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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20231206BHJP
   F25C 1/147 20180101ALI20231206BHJP
【FI】
F25D11/00 102B
F25C1/147 B
F25D11/00 102J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020137338
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033451
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】田代 秀行
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2120039(KR,B1)
【文献】特開2020-20562(JP,A)
【文献】米国特許第5484538(US,A)
【文献】特開2007-3062(JP,A)
【文献】特開2020-20561(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102735652(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0075068(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 - 5/20
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配され飲食物を貯える貯蔵室であって、放出口が形成された貯蔵室と、
前記放出口を開放可能に閉止するシャッターと、
前記シャッターの開閉状態を検知するシャッター検知手段と、
前記放出口から放出される飲食物に紫外線を照射して殺菌を行う紫外線照射器と、
前記シャッター検知手段で検知された前記シャッターの開閉状態に応じて、前記紫外線照射器からの紫外線の照射を制御する制御部と、を備えるディスペンサ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記シャッターが前記放出口を開放したと判断すると、前記紫外線照射器からの紫外線の照射強度を増加させ、
前記照射強度を増加させた後に前記シャッターが前記放出口を閉止したと判断すると、前記照射強度を低下させる、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記ハウジングには、
前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成され、
前記吐出口の下方に配され、前記吐出口から吐出された飲食物を受容する容器が載置されるステージが設けられるとともに、
前記吐出口と前記ステージとの間を覆う吐出口カバーが開閉可能に取り付けられており、
前記吐出口カバーの開閉状態を検知するカバー検知手段をさらに備え、
前記制御部は、
前記吐出口カバーが閉止されていることを前記カバー検知手段が検知していないときは、前記紫外線照射器からの紫外線の照射強度を増加させない、請求項1又は請求項2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記紫外線照射器は、紫外線とともに可視光を照射可能とされており、
前記吐出口カバーは、紫外線を遮蔽し可視光を透過する可視光透過部を含んで形成されている、請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記貯蔵室の底面上には、紫外線を透過可能に形成された水切り部材が配されており、
前記紫外線照射器は、前記水切り部材の下側面に、上方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記シャッターは、前記放出口を前側から覆って閉止するように取り付けられ、
前記紫外線照射器は、前記ハウジング内において前記シャッターに前方から正対する位置に、後方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記ハウジングには、前記放出口と連通され、前記放出口から放出された飲食物を前記放出口より下方において当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成され、
前記紫外線照射器は、前記ハウジング内において前記放出口の前方で且つ前記吐出口の上方となる位置に、後方及び下方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記ハウジングの前面には、
前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成されるとともに、
前記吐出口の下方に配され、前記吐出口から吐出される飲食物を受容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの下側に配され、前記容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿と、が設けられ、
前記紫外線照射器は、前記外部ドレン皿内の底面に、上方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記ハウジングの前面には、
前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成されるとともに、
前記吐出口の下方に配され、前記吐出口から吐出される飲食物を受容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの下側に配され、前記容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿と、が設けられ、
前記ハウジング内には、
前記外部ドレン皿の後方に配され、前記外部ドレン皿と連通された内部ドレン皿が設けられ、
前記紫外線照射器は、前記外部ドレン皿内の前側面に、後方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている、請求項1から請求項8の何れか一項に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記ハウジングの前面には、
前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成されるとともに、
前記吐出口の下方に配され、前記吐出口から吐出される飲食物を受容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの下側に配され、前記容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿と、が設けられ、
前記ハウジング内には、
当該ハウジング内の下部に配された内部ドレン皿と、
前記外部ドレン皿と前記内部ドレン皿とを連通する流路が設けられ、
前記紫外線照射器は、前記ハウジング内における前記流路の上方に、下方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている、請求項1から請求項9の何れか一項に記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスペンサの一例として、下記特許文献1の実施形態3に記載のアイスディスペンサが知られている。このアイスディスペンサは、氷を貯える貯氷室を備え、貯氷室内の氷を放出する放出口の近傍に紫外線照射器を配置し、放出口を含む氷の通過経路に紫外線を照射して殺菌することで、氷や、氷と共に注出される水を清潔に維持できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-20562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全性の高い飲食物を供給するには、放出口から放出された飲食物そのものの殺菌を行うことが有効である。しかしながら、これらは放出されたのち短時間のうちに供給されるため、これらの殺菌を行うには極めて強い紫外線を照射する必要がある。上記アイスディスペンサの紫外線照射器は、氷や水の通過経路の殺菌を行うことを目的として常時一定量の紫外線を照射するものであり、使用状況に合わせて紫外線照射強度を調整する制御手段を備えていない。常時、強い紫外線を照射するには多くのエネルギーを要し、現実的とはいえなかった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、安全性の高い飲食物を供給可能なディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示のディスペンサは、以下の構成を有する。
<1> ハウジングと、前記ハウジング内に配され飲食物を貯える貯蔵室であって、放出口が形成された貯蔵室と、前記放出口を開放可能に閉止するシャッターと、前記シャッターの開閉状態を検知するシャッター検知手段と、前記放出口から放出される飲食物に紫外線を照射して殺菌を行う紫外線照射器と、前記シャッター検知手段で検知された前記シャッターの開閉状態に応じて、前記紫外線照射器からの紫外線の照射を制御する制御部と、を備える。
【0007】
<1>の構成によれば、シャッターの開閉状態に応じて紫外線照射強度を制御可能としたことで、飲食物が放出されている間だけ、強い紫外線を照射可能となる。よって、消費エネルギーを過度に増大させることなく飲食物そのものを殺菌できる。この結果、より安全性の高い飲食物を供給可能となる。なお、強い紫外線が照射される時間を短くすることで、紫外線がディスペンサの外部に漏れて使用者の手等に紫外線が当たり、健康被害が生じる可能性も低減できる。
<1>の構成において、飲食物は、液体、固体、固液混合体等の何れであってもよい。また、紫外線の照射強度は、照射対象となる飲食物の移動速度等に基づいて設定することが好ましい。
【0008】
<2> 前記制御部は、前記シャッターが前記放出口を開放したと判断すると、前記紫外線照射器からの紫外線の照射強度を増加させ、前記照射強度を増加させた後に前記シャッターが前記放出口を閉止したと判断すると、前記照射強度を低下させるものであってもよい。
具体的には、<2>の構成のような制御により、提供される飲食物の殺菌を良好に行うことができる。<2>の構成において、制御部は、シャッター検知手段からの信号に基づいて、シャッターが放出口を開放もしくは閉止したと判断してもよい。或いは、時間を計測するタイマ等の計時手段をさらに備え、紫外線照射強度を増加させてから所定時間が経過すると、シャッターが放出口を閉止したと判断してもよい。また、<2>の構成において、制御部は、照射強度を増加させる前、並びに、照射強度を低下させた後は、0μW/cmより高い一定の照射強度で紫外線照射器から紫外線を照射させるように構成してもよい。このようにすれば、飲食物の放出時に飲食物そのものを殺菌するだけでなく、待機時には飲食物の放出経路等を殺菌して清潔に維持できる。この結果、より安全性の高い飲食物を提供可能となり好ましい。
【0009】
<3> 前記ハウジングには、前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成され、前記吐出口の下方に配されて前記吐出口から吐出された飲食物を受容する容器が載置されるステージが設けられるとともに、前記吐出口と前記ステージとの間を覆う吐出口カバーが開閉可能に取り付けられており、前記吐出口カバーの開閉状態を検知するカバー検知手段をさらに備え、前記制御部は、前記吐出口カバーが閉止されていることを前記カバー検知手段が検知していないときは、前記紫外線照射器からの紫外線の照射強度を増加させないものであってもよい。
<3>の構成によれば、吐出口カバーが閉止されていない状態で、高い強度で紫外線が照射されることはない。よって、使用者に強い紫外線が当たって健康被害を招く可能性を低減できる。特に、吐出口の外方に向けて紫外線が照射されるような構成や、ハウジング外に配された紫外線照射器から紫外線が照射されるような構成において、使用者の安全性を高めることができる。<3>の構成において、制御部は、吐出口カバーが閉止されていることが検知されていないときは、紫外線照射器からの紫外線の照射を停止するものとしてもよい。このようにすれば、使用者の安全性が一層向上する。<3>の構成において、制御部は、吐出口カバーが閉止されていることが検知された後、所定時間が経過するのを待ってから、照射強度を増加させるようにしてもよい。
【0010】
<4> 前記紫外線照射器は、紫外線とともに可視光を照射可能とされており、前記吐出口カバーは、紫外線を遮蔽し可視光を透過する可視光透過部を含んで形成されていてもよい。
<4>の構成によれば、紫外線照射器から紫外線と併せて可視光が照射され、吐出口カバーを通して紫外線及び可視光が照射されているか否かを目視確認できるため、紫外線照射器の故障等を一早く知ることができる。また、使用者が吐出口カバーを開いて容器を取り出す際には、紫外線が照射されていないことを確認するか、或いは、紫外線が照射されている場合にはこれに当たらないように留意可能となる。これらの結果、使用者の安全性を一層高めることができる。
【0011】
<5> 前記貯蔵室の底面上には、紫外線を透過可能に形成された水切り部材が配されており、前記紫外線照射器は、前記水切り部材の下側面に、上方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられていてもよい。
<5>の構成によれば、飲食物の供給時に放出口に向けて移動する飲食物に紫外線を照射できる。特に、放出口近傍の底面に紫外線照射器を配すれば、次回放出される飲食物を重点的に殺菌できる。紫外線照射器は貯蔵室の内部に配され、紫外線は貯蔵室内に向けて照射されるため、ハウジング外に紫外線が漏れる可能性を低減できる。<5>の構成において、貯蔵室内の上方と併せて放出口に向けても紫外線を照射可能なように紫外線照射器を取り付ければ、シャッターが閉止されているときは、シャッターの貯蔵室側の面に紫外線を照射し、開放されているときは、放出口近傍等に紫外線を照射して、これらの殺菌を行うことも可能となる。
【0012】
<6> 前記シャッターは、前記放出口を前側から覆って閉止するように取り付けられ、前記紫外線照射器は、前記ハウジング内において前記シャッターに前方から正対する位置に、後方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられていてもよい。
シャッターは、常時は閉鎖された貯蔵室と、外部に連通する放出路とを隔てるものであり、繰り返しの開閉動作に備えるために耐久性に優れた金属で形成した場合、断熱性の維持が困難となって表面に結露を生じ易い。また、外気と接するシャッターの外面には、吐出された飲食物が跳ね返り等によって付着することがある。さらに、シャッターは、開閉機能を発現させるために形状が複雑化し、清掃を行い難い構造となってしまう。これらの結果、シャッターの外面は、菌が繁殖し易い環境となることが多い。<6>の構成によれば、シャッターの外面に重点的に紫外線を照射して、着実に殺菌を行うことが可能となる。<6>の構成において、紫外線照射器は、できるだけシャッターに近接した位置に取り付けることが好ましい。
【0013】
<7> 前記ハウジングには、前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を前記放出口より下方において当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成され、前記紫外線照射器は、前記ハウジング内において前記放出口の前方で且つ前記吐出口の上方となる位置に、後方及び下方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられていてもよい。
<7>の構成によれば、紫外線照射器の後方に位置する放出口と、下方に位置する吐出口の双方に向けて紫外線を照射できる。さらに、シャッターが開放されているときは、放出口を通して貯蔵室内の底縁部にも、紫外線を照射可能である。故に、これらの近傍を清潔に維持しながら、通過する飲食物の殺菌を行うことで、より安全性の高い飲食物を提供できる。<7>の構成において、吐出口の下方に、吐出された飲食物を受容する容器を載置するためのステージが形成されている場合には、ここに載置された容器及び容器内の飲食物にも紫外線を照射して殺菌できる。さらに、ステージの下方に、容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿が設けられている場合、外部ドレン皿内にも紫外線を照射して殺菌を行うことが可能となる。
【0014】
<8> 前記ハウジングの前面には、前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成されるとともに、前記吐出口の下方に配されて前記吐出口から吐出される飲食物を受容する容器が載置されるステージと、前記ステージの下側に配されて前記容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿と、が設けられ、前記紫外線照射器は、前記外部ドレン皿内の底面に、上方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられていてもよい。
<8>の構成によれば、照射対象から離れた位置に紫外線照射器を配することで、1つの紫外線照射器によって外部ドレン皿の上方に位置する吐出口の近傍のみならず、吐出口から上方に連なる飲食物の放出経路にも、紫外線を照射できる。容器が載置され、飲食物が放出されたときは、放出された飲食物のうち容器に受容されず外部ドレン皿で受け止められた飲食物に強い紫外線を照射して殺菌することで、ドレン皿内における菌の繁殖が抑制される。<8>の構成では、紫外線の照射範囲を一定内に抑えるため、紫外線照射器には指向性の高い紫外線発光ダイオードを使用することが好ましい。
【0015】
<9> 前記ハウジングの前面には、前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成されるとともに、前記吐出口の下方に配され、前記吐出口から吐出される飲食物を受容する容器が載置されるステージと、前記ステージの下側に配され、前記容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿と、が設けられ、前記ハウジング内には、前記外部ドレン皿の後方に配され、前記外部ドレン皿と連通された内部ドレン皿が設けられ、前記紫外線照射器は、前記外部ドレン皿内の前側面に、後方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられていてもよい。
外部や内部のドレン皿で菌が繁殖するとスライム状物質が形成されて、ドレン水をディスペンサの外部に排出する排水口が詰まり、水漏れや漏電につながる可能性がある。<9>の構成によれば、外部ドレン皿、並びに、外部ドレン皿と内部ドレン皿との連通部分(流路)に、紫外線を照射できる。この結果、ドレン皿内での菌の繁殖を抑制してディスペンサを清潔に維持し、排水トラブルを低減できる。
【0016】
<10> 前記ハウジングの前面には、前記放出口と連通されて前記放出口から放出された飲食物を当該ハウジングの外部に吐出する吐出口が形成されるとともに、前記吐出口の下方に配されて前記吐出口から吐出される飲食物を受容する容器が載置されるステージと、前記ステージの下側に配されて前記容器に受容されなかった飲食物を受け止める外部ドレン皿と、が設けられ、前記ハウジング内には、当該ハウジング内の下部に配された内部ドレン皿と、前記外部ドレン皿と前記内部ドレン皿とを連通する流路が設けられ、前記紫外線照射器は、前記ハウジング内における前記流路の上方に、下方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられていてもよい。
<10>の構成によれば、流路に重点的に紫外線を照射することで、外部ドレン皿から内部ドレン皿に流れ込むドレン水の殺菌を着実に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、安全性の高い飲食物を供給可能なディスペンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係るディスペンサの外観斜視図
図2】ディスペンサの縦断面図
図3図2のうち放出口及び吐出口近傍を含む部分の部分拡大図
図4】紫外線の照射強度の制御に係る構成の概要を示すブロック図
図5】照射強度の制御の一例を示すフローチャート
図6】実施形態2に係るディスペンサの要部を示す外観斜視図
図7】紫外線の照射強度の制御に係る構成の概要を示すブロック図
図8】照射強度の制御の一例を示すフローチャート
図9】実施形態3に係るディスペンサの要部を示す縦断面図
図10】実施形態4に係るディスペンサの要部を示す縦断面図
図11】実施形態5に係るディスペンサの要部を示す縦断面図
図12】実施形態6に係るディスペンサの要部を示す縦断面図
図13】実施形態7に係るディスペンサの要部を示す縦断面図
図14】実施形態8に係るディスペンサの要部を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を、図1から図5によって説明する。なお、ブロック図及びチャート図を除く各図面の一部には、直交座標系XYZのX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図において同一方向となるように描かれている。X軸方向が左右方向、Y軸方向が前後方向、Z軸方向が上下方向であって、図2における上側が上(下側が下)、左側が前(右側が後)である。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して他の部材の符号は省略することがある。
【0020】
[アイスディスペンサ1]
実施形態1では、庫内で製氷した氷片ICを吐出するアイスディスペンサ(ディスペンサの一例)1について説明する。図1に示すように、アイスディスペンサ1は、ハウジング10を有する。ハウジング10は、全体として縦長の箱状をなし、底面の四隅に配された脚19によって支持されている。図1に示すように、ハウジング10の前面には、ハウジング10の上端部及び下端部が前方に突出することで、上突出部11Uと下突出部11Lが形成されている。なお、上突出部11Uは、図2等に示すように、上下方向について、後述する貯氷タンク40と重なる位置を含むように設けられている。上突出部11Uと下突出部11Lの突出長(前後方向の長さ)は、ほぼ同じである。また、上突出部11Uと下突出部11Lの突出幅は(左右方向の長さ)、上突出部11Uの方が下突出部11Lより小さく、下突出部11Lが、ハウジング10のほぼ全幅に亘って設けられているのに対し、上突出部11Uは中央部のみに設けられている。
【0021】
アイスディスペンサ1は、図2に示すように、冷凍装置20と、冷凍装置20により冷却されて製氷を行う製氷機構30と、製氷機構30によって製氷された氷片(飲食物の一例)IC(図3参照)を貯えるための貯氷タンク(貯蔵室の一例)40と、を備える。ハウジング10内の後部には、冷凍装置20を構成する主要な機器を収容する機械室10Aが形成されており、ハウジング10内の前下部に製氷機構30が、前上部に貯氷タンク40が、設けられている。
【0022】
アイスディスペンサ1は、図2及び図3に示すように、製氷機構30により製氷され、貯氷タンクに貯えられた氷片IC等を吐出するディスペンス機構60と、排水を処理するための排水機構70と、対象物に紫外線を照射して殺菌を行うための紫外線照射器80と、をさらに備える。上突出部11Uの下面には吐出口13が設けられており、氷片IC等は、ディスペンス機構60によって上突出部11Uから下方の下突出部11Lに向けて吐出される。下突出部11Lで受け止められた氷片ICから生じた排水等は、排水機構70によってハウジング10の外部に排出される。
【0023】
[冷凍装置20]
アイスディスペンサ1は、冷凍装置20を備える。
冷凍装置20は、図2に示す圧縮機21、凝縮器23、凝縮器ファン25、蒸発管27のほか、膨張弁を備え、冷媒ガスが充填された冷媒管29によって連結されている。図2に示すように、圧縮機21、凝縮器23、凝縮器ファン25は、ハウジング10内の後部に設けられた機械室10A内に収容されている。圧縮機21によって圧縮された冷媒ガスは、凝縮器23において凝縮器ファン25の送風によって冷却され、液化する。液化した冷媒ガスは、膨張弁を通過して膨張し、蒸発管27内において気化する。蒸発管27は、後述する製氷機構30のシリンダ31に巻回されており、冷媒ガスの気化熱によってシリンダ31を冷却する。これにより、シリンダ31内に供給された浄水を凍結させシリンダ31の内周面に付着させることで、製氷が行われるようになっている。なお、冷凍装置20の運転を、後述する制御部90において制御するように構成してもよい。
【0024】
[製氷機構30]
アイスディスペンサ1は、オーガ式の製氷機構30を備える。図2に示すように、製氷機構30は、ハウジング10内の前下部、圧縮機21等の前方に設けられている。
【0025】
製氷機構30は、図2に示すように、シリンダ(製氷筒、冷却筒、冷凍ケーシング)31を備える。シリンダ31は、ステンレス鋼等の金属製で円筒状をなし、上下方向に延在するように配される。このシリンダ31の周壁の外側には既述した蒸発管27が巻回され、これらのさらに外側を断熱材35が覆っている。シリンダ31の周壁において、蒸発管27が巻回された部分よりも下側の位置には、給水口及び排水口が設けられている。浄水は、給水口からシリンダ31内に供給され、製氷されなかった浄水は、排水口からシリンダ31外に排出される。
【0026】
なお、本実施形態に係るアイスディスペンサ1は、図2に示すように、ハウジング10内に、浄水タンク15を備えている。浄水タンク15は、水道等の給水設備に接続されており、水道水を濾過した浄水を貯えている。浄水タンク15に貯えられた浄水は、ハウジング10内に配設された給水管17を通じてシリンダ31に供給される。
【0027】
製氷機構30は、図2に示すように、オーガ33を備える。オーガ33は、全体にみて細長い棒状をなし、シリンダ31の中心軸に沿って上下方向に延在するように、シリンダ31の内部空間に回転自在に収納されている。オーガ33は、上下方向についての中央部であってシリンダ31に巻回された蒸発管27と重なる位置に、シリンダ31の内周面に向かって突出する螺旋状の削氷刃33Aを備える。削氷刃33Aの突出長は、シリンダ31の内周面に僅かに到達しない程度とされ、削氷刃33Aが回転することにより、シリンダ31の内周面に付着した氷が削り取られる。
【0028】
製氷機構30は、図2に示すように、圧縮ヘッド37を備える。圧縮ヘッド37は、シリンダ31の内部の上側に固定されている。圧縮ヘッド37は、略筒状をなし、オーガ33の上端が内部に挿入されることで、オーガ33を回転可能に保持している。圧縮ヘッド37の外周面には、軸線方向に沿って延びる複数の溝が成形されており、シリンダ31の内周面との間に上下方向に貫通する氷通過経路を形成する。オーガ33によってシリンダ31の内周面から削り取られ上方に運搬された氷は、氷通過経路に圧入されて成柱状に圧縮成型され、貯氷タンク40内に送られる。
【0029】
製氷機構30は、図2に示すように、駆動装置39を備える。駆動装置39は、モータ39A、歯車、出力軸39B等を備え、シリンダ31の下方に配されている。出力軸39Bの上端はオーガ33の下端と連結されており、モータが回転駆動されて出力軸39Bが回転すると、オーガ33が回転する。なお、駆動装置39の駆動を、後述する制御部90において制御するように構成してもよい。
【0030】
[貯氷タンク40]
アイスディスペンサ1は、貯氷タンク40を備える。図2に示すように、貯氷タンク40は、ハウジング内の前上部すなわち製氷機構30の上方に設けられている。
【0031】
貯氷タンク40は、図2に示すように、全体として円筒形の箱状をなすタンク本体41と、タンク本体の上部に固定された蓋43と、を備える。タンク本体41は、外箱41Aの内方に間隔を空けて内箱41Bが配された二重壁構造となっており、外箱41Aと内箱41Bとの間には、断熱材41Cが充填されている。タンク本体41の底壁の中心には、これを貫通する貫通穴45が形成されており、この貫通穴45に製氷機構30の上端部を挿通させた状態で、タンク本体41とシリンダ31とが、シール材を介してボルト等により水密に連結される。これにより、既述した圧縮ヘッド37の上端は、内箱41Bの底壁から貯氷タンク40の内部空間内に上方に突出した状態で保持される。
【0032】
図2に表されているように、タンク本体41において、外箱41Aの底壁は、略平坦に形成されているのに対し、内箱41Bの底壁は、圧縮ヘッド37が挿通された中心部からに外周側に向けた下り勾配を有するように形成されている。内箱41Bの底壁上には、多数の貫通孔を有する透水性のスノコ(水切り部材の一例)47が載置される。スノコ47は、中心部では圧縮ヘッド37の上端から若干(後述する回転体49のテーパ面49A1との距離が所定の長さとなる高さまで)立ち上がった後に、内箱41B底壁の勾配に沿って外周側に下降するように配される。
【0033】
貯氷タンク40は、図2に示すように、回転体49を備える。回転体49は、タンク本体41の底壁から突出する圧縮ヘッド37の上方に配されている。回転体49は、軸材49Aと、翼材49Bと、を有する。軸材49Aの下端は、オーガ33の上端と接続されており、オーガ33と共に回転する。軸材49Aの下部側面の一部にはテーパ面49A1が形成されており、圧縮ヘッド37で圧縮成型され氷通過経路から上方に押し出された氷は、テーパ面49A1で折れて所定の長さに切断され、氷片ICが製氷される。翼材49Bは、軸材49Aからタンク本体41の外周に向けて延出しており、軸材49Aの回転に伴ってタンク本体41内を移動する。これにより、翼材49Bは、氷片ICを撹拌するアジテータとして機能して、氷片IC同士の結合を低減する。
【0034】
タンク本体41前壁の下端部には、図2及び図3に示すように、これを貫通する放出口48が形成されている。回転体49の軸材49Aで切断された氷片ICは、翼材49Bによって撹拌されつつ、勾配に従ってスノコ47の上面を滑り、放出口48に到達するようになっている。
【0035】
[ディスペンス機構60]
アイスディスペンサ1は、ディスペンス機構60を備える。図2及び図3に示すように、ディスペンス機構60は、ハウジング10の前側、主として上突出部11Uに設けられている。
【0036】
ディスペンス機構60は、図3に示すように、シャッター61を備える。シャッター61は、上突出部11Uの内部で放出口48の前側に設けられている。シャッター61は、常閉式であって、放出口48に前側から当接して開放可能に閉止する。シャッター61には、例えば図3に示すように、金属製の取付板61Aを有し、補強用の金属製の厚板61Bや、飲食物の飛散を抑制するためのL字板61C等を、ビス61Dで取付板61Aの前面に取り付けたものを使用できる。取付板61Aの後面には、放出口48に当接する部分に弾性樹脂等からなるシール部材が貼り合されており、取付板61Aは、後述するソレノイド装置62の連結板62Cに連結される。
【0037】
ディスペンス機構60は、図3に示すように、ソレノイド装置62を備える。ソレノイド装置62は、上突出部11Uの内部でシャッター61よりも上方に設けられている。ソレノイド装置62には、例えば図3に示すように、電磁コイルを備えたソレノイド本体62Aと、電磁コイルによって上下動されるプランジャ62Bと、既述した取付板61Aとプランジャ62Bとを連結する連結板62Cと、を有するものを使用できる。後述するレバースイッチ65もしくはタッチスイッチ67がオンになると、ソレノイド本体62A内の電磁コイルが励磁され、常時は下降位置にあったプランジャ62Bが上昇して、連結板62Cで連結されたシャッター61が、上縁を回動軸として前方に回動し、放出口48が開放される。なお、ソレノイド装置によって動作するシャッター61は一例に過ぎず、種々の機構によって開閉する公知のシャッターを利用可能である。
【0038】
ディスペンス機構60は、図3に示すように、ガイド部材63を備える。ガイド部材63は、上突出部11Uの内部で放出口48の下方に取り付けられている。本実施形態に係るガイド部材63は、図3に示すように、放出口48の下辺から下方に傾斜する底壁と、底壁の左右側縁に立設された側壁と、を有し、断面が上方に開口する略U字型をなすように形成されている。
【0039】
ディスペンス機構60は、図3に示すように、カバー部材64を備える。カバー部材64は、上突出部11Uの内部でガイド部材63の前下方に取り付けられている。本実施形態に係るカバー部材64は、図3に示すように、ガイド部材63の前側を覆う前壁と、前壁の左右側縁から後方に突出形成された左右側壁と、ガイド部材63の下方に配される下壁と、を有する。放出口48から放出された氷片ICは、ガイド部材63及びカバー部材64によって吐出口13まで案内される。
【0040】
図3に示すように、本実施形態に係るカバー部材64には、上下方向に延在する円筒管状の管保持部64Aが設けられており、この管保持部64Aに、水道等の給水設備に接続された給水管17が篏合される。これにより、アイスディスペンサ1は、吐出口13から氷片ICと併せて浄水を吐出可能に構成されている。
【0041】
ディスペンス機構60は、図3等に示すように、レバースイッチ65を備える。本実施形態に係るレバースイッチ65は、図3に示すように、操作レバー65Aと、スイッチ本体65Bと、を有する。操作レバー65Aは、上突出部11Uの下面から吐出口13の下方に突出するように設けられ、カップC等を押し当てるとバネ弾力に抗して回動するように支持されており、操作レバー65A内にはマグネットが埋設されている。スイッチ本体65Bは、ハウジング10内において操作レバー65Aが後方に移動して当接する位置に配され、スイッチ本体65B内にはマグネットに感応するリードスイッチが設けられている。操作レバー65AがカップC等によって押し込まれると、スイッチ本体65B内のリードスイッチがオンとなる。カップCが除かれると操作レバー65Aが初期位置に戻り、スイッチはオフとなる。
【0042】
ディスペンス機構60はまた、図3等に示すように、タッチスイッチ67を備える。本実施形態に係るタッチスイッチ67は、上突出部11Uの前面に設けられており、この表面に使用者の指等が触れると、スイッチ内部の静電容量が変化してオンとなる。指等が表面から離れると、スイッチはオフとなる。なお、当然ながら、スイッチは、上記したような作用によってオン/オフするものに限定されず、使用者の操作によって回路内の接点が接続もしくは離間するもの等、任意の公知のスイッチを利用できる。例えば、後述するステージ71上に何かが載置されたことを検知すると、自動的に放出口48を開放するものとしてもよい。また、スイッチがオンとなった後、一定時間が経過すると、オフとなるように構成してもよい。
【0043】
使用者の操作により、レバースイッチ65もしくはタッチスイッチ67がオンされると、シャッター61が放出口48を開放し、貯氷タンク40内の氷片ICが、放出口48からガイド部材63及びカバー部材64によって吐出口13まで案内され、カップC内に吐出される。レバースイッチ65もしくはタッチスイッチ67がオフとなると、シャッター61が放出口48を閉止して、氷片ICの放出が停止される。
【0044】
[排水機構70]
アイスディスペンサ1は、排水機構70を備える。排水機構70は、図2及び図3に示すように、主として下突出部11L及びハウジング10の底部に設けられている。
【0045】
排水機構70は、図3に示すように、ステージ71を備える。ステージ71は、複数の孔を有する透水性の板状部材であって、下突出部11Lの上面に略水平となるように取り付けられている。このステージ71上に、吐出された氷片ICを受容するためのカップC等が載置される。
【0046】
排水機構70は、図3に示すように、外部ドレン皿72を備える。外部ドレン皿72は、下突出部11Lにおいて、ステージ71の下方に設けられている。外部ドレン皿72の内面上部には段状部72Aが形成されており、この段状部72Aに、既述したステージ71が嵌め込まれている。カップC等で受容されずにこぼれた浄水や氷片ICから生じた水等は、透水性のステージ71から滴下して、外部ドレン皿72内に受け止められる。外部ドレン皿72の後壁には、これを貫通し、後方に配された製氷機構30に向けて延出する流路72Bが形成されている。流路72BはU字型断面をなし、流路72Bの後端部は、後述する内部ドレン皿73の上方に位置している。外部ドレン皿72の底面には、流路72Bの基端が最も低くなるような傾斜が形成され、流路72Bの底面は、後下がりに傾斜している。これにより、外部ドレン皿72で受け止められたドレン水は、流路72Bを通って、その後端から内部ドレン皿73内に流下する。
【0047】
排水機構70は、図3に示すように、内部ドレン皿73を備える。内部ドレン皿73は、既述した製氷機構30の駆動装置39の下方に配されている。蒸発管27等への着霜から生じた融解水やシリンダ31から排出された浄水等に加え、外部ドレン皿72から流路72Bを通って流下してきた水等が、内部ドレン皿73に集まるようになっている。
【0048】
排水機構70は、図3に示すように、排水パイプ74を備える。排水パイプ74は、内部ドレン皿73の底壁に繋がれ、ハウジング10の下方に導出されている。内部ドレン皿73内のドレン水は、排水パイプ74を通ってアイスディスペンサ1の外部へと排出される。
【0049】
[紫外線照射器80]
アイスディスペンサ1は、紫外線照射器80を備える。紫外線照射器80には、紫外線ランプあるいは紫外線発光ダイオード(UV-LED)を有するものを使用できる。紫外線照射器80は、具体的には、殺菌作用が高い200nm~300nmの波長の紫外線(UV)、より好ましくは220nm~280nm、さらに好ましくは253nm~285nmの波長の深紫外線紫外線(UV)を照射可能なものとする。
【0050】
本実施形態において、紫外線照射器80は、図3等に示すように、既述したカバー部材64の前壁後面に取り付けられている。上下方向については、カバー部材64の前壁の上端から少し下に位置する。紫外線照射器80は、後方に向けて広角に紫外線を照射可能であり、例えば図3において一点鎖線矢印で示すように、ガイド部材63のほぼ全体と、シャッター61、放出口48を含む範囲に、紫外線を照射できる。これにより、放出口48から氷片ICが放出されると、放出された氷片ICに確実に紫外線を照射できるようになっている。
【0051】
[制御部90]
さて、本技術に係るアイスディスペンサ1は、さらに、紫外線照射器80からの紫外線の照射を制御する制御部90(図4参照)を備えている。制御部90は、CPU、RAM、ROM等を有するコンピュータを主体として構成されるものであり、図2に示すように、貯氷タンク40の後方に設置された制御箱90A内に収容されている。
【0052】
既述した紫外線照射器80は、LOW(低照射強度)とHIGH(高照射強度)の少なくとも二段階の照射強度で紫外線を照射可能とされている。具体的には、低LOWでの照射強度は0.1μW/cm~1000μW/cm、HIGHでの照射強度は0.1mW/cm~1000mW/cmに設定できる。なお、LOWでの照射強度は、アイスディスペンサ1の設置場所(雑菌が生じ易い環境か)、吐出される飲食物の種類(雑菌を生じ易いか)、紫外線照射器80の取付位置(紫外線が庫外に漏れ易いか、対象物の構造が複雑か)等を考慮して設定するとよい。また、HIGHでの照射強度は、放出もしくは吐出される飲食物の種類(紫外線により殺菌され易いか)や、飲食物が紫外線照射範囲を通過するのに要する時間等を考慮して設定するとよい。例えば本実施形態のように、放出もしくは吐出される氷片ICに照射を行う場合は、LOWでの照射強度を1μW/cm~100μW/cm、HIGHでの照射強度を1mW/cm~100mW/cmに設定することが好ましい。
【0053】
図4に示すように、紫外線照射器80による紫外線の照射強度を制御するため、制御部90には、紫外線照射器80に加え、レバースイッチ65及びタッチスイッチ67が接続される。既述したように、本実施形態のディスペンス機構60では、レバースイッチ65及びタッチスイッチ67のオン/オフと連動して、シャッター61が放出口48を開放/閉止するように構成されている。よって、レバースイッチ65及びタッチスイッチ67がオン/オフされると、シャッター61が放出口48を開放/閉止したと判断して、制御を行うこととしている。すなわち、本実施形態では、レバースイッチ65及びタッチスイッチ67を、シャッター61の開閉状態を検知するシャッター検知手段として機能させる。
【0054】
制御部90による紫外線照射器80の制御の一例について、図5を参照しつつ以下に説明する。
図5に示すように、制御が開始されると、制御部90は紫外線照射器80から紫外線を照射させる(ステップS1)。このときの照射強度はLOWであり、レバースイッチ65もしくはタッチスイッチ67がオンとなったことが検出されるまで、低照射強度での紫外線照射が維持される。
【0055】
ステップS1の後、レバースイッチ65もしくはタッチスイッチ67の何れか一方がオンとなったことが検出されると(ステップS2でYes)、制御部90は紫外線照射器80からの紫外線照射強度を増加させる(ステップS3)。このときの照射強度はHIGHであり、レバースイッチ65及びタッチスイッチ67の両方がオフとなったことが検出されるまで、高照射強度での紫外線照射が維持される。
【0056】
ステップS3の後、レバースイッチ65及びタッチスイッチ67の双方がオフとなったことが検出されると(ステップS4でYes)、制御部90は紫外線照射器80からの紫外線照射強度を低下させる(ステップS5)。その後、ステップS2に戻って、S5までの制御が繰り返される(※1)。
【0057】
上記の制御を、アイスディスペンサ1の使用状況に即して説明する。
待機状態、すなわちステップS1により低照射強度で紫外線が照射されているアイスディスペンサ1を使用する場合、使用者は、吐出口13の下方にカップCを保持してレバースイッチ65を押圧するか、ステージ71上にカップCを載置してタッチスイッチ67に触れる。これにより、レバースイッチ65もしくはタッチスイッチ67の何れかがオンとなって(ステップS2でYes)、紫外線の照射強度が増加される(ステップS3)。このとき、ディスペンス機構60では、シャッター61が放出口48を開放して氷片ICが放出され、ガイド部材63とカバー部材64により吐出口13まで案内される。紫外線照射領域を通過する氷片ICには高照射強度で紫外線が照射され、短時間であっても氷片ICそのものを殺菌することができる。
【0058】
十分な量の氷片ICがカップCに受容されると、使用者はオンにしていたスイッチをオフにする。レバースイッチ65及びタッチスイッチ67の双方がオフとなると(ステップS4でYes)、シャッター61が放出口48を閉止して氷片ICの放出が停止される。これに伴い、紫外線の照射強度は低下され(ステップS5)、待機状態に戻る。待機状態では、消費エネルギーを抑制しつつ低照射強度での紫外線照射が維持され、閉止されたシャッターの前面を含む放出口48近傍が殺菌されることにより、氷片ICの放出経路を清潔に維持できる。
【0059】
[構成の要旨及び作用効果]
以上記載したように、実施形態1に係るアイスディスペンサ(ディスペンサの一例)1は、ハウジング10と、ハウジング10内に配され氷片(飲食物の一例)ICを貯える貯氷タンク(貯蔵室の一例)40であって、放出口48が形成された貯氷タンク40と、放出口48を開放可能に閉止するシャッター61と、シャッター61の開閉状態を検知するタッチスイッチ(シャッター検知手段の一例)67及びレバースイッチ(シャッター検知手段の他の一例)65と、放出口48から放出される氷片ICに紫外線を照射して殺菌を行う紫外線照射器80と、タッチスイッチ67及びレバースイッチ65で検知されたシャッター61の開閉状態に応じて、紫外線照射器80からの紫外線の照射を制御する制御部90と、を備える。
【0060】
上記構成によれば、シャッター61の開閉状態に応じて紫外線照射強度を制御可能としたことで、氷片ICが放出されている間だけ、強い紫外線を照射可能となる。よって、消費エネルギーを過度に増大させることなく氷片ICそのものを殺菌できる。この結果、より安全性の高い氷片ICを供給することが可能となる。なお、強い紫外線が照射される時間を短くすることで、紫外線がアイスディスペンサ1の外部に漏れて使用者の手等に紫外線が当たり、健康被害が生じる可能性も低減できる。
本実施形態では、飲食物として氷片ICに紫外線を照射する場合について記載しているが、これに限定されない。飲食物は、液体、固体、固液混合体等の何れであってもよい。既述したように、紫外線の照射強度は、照射対象となる飲食物の移動速度等に基づいて設定するとよい。
【0061】
アイスディスペンサ1において、制御部90は、シャッター61が放出口48を開放したと判断すると、紫外線照射器80からの紫外線の照射強度を増加させ、照射強度を増加させた後にシャッター61が放出口48を閉止したと判断すると、照射強度を低下させる。
【0062】
具体的には上記構成のような制御により、提供される飲食物の殺菌が良好に行われる。
本実施形態では、制御部90は、シャッター検知手段として機能するタッチスイッチ67及びレバースイッチ65からの信号に基づいて、シャッター61が放出口48を開放もしくは閉止したと判断するものとしているが、これに限定されない。時間を計測するタイマ等の計時手段をさらに備え、紫外線照射強度を増加させてから所定時間が経過すると、シャッター61が放出口48を閉止したと判断するように構成してもよい。
本実施形態では、制御部は、照射強度を増加させる前、並びに、照射強度を低下させた後は、0μW/cmより高い一定の照射強度で紫外線照射器から紫外線を照射させるように構成している。これにより、氷片ICの放出時に氷片ICそのものを殺菌するだけでなく、待機時には氷片ICの放出経路等を殺菌して清潔に維持することができる。この結果、より安全性の高い氷片ICを提供可能とされている。
【0063】
<実施形態2>
実施形態2を、図6から図8によって説明する。実施形態2では、ハウジング210前面に、吐出口13とステージ71との間を覆う吐出口カバー250が取り付けられたアイスディスペンサ201について例示する。アイスディスペンサ201の基本的な構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。以下では、アイスディスペンサ201のうち、アイスディスペンサ1と相違する構成について説明し、アイスディスペンサ1と同様の構成については実施形態1と同じ符号を付して説明を割愛する(実施形態3以下でも同様とする)。
【0064】
[吐出口カバー250]
アイスディスペンサ201は、吐出口カバー250を備える。図6に示すように、吐出口カバー250は、上突出部11Uと下突出部11Lとの間に取り付けられている。
【0065】
吐出口カバー250は、紫外線を遮蔽し且つ可視光を透過可能なものとする。本実施形態では、紫外線を遮蔽し且つ可視光を透過可能な樹脂を用いて全体を一体成型した樹脂部材を、吐出口カバー250として使用する。このような樹脂としては、例えば透光性のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなるものを使用できる。吐出口カバー250は、ハウジング210の前面に開閉操作可能に取り付けられており、断面が後方に開口する略U字型をなす。閉止された状態では、図6に示すように、吐出口カバー250は上突出部11Uの下方に連なって、吐出口13を含みステージ71の中央部に至る空間を閉塞する。本実施形態に係る吐出口カバー250は、アイスディスペンサ201の正面に向かって左側(図6における左側)の縁部を軸として回動させて開くことができる。なお、吐出口カバーは、全体が紫外線を遮蔽し且つ可視光を透過可能な樹脂で形成されている必要はなく、可視光を透過可能な窓部を有する紫外線遮蔽部材を用いてもよい。
【0066】
吐出口カバー250は、常時は閉止されていることが好ましい。使用者は、吐出口カバー250を開き、吐出口13の下方のステージ71上にカップC等の容器を置く。そして、吐出口カバー250を閉止した後に、例えばタッチスイッチ67を操作して、氷片ICや浄水を容器内に吐出させる。吐出が完了した後、再び吐出口カバー250を開いて、氷片IC等で満たされた容器を取り出し、吐出口カバー250を閉止する。
【0067】
[カバー開閉検知センサ251]
アイスディスペンサ201は、吐出口カバー250の開閉状態を検知するカバー開閉検知センサ(カバー検知手段の一例)251を備える。カバー開閉検知センサ251には、例えば赤外線センサ等の非接触センサを、ハウジング210の適当な位置に取り付けたものを使用できる。或いは、吐出口カバー250の回動側(図6における右側)の縁部にマグネット等を付設し、ハウジング210のうち吐出口カバー250が閉止されたときにマグネットが近接する位置にリードスイッチを埋設して、カバー開閉検知センサとしてもよい。図7に示すように、カバー開閉検知センサ251は、後述する制御部290に接続される。
【0068】
[紫外線照射器280]
アイスディスペンサ201は、紫外線照射器280を備える。本実施形態に係る紫外線照射器280には、紫外線と同時に、380nm~780nmの波長の可視光を照射可能なものを使用する。紫外線と同時に可視光を照射させることで、紫外線照射の有無及び紫外線照射範囲を、目視によって確認可能となる。本実施形態に係る紫外線照射器280は、例えば実施形態1の紫外線照射器80と同じ位置に取り付けられる。図7に示すように、紫外線照射器280は、後述する制御部290に接続される。
【0069】
[制御部290]
アイスディスペンサ201は、紫外線照射器280からの紫外線の照射を制御する制御部290を備える。図7に示すように、制御部290には、タッチスイッチ67と、カバー開閉検知センサ251と、紫外線照射器280と、が接続される。なお、本実施形態では、タッチスイッチ67と連動してシャッター61が放出口48を開放/閉止するように構成されており、タッチスイッチ67を、シャッター61の開閉状態を検知するシャッター検知手段として機能させている。
【0070】
制御部290による紫外線照射器280の制御の一例について、図8を参照しつつ以下に説明する。
図8に示すように、制御が開始されると、制御部290は吐出口カバー250が閉止されているか否かを確認する(ステップS21)。吐出口カバー250が閉止されていると判断すると(ステップS21でYes)、制御部290は紫外線照射器280から紫外線及び可視光を照射させる(ステップS22)。このときの紫外線の照射強度はLOWであり、吐出口カバー250が開かれるか(ステップS23でNo)、或いは、タッチスイッチ67がオンとなったことが検出されるまで、低照射強度での紫外線照射が維持される。
【0071】
ステップS22の後に、吐出口カバー250が開かれたと判断すると(ステップS23でNo)、制御部290は、紫外線及び可視光の照射を停止し(ステップS24)、ステップS21に戻って制御を繰り返す(※2)。吐出口カバー250が開かれることなく(ステップS23でYes)、タッチスイッチ67がオンとなったことが検出されると(ステップS25でYes)、制御部290は、再度、吐出口カバー250が閉止されているか否かを確認する(ステップS26)。吐出口カバー250が開かれていると判断すると、制御部290は、紫外線及び可視光の照射を停止し(ステップS27)、ステップS21に戻って制御を繰り返す(※2)。タッチスイッチ67がオンとなった後、吐出口カバー250が閉止されていると判断すると(ステップS26でYes)、制御部290は、紫外線照射器280からの紫外線照射強度を増加させる(ステップS28)。このときの紫外線の照射強度はHIGHであり、吐出口カバー250が開かれる(ステップS29でNo)まで、高照射強度での紫外線照射が維持される。
【0072】
ステップS28の後に、吐出口カバー250が開かれたと判断すると(ステップS29でNo)、制御部290は紫外線照射器280からの紫外線及び可視光の照射を停止する(ステップS30)その後は、ステップS21に戻って制御が繰り返される(※2)。
【0073】
上記の制御を、使用状況に即して説明する。
待機状態、すなわちステップS22により低照射強度で紫外線が照射されているアイスディスペンサ1を使用する場合、使用者は、まず吐出口カバー250を開いてステージ71上にカップCを載置し、吐出口カバー250を閉止する。このとき、吐出口カバー250を開いたことが検知されると(ステップS23でNo)、紫外線及び可視光の照射が停止される(ステップS24)ため、カップCを載置する際に使用者の手に紫外線が照射されることはない。使用者がカップCを載置した後に吐出口カバー250を閉止すると(ステップS21でYes)、紫外線照射器80は再び低照射強度で紫外線を照射する(ステップS22)。
【0074】
その後、使用者が、吐出口カバー250を開くことなく(ステップS23でYes)タッチスイッチ67に触れてオンにすると(ステップS25でYes)、吐出口カバー250が閉止されていることを確認した後に(ステップS26でYes)、紫外線照射強度が増加され(ステップS28)、シャッター61が開いて開放された放出口48から放出された氷片ICに、高照射強度で紫外線が照射される。このとき紫外線とともに可視光が照射され、使用者は吐出口カバー250ごしに殺菌が行われていることを確認できる。
【0075】
十分な量の氷片ICがカップCに受容されると、使用者はタッチスイッチ67をオフにして吐出口カバー250を開き、カップCを取り出した後に、吐出口カバー250を閉止する。このとき、吐出口カバー250を開いた段階で(ステップS29でNo)紫外線及び可視光の照射は停止される(ステップS30)ため、カップCを取り出す際に、使用者の手に紫外線が照射されることはない。使用者がカップCを取り出した後に吐出口カバー250を閉止すると(ステップS21でYes)、紫外線照射器80は再び低照射強度で紫外線を照射し(ステップS22)、待機状態に戻る。なお、タッチスイッチ67をオフにした時点で、制御部290が紫外線照射器280からの紫外線照射強度を低下させるように構成してもよい。
【0076】
[構成の要旨及び作用効果]
以上記載したように、実施形態2に係るアイスディスペンサ201では、ハウジング210に、放出口48と連通されて放出口48から放出された氷片ICをハウジング210の外部に吐出する吐出口13が形成され、吐出口13の下方に配され、吐出口13から吐出された氷片ICを受容するカップ(容器の一例)Cが載置されるステージ71が設けられるとともに、吐出口13とステージ71との間を覆う吐出口カバー250が開閉可能に取り付けられており、吐出口カバー250の開閉状態を検知するカバー開閉検知センサ(カバー検知手段の一例)251をさらに備え、制御部290は、吐出口カバー250が閉止されていることをカバー開閉検知センサ251が検知していないときは、紫外線照射器280からの紫外線の照射強度を増加させないものとされている。
【0077】
上記構成によれば、吐出口カバー250が閉止されていない状態では、高い強度で紫外線が照射されることはない。よって、使用者に強い紫外線が当たって健康被害を招く可能性を低減できる。
本実施形態では、制御部290は、吐出口カバー250が閉止されていることが検知されていないときは、紫外線照射器280からの紫外線の照射を停止するものとしている。これにより、使用者の安全性が一層向上されている。
【0078】
また、アイスディスペンサ201では、紫外線照射器280は、紫外線とともに可視光を照射可能とされており、吐出口カバー250は、紫外線を遮蔽し可視光を透過する可視光透過部を含んで形成されている。
このような構成によれば、紫外線照射器280から紫外線と併せて可視光が照射され、吐出口カバー250を通して紫外線及び可視光が照射されているか否かを目視確認できるため、紫外線照射器280の故障等を一早く知ることができる。また、使用者が吐出口カバー250を開いてカップCを取り出す際には、紫外線が照射されていないことを確認できる。これらの結果、使用者の安全性を一層高めることができる。
【0079】
<実施形態3>
実施形態3を、図9によって説明する。実施形態3では、紫外線照射器380の取り付け位置が、実施形態1に係る紫外線照射器80の取り付け位置と相違している。アイスディスペンサ301のその他の構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。
【0080】
[紫外線照射器380]
本実施形態において、紫外線照射器380は、図9に示すように、スノコ(水切り部材の一例)47の下側面に取り付けられている。本実施形態では、紫外線照射器380は、スノコ47のうち、放出口48の近傍に位置し、主として上方に向けて紫外線を照射する。なお、スノコ47には、透水性を発現させるために多くの貫通孔が設けられており、紫外線は、この貫通孔を通ってスノコ47の上面にある氷片ICまで到達する。また、本実施形態に係る紫外線照射器380は、上方を中心として広角に紫外線を照射可能とされており、例えば図9において一点鎖線矢印で示すように、シャッター61が閉止されている場合には、この後面にも、紫外線を照射できるものとされている。
【0081】
[構成の要旨及び作用効果]
実施形態3に係るアイスディスペンサ301では、貯氷タンク(貯蔵室の一例)40の底面上に、紫外線を透過可能に形成されたスノコ(水切り部材の一例)47が配されており、紫外線照射器380は、スノコ47の下側面に、上方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている。
【0082】
上記構成によれば、スノコ47の上面を放出口48に向けて移動する氷片ICに紫外線を照射できる。本実施形態では特に、放出口48近傍の底面に紫外線照射器380を配しているため、次回放出される氷片ICを重点的に殺菌できる。紫外線照射器380は貯氷タンク40の内部に配され、紫外線は基本的に貯氷タンク40内に向けて照射されるため、ハウジング10外に紫外線が漏れる可能性を低減できる。本実施形態では特に、紫外線照射器380が上方の貯氷タンク40内と併せて放出口48に向けても紫外線を照射可能としているため、シャッター61が閉止されているときは、シャッター61の後面(貯氷タンク40側の面)に紫外線を照射し、開放されているときは、放出経路の一部(ガイド部材63やカバー部材64の上端部等)にまで紫外線を照射して、これらの殺菌を行うことができる。
【0083】
<実施形態4>
実施形態4を、図10によって説明する。実施形態4では、紫外線照射器480の取り付け位置が、実施形態1に係る紫外線照射器80の取り付け位置と相違している。アイスディスペンサ401のその他の構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。
【0084】
[紫外線照射器480]
本実施形態において、紫外線照射器480は、図10に示すように、実施形態1の紫外線照射器80と同じく、カバー部材64の前壁後面に取り付けられている。上下方向については、実施形態1の紫外線照射器80と異なり、紫外線照射器480はカバー部材64の前壁の上端部に位置し、放出口48を前側から覆うシャッター61の前面に、ほぼ正対する。紫外線照射器480は後方に向けて紫外線を照射するものであり、図10において一点鎖線矢印で示すように、シャッター61に比較的近い距離から強い強度で紫外線を照射できる。
【0085】
[構成の要旨及び作用効果]
実施形態4に係るアイスディスペンサ401では、シャッター61は、放出口48を前側から覆って閉止するように取り付けられ、紫外線照射器480は、ハウジング10内においてシャッター61に前方から正対する位置に、後方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている。
【0086】
ガイド部材63及びカバー部材64で形成される氷片ICの放出経路は、外部に連通しており、シャッター61は、この放出経路と、常時は閉鎖された貯氷タンク40と、を隔てるものである。シャッター61を、繰り返しの開閉動作に備えるために耐久性に優れた金属で形成した場合、断熱性の維持が困難となって放出経路側の前面に結露を生じ易い。また、シャッター61の前面には、吐出された氷片IC等の飲食物が跳ね返り等によって付着することがある。さらに、シャッター61は、実施形態1に記載したように、開閉機能を発現させるために形状が複雑化し、清掃を行い難い構造となってしまう。これらの結果、シャッター61の前面は、菌が繁殖し易い環境となることが多い。上記構成によれば、このようなシャッターの前面に重点的に紫外線を照射して、着実に殺菌を行うことが可能となる。
【0087】
<実施形態5>
実施形態5を、図11によって説明する。実施形態5では、紫外線照射器580の構成及び取り付け位置が、実施形態1に係る紫外線照射器80と相違している。アイスディスペンサ501のその他の構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。
【0088】
[紫外線照射器580]
本実施形態に係る紫外線照射器580には、紫外線とともに可視光を照射するものを用いる。本実施形態において、紫外線照射器580は、図11に示すように、カバー部材64の前壁後面に取り付けられている。上下方向について、実施形態4の紫外線照射器480と同じく、紫外線照射器580はカバー部材64の前壁の上端部に位置するが、実施形態4の紫外線照射器480とは異なり、後下方を向くように斜めに取り付けられている。紫外線照射器580は後方から下方に至る広角に紫外線を照射可能であり、図11において一点鎖線矢印で示すように、シャッター61、放出口48、ガイド部材63、並びにカバー部材64の後壁のみならず、下方に位置する吐出口13の縁部まで紫外線を照射できる。さらには、下方のステージ71上に載置されたカップC内、並びに外部ドレン皿72内にも、紫外線を照射可能である。
【0089】
[構成の要旨及び作用効果]
実施形態5に係るアイスディスペンサ501では、ハウジング10には、放出口48と連通され、放出口48から放出された氷片ICを放出口48より下方においてハウジング10の外部に吐出する吐出口13が形成され、紫外線照射器580は、ハウジング10内において放出口48の前方で且つ吐出口13の上方となる位置に、後方及び下方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている。
【0090】
上記構成によれば、紫外線照射器580の後方に位置する放出口48と、下方に位置する吐出口13の双方に向けて紫外線を照射できる。また、シャッター61が開放されているときは、放出口48を通して貯氷タンク40の底縁部にも、紫外線を照射できる。故に、これらの近傍を清潔に維持しながら、通過する氷片ICの殺菌を行うことで、より安全性の高い飲食物を提供できる。さらに、吐出口13の下方に配されて氷片ICを受容するカップC及びカップC内に受容された氷片ICにも、紫外線を照射して、殺菌できる。待機中も低照射強度で紫外線が照射されるように構成すれば、ステージ71や、ステージ71の下方に設けられた外部ドレン皿72内にも、紫外線を照射して殺菌を行うことが可能となる。この結果、1つの紫外線照射器580により、広い範囲の殺菌を行って、アイスディスペンサ501を清潔に維持し、安全な氷片ICを提供できる。なお、本実施形態では、上突出部11Uと下突出部11Lの間に紫外線が照射されることとなるが、紫外線とともに可視光を照射する紫外線照射器580を用いることで、使用者が紫外線の照射範囲を確認して留意できる。
【0091】
<実施形態6>
実施形態6を、図12によって説明する。実施形態6では、紫外線照射器680の構成及び取り付け位置が、実施形態1に係る紫外線照射器80と相違している。アイスディスペンサ601のその他の構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。
【0092】
[紫外線照射器680]
本実施形態に係る紫外線照射器680には、指向性の高い紫外線発光ダイオードであって、紫外線とともに可視光を照射するものを用いる。本実施形態において、紫外線照射器680は、図12に示すように、外部ドレン皿72内の底面に取り付けられている。紫外線照射器680は下方から上方に向けて紫外線を照射可能であり、図12において一点鎖線矢印で示すように、外部ドレン皿72の内部から、吐出口13の周辺や、管保持部64Aに保持された給水管17の先端部、カバー部材64、ガイド部材63の下端部等にも紫外線を照射できる。
【0093】
[構成の要旨及び作用効果]
実施形態6に係るアイスディスペンサ601では、ハウジング10の前面に、放出口48と連通されて放出口48から放出された氷片ICをハウジング10の外部に吐出する吐出口13が形成されるとともに、吐出口13の下方に配され、吐出口13から吐出される氷片ICを受容するカップCが載置されるステージ71と、ステージ71の下側に配され、カップCに受容されなかった氷片ICを受け止める外部ドレン皿72と、が設けられ、紫外線照射器680は、外部ドレン皿72内の底面に、上方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている。
【0094】
上記構成によれば、吐出口13から離れた位置に紫外線照射器680を配することで、1つの紫外線照射器680によって外部ドレン皿の上方に位置する吐出口13から上方に繋がる氷片IC等の放出経路に至るまで、紫外線を照射できる。また、氷片ICとともに吐出される浄水や、この浄水を放出する給水管17の口縁部にも、紫外線を照射できる。カップCが載置され、氷片IC等が放出されたときは、放出された氷片IC等のうちカップCに受容されず外部ドレン皿72で受け止められた氷片IC等に強い紫外線を照射して殺菌することで、外部ドレン皿72、さらには内部ドレン皿73内における菌の繁殖が抑制される。なお、本実施形態では、紫外線照射器680として指向性の高い紫外線発光ダイオードを使用することで、紫外線の照射範囲が広がり過ぎるのを抑制できる。また、本実施形態でも、上突出部11Uと下突出部11Lの間に紫外線が照射されることとなるが、紫外線とともに可視光を照射する紫外線照射器680を用いることで、使用者は紫外線の照射範囲を確認して留意できる。
【0095】
<実施形態7>
実施形態7を、図13によって説明する。実施形態7でも、紫外線照射器780の取り付け位置が、実施形態1に係る紫外線照射器80と相違している。アイスディスペンサ701のその他の構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。
【0096】
[紫外線照射器780]
本実施形態に係る紫外線照射器780には、指向性の高い紫外線発光ダイオードを用いる。本実施形態において、紫外線照射器780は、図13に示すように、下突出部11Lに設けられた外部ドレン皿72内の前側面において、内部ドレン皿73と連通する流路72Bの基端部と正対する位置に、取り付けられている。紫外線照射器780は後方に向けて紫外線を照射可能であり、図13において一点鎖線矢印で示すように、外部ドレン皿72の内部から、流路72B内に紫外線を照射できる。
【0097】
[構成の要旨及び作用効果]
実施形態7に係るアイスディスペンサ701では、ハウジング10の前面に、放出口48と連通されて放出口48から放出された氷片ICをハウジング10の外部に吐出する吐出口13が形成されるとともに、吐出口13の下方に配され、吐出口13から吐出される氷片ICを受容するカップCが載置されるステージ71と、ステージ71の下側に配され、カップCに受容されなかった氷片ICを受け止める外部ドレン皿72と、が設けられ、ハウジング10内には、外部ドレン皿72の後方に配され、外部ドレン皿72と連通された内部ドレン皿73が設けられ、紫外線照射器780は、外部ドレン皿72内の前側面に、後方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている。
【0098】
外部ドレン皿72や内部ドレン皿73で菌が繁殖すると、スライム状物質が形成されてドレン水をアイスディスペンサ701の外部に排出する排水口や排水パイプ74等が詰まり、水漏れや漏電につながる可能性がある。上記構成によれば、外部ドレン皿72のみならず、外部ドレン皿72と内部ドレン皿73とを連通する流路72B、さらには内部ドレン皿73にまで、紫外線を照射できる。この結果、外部ドレン皿72及び内部ドレン皿73での菌の繁殖を抑制してアイスディスペンサ701を清潔に維持し、排水トラブルを低減できる。なお、本実施形態では、紫外線照射器780として指向性の高い紫外線発光ダイオードを使用することで、流路72Bの内方に向けて着実に紫外線を照射できる。
【0099】
<実施形態8>
実施形態8を、図14によって説明する。実施形態8では、紫外線照射器880の取り付け位置が、実施形態1に係る紫外線照射器80の取り付け位置と相違している。アイスディスペンサ801のその他の構成は、実施形態1に係るアイスディスペンサ1と同様である。
【0100】
[紫外線照射器880]
本実施形態において、紫外線照射器880は、図14に示すように、ハウジング10内において、
外部ドレン皿72と内部ドレン皿73とを連通する流路72Bの上方に取り付けられている。紫外線照射器880は下方に向けて紫外線を照射可能であり、図14において一点鎖線矢印で示すように、流路72Bや内部ドレン皿73内に、紫外線を照射できる。
【0101】
[構成の要旨及び作用効果]
実施形態8に係るアイスディスペンサ801では、ハウジング10の前面に、放出口48と連通されて放出口48から放出された氷片ICをハウジング10の外部に吐出する吐出口13が形成されるとともに、吐出口13の下方に配され、吐出口13から吐出される氷片ICを受容するカップCが載置されるステージ71と、ステージ71の下側に配され、カップCに受容されなかった氷片ICを受け止める外部ドレン皿72と、が設けられ、ハウジング10内には、ハウジング10内の下部に配された内部ドレン皿73と、外部ドレン皿72と内部ドレン皿73とを連通する流路72Bが設けられ、紫外線照射器880は、ハウジング10内における流路72Bの上方に、下方に向けて紫外線を照射可能に取り付けられている。
【0102】
上記構成によれば、流路72Bに重点的に紫外線を照射することで、外部ドレン皿72から内部ドレン皿73に流れ込むドレン水の殺菌を着実に行うことができる。紫外線照射器880が内部ドレン皿73内にも紫外線を照射可能な場合には、内部ドレン皿73内の殺菌も可能である。
【0103】
<他の実施形態>
本開示は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0104】
(1)上記実施形態では、シャッター61がタッチスイッチ67やレバースイッチ65と一義的に連動するものとし、これらのスイッチをシャッター検知手段として機能させたが、このような構成に限定されることはない。例えば、シャッターは、放出口を開放後に一定時間が経過すると、放出口を閉止するように構成してもよい。或いは、シャッターは、放出口を開放して所定量の飲食物が放出されると、放出口を閉止するように構成してもよい。制御部にシャッターを接続して、制御部からシャッターに出力された信号に応じてシャッターの開閉を行うこととし、このような信号を出力すると、制御部は、シャッターが開放/閉止されたと判断してもよい。また、シャッター検知手段として、シャッターの開閉状態や飲食物の放出状態を検知する光センサや重量センサ等を備えていてもよい。
【0105】
(2)吐出口カバーを備える上記実施形態2等では、吐出口カバー250を手動で開閉し、開閉状態をカバー開閉検知センサ251で検知する構成としたが、このような構成に限定されることはない。例えば、制御部に吐出口カバーを開閉するアクチュエータ類を接続して、制御部からアクチュエータ類に出力された信号に応じて吐出口カバーの開閉を行うこととし、このような信号を出力すると、制御部は、吐出口カバーが開放/閉止されたと判断してもよい。
【0106】
(3)ディスペンサは、上記実施形態で例示した態様を組み合わせたものであってもよい。例えば、実施形態5や実施形態6のように、ハウジングの外部に紫外線が照射されるような構成の場合、実施形態2のような吐出口カバーを備え、実施形態2のように吐出口カバーの開閉状態も考慮して紫外線の照射強度を制御すれば、特に効果的に使用者の安全性を高めることができる。
【0107】
(4)ディスペンサは、上記実施形態で例示した紫外線照射器の複数を、組み合わせて備えていてもよい。例えば、実施形態5の紫外線照射器580のように、飲食物の放出経路の広い範囲に紫外線を照射可能な位置に取り付けた紫外線照射器と、実施形態13の紫外線照射器780のように、ドレン皿を含む排出機構内に紫外線を照射可能な位置に取り付けた紫外線照射器と、を備えるものとすれば、安全性の高い飲食物を提供し、且つ、ディスペンサを極めて衛生的な状態に維持できる。
【0108】
(5)上記実施形態では、オーガ式の製氷機構を備え、氷片IC及び浄水を吐出可能なアイスディスペンサについて記載したが、このようなディスペンサに限定されるものではない。本技術は、例えばティーディスペンサやコーヒーサーバー、スープサーバー等、多様な飲食物を吐出するディスペンサに、適用可能である。
【符号の説明】
【0109】
1,201,301,401,501,601,701,801…アイスディスペンサ(ディスペンサの一例)、10,210…ハウジング、11L…下突出部、11U…上突出部、13…吐出口、20…冷凍装置、30…製氷機構、40…貯氷タンク(貯蔵室の一例)、41…タンク本体、47…スノコ(水切り部材の一例)、48…放出口、60…ディスペンス機構、61…シャッター、62…ソレノイド装置、63…ガイド部材、64…カバー部材、64A…管保持部、65…レバースイッチ(シャッター検知手段の他の一例)、67…タッチスイッチ(シャッター検知手段の一例)、70…排水機構、71…ステージ、72…外部ドレン皿、72A…段状部、72B…流路、73…内部ドレン皿、74…排水パイプ、80,280,380,480,580,680,780,880…紫外線照射器、90,290…制御部、250…吐出口カバー、251…カバー開閉検知センサ(カバー検知手段の一例)、C…カップ(容器の一例)、IC…氷片(飲食物の一例)
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14