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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/18 20060101AFI20231206BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L31/04 420
H01L31/04 262
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020053233
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021153132
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発 先端複合技術型シリコン太陽電池、高性能CIS太陽電池の技術開発、結晶Si太陽電池をベースとした複合型太陽電池モジュールの開発」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中野 邦裕
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-200267(JP,A)
【文献】特開2014-067888(JP,A)
【文献】特開2006-303322(JP,A)
【文献】特開2018-050006(JP,A)
【文献】特開2019-169599(JP,A)
【文献】特開2016-012623(JP,A)
【文献】特開2013-131586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0144183(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0154876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H01L 31/18-31/20
H01L 31/0224
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1電極層と、前記第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、
前記半導体基板の前記一方主面側の一部に前記第1導電型半導体層を形成し、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部に前記第2導電型半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との境界上にこれらに跨って絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記第1導電型半導体層、前記第2導電型半導体層、前記絶縁層および前記レジストの上にこれらに跨って電極層材料膜を形成する電極層材料膜形成工程と、
リフトオフ法を用いて前記レジストを除去することにより、前記レジストの上の前記電極層材料膜を除去し、前記第1電極層および前記第2電極層を形成する電極層形成工程と、
を含み、
前記絶縁層形成工程では、
前記レジスト形成工程を経て形成されるレジストの幅よりも広い幅の前記絶縁層を形成するとともに
前記レジスト形成工程を経て形成されるレジストの幅と前記絶縁層の幅の差が、前記レジストの形成位置の製造バラツキに応じた寸法以上となるように、前記絶縁層を形成する、
太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記レジスト形成工程では、前記第1電極層と前記第2電極層との絶縁距離に応じた幅の前記レジストを形成する、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1電極層と、前記第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、
前記半導体基板の前記一方主面側の一部に前記第1導電型半導体層を形成し、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部に前記第2導電型半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との境界上にこれらに跨って絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記第1導電型半導体層、前記第2導電型半導体層および前記絶縁層の上にこれらに跨って電極層材料膜を形成する電極層材料膜形成工程と、
前記電極層材料膜の上に、前記第1電極層に対応する第1レジストと前記第2電極層に対応する第2レジストとを形成するレジスト形成工程と、
前記第1レジストおよび前記第2レジストを用いたエッチング法により、前記電極層材料膜の露出部分を除去し、前記第1電極層および前記第2電極層を形成する電極層形成工程と、
を含み、
前記レジスト形成工程では、前記絶縁層の上において離間するように前記第1レジストおよび前記第2レジストを形成し、
前記絶縁層形成工程では、
前記第1レジストと前記第2レジストとの離間間隔よりも広い幅の前記絶縁層を形成するとともに
前記第1レジストと前記第2レジストとの離間間隔と、前記絶縁層の幅との差が、前記第1レジストと前記第2レジストとの離間部分の形成位置の製造バラツキに応じた寸法以上となるように、前記絶縁層を形成する、
太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記レジスト形成工程では、前記第1電極層と前記第2電極層との絶縁距離に応じた離間間隔で前記第1レジストおよび前記第2レジストを形成する、請求項に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面電極型(バックコンタクト型)の太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を用いた太陽電池として、受光面側および裏面側の両面に電極が形成された両面電極型の太陽電池と、裏面側のみに電極が形成された裏面電極型の太陽電池とがある。両面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されるため、この電極により太陽光が遮蔽されてしまう。一方、裏面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されないため、両面電極型の太陽電池と比較して太陽光の受光率が高い。特許文献1には、裏面電極型の太陽電池が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の太陽電池は、光電変換層として機能する半導体基板と、半導体基板の裏面側の一部に順に積層された第1導電型半導体層および第1電極層と、半導体基板の裏面側の他の一部に順に積層された第2導電型半導体層および第2電極層とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-75526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、フォトレジスト膜を用いたリフトオフ法により、電極層のパターニングを行う技術が記載されている。リフトオフ法とは、レジスト等をリフトオフ層(マスク層、犠牲層またはレジスト層ともいう)として用い、そのリフトオフ層を除去することにより、その上に形成された層を除去し、パターン化された層を形成するパターニング技術である。
【0006】
キャリア取り出し効率の観点から、電極層の抵抗値は小さいことが好ましい。この点に関し、電極層の幅を広くすること、すなわちリフトオフのためのレジストの幅を狭くすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、レジストの幅を狭くすると、製造バラツキ等の要因により、レジスト形成位置が第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界からずれる場合が発生することが考えられる。この場合、電極層が第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界を跨いで形成され、電極層を介して第1導電型半導体層と第2導電型半導体層とが電気的に接続されてしまう。その結果、キャリア取り出し効率が大幅に低下してしまう。
【0008】
このような問題は、レジストを用いたエッチング法でも存在する。レジストを用いたエッチング法では、電極層の幅を広くするためには、エッチングのためのレジストの離間間隔を狭くすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、レジストの離間間隔を狭くすると、製造バラツキ等の要因により、レジストの離間部分の形成位置が第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界からずれる場合が発生することが考えられる。この場合、電極層が第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界を跨いで形成され、電極層を介して第1導電型半導体層と第2導電型半導体層とが電気的に接続されてしまう。その結果、キャリア取り出し効率が大幅に低下してしまう。
【0010】
本発明は、リフトオフ法またはエッチング法を用いて電極層のパターニングを行っても、キャリア取り出し効率の低下の発生を低減することができる太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1電極層と、前記第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、前記半導体基板の前記一方主面側の一部に前記第1導電型半導体層を形成し、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部に前記第2導電型半導体層を形成する半導体層形成工程と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との境界上にこれらに跨って絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上にレジストを形成するレジスト形成工程と、前記第1導電型半導体層、前記第2導電型半導体層、前記絶縁層および前記レジストの上にこれらに跨って電極層材料膜を形成する電極層材料膜形成工程と、リフトオフ法を用いて前記レジストを除去することにより、前記レジストの上の前記電極層材料膜を除去し、前記第1電極層および前記第2電極層を形成する電極層形成工程と、を含み、前記絶縁層形成工程では、前記レジストの幅よりも広い幅の前記絶縁層を形成する。
【0012】
本発明に係る別の太陽電池の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側に配置された第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層に対応する第1電極層と、前記第2導電型半導体層に対応する第2電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、前記半導体基板の前記一方主面側の一部に前記第1導電型半導体層を形成し、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部に前記第2導電型半導体層を形成する半導体層形成工程と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層との境界上にこれらに跨って絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記第1導電型半導体層、前記第2導電型半導体層および前記絶縁層の上にこれらに跨って電極層材料膜を形成する電極層材料膜形成工程と、前記電極層材料膜の上に、前記第1電極層に対応する第1レジストと前記第2電極層に対応する第2レジストとを形成するレジスト形成工程と、前記第1レジストおよび前記第2レジストを用いたエッチング法により、前記電極層材料膜の露出部分を除去し、前記第1電極層および前記第2電極層を形成する電極層形成工程と、を含み、前記レジスト形成工程では、前記絶縁層の上において離間するように前記第1レジストおよび前記第2レジストを形成し、前記絶縁層形成工程では、前記第1レジストと前記第2レジストとの離間間隔よりも広い幅の前記絶縁層を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リフトオフ法またはエッチング法を用いて電極層のパターニングを行っても、キャリア取り出し効率の低下の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る太陽電池を背面側からみた図である。
図2A図1の太陽電池におけるII-II線断面図である(製造バラツキなし)。
図2B図1の太陽電池におけるII-II線断面図である(製造バラツキあり)。
図3A】第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図である。
図3B】第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における絶縁層形成工程およびレジスト形成工程を示す図である。
図3C】第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層材料膜形成工程を示す図である。
図3D】第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。
図4A】従来の太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程および電極層材料膜形成工程を示す図である。
図4B】従来の太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。
図5A】比較例の太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程および電極層材料膜形成工程を示す図である(製造バラツキなし)。
図5B】比較例の太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である(製造バラツキなし)。
図6A】比較例の太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程および電極層材料膜形成工程を示す図である(製造バラツキあり)。
図6B】比較例の太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である(製造バラツキあり)。
図7A】第2実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図である。
図7B】第2実施形態に係る太陽電池の製造方法における絶縁層形成工程および電極層材料膜形成工程を示す図である。
図7C】第2実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。
図7D】第2実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。
図8A】従来の太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程およびを示す図である。
図8B】従来の太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。
図9A】比較例の太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程およびを示す図である(製造バラツキなし)。
図9B】比較例の太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である(製造バラツキなし)。
図10A】比較例の太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である(製造バラツキあり)。
図10B】比較例の太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である(製造バラツキあり)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0016】
(太陽電池)
図1は、本実施形態に係る太陽電池を背面側からみた図である。図1に示す太陽電池1は、裏面電極型(バックコンタクト型、裏面接合型ともいう。)の太陽電池である。太陽電池1は、2つの主面を備える半導体基板11を備え、半導体基板11の主面において第1領域7と第2領域8とを有する。
【0017】
第1領域7は、いわゆる櫛型の形状をなし、櫛歯に相当する複数のフィンガー部7fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部7bとを有する。バスバー部7bは、半導体基板11の一方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部7fは、バスバー部7bから、第1方向(X方向)に交差する第2方向(Y方向)に延在する。
【0018】
同様に、第2領域8は、いわゆる櫛型の形状であり、櫛歯に相当する複数のフィンガー部8fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部8bとを有する。バスバー部8bは、半導体基板11の一方の辺部に対向する他方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部8fは、バスバー部8bから、第2方向(Y方向)に延在する。
【0019】
フィンガー部7fとフィンガー部8fとは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に設けられている。なお、第1領域7および第2領域8は、ストライプ状に形成されてもよい。
【0020】
図2Aおよび図2Bは、図1の太陽電池におけるII-II線断面図である。図2Aは、後述するレジストが第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界上に形成される場合の太陽電池の構成の一例を示す。一方、図2Bは、製造バラツキによりレジストが第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界からずれて形成される場合の太陽電池の構成の一例を示す。
【0021】
図2Aおよび図2Bに示すように、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光する側の主面である受光面側に順に積層されたパッシベーション層13および光学調整層15を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光面の反対側の主面である裏面側(一方主面側)の一部(主に、第1領域7)に順に積層されたパッシベーション層23および第1導電型半導体層25を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の他の一部(主に、第2領域8)に順に積層されたパッシベーション層33および第2導電型半導体層35を備える。また、太陽電池1は、第1導電型半導体層25に対応する第1電極層27と、第2導電型半導体層35に対応する第2電極層37とを備える。
【0022】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。なお、半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型の半導体基板であってもよい。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。
【0023】
半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0024】
パッシベーション層13は、半導体基板11の受光面側に形成されている。パッシベーション層23は、半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。パッシベーション層33は、半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。パッシベーション層13,23,33は、例えば真性(i型)アモルファスシリコンを主成分とする材料で形成される。パッシベーション層13,23,33は、半導体基板11で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
【0025】
光学調整層15は、半導体基板11の受光面側のパッシベーション層13上に形成されている。光学調整層15は、入射光の反射を防止する反射防止層として機能するとともに、半導体基板11の受光面側およびパッシベーション層13を保護する保護層として機能する。光学調整層15は、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、または酸窒化珪素(SiON)のようなそれらの複合物等の絶縁体材料で形成される。
【0026】
第1導電型半導体層25は、パッシベーション層23上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の半導体層である。
【0027】
第2導電型半導体層35は、パッシベーション層33上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型の半導体層である。
なお、第1導電型半導体層25がn型の半導体層であり、第2導電型半導体層35がp型の半導体層であってもよい。
【0028】
第1導電型半導体層25およびパッシベーション層23と、第2導電型半導体層35およびパッシベーション層33とは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。第2導電型半導体層35およびパッシベーション層33の一部は、隣接する第1導電型半導体層25およびパッシベーション層23の一部の上に重なっていてもよい(図示省略)。
【0029】
絶縁層40は、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上にこれらに跨って形成されている。絶縁層40のX方向の幅は、第1電極層27と第2電極層37とのX方向の離間距離よりも広い。絶縁層の材料としては、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、または酸窒化珪素(SiON)のようなそれらの複合物等が挙げられる。
【0030】
第1電極層27は第1導電型半導体層25上に形成されており、第2電極層37は第2導電型半導体層35上に形成されている。第1電極層27の一部および第2電極層37の一部は絶縁層40上に重なっており、第1電極層27と第2電極層37とは絶縁層40上において離間している。第1電極層27および第2電極層37の材料としては、例えば、Ag、Cu、Alおよびこれらの合金等の金属材料が用いられる。
【0031】
図2Aに示すように、後述するレジストが第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上に形成される場合、第1電極層27と第2電極層37との離間空間は、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上にあり、第1電極層27および第2電極層37は、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界を跨っていない。
【0032】
一方、図2Bに示すように、製造バラツキによりレジストが第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界からずれて形成される場合、第1電極層27と第2電極層37との離間空間は、第2導電型半導体層35側(或いは、第1導電型半導体層25側)に偏っており、第1電極層27(或いは、第2電極層37)は、絶縁層40を介して第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界を跨っている。
【0033】
(第1実施形態の太陽電池の製造方法)
次に、図3A図3Dを参照して、第1実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。図3A図3Dでは、図2Bの一例、すなわち製造バラツキによりレジストが第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界からずれて形成される場合の一例について示す。
【0034】
図3Aは、第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図であり、図3Bは、第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における絶縁層形成工程およびレジスト形成工程を示す図である。図3Cは、第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層材料膜形成工程を示す図であり、図3Dは、第1実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。図3A図3Dでは、半導体基板11の裏面側を示し、半導体基板11の表面側を省略する。
【0035】
まず、図3Aに示すように、半導体基板11の裏面側(一方主面側)の一部に、具体的には第1領域7に、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25を形成する(半導体層形成工程)。
【0036】
例えば、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第1導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成するマスクまたはメタルマスクを利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25をパターニングしてもよい。なお、p型半導体膜に対するエッチング溶液としては、例えばオゾンを含有するフッ酸や、硝酸とフッ酸の混合液のような酸性溶液が挙げられ、n型半導体膜に対するエッチング溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ性溶液が挙げられる。
【0037】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第1導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0038】
次に、半導体基板11の裏面側の他の一部に、具体的には第2領域8に、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35を形成する(半導体層形成工程)。
【0039】
例えば、上述同様に、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第2導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成するマスクまたはメタルマスクを利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35をパターニングしてもよい。
【0040】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第2導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
または、リフトオフ法を用いてパッシベーション層33および第2導電型半導体層35のパターニングを行ってもよい。
【0041】
なお、この半導体層形成工程において、半導体基板11の受光面側の全面に、パッシベーション層13および光学調整層15を形成してもよい(図示省略)。
【0042】
次に、図3Bに示すように、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上にこれらに跨って絶縁層40を形成する(絶縁層形成工程)。このとき、絶縁層40のX方向の幅が、後述するレジスト50のX方向の幅よりも広くなるようにする。例えば、レジスト50の幅と絶縁層40の幅の差が、レジスト50の形成位置の製造バラツキに応じた寸法以上となるようにする。絶縁層40の形成方法としては、例えば印刷法または塗布法等が用いられる。
【0043】
次に、絶縁層40上にレジスト50を形成する(レジスト形成工程)。レジスト50のX方向の幅は、第1電極層27と第2電極層37との絶縁距離に応じた幅となるようにする。レジスト50の材料としては、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、または酸窒化珪素(SiON)のようなそれらの複合物等が挙げられる。レジスト50の形成方法としては、例えば印刷法または塗布法等が用いられる。
【0044】
次に、図3Cに示すように、第1導電型半導体層25、第2導電型半導体層35、絶縁層40およびレジスト50の上にこれらに跨って電極層材料膜27Zを形成する(電極層材料膜形成工程)。電極層材料膜27Zの形成方法としては、例えばスパッタリング等のPVD法が用いられる。
【0045】
次に、図3Dに示すように、リフトオフ法を用いてレジスト50を除去することにより、レジスト50上の電極層材料膜27Zを除去し、第1電極層27および第2電極層37を形成する(電極層形成工程)。
以上の工程により、図1および図2B(或いは、図2A)に示す裏面電極型の太陽電池1が得られる。
【0046】
ここで、図4Aおよび図4Bを参照して、特許文献1に記載のような従来のリフトオフ法を用いた電極層のパターニングについて説明する。図4Aおよび図4Bにおいて、半導体基板11X、パッシベーション層23X,33X、第1導電型半導体層25X、第2導電型半導体層35X、電極層材料膜27ZX、第1電極層27X、第2電極層37X、およびレジスト50Xはそれぞれ、上述した第1実施形態の半導体基板11、パッシベーション層23,33、第1導電型半導体層25、第2導電型半導体層35、電極層材料膜27Z、第1電極層27、第2電極層37、およびレジスト50に対応する。
【0047】
従来のリフトオフ法を用いた電極層のパターニングでは、図4Aに示すように、第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界上にこれらに跨って、比較的に幅広のレジスト50Xを形成する。次に、第1導電型半導体層25X、第2導電型半導体層35X、およびレジスト50X上に電極層材料膜27ZXを形成する。
【0048】
次に、リフトオフ法を用いてレジスト50Xを除去することにより、レジスト50X上の電極層材料膜27ZXを除去する。これにより、図4Bに示すように、第1導電型半導体層25X上に第1電極層27Xを形成し、第2導電型半導体層35Xに第2電極層37Xを形成する。第1電極層27Xと第2電極層37Xとは、第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界において、レジスト50Xの幅に応じて互いに離間する。
【0049】
ここで、キャリア取り出し効率の観点から、電極層の抵抗値は小さいことが好ましい。この点に関し、図5Aおよび図5Bに示すように、第1電極層27Xおよび第2電極層37Xの幅を広くすること、すなわちリフトオフのためのレジスト50Xの幅を狭くすることが考えられる。
【0050】
しかしながら、レジスト50Xの幅を狭くすると、製造バラツキ等の要因により、図6Aに示すように、レジスト形成位置が第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界からずれる場合が発生することが考えられる。この場合、図6Bに示すように、第1電極層27X(或いは、第2電極層37X)が第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界を跨いで形成され、第1電極層27X(或いは、第2電極層37X)を介して第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとが電気的に接続されてしまう(図6Bの矢印箇所)。その結果、キャリア取り出し効率が大幅に低下してしまう。
【0051】
この点に関し、第1実施形態の太陽電池の製造方法では、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上に、レジスト50よりも幅広の絶縁層40を形成し、絶縁層40上にレジスト50を形成する(図3B)。これにより、レジスト50の幅を狭くし、製造バラツキ等の要因により、レジスト形成位置が第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界からずれ、第1電極層27(或いは、第2電極層37)が第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35Xとの境界を跨いで形成されても、絶縁層40によって第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とが電気的に接続されることがない(図3B図3C図3D、および図2B)。その結果、キャリア取り出し効率の低下の発生を低減することができる。
【0052】
特に、第1実施形態の太陽電池の製造方法では、第1電極層27と第2電極層37との絶縁距離に応じた幅のレジスト50を形成する場合に、すなわちリフトオフのためのレジスト50の幅を狭して、第1電極層27Xおよび第2電極層37Xの幅を広くする場合に、上述した効果を奏する。
【0053】
この場合、レジストの幅と絶縁層の幅の差が、レジストの形成位置の製造バラツキに応じた寸法以上となるように、絶縁層を形成することで、上述した効果を奏する。
【0054】
(第2実施形態の太陽電池の製造方法)
第1実施形態では、レジストを用いたリフトオフ法を利用した太陽電池の製造方法について説明した。第2実施形態では、レジストを用いたエッチング法を利用した太陽電池の製造方法について説明する。
【0055】
次に、図7A図7Dを参照して、第2実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。図7A図7Dでは、図2Bの一例、すなわち製造バラツキによりレジストの離間部分が第1導電型半導体層と第2導電型半導体層との境界からずれて形成される場合の一例について示す。
【0056】
図7Aは、第2実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図であり、図7Bは、第2実施形態に係る太陽電池の製造方法における絶縁層形成工程および電極層材料膜形成工程を示す図である。図7Cは、第2実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図であり、図7Dは、第2実施形態に係る太陽電池の製造方法における電極層形成工程を示す図である。図7A図7Dでは、半導体基板11の裏面側を示し、半導体基板11の表面側を省略する。
【0057】
まず、図7Aに示すように、半導体基板11の裏面側(一方主面側)の一部に、具体的には第1領域7に、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25を形成する(半導体層形成工程)。
【0058】
例えば、上述同様に、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第1導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成するマスクまたはメタルマスクを利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25をパターニングしてもよい。
【0059】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第1導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0060】
次に、半導体基板11の裏面側の他の一部に、具体的には第2領域8に、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35を形成する(半導体層形成工程)。
【0061】
例えば、上述同様に、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション膜および第2導電型半導体膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術を用いて生成するマスクまたはメタルマスクを利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35をパターニングしてもよい。
【0062】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第2導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
または、リフトオフ法を用いてパッシベーション層33および第2導電型半導体層35のパターニングを行ってもよい。
【0063】
なお、この半導体層形成工程において、半導体基板11の受光面側の全面に、パッシベーション層13および光学調整層15を形成してもよい(図示省略)。
【0064】
次に、図7Bに示すように、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上にこれらに跨って絶縁層40を形成する(絶縁層形成工程)。このとき、絶縁層40のX方向の幅が、後述する第1レジスト51と第2レジスト52とのX方向の離間間隔よりも広くなるようにする。例えば、第1レジスト51と第2レジスト52との離間間隔と、絶縁層40の幅との差が、第1レジスト51と第2レジスト52との離間部分の形成位置の製造バラツキに応じた寸法以上となるようにする。絶縁層40の形成方法としては、上述同様に、例えば印刷法または塗布法等が用いられる。
【0065】
次に、第1導電型半導体層25、第2導電型半導体層35および絶縁層40の上にこれらに跨って電極層材料膜27Zを形成する(電極層材料膜形成工程)。電極層材料膜27Zの形成方法としては、上述同様に、例えばスパッタリング等のPVD法が用いられる。
【0066】
次に、図7Cに示すように、電極層材料膜27Z上に、第1電極層27に対応する第1レジスト51と第2電極層37に対応する第2レジスト52とを形成する(レジスト形成工程)。このとき、第1レジスト51と第2レジスト52とが絶縁層40の上において離間するように、第1レジスト51および第2レジスト52を形成する。第1レジスト51と第2レジスト52とのX方向の離間間隔は、第1電極層27と第2電極層37との絶縁距離に応じた離間間隔となるようにする。第1レジスト51および第2レジスト52の材料としては、上述同様に、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、または酸窒化珪素(SiON)のようなそれらの複合物等が挙げられる。レジスト50の形成方法としては、例えば印刷法または塗布法等が用いられる。
【0067】
次に、図7Dに示すように、第1レジスト51および第2レジスト52を用いたエッチング法により、電極層材料膜27Zの露出部分を除去し、第1電極層27および第2電極層37を形成する(電極層形成工程)。その後、第1レジスト51および第2レジスト52を除去する。
以上の工程により、図1および図2B(或いは、図2A)に示す裏面電極型の太陽電池1が得られる。
【0068】
ここで、図8Aおよび図8Bを参照して、従来のエッチング法を用いた電極層のパターニングについて説明する。図8Aおよび図8Bにおいて、半導体基板11X、パッシベーション層23X,33X、第1導電型半導体層25X、第2導電型半導体層35X、電極層材料膜27ZX、第1電極層27X、第2電極層37X、第1レジスト51Xおよび第2レジスト52Xはそれぞれ、上述した第2実施形態の半導体基板11、パッシベーション層23,33、第1導電型半導体層25、第2導電型半導体層35、電極層材料膜27Z、第1電極層27、第2電極層37、第1レジスト51および第2レジスト52に対応する。
【0069】
従来のエッチング法を用いた電極層のパターニングでは、図8Aに示すように、第1レジスト51Xおよび第2レジスト52Xを、第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界上において比較的に大きく離間するように形成する。
【0070】
次に、第1レジスト51Xおよび第2レジスト52Xを用いたエッチング法により、電極層材料膜27ZXの露出部分を除去する。これにより、図8Bに示すように、第1導電型半導体層25X上に第1電極層27Xを形成し、第2導電型半導体層35Xに第2電極層37Xを形成する。第1電極層27Xと第2電極層37Xとは、第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界において、第1レジスト51Xと第2レジスト52Xとの離間間隔に応じて互いに離間する。
【0071】
ここで、キャリア取り出し効率の観点から、電極層の抵抗値は小さいことが好ましい。この点に関し、図9Aおよび図9Bに示すように、第1電極層27Xおよび第2電極層37Xの幅を広くすること、すなわちエッチングのための第1レジスト51Xと第2レジスト52Xとの離間間隔を狭くすることが考えられる。
【0072】
しかしながら、第1レジスト51Xと第2レジスト52Xとの離間間隔を狭くすると、製造バラツキ等の要因により、図10Aに示すように、第1レジスト51Xと第2レジスト52Xとの離間部分の形成位置が第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界からずれる場合が発生することが考えられる。この場合、図10Bに示すように、第1電極層27X(或いは、第2電極層37X)が第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとの境界を跨いで形成され、第1電極層27X(或いは、第2電極層37X)を介して第1導電型半導体層25Xと第2導電型半導体層35Xとが電気的に接続されてしまう(図10Bの矢印箇所)。その結果、キャリア取り出し効率が大幅に低下してしまう。
【0073】
この点に関し、第2実施形態の太陽電池の製造方法では、第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界上に、第1レジスト51と第2レジスト52との離間間隔よりも幅広の絶縁層40を形成し、絶縁層40上において離間するように第1レジスト51および第2レジスト52を形成を形成する(図7C)。これにより、第1レジスト51と第2レジスト52との離間間隔を狭くし、製造バラツキ等の要因により、第1レジスト51と第2レジスト52との離間部分の形成位置が第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35との境界からずれ、第1電極層27(或いは、第2電極層37)が第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35Xとの境界を跨いで形成されても、絶縁層40によって第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とが電気的に接続されることがない(図7C図7D、および図2B)。その結果、キャリア取り出し効率の低下の発生を低減することができる。
【0074】
特に、第2実施形態の太陽電池の製造方法では、第1電極層27と第2電極層37との絶縁距離に応じた離間間隔の第1レジスト51と第2レジスト52とを形成する場合に、すなわちエッチングのための第1レジスト51と第2レジスト52との離間間隔を狭して、第1電極層27Xおよび第2電極層37Xの幅を広くする場合に、上述した効果を奏する。
【0075】
この場合、第1レジストと第2レジストとの離間間隔と、絶縁層の幅との差が、第1レジストと第2レジストとの離間部分の形成位置の製造バラツキに応じた寸法以上となるように、絶縁層を形成することで、上述した効果を奏する。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、図2Aおよび図2Bに示すようにヘテロ接合型の太陽電池1の製造方法を例示したが、本発明の特徴は、ヘテロ接合型の太陽電池に限らず、ホモ接合型の太陽電池等の種々の太陽電池の製造方法に適用可能である。
【0077】
また、上述した実施形態では、結晶シリコン基板を有する太陽電池を例示したが、これに限定されない。例えば、太陽電池は、ガリウムヒ素(GaAs)基板を有していてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 太陽電池
7 第1領域
7b,8b バスバー部
7f,8f フィンガー部
8 第2領域
11,11X 半導体基板
13 パッシベーション層
15 光学調整層
23,23X パッシベーション層
25,25X 第1導電型半導体層
27,27X 第1電極層
27Z,27ZX 電極層材料膜
33,33X パッシベーション層
35,35X 第2導電型半導体層
37,37X 第2電極層
40 絶縁層
50,50X レジスト
51,51X 第1レジスト
52,52X 第2レジスト
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B