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特許7397812隔離される洗浄バッファーに関する再使用のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】隔離される洗浄バッファーに関する再使用のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20231206BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01N1/00 101L
G01N35/08 C
G01N1/00 101N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020572946
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 IB2019058384
(87)【国際公開番号】W WO2020070666
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】62/741,812
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2021970
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー・コックス-ムラナミ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・オリビア・フォリー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・ケント・ドルーズ
(72)【発明者】
【氏名】ケイ・クローシング
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー・ヒッチコック
(72)【発明者】
【氏名】ポール・サンジョルジ
(72)【発明者】
【氏名】シー-チン・リン
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221214(JP,A)
【文献】特表2017-522546(JP,A)
【文献】特表2014-510281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0000417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
35/00-37/00
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1試薬流体(122)のアリコートを流体デバイス(102)内に移動させる工程(2010)、
(b)前記工程(a)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス(102)内に移動させる工程(2015)、
(c)前記工程(b)の後、該工程(b)で移動させた流体バッファー(123)の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー(113)内へと移動させる工程(2020)、
(d)前記工程(c)の後、第2試薬流体(124)のアリコートを流体デバイス(102)内に移動させる工程(2025)、
(e)前記工程(d)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス(102)内に移動させる工程(2030)、
(f)前記工程(e)の後、該工程(e)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー(115)内へと移動させる工程(2035)、
(g)前記工程(f)の後、第1試薬流体(122)のアリコートを流体デバイス(102)内に移動させる工程(2040)、
(h)前記工程(g)の後、流体デバイス(102)内に流体バッファーの体積を移動させる工程(2045)
を含んで成り、
工程(h)で移動させる流体バッファーの体積の少なくとも一部は第1流体バッファー・リザーバー(113)から移動される、方法。
【請求項2】
(i)前記工程(h)の後、第2試薬流体(124)のアリコートを流体デバイス(102)内に移動させる工程(2050)、および
(j)前記工程(i)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス(102)内に移動させる工程(2055)、
を更に含んで成り、
工程(j)で移動させる流体バッファーの体積の少なくとも一部は第2流体バッファー・リザーバー(115)から移動される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(k)前記工程(h)の後で前記工程(i)の前において、該工程(h)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー(113)内に戻すように移動させる工程、ならびに
(l)前記工程(j)の後、該工程(j)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー(115)内に戻すように移動させる工程
を更に含んで成る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(b)は、第1流体バッファー・リザーバー(113)から流体デバイス(102)内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバー(111)から流体デバイス(102)内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成り、
前記工程(e)は、第2流体バッファー・リザーバー(115)から流体デバイス(102)内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバー(111)から流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成る、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(b)において、第1流体バッファー・リザーバー(113)から移動される流体バッファーの体積は、共通流体バッファー・リザーバー(111)から移動される流体バッファーに実質的に等しい、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(b)は、第1流体バッファー・リザーバー(113)から流体デバイス(102)内に流体バッファーの体積を移動させることを含んで成り、
前記工程(e)は、第2流体バッファー・リザーバー(115)から流体デバイス(102)内に流体バッファーの体積を移動させることを含んで成る、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記工程(c)で第1流体バッファー・リザーバー(113)へと移動させる流体バッファーの体積部分は、前記工程(b)で移動させる流体バッファーの体積の約30%~70%である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記工程(h)において、第1流体バッファー・リザーバー(113)から移動される流体バッファーの体積部分は、流体デバイス(102)内に移動される流体バッファーの体積の約30%~70%である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(d)において、第2試薬流体(124)のアリコートは、流体デバイス(102)にて第1試薬流体(12)のアリコートと混ぜられない、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
流体デバイス(102);
フロー制御バルブ(104);
フロー制御バルブ(104)によって流体デバイス(102)に流体接続可能な第1試薬流体リザーバー(112);
フロー制御バルブ(104)によって流体デバイス(102)に流体接続可能な第1流体バッファー・リザーバー(113);
フロー制御バルブ(104)によって流体デバイス(102)に流体接続可能な共通流体バッファー・リザーバー(111);ならびに
流体デバイス(102)、第1試薬流体リザーバー(112)、共通流体バッファー・リザーバー(111)、および第1流体バッファー・リザーバー(113)と操作可能に関連するポンプ(106)
を有して成り、
フロー制御バルブ(104)およびポンプ(106)は、
(i)第1試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、
(ii)共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフロー、
(iii)流体デバイスから第1流体バッファー・リザーバーへのフロー、
(iv)第1試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、ならびに
(v)第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフロー
を逐次的にもたらすように構成されている、システム。
【請求項11】
フロー制御バルブ(104)によって流体デバイス(102)に流体接続可能な第2試薬流体リザーバー(114);および
フロー制御バルブ(104)によって流体デバイス(102)に流体接続可能な第2流体バッファー・リザーバー(115)
を更に有して成り、
フロー制御バルブ(104)およびポンプ(106)は、前記(i)~(iii)の後であって前記(iv)~(v)の前に、
(vi)第2試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、
(vii)第2流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフロー、
(viii)共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフロー、および
(ix)流体デバイスから第2流体バッファー・リザーバーへのフロー
をもたらすように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第1流体バッファー・リザーバー(113)がキャッシュ・チャネルを有して成り、該キャッシュ・チャネルがその長さを横断する一定の断面寸法を有する、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
第1流体バッファー・リザーバー(113)がチャネルによって流体デバイス(102)に流体接続され、流体バッファー・リザーバーがキャッシュ・リザーバーを有して成り、該キャッシュ・リザーバーがチャネルの断面寸法よりも大きい断面寸法を有する、請求項10、11または12に記載のシステム。
【請求項14】
ポンプがシリンジ・ポンプであり、該シリンジ・ポンプが流体デバイス(102)と第1試薬流体リザーバー(112)、共通流体バッファー・リザーバー(111)または第1流体バッファー・リザーバー(113)のいずれか1つとの間で圧力差を生じさせ、流体フローを引き起こす、請求項10~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
フロー制御バルブ(104)がロータリー・バルブである、請求項10~14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
フロー制御バルブ(104)と電気的に通じているコントローラー(140)であって、シーケンスを行うべくフロー制御バルブ(104)の操作を制御するコマンドを伝えるためのコントローラー(140)を更に有して成る、請求項10~15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
第1流体バッファー・リザーバーは、流体デバイスによって保持される流体の体積の少なくとも30%となる流体の第1体積を保持する、請求項10~16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
コンピュータ読込み可能な媒体であって、自動化システムのコンピュータ・コントローラーによって実行されるに際して、
(a)第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる処理(2010)、
(b)前記(a)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる処理(2015)、
(c)前記(b)の処理後、該(b)の処理で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバーへと移動させる処理(2020)、
(d)前記(c)の処理後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる処理(2025)、
(e)前記(d)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる処理(2030)、
(f)前記(e)の処理後、該(e)の処理で移動させた流体バッファーの少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバーへと移動させる処理(2035)、
(g)前記(f)の処理後、第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる処理(2040)、および
(h)前記(g)の処理後、流体デバイス内に流体バッファーを移動させる処理であって、該(h)の処理で移動させる流体バッファーの体積の少なくとも一部は第1流体バッファー・リザーバーから移動させる処理(2045)、
といったシステム処理をシステムが行うようにさせるコンピュータ実行可能なインストラクションでエンコードされた、コンピュータ読込み可能な媒体。
【請求項19】
(i)前記(h)の処理後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させること(2050)、および
(j)前記(i)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させること
を更に含み、前記(j)の処理で移動される流体バッファーの体積の少なくとも一部は第2流体バッファー・リザーバーから移動されること(2055)
を含んで成る、請求項18に記載のコンピュータ読込み可能な媒体。
【請求項20】
前記(b)の処理は、第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成り、
前記(e)の処理は、第2流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成る、請求項18または19に記載のコンピュータ読込み可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
臨床的または分子的なプロセスのための種々のアッセイ・プロトコルは、1又はそれによりも多い試薬ストレージ要素に保持される様々な種類の試薬流体を試薬デスティネーションへと運び、混合、処理、検出などの1又はそれよりも多い流体操作を行う。典型的には、各流体操作の後、先行した流体操作から残存する未使用の試薬分子をフラッシュすべく流体デバイスを介して流体バッファー溶液を導入し、それによって、次の流体操作で使用される試薬流体が残存試薬分子により汚染されていないことを確実ならしめる。各流体操作の後で十分な量の流体バッファーが流体デバイスのフラッシュに供することになるように、システム(特に流体カートリッジ)が大体積の流体バッファーを典型的には収容する。しかしながら、大体積の流体バッファーは、サイズ減を追求するにつれ流体カートリッジが空間利用性の点で制限されるので厄介となり得る。さらに、大体積の流体バッファーの収容は、種々の流体操作を行うコストを増加させる。
【発明の概要】
【0002】
以下は、本明細書で説明される幾つかの要旨の基本的な理解を供すべく簡略化されたサマリーを提示する。かかるサマリーは、クレーム主題に関して広範な概要ではない。クレーム主題のかなめとなる要素またはクリティカルな要素を特定するものでもなく、その範囲を境界付けるものでもない。サマリーの唯一の目的は、以降に示されるより詳細な説明の前書きとして簡易化した形のある概念を提示することである。
【0003】
本開示の要旨は、(a)第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる工程、(b)前記工程(a)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる工程、(c)前記工程(b)の後、該工程(b)で移動させた流体バッファーの体積少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバーへと移動させる工程、(d)前記工程(c)の後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる工程、(e)前記工程(d)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる工程、(f)前記工程(e)の後、該工程(e)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバーへと移動させる工程、を含んで成る方法を包含する。
【0004】
本開示の要旨は、流体デバイス;フロー制御バルブ(または流れ制御バルブ、flow control valve);フロー制御バルブにより流体デバイスに流体接続可能な(または流体連通可能に接続できる、fluidly connectable)第1試薬流体リザーバー;フロー制御バルブにより流体デバイスに流体接続可能な第1流体バッファー・リザーバー;フロー制御バルブにより流体デバイスに流体接続可能な共通流体バッファー源を有して成るシステムを包含する。幾つかの例では、フロー制御バルブは、(i)第1試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、(ii)共通流体バッファー源から流体デバイスへのフロー、(iii)流体デバイスから第1流体バッファー・リザーバーへのフロー、(iv)第1試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、および、(v)第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフローを含むフローを許容する。
【0005】
本開示の要旨は、コンピュータ実行可能なインストラクションでエンコードされた(またはコード化された、符号化もしくは記号化された, encoded)コンピュータ読込み可能な媒体であって、自動化システムのコンピュータ・コントローラーによって実行される場合、該自動化システムが、(a)第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させること、(b)前記(a)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させること、(c)前記(b)の処理後、該(b)の処理で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバーへと移動させること、(d)前記(c)の処理後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させること、(e)前記(d)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる、(f)前記(e)の処理後、該(e)の処理で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバーへと移動させる、といったシステム処理を実行させるコンピュータ読込み可能な媒体を包含する。
【0006】
本開示の主題の他の特徴および特性は、操作の方法、構造の関連する要素ならびにパーツの組合せの機能、ならびに、製造の経済性などとしてのリザーバーとして、添付の図面を参照して以下の説明および特許請求の範囲(これらはすべて、本明細書の一部を成しており、同様の参照番号は種々の図面において対応の部分を示している)を考慮してより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、明細書の一部を成すものであるが、本開示の主題の種々の例を例示している。図面においては、同様の参照番号は、同一または機能的に似ている要素を示している。
図1図1は、流体デバイスを通じて2つ又はそれよりも多い試薬流体および流体バッファーを隔離および再使用するための例示的なシステムの模式図である。
図2図2は、第1試薬操作を行うシステムの模式図である。
図3図3は、第1試薬リバースを行うシステムの模式図である。
図4図4は、第1洗浄操作の第1工程を行うシステムの模式図である。
図5図5は、第1洗浄操作の第2工程を行うシステムの模式図である。
図6図6は、第1バッファー・リバースを行うシステムの模式図である。
図7図7は、第2試薬操作を行うシステムの模式図である。
図8図8は、第2試薬リバースを行うシステムの模式図である。
図9図9は、第2洗浄操作の第1工程を行うシステムの模式図である。
図10図10は、第2洗浄操作の第2工程を行うシステムの模式図である。
図11図11は、第2バッファー・リバースを行うシステムの模式図である。
図12図12は、第3試薬操作を行うシステムの模式図である。
図13図13は、第3試薬リバースを行うシステムの模式図である。
図14図14は、第3洗浄操作の第1工程を行うシステムの模式図である。
図15図15は、第3洗浄操作の第2工程を行うシステムの模式図である。
図16図16は、第3バッファー・リバースを行うシステムの模式図である。
図17図17は、第4試薬操作を行うシステムの模式図である。
図18図18は、第4試薬リバースを行うシステムの模式図である。
図19図19は、第4洗浄操作を行うシステムの模式図である。
図20図20は、流体デバイスを通じて2つ又はそれよりも多い試薬流体および流体バッファーを隔離および再使用するための例示的な方法のフロー・チャートである。
図21図21は、処理インストールメントに組み込まれた流体カートリッジを有して成るシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の主題の要旨は、種々の形態で具現化され得るものであり、以下の説明および図面は、主題の具体的な例として幾つかのこれら形態を単に開示することを意図している。したがって、本開示の主題は、説明や例示される形態または例にのみ限定されることを意図していない。
【0009】
別段で特定しない限り、本明細書で用いられる技術、表記および他の技術用語もしくは語法などのすべての用語は、本開示が属する当業者にとって共通的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0010】
別段の提示または文脈で別段示唆がない限り、本明細書で使用される「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1もしくはそれよりも多い」といったことを意味している。
【0011】
本明細書は、要素、装置、位置、特徴またはその一部に関するポジションおよび/または向きを表す点で相対的な空間及び/または方向の用語を使用し得る。具体的に述べない限り、または、明細書の文脈によって別段示さない限り、そのような用語(例えば例示すると、トップ、ボトム、上、より下方、下、トップ上に、上方、下方、左、右、前、後ろ、隣り、隣り合った、間、水平、垂直、対角状、長手、横断、半径、軸などの用語)は、かかる要素、装置、位置、特徴またはその一部に関して図面などで便宜的に使用されるものであって、発明を制限することを意図していない。
【0012】
さらに、別段で説明しない限り、本明細書で述べる具体的な寸法または次元は、本開示の要旨を具現化するデバイスの例示的実施の単なる代表であって、発明を制限することを意図していない。
【0013】
「約(about)」といった用語は、明示的に示しているか否かに拘わらず、本明細書で特定されている全ての数値に対して適用される。かかる用語は、一般的に、本開示の文脈で当業者が記載の数値に対して合理的なズレ量として考慮するであろう数値の範囲(すなわち、等しい機能または等しい結果を有する数値範囲)を指している。非制限なものであるが、例えば、数値に関する最終的な機能または結果を変えないのであれば、かかる用語は、与えられた数値の±10パーセントのズレを含むものとして解すことができる。それゆえ、当業者に理解されるであろうある環境下において、約1%の値は、0.9%~1.1%の範囲であると解すことができる。
【0014】
本明細書で使用される「隣り合う(adjacent)」といった用語は、近いまたは隣接していることを指している。隣り合う対象物は、互いに離隔していてよく、あるいは、互いに実際に接している若しくは直接的に接しているものであってよい。幾つかの例では、隣り合う対象物は、互いに結合しているものであってよく、あるいは、互いに一体的に形成されているものであってもよい。
【0015】
本明細書で使用される「実質的に(substantially)」および「実質的な(substantial)」といった用語は、相当な度合いまたは程度であることを指している。例えば事象、環境、特性または性質に関連して用いられる場合、かかる用語は、本明細書に記載の例に関する典型的な誤差レベルもしくはバリエーションの説明など近似的に生じる場合などとしてリザーバーとして事象、環境、特性または性質が正確に生じる場合などを指している。
【0016】
本明細書で使用される「オプション的な(optional)」および「オプションとして(optionally)」といった用語は、次に説明されるコンポ―ネント・部品・成分、構造、要素、事象、環境、特性、性質などが含まれたり生じたりしてよいことを意味しており、あるいは、そのようなものが含まれていなくても生じたりしなくてもよいことを意味している。そのような用語は、コンポ―ネント・部品・成分、構造、要素、事象、環境、特性、性質などが含まれるまたは生じる例、および、そのようなものが含まれない又は生じない例を本明細書が含むことを意味している。
【0017】
本明細書で使用される「試薬(reagent)」といった用語は、分子アッセイ(molecular assay)で沈降するいずれの物質またはその組合せ(かかるアッセイのサンプル材料およびプロダクト以外)を指している。例示的な試薬としては、ヌクレオチド、酵素、増幅オリゴマー、プローブ、および塩などが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される「バッファー(buffer)」といった用語は、固体状の(例えば凍結乾燥させた)物質(例えば、試薬、サンプルまたはそれらの組合せ)を溶解させるように作用する、または液体(例えば、液体試薬、液体サンプル、それらの組合せ、または、試薬、サンプルもしくはそれらの組合せの溶液)を希釈する希釈材として作用する、制御されたpHを有する溶液を指している。
【0019】
種々の例に従えば、本明細書で説明されるアッセンブリおよびデバイスは、1つ又はそれよりも多い要素(例えば、1つ又はそれよりも多い、チャネル、分岐チャネル、バルブ、フロー・スプリッター、ベント、ポート、アクセス領域、ビア、ビーズ、試薬含有ビーズ、カバー層、反応要素・成分、およびそれらの組合せ)ならびにそれらの同等物を含む1つ又はそれよりも多い処理路を有して成り得る流体カートリッジと組み合わせて使用され得る。いずれの要素であっても、別の要素と流体連通した状態となっていてよい。
【0020】
本明細書または特許請求の範囲に記載の要素またはコンポーネント・部品・成分のあらゆる可能性のある組合せは、本開示の部分または一部であると考えられ、そして見なされる。より詳細に説明される上述の概念および付加的な概念のあらゆる組み合わせは、(互いに矛盾しない限り)本明細書における発明的な主題の部分または一部と考えられることを理解されるべきである。特に、本開示の最後に掲載するクレーム主題のあらゆる組合せは、本明細書における発明的な主題の部分または一部と考えられる。
【0021】
特許請求の範囲において、「含む(including)」といった用語は、それぞれ「含んで成る/有して成る(comprising)」といった平易な英語と等価なものとして用いられる。「含んで成る/有して成る(comprising)」および「含む(including)」といった用語は、オープンエンド(open-ended)な用語であり、記載の要素を含むだけでなく、付加的な要素をも更に包含することを本明細書で意図されている。さらに、特許請求の範囲における「第1(first)」、「第2(second)」および「第3(third)」などといった用語は、単なるラベルとして用いているにすぎず、対象物に数値的・順番的な要件を課すことを意図していない。
【0022】
「流体連通(fluid communication)」といった用語は、例えば2つの領域が、それらを接続する流体処理路(阻害されていない流体処理路)を介して互いに流体的に通じた状態となっていることにより直接的に流体が通じることになっているか、あるいは、例えばバルブなどを有し得る流体処理路を介して2つの領域が互いに接続された際に流体が通じることできること(例えば、溶解可能なバルブの溶解、破壊可能なバルブの破壊、別の方法として流体処理路のバルブを開口させることなどによって、バルブを作動させた際に2つの領域間で流体連通が得られること)を意味している。
【0023】
流体システム
流体デバイスを介したフラッシュ(または流し操作、 flush)後に流体バッファーを再使用することは、流体シーケンス・プロセス(fluid sequence process)に必要とされる流体バッファー量を伴うが、使用される流体バッファーは活性試薬の残渣(もしくや残留分)を典型的には含んでいる。なぜなら、シーケンス処理は、流体ハンドリング品に指示を与えて流体デバイスを介するように活性試薬を導入した直後に流体デバイス内に流体バッファーを導入するからである。結果的に、使用済の流体バッファーをシーケンス処理の他の流体操作と混合させることは、流体デバイスへの流体バッファー供給をさらに汚染し得、および/または、再使用される流体バッファーから先行の流体操作の残存の試薬を不利に導入することにより流体操作の完全性について妥協し得る。
【0024】
したがって、シーケンス・プロセスにおいて流体バッファーの隔離および再使用の双方を可能とし、それによって、コンタミを回避して、流体カートリッジによる貯留に必要な流体バッファーの体積を減じて、流体シーケンス・プロセスを行うといった改善された流体システムおよび方法についてニーズがある。
【0025】
種々の例に従えば、システムが、新しい未使用の流体バッファーを保持する1つの共通の流体バッファー・リザーバー、流体デバイスを介した各々の異なる試薬のフラッシュに使用された流体バッファーを保持することに特化した少なくとも1つの専用の流体バッファー・リザーバーを有して成ることによって、当該システムは、流体デバイスを通るように方向付けられる試薬流体および流体バッファーを隔離および再使用するように構成されている。システムは、共通の流体バッファー・リザーバーおよび少なくとも1つの専用の流体バッファー・リザーバーと操作可能に関連するフロー制御バルブを更に有して成っていてもよく、洗浄操作の間にて共通の流体バッファー・リザーバーおよび少なくとも1つの専用の流体バッファー・リザーバーのいずれか一方を流体デバイスへと選択的に流体接続するようになっていてよい。したがって、1つ又はそれよりも多い専用の流体バッファー・リザーバーの使用を通じて流体バッファーを隔離および再使用することによって、システムは、流体プロセスで使用される流体バッファーの体積を最小限化させ、例えば、クリーブ処理、スキャベンジャー処理、組み込み処理、および1又はそれよりも多い洗浄操作によって課されるスキャン処理を含んだシーケンシング-バイ-合成(SBS)操作などの流体シーケンス操作などにおいて使用される流体バッファーの体積を最小限化させる。
【0026】
図1図19は、2またはそれよりも多い流体操作の間の試薬流体および流体バッファーを隔離(またはセクエスターする、隔絶もしくは分離する、sequester)および再使用するための例示的なシステム100を示している。幾つかの例において、システム100は、流体デバイス102、入口チャネル103、フロー制御バルブ104、出口チャネル105、ポンプ106、流体リザーバー110のセット、接続チャネル130のセットを有して成る。幾つかの例では、システム100は、流体デバイス102、フロー制御バルブ104、ポンプ106、および流体リザーバー110のセットなどのシステム100の種々の要素をサポート(または支持)する流体カートリッジ(図示せず)の部分または一部である。なお、システム100の1またはそれよりも多い要素は共通の流体カートリッジまたは他の支持構造体上にサポートされていなくてもよい。
【0027】
図1に示されるように、流体デバイス102(例えば、フロー・セル)は、入口チャネル103によってフロー制御バルブ104に流体接続(流体連通可能に接続、fluidly connect)されている。1つの例では、流体デバイス102は、流体的に操作(またはマニプレート)できオプション的に検出できる1またはそれよりも多いチャネル(図示せず)を規定する一体的に固体された第1ガラス層(図示せず)と第2ガラス層(図示せず)とを有して成るフロー・セルである。種々の例では、流体デバイス102は、流体入口107、流体出口108を含んでいてよく、1またはそれよりも多い流体チャネル(図示せず)は流体入口と流体出口とを流体接続しており、化学的アッセイもしくは生化学的アッセイまたは他の処理(プロセス)もしくは反応などの流体処理を行うことができるようになっている。種々の例では、1またはそれよりも多い流体チャネル内で流体処理を受けるように、流体デバイス102は、種々のタイプの流体(例えば、試薬、バッファー、反応媒体)を流体入口107を導入できるように構成されている。種々の例では、流体デバイス102は、種々のタイプの流体が流体出口108を介して1またはそれよりも多い流体チャネルからフラッシュして出される(または流出させる、流し出すもしくは洗い出される、flush out)ように更に構成されている。
【0028】
図1~19で示される例では、入口チャネル103によって、流体デバイス102の流体入口107がフロー制御バルブ104に流体接続されており、出口チャネル105によって、流体デバイス102の流体出口108がポンプ106に流体接続されている。他の例(図示せず)では、システム100は、2つ又はそれよりも多いチャネルを含んでいてよく、それによって、流体デバイス102がフロー制御バルブ104および2つ又はそれよりも多いチャネルと流体接続され、流体デバイス102がポンプ106に流体接続されている。
【0029】
幾つかの例では、流体リザーバー110のセットは、2つ又はそれよりも多い試薬流体リザーバー112、114、116および/または118を有して成る。図1に示される例では、2つ又はそれよりも多い試薬流体リザーバーは、第1試薬流体リザーバー112、第2試薬流体リザーバー114、第3試薬流体リザーバー116、および、第4試薬流体リザーバー118を含んでいる。なお、本開示では試薬流体リザーバーの数についてはいずれの数であってもよい。流体リザーバー110のセットの異なる試薬流体リザーバー112、114、116および/または118は、同じサイズまたは種々の異なるサイズ(例えば、同じ体積または異なる体積)を有していてよい。例えば、それら試薬流体リザーバーの各々に貯められることになる試薬の必要な貯留体積に応じて、試薬流体リザーバー112、114、116および118の全てが同じ体積を有していてよく、試薬流体リザーバー112、114、116および118の全てが異なる体積を有していてよく、あるいは、試薬流体リザーバー112、114、116および/または118のサブセットが同じ体積を有していたり、試薬流体リザーバー112、114、116および/または118のサブセットが異なる体積を有していてよい。
【0030】
幾つかの例では、第1試薬流体リザーバー112は、溶媒、および、第1試薬操作(例えば、クリーブ(または開裂もしくは切断、cleave))を対象とする第1試薬を含んで成る第1試薬流体122を保持する。幾つかの例では、第2試薬流体リザーバー114は、溶媒、および、第2試薬操作(例えば、スキャン(scan))を対象とする第2試薬を含んで成る第2試薬流体124を保持する。幾つかの例では、第3試薬流体リザーバー116は、溶媒、および、第3試薬操作(例えば、組込みまたは組合せ(または合体、incorporation))を対象とする第3試薬を含んで成る第3試薬流体126を保持する。幾つかの例では、第4試薬流体リザーバー18は、溶媒、および、第4試薬操作(例えば、スキャベンジャー(scavenger))を対象とする第4試薬を含んで成る第4試薬流体128を保持する。
【0031】
幾つかの例では、流体リザーバー110のセットは、2つ又はそれよりも多い流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117を有して成る。図1で示される例では、2つ又はそれよりも多い流体バッファー・リザーバーは、共通の流体バッファー・リザーバー111および少なくとも1つの専用の流体バッファー・リザーバー113、115および/または117を含んでおり、その各々は試薬流体122、124、126および/または128のうちの1つに関連している。図1~19で示される例では、少なくとも1つの専用の流体バッファー・リザーバーは、第1流体バッファー・リザーバー113、第2流体バッファー・リザーバー115および/または第3流体バッファー・リザーバー117を有して成る。なお、本開示では専用の流体バッファー・リザーバーの数についてはいずれの数であってもよい。流体リザーバー110のセットの異なる流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117は、同じサイズまたは種々の異なるサイズ(例えば、同じ体積または異なる体積)を有していてよい。例えば、それら試薬流体リザーバーの各々に貯められることになる試薬の必要な貯留体積に応じて、流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117の全てが同じ体積を有していてよく、流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117の全てが異なる体積を有していてよく、あるいは、流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117のサブセットが同じ体積を有していたり、流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117のサブセットが異なる体積を有していてよい。
【0032】
幾つかの例では、専用の流体バッファー・リザーバー113、115および/または117の各々は、流体デバイス102によって保持される流体の体積の少なくとも30%となる体積の流体を保持する。幾つかの例では、専用の流体バッファー・リザーバー113、115および/または117の各々は、キャッシュ・チャネル(cache channel)であって、その長さを横断する一定の断面寸法を有するキャッシュ・チャネル(又はその長さを横断する断面寸法が一貫した又は一定となったキャッシュ・チャネル)である。幾つかの例では、専用の流体バッファー・リザーバー113、115および/または117の各々は、キャッシュ・ウェル(cache well)であって、その関連する接続チャネル130の断面寸法よりも大きい断面寸法を有するキャッシュ・ウェルである。幾つかの例では、キャッシュ・ウェルは、いずれのシャープなエッジまたは種々のトポグラフィーな特徴を含んでおらず、リザーバーに流体が押されて入ったり出たりする際にキャッシュ・ウェルがバブルをため込まないようにバブル核生成を最小限にするような構成を有している。
【0033】
図1~19で示される例では、共通流体バッファー・リザーバー111は、流体デバイス102を介してフラッシュされていない共通流体バッファー121(例えば、塩水およびソープを含む洗浄溶液)を保持する。種々の例では、専用流体バッファー・リザーバー113、115および/または117の各々は、例えば試薬流体122、124および/または126のいずれか1つを用いて流体デバイス102で行われた試薬操作後において流体デバイス102を介してフラッシュされた隔離された流体バッファー(または隔離の流体バッファー、sequestered fluid buffer)を保持する。なお、初期においては、いずれの試薬操作が生じる前に専用の流体バッファー・リザーバー113、115および/または117が未使用の流体バッファーを保持し得る。
【0034】
図6で示される例では、第1流体バッファー・リザーバー113は、第1試薬流体122が第1試薬操作の間で流体デバイス102を通るように方向付けられた後で流体デバイス102を介してフラッシュされた使用済の流体バッファー502の混合物を含む第1流体バッファー123を保持する。図11で示される例では、第2流体バッファー・リザーバー115は、第2試薬流体124が第2試薬操作の間で流体デバイス102を通るように方向付けられた後で流体デバイス102を介してフラッシュされた使用済の流体バッファー1102の混合物を含む第2流体バッファー125を保持する。図16で示される例では、第3流体バッファー・リザーバー117は、第3試薬流体126が第4試薬操作の間で流体デバイス102を通るように方向付けられた後で流体デバイス102を介してフラッシュされた使用済の流体バッファー1602の混合物を含む第3流体バッファー127を保持する。
【0035】
幾つかの例では、システムは、試薬ごとの専用の流体バッファー・リザーバーを含んでいなくてよい。例えば、図1~20で示されるシステムおよびプロセスは、第4試薬流体128と関連する専用の流体バッファー・リザーバーを含んでいないが、他の例のシステムおよびプロセスは、試薬流体ごとに関連する専用の流体バッファー・リザーバーを含んでいてよい。
【0036】
図1~19で示される例において、接続チャネル130のセットは、関連する流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118からフロー制御バルブ104へと延在する個別の接続チャネル131を有して成り、フロー制御バルブ104が流体リザーバー110のセットの各流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118へと流体接続される。他の例(図示せず)では、接続チャネル130のセットは、個々の流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118をフロー制御バルブ104に流体接続するために、2つ又はそれよりも多いチャネルを含んでいてよく、例えばフロント接続チャネル(図示される個々の接続チャネル131など)およびリア接続チャネル(図示せず)などを含んでいてよく、フロント接続チャネルと反対側となる個々の流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118のリア(または後方側)へと使用済みの流体バッファーをリサイクルすることができる。
【0037】
フロー制御バルブ104は、接続リザーバー110のセットの流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118の1つを入口チャネル103と選択的に流体接続するように、従って、流体デバイス102と選択的に流体接続するように構成またはアレンジ(または配置)されている。種々の例では、フロー制御バルブ104は、個々の流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118のための接続チャネル131の1つに選択的に接続するためのロータリー・バルブを有して成る。
【0038】
図1~19で示される例において、フロー制御バルブ104は、ロータリー・ボディ150およびバルブ・セレクター・チャネル(valve selector channel)152を有して成るロータリー・バルブである。幾つかの例では、ロータリー・ボディ150は、複数の角度位置(angular position)間において回転するように構成されており、バルブ・セレクター・チャネル152が、流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118のいずれか1つを、各流体リザーバーの個々の入口ポートを介してバルブ出口ポートに流体接続してよい。選択された流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118のための入口ポートの1つとバルブ・セレクター・チャネル152が整合するようにロータリー・ボディ150がある角度位置にまで回転すると、選択された流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118からバルブ・セレクター・チャネル152を介してバルブ出口ポートへと流体が流れるようになっていてよい。
【0039】
他の例(図示せず)では、フロー制御バルブ104は、流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118の1つを入口チャネル103へと選択的に流体接続する他のいずれのタイプのバルブを含んでいてもよい。他の例(図示せず)では、フロー制御バルブ104は、複数のピンチ・バルブまたはソレノイド・バルブおよびマニホールドなどのバルブ・アレイを含んでいてよく、それによって、流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118の1つを入口チャネル103へと選択的に流体接続させる。
【0040】
種々の例では、出口チャネル105に流体接続されるポンプ106は、接続リザーバー110の第1セットの流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118の1つと出口チャネル105との間に圧力差を与えるように構成されており、接続チャネル130のセットの個々の接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103,流体デバイス102および出口チャネル105に沿って2方向に流体が流れることを促す。ポンプ106は、シリンジ・ポンプを有して成っていてよく、シリンジに操作可能に関連するアクチュエーター(図示せず)を備えていてよい。種々の例では、負の差圧が生じるように第1方向にシリンジのプランジャーを動かし、流体デバイス102を通るように流体をシリンジのバルブに向かって(可能性としてはシリンジのバルブ内へと)引き込む。アクチュエーターは、正の差圧が生じるように第1方向とは反対の第2方向にプランジャーを動かし、流体をシリンジから(可能性としてはシリンジから出るように)接続リザーバー110のセットの選択された流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118に向かって移送させるように更に構成されている。したがって、正の差圧が生じるように第2方向の移動によって、ポンプ106は、流体デバイス102または出口チャネル105に保持される流体を入口チャネル103、フロー制御バルブ104、選択される接続チャネル131を通して、選択された流体リザーバー111、112、113、114、115、116、117または118の1つ内へと移動させるように構成されている。
【0041】
他の例(図示せず)において、ポンプ106は、流れ方向を逆にできる他のいずれの差圧発生機構を有して成なっていてよい。
【0042】
システムの流体シーケンス操作
種々の例において、図2~19に示すように、システム100は、次の(i)~(iv)によって試薬流体および流体バッファーの隔離および再使用を行う。
(i)試薬流体リザーバー112、114、116および/または118のいずれか1つから試薬流体を流体デバイス102へと選択的に方向付け、試薬操作を行う。
(ii)オプションとして、流体デバイス102を通るように方向付けされた使用済の試薬流体302、802、1302および/または1802の少なくとも一部を、選択された試薬流体リザーバー112、114、116および118へ再方向付け、次の試薬操作のために再使用されるようにする。
(iii)流体バッファー・リザーバー111、113、115および/または117のいずれかから流体バッファーを流体デバイス102へと選択的に方向付け、洗浄操作を行う。
(iv)流体デバイス102を通るように方向付けられた使用済の流体バッファー602、1102および/または1602の少なくとも一部を、専用の流体バッファー・リザーバー113、115および/117のうちの1つに戻すように再方向付け、次の洗浄操作のために再使用されるようにする。
【0043】
図2を参照して説明すると、システム100は、第1試薬操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第1試薬流体リザーバー112から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。第1試薬操作の間にて、フロー制御バルブ104は、第1試薬流体リザーバー112を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第1試薬流体リザーバー112と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第1試薬流体リザーバー112からフロー制御バルブ104を通って流体デバイス102内へと第1試薬流体122を引き抜く(又は抜き出す若しくは取り出す、draw)ように操作される。図2に示されるように、第1試薬流体122のアリコート202は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させられる。
【0044】
図3を参照して説明すると、システム100は、第1試薬リバース操作を行うように設定されてよく、第1試薬操作で移動した第1試薬流体122のアリコート202の少なくとも一部を第1試薬流体リザーバー112へと戻すようにポンプ106が再方向付けるようになっていてよい。第1試薬リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第1試薬流体リザーバー112へと接続するような設定を維持しており、ポンプ106が、流体デバイス102を介して第1試薬流体リザーバー112内に戻されるように逆方向へと流体を押しやる(expel)ように操作される。図3に示されるように、第1試薬操作で移動した第1試薬流体122のアリコート202の少なくとも一部302が第1試薬流体リザーバー112に戻るように受けられ、1つ又はそれよりも多い次の第1試薬操作のために再使用される。
【0045】
図4および図5を参照して説明すると、システム100は、第1洗浄操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102へと流体が流れることを初めに(または初期に)許容するようになっていてよく、次いで、オプションとして、リザーバー110のセットの共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。
【0046】
図4に示されるように、第1洗浄操作の第1部分の間において、フロー制御バルブ104は、第1流体バッファー・リザーバー113を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第1流体バッファー・リザーバー113と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102を通るように第1流体バッファー123のアリコートを引き抜くように操作される。図4に示されるように、第1流体バッファー123の第1体積402は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って、および/またはポンプ106のチャンバーへと移動させられ、流体デバイス102に残存している第1試薬流体122をフラッシュする。幾つかの実施態様では、第1体積402は、図6に示されるように、使用済の第1流体バッファーの体積602を含んでいてよく、例えば、第1流体バッファー123が、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105内へと、および/またはポンプ106のチャンバー内へと以前にポンプ移送された場合にあっては、第1体積402が使用済の第1流体バッファーの体積602を含んでいてよい。
【0047】
図5に示すように、幾つかの例において、第1洗浄操作の第2部分の間では、第1流体バッファー123の第1体積402が流体デバイス102を通るようにフラッシュされた後、フロー制御バルブ104は、共通流体バッファー・リザーバー111を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121のアリコートを引き抜くように操作される。図5に示されるように、共通流体バッファー121の第2体積502は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って移動させることができ、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させることができる。幾つかの実態態様では、第2体積502は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105、および/またはポンプ106のチャンバーのうちの1つ又はそれよりも多いものにおいて第1体積402と混ぜられ得る。したがって、図6に示されるように、第1体積402が使用済の第1流体バッファーの体積602を含む場合、共通流体バッファー121の包含は、使用済の第1流体バッファーで残存する第1試薬流体122を薄めることができるか、そうでなければそのような残存の第1試薬流体122の存在を減らすことができる。付加的に、使用済の第1流体バッファー後に共通流体バッファー121を供することによって、共通流体バッファー121が、流体デバイス102から更に下流に使用済の第1流体バッファーを流体的に分けることができる。
【0048】
他の例では、図5に示される第1洗浄工程の第2部分は省略してもよく、第1洗浄操作のための第1流体バッファー123のみを第1流体バッファー・リザーバー113から引き抜いてよい。
【0049】
図6を参照して説明すると、システム100は、第1バッファー・リバース操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104が第1流体バッファー・リザーバー113へと流体を流すことを許容するようになっていてよい。ポンプ106は、第1流体バッファー123および/または共通流体バッファー121を含んで成る使用済の流体バッファーの第3体積602を第1流体バッファー・リザーバー113へと戻るように再方向付ける。第3体積602は、第1流体バッファー123および/または共通流体バッファー121に加えて残存の第1試薬流体122の少なくとも一部を含み得る。幾つかの例では、第3体積602における共通流体バッファー121の割合(パーセンテージ)は、第1流体バッファー123および/または再使用済の第1流体バッファーの割合(パーセンテージ)よりも大きい。第1バッファー・リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第1流体バッファー・リザーバー113へと接続するように設定され(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第1流体バッファー・リザーバー113と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)、ポンプ106は、流体デバイス102を通って第1流体バッファー・リザーバー113へと逆方向に流体を流すように操作される。図6に示されるように、使用済の流体バッファーの第3体積602は、第1流体バッファー・リザーバー113に戻されるように受けられ、次の1つ又はそれよりも多い第1洗浄操作のために再使用される。幾つかの例では、使用済の流体バッファーの第3体積602は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第2体積502と同じか又はそれ未満である。他の例では、使用済の流体バッファーの第3体積602は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第2体積502よりも大きくなっている。また、他の例では、使用済の流体バッファーの第3体積602は、流体デバイス102を通るようにフラッシュされた流体バッファーの総量と等しくなっており、即ち、第1流体バッファー・リザーバー113から移動した第1流体体積202と、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第2体積502との組合せに等しくなっている。
【0050】
図7を参照して説明すると、システム100は、第2試薬操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第2試薬流体リザーバー114から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。第2試薬操作の間にて、フロー制御バルブ104は、第2試薬流体リザーバー114を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第2試薬流体リザーバー114と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第2試薬流体リザーバー114からフロー制御バルブ104を通って流体デバイス102内へと第2試薬流体124を引き抜くように操作される。図7に示されるように、第2試薬流体124のアリコート702は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って移動させられ、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させられる。
【0051】
図8を参照して説明すると、システム100は、第2試薬リバース操作を行うように設定されてよく、第2試薬操作で移動した第2試薬流体124のアリコート702の少なくとも一部を第2試薬流体リザーバー114へと戻すようにポンプ106が再方向付けるようになっていてよい。第2試薬リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第2試薬流体リザーバー114へと接続するような設定を維持しており、ポンプ106が、流体デバイス102を介して第2試薬流体リザーバー114内に戻されるように逆方向へと流体を押しやるように操作される。図8に示されるように、第2試薬操作で移動した第2試薬流体124のアリコート702の少なくとも一部802が第2試薬流体リザーバー114へと戻るように受けられ、1つ又はそれよりも多い次の第2試薬操作において再使用される。
【0052】
図9および図10を参照して説明すると、システム100は、第2洗浄操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102へと流体が流れることを初めに許容するようになっていてよく、次いで、オプションとして、リザーバー110のセットの共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。
【0053】
図9に示されるように、第2洗浄操作の第1部分の間では、フロー制御バルブ104は、第2流体バッファー・リザーバー115を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第2流体バッファー・リザーバー115と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102を通るように第2流体バッファー124のアリコートを引き抜くように操作される。図9に示されるように、第2流体バッファー124の第4体積902は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って移動させられ、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させられ、流体デバイス102に残存する第2試薬流体124をフラッシュする。幾つかの実施態様では、第4体積902は、図11に示されるように、使用済の第2流体バッファーの体積1102を含んでいてよく、例えば、第2流体バッファー125が、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105および/またはポンプ106のチャンバーへと以前にポンプ移送された場合にあっては、第4体積902が使用済の第2流体バッファーの体積1102を含んでいてよい。
【0054】
図10に示すように、幾つかの例において、第2洗浄操作の第2部分の間では、第2流体バッファー124の第4体積902が流体デバイス102を通るようにフラッシュされた後、フロー制御バルブ104は、共通流体バッファー・リザーバー111を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121のアリコートを引き抜くように操作される。図10に示されるように、共通流体バッファー121の第5体積1002は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通るように移動させることができ、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させることができる。幾つかの実態態様では、第5体積1002は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105、および/またはポンプ106のチャンバーのうちの1つ又はそれよりも多いものにおいて第4体積902と混ぜられ得る。したがって、図11に示されるように、第4体積902が使用済の第2流体バッファーの体積1102を含む場合、共通流体バッファー121の包含は、使用済の第2流体バッファーで残存する第2試薬流体124を薄めることができるか、そうでなければそのような残存の第2試薬流体124の存在を減らすことができる。付加的に、使用済の第2流体バッファー後に共通流体バッファー121を供することによって、共通流体バッファー121が、流体デバイス102から更に下流に使用済の第2流体バッファーを流体的に分けることができる。
【0055】
他の例では、図10に示される第2洗浄工程の第2部分は省略してもよく、第2洗浄操作のための第2流体バッファー125のみを第2流体バッファー・リザーバー115から引き抜いてよい。
【0056】
図11を参照して説明すると、システム100は、第2バッファー・リバース操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104が第2流体バッファー・リザーバー115へと流体を流すことを許容するようになっていてよい。ポンプ106は、第2流体バッファー125および/または共通流体バッファー121を含んで成る使用済の流体バッファーの第6体積1102を第2流体バッファー・リザーバー115に戻るように再方向付ける。第6体積1102は、第2流体バッファー125および/または共通流体バッファー121に加えて残存の第2試薬流体124の少なくとも一部を含み得る。幾つかの例では、第6体積1102における共通流体バッファー121の割合(パーセンテージ)は、第2流体バッファー125および/または再使用済の第2流体バッファーの割合(パーセンテージ)よりも大きい。第2バッファー・リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第2流体バッファー・リザーバー115へと接続するように設定され(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第2流体バッファー・リザーバー115と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)、ポンプ106は、流体デバイス102を通って第2流体バッファー・リザーバー115へと逆方向に流体を流すように操作される。図11に示されるように、使用済の流体バッファーの第6体積1102は、第2流体バッファー・リザーバー115に戻されるように受けられ、次の1つ又はそれよりも多い第2洗浄操作のために再使用される。幾つかの例では、使用済の流体バッファーの第6体積1102は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第5体積1002と同じか又はそれ未満である。他の例では、使用済の流体バッファーの第6体積1102は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第5体積1002よりも大きくなっている。また、他の例では、使用済の流体バッファーの第6体積1102は、流体デバイス102を通るようにフラッシュされた流体バッファーの総量と等しくなっており、即ち、第2流体バッファー・リザーバー115から移動した第4体積902と、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第5体積1002との組合せに等しくなっている。
【0057】
図12を参照して説明すると、システム100は、第3試薬操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第3試薬流体リザーバー116から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。第3試薬操作の間にて、フロー制御バルブ104は、第3試薬流体リザーバー116を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第3試薬流体リザーバー116と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第3試薬流体リザーバー116からフロー制御バルブ104を通って流体デバイス102内へと第3試薬流体126を引き抜くように操作される。図12に示されるように、第3試薬流体126のアリコート1202は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って移動され、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させられる。
【0058】
図13を参照して説明すると、システム100は、第3試薬リバース操作を行うように設定されてよく、第3試薬操作で移動した第3試薬流体126のアリコート1202の少なくとも一部を第3試薬流体リザーバー116へと戻すようにポンプ106が再方向付けるようになっていてよい。第3試薬リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第3試薬流体リザーバー116へと接続するような設定を維持しており、ポンプ106が、流体デバイス102を介して第3試薬流体リザーバー116内に戻されるように逆方向へと流体を押しやるように操作される。図13に示されるように、第3試薬操作で移動した第3試薬流体126のアリコート1202の少なくとも一部1302が第3試薬流体リザーバー116へと戻るように受けられ、1つ又はそれよりも多い次の第3試薬操作において再使用される。
【0059】
図14および図15を参照して説明すると、システム100は、第3洗浄操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第3流体バッファー・リザーバー117から流体デバイス102へと流体が流れることを初めに許容するようになっていてよく、次いで、オプションとして、リザーバー110のセットの共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。
【0060】
図14に示されるように、第3洗浄操作の第1部分の間では、フロー制御バルブ104は、第3流体バッファー・リザーバー117を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第3流体バッファー・リザーバー117と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第3流体バッファー・リザーバー117から流体デバイス102を通るように第3流体バッファー127のアリコートを引き抜くように操作される。図14に示されるように、第3流体バッファー127の第7体積1402は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通って移動され、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させられ、流体デバイス102に残存する第3試薬流体126をフラッシュする。幾つかの実施態様では、第7体積1402は、図16に示されるように、使用済の第3流体バッファーの体積1602を含んでいてよく、例えば、第3流体バッファー127が、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105および/またはポンプ106のチャンバー内へと以前にポンプ移送された場合にあっては、第7体積1402が使用済の第3流体バッファーの体積1602を含んでいてよい。
【0061】
図15に示すように、幾つかの例において、第3洗浄操作の第2部分の間では、第3流体バッファー126の第7体積1402が流体デバイス102を通るようにフラッシュされた後、フロー制御バルブ104は、共通流体バッファー・リザーバー111を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121のアリコートを引き抜くように操作される。図15に示されるように、共通流体バッファー121の第8体積1502は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通るように移動させることができ、および/またはポンプ106のチャンバー内へと移動させることができる。幾つかの実態態様では、第8体積1502は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105および/またはポンプ106のチャンバーのうちの1つ又はそれよりも多いものにおいて第7体積1402と混ぜられ得る。したがって、図16に示されるように、第7体積1402が使用済の第3流体バッファーの体積1602を含む場合、共通流体バッファー121の包含は、使用済の第3流体バッファーで残存する第3試薬流体126を薄めることができるか、そうでなければそのような残存の第3試薬流体126の存在を減らすことができる。付加的に、使用済の第3流体バッファー後に共通流体バッファー121を供することによって、共通流体バッファー121は、流体デバイス102からさらに下流に使用済の第3流体バッファーを流体的に分けることができる。
【0062】
他の例では、図15に示される第洗浄工程の第2部分は省略してもよく、第3洗浄操作のための第3流体バッファー127のみを第3流体バッファー・リザーバー117から引き抜いてよい。
【0063】
図16を参照して説明すると、システム100は、第3バッファー・リバース操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104が第3流体バッファー・リザーバー127へと流体を流すことを許容するようになっていてよい。ポンプ106は、第3流体バッファー127および/または共通流体バッファー121を含んで成る使用済の流体バッファーの第9体積1602を第3流体バッファー・リザーバー117に戻るように再方向付ける。第9体積1602は、第3流体バッファー127および/または共通流体バッファー121に加えて残存の第3試薬流体126の少なくとも一部を含み得る。幾つかの例では、第9体積1602における共通流体バッファー121の割合(パーセンテージ)は、第3流体バッファー127および/または再使用済の第3流体バッファーの割合(パーセンテージ)よりも大きい。第3バッファー・リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第3流体バッファー・リザーバー117へと接続するように設定され(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第3流体バッファー・リザーバー117と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)、ポンプ106は、流体デバイス102を通って第3流体バッファー・リザーバー117へと逆方向に流体を流すように操作される。図16に示されるように、使用済の流体バッファーの第9体積1602は、第3流体バッファー・リザーバー117に戻されるように受けられ、次の1つ又はそれよりも多い第3洗浄操作のために再使用される。幾つかの例では、使用済の流体バッファーの第9体積1602は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第8体積1502と同じか又はそれ未満である。他の例では、使用済の流体バッファーの第9体積1602は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第8体積1502よりも大きくなっている。また、他の例では、使用済の流体バッファーの第9体積1602は、流体デバイス102を通るようにフラッシュされた流体バッファーの総量と等しくなっており、即ち、第3流体バッファー・リザーバー117から移動した第7体積1402と、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した第8体積1502との組合せに等しくなっている。
【0064】
図17を参照して説明すると、システム100は、第4試薬操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された第4試薬流体リザーバー118から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。第4試薬操作の間において、フロー制御バルブ104は、第4試薬流体リザーバー118を流体デバイス102へと接続するように設定される(例えば、バルブ・セレクター・チャネル152を、第4試薬流体リザーバー118と関連する対応する接続チャネル131と接続させることによって、そのような接続が行われるように設定する)。ポンプ106は、第4試薬流体リザーバー118からフロー制御バルブ104を通って流体デバイス102内へと第4試薬流体128を引き抜くように操作される。図17に示されるように、第4試薬流体128のアリコート1702は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通るように移動させられ、および/またはポンプ106のチャンバーへと移動させられる。
【0065】
図18を参照して説明すると、システム100は、第4試薬リバース操作を行うように設定されてよく、第4試薬操作で移動した第4試薬流体128のアリコート1702の少なくとも一部を第4試薬流体リザーバー118へと戻すようにポンプ106が再方向付けるようになっていてよい。第4試薬リバース操作の間、フロー制御バルブ104は、流体デバイス102を第4試薬流体リザーバー118へと接続するような設定を維持しており、ポンプ106が、流体デバイス102を介して第4試薬流体リザーバー118内に戻されるように逆方向へと流体を押しやるように操作される。図18に示されるように、第4試薬操作で移動した第4試薬流体128のアリコート1702の少なくとも一部1802が第4試薬流体リザーバー118へと戻るように受けられ、次の第4試薬操作において再使用される。
【0066】
幾つかの例では、洗浄操作後に流体バッファーの再使用を実行できないか現実的ではないかもしれない。例えば、洗浄操作でフラッシュされる試薬または他の材料の特性が、試薬のフラッシュに使用されるバッファーの再使用から持ち越すリスクが大きすぎるのであれば、洗浄操作後に流体バッファーの再使用を実行できないか現実的ではないかもしれない。1つの例では、SBS操作のスキャベンジャー・プロセス後にて流体デバイス102で試薬のフラッシュに使用される流体バッファーと、新しいバッファーとを組み合わせることは、例えば微量な使用済の流体バッファーが新しいバッファーに加えられる場合であったとしても、SBS操作の次の操作を典型的には妥協する。かかる状況では、バッファーは流体デバイスを介して移動し得、例えば共通流体バッファー・リザーバー111からバッファーを流体デバイスを介して移動させ得るものの、使用済のバッファーは、その後にて隔てられた流体バッファー・リザーバーへと逆になるように戻されない。幾つかの例では、実験により決定され得るが、再使用(又は使用済)の流体バッファーが第1コンタミ・レベルを超える場合には流体バッファーの再使用のリスクは大きくなりすぎることになる。
【0067】
幾つかの例では、システム100は、2つの異なる試薬操作に続く2つの異なる洗浄操作で指定された同じリザーバーからの流体バッファーを再使用してよい。例えば、第1試薬操作の試薬または他の材料の特性が穏やかであり、試薬または材料の存在が別の試薬操作(例えば、第2試薬操作)に影響を与えないか、かかる操作につき妥協を与えないことを意味するのであれば、第1試薬操作後にそのような試薬または材料をフラッシュするのに使用される流体バッファーは、第2試薬操作に続く洗浄操作で再び使用されてよい。幾つかの例では、再使用(又は使用済)の流体バッファーが第2コンタミ・レベル未満である場合(実験によって決定され得る第2コンタミ・レベルよりも低い場合)、再使用される流体バッファーは“穏やか”であると決定される。
【0068】
図19を参照して説明すると、システム100は、第4洗浄操作を行うように設定されてよく、フロー制御バルブ104がリザーバー110のセットの選択された共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容するようになっていてよい。図19に示されるように、共通流体バッファー121の第1体積1902は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105を通るように移動させられ、および/またはポンプ106のチャンバーへと移動させられ、流体デバイス102に残存する第4試薬流体128をフラッシュする。しかしながら、システム100は、可能性のある再使用のための第4洗浄操作で使用されるバッファーを貯留および隔離するための流体バッファー・リザーバーを含んでいない。したがって、第4洗浄操作の間で流体デバイスを通るように移動させたバッファーの体積1902は、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105および/またはポンプ106のチャンバーから戻されない。むしろ、そのような流体バッファーは、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105および/またはポンプ106のチャンバーを通るようにフラッシュされ、廃棄リザーバー(図示せず)内へと移動させられる。
【0069】
試薬流体および流体バッファーを隔離および再使用するための方法
種々の例に従えば、図20は、試薬流体および流体バッファーを隔離および再使用するための方法2000を示している。
【0070】
方法2000は、第1試薬流体122のアリコートを流体デバイス102内に移動させる工程2010を含んでいる。幾つかの例では、工程2010は、第1試薬流体リザーバー112から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべく、フロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例では、工程2010は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第1試薬流体リザーバー112と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続(または流体連通可能に接続、fluidly connect)すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2010は、第1試薬流体リザーバー112から流体デバイス102へと第1試薬流体122を移動させるべく、ポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2010は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第1試薬流体122を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0071】
方法2000は、流体バッファーの体積を流体デバイス102内へと移動させる第1工程2015を更に含んで成っていてよい。幾つかの例では、工程2015は、第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102内へと第1流体バッファー123の体積を移動させることを含んで成る第1部分を含む。幾つかの例において、工程2015の第1部分は、第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、第1流体バッファー123を第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2015の第1部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第1流体バッファー・リザーバー113と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2015の第1部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第1流体バッファー123を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0072】
幾つかの例において、工程2015は、第1流体バッファー123の移動後に、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102内へと共通流体バッファー121の体積を移動させることを含んで成る第2部分を含む。幾つかの例では、工程2015の第2部分は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、共通流体バッファー121を共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2015の第2部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2015の第2部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0073】
幾つかの例において、第1流体バッファー・リザーバー113から移動した第1流体バッファー123の体積は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の体積と実質的に等しい。他の例では、第1流体バッファー・リザーバー113から移動した第1流体バッファー123の体積は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の体積よりも大きい。更に他の例では、第1流体バッファー・リザーバー113から移動した第1流体バッファー123の体積は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の体積よりも小さい。
【0074】
方法2000は、工程2015で移動させた流体バッファー123の体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー113内へと移動させる工程2020を更に含んでいてよい。幾つかの例において、工程2020は、流体デバイス102から第1流体バッファー・リザーバー113へと流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例において、工程2020は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第1流体バッファー・リザーバー113と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2020は、流体デバイス102から第1流体バッファー・リザーバー113へと流体バッファーを押し出すべく、ポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2020は、第2方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、正の圧力差を生じさせて流体バッファーを第1流体バッファー・リザーバー113へと移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。幾つかの例では、工程2020で第1流体バッファー・リザーバー113へと移動させる流体バッファーの部分は、工程2015で流体デバイス102へと移動した流体バッファーの総体積の約30~70%の範囲である。例えば、第1流体バッファー123の50μLが第1流体バッファー・リザーバー113から移動され、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の50μLが移動した場合、組み合わされた100μLの体積のうちの30μL~70μLが第1流体バッファー・リザーバー113内に戻るように移動させることができる。幾つかの例において、第1流体バッファー・リザーバー113内に戻るように移動させる体積は、優先的には共通流体バッファー121であり得るが、それは流体システムを通るように更に下流に第1流体バッファー123を動かした(またはずらした、displace)共通流体バッファーに基づく。
【0075】
方法2000は、第2試薬流体124のアリコートを流体デバイス102内に移動させる工程2025を更に含んでいてよい。幾つかの例において、工程2025は、第2試薬流体バッファー・リザーバー114から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例では、工程2025は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第2試薬流体リザーバー114と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2025は、第2試薬流体リザーバー114から流体デバイス102へと第2試薬流体124を移動させるべく、ポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2025は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第2試薬流体124を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0076】
方法2000は、流体バッファーの体積を流体デバイス102内に移動させる工程2030を更に含んでなっていてよい。幾つかの例では、工程2030は、第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102内へと第2流体バッファー125の体積を移動させることを含んで成る第1部分を含む。幾つかの例において、工程2030の第1部分は、第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、第2流体バッファー125を第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2030の第1部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第2流体バッファー・リザーバー115と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2030の第1部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第2流体バッファー125を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0077】
幾つかの例において、工程2030は、第2流体バッファー125の移動後に、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102内へと共通流体バッファー121の体積を移動させることを含んで成る第2部分を含む。幾つかの例では、工程2030の第2部分は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、共通流体バッファー121の体積を共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2030の第2部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2030の第2部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0078】
方法2000は、工程2030で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー115へと移動させる工程2035を更に含んで成っていてよい。幾つかの例において、工程2035は、流体デバイス102から第2流体バッファー・リザーバー115へと流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例において、工程2035は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第2流体バッファー・リザーバー115と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2035は、流体デバイス102から第2流体バッファー・リザーバー115へと流体バッファーを押し出すべく、ポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2035は、第2方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、正の圧力差を生じさせて流体バッファーを第2流体バッファー・リザーバー115へと移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。幾つかの例では、工程2035で第2流体バッファー・リザーバー115へと移動される流体バッファーの部分は、工程2030で流体デバイス102へと移動した流体バッファーの総体積の約30~70%の範囲である。例えば、第2流体バッファー125の50μLが第2流体バッファー・リザーバー115から移動され、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の50μLが移動した場合、組み合わされた100μLの体積のうちの30μL~70μLの体積が第2流体バッファー・リザーバー115内に戻るように移動させることができる。幾つかの例において、第2流体バッファー・リザーバー115内に戻るように移動させる体積は、優先的には共通流体バッファー121であり得るが、それは流体システムを通るように更に下流に第2流体バッファー125を動かした共通流体バッファーに基づく。
【0079】
方法2000は、第1試薬流体122のアリコートを流体デバイス102内に移動させることによって第1試薬流体122を再使用する工程2040を更に含んで成っていてよい。幾つかの例において、工程2040は、第1試薬流体リザーバー112から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例では、工程2040は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第1試薬流体リザーバー112と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2040は、第1試薬流体リザーバー112から流体デバイス102へと第1試薬流体122を移動させるべく、ポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2040は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第1流体バッファー122を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0080】
方法2000は、流体デバイス102内に流体バッファーの体積を移動させることによって、第1流体バッファーを再使用する工程2045を更に含んで成っていてもよい。かかる工程2045では、該工程2045で移動される流体バッファーの体積の少なくとも一部が第1流体バッファー・リザーバー113から移動されるが、それは工程2020で第1流体バッファー・リザーバー113へと移動した使用済の流体バッファーを含んでいる。幾つかの例において、工程2045は、第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る第1部分を含む。幾つかの例において、工程2045の第1部分は、第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、第1流体バッファー123を第1流体バッファー・リザーバー113から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2045の第1部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第1流体バッファー・リザーバー113と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2045の第1部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第1流体バッファー123を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0081】
幾つかの例では、工程2045は、第1流体バッファー123の移動後に、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102内へと共通流体バッファー121の体積を移動させることを含んで成る第2部分を含む。幾つかの例では、工程2045の第2部分は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、共通流体バッファー121を共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2045の第2部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2045の第2部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。幾つかの例において、第1流体バッファー・リザーバー113から移動した第1流体バッファー123の体積は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の体積と実質的に等しい。
【0082】
幾つかの例において、第1流体バッファー123が工程2045の後で更に再使用されることになる場合、方法は、上記の工程2020におけるように、工程2045で移動した流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー113内へと戻るように移動させる工程を含んでいる。幾つかの例において、工程2045で移動した流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー113内に戻るように移動させる工程は、流体デバイス102から第1流体バッファー・リザーバー113へと流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例において、工程2045で移動した流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー113内に戻るように移動させる工程は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第1流体バッファー・リザーバー113と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2045で移動した流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー113内に戻るように移動させる工程は、第2方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、正の圧力差を生じさせて流体バッファーを第1流体バッファー・リザーバー113へと移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。幾つかの例では、工程2045で第1流体バッファー・リザーバー113へと移動される流体バッファーの部分は、工程2045で流体デバイス102へと移動した流体バッファーの体積の約30~70%の範囲である。
【0083】
方法2000は、第2試薬流体124のアリコートを流体デバイス102内に移動させることによって第2試薬流体124を再使用する工程2050を更に含んで成っていてよい。幾つかの例において、工程2050は、第2試薬流体リザーバー114から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例では、工程2050は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第2試薬流体リザーバー114と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2050は、第2試薬流体リザーバー114から流体デバイス102へと第2試薬流体124を移動させるべく、ポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2050は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第2試薬流体124を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0084】
方法2000は、流体デバイス102内に流体バッファーの体積を移動させることによって、第2流体バッファーを再使用する工程2055を更に含んで成っていてもよい。かかる工程2055では、該工程2055で移動される流体バッファーの体積の少なくとも一部が第2流体バッファー・リザーバー115から移動されるが、それは工程2035で第2流体バッファー・リザーバー115に移動した使用済の流体バッファーを含んでいる。幾つかの例において、幾つかの例では、工程2055は、第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る第1部分を含む。幾つかの例において、工程2055の第1部分は、第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、第2流体バッファー125を第2流体バッファー・リザーバー115から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2055の第1部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第2バッファー・リザーバー115と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2055の第1部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように第2流体バッファー125を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0085】
幾つかの例では、工程2055は、第2流体バッファー125の移動後に、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102内へと共通流体バッファー121の体積を移動させることを含んで成る第2部分を含む。幾つかの例では、工程2055の第2部分は、共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと流体が流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定すること、および、共通流体バッファー121を共通流体バッファー・リザーバー111から流体デバイス102へと移動させるべくポンプ106を使用することを含んで成る。幾つかの例では、工程2055の第2部分は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を共通流体バッファー・リザーバー111と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2055の第2部分は、第1方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、負の圧力差を生じさせて流体デバイス102を通るように共通流体バッファー121を移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。幾つかの例において、第2流体バッファー・リザーバー115から移動した第2流体バッファー125の体積は、共通流体バッファー・リザーバー111から移動した共通流体バッファー121の体積と実質的に等しい。
【0086】
幾つかの例において、第2流体バッファー125が工程2055の後で更に再使用されることになる場合、方法は、上記の工程2035におけるように、工程2055で移動された流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー115内へと戻るように移動させる工程を含んでいる。幾つかの例において、工程2055で移動された流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー115内に戻るように移動させる工程は、流体デバイス102から第2流体バッファー・リザーバー115へと流れることを許容すべくフロー制御バルブ104を設定することを含んで成る。幾つかの例において、工程2055で移動された流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー115内に戻るように移動させる工程は、フロー制御バルブ104を回転させ、バルブ・セレクター・チャネル152を第2流体バッファー・リザーバー115と関連する対応する接続チャネル131と整列させて流体接続すべく、モーターを駆動することを含んで成る。幾つかの例では、工程2055で移動された流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー115内に戻るように移動させる工程は、第2方向にシリンジ・ポンプ106のプランジャーを動かし、それによって、正の圧力差を生じさせて流体バッファーを第2流体バッファー・リザーバー115へと移動させるべく、アクチュエーターを用いることを含んで成る。
【0087】
処理インストールメント
図21に模式的に示されるように、幾つかの例において、システム100は、流体デバイス102、フロー制御バルブ104、ポンプ106、流体リザーバー110のセットなど、システム100の種々の要素を支持する流体カートリッジ52を含んでいる。流体カートリッジ52は、処理インストールメント(processing instrument)50内に操作可能にインストールされてよい。幾つかの例では、流体カートリッジ52は、入口チャネル103、フロー制御バルブ104、出口チャネル105の少なくとも一部、流体リザーバー110のセット、および接続チャネル130のセットを含んでいる。流体カートリッジ52は、処理インストールメント50に操作可能に結合してよく、処理インストールメント50が1つ又はそれよりも多いアクチュエーター(例えばモーターなど)を含んでおり、フロー制御バルブ104およびポンプ106によって加えられる圧力を制御し、種々の試薬流体および流体バッファーを選択して移動させる。処理インストールメント50は、廃棄物出口(図示せず)を更に含んでいてもよく、それによって、使用済みのいずれの試薬流体または流体バッファーが廃棄(または処理)されてよい。コントローラー140は、処理インストールメント50の一部であり得るか、あるいは処理インストールメント50に操作可能に接続されるスタンド・アローンもしくはリモートのコンピュータ源であり得、処理インストールメント50の操作(例えば、流体デバイス102の処理およびポンプ106の操作など)、ならびに流体カートリッジ52の操作(例えば、フロー制御バルブ104の操作など)を制御する。
【0088】
ハードウェアおよびソフトウェア
本開示の要旨は、制御およびコンピュータ処理を行なうハードウェア要素、ユーザー製のソフトウェア、データ入力要素およびデータ出力要素を通じて実施される。ハードウェア要素は、1又はそれよりも多い入力値を受け、入力値に基づいてマニュプレートするか又はそうでなければ作用するための指示を供する持続性機械読込み可能な媒体(例えばソフトウェア)に保存される1又はそれよりも多いアルゴリズム(図20に示されるアルゴリズムなど)を実行すること、および1又はそれよりも多い出力値を出力することによってコンピュータ的なおよび/または制御の工程を実行するように構成された、マイクロプロセッサおよびコンピュータなど、コンピュータ処理及び制御を行うモジュール(例えば、システム・コントローラー)を含んでいる。かかる出力は、情報提供のため表示(もしくはディスプレイ表示)されるか又はユーザーに示される。例えば、そのような情報は、例えばインストールメントの状態又はそれによって実行されるプロセスに関する情報などである。あるいは、かかる出力は、他のプロセスおよび/または制御アルゴリズムに対する入力を含んでなっていてよい。データ入力要素は、それによって制御およびコンピュータ処理のハードウェア要素による使用のためにデータ入力される要素を含んでいてよい。かかるデータ入力(またはデータ入力のための要素)は、ポジション・センサー、モーター・エンコード、ならびに、マニュアル入力要素、例えばグラフィック・ユーザー・インターフェース、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、スイッチ、マニュアル操作のスキャナー、ボイス起動入力などを含んで成っていてよい。データ出力要素は、ハード・ドライブまたは他のストレージ媒体、グラフィック・ユーザー・インターフェース、モニター、プリンター、表示ライトまたは音声信号要素(例えば、ブザー、ホーン、ベルなど)を含んで成っていてよい。ソフトウェアは、持続性コンピュータ読込み可能な媒体に保存されたインストラクションを含んで成り、それは、制御およびコンピュータ処理するハードウェア要素によって実行される際、当該ハードウェア要素が1又はそれよりも多い自動化または半自動化の処理を行うようにさせる。
【0089】
幾つかの例において、装置は、コンピュータ・コントローラー140(図1~19で模式的に示されるコンピュータ・コントローラー)を含む制御システムを含んでいてよい。コントローラー140は、例えばスタンド・アローンのコンピュータなどシステム100のデバイスのいずれかに接続される制御システムまたはコンピュータであってよく、あるいは、例えばアプリケーション・スペシフィック集積回路(application specific integrated circuit)などシステム100のデバイスのいずれか1つに統合されるコンピュータ要素であってよい。これらのコンピュータ要素は、マイクロプロセッサ―、ディスプレイ、キーボード(および/もしくは他のユーザー入力デバイス)、メモリー要素、プリンター、ならびに/または他のデバイスを含むことができる。コントローラー140は、ユーザー(例えばユーザー入力)および/またはフィードバック・デバイス(例えば圧力センサー、フロー・メーターなど)からの入力を受け、システム100の流体操作の実施を管理するように構成されていてよい。コントロール140は、図20に示される方法2000を実施するプロセスなどのプロセスを実施するソフトウェア・アルゴリズムを含んでいてよい。そのようなソフトウェア・アルゴリズムによって、ユーザーは、流体処理操作に関するユーザー規定のパラメーターをシステム100の流体デバイス102へと入力でき、システム100の流体デバイス102の異なる流体処理操作をスケジュールでき、ならびに/またはコントローラー140が流体処理操作に関連する異なる工程を実施でき、流体処理操作の性能をモニタリングし、ならびに/またはユーザーに結果を出力(例えばディスプレイや印刷などで結果を出力)できる。
【0090】
図1~19に示されるように、コントローラー140は、フロー制御バルブ104、ポンプ106(破線で示される)、ならびに/または、フロー制御バルブ104および/またはポンプ106を制御するように構成された中間デバイス(例えば、フロー制御バルブ104のためのステップ・モーター、ポンプ106のためのモーターなど)と電気的に繋がっており、コントローラー140がフロー制御バルブ104およびポンプ106を制御するインストラクションを送ってよく、それによって、流体処理操作(例えば図2~19に関連するプロセスおよび/または図20の方法など)に関連する異なる工程が実施される。幾つかの例において、コントローラー140は、フロー制御バルブ104のためのコマンドを伝えるように構成されており、それによって、リザーバー110のセットの選択された流体リザーバーを入口チャネル103と流体接続させ、選択された流体リザーバーからの流体が、対応する接続チャネル131、フロー制御バルブ104、入口チャネル103、流体デバイス102、出口チャネル105および/またはポンプ106のチャンバーを通るように流れる。幾つかの例において、コントローラー140は、ポンプ106にコマンドを伝え、流体リザーバー110のセットのいずれか1つと出口チャネル105との間の圧力差を生じるように第1方向または第2方向に流体フローをもたらし、流体フローがポンプ106に向かうようになったり、あるいはポンプ106から離れるようになったりする。
【0091】
幾つかの例では、コントローラー140は、コンピュータ実施可能なインストラクションでエンコードされたコンピュータ読込み可能な媒体にアクセスでき、そこにある異なる処理を実施するように構成されている。幾つかの例では、コンピュータ読込み可能な媒体でエンコードされたインストラクションを実施することによって、コントローラー140はシステム100が、以下を含む本願明細書に記載の方法およびプロセスまたはその一部を実施するようにさせる:(a)第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させること、(b)前記(a)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させること、(c)前記(b)の処理後、該(b)の処理で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバーへと移動させること、(d)前記(c)の処理後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させること、(e)前記(d)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させること、ならびに/または、(f)前記(e)の処理後、該(e)の処理で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバーへと移動させる。
【0092】
以下でより詳細に説明される上述の概念および付加的な概念の全ての組み合わせは、(互いに矛盾しない限り)本明細書における発明としての主題の部分または一部と考えられることを理解されるべきである。特に、本開示の最後に載せられているクレーム主題の全ての組合せは、本明細書における発明的な主題の部分または一部と考えられる。また、本明細書で明示的に用いた用語であって、参照される開示にて示され得る用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も合う意味のものと理解されるべきである。
【0093】
本開示の主題については、特徴の種々のコンビネーションおよびサブ・コンビネーションを含めてある例示的な例を参照してかなり詳細に説明および図示したものの、当業者は、他の例ならびにそのような主題の変更および改訂が、本開示に含まれるものと理解されるであろう。さらに、かかる例、コンビネーションおよびサブ・コンビネーションの記載は、クレーム主題が、クレームに明示的に記載されたもの以外の特徴またはその組合せを要するまでを意図していない。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲内に包含されるあらゆる変更および改訂を含むべく意図されている。
【0094】
本開示は、以下の項(態様)を含んでいる。

第1項:(a)第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる工程、
(b)前記工程(a)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる工程、
(c)前記工程(b)の後、該工程(b)で移動させた流体バッファーの少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー内へと移動させる工程、
(d)前記工程(c)の後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる工程、
(e)前記工程(d)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる工程、および
(f)前記工程(e)の後、該工程(e)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー内へと移動させる工程、
を含んで成る、方法。
第2項:(g)前記工程(f)の後、第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる工程、
(h)前記工程(g)の後、流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させる工程、
(i)前記工程(h)の後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる工程、および
(j)前記工程(i)の後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる工程、
を更に含んで成り、
工程(h)で移動させる流体バッファーの体積の少なくとも一部は第1流体バッファー・リザーバーから移動され、
工程(j)で移動させる流体バッファーの体積の少なくとも一部は第2流体バッファー・リザーバーから移動される、第1項に記載の方法。
第3項:(k)前記工程(h)の後で前記工程(i)の前において、該工程(h)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバー内に戻すように移動させる工程、ならびに
(l)前記工程(j)の後、該工程(j)で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバー内に戻すように移動させる工程
を更に含んで成る、第2項に記載の方法。
第4項:前記工程(b)は、第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成り、
前記工程(e)は、第2流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成る、第1項~第3項のいずれかに記載の方法。
第5項:前記工程(b)において、第1流体バッファー・リザーバーから移動される流体バッファーの体積は、共通流体バッファー・リザーバーから移動される流体バッファーに実質的に等しい、第4項に記載の方法。
第6項:前記工程(b)は、第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させることを含んで成り、
前記工程(e)は、第2流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させることを含んで成る、第1項~第5項のいずれかに記載の方法。
第7項:前記工程(c)で第1流体バッファー・リザーバーへと移動させる流体バッファーの体積部分は、前記工程(b)で移動させる流体バッファーの体積の約30~70%である、第1項~第6項のいずれかに記載の方法。
第8項:前記工程(h)において、第1流体バッファー・リザーバーから移動される流体バッファーの体積部分は、流体デバイス内に移動される流体バッファーの体積の約30~70%である、第2項に記載の方法。
第9項:前記工程(d)において、第2試薬のアリコートは、流体デバイスにて第1試薬のアリコートと混ぜられない、第1項~第8項のいずれかに記載の方法。
第10項:流体デバイス;
フロー制御バルブ;
フロー制御バルブによって流体デバイスに流体接続可能な第1試薬流体リザーバー;
フロー制御バルブによって流体デバイスに流体接続可能な第1流体バッファー・リザーバー;ならびに
フロー制御バルブによって流体デバイスに流体接続可能な共通流体バッファー源;
を有して成り、
フロー制御バルブが、
(i)第1試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、
(ii)共通流体バッファー源から流体デバイスへのフロー、
(iii)流体デバイスから第1流体バッファー・リザーバーへのフロー、
(iv)第1試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、ならびに
(v)第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフロー
を含んで成るフローを許容する、システム。
第11項:フロー制御バルブによって流体デバイスに流体接続可能な第2試薬流体リザーバー;および
フロー制御バルブによって流体デバイスに流体接続可能な第2流体バッファー・リザーバー
を更に有して成り、
フロー制御バルブが、
(vi)第2試薬流体リザーバーから流体デバイスへのフロー、
(vii)第2流体バッファー・リザーバーから流体デバイスへのフロー、

(viii)共通流体バッファー源から流体デバイスへのフロー、および
(ix)流体デバイスから第2流体バッファー・リザーバーへのフロー
を更に含んで成るフローを許容する、第10項に記載のシステム。
第12項:第1流体バッファー・リザーバーがキャッシュ・チャネルを有して成り、該キャッシュ・チャネルがその長さを横断する一定の断面寸法を有する、第10項または第11項に記載のシステム。
第13項:第1流体バッファー・リザーバーがチャネルによって流体デバイスに流体接続され、流体バッファー・リザーバーがキャッシュ・リザーバーを有して成り、該キャッシュ・リザーバーがチャネルの断面寸法よりも大きい断面寸法を有する、第10項、第11項または第12項に記載のシステム。
第14項:流体デバイス、第1試薬流体リザーバー、共通流体バッファー源、および第1流体バッファー・リザーバーと操作可能に関連するシリンジ・ポンプを更に有して成り、該シリンジ・ポンプが流体デバイスと第1試薬流体リザーバー、共通流体バッファー源または第1流体バッファー・リザーバーのいずれか1つとの間で圧力差を生じさせ、流体フローを引き起こす、第10項~第13項のいずれかに記載のシステム。
第15項:フロー制御バルブがロータリー・バルブである、第10項~第14項のいずれかに記載のシステム。
第16項:フロー制御バルブと電気的に通じているコントローラーであって、シーケンスを行うべくフロー制御バルブの操作を制御するコマンドを伝えるためのコントローラーを更に有して成る、第10項~第15項のいずれかに記載のシステム。
第17項:第1流体バッファー・リザーバーは、流体デバイスによって保持される流体の体積の少なくとも30%となる流体の第1体積を保持する、第10項~第16項のいずれかに記載のシステム。
第18項:コンピュータ読込み可能な媒体であって、自動化システムのコンピュータ・コントローラーによって実行されるに際して、
(a)第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる処理、
(b)前記(a)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる処理、
(c)前記(b)の処理後、該(b)の処理で移動させた流体バッファーの体積の少なくとも一部を第1流体バッファー・リザーバーへと移動させる処理、
(d)前記(c)の処理後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる処理、
(e)前記(d)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させる処理、および
(f)前記(e)の処理後、該(e)の処理で移動させた流体バッファーの少なくとも一部を第2流体バッファー・リザーバーへと移動させる処理、
といったシステム処理をシステムが行うようにさせるコンピュータ実行可能なインストラクションでエンコードされた、コンピュータ読込み可能な媒体。
第19項:(g)前記(f)の処理後、第1試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させる処理、
(h)前記(g)の処理後、流体デバイス内に流体バッファーを移動させる処理であって、該(h)の処理で移動させる流体バッファーの体積の少なくとも一部は第1流体バッファー・リザーバーから移動させる処理、
(i)前記(h)の処理後、第2試薬流体のアリコートを流体デバイス内に移動させること、および
(j)前記(i)の処理後、流体バッファーの体積を流体デバイス内に移動させること
を更に含み、前記(j)の処理で移動される流体バッファーの体積の少なくとも一部は第2流体バッファー・リザーバーから移動されること
を含んで成る、第18項に記載のコンピュータ読込み可能な媒体。
第20項:前記(b)の処理は、第1流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成り、
前記(e)の処理は、第2流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させ、その後、共通流体バッファー・リザーバーから流体デバイス内に流体バッファーの体積を移動させること、を含んで成る、第18項または第19項に記載のコンピュータ読込み可能な媒体。
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