(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】記録システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/30 20060101AFI20231206BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65H31/30
G03G15/00 420
(21)【出願番号】P 2020212147
(22)【出願日】2020-12-22
(62)【分割の表示】P 2015237229の分割
【原出願日】2015-12-04
【審査請求日】2021-01-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】児玉 秀俊
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】門 良成
【審判官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190990(JP,A)
【文献】特開2010-235316(JP,A)
【文献】特開2005-200150(JP,A)
【文献】特開2007-246263(JP,A)
【文献】特開2013-230935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/54-29/70
B65H 31/00-31/40
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録装置により画像が記録された媒体を後処理装置に搬送するための中間搬送経路と、
前記中間搬送経路に沿って前記媒体を搬送する中間搬送部と、
を備えた搬送装置であって、
前記媒体を引き出し可能な開口部を更に備え、
前記中間搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第1のスイッチバック経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第2のスイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1のスイッチバック経路へ導く第1の案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2のスイッチバック経路へ導く第2の案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が、前記第1の案内経路及び前記第2の案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第1の合流経路と、
前記第2のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第2の合流経路と、
前記第1の合流経路と前記第2の合流経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がり
、前記後処理装置へと延びる導出経路と、
を備え、
前記導出経路は、
一部が、前記第1のスイッチバック経路と前記第2のスイッチバック経路との間の位置に配置され、
前記第1のスイッチバック経路の下流端の下方を回り込んで延在し、
前記第2のスイッチバック経路は、下方に延在し、
前記第1のスイッチバック経路と前記第1の合流経路との分岐点は、前記第2のスイッチバック経路と前記第2の合流経路との分岐点よりも上方に配置され、
前記開口部は、前記第2のスイッチバック経路の前記媒体を引き出し可能であり、
前記開口部と前記第2のスイッチバック経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
記録装置により画像が記録された媒体を後処理装置に搬送するための中間搬送経路と、
前記中間搬送経路に沿って前記媒体を搬送する中間搬送部と、
を備えた搬送装置であって、
前記媒体を引き出し可能な開口部を更に備え、
前記中間搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第1のスイッチバック経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第2のスイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1のスイッチバック経路へ導く第1の案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2のスイッチバック経路へ導く第2の案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が、前記第1の案内経路及び前記第2の案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第1の合流経路と、
前記第2のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第2の合流経路と、
前記第1の合流経路と前記第2の合流経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がり
、前記後処理装置へと延びる導出経路と、
を備え、
前記導出経路は、
一部が、前記第1のスイッチバック経路と前記第2のスイッチバック経路との間の位置に配置され、
前記第1のスイッチバック経路の下流端の下方を回り込んで延在し、
前記第2のスイッチバック経路は、下方に延在し、
前記第1のスイッチバック経路と前記第1の合流経路との分岐点は、前記第2のスイッチバック経路と前記第2の合流経路との分岐点よりも上方に配置され、
前記開口部は、前記第2の合流経路の前記媒体を引き出し可能であり、
前記開口部と前記第2のスイッチバック経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置において、
前記搬送装置と前記後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記第1のスイッチバック経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
記録装置により画像が記録された媒体を後処理装置に搬送するための中間搬送経路と、
前記中間搬送経路に沿って前記媒体を搬送する中間搬送部と、
を備えた搬送装置であって、
前記媒体を引き出し可能な開口部を更に備え、
前記中間搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第1のスイッチバック経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第2のスイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1のスイッチバック経路へ導く第1の案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2のスイッチバック経路へ導く第2の案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が、前記第1の案内経路及び前記第2の案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第1の合流経路と、
前記第2のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第2の合流経路と、
前記第1の合流経路と前記第2の合流経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がり
、前記後処理装置へと延びる導出経路と、
を備え、
前記導出経路は、
一部が、前記第1のスイッチバック経路と前記第2のスイッチバック経路との間の位置に配置され、
前記第1のスイッチバック経路の下流端の下方を回り込んで延在し、
前記第2のスイッチバック経路は、下方に延在し、
前記第1のスイッチバック経路と前記第1の合流経路との分岐点は、前記第2のスイッチバック経路と前記第2の合流経路との分岐点よりも上方に配置され、
前記開口部は、前記導出経路の前記媒体を引き出し可能であり、
前記搬送装置と前記後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記第1のスイッチバック経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送装置において、
前記開口部と前記第2のスイッチバック経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記搬送装置と前記後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記導出経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記開口部と前記導出経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記搬送装置と前記後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記第1の合流経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記搬送装置と前記後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記第2の合流経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記導出経路と前記第2のスイッチバック経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項2から請求項10のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記搬送装置と前記後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記導出経路と前記第1のスイッチバック経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
媒体に画像を記録する記録装置と、
前記記録装置により画像が記録された前記媒体に第1の後処理を行う第1の後処理装置と、
前記第1の後処理装置により前記第1の後処理が行われた前記媒体に対し、第2の後処理を行う第2の後処理装置と、を備え、
前記第1の後処理装置は、
前記媒体を前記第2の後処理装置に搬送する中間搬送経路と、
前記媒体を引き出し可能な開口部と、
を備え、
前記中間搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第1のスイッチバック経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第2のスイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1のスイッチバック経路へ導く第1の案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2のスイッチバック経路へ導く第2の案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が、前記第1の案内経路及び前記第2の案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第1の合流経路と、
前記第2のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第2の合流経路と、
前記第1の合流経路と前記第2の合流経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がり
、前記後処理装置へと延びる導出経路と、
を備え、
前記導出経路は、
一部が、前記第1のスイッチバック経路と前記第2のスイッチバック経路との間の位置に配置され、
前記第1のスイッチバック経路の下流端の下方を回り込んで延在し、
前記第2のスイッチバック経路は、下方に延在し、
前記第1のスイッチバック経路と前記第1の合流経路との分岐点は、前記第2のスイッチバック経路と前記第2の合流経路との分岐点よりも上方に配置され、
前記開口部は、前記第2のスイッチバック経路の前記媒体を引き出し可能であり、
前記開口部と前記第2のスイッチバック経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項13】
媒体に画像を記録する記録装置と、
前記記録装置により画像が記録された前記媒体に第1の後処理を行う第1の後処理装置と、
前記第1の後処理装置により前記第1の後処理が行われた前記媒体に対し、第2の後処理を行う第2の後処理装置と、を備え、
前記第1の後処理装置は、
前記媒体を前記第2の後処理装置に搬送する中間搬送経路と、
前記媒体を引き出し可能な開口部と、
を備え、
前記中間搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第1のスイッチバック経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第2のスイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1のスイッチバック経路へ導く第1の案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2のスイッチバック経路へ導く第2の案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が、前記第1の案内経路及び前記第2の案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第1の合流経路と、
前記第2のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第2の合流経路と、
前記第1の合流経路と前記第2の合流経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がり
、前記後処理装置へと延びる導出経路と、
を備え、
前記導出経路は、
一部が、前記第1のスイッチバック経路と前記第2のスイッチバック経路との間の位置に配置され、
前記第1のスイッチバック経路の下流端の下方を回り込んで延在し、
前記第2のスイッチバック経路は、下方に延在し、
前記第1のスイッチバック経路と前記第1の合流経路との分岐点は、前記第2のスイッチバック経路と前記第2の合流経路との分岐点よりも上方に配置され、
前記開口部は、前記第2の合流経路の前記媒体を引き出し可能であり、
前記開口部と前記第2のスイッチバック経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項14】
媒体に画像を記録する記録装置と、
前記記録装置により画像が記録された前記媒体に第1の後処理を行う第1の後処理装置と、
前記第1の後処理装置により前記第1の後処理が行われた前記媒体に対し、第2の後処理を行う第2の後処理装置と、を備え、
前記第1の後処理装置は、
前記媒体を前記第2の後処理装置に搬送する中間搬送経路と、
前記媒体を引き出し可能な開口部と、
を備え、
前記中間搬送経路は、
媒体が搬送される上流経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第1のスイッチバック経路と、
前記上流経路よりも下流側に配置され、搬送された前記媒体を搬送方向とは逆方向に排出する第2のスイッチバック経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第1のスイッチバック経路へ導く第1の案内経路と、
前記上流経路の前記媒体を前記第2のスイッチバック経路へ導く第2の案内経路と、
前記上流経路によって搬送された前記媒体が、前記第1の案内経路及び前記第2の案内経路のうちのいずれか一方へ搬送されるように選択的に切り替える案内切替部と、
前記第1のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第1の合流経路と、
前記第2のスイッチバック経路から前記媒体が排出される第2の合流経路と、
前記第1の合流経路と前記第2の合流経路との下流端同士の合流点に上流端が繋がり
、前記後処理装置へと延びる導出経路と、
を備え、
前記導出経路は、
一部が、前記第1のスイッチバック経路と前記第2のスイッチバック経路との間の位置に配置され、
前記第1のスイッチバック経路の下流端の下方を回り込んで延在し、
前記第2のスイッチバック経路は、下方に延在し、
前記第1のスイッチバック経路と前記第1の合流経路との分岐点は、前記第2のスイッチバック経路と前記第2の合流経路との分岐点よりも上方に配置され、
前記開口部は、前記導出経路の前記媒体を引き出し可能であり、
前記第1の後処理装置と前記第2の後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記第1のスイッチバック経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の記録システムにおいて、
前記第1の後処理装置と前記第2の後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、記開口部と前記導出経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項16】
請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の記録システムにおいて、
前記開口部と前記導出経路とは、側面視において鉛直方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする記録システム。
【請求項17】
請求項13から請求項16のいずれか一項に記載の記録システムにおいて、
前記第1の後処理装置と前記第2の後処理装置とが並ぶ方向を並び方向とした際に、前記開口部と前記第2の合流経路とは、側面視において前記並び方向
の位置が少なくとも一部重なる、
ことを特徴とする記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば用紙などの媒体に画像を記録する記録装置と、これに接続されて媒体に後処理を行う後処理装置とを備える記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体の一例としての用紙に液体の一例としてのインクを付着させることで文字や写真などの画像を印刷(記録)する印刷装置(記録装置)と、印刷装置により印刷が行われた用紙に後処理を行う後処理装置とを備える印刷システム(記録システム)が知られている。例えば、特許文献1には、印刷装置と、第1の後処理として用紙の乾燥を行う第1の後処理装置と、第2の後処理としてステープル等を行う第2の後処理装置とを備えた印刷システムが記載されている。
【0003】
この特許文献1の印刷システムにおける印刷装置は、画像を印刷された用紙が、第1の後処理装置へ向けて搬送される第1の搬送経路と、印刷装置に取り付けられた排紙トレイに向けて搬送される第2の搬送経路とを備えている。すなわち、印刷システムは、後処理を行わない用紙を第1及び第2の後処理装置に搬送せずに印刷装置から直接的に排紙トレイに排出する。排紙トレイは、複数の用紙を積載できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の印刷システムにおいて、排紙トレイが記録装置の側方において記録装置から突出するように取り付けられているため、印刷システムが大型化する。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化に貢献できる記録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する記録システムは、媒体に画像を記録する記録装置と、前記記録装置により画像が記録された前記媒体に第1の後処理を行う第1の後処理装置と、前記第1の後処理装置により前記第1の後処理が行われた前記媒体に対し、第2の後処理を行う第2の後処理装置と、を備え、前記第1の後処理装置は、その上方を覆う上面部を有する筐体を有し、前記記録装置は、前記記録装置により画像が記録された前記媒体を前記第1の後処理装置に搬送する第1の搬送経路、及び、前記第1の搬送経路から分岐し、前記第1の搬送経路の上方に位置する第2の搬送経路を備え、前記上面部は、前記記録装置の側方に配置され、上面に前記第2の搬送経路を通過した前記媒体が載置される。
【0007】
上記構成によれば、第1の後処理装置の上方を覆う上面部が画像が記録された媒体を積載する排紙トレイとして機能するため、排紙トレイを記録装置の側方から突出させる構成と比較して、記録システムの小型化に貢献できる。
【0008】
また、上記記録システムにおいて、前記筐体は、前記第1の後処理装置が前記第2の後処理装置と隣接する部分において前記上面部よりも上方に突出した延長部を備え、前記第1の後処理装置は、前記媒体を前記第1の後処理装置から前記第2の後処理装置に搬送する第3の搬送経路を備え、前記延長部の内部には、前記第3の搬送経路のうちの前記第2の後処理装置と連結される連結経路が配置され、前記連結経路は、前記記録装置側に湾曲する第1の部分と、前記第1の部分よりも下流かつ上方において前記第2の後処理装置側に湾曲する第2の部分とを備え、前記上面部の一部は、前記第1の部分の下方に位置することが好ましい。
【0009】
例えば、連結経路が下方から上方に真っ直ぐに延びた後に水平方向に屈曲して第2の後処理装置に向かう場合、屈曲角度が略直角となり、曲率が大きくなる。そして、経路の曲率が大きいほど、連結経路において媒体の搬送不良が生じやすくなる。上記構成によれば、延長部の内部に配置される連結経路が記録装置側に湾曲しているため、連結経路の曲率を小さくすることができる。このため、媒体の搬送不良が生じ難くなる。
【0010】
また、上記記録システムにおいて、前記上面部の少なくとも一部は、その位置状態が前記第1の後処理装置の上方を覆う第1の位置状態と前記第1の後処理装置の上方を露出させる第2の位置状態とに切り替え可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、上面部の位置状態を切り替えて第1の後処理装置の上方を露出させることができるため、第1の後処理装置の内部の媒体の搬送不良を解消する際に、第1の後処理装置の内部から搬送不良の媒体の除去を簡便に行うことができる。
【0012】
また、上記記録システムにおいて、前記記録装置は、前記第1の搬送経路及び前記第2の搬送経路の少なくとも一方の一部を前記第1の後処理装置の前記上面部よりも上方に引き出し可能に構成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、第1の搬送経路及び第2の搬送経路の少なくとも一方の媒体の搬送不良を解消する際に、第1の搬送経路及び第2の搬送経路の少なくとも一方を上面部よりも上方に引き出すことにより媒体の除去を簡便に行うことができる。
【0014】
また、上記記録システムにおいて、前記筐体は前記第1の後処理装置とともに前記記録装置を覆うことが好ましい。
上記構成によれば、第1の後処理装置の筐体と記録装置の筐体とを共通化することができる。
【0015】
また、上記記録システムにおいて、前記筐体は前記第1の後処理装置とともに前記第2の後処理装置を覆うことが好ましい。
上記構成によれば、第1の後処理装置の筐体と第2の後処理装置の筐体とを共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】記録装置を備える記録システムの一実施形態の外観を示す正面図。
【
図7】上面部が第1の位置状態のときの第1の後処理装置の斜視図。
【
図8】上面部が第2の位置状態のときの第1の後処理装置の斜視図。
【
図9】引出ユニットを引き出した状態における記録システムの一部を示す概略構造図。
【
図10】引出ユニットを引き出した状態において経路形成部が回動したときの記録システムの一部を示す概略構造図。
【
図11】第1の後処理装置内において媒体を搬送するときの第1の状態を示す図。
【
図12】第1の後処理装置内において媒体を搬送するときの第2の状態を示す図。
【
図13】第1の後処理装置内において媒体を搬送するときの第3の状態を示す図。
【
図14】第1の後処理装置内において媒体を搬送するときの第4の状態を示す図。
【
図15】第1の後処理装置内において媒体を搬送するときの第5の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、記録システムとしての印刷システムについて図を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、印刷システム1000は、媒体の一例である用紙Pに画像を記録する記録装置の一例であるプリンター100と、プリンター100により画像が記録された用紙Pに第1の後処理を行う第1の後処理装置200と、第1の後処理装置により第1の後処理が行われた用紙Pに対し、第2の後処理を行う第2の後処理装置300と、を含んで構成されている。印刷システム1000は、
図1における左右方向Xの右側から左側へ順に、プリンター100、第1の後処理装置200、第2の後処理装置300が並んで配置されることで構成されている。すなわち、本実施形態では、記録された用紙Pの搬送方向となる左右方向Xを並び方向として、プリンター100と第1の後処理装置200とが互いに隣接するとともに、第1の後処理装置200と第2の後処理装置300とが互いに隣接し、プリンター100と第2の後処理装置300との間に第1の後処理装置200が配置されている。
【0018】
プリンター100は、用紙Pに液体の一例としてのインクを付着させることで文字や写真などの画像を記録するインクジェット式プリンターであり、直方体状の記録装置側筐体101に収容されている。鉛直方向Zにおいて、記録装置側筐体101の上部には、プリンター100の各種の操作を行うための操作部102が取り付けられている。
【0019】
プリンター100には、鉛直方向Zにおいて、プリンター100の中央部から下部に亘って用紙カセット103が設けられている。本実施形態において、用紙カセット103は、鉛直方向Zに4つ並んで配置され、それぞれにプリンター100が記録を行う用紙Pを積層状態で収容している。そして、用紙カセット103における左右方向Xの中央部には、ユーザーが把持可能な把持部103aがそれぞれ形成されている。すなわち、用紙カセット103は、左右方向X及び鉛直方向Zの双方と交差する前後方向Yにおいて記録装置側筐体101に対して挿抜可能に構成されている。なお、それぞれの用紙カセット103に収容される用紙Pは、それぞれ異なる種別のものでもよいし、同じ種別のものであってもよい。
【0020】
鉛直方向Zにおいて、最上段の用紙カセット103と隣り合う位置には、前板カバー104が設けられている。前板カバー104は、用紙カセット103と隣り合う長辺を基端として回動可能に設けられ、基端とは反対側となる先端側がプリンター100から離間する開位置と、記録装置側筐体101の一部を構成する閉位置との2位置間で回動自在に構成されている。前板カバー104が開位置をとると、プリンター100内部の用紙Pの搬送経路120(
図2参照)の一部が露出する。このため、前板カバー104を開くことにより、搬送経路120において用紙Pの搬送不良が生じた際に、用紙Pを除去することができる。
【0021】
図2に示すように、プリンター100において、第1の後処理装置200が取り付けられる面であって左右方向Xにおいて左側の面である左側面には、記録装置側筐体101の側壁の一部を構成するとともに記録装置側筐体101から引き出し可能に設けられた引出面部106が設けられている。引出面部106において鉛直方向Zにおける上部には、ユーザーが手を掛けることが可能な手掛部107が形成されている。引出面部106が、左右方向Xにおいて左向きとなる引出方向に沿って記録装置側筐体101から引き出されると、これと連動し、後述する引出ユニット170が記録装置側筐体101から引き出される(
図9、
図10参照)。
【0022】
また、
図2に示すように、引出面部106において、手掛部107における鉛直方向Zの下側となる位置には、記録が行われた用紙Pが排出される排出口108が形成されている。排出口108は、第1の後処理装置200側に形成されている。このため、排出口108から排出された用紙は、第1の後処理装置200の第1の筐体201に向かって排出される。
【0023】
図1に示すように、並び方向である左右方向Xにおいて、プリンター100の左側に取り付けられる第1の後処理装置200は、第1の筐体201を備えている。第1の後処理装置200は、プリンター100により記録された用紙Pに対して第1の後処理を行う。本実施形態において第1の後処理は、用紙Pの乾燥である。第1の後処理装置200は、用紙Pに対して所定の期間以上に亘り搬送を行うことにより、用紙Pを乾燥させる。このため、用紙Pの搬送時間を稼ぐことで、記録部110による記録に起因して用紙Pに生じるカールの程度を抑えることができる。
【0024】
第1の筐体201は、上方の一部が開放された箱状の本体部201aと、本体部201aの上向き開口部に開閉自在に設けられた第1の板状部材201c及び第2の板状部材201dを含む上面部201bと、を有している。換言すれば、上面部201bは、本体部201aの上向き開口部を第1の板状部材201cが閉鎖する第1の位置状態において、少なくとも第1の後処理装置200の上方を覆う。こうした点で、本実施形態では、第1の筐体201が「少なくとも第1の後処理装置200の上方を覆う上面部201bを有する筐体」の一例に相当する。
【0025】
本体部201aは、プリンター100により記録された用紙Pが導入される導入部202と、導入部202よりも左右方向Xにおいて
図1の左側(搬送方向の下流側)に位置して第2の後処理装置300へ用紙Pを導出する導出部203とを含んで構成されている。導入部202は、左右方向Xにおいて、導出部203よりも大きくなるよう設けられ、また鉛直方向Zにおいては、導出部203よりも小さくなるよう設けられている。
【0026】
図2に示すように、プリンター100と左右方向Xに並んで配置される状態において、導入部202の高さは、鉛直方向Zにおいて、プリンター100が有する最上段の用紙カセット103の上部と、引出面部106の下部との間となるよう設けられ、導出部203の高さは、プリンター100と略同一となるよう設けられている。すなわち、導入部202は、左右方向Xで隣接するプリンター100に取り付けられた状態において、引出面部106の引出方向における移動と干渉しないように鉛直方向Zの高さが低くされている。
【0027】
また、上面部201bは、記録装置側筐体101に隣り合う部分に設けられる第1の板状部材201cと、第1の板状部材201cと隣り合いかつ第1の板状部材201cよりも記録装置側筐体101から離れた側(第1の板状部材201cの左隣)に設けられる第2の板状部材201dと、を備えている。上面部201bは、その一部である第1の板状部材201cの位置状態が本体部201aの上向き開口部を閉鎖する第1の位置状態から開口部を開放して第2の位置状態に切り替わることで、第1の後処理装置200の上方を露出可能に構成されている。具体的には、第1の板状部材201cは、本体部201aの前後方向Yの一端側にヒンジ等(図示略)を介して取り付けられている。このため、上面部201bは、
図6及び
図7に示すように、第1の板状部材201cが第1の筐体201(本体部201a)の上向き開口部を閉鎖して第1の後処理装置200の上方を覆う第1の位置状態と、
図8に示すように、上向き開口部を開放して第1の後処理装置200の上方を露出させる第2の位置状態と、を切り替えることができる。なお、第2の板状部材201dは、本体部201aに固定して設けられている。第1の板状部材201cは、第1の位置状態にあるときに、第2の板状部材201d側の左端部が第2の板状部材201dの右端部の上面に引っかかるように載置される。このため、第1の板状部材201cが第1の位置状態にあるとき、第1の板状部材201c及び第2の板状部材201dは左右方向Xに連続する。
【0028】
図1に示すように、上面部201bの板状部材は、第1の位置状態において左右方向X及び前後方向Yに沿う平面と略平行になるように本体部201aに取り付けられている。そして、第1の板状部材201cが第1の位置状態において上面部201bの上面は、排出口108よりも下方に位置する。このため、上面部201bの上面には、第2の排出経路152を通過した用紙Pが載置される。具体的には、排出口108から排出された用紙Pが上面部201bの上面に落下することにより、上面部201b上に積み重ねられていく。
【0029】
図1に示すように、導出部203は、第2の後処理装置300と隣接する部分において上面部201bよりも上方に突出した延長部203aをさらに備える。延長部203aは、プリンター100側の面であって、鉛直方向Zの下方側の部分に第2の後処理装置300側に凹んだ凹部203bを備えている。そして、上面部201bの一部は、凹部203bの内部に配置されている。より具体的には、上面部201bの第2の後処理装置300側の端部である第2の板状部材201dは、凹部203bの下端部に位置している。なお、上面部201bの本体部201aに対して可動な第1の板状部材201cは、凹部203bの外部に配置されている。このため、凹部203bの内壁は、第1の板状部材201cの位置状態が第1の位置状態から第2の位置状態に切り替えることを阻害しない。
【0030】
並び方向である左右方向Xにおいて、第1の後処理装置200の隣(
図1では左隣)に取り付けられる第2の後処理装置300は、直方体状の第2の筐体301に収容されている。第2の後処理装置300は、プリンター100により記録され、第1の後処理装置200により搬送された用紙Pに対して第2の後処理を行う。第2の後処理としては、例えば、裁断や紙折り、パンチ穴あけやステープル、ソートなどがある。そして、第2の後処理を行われた用紙Pは、第2の後処理装置300の左側面から左向きに延びる排紙部302に載置される。
【0031】
次に、プリンター100の構造について説明する。
図2に示すように、プリンター100が有する記録装置側筐体101内には、用紙Pに対して鉛直方向Zの上側から記録を行う記録部110と、用紙Pを搬送経路120に沿って搬送する搬送部130とが設けられている。搬送経路120は、前後方向Yに沿う方向を用紙Pの幅方向としたときに、この幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Pが搬送されるように形成されている。
【0032】
記録部110は、用紙Pの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を下部に備えている。記録部110は、記録ヘッド111から吐出されるインクが用紙Pにおいて記録ヘッド111と対向する記録面(画像を印刷される面)に付着されることで、用紙Pに画像を形成する。
【0033】
搬送部130は、搬送経路120に沿って配置されている複数の搬送ローラー対131と、記録部110の直下に設けられるベルト搬送部132とを有している。すなわち、ベルト搬送部132によって搬送されている用紙Pに対して、記録ヘッド111からインクが吐出され、記録が行われる。
【0034】
ベルト搬送部132は、記録ヘッド111よりも搬送方向上流側に配置されている駆動ローラー133と、記録ヘッド111よりも搬送方向下流側に配置されている従動ローラー134と、これらの各ローラー133、134に掛けられた無端状をなす環状のベルト135とを有している。駆動ローラー133が駆動回転することによりベルト135が周回し、その周回するベルト135によって用紙Pが下流側へ搬送される。すなわち、ベルト135の外周面が、記録が行われる用紙Pを支持する支持面として機能する。
【0035】
搬送経路120は、記録部110へ向けて用紙Pが搬送される供給経路140と、記録部110により記録が行われ、記録済とされた用紙Pが搬送される排出経路150と、排出経路150から分岐する分岐経路160とを有している。
【0036】
供給経路140は、第1の供給経路141と、第2の供給経路142と、第3の供給経路143とを有している。第1の供給経路141では、記録装置側筐体101の右側面に備えられたカバー141aを開けることによって露出する挿入口141bから挿入される用紙Pが記録部110へ搬送される。第1の供給経路141には第1駆動ローラー対144が設けられており、挿入口141bから挿入された用紙Pは、第1駆動ローラー対144の回転駆動によって記録部110へ向かって直線的に搬送される。
【0037】
第2の供給経路142では、鉛直方向Zにおいて、記録装置側筐体101の下部に備えられた用紙カセット103にそれぞれ収容された用紙Pが、記録部110へ搬送される。第2の供給経路142のうちの各用紙カセット103付近にはピックアップローラー142a及び分離ローラー対145が設けられている。用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Pは、最上位の用紙Pがピックアップローラー142aにより送り出され、分離ローラー対145で一枚ずつに分離された後、鉛直方向Zにおける姿勢が反転されながら、第2の供給経路142に設けられた第2駆動ローラー対146の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。
【0038】
第3の供給経路143では、用紙Pに対して両面に画像を記録する両面印刷を行う場合に、記録部110によって片面が記録済とされた用紙Pが、再び記録部110へ搬送される。すなわち、記録部110よりも搬送方向下流側には、排出経路150から分岐する分岐経路160が設けられている。両面印刷を行う際、用紙Pは、排出経路150の途中に設けられた分岐機構147の動作によって分岐経路160へ搬送される。また、分岐経路160には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐経路ローラー対161が分岐機構147よりも下流側に設けられている。
【0039】
両面印刷に際して、一面が印刷された用紙Pは、分岐機構147により一旦この分岐経路160へ案内され、正転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側に搬送される。その後、分岐経路160へ搬送された用紙Pは、逆転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側から上流側へ逆搬送される。
【0040】
分岐経路160から逆搬送される用紙Pは第3の供給経路143へ搬送され、複数の搬送ローラー対131によって記録部110へ向かって搬送される。第3の供給経路143は、記録部110を迂回して、記録部110よりも上流側において第1の供給経路141及び第2の供給経路142と合流する。このため、第3の供給経路143を搬送されることによって、用紙Pは印刷されていない他面が記録部110と対向するように反転され、第3駆動ローラー対148の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。すなわち、第3の供給経路143は、鉛直方向Zにおける用紙Pの姿勢を反転させながら搬送する反転搬送経路として機能する。
【0041】
各供給経路141、142、143のうち、第2の供給経路142及び第3の供給経路143は、鉛直方向Zにおいて用紙Pの姿勢が湾曲されながら記録部110へ向けて用紙Pが搬送される。その一方で、第1の供給経路141は、第2の供給経路142及び第3の供給経路143と比較して、用紙Pの姿勢が大きく湾曲されることなく記録部110へ向けて用紙Pが搬送される。
【0042】
各供給経路141、142、143を搬送される用紙Pは、記録部110よりも搬送方向の上流側に配設された整列ローラー対149まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対149にその先端が突き当たる。そして、用紙Pは、このような整列ローラー対149へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正(スキュー取り)される。そして傾きが補正された用紙Pは、その後の整列ローラー対149の回転駆動によって、整列状態となって記録部110へ搬送される。
【0043】
記録部110により片面又は両面に記録が行われ、記録が完了された用紙Pは、搬送ローラー対131により搬送経路120の下流部を構成する排出経路150に沿って搬送される。排出経路150は、分岐経路160と分岐する位置よりも下流となる位置で、第1の排出経路151、第2の排出経路152、及び、第3の排出経路153に分岐している。すなわち、記録が完了された用紙Pは、排出経路150の上流部を構成する共通排出経路154を搬送された後、共通排出経路154の下流端に設けられた案内機構180により、排出経路150の下流部を構成する第1~第3の各排出経路151、152、153のうち何れかの経路へ案内される。
【0044】
第1の排出経路151は、記録装置側筐体101の上方へ向かうとともに、分岐経路160に沿うように湾曲して延びて設けられている。第1の排出経路151を搬送される用紙Pは、第1の排出経路151の終端となるように記録装置側筐体101の一部に開口する排出口155から排出される。そして、排出口155から排出された用紙Pは、鉛直方向Z下側へ落下し、
図2において二点鎖線で示すように、積層された状態で載置台156に排紙される。なお、排出経路150の複数箇所に配置された搬送ローラー対131により、用紙Pは、排出口155から片面印刷時における記録面が鉛直方向Zにおいて下を向く姿勢にて載置台156に排紙される。
【0045】
載置台156は、左右方向Xにおける右方向に向かうにつれて、鉛直方向Z上側に上昇する先上がりの傾斜した形状を有し、この載置台156に用紙Pが積層状態で載置される。このとき、載置台156に載置された各用紙Pは、載置台156の傾斜に沿って左方向に移動し、記録装置側筐体101の排出口155の下側に設けられた縦側壁157に接近して載置される。
【0046】
また、第1の排出経路151は、記録部110により記録された用紙Pが排出口155まで搬送される間において、その用紙Pの表裏を反転させる湾曲反転経路151aを有している。すなわち、湾曲反転経路151aは、記録部110により記録された用紙Pの記録面を内側にして湾曲させるとともに、その用紙Pの記録面が鉛直方向Zにおいて鉛直方向Z上側に向く状態から鉛直方向Z下側に向く状態に用紙Pを反転させる。したがって、排出経路150では、用紙Pは、この湾曲反転経路151aを通ることによって片面印刷時における記録面が載置台156と対峙する状態となって排出口155から排出される。
【0047】
第2の排出経路152は、第1の排出経路151よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録部110から記録装置側筐体101の一部を形成する引出面部106に向かって直線的に延びている。そのため、第2の排出経路152を搬送される用紙Pは、第1の排出経路151のように湾曲した姿勢で搬送されず、その姿勢が記録部110を通過したときと同様に一定に保たれたまま直線的に搬送され、引出面部106に形成された排出口108から第1の筐体201の上面部201bに向かって排出される。すなわち、第2の排出経路152は、鉛直方向における用紙Pの姿勢を反転させることなく上面部201bへ向けて用紙Pを搬送する非反転排出経路として機能する。
【0048】
第3の排出経路153は、第2の排出経路152よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録装置側筐体101の下方へ向かうように、鉛直方向Zにおいて斜め下側に向かって延びている。そして、その下流端は、第1の後処理装置200が有する導入経路211の上流端と記録装置側筐体101内にて接続されている。すなわち、第3の排出経路153を搬送される用紙Pは、第1の後処理装置200へ搬送される。こうした点で、本実施形態では、第3の排出経路153が「プリンター100により画像が記録された用紙Pを第1の後処理装置200に搬送する第1の搬送経」の一例に相当する。また、第2の排出経路152が「第3の排出経路153から分岐し、第3の排出経路153の上方に位置する第2の搬送経路」の一例に相当する。
【0049】
排出経路150の一部及び分岐経路160の一部は、記録装置側筐体101に設けられた引出ユニット170に取り付けられている。この引出ユニット170は、引出面部106と一体的に取り扱い可能に接続されている。そのため、引出ユニット170は、引出面部106が引き出されることによって記録装置側筐体101から引き出され、記録装置側筐体101から露出する。
【0050】
引出ユニット170には、第1の排出経路151の湾曲した内側のガイド面の一部及び分岐経路160の湾曲した外側のガイド面の一部を構成する第1経路形成部171と、分岐経路160の湾曲した内側のガイド面の一部を構成する第2経路形成部172とが、引出ユニット170に設けられた軸173を中心に回動可能に取り付けられている。すなわち、引出ユニット170を引き出した状態において、各経路形成部171、172が軸173を中心として
図2における時計回り方向に回動することにより、分岐経路160及び第1の排出経路151の内部が露出される(
図9、
図10参照)。
【0051】
図3~
図5に示すように、案内機構180は、第1案内部181と第2案内部182とを有している。各案内部181、182は、共通排出経路154の下流端から第1~第3の各排出経路151、152、153に分岐する分岐位置190に設けられ、記録部110からの用紙Pの搬送方向となる左右方向Xにおいて、第1案内部181が上流側となる右側、第2案内部182が下流側となる左側に位置するように、ずれて配置されている。また、鉛直方向Zにおいても、第1案内部181が下側、第2案内部182が上側に位置するように、ずれて配置されている。
【0052】
また、各案内部181、182は、搬送方向となる左右方向Xにおいて下流側となる左側の部分である基端部183、184にそれぞれ軸185、186を有し、それぞれの軸185、186を中心に回動可能に設けられている。各案内部181、182は、それぞれが有する軸185、186を中心に回動することで、搬送方向となる左右方向Xにおいて上流側となる右側の部分であって、基端部183、184とは反対側となる先端部187、188の位置が鉛直方向Zにおいて上下に変位する。すなわち、各案内部181、182は、用紙Pの搬送方向において上流側に位置するそれぞれの先端部187、188が第1経路形成部171に接近する上位置と、第1経路形成部171から離間する下位置の2位置間で回動自在に設けられている。ちなみに、
図3に示すように、第1案内部181の先端部187は、第2案内部182の先端部188よりも、用紙Pの搬送方向において上流側に位置する。
【0053】
各案内部181、182は、それぞれ上位置又は下位置に選択的に切り替えられ、共通排出経路154を搬送される用紙Pに対して接触することで、用紙Pを第1~第3の各排出経路151、152、153の何れかへ案内する。ちなみに、各案内部181、182は、互いの回動動作を阻害しないように、例えば基端部183、184から先端部187、188にかけて櫛歯状に形成されることで、互いに干渉しないように構成されている。なお、各案内部181、182におけるこの回動動作は、プリンター100が備える図示しない制御部により制御される。
【0054】
図3は、第1案内部181の先端部187及び第2案内部182の先端部188の両方が下位置に位置するときの状態を示す。このとき、第1案内部181の先端部187は、第3の排出経路153の上流端を塞ぐように位置し、第2案内部182の先端部188は、第2の排出経路152の上流端を塞ぐように位置する。このため、
図3の状態において、案内機構180は、共通排出経路154を搬送される用紙Pを第1の排出経路151へ案内する。
【0055】
図4は、第1案内部181の先端部187が下位置で、第2案内部182の先端部188が上位置に位置するときの状態を示す。このとき、第1案内部181の先端部187は、第3の排出経路153の上流端を塞ぐように位置し、第2案内部182の先端部188は、第1の排出経路151の上流端を塞ぐように位置する。このため、
図4の状態において、案内機構180は、共通排出経路154を搬送される用紙Pを第2の排出経路152へ案内する。
【0056】
図5は、第1案内部181の先端部187及び第2案内部182の先端部188の両方が上位置に位置するときの状態を示す。このとき、第1案内部181の先端部187は、第1の排出経路151の上流端及び第2の排出経路152の上流端を塞ぐように位置し、第2案内部182の先端部188は、第1の排出経路151の上流端を塞ぐように位置する。このため、
図5の状態において、案内機構180は、共通排出経路154を搬送される用紙Pを第3の排出経路153へ案内する。
【0057】
次に、第1の後処理装置200について説明する。
図6に示すように、第1の後処理装置200が有する第1の筐体201内には、用紙Pを中間搬送経路210に沿って搬送する中間搬送部220が設けられている。中間搬送経路210は、前後方向Yに沿う方向である媒体の幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Pが湾曲しながら搬送されるように形成されている。中間搬送経路210は、用紙Pを第1の後処理装置200から第2の後処理装置300に搬送する。こうした点で、本実施形態では、中間搬送経路210が「第3の搬送経路」の一例に相当する。
【0058】
第1の後処理装置200は、所定の搬送速度で搬送される用紙Pが第1の後処理装置200を通過するのに要する時間が用紙Pの乾燥に必要な時間となるように中間搬送経路210の経路長が設定されている。本実施形態では、中間搬送経路210において用紙Pを反転して搬送するスイッチバックを行うことにより、用紙Pの乾燥に必要な経路長を確保している。また、本実施形態では、中間搬送経路210を蛇行させることで経路長を長くしている。
【0059】
中間搬送部220は、中間搬送経路210に沿って設けられた複数の中間搬送ローラー対221を有している。すなわち、中間搬送ローラー対221が、用紙Pを表裏両側から挟み込んで支持した状態で回転駆動することにより、用紙Pは中間搬送経路210に沿って搬送される。中間搬送ローラー対221は、用紙Pに付着したインクが移り難いように、外周に凹凸が形成されていることが好ましい。
【0060】
中間搬送経路210は、その上流端に、プリンター100が有する第3の排出経路153の下流端と接続され、第1の筐体201内に用紙Pを導入する導入経路211を有している。導入経路211は、導入部202において鉛直方向Zの上方位置に設けられ、搬送方向において上流側となる記録装置側筐体101内から下流側となる第1の筐体201内に向かって鉛直方向Zと交差する斜め下向きにまっすぐ延びている。すなわち、導入経路211は、記録装置側筐体101の左側面を構成する側壁の一部及び第1の筐体201の右側面を構成する側壁の一部を貫通するように設けられている。また、導入経路211のうち第1の筐体201内に位置する下流部には、導入経路211を搬送される用紙Pを検出するセンサー222が設けられている。
【0061】
斜め下向きに延びた導入経路211の下流端には、第1の分岐経路212の上流端と第2の分岐経路213の上流端とがそれぞれ接続されている。第1の分岐経路212は、導入経路211の下流端から左向きに分岐し、途中で上方に膨らむように湾曲して延びている。第2の分岐経路213は、導入経路211の下流端から更に下向きかつ右方に湾曲するように分岐し、その後は蛇行するように下方へ延びている。すなわち、中間搬送経路210は、導入経路211の下流端である分岐点Aから第1の分岐経路212及び第2の分岐経路213に分岐する。そして、導入経路211を搬送される用紙Pは、分岐点Aに設けられた案内フラップ223の動作によって、第1の分岐経路212及び第2の分岐経路213の何れかへ案内される。なお、この案内フラップ223は、センサー222が用紙Pを検出した際に送信する信号に基づいて駆動し、導入経路211を搬送される用紙Pを第1の分岐経路212へ案内する位置と、第2の分岐経路213へ案内する位置との間で位置が切り替えられる。なお、第1の分岐経路212と第2の分岐経路213の搬送方向における経路長は、互いに略同一の長さとなることが好ましい。
【0062】
図6に示すように、第1の分岐経路212の下流端には、第1のスイッチバック経路214の上流端が接続されている。第1のスイッチバック経路214は、その途中から左右方向Xにおいて左向きにやや湾曲した後、下向きに延びている。すなわち、第1のスイッチバック経路214の下流端は、第1のスイッチバック経路214において最も下方に位置している。また、搬送方向における第1のスイッチバック経路214の経路長は、プリンター100が記録可能な用紙Pの搬送方向における媒体長以上に構成されている。
【0063】
第1のスイッチバック経路214において、湾曲箇所よりも下流となる下流部は、左右方向Xにおいて右向きにやや湾曲して搬送される用紙Pを鉛直方向Z下側から支持するガイド214aで構成されている。そして、第1のスイッチバック経路214において、湾曲箇所よりも上流となる上流部には、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙Pを検出するセンサー224が1つと、正転方向及び逆転方向に回転可能な第1反転ローラー対225が2対設けられている。2対設けられた第1反転ローラー対225は、センサー224が用紙Pを検出した際に送信する信号に基づいて、正転駆動又は逆転駆動を行う。すなわち、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙Pは、第1反転ローラー対225によって用紙Pの搬送される向きが反転されたうえで搬送(スイッチバック)される。
【0064】
また、第1の分岐経路212の下流端には、第1の分岐経路212から第1のスイッチバック経路214への用紙Pの移動を許容する一方、第1のスイッチバック経路214から第1の分岐経路212への用紙Pの移動を規制する第1規制フラップ226が設けられている。第1規制フラップ226は、図示しない付勢部材による付勢力によって第1の分岐経路212の下流端を塞ぐように付勢されている。
【0065】
一方、第2の分岐経路213の下流端には、第2のスイッチバック経路215の上流端が接続されている。第2のスイッチバック経路215は、鉛直方向Zにおいて下向きに延びるように設けられている。第2のスイッチバック経路215において、湾曲箇所を含む上流部の下流端は、第1の筐体201の右内側面に向かって開放されている。この下流端と対向する位置には、第1の筐体201の右内側面から第1の筐体201の底面215aに亘って湾曲して延びるガイド部215bが設けられている。すなわち、第2のスイッチバック経路215を用紙Pが搬送されると、用紙Pの先端は、その開放された下流端から突出し、突出した用紙Pの先端はガイド部215bにより案内され、第1の筐体201の底面215aへと第1のスイッチバック経路214の下流端の下方へ潜り込むように導かれる。
【0066】
つまり、第2のスイッチバック経路215は、ガイド部215bと第1の筐体201の底面215aとを含んで構成されている。また、搬送方向における第2のスイッチバック経路215の経路長は、第1のスイッチバック経路214の場合と同様に、プリンター100が記録可能な用紙Pの搬送方向における媒体長以上となるように構成されている。もちろん、ガイド部215b及び第1の筐体201の底面215aから構成される第2のスイッチバック経路215の下流部は、上流部と同様の構成であってもよいし、ガイド部215bのみで構成されていてもよい。
【0067】
そして、第2のスイッチバック経路215の上流部において、湾曲箇所よりも上流となる位置には、第2のスイッチバック経路215を搬送される用紙Pを検出するセンサー227が1つと、正転方向及び逆転方向に回転可能な第2反転ローラー対228が1対設けられている。また、第2反転ローラー対228は、第2のスイッチバック経路215の上流部において、湾曲箇所よりも下流となる位置にもう1対設けられている。2対設けられた第2反転ローラー対228は、センサー227から送信される信号に基づいて、正転駆動又は逆転駆動を行う。すなわち、第2のスイッチバック経路215を搬送される用紙Pは、第2反転ローラー対228によって用紙Pの搬送される向きが反転されたうえで搬送(スイッチバック)される。
【0068】
また、第2の分岐経路213の下流端には、第2の分岐経路213から第2のスイッチバック経路215への用紙Pの移動を許容する一方、第2のスイッチバック経路215から第2の分岐経路213への用紙Pの移動を規制する第2規制フラップ229が設けられている。第2規制フラップ229は、図示しない付勢部材による付勢力によって第2の分岐経路213の下流端を塞ぐように付勢されている。
【0069】
第1のスイッチバック経路214の上流端には、第1の合流経路216の上流端が接続されている。すなわち、第1の分岐経路212の下流端と第1のスイッチバック経路214の上流端とが接続される第1接続点Bから第1の合流経路216が左右方向Xにおいて右方向へ湾曲しながら下向きに延びている。また、第2のスイッチバック経路215の上流端には、第2の合流経路217の上流端が接続されている。すなわち、第2の分岐経路213の下流端と第2のスイッチバック経路215の上流端とが接続される第2接続点Cから第2の合流経路217が左右方向Xにおいて左方向へ湾曲しながら延びている。そして、第1のスイッチバック経路214と第2のスイッチバック経路215との間に位置する合流点Dにて第1の合流経路216及び第2の合流経路217が合流している。
【0070】
つまり、第1の分岐経路212から第1のスイッチバック経路214へ用紙Pが搬送される際には、用紙Pの先端が接触することで第1規制フラップ226が第1の分岐経路212の下流端を開くように変位される。一方、第1のスイッチバック経路214から用紙Pが反転搬送(スイッチバック)される際には、第1規制フラップ226により第1の分岐経路212へ搬送されることが規制され、用紙Pは第1の合流経路216へ案内される。また、第2の分岐経路213から第2のスイッチバック経路215へ用紙Pが搬送される際には、用紙Pの先端が接触することで第2規制フラップ229が第2の分岐経路213の下流端を開くように変位される。一方、第2のスイッチバック経路215から用紙Pが反転搬送(スイッチバック)される際には、第2規制フラップ229により第2の分岐経路213へ搬送されることが規制され、用紙Pは第2の合流経路217へ案内される。なお、第1の合流経路216と第2の合流経路217の経路長は互いに略同一の長さとなることが好ましい。
【0071】
そして、第1の合流経路216の下流端と第2の合流経路217の下流端とが接続される合流点Dには、導出経路218の上流端が接続されている。導出経路218は、第2の後処理装置300へ向けて第1のスイッチバック経路214と第2のスイッチバック経路215の間を通過するように湾曲しながら下向きに延びた後、第1のスイッチバック経路214の下流端の下側を回り込むように迂回して、導出部203の上部へと延びている。導出経路218の下流端は、第1の筐体201における左側の側壁の一部を貫通し、第2の後処理装置300に向けて延びる。導出経路218に設けられる中間搬送ローラー対221であって、第1のスイッチバック経路214と対向する中間搬送ローラー対221は、第1のスイッチバック経路214側にカバー221aが設けられている。これにより、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙Pが導出経路218の中間搬送ローラー対221に接触することが抑制される。
【0072】
導出経路218は、延長部203aの内部に配置され、第2の後処理装置300と連結される連結経路219を含む。連結経路219は、凹部203bよりも上方においてプリンター100側に湾曲する第1の部分219aと、第1の部分219aよりも下流かつ上方において第2の後処理装置300側に湾曲する第2の部分219bと、を備える。第2の部分219bの下流端は、第2の後処理装置300内の搬送経路(図示略)に接続されている。上面部201bの一部は、第1の部分219aの下方に位置している。
【0073】
このように、中間搬送経路210は、導入経路211、第1の分岐経路212、第2の分岐経路213、第1のスイッチバック経路214、第2のスイッチバック経路215、第1の合流経路216、第2の合流経路217及び導出経路218を有している。また、各点A、B、C、Dの位置関係は、鉛直方向Zにおいて上から「A、B、D、C」の順に配置され、左右方向Xにおいて右から「C、A、D、B」の順に配置されている。
【0074】
次に、印刷システム1000における用紙Pの搬送不良を解消する際の作業方法について説明する。
図2に示すプリンター100のように、用紙Pのようなシート状の媒体に記録を行い、搬送する記録装置においては、用紙Pが経路に沿って搬送される途中で紙詰まりなどの搬送不良を生じてしまうことがある。特に、インクなどの液体を媒体に吐出することで記録を行う記録装置においては、用紙Pの記録面が膨張し、記録面を凸形状とするカールが発生し易くなるため、記録部110よりも下流側にて搬送不良が生じ易い。そこで、本実施形態のプリンター100は、そうした搬送途中で紙詰まりなどした用紙Pを取り出しやすくするために、中間搬送経路210の一部を開放可能な構成としている。また、排出経路150の一部及び分岐経路160の一部を記録装置側筐体101から引き出し可能な構成としている。
【0075】
図7及び
図8に示すように、第1の位置状態(
図7参照)の上面部201bを前後方向Yの一端側において本体部201aに対して回動することにより、上面部201bが第2の位置状態(
図8参照)に切り替えられる。第2の位置状態において上面部201bは、第1の筐体201の上向き開口部を開放することができる。このため、第1の筐体201の内部の第1の後処理装置200、詳しくは中間搬送経路210が露出する。このため、中間搬送経路210内の用紙Pを取り除くことができる。
【0076】
図9に示すように、排出経路150及び分岐経路160にて用紙Pの紙詰まりが生じた際には、ユーザーが引出面部106に形成された手掛部107に手を掛けて、用紙Pの搬送方向となる左右方向Xにおいて左方向である引出方向に沿って引出面部106を引き出す。引出面部106が引出方向に沿って引き出されると、引出面部106とともに引出ユニット170が記録装置側筐体101から引き出される。すなわち、排出経路150を構成する湾曲反転経路151a、第2の排出経路152、第3の排出経路153及び分岐経路160の一部が引き出される。さらに、共通排出経路154の下流端である分岐位置190に設けられた案内機構180も記録装置側筐体101外へ引き出される。
【0077】
このとき、プリンター100の左側に取り付けられた第1の後処理装置200の上方を覆う上面部201bの高さは、引出面部106の下部よりも低くなるよう形成されているため、上面部201bは引出ユニット170が引き出される際に引出面部106及び引出ユニット170と干渉しない。換言すれば、プリンター100は、第2の排出経路152及び第3の排出経路153を第1の後処理装置200の上面部201bよりも上方に引き出し可能に構成されている。また、導入部202は、その左右方向Xにおける長さが、引出ユニット170が左右方向Xに移動する領域(移動領域)、つまり引出ユニット170が記録装置側筐体101から引き出される長さよりも長くなるよう形成されている。そのため、導入部202よりも高くなるよう形成されている導出部203は、引出ユニット170が引き出される際に引出面部106及び引出ユニット170と干渉しない。換言すれば、第1の後処理装置200は、引出ユニット170が記録装置側筐体101から引き出される際の移動領域を避けるように形成されている。なお、仮に、引出ユニット170を用紙Pの搬送方向と交差する方向に引き出し可能な構成とすると、引出ユニット170を引き出す際に、紙詰まりの生じた用紙Pが経路内で千切れてしまう虞があるため、引出ユニット170は用紙Pの搬送方向に沿う方向に引き出し可能な構成であることが好ましい。
【0078】
図10に示すように、引出ユニット170を記録装置側筐体101から引き出した後、引出ユニット170に取り付けられた第1経路形成部171及び第2経路形成部172を、軸173を中心に時計回り方向に回動させる。そうすると、第1の排出経路151を構成する湾曲反転経路151aの内側のガイド面が外側のガイド面から離間し、また分岐経路160の外側のガイド面と内側のガイド面とが離間する。湾曲反転経路151a及び分岐経路160の外側のガイド面と内側のガイド面とがそれぞれ離間することで、経路内が開放され、経路内で紙詰まりを起こした用紙Pを取り出し可能な状態となる。また、引出ユニット170を引き出す際に、引出ユニット170にではなく記録装置側筐体101に用紙Pが残る場合がある。この場合には、前板カバー104(
図1参照)を開くことにより、開口部105bが露出する。このため、開口部105bを介して用紙Pを引き抜き、搬送不良を解消する。
【0079】
次に、第1の後処理装置200により行われる第1の後処理について説明する。
さて、プリンター100が有する記録部110により記録が行われた用紙Pに第2の後処理を行う場合、その用紙Pは、第1の排出経路151を介して載置台156上に排紙されることなく、第1の後処理装置200を介して第2の後処理装置300へ搬送される。すなわち、記録済とされた用紙Pは、分岐機構147により共通排出経路154から第3の排出経路153へ案内され、記録装置側筐体101内にて導入経路211に導入される。
【0080】
図11に示すように、第1の筐体201内へ導入される1枚目の用紙P1は、導入経路211に沿って下流側へ搬送される。そして、導入経路211の下流端に設けられた案内フラップ223が、第2の分岐経路213の上流端を塞ぐように位置することで、用紙P1は第1の分岐経路212へ案内される。続いて、用紙P1が導入経路211を通り過ぎると、導入経路211へ2枚目の用紙P2が導入される。
【0081】
図12に示すように、第1の分岐経路212を搬送される用紙P1は、正転駆動する第1反転ローラー対225により第1のスイッチバック経路214へと搬送される。一方、導入経路211を搬送される用紙P2は、案内フラップ223が第1の分岐経路212の上流端を塞ぐように位置することで、第2の分岐経路213へ案内される。第2の分岐経路213へ搬送される用紙P2は、正転駆動する第2反転ローラー対228により第2のスイッチバック経路215へ搬送される。続いて、用紙P2が導入経路211を通り過ぎると、導入経路211へ3枚目の用紙P3が導入される。
【0082】
図13に示すように、第1のスイッチバック経路214を下流側に搬送され、第1のスイッチバック経路214内に収められた用紙P1は、逆転駆動する第1反転ローラー対225により、第1のスイッチバック経路214の下流側から上流側へ向かって搬送され、第1の合流経路216を通って、導出経路218へと搬送される。一方、第2のスイッチバック経路215を搬送される用紙P2は、その先端が、第2のスイッチバック経路215の開放された下流端から突出し、ガイド部215bに沿って第1の筐体201の底面215aまで導かれる。なお、第2のスイッチバック経路215を搬送される用紙Pの搬送方向における媒体長によっては、第1の筐体201の底面215aまで導かれないこともある。また、導入経路211を搬送される用紙P3は、案内フラップ223により第1の分岐経路212へ案内される。続いて、用紙P3が導入経路211を通り過ぎると、導入経路へ4枚目の用紙P4が導入される。
【0083】
図14に示すように、第2のスイッチバック経路215内に収められた用紙P2は、逆転駆動する第2反転ローラー対228により、第2のスイッチバック経路215の下流側から上流側へ向かって搬送され、第2の合流経路217を通って、導出経路218へと搬送される。一方、第1の分岐経路212を搬送される用紙P3は第1のスイッチバック経路214へ搬送される。
【0084】
図15に示すように、第1のスイッチバック経路214を搬送される用紙P3は、第1反転ローラー対225により第1の合流経路216を通って導出経路218へと搬送される。一方、導入経路211を搬送される用紙P4は、案内フラップ223により、第2の分岐経路213へ案内され、第2のスイッチバック経路215へ搬送される。
【0085】
すなわち、導入経路211を次々と搬送される各用紙P1、P2、P3、P4は、案内フラップ223によって第1の分岐経路212、第2の分岐経路213へ交互に案内される。例えば、1枚目の用紙P1が第2の分岐経路213へ案内される場合には、2枚目の用紙P2は、第1の分岐経路212へ搬送されることとなる。
【0086】
このようにして、プリンター100にて記録が行われた用紙Pは、第1の後処理装置200によってその姿勢を反転され、片面印刷時における記録面が鉛直方向Z下側を向いた状態で第2の後処理装置300へと搬送される。また、その際に、用紙Pにカールが生じた状態で第2の後処理装置300へ搬送されることは好ましくないため、第1の筐体201内において中間搬送経路210は、湾曲し、蛇行するように延びる経路形状とすることで用紙Pの搬送方向における経路長を確保している。
【0087】
ここで、記録部110が有する記録ヘッド111にインクが付着されることで生じる用紙Pのカールは、時間の経過とともに徐々に収まっていくことが知られている。そのため、第1の後処理装置200は、中間搬送経路210の経路長を確保することで、用紙Pに生じるカールの程度が所定以下となるまでに要する時間を、用紙Pが中間搬送経路210を搬送されるために要する時間として確保している。その後、用紙Pは、第2の後処理装置300にて、裁断やステープルなどの第2の後処理が行われる。
【0088】
特にラインヘッド型の記録ヘッド111により用紙Pに高速印字をして高速搬送をするものであるから、用紙Pは十分に乾燥されることなく搬送される可能性がある。すなわちカールが十分に収まらない状態で第2の後処理装置300へと搬送されてしまい、後処理を正しくできない虞がある。しかしながら、乾燥時間を確保するために中間搬送経路210における搬送速度を落としてしまうと、記録時には高速で搬送された用紙が中間搬送経路210にて先行する用紙と衝突することのないように用紙間距離をとることになってしまうため全体的なスループットが落ちてしまう。特に先行する用紙が後処理を行っている最中に後続の用紙が先行する用紙と衝突する可能性がある。
【0089】
そこで、第1の後処理装置200においては、上述した第1のスイッチバック経路214及び第2のスイッチバック経路215といった複数のスイッチバック経路を設けることにより、第1の後処理装置200内の大型化を抑制しつつ中間搬送経路210の経路長を確保して乾燥時間を設けることができる。また、用紙の記録時においても用紙間距離を不必要に広げずに済み、スループットを低下させないことと、を両立することが可能である。また、上記した通り、湾曲し、蛇行するように延びる経路形状を中間搬送経路210に用いることで、より一層、乾燥時間を稼ぐこともできる。
【0090】
次に、印刷システム1000の上面部201bの作用について説明する。
図2に示すように、プリンター100において、用紙Pに記録を行う際には、用紙カセット103に収容される用紙P又は挿入口141bから挿入される用紙Pの何れかに記録を行う。このとき、用紙カセット103に収容できない媒体、特に厚紙のような剛性の大きな媒体に記録を行うとすると、厚紙は挿入口141bから挿入され、第1の供給経路141を通って記録部110へ搬送される。厚紙のような媒体は、剛性が大きいことから湾曲させ難いため、湾曲の程度が大きな搬送経路120を搬送されると紙詰まりなどの搬送不良を引き起こしてしまうことがある。そのため、第1の供給経路141は、第2の供給経路142と比較して湾曲の程度が小さく、記録部110へ向かって真っ直ぐ延びる直線的な経路となっている。
【0091】
記録部110により記録を行われた厚紙は、排出経路150を構成する第1の排出経路151、第2の排出経路152及び第3の排出経路153の何れかへ搬送されることとなる。ここで、記録済とされた厚紙を、載置台156に載置しようとすると、第1の排出経路151を搬送されることとなる。しかし、第1の排出経路151は、大きく湾曲した湾曲反転経路151aを有しているため、厚紙が搬送されると、搬送不良が生じる虞がある。また、第3の排出経路153から第1の後処理装置200を介して第2の後処理装置300が有する排紙部302へ厚紙を載置しようとすると、第1の後処理装置200に湾曲の程度が小さな経路を設ける必要が生じるため、第1の後処理装置200が有する中間搬送経路210の設計の自由度を低下させてしまう虞がある。
【0092】
そこで、本実施形態のプリンター100は、共通排出経路154に沿って真っ直ぐ延びるように形成された第2の排出経路152が設けられている。すなわち、第2の供給経路142から記録部110を通過して共通排出経路154及び第2の排出経路152を搬送される厚紙は、挿入口141bに挿入される際に鉛直方向Z上側となる一面が常に上側を向いた状態で搬送される。そして、記録面となる一面が上側を向いたまま、排出口108から排出される。
【0093】
第3の排出経路153から排出された用紙Pは、第3の排出経路153よりも下方に位置する上面部201bの上に向かって排出される。用紙Pは、排出口108から排出されたときの付勢によって凹部203bのプリンター100側の面に突き当たり、上面部201b上に落下する。すなわち、上面部201bは排紙トレイとして機能する。このため、第1の筐体201とは別体の排紙トレイを排出口108の付近に設ける場合と比較して、印刷システム1000の小型化に貢献できる。なお、プリンター100の第3の排出経路153から排出される用紙Pに付与する付勢力は、小さいサイズの用紙Pが凹部203bに突き当たる程度であることが好ましい。
【0094】
また、例えば排出口108の付近に筐体201とは別体の排紙トレイが設けられている場合、引出ユニット170を引き出す際に、排紙トレイを取り外した後に引出ユニット170が引き出すことになり、操作が煩雑になる。これに対し、本実施形態では、上面部201bが排紙トレイとして機能するため、引出ユニット170の引き出し操作を簡便にすることができる。
【0095】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)印刷システム1000は、第1の筐体201の上面部201bが用紙Pを積載する排紙トレイとして機能するため、排紙トレイをプリンター100の側方から突出させる構成と比較して、印刷システム1000の小型化に貢献できる。
【0096】
(2)印刷システム1000は、凹部203bの内部に上面部201bの一部である第2の板状部材201dが配置されるため、凹部203bが形成されない場合と比較して上面部201bの面積を大きくすることができる。このため、大きなサイズの用紙Pであっても上面部201bに適切に積載することができる。
【0097】
また、凹部203b及び凹部203bの内部に配置される第2の板状部材201dを設けず、単純に第1の板状部材201cを大きくすることにより大きなサイズの用紙Pに対応する場合と比較して、第1の後処理装置200の左右方向Xの大型化を抑制できる。
【0098】
(3)例えば、連結経路219が下方から上方に延びた後に水平方向に屈曲して第2の後処理装置300に向かう場合、屈曲角度が略直角となり、曲率が大きくなる。そして、経路の曲率が大きいほど、連結経路219において用紙Pの搬送不良が生じやすくなる。本実施形態では、延長部203aの内部に配置される連結経路219がプリンター100側に湾曲しているため、連結経路219の曲率を小さくすることができる。このため、用紙Pの搬送不良が生じ難くなる。また、連結経路219を湾曲させることにより、中間搬送経路210の全長を長くすることができるため、用紙Pの乾燥が不十分な状態で第2の後処理装置300に搬送される虞を低減できる。
【0099】
また、連結経路219のうちの第1の部分219aよりも上流側の部分は第2の後処理装置300側に寄せられているため、凹部203bを大きく形成することができる。このため、第1の後処理装置200の左右方向Xの大型化を抑制できる。
【0100】
(4)印刷システム1000は、上面部201bの位置状態を切り替えて第1の後処理装置200の上方を露出させることができるため、第1の後処理装置200の内部の用紙Pの搬送不良を解消する際に、第1の後処理装置200の内部から搬送不良の用紙Pの除去を簡便に行うことができる。
【0101】
(5)印刷システム1000は、第2の排出経路152及び第3の排出経路153の用紙Pの搬送不良を解消する際に、第2の排出経路152及び第3の排出経路153を上面部201bの上方に引き出すことにより用紙Pの除去を簡便に行うことができる。
【0102】
(6)印刷システム1000は、用紙Pを排出口108から排出されたときの付勢によって凹部203bのプリンター100側の面に突き当たらせることができる。このため、用紙Pの端部が揃いやすくなるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0103】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、
図6の破線で示す箇所に、ユーザーが手を差し入れ可能な開口部230が形成されていてもよい。この構成によれば、第1の後処理装置200内で紙詰まりなどの搬送不良が生じた際には、第1の後処理装置200の外観を構成する開閉カバーを開け、中間搬送経路210を形成する側壁に設けられた開口部230から手を差し入れて紙詰まりを生じた用紙Pを引き出すことにより搬送不良を解消することができる。
【0104】
・上記実施形態において、印刷システム1000は、第1の筐体201内に、プリンター100が設けられる構成であってもよい。つまり、第1の筐体201は記録装置側筐体101と一体化され、第1の筐体201が第1の後処理装置200とともにプリンター100を覆う。このため、第1の後処理装置200の筐体とプリンター100の筐体とを共通化することができる。この場合、プリンター100と第1の後処理装置200とが一体化された構成であってもよい。
【0105】
・上記実施形態において、印刷システム1000は、第1の筐体201内に、第2の後処理装置300が設けられる構成であってもよい。つまり、第1の筐体201は第2の筐体301と一体化され、第1の筐体201が第1の後処理装置200とともに第2の後処理装置300を覆う。このため、第1の後処理装置200の筐体と第2の後処理装置300の筐体とを共通化することができる。この場合、第1の後処理装置200と第2の後処理装置300が一体化された構成であってもよい。
【0106】
・上記実施形態において、印刷システム1000は、第1の筐体201内に、第1の後処理装置200及び第2の後処理装置300が設けられる構成であってもよい。つまり、第1の筐体201は記録装置側筐体101及び第2の筐体301と一体化され、第1の筐体201が第1の後処理装置200とともにプリンター100及び第2の後処理装置300を覆う。この場合、プリンター100、第1の後処理装置200、及び、第2の後処理装置300が一体化された構成であってもよい。
【0107】
・上記実施形態において、第1の後処理装置200を構成する導出部203は、鉛直方向Zにおいて導入部202よりも高くなるよう形成される構成に限らない。例えば、
図16に示すように、導入部202と略同一となる高さや、導入部202よりも低くなるよう形成される構成であってもよい。導出部203が鉛直方向Zにおいて導入部202と導入部202と略同一となる高さとなる場合は、第1の筐体201の上方の全体を上面部201bが覆う構成にすることができる。
【0108】
・上記実施形態において、第2の後処理装置300は、第1の後処理装置200から搬送される用紙Pに対して、第2の筐体301内にて後処理を行わずに、そのまま排紙部302に載置する構成であってもよい。
【0109】
・上記実施形態において、案内機構180は、プリンター100が備える図示しない制御部により制御される構成に限らない。例えば、記録装置側筐体101に案内機構180を動作させるレバーを設けて、案内機構180を構成する第1案内部181と第2案内部182の上位置と下位置とを手動により切り替える構成であってもよい。
【0110】
・上記実施形態において、第2の排出経路152は、共通排出経路154に沿って更に真っ直ぐ延びる構成に限らない。例えば、鉛直方向Zにおいて、やや上向きに傾斜して延びる構成や、下向きに傾斜して延びる構成であってよいし、やや湾曲して延びる構成であってもよい。
【0111】
・上記実施形態において、第3の排出経路153は、共通排出経路154から下方に延びる構成に限らない。例えば、鉛直方向Zにおいて、真っ直ぐに延びる構成や、上向きに傾斜して延びる構成であってよいし、やや湾曲して延びる構成であってもよい。
【0112】
・上記実施形態において、導入経路211は、第1の筐体201の側面を貫通して延びる構成に限らない。例えば、上面を貫通して延びる構成であってもよい。この場合、上面部201bのうちの導入経路211が貫通する部分よりも第2の後処理装置300側の部分に用紙Pが積載される。
【0113】
・上記実施形態において、上面部201bを第1の板状部材201cが第1の位置状態において上面が傾斜するように形成することもできる。例えば、プリンター100から第2の後処理装置300に向うにつれて、下方から上方に傾斜する構成にすることもできる。また、例えば、プリンター100から第2の後処理装置300に向うにつれて、上方から下方に傾斜する構成にすることもできる。また、上面部201bの上面を中間部分において屈曲させることもできる。
【0114】
・上記実施形態において、第1の後処理装置200の導出部203における延長部203aに凹部203bを設けない構成であってもよい。すなわち、第2の板状部材201dを省略し、本体部201aの上向き開口部を閉鎖する第1の板状部材201cだけで第1の後処理装置200の上方を覆う上面部201bを構成してもよい。あるいは、本体部201aの上向き開口部を凹部203b内にまで至る大きさに形成し、そのような上向き開口部に対して上面部201b全体を構成する第1の板状部材201cを着脱自在としてもよい。
【0115】
・上記実施形態において、第1の板状部材201cを本体部201aに着脱可能に取り付けることもできる。この場合、第1の板状部材201cを本体部201aに取り付けることにより第1の位置状態が形成され、第1の板状部材201cを本体部201aから取り外すことにより第2の位置状態が形成される。要するに、第1の後処理装置200の上方を露出させられる構成であれば、第1の板状部材201cはいずれの構成を採用することもできる。
【0116】
・上記実施形態において、第1の板状部材201cを本体部201aに固定して本体部201aに設けることもできる。この場合、上面部201bと本体部201aとを一体的に形成することもできる。
【0117】
・上記実施形態において、第2の板状部材201dを本体部201aに対して可動(例えば、ヒンジを用いて回動可能)に本体部201aに取り付けることもできる。また、第2の板状部材201dを本体部201aに着脱可能に取り付けることもできる。
【0118】
・上記実施形態において、プリンター100は、分岐経路160と第1の排出経路151とが、一つの経路で共用される構成であってもよい。
・上記実施形態において、第3の供給経路143は、鉛直方向Zにおいて記録部110の下側を通るように延びる構成であってもよい。
【0119】
・上記実施形態において、中間搬送経路210の構成は適宜変更することができる。上記実施形態の中間搬送経路210は、用紙Pを反転して搬送するスイッチバックを行うこと、及び、中間搬送経路210を蛇行させることにより用紙Pの乾燥に必要な経路長を確保しているが、これに加えて用紙Pの搬送を停止したり、搬送速度を遅くしたりして乾燥時間を確保することもできる。また、用紙Pを反転して搬送するスイッチバックを行うこと、中間搬送経路210を蛇行させること、用紙Pの搬送を停止すること、及び、用紙Pの搬送速度を遅くすることの少なくとも1つを選択することにより、用紙Pの乾燥に必要な時間を稼ぐこともできる。要するに、用紙Pが乾燥するように所定の搬送時間を稼げる構成であれば、いずれの構成に変更することもできる。
【0120】
・上記実施形態において、連結経路219をプリンター100側に湾曲させないこともできる。この場合、連結経路219は、例えば延長部203a内において上流側の部分が鉛直方向Zに真っ直ぐに延びる形状を有し、延長部203aの上端部において下流側の部分が第2の後処理装置300に向かって湾曲する。
【0121】
・上記実施形態において、記録部110が用紙Pに記録を行う際は、ベルト搬送部132が有するベルト135の外周面を支持面として用紙Pを支持する構成に限らず、例えば支持台を設け、その支持台の鉛直方向Z上側となる面を支持面として用紙Pを支持する構成であってもよい。
【0122】
・上記実施形態において、用紙Pを搬送経路120に沿って搬送する搬送部130は、搬送ローラー対131に限らず、例えば、コンベヤで構成されていてもよい。
・上記実施形態において、記録部110が有する記録ヘッド111は、ラインヘッド型に限らず、用紙Pの搬送方向と交差する幅方向に沿って移動可能なシリアルヘッド型であってもよい。
【0123】
・上記実施形態において、記録装置は、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を)噴射したり吐出したりして記録を行う流体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う液状体噴射装置であってもよい。また、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
【符号の説明】
【0124】
100…プリンター(記録装置)、101…記録装置側筐体、102…操作部、103…用紙カセット、103a…把持部、104…前板カバー、152…第2の排出経路(第2の搬送経路)、153…第3の排出経路(第1の搬送経路)、200…第1の後処理装置、201…第1の筐体(筐体)、201a…本体部、201b…上面部、201c…第1の板状部材、201d…第2の板状部材、202…導入部、203…導出部、203a…延長部、203b…凹部、219…連結経路(第3の搬送経路)、219a…第1の部分、219b…第2の部分、300…第2の後処理装置、301…第2の筐体、302…排紙部、1000…印刷システム(記録システム)。