(S16のNo)、制御部20は、読み取った商品コードを送信コードとしてRAM23に書込む(S17)。続いて、出力部208は、書込んだ商品コードをPOS端末50に出力して(S18)、読取/出力処理を終了する。
【0037】
S15において、RAM23に送信コードが記憶されている場合(S15のYes)、制御部20は、コード情報読取部206が読み取った商品コードと、RAM23に記憶された送信コードとが同じであるか否か判断する(S19)。コード情報読取部206が読み取った商品コードと、RAM23に記憶された送信コードとが同じでない場合(S19のNo)、制御部20は、新たな商品の商品コードが読み取られたとして、コード情報読取部206が読み取った商品コードを送信コードに書き換え(S20)、S18の処理に移行する。コード情報読取部206が読み取った商品コードと、RAM23に記憶された送信コードとが同じ場合(S19のYes)、前の画像ですでに商品コードが出力された商品が未だ撮像されているとして、POS端末50への出力は行わず、読取/出力処理を終了する。
【0038】
なお、コード読取装置10から商品コードを受信したPOS端末50は、商品登録を行うとともに、読取完了音を発生させる。読取完了音は、第1カメラ11または第2カメラ12で撮像した商品について商品登録が完了したことを顧客に報知する。読取完了音を聞いた顧客は、次の商品の商品登録作業を行うことができる。POS端末50は、顧客が購入する全ての商品の商品登録が完了して、精算ボタンがタッチされたことを認識すると、会計処理を行う。会計処理は、従来からPOS端末で行われている周知の処理と同様である。
【0039】
以上説明したとおり、本実施形態のコード読取装置10は、第1カメラ11及び第2カメラ12を備えているので、商品に付されたバーコードを撮像しやすくすることができる。
【0040】
また、本実施形態のコード情報読取装置は、撮像制御部202が第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングを一致させるとともに、コード情報読取部206が予め定められた順序にしたがって画像記憶部24に記憶された画像ごとに商品コードを読み取る。このため、コード読取装置10は、第1カメラ11及び第2カメラで撮像された画像から、撮像順序にしたがって商品コードを読み取ることが可能となる。したがって、第1カメラ11の画像と第2カメラ12の画像とを、あたかも1台のカメラの画像のように扱うことができる。よって、画像処理部210をカメラ毎に設ける必要がなく、コード読取装置10の構成の複雑化を抑制できる。加えて、出力部208は、商品コードを出力すると、その後に第1カメラ11および第2カメラ12で撮像した画像のいずれからも同じ商品コードを読み取らなくなるまでの期間は当該商品コードを出力しない。すなわち、第1カメラ11および第2カメラ12のいずれかが同じバーコードを認識している間は、商品コードを読み取った後、商品が撮像領域に位置したままであると判断して、商品コードを出力しない。このため、商品コードの二重読取を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態のコード情報読取装置は、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングが一致しているので、撮像時に各カメラの光量を少なくしても撮像が可能となり、消費電力を削減することができる。
【0042】
次に、変形例について、
図10、
図11を参照して説明する。
図10は、撮像制御部202による撮像タイミングの変形例を示している。この変形例では、撮像制御部202が、複数の撮像部、すなわち第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングを異ならせるよう制御している。また、この変形例では、
図10に示すように、記憶制御部205は、撮像部で撮像された順に、第1フレームバッファ241→第2フレームバッファ242→第3フレームバッファ243→第4フレームバッファ244→第1フレームバッファ241・・・と商品の画像を記憶させる。それ以外は、上述した実施形態の構成と同様である。
【0043】
この変形例によれば、上記実施形態のものと同様に、コード読取装置10は、第1カメラ11及び第2カメラで撮像された画像から、撮像順序にしたがって商品コードを読み取ることが可能となる。したがって、上記実施形態のものと同様に、複数のカメラを設けても、画像処理部210をカメラ毎に設ける必要がなく、また、商品コードの二重読取を抑制することができる。
【0044】
図11は、撮像制御部202による撮像タイミングの他の変形例を示している。この変形例では、撮像制御部202が、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングの一部を一致させるよう制御している。そして、この変形例では、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングが異なるとき(タイミングAa~タイミングBb)には、記憶制御部205は、撮像部で撮像された順に、第1フレームバッファ241→第2フレームバッファ242→第3フレームバッファ243→第4フレームバッファ244と商品の画像を記憶させる。また、第1カメラ11と第2カメラ12の撮像タイミングが一致するとき(タイミングAc、Bc)は、記憶制御部205は、第1カメラ11の画像を先のフレームバッファに記憶する。この結果、各カメラで撮像された画像は、
図11に示すように各フレームバッファに記憶される。それ以外は、上述した実施形態の構成と同様である。
【0045】
この変形例においても、コード読取装置10は、第1カメラ11及び第2カメラで撮像された画像から、撮像順序にしたがって商品コードを読み取ることが可能となる。したがって、上記実施形態のものと同様に、複数のカメラを設けても、画像処理部210をカメラ毎に設ける必要がなく、また、商品コードの二重読取を抑制することができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、コード読取装置10を商品の商品コードを読み取るものとしたが、これに限らない。例えば、工場で部品を管理するためにコードシンボルからコード情報を読み取るもの等でもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 商品データ登録システム
10 コード読取装置
50 POS端末(登録装置)
11 第1カメラ(撮像部)
12 第2カメラ(撮像部)
24 画像記憶部(記憶部)
202 撮像制御部
206 コード情報読取部
208 出力部
【0049】