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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】粘着式クリーナ
(51)【国際特許分類】
   A47L 25/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A47L25/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020033766
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133140
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】315002254
【氏名又は名称】ライセンスインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓子
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3185426(JP,U)
【文献】特開2014-218304(JP,A)
【文献】実開昭59-136766(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 25/00
B65H 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柄部と、該柄部の下端と連結し、粘着テープロール体を保持する保持部とから成る粘着式クリーナであって、
前記保持部は、前記柄部が連結する矩形状の主面部と、該主面部の片側又は両側の長辺に連結部を介して連結し、前記粘着テープロール体から粘着テープを切断する切断面部とを有し、
前記切断面部の下端には、保持された前記粘着テープロール体に向かって刃部が切断面部の長手方向に沿って立設しており、
前記主面部及び前記切断面部の裏面には、板ばね部を係止させており、
前記保持部の裏面中央に第1の係止片部を設け、前記保持部の裏面の長辺中央近傍に一対の第2の係止片部を設け、
略矩形状の前記板ばね部の中央近傍には、前記第1の係止片部を挿入して固定する第1の係止孔部が設けられており、前記板ばね部の上下端には、前記第2の係止片部を挿入後に、該第2の係止片部が上下に摺動可能とする一対の第2の係止孔部が設けられていることを特徴とする粘着式クリーナ。
【請求項2】
前記第2の係止片部は立設する先端側の頭部と、頭部の下方に連続し頭部より小さい首部とから構成され、
前記第2の係止孔部は、中央側に配置した前記第2の係止片部の前記頭部と径が略一致する挿入孔部と、前記第2の係止片部の前記首部と横径が略一致し、前記挿入孔部と連続して外側に延在する縦長状の摺動孔部とから構成されていることを特徴とする請求項に記載された粘着式クリーナ。
【請求項3】
前記刃部は両端側に進むにつれて前記粘着テープロール体側にせり出すことを特徴とする請求項1又は2に記載された粘着式クリーナ。
【請求項4】
前記切断面部を外側から押圧することで、せり出した前記刃部の両端部のみが前記粘着テープロール体に当接することを特徴とする請求項に記載された粘着式クリーナ。
【請求項5】
側面から見た前記刃部の先端部は、一対の辺部に挟まれた鋭角状をしており、外側の前記辺部は、内側に凹むように湾曲していることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載された粘着式クリーナ。
【請求項6】
側面から見た前記主面部及び前記切断面部は、円弧状を形成していることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載された粘着式クリーナ。
【請求項7】
更に、粘着テープロール体に取り付ける取付軸部を備え、
前記主面部の短辺には、前記取付軸部を保持する保持板部が前記柄部の長手方向と平行して立設していることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載された粘着式クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープロール体を床面等に転がすことで床面の塵埃等を粘着テープに付着させる粘着式クリーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粘着テープロールを軸方向から挟むようにして配置された一対の保持部と、これらの保持部に一体に形成された把手部とを備える粘着式クリーナが開示されている。
【0003】
粘着テープロールから塵埃等を吸着した粘着テープを切り取る場合には、切り離し易いようにミシン目を設けた切取部に対して、指で粘着テープの端部を引き上げる。粘着テープの端部を引き上げることで、ミシン目に沿って粘着テープを粘着テープロールから切り離すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-57602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、粘着テープを任意の個所で切り離そうとすると直線状に切れずに斜め方向に切れてしまう。従って、上述のようにミシン目を設けた切取部から粘着テープを切り離す必要がある。
【0006】
更には切取部から粘着テープの端部を指で引き上げた場合に、ミシン目通りに切れずに、斜め方向に粘着テープが切れることもある。余分に粘着テープが切り取られてしまった場合には、次回の粘着テープを切り取ったときに、粘着テープロール体に残った粘着テープの一部に塵埃が付着した状態となる。また、塵埃等が付着した粘着テープの一部が残ってしまった場合には、掃除を行う際に塵埃の粘着効率が下がるという問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、粘着テープロールの切取部に制限されることなく、任意の個所で粘着テープロール体から粘着テープを直線状に切り離すことができる粘着式クリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る粘着式クリーナは、棒状の柄部と、該柄部の下端と連結し、粘着テープロール体を保持する保持部とから成る粘着式クリーナであって、前記保持部は、前記柄部が連結する矩形状の主面部と、該主面部の片側又は両側の長辺に連結部を介して連結し、前記粘着テープロール体から粘着テープを切断する切断面部とを有し、前記切断面部の下端には、保持された前記粘着テープロール体に向かって刃部が切断面部の長手方向に沿って立設しており、前記主面部及び前記切断面部の裏面には、板ばね部を係止させており、
前記保持部の裏面中央に第1の係止片部を設け、前記保持部の裏面の長辺中央近傍に一対の第2の係止片部を設け、略矩形状の前記板ばね部の中央近傍には、前記第1の係止片部を挿入して固定する第1の係止孔部が設けられており、前記板ばね部の上下端には、前記第2の係止片部を挿入後に、該第2の係止片部が上下に摺動可能とする一対の第2の係止孔部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る粘着式クリーナによれば、刃部を有する切断面部を利用することで、保持した粘着テープロール体から任意の個所で粘着テープを直線状に切り離すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】粘着式クリーナの分解斜視図である。
図2】組み立てた状態の粘着式クリーナの斜視図である。
図3】組み立てた状態の粘着式クリーナの正面図である。
図4】粘着式クリーナの側面図である。
図5】底面から見た板ばね部を外した状態の粘着式クリーナの斜視図である。
図6】底面から見た板ばね部を取付けた状態の粘着式クリーナの斜視図である。
図7】粘着式クリーナの切断面部を押圧した際の粘着式クリーナの側面図である。
図8】保持部の底面図である。
図9】切断面部を押下した際の保持部粘着式クリーナの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は粘着式クリーナの分解斜視図であり、図2は組み立てた状態の粘着式クリーナの斜視図、図3は正面図、図4は側面図である。
【0012】
粘着式クリーナは、棒状の柄部1と、この柄部1の下端と連結し、粘着テープロール体Rを保持する保持部2と、粘着テープロール体Rの両端に取り付けられ、保持部2に回動自在に軸支される取付軸部3とから構成されている。柄部1の上端には、フック等に係止可能な係止孔1aが設けられている。
【0013】
保持部2は柄部1が連結する矩形状の主面部2aと、この主面部2aの両長辺に連結部2bを介して連結し、取り付けた粘着テープロール体Rから粘着テープを切断する切断面部2cを有している。
【0014】
なお、本実施例では、主面部2aの両長辺に対して、それぞれ切断面部2cを設けているが、主面部2aに対して片側の長辺にのみ連結部2bを介して切断面部2cを設けるようにしてもよい。
【0015】
このように主面部2aの片側又は両側の長辺に対して、連結部2bを設けることで、切断面部2cは主面部2aに対して可撓性を有することになる。なお、実施例では、連結部2bは、連結片を所定間隔毎に配置しているが、薄肉状の辺部等の適宜の可撓性を有する構造を採用してもよい。
【0016】
また、図4に示すように、側面から見た主面部2a及び一対の切断面部2cは、円弧状を形成しており、図示しない中空状の収納ケースの開口縁部に主面部2a及び一対の切断面部2cを引っ掛けることで、粘着テープロール体Rが収納ケースの内壁に接することなく、粘着式クリーナを保管することができる。
【0017】
矩形状の切断面部2cの下端には、横長の刃部4が保持された粘着テープロール体Rに向かって立設している。切断面部2cの長手方向に沿う刃部4は、切断面部2cの両端側に進むにつれて下方にせり出しており、刃部4の中央部は直線状とされている。
【0018】
片側にのみ連結部2bを配置した粘着式クリーナの場合は、図1において一方側の切断面部2cは主面部2aと連続した1つの主面部2aと形成することになり、他方の切断面部2cと連結していない側の主面部2aの長辺は、可撓性を有しないことから、刃部4を設ける必要はない。
【0019】
図4に示すように、側面から粘着式クリーナを見た際に、刃部4は一対の辺部である外側辺4aと内側辺4bとを有する。外側辺4aと内側辺4bとで挟まれた先端部4cは鋭角状とされ、外側辺4aは、内側に凹むように湾曲している。
【0020】
主面部2aの短辺のそれぞれには、取付軸部3を保持する保持板部2dが柄部1と平行して立設しており、保持板部2dの先端には軸取付孔2eが設けられている。取付軸部3は粘着テープロール体Rの挿入口R1に挿入する円筒部3aと、円筒部3aに設けられた壁部3bと、壁部3b中央から突出し、保持板部2dの軸取付孔2eに篏合する取付柱部3cとから構成される。
【0021】
図5は底面から見た板ばね部5を外した状態の粘着式クリーナの斜視図であり、図6は板ばね部5を取付けた状態の粘着式クリーナの斜視図である。主面部2aの裏面中央には、板ばね部5を係止するための一対の第1の係止片部2fを有し、一対の切断面部2cのそれぞれの裏面中央には、板ばね部5を係止するための第2の係止片部2gを有している。
【0022】
一対の第1の係止片部2fは、筒状の柄部1の下端開口孔を挟んで、主面部2aの長手方向に沿って配置されている。また、第2の係止片部2gは立設する先端側の頭部と、頭部の下方に連続し頭部より小さい首部とから構成されている。
【0023】
板ばね部5は弾性を有する樹脂体等から成る薄板材であり、略矩形状をしている。板ばね部5の中央の左右端には、主面部2a裏面の第1の係止片部2fを挿入して固定する一対の第1の係止孔部5aが設けられている。
【0024】
板ばね部5の上下端近傍には、第2の係止片部2gを挿入後に、第2の係止片部2gが上下に摺動可能とする一対の第2の係止孔部5bが設けられている。第2の係止孔部5bは、中央側に配置した第2の係止片部2gの頭部と径が略一致する挿入孔部5cと、第2の係止片部2gの首部と横径が略一致し、挿入孔部5cと連続して外側に延在する縦長状の摺動孔部5dとから構成されている。
【0025】
板ばね部5を保持部2の裏面に取り付ける際には、第1の係止孔部5aに、保持部2の裏面中央に設けた第1の係止片部2fを挿入した後に、一対の第2の係止孔部5bの挿入孔部5cに、保持部2の裏面の長辺中央近傍に設けた一対の第2の係止片部2gを挿入する。挿入後に、第2の係止片部2gの頭部を外側に摺動させて、摺動孔部5dに移動させることで、第2の係止片部2gの頭部が第2の係止孔部5bに引っ掛かった状態で上下に摺動可能となる。
【0026】
図2に示すように粘着式クリーナを組み立てる際は、粘着テープロール体Rの両端の挿入口R1に対して、それぞれ取付軸部3の円筒部3aを挿入して、粘着テープロール体Rと取付軸部3とを一体化した後に、板ばね部5を保持部2に取り付けた状態の保持板部2dの軸取付孔2eに対して、取付柱部3cを挿入する。粘着テープロール体Rは取付軸部3の取付柱部3cを中心軸として回転自在に、保持部2に軸支されている。
【0027】
図7は粘着式クリーナの切断面部2cを左右から押圧した際の粘着式クリーナの側面図である。使用済みの粘着テープを粘着テープロール体Rから切り離す場合には、先ず粘着テープロール体Rから粘着テープを指で引っ張って切り離すべき個所まで引き出す。
【0028】
次に、図7に示すように切断面部2cの左右両側から矢印方向に指で押して両側がせり出した刃部4の両端部4dを、粘着テープロール体Rの表面R2に当接させる。そして、引き出した粘着テープを上方に持ち上げることで、使用済みの粘着テープが、粘着テープロール体Rから刃部4の先端部4cに沿って切り離され、切り離した粘着テープは廃棄する。
【0029】
このようにして、繰り返して粘着テープを使用して粘着テープロール体Rを使い切った場合には、保持板部2dから取付軸部3を取り外し、新たな粘着テープロール体Rの挿入口R1に取付軸部3を挿入した後に、保持板部2dに取り付ける。
【0030】
図8は両側から切断面部2cを押圧する前の保持部2の底面図であり、図9は両側から切断面部2cを矢印方向に押圧した際の保持部2の底面図である。なお、図8図9では、板ばね部5の動きを分かり易く見えるようにするため、粘着テープロール体Rの図示を省略している。
【0031】
粘着式クリーナに装着した粘着テープロール体Rから、切断面部2cを押圧して使用済みの粘着テープを切り離す際には、切断面部2cの裏面の第2の係止片部2gが板ばね部5の第2の係止孔部5b内の内側方向、つまり摺動孔部5d側から挿入孔部5c側に移動すると図9に示す状態となる。
【0032】
粘着テープロール体Rから使用済みの粘着テープが切り離された後は、切断面部2cの押圧を解除することで、板ばね部5の反発力によって第2の係止片部2gが第2の係止孔部5b内の外側方向、つまり挿入孔部5c側から摺動孔部5d側に戻り、図8に示す状態となる。
【0033】
図8図9に示すように、切断面部2cを押圧、押圧解除した際に、切断面部2cの裏面の第2の係止片部2gは、板ばね部5の弾性によって付勢されながら、板ばね部5の第2の係止孔部5b内を上下に摺動するので、切断面部2cの裏面から板ばね部5が外れることはない。
【0034】
また、粘着テープロール体Rから使用済みの粘着テープを切り離すために、切断面部2cの押圧を繰り返したとしても、押圧を解除すれば板ばね部5の反発力により主面部2aに対して切断面部2cは両側に押し広げられるので、刃部4の両端部4dが粘着テープロール体Rに当接する状態になることはない。
【0035】
本発明に係る粘着式クリーナによれば、刃部4を有する切断面部2cを利用することで、保持した粘着テープロール体Rから任意の個所で粘着テープを直線状に切り離すことが可能である。
【0036】
また、刃部4が切断面部2cの両端側に進むにつれて下方にせり出しており、切断面部2cを押圧しただけでは、刃部4の両端部4dのみが粘着テープロール体Rの表面R2に接するため、刃部4が粘着テープロール体Rに貼り付き難い。
【0037】
更に、刃部4の外側辺4aが内側に凹む鋭角状の先端部4cを備えることで、引き出した粘着テープを上方に持ち上げた際に、簡単に粘着テープを粘着テープロール体Rから切り離すことが可能である。
【0038】
また、切断面部2cを押圧していない通常の状態では、板ばね部5の反発力により常に粘着テープロール体Rから刃部4が離間した状態を維持することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 柄部
2 保持部
2a 主面部
2b 連結部
2c 切断面部
2d 保持板部
3 取付軸部
4 刃部
4a 外側辺
4b 内側辺
4c 先端部
4d 両端部
5 板ばね部
5a 第1の係止孔部
5b 第2の係止孔部
5c 挿入孔部
5d 摺動孔部
R 粘着テープロール体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9