(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】エッチング方法および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20231206BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L21/306 G
H01L21/308 D
(21)【出願番号】P 2020061933
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】江本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 晃久
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-107176(JP,A)
【文献】特開2018-056175(JP,A)
【文献】特開2020-035777(JP,A)
【文献】特開2020-038956(JP,A)
【文献】特開2013-055274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体と、ポリシリコン層と、を含む被処理物に対するエッチング方法であって、
(a)物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理によって、前記積層体を部分的に除去する工程と、
(b)第1エッチング液としての、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素の混合水溶液、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液へ、前記被処理物をさらす工程と、
(c)前記工程(b)の後、第2エッチング液としてのアンモニア水へ前記被処理物をさらす工程と、
(d)前記工程(c)の後、第3エッチング液としてのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液へ前記被処理物をさらすことによって、前記ポリシリコン層をエッチングする工程と、
を備えるエッチング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエッチング方法であって、前記第2エッチング液は、50℃以上80℃以下の温度を有する、エッチング方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエッチング方法であって、前記第2エッチング液は、水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上10倍以下の水に溶解されているアンモニア水である、エッチング方法。
【請求項4】
酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体を含み、エッチング残渣の発生を伴うエッチングによって前記積層体に形成された凹部を有している基板、に対する基板処理方法であって、前記凹部は、前記酸化シリコン層および前記ポリシリコン層を露出する内面を有しており、前記基板処理方法は、
(a)除去液を前記凹部内に供給することによって、前記凹部の前記内面に付着した前記エッチング残渣を除去する工程と、
(b)前記工程(a)の後、アンモニア水溶液を前記凹部内に供給することによって、前記工程(a)またはそれ以前に前記ポリシリコン層に形成された表面酸化膜をエッチングする第1エッチング工程と、
(c)前記工程(b)の後、第4級アンモニウム水酸化物溶液を前記凹部内に供給することによって、前記酸化シリコン層に比して前記ポリシリコン層を高いエッチング速度でエッチングする第2エッチング工程と、
を備える基板処理方法。
【請求項5】
酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体を含み、エッチング残渣の発生を伴うエッチングによって前記積層体に形成された凹部を有している基板、に対する基板処理方法であって、前記凹部は、前記酸化シリコン層および前記ポリシリコン層を露出する内面を有しており、前記基板処理方法は、
(a)除去液を前記凹部内に供給することによって、前記凹部の前記内面に付着した前記エッチング残渣を除去する工程と、
(b)前記工程(a)の後、アンモニア水溶液を前記凹部内に供給することによって、前記工程(a)またはそれ以前に前記ポリシリコン層に形成された表面酸化膜をエッチングする第1エッチング工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記工程(b)におけるアンモニア水溶液よりも高いアンモニア濃度を有するアンモニア水溶液を前記凹部内に供給することによって、前記酸化シリコン層に比して前記ポリシリコン層を高いエッチング速度でエッチングする第2エッチング工程と、
を備える基板処理方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の基板処理方法であって、前記工程(a)から(c)は連続的に行われる、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板を処理するためのエッチング方法および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置およびその製造方法として、特開2018-195718号公報はフィン電界効果トランジスタ(FINFET:Fin Field Effect Transistor)およびその製造方法を開示している。FINFETは、基板の上部に形成されたフィンを有している。その製造方法における一工程において、フィン上に、ダミーゲート電極およびサイドウォールと、それを覆う層間絶縁膜とが形成される。ダミーゲート電極、サイドウォールおよび層間絶縁膜として、例えば、ポリシリコン層、窒化シリコン層および酸化シリコン層が用いられる。続く工程において、CMP(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)によって、ダミーゲート電極、サイドウォールおよび層間絶縁膜が露出された上面が形成される。この時点で基板上には、面内方向(上面に平行な方向)において互いに積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体と、それに隣接するポリシリコン層とが存在している。なお上記CMPの作用(化学的作用および機械的作用)によって、前記積層体は部分的に除去されている。続く工程において、この積層体(すなわち窒化シリコン層および酸化シリコン層)を残しつつポリシリコン層を除去するウェットエッチングが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ウェットエッチングには、高いエッチング選択性が求められる。具体的には、ポリシリコンを除去する際に、酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体がエッチングされる量、すなわちロス量、を抑制することが求められる。ロス量が大きいと積層体が大きく侵食されてしまい、その悪影響は半導体装置が集積化されているほど大きい。近年の集積化の進展にともなって、ロス量の低減が強く求められている。しかしながら、CMP(より一般的に言えば、物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理)によって積層体を部分的に除去する工程の後、酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体とポリシリコン層とを含む被処理物からポリシリコンを選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、ロス量を十分に低減することは難しかった。
【0005】
またこれと類似して、酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体にエッチングによって形成された凹部におけるウェットエッチングに、高いエッチング性が求められることがある。具体的には、ポリシリコンを除去する際に、酸化シリコン層がエッチングされる量、すなわちロス量、を抑制することが求められることがある。ロス量が大きいと酸化シリコン層が大きく侵食されてしまい、その悪影響は半導体装置が集積化されているほど大きい。近年の集積化の進展にともなって、ロス量の低減が強く求められている。しかしながら、エッチングによって酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体に凹部を形成する工程の後、凹部においてポリシリコンを選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、酸化シリコン層のロス量を十分に低減することは難しかった。
【0006】
そこで、本発明の一の目的は、酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体とポリシリコン層とを含む被処理物からポリシリコンを選択的に除去するウェットエッチングが、物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理によって積層体を部分的に除去する工程の後に行われる場合において、ウェットエッチングにおける積層体のロス量を抑制することができるエッチング方法を提供することである。
【0007】
また本発明の他の目的は、エッチングによって酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体に凹部を形成する工程の後、凹部においてポリシリコンを選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、酸化シリコン層のロス量を抑制することができる基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される第1の態様は、酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体と、ポリシリコン層と、を含む被処理物に対するエッチング方法であって、(a)物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理によって、前記積層体を部分的に除去する工程と、(b)第1エッチング液としての、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素の混合水溶液、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液へ、前記被処理物をさらす工程と、(c)前記工程(b)の後、第2エッチング液としてのアンモニア水へ前記被処理物をさらす工程と、(d)前記工程(c)の後、第3エッチング液としてのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液へ前記被処理物をさらすことによって、前記ポリシリコン層をエッチングする工程と、を備える。
【0009】
本明細書に開示される第2の態様は、前記第1の態様のエッチング方法であって、前記第2エッチング液は、50℃以上80℃以下の温度を有する。
【0010】
本明細書に開示される第3の態様は、前記第1または第2の態様のエッチング方法であって、前記第2エッチング液は、水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上10倍以下の水に溶解されているアンモニア水である。
【0011】
本明細書に開示される第4の態様は、酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体を含み、エッチング残渣の発生を伴うエッチングによって前記積層体に形成された凹部を有している基板、に対する基板処理方法であって、前記凹部は、前記酸化シリコン層および前記ポリシリコン層を露出する内面を有しており、前記基板処理方法は、(a)除去液を前記凹部内に供給することによって、前記凹部の前記内面に付着した前記エッチング残渣を除去する工程と、(b)前記工程(a)の後、アンモニア水溶液を前記凹部内に供給することによって、前記工程(a)またはそれ以前に前記ポリシリコン層に形成された表面酸化膜をエッチングする第1エッチング工程と、(c)前記工程(b)の後、第4級アンモニウム水酸化物溶液を前記凹部内に供給することによって、前記酸化シリコン層に比して前記ポリシリコン層を高いエッチング速度でエッチングする第2エッチング工程と、を備える。
【0012】
本明細書に開示される第5の態様は、酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体を含み、エッチング残渣の発生を伴うエッチングによって前記積層体に形成された凹部を有している基板、に対する基板処理方法であって、前記凹部は、前記酸化シリコン層および前記ポリシリコン層を露出する内面を有しており、前記基板処理方法は、(a)除去液を前記凹部内に供給することによって、前記凹部の前記内面に付着した前記エッチング残渣を除去する工程と、(b)前記工程(a)の後、アンモニア水溶液を前記凹部内に供給することによって、前記工程(a)またはそれ以前に前記ポリシリコン層に形成された表面酸化膜をエッチングする第1エッチング工程と、(c)前記工程(b)の後、前記工程(b)におけるアンモニア水溶液よりも高いアンモニア濃度を有するアンモニア水溶液を前記凹部内に供給することによって、前記酸化シリコン層に比して前記ポリシリコン層を高いエッチング速度でエッチングする第2エッチング工程と、を備える。
【0013】
本明細書に開示される第6の態様は、前記第4または第5の態様の基板処理方法であって、前記工程(a)から(c)は連続的に行われる。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の態様のエッチング方法によれば、工程(d)におけるポリシリコン層のエッチングに先立って行われる工程(b)によって、物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理によって積層体が部分的に除去された際に生じた異物が除去される。さらに、工程(d)におけるポリシリコン層のエッチングに先立って行われる工程(c)によって、ポリシリコン層の自然酸化膜が除去される。自然酸化膜が除去されることによって、ポリシリコン層の除去が自然酸化膜によって阻害されなくなるので、ポリシリコン層のエッチングが効率的に進行する。よって積層体のロス量を抑えることができる。さらに、この工程(c)の前に上記工程(b)が行われていることによって、自然酸化膜の除去が上記異物によって阻害されないので、自然酸化膜が除去されるまでのエッチングが効率的に進行する。よってロス量をさらに抑えることができる。さらに、工程(d)においてエッチング液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液が用いられることによって、ポリシリコンが高い選択性でエッチングされる。よってロス量をさらに抑えることができる。以上から、酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体とポリシリコン層とを含む被処理物からポリシリコン層を選択的に除去するウェットエッチングが、物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理によって積層体を部分的に除去する工程の後に行われる場合において、ウェットエッチングにおける積層体のロス量を十分に抑制することができる。
【0015】
上記第2の態様のエッチング方法によれば、第2エッチング液は、50℃以上80℃以下の温度を有する。第2エッチング液が50℃以上の温度を有することによって、上記工程(c)によるポリシリコン層の自然酸化膜の除去が、量産において通常望まれる程度に短時間で行いやすい。第2エッチング液が80℃以下の温度を有することによって、第2エッチング液の取り扱いを容易なものとすることができる。
【0016】
上記第3の態様のエッチング方法によれば、第2エッチング液は、水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上10倍以下の水に溶解されているアンモニア水である。水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上の水に溶解されていることによって、水酸化アンモニウムの濃度が過度であることに起因しての、上記工程(c)における意図しないダメージを、抑制することができる。水酸化アンモニウムが質量比で10倍以下の水に溶解されていることによって、上記工程(c)によるポリシリコン層の自然酸化膜の除去が、量産において通常望まれる程度に短時間で行いやすい。
【0017】
上記第4の態様の基板処理方法によれば、工程(c)におけるポリシリコン層のエッチングに先立って行われる工程(a)によって、エッチングによって生じたエッチング残渣が除去される。さらに、工程(c)におけるポリシリコン層のエッチングに先立って行われる工程(b)によって、ポリシリコン層の表面酸化膜が除去される。表面酸化膜が除去されることによって、ポリシリコン層の除去が表面酸化膜によって阻害されなくなるので、ポリシリコン層のエッチングが効率的に進行する。よって酸化シリコン層のロス量を抑えることができる。さらに、この工程(b)の前に上記工程(a)が行われていることによって、表面酸化膜の除去がエッチング残渣によって阻害されないので、表面酸化膜が除去されるまでのエッチングが効率的に進行する。よってロス量をさらに抑えることができる。さらに、工程(c)においてエッチング液として第4級アンモニウム水酸化物溶液が用いられることによって、ポリシリコンが高い選択性でエッチングされる。よってロス量をさらに抑えることができる。以上から、エッチングによって酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体に凹部を形成する工程の後、凹部においてポリシリコンを選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、ウェットエッチングにおける酸化シリコン層のロス量を十分に抑制することができる。
【0018】
上記第5の態様の基板処理方法によれば、工程(c)におけるポリシリコン層のエッチングに先立って行われる工程(a)によって、エッチングによって生じたエッチング残渣が除去される。さらに、工程(c)におけるポリシリコン層のエッチングに先立って行われる工程(b)によって、ポリシリコン層の表面酸化膜が除去される。表面酸化膜が除去されることによって、ポリシリコン層の除去が表面酸化膜によって阻害されなくなるので、ポリシリコン層のエッチングが効率的に進行する。よって酸化シリコン層のロス量を抑えることができる。さらに、この工程(b)の前に上記工程(a)が行われていることによって、表面酸化膜の除去がエッチング残渣によって阻害されないので、表面酸化膜が除去されるまでのエッチングが効率的に進行する。よってロス量をさらに抑えることができる。さらに、工程(c)においてエッチング液として、上記工程(b)におけるアンモニア水溶液よりも高いアンモニア濃度を有するアンモニア水溶液が用いられることによって、ポリシリコンが十分に効率的にエッチングされる。以上から、エッチングによって酸化シリコン層およびポリシリコン層の積層体に凹部を形成する工程の後、凹部においてポリシリコンを効率的かつ選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、ウェットエッチングにおける酸化シリコン層のロス量を十分に抑制することができる。
【0019】
上記第6の態様の基板処理方法によれば、工程(a)から(c)が連続的に行われることによって、効率的に基板処理を行うことができる。このように工程(a)から(c)が連続的に行われることから、工程間にリンス工程を介在させられないものの、工程(a)から(c)はいずれもアンモニア系の処理液を使用してることから、工程間にリンス工程を介在させなくても、前工程から受ける悪影響は小さい。よって、上述したように効率的な基板処理が実現される。
【0020】
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す部分平面図である。
【
図2】
図1の線II-IIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図3】
図1の半導体装置の製造方法の一部を概略的に示すフロー図である。
【
図4】
図3のステップS110およびステップS120を概略的に示す部分断面図である。
【
図5】
図3のステップS130を概略的に示す部分断面図である。
【
図6】
図3のステップS140を概略的に示す部分断面図である。
【
図7】
図3のステップS150を概略的に示す部分断面図である。
【
図8】アンモニア水によるポリシリコンのエッチング量と時間との関係を、水酸化アンモニウム:水=1:5かつ温度65℃の場合と、水酸化アンモニウム:水=1:5かつ温度40℃の場合と、水酸化アンモニウム:水=1:100かつ温度65℃の場合と、水酸化アンモニウム:水=1:100かつ温度40℃の場合とについて調べた実験結果を示すグラフ図である。
【
図9】アンモニア水による、ポリシリコン(p-Si)、酸化シリコン(TEOS)および窒化シリコン(SiN)のエッチング量と時間との関係について調べた実験結果を示すグラフ図である。
【
図10】テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)溶液による、ポリシリコン(p-Si)、酸化シリコン(TEOS)および窒化シリコン(SiN)のエッチング量と時間との関係について調べた実験結果を示すグラフ図である。
【
図11】実施の形態2における基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図12】実施の形態2における基板処理方法が行われる前後の基板の構成を概略的に示す断面図である。
【
図13】実施の形態2における基板処理方法について説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0023】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1におけるFINFET190(半導体装置)の構成を概略的に示す部分平面図であり、
図2は線II-II(
図1)に沿う概略的な部分断面図である。FINFET190は、基部111およびフィン部112を有する基板110と、ゲート絶縁膜131およびゲート電極132を有する絶縁ゲート構造130と、層間絶縁膜としてのTEOS層150(酸化シリコン層)と、絶縁ゲート構造130のサイドウォールとしてのSiN層140(窒化シリコン層)とを有している。
【0024】
フィン部112は基板110のうち基部111上のフィン状の部分である。具体的には、フィン部112は、基部111(
図1)から厚み方向に沿って上方(
図2における上方向)へと突出している。またフィン部112は面内方向(
図1および
図2における横方向)に延在している。フィン部112は、面内方向におおよそ平行な上面を、
図2に示すように有していてよい。
【0025】
ゲート電極132は金属からなる。ゲート電極132は、
図1に示すように、基板110上においてフィン部112と交差して延びている。この交差箇所において、ゲート電極は、フィン部112の上面だけでなく両側面も覆っている。ゲート電極132と基板110との間はゲート絶縁膜131によって隔てられている。
【0026】
SiN層140(サイドウォール)は、ゲート電極132の両側に配置されている。SiN層140とゲート電極132との間はゲート絶縁膜131によって隔てられていてよい。フィン部112の上面上において互いに隣り合うゲート電極132の間は、各ゲート電極132の側面に配置されたSiN層140に加えて、層間絶縁膜としてのTEOS層150によって隔てられている。TEOS層は、TEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン)を原料ガスとして用いたCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)によって形成された酸化シリコン層である。
【0027】
フィン部112(
図2)の上面には、ソース領域またはドレイン領域としての複数の不純物領域120が形成されている。不純物領域120の各々は、主部121と、エクステンション部122とを有している。主部121はTEOS層150(層間絶縁膜)の底面に面しており、エクステンション部122はSiN層140(サイドウォール)の底面に面している。
【0028】
図3は、FINFET190(
図2)の製造方法の一部を概略的に示すフロー図である。
【0029】
図4を参照して、ステップS110(
図3)にて、フィン部112上に、ダミーゲート電極としてのp-Si層160(ポリシリコン層)が形成される。p-Si層160(ダミーゲート電極)の平面レイアウトは、絶縁ゲート構造130(
図2)の平面レイアウトに対応している。なお絶縁ゲート構造130(
図2)は、この時点では未だ形成されていない。
【0030】
次に、p-Si層160をマスクとして用いた第1イオン注入によって、不純物領域120のエクステンション部122が形成される。次にp-Si層160の両側にSiN層140(サイドウォール)が形成される。次に、両側にSiN層140(サイドウォール)が設けられたp-Si層160をマスクとして用いた第2イオン注入によって、不純物領域120の主部121が形成される。第2イオン注入は第1イオン注入によりも深く行われる。これにより、第1イオン注入によって形成されていたエクステンション部122はその両端部のみが残り、その中央部は、より大きな深さを有する主部121とされる。
【0031】
次に、ステップS120(
図3)にて、不純物領域120を活性化するアニールが行われる。アニール温度は、例えば1000℃程度の高温である。なお、ダミーゲート電極としてのp-Si層160は、金属からなるゲート電極132(
図2)とは異なりポリシリコンからなるため、アニール温度に対して十分な耐熱性を有する。
【0032】
図5を参照して、ステップS130(
図3)にて、その両側にSiN層140(サイドウォール)が設けられたp-Si層160(ダミーゲート電極)を覆うように、TEOS層150(層間絶縁膜)が形成される。具体的には、TEOSを原料ガスとして用いたCVD法による成膜が行われる。
図5において、SiN層140とTEOS層150とがX方向において積層されている。言い換えれば、TEOS層150およびSiN層140の積層体が形成されている。この積層体と、p-Si層160とを、以下において、被処理物とも称する。この時点で被処理物は、TEOS層150からなる上面S1を有している。この被処理物に対して、後に説明する工程においてエッチング処理が行われる。
【0033】
次に、ステップS140(
図3)にて、スラリーを用いたCMP処理によって被処理物の上面が処理される。スラリー中の砥粒による機械的作用(言い換えれば、物理的作用)と、スラリー中の薬剤による化学的作用とが、被処理物の上面へ及ぶことによって、当該上面が上面S1(
図5)から上面S2(
図6)へと削られる。具体的には、積層体(TEOS層150およびSiN層140)が部分的に除去され、また同時に、TEOS層150(層間絶縁膜)が部分的に除去される。
【0034】
次に、ステップS150(
図3)にて、ダミーゲート電極としてのp-Si層160(
図6)が、
図7に示すように除去される。具体的には、以下のように、ステップS151~S153のそれぞれにて第1~第3ウェットエッチングが行われる。
【0035】
まず、ステップS151(
図3)にて、被処理物を第1エッチング液へさらすことによって第1ウェットエッチングが行われる。例えば、被処理物へ第1エッチング液がシャワーノズルから吐出される。第1エッチング液としては、水酸化アンモニウム(NH
4OH)および過酸化水素(H
2O
2)の混合水溶液(SC1)、または、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)溶液が用いられる。SC1の成分は、通常用いられる成分であってよい。TMAH溶液の溶媒は水(H
2O)であってよく、例えば、TMAHが質量比で4倍程度の水に溶解される。
【0036】
次に、ステップS152(
図3)にて、被処理物を第2エッチング液へさらすことによって第2ウェットエッチングが行われる。例えば、被処理物へ第2エッチング液がシャワーノズルから吐出される。第2エッチング液としては、希釈アンモニア水(dNH
4OH)が用いられる。なお、第2エッチング液は第1エッチング液の成分とは異なる成分を有している。よって第2エッチング液は、SC1ではなく、過酸化水素は実質的に含有していない。第2エッチング液は、50℃以上80℃以下の温度を有することが好ましい。また第2エッチング液は、水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上10倍以下の水に溶解されているアンモニア水であることが好ましい。
【0037】
処理効率上、上記ステップS151とステップS152との間においては、リンス処理(洗浄処理)は行われないことが、好ましい。言い換えれば、被処理物が第1エッチング液へさらされた後、他の液にさらされることなく第2エッチング液へさらされることが好ましい。このようにリンス処理が省略されても、第1エッチング液および第2エッチング液は共にアンモニア系のエッチング液であることから、化学反応上の大きな問題は実質的に生じない。また、ステップS152が枚葉式の場合(被処理物へ第2エッチング液を吐出することによって行われる場合)は、バッチ式の場合(被処理物をエッチング槽中の第2エッチング液へ浸漬することによって行われる場合)とは異なり、第2エッチング液のエッチング槽へ第1エッチング液が混入する問題も生じない。
【0038】
次に、ステップS153(
図3)にて、被処理物を第3エッチング液へさらすことによって第3ウェットエッチングが行われる。例えば、被処理物へ第3エッチング液がシャワーノズルから吐出される。これによってp-Si層160がエッチングされる。第3エッチング液としては、TMAH溶液が用いられる。TMAH溶液の溶媒は水(H
2O)であってよく、例えば、TMAHが質量比で4倍程度の水に溶解される。
【0039】
処理効率上、上記ステップS152とステップS153との間においては、リンス処理(洗浄処理)は行われないことが好ましい。言い換えれば、被処理物が第2エッチング液へさらされた後、他の液にさらされることなく第3エッチング液へさらされることが好ましい。このようにリンス処理が省略されても、第2エッチング液および第3エッチング液は共にアンモニア系のエッチング液であることから、化学反応上の大きな問題は生じない。また、ステップS153が枚葉式の場合は、バッチ式の場合とは異なり、第3エッチング液のエッチング槽へ第2エッチング液が混入する問題も生じない。
【0040】
次に、ステップS160(
図3)にて、ダミーゲート電極としてのp-Si層160(
図6)が
図7に示すように除去されることによって形成された凹部に、絶縁ゲート構造130(
図2)が形成される。これによりFINFET190が得られる。
【0041】
前述したステップS140(
図3)にて、スラリーを用いたCMPによってTEOS層150およびSiN層140の積層体が部分的に除去される際に(
図5および
図6参照)、上面S2(
図6)上において、p-Si層160を覆うスラリー残渣(異物)が形成されやすい。本実施の形態によれば、この異物が、第3ウェットエッチング(ステップS153:
図3)におけるp-Si層160のエッチングに先立って行われる第1ウェットエッチング(ステップS151:
図3)によって除去される。さらに、第3ウェットエッチングにおけるp-Si層160のエッチングに先立って行われる第2ウェットエッチング(ステップS152:
図3)によって、上面S2(
図6)上におけるp-Si層160の自然酸化膜が除去される。自然酸化膜が除去されることによって、p-Si層160の除去が自然酸化膜によって阻害されなくなるので、p-Si層160のエッチングが効率的に進行する。よって積層体のロス量を抑えることができる。さらに、この第2ウェットエッチングの前に第1ウェットエッチングが行われていることによって、自然酸化膜の除去が上記異物によって阻害されないので、自然酸化膜が除去されるまでのエッチングが効率的に進行する。よってロス量をさらに抑えることができる。さらに、第3ウェットエッチングにおいてエッチング液としてTMAH溶液が用いられることによって、p-Si層160が高い選択性でエッチングされる。よってロス量をさらに抑えることができる。以上から、TEOS層150およびSiN層140の積層体とp-Si層160とを含む被処理物からp-Si層160を選択的に除去するウェットエッチングが、CMP処理によって積層体を部分的に除去する工程の後に行われる場合において、ウェットエッチングにおける積層体のロス量を十分に抑制することができる。
【0042】
第2エッチング液は、50℃以上80℃以下の温度を有することが好ましい。第2エッチング液が50℃以上の温度を有することによって、第2ウェットエッチングによるp-Si層160の自然酸化膜の除去が、量産において通常望まれる程度に短時間で行いやすい。第2エッチング液が80℃以下の温度を有することによって、第2エッチング液の取り扱いを容易なものとすることができる。
【0043】
第2エッチング液は、水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上10倍以下の水に溶解されているアンモニア水であることが好ましい。水酸化アンモニウムが質量比で3倍以上の水に溶解されていることによって、水酸化アンモニウムの濃度が過度であることに起因しての、第2ウェットエッチングにおける意図しないダメージを、抑制することができる。具体的には、エッチングに起因した面荒れを抑制することができる。また、被処理物以外の箇所への過剰なダメージを抑制しやすい。また第2エッチング液のコストを抑制することができる。水酸化アンモニウムが質量比で10倍以下の水に溶解されていることによって、第2ウェットエッチングによるp-Si層160の自然酸化膜の除去が、量産において通常望まれる程度に短時間で行いやすい。
【0044】
次に、上記実施の形態に想到するまでに本発明者らが行った実験の結果について、以下に説明する。
【0045】
図8は、希釈アンモニア水(dNH
4OH)によるポリシリコン(p-Si)のエッチング量(nm)と時間(s)との関係を、質量比NH
4OH:H
2O=1:5かつ温度65℃の場合と、質量比NH
4OH:H
2O=1:5かつ温度40℃の場合と、質量比NH
4OH:H
2O=1:100かつ温度65℃の場合と、質量比NH
4OH:H
2O=1:100かつ温度40℃の場合とについて調べた実験結果を示すグラフ図である。この結果から、dNH
4OHが比較的高濃度(1:5)かつ比較的高温(65℃)の条件を有する場合、p-Si層が高速でエッチングされることがわかる。なお、当該条件においても最初の10秒間はエッチングがほとんど進行しておらず、この期間はp-Siのエッチングがp-Siの自然酸化膜によって阻害されていると考えられる。
【0046】
図9は、上述した条件を有する希釈アンモニア水(dNH
4OH)による、p-Si層、TEOS層およびSiN層のエッチング量と時間との関係について調べた実験結果を示すグラフ図である。また
図10は、質量比TMAH:H
2O=1:4かつ温度80℃のTMAH水溶液による、p-Si層、TEOS層およびSiN層のエッチング量と時間との関係について調べた実験結果を示すグラフ図である。
図9および
図10の比較から、p-Si層を効率的にエッチングしつつTEOS層およびSiN層のロス量を極力抑制するには、dNH
4OHよりもTMAH溶液の方が好ましいことがわかる。よって、p-Si層上の自然酸化膜および異物が除去された後、p-Si層のエッチングが実際に進行している際には、エッチング液としてdNH
4OHよりもTMAH溶液の方が好ましいことがわかる。ここで、自然酸化膜が残存している時点でエッチング液としてTMAH溶液が用いられると、自然酸化膜によってエッチングの進行が阻害されてしまう。よって、TMAH溶液でのウェットエッチングに先立って、dNH
4OHでのウェットエッチングが行われることが好ましいことがわかる。本発明者らは、この知見等に鑑みて、前述した実施の形態に想到したものである。
【0047】
なお上記においては、積層体において酸化シリコン層および窒化シリコン層が基板の面内方向(
図2におけるX方向)に積層されている場合について説明したが、酸化シリコン層および窒化シリコン層が基板の厚み方向(
図2におけるZ方向)に積層されていてもよい。この場合においても、ポリシリコン層をエッチングするためのエッチング液に積層体の酸化シリコン層および窒化シリコン層の各々がさらされる限り、上記と同様の効果が得られる。
【0048】
また、酸化シリコン層および窒化シリコン層の積層体が部分的に除去される処理(
図5および
図6参照)がCMPによって行われる場合について説明したが、当該処理は、CMPに限定されるものではなく、物理的作用および化学的作用の少なくともいずれかを有する処理であればよい。例えばRIE(Reactive Ion Etching)は、物理的作用と化学的作用との両方を有する点においてCMPと共通した特徴を有しており、CMPにおいてスラリー残差が問題となるのと同様に、RIEにおける被処理物への付着物が問題となる。この付着物の問題は、上記においてCMPのスラリー残差の問題が解消されたのと同様に解消される。
【0049】
<実施の形態2>
図11は、実施の形態2における基板処理装置2の構成を概略的に示す断面図である。
【0050】
基板処理装置2は、内部空間を有する箱型のチャンバー4と、チャンバー4内で1枚の基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック10と、回転軸線A1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ23とを含む。
【0051】
チャンバー4は、基板Wが通過する搬入搬出口6bが設けられた箱型の隔壁6と、搬入搬出口6bを開閉するシャッター7とを含む。チャンバー4は、さらに、隔壁6の天井面で開口する送風口6aの下方に配置された整流板8を含む。クリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送るFFU5(ファン・フィルター・ユニット)は、送風口6aの上に配置されている。チャンバー4内の気体を排出する排気ダクト9は、処理カップ23に接続されている。送風口6aは、チャンバー4の上端部に設けられており、排気ダクト9は、チャンバー4の下端部に配置されている。排気ダクト9の一部は、チャンバー4の外に配置されている。整流板8は、隔壁6の内部空間を整流板8の上方の上空間Suと整流板8の下方の下空間SLとに仕切っている。隔壁6の天井面と整流板8の上面との間の上空間Suは、クリーンエアーが拡散する拡散空間である。整流板8の下面と隔壁6の床面との間の下空間SLは、基板Wの処理が行われる処理空間である。スピンチャック10や処理カップ23は、下空間SLに配置されている。隔壁6の床面から整流板8の下面までの鉛直方向の距離は、整流板8の上面から隔壁6の天井面までの鉛直方向の距離よりも長い。FFU5は、送風口6aを介して上空間Suにクリーンエアーを送る。上空間Suに供給されたクリーンエアーは、整流板8に当たって上空間Suを拡散する。上空間Su内のクリーンエアーは、整流板8を上下に貫通する複数の貫通孔を通過し、整流板8の全域から下方に流れる。下空間SLに供給されたクリーンエアーは、処理カップ23内に吸い込まれ、排気ダクト9を通じてチャンバー4の下端部から排出される。これにより、整流板8から下方に流れる均一なクリーンエアーの下降流(ダウンフロー)が、下空間SLに形成される。基板Wの処理は、クリーンエアーの下降流が形成されている状態で行われる。
【0052】
スピンチャック10は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース12と、スピンベース12の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン11と、スピンベース12の中央部から下方に延びるスピン軸13と、スピン軸13を回転させることによりスピンベース12および複数のチャックピン11を回転させるスピンモータ14とを含む。スピンチャック10は、複数のチャックピン11を基板Wの外周面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース12の上面12uに吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。スピンベース12は、基板Wの下方に配置される上面12uを含む。スピンベース12の上面12uは、基板Wの下面と平行である。スピンベース12の上面12uは、基板Wの下面に対向する対向面である。スピンベース12の上面12uは、回転軸線A1を取り囲む円環状である。スピンベース12の上面12uの外径は、基板Wの外径よりも大きい。チャックピン11は、スピンベース12の上面12uの外周部から上方に突出している。チャックピン11は、スピンベース12に保持されている。基板Wは、基板Wの下面がスピンベース12の上面12uから離れた状態で複数のチャックピン11に保持される。
【0053】
基板処理装置2は、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル15を含む。下面ノズル15は、スピンベース12の上面12uと基板Wの下面との間に配置されたノズル円板部と、ノズル円板部から下方に延びるノズル筒状部とを含む。下面ノズル15の液吐出口15pは、ノズル円板部の上面中央部で開口している。基板Wがスピンチャック10に保持されている状態では、下面ノズル15の液吐出口15pが、基板Wの下面中央部に上下に対向する。基板処理装置2は、下面ノズル15にリンス液を案内する下リンス液配管16と、下リンス液配管16に介装された下リンス液バルブ17とを含む。下リンス液バルブ17が開かれると、下リンス液配管16によって案内されたリンス液が、下面ノズル15から上方に吐出され、基板Wの下面中央部に供給される。下面ノズル15に供給されるリンス液は、純水(脱イオン水:DIW(Deionized Water))である。下面ノズル15に供給されるリンス液は、純水に限らず、IPA(イソプロピルアルコール)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、1~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。図示はしないが、下リンス液バルブ17は、液体が流れる内部流路と内部流路を取り囲む環状の弁座とが設けられたバルブボディと、弁座に対して移動可能な弁体と、弁体が弁座に接触する閉位置と弁体が弁座から離れた開位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他のバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、下リンス液バルブ17を開閉させる。
【0054】
下面ノズル15の外周面とスピンベース12の内周面は、上下に延びる下筒状通路19を形成している。下筒状通路19は、スピンベース12の上面12uの中央部で開口する下中央開口18を含む。下中央開口18は、下面ノズル15のノズル円板部の下方に配置されている。基板処理装置2は、下筒状通路19を介して下中央開口18に供給される不活性ガスを案内する下ガス配管20と、下ガス配管20に介装された下ガスバルブ21と、下ガス配管20から下筒状通路19に供給される不活性ガスの流量を変更する下ガス流量調整バルブ22とを備えている。下ガス配管20から下筒状通路19に供給される不活性ガスは、窒素ガスである。不活性ガスは、窒素ガスに限らず、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの他の不活性ガスであってもよい。これらの不活性ガスは、空気中の酸素濃度(約21vol%)よりも低い酸素濃度を有する低酸素ガスである。下ガスバルブ21が開かれると、下ガス配管20から下筒状通路19に供給された窒素ガスが、下ガス流量調整バルブ22の開度に対応する流量で、下中央開口18から上方に吐出される。その後、窒素ガスは、基板Wの下面とスピンベース12の上面12uとの間の空間をあらゆる方向に放射状に流れる。これにより、基板Wとスピンベース12との間の空間が窒素ガスで満たされ、雰囲気中の酸素濃度が低減される。基板Wとスピンベース12との間の空間の酸素濃度は、下ガスバルブ21および下ガス流量調整バルブ22の開度に応じて変更される。下ガスバルブ21および下ガス流量調整バルブ22は、基板Wに接する雰囲気中の酸素濃度を変更する雰囲気酸素濃度変更ユニットに含まれる。
【0055】
処理カップ23は、基板Wから外方に排出された液体を受け止める複数のガード25と、複数のガード25によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ26と、複数のガード25と複数のカップ26とを取り囲む円筒状の外壁部材24とを含む。
図11は、2つのガード25と2つのカップ26とが設けられている例を示している。ガード25は、スピンチャック10を取り囲む円筒状のガード筒状部25bと、ガード筒状部25bの上端部から回転軸線A1に向かって斜め上に延びる円環状のガード天井部25aとを含む。複数のガード天井部25aは、上下に重なっており、複数のガード筒状部25bは、同心円状に配置されている。複数のカップ26は、それぞれ、複数のガード筒状部25bの下方に配置されている。カップ26は、上向きに開いた環状の受液溝を形成している。基板処理装置2は、複数のガード25を個別に昇降させるガード昇降ユニット27を含む。ガード昇降ユニット27は、上位置から下位置までの任意の位置にガード25を位置させる。上位置は、ガード25の上端25uがスピンチャック10に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード25の上端25uが保持位置よりも下方に配置される位置である。ガード天井部25aの円環状の上端は、ガード25の上端25uに相当する。ガード25の上端25uは、平面視で基板Wおよびスピンベース12を取り囲んでいる。スピンチャック10が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wから振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、少なくとも一つのガード25の上端25uが、基板Wよりも上方に配置される。したがって、基板Wから排出された薬液やリンス液などの処理液は、いずれかのガード25に受け止められ、このガード25に対応するカップ26に案内される。
【0056】
中心ノズル45は、液体を吐出する液吐出口を有している。中心ノズル45は、液バルブ53を介して液準備ユニット52から供給される液を吐出する開口を、下端に有している。液バルブ53が開かれると、液準備ユニット52で準備された液が、中心ノズル45から下方に吐出されることによって基板Wの上面に供給される。液準備ユニット52には、バルブ51T、バルブ51N、バルブ51H、およびバルブ51Dのそれぞれを介して、TMAH溶液供給源、NH4OH水溶液(アンモニア水溶液)供給源、H2O2供給源、およびDIW供給源が接続されている。液準備ユニット52は、バルブ51Tを開くことによってTMAH溶液を準備することができ、その際、バルブ51Dの開度を調整することによって溶液の濃度を調整することができる。また液準備ユニット52は、バルブ51Nを開くことによってNH4OH水溶液を準備することができ、その際、バルブ51Dの開度を調整することによって、希釈アンモニア水としてのNH4OH水溶液の濃度を調整することができる。また液準備ユニット52は、バルブ51Nおよびバルブ51Hを開くことによってSC1(NH4OHおよびH2O2の混合水溶液)を準備することができ、その際、バルブ51Dの開度を調整することによって溶液の濃度を調整することができる。また液準備ユニット52は、バルブ51Dを開くことによって、リンス液としてのDIWを準備することができる。
【0057】
図12は、本実施の形態2における基板処理方法が行われる前後の基板Wの構成を概略的に示す断面図である。
図12の左側は、
図13に示す処理(エッチング)が行われる前の基板Wの断面を示しており、
図12の右側は、
図13に示す処理(エッチング)が行われた後の基板Wの断面を示している。
図12の右側に示すように、基板Wがエッチングされると、基板Wの面方向(基板Wの厚み方向Dtに直交する方向)に凹んだ複数のリセスR1が凹部92の内面92s(側面)に形成される。
【0058】
図12に示すように、基板Wは、シリコンウエハなどの母材の上に形成された積層体91を有している。積層体91は、複数のポリシリコン層P1~P3と複数の酸化シリコン層O1~O3とを含む。複数のポリシリコン層P1~P3および複数の酸化シリコン層O1~O3は、ポリシリコン層P1~P3と酸化シリコン層O1~O3とが交互に入れ替わるように基板Wの厚み方向Dtに積層されている。ポリシリコン層P1~P3は、基板W上にポリシリコンを堆積させる堆積工程と、堆積したポリシリコンを加熱する熱処理工程と、が行われた薄膜である(
図13参照)。なお熱処理工程は省略されてもよい。
【0059】
積層体91は、基板Wの最表面Wsから基板Wの厚み方向Dt(基板Wの母材の表面に直交する方向)に凹んだ凹部92を有している。凹部92は、複数のポリシリコン層P1~P3および複数の酸化シリコン層O1~O3を基板Wの厚み方向Dtに貫通している。ポリシリコン層P1~P3および酸化シリコン層O1~O3の側面は、凹部92の内面92sで露出している。凹部92は、トレンチ、ビアホール、およびコンタクトホールのいずれかであってもよいし、これら以外であってもよい。凹部92は、ドライエッチング(
図13参照)によって形成されている。ドライエッチングは、エッチング残渣の発生を伴う。ここで、凹部92を形成するための、エッチング残渣の発生を伴うエッチングは、ドライエッチングに限定されるものではなく、例えば、液体によるエッチングも含まれる。
【0060】
図13に示す処理(エッチング)が開始される前は、ポリシリコン層P1~P3および酸化シリコン層O1~O3の表層に、通常、表面酸化膜としての自然酸化膜が形成されている。またポリシリコン層P1~P3および酸化シリコン層O1~O3の表層に、通常、凹部92を形成する際に生じたエッチング残渣が付着している。
図12の左側の二点鎖線は、これら表面酸化膜およびエッチング残渣の輪郭を模式的に示している。
【0061】
図13は、本実施の形態2における基板処理方法について説明するためのフロー図である。基板処理装置2では、
図13中の「スタート」以降の工程が実行される。
【0062】
基板処理装置2によって基板Wが処理されるときは、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程が行われる(
図13のステップS11)。具体的には、全てのガード25が下位置に位置している状態で、センターロボット(不図示)のハンド(不図示)が、基板Wを支持しつつチャンバー4内に進入させる。そしてセンターロボットは、基板Wの表面が上に向けられた状態でハンド上の基板Wを複数のチャックピン11の上に置く。その後、複数のチャックピン11が基板Wの外周面に押し付けられ、基板Wが把持される。センターロボットは、基板Wをスピンチャック10の上に置いた後、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。
【0063】
次に、下ガスバルブ21が開かれることで、スピンベース12の下中央開口18が窒素ガスの吐出を開始する。これにより、基板Wに接する雰囲気中の酸素濃度が低減される。さらに、ガード昇降ユニット27がいずれかのガード25を下位置から上位置に上昇させる。その後、スピンモータ14が駆動され、基板Wの回転が開始される(
図13のステップS12)。
【0064】
次に、除去液を基板Wの上面に供給する工程が行われる(
図13のステップS13)。これにより除去液が凹部92に供給され、それによって凹部の内面92sに付着したエッチング残渣が除去される。除去液としては、TMAH溶液またはSC1が用いられてよい。具体的には、中心ノズル45から吐出された除去液は、基板Wの上面中央部に衝突した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板Wの上面全域を覆う除去液の液膜が形成され、基板Wの上面全域に除去液が供給される。所定時間が経過すると、除去液の吐出が停止される。なお、このステップS13に起因して、ポリシリコン層P1~P3の表層に表面酸化膜が、新たにまたは追加で形成されることがある。なお除去液としての、TMAH溶液またはSC1は、ステップS151(
図3:実施の形態1)の場合と同様のものが用いられてよい。
【0065】
次に、第1エッチング液としての希釈アンモニア水(アンモニア水溶液)を基板Wの上面に供給する第1エッチング工程が行われる(
図13のステップS14)。これによりアンモニア水溶液が凹部92に供給され、それによって、ステップS13またはそれ以前にポリシリコン層P1~P3に形成された表面酸化膜がエッチングされる。具体的には、中心ノズル45から吐出されたアンモニア水溶液は、基板Wの上面中央部に衝突した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板Wの上面全域を覆うアンモニア水溶液の液膜が形成され、基板Wの上面全域にアンモニア水溶液が供給される。所定時間が経過すると、アンモニア水溶液の吐出が停止される。なお希釈アンモニア水としては、ステップS152(
図3:実施の形態1)の場合と同様のものが用いられてよい。
【0066】
次に、第2エッチング液としてのTMAH溶液を基板Wの上面に供給する第2エッチング工程が行われる(
図13のステップS15)。これによりTMAH溶液が凹部92に供給され、それによって、酸化シリコン層O1~O3に比してポリシリコン層P1~P3が高いエッチング速度でエッチングされる。言い換えれば、ポリシリコン層P1~P3が選択的にエッチングされる。具体的には、中心ノズル45から吐出されたTMAH溶液は、基板Wの上面中央部に衝突した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。これにより、基板Wの上面全域を覆うTMAH溶液の液膜が形成され、基板Wの上面全域にTMAH溶液が供給される。第2エッチング液の吐出が開始される前に、ガード昇降ユニット27は、基板Wから排出された液体を受け止めるガード25を切り替えるために、少なくとも一つのガード25を鉛直に移動させてもよい。所定時間が経過すると、TMAH溶液の吐出が停止される。なおTMAH溶液としては、ステップS153(
図3:実施の形態1)の場合と同様のものが用いられてよい。
【0067】
次に、リンス液としてのDIWを基板Wの上面に供給するリンス液供給工程が行われる(
図13のステップS16)。具体的には、中心ノズル45から吐出されたDIWは、基板Wの上面中央部に衝突した後、回転している基板Wの上面に沿って外方に流れる。基板W上の第2エッチング液は、中心ノズル45から吐出されたDIWによって洗い流される。これにより、基板Wの上面全域を覆うDIWの液膜が形成される。所定時間が経過すると、DIWの吐出が停止される。
【0068】
次に、基板Wの回転によって基板Wを乾燥させる乾燥工程が行われる(
図13のステップS17)。具体的には、スピンモータ14が基板Wを回転方向に加速させ、ステップS13~S15までの期間における基板Wの回転速度よりも大きい高回転速度(たとえば数千rpm)で基板Wを回転させる。これにより、液体が基板Wから除去され、基板Wが乾燥する。基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、スピンモータ14が回転を停止する。これにより、基板Wの回転が停止される(
図13のステップS18)。
【0069】
次に、基板Wをチャンバー4から搬出する搬出工程が行われる(
図13のステップS19)。具体的には、ガード昇降ユニット27が全てのガード25を下位置まで下降させる。さらに、下ガスバルブ21が閉じられることで、スピンベース12の下中央開口18が窒素ガスの吐出を停止する。その後、センターロボット(不図示)がハンド(不図示)をチャンバー4内に進入させる。センターロボットは、複数のチャックピン11が基板Wの把持を解除した後、スピンチャック10上の基板Wをハンドで支持する。その後、センターロボットは、基板Wをハンドで支持しながら、ハンドをチャンバー4の内部から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
【0070】
本実施の形態によれば、ステップS15におけるポリシリコン層P1~P3のエッチングに先立って行われるステップS13によって、ドライエッチングによって生じたエッチング残渣が除去される。さらに、ステップS15におけるポリシリコン層P1~P3のエッチングに先立って行われるステップS14によって、ポリシリコン層P1~P3の表面酸化膜が除去される。表面酸化膜が除去されることによって、ポリシリコン層P1~P3の除去が表面酸化膜によって阻害されなくなるので、ポリシリコン層P1~P3のエッチングが効率的に進行する。よって酸化シリコン層O1~O3のロス量を抑えることができる。さらに、このステップS14の前に上記ステップS13が行われていることによって、表面酸化膜の除去がエッチング残渣によって阻害されないので、表面酸化膜が除去されるまでのエッチングが効率的に進行する。よってロス量をさらに抑えることができる。さらに、ステップS15においてエッチング液としてTMAH溶液が用いられることによって、ポリシリコンが高い選択性でエッチングされる。よってロス量をさらに抑えることができる。以上から、ドライエッチングによって酸化シリコン層O1~O3およびポリシリコン層P1~P3の積層体91に凹部92を形成する工程の後、凹部92においてポリシリコンを選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、ウェットエッチングにおける酸化シリコン層O1~O3のロス量を十分に抑制することができる。
【0071】
ステップS13~S15が連続的に行われることによって、効率的に基板処理を行うことができる。このようにステップS13~S15が連続的に行われることから、ステップS16のようなリンス工程をステップS13~S15の間に介在させられないものの、ステップS13~S15はいずれもアンモニア系の処理液を使用してることから、工程間にリンス工程を介在させなくても、前工程から受ける悪影響は小さい。よって、上述したように効率的な基板処理が実現される。
【0072】
<変形例1>
なお上記においては、ステップS15における好適なエッチング液としてTMAH溶液が用いられるが、ステップS15におけるエッチング液はTMAH溶液に限定されるものではなく、第4級アンモニウム水酸化物溶液であればよい。第4級アンモニウム水酸化物溶液の溶媒はは水(H2O)であってよい。第4級アンモニウム水酸化物は、TMAH、TBAH(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド)、TPeAH(テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド)、THAH(テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド)、TEAH(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)、およびTPAH(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド)の少なくとも一つであってもよいし、これら以外であってもよい。これらはいずれも有機アルカリに含まれる。
【0073】
<変形例2>
本変形例においては、第2エッチング液(ステップS15(
図13))として、第1エッチング液(ステップS14(
図13))としての希釈アンモニア水(アンモニア水溶液)よりも高いアンモニア濃度を有する希釈アンモニア水が用いられる。本変形例によれば、ステップS15におけるポリシリコン層P1~P3のエッチングに先立って行われるステップS13によって、ドライエッチングによって生じたエッチング残渣が除去される。さらに、ステップS15におけるポリシリコン層P1~P3のエッチングに先立って行われるステップS14によって、ポリシリコン層P1~P3の表面酸化膜が除去される。表面酸化膜が除去されることによって、ポリシリコン層P1~P3の除去が表面酸化膜によって阻害されなくなるので、ポリシリコン層P1~P3のエッチングが効率的に進行する。よって酸化シリコン層O1~O3のロス量を抑えることができる。さらに、このステップS14の前に上記ステップS13が行われていることによって、表面酸化膜の除去がエッチング残渣によって阻害されないので、表面酸化膜が除去されるまでのエッチングが効率的に進行する。よってロス量をさらに抑えることができる。さらに、ステップS15においてエッチング液として、上記ステップS14における希釈アンモニア水よりも高いアンモニア濃度を有する希釈アンモニア水が用いられることによって、ポリシリコンが十分に効率的にエッチングされる。以上から、ドライエッチングによって酸化シリコン層O1~O3およびポリシリコン層P1~P3の積層体91に凹部92を形成する工程の後、凹部92においてポリシリコンを効率的かつ選択的に除去するウェットエッチングが行われる場合において、ウェットエッチングにおける酸化シリコン層O1~O3のロス量を十分に抑制することができる。
【0074】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施の形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0075】
O1~O3 :酸化シリコン層
P1~P3 :ポリシリコン層
R1 :リセス
S1 :上面
S2 :上面
2 :基板処理装置
91 :積層体
92 :凹部
92s :内面
110 :基板
111 :基部
112 :フィン部
120 :不純物領域
121 :主部
122 :エクステンション部
130 :絶縁ゲート構造
131 :ゲート絶縁膜
132 :ゲート電極
140 :SiN層(窒化シリコン層)
150 :TEOS層(酸化シリコン層)
160 :p-Si層(ポリシリコン層)