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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】リードフレームストリップ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H01L23/50 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020184892
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2021082815
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】108215403
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】109112367
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504213102
【氏名又は名称】順▲徳▼工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】張 秀月
(72)【発明者】
【氏名】江 致▲徳▼
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002268(WO,A1)
【文献】特開2003-031752(JP,A)
【文献】特開2018-006376(JP,A)
【文献】特開2006-049372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームストリップであって、
前記リードフレームストリップの第1の方向に沿って延在している平行な2本のレールと、
前記2本のレール間に前記リードフレームストリップの第1の方向に沿って配列され、各々が少なくとも1つのメイン領域を有する複数の反復ユニットと、
第1の接続位置が前記メイン領域の各々と前記2本のレールの各々との間と規定され、第2の接続位置が前記複数の反復ユニットの隣接する2つの各メイン領域間と規定され、
対応するメイン領域の外縁と交差している軸と、前記軸の両側に位置していてそれらの延在方向が前記軸に対して平行ではない少なくとも一部分を有する2つの各分岐と、2つの前記分岐間に配置される貫通孔と、を有し、間隔を空けて配置されていて、各々が前記第1の接続位置及び前記第2の接続位置の1つに位置しており、複数の前記反復ユニットにおけるメイン領域それぞれの1つの前記外縁から突出している、複数のバーと、
各々が、複数の前記反復ユニットのメイン領域の1つの範囲内に配置される複数のスタンピング領域と、を備え、
複数の前記バーの分岐の各々は、前記分岐の中央に形成された折曲部と、前記折曲部の一方側に接続される傾斜部及び他方側に接続される平行部を有し、
複数の前記バーの各々の2つの分岐の2つの傾斜部は前記軸の両側に位置し、夾角は軸と2つの傾斜部の各々との間に形成され、
複数の前記バーの各々の2つの分岐の2つの平行部は相互にかつ前記軸に平行である
リードフレームストリップ。
【請求項2】
前記リードフレームストリップは、前記第1の方向に直交する第2の方向を有し、
複数の前記反復ユニットの各々は、2本の前記レールの間に沿って配列された複数の前記メイン領域を有し、
複数の前記反復ユニットの前記第2の方向に沿った両端に位置されるメイン領域は、複数の前記バーのうちの2つを介して2本の前記レールの近傍にそれぞれ接続される
請求項1記載のリードフレームストリップ。
【請求項3】
複数の前記バーの各々は、前記対応するメイン領域の前記外縁から突出し、前記バーの分岐間の貫通孔内に延在している少なくとも1つの突出部を有する、請求項1記載のリードフレームストリップ。
【請求項4】
前記第1の接続位置に位置される複数の前記バーの各々は、拡張部を有し、前記バーの2つの分岐は、対応するメイン領域から離れてそれぞれ規定される端部を有し、前記拡張部は、対応するバーにそれぞれ隣接するレールに2つの端部を接続する請求項1記載のリードフレームストリップ。
【請求項5】
複数の前記スタンピング領域の各々は、四角形であり、2つの平行な側面の2つのセットを有し、
2つの前記平行な側面の2つのセットのうちの1つのセットは、前記メイン領域に接続されている前記バーの軸に平行であり、前記バーの2つの分岐の最遠部分は、それぞれ、2つの前記平行な側面のセットの延長線上に位置する
請求項1記載のリードフレームストリップ。
【請求項6】
前記第1の接続位置に位置する複数のバーのうち、前記各バーの2つの分岐の2つの傾斜部が、前記対応するメイン領域に接続され、前記各バーの2つの分岐の2つの平行部が、前記対応するレールに接続されている、請求項記載のリードフレームストリップ。
【請求項7】
前記第1の接続位置に位置する複数のバーのうち、前記各バーの2つの分岐の2つの傾斜部が、前記対応するレールに接続され、前記各バーの2つの分岐の2つの平行部が、前記対応するメイン領域に接続されている、請求項記載のリードフレームストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレームストリップに関し、より詳細には、応力を排除するリードフレームストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品は、動作前に、パッケージ用のリードフレームにマウントすることによって、電気的に接続される必要がある。
【0003】
リードフレームは、さまざまな半導体部品で要求されるピン構成に応じるために、モジュール化により量産されている。図10には、量産によって利用される従来のリードフレームストリップ70が示されており、リードフレームストリップ70は、2本のレール71と、2本のレール71間に配置された複数のリードフレームユニット72とを備えている。各リードフレームユニット72は、シートライクであって、チップをマウントするための大きなスタンピング領域721を有している。さらに、各リードフレームユニット72は、タイバー722によって、隣接する1つのリードフレームユニット72、又は、2本のレール71のうち1本に接続される。2本のレール71は、製造プロセスにおいて、リードフレームストリップが金型内に位置するような位置決め効果を提供し、リードフレームユニット72のスタンピング領域721は、コイニングによって形成される。
【0004】
従来のリードフレームストリップ70の構造的な強度を確保するために、各タイバー722は十分な広さの幅Tで設計されている。しかし、これではタイバー722の剛性があり、応力を逃がすことができなくなり、コイニング中に発生する応力が、リードフレームユニット72に直接伝わる場合がある。結局、従来のリードフレームストリップ70は、耐え難いサイズ偏差に直面する可能性がある。
【0005】
図10及び図10Aを参照すると、一例として、縦方向の伸張量Lとして0.0203mmが、横方向の伸張量Wとして0.0729mmが、コイニング後に、従来のリードフレームストリップ70では生じていた。これにより、リードフレームユニット72は大きなサイズ偏差に至り、更にパッケージングプロセスにおける位置決めも難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、剛性があって応力を解放不能なタイバーによって、スタンピング後に生じる従来のリードフレームストリップの大きなサイズ偏差の問題を解決するために、スタンピング中に発生する応力を排除するリードフレームストリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
リードフレームストリップは、第1の方向を有し、平行な2本のレールと、複数の反復ユニットと、複数のバーと、複数のスタンピング領域とを備えている。2本のレールは並行で、第1の方向に沿って延在している。複数の反復ユニットは、2本のレール間に第1の方向に沿って配列され、複数の反復ユニットの各々は、少なくとも1つのメイン領域を有する。第1の接続位置はメイン領域の各々と2本のレールの各々との間と規定され、第2の接続位置は複数の反復ユニットの隣接する2つの各メイン領域間と規定される。複数のバーの各々は、第1の接続位置及び第2の接続位置の1つに位置しており、複数の反復ユニットにおけるメイン領域のそれぞれの1つの外縁から突出している。複数のバーは、間隔を空けて配置されている。複数のバーの各々は、軸と、2つの分岐と、2つの分岐間に配置される貫通孔と、を有する。この軸は、対応するメイン領域の前記外縁と交差している。2つの分岐はそれぞれ軸の両側に位置しており、2つの各分岐は、それらの延在方向が軸に対して平行ではない少なくとも一部分を有する。複数のスタンピング領域の各々は、複数の反復ユニットのメイン領域の1つの範囲内に配置される。
【0008】
前述の技術的特徴によれば、貫通孔及び各バーの斜めに延在する2つの分岐により、本発明は、リードフレームストリップがスタンピングされている間、材料の十分な弾力性と伸張応力の排除とを提供する。したがって、メイン領域がそこに大きなスタンピング領域を有する場合、又は、分岐がそこにスタンピング領域を有する場合には、スタンピング中に発生した応力は、分岐を通過するときに解放でき、応力が近傍のレール又はメイン領域に伝達することを効果的に防止し、それによって、リードフレームストリップの過度の伸張及びサイズ偏差の問題を効果的に解決する。したがって、本発明は、その剛性なタイバーが応力解放を妨げ、大きなサイズ偏差に至る従来のリードフレームストリップの欠点を効果的に解決する。
【0009】
本発明の他の目的、利点、及び、新規の特徴は、添付の図面と併せて参照することによって、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明によるリードフレームストリップの第1の実施形態の上面図である。
図1A図1のリードフレームストリップの反復ユニットの上面図である。
図2図1のリードフレームストリップの拡大上面図である。
図2A図1のリードフレームストリップで発生するサイズ偏差を示す図である。
図3図1のリードフレームストリップの拡大斜視図である。
図3A図3のリードフレームストリップのバーの拡大斜視図である。
図4】本発明によるリードフレームストリップの第2の実施形態の拡大上面図である。
図4A図4のリードフレームストリップの第2の接続位置に位置するバーの拡大上面図である。
図5】本発明によるリードフレームストリップの第3の実施形態の拡大上面図である。
図6】本発明によるリードフレームストリップの第4の実施形態の拡大上面図である。
図7】本発明によるリードフレームストリップの第5の実施形態の上面図である。
図8図7のリードフレームストリップの拡大上面図である。
図9図7のリードフレームストリップの拡大斜視図である。
図10】従来技術によるリードフレームストリップの拡大上面図である。
図10A図10における従来技術のリードフレームストリップで発生するサイズ偏差を示す図である。
【発明の実施の形態】
【0011】
図1図1A図2及び図3を参照すると、応力を排除できるリードフレームストリップ10の第1の実施形態は、2本のレール11と、複数の反復ユニット20と、複数のバー30と、複数のスタンピング領域40と、を有する。2本のレール11は、相互に平行であり、第1の方向Lに沿って延在している。複数の反復ユニット20は、2本のレール11間に第1の方向Lに沿って配列され、反復ユニット20の各々は、少なくとも1つのメイン領域21を有している。少なくとも1つのメイン領域21は、放熱、チップマウンティング又は電気接続のためにシートライクである。さらに、第1の接続位置211はメイン領域21の各々と2本のレール11の各々との間と規定され、第2の接続位置212は隣接する2つの各メイン領域21の間と規定される。
【0012】
複数のバー30の各々は、複数のメイン領域21の1つと対応するレール11とを接続する、又は、複数のメイン領域21のうち隣接する2つのメイン領域21を接続するために、第1の接続位置211と第2の接続位置212との1つに位置される。複数のバー30は、間隔をあけて配置されている。複数のバー30の各々は、メイン領域21それぞれの1つの外縁から突出し、軸Aと、2つの分岐31と、2つの分岐31間に配置される貫通孔32と、を有している。バーの軸Aは、対応するメイン領域21の前記外縁と交差している。2つの分岐31は、それぞれ軸Aの両側に位置し、2つの各分岐31は、軸Aとは平行ではない方向に延在する少なくとも一部分を有する。
【0013】
複数のスタンピング領域40の各々は、複数の反復ユニット20のメイン領域21の1つ、又は、複数のバー30の複数の分岐31の1つに配置される。
【0014】
図1図1A及び図2を参照すると、本発明の第1の実施形態では、リードフレームストリップ10は、第1の方向Lと交差していて、これに直交する第2の方向Wが示されている。各反復ユニット20は、2本のレール11間に第2の方向Wに配列された複数のメイン領域21を有する。さらに、図1を参照すると、本発明の第1の実施形態では、複数のバー30が第1の方向Lに沿って間隔をあけて配置され、複数のバー30の各々が対応するレール11の近傍で、メイン領域21の1つの前記外縁に接続されている。換言すると、本発明の第1の実施形態では、複数のバー30は全て第1の接続位置211に位置し、反復ユニット20の各々では、第2の方向Wに沿った反復ユニット20の反対の両端のメイン領域21は、複数のバー30のうちの2つを介して2本のレール11にそれぞれ接続される。
【0015】
図2及び図3を参照すると、本発明の第1の実施形態では、複数のバー30の各々の軸Aは、第1の方向Lに対して平行ではなく、第2の方向Wに対して平行又は斜めに交差し得る。すなわち、軸Aは、2本のレール11の延在方向に対して垂直又は斜めとなり得る。軸Aは、メイン領域21のバー30に接続された外縁と交差する。好ましくは、複数のバー30の軸Aは、第2の方向Wに対して平行である。2つの分岐31は、間隔を空けて配置されている。複数のバー30の各々の2つの分岐31の各々の両端は、それぞれ、メイン領域21及び対応するレール11に接続され、2つの分岐31は、軸Aの両側で斜めに等角度に延在する(軸Aとの夾角φは等しい)。
【0016】
貫通孔32は、2つの分岐31間に形成され、貫通孔32は、非円形の形状、例えば、五角形、三角形又は不規則な形状としている。本発明の第1の実施形態では、2つの分岐31は、軸Aを中心に相互に対称であり、その結果、貫通孔32は、左右対称の不規則な形状である。バー30の対称的な構成により、応力はより均一に消散され得る。
【0017】
さらに、図3Aを参照すると、複数のバー30の各々は、少なくとも1つの突出部33を有する。少なくとも1つの突出部33は、バー30に接続されたメイン領域21の前記外縁から突出しており、突出部33は、バー30の分岐31間の貫通孔32内まで延在している。本発明の第1の実施形態では、各バー30は、軸Aに沿って突出する1つの突出部33のみを有している。さらに、第1の接続位置211に配置された複数のバー30の各々(レール11の1つと接続されたもの)は、拡張部34を有する。バー30の2つの分岐31の両端は、それぞれ、対応するメイン領域21から離れており、2つの遠端として定義されている。拡張部34は、2つの遠端をバー30に対応して隣接するレール11に接続する。貫通孔32は、2つの分岐31と突出部33と拡張部34との間に位置することになる。拡張部34は、バー30と対応するレール11との接続の構造的な強さを改善する。
【0018】
図2及び図3を参照すると、本発明の第1の実施形態では、リードフレームストリップ10は、複数の第1の支持バー12及び複数の第2の支持バー13を備えている。第1の支持バー12の各々は、2本のレール11に接続され、第2の方向Wに沿って配列されているメイン領域21の2つの隣接する列間にある。すなわち、各第1の支持バー12は、複数の反復ユニット20の2つの隣接するバーの間に位置する。複数の第2の支持バー13の各々は、第1の方向Lに沿って配列され、2本のレール11に平行であり、複数の第1の支持バー12に接続されている。複数の第2の支持バー13の各々は、第1の方向Lに沿って配置された複数のメイン領域21の2つの隣接する列間に延在する。複数の第1の支持バー12及び複数の第2の支持バー13は、リードフレームストリップ10の構造的な強度を向上することができる。
【0019】
さらに、図3Aを参照すると、本発明の第1の実施形態では、2つの分岐31の各々は、折曲部311と傾斜部312と平行部313とを備える。折曲部311は、対応するメイン領域21と対応するレール11との間で、分岐31の中間に形成されている。傾斜部312及び平行部313は、それぞれ、折曲部311の両側に形成されている。 2つの分岐31の2つの傾斜部312は軸Aの両側にそれぞれ斜めに位置し、夾角φは軸Aと2つの傾斜部312の各々との間に形成され、2つの傾斜部312は対応するメイン領域21に接続されている。2つの分岐31の2つの平行部313は相互にかつ軸Aに平行であるので、2つの分岐31の各々の部分(平行部313)は軸Aと平行で、各分岐31の一部(傾斜部312)は軸Aに対して平行ではない。バー30の2つの分岐31の平行部313は、対応するレール11に接続される。
【0020】
図2及び図3を参照すると、本発明の第1の実施形態では、スタンピング領域40の各々は、複数の反復ユニット20のメイン領域21のそれぞれ1つの範囲内に凹状に配置されているので、メイン領域21はチップマウンティングに用いることができる。
【0021】
本発明の第1の実施形態では、スタンピング領域40がリードフレームストリップ10に、通常、コイニングによって形成される場合に、各メイン領域21のスタンピング領域40からの応力が、メイン領域21に接続されているバー30の2つの分岐に沿って伝わることで異なる方向に歪みが生じる。その結果、コイニング中に発生する応力が容易に解放され、材料のサイズ偏差に至る応力を低減することができる。さらに、この応力は、隣接するメイン領域21又はレール11に伝達する可能性が低い。加えて、複数のバー30は、相互に接続されず間隔を空けて配置されているので、その伝達経路が削減され、応力の解放を促進することができる。さらに、2つの分岐31の各々の折曲部311における構造的な強度が弱いため、応力はほとんどが歪みに変換され、通過せずに弾性変形が生じる場合があるため、さらに応力が折曲部311で解放される。この他に、メイン領域21の外縁から突出する突出部33は、誘導効果を提供することができ、そのような構成は、メイン領域21の材料をスタンピング中に軸Aに沿って貫通孔32に向かって延在するように誘導し、応力が貫通孔32以外の場所に伝達することを低減し、バー30が対応するメイン領域21の応力を解放する能力が改善される。
【0022】
例えば、図2及び2Aを参照すると、他の変数が同じ条件下で、図10及び図10Aに示される従来のリードフレームストリップ70と比較して、本発明のリードフレームストリップ10は、コイニング後に、第1の方向Lに縦方向の伸張量L1が0.0034mmのだけであり、第2の方向Wに横方向の伸張量W1が0.0397mmだけである。したがって、本発明で提供されるリードフレームストリップ10のサイズ偏差は、コイニング後に、従来のリードフレームストリップ70のそれよりもはるかに小さい。リードフレームストリップ10は、従来のリードフレームストリップ70と比較して、縦方向の伸張が83%、横方向の伸張が46%低減する。まとめると、本発明は、サイズ偏差が小さく、従来のリードフレームストリップ70の過度の伸張問題を大幅に排除する。
【0023】
また、本発明の第1の実施の形態では、図2及び図3を参照すると、複数のメイン領域21の各々は四角形である。複数のスタンピング領域40の各々も四角形であり、対応するメイン領域21の中央部分に位置する。各バー30の軸Aは第2の方向Wと平行であり、バー30は対応するメイン領域21の側面の中央部分に接続され、この結果、軸Aはスタンピング領域40の中心を通って延在している。これらの技術的特徴により、スタンピング領域40からの応力は、最短経路を介してバー30に伝わり、バー30の2つの分岐31によって提供される応力誘導効果及び応力解放効果により、リードフレームストリップ10のサイズ偏差を低減するための補助手段として、集中する応力が伝わることによって生じる材料の過度な伸張を回避することができる。
【0024】
図2及び図3を参照すると、リードフレームストリップ10をその製造工程又はパッケージング工程で位置決めするために、2本のレール11の各々は、間隔を空けてレール11を貫通して形成された複数の位置決め穴111を有する。
【0025】
図4を参照すると、本発明の第2の実施形態は、以下の点で異なるが、第1の実施形態と実質的に同じである。すなわち、リードフレームストリップ10の反復ユニット20では、少なくとも1つのバー30Aが2つのメイン領域21に接続されるために、2つの隣接する当該メイン領域21間に位置する。したがって、バー30Aは、第2の接続位置212の1つに位置する。バー30Aの2つの分岐31の各々の両端は、それぞれ、2つのメイン領域に接続され、各分岐31は、折曲部311と、折曲部311の両側にそれぞれ形成された2つの傾斜部312とを有する。2つの傾斜部312の各々は、軸Aに対して他の分岐31の2つの傾斜部312それぞれと対称であり、2つの分岐31が実質的に菱形を形成するように、2つの夾角φが軸Aと2つの傾斜部312との間にそれぞれ形成される。すなわち、各分岐31は、軸Aに対して完全に平行ではない。バー30Aは、2つの突出部33を有し、各突出部33は、スタンピング時に、2つのメイン領域21の材料をバー30Aに向けて延在するように誘導するために、軸Aに沿って2つのメイン領域21の1つの前記外縁から突出し、2つの分岐31間、つまり貫通孔32の空間に延在する。
【0026】
加えて、複数のスタンピング領域40の各々は四角形であり、2つの平行な側面の2つのセットを有する。スタンピング領域40は、対応するメイン領域21の中央部に配置され、2つの平行な側面の2つのセットのうちの1つのセットは、第2の方向Wとバー30Aの軸Aとに平行である。さらに、バー30Aの2つの分岐31の最遠部分は、それぞれ、2つの平行な側面のセットの延長線上に位置する。例えば、図4及び図4Aを参照すると、バー30Aの2つの分岐31の2つの折曲部311は、相互に最遠部分となり、2つの折曲部311の各々は、軸Aに対して平行なスタンピング領域40の2つの平行な側面の1つのそれぞれの延長線上に位置する。このような技術的特徴によって、2つの分岐31間の最大間隔は、スタンピング領域40の幅に実質的に等しいので、スタンピング領域40からの応力を、解放のために誘導することができる。この効果は、第1の接続位置211に配置されたバー30にも当てはまる。
【0027】
他の実施形態では、本発明の第1の実施形態に記載されたように、2つのメイン領域21を接続するバー30Aの各々が傾斜部312及び平行部313を有し、メイン領域21とレールとの間の第1の接続位置211にバー30のような構成を形成することができる。また、バー30Aは、第1の方向Lに相互に隣接する2つのメイン領域21間に位置させてもよい。
【0028】
前述の段落に基づいて、本発明のリードフレームストリップ10の複数の反復ユニット20の各メイン領域21は、複数のバー30、30Aの少なくとも1つを介して近傍の部品に接続される。ここでいう近傍の部品とは、図4に示されるような別のメイン領域21、又は、図2に示されるような2本のレール11のうちの1つをいう。これにより、メイン領域21内で生成される応力は、バー30、30Aによって解放され、近傍の部品に伝達する応力は減少する。これは、近傍のメイン領域21又はレール11に生じる応力が少なくなるので、リードフレームストリップ10の材料が過度に伸張することを防止できることを意味する。加えて、各反復ユニット20は、例えば、メイン領域21の2つ、2本のレール11、又は、メイン領域21の1つ及びレール11の1本といった複数の近傍の部品に接続するために、複数の前記バー30、30Aによって接続される。本発明の第1の実施形態と同様に、リードフレームストリップ10の応力排除と構造強度との両方に対処するために、そこに貫通孔32を有する複数のバー30の全ては、第1の接続位置211にのみ配置される。つまり、いずれのバー30も、メイン領域21の隣接する2つの間には配置されない。
【0029】
図5を参照すると、本発明の第3の実施形態は、以下の点で第1の実施形態とは異なる。すなわち、2つの分岐31の各々は、貫通孔32が三角形になるように、斜めの直線アームである。2つの分岐31がそれぞれ軸Aに対して夾角φを有し、分岐31の双方が軸Aに対して平行ではないため、応力が分岐31に対して2つの異なる方向への歪みが生じ、応力が解消されることでレール11又はメイン領域21の近傍に伝達することが防止される。
【0030】
図6を参照すると、本発明の第4の実施形態は、以下の点で第1の実施形態とは異なる。すなわち、複数のバー30の各々の2つの分岐31の2つの傾斜部312がバー30に対応するレール11に接続され、2つの平行部313はが対応するメイン領域21に平行に接続される。換言すると、バー30の2つの分岐31は、メイン領域21から平行に突出してから、両者間で等しい夾角φで軸Aから離れる方向に向かって延在し、折曲部311と傾斜部312とを形成する。それから、2つの傾斜部312は延在して、対応するレール11に接続される。
【0031】
図7から図9を参照すると、本発明の第5の実施形態は、以下の点で第1の実施形態と異なる。すなわち、複数のスタンピング領域40は、各バー30、30Aの対応するメイン領域21の近くで、複数のバー30、30Aの分岐31に配置される。各分岐31は、折曲部311及び2つの傾斜部312を有する。そして、各分岐31の場合、対応するスタンピング領域40が配置される部分の幅は、対応するメイン領域21から離れた部分の幅よりも広い。換言すると、各分岐31は異なる幅を有しており、対応するメイン領域21から離れた部分はより薄い。リードフレームストリップ10がスタンピングされると、各スタンピング領域40からの応力が分岐31に沿って伝達され、歪みが引き起こされる。分岐31はそれぞれ斜めに延在していて、折曲部311を有するので、変形しやすく、プレス時に生じた応力が解放しやすく、材料の伸張応力を低減することができる。さらに、隣接するメイン領域21又は隣接するレール11に伝達する応力を低減することができる。 その上、分岐31のより薄い部分は、応力解放を容易にする。
【0032】
図2及び図3の第1の実施形態と図7図9の第5の実施形態とをさらに参照すると、リードフレームストリップ10の位置決め穴111が応力の伝わることによる変形を防止するため、第1の実施形態のバー30は、第1の接続位置211に適用することが可能である。バー30は、各バー30の2つの分岐31の2つの平行部313を備える、対応するレール11に接続され、バー30の軸Aは、位置決め穴111の1つの中心に配列される。2つの平行部313の延在方向は、位置決め穴111というよりも、寧ろ、位置決め穴111の両側を通過する。あるいは、第5の実施形態におけるバー30、30Aの構成を第1の接続位置211に適用することも可能であり、対応するメイン領域21から離れた2つの分岐31の傾斜部312の延長線は、位置決め穴111を通過しない。
【0033】
前述の技術的特徴によれば、貫通孔32及び間隔を空けて配置されている各バー30、30Aの斜めに延在する2つの分岐31により、本発明は、リードフレームストリップ10がスタンピングされている間、材料の十分な弾力性と伸張応力の排除とを提供する。したがって、メイン領域21がそこに大きなスタンピング領域40を有する場合、又は、分岐31がそこにスタンピング領域40を有する場合には、スタンピング中に発生した応力は、分岐31を通過するときに解放でき、応力が近傍のレール11又はメイン領域21に伝達することを効果的に防止し、それによって、リードフレームストリップの過度の伸張及びサイズ偏差の問題を効果的に解決する。したがって、本発明は、その剛性なタイバーが応力解放を妨げ、大きなサイズ偏差に至る従来のリードフレームストリップ70の欠点を効果的に解決する。
【0034】
本発明の多くの特徴及び利点が、本発明の構造及び特徴の詳細とともに前述の説明に記載されているが、これらの開示は例示にすぎない。添付の特許請求の範囲に表現されている用語の幅広い一般的な意味によって示される範囲で、本発明の原理内の詳細な変更、特に、パーツの形状、サイズ、配置といった事項についての変更を行うことができる。

図1
図1A
図2
図2A
図3
図3A
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図10A