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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】水取り器、及び水取り構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/07 20060101AFI20231206BHJP
   F16L 41/04 20060101ALI20231206BHJP
   F16T 1/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F16L55/07 E
F16L41/04
F16T1/00 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020093629
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021188666
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 知広
(72)【発明者】
【氏名】小林 真澄
(72)【発明者】
【氏名】今野 実
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-031498(JP,U)
【文献】特開平07-224991(JP,A)
【文献】特開2004-230511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/07
F16L 41/04
F16T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向にガス流路が配置されたガス管の下壁に穿孔された水抜き孔の外周を囲むように融着された受部と、
前記受部と連続して形成され、前記水抜き孔と連通され、下方へ突出する筒状とされた水導入部と、
前記水導入部と連接され、水を貯留する水貯留管と、
前記水貯留管に連接され、前記水貯留管の外側で上方へ延出される水抜き管と、
を備え、
前記水貯留管は、前記水導入部の下端から水平方向または斜め下方向に、鉛直方向からみて、前記ガス流路の配管方向との角度が20度以上60度以下で延出され、一端部が前記水導入部の下端に接続され、他端部に前記水抜き管が接続されている、
水取り器。
【請求項2】
前記ガス流路と直交する方向に延出しつつ開口し、前記ガス管の外周にアクセスする穿孔用口部と、
前記穿孔用口部を閉鎖する蓋部と、
を備えた、請求項1に記載の水取り器。
【請求項3】
前記穿孔用口部は、前記受部と一体的に連続形成されている、
請求項2に記載の水取り器。
【請求項4】
前記ガス流路に沿う方向からみて、前記穿孔用口部と対向するように前記ガス管の反対側に配置され、前記穿孔用口部側へ移動しつつ前記ガス管に前記水抜き孔を穿孔するカッターを内蔵したカッター収納部、を備えた、請求項3に記載の水取り器。
【請求項5】
前記穿孔用口部は、前記ガス管の前記水抜き孔と対向する位置で上壁に穿孔された上孔の外周を囲むように前記ガス管の外周に融着された上受部と、前記上受部と連続して形成され、前記上孔と連通され、上方へ突出する筒状とされた上開口部と、を有している、
請求項2に記載の水取り器。
【請求項6】
水平方向にガス流路が配置され、下壁に水抜き孔が穿孔されたガス管と、
前記ガス管に前記受部が融着され、前記水抜き孔に前記水導入部が連通された請求項1~のいずれか1項の水取り器と、
を備えた、水取り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水取り器、及び水抜き構造に係り、ガスを流通させるガス管から水を抜くための水取り器、及び水取り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス管に水が溜まった場合に、水を抜くために水取り器を設置し、水を抜いている。例えば、特許文献1の水取り器は、ガス管の外周に大経の管を偏心配置し、その管の底部に水を溜め、上方へ延出された管を用いて、水を抜いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭和56-129691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の水取り器は、ガス管よりも大経の管を外周に配置するため、既設のガス管へ取り付け作業を行う場合、施工領域が広くなり、取り付け作業が大掛かりとなっていた。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して成されたものであり、簡易な作業で取り付け可能な水取り器、及び水取り構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る水取り器は、水平方向にガス流路が配置されたガス管の下壁に穿孔された水抜き孔の外周を囲むように融着された受部と、前記受部と連続して形成され、前記水抜き孔と連通され、下方へ突出する筒状とされた水導入部と、前記水導入部と連接され、水を貯留する水貯留管と、前記水貯留管に連接され、前記水貯留管の外側で上方へ延出される水抜き管と、を備えている。
【0007】
請求項1に係る水取り器は、水導入部、水貯留管、及び水抜き管を備えている。これらは、いずれも筒状であるため、互いに容易に接続することができる。また、水導入部は、ガス管と融着される受部と連続して形成されているので、ガス管に沿った施工領域を受部の融着部分に限定することができ、簡易に取り付けることができる。また、水抜き管は、水貯留管の外側で上方へ延出されるので、水抜き管や水貯留管の形状の自由度を高くすることができる。
なお、ここでの「水平方向」は、実質的な水平方向を意味しており、水平方向に対して0°~15°程度の傾斜角度を有する方向を含んでいる。
【0008】
請求項2に係る水抜き器は、前記ガス流路と直交する方向に延出しつつ開口し、前記ガス管の外周にアクセスする穿孔用口部と、前記穿孔用口部を閉鎖する蓋部と、を備えている。
【0009】
請求項2に係る水抜き器によれば、穿孔用口部を用いて、ガス管の外周にアクセスして穿孔を行うことができる。また、穿孔作業後に、開口に応じた蓋部を取り付けることにより、容易に穿孔用口部を閉鎖することができる。
【0010】
請求項3に係る水抜き器は、前記穿孔用口部が、前記受部と一体的に連続形成されている。
【0011】
請求項3に係る水抜き器では、穿孔用口部が受部と一体的に連続形成されているので、取り付け時において、穿孔用口部と受部が別体の場合と比べて、各々の位置決めを容易に行うことができる。
【0012】
請求項4に係る水抜き器は、前記ガス流路に沿う方向からみて、前記穿孔用口部と対向するように前記ガス管の反対側に配置され、前記穿孔用口部側へ移動しつつ前記ガス管に前記水抜き孔を穿孔するカッターを内蔵したカッター収納部、を備えている。
【0013】
請求項4に係る水抜き器では、カッター収納部に内蔵されたカッターを移動させて、容易に水抜き孔の穿孔作業を行うことができる。
【0014】
請求項5係る水抜き器は、前記穿孔用口部は、前記ガス管の前記水抜き孔と対向する位置で上壁に穿孔された上孔の外周を囲むように前記ガス管の外周に融着された上受部と、前記上受部と連続して形成され、前記上孔と連通され、上方へ突出する筒状とされた上開口部と、を有している。
【0015】
請求項5に係る水取り器では、先ず、ガス管の上部からアクセスしてガス管の上壁に上孔を穿孔し、その穿孔方向の延長上に配置された下壁に水抜き孔を穿孔することができ、穿孔を容易に行うことができる。
【0016】
請求項1に係る水抜き器は、前記水貯留管は、前記水導入部の下端から水平方向または斜め下方向に延出され、一端部が前記水導入部の下端に接続され、他端部に前記水抜き管が接続されている。
【0017】
請求項1に係る水取り器では、水貯留管に貯留に貯留された水が水抜き管側へ移動しやすいため、水抜き管から水を抜きやすくすることができる。
【0018】
請求項6に係る水取り構造は、水平方向に流路が配置され、下壁に水抜き孔が穿孔されたガス管と、前記ガス管に前記受部が融着され、前記水抜き孔に前記水導入部が連通された請求項1~のいずれか1項の水取り器と、を備えている。
【0019】
請求項6に係る水取り構造によれば、ガス管に沿った施工領域を受部の融着部分に限定することができ、簡易に水取り器の設置作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る水抜き器、及び水取り構造によれば、簡易な作業で水取り器の取り付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の水取り構造の正面図である。
図2】第1実施形態の水取り構造の側面図である。
図3】第1実施形態の水取り器の水抜き孔穿孔中の接続部材の断面図である。
図4】第1実施形態の水取り器の接続部材の断面図である。
図5】第1実施形態の水取り器の樹脂製ガス管へ取り付け前の側面図である。
図6】第2実施形態の水取り構造の正面図である。
図7】第2実施形態の水取り構造の側面図である。
図8】第2実施形態の水取り器の樹脂製ガス管へ取り付け前の側面図である。
図9】第2実施形態の水取り構造の樹脂製ガス管へ穿孔を行う前の拡大側面図である。
図10】第2実施形態の水取り構造の樹脂製ガス管へ穿孔を行った後の拡大側面図である。
図11】第2実施形態の水取り構造の樹脂製ガス管付近の拡大側面図である。
図12】第2実施形態の水取り構造の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。図1、及び図2には、本発明の実施形態に係る水取り構造10A及び水取り器12Aが示されている。
【0023】
水取り器12Aは、水平方向Xに流路が配置された樹脂製ガス管G1に適用されるものである。樹脂製ガス管G1の下壁(鉛直方向下部分)には、水抜き孔H(図4参照)が穿孔されている。樹脂製ガス管G1は、地中に埋設されており、掘削により樹脂製ガス管G1周りの作業領域を確保して水取り器12Aを設置する。水取り器12Aの設置後に、樹脂製ガス管G1は埋め戻される。
【0024】
水取り器12Aは、接続部材20、水導入管30、水貯留管34、及び水抜き管38を備えている。図3及び図4にも示されるように、接続部材20は、受部22、水導入部24、カッター収納部26、及び、穿孔用口部28を有している。受部22は、樹脂製ガス管G1の外周に沿った形状とされ、樹脂製ガス管G1の外周面に水抜き孔Hを囲むように融着されている。水導入部24は、受部22と一体的に円筒状に形成されており、取り付けられた状態で、下方(鉛直方向Zの下向き)へ突出し、下向きに開口している。水導入部24の開口は、水抜き孔Hと連通されている。
【0025】
カッター収納部26は、受部22及び水導入部24と一体的に形成されており、水導入部24から樹脂製ガス管G1が延出される水平方向Xと直交する水平方向Yに突出している。カッター収納部26は、有底円筒状とされ、内部にカッター26Kが収納されている。
【0026】
穿孔用口部28は、受部22及び水導入部24と一体的に形成されており、水平方向Xからみて、水導入部24を挟んでカッター収納部26と反対向きで水平方向Yに突出している。穿孔用口部28は円筒状とされており、水平方向Yに開口する開口28Aが形成されている。開口28Aは、取り外し可能な蓋部29で閉鎖されている。穿孔用口部28の外周の先端寄りの部分には、Oリング28Fが配置され、蓋部29の内壁との間をシールしている。
【0027】
図3に示されるように、カッター収納部26及び穿孔用口部28は、同心円状に配置されている。以下、カッター収納部26及び穿孔用口部28の円筒の軸心を「軸心S」と称する。カッター収納部26には、カッター26K及び係合軸26Aが収納されている。カッター26Kは環状とされており、軸心Sに沿って移動可能とされている。カッター26Kは、軸心S周りに回転しつつ軸心Sに沿って移動して樹脂製ガス管G1を穿孔する。係合軸26Aは、後述する治具Jと係合し、治具Jにより回転することにより、カッター26Kを軸心Sに沿って回転させながら移動させる。
【0028】
穿孔用口部28の開口28Aの内側には、アクセス部28Bが設けられている。アクセス部28Bは、カッター26Kを移動させるための治具Jを挿入するための挿入口28C、挿入口28Cを閉鎖する逆止弁28D、治具Jの側面に当接して挿入口28Cとの間をシールするOリング28Eを有している。水抜き孔Hの穿孔は、治具Jを挿入して、係合軸26Aと係合させ、回転操作することにより、カッター26Kを軸心Sに沿って移動させて行う。
【0029】
水導入管30は、継手30A及び管体30Bを有している。継手30Aは、上側が水導入部24と接続され、下側が管体30Bの上端と接続されている。管体30Bの下端は、後述する水貯留管34の継手34Aと接続される。水貯留管34は、水導入管30を介して水導入部24と連接されている。
【0030】
水貯留管34は、継手34A、管体34B、及び継手34Cを有している。継手34Aは、流路が略直角に屈曲する所謂エルボ継手であり、継手34Aの一端側には管体30Bの下端が接続され、継手34Aの他端には管体34Bの一端側が接続されている。管体34Bは管体30Bよりも小径とされており、継手34Aの各々の接続部分は、接続対象の管体に対応した外径とされており、管体34Bが接続された側(以下「下流側34A2」という)は、管体30Bと接続された側(以下「上流側34A1」という)よりも小径とされている。継手34Aは、上流側34A1の流路が鉛直方向に配置され、下流側34A2側の流路が水平方向に配置される。また、下流側34A2の流路は、樹脂製ガス管G1の配管方向(水平方向X)及びこれと直交する方向(水平方向Y)と角度θ(本実施形態では鉛直方向Zからみた角度)をもって配置されている。すなわち、鉛直方向Zからみて、下流側34A2の流路の延出方向と樹脂製ガス管G1の配管方向のなす角度がθとなっている。角度θは、20度以上60度以下であることが好ましい。管体30Bの流路は、下流側34A2と同方向に配置されている。
【0031】
継手34Cについても、流路が略直角に屈曲する所謂エルボ継手であり、継手34Cの一端側には管体34Bの他端が接続され、継手34Cの他端には水抜き管38の下端が接続されている。管体34Bが接続された側(以下「上流側34C1」という)の流路は、管体34Bと同方向に配置され、水抜き管38が接続された側(以下「下流側34C2」という)の流路は、鉛直方向Zに配置される。
【0032】
水抜き管38は、長尺の管体とされており、継手34Cとの接続部分から上方へ延出され、樹脂製ガス管G1よりも上方まで達している。水抜き管38は、水貯留管34の外側で上方へ延出されている。水抜き管38の上端には、蓋部材39が取り付けられている。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、継手30Aと管体30Bとを接続して水導入管30を形成すると共に、継手34A、管体34B、継手34Cを接続して、水貯留管34を形成する。次に、水貯留管34の継手34Cに水抜き管38を接続し、水貯留管34の継手34Aに水導入管30の管体30Bを接続する。そして、水抜き管38の先端に蓋部材39を取り付け、継手30Aと接続部材20の水導入部24とを接続する。これにより、取り付け前の水抜き器12Aが形成される。
【0034】
図5に示すように、水抜き器12Aは、樹脂製ガス管G1の下側から接続部材20の受部22を外周面に当接させ、融着させる。融着は、受部22に通電して受部22の内側面及び樹脂製ガス管G1の外周面を溶融させることにより行うことができる。
【0035】
その後、接続部材20の蓋部29を取り外し、治具Jを開口28Aから挿入して係合軸26Aと係合させ、治具Jを回転させてカッター26Kを穿孔用口部28側へ移動させて、樹脂製ガス管G1の下部を穿孔する。穿孔した孔が水抜き孔Hとなる。水抜き孔Hを形成した後、治具Jを回転させてカッター26Kをカッター収納部26内に戻し、穿孔用口部28に蓋部29を取り付ける。これにより、水抜き器12Aの取り付けが完了する。
【0036】
樹脂製ガス管G1の水は、水抜き孔Hから水導入管30を通って水貯留管34内に貯留される。水を抜く際には、蓋部材39を取り外し、不図示のポンプを水抜き管38の上端から挿入し、水貯留管34から水を吸引して排出する。
【0037】
本実施形態の水取り構造10Aに用いる水取り器12Aは、水導入管30、水貯留管34、水抜き管38がいずれも管で構成されているので、互いに容易に接続することができる。また、既存の継手や管体を用いて容易に構成することができる。さらに、水導入管30、水貯留管34、水抜き管38の各々の、長さや径、樹脂製ガス管G1との角度を現場に合わせて容易に変更することができる。また、水抜き管38は、水貯留管34の外側で上方へ延出されているので、水抜き管38と水貯留管34の径や形状などの制約が少なく、設計の自由度を高くすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、樹脂製ガス管G1に水取り器12Aを取り付けた後、水抜き孔Hを穿孔するので、ガスを止めることなく、水取り器12Aを設置することができ、ガス管を切断したり、迂回配管を行ったりする必要がなく、簡易に設置することができる。
【0039】
また、本実施形態では、接続部材20を用いて樹脂製ガス管G1との接続を行っているので、取り付け作業を容易に行うことができる。また、接続部材20の穿孔用口部28は受部22と一体的に形成されているので、別体とされている場合と比較して、各々の位置決めを容易に行うことができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、接続部材20にカッター26Kが内蔵されているので、このカッター26Kを移動させることにより、樹脂製ガス管G1に容易に水抜き孔Hを穿孔することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、水導入管30の流路を鉛直方向Zに配置したが、必ずしもこの方向である必要はなく、水導入部24から下向きで水を水貯留管34へ流すことができれば、流路は斜め方向に配置されていてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、水貯留管34の流路を水平方向に配置したが、必ずしもこの方向である必要はなく、水抜き管38側が低くなるように配置されていてもよい。水平方向または水抜き管38側を低い位置に配置することにより、ポンプでの水抜きを行いやすくすることができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態の水取り構造10B及び水取り器12Bは、図6及び図7に示されるように、第1実施形態の樹脂製ガス管G1よりも大径の樹脂製ガス管G2に適用される。樹脂製ガス管G2は、水平方向Xに流路が配置されており、樹脂製ガス管G2の上壁(鉛直方向上側の壁)には上孔H1が穿孔され、上孔H1と対向する下壁には、水抜き孔H2が穿孔されている。
【0045】
水取り器12Bは、上孔部材40、下接続部材50、水貯留管54、及び水抜き管58を備えている。
【0046】
上孔部材40は、上受部40A及び上開口部40Bを有している。上受部40Aは、樹脂製ガス管G2の外周に沿った形状とされ、樹脂製ガス管G2の上孔H1を囲む位置に融着されている。上開口部40Bは、上孔H1に対応する位置に上方へ突出された開口として形成されている。図9に示されるように、上開口部40Bの外周には、雄ねじ40Nが形成されており、蓋部41の内側に形成された不図示の雌ねじと螺合可能とされている。蓋部41は、上開口部40Bと螺合により取り付けられ、開口が閉鎖されている。
【0047】
下接続部材50は、下受部50A及び水導入部50Bを有している。下受部50Aは、樹脂製ガス管G2の外周に沿った形状とされ、樹脂製ガス管G2の水抜き孔H2を囲む位置で上受部40Aと対向する位置に融着されている。水導入部50Bは、下受部50Aと一体的に形成されており、取り付けられた状態で、下方(鉛直方向Zの下向き)へ突出する管状とされ、下端は下向きに開口している。水導入部50Bは水抜き孔H1と連通されている。水導入部50Bの流路は、鉛直方向Zに配置されている。
【0048】
水貯留管54は、継手54A、管体54B、及び、継手54Cを有している。継手54Aは、流路が略直角に屈曲する所謂エルボ継手であり、継手54Aの一端側には水導入部50Bの下端が接続され、継手54Aの他端には管体54Bの一端側が接続されている。継手54Aは、上流側54A1の流路が鉛直方向に配置され、下流側54A2側の流路が水平方向に配置される。また、下流側54A2の流路は、樹脂製ガス管G2の配管方向(水平方向X)及びこれと直交する方向(水平方向Y)と角度θ(本実施形態では鉛直方向Zからみた角度)をもって配置されている。すなわち、鉛直方向Zからみて、下流側54A2の流路の延出方向と樹脂製ガス管G2の配管方向のなす角度がθとなっている。角度θは、20度以上60度以下であることが好ましい。
【0049】
継手54Cについても、流路が略直角に屈曲する所謂エルボ継手であり、継手54Cの一端側には管体54Bの他端が接続され、継手54Cの他端には水抜き管58の下端(管体58Aの下端)が接続されている。管体54Bが接続された側(以下「上流側54C1」という)の流路は、管体54Bと同方向に配置され、水抜き管58が接続された側(以下「下流側54C2」という)の流路は、鉛直方向Zに配置される。
【0050】
水抜き管58は、管体58A、継手58B、及び、管体58Cを有している。管体58Aは、下端が下流側54C2と接続され、上端が継手58Bと接続されている。継手58Bは、異径継手とされており、管体58A側(下側)が管体58C側(上側)よりも大経とされている。管体58Cは、長尺の管体とされており、継手58Bとの接続部分から上方へ延出され、樹脂製ガス管G2よりも上方まで達している。管体58Cの上端には、蓋部材19が取り付けられている。
【0051】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、継手54A、管体54B、継手54Cを接続して、水貯留管54を形成する。また、管体58A、継手58B、管体58Cを接続して、水抜き管58を形成する。次に、水貯留管54の継手54Cに水抜き管58の管体58Aを接続し、水貯留管54の継手54Aに水導入部50Bを接続する。そして、水抜き管58の管体58C先端に蓋部材19を取り付ける。図8に示されるように、上孔部材40は、別体とされており、これにより、取り付け前の水抜き器12Bが形成される。
【0052】
上孔部材40は、樹脂製ガス管G2の上側から上受部40Aを外周面に当接させ、融着させる。融着は、上受部40Aに通電して上受部40Aの内側面及び樹脂製ガス管G2の外周面を溶融させることにより行うことができる。
【0053】
水抜き器12Bは、樹脂製ガス管G2の下側から下受部50Aを外周面に当接させ、融着させる。融着は、上受部40Aと同様にして行うことができる。
【0054】
その後、図9に示されるように、上孔部材40の蓋部41を取り外し、治具60を用いて穿孔を行う。治具60は、軸部66、カッター部62、及び保持部64を有している。軸部66は円筒棒状とされ、先端に円筒状のカッター部62が取り付けられている。保持部64は、上開口部40Bの外周と係合可能とされた螺合部64A及び、軸部66を挿通する挿通部64Bを有している。軸部66は、挿通部64Bに挿通されており、カッター部62は保持部64の螺合部64A側に配置されている。
【0055】
治具60を用いて穿孔する際には、保持部64を、上開口部40Bの外周と螺合させ、軸部66を回転させつつカッター部62を下へ移動させて、樹脂製ガス管G2の上部を穿孔する。この穿孔後に治具60の軸部66内から穿孔時の切片を取り除く。その後、再度軸部66を回転させつつカッター部62を下へ移動させて、樹脂製ガス管G2の下壁における水導入部50Bの円筒内側空間に対応する部分を穿孔する。樹脂製ガス管G2の上壁に穿孔した孔が上孔H1となり、下壁に穿孔した孔が水抜き孔H2となる(図10参照)。水抜き孔H2を形成した後、治具60を取り外し、上開口部40Bに蓋部41を取り付ける(図11参照)。これにより、水抜き器12Bの取り付けが完了する。
【0056】
樹脂製ガス管G2の水は、水抜き孔H2から水導入部50Bを通って水貯留管54内に貯留される。水を抜く際には、蓋部材19を取り外し、不図示のポンプを水抜き管58の上端から挿入し、水貯留管54から水を吸引して排出する。
【0057】
本実施形態の水取り構造10Bに用いる水取り器12Bについても、水導入部50B、水貯留管54、水抜き管58がいずれも管で構成されているので、互いに容易に接続することができる。また、既存の継手や管体を用いて容易に構成することができる。さらに、水導入部50B、水貯留管54、水抜き管58の各々の、長さや径、樹脂製ガス管G2との角度を現場に合わせて容易に変更することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上孔部材40を取り付け、上開口部40Bから樹脂製ガス管G2にアクセスして上壁及び下壁の穿孔作業を行うので、簡易な治具で容易に穿孔を行うことができる。また、穿孔作業後には上開口部40Bに蓋部41を取り付けることにより、上開口部40Bを容易に閉鎖することができる。
【0059】
また、本実施形態でも、樹脂製ガス管G2に水取り器12Bを取り付けた後、上孔H1及び水抜き孔H2を穿孔するので、ガスを止めることなく、水取り器12Bを設置することができ、ガス管を切断したり、迂回配管を行ったりする必要がなく、簡易に設置することができる。
【0060】
なお、本実施形態でも、水導入部50Bの流路を鉛直方向Zに配置したが、必ずしもこの方向である必要はなく、水抜き孔H2から下向きで水を水貯留管54へ流すことができれば、流路は斜め方向に配置されていてもよい。
【0061】
また、本実施形態でも、水貯留管54の流路を水平方向に配置したが、必ずしもこの方向である必要はなく、水抜き管58側が低くなるように配置されていてもよい。水平方向または水抜き管58側を低い位置に配置することにより、ポンプでの水抜きを行いやすくすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上孔部材40と下接続部材50が別体の例について説明したが、図12に示されるように、これらを連結部材43で連結して一体化してもよい。一体化することにより、別体とされている場合と比較して、各々の位置決めを容易に行うことができる。
【0063】
なお、前述の第1、第2実施形態では、水取り器12A、12Bを樹脂製ガス管G1、G2に適用したが、樹脂製以外のガス管、例えば金属製のガス管に適用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10A、10B 水抜き構造
12A、12B 水抜き器
22 受部
24 水導入部
26 カッター収納部
26A 係合軸
26K カッター
28 穿孔用口部
30 水導入管(水導入部)
34 水貯留管
40 上孔部材(穿孔用口部)
40A 上受部
40B 上開口部
29、41 蓋部
50A 下受部(受部)
50B 水導入部
54 水貯留管
54A 継手
58 水抜き管
66 軸部
G1、G2 樹脂製ガス管
H1 上孔
H、H2 水抜き孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12