(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231206BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
(21)【出願番号】P 2020070987
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】石神 裕丈
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-158394(JP,A)
【文献】特開2017-200000(JP,A)
【文献】特開2013-174494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差を含む第1画像及び第2画像を撮影する第1カメラ(11)及び第2カメラ(12)が搭載された移動体(50)に適用され、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記移動体の周囲に存在する物体を検出する物体検出装置(20)であって、
前記移動体と前記物体との間の距離情報を取得する取得部と、
前記第1画像において前記物体が存在する物体存在範囲を設定する第1設定部と、
前記第1画像での前記物体存在範囲に対応させて、前記第2画像において前記物体を検索する物体検索範囲を設定する第2設定部と、
前記取得部により取得された距離情報に基づいて、前記物体検索範囲の大きさを調整する調整部と、
前記第1設定部により設定された前記第1画像の物体存在範囲と、前記調整部による調整後の前記第2画像の物体検索範囲とにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出する物体検出部と、
前記取得部により取得された前記距離情報の信頼度を判定する信頼度判定部と、
を備え、
前記物体検出部は、前記距離情報の信頼度が所定以下であると判定された場合に、前記第1設定部により設定された前記第1画像の物体存在範囲と、前記調整部による調整が行われていない前記第2画像の物体検索範囲とにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出する物体検出装置。
【請求項2】
前記物体検出部を第1物体検出部として備える
とともに、前記第1画像及び前記第2画像において画像全体を検出範囲として前記物体の存在を検出する第2物体検出部を備え、
前記第1物体検出部は、前記第2物体検出部による物体検出が正常に行われていないことを条件に、物体検出を実施する請求項
1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
視差を含む第1画像及び第2画像を撮影する第1カメラ(11)及び第2カメラ(12)が搭載された移動体(50)に適用され、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記移動体の周囲に存在する物体を検出する物体検出装置(20)であって、
前記移動体と前記物体との間の距離情報を取得する取得部と、
前記第1画像において前記物体が存在する物体存在範囲を設定する第1設定部と、
前記第1画像での前記物体存在範囲に対応させて、前記第2画像において前記物体を検索する物体検索範囲を設定する第2設定部と、
前記取得部により取得された距離情報に基づいて、前記物体検索範囲の大きさを調整する調整部と、
前記第1設定部により設定された前記第1画像の物体存在範囲と、前記調整部による調整後の前記第2画像の物体検索範囲とにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出する
第1物体検出部と、
前記第1画像及び前記第2画像において画像全体を検出範囲として前記物体の存在を検出する第2物体検出部と、
を備え、
前記第1物体検出部は、前記第2物体検出部による物体検出が正常に行われていないことを条件に、物体検出を実施する物体検出装置。
【請求項4】
前記第2物体検出部は、前記第1画像及び前記第2画像における画像全体での物体検出により複数の物体の検出を可能とするものであり、
前記第1物体検出部は、前記第2物体検出部での物体検出において正常な検出が行われなかった検出未完物体が含まれる場合に、前記第2物体検出部による物体検出が正常に行われていないとし、前記検出未完物体を対象として物体検出を実施する請求項
2又は3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記第1設定部は、前記物体存在範囲において、前記第1カメラ及び前記第2カメラの並び方向における端部位置を基準位置として設定し、
前記第2設定部は、前記第2画像において前記第1画像での前記基準位置に対応する対応位置を設定するとともに、その対応位置に基づいて前記物体検索範囲を設定し、
前記調整部は、前記距離情報に基づいて、前記対応位置を前記並び方向にシフトさせることで、前記物体検索範囲の大きさを調整する請求項
1から請求項4までのいずれか一項に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記距離情報において前記移動体と前記物体との距離が短いほど、前記並び方向において第2カメラ側に前記対応位置をシフトさせることで、前記物体検索範囲の大きさを調整する請求項
5に記載の物体検出装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記第1画像上の前記物体の寸法に基づいて算出された前記移動体と前記物体との間の距離を前記距離情報として取得する請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の物体検出装置。
【請求項8】
前記取得部は、所定期間毎に取得される前記第1画像及び前記第2画像のうち、前回取得された前記第1画像及び前記第2画像の少なくとも一方に基づいて算出された前記移動体と前記物体との間の距離を前記距離情報として取得する請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの移動体における物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステレオカメラを車両に搭載し、一対の撮影画像に基づいて車両周囲に存在する物体を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1)。この装置では、ステレオカメラを構成する一対のカメラにより撮影された第1画像及び第2画像のそれぞれに基づいて物体の存在を検出し、第1画像及び第2画像の互いの撮像視野が重なる領域で、第1画像及び第2画像における視差に基づいて車両と物体との間の距離を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の距離の算出において、第1画像及び第2画像のマッチング処理により、第1画像及び第2画像における視差を算出することができる。この算出では、第1画像及び第2画像においてそれぞれ物体が検索されるが、その検索範囲が広いほど、処理負担が増大する。この場合、物体検出結果に基づき実施される車両走行の制御に影響が及ぶことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動体の周囲に存在する物体を適正に検出できる物体検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、視差を含む第1画像及び第2画像を撮影する第1カメラ及び第2カメラが搭載された移動体に適用され、前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記移動体の周囲に存在する物体を検出する物体検出装置であって、前記移動体と前記物体との間の距離情報を取得する取得部と、前記第1画像において前記物体が存在する物体存在範囲を設定する第1設定部と、前記第1画像での前記物体存在範囲に対応させて、前記第2画像において前記物体を検索する物体検索範囲を設定する第2設定部と、前記取得部により取得された距離情報に基づいて、前記物体検索範囲の大きさを調整する調整部と、前記第1設定部により設定された前記第1画像の物体存在範囲と、前記調整部による調整後の前記第2画像の物体検索範囲とにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出する物体検出部と、を備える。
【0007】
一対のカメラにより撮影された画像(第1画像及び第2画像)のマッチング処理により、物体を検出する技術では、第1画像での物体存在範囲に対応させて、第2画像において物体を検索する物体検索範囲が設定される。そして、上記構成では、移動体から物体までの距離情報に基づいて、第2画像での物体検索範囲の大きさを調整するとともに、第1画像の物体存在範囲と、調整部による調整後の第2画像の物体検索範囲とにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出するようにした。
【0008】
ここで、第1画像及び第2画像において同一物体を認識する際には、それら各画像において視差が生じ、かつ視差の大きさが移動体から物体までの距離に応じて異なるものとなる。この場合、移動体から物体までの距離情報に基づいて第2画像での物体検索範囲の大きさを調整することで、物体までの距離に応じた視差の大きさの違いを考慮しつつ物体検索範囲を定めることができる。そのため、第2画像での物体検索範囲において物体を検索する際の処理負荷の軽減を図ることができる。その結果、第1画像及び第2画像における視差に基づいて移動体の周囲に存在する物体を検出する処理を適正に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】第1実施形態に係る調整処理の手順を示すフローチャート。
【
図5】検索処理における画像差異スコアの推移を示すグラフ。
【
図7】第2実施形態に係る調整処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両に搭載された物体検知システムを具体化している。当該システムは、例えば、車両に搭載される車両システムの一例であり、車両の周囲に存在する物体(例えば、他の車両や道路構造物等、本実施形態では自転車)を検知する。
【0011】
まず、本実施形態に係る車両の物体検知システムの概略構成について
図1を用いて説明する。移動体としての車両50は、ステレオカメラ10と、物体検出装置としてのECU20と、ECU20の制御対象としての被制御装置30とを備えている。
【0012】
ステレオカメラ10は、車両50の前方を撮影できるよう光軸を車両50の前方に向けた状態で車両50の前部に設置されている。ステレオカメラ10は、右カメラ11及び左カメラ12を備えている。右カメラ11及び左カメラ12は、上下(重力)方向において同じ高さに配置されるとともに左右(水平)方向に離れた位置に配置されている。なお、本実施形態において、左右方向が「並び方向」に相当し、右カメラ11及び左カメラ12がそれぞれ「第1カメラ及び第2カメラ」に相当する。
【0013】
右カメラ11及び左カメラ12は、車両50の前方に位置する同一の物体を異なる方向から撮影する。右カメラ11及び左カメラ12は、所定周期で同時に撮影を行い、右カメラ11で撮影された右画像及び左カメラ12で撮影された左画像は、それぞれECU20に出力される。右カメラ11及び左カメラ12は、例えば、それぞれがCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサで構成されている。なお、本実施形態において、右画像及び左画像がそれぞれ「第1画像及び第2画像」に相当する。
【0014】
ECU20は、CPUや各種メモリ等を備えたコンピュータを主体として構成されている。ECU20は、ステレオカメラ10の右カメラ11及び左カメラ12によってそれぞれ出力された右画像及び左画像に基づいて、車両前方に位置する物体を検出し、その物体までの距離を算出する。
【0015】
物体までの距離の算出には、周知のマッチング処理を用いた手法が適用される。簡単に説明すると、ECU20は、同時に撮影された右画像及び左画像を取得し、これらの画像に共通に存在する物体の位置の視差DP(画像上のずれ量)に基づき、三角測量の原理を用いて物体までの距離を算出する。以下、視差DPに基づいて算出された物体までの距離を、複眼距離LPという。
【0016】
また、ECU20は、算出された複眼距離LPに基づいて、その物体に対する接触回避処理等を実施する。具体的には、被制御装置30である警報装置31及びブレーキ装置32を、それぞれ所定の作動タイミングで作動させる。警報装置31は、ECU20からの制御指令により、ドライバに対して車両前方に物体が存在することを警報する。警報装置31は、例えば、車室内に設けられたスピーカや、画像を表示する表示部により構成されている。また、ブレーキ装置32は、車両50の制動力を変化させるブレーキ機構と、このブレーキ機構の動作を制御するブレーキECUとを備えている。ブレーキECUは、ECU20と通信可能に接続されており、ECU20からの制御指令により、ブレーキ機構を制御する。
【0017】
ところで、複眼距離LPの算出では、右画像及び左画像における視差DPから、三角測量の原理によって複眼距離LPを算出する。
図2を用いて、三角測量の原理について説明する。
図2の上側には、右カメラ11、左カメラ12及び物体を重力方向上側から見た様子が示されており、
図2の下側には、右カメラ11及び左カメラ12で撮影された右画像及び左画像がそれぞれ示されている。
図2に示すように、複眼距離LPは、右カメラ11及び左カメラ12の間の左右方向における距離である基準長LCと、右カメラ11及び左カメラ12の焦点距離LFと、右画像及び左画像における視差DPとを用いて、以下の(式1)のように表される。
【0018】
LP=LC×LF/DP・・・(式1)
例えば、複眼距離LPの算出に用いられる視差DPは、右画像及び左画像のマッチング処理により算出される。具体的には、右画像において物体が存在する矩形の物体存在範囲HAが設定され、右画像での物体存在範囲HAに対応させて、左画像において物体を検索する矩形の物体検索範囲HEが設定される。この場合、左画像に設定された物体検索範囲HEが広いと、左画像において物体を検索する検索処理における処理負担が増大し、車両50の周囲に存在する物体を適正に検出できない。
【0019】
そこで、本実施形態では、車両50と物体との間の距離情報を取得し、取得した距離情報に基づいて、左画像での物体検索範囲HEの大きさを調整する調整処理を実施するようにした。具体的には、調整処理において、距離情報に基づいて、物体検索範囲HEの大きさが小さくなるように調整するようにした。これにより、検索処理における処理負担が軽減され、車両50の周囲に存在する物体の適正な検出が可能となる。
【0020】
本実施形態では、車両50と物体との間の距離情報として単眼距離LSを取得する。単眼距離LSは、物体存在範囲HAの左右方向における寸法である画像寸法WGに基づいて算出される車両50と物体との間の距離である。単眼距離LSの算出方法については、後述する。なお、本実施形態において、画像寸法WGが「第1画像上の物体の寸法」に相当する。
【0021】
本実施形態におけるECU20の具体的な構成について、
図1を用いて説明する。
図1に示すように、ECU20は、画像取得部21、距離算出部22、範囲設定部23、検索部25、距離設定部26、警報制御部27及び停止制御部28として機能する。
【0022】
画像取得部21は、右カメラ11及び左カメラ12により撮影された右画像及び左画像をそれぞれ取得する。右画像及び左画像は同時に撮影された画像であり、画像取得部21は、これらの対の画像を所定周期で取得する。
【0023】
距離算出部22は、画像取得部21により取得された右画像及び左画像において画像全体を検出対象の範囲として物体の存在を検出する。具体的には、距離算出部22は、
図4(A)に示すように、ベース画像である右画像の画像全体から物体を検出し、物体存在範囲HAを設定する。距離算出部22は、設定した物体存在範囲HAにおける画像寸法WGから単眼距離LSを算出する。単眼距離LSは、物体の実寸法WRと画像寸法WGとの比に基づいて算出される。具体的には、単眼距離LSは、焦点距離LFと、実寸法WRと、画像寸法WGとを用いて、以下の(式2)のように表される。
【0024】
LS=WR×LF/WG・・・(式2)
ここで、物体の実寸法WRは、周知のパターンマッチングにより右画像上の物体の種別を判定することで取得される。
【0025】
また、距離算出部22は、
図4(B)に示すように、右画像の画像全体から所定の矩形範囲HBを設定し、比較画像である左画像の画像全体から矩形範囲HBに最も類似する類似範囲HCを検出する。なお、矩形範囲HBは、物体存在範囲HAよりも狭い範囲に設定されている。距離算出部22は、右画像における矩形範囲HBの位置と左画像における類似範囲HCの位置とから求められる視差DPに基づいて、複眼距離LPを算出する。以下、距離算出部22により算出される複眼距離LPを第1複眼距離LP1という。
【0026】
範囲設定部23は、
図4(C)に示すように、距離算出部22により設定された物体存在範囲HAに対応させて左画像に物体検索範囲HEを設定する。範囲設定部23は、物体検索範囲HEを設定する場合に、左右方向における物体検索範囲HEの大きさを調整する。
【0027】
検索部25は、物体存在範囲HAにおける画像に基づいて、物体検索範囲HEから物体を検索する。具体的には、検索部25は、物体検索範囲HEから物体存在範囲HAに最も類似する対象範囲HFを検索する。検索部25は、右画像における物体存在範囲HAの位置と左画像における対象範囲HFの位置とから求められる視差DPに基づいて、複眼距離LPを算出する。以下、検索部25により算出される複眼距離LPを第2複眼距離LP2という。
【0028】
距離設定部26は、車両50と物体との間の距離を設定する。本実施形態では、距離設定部26は、第1複眼距離LP1と第2複眼距離LP2とのいずれかを車両50と物体との間の距離として設定する。
【0029】
警報制御部27は、距離設定部26により設定された算出された第2複眼距離LP2が所定の警告距離になったと判定された場合に、ドライバに物体が接近している旨を通知するために警報装置31に対して制御指令を送信する。停止制御部28は、第2複眼距離LP2が所定の停止距離になったと判定された場合に、車両50と物体との接触を回避するために、ブレーキ装置32に対して制御指令を送信する。
【0030】
次に、本実施形態における調整処理の手順について、
図3のフローチャートを参照して説明する。本処理は、ECU20が所定期間毎に繰り返し実施する。
【0031】
まず、ステップS10では、右カメラ11により撮影された右画像を取得する。ステップS12では、左カメラ12により撮影された左画像を取得する。ステップS10及びステップS12で取得される右画像及び左画像は、右カメラ11及び左カメラ12により同時に撮影された画像である。
【0032】
ステップS14では、ステップS10及びステップS12で取得された右画像及び左画像に、同一の物体が存在するか否かを判定する。ステップS14で否定判定すると、調整処理を終了する。一方、ステップS14で肯定判定すると、ステップS16において、ベース画像である右画像から物体存在範囲HAを設定する。なお、本実施形態において、ステップS16の処理が「第1設定部」に相当する。
【0033】
ここで、右画像及び左画像では、その画像全体において画像内に存在する物体が抽出され、各々に物体存在範囲HAが設定されるとよい。このとき、画像内に1又は複数の物体存在範囲HAが設定される。なお、画像内に複数の物体が存在する場合には、物体ごとに、後続の検出処理が行われるとよい。
【0034】
ステップS18では、ステップS16で設定された物体存在範囲HAにおける画像寸法WGに基づいて、距離情報としての単眼距離LSを算出する。続くステップS20では、第1複眼距離LP1を算出する。ステップS20では、右画像の画像全体から矩形範囲HBを設定するとともに、比較画像である左画像の画像全体から類似範囲HCを検出し、左右の画像から求められる視差DPに基づいて第1複眼距離LP1を算出する。なお、本実施形態において、ステップS18の処理が「取得部」に相当し、ステップS20の処理が「第2物体検出部」に相当する。
【0035】
ステップS22では、物体の検出が正常に行われたか否かを判定する。具体的には、以下の2点についての一致度を判定する。1点目では、ステップS18で算出された単眼距離LSと、ステップS20で算出された第1複眼距離LP1との一致度を判定する。詳細には、単眼距離LSと第1複眼距離LP1との差分値を所定の第1距離閾値と比較し、この差分値が第1距離閾値よりも小さい場合に、単眼距離LSと第1複眼距離LP1とが一致していると判定する。
【0036】
2点目では、第1複眼距離LP1の算出に用いる矩形範囲HBと類似範囲HCとの一致度を判定する。矩形範囲HBと類似範囲HCとの一致度は、矩形範囲HB及び類似範囲HCでの対応する各画素の輝度差を合計した値である画像差異スコアSGに基づいて判定される。詳細には、矩形範囲HB及び類似範囲HCにおける画像差異スコアSGを所定の輝度閾値と比較し、この画像差異スコアSGが輝度閾値よりも小さい場合に、矩形範囲HBと類似範囲HCとが一致していると判定する。
【0037】
単眼距離LSと第1複眼距離LP1とが一致しており、かつ矩形範囲HBと類似範囲HCとが一致していると判定した場合、物体の検出が正常に行われたと判定し、ステップS22で肯定判定する。この場合、ステップS24において、第1複眼距離LP1を物体距離LBに設定し、調整処理を終了する。ここで物体距離LBは、物体に対する車両50の相対速度など、車両50の移動様態を制御する移動制御量を算出するために設定される車両50と物体との間の距離である。ステップS24で設定された物体距離LBは、ECU20内のメモリに記憶される。ステップS40においても同様である。
【0038】
一方、単眼距離LSと第1複眼距離LP1とが一致していないと判定した場合、又は矩形範囲HBと類似範囲HCとが一致していないと判定した場合、物体の検出が正常に行われていないと判定し、ステップS22で否定判定する。この場合、ステップS30~S40の検出処理を実施する。
【0039】
ステップS22では、左右の各画像の画像全体に含まれる各物体について、それぞれ物体の検出が正常に行われたか否かを判定するとよい。そして、正常検出が行われた物体については、ステップS22で肯定判定し、正常検出が行われなかった物体については、ステップS22で否定判定するとよい。なお、本実施形態において、正常検出が行われなかった物体が「検出未完物体」に相当する。
【0040】
ステップS30では、左画像において物体検索範囲HEを設定する。続くステップS32では、ステップS30で設定された物体検索範囲HEの大きさを調整する。なお、本実施形態において、ステップS30の処理が「第2設定部」に相当し、ステップS32の処理が「調整部」に相当する。
【0041】
ステップS30、S32の処理について、
図4(C)を用いて説明する。
図4(C)に示すように、物体存在範囲HAでは、左右方向における左端部位置の下端位置である左下端部位置が基準位置PAとして設定されている。つまり、物体存在範囲HAにおける右カメラ11側の端部位置の下端位置が基準位置PAとして設定されている。基準位置PAと右画像の下端部位置までの右画像上の寸法はYBであり、基準位置PAと右画像の左端部位置までの右画像上の寸法はYCである。
【0042】
物体検索範囲HEの設定では、右画像での物体存在範囲HAに対応させて、左画像において物体検索範囲HEを設定する。具体的は、左画像において、右画像での基準位置PAと同じ位置に基準位置PAを設定する。そして、この基準位置PAに基づいて物体検索範囲HEを設定するための矩形の仮物体検索範囲HD(二点鎖線)を設定する。仮物体検索範囲HDの左下端部位置は基準位置PAに設定され、仮物体検索範囲HDの上下方向における寸法が、右画像での物体存在範囲HAの上下方向における寸法と等しくなるように設定される。また、仮物体検索範囲HDの左端部位置は、左画像の左端部位置に設定される。なお、本実施形態において、左画像での基準位置PAが「対応位置」に相当する。
【0043】
続く物体検索範囲HEの大きさの調整では、単眼距離LSに基づいて仮物体検索範囲HDの左右方向における大きさを調整する。具体的は、単眼距離LSに基づいて、基準位置PAを左側にシフトさせることによって、仮物体検索範囲HDの左右方向における大きさが小さくなるように調整する。基準位置PAを左側にシフトさせるシフト量YLは、基準長LC、焦点距離LF及び単眼距離LSを用いて、以下の(式3)のように表される。
【0044】
YL=LC×LF/LS・・・(式3)
以下、基準位置PAをシフト量YLだけ左側にシフトさせた位置を調整位置PBという。なお、本実施形態において、調整位置PBが、シフト後の「対応位置」に相当する。
【0045】
上記の調整により、仮物体検索範囲HDが物体検索範囲HE(一点鎖線)となる。物体検索範囲HEの左下端部位置は調整位置PBに設定され、物体検索範囲HEの上下方向における寸法が、右画像での物体存在範囲HAの上下方向における寸法と等しくなるように設定される。また、物体検索範囲HEの左端部位置は、左画像の左端部位置に設定される。
【0046】
続くステップS34では、物体存在範囲HAにおける画像に基づいて、物体検索範囲HEから物体を検索する検索処理を実施する。つまり、ステップS16で設定された物体存在範囲HAと、ステップS32による調整後の物体検索範囲HEとにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出するための検索処理を実施する。この検索処理では、物体検索範囲HEから物体存在範囲HAと同一形状の範囲を抽出し、この抽出範囲と物体存在範囲HAとの画像差異スコアSGを算出する。検索処理では、まず抽出範囲の左端部位置が物体検索範囲HEの左端部位置と等しくなるように抽出範囲を設定しておき、その後、抽出範囲を1画素分ずつ右側に移動させる。そして、各位置の抽出範囲において画像差異スコアSGを算出し、算出された画像差異スコアSGが最も小さくなる抽出範囲を、物体検索範囲HEにおいて物体が存在する対象範囲HFとして検索する。なお、本実施形態において、ステップS34の処理が「物体検出部、第1物体検出部」に相当する。
【0047】
ステップS36では、第2複眼距離LP2を算出する。続くステップS38では、物体の検索が正常に行われたか否かを判定する。具体的には、以下の2点についての一致度を判定する。1点目では、ステップS18で算出された単眼距離LSと、ステップS36で算出された第2複眼距離LP2との一致度を判定する。詳細には、単眼距離LSと第2複眼距離LP2との差分値を所定の第2距離閾値と比較し、この差分値が第2距離閾値よりも小さい場合に、単眼距離LSと第2複眼距離LP2とが一致していると判定する。なお、第2距離閾値は、第1距離閾値以上の値に設定されている。
【0048】
2点目では、第2複眼距離LP2の算出に用いる物体存在範囲HAと対象範囲HFとの一致度を判定する。詳細には、対象範囲HFにおける画像差異スコアSGと対象範囲HFに対して1画素分右側又は左側に移動させた抽出範囲における画像差異スコアSGとの差ΔSG(
図5参照)を、対象範囲HFにおける画像差異スコアSGと比較する。そして、対象範囲HFにおける画像差異スコアSGに対する差分値の比率が、所定の比率閾値よりも大きい場合に、物体存在範囲HAと対象範囲HFとが一致していると判定する。
【0049】
単眼距離LSと第2複眼距離LP2とが一致しており、かつ物体存在範囲HAと対象範囲HFとが一致していると判定した場合、物体の検索が正常に行われたと判定し、ステップS38で肯定判定する。この場合、ステップS40において、第2複眼距離LP2を物体距離LBに設定し、調整処理を終了する。つまり、ステップS40では、左画像上の物体の位置に基づいて物体距離LBを設定する。なお、本実施形態において、ステップS40の処理が「距離設定部」に相当する。
【0050】
一方、単眼距離LSと第2複眼距離LP2とが一致していないと判定した場合、又は物体存在範囲HAと対象範囲HFとが一致していないと判定した場合、物体の検索が正常に行われていないと判定し、ステップS22で否定判定して調整処理を終了する。この場合、単眼距離LS、第1複眼距離LP1及び第2複眼距離LP2に基づいて物体距離LBを設定することができないため、例えば以前に実施された調整処理で設定された物体距離LBに基づいて物体距離LBが推定される。
【0051】
続いて、
図5に、検索処理の一例を示す。
図5には、1画素分ずつ移動させた6つの抽出範囲H1~H6における画像差異スコアSGが記載されている。6つの抽出範囲H1~H6のうち、最も左側の第1抽出範囲H1は、その左下端部位置が左画像の基準位置PAとなる抽出位置である。また、第1抽出範囲H1よりもシフト量YL(
図5では2画素)だけ右側に位置する第3抽出範囲H3は、その左下端部位置が調整位置PBとなる抽出位置である。
【0052】
本実施形態では、第3抽出範囲H3から検索処理が開始され、第3抽出範囲H3よりも1画素分右側に移動させた第4抽出範囲H4で画像差異スコアSGが最小となる。つまり、第4抽出範囲H4が対象範囲HFとなる。その後、抽出範囲を移動させるに従って、画像差異スコアSGが増加する。本実施形態の検索処理では、第4抽出範囲H4よりも2画素分右側に移動させた第6抽出範囲H6において、抽出範囲の移動により画像差異スコアSGが増加する状態が複数回(
図5では2回)に亘って確認されたことにより、検索処理が終了される。
【0053】
本実施形態の検索処理では、物体検索範囲HEの大きさの調整により物体検索範囲HEを定める基準位置PAがシフト量YLだけ左側にシフトされた結果、このシフト量YLに対応する抽出範囲である第1抽出範囲H1及び第2抽出範囲H2において、画像差異スコアSGが算出されない。そのため、ECU20において、検索処理における処理負担が軽減される。
【0054】
ここで(式3)に示すように、シフト量YLと単眼距離LSとは互いに反比例の関係にあり、単眼距離LSが短いなるほどシフト量YLが大きくなる。そこで、本実施形態では、
図6に示すように、物体検索範囲HEの大きさの調整において、単眼距離LSが短いほどシフト量YLが大きくなるようにシフト量YLを設定するようにした。これにより、単眼距離LSを用いて、物体検索範囲HEの大きさが適正に調整され、ECU20において、検索処理における処理負担が軽減される。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0056】
・一対のカメラ11,12により撮影された画像(右画像及び左画像)のマッチング処理により物体を検出するECU20において、右画像での物体存在範囲HAに対応させて、左画像において物体を検索する物体検索範囲HEを設定するようにした。また、物体までの単眼距離LSに基づいて左画像での物体検索範囲HEの大きさを調整するとともに、右画像の物体存在範囲HAと、単眼距離LSによる調整後の左画像の物体検索範囲HEとにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出するようにした。
【0057】
ここで、右画像及び左画像において同一物体を認識する際には、それら各画像において視差DPが生じ、かつ視差DPの大きさが車両50から物体までの距離に応じて異なるものとなる。この場合、単眼距離LSに基づいて左画像での物体検索範囲HEの大きさを調整することで、物体までの距離に応じた視差DPの大きさの違いを考慮しつつ物体検索範囲HEを定めることができる。そのため、左画像での物体検索範囲HEにおいて物体を検索する際の処理負荷の軽減を図ることができる。その結果、右画像及び左画像における視差DPに基づいて車両50の周囲に存在する物体を検出する処理を適正に実施することができる。
【0058】
・物体検索範囲HEの設定では、右画像での基準位置PAと等しい位置に設定された左画像での基準位置PAに基づいて物体検索範囲HEが設定される。そして、本実施形態では、単眼距離LSに基づいて、基準位置PAを右側にシフトさせた調整位置PBに基づいて、物体検索範囲HEの大きさが調整されるようにした。これにより、物体までの距離に応じて設定された調整位置PBに基づいて物体検索範囲HEの大きさを適正に調整することができる。
【0059】
・基準位置PAを右側にシフトさせるシフト量YLと単眼距離LSとは互いに反比例の関係にある。この点、本実施形態では、単眼距離LSが短いほど、シフト量YLが大きくなるようにして物体検索範囲HEの大きさを調整するようにした。この場合、物体までの距離に応じて物体検索範囲HEの左右方向における幅を狭くすることができる。そのため、検索処理において物体を検索する際の処理負荷の軽減を図ることができる。
【0060】
・左右の各画像において画像全体を検出範囲として物体の存在を検出するとともに、その物体検出が正常に行われていないことを条件に、右画像の物体存在範囲HAと単眼距離LSによる調整後の左画像の物体検索範囲HEとでの物体検出を行うようにした。この場合、左右の各画像における画像全体を検出範囲とする物体検出では、画像内での物体位置が任意であることや、物体の形態が任意であること等に起因して、物体検出が正常に行われないことが考えられるが、物体検出が正常に行われない場合に別の手法で物体の再検出が行われることで、物体検出を適正に実施できる。また、別の手法での再検出時に、物体の検出範囲を、画像全体から画像全体のうち物体が存在する可能性が高い一部範囲に狭めるようにしたため、再検出時の処理負荷軽減を図ることができるとともに、物体の検出確率を向上させることができる。
【0061】
・左右の各画像における画像全体を検出範囲とする物体検出では、画像内に複数の物体が存在している場合に、その複数の物体を効率良く検出することが可能となる。ただしその反面、上記のとおり物体検出が正常に行われないことが懸念され、画像内に存在する複数の物体のうち、一部の物体が正常に検出され、残り一部の物体が正常に検出されないことが考えられる。この点、画像全体を検出範囲とする物体検出において正常な検出が行われなかった検出未完物体が含まれる場合に、その検出未完物体を対象として、右画像の物体存在範囲HAと単眼距離LSによる調整後の左画像の物体検索範囲HEとでの物体検出を行うようにしたため、必要に応じて適正な物体検出を行うことができる。
【0062】
・本実施形態では、距離情報として単眼距離LSを用いるようにした。単眼距離LSは、右画像での物体存在範囲HAに基づいて算出される。また、単眼距離LSに基づいて大きさが調整される物体検索範囲HEは、右画像での物体存在範囲HAの基準位置PAに基づいて設定される。物体存在範囲HAから算出される物体までの距離に基づいて、同一の物体存在範囲HAから設定される物体検索範囲HEの大きさを調整することで、物体検出範囲を適正に調整することができる。
【0063】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に
図7を参照しつつ説明する。本実施形態では、調整処理において単眼距離LSが算出されない点で第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態では、距離情報として、前回の調整処理によりECU20内のメモリに記憶された前回の物体距離LBを読み出す。なお、本実施形態において、前回の物体距離LBが「所定期間毎に取得される第1右画像及び第2画像のうち、前回取得された第1画像及び第2画像の少なくとも一方に基づいて算出された車両50と物体との間の距離」に相当する。
【0064】
図7に、本実施形態の調整処理のフローチャートを示す。なお、
図7において、先の
図3に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0065】
本実施形態の調整処理では、ステップS16で物体存在範囲HAを設定すると、ステップS50において、ECU20内のメモリから前回の調整処理で算出された物体距離LBを読み出し、ステップS20に進む。そのため、本実施形態では、ステップS22において、前回の物体距離LBと第1複眼距離LP1との一致度が判定される。また、ステップS30において、前回の物体距離LBに基づいてシフト量YLが算出される。さらに、ステップS38において、前回の物体距離LBと第1複眼距離LP1との一致度が判定される。
【0066】
調整処理が所定期間毎に実施される場合、前回の物体距離LBと、今回の調整処理によりECU20内のメモリに記憶される今回の物体距離LBとは略同一である。そのため、前回の物体距離LBに基づいて物体検索範囲HEの大きさを適正に調整することができる。本実施形態では、距離情報として前回の物体距離LBを用いることで、調整処理において単眼距離LSを算出する必要がなく、検索処理において物体を検索する際の処理負荷の軽減を図ることができる。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、次のように実施されてもよい。
【0068】
・上述したように、距離情報としての単眼距離LSに基づいて、比較画像における物体検索範囲HEの大きさを調整する構成では、仮に単眼距離LSの信頼度が低いと、物体検索範囲HEの調整が適正に実施できないことが懸念される。そこで、単眼距離LSの信頼度が所定以下であると判定された場合に、右画像の物体存在範囲HAと、単眼距離LSによる調整が行われていない左画像の物体検索範囲HEである仮物体検索範囲HDとにおいて、これら各画像に含まれる同一物体を検出するようにするとよい。かかる処理は、例えば
図3のステップS32にて実施されるとよい。この場合、ステップS32の処理が「信頼度判定部」に相当する。
【0069】
なお、単眼距離LSの信頼度は以下の手法にて判定されるとよい。物体までの実距離と単眼距離LSとの差である単眼誤差と、物体までの実距離と複眼距離LPとの差である複眼誤差とを比較すると、単眼距離LSが短いほど、単眼誤差が複眼誤差よりも大きくなり、その信頼度が低くなる。そのため、単眼距離LSが所定の誤差閾値よりも小さい場合に、単眼距離LSの信頼度が低いと判定することができる。
【0070】
・移動体は、車両50に限られず、例えばドローンであってもよい。
【0071】
・距離情報として、単眼距離LSや前回の物体距離LBを例示したが、これに限られない。物体が他車両である場合には、その他車両との間の車両間通信により距離情報を取得してもよい。
【0072】
・設定される物体存在範囲HAは矩形に限られない。物体検索範囲HEについても同様である。
【0073】
物体存在範囲HAの基準位置PAは、物体存在範囲HAの左下端部位置に限られず、左上端部位置や左端部位置でもよい。また、ベース画像が左画像であり、比較画像が右画像である場合には、物体存在範囲HAの基準位置PAは、物体存在範囲HAの右下端部位置、右上端部位置及び右端部位置でもよい。
【0074】
・第2画像における対応位置は、第1画像における基準位置PAと必ずしも同一位置に限られず、同一位置から所定距離範囲内の位置であればよい。また、第2画像における対応位置をシフトさせる場合に、距離情報に基づいて算出されたシフト量YLから算出誤差を減算した減算量に基づいて対応位置をシフトさせてもよい。
【0075】
・物体の検出が正常に行われていないことの判断条件は、第1実施形態に記載の条件に限られず、例えば単眼距離LSと第1複眼距離LP1との一致度のみを判断条件としてもよい。同様に、物体の検索が正常に行われていないことの判断条件は、第1実施形態に記載の条件に限られず、例えば単眼距離LSと第2複眼距離LP2との一致度のみを判断条件としてもよい。
【0076】
・本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
11…右カメラ、12…左カメラ、20…ECU、50…車両。