(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】モジュールポリペプチドライブラリならびにその作製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20231206BHJP
C40B 40/08 20060101ALI20231206BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20231206BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20231206BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20231206BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20231206BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20231206BHJP
C12N 9/22 20060101ALN20231206BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20231206BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20231206BHJP
C12N 15/52 20060101ALN20231206BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20231206BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20231206BHJP
G01N 33/68 20060101ALN20231206BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20231206BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C40B40/08
C07K14/705
C12N9/12
C12N9/16 B
C12N5/078
C07K14/47
C12N9/22
C12N15/55
C12N15/54
C12N15/52 Z
C12N15/12
C07K16/28
G01N33/68
C07K19/00
C12N15/62 Z
(21)【出願番号】P 2021076671
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2018509533の分割
【原出願日】2016-08-31
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2015-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】リム,ウェンデル エー.
(72)【発明者】
【氏名】コイル,スコット エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴードレイ,ラッセル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロイボール,コレ ティー.
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0152059(US,A1)
【文献】国際公開第2015/123642(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/127261(WO,A1)
【文献】PLOS one,2013年,Vol.8,e63037, p.1-10,doi:10.1371/journal.pone.0063037
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/62
C12Q 1/6869
C07K 19/00
C40B 40/08
G01N 33/68
C07K 14/705
C12N 9/12
C12N 9/16
C12N 5/078
C07K 14/47
C12N 9/22
C12N 15/55
C12N 15/54
C12N 15/52
C12N 15/12
C07K 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクスビボおよび/またはインビトロで、細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定する方法であって、
a)核酸のバーコードライブラリを宿主細胞へ導入することにより、遺伝子組換え宿主細胞の不均質な集団を生成することであって、このとき核酸の前記バーコードライブラリが複数のメンバーを含み、複数のメンバーのそれぞれが、異なる合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、2つ以上の可変モジュールをコードし、互いにインフレームにある2つ以上のコード配列を含むコード領域と、2つ以上の固有バーコードを含むバーコード領域とを含み、このとき前記コード領域内のそれぞれの可変モジュールが、前記バーコード領域内の特定の固有バーコードと相関している、生成することと、
b)刺激物に応答して選択した表現型を示す遺伝子組換え宿主細胞を前記不均質な集団内において同定することと、
c)(b)の同定した宿主細胞から、シークエンシングにより前記バーコード領域を同定および/または定量化することにより、前記選択した表現型を示す合成モジュールポリペプチドおよび/またはその
可変モジュールを同定することと
を含み、前記宿主細胞が哺乳動物の初代細胞および不死化細胞株から選択され、前記合成モジュールポリペプチドがモジュール受容体である、方法。
【請求項2】
核酸のバーコードライブラリを作製する方法であって、
この核酸のバーコードライブラリが複数のメンバーを含み、当該複数のメンバーのそれぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記方法が、
第1のバーコード配列に連結した第1のモジュールコード配列を含む第1のポリヌクレオチドを、第2のバーコード配列に連結した第2のモジュールコード配列を含む第2のポリヌクレオチドと、前記第2の
モジュールコード配列と前記第2のバーコード配列との間の連結部において、前記第1のポリヌクレオチドを前記第2のポリヌクレオチドへと挿入して、バーコード化バイモジュールポリヌクレオチドを生成するのに十分な条件下で、接触させることを含み、
前記バーコード化バイモジュールポリヌクレオチドが、前記第2のバーコード配列に連結した前記第1のバーコード配列に連結した前記第1のモジュールコード配列にインフレームで連結した前記第2のモジュールコード配列を含み、
各固有合成モジュールポリペプチドがモジュール受容体である、方法。
【請求項3】
前記モジュール受容体がキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のメンバーが、抗原結合ドメイン、特異的結合ドメインまたは特異的結合パートナータンパク質、共刺激ドメイン、共抑制ドメイン、細胞内タンパク質、膜貫通ドメイン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモジュールドメインを含むモジュール受容体をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記CARが、1つまたは複数のT細胞共調節ドメインを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記共調節ドメインが、配列番号19~42のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記CARが、抗BCMA、抗CD123、抗CD138、抗CD171、抗CD19、抗CD22、抗CD30、抗CD33、抗CD7、抗CD70、抗CEA、抗EGFRvIII、抗EPCAM、抗EphA2、抗ErbB、抗FAP、抗GD2、抗GPC3、抗HER2、抗IL1RAP、抗Kappa、抗LeY、抗Meso、抗MG7、抗MUC1、抗NKG2D、抗PSCA、および抗ROR1抗原結合ドメインから選択される抗原結合ドメインを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記CARが、1つまたは複数の免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドが、配列番号107~132のアミノ酸配列に少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記CARが、それぞれの鎖に二量体化ドメインを含む条件付き活性化CARであり、その二量体結合対が、FK506結合タンパク質(FKBP)およびFKBP;FKBPおよびカルシニューリン触媒サブユニットA;FKBPおよびシクロフィリン;FKBPおよびFKBP-ラパマイシン結合タンパク質;ジャイレースB(GyrB)およびGyrB;ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびDHFR;DmrBおよびDmrB;PylおよびABI;Cry2およびCIB1;GAIおよびGID1から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記宿主細胞が、T細胞およびNK細胞から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
核酸のバーコードライブラリであって、
それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、それぞれの固有ポリヌクレオチドが、
i)第2のモジュールをコードする第2のコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールをコードする第1のコード配列を含む、前記固有合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域と、
ii)前記第2のコード配列に特異的な第2のバーコードに連結した前記第1のコード配列に特異的な第1のバーコードを含むマルチユニットバーコード領域と、
を含み、前記第1および第2のバーコードが、前記第1および第2のコード配列と比較して逆順の5´トゥ3´であり、
それぞれのマルチユニットバーコード領域をシークエンシングすることにより、それぞれの固有合成モジュールポリペプチドの同定が可能となり、
各固有合成モジュールポリペプチドがモジュール受容体である、バーコードライブラリ。
【請求項13】
前記第1および第2のコード配列が、非コードヌクレオチドを何ら介在させずに直接連結している、請求項12に記載のライブラリ。
【請求項14】
インビトロでプールされ、プールライブラリが少なくとも96の固有ライブラリメンバーを含む、請求項12または13に記載のライブラリ。
【請求項15】
それぞれが、請求項12から14のいずれか一項に記載の核酸のバーコードライブラリの固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、
それぞれのバーコード領域をシークエンシングすることにより、ライブラリのそれぞれの細胞のそれぞれの固有合成モジュールポリペプチドの同定が可能となり、前記細胞が哺乳動物の初代細胞および不死化細胞株から選択される、細胞ライブラリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2015年9月1日に出願された米国特許仮出願第62/212,999号の利益を主張するものであり、その全体は本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援の研究に関する声明文
本発明は、国立衛生研究所による認可番号EY016546、P50 GM081879、R01 CA196277、F32 GM006499、及び、R01 GM055040のもとで、政府による支援を受けて成立した。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
テキストファイルとして提供した配列表の参照による組み込み
配列表は、本明細書にて、2016年8月29日に作成され、145KBのサイズを有するテキストファイル、「UCSF-518WO SeqList_ST25.txt」として提供される。テキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
序文
多くの真核細胞タンパク質は、タンパク質全体としての入力及び出力機能を制御または促進するモジュールドメインまたはモチーフを介して機能する。真核細胞タンパク質のモジュールドメインの再構成及び組換えにより、入力/出力関係を変化させて完全に新規の総合的な機能を有する新規のタンパク質が既に提供され始めている。入力ドメイン及び出力ドメインの簡便な組換えを用いて個々のモジュールタンパク質の改変を成功させることにより、新規タンパク質開発へのこのモジュール法の原理証明を提供してきた。
【0005】
新規合成タンパク質(例えば、治療用細胞に用いる)の構築は、これまで構築ごとの構築に基づいて(construct-by-construct basis)実施されてきた。同様に、このような合成タンパク質のトランスフェクション及びスクリーニングもまた、一度に1つずつスクリーニングした個々のコンストラクトを用いた、または、場合により同時にスクリーニングした少数の個々のコンストラクトを用いた、低スループット手法により実施されてきた。同時スクリーニングは、個々のコンストラクトを一度に1つずつスクリーニングすることと比較してより効率的ではあるが、良好に機能するコンストラクトを最終段階で容易に同定するには個々のコンストラクトを物理的に分離させておく必要があるため、拡張性には限界がある。多数の新規タンパク質を別々にスクリーニングすることは、インビトロでアッセイを行う際に負担となるが、インビボモデルで行うアッセイに試験が進んだ際には更に手に負えないほど厄介となり高価となる。このような個々の作製及び個別スクリーニングは、新規合成タンパク質の開発速度を著しく制限する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、合成モジュールポリペプチドライブラリ、及び、このような合成モジュールポリペプチドライブラリをコードする核酸を提供する。合成モジュールポリペプチドライブラリの作製方法、及び、合成モジュールポリペプチドライブラリをコードする核酸の製造方法もまた提供する。合成モジュールポリペプチドライブラリをスクリーニングして、合成モジュールポリペプチドライブラリのメンバーに関連する選択した表現型を同定する方法もまた提供するが、このような方法は、インビトロアッセイ及びインビボアッセイの両方において有用である。
【0007】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法を提供し、方法は以下の内容を含む。a)核酸のバーコードライブラリを宿主細胞に導入することにより、遺伝子組換え宿主細胞の不均質な集団を生成すること(核酸のバーコードライブラリは複数のメンバーを含み、複数のメンバーのそれぞれは、異なる合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む)、及び、b)刺激物に応答して選択した表現型を示す遺伝子組換え宿主細胞を不均質な集団内において同定すること。
【0008】
方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドはキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドであり、刺激物は、その表面にCARが結合した抗原を示す抗原提示細胞である。
【0009】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、刺激物は共刺激分子と接触する。
【0010】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドはモジュール受容体ポリペプチドである。
【0011】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドはキメラNotch受容体ポリペプチドである。
【0012】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、刺激物は、キメラNotch受容体ポリペプチドのリガンドである。
【0013】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドはモジュール足場タンパク質である。
【0014】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドは、モジュールタンパク質キナーゼまたはホスファターゼタンパク質である。
【0015】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドはモジュール転写制御因子タンパク質である。
【0016】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドはモジュールエピジェネティック制御因子タンパク質である。
【0017】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、合成モジュールポリペプチドは、モジュールリコンビナーゼまたはヌクレアーゼタンパク質である。
【0018】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、選択した表現型は、2つ以上の表現型を含む表現型特徴を含む。
【0019】
同定した遺伝子組換え宿主細胞のバーコードをシークエンシングして、表現型に関連する合成モジュールポリペプチドを同定することを含む、細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供する。
【0020】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、方法は、表現型に関連する合成モジュールポリペプチドを定量化することを含む。
【0021】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、方法は、表現型に関連する、核酸のバーコードライブラリ中の合成モジュールポリペプチドにおける個々のモジュールを定量化することを含む。
【0022】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、異なる合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列はそれぞれ、合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と機能的に連結する、検出可能なレポーターをコードする配列を含み、方法は更に、発現した検出可能なレポーターに基づいて、遺伝子組換え宿主細胞の不均質な集団を区画化することを含む。
【0023】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、同定はインビトロまたはエクスビボで行われる。
【0024】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、表現型は、a)増殖、b)サイトカイン産生、c)細胞表面マーカーの発現、d)レポータータンパク質の発現、の1つまたは複数である。
【0025】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、方法は、100以上の固有メンバーを含む核酸のバーコードライブラリを含み、同定は、選択した表現型のためにライブラリにおける100以上の固有メンバーをスクリーニングすることを含む。
【0026】
細胞内の合成モジュールポリペプチドに関連する選択した表現型を同定するための方法もまた提供し、方法は、複数のメンバーを含む核酸のバーコードライブラリを含み、複数のメンバーは、抗原結合ドメイン、特異的結合ドメインまたは特異的結合パートナータンパク質、共刺激ドメイン、共抑制ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、足場タンパク質ドメイン、タンパク質キナーゼタンパク質ドメイン、タンパク質ホスファターゼタンパク質ドメイン、受容体チロシンキナーゼタンパク質ドメイン、脂質キナーゼタンパク質ドメイン、脂質ホスファターゼタンパク質ドメイン、ユビキチン化酵素タンパク質ドメイン、脱ユビキチン化酵素タンパク質ドメイン、SUMO化酵素タンパク質ドメイン、アセチル化酵素タンパク質ドメイン、脱アセチル化酵素タンパク質ドメイン、メチル化酵素タンパク質ドメイン、脱メチル化酵素タンパク質ドメイン、ヌクレアーゼタンパク質ドメイン、リコンビナーゼタンパク質ドメイン、転写因子タンパク質ドメイン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモジュールドメインを含む合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0027】
核酸のバーコードライブラリを提供し、ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、それぞれの固有ポリヌクレオチドは、i)第2のモジュールをコードする第2のコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールをコードする第1のコード配列を含む、固有合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域、ii)第2のコード配列に特異的な第2のバーコードに連結した第1のコード配列に特異的な第1のバーコードを含むバーコード領域、を含み、第1及び第2のバーコードは、第1及び第2のコード配列と比較して逆順の5´トゥ3´(5´ to 3´)であり、それぞれのバーコード領域をシークエンシングすることにより、それぞれの固有合成モジュールポリペプチドの同定が可能となる。
【0028】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、第1及び第2のコード配列は、非コードヌクレオチドを何ら介在させずに直接連結する。
【0029】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、複数の固有ポリヌクレオチドは、少なくとも1000の固有ポリヌクレオチドを含む。
【0030】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコード領域は、コード領域の5´に存在する。
【0031】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、コード領域は、バーコード領域の5´に存在する。
【0032】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、固有合成モジュールポリペプチドは、共刺激ドメインを含む。
【0033】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、第1及び第2のモジュールを含む固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、第1及び第2のモジュールは、異なる共刺激ドメインを含む。
【0034】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、それぞれの固有ポリヌクレオチドは、コード領域及び検出可能なポリペプチドをコードするレポーター配列の両方に機能的に連結したプロモーター配列を更に含み、検出可能なポリペプチドは光学的に検出可能なポリペプチドであり、例えば、光学的に検出可能な蛍光ポリペプチドを含む。
【0035】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、コード領域を含む固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、コード領域は、第2のコード配列にインフレームで連結した第3のモジュールをコードする第3のコード配列を更に含み、バーコード領域は、第2のバーコードに連結した第3のコード配列に特異的な第3のバーコードを含み、第1の、第2の及び第3のバーコードは、第1の、第2の及び第3のコード配列と比較して逆順の5´トゥ3´である。
【0036】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドである。
【0037】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュール受容体ポリペプチドポリペプチドである。
【0038】
モジュール受容体ポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリもまた提供し、モジュール受容体ポリペプチドは、キメラNotch受容体ポリペプチドである。
【0039】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュール足場タンパク質である。
【0040】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュールタンパク質キナーゼまたはホスファターゼタンパク質である。
【0041】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュール転写制御因子タンパク質である。
【0042】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュールエピジェネティック制御因子タンパク質である。
【0043】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュールリコンビナーゼまたはヌクレアーゼタンパク質である。
【0044】
核酸のバーコードライブラリもまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、複数の固有ポリヌクレオチドを含み、複数のそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、抗原結合ドメイン、特異的結合ドメインまたは特異的結合パートナータンパク質、共刺激ドメイン、共抑制ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、足場タンパク質ドメイン、タンパク質キナーゼタンパク質ドメイン、タンパク質ホスファターゼタンパク質ドメイン、受容体チロシンキナーゼタンパク質ドメイン、脂質キナーゼタンパク質ドメイン、脂質ホスファターゼタンパク質ドメイン、ユビキチン化酵素タンパク質ドメイン、脱ユビキチン化酵素タンパク質ドメイン、SUMO化酵素タンパク質ドメイン、アセチル化酵素タンパク質ドメイン、脱アセチル化酵素タンパク質ドメイン、メチル化酵素タンパク質ドメイン、脱メチル化酵素タンパク質ドメイン、ヌクレアーゼタンパク質ドメイン、リコンビナーゼタンパク質ドメイン、転写因子タンパク質ドメイン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモジュールドメインを含む。
【0045】
細胞ライブラリを提供し、ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、固有ポリヌクレオチドを含む複数の細胞を含み、それぞれの固有ポリヌクレオチドは、i)第2のモジュールをコードする第2のコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールをコードする第1のコード配列を含む、固有合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域、ii)第2のコード配列に特異的な第2のバーコードに連結した第1のコード配列に特異的な第1のバーコードを含むバーコード領域、を含み、第1及び第2のバーコードは、第1及び第2のコード配列と比較して逆順の5´トゥ3´であり、それぞれのバーコード領域をシークエンシングすることにより、ライブラリのそれぞれの細胞における、それぞれの固有合成モジュールポリペプチドの同定が可能となる。
【0046】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞は、原核細胞または真核細胞である。細胞ライブラリもまた提供し、真核細胞はヒト細胞である。細胞ライブラリもまた提供し、ヒト細胞はヒトT細胞である。
【0047】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、第2のモジュールをコードする第2のコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールをコードする第1のコード配列を含む、固有合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域を含む、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、固有ポリヌクレオチドを含む複数の細胞を含み、第1及び第2のコード配列は、非コードヌクレオチドを何ら介在させずに直接連結する。
【0048】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、第2のモジュールをコードする第2のコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールをコードする第1のコード配列を含む、固有合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域を含む、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、固有ポリヌクレオチドを含む複数の細胞を含み、コード領域は、第2のコード配列にインフレームで連結したレポーターをコードするレポーターコード配列を更に含む。
【0049】
第2のコード配列にインフレームで連結したレポーターをコードするレポーターコード配列を含む細胞ライブラリもまた提供し、レポーターはエピトープタグである。
【0050】
第2のコード配列にインフレームで連結したレポーターをコードするレポーターコード配列を含む細胞ライブラリもまた提供し、レポーターは蛍光タンパク質である。
【0051】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む複数の細胞を含み、複数の細胞は、少なくとも1000の固有ポリヌクレオチドを含む。
【0052】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域を含むヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、コード領域は、第2のコード配列にインフレームで連結した第3のモジュールをコードする第3のコード配列を更に含み、バーコード領域は、第2のバーコードに連結した第3のコード配列に特異的な第3のバーコードを含み、第1の、第2の及び第3のバーコードは、第1の、第2の及び第3のコード配列と比較して逆順の5´トゥ3´である。
【0053】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドである。
【0054】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュール受容体ポリペプチドである。
【0055】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、モジュール受容体ポリペプチドはキメラNotch受容体ポリペプチドである。
【0056】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュール足場タンパク質である。
【0057】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュールタンパク質キナーゼまたはホスファターゼタンパク質である。
【0058】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュール転写制御因子タンパク質である。
【0059】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュールエピジェネティック制御因子タンパク質である。
【0060】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、モジュールリコンビナーゼまたはヌクレアーゼタンパク質である。
【0061】
細胞ライブラリもまた提供し、細胞ライブラリは、それぞれが、固有合成モジュールポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む固有ポリヌクレオチドを含む、複数の細胞を含み、複数の細胞におけるそれぞれの固有ポリヌクレオチドによりコードされる固有合成モジュールポリペプチドは、抗原結合ドメイン、特異的結合ドメインまたは特異的結合パートナータンパク質、共刺激ドメイン、共抑制ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、足場タンパク質ドメイン、タンパク質キナーゼタンパク質ドメイン、タンパク質ホスファターゼタンパク質ドメイン、受容体チロシンキナーゼタンパク質ドメイン、脂質キナーゼタンパク質ドメイン、脂質ホスファターゼタンパク質ドメイン、ユビキチン化酵素タンパク質ドメイン、脱ユビキチン化酵素タンパク質ドメイン、SUMO化酵素タンパク質ドメイン、アセチル化酵素タンパク質ドメイン、脱アセチル化酵素タンパク質ドメイン、メチル化酵素タンパク質ドメイン、脱メチル化酵素タンパク質ドメイン、ヌクレアーゼタンパク質ドメイン、リコンビナーゼタンパク質ドメイン、転写因子タンパク質ドメイン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモジュールドメインを含む。
【0062】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法を提供し、方法は、第2のコード配列と第2のバーコード配列との間の連結部において、第1のポリヌクレオチドを第2のポリヌクレオチドへと挿入して、バーコード化バイモジュールポリヌクレオチドを生成するのに十分な条件下で、第1のバーコード配列に連結した第1のモジュールコード配列を含む第1のポリヌクレオチドを、第2のバーコード配列に連結した第2のモジュールコード配列を含む第2のポリヌクレオチドと接触させることを含み、バーコード化バイモジュールポリヌクレオチドは、第2のバーコード配列に連結した第1のバーコード配列に連結した第1のモジュールコード配列にインフレームで連結した第2のモジュールコード配列を含む。
【0063】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、方法は、第1及び第2のポリヌクレオチドを、第3のバーコード配列に連結した第3のモジュールコード配列を含む第3のポリヌクレオチドと接触させて、第1のコード配列と第1のバーコード配列との間の連結部において、第3のポリヌクレオチドを第1のポリヌクレオチドへと挿入して、バーコード化トリモジュールポリヌクレオチドを生成することを更に含み、バーコード化トリモジュールポリヌクレオチドは、第2のバーコード配列に連結した第1のバーコード配列に連結した第3のバーコード配列に連結した第3のモジュールコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールコード配列にインフレームで連結した第2のモジュールコード配列を含む。
【0064】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、第1及び第2のモジュールコード配列は、非コードヌクレオチドを何ら介在させずにインフレームで連結している。
【0065】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、バーコードライブラリは、それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする1000以上の固有核酸を含む。
【0066】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、バーコード配列は、モジュールコード配列の5´側、または、モジュールコード配列の3´側に存在する。
【0067】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、第2のコード配列と第2のバーコード配列との間の連結部における第1のポリヌクレオチドの第2のポリヌクレオチドへの挿入は、制限酵素活性が関与し、制限酵素は、第2のポリヌクレオチド上の制限酵素認識部位を認識し、第2のコード配列と第2のバーコード配列との間の第2のポリヌクレオチドを開裂させ、用いる制限酵素はType II制限酵素を含み、用いる制限酵素はType IIS制限酵素を含む。
【0068】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、第1のポリヌクレオチドはまた、第2のポリヌクレオチド上に存在する制限酵素認識部位を含む。
【0069】
それぞれが固有合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、方法は、第1のモジュールコード配列と第1のバーコード配列との間の連結部において、レポーターコードポリヌクレオチドをバーコード化バイモジュールポリヌクレオチドへと挿入して、レポーターが連結したバーコード化バイモジュールポリヌクレオチドを生成するのに十分な条件下で、バーコード化バイモジュールポリヌクレオチドを、レポーターコードポリヌクレオチドと接触させることを更に含み、レポーターが連結したバーコード化バイモジュールポリヌクレオチドは、第2のバーコード配列に連結した第1のバーコード配列に連結したレポーターコード配列にインフレームで連結した第1のモジュールコード配列にインフレームで連結した第2のモジュールコード配列を含む。バーコードライブラリを作製するための方法もまた提供し、レポーターコード配列は、エピトープタグまたは蛍光レポーターをコードする。
【0070】
合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるキメラ抗原受容体(CAR)を提供し、CARは、表3または表4に記載の共調節ドメインを少なくとも1つ含む。
【0071】
合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARもまた提供し、CARは抗CD19抗原結合ドメインを含む。
【0072】
合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARもまた提供し、CARはCD3ζ第1シグナル伝達ドメインを含む。
【0073】
合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARもまた提供し、CARは、T細胞活性を刺激し、表3に記載の共刺激ドメインを少なくとも1つ含む。
【0074】
合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARもまた提供し、CARは、T細胞活性を抑制し、表4に記載の共抑制ドメインを少なくとも1つ含む。
【0075】
合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARをコードする核酸もまた提供し、例えば、本明細書に記載のCARのいずれかを含む。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】本開示の一実施形態に従い、ライブラリアセンブリにサブクローニングしたバーコード化モジュール配列を示す図である。
【
図2】ライブラリアセンブリ作製中における、Type IIS制限酵素消化後の
図1のバーコード化モジュール配列を示す図である。
【
図3】
図1(Type IIS制限酵素(RE)消化前、配列番号:16)、及び、CD28共刺激ドメインをコードする配列(Type IIS RE消化済み断片の翻訳、配列番号:18)を含む
図2(Type IIS RE消化後、配列番号:17)に従った、配列断片の例を示す図である。
【
図4-1】表1を提供する図である。表1内の配列における配列識別子を以下に示す。インデックス1-配列番号:19、インデックス2-配列番号:20、インデックス3-配列番号:21、インデックス4-配列番号:22、インデックス5-配列番号:23、インデックス6-配列番号:24、インデックス7-配列番号:25、インデックス8-配列番号:26、インデックス9-配列番号:27、インデックス10-配列番号:28、インデックス11-配列番号:29、インデックス12-配列番号:30、インデックス13-配列番号:31、インデックス14-配列番号:32、インデックス15-配列番号:33、インデックス16-配列番号:34、インデックス17-配列番号:35、インデックス18-配列番号:36、インデックス19-配列番号:37、インデックス20-配列番号:38、インデックス21-配列番号:39、インデックス22-配列番号:40、インデックス23-配列番号:41、インデックス24-配列番号:42、インデックス25-配列番号:43、インデックス26-配列番号:44、インデックス27-配列番号:45、インデックス28-配列番号:46、インデックス29-配列番号:47、インデックス30-配列番号:48、インデックス31-配列番号:49、インデックス32-配列番号:50、インデックス33-配列番号:51、インデックス34-配列番号:52、インデックス35-配列番号:53、インデックス36-配列番号:54、インデックス37-配列番号:55、インデックス38-配列番号:56、インデックス39-配列番号:57、インデックス40-配列番号:58、インデックス41-配列番号:59、インデックス42-配列番号:60、インデックス43-配列番号:61、インデックス44-配列番号:62、インデックス45-配列番号:63、インデックス46-配列番号:64、インデックス47-配列番号:65、インデックス48-配列番号:66、インデックス49-配列番号:67、インデックス50-配列番号:68、インデックス51-配列番号:69、インデックス52-配列番号:70、インデックス53-配列番号:71、インデックス54-配列番号:72、インデックス55-配列番号:73、インデックス56-配列番号:74、インデックス57-配列番号:75、インデックス58-配列番号:76、インデックス59-配列番号:77、インデックス60-配列番号:26、インデックス61-配列番号:26、インデックス62-配列番号:26。
【
図5】本開示の一実施形態に従い、バーコード化2次元共調節モジュールライブラリを段階的にアセンブリするための一般スキームを示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に従い、62×62 2次元共調節モジュールライブラリを作製するための一般スキームを示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に従った、1次元キメラ抗原受容体(CAR)ライブラリメンバーの一般的な構成を示す図である。
【
図8】T細胞を発現する刺激CARの、得られた活性化レベルに基づいた機能性ソート(すなわち、ビン化)を示す図である。
【
図9】モジュール特異的バーコードに対して定量的シークエンシングを行うことによる、ライブラリにおけるそれぞれの共調節ドメインのT細胞活性への相対的影響の定量化を示す図である。
【
図10】62メンバーの1次元ライブラリを用いることで得た3つの抗原入力レベルについての、6つの共調節ドメインにおける用量反応特性を示す図である。
【
図11】本開示の一実施形態に従い、CARにおける様々なドメインがライブラリ内において変化し得ることを示す、CARライブラリの非限定的な例を示す図である。
【
図12】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図13】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図14】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図15】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図16】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図17】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図18】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図19】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図20】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図21】本明細書に記載のバーコード化モジュールコード配列の図式化したアセンブリ手法を示す図である。
【
図22】本開示の実施形態に従い、モジュールキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリの組み合わせ入れ子アセンブリの図式化した手法を示す図である。
【
図23】本開示の実施形態に従い、プール細胞モジュールCARライブラリ作製の図式化を示す図である。
【
図24】本開示の実施形態に従い、インビトロ用及び/またはインビボ用での表現型検出及びモジュールポリペプチド同定の統合方法に関して図式化した例を示す図である。
【
図26】アセンブリしたライブラリをディープシークエンシングすることで測定した、61×61 2次元ライブラリのそれぞれのメンバーにおける全発現を示す図である。
【
図27】本明細書に記載の正規化前組み合わせ核酸ライブラリメンバーのシークエンシングによる定量化を示す図である。
【
図28】
図27で定量化したライブラリメンバーに関する正規化調整を計算するのに用いた線形方程式を示す図である。
【
図29】本明細書に記載の方法に従い行った正規化調整の予測可能性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
定義
用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、本明細書において同じ意味で用いられ、任意の長さを有するヌクレオチドのポリマー形態(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれか)のことを意味する。それゆえ、この用語は、一本鎖、二本鎖、もしくは多本鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、または、プリン塩基及びピリミジン塩基、もしくは、その他の天然ヌクレオチド塩基、化学的に修飾したヌクレオチド塩基もしくは生化学的に修飾したヌクレオチド塩基、非天然ヌクレオチド塩基、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマー、を含むがこれらに限定されない。
【0078】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において同じ意味で用いられ、任意の長さを有するアミノ酸のポリマー形態のことを意味し、遺伝的にコードされたアミノ酸もしくは遺伝的にコードされていないアミノ酸、または、化学的にもしくは生化学的に修飾もしくは誘導体化されたアミノ酸、及び、修飾ペプチド主鎖を有するポリペプチドを含んでいてもよい。この用語は、非相同アミノ酸配列を有する融合タンパク質、非相同及び相同リーダー配列を有する融合、N末端メチオニン残基を含むまたは含まない融合、免疫学的にタグを付加したタンパク質などを含むがこれらに限定されない、融合タンパク質を含む。
【0079】
用語「ドメイン」及び「モチーフ」は、本明細書において同じ意味で用いられ、1つまたは複数の特定の機能を有する構造ドメイン、及び、ポリペプチドの非構造部分(非構造ではあるが、1つまたは複数の特定の機能を保持する)の両方を意味する。例えば、構造ドメインは、ポリペプチドの特定の機能に寄与する3次元構造体を含む折り畳まれたポリペプチド内の、連続的または不連続的な複数のアミノ酸またはその一部を包含し得るがこれらに限定されない。その他の例では、ドメインは、アンフォールディングまたは変性していてもポリペプチドの特定の機能を保持し、複数の2個以上のアミノ酸またはその一部を含む、ポリペプチドの非構造部分を含んでいてもよい。この定義内にはまた、変性または非構造化されても、標的パートナーまたは結合パートナーと会合すると構造化または正常化し得るドメインが包含される。本質的に非構造なドメイン及び本質的に非構造なタンパク質のドメインの非限定例は、例えば、Dyson & Wright.Nature Reviews Molecular Cell Biology 6:197-208に記載されている。
【0080】
本発明で使用する場合、用語「モジュール」とは、一部の機能、特に、生物学的機能に関連する、隣接ポリペプチド配列またはその断片のことを意味する。
【0081】
用語「キメラ抗原受容体」及び「CAR」は、本明細書において同じ意味で用いられ、免疫細胞の活性化を誘発または抑制することができる人工マルチモジュール分子のことを意味し、通常は、細胞外ドメイン(例えば、リガンド/抗原結合ドメイン)、膜貫通ドメイン、及び、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含むがこれらに限定されない。用語「CAR」は特にCAR分子に限定されず、CAR変異体もまた含む。CAR変異体は分割CARを含み、CARの細胞外部分(例えば、リガンド結合部位)及び細胞内部分(例えば、細胞内シグナル伝達部位)は、2つの別々の分子上に存在する。CAR変異体としては更に、条件付きで活性化可能/抑制可能なCARであるON-switch CAR及びOFF-switch CARが挙げられ、例えば、分割CARを含み、分割CARの2つの部分における条件付きヘテロ二量体化は、薬理学的に制御される。CAR変異体としては更に、二重特異性CARが挙げられ、1番目のCARの活性化を増強または抑制し得る(どちらか一方)2番目のCAR結合ドメインを含む。CAR変異体としては更に、例えば、二重特異性CAR機構の構成要素として用いることが可能な抑制性キメラ抗原受容体(iCAR)が挙げられ、2番目のCAR結合ドメインの結合が、1番目のCARの活性化を抑制することにつながる。CAR分子及びその誘導体(すなわち、CAR変異体)については、例えば、PCT出願番号US2014/016527、Fedorov et al.Sci Transl Med(2013);5(215):215ra172;Glienke et al.Front Pharmacol(2015)6:21;Kakarla & Gottschalk 52 Cancer J(2014)20(2):151-5;Riddell et al.Cancer J(2014)20(2):141-4;Pegram et al.Cancer J(2014)20(2):127-33;Cheadle et al.Immunol Rev(2014)257(1):91-106;Barrett et al.Annu Rev Med(2014)65:333-47;Sadelain et al.Cancer Discov(2013)3(4):388-98;Cartellieri et al.,J Biomed Biotechnol(2010)956304に記載されている(その開示全体は本明細書に参照として組み込まれる)。
【0082】
用語「遺伝子」とは、生物の遺伝成分内にある特定の遺伝子座に存在する、特定の遺伝単位のことを意味する。遺伝子は核酸配列であってもよく、例えば、生物の核酸ゲノム内、DNAゲノムまたはRNAゲノム内に存在するDNA配列またはRNA配列が挙げられ、一部の例においては、染色体上に存在していてもよい。遺伝子は、タンパク質をコードするmRNAをコードするDNA配列であってもよい。遺伝子は、単一エキソンからなりイントロンがなくてもよく、または、複数のエキソン及び1つまたは複数のイントロンを含んでいてもよい。特定の遺伝子座に存在する遺伝子の2つ以上の同一または代替形態の一方は、「対立遺伝子」と呼ばれており、例えば、二倍体生物は通常、特定の遺伝子において2つの対立遺伝子を有している。特定の遺伝子における新しい対立遺伝子は、自然突然変異または誘発突然変異を介した、自然または人為的のいずれか一方で生成される場合があり、交配またはクローニングを介して遺伝する。遺伝子または対立遺伝子を生物のゲノムから単離して、複製及び/または操作してもよく、あるいは、遺伝子治療法を用いて遺伝子または対立遺伝子をin situで改変してもよい。遺伝子または対立遺伝子の遺伝子座は調節因子と結合していてもよく、また一部の例において、遺伝子治療は、遺伝子または対立遺伝子のコード配列を未改変のまま残しつつ、遺伝子または対立遺伝子の調節因子を調整することを含んでいてもよい。
【0083】
「機能的に連結する」とは、近位であり、そのように記載した構成要素同士が意図したように機能する関係のことを意味する。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターはコード配列と機能的に連結している。
【0084】
「ベクター」または「発現ベクター」とは、細胞内において付加したセグメントの複製をもたらすように、別のDNAセグメント、すなわち「インサート」を付加可能な、レプリコン、例えば、プラスミド、ファージ、ウイルス、または、コスミドのことである。
【0085】
本発明で使用する場合、「非相同」とは、天然(例えば、自然に発生する)の核酸またはタンパク質それぞれには見られない、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のことを意味する。
【0086】
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、抗原に対する特異的結合を維持する抗体フラグメントを含み、Fab、Fv、scFv及びFdフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、ならびに、抗体の抗原結合部位及び非抗体タンパク質の抗原結合部位を含む融合タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。
【0087】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、例えば、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント、ディアボディ、直鎖状抗体(Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995))、一本鎖抗体分子、ならびに、抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、それぞれが1つの抗原結合部位を有し「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、及び、残りの「Fc」フラグメント(容易に結晶化可能であることを意味する呼称)がもたらされる。ペプシン処理により、なおも抗原に架橋可能な2つの抗原結合部位を有するF(ab’)2フラグメントが生じる。
【0088】
「一本鎖Fv」抗体フラグメントまたは「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、これらドメインは1本のポリペプチド鎖内に存在する。一部の実施形態では、Fvポリペプチドは更に、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを含み、そのリンカーは、sFvが抗原結合に適切な構造を形成することを可能とする。sFvについて確認するため、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0089】
本発明で使用する場合、用語「親和性」とは、2つの物質の可逆結合における平衡定数のことを意味し、また解離定数(Kd)と表現される。親和性は、無関係なアミノ酸配列に対する抗体親和性の、少なくとも1倍超、少なくとも2倍超、少なくとも3倍超、少なくとも4倍超、少なくとも5倍超、少なくとも6倍超、少なくとも7倍超、少なくとも8倍超、少なくとも9倍超、少なくとも10倍超、少なくとも20倍超、少なくとも30倍超、少なくとも40倍超、少なくとも50倍超、少なくとも60倍超、少なくとも70倍超、少なくとも80倍超、少なくとも90倍超、少なくとも100倍超、もしくは、少なくとも1000倍超、またはそれ以上であってもよい。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル(nM)~0.1nM、約100nM~約1ピコモル(pM)、もしくは、約100nM~約1フェムトモル(fM)、またはそれ以上であってもよい。
【0090】
用語「結合」とは、例えば、塩橋及び水素橋などの相互作用を含む、共有結合、静電結合、疎水結合、ならびに、イオン結合及び/または水素結合の相互作用による、2つの分子間の直接会合のことを意味する。非特異的結合とは、約10-7M未満の親和性を有する結合、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mなどの親和性を有する結合のことを意味し得る。
【0091】
本発明で使用する場合、用語「免疫細胞」は、一般に、骨髄内で産生された造血幹細胞(HSC)から誘導される白血球(white blood cells)(白血球(leukocytes))を含む。「免疫細胞」は、例えば、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)、及び、骨髄由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)を含む。
【0092】
「T細胞」は、CD3を発現する全てのタイプの免疫細胞を含み、例えば、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8+細胞)、T抑制細胞(Treg)、及び、ガンマ-デルタT細胞を含む。
【0093】
「細胞傷害性細胞」は、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び、好中球を含み、それら細胞は、細胞傷害性反応を媒介することができる。
【0094】
本発明で使用する場合、用語「幹細胞」は、一般に、多能性(pluripotent)幹細胞または多能性(multipotent)幹細胞を含む。「幹細胞」は、例えば、胚性幹細胞(ES)、間葉系幹細胞(MSC)、人工多能性幹細胞(iPS)、及び、委任前駆細胞(造血幹細胞(HSC)、骨髄由来細胞など)を含む。
【0095】
本発明で使用する場合、用語「治療」、「治療する」などは、望ましい薬理学的効果及び/または生理学的効果を得ることを意味する。その効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという観点において予防的であり得、及び/または疾患及び/またはその疾患に起因する副作用の部分的または完全な治癒という観点において治療的であり得る。本発明で使用する場合、「治療」は、哺乳動物、例えば、ヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)その疾患にかかりやすいが、まだそれを有すると診断されていない対象における発病を予防すること、(b)その疾患を抑制すること、すなわち、その発現を阻止すること、及び(c)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患を退行させることを含む。
【0096】
用語「個体」、「対象」、「宿主」及び「患者」は、本明細書において同じ意味で用いられ、哺乳動物のことを意味し、それら哺乳動物としては、ネズミ科(例えば、ラット、マウス)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、有蹄類(例えば、ウマ科、ウシ科、ヒツジ類、ブタ類、ヤギ類)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0097】
「治療有効量」または「有効量」とは、疾患を治療するために哺乳動物またはその他の対象へと投与する際に、疾患に対するこのような治療が十分効果的となる、1種の薬剤の量、または、2種の薬剤を混ぜ合わせた量のことを意味する。「治療有効量」は、薬剤(複数可)、疾患及びその重症度、ならびに、治療を受ける対象の年齢、体重などによって異なる。
【0098】
用語「対照」、「対照反応」、「対照アッセイ」などは、予測結果が確実性高く既知である、反応、試験、または、実験もしくは診断手順、もしくは、実験設計におけるその他一部のことを意味し、例えば、関連実験試料から得た結果が信頼できるものかどうかを示すためのもの、関連実験結果が真の結果をどの程度確実に表すかを示すためのもの、及び/または、実験結果の較正を可能とするものである。例えば、一部の例において、対照は、アッセイの必須成分が陰性対照反応から除外されるような、陰性対照反応が陽性結果を生じさせないと実験者が強い確信を持ち得るような、「陰性対照」であってもよい。一部の例において、対照は、組み合わせる際、特定のアッセイにおける全成分が特性決定され既知であり、実施するアッセイにおいて特定の結果を生じさせるような、陽性対照反応が陰性結果を生じさせないと実験者が強い確信を持ち得るような、「陽性対照」であってもよい。
【0099】
本発明で使用する場合、用語「プライマー」または「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、プライマー伸長産物の合成を誘発させる条件下に置いたとき、例えば、ヌクレオチド、及び、DNAまたはRNAポリメラーゼなどの重合を誘導する物質の存在下、適切な温度、pH、金属濃度、及び、塩濃度で、相補的な核酸鎖の合成を開始させるように作用するオリゴヌクレオチドのことを意味する。プライマーは通常、プライマー伸長産物の合成に用いるのに適した長さであり、その長さは、8~100ヌクレオチドの範囲、例えば、10~75、15~60、15~40、18~30、20~40、21~50、22~45、25~40などであってもよく、18~40の、20~35の、21~30のヌクレオチド長の範囲、及び、明示した範囲間の任意の長さを含む。一部の例において、プライマーは、10~50ヌクレオチド長の範囲、例えば、15~45、18~40、20~30、21~25など、及び、明示した範囲の任意の長さであってもよい。一部の実施形態では、プライマーは通常、長さが、約10、約12、約15、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、または、約70ヌクレオチド以下である。
【0100】
用語「ハイブリダイズ」及び「ハイブリダイゼーション」とは、ワトソンクリック型塩基対による複合体を形成するのに十分相補的なヌクレオチド配列間における複合体の形成のことを意味する。例えば、プライマーが標的(鋳型)と「ハイブリダイズ」する場合、このような複合体(またはハイブリッド)は、例えば、DNA合成を開始させるDNAポリメラーゼに必要なプライミング機能を満たすのに十分安定である。
【0101】
「生体試料」は、個体または個体集団から得た様々な試料種を包含し、診断用アッセイ、モニタリングアッセイ、または、スクリーニングアッセイに用いることができる。本定義は、血液、及び生体起源のその他液体試料、生検標本もしくは組織培養物またはそれから誘導した細胞及びその後代などの固体組織試料を包含する。本定義は更に、試料の入手後に、任意の方法、例えば、個々の試料を混合またはプールすること、試薬で処理すること、可溶化すること、または、特定の構成成分(細胞、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなど)を濃縮することなどで操作した試料を含む。用語「生体試料」は、臨床試料を包含し、また更に、培養物中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、体液、及び、組織試料を含む。用語「生体試料」は、尿、唾液、脳脊髄液、間質液、眼液、滑液、血液画分(血漿及び血清など)などを含む。用語「生体試料」は更に、固体組織試料、組織培養試料、及び、細胞試料を含む。
【0102】
用語「評価する」は、任意形態の測定法を含み、また成分が存在するか否かを決定することを含む。用語「決定する」、「測定する」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」、及び、「アッセイする」は同じ意味で用いられ、定量的測定及び定性的測定を含む。評価することは、相対的または絶対的なものであってもよい。「存在を評価する」は、存在する何かの量を決定すること、及び/または、存在するか存在しないかを決定することを含む。本発明で使用する場合、用語「決定する」、「測定する」、「評価する」及び「アッセイする」は同じ意味で用いられ、定量的測定及び定性的測定の両方を含む。
【0103】
本発明を更に説明する前に、本発明が記載する特定の実施形態に限定されることはなく、それゆえ当然変化し得るということを理解されたい。本明細書で用いる専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、限定することを意図するものではないということを理解されたい。
【0104】
数値の範囲を提供する場合、その範囲の上限と下限との間にある各介在値(文脈上明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1まで)、及び、その明示範囲内の任意のその他明示値または介在値が本発明に包含されることを理解されたい。これら狭めた範囲の上限値および下限値は、その狭めた範囲内に独立して含まれていてもよく、また、明示範囲内において特に除外した任意の値に従い、本発明に包含される。明示範囲がそれら上限値及び下限値のうち1つまたは両方を含む場合、それら包含される上限値及び下限値のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた本発明に包含される。
【0105】
別途定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載の方法及び物質と同様または同等の任意の方法及び物質を、本発明の実施または試験において使用することもできるが、好ましい方法及び物質については以下で説明する。本明細書で言及する全ての刊行物は、それら刊行物が引用する内容と関連させて本方法及び/または物質を開示及び説明するために、参照として本明細書に組み込まれる。
【0106】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。それゆえ、例えば、「ポリペプチド」への言及は、複数のそのようなポリペプチドを含み、「抗原」への言及は、1つまたは複数の抗原及び当業者に周知のその同等物への言及を含む、などである。更に、特許請求の範囲が任意の要素を除外するように作成されてもよいということに留意されたい。したがって、この記述は、クレーム要素の列挙と関連させて、「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または、「否定的な」限定の使用が、先行詞として機能することを意図するものである。
【0107】
明確性のために、個々の実施形態との関係において記載した本発明における特定の特徴を、更に、単一の実施形態内において組み合わせて提供してもよいということを理解されたい。逆の言い方をすれば、簡潔とするため、単一の実施形態との関係において記載した本発明における様々な特徴を、更に、別々に、または、任意の好適な副組み合わせで提供してもよい。本発明に属する実施形態の全ての組み合わせは、本発明により明示的に包含され、全ての組み合わせが個別にかつ明確に開示されるかのように本明細書において開示される。加えて、様々な実施形態及びそれらの要素における全ての副組み合わせもまた、本発明により明示的に包含され、全てのこのような副組み合わせが個別にかつ明確に本明細書において開示されるかのように、本明細書において開示される。
【0108】
本明細書に記載する刊行物は、単に本願の出願日前にそれらの開示を提供したに過ぎない。本明細書におけるいずれの内容も、本発明が、先行発明によりこのような刊行物に先行する権利を持たないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供した刊行物の日付は実際の刊行日とは異なる場合があり、個別に確認する必要が生じる場合がある。
【0109】
発明の詳細な説明
本開示は、合成モジュールポリペプチドライブラリ、及び、このような合成モジュールポリペプチドライブラリをコードする核酸を提供する。合成モジュールポリペプチドライブラリの作製方法、及び、合成モジュールポリペプチドライブラリをコードする核酸の製造方法もまた提供する。合成モジュールポリペプチドライブラリをスクリーニングして、合成モジュールポリペプチドライブラリのメンバーに関連する選択した表現型を同定する方法もまた提供するが、このような方法は、インビトロアッセイ及びインビボアッセイの両方において有用である。
【0110】
ライブラリ
本開示の態様は、複数の合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のバーコードライブラリに関する。本開示の態様は更に、それぞれの細胞が、個々のバーコード化核酸を発現する細胞ライブラリを含み、当該個々のバーコード化核酸は、固有合成モジュールポリペプチドまたは複数のこのような個々のバーコード化核酸をコードする。以下でより詳細に記載するように、本開示の態様は更に、このようなライブラリの作製方法、及び、このようなライブラリをスクリーニングして特定の表現型を検出するための方法を含む。
【0111】
本開示の核酸ライブラリは通常、モジュール構成要素を組み合わせてアセンブリされており、それぞれのライブラリメンバーのモジュール構成要素における同一性及び構成の両方を同定するために読み取り可能なマルチユニットバーコードを含む。このように、核酸ライブラリのそれぞれの個々のメンバーは、コード領域及びバーコード領域を少なくとも含有する。核酸ライブラリにおける個々のメンバーに関係するのだが、本発明で使用する場合、用語「コード領域」とは、目的の合成ポリペプチドをコードするそれぞれの核酸、例えば、特定の表現型(望ましいまたは望ましくない)に影響を与えるためにスクリーニングされ得る1つまたは複数のポリペプチドモジュールを有する合成ポリペプチドの領域のことを意味する。一部の例において、コード領域は更に、例えば、目的の合成ポリペプチドの発現を検出及び/または測定するのに用いられるレポーター分子をコードする配列を含んでいてもよい。
【0112】
以下でより詳細に記載するが、コード領域は通常、単一のモジュールポリペプチドをコードする。しかしながら、この記載は、それぞれのライブラリメンバーにおけるコード領域が2つ以上の個々のモジュールポリペプチドをコードしているライブラリを除外するものではない。このようなライブラリメンバーとしては、例えば、分離可能なモジュールポリペプチドをコードする配列間に、除去可能なリンカー(例えば、配列内リボソーム進入部位(IRES)、リボソーム分岐配列、自己開裂ペプチドをコードする核酸など)を介在させた、マルチシストロン性(例えば、バイシストロン性、ポリシストロン性など)の単一のコード領域を挙げてもよい。2つ以上の個々のモジュールポリペプチドをコードする配列を含むコード領域は、隣接しており、また、単一のモジュールポリペプチドを構築するために、本明細書に記載の方法に従いアセンブリ及びスクリーニングされる。
【0113】
コード領域は可変モジュール及び不変モジュールを含有しており、合成モジュールポリペプチドの特定の部位が可変であるか、または、不変であるかは、そのライブラリの使用目的によって変わる。コード領域の可変モジュールは通常、機能特性、及び/または目的の表現型への影響のために、個々にまたは組み合わせてスクリーニングされる可変モジュールである。一般的に、可変モジュールはモジュール識別バーコードと結合しており、不変モジュールはバーコードと結合していない。任意のモジュールは、特定のライブラリ構成、及び/または、ライブラリに関連するスクリーニングに応じて、可変モジュールまたは不変モジュールとして機能してもよい。
【0114】
非限定的な例として、コード領域がキメラ抗原受容体(CAR)をコードする特定の実施形態では、CARにおける任意のモジュールは、スクリーニングされるCAR活性に応じて可変モジュールとして機能することができ、細胞外ドメイン、共抑制ドメイン、または、第1シグナル伝達ドメインを含むがこれらに限定されない。例えば、
図11では、ライブラリにおけるそれぞれのメンバーが、細胞外ドメイン、共抑制ドメイン、及び、第1シグナル伝達ドメインを含有し、それぞれのドメインが可変モジュールとして機能する例における非限定例を提供する、CARライブラリにおける単一のメンバーについて示している。
【0115】
一部の例においては、細胞外ドメインは、例えば、抗原を標的とすることを目的とする、抗原と細胞外ドメインとの間の相互作用力を目的とする、などの可変モジュールであってもよい。一部の例においては、共抑制ドメインは可変モジュールであってもよく、例えば、個々の共抑制ドメインまたは共抑制ドメインの組み合わせを機能活性を共調節するためにスクリーニングする。一部の例においては、第1シグナル伝達ドメインは可変モジュールであってもよく、例えば、異なる細胞内シグナル伝達活性をスクリーニングする。
【0116】
非限定的な例として、一部の例においては、コードされた合成モジュールポリペプチドは、細胞外結合ドメイン、開裂可能なNotch受容体ポリペプチドドメイン(結合に誘発される開裂部位を含む)、及び、細胞内ドメインを有するキメラNotch受容体ポリペプチドであってもよい。有用なキメラNotch受容体ポリペプチド及びそれらのドメインとしては、例えば、米国PCT出願第US2016/019188号(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。一部の例においては、キメラNotch受容体ポリペプチドの1つまたは複数のドメインは、例えば、細胞外結合ドメイン、Notch受容体ポリペプチドドメイン、細胞内ドメイン、細胞外結合ドメイン及びNotch受容体ポリペプチドドメイン、細胞外結合ドメイン及び細胞内ドメイン、または、Notch受容体ポリペプチドドメイン及び細胞内ドメインを含むがこれらに限定されない、可変ドメインとして機能する。
【0117】
コード領域に含まれている不変モジュールは、ライブラリにおける全てのメンバーが不変モジュールの機能を有することが望ましいように、すなわち、不変モジュールが与える機能がライブラリにおける全てのメンバー全体にわたり一定に保持されることが望ましいように、選択される。非限定的な例として、一部の例においては、上記の細胞外ドメイン、共抑制ドメイン、または、第1シグナル伝達ドメインは、望ましい不変モジュール、または、ライブラリにおける全てのメンバーが細胞外ドメイン、共抑制ドメイン、または、第1シグナル伝達ドメインの機能を有することがアッセイにとって必要な不変モジュールであってもよい。非限定的な例として、一部の例においては、上記の細胞外結合ドメイン、開裂可能なNotch受容体ポリペプチドドメイン、または、細胞内ドメインは、望ましい不変モジュール、または、ライブラリにおける全てのメンバーが細胞外結合ドメイン、開裂可能なNotch受容体ポリペプチドドメイン、または、細胞内ドメインの機能を有することがアッセイにとって必要な不変モジュールであってもよい。
【0118】
用いる特定のモジュール、及び、対象ライブラリに用いるスクリーニングアッセイにもよるが、それぞれのライブラリメンバーのコード領域は、可変モジュールのみをコードする最も単純なコード領域を有する、可変モジュール及び不変モジュールの任意の組み合わせをコードしていてもよい。一部の例においては、可変モジュールをその内部に挿入するそれぞれの個々のライブラリメンバー、例えば、それぞれのベクターは、可変モジュールの挿入前に、コード領域に可変モジュールを挿入すると可変モジュール及び既存コード配列を含むようになるような、1つまたは複数のコード配列を含んでいてもよく、不変モジュール及び/または非モジュールコード配列を含んでいてもいなくてもよい。一部の例においては、全てのライブラリメンバー内に存在するこのような既存コード配列は、「定常ドメイン」と呼ばれることもある。
【0119】
一部の例においては、コード領域は、2つ以上の可変モジュールをコードしていてもよく、例えば、3つ以上の可変モジュール、4つ以上の可変モジュール、5つ以上の可変モジュール、6つ以上の可変モジュール、7つ以上の可変モジュール、8つ以上の可変モジュールなどが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例においては、コード領域は、2つ以上の不変モジュールをコードしていてもよく、例えば、3つ以上の不変モジュール、4つ以上の不変モジュール、5つ以上の不変モジュール、6つ以上の不変モジュール、7つ以上の不変モジュール、8つ以上の不変モジュールなどが挙げられるがこれらに限定されない。コード領域内の可変モジュール及び不変モジュールの数は、コード配列のクローニング及びライブラリ構築における実施上の制約条件により制限され得る。
【0120】
固有合成モジュールポリペプチドをコードする固有ライブラリメンバーの数は、ライブラリ構築に用いる可変モジュールの数、及び、目的とするライブラリ全体の複雑性によって決まる。本明細書における一部の実施形態では、ライブラリの複雑性はライブラリの次元数(ライブラリの次元数は、ライブラリメンバーのコード領域内に存在する可変モジュールコード配列の数と関連する)を基準として記載され得る。それゆえ、1次元ライブラリは、それぞれのライブラリメンバーのそれぞれのコード領域内に1つの可変モジュールコード配列を含み、2次元ライブラリは、それぞれのライブラリメンバーのそれぞれのコード領域内に2つの可変モジュールコード配列を含み、3次元ライブラリは、それぞれのライブラリメンバーのそれぞれのコード領域内に3つの可変モジュールコード配列を含み、4次元ライブラリは、それぞれのライブラリメンバーのそれぞれのコード領域内に4つの可変モジュールコード配列を含む、などである。
【0121】
ライブラリの次元数はライブラリ全体にわたり均一である必要はないため、一部の例において、ライブラリは混合次元数を有し得る。「混合次元数」とは、ライブラリが、上記した2種以上の次元のライブラリメンバーを含むことを意味する。例えば、ライブラリは、部分的に1次元、部分的に2次元、部分的に3次元などであってもよい。このような混合次元数ライブラリは、1次元及び2次元の混合ライブラリ、2次元及び3次元の混合ライブラリ、1次元、2次元及び3次元の混合ライブラリなどであってもよい。混合次元数ライブラリについてのこのような記載は、制限されることを意図するものではなく、当業者であれば、本明細書に包含される様々な混合次元数ライブラリが、明確に記載したそれらライブラリの範囲を越えて及ぶことを容易に理解するであろう。
【0122】
それゆえ、固有合成モジュールポリペプチドをコードする固有ライブラリメンバーの数は互いに異なり、ライブラリの次元数とライブラリ構築に用いるモジュール数との積となる。例えば、20の固有可変モジュールで構成された1次元ライブラリは、20の固有ライブラリメンバーを含む。20の固有可変モジュールで構成された2次元ライブラリは、20×20(すなわち、400)の固有ライブラリメンバーを含む。20の固有可変モジュールで構成された3次元ライブラリは、20×20×20(すなわち、8000)の固有ライブラリメンバーを含む。一部の例においては、多次元数ライブラリの固有ライブラリメンバーは、同一可変モジュールをコードする2つ以上の配列を含んでいてもよい。
【0123】
一部の例においては、それぞれのライブラリメンバーが2つ以上の可変モジュールを有する場合、モジュールは位置特異的であってもよく、それは、可変モジュールのサブセットが、その他の可変モジュールに対して、合成モジュールポリペプチド内における特定の部位にのみ位置することを意味する。例えば、2つの可変モジュールを有する合成モジュールポリペプチドは、可変モジュールの第1のセット及び可変モジュールの第2のセット(第1のセットのモジュールは、第2のセットのモジュールに対して、常に特定の部位にある)を含んでいてもよい。それゆえ、位置特異的な様式で、30の固有可変モジュールで構成された2次元ライブラリ(10の固有可変モジュールの第1のセット、及び、20の固有可変モジュールの第2のセットを含む)は、10×20(すなわち、200)の固有ライブラリメンバーを含んでいてもよい。
【0124】
当業者であれば、本開示のライブラリを構築(位置特異的であろうとなかろうと)する上で、組み合わされ得る上記の可変次元数及び可変モジュール数を与えると、ライブラリ構成には非常に高い多様性があることを容易に理解するであろう。それゆえ、固有ライブラリメンバーの合計数は、大幅に変化し、20未満~50,000以上の範囲で変動してもよく、例えば、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、350以上、400以上、450以上、500以上、550以上、600以上、650以上、700以上、750以上、800以上、850以上、900以上、950以上、1,000以上、1,500以上、2,000以上、2,500以上、3,000以上、3,500以上、4,000以上、4,500以上、5,000以上、5,500以上、6,000以上、6,500以上、7,000以上、7,500以上、8,000以上、8,500以上、9,000以上、9,500以上、10,000以上、20,000以上、30,000以上、40,000以上、50,000以上などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0125】
プールアセンブリ内で多次元数ライブラリを構築する例においては、プール内の固有ライブラリメンバーの合計数は大幅に変化してもよく、上記のように20未満~50,000以上の範囲で変動してもよく、より高い多様性、例えば、105以上、106以上、107以上、108以上、または、109以上が挙げられるがこれらに限定されない。
【0126】
本明細書に記載するライブラリの固有メンバーを、ライブラリ構築またはスクリーニングの目的で物理的にアレイする必要はない。以下でより詳細に記載するように、それぞれの合成モジュールポリペプチドをコードする核酸構成要素の組み合わせアセンブリ、及び、マルチユニットバーコードのコアセンブリは、アセンブリモジュールの同一性及び方向を記録する方法で、本明細書に記載するライブラリのワンポット合成及びプールスクリーニングを可能とする。それゆえ、ライブラリ、及び、複数の固有ライブラリメンバーは、単一の適切な溶液中に存在していてもよく、及び/または、単一の適切な容器内に存在していてもよい。
【0127】
合成モジュールポリペプチド
合成モジュールポリペプチドのライブラリ、及び、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸を提供する。「モジュールポリペプチド」とは、モジュールが物理的に連結して単一ポリペプチド分子として共に機能するように、機能的に連結した2つ以上のモジュール構成要素を有する機能性タンパク質のことを意味する。モジュールポリペプチドのモジュールは、機能または活性と関連していてもしていなくてもよい。多くの実施形態では、合成モジュールポリペプチドのモジュール構成要素の少なくとも2つは、個々のタンパク質から誘導される。「個々のタンパク質」から誘導したモジュールは、機能的に関連しないまたは機能的に関連する異なるタンパク質から誘導してもよく、または、異種生物、同種生物、異なるオルソロガスタンパク質、異なるパラロガスタンパク質などから誘導してもよい。
【0128】
特定の実施形態では、本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドライブラリにおける個々のライブラリメンバーは、最低でも、特異的結合対(例えば、抗原-抗体結合対、リガンド-受容体結合対など)のメンバーであるモジュール、及び、細胞応答を誘発するように機能する機能性モジュールまたはシグナル伝達モジュールを含む。一部の例においては、特異的結合対のメンバーは、本明細書においては、細胞外ドメインまたは細胞外認識ドメインと呼ばれることもある。一部の例においては、特異的結合対のメンバーとは、タンパク質-タンパク質シグナル伝達相互作用に関与するタンパク質、または、タンパク質-脂質シグナル伝達相互作用に関与するタンパク質のことを意味し得る。
【0129】
多くの実施形態では、個々のライブラリメンバーに有用となり得る特異的結合対のメンバーは、抗原結合ドメインを含んでいてもよい。本開示のライブラリメンバーに用いるのに好適な抗原結合ドメインは、任意の抗原結合ポリペプチドであってもよく、多種多様なそれらは、当技術分野において周知である。一部の例においては、抗原結合ドメインは一本鎖Fv(scFv)である。その他抗体ベース認識ドメイン(cAb VHH(ラクダ科抗体可変ドメイン))、ヒト化型(IgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン))及びヒト化型(sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン))、ならびに、「ラクダ化」抗体可変ドメインが使用に好適である。一部の例においては、一本鎖TCR(scTv、VαVβを含む一本鎖2ドメインTCR)などのT細胞受容体(TCR)ベース認識ドメインもまた、使用に好適である。
【0130】
本開示のライブラリメンバーに用いるのに好適な抗原結合ドメインは、様々な抗原結合特異性を有していてもよい。一部の例においては、抗原結合ドメインは、がん細胞により発現(合成)される抗原(すなわち、がん細胞関連抗原)内に存在するエピトープに特異的である。がん細胞関連抗原は、例えば、乳がん細胞、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞、中皮腫、肺がん細胞(例えば、小細胞肺がん細胞)、非ホジキンB細胞リンパ腫(B-NHL)細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞、中皮腫細胞、肺がん細胞(例えば、小細胞肺がん細胞)、黒色腫細胞、慢性リンパ性白血病細胞、急性リンパ性白血病細胞、神経芽細胞腫細胞、グリオーマ、膠芽腫、髄芽腫、結腸直腸がん細胞などに関連する抗原であり得る。がん細胞関連抗原はまた、非がん性細胞により発現されてもよい。
【0131】
対象ライブラリメンバーの抗原結合ドメインが結合可能な抗原の非限定例としては、例えば、CD19、CD20、CD38、CD30、Her2/neu、ERBB2、CA125、MUC-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CD44表面接着分子、メソテリン、がん胎児性抗原(CEA)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、MAGE-A1、IL-13R-a2、GD2などが挙げられる。
【0132】
一部の例においては、対象ライブラリのライブラリメンバーに用いるのに好適な特異的結合対のメンバーは、受容体のリガンドである。リガンドとしては、サイトカイン(例えば、IL-13など)、増殖因子(例えば、ヘレグリン、血管内皮増殖因子(VEGF)など)、インテグリン結合ペプチド(例えば、Arg-Gly-Asp配列を含むペプチド)、Notchリガンド(例えば、デルタ、鋸歯状、デルタ様、Xデルタ、ぎざぎざ状など、ならびに、それらのホモログ及びオルソログ)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
対象ライブラリのライブラリメンバー内における特異的結合対のメンバーがリガンドである場合、特定のライブラリメンバーは、特異的結合対の第2のメンバーの存在下で活性化することができ、特異的結合対の第2のメンバーは、リガンドの受容体である。例えば、リガンドがVEGFである場合、特異的結合対の第2のメンバーは、VEGF受容体であってもよく、可溶性VEGF受容体を含む。別の例において、リガンドがNotchリガンドである場合、特異的結合対の第2のメンバーは、Notch受容体またはそのリガンド結合部位であってもよい。別の例において、リガンドがヘレグリンである場合、特異的結合対の第2のメンバーは、Her2であってもよい。
【0134】
一部の例においては、対象ライブラリのメンバーに含まれる特異的結合対のメンバーは、受容体、例えば、リガンドの受容体、共受容体などである。受容体は、受容体のリガンド結合フラグメントであってもよい。好適な受容体としては、増殖因子受容体(例えば、VEGF受容体)、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーK、メンバー1(NKG2D)ポリペプチド(MICA、MICB及びULB6の受容体)、サイトカイン受容体(例えば、IL-13受容体、IL-2受容体など)、Her2、CD27、天然細胞傷害性受容体(NCR)(例えば、NKP30(NCR3/CD337)ポリペプチド(HLA-B関連転写物3(BAT3)及びB7-H6の受容体)など)、Notch受容体(例えば、ヒトNOTCH1、ヒトNOTCH2、ヒトNOTCH3、ヒトNOTCH4など)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
二量体対もまた、特異的結合パートナーに包含される。二量体対の単一メンバーは、対象ライブラリのライブラリメンバーにおける使用に適しており、二量体化因子結合対を含むがこれに限定されない。二量体化因子結合対は、同一分子の異なる部位に結合する(本明細書においては、「二量体化因子」と呼ぶ)。二量体化因子の存在下で、二量体化因子結合対の両方のメンバーは、二量体化因子の異なる部位に結合するため、互いに近接することになる。一部の実施形態では、二量体化因子への結合は可逆的である。一部の実施形態では、二量体化因子への結合は不可逆的である。一部の実施形態では、二量体化因子への結合は非共有結合である。一部の実施形態では、二量体化因子への結合は共有結合である。
【0136】
用いるのに好適なその他二量体対としては、二量体対の第1のメンバーが二量体化物質に結合すると二量体化する二量体化因子結合対が挙げられ、二量体化物質は、二量体対の第1のメンバー内のコンホメーション変化を誘起し、コンホメーション変化により、二量体対の第1のメンバーが二量体対の第2のメンバーに結合(共有結合または非共有結合)することが可能となる。用いるのに好適なその他二量体対としては、光(例えば、青色光)に曝されると二量体対の二量体化を誘起する、二量体対が挙げられる。
【0137】
一部の例において、特異的結合対のメンバーは、タンパク質-タンパク質シグナル伝達相互作用に関与するタンパク質、または、タンパク質-脂質シグナル伝達相互作用に関与するタンパク質を含んでいてもよく、それゆえ、本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドは、1つまたは複数のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインまたはタンパク質-脂質相互作用ドメインを含んでいてもよい。このようなタンパク質-タンパク質相互作用ドメインまたはタンパク質-脂質相互作用ドメインとしては、例えば、14-3-3ドメイン(例えば、PDB(www(dot)rcsb(dot)org、オンラインで利用可能なRCSBタンパク質構造データバンク)構造2B05で示される)、アクチン脱重合因子(ADF)ドメイン(例えば、PDB構造1CFYで示される)、ANKドメイン(例えば、PDB構造1SW6で示される)、ANTH(AP180N末端相同性)ドメイン(例えば、PDB構造5AHVで示される)、アルマジロ(ARM)ドメイン(例えば、PDB構造1BK6で示される)、BAR(Bin/Amphiphysin/Rvs)ドメイン(例えば、PDB構造1I4Dで示される)、BEACH(beige and CHS)ドメイン(例えば、PDB構造1MI1で示される)、BH(Bcl-2ホモロジー)ドメイン(BH1、BH2、BH3及びBH4)(例えば、PDB構造1BXLで示される)、バキュロウイルスIAP反復配列(BIR)ドメイン(例えば、PDB構造1G73で示される)、BRCT(BRCA1C末端)ドメイン(例えば、PDB構造1T29で示される)、ブロモドメイン(例えば、PDB構造1E6Iで示される)、BTB(BR-C、ttk and bab)ドメイン(例えば、PDB構造1R2Bで示される)、C1ドメイン(例えば、PDB構造1PTQで示される)、C2ドメイン(例えば、PDB構造1A25で示される)、カスパーゼ動員ドメイン(CARD)(例えば、PDB構造1CWWで示される)、コイルドコイル(CC)ドメイン(例えば、PDB構造1QEYで示される)、CALM(クラスリン集合リンパ性骨髄)ドメイン(例えば、PDB構造1HFAで示される)、カルポニンホモロジー(CH)ドメイン(例えば、PDB構造1BKRで示される)、クロマチン構造調節因子(クロモ)ドメイン(例えば、PDB構造1KNAで示される)、CUEドメイン(例えば、PDB構造1OTRで示される)、デスドメイン(DD)(例えば、PDB構造1FADで示される)、デスエフェクタードメイン(DED)(例えば、PDB構造1A1Wで示される)、Discheveled、EGL-10 and Pleckstrin(DEP)ドメイン(例えば、PDB構造1FSHで示される)、Dblホモロジー(DH)ドメイン(例えば、PDB構造1FOEで示される)、EFハンド(EFh)ドメイン(例えば、PDB構造2PMYで示される)、Eps15ホモロジー(EH)ドメイン(例えば、PDB構造1EH2で示される)、エプシンNH2末端相同性(ENTH)ドメイン(例えば、PDB構造1EDUで示される)、Ena/Vaspホモロジードメイン1(EVH1)(例えば、PDB構造1QC6で示される)、Fボックスドメイン(例えば、PDB構造1FS1で示される)、FERM(バンド4.1、エズリン、ラディキシン、モエシン)ドメイン(例えば、PDB構造1GC6で示される)、FFドメイン(例えば、PDB構造1UZCで示される)、フォーミンホモロジー2(FH2)ドメイン(例えば、PDB構造1UX4で示される)、フォークヘッド関連(FHA)ドメイン(例えば、PDB構造1G6Gで示される)、FYVE(Fab-1、YGL023、Vps27及びEEA1)ドメイン(例えば、PDB構造1VFYで示される)、GAT(GGA及びTom1)ドメイン(例えば、PDB構造1O3Xで示される)、ゲルソリンホモロジードメイン(GEL)(例えば、PDB構造1H1Vで示される)、GLUE(EAP45によるGRAM様ユビキチン結合)ドメイン(例えば、PDB構造2CAYで示される)、GRAM(グルコシルトランスフェラーゼ、Rab様GTPアーゼ活性化因子及びミオチューブラリン)ドメイン(例えば、PDB構造1LW3で示される)、GRIPドメイン(例えば、PDB構造1UPTで示される)、グリシン-チロシン-フェニルアラニン(GYF)ドメイン(例えば、PDB構造1GYFで示される)、HEAT(ハンチントン、伸長因子3、PR65/A、TOR)ドメイン(例えば、PDB構造1IBRで示される)、E6-APカルボキシル末端に相同な(HECT)ドメイン(例えば、PDB構造1C4Zで示される)、IQドメイン(例えば、PDB構造1N2Dで示される)、LIM(Lin-1、Isl-1及びMec-3)ドメイン(例えば、PDB構造1QLIで示される)、ロイシンリッチリピート(LRR)ドメイン(例えば、PDB構造1YRGで示される)、悪性脳腫瘍(MBT)ドメイン(例えば、PDB構造1OYXで示される)、MH1(Madホモロジー1)ドメイン(例えば、PDB構造1OZJで示される)、MH2(Madホモロジー2)ドメイン(例えば、PDB構造1DEVで示される)、MIU(ユビキチン相互作用モチーフ)ドメイン(例えば、PDB構造2C7Mで示される)、NZF(Npl4ジンクフィンガー)ドメイン(例えば、PDB構造1Q5Wで示される)、PAS(Per-ARNT-Sim)ドメイン(例えば、PDB構造1P97で示される)、Phox and Bem1(PB1)ドメイン(例えば、PDB構造1IPGで示される)、PDZ(シナプス後肥厚部95、PSD-85、discs large、Dlg、閉鎖帯-1、ZO-1)ドメイン(例えば、PDB構造1BE9で示される)、プレクストリンホモロジー(PH)ドメイン(例えば、PDB構造1MAIで示される)、Poloボックスドメイン(例えば、PDB構造1Q4Kで示される)、ホスホチロシン結合(PTB)ドメイン(例えば、PDB構造1SHCで示される)、Pumilio/Puf(PUF)ドメイン(例えば、PDB構造1M8Wで示される)、PWWPドメイン(例えば、PDB構造1KHCで示される)、Phoxホモロジー(PX)ドメイン(例えば、PDB構造1H6Hで示される)、RGS(Gタンパク質シグナル伝達の制御因子)ドメイン(例えば、PDB構造1AGRで示される)、RINGドメイン(例えば、PDB構造1FBVで示される)、SAM(ステライルαモチーフ)ドメイン(例えば、PDB構造1B0Xで示される)、シャドウクロモ(SC)ドメイン(例えば、PDB構造1E0Bで示される)、Srcホモロジー2(SH2)ドメイン(例えば、PDB構造1SHBで示される)、Srcホモロジー3(SH3)ドメイン(例えば、PDB構造3SEMで示される)、SOCS(サイトカインシグナル伝達の抑制因子)ドメイン(例えば、PDB構造1VCBで示される)、SPRYドメイン(例えば、PDB構造2AFJで示される)、ステロイド産生急性調節タンパク質(StAR)関連脂質輸送(START)ドメイン(例えば、PDB構造1EM2で示される)、SWIRMドメイン(例えば、PDB構造2AQFで示される)、Toll/Il-1受容体(TIR)ドメイン(例えば、PDB構造1FYVで示される)、テトラトリコペプチド反復(TPR)ドメイン(例えば、PDB構造1ELWで示される)、TRAF(腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連因子)ドメイン(例えば、PDB構造1F3Vで示される)、tSNARE(SNARE(可溶性NSF付着タンパク質(SNAP)受容体))ドメイン(例えば、PDB構造1SFCで示される)、Tubbyドメイン(例えば、PDB構造1I7Eで示される)、TUDORドメイン(例えば、PDB構造2GFAで示される)、ユビキチン関連(UBA)ドメイン(例えば、PDB構造1IFYで示される)、UEV(ユビキチンE2変異)ドメイン(例えば、PDB構造1S1Qで示される)、ユビキチン相互作用モチーフ(UIM)ドメイン(例えば、PDB構造1Q0Wで示される)、VHLドメイン(例えば、PDB構造1LM8で示される)、VHS(Vps27p、Hrs及びSTAM)ドメイン(例えば、PDB構造1ELKで示される)、WD40ドメイン(例えば、PDB構造1NEXで示される)、WWドメイン(例えば、PDB構造1I6Cで示される)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書に記載の対象ライブラリにおける個々のライブラリメンバーは、調節ドメインを含んでいてもよい。調節ドメインは、刺激機能及び抑制機能を有するドメイン、及び、その他「上流」シグナル伝達ドメインの活性化機能及び/または抑制機能を調節するドメインを含む。一部の例においては、調節ドメインは共刺激ドメインを含む。一部の例においては、調節ドメインは共抑制ドメインを含む。
【0139】
対象ライブラリのライブラリメンバーに含ませるのに好適な調節ドメインは、3アミノ酸直鎖モチーフと同じくらい短いポリペプチド及びタンパク質全体と同じくらい長いポリペプチドからなる任意の機能性ユニットであってもよく、調節ドメインのサイズには、ドメインがその機能を保持するのに十分大きく、かつ望ましいアセンブリ法に適合するのに十分小さい必要があるという点においてのみ制限がある。したがって、調節ドメインのサイズは、3アミノ酸~1000アミノ酸以上の長さの範囲であってもよく、一部の例においては、約30アミノ酸~約70アミノ酸(aa)の長さを有していてもよく、例えば、調節ドメインは、約30aa~約35aa、約35aa~約40aa、約40aa~約45aa、約45aa~約50aa、約50aa~約55aa、約55aa~約60aa、約60aa~約65aa、または、約65aa~約70aaの長さを有していてもよい。その他の例においては、調節ドメインは、約70aa~約100aa、約100aa~約200aa、または、200aa超の長さを有していてもよい。
【0140】
一部の例においては、「共刺激ドメイン」は、本開示のライブラリにおける個々のライブラリメンバーに有用である。共刺激とは通常、主要な特異的刺激が伝わってからの、二次的な非特異的活性化機構のことを意味する。共刺激の例としては、T細胞受容体を介した抗原特異的なシグナル伝達の後に続く抗原非特異的なT細胞共刺激、及び、B細胞受容体を介したシグナル伝達の後に続く抗原非特異的なB細胞共刺激が挙げられる。共刺激、例えば、T細胞共刺激、及びその関連因子については、Chen & Flies.Nat Rev Immunol(2013)13(4):227-42に記載されている(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。共刺激ドメインは通常、受容体に由来するポリペプチドである。一部の実施形態では、共刺激ドメインはホモ二量体化する。対象共刺激ドメインは、膜貫通タンパク質の細胞内部分(すなわち、共刺激ドメインは膜貫通タンパク質に由来し得る)であってもよい。好適な共刺激ポリペプチドの非限定例としては、4-1BB(CD137)、CD28、ICOS、OX-40、BTLA、CD27、CD30、GITR、及びHVEMが挙げられるが、これらに限定されない。一部の例においては、共刺激ドメイン、例えば、本開示のライブラリメンバーに用いられる共刺激ドメインは、表1に記載した共刺激ドメインを含んでいてもよい。一部の例においては、ライブラリの個々のメンバーにおける共刺激ドメインは、本明細書に記載の共刺激ドメインに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0141】
一部の例においては、「共抑制ドメイン」は、本開示のライブラリにおける個々のライブラリメンバーに有用である。このような共抑制ドメインは通常、受容体に由来するポリペプチドである。共抑制とは通常、共刺激を阻害する、主要な抗原特異的活性化機構の二次的な抑制のことを意味する。共抑制、例えば、T細胞共抑制、及びその関連因子については、Chen & Flies.Nat Rev Immunol(2013)13(4):227-42、及び、Thaventhiran et al.J Clin Cell Immunol(2012)S12に記載されている(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、共抑制ドメインはホモ二量体化する。対象共抑制ドメインは、膜貫通タンパク質の細胞内部分(すなわち、共抑制ドメインは膜貫通タンパク質に由来し得る)であってもよい。好適な共抑制ポリペプチドの非限定例としては、CTLA-4及びPD-1が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例においては、共抑制ドメイン、例えば、本開示のライブラリメンバーに用いられる共抑制ドメインは、表1に記載した共抑制ドメインを含んでいてもよい。一部の例においては、ライブラリの個々のメンバーにおける共刺激ドメインは、本明細書に記載の共刺激ドメインに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0142】
一部の例においては、合成モジュールポリペプチドライブラリにおける個々のライブラリメンバーは、細胞内シグナル伝達ドメインモジュールを含んでいてもよい。本開示のライブラリにおけるモジュールとして用いるのに好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、個々のライブラリメンバーの活性化に応答して、特異かつ検出可能なシグナル(例えば、細胞による1つまたは複数のサイトカインの増産、標的遺伝子の転写における変化、タンパク質活性の変化、細胞挙動の変化(例えば、細胞死、細胞増殖、細胞分化、細胞生存、細胞シグナル伝達応答)など)を提供する任意の望ましいシグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、個々のライブラリメンバーに共有結合していてもいなくてもよく、例えば、全てのライブラリメンバーが共通の細胞内シグナル伝達ドメインを利用している場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば細胞質内に拡散しているライブラリメンバーに結合していなくてもよい。
【0143】
一部の例においては、本開示の対象ライブラリにおける個々のライブラリメンバーは、真核細胞膜内へと挿入するための膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、ライブラリメンバー内の任意の好都合な部位に存在していてもよく、それら部位は、例えば、ライブラリのモジュール構成要素のN末端側、ライブラリのモジュール構成要素のC末端側、ライブラリの少なくとも2つのモジュール構成要素間の挿入部位(例えば、CARモジュールライブラリのメンバーにおける、抗原結合ドメインと共刺激ドメインとの間)などである。
【0144】
真核生物(例えば、哺乳動物)細胞の細胞膜内へとポリペプチドの挿入をもたらす任意の膜貫通(TM)ドメインが使用に好適である。1つの非限定的な例として、TM配列IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号:1)を用いてもよい。好適なTM配列の更なる非限定例としては、a)CD8β由来の、LGLLVAGVLVLLVSLGVAIHLCC(配列番号:2)、b)CD4由来の、ALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFCVRC(配列番号:3)、c)CD3ζ由来の、LCYLLDGILFIYGVILTALFLRV(配列番号:4)、d)CD28由来の、WVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号:5)、e)CD134(OX40)由来の、VAAILGLGLVLGLLGPLAILLALYLL(配列番号:6)、及び、f)CD7由来の、ALPAALAVISFLLGLGLGVACVLA(配列番号:7)が挙げられる。
【0145】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、1つまたは複数の別のモジュール要素を含むように構成されていてもよい。例えば、ライブラリがキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリである例においては、個々のライブラリメンバーは、例えば、PCT特許出願公開番号WO2014/127261(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)に記載の1つまたは複数の別の構成要素を含むように構成されていてもよい。
【0146】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、マルチドメイン足場タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。本発明で使用する場合、用語「足場タンパク質」は、アンカータンパク質及びアダプタータンパク質を含む。このようなタンパク質は、それぞれがシグナル伝達経路における特定のメンバーを動員またはアンカーする複数の結合ドメインを含み、それら複数の結合ドメインは、例えば、それら特定のメンバーを複合体内につなぎ留めるか、それら特定のメンバーを細胞内に局在化させるか、または、シグナル伝達を調節する(例えば、正のフィードバック及び/または負のフィードバックを抑制すること、不活性化により活性化シグナル伝達コンポーネントを安定化させることなど)。それゆえ、マルチドメイン足場タンパク質、マルチドメインアンカータンパク質、及び、マルチドメインアダプタータンパク質におけるドメインは通常、シグナル伝達経路メンバー結合ドメインを含む。
【0147】
それらが内部で機能する足場タンパク質及び経路の非限定例としては、例えば、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路のSte5足場、プロテインキナーゼA(PKA)シグナル伝達経路のAキナーゼアンカータンパク質(AKAP)、MAPK経路におけるRas1のキナーゼ抑制因子(KSR)、JUN N末端キナーゼ(JNK)経路及びMAPK経路のB細胞リンパ腫10(BCL-10)、JNK経路及びMAPK経路のマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼ1(MEKK1)、カルシウムシグナル伝達経路のAHNAK-1、カルシウムシグナル伝達経路のHOMER、自然免疫シグナル伝達経路のPellinoタンパク質、自然免疫シグナル伝達経路におけるNLRファミリー-ピリンドメイン含有(NLRP)タンパク質、T細胞受容体シグナル伝達経路のDisks largeホモログ1(DLG1)、樹状細胞シグナル伝達経路のスピノフィリンなどが挙げられる。足場タンパク質としては更に、例えば、Buday & Tompa.FEBS Journal(2010)277:4348-4355に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。一部の例においては、足場タンパク質は、遺伝子オントロジー(GO)用語「protein complex scaffold」(GO:0032947)及び類似用語に関連付けられたタンパク質であってもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、タンパク質キナーゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0148】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、タンパク質キナーゼの1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。タンパク質キナーゼは、基質タンパク質にリン酸基を付加することにより、基質タンパク質の活性を誘導したり、その他タンパク質と会合させたり、及び/または、局在化させるように機能するようなタンパク質である。タンパク質キナーゼとしては、GO用語、「protein phosphorylation」(GO:0006468)、「protein kinase activity」(GO:0004672)、「protein serine/threonine kinase activity」(GO:0004674)、「kinase activity」(GO:0016301)、及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、タンパク質キナーゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。タンパク質キナーゼは、タンパク質キナーゼの触媒機能を持つ1つまたは複数のキナーゼドメインを含む。タンパク質キナーゼドメインは、Pfam識別子PF00069に関連付けられており、例えば、オンライン(pfam(dot)xfam(dot)org)でその識別子を用いて、タンパク質キナーゼドメインを持つタンパク質であるタンパク質キナーゼドメイン(配列及び構造を含む)を検索することができる。
【0149】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、タンパク質ホスファターゼの1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。タンパク質ホスファターゼは、リン酸基をその基質タンパク質のリン酸化アミノ酸残基から除去することにより、脱リン酸化をもたらし、基質タンパク質の活性を誘導するように機能するようなタンパク質であり、タンパク質キナーゼに対して逆に作用する。タンパク質ホスファターゼは、以下に示す3つの部類にグループ分けされるが、一部のタンパク質ホスファターゼは依然としてグループ分けされていない。リンタンパク質ホスファターゼ(例えば、PPP1CA、PPP1CB、PPP1CC、PPP2CA、PPP2CB、PPP3CA、PPP3CB、PPP3CC、PPP4C、PPP5C、PPP6Cなど)、タンパク質Tyrホスファターゼ(例えば、CDC14A、CDC14B、CDC14C、CDKN3、PTEN、SSH1、SSH2、SSH3など)、及び、デュアル特異性タンパク質ホスファターゼ(例えば、DUSP1、DUSP2、DUSP3、DUSP4、DUSP5、DUSP6、DUSP7、DUSP8、DUSP9、DUSP10、DUSP11、DUSP12、DUSP13、DUSP14、DUSP15、DUSP16、DUSP18、DUSP19、DUSP21、DUSP22、DUSP23、DUSP26、DUSP27、DUSP28など)。タンパク質ホスファターゼとしては、GO用語、「phosphatase activity」(GO:0016791)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、タンパク質ホスファターゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。タンパク質ホスファターゼは、タンパク質ホスファターゼの脱リン酸化機能を持つ1つまたは複数のホスファターゼドメインを含む。タンパク質ホスファターゼドメインは、Pfam識別子PF15698に関連付けられており、例えば、pfam(dot)xfam(dot)orgでその識別子を用いて、タンパク質ホスファターゼドメインを持つタンパク質であるタンパク質ホスファターゼドメイン(配列を含む)を検索することができる。
【0150】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、チロシンキナーゼ受容体タンパク質(受容体チロシンキナーゼ(RTK)とも呼ばれる)の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。RTKは膜結合細胞表面受容体である。タンパク質チロシンキナーゼのサブクラス、RTKは、細胞外におけるリガンドの結合に続くタンパク質の細胞質部分のリン酸化を介して機能する。RTKは、例えば、上皮成長因子受容体ファミリー、線維芽細胞増殖因子(FGFR)ファミリー、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)ファミリー、RET受容体ファミリー、及び、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリーを含むファミリーに分類することができる。RTKとしては、GO用語「transmembrane receptor protein tyrosine kinase activity」(GO:0004714)、「transmembrane receptor protein tyrosine kinase signaling pathway」(GO:0007169)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、RTK(配列を含む)に関する情報を検索することができる。RTKは、RTKのキナーゼ機能を持つ1つまたは複数のチロシンキナーゼドメインを含む。RTKキナーゼドメインは、Pfam識別子PF07714に関連付けられており、例えば、pfam(dot)xfam(dot)orgでその識別子を用いて、RTKキナーゼドメイン、及びRTKキナーゼドメインを持つタンパク質(配列及び構造を含む)を検索することができる。
【0151】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、脂質キナーゼタンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。脂質キナーゼタンパク質は細胞脂質をリン酸化することにより、脂質反応性の調節、シグナル伝達、及び/または、脂質の局在化をもたらす。脂質キナーゼは、例えば、ホスファチジルイノシトールキナーゼ、及び、スフィンゴシンキナーゼを含むファミリーに分類することができる。脂質キナーゼとしては、GO用語「lipid kinase activity」(GO:0001727)、「lipid phosphorylation」(GO:0046834)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、脂質キナーゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0152】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、脂質ホスファターゼタンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。脂質ホスファターゼタンパク質は細胞脂質を脱リン酸化することにより(脂質キナーゼの活性を逆転するように作用する)、脂質反応性の調節、シグナル伝達、及び/または、脂質の局在化をもたらす。脂質ホスファターゼとしては、GO用語、「lipid phosphatase activity」(GO:0042577)、「phospholipid dephosphorylation」(GO:0046839)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、脂質ホスファターゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0153】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、ユビキチン化酵素タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。ユビキチン化酵素タンパク質は、ユビキチン化による翻訳後修飾(ユビキチンの基質タンパク質への結合)を媒介するようなタンパク質である。基質タンパク質のユビキチン化により、基質タンパク質の分解、基質タンパク質の再局在化、基質タンパク質活性の調節、基質タンパク質におけるタンパク質-タンパク質相互作用の調節などをもたらすことができる。ユビキチン化酵素としては、GO用語、「protein ubiquitination」(GO:0016567)、「ubiquitin-protein transferase activity」(GO:0004842)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、ユビキチン化酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0154】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、脱ユビキチン化酵素タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。脱ユビキチン化酵素タンパク質は、ユビキチン化の逆転(基質タンパク質からのユビキチンの除去)を媒介するようなタンパク質である。基質タンパク質の脱ユビキチン化は、ユビキチン化酵素の作用を逆転させて基質タンパク質の分解を阻害させること、ユビキチンが関与する基質タンパク質の再局在化を逆転させること、ユビキチンが関与する基質タンパク質活性の調節を逆転させること、ユビキチンが関与する基質タンパク質におけるタンパク質-タンパク質相互作用の調節を逆転させることなどを可能とする。脱ユビキチン化酵素としては、GO用語、「protein deubiquitination」(GO:0016579)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、脱ユビキチン化酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0155】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、SUMO化酵素タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。SUMO化酵素タンパク質は、SUMO化による翻訳後修飾(基質タンパク質への低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)タンパク質の付加)を媒介するようなタンパク質である。SUMO化により、タンパク質の安定化、核-細胞質基質間輸送、転写制御などを含む様々なタンパク質機能が調節され得る。SUMO化酵素としては、GO用語、「protein sumoylation」(GO:0016925)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、SUMO化酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0156】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、アセチル化酵素タンパク質(アセチル基転移酵素とも呼ばれる)の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。アセチル基転移酵素は、基質タンパク質へのアセチル基の転移を触媒する転移酵素であり、エピジェネティック調節及び転写調節に関与している。アセチル基転移酵素は、例えば、ヒストンアセチル基転移酵素、コリンアセチル基転移酵素、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素、セロトニンN-アセチル基転移酵素、NatAアセチル基転移酵素、NatBアセチル基転移酵素を含むグループに分類され得る。アセチル基転移酵素としては、GO用語、「acetyltransferase activity」(GO:0016407)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、アセチル基転移酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0157】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、脱アセチル化酵素タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。脱アセチル化酵素タンパク質は、アセチル基転移酵素の作用を逆転させて基質タンパク質に転移したアセチル基を除去するため、同様に、エピジェネティック調節及び転写調節に関与する。脱アセチル化酵素としては、例えば、ヒストン脱アセチル化酵素及びサーチュインが挙げられる。脱アセチル化酵素としては、GO用語、「deacetylase activity」(GO:0019213)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、脱アセチル化酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0158】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、メチル化酵素タンパク質(メチル基転移酵素とも呼ばれる)の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。メチル基転移酵素は、基質へとメチル基を転移することにより、支持基質(タンパク質及び核酸の基質を含む)をアルキル化させ、エピジェネティック調節及び転写調節に関与する。メチル基転移酵素は、それらの構造に基づいて、例えば、クラスI、クラスII、クラスIIIなどを含むクラスに分類することができ、それらの基質またはメチル化様式に従い、例えば、タンパク質メチル基転移酵素、DNAメチル基転移酵素、天然産生メチル基転移酵素、及び、非SAM依存性メチル基転移酵素を含むグループに分けることができる。メチル基転移酵素としては、GO用語、「DNA-methyltransferase activity」(GO:0009008)、「histone methyltransferase activity」(GO:0042054)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、メチル基転移酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0159】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、脱メチル化酵素タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。脱メチル化酵素は、メチル基転移酵素の作用を逆転させて基質(タンパク質及び核酸の基質を含む)からのメチル基除去を触媒するため、またエピジェネティック調節及び転写調節に関与する。脱メチル化酵素としては、GO用語、「demethylase activity」(GO:0032451)、「DNA demethylase activity」(GO:0035514)、「histone demethylase activity」(GO:0032452)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、脱メチル化酵素(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0160】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、ヌクレアーゼタンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。ヌクレアーゼは、核酸基質におけるヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合の開裂を触媒する。ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼなどの、相互排他的でないカテゴリーに細分することができる。ヌクレアーゼとしては、GO用語、「nuclease activity」(GO:0004518)、「deoxyribonuclease I activity」(GO:0004530)、「RNA-DNA hybrid ribonuclease activity」(GO:0004523)、「nucleic acid phosphodiester bond hydrolysis」(GO:0090305)、「endonuclease activity」(GO:0004519)、「exonuclease activity」(GO:0004527)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、ヌクレアーゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0161】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、リコンビナーゼタンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。リコンビナーゼは、それぞれのリコンビナーゼに特異的な標的部位配列間における、方向性に影響されやすい核酸交換反応を触媒し、除去/挿入、逆位、転座、及び核酸フラグメント交換をもたらす。リコンビナーゼの例としては、Creリコンビナーゼ、Hinリコンビナーゼ、Treリコンビナーゼ、FLPリコンビナーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。リコンビナーゼとしては、GO用語、「recombinase activity」(GO:0000150)、「DNA recombination」(GO:0006310)及び類似用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、リコンビナーゼ(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0162】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、転写因子タンパク質の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。転写因子は、特定のDNA配列に結合して転写を制御するようなタンパク質である。転写因子は、転写の上方制御をもたらす活性化因子であってもよく、または、転写の下方制御をもたらす抑制因子であってもよい。転写因子は、そのDNA結合ドメインの構造により、例えば、基本ドメイン転写因子、亜鉛配位DNA結合ドメイン転写因子、ヘリックスターンヘリックス転写因子、β足場因子転写因子などのスーパークラス、及び、上記スーパークラスの1つに含まれない転写因子を含むスーパークラスに分類することができる(例えば、Stegmaier et al.Genome Inform(2004)15(2):276-86を参照されたい)。転写因子は、1つまたは複数のDNA結合ドメインを含む。転写因子のDNA結合ドメインは、Pfam識別子、PF00010、PF00170、PF00172、PF00046、PF00319、PF08279、PF00096、PF00105などに関連付けられたDNA結合ドメインの1つまたは複数であってもよく、例えば、pfam(dot)xfam(dot)orgでその識別子を用いて、ドメイン配列及びドメイン構造を検索することができる。転写因子はまた、1つまたは複数のトランス活性化ドメイン、及び、1つまたは複数のシグナル感知ドメインを含んでいてもよい。転写因子としては、GO用語、「transcription factor complex」(GO:0005667)、ならびに、類似及び関連用語に関連付けられたようなタンパク質を含んでいてもよく、例えば、オンライン(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/QuickGO)でそれらの用語を用いて、転写因子(配列を含む)に関する情報を検索することができる。
【0163】
その他のDNA結合ドメイン、例えば、転写因子に由来しないDNA結合ドメイン、または、非転写因子DNA結合ドメインはまた、一部の例において、本明細書に記載の個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーにおける1つまたは複数のモジュールに有用であってもよい。このような非転写因子DNA結合ドメインは、DNAに非特異的に結合するか、または、DNAの特定配列に結合する、天然及び合成ポリペプチドドメインを含む。非転写因子DNA結合ドメインとしては、例えば、ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼポリペプチドの天然または改変DNA結合ドメイン、転写活性化因子様エフェクタ-ヌクレアーゼ(TALEN)ポリペプチドの天然または改変DNA結合ドメイン、Cas9ポリペプチド(例えば、ヌクレアーゼ欠失Cas9(dCas9)などを含む)の天然または改変DNA結合ドメインなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0164】
一部の例においては、個々の合成モジュールポリペプチドライブラリメンバーは、PCT出願番号US2004/019778(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)に記載の1つまたは複数のモジュールを含むように構成されていてもよい。
【0165】
本明細書に記載の合成モジュールポリペプチド内におけるモジュール構成を行うことにより、共通機能を共有可能な(しかし、必須である必要はない)、複数の個々のモジュール機能性タンパク質を含むライブラリを作製する。例えば、個々のライブラリメンバーは、モジュール足場タンパク質である合成モジュールポリペプチド、モジュール受容体タンパク質である合成モジュールポリペプチド、モジュールタンパク質キナーゼまたはホスファターゼタンパク質である合成モジュールポリペプチド、モジュール転写制御因子タンパク質である合成モジュールポリペプチド、モジュールエピジェネティック制御因子タンパク質である合成モジュールポリペプチド、モジュールリコンビナーゼまたはヌクレアーゼタンパク質である合成モジュールポリペプチドなどを含むかまたはそれらで構成されていてもよい。所望の表現型のために、例えば、本明細書に記載の方法に従い、このようなライブラリをスクリーニングしてもよい。
【0166】
レポーター
本明細書に記載のライブラリは、それらタンパク質をコードする核酸配列が発現する、検出可能なシグナル産生タンパク質を含む。本明細書に記載のライブラリシステムに用いる特定の検出可能なシグナル産生タンパク質は様々であり、ある程度は選択した産生シグナル検出法に依存する。例えば、シグナルが光学的に検出される場合、例えば、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー(蛍光活性化細胞分離法(FACS)を含む)を用いる場合、蛍光レポーターを用いる。
【0167】
好適な検出可能シグナル産生タンパク質としては、例えば、蛍光タンパク質、検出可能なシグナルを産物として産生する反応を触媒する酵素、エピトープタグ、表面マーカーなどが挙げられる。検出可能なシグナル産生タンパク質は、直接検出されてもよく、または、間接的に検出されてもよい。例えば、蛍光レポーターを用いる場合、レポーターの蛍光は直接検出されてもよい。一部の例においては、エピトープタグまたは表面マーカーを用いる場合、エピトープタグまたは表面マーカーは、例えば、エピトープタグまたは表面マーカーに特異的に結合する検出可能な結合物質を用いて、例えば、エピトープタグまたは表面マーカーに特異的に結合する蛍光標識抗体を用いて、間接的に検出されてもよい。一部の例においては、通常は間接的に検出されるレポーター、例えば、エピトープタグまたは表面マーカーは直接検出されてもよく、または、通常は直接検出されるレポーターは、例えば、蛍光レポーターに特異的に結合する検出可能な抗体を用いて間接的に検出されてもよい。
【0168】
好適な蛍光タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはその変異体、GFPの青色蛍光変異体(BFP)、GFPの青緑色蛍光変異体(CFP)、GFPの黄色蛍光変異体(YFP)、強化GFP(EGFP)、強化CFP(ECFP)、強化YFP(EYFP)、GFPS65T、Emerald、Topaz(TYFP)、Venus、Citrine、mCitrine、GFPuv、不安定化EGFP(dEGFP)、不安定化ECFP(dECFP)、不安定化EYFP(dEYFP)、mCFPm、Cerulean、T-Sapphire、CyPet、YPet、mKO、HcRed、t-HcRed、DsRed、DsRed2、DsRed-monomer、J-Red、dimer2、t-dimer2(12)、mRFP1、pocilloporin、Renilla GFP、Monster GFP、paGFP、Kaede protein及びkindling protein、ならびに、B-フィコエリスリン、R-フィコエリスリン及びアロフィコシアニンを含むフィコビリタンパク質及びフィコビリタンパク質複合体が挙げられるが、これらに限定されない。蛍光タンパク質のその他の例としては、mHoneydew、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mGrape1、mRaspberry、mGrape2、mPlum(Shaner et al.(2005)Nat.Methods 2:905-909)などが挙げられる。例えば、Matz et al.(1999)Nature Biotechnol.17:969-973に記載されている、花虫綱種由来の様々な蛍光タンパク質及び着色タンパク質のいずれかが好適に用いられる。
【0169】
好適な酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ(GO)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
リンカー及び連結部
個々のライブラリメンバー内において、単一ポリペプチドをコードするモジュール構成要素間の連結部は通常、「インフレーム」に保持されるが、それは、マルチモジュールコード配列のコドン読み取り枠が1つのモジュールから次のモジュールへと維持されることを意味している。このような連結部は、本明細書においては、インフレーム連結部及び/またはインフレーム接合部と呼ばれることもある。マルチモジュールポリペプチドにおけるモジュール構成要素間のリンカーは通常、フレキシブルであり、及び/または、モジュールドメインの機能と干渉するアミノ酸残基を含まない。
【0171】
このようなインフレーム連結部は、以下でより詳細に記載するように、コード配列、及びモジュール構成要素の入れ子アセンブリがインフレームリンカーを含むように構成される、任意の簡便な方法により達成され得る。
【0172】
好適なリンカーは、容易に選択することが可能であり、また多数の好適な長さ、例えば、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸などのいずれかであってもよく、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または、7アミノ酸~8アミノ酸を含み、また1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であってもよい。
【0173】
例示的なリンカーとしては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号:8)、及び(GGGS)n(配列番号:9)を含み、配列中nは、少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び、当該技術分野において周知のその他フレキシブルリンカーが挙げられる。グリシン、及びグリシン-セリンポリマーを用いることができ、またGly及びSerの両方は比較的自由であるため、構成要素間の中間テザーとして機能することができる。グリシンポリマーを用いることができ、グリシンは、アラニンよりも更に相当φ-ψ空間に接近し、また長い側鎖を有する残基と比べはるかに制限を受けない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。例示的なリンカーとしては、GGSG(配列番号:10)、GGSGG(配列番号:11)、GSGSG(配列番号:12)、GSGGG(配列番号:13)、GGGSG(配列番号:14)、GSSSG(配列番号:15)などが挙げられるがこれらに限定されない、アミノ酸配列を含み得る。
【0174】
一部の例においては、リンカーは、クローニング用のBamHI制限認識部位配列を含み、またBamHI部位がGSをコードすることから、リンカーの一部としてBamHI部位を含む。
【0175】
一部の例においては、1つまたは複数のクローニング工程(例えば、TypeIIS制限エンドヌクレアーゼの使用中、または相同組換え中)中に、または、直接消化(例えば、BamHI消化)により、リンカー配列を除去してもよい。
【0176】
一部の例においては、インフレーム連結部は、2つのモジュール構成要素の連結部においてリンカーが存在しないことにより達成される。それゆえ、一部の例においては、インフレーム連結部は、モジュールコード配列間にアミノ酸コード介在核酸を含んでいなくてもよい。一部の例においては、インフレーム連結部は、モジュールコード配列間に、2つ以下の介在核酸塩基対を含んでいてもよい。一部の例においては、インフレーム連結部は、モジュールコード配列間に、1つ以下の介在核酸塩基対を含んでいてもよい。一部の例においては、インフレーム連結部は、モジュールコード配列間に、介在核酸塩基対を含んでいなくてもよい。
【0177】
バーコード
核酸バーコードは、例えば、ハイブリダイゼーションをベースとした同定(すなわち、in situハイブリダイゼーション)、増幅をベースとした同定(すなわち、PCRベースの同定)、及び核酸シークエンシングが挙げられるがこれらに限定されない、任意の簡便な核酸配列同定法を用いて同定することが可能な、特定の固有核酸配列である。本開示のバーコードはモジュール特異的なバーコードであってもよく、それは、特定のバーコードの同定が結合したモジュールコード配列の明確な同定に相当するように、マルチモジュールライブラリにおけるそれぞれの固有モジュールが特定の固有バーコードと相関していることを意味する。
【0178】
本明細書に記載のモジュール特異的なバーコードは、利用するライブラリアセンブリ法による制約を受ける。例えば、マルチモジュールコンストラクトの入れ子アセンブリが制限酵素ベースの方法によって達成される場合、アセンブリに利用する制限酵素のための制限酵素認識部位を構成する任意の配列は、バーコードから除外される。それゆえ、一部の例においては、バーコード配列は制限酵素認識配列を含まない。一部の例においては、バーコード配列は、Type IIS制限酵素認識配列を含まない。
【0179】
シークエンシング(例えば、次世代シークエンシング法を含む)によりバーコード同定及び/またはバーコード定量化を実施する例では、シークエンシングにより検出されたバーコードには通常の要件が適用される。一部の例においては、バーコード及び/またはバーコードアダプターを含有する市販のバーコード及び/またはキット(例えば、限定されるわけではないが、New England Biolabs(Ipswich,MA)、Illumina,Inc.(Hayward,CA)、Life Technologies,Inc.(Grand Island,NY)、Bioo Scientific Corporation(Austin,TX)などの供給元から市販されているようなバーコード及び/またはバーコードアダプターキットが挙げられる)を、本明細書に記載の方法を用いるのに使用または調整してもよく、または、例えば、Integrated DNA Technologies,Inc.(Coralville,IA)から入手可能な委託製造品を用いてもよい。
【0180】
バーコード長は様々であり、またライブラリの複雑性及び利用するバーコード検出法によっても変わる。核酸バーコード(例えば、DNAバーコード)が周知である場合、核酸バーコードの設計、合成及び使用については、当業者の知るところである。
【0181】
一部の例においては、利用するバーコードの長さは更に、個々のバーコード配列が、ライブラリの一部その他構成要素(例えば、モジュールコード配列、ベクター、ベクター構成要素などが挙げられるがこれらに限定されない)内または2つのバーコードユニット間の連結部に偶然現れる可能性によって変わる。例えば、一部の例においては、非バーコード配列が意図せずバーコード配列として検出され得る可能性が高い場合(例えば、非常に複雑なライブラリの場合)、より長いバーコードユニットを利用してもよい。一部の例においては、必要なバーコード長を決定する際にバーコード検出法を考慮に入れてもよく、例えば、ハイブリダイゼーションバーコード検出を用いる例においては、特定のシークエンシングプライマーを用いたシークエンシングの場合と比較してより長いバーコードを採用してもよい。
【0182】
本発明で使用する場合、用語「バーコード領域」(核酸ライブラリにおける個々のメンバーに関係する)とは、合成ポリペプチドの可変モジュール部位に特異的な核酸配列を含むそれぞれの核酸における領域のことを意味する。一部の例においては、バーコード領域を用いて、可変モジュール、または、ライブラリにおける特定のメンバーのコード領域内に存在するモジュールを特異的に同定してもよい。一部の例においては、バーコード領域を用いて、可変モジュール(複数可)を特異的に同定して、ライブラリにおける特定のメンバー(すなわち、構造)のコード領域内に存在する可変モジュールの順番を同定してもよい。一部の例においては、バーコード領域を用いて、例えば、半定量的に、ライブラリにおける特定メンバーの頻度、または、複数のライブラリメンバーを含有する集団内における特定モジュールの頻度を定量化してもよい。
【0183】
本明細書に記載のライブラリにおけるバーコード化合成モジュールポリペプチド内において、バーコード領域のバーコードユニットは、モジュールコード配列と比較して逆方向である。加えて、バーコード領域のバーコードユニットは、結合したそれらに対応するモジュールコード配列と比較して逆順である。しかしながら、コードしたポリペプチドとの関係において、バーコード領域は、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸配列の「N末端」側または「C末端」側に位置していてもよい。
【0184】
ベクター特異的要素
「ベクター特異的要素」とは、そのベクターの構築の前、その間、またはその後において、ベクターを作製、構築、増殖、維持、及び/または、アッセイするのに用いる要素のことを意味する。このようなベクター特異的要素としては、例えば、ベクターの使用中にベクターの増殖、クローニング及び選択に必要なベクター要素が挙げられるがこれらに限定されず、また例えば、複製起点、マルチクローニング部位、原核細胞プロモーター、ファージプロモーター、選択マーカー(例えば、抗生物質抵抗性遺伝子、コードされた酵素タンパク質、コードされた蛍光または発色タンパク質など)などを挙げることができるが、これらに限定されない。任意の好都合なベクター特異的要素は、必要に応じ、本明細書に記載のベクターとして有用であってもよい。
【0185】
ベクター特異的要素として有用な、好適なプロモーター要素及びエンハンサー要素は当技術分野において周知である。細菌性細胞内における発現用として好適なプロモーターとしては、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λP、及びtrcが挙げられるが、これらに限定されない。真核細胞内における発現用として好適なプロモーターとしては、軽鎖及び/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーター要素及びエンハンサー要素、サイトメガロウイルス前初期プロモーター、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター、初期及び後期SV40プロモーター、レトロウイルス由来の長末端反復配列内に存在するプロモーター、マウスメタロチオネイン-Iプロモーター、及び当該技術分野において周知の様々な組織特異的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
可逆的誘導性プロモーターを含む好適な可逆的プロモーターは、当技術分野において周知である。このような可逆的プロモーターは、多くの生物、例えば、真核生物及び原核生物から単離及び誘導することができる。第2の生物に用いる第1の生物から誘導した可逆的プロモーターの調節、例えば、第1の原核生物及び第2の真核生物、第1の真核生物及び第2の原核生物などは、当該技術分野において周知である。このような可逆的プロモーター、及び、別の対照タンパク質もまた含むこのような可逆的プロモーターに基づいたシステムとしては、アルコール調節プロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼI(alcA)遺伝子プロモーター、アルコールトランス活性化因子タンパク質に応答するプロモーター(AlcR)など)、テトラサイクリン調節プロモーター(例えば、TetActivators、TetON、TetOFFなどを含むプロモーターシステム)、ステロイド調節プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体プロモーターシステム、ヒトエストロゲン受容体プロモーターシステム、レチノイドプロモーターシステム、甲状腺プロモーターシステム、エクジソンプロモーターシステム、ミフェプリストンプロモーターシステムなど)、金属調節プロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーターシステムなど)、病原関連調節プロモーター(例えば、サリチル酸調節プロモーター、エチレン調節プロモーター、ベンゾチアジアゾール調節プロモーターなど)、温度調節プロモーター(例えば、熱ショック誘導性プロモーター(例えば、HSP-70、HSP-90、ダイズ熱ショックプロモーター)など)、光調節プロモーター、合成誘導性プロモーターなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
一部の例においては、好適なプロモーターを含む遺伝子座、コンストラクトまたは導入遺伝子は、誘導性システムの誘導により不可逆的に切り替わる。不可逆的な切り替えを誘導する好適なシステムは当該技術分野において周知であり、例えば、不可逆的切り替えの誘導においては、Cre-lox媒介性組換えを利用してもよい(例えば、Fuhrmann-Benzakein,et al.,PNAS(2000)28:e99を参照されたい(その開示は参照として本明細書に組み込まれる))。当業者に周知のリコンビナーゼ、エンドヌクレアーゼ、リガーゼ、組換え部位などの任意の好適な組み合わせを、不可逆的に切り替え可能なプロモーターを作製するのに用いてもよい。本明細書の他の箇所で記載する部位特異的組換えを実施するための方法、機構及び必要条件は、不可逆的に切り替わるプロモーターを作製するのに有用であり、また当該技術分野において周知である。例えば、Grindley et al.(2006)Annual Review of Biochemistry,567-605、及びTropp(2012)Molecular Biology(Jones & Bartlett Publishers,Sudbury,MA)を参照されたい(その開示は本明細書に参照として組み込まれる)。
【0188】
ライブラリの作製方法
本開示は、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のライブラリを作製するための方法を提供する。ライブラリにおけるそれぞれの核酸は、モジュールポリペプチドの可変モジュール(複数可)を同定するマルチユニットバーコードを含み、複数の可変モジュールが存在し、それらの方向は互いに相対的である。多数の実施形態において、本開示は、合成モジュールポリペプチドをコードする得られた核酸のそれぞれが、インフレームモジュールのコード領域及びマルチユニットバーコードを含むことになるように(バーコードユニットの配列はインフレームモジュールの配列に対応する)、バーコード化モジュールコード核酸から、合成モジュールポリペプチドを段階的に組み合わせてアセンブリするための方法を提供する。一般的に、複数の可変モジュールがライブラリのそれぞれのメンバー内に含まれる場合、コアセンブリしたマルチユニットバーコードは、それぞれのライブラリメンバーにおける可変モジュールのアセンブリ記録を提供する。
【0189】
理論に束縛されるものではないが、本明細書で示す、合成モジュールポリペプチドを段階的に組み合わせてアセンブリすることは、従来の個々の(すなわち、一度に1つずつ)ポリペプチド設計法を用いて可能または実用的であったよりも、より大きくより複雑なライブラリの構築を提供する。本発明者は、従来の合成モジュールポリペプチド設計が、合成モジュールポリペプチドのハイスループットスクリーニングに対して大きな技術的障害となっていることを認識していた。本明細書で示す、それぞれのマルチモジュール合成ポリペプチドと対応するマルチユニットバーコードとの整合アセンブリは、この障害を克服し、スクリーニング可能な合成モジュールポリペプチドをコードする複数の固有核酸の「ワンポットアセンブリ」を可能とする。このようなハイスループットワンポットアセンブリは、従来のポリペプチド設計では実施することはできなかった。
【0190】
本発明者はまた、従来の物理的にアレイした合成ポリペプチドライブラリが更に、ハイスループットスクリーニングへの大きな技術的障害を示していることを認識していた。とりわけ大きなライブラリをスクリーニングする場合、物理的に分離した反応チャンバの数、及び、それぞれのチャンバ間のアッセイ条件のばらつきにより、大きなライブラリ全体における複雑性のスクリーニング、及び、生成データの解析を行おうとする際に、技術的ハードルが相当高くなる。本発明者は、プールライブラリスクリーニングがこの問題を克服し得るが、その他の大きな障害、例えば、固有モジュールポリペプチドの複合混合プールからスクリーニングで所望の表現型を示す個々のポリペプチドを同定及び/または定量化することにおける困難性または非実用性などを示すことを認識していた。短いマルチユニットバーコードを用いて、マルチユニットバーコードのみをシークエンシングすることで、複合プール内で所望の表現型を示す個々の固有合成モジュールポリペプチドに対する、事後の効率的で明確な同定及び/または定量化を可能とすることにより、この問題を克服する。
【0191】
クローニング手法
全体として、本開示は、本明細書に記載のとおり、バーコード連結ポリペプチドモジュールコード核酸の入れ子アセンブリを用いたライブラリの作製方法を提供する。例えば、
図12に示すように、モジュール特異的バーコード(102)と連結したポリペプチドモジュールをコードする配列(101)を含む核酸ベクター(100)を、ポリペプチドモジュールをコードする配列とモジュール特異的バーコードとの間の連結を開裂させることにより直鎖化(103)する。第1のモジュールコード配列及び第1のモジュール特異的バーコードを含むベクターの直鎖化に続き、第2のモジュールコード配列(104)及び第2のモジュールに特異的な第2のバーコード(105)を含む核酸を、第1のモジュールコード配列と第1のバーコードとの間に挿入(すなわち、入れ子)する(106)。アセンブリした核酸は、合成モジュールポリペプチドをコードするコード領域、及び、マルチユニットバーコード(すなわち、「バーコード」(BC))を含むバーコード領域を含む。一部の例においては、モジュールコード配列は、本明細書に記載のとおり、所望のリンカーをコードする配列によりそれらが連結するようにアセンブリされる。特定の例においては、モジュールコード配列は、リンカー配列を用いることなく、例えば、1つまたは複数のリンカーアミノ酸をコードするリンカー配列を用いることなく、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間に非コードヌクレオチドを何ら介在させずに、などで連結されるようにアセンブリされる。それゆえ、「所望のリンカー配列」または「リンカー」という表記は、とりわけ図面内で用いる場合、任意のリンカーまたはリンカー配列が全く存在しないこと、及び、ポリペプチドモジュールとモジュールコード配列とが直接連結していることを包含する。
【0192】
第1のモジュールコード配列と第1のモジュール特異的バーコードとの間の開裂によるベクター配列の直鎖化は、任意の簡便かつ適切な手法により達成され得る。例えば、モジュールコード配列及びバーコードを含むポリヌクレオチドは、モジュールコード配列とバーコードとの間に制限酵素(すなわち、制限エンドヌクレアーゼ)開裂部位を含むように構成されていてもよい。開裂部位は、Type II制限酵素開裂部位であってもよく、更に具体的には、用いるType II制限酵素の認識配列内に含まれる開裂部位であってもよい。その認識配列内において開裂を行う任意の簡便なType II制限酵素は、それらの認識配列(当技術分野において周知)内において開裂を行うそれらType II制限酵素を含む本記載の目的に有用であってもよい。一部の例においては、開裂部位は、5´-GGATCC-3´の認識配列を有し、両ストランド上における認識配列の最初のGが5´-GATC-3´のオーバーハングから離れた後に開裂するBamHI開裂部位であってもよい。本目的に用いることが可能なその他の制限酵素としては、例えば、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
一部の例においては、入れ子アセンブリは、第1のモジュールコード配列と第1のモジュール特異的なバーコードとの間、及び、第2のバーコード化モジュールコード配列の前後に位置する2つの制限酵素部位(RE1及びRE2)を用いることにより達成される(
図13)。この2つの制限酵素を用いたアセンブリ手法では、RE1及びRE2の両方における消化により、ベクターの直鎖化、及び、第2のバーコード化モジュールコード配列を含む断片の遊離がもたらされる。直鎖化ベクターと遊離断片とのライゲーションが終わると、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間に所望のリンカー配列が存在することになり、第1及び第2のバーコードは、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向となる。
【0194】
一部の例においては、入れ子アセンブリは、4つの制限酵素部位(RE1、RE2、RE3及びRE4)を用いることにより達成され、RE1及びRE2は、モジュールコード配列とそれらの対応するバーコードとの間(両方)に位置し、RE3及びRE4は、第2のバーコード化モジュールコード配列の前後に位置する(
図14)。この4つの制限酵素を用いたアセンブリ手法では、第1のベクター(RE1及びRE2において)及び第2のベクター(RE3及びRE4において)を別々に消化することにより、ベクターの直鎖化、及び、第2のバーコード化モジュールコード配列を含む断片の遊離がもたらされる。直鎖化ベクターと遊離断片とのライゲーションが終わると、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間に所望のリンカー配列が存在することになり、第1及び第2のバーコードは、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向となる。
【0195】
一部の例においては、制限酵素は、具体的には、ライゲーションが終わると、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間の連結部、及び、第1のバーコードと第2のバーコードとの間の連結部には、RE1、RE2、RE3またはRE4制限酵素認識配列が含まれないように選択される。通常、この手法に従い、利用するRE1、RE2、RE3及びRE4部位は、ライゲーション後に、得られたベクターが、第2のモジュールコード配列とその対応するバーコードとの間に活性なRE1及びRE2部位のみを含むように不活性化される。それゆえ、この手法は、直近で挿入したバーコード化モジュールコード配列のRE1及びRE2における制限酵素消化により得られたベクターを繰り返し直鎖化することにより、2次元以上のコンストラクトとなる連続的な入れ子アセンブリが可能となる。
【0196】
この4つの制限酵素を用いた方法では、RE1は、消化後に、直鎖化ベクターの得られた末端が、RE3を用いた消化により生成された遊離断片の末端と適合する(すなわち、ライゲート可能となる)ように選択される。RE2は、消化後に、直鎖化ベクターの得られた末端が、RE4を用いた消化により生成された遊離断片の末端と適合する(すなわち、ライゲート可能となる、及び/または、完全もしくは少なくとも部分的にハイブリダイズ可能となる)ように選択される。一部の例においては、RE1とRE3との間、または、RE2とRE4との間に適合末端を生成するために、RE1、RE2、RE3またはRE4を用いた消化により生成された1つまたは複数の末端を、例えば、1つもしくは複数のヌクレオチドの付加もしくは欠失、または、その他の化学修飾により修飾してもよい。末端修飾の任意の簡便な方法は、当該技術分野において周知である末端修飾法(例えば、末端平滑化、リン酸化、脱リン酸化などが挙げられるがこれらに限定されない)を含む、適合末端の生成に有用であってもよい。
【0197】
一部の例においては、入れ子アセンブリは、Type IIS制限酵素認識配列(RE1)を用いることにより達成され、2つのRE1部位は、第1のモジュールコード配列とそのバーコードとの間に存在し、また2つのRE1部位は、第2のバーコード化モジュールコード配列の前後に存在する(
図15)。Type IIS制限酵素が介在するこの手法では、RE1認識部位に隣接した部位における消化により、ベクターの直鎖化、及び、第2のバーコード化モジュールコード配列を含む断片の遊離がもたらされる。RE1認識部位に隣接した開裂部位は、開裂後に、ベクターの3´末端が断片の5´末端と適合し、かつ、ベクターの5´末端が断片の3´末端と適合するように構成される。一部の例においては、これら適合末端は、適合「オーバーハング」と呼ばれ得る。それゆえ、直鎖化ベクターと遊離断片とのライゲーションが終わると、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間に所望のリンカー配列が存在することになり、第1及び第2のバーコードは、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向となる。
【0198】
本明細書に記載のこのような酵素を利用したアセンブリ手法に有用であり得る、任意の簡便なType IIS制限酵素としては、例えば、AceIII、AcuI、AlwI、AarI、BbsI、BbvI、BbvII、BccI、Bce83I、BceAI、BcefI、BciVI、BfuAI、BmrI、BmuI、BpmI、BpuEI、BsaI、BsbI、BseRI、BsgI、BslFI、BsmAI、BsmFI、BsoMAI、BspCNI、BspGI、BspMI、BspNCI、BspQI、BsrDI、Bst71I、BtgZI、BtsCI、BtsI、BveI、DrdII、EarI、EciI、FaqI、FinI、FokI、HgaI、Hin4II、HphI、HpyAV、LguI、MboII、MmeI、MnlI、NmeAIII、PleI、SapI、SfaNI、SgeIなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
一部の例においては、例えば、ベクターの直鎖化、及び/または、第2のモジュールを含む断片の遊離に利用する制限酵素は、その認識部位の両側を開裂させる制限酵素である。このような機能を有する任意の簡便な制限酵素は、本明細書に記載のアセンブリ法に有用であってもよく、例えば、BcgIが挙げられるがこれらに限定されない。
【0200】
一部の例においては、入れ子アセンブリは、複数のType IIS制限酵素認識配列、例えば、2つのType IIS制限酵素認識配列(RE1及びRE2)を用いることにより達成され、2つのRE1部位は、モジュールコード配列とそれらの対応するバーコードとの間(両方)に存在し、また2つのRE2部位は、第2のバーコード化モジュールコード配列の前後に存在する(
図16)。この2つのType IIS制限酵素を用いた手法では、第1のベクター(RE1部位において)及び第2のベクター(RE2部位において)を別々に消化することにより、ベクターの直鎖化、及び、第2のバーコード化モジュールコード配列を含む断片の遊離がもたらされる。直鎖化ベクターと遊離断片とのライゲーションが終わると、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間に所望のリンカー配列が存在することになり、第1及び第2のバーコードは、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向となる。
【0201】
通常、この手法に従い、直鎖化及び断片遊離の第1のラウンドに利用したRE1及びRE2部位はベクターから除去され、得られたベクターが、第2のモジュールコード配列とその対応するバーコードとの間に活性なRE1部位のみを含むように挿入される。それゆえ、この手法は、直近で挿入したバーコード化モジュールコード配列のRE1認識部位を用いた制限酵素消化により得られたベクターを繰り返し直鎖化することにより、2次元以上のコンストラクトとなる連続的な入れ子アセンブリが可能となる。
【0202】
この2つのType IIS制限酵素を用いた方法では、RE1及びRE2認識配列に隣接した開裂部位は、消化後に、直鎖化ベクターの得られた末端が遊離断片の末端と適合する(すなわち、ライゲート可能となる)ように構成される。一部の例においては、適合末端を生成するために、RE1及び/またはRE2を用いた消化により生成された1つまたは複数の末端を、例えば、1つもしくは複数のヌクレオチドの付加もしくは欠失、または、その他の化学修飾により修飾してもよい。末端修飾の任意の簡便な方法は、当該技術分野において周知である末端修飾法(例えば、末端平滑化、リン酸化、脱リン酸化などが挙げられるがこれらに限定されない)を含む、適合末端の生成に有用であってもよい。
【0203】
一部の例においては、エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素、例えば、エキソヌクレアーゼを用いることにより、適合末端を生成してもよい。例えば、一部の実施形態では、第1のベクター及び第2のベクターまたは核酸断片は、第1のベクターを第1の制限酵素(RE1)で、また第2のベクターまたは核酸を第2の制限酵素(RE2)で制限酵素消化を行った後、新しく生成された末端が、エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を用いた後にライゲーションに適合するように構成される。エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を用いた適合末端の生成方法は当該技術分野において周知であり、例えば、In-Fusionクローニング法、Gibson Assembly法などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
一部の例においては、制限酵素消化した第1のベクター及び第2の核酸(例えば、核酸断片の第2のベクター)のアセンブリは、In-Fusion反応を用いることにより達成され、またこのような例においては、エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を用いることにより生成された適合末端は、In-Fusionオーバーハング(IFオーバーハング)と呼ばれることもある(
図17)。2つのIFオーバーハングの連結は、核酸の2つの連結末端間の所望のリンカー及び/または所望のリンカー配列を生成するように構成されていてもよい。例えば、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間の連結IFオーバーハングは、第1及び第2のモジュールがインフレームとなるように構成されていてもよい。本明細書でより詳細に記載するように、インフレームモジュールコード配列は、1つまたは複数のリンカーアミノ酸をコードする配列によって分離されていてもいなくてもよい。例えば、
図17に示すように、第1のベクターを第1の制限酵素の認識部位(RE1)で消化することにより、第2のベクターまたは核酸断片上に存在する認識部位(RE2)により認識された開裂部位におけるType IIS制限酵素による第2のベクターまたは核酸断片の消化により生成された末端に適合する、In-Fusion末端が生成される。In-Fusion反応で適合末端をライゲートすることにより、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間に所望のリンカー配列、ならびに、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向である第1及び第2のバーコードユニットを有するマルチユニットバーコードをもたらす。一部の例においては、第1及び第2のモジュールコード配列、ならびに、マルチユニットバーコードのIn-Fusionアセンブリを行った後に、更なるモジュールコード配列及びバーコードユニットの挿入を可能とするための制限酵素部位が、コード領域とバーコード領域との間に存在する。
【0205】
一部の例においては、第1のモジュールコード配列を含む核酸を、第2のモジュールコード配列を含む第2の核酸とライゲーションした後、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間にリンカー及び介在非コードヌクレオチドが存在しないように、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列を連結させる。1つの非限定例においては、第1のモジュールコード配列及びその対応するバーコードを含む第1のベクターは、制限酵素消化によって、リンカーまたは介在非コードヌクレオチドを伴わずに、第2のモジュールコード配列及びその対応するバーコードを含む第2のベクターまたは核酸断片に連結する(
図18)。第1のベクター及び第2のベクターまたは核酸断片の両方は、2つの異なる認識部位(RE1及びRE2)を有する2種類の異なるType IIS制限酵素を用いて消化され、第1の制限酵素は、核酸の両方のストランドを、同一部位(「平滑末端」を残すその認識部位(RE1)から一定の距離の)で開裂させ、第2の制限酵素は、核酸の両方のストランドを、異なる部位(オーバーハングまたは「付着末端」を残すその認識部位(RE2)から一定の距離の)で開裂させる。出発核酸は、第1のベクター及び第2のベクターを第2の制限酵素で開裂させた後、生成された付着末端がライゲーションに適合するように構成される。それゆえ、生成した平滑末端及び付着末端をライゲーションすると、得られたベクターは、リンカーまたは介在非コード核酸を伴わずに、第2のモジュールコード配列に直接結合した第1のモジュールコード配列、ならびに、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向である第1のモジュールコード配列のバーコード及び第2のモジュールコード配列のバーコードを含むマルチユニットバーコードを含む。
【0206】
消化後に平滑末端をもたらす任意の簡便なType IIS制限酵素は、平滑末端ライゲーションを利用した本明細書に記載の方法に有用であってもよく、例えば、SlyI、MlyIなどを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において周知の制限酵素を含む。加えて、平滑末端、すなわち、「平滑化」をもたらさない制限エンドヌクレアーゼを用いた消化後に、平滑末端を生成するための方法、例えば、DNAポリメラーゼIラージフラグメント(すなわち、クレノウ)、T4DNAポリメラーゼ、大豆ヌクレアーゼなどが挙げられるがこれらに限定されない、DNAポリメラーゼを用いた「末端フィリング」を適切に利用してもよく、または、エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素を用いて末端不対ヌクレオチドを除去してもよい。
【0207】
一部の例においては、非Type IIS制限酵素に適合する配列がモジュールコード配列の末端に存在する場合、非Type IIS制限酵素、例えば、その認識配列内を開裂させるType II制限酵素を用いて消化を行ってもよい。このような例においては、モジュールコード配列が、制限酵素認識配列の全てまたは一部をその3´末端または5´末端に含む場合、モジュールコード配列の末端に、平滑末端を生成する制限酵素を用いてもよい。一部の例においては、モジュールコード配列が、その認識配列内を切断し平滑末端を生成しない制限酵素認識配列の全てまたは一部を含む場合、非平滑末端制限酵素を用いてもよく、例えば、本明細書に記載の方法が挙げられるがこれらに限定されない、任意の簡便な方法を用いて、生成したオーバーハングを平滑化してもよい。
【0208】
モジュールコード配列の末端においては、配列がモジュールの末端アミノ酸に制約を受けるため、適切な制限酵素認識配列が、モジュールコード配列の1つまたは複数の末端に都合よく存在し(または修飾され得る)、適切な開裂及び/または平滑末端の生成が可能となる例は、採用する特定のモジュールにもよるが、めったに起こり得ない。それゆえ、多くの例において、合成モジュールポリペプチドの大きなライブラリまたは多次元数ライブラリの生成効率は、モジュールコード配列の外側に存在する酵素認識部位によって決まる。そのため、一部の例においては、ライブラリアセンブリに利用する1つまたは複数(全てを含む)の酵素認識配列は、モジュールコード配列の外側に存在する。多くの例において、ライブラリアセンブリに利用する1つまたは複数(全てを含む)の酵素認識配列は、バーコード配列の外側に存在する。
【0209】
一部の例においては、合成モジュールポリペプチドが生成されるが、モジュールコード配列と、リンカードメインを有するそれらの対応する連結部との間に介在配列が存在しないように、モジュールコード配列がリンカードメインの末端に継ぎ目なく連結する。1つの非限定例においては、モジュールコード配列の、リンカードメインへのこのような継ぎ目のない連結は、モジュールコード配列末端の一方に継ぎ目なく連結した所望のリンカー配列の一部を含むように構成されたベクターまたは核酸断片により促進される。例えば、第1のベクターは、第2のベクターまたは核酸断片にライゲートしたリンカードメインの第1の部位に継ぎ目なく連結した第1のモジュールコード配列を含むように構成されていてもよく、または、第2のモジュールコード配列に継ぎ目なく連結したリンカードメインの第2の部位を含むように構成されていてもよい(
図19)。第1のベクターは、モジュールコード配列とその対応するバーコードとの間に、第1のType IIS制限酵素認識部位(RE1)を2つ含むように構成されていてもよい。第2のベクターまたは核酸断片は、バーコード化した第2のモジュールコード配列の前後に、第2のType IIS制限酵素認識部位(RE2)を2つ含むように構成されていてもよい。第3のベクターまたは核酸断片は、残りの、例えば、2つの第2のType IIS制限酵素認識部位(RE2)が隣接するリンカードメインの「中央」部を含んで利用されてもよい。前消化したベクター及び/または核酸断片の配列は、消化されると、適合末端が、リンカードメインの第1の部位とリンカードメインの中央部との間、リンカードメインの第2の部位とリンカードメインの中央部との間、及び、2つのバーコード間に生成されるように構成されている。消化及びライゲーションが終わると、得られたベクターは、第1及び第2のモジュールコード配列と比較して逆方向である第1及び第2のバーコードを含むバーコード領域に連結した第2のモジュールコード配列に継ぎ目なく連結したリンカードメインに継ぎ目なく連結した第1のモジュールコード配列を含む(
図19)。継ぎ目のないアセンブリ(例えば、モジュールとリンカードメインとの間に)は、エキソヌクレアーゼ媒介性アセンブリ(例えば、In-Fusionクローニング法、Gibson Assembly法など)を用いて、または、用いずに達成されてもよい。
【0210】
一部の例においては、上記の消化ベースアセンブリ手法を、本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドライブラリを作製するのに有用な方法に到達するための任意の簡便かつ適切な方法と、全面的にまたは部分的に組み合わせてもよい。加えて、消化ベースアセンブリの代替方法が当技術分野において周知であり、かつ本明細書に記載の方法に適合し得る場合、そのような代替方法は、本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドライブラリのアセンブリに有用であってもよい。一部の例においては、記載した消化ベース手法を、核酸アセンブリの非消化ベース法と、全面的にまたは部分的に組み合わせてもよい。
【0211】
本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドライブラリをコードする核酸のアセンブリは、消化ベース、すなわち、制限酵素ベースのアセンブリ手法に限定されない。一部の例においては、非消化ベース法は、本明細書に記載のライブラリのアセンブリに有用であってもよく、例えば、増幅ベース手法、組換えベース手法などが挙げられるがこれらに限定されない。消化ベース手法の代わりに非消化ベース法を用いてもよく(すなわち、全アセンブリ手法が全体として制限酵素消化を伴わないように)、または、非消化ベース法を消化ベース手法と組み合わせて用いてもよい(すなわち、アセンブリ手法が全体として制限酵素ベース消化法及び非消化ベース法の両方を伴うように)。
【0212】
一部の例においては、例えば、PCRクローニング、TAクローニング、PCRオーバーハング伸長などが挙げられるがこれらに限定されない増幅ベースアセンブリを用いて、本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドライブラリを、全体的にまたは部分的にアセンブリしてもよい。このような増幅ベース手法は様々であるが、一般に、出発ベクター及び/または出発核酸断片内における複数のプライマー結合部位を利用する。このようなプライマー結合部位を、所望の最終作製物にもよるが、とりわけベクター及び/または核酸断片に付加してもよく、または、ベクターもしくは核酸断片内に存在する既存配列を、様々な増幅ベースアセンブリ手法に従い、プライマー結合部位として利用してもよい。プライマー結合部位は、所望のクローン産物を作製するのに十分な、任意の簡便な構成及び/または方向で配置されてもよく、モジュールコード配列とその対応するバーコードとの間にモジュールコード配列に向かって5´トゥ3´方向で配置すること、モジュールコード配列とその対応するバーコードとの間にバーコードに向かって5´トゥ3´方向で配置すること、モジュールコード配列の上流(すなわち、5´)にモジュールコード配列に向かって5´トゥ3´方向で配置すること、モジュールバーコード配列の下流(すなわち、3´)にモジュールバーコード配列に向かって5´トゥ3´方向で配置することなどが挙げられるがこれらに限定されない。プライマー結合部位配列は、増幅ベースクローニング後(増幅ベースクローニングの1ラウンド後を含む)に構成されていてもよく、1つまたは複数の所望のリンカー配列は、アセンブリした要素(例えば、アセンブリしたモジュールコード配列、アセンブリしたバーコード配列などを含む)間に存在する。
【0213】
増幅ベースアセンブリ手法の非限定的な例として、PCRオーバーハング伸長手法を採用してもよく(
図20)、第1のベクターは、モジュールコード配列とその対応するバーコード配列との間に位置する、第1のプライマー結合部位(PBS1)、及び反対の5´トゥ3´方向の第2のプライマー結合部位(PBS2)を含む。第1及び第2のプライマー結合部位(PBS1及びPBS2)が隣接する第2のバーコード化モジュールコード配列を有する第2のベクターまたは核酸断片を利用する。PBS1部位及びPBS2部位に特異的にハイブリダイズするプライマーを用いたオーバーハング伸長PCRによる伸長及び増幅の後に、アセンブリ産物を作製するのだが、第1のモジュールコード配列は所望のリンカーで第2のモジュールコード配列と連結し、第2のモジュールコード配列は、それらの対応するモジュールコード配列と比較して逆方向である第1及び第2のバーコードを含むマルチユニットバーコードと連結する(
図20)。
【0214】
上記のアセンブリ手法に照らして、当業者は、上記の手法のいずれかをどのように組み合わせる(全面的にまたは部分的に)ことによって、所望の結果をもたらすのか、及び/または、所望のライブラリ及び/またはライブラリ構成要素を含むアセンブリに応じた特定のクローニング技術における、利点を最大化させるか、及び/または、欠点を最小化させるかを、容易に理解するであろう。非限定的な例として、増幅ベース手法を消化ベース手法と組み合わせてもよく、このような手法を組み合わせることにより、所望のライブラリ及び/またはライブラリ構成要素を含むアセンブリがもたらされる。例えば、
図21に示すように、第1のモジュールコード配列とそのバーコードとの間に位置する制限認識部位酵素部位(RE1)による第1のベクターの制限酵素消化を、第2のベクターまたは核酸断片内に含まれる第2のバーコード化モジュールコード配列の前後にあるプライマー結合部位を用いたPCRベース増幅と組み合わせて、入れ子アセンブリを可能としてもよい。記載したハイブリッドアセンブリ手法によるアセンブリを行った後に、アセンブリ産物を作製するのだが、第1のモジュールコード配列は所望のリンカーで第2のモジュールコード配列と連結し、第2のモジュールコード配列は、それらの対応するモジュールコード配列と比較して逆方向である第1及び第2のバーコードを含むマルチユニットバーコードと連結する(
図21)。
【0215】
ハイブリッド手法は消化ベース手法及び増幅ベース手法の組み合わせに限定されず、その他のクローニング方法及び/または合成生物学的方法を全面的にまたは部分的に含んでいてもよく、例えば、組換えベースのクローニング手法(例えば、Gatewayベースのクローニング手法、Cre/Flpリコンビナーゼベースのクローニング(組換え後に部位を不活性化させることを含む)などが挙げられるがこれらに限定されない)、新規の配列アセンブリ、新規の核酸合成などが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例においては、組換えベースのクローニング手法、新規の配列アセンブリ、新規の核酸合成などを個別に、すなわち、個々のクローニング手法として、またハイブリッドクローニング手法の一部としてではなく、単独で用いてもよい。
【0216】
一部の例においては、特定のクローニング手法を採用する場合、結果として2つのクローン要素間に望ましくない介在配列(クローニングスカーまたはシームとしても周知)が存在することになり、単分子開裂、及びスカーの再ライゲーションを含むベクターにより、このようなクローニングスカーを低減または除去することができる。例えば、制限酵素媒介性単分子開裂及び再ライゲーション(例えば、Type IIS単分子開裂及び再ライゲーションなど)が挙げられるがこれらに限定されない任意の簡便な方法を用いて、単分子開裂及び再ライゲーションを実施してもよい。例えば、一部の例においては、単分子開裂及び再ライゲーションを用いて、組換えベースアセンブリによる組換え部位の全部または一部を含むシームを、部分的にまたは全体的に除去してもよい。一部の例においては、単分子開裂及び再ライゲーションを用いて、消化ベースアセンブリによる制限酵素認識部位の全部または一部を含む開裂スカーを、部分的にまたは全体的に除去してもよい。一部の例においては、単分子開裂及び再ライゲーションを用いて、増幅ベースアセンブリによるプライマー結合部位の全部または一部を含むシームを、部分的にまたは全体的に除去してもよい。
【0217】
1つの非限定実施形態では、消化ベースクローニング法及びIn-Fusionクローニング法を用いて、ライブラリ構成要素におけるそれぞれの次元を繰り返しクローニングすることにより、組み合わせライブラリを作製する。例えば、
図22で詳細に記載するとおり、工程1では、ScFvコード配列及び隣接したGly/Serリンカーを含む出発核酸(例えば、ベクター)を、Gly/Serリンカー内のBamHI部位またはGly/Serリンカーに隣接したBamHI部位で消化する。工程2では、第1のモジュール特異的なバーコードに結合した第2のGly/Serリンカーに連結した第1のモジュールコード配列を含む核酸断片を、In-Fusionクローニング法で消化したBamHI部位にクローニングする。In-Fusionクローニング法によるライゲーション後、ScFvと第1のモジュールコード配列との間のGly/Serリンカーは維持される。工程3では、工程2でアセンブリした核酸を、第1のモジュールコード配列核酸断片のGly/Serリンカー内またはその隣に導入したBamHI部位で消化してから、第2のモジュール特異的なバーコードに結合した第3のGly/Serリンカーに連結した第2のモジュールコード配列を含む第2の核酸断片に対して、In-Fusionクローニング法を繰り返す。工程2と同様に、In-Fusionクローニング法によるライゲーション後、第1のモジュールコード配列と第2のモジュールコード配列との間のGly/Serリンカーは維持される。より高い次元のライブラリメンバーが望ましい場合、工程3を繰り返し反復してもよい。工程4では、核酸を含む最後に付加したモジュールコード配列のGly/Serリンカー内またはその隣に導入したBamHI部位で消化することにより、最終モジュールコード配列と下流マルチユニットバーコード配列との間に、末端レポーター配列(例えば、「終止」シグナル配列(例えば、終止コドン)もまた含むGFPコード配列)をIn-Fusionクローニングすることが可能となる。この実施形態では、得られたライブラリメンバーのそれぞれは、組み合わせインフレームCAR、及び、組み合わせインフレームCAR構造を示す組み合わせバーコードを含む。
【0218】
プールライブラリ
本開示は、バーコード化合成モジュールポリペプチドのプールライブラリを作製するための方法を提供する。プールライブラリとは、ライブラリメンバーが共通の容器内及び/または共通の溶液中に存在し、かつ個々のライブラリメンバーを空間をあけて物理的に分離させる必要がないことを意味し、例えば、個々のライブラリメンバーは、ライブラリの構築中に(例えば、「ワンポットアセンブリ」におけるような)、または、個々のライブラリメンバーの構築後にプールされてもよい。例えば、組み合わせ入れ子アセンブリで構築したプール合成モジュールポリペプチドライブラリの場合、ライブラリメンバーのアセンブリ中に、ライブラリメンバーのアセンブリ完了前に、及び/または、ライブラリメンバーのアセンブリ完了後などに、ライブラリの構成要素をプールしてもよい。本発明で使用する場合、プールライブラリは、合成モジュールポリペプチドのみのライブラリに限定されず、合成モジュールポリペプチドを発現する細胞のプールライブラリ、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸のプールライブラリなどもまた含む。
【0219】
したがって、一部の例においては、ライブラリメンバーをアセンブリするのに用いる個々の核酸構成要素は、アセンブリ前にプールされてもよく、またライブラリメンバーのアセンブリ中にプールされたままであってもよい。その他の例では、アセンブリしたライブラリメンバーをアセンブリ後に混合して、プールライブラリを作製してもよい。
【0220】
本明細書に記載のライブラリ及びライブラリアセンブリ法は、結合バーコード領域をシークエンシングすることにより同定可能なライブラリメンバーの作製を含み、下流アッセイがなおも可能な状態で、個々のライブラリメンバーのアセンブリ、同定及び定量化を行う前、その間、またはその後など任意の時点で個々の核酸をプールしてもよい。一部の例においては、アセンブリ中の特定の時点において、ライブラリ構成要素をプールすることにより、ライブラリの最終次元数を操作してもよい。例えば、次元数の異なる部分的なライブラリを別々にアセンブリしてから、その部分的なライブラリをプールすることにより(例えば、「split-and-pool」アセンブリを用いて)、混合次元数ライブラリを得てもよい。一部の例においては、例えば、次元数の異なる部分的なライブラリをプールした後、更なるアセンブリ(更なる可変ドメインの付加を含む)を行ってもよい。
【0221】
1つの非限定実施形態では、
図23に示すように、合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のプールライブラリをバルクで初代ヒトT細胞へと形質転換して、初代ヒトT細胞を発現する合成モジュールCARポリペプチドを生成する。任意選択的に、コードされた合成モジュールCARポリペプチドライブラリメンバーが1つまたは複数のレポーターモジュールを含む場合、合成モジュールCARポリペプチドライブラリメンバーの均一な発現を有する形質転換細胞を単離するために、形質転換T細胞を、それらのレポーターモジュールの発現(合成モジュールCARポリペプチドの発現を示す役割を果たす)を基準としてソートしてもよい。このようにソートした均一に発現する形質転換T細胞は、T細胞を発現する合成モジュールCARポリペプチドのプールライブラリを示す。
【0222】
一部の例においては、核酸及び/または初代ヒトT細胞を発現する合成モジュールCARポリペプチドの形質転換効率を調整する。このような調整は、様々な実施上の理由、例えば、ライブラリにおけるそれぞれのメンバーの発現可能性を制御するために、及び/または、それぞれの細胞が最大で1つのライブラリメンバーを発現する可能性を制御するために行ってもよい。このような調整は、任意の簡便な方法により行ってもよく、例えば、形質転換中に含まれる合成モジュールCARポリペプチドコード核酸の初期量を調整すること、形質転換中に含まれる初代T細胞の初期量を制御すること、形質転換中におけるコード核酸と初代T細胞の比率を制御することなどが挙げられるがこれらに限定されない。それゆえ、一部の例においては、それぞれの導入T細胞が実質的に、1つの固有合成モジュールCARポリペプチドを発現するように、形質転換効率を調整する。一部の例においては、下流アッセイの必要条件に応じて、固有合成モジュールCARポリペプチドを発現する得られたプール細胞ライブラリに対して、培養、増殖、保存などを行ってもよい。
【0223】
このようなプールライブラリ(プール核酸、プールモジュールポリペプチド、プール導入細胞などのどれでも)は、合成モジュールCARポリペプチドをコードする核酸、合成モジュールCARポリペプチド、または、合成モジュールCARポリペプチドを発現する細胞(例えば、T細胞)に限定されない。本明細書に記載の方法に従い作製した、モジュールポリペプチドをコードする核酸の任意のライブラリ、モジュールポリペプチド、及び/またはモジュールポリペプチドを発現する適切な導入細胞を同様にプールして、例えば、スクリーニングアッセイに有用なプールライブラリを生成してもよい。
【0224】
それぞれのライブラリメンバーに結合した特定のマルチユニットバーコードに基づいて、本明細書に記載のプールライブラリにおける個々のメンバーを明確に同定してもよい。それぞれのモジュールコード配列とその対応するバーコード配列との間の位置関係を予測可能とする特定の組み合わせ入れ子アセンブリにより、結合マルチユニットバーコードを単にシークエンシングすることで、それぞれの合成モジュールポリペプチドの同一性及び構造を再構築することが可能となる。それゆえ、一部の例においては、ライブラリメンバーのバーコード領域に関連する配列情報から、合成モジュールポリペプチドライブラリにおける個々のメンバーの同一性及び/または構造を同定することができる。例えば、一部の例においては、例えば、ライブラリの構築後、特定のアッセイでライブラリを用いた後などに、本明細書に記載のプールライブラリにおける複雑性及び/またはそれぞれの個々のメンバーを同定することができる。
【0225】
区画化ライブラリ構成要素
一部の例においては、コード領域及びバーコード領域を含む個々の核酸メンバーを区画化してもよい。プールライブラリ及び区画化構成要素を含むライブラリは、相互排他的である必要はなく、例えば、一部の例においては、ライブラリは、異なる回数プールしたライブラリ、及び異なる回数区画化した構成要素を含むライブラリの両方であってもよく、例えば、ライブラリを構築してもよく、例えば、ライブラリメンバーをプールで(例えば、ワンポットアセンブリで)アセンブリしてもよく、それから、例えば、核酸ライブラリメンバーを個々の細胞または非細胞区画へとトランスフェクションすることにより、続けて区画化してもよい。その他の例では、ライブラリメンバーをそれらのアセンブリの途中で区画化してもよく、その後、更なる処理(例えば、更なるアセンブリまたはスクリーニングが挙げられるがこれらに限定されない)のために続けてプールしてもよい。一般的に、本明細書に記載の入れ子アセンブリ及びクローニング手法に従いアセンブリした、バーコード化合成ポリペプチドコード核酸は、プールでアセンブリされ、その後区画化されてもされなくてもよい。
【0226】
アセンブリしたバーコード化合成ポリペプチドコード核酸の区画化は、それぞれの核酸ライブラリメンバーがそれらのコード産物との結合を維持するように、個々の核酸ライブラリメンバーからの転写及び翻訳を可能とする、任意の簡便な方法を用いて実施してもよい。一部の例においては、以下でより詳細に記載するように、細胞ライブラリを作製することにより区画化を行ってもよく、個々の細胞は、「区画」として機能し、また核酸ライブラリメンバーからの翻訳及び転写を提供する。
【0227】
一部の例においては、非細胞ライブラリ(例えば、封入ベースライブラリ)を作製することにより、区画化を行ってもよい。無細胞封入ベースライブラリは通常、2種以上の不混和性液体からなるエマルションを含み、核酸ライブラリメンバーは第1の液体(例えば、水または水性緩衝液などの水性溶液)に可溶性であり、第2の液体(例えば、油またはその他有機溶媒)に不溶性である。そのため、第1の液体は区画(例えば、個々のライブラリメンバーを含有する液滴)を形成する。エマルションを含むライブラリは、それぞれの区画が任意の望ましい数の個々のライブラリメンバー(区画あたり最大で1つのメンバーが挙げられるがこれらに限定されない)を含むように構成されていてもよい。転写産物及び翻訳産物が、そこからそれらがコードされる個々の核酸ライブラリメンバーとの結合を維持する(すなわち、区画内に維持される)ような条件下で、封入ライブラリの核酸メンバーを転写(例えば、インビトロ転写)及び翻訳(例えば、インビトロ翻訳)してもよい。ポリペプチドをコードする核酸の封入ライブラリを作製するための任意の簡便かつ適切な方法は、本明細書に記載する方法に有用であってもよく、例えば、Bernath et al.Anal Biochem.(2004)325(1):151-7に記載される方法が挙げられるがこれらに限定されない(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。
【0228】
区画内にライブラリメンバーのコード産物を作製した後、核酸ライブラリメンバー及びコード合成モジュールポリペプチドは、物理的に連結していてもいなくてもよい。例えば、一部の例においては、例えば、化学結合または化学共役(すなわち、核酸ライブラリメンバーとコード合成モジュールポリペプチドとの間における共有結合の生成)を含む任意の簡便かつ適切な方法を用いて、または、分子結合(例えば、ライブラリメンバーとコード合成モジュールポリペプチドとの間の直接的な結合により、または、1つもしくは複数の結合介在物(例えば、結合パートナー、基質など)を介したライブラリメンバーとコード産物との間の間接的な結合により)を用いて、核酸ライブラリメンバー及びコード産物を連結させてもよい。区画化コードポリペプチドを核酸ライブラリメンバーに連結させるための任意の簡便かつ適切な方法は、本明細書に記載の方法に有用であってもよく、例えば、核酸ライブラリメンバーがコードするエピトープタグに特異的に結合する、結合エピトープタグ結合物質を含む基質の使用(例えば、Griffiths & Tawfik.EMBO J(20030 22(1):24-35に記載される)が挙げられるがこれらに限定されない(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。一部の例においては、連結後に、核酸ライブラリメンバーの区画をなくしてもよく(例えば、プールする)、プールライブラリで更なるアッセイを行ってもよい。
【0229】
一部の例においては、核酸ライブラリメンバー及びコード産物は、例えば、区画(細胞区画及び非細胞区画を含む)内における区画化により、物理的に連結することなく十分な結合を維持する。
【0230】
区画化(細胞または非細胞のどちらでも)により通常、合成モジュールポリペプチドまたはその一部の同定が可能となり、合成モジュールポリペプチドまたはその一部は、合成モジュールポリペプチドをコードする個々のライブラリメンバー核酸におけるバーコード領域のシークエンシングにより検出した表現型と関連し、個々のライブラリメンバー核酸は、それらの区画化状態またはそれらの区画化中に形成された物理的連結の結果により、合成モジュールポリペプチドとの結合を維持する。
【0231】
細胞ライブラリ
上記で少し詳細に説明したとおり、本発明で使用する場合、ライブラリは細胞ライブラリを含み、ライブラリの細胞は合成モジュールポリペプチドを発現する。例えば、ウイルストランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、ボンバードメント、化学的形質転換、導入可能なキャリア(例えば、導入可能なキャリアタンパク質)の使用などが挙げられるがこれらに限定されない、任意の簡便な方法を用いて、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸の形質転換を行ってもよい。一部の例においては、合成モジュールポリペプチドコード核酸を形質導入する細胞のことを、本明細書では、宿主細胞と呼ぶ。
【0232】
宿主細胞は、固有合成モジュールポリペプチドをコードする単一の個々のバーコード化核酸を発現してもよく、または、固有合成モジュールポリペプチドをコードする複数の(2つ以上を含む)個々のバーコード化核酸を発現してもよい。例えば、宿主細胞内へと対象核酸を導入する頻度または可能性を制御することにより、例えば、導入法のパラメータを調節することにより、宿主細胞が発現する個々のバーコード化核酸の数を制御可能であることが理解されるであろう。一部の例においては、宿主細胞内に存在する固有合成モジュールポリペプチドをコードする個々のバーコード化核酸の得られた数は、感染多重度(MOI)と呼ばれることもあり、導入前または導入後のいずれかにおける宿主細胞に対する核酸の比率と定義され得る。例えば、導入前における宿主細胞に対する核酸の比率を上げることまたは下げることによりMOIを調節する通常の方法を用いて、導入後における宿主細胞あたりの、固有合成モジュールポリペプチドをコードする個々のバーコード化核酸の望ましい最終数を得てもよい。
【0233】
合成モジュールポリペプチドをコードする核酸を、任意の適切な宿主細胞または細胞株(例えば、原核細胞及び真核細胞を含む)へと形質導入してもよい。宿主細胞型の選択は、スクリーニングする合成モジュールポリペプチドライブラリのタイプ、及び、特定のスクリーニングアッセイを含む多数の因子によって決まる。一部の例においては、宿主細胞は、Acidobacteria、Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes、Caldiserica、Chlamydiae、Chlorobi、Chloroflexi、Chrysiogenetes、Cyanobacteria、Deferribacteres、Deinococcus-Thermus、Dictyoglomi、Elusimicrobia、Fibrobacteres、Firmicutes、Fusobacteria、Gemmatimonadetes、Lentisphaerae、Nitrospirae、Planctomycetes、Proteobacteria、Spirochaetes、Synergistetes、Tenericutes、Thermodesulfobacteria、Thermotogae、及び、Verrucomicrobiaが挙げられるがこれらに限定されない、原核細胞であってもよい。特定の実施形態では、宿主細胞は、細菌性細胞、例えば、E.coliであってもよい。一部の例においては、例えば、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas,VA)、Life Technologies,Inc.(Grand Island,NY)などの供給業者から市販されているものが挙げられるがこれらに限定されない、通常の菌株を用いてもよい。
【0234】
好適な真核細胞は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、類人猿、有蹄類、イヌ科動物、ネコ科動物、ウサギ、げっ歯類などを含む)、爬虫類、両生類(例えば、xenopus、サンショウウオ、イモリなど)、魚類(例えば、ゼブラフィッシュなど)、鳥類(例えば、ニワトリなど)、無脊椎動物(例えば、昆虫(例えば、ショウジョウバエなど)、ぜん虫類(例えば、線虫など)、海洋無脊椎動物(例えば、ウニなど)など)、酵母菌などが挙げられるがこれらに限定されない宿主動物に元々由来する初代細胞及び培養細胞を含む。特定の実施形態では、細胞は、マウスまたはラットに由来する初代げっ歯類細胞または培養げっ歯類細胞であってもよい。その他の実施形態では、細胞は、初代ヒト細胞または培養ヒト細胞であってもよい。スクリーニングする特定のライブラリ及び特定のスクリーニングアッセイに応じ、任意の簡便な真核細胞が宿主細胞として有用であってもよく、一部の例においては、例えば、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas,VA)、Life Technologies,Inc.(Grand Island,NY)などの供給業者から市販されているものが挙げられるがこれらに限定されない通常の真核細胞株を用いてもよい。
【0235】
一部の例においては、細胞ライブラリの細胞は、初代細胞(例えば、初代単球、初代リンパ球(例えば、初代T細胞、初代B細胞、初代NK細胞など)、初代樹状細胞など)、初代内皮細胞、初代上皮細胞、初代線維芽細胞、初代造血幹細胞、初代ケラチノサイト、初代メラノサイト、初代間葉系幹細胞、初代脂肪前駆細胞、初代筋細胞(例えば、初代平滑筋細胞、初代骨格筋細胞など)などである。一部の例においては、細胞ライブラリの細胞は、樹立細胞株(例えば、ジャーカット細胞など)である。一部の例においては、細胞ライブラリの細胞は、患者特異的細胞(患者特異的免疫細胞(例えば、初代T細胞など)、患者特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞、間葉系幹細胞、脂肪由来幹細胞など)、患者特異的がん細胞(例えば、腫瘍細胞、血液がん細胞など))である。
【0236】
好適な哺乳動物細胞としては、初代細胞及び不死化細胞株が挙げられる。好適な哺乳動物細胞株としては、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株などが挙げられる。好適な哺乳動物細胞株としては、HeLa細胞(例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞、Hut-78、ジャーカット、HL-60、NK細胞株(例えば、NKL、NK92、及びYTS)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0237】
一部の例においては、細胞は不死化細胞株ではないが、代わりに、個体から採取した細胞(例えば、初代細胞)である。例えば、一部の例においては、細胞は、個体から採取した免疫細胞である。1つの例としては、細胞は、個体から採取したTリンパ球である。別の例としては、細胞は、個体から採取した細胞傷害性細胞である。別の例としては、細胞は、個体から採取した幹細胞または前駆細胞である。
【0238】
ライブラリにおける合成モジュールポリペプチドをコードする複数の核酸を形質転換した後、形質転換宿主細胞を、それらの合成モジュールポリペプチドの発現に基づいてソートして、例えば、合成モジュールポリペプチドを発現しないそれら細胞をライブラリから除去すること、合成モジュールポリペプチドを特定の発現閾値超で発現するそれら細胞のみを単離すること、合成モジュールポリペプチドを特定の発現閾値未満で発現するそれら細胞のみを単離すること、合成モジュールポリペプチドを特定の発現範囲内で発現するそれら細胞のみを単離することなどを行ってもよい。一部の例においては、ライブラリ中の均一な発現を有するそれら細胞のみを単離するために、発現に基づいた形質転換細胞のソートを行ってもよく、均一な発現は、特定の処理によって変化する場合があり、一部の例においては、集団における発現の平均超及び平均未満である特定の範囲内の発現レベルとして定義され得る。
【0239】
特定の実施形態では、それらのライブラリメンバーの発現に基づいて形質転換細胞をソートすること、例えば、ライブラリメンバーの発現またはおおよそ等しい発現を有する細胞をソートすることにより、ライブラリメンバー及び/またはそこに含まれるモジュールの影響の評価を向上させることが可能となる。例えば、ライブラリメンバーを所定の範囲内で発現するそれら細胞のみを単離することにより、特定の表現型に影響を与えるライブラリメンバーの同定が、特定のライブラリメンバーがいかに良好に発現するかではなく、ライブラリメンバー及びそこに含まれるそれらのモジュールの実際の機能に基づくことになる。一部の実施形態では、例えば、個々のライブラリメンバー及び/またはそれらのモジュールの頻度に対して半定量解析を行う場合、ライブラリメンバーを所定の範囲内で発現する細胞をソートすることにより、それらライブラリメンバー及び/またはモジュールを、それらの相対的発現レベルではなく、それらの特定の表現型への影響に基づいて、より精度高く定量解析及び定量化することが可能となる。
【0240】
加えて、ソートすることにより、特定の発現範囲内または特定の閾値超及び特定の閾値未満で発現する場合に(例えば、低レベルで発現する場合、または高レベルで発現する場合を含む)、特定の表現型を示すように機能する、または特定の表現型に影響を与えるように機能するライブラリメンバー及びそれらのモジュールの同定が可能となる。
【0241】
ライブラリの正規化
ライブラリを作製する状況、及び/またはライブラリの意図する最終用途に応じて、本開示のライブラリを正規化してもしなくてもよい。本発明において記載するライブラリに関して使用する場合、「正規化」とは、それぞれのライブラリメンバーの相対量を、それぞれのライブラリメンバーの相対量を調節する前よりも少なくとも均等に近づくように調節することを意味する。一部の例においては、ライブラリを正規化することにより、最も多く発現するライブラリメンバーの量と最も少なく発現するライブラリメンバーとの間がより狭い範囲となるライブラリがもたらされる。一部の例においては、正規化により、最も少なく発現するライブラリメンバー(複数可)の量が上昇することになる。一部の例においては、正規化により、最も多く発現するライブラリメンバー(複数可)の量が低下することになる。
【0242】
一部の例においては、ライブラリの正規化は、ライブラリメンバーの全てもしくは大部分または代表的なサンプリング(または代表的なサンプリングの全てもしくは大部分)を定量化して、ライブラリ内におけるそれぞれのライブラリメンバーの相対量を測定することを含み得る。定量化の後、その定量化に基づいて調整を行い、ライブラリ内におけるそれぞれのライブラリメンバーの相対存在量を平準化する。状況に応じて、ライブラリが直接正規化されるように、このような調整を、既に作製したライブラリに対して直接行ってもよい。あるいは、次の調製ライブラリが正規化されるように、ライブラリ調製法に対して調整を行ってもよい。
【0243】
例えば、核酸ライブラリ、ポリペプチドライブラリ、非細胞封入ライブラリ、細胞ライブラリなどが挙げられるがこれらに限定されない、本開示の任意のライブラリを正規化してもよく、また正規化するライブラリに応じて様々な方法を利用してもよい。例えば、正規化するライブラリのタイプに応じて、ライブラリメンバーの相対量を定量化するための様々な方法を利用してもよい。核酸ライブラリメンバーを定量化するために利用可能な様々な方法としては、例えば、定量的シークエンシング(例えば、次世代シークエンシング)、定量的PCR、定量的ハイブリダイゼーション(例えば、マイクロアレイ)などが挙げられるがこれらに限定されない。ポリペプチドライブラリメンバーを定量化するために利用可能な様々な方法としては、例えば、定量的質量分析、ELISAなどが挙げられるがこれらに限定されない。細胞ライブラリメンバーを定量化するために利用可能な様々な方法としては、例えば、フローサイトメトリー、免疫組織化学、定量的シークエンシング(例えば、次世代シークエンシング)、定量的PCR、定量的ハイブリダイゼーション(例えば、マイクロアレイ)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0244】
一部の例においては、ライブラリメンバーを定量化すると、正規化に必要な調整(複数可)が計算され得る。ライブラリのタイプ及び/またはライブラリのサイズに応じて、任意の簡便かつ適切な正規化計算法を採用してもよい。一部の例においては、例えば、
図28に示す線形方程式が挙げられるがこれらに限定されない、線形方程式を用いてもよい。
【0245】
一部の例においては、ライブラリにおけるそれぞれのメンバーに対して正規化計算を行うと、ライブラリは調整され得る。ライブラリを直接調整するための様々な方法を採用してもよい。例えば、一部の例においては、FACSを用いて細胞ライブラリを正規化して、ライブラリにおけるそれぞれのメンバーを発現する等しい数の細胞を、プールまたは個別に処理可能な区画のいずれかへとソートしてもよい。一部の例においては、ライブラリが既に区画化されている場合、それぞれの区画容積を調節することによりライブラリを正規化してもよく、例えば、それぞれの区画に、濃度を平準化するのに十分な一定容積の液体を加えることにより、それぞれの区画内における異なる濃度のライブラリメンバーを正規化することを含む。
【0246】
一部の例においては、核酸プールライブラリの正規化を行ってもよい。様々な目的で核酸プールライブラリを正規化してもよい。一実施形態では、ライブラリ内における個々のライブラリメンバーの発現上昇または発現低下(例えば、組み合わせアセンブリ中、特定の核酸モジュールをライブラリメンバーへと導入する際の効率性の上昇または低下に起因)を調整するために、核酸プールライブラリを正規化してもよい。
【0247】
一部の例においては、核酸ライブラリメンバー、及び/または、ライブラリメンバーを構成する核酸モジュールを定量化してもよい(例えば、定量的シークエンシングにより)。このような定量化の後、正規化に必要なそれぞれのメンバーの調整を計算する。一実施形態では、計算した調整をライブラリの次の組み合わせアセンブリへと適用してもよく、例えば、核酸ライブラリをアセンブリするのに用いるそれぞれの核酸モジュールの量を、定量化ライブラリにおけるそのモジュールの相対的発現に基づいて調整してもよい。その結果、ライブラリの次のアセンブリ前に核酸モジュールの出発量を調整することにより、得られる組み合わせライブラリが正規化されることになる。したがって、一部の例においては、本明細書に記載のライブラリの正規化は、ライブラリのアセンブリに続いて、アセンブリしたライブラリの定量化、及び、その定量化に基づいた正規化バージョンライブラリの再アセンブリを含んでいてもよい。
【0248】
スクリーニング方法
例えば、インビトロスクリーニング法及びインビボスクリーニング法が挙げられるがこれらに限定されない、合成モジュールポリペプチドライブラリのスクリーニング方法を提供する。「インビボスクリーニング」とは通常、生体の生物学的環境内でアッセイされる、複数の固有合成モジュールポリペプチドを含むライブラリのことを意味する。本明細書に記載の方法に従いインビボでアッセイ可能な生体としては、単細胞生物及び多細胞生物が挙げられる。
【0249】
単細胞生物のインビボスクリーニングは通常、単細胞生物を合成モジュールポリペプチドライブラリ(合成モジュールポリペプチドライブラリは、合成モジュールポリペプチドを発現するポリペプチドライブラリまたは細胞ライブラリであってもよい)と接触させること、及び、単細胞生物内における表現型を検出することを含む。その他の例では、単細胞生物のインビボスクリーニングは、単細胞生物がコード合成モジュールポリペプチドを発現するのに十分な条件下で、単細胞生物または複数の単細胞生物を、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸ライブラリと接触させることを含んでいてもよい。
【0250】
多細胞生物のインビボスクリーニングは通常、多細胞生物を合成モジュールポリペプチドライブラリ(合成モジュールポリペプチドライブラリは、合成モジュールポリペプチドを発現するポリペプチドライブラリまたは細胞ライブラリであってもよい)と接触させること、及び、多細胞生物内における表現型を検出することを含む。その他の例では、多細胞生物のインビボスクリーニングは、多細胞生物(複数可)がコード合成モジュールポリペプチドを発現するのに十分な条件下で、多細胞生物または複数の多細胞生物を、合成モジュールポリペプチドをコードする核酸ライブラリと接触させることを含んでいてもよい。スクリーニングする特定のライブラリ及び用いる特定のインビボアッセイに応じて、任意の簡便な多細胞生物を本明細書に記載するライブラリのインビボスクリーニングに用いてもよく、特定の多細胞生物としては、例えば、哺乳動物(例えば、マウス、ラットなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0251】
「インビトロスクリーニング」とは通常、通常の生物学的環境(例えば、ライブラリのポリペプチドモジュール、スクリーニングに用いる生体物質またはスクリーニングした表現型)の外側でアッセイされる、複数の固有合成モジュールポリペプチドを含むライブラリのことを意味する。例えば、一部の例においては、インビトロスクリーニングは、例えば、単離試料、単離細胞、細胞培養物、単離組織または切開組織、規定試料、規定培地、人工組織、人工器官、細胞抽出物、組織抽出物、試料アレイなどが挙げられるがこれらに限定されない、人工または合成の実験環境を用いて行ってもよい。インビトロスクリーニングは、例えば、反応容器、反応チャンバ、試験管、バイアル瓶、プレート、フラスコ、シャーレ、スライドガラスなどが挙げられるがこれらに限定されない、任意の簡便かつ適切な容器内で行ってもよい。
【0252】
試料(細胞試料または非細胞試料を含む)のインビトロスクリーニングは通常、試料を合成モジュールポリペプチドライブラリ(合成モジュールポリペプチドライブラリは、合成モジュールポリペプチドを発現するポリペプチドライブラリまたは細胞ライブラリであってもよい)と接触させること、及び、細胞表現型またはその他の反応表現型もしくは分子表現型を検出することを含む。スクリーニングする特定のライブラリ及び用いる特定のインビトロアッセイに応じて、任意の簡便な試料を本明細書に記載するライブラリのインビトロスクリーニングに用いてもよく、特定の試料としては、例えば、生体試料、細胞試料、ポリペプチド試料、核酸試料、化学試料などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0253】
一部の例においては、無細胞合成モジュールポリペプチドライブラリをインビトロでスクリーニングしてもよい。例えば、区画化合成モジュールポリペプチドライブラリを、ライブラリにおける個々のメンバーが反応すると予測される1つまたは複数の物質と接触させることにより、区画化合成モジュールポリペプチドライブラリの表現型をスクリーニングしてもよい。無細胞ポリペプチドライブラリ(封入またはプールのどちらでも)をスクリーニングするための任意の簡便な方法は、本明細書に記載する方法に有用であってもよく、例えば、無細胞封入ベースアッセイにおけるフローサイトメトリーベースの表現型検出またはFACSベースの表現型検出、例えば、Griffiths & Tawfik.EMBO J(2003)22(1):24-35、及び、Bernath et al.Anal Biochem(2004)325(1):151-7に記載される方法が挙げられるがこれらに限定されない(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。
【0254】
表現型及び同定方法
スクリーニング法(インビボまたはインビトロのどちらか)は通常、表現型を検出すること、及び、表現型に関連する1つまたは複数のライブラリメンバーを同定することを含む。本発明で使用する場合、用語「表現型」とは通常、特定のアッセイで検出された、分子、細胞、組織、器官または生体における特徴のことを意味し、例えば、分子表現型、細胞表現型、生物表現型、組織表現型、器官表現型、生物表現型などを挙げることができるがこれらに限定されない。特定のアッセイで検出された表現型は、所定の表現型、例えば、既知もしくは予想される表現型(例えば、既知または予想されるレベルの特定の特徴、既知または予想されるレベルの特徴の有無を含む)であってもよく、または、アッセイ時に同定されてもよく、例えば、新たに検出されたもしくは以前には同定されていなかった表現型(例えば、新たに検出されたまたは以前には同定されていなかったレベルの特定の特徴、新たに検出されたまたは以前には同定されていなかった特徴の有無などを含む)である。本明細書に記載の合成モジュールポリペプチドライブラリに関連する表現型を検出するための任意の簡便なアッセイは、このようなライブラリをスクリーニングするのに有用であってもよい。
【0255】
合成モジュールポリペプチドのライブラリ、または、合成モジュールポリペプチドのライブラリをコードする核酸をスクリーニングすることにより、所望の表現型を有効に示すポリペプチド及び/またはそれらのモジュール部位の同定が可能となる。それゆえ、本開示は一般に、本明細書に記載のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるポリペプチドを含む。
【0256】
一部の例においては、細胞表現型は、細胞集団を本明細書に記載のライブラリと接触させた後に検出される。細胞表現型としては、例えば、細胞挙動(例えば、細胞生存能、細胞増殖、細胞活性化、細胞形態、細胞遊走、細胞接着、細胞分化、細胞多能性などが挙げられるがこれらに限定されない)、細胞発現(例えば、遺伝子発現、タンパク質発現、非コードRNA発現、遺伝子活性化、遺伝子抑制などが挙げられるがこれらに限定されない)、レポーター発現(例えば、導入遺伝子レポーター発現、マーカー発現が挙げられるがこれらに限定されない)などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0257】
一部の例においては、組織表現型、器官表現型、または生物表現型は、組織、器官、または生物を本明細書に記載のライブラリと接触させた後に検出される。組織表現型としては、例えば、組織生存能、組織形態、物理的な組織特性(例えば、境界機能、機械的強度、弾力性などが挙げられるがこれらに限定されない)、組織発現(例えば、組織遺伝子発現、組織タンパク質発現などが挙げられるがこれらに限定されない)、組織レポーター発現(例えば、導入遺伝子レポーター発現、マーカー発現が挙げられるがこれらに限定されない)などが挙げられるがこれらに限定されない。器官表現型としては、例えば、器官の外観、器官生存能、器官形態、器官機能(例えば、生体分子(例えば、酵素、代謝産物、タンパク質など)産生、濾過作用、機械的機能などが挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない。生物表現型としては、例えば、生物の外観、生物生存能(例えば、寿命)、生物生理機能、生物生殖能/繁殖力、生物挙動などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0258】
一部の例においては、疾患状態と関連させて表現型をアッセイしてもよく、疾患状態は、モデルとなる疾患状態(例えば、特定疾患の特徴を示すように変質または処理された細胞、組織または生物)であってもよく、または、臨床的な疾患状態(例えば、疾患の特徴を示す生物、または、疾患または疾患に由来する細胞もしくは組織を有すると診断された生物)であってもよい。例えば、細胞レベル、組織レベル、器官レベル、生物レベルが挙げられるがこれらに限定されない任意の簡便なレベルで、疾患に関連した表現型をアッセイしてもよい。一部の例においては、アッセイする疾患表現型は、例えば、腫瘍表現型、がん細胞表現型、自己免疫細胞表現型、病原菌(細菌、ウイルスなど)の表現型などが挙げられるがこれらに限定されない疾患原因そのものの表現型であってもよい。その他の例では、アッセイする疾患表現型は、疾患を発症した細胞、組織もしくは生物の表現型であってもよく、または、例えば、細胞活性化(例えば、免疫細胞活性化)、疾患応答(例えば、免疫応答)、バイオマーカー、細胞カウント、生物生理機能、臨床結果などが挙げられるがこれらに限定されない疾患の存在及び/または進行に関わる情報を示す疾患モデルに関連した細胞、組織もしくは生物の表現型であってもよい。
【0259】
一部の例においては、集団レベルで表現型の評価を行ってもよく、例えば、細胞集団を評価してもよく、また生物集団を評価するなどである。一部の例においては、集団ベースの表現型評価において、集団表現型の有無における特定ライブラリメンバーの影響を測定してもよい。例えば、細胞集団の細胞表現型における特定ライブラリメンバーの影響を評価してもよい。その他の例では、生物集団の生物表現型における特定ライブラリメンバーの影響を評価してもよい。
【0260】
一部の実施形態では、加えた刺激物に応じて表現型を評価するが、刺激物を加えることは、例えば、細胞を刺激物と接触させること、組織を刺激物と接触させること、器官を刺激物と接触させること、生物を刺激物と接触させることなどが挙げられるがこれらに限定されない。インビトロまたはインビボで刺激物と接触させてもよいこのような試験試料または試験対象は、採用するアッセイによって決まり、刺激物によって決まり、またスクリーニングする特定のライブラリによって決まる。異なる刺激物を、単独でまたは組み合わせて用いてもよい。刺激物は、遊離刺激物(例えば、可溶性刺激物、遊離リガンドなど)、結合刺激物(例えば、固体支持体に結合)、細胞が発現する刺激物(例えば、発現された共刺激分子、発現された抗原、発現された細胞リガンドなど)などであってもよい。
【0261】
一部の実施形態では、合成モジュールCARライブラリを発現するT細胞集団をインビトロで刺激物と接触させて、得られた表現型を検出する。合成モジュールCARを発現する細胞ライブラリをスクリーニングするのに有用なインビトロでの刺激物は通常、例えば、遊離抗原、結合抗原、細胞が発現する抗原(例えば、抗原提示細胞上に発現された抗原、標的細胞上に発現された抗原など)などを含む抗原である。有用な抗原は、スクリーニングする特定のCARライブラリ、及びスクリーニングによる所望の結果によって様々である。抗原の非限定的な例としては、例えば、可溶性抗原、固体支持体に結合した抗原(例えば、プレートに結合した抗原、ビーズに結合した抗原、スライドガラスに結合した抗原など)、発現された抗原(例えば、抗原を発現する遺伝子組換え細胞、自然に抗原を発現する細胞(例えば、天然抗原を発現する細胞、がん抗原を発現するがん細胞など))が挙げられるがこれらに限定されない。インビトロでライブラリをスクリーニングするのに有用な天然抗原を発現する細胞は様々であり、例えば、未処置腫瘍細胞(例えば、腫瘍生検で採取した)を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0262】
一部の実施形態では、合成モジュールCARライブラリを発現するT細胞集団をインビボで刺激物と接触させて、得られた表現型を検出する。合成モジュールCARライブラリスクリーニングのインビボ環境は大いに様々であり、動物モデルを挙げることができるがこれらに限定されない。一部の例においては、例えば、げっ歯類モデル(例えば、マウスモデル、ラットモデルなどが挙げられるがこれらに限定されない)などの小型動物モデルでインビボスクリーニングを行ってもよい。一部の例においては、マウス腫瘍モデル(遺伝子組換えマウス腫瘍モデル、及び、非遺伝子組換えマウス腫瘍モデルを含む)でインビボスクリーニングを行う。
【0263】
一部の例においては、利用モデルは異種移植モデルであってもよい。例えば、利用モデルは「ヒト化」モデルであってもよく、このようなヒト化モデルは、1つまたは複数のヒト由来の構成要素(例えば、ヒト化免疫機構、ヒト化T細胞、ヒトタンパク質を発現する、ヒトがん細胞を収容するなど)を有するものと定義される。それゆえ、ヒト化モデルは、完全にまたは部分的にヒト化されていてもよい。その他の例では、モデルは、完全にまたは部分的にヒト化されていなくてもよく、その代わりに、注入または移植によりヒト細胞またはヒト組織を単純に導入していてもよい。例えば、一部の例においては、ヒトがん細胞またはヒトがん細胞株の細胞を、動物モデル内へと導入する。任意の簡便なヒト腫瘍細胞またはヒト腫瘍細胞株は、例えば、K562細胞、Daudiリンパ腫細胞などが挙げられるがこれらに限定されない、このようなモデルに有用であってもよい。
【0264】
動物モデル、及び/または、動物モデル内へと導入した細胞もしくは組織は、遺伝子組換え(例えば、1つまたは複数の導入遺伝子を発現するように改変された)であってもなくてもよい。例えば、一部の例においては、動物モデルは、非相同遺伝子、例えば、レポーター遺伝子(例えば、宿主動物の細胞を同定するための)、標的遺伝子(例えば、インビボスクリーニングで標的とされる遺伝子産物をコードする遺伝子)を発現するように遺伝子組換えで改変されていてもよい。一部の例においては、動物モデル内へと導入した細胞は、非相同遺伝子、例えば、レポーター遺伝子(例えば、導入細胞を同定するための)、標的遺伝子(例えば、インビボスクリーニングで標的とされる遺伝子産物をコードする遺伝子)を発現するように遺伝子組換えで改変されていてもよい。非限定的な例として、本明細書に記載の方法に従ってマウス腫瘍モデルをスクリーニングしてもよく、がん標的導入遺伝子(例えば、CD19、メソテリンなど)を発現するヒト腫瘍細胞をマウス内へと導入する。
【0265】
表現型が、スクリーニングされる特定のライブラリ、特定のインビボ環境(例えば、動物モデル)などによって決定し得る任意の簡便な表現型のために、インビボシステム内へと導入したライブラリメンバーをスクリーニングしてもよい。一部の例においては、例えば、インビボシステムが動物腫瘍モデルである場合、例えば、ライブラリを2種類の異なる腫瘍を有する動物モデル内へと導入することにより、腫瘍抗原を異なるレベルで発現する腫瘍を有する動物モデルまたは複数の動物モデル内へと、ライブラリを導入することによりなどで、ライブラリメンバーの腫瘍選択性に関連する表現型のためにライブラリをスクリーニングしてもよい。表現型をアッセイするための任意の簡便な方法(本明細書に記載のそれら細胞及び生化学的/分子的な方法を含む)は、インビボシステムを評価するのに有用であってもよく、このような評価は通常、動物モデルから生体試料を採取することを含む。一部の例においては、インビボモデルを評価するのに有用な生体試料は、組織試料(例えば、血液、腫瘍など)または器官試料(例えば、脾臓)を含んでいてもよい。
【0266】
一部の例においては、T細胞表現型に応じて、インビトロまたはインビボでライブラリをスクリーニングしてもよい。T細胞表現型は様々であり、刺激T細胞表現型(すなわち、抗原反応)を含む。T細胞表現型の非限定例としては、例えば、T細胞増殖、サイトカイン産生(例えば、IL-2、IFN-γ、TNF、LT-α、IFN-γ、LT-α、TNF IL-4、IL-5、IL-6、IL-13、IL-9、IL-10、IL-17A、IL-17F、IL-21、IL-22、IL-26、TNF、CCL20、IL-21、TGF-β、IL-10など)、T細胞表面マーカー発現(例えば、CD3、CD4、CD8など)、T細胞活性化マーカー(例えば、CD69など)、細胞内シグナル伝達マーカー(例えば、リン酸化ERK1/2、リン酸化p38MAPKなど)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0267】
T細胞表現型を、インビトロ及びインビボでアッセイしてもよく、また任意の簡便な方法を用いて検出してもよい。一部の例においては、細胞カウンターまたはフローサイトメーターを用いてT細胞表現型(例えば、T細胞増殖及び/またはT細胞定量化を含む)をアッセイしてもよい。例えば、フローサイトメトリーを用いた細胞トレース色素希釈でT細胞増殖をアッセイしてもよい。一部の例においては、フローサイトメトリーを用いて細胞表面マーカーの発現もまたアッセイしてもよい。細胞に関する方法(例えば、フローサイトメトリー、phosphoflow、細胞内フローサイトメトリー、免疫蛍光、in situハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーションなど)を用いて細胞内マーカーの発現を同定してもよく、または、分子的方法及び/または生化学的方法(例えば、ELISA、サイトカイン捕捉、増幅ベース法(例えば、定量的PCR)、シークエンシングベース法(例えば、定量的シークエンシング)、定量的質量分析など)を用いてアッセイしてもよい。
【0268】
一部の例においては、「ナチュラルキラー」活性化表現型のために、T細胞をアッセイしてもよい。ナチュラルキラー活性化を評価するための任意の簡便な方法は、このようなアッセイに有用であってもよい。例えば、CD107a/bの発現のために、例えば、フローサイトメトリーを用いてT細胞を解析してもよい。
【0269】
一部の例においては、1つまたは複数の分化表現型のためにT細胞をアッセイしてもよい。T細胞分化を評価するための任意の簡便な方法は、このようなアッセイに有用であってもよい。例えば、任意の簡便な細胞に関する方法または分子的/生化学的方法を用いて、例えば、メモリーT細胞のマーカー(例えば、Th1、Th2、Th17、Tregなど)をアッセイすることにより、メモリーT細胞への分化を評価してもよい。一部の例においては、メモリーT細胞分化を示す1つまたは複数の細胞内転写因子の発現を評価してもよい(例えば、Gata3、Tbet、RORyt、FoxP3、Bcl-6、CCR7、CD45RO、CD45RA、CD69など)。
【0270】
合成モジュールCARポリペプチドのライブラリ、または、合成モジュールCARポリペプチドのライブラリをコードする核酸をスクリーニングすることにより、所望のT細胞表現型を有効に示すCAR及び/またはその一部(例えば、抗原結合ドメイン、第1シグナル伝達ドメイン、共調節ドメインなど)の同定が可能となる。したがって、本開示は、本明細書に記載のライブラリに加え、このようなCARをコードする核酸をスクリーニングすることにより同定されるCARを含む。本開示はまた、本明細書に記載のライブラリに加え、このようなCARをコードする核酸をスクリーニングすることにより同定される有用なCARモジュール(例えば、抗原結合ドメイン、第1シグナル伝達ドメイン、共調節ドメインなど)を含有するCARを含む。
【0271】
一部の例においては、本開示のCARは、本明細書に記載の合成モジュールCARポリペプチドのライブラリ、または、合成モジュールCARポリペプチドをコードする核酸をスクリーニングすることにより、T細胞刺激またはT細胞抑制として同定される共調節ドメインの1つまたは複数を含んでいてもよい。したがって、CARのT細胞表現型全体は、T細胞活性を刺激するため、または、T細胞活性を抑制するためであってもよい。刺激または抑制され得るT細胞活性としては、例えば、本明細書に記載のそれらT細胞活性が挙げられるがこれらに限定されない。
【0272】
一部の例においては、ライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARは、表3または表4に記載する少なくとも1つの共調節ドメインを含んでいてもよく、例えば、記載するドメイン配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む共調節ドメインが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例においては、ライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARは、表3及び表4に記載する2つ以上のそれら共調節ドメインを含んでいてもよく、例えば、記載するドメイン配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む共調節ドメインが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例においては、本開示のCARは、本明細書に記載のスクリーニングにより共刺激ドメイン(例えば、表3に記載するものが挙げられるがこれらに限定されない)として同定される共調節ドメインを含んでいてもよく、例えば、記載するドメイン配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む共調節ドメインが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例においては、本開示のCARは、本明細書に記載のスクリーニングにより共抑制ドメイン(例えば、表4に記載するものが挙げられるがこれらに限定されない)として同定される共調節ドメインを含んでいてもよく、例えば、記載するドメイン配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む共調節ドメインが挙げられるがこれらに限定されない。一部の例においては、1つまたは複数の共抑制ドメインを含むCARは、iCARであってもよい。
【0273】
一部の例においては、2つ以上の共調節ドメインを有するCARは、2つの共刺激ドメイン(例えば、表3に記載する2つ以上の共刺激ドメインが挙げられるがこれらに限定されない)を含んでいてもよい。一部の例においては、2つ以上の共調節ドメインを有するCARは、2つの共抑制ドメイン(例えば、表4に記載する2つ以上の共抑制ドメインが挙げられるがこれらに限定されない)を含んでいてもよい。一部の例においては、2つ以上の共調節ドメインを有するCARは、共刺激ドメイン及び共抑制ドメインの組み合わせ(表3に記載する少なくとも1つの共刺激ドメイン、及び、表4に記載する少なくとも1つの共抑制ドメインが挙げられるがこれらに限定されない)を含んでいてもよい。
【0274】
表3:刺激機能を示す共調節ドメイン(共刺激ドメイン)
【0275】
表4:抑制機能を示す共調節ドメイン(共抑制ドメイン)
【0276】
合成モジュールCARポリペプチドのライブラリ、または、合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARは、任意の有用な抗原結合ドメインを含んでいてもよく、例えば、様々なCARコンストラクトに臨床的に用いられるもの、例えば、抗BCMA抗原結合ドメイン、抗CD123抗原結合ドメイン、抗CD138抗原結合ドメイン、抗CD171抗原結合ドメイン、抗CD19抗原結合ドメイン、抗CD22抗原結合ドメイン、抗CD30抗原結合ドメイン、抗CD33抗原結合ドメイン、抗CD7抗原結合ドメイン、抗CD70抗原結合ドメイン、抗CEA抗原結合ドメイン、抗EGFRvIII抗原結合ドメイン、抗EPCAM抗原結合ドメイン、抗EphA2抗原結合ドメイン、抗ErbB抗原結合ドメイン、抗FAP抗原結合ドメイン、抗GD2抗原結合ドメイン、抗GPC3抗原結合ドメイン、抗HER2抗原結合ドメイン、抗IL1RAP抗原結合ドメイン、抗Kappa抗原結合ドメイン、抗LeY抗原結合ドメイン、抗Meso抗原結合ドメイン、抗MG7抗原結合ドメイン、抗MUC1抗原結合ドメイン、抗NKG2D抗原結合ドメイン、抗PSCA抗原結合ドメイン、抗ROR1抗原結合ドメインなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0277】
合成モジュールCARポリペプチドのライブラリ、または、合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARは、任意の有用な第1シグナル伝達ドメイン(本明細書ではまた、細胞内シグナル伝達ドメインと呼ぶ)を含んでいてもよく、例えば、1つまたは複数の免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含むドメインが挙げられるがこれらに限定されない。
【0278】
好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMモチーフを含有するポリペプチドに由来するITAMモチーフ含有部位であってもよい。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、任意のITAMモチーフ含有タンパク質に由来するITAMモチーフ含有ドメインであってもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、由来するタンパク質全体の全配列を含有する必要はない。好適なITAMモチーフ含有ポリペプチドの例としては、DAP12、FCER1G(Fcε受容体Iγ鎖)、CD3D(CD3δ)、CD3E(CD3ε)、CD3G(CD3γ)、CD3Z(CD3ζ)、及びCD79A(抗原受容体複合体結合タンパク質α鎖)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0279】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはDAP12(TYROBP、TYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質、KARAP、PLOSL、DNAX活性化タンパク質12、KAR結合タンパク質、TYROタンパク質チロシンキナーゼ-結合タンパク質、キラー活性化受容体結合タンパク質、キラー-活性化受容体-結合タンパク質などとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(4つのアイソフォーム)のいずれかに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0280】
【0281】
【0282】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0283】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長DAP12アミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0284】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0285】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはFCER1G(FCRG、Fcε受容体Iγ鎖、Fc受容体γ-鎖、fc-εRI-γ、fcRγ、fceRIγ、高親和性免疫グロブリンε受容体サブユニットγ、免疫グロブリンE受容体、高親和性γ鎖などとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0286】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0287】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長FCER1Gアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0288】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0289】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖(CD3D、CD3-DELTA、T3D、CD3抗原、δサブユニット、CD3δ、CD3d抗原、δポリペプチド(TiT3複合体)、OKT3、δ鎖、T細胞受容体T3δ鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖などとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(2つのアイソフォーム)のいずれかにおける、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、または、約150aa~約170aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0290】
または、
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0291】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長CD3δアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0292】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0293】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞表面糖タンパク質CD3ε鎖(CD3e、T細胞表面抗原T3/Leu-4ε鎖、T細胞表面糖タンパク質CD3ε鎖、AI504783、CD3、CD3ε、T3eなどとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列における、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、または、約150aa~約205aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0294】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0295】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長CD3εアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0296】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0297】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞表面糖タンパク質CD3γ鎖(CD3G、T細胞受容体T3γ鎖、CD3-GAMMA、T3G、γポリペプチド(TiT3複合体)などとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列における、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、または、約150aa~約180aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0298】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0299】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長CD3γアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0300】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0301】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞表面糖タンパク質CD3ζ鎖(CD3Z、T細胞受容体T3ζ鎖、CD247、CD3-ZETA、CD3H、CD3Q、T3Z、TCRZなどとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(2つのアイソフォーム)のいずれかにおける、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、または、約150aa~約160aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
または、
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0302】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長CD3ζアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0303】
または、
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0304】
一部の例においては、細胞内シグナル伝達ドメインはCD79A(B細胞抗原受容体複合体結合タンパク質α鎖、CD79a抗原(免疫グロブリン結合α)、MB-1膜糖タンパク質、ig-α、膜結合免疫グロブリン結合タンパク質、表面IgM結合タンパク質などとしても周知)に由来する。例えば、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(2つのアイソフォーム)のいずれかにおける、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約150aaの、約150aa~約200aaの、または、約200aa~約220aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0305】
【0306】
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0307】
同様に、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、全長CD79Aアミノ酸配列のITAMモチーフ含有部位を含んでいてもよい。それゆえ、好適な細胞内シグナル伝達ドメインポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
(配列中、ITAMモチーフは、太字とし下線を引いている)。
【0308】
本開示のCARに用いるのに好適な細胞内シグナル伝達ドメインとしては、DAP10/CD28型のシグナル伝達鎖が挙げられる。
【0309】
DAP10シグナル伝達鎖の一例は、
のアミノ酸配列である。一部の実施形態では、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、アミノ酸配列
の完全長に対して、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0310】
CD28シグナル伝達鎖の一例は、
のアミノ酸配列である。一部の実施形態では、好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、アミノ酸配列
の完全長に対して、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0311】
本開示のCARに用いるのに好適な細胞内シグナル伝達ドメインは、ZAP70ポリペプチド、例えば、以下のアミノ酸配列における、約300アミノ酸~約400アミノ酸の、約400アミノ酸~約500アミノ酸の、または、約500アミノ酸~619アミノ酸の連続ストレッチに対して、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、少なくとも約99%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0312】
MPDPAAHLPFFYGSISRAEAEEHLKLAGMADGLFLLRQCLRSLGGYVLSLVHDVRFHHFPIERQLNGTYAIAGGKAHCGPAELCEFYSRDPDGLPCNLRKPCNRPSGLEPQPGVFDCLRDAMVRDYVRQTWKLEGEALEQAIISQAPQVEKLIATTAHERMPWYHSSLTREEAERKLYSGAQTDGKFLLRPRKEQGTYALSLIYGKTVYHYLISQDKAGKYCIPEGTKFDTLWQLVEYLKLKADGLIYCLKEACPNSSASNASGAAAPTLPAHPSTLTHPQRRIDTLNSDGYTPEPARITSPDKPRPMPMDTSVYESPYSDPEELKDKKLFLKRDNLLIADIELGCGNFGSVRQGVYRMRKKQIDVAIKVLKQGTEKADTEEMMREAQIMHQLDNPYIVRLIGVCQAEALMLVMEMAGGGPLHKFLVGKREEIPVSNVAELLHQVSMGMKYLEEKNFVHRDLAARNVLLVNRHYAKISDFGLSKALGADDSYYTARSAGKWPLKWYAPECINFRKFSSRSDVWSYGVTMWEALSYGQKPYKKMKGPEVMAFIEQGKRMECPPECPPELYALMSDCWIYKWEDRPDFLTVEQRMRACYYSLASKVEGPPGSTQKAEAACA(配列番号:132)。
【0313】
一部の例においては、合成モジュールCARポリペプチドのライブラリ、または、合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCAR(表3及び表4に記載の共調節ドメインの少なくとも1つ、2つまたはそれ以上を有するCARを含む)を、二量体化因子の存在下で、それぞれの鎖に存在する二量体化ドメインにより連結可能な2つのポリペプチド鎖へと分割してもよい。このような分割CARは、例えば、PCT特許出願公開WO2014/127261に記載されるように、条件付きで活性化し薬理学的に誘導可能/抑制可能である(その開示全体は参照として本明細書に組み込まれる)。
【0314】
したがって、一部の例においては、本明細書に記載のライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARの分割CAR型におけるそれぞれのポリペプチドは、二量体化対(二量体化因子結合対とも呼ばれる)の2分の1を含んでいてもよい。好適な二量体(例えば、二量体化因子結合対)の非限定例としては、a)FK506結合タンパク質(FKBP)及びFKBP、b)FKBP及びカルシニューリン触媒サブユニットA(CnA)、c)FKBP及びシクロフィリン、d)FKBP及びFKBP-ラパマイシン結合タンパク質(FRB)、e)ジャイレースB(GyrB)及びGyrB、f)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)及びDHFR、g)DmrB及びDmrB、h)PYL及びABI、i)Cry2及びCIB1、j)GAI及びGID1が挙げられるがこれらに限定されない。
【0315】
一部の例においては、対象CARにおける二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーは、FKBP由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。MGVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKFDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLE(配列番号:78)。
【0316】
一部の例においては、対象CARの二量体化因子結合対メンバーはカルシニューリン触媒サブユニットA(PPP3CA、CALN、CALNA、CALNA1、CCN1、CNA1、PPP2B、CAM-PRP触媒サブユニット、カルシニューリンAα、カルモジュリン依存性カルシニューリンAサブユニットαアイソフォーム、タンパク質ホスファターゼ2B、触媒サブユニット、αアイソフォームなどとしても周知)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列(PP2Acドメイン)に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。LEESVALRIITEGASILRQEKNLLDIDAPVTVCGDIHGQFFDLMKLFEVGGSPANTRYLFLGDYVDRGYFSIECVLYLWALKILYPKTLFLLRGNHECRHLTEYFTFKQECKIKYSERVYDACMDAFDCLPLAALMNQQFLCVHGGLSPEINTLDDIRKLDRFKEPPAYGPMCDILWSDPLEDFGNEKTQEHFTHNTVRGCSYFYSYPAVCEFLQHNNLLSILRAHEAQDAGYRMYRKSQTTGFPSLITIFSAPNYLDVYNNKAAVLKYENNVMNIRQFNCSPHPYWLPNFM(配列番号:79)。
【0317】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはシクロフィリン(シクロフィリンA、PPIA、CYPA、CYPH、PPIase Aなどとしても周知)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。MVNPTVFFDIAVDGEPLGRVSFELFADKVPKTAENFRALSTGEKGFGYKGSCFHRIIPGFMCQGGDFTRHNGTGGKSIYGEKFEDENFILKHTGPGILSMANAGPNTNGSQFFICTAKTEWLDGKHVVFGKVKEGMNIVEAMERFGSRNGKTSKKITIADCGQLE(配列番号:80)。
【0318】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはMTOR(FKBP-ラパマイシン結合タンパク質、FK506結合タンパク質12-ラパマイシン結合タンパク質1、FK506結合タンパク質12-ラパマイシン結合タンパク質2、FK506結合タンパク質12-ラパマイシン複合体-結合タンパク質1、FRAP、FRAP1、FRAP2、RAFT1、及び、RAPT1としても周知)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列(「Frb」、Fkbp-ラパマイシン結合ドメインとしても周知)に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。MILWHEMWHEGLEEASRLYFGERNVKGMFEVLEPLHAMMERGPQTLKETSFNQAYGRDLMEAQEWCRKYMKSGNVKDLLQAWDLYYHVFRRISK(配列番号:81)。
【0319】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはGyrB(DNAジャイレースサブユニットBとしても周知)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、Escherichia coli由来の以下のGyrBアミノ酸配列(または、任意の生物由来のDNAジャイレースサブユニットB配列)における、約100アミノ酸~約200アミノ酸(aa)の、約200aa~約300aaの、約300aa~約400aaの、約400aa~約500aaの、約500aa~約600aaの、約600aa~約700aaの、または、約700aa~約800aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列含んでいてもよい。
【0320】
MSNSYDSSSIKVLKGLDAVRKRPGMYIGDTDDGTGLHHMVFEVVDNAIDEALAGHCKEIIVTIHADNSVSVQDDGRGIPTGIHPEEGVSAAEVIMTVLHAGGKFDDNSYKVSGGLHGVGVSVVNALSQKLELVIQREGKIHRQIYEHGVPQAPLAVTGETEKTGTMVRFWPSLETFTNVTEFEYEILAKRLRELSFLNSGVSIRLRDKRDGKEDHFHYEGGIKAFVEYLNKNKTPIHPNIFYFSTEKDGIGVEVALQWNDGFQENIYCFTNNIPQRDGGTHLAGFRAAMTRTLNAYMDKEGYSKKAKVSATGDDAREGLIAVVSVKVPDPKFSSQTKDKLVSSEVKSAVEQQMNELLAEYLLENPTDAKIVVGKIIDAARAREAARRAREMTRRKGALDLAGLPGKLADCQERDPALSELYLVEGDSAGGSAKQGRNRKNQAILPLKGKILNVEKARFDKMLSSQEVATLITALGCGIGRDEYNPDKLRYHSIIIMTDADVDGSHIRTLLLTFFYRQMPEIVERGHVYIAQPPLYKVKKGKQEQYIKDDEAMDQYQISIALDGATLHTNASAPALAGEALEKLVSEYNATQKMINRMERRYPKAMLKELIYQPTLTEADLSDEQTVTRWVNALVSELNDKEQHGSQWKFDVHTNAEQNLFEPIVRVRTHGVDTDYPLDHEFITGGEYRRICTLGEKLRGLLEEDAFIERGERRQPVASFEQALDWLVKESRRGLSIQRYKGLGEMNPEQLWETTMDPESRRMLRVTVKDAIAADQLFTTLMGDAVEPRRAFIEENALKAANIDI(配列番号:82)。一部の例においては、二量体化因子結合対メンバーは、上記したEscherichia coli由来のGyrBアミノ酸配列のアミノ酸1~220に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0321】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはDHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素、DHFRP1、DYRとしても周知)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。MVGSLNCIVAVSQNMGIGKNGDLPWPPLRNEFRYFQRMTTTSSVEGKQNLVIMGKKTWFSIPEKNRPLKGRINLVLSRELKEPPQGAHFLSRSLDDALKLTEQPELANKVDMVWIVGGSSVYKEAMNHPGHLKLFVTRIMQDFESDTFFPEIDLEKYKLLPEYPGVLSDVQEEKGIKYKFEVYEKND(配列番号:83)。
【0322】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはDmrB結合ドメイン(すなわち、DmrBホモ二量体化ドメイン)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。MASRGVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKVDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLE(配列番号:84)。
【0323】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはPYLタンパク質(アブシジン酸受容体、及びRCARとしても周知)由来である。例えば、対象二量体化因子結合対のメンバーは、シロイヌナズナのタンパク質、PYR1、RCAR1(PYL9)、PYL1、PYL2、PYL3、PYL4、PYL5、PYL6、PYL7、PYL8(RCAR3)、PYL10、PYL11、PYL12、PYL13などのタンパク質由来であってもよい。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0324】
PYL10:
MNGDETKKVESEYIKKHHRHELVESQCSSTLVKHIKAPLHLVWSIVRRFDEPQKYKPFISRCVVQGKKLEVGSVREVDLKSGLPATKSTEVLEILDDNEHILGIRIVGGDHRLKNYSSTISLHSETIDGKTGTLAIESFVVDVPEGNTKEETCFFVEALIQCNLNSLADVTERLQAESMEKKI(配列番号:85)。
【0325】
PYL11:
METSQKYHTCGSTLVQTIDAPLSLVWSILRRFDNPQAYKQFVKTCNLSSGDGGEGSVREVTVVSGLPAEFSRERLDELDDESHVMMISIIGGDHRLVNYRSKTMAFVAADTEEKTVVVESYVVDVPEGNSEEETTSFADTIVGFNLKSLAKLSERVAHLKL(配列番号:86)。
【0326】
PYL12:
MKTSQEQHVCGSTVVQTINAPLPLVWSILRRFDNPKTFKHFVKTCKLRSGDGGEGSVREVTVVSDLPASFSLERLDELDDESHVMVISIIGGDHRLVNYQSKTTVFVAAEEEKTVVVESYVVDVPEGNTEEETTLFADTIVGCNLRSLAKLSEKMMELT(配列番号:87)。
【0327】
PYL13:
MESSKQKRCRSSVVETIEAPLPLVWSILRSFDKPQAYQRFVKSCTMRSGGGGGKGGEGKGSVRDVTLVSGFPADFSTERLEELDDESHVMVVSIIGGNHRLVNYKSKTKVVASPEDMAKKTVVVESYVVDVPEGTSEEDTIFFVDNIIRYNLTSLAKLTKKMMK(配列番号:88)。
【0328】
PYL1:
MANSESSSSPVNEEENSQRISTLHHQTMPSDLTQDEFTQLSQSIAEFHTYQLGNGRCSSLLAQRIHAPPETVWSVVRRFDRPQIYKHFIKSCNVSEDFEMRVGCTRDVNVISGLPANTSRERLDLLDDDRRVTGFSITGGEHRLRNYKSVTTVHRFEKEEEEERIWTVVLESYVVDVPEGNSEEDTRLFADTVIRLNLQKLASITEAMNRNNNNNNSSQVR(配列番号:89)。
【0329】
PYL2:
MSSSPAVKGLTDEEQKTLEPVIKTYHQFEPDPTTCTSLITQRIHAPASVVWPLIRRFDNPERYKHFVKRCRLISGDGDVGSVREVTVISGLPASTSTERLEFVDDDHRVLSFRVVGGEHRLKNYKSVTSVNEFLNQDSGKVYTVVLESYTVDIPEGNTEEDTKMFVDTVVKLNLQKLGVAATSAPMHDDE(配列番号:90)。
【0330】
PYL3:
MNLAPIHDPSSSSTTTTSSSTPYGLTKDEFSTLDSIIRTHHTFPRSPNTCTSLIAHRVDAPAHAIWRFVRDFANPNKYKHFIKSCTIRVNGNGIKEIKVGTIREVSVVSGLPASTSVEILEVLDEEKRILSFRVLGGEHRLNNYRSVTSVNEFVVLEKDKKKRVYSVVLESYIVDIPQGNTEEDTRMFVDTVVKSNLQNLAVISTASPT(配列番号:91)。
【0331】
PYL4:
MLAVHRPSSAVSDGDSVQIPMMIASFQKRFPSLSRDSTAARFHTHEVGPNQCCSAVIQEISAPISTVWSVVRRFDNPQAYKHFLKSCSVIGGDGDNVGSLRQVHVVSGLPAASSTERLDILDDERHVISFSVVGGDHRLSNYRSVTTLHPSPISGTVVVESYVVDVPPGNTKEETCDFVDVIVRCNLQSLAKIAENTAAESKKKMSL(配列番号:92)。
【0332】
PYL5:
MRSPVQLQHGSDATNGFHTLQPHDQTDGPIKRVCLTRGMHVPEHVAMHHTHDVGPDQCCSSVVQMIHAPPESVWALVRRFDNPKVYKNFIRQCRIVQGDGLHVGDLREVMVVSGLPAVSSTERLEILDEERHVISFSVVGGDHRLKNYRSVTTLHASDDEGTVVVESYIVDVPPGNTEEETLSFVDTIVRCNLQSLARSTNRQ(配列番号:93)。
【0333】
PYL6:
MPTSIQFQRSSTAAEAANATVRNYPHHHQKQVQKVSLTRGMADVPEHVELSHTHVVGPSQCFSVVVQDVEAPVSTVWSILSRFEHPQAYKHFVKSCHVVIGDGREVGSVREVRVVSGLPAAFSLERLEIMDDDRHVISFSVVGGDHRLMNYKSVTTVHESEEDSDGKKRTRVVESYVVDVPAGNDKEETCSFADTIVRCNLQSLAKLAENTSKFS(配列番号:94)。
【0334】
PYL7:
MEMIGGDDTDTEMYGALVTAQSLRLRHLHHCRENQCTSVLVKYIQAPVHLVWSLVRRFDQPQKYKPFISRCTVNGDPEIGCLREVNVKSGLPATTSTERLEQLDDEEHILGINIIGGDHRLKNYSSILTVHPEMIDGRSGTMVMESFVVDVPQGNTKDDTCYFVESLIKCNLKSLACVSERLAAQDITNSIATFCNASNGYREKNHTETNL(配列番号:95)。
【0335】
PYL8:
MEANGIENLTNPNQEREFIRRHHKHELVDNQCSSTLVKHINAPVHIVWSLVRRFDQPQKYKPFISRCVVKGNMEIGTVREVDVKSGLPATRSTERLELLDDNEHILSIRIVGGDHRLKNYSSIISLHPETIEGRIGTLVIESFVVDVPEGNTKDETCYFVEALIKCNLKSLADISERLAVQDTTESRV(配列番号:96)。
【0336】
PYL9:
MMDGVEGGTAMYGGLETVQYVRTHHQHLCRENQCTSALVKHIKAPLHLVWSLVRRFDQPQKYKPFVSRCTVIGDPEIGSLREVNVKSGLPATTSTERLELLDDEEHILGIKIIGGDHRLKNYSSILTVHPEIIEGRAGTMVIESFVVDVPQGNTKDETCYFVEALIRCNLKSLADVSERLASQDITQ(配列番号:97)。
【0337】
PYR1:
MPSELTPEERSELKNSIAEFHTYQLDPGSCSSLHAQRIHAPPELVWSIVRRFDKPQTYKHFIKSCSVEQNFEMRVGCTRDVIVISGLPANTSTERLDILDDERRVTGFSIIGGEHRLTNYKSVTTVHRFEKENRIWTVVLESYVVDMPEGNSEDDTRMFADTVVKLNLQKLATVAEAMARNSGDGSGSQVT(配列番号:98)。
【0338】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはABIタンパク質(アブシジン酸非感受性としても周知)由来である。例えば、対象二量体化因子結合対のメンバーは、シロイヌナズナのタンパク質、ABI1(アブシジン酸非感受性1、タンパク質ホスファターゼ2C 56、AtPP2C56、P2C56、及び、PP2C ABI1としても周知)、及び/または、ABI2(P2C77、タンパク質ホスファターゼ2C 77、AtPP2C77、アブシジン酸非感受性2、タンパク質ホスファターゼ2C ABI2、及び、PP2C ABI2としても周知)などのタンパク質由来であってもよい。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列のいずれかにおける、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、約150aa~約160aaの、約160aa~約170aaの、約170aa~約180aaの、約180aa~約190aaの、または、約190aa~約200aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0339】
ABI1:
MEEVSPAIAGPFRPFSETQMDFTGIRLGKGYCNNQYSNQDSENGDLMVSLPETSSCSVSGSHGSESRKVLISRINSPNLNMKESAAADIVVVDISAGDEINGSDITSEKKMISRTESRSLFEFKSVPLYGFTSICGRRPEMEDAVSTIPRFLQSSSGSMLDGRFDPQSAAHFFGVYDGHGGSQVANYCRERMHLALAEEIAKEKPMLCDGDTWLEKWKKALFNSFLRVDSEIESVAPETVGSTSVVAVVFPSHIFVANCGDSRAVLCRGKTALPLSVDHKPDREDEAARIEAAGGKVIQWNGARVFGVLAMSRSIGDRYLKPSIIPDPEVTAVKRVKEDDCLILASDGVWDVMTDEEACEMARKRILLWHKKNAVAGDASLLADERRKEGKDPAAMSAAEYLSKLAIQRGSKDNISVVVVDLKPRRKLKSKPLN(配列番号:99)。
【0340】
ABI2:
MDEVSPAVAVPFRPFTDPHAGLRGYCNGESRVTLPESSCSGDGAMKDSSFEINTRQDSLTSSSSAMAGVDISAGDEINGSDEFDPRSMNQSEKKVLSRTESRSLFEFKCVPLYGVTSICGRRPEMEDSVSTIPRFLQVSSSSLLDGRVTNGFNPHLSAHFFGVYDGHGGSQVANYCRERMHLALTEEIVKEKPEFCDGDTWQEKWKKALFNSFMRVDSEIETVAHAPETVGSTSVVAVVFPTHIFVANCGDSRAVLCRGKTPLALSVDHKPDRDDEAARIEAAGGKVIRWNGARVFGVLAMSRSIGDRYLKPSVIPDPEVTSVRRVKEDDCLILASDGLWDVMTNEEVCDLARKRILLWHKKNAMAGEALLPAEKRGEGKDPAAMSAAEYLSKMALQKGSKDNISVVVVDLKGIRKFKSKSLN(配列番号:100)。
【0341】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはCry2タンパク質(クリプトクロム2としても周知)由来である。例えば、対象二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーは、任意の生物(例えば、植物)由来のCry2タンパク質(限定するわけではないが、シロイヌナズナのタンパク質など)由来であってもよい。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列のいずれかにおける、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、約150aa~約160aaの、約160aa~約170aaの、約170aa~約180aaの、約180aa~約190aaの、または、約190aa~約200aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0342】
Cry2(シロイヌナズナ)
MKMDKKTIVWFRRDLRIEDNPALAAAAHEGSVFPVFIWCPEEEGQFYPGRASRWWMKQSLAHLSQSLKALGSDLTLIKTHNTISAILDCIRVTGATKVVFNHLYDPVSLVRDHTVKEKLVERGISVQSYNGDLLYEPWEIYCEKGKPFTSFNSYWKKCLDMSIESVMLPPPWRLMPITAAAEAIWACSIEELGLENEAEKPSNALLTRAWSPGWSNADKLLNEFIEKQLIDYAKNSKKVVGNSTSLLSPYLHFGEISVRHVFQCARMKQIIWARDKNSEGEESADLFLRGIGLREYSRYICFNFPFTHEQSLLSHLRFFPWDADVDKFKAWRQGRTGYPLVDAGMRELWATGWMHNRIRVIVSSFAVKFLLLPWKWGMKYFWDTLLDADLECDILGWQYISGSIPDGHELDRLDNPALQGAKYDPEGEYIRQWLPELARLPTEWIHHPWDAPLTVLKASGVELGTNYAKPIVDIDTARELLAKAISRTREAQIMIGAAPDEIVADSFEALGANTIKEPGLCPSVSSNDQQVPSAVRYNGSKRVKPEEEEERDMKKSRGFDERELFSTAESSSSSSVFFVSQSCSLASEGKNLEGIQDSSDQITTSLGKNGCK(配列番号:101)。
【0343】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはCIB1シロイヌナズナタンパク質(転写因子bHLH63としても周知)由来である。例えば、好適な二量体(例えば、二量体化因子結合対)メンバーは、以下のアミノ酸配列における、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、約150aa~約160aaの、約160aa~約170aaの、約170aa~約180aaの、約180aa~約190aaの、または、約190aa~約200aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0344】
MNGAIGGDLLLNFPDMSVLERQRAHLKYLNPTFDSPLAGFFADSSMITGGEMDSYLSTAGLNLPMMYGETTVEGDSRLSISPETTLGTGNFKKRKFDTETKDCNEKKKKMTMNRDDLVEEGEEEKSKITEQNNGSTKSIKKMKHKAKKEENNFSNDSSKVTKELEKTDYIHVRARRGQATDSHSIAERVRREKISERMKFLQDLVPGCDKITGKAGMLDEIINYVQSLQRQIEFLSMKLAIVNPRPDFDMDDIFAKEVASTPMTVVPSPEMVLSGYSHEMVHSGYSSEMVNSGYLHVNPMQQVNTSSDPLSCFNNGEAPSMWDSHVQNLYGNLGV(配列番号:102)。
【0345】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはGAIシロイヌナズナタンパク質(ジベレリン酸非感受性、及びDELLAタンパク質GAIとしても周知)由来である。例えば、好適な二量体化因子結合対メンバーは、以下のアミノ酸配列における、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、約150aa~約160aaの、約160aa~約170aaの、約170aa~約180aaの、約180aa~約190aaの、または、約190aa~約200aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0346】
MKRDHHHHHHQDKKTMMMNEEDDGNGMDELLAVLGYKVRSSEMADVAQKLEQLEVMMSNVQEDDLSQLATETVHYNPAELYTWLDSMLTDLNPPSSNAEYDLKAIPGDAILNQFAIDSASSSNQGGGGDTYTTNKRLKCSNGVVETTTATAESTRHVVLVDSQENGVRLVHALLACAEAVQKENLTVAEALVKQIGFLAVSQIGAMRKVATYFAEALARRIYRLSPSQSPIDHSLSDTLQMHFYETCPYLKFAHFTANQAILEAFQGKKRVHVIDFSMSQGLQWPALMQALALRPGGPPVFRLTGIGPPAPDNFDYLHEVGCKLAHLAEAIHVEFEYRGFVANTLADLDASMLELRPSEIESVAVNSVFELHKLLGRPGAIDKVLGVVNQIKPEIFTVVEQESNHNSPIFLDRFTESLHYYSTLFDSLEGVPSGQDKVMSEVYLGKQICNVVACDGPDRVERHETLSQWRNRFGSAGFAAAHIGSNAFKQASMLLALFNGGEGYRVEESDGCLMLGWHTRPLIATSAWKLSTN(配列番号:103)。
【0347】
一部の例においては、二量体(例えば、二量体化因子結合対)のメンバーはGID1シロイヌナズナタンパク質(ジベレリン受容体GID1としても周知)由来である。例えば、好適な二量体メンバーは、以下のアミノ酸配列のいずれかにおける、約100アミノ酸~約110アミノ酸(aa)の、約110aa~約115aaの、約115aa~約120aaの、約120aa~約130aaの、約130aa~約140aaの、約140aa~約150aaの、約150aa~約160aaの、約160aa~約170aaの、約170aa~約180aaの、約180aa~約190aaの、または、約190aa~約200aaの連続ストレッチに対して、少なくとも約75%の、少なくとも約80%の、少なくとも約85%の、少なくとも約90%の、少なくとも約95%の、少なくとも約98%の、または、100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0348】
GID1A:
MAASDEVNLIESRTVVPLNTWVLISNFKVAYNILRRPDGTFNRHLAEYLDRKVTANANPVDGVFSFDVLIDRRINLLSRVYRPAYADQEQPPSILDLEKPVDGDIVPVILFFHGGSFAHSSANSAIYDTLCRRLVGLCKCVVVSVNYRRAPENPYPCAYDDGWIALNWVNSRSWLKSKKDSKVHIFLAGDSSGGNIAHNVALRAGESGIDVLGNILLNPMFGGNERTESEKSLDGKYFVTVRDRDWYWKAFLPEGEDREHPACNPFSPRGKSLEGVSFPKSLVVVAGLDLIRDWQLAYAEGLKKAGQEVKLMHLEKATVGFYLLPNNNHFHNVMDEISAFVNAEC(配列番号:104)。
【0349】
GID1B:
MAGGNEVNLNECKRIVPLNTWVLISNFKLAYKVLRRPDGSFNRDLAEFLDRKVPANSFPLDGVFSFDHVDSTTNLLTRIYQPASLLHQTRHGTLELTKPLSTTEIVPVLIFFHGGSFTHSSANSAIYDTFCRRLVTICGVVVVSVDYRRSPEHRYPCAYDDGWNALNWVKSRVWLQSGKDSNVYVYLAGDSSGGNIAHNVAVRATNEGVKVLGNILLHPMFGGQERTQSEKTLDGKYFVTIQDRDWYWRAYLPEGEDRDHPACNPFGPRGQSLKGVNFPKSLVVVAGLDLVQDWQLAYVDGLKKTGLEVNLLYLKQATIGFYFLPNNDHFHCLMEELNKFVHSIEDSQSKSSPVLLTP(配列番号:105)。
【0350】
GID1C:
MAGSEEVNLIESKTVVPLNTWVLISNFKLAYNLLRRPDGTFNRHLAEFLDRKVPANANPVNGVFSFDVIIDRQTNLLSRVYRPADAGTSPSITDLQNPVDGEIVPVIVFFHGGSFAHSSANSAIYDTLCRRLVGLCGAVVVSVNYRRAPENRYPCAYDDGWAVLKWVNSSSWLRSKKDSKVRIFLAGDSSGGNIVHNVAVRAVESRIDVLGNILLNPMFGGTERTESEKRLDGKYFVTVRDRDWYWRAFLPEGEDREHPACSPFGPRSKSLEGLSFPKSLVVVAGLDLIQDWQLKYAEGLKKAGQEVKLLYLEQATIGFYLLPNNNHFHTVMDEIAAFVNAECQ(配列番号:106)。
【0351】
容易に理解されるように、合成モジュールCARポリペプチドコード核酸のライブラリ、または、合成モジュールCARポリペプチドのライブラリをスクリーニングすることにより同定されるCARを、例えば、1つまたは複数のドメイン(例えば、共調節ドメイン)を付加すること、1つまたは複数のドメインを除去すること(例えば、スクリーニング操作に利用する蛍光レポーターの除去)、CARを2つのポリペプチドへと分割する(また二量体化ドメインを付加する)こと、ドメインを再構成することなどにより、改変してもよい。
【0352】
一部の例においては、特定の細胞環境への細胞応答に関連する表現型のために、ライブラリをスクリーニングしてもよい。それゆえ、細胞表現型を、特定の環境に曝した際の細胞の応答(例えば、活性化または抑制)により定義してもよい。例えば、特定の細胞環境への曝露により、T細胞応答を評価してもよい。一部の実施形態では、腫瘍微環境への曝露による応答で、T細胞抑制を評価してもよい。
【0353】
一部の例においては、細胞局在化(例えば、ホーミングまたは細胞標的化に影響される)に関連する表現型のために、ライブラリをスクリーニングしてもよい。それゆえ、細胞標的化へのライブラリメンバーの影響をスクリーニングしてもよい。例えば、細胞ライブラリを宿主生物へと導入してもよく、どの細胞が成功裏に標的位置へ向かったかを評価するために、一定時間後にライブラリ細胞を宿主生物の標的位置から回収してもよい。一部の例においては、インビボで腫瘍へと標的化させるためにT細胞をアッセイしてもよい。
【0354】
一部の例においては、患者特異的な状態の表現型のためにライブラリをスクリーニングしてもよい。この方法でスクリーニングした患者特異的な状態は大いに様々であり、患者における特定の疾患状態に関連する状態を挙げることができ、患者特異的な状態における亢進または最適表現型を示す特定のライブラリメンバー(複数可)を同定するためにライブラリをスクリーニングすることを含む。一部の例においては、患者由来の外植片または異種移植片へと曝した後に、細胞ライブラリメンバーの局在化を評価してもよい。例えば、患者特異的な腫瘍異種移植片へと曝した後に、細胞性T細胞ライブラリを発現するCARのT細胞局在化を評価してもよい。一部の例においては、患者由来の外植片または異種移植片へと曝した後に、細胞ライブラリメンバーの増殖を評価してもよい。例えば、患者特異的な腫瘍異種移植片へと曝した後に、細胞性T細胞ライブラリを発現するCARのT細胞増殖を評価してもよい。一部の例においては、細胞ライブラリまたは特定の細胞ライブラリメンバーに曝した後に、生存能の上昇及び低下のために患者特異的な外植片または異種移植片をアッセイしてもよい。例えば、患者特異的な腫瘍異種移植片へと曝した後に、細胞性T細胞ライブラリを発現するCARのT細胞殺傷性を評価してもよい。このように、特定の患者を治療するための最適なライブラリメンバー(複数可)を同定するために、ライブラリをスクリーニングしてもよい。
【0355】
一部の例においては、ダイナミックな抗原誘発により、インビトロで表現型をアッセイしてもよい。ダイナミックな抗原誘発とは、単なる抗原の有無以上に表現型を評価することにより、抗原がダイナミックに様々となり得る、例えば、濃度範囲にわたってダイナミックに変化し得る、時間範囲にわたってダイナミックに変化し得るということなどを意味する。例えば、様々な用量でスクリーニングした表現型を評価するために(すなわち、用量反応を評価するために)、抗原濃度を滴定してもよい(例えば、様々な濃度で)。任意の簡便な方法を用いて、抗原を異なる濃度で提示させてもよい。非限定的な例として、抗原を異なる濃度(濃度範囲を含む)で発現する細胞を用いて、異なる量の抗原を提示させてもよい。一部の例においては、例えば、タイムポイントアッセイで表現型を評価するための、または、スクリーニングした表現型の動態を評価するための、抗原提示タイミングはダイナミックに変化し得る。
【0356】
一部の例においては、表現型特徴のためにライブラリをスクリーニングしてもよい。本発明で使用する場合、用語「表現型特徴」とは通常、個々の表現型の組み合わせのことを意味する。例えば、一部の例においては、細胞は、特定マーカーの発現と結びついた特定形態を含む表現型特徴を有していてもよい。表現型特徴は、類似したまたは異なる表現型カテゴリーに由来する表現型の組み合わせであってもよく、例えば、表現型特徴は、関連してはいるが異なる2つの細胞表面マーカーの発現を含んでいてもよく、表現型特徴は、細胞表面マーカー及び細胞増殖マーカーの発現を含んでいてもよく、表現型特徴は、細胞表面マーカー及び特定の分泌マーカー(例えば、サイトカイン)の発現を含んでいてもよく、または、表現型特徴は、2種類の異なるサイトカインの発現を含んでいてもよいなどである。任意の簡便な表現型(本明細書に記載の表現型を含む)は、表現型特徴の構成要素として有用であってもよい。
【0357】
合成モジュールポリペプチドに関連する表現型の同定
本開示は、特定の検出表現型に関連するライブラリメンバーを同定するための方法を含む。理論に束縛されるものではないが、それぞれのマルチモジュール合成ポリペプチドにそれぞれの対応するマルチユニットバーコードを加えた整合アセンブリにより、アセンブリに続いて、それぞれの固有合成モジュールポリペプチドを同定することが可能となる。上記のとおり、それぞれの合成モジュールポリペプチドコード核酸のバーコード領域は、それぞれの合成モジュールポリペプチドを構成する個々のモジュールの同一性だけではなく、そのモジュールの特定の配置(本明細書では、構造と呼ぶ)もまた提供する。それゆえ、バーコード領域をシークエンシングすることにより、それぞれのライブラリメンバーの同一性及び構造を同定することができる。
【0358】
そのため、物理的に分離したライブラリメンバーを用いてライブラリのスクリーニングを行う必要はなく、ライブラリメンバーを同時に「プール」及びスクリーニングしてもよい。ライブラリメンバーのプールを、インビトロで(例えば、試験管内、または、関連生物の外側の細胞試料)、または、インビボで(動物または組織)行ってもよい。同時スクリーニングの後、結合バーコード領域の同定及び/または定量化により、ライブラリメンバー及び/またはそれらのモジュールに関連する表現型を決定してもよい。一部の例においては、プールスクリーニングにより、従来の逐次的スクリーニングまたは同時スクリーニングでは実用的ではなかった多数の固有ライブラリメンバーのスクリーニングが可能となる。表現型のためにスクリーニング可能な固有ライブラリメンバーの数は、ライブラリのサイズ及び複雑性によって決まるため様々であってもよく、96以下~数百万以上の範囲であってもよく、例えば、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上、1000以上、2000以上、3000以上、4000以上、5000以上、6000以上、7000以上、8000以上、9000以上、10,000以上、20,000以上、30,000以上、40,000以上、50,000以上、60,000以上、70,000以上、80,000以上、90,000以上、100,000以上などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0359】
一部の例においては、高く発現したモジュールを同定するために、特定バーコードの量または頻度を測定してもよい。例えば、最も頻度の高いバーコードが試料内において最も高く発現したそれらモジュールを同定するように、ライブラリメンバーを含有するプール試料、及び、ライブラリメンバーをコードする結合核酸からそれぞれのバーコードの頻度を定量化してもよい。特定の実施形態では、このような試料は細胞試料であってもよい。
【0360】
一部の例においては、高く発現したモジュールポリペプチドを同定するために、特定マルチユニットバーコード(例えば、バーコード領域)の量または頻度を測定してもよい。例えば、最も頻度の高いマルチユニットバーコードが試料内において最も高く発現したそれらモジュールポリペプチドを同定するように、ライブラリメンバーを含有するプール試料、及び、ライブラリメンバーをコードする結合核酸からそれぞれのマルチユニットバーコードの頻度を定量化してもよい。特定の実施形態では、このような試料は細胞試料であってもよい。
【0361】
一部の例においては、表現型の検出、ならびに、ライブラリメンバー及びそれらの構成要素の同定を統合方法の一部として行ってもよい。例えば、一部の例においては、フローサイトメトリーを用いて表現型を検出してもよく、またシークエンシングによりライブラリメンバーを同定してもよい。このような統合方法を、例えば、
図24に示すようなインビトロ及び/またはインビボアッセイ(統合方法の非限定的な例として、FLOW-Seqを用いる)と共に行ってもよい。
【0362】
本発明で使用する場合、用語「FLOW-Seq」とは通常、単一の連続ワークフロー内において、分離フローサイトメトリー法(例えば、FACS)をシークエンシング法(例えば、次世代シークエンシング)と組み合わせることを意味する。任意の簡便かつ適切な分離フローサイトメトリー法、及び、任意の簡便かつ適切なシークエンシング法は、このようなFLOW-Seq法に有用であってもよい。例えば、一部の例においては、フローサイトメトリーを用いて、本明細書に記載のバーコード化合成モジュールポリペプチドを発現する細胞ライブラリを表現型のためにアッセイしてもよく、特定の表現型を有するそれら細胞をソートしてもよく、続いてそれらバーコードをシークエンシングして、ソートした細胞内に存在する、特定のライブラリメンバーの同定、及び/または、特定ライブラリメンバー及び/またはそれらのモジュールにおける頻度の定量化を行ってもよい。例えば、フローサイトメトリーで検出した表現型に基づいて1つまたは複数のビンへとソートすることを含む、任意の簡便かつ適切な方法を用いてソートを行ってもよい。ソート後に、ソート試料及び/またはソート細胞に対して直接シークエンシングを行ってもよく、または、ソート試料及び/またはソート細胞を増殖及び/または培養させてから(例えば、ライブラリメンバーをコードする核酸の複製を増殖させるために)、ソートしてもよい。例えば、細菌内におけるタンパク質濃度を表現型的に測定して関連する遺伝的要素を同定するためのFLOW-seq法(例えば、Kosuri et al.Proc Natl Acad Sci USA(2013)110(34):14024-9、及び、Goodman et al.Science(2013)342(6157):475-479)を参照されたい)が用いられており、更に、機能に基づいてソートしたT細胞と配列決定したそれら対応するT細胞受容体遺伝子とを相関させるために、シークエンシングとFACSを組み合わせることもまた行われている(例えば、Han et al.Nature Biotechnology(2014)32:684-692を参照されたい)。
【0363】
一部の例においては、特定の表現型に関連する合成モジュールポリペプチドを同定することは、ライブラリを導入したインビボモデル由来の組織または器官を外科的に分離することを含んでいてもよい。例えば、一部の例においては、アッセイのための十分な時間をおいてから、器官または組織を宿主動物から除去してもよく、器官または組織内に存在する個々のライブラリメンバーを同定するために、器官または組織内に存在する核酸をシークエンシングしてもよい。その他の例では、器官または組織内における特定ライブラリメンバーの相対的な頻度または存在量を定量化するために、器官もしくは組織または宿主動物から単離した核酸を定量的に(半定量的を含む)シークエンシングしてもよい。更に他の例では、器官または組織内における特定モジュールの相対的な頻度または存在量を定量化するために、器官もしくは組織または宿主動物から単離した核酸を定量的に(半定量的を含む)シークエンシングしてもよい。
【0364】
一部の例においては、例えば、半定量化後に特定モジュールが高く発現する場合、または、個々のモジュールが所望の表現型に寄与すると同定された場合、新規ライブラリアセンブリによる続くラウンドを実施してもよく、同定されたモジュールは、新たに作製したライブラリメンバー全てに含まれており(すなわち、同定された可変モジュールを不変モジュールとして続けて用いる)、新たに生成したライブラリをスクリーニングして、最初に同定されたモジュールと共に、表現型に協同的に影響を与える更なるモジュールを同定する。ライブラリアセンブリ及びスクリーニングを繰り返し行うことにより、所望の表現型を有するライブラリ及び個々のライブラリメンバーを発生可能であることを、当業者は容易に理解するであろう。
【実施例】
【0365】
以下の実施例は、完全な開示及び本発明をどのように実施して利用するかの説明を当業者に提供するために記載するものであり、本発明者が本発明とみなす範囲を制限することを意図するものではなく、以下の実験が実施される実験の全てまたは唯一の実験であると示すことを意図するものでもない。使用する数値(例えば、量、温度など)に対する精度を確保するための努力を行ってはいるが、一定の実験的誤差及び偏差は発生するであろう。別途示さない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセルシウス度であり、また圧力は大気圧または大気圧付近である。標準的な略語、例えば、bpは塩基対(複数可)、kbはキロベース(複数可)、plはピコリットル(複数可)、sまたはsecは秒(複数可)、minは分(複数可)、hまたはhrは時間(複数可)、aaはアミノ酸(複数可)、kbはキロベース(複数可)、bpは塩基対(複数可)、ntはヌクレオチド(複数可)、i.mは筋肉内(に)、i.pは腹腔内(に)、s.cは皮下(に)などを用いてもよい。
【0366】
実施例1:共調節ドメインモジュールライブラリの構築及びスクリーニング
ライブラリ構築に必要な要素を含むバーコード化モジュールコード核酸断片を作製するために、ポリペプチドモジュール(すなわち、共調節ドメイン(すなわち、共刺激または共抑制))をコードする核酸を、シークエンシング及びType IIS制限酵素消化に好適なクローニングベクターにサブクローニングした。サブクローニング後、ベクターは、モジュールコード配列、モジュールコード配列の前後に存在する最適なGly/Serリンカー配列、モジュール特異的バーコード配列、モジュール特異的バーコード配列の前後に存在する3´クローニングホモロジーアーム、モジュールコード配列とモジュール特異的バーコード配列との間のBamHI制限部位、ならびに、モジュールコード配列の5´末端側及びモジュール特異的バーコード配列の3´末端側の両方に存在するType IIS制限酵素部位を含んでいた(
図1)。サブクローニングしたベクターインサートをシークエンシングし、挿入した共調節ドメインの同一性を確認した。この組み合わせライブラリに用いた共調節ドメイン及びそれらの対応するタンパク質配列を表1に提供する。
【0367】
Type IIS制限酵素を用いてバーコード化モジュールコード配列を含むクローニングベクターを消化し、それぞれのポリペプチドモジュールをコードする「完全配列」核酸を遊離させた(
図2)。記載した要素及びCD28共刺激ドメインをコードする配列を含むクローニングベクター部位の例(Type IIS制限酵素消化の前後)を提供するが(
図3)、この例は、ライブラリ構築に用いたそれぞれのモジュールプラスミド/断片の一般的な構成を示す。
【0368】
脾臓フォーカス形成ウイルスプロモーター(pSFFV)のBamHI部位3´における制限酵素消化により、発現ベクター(すなわち、レンチウイルスパッケージングベクターpHR(レシピエントベクターとも呼ばれる))の作製を行った。ライブラリメンバーコンストラクトを段階的な方法でアセンブリした(
図5)。In-Fusionクローニング法を最初に用いて、ライブラリにおける全てのメンバーに共通する一本鎖可変フラグメント(scFv)及び膜貫通(TM)ドメイン(scFV-TM)をコードする発現ベクター配列へと挿入した。In-Fusion反応混合物をコンピテントE.coliに形質転換した。形質転換細胞を培養した。コロニーを選択し、DNAを抽出するためにミニプレップを行ってから、構築プラスミドを回収した。scFV-TM含有発現プラスミドを成功裏に構築した後、マルチモジュールポリペプチドのそれぞれの連続構成要素(EGFPレポーターを含む)を、
図5に従った個々の工程における前の構成要素の3´側へと挿入した。それぞれの工程は、BamHIによる消化及びIn-Fusionアセンブリに続き、In-Fusion反応によるトランスフェクション、コロニー選択、及びプラスミド精製を含む。
【0369】
図5に示すように、最後のIn-Fusion反応で得られたそれぞれのライブラリメンバーは、共通のレポーター(CD3z-EGFP)に連結した2つの共調節ドメインのメンバー特異的組み合わせに連結した共通のscFV-TM、及び、共調節ドメインに対して逆方向である一対のモジュール特異的バーコードを含む。バーコードはプライマー結合部位に隣接しているため、ライブラリメンバー特異的な共調節ドメインの組み合わせに相当する、特定のバーコードの組み合わせの増幅及び/またはシークエンシングが可能となる。
【0370】
最終プラスミドライブラリの競合を行ってから、個々のライブラリメンバーをHEK-293細胞へとトランスフェクションし、常法によりレンチウイルスを産生した。産生レンチウイルスを用いてT細胞を感染させ、マルチモジュールポリペプチドを発現する遺伝子改変免疫細胞を作製した。
【0371】
レポーターのEGFP発現に基づいて、遺伝子改変免疫細胞をFACSでソートした。均一な発現レベルを有する遺伝子改変細胞の集団を単離するためにソートを行った。マルチモジュールポリペプチドを均一に発現するソート細胞を、続く機能性スクリーニングに利用した。
【0372】
この一般手順を用いて4つの独立ライブラリを作製した。1次元ライブラリ(すなわち、それぞれのライブラリメンバーが1つの共調節ドメインを含む)及び2次元ライブラリ(すなわち、それぞれのライブラリメンバーが2つの共調節ドメインを含む)を構築した。2次元ライブラリのメンバーを、
図6に示す一般スキームに従いアセンブリした。4つのライブラリ、及び実施した関連スクリーニングは以下のとおりである。
【0373】
1)20メンバーの1次元ライブラリを構築して、T細胞機能に関するFLOWseq解析の実現性を試験するために用いた。CD3Zドメインに結合した共調節ドメインモジュールに結合したCD8ドメインを含むように、それぞれのライブラリメンバーを構成した。遺伝子改変T細胞を、FACSによるそれらのレポーター発現に応じたビンに分けてから、ライブラリをスクリーニングして、プレート結合抗原に対するT細胞活性(CD69)の用量反応を測定した。
【0374】
2)62メンバーの1次元抗CD19ライブラリを構築して、インビボマウス腫瘍モデルを用いてスクリーニングした。EGFPレポーターに結合したCD3Zドメインに結合した共調節ドメインモジュールに結合した抗CD19ドメインを含むように、それぞれのライブラリメンバーを構成した。
【0375】
3)62×62メンバーの2次元ライブラリを構築した。それぞれのライブラリメンバーは、EGFPレポーターに結合したCD3Zドメインに結合した第2の共調節ドメインモジュールに結合した第1の共調節ドメインモジュールに結合した抗CD19ドメインを含んでいた。
【0376】
4)62メンバーの1次元抗メソテリンライブラリを構築した。それぞれのライブラリメンバーは、EGFPレポーターに結合したCD3Zドメインに結合した共調節ドメインモジュールに結合した抗メソテリンドメインを含んでいた。
【0377】
キメラ抗原受容体(CAR)内における別の共調節配列のために、プールした62メンバーの1次元抗CD19ライブラリに対して機能性スクリーニングを行った。ライブラリにおけるそれぞれのメンバーは、標的がん細胞抗原に特異的な抗CD19scFv、表1の共調節ドメインモジュールの1つ、及び、CD3Z第1シグナル伝達ドメインを含んでいた(
図7)。
【0378】
プールライブラリの遺伝子改変T細胞に対して抗原刺激(32ng/ml、125ng/ml、及び、1000ng/mlの抗原)を行ってから、FACSを用いて、CD69発現に基づいた「高」刺激ビンまたは「低」刺激ビンへとそのT細胞を機能性でソートした(
図8)。シークエンシング(抗原濃度1000ng/ml)により、高刺激ビン及び低刺激ビンの両方において、個々の共調節ドメインに対応する特定バーコードの相対的濃縮度を測定した(
図9)。この手法により、抗CD19-CD3Z CAR内及び用いた特定の抗原刺激環境内のそれぞれの共調節ドメインにおける刺激結果と抑制結果との比較が可能となった。例えば、スクリーニング結果を、異なる抗原入力レベルに対して更に解析することにより、個々の共調節ドメインにおける用量反応の迅速な評価が可能となった(
図10)。
【0379】
実施例2:61×61 2次元ライブラリの包括的アセンブリの確認
入れ子アセンブリにより、61種の可変CARモジュール(表2、
図25に記載)を、2次元(2D)合成モジュールCARポリペプチドをコードするバーコード化核酸ライブラリへとアセンブリした。MiSeq system(Illumina Inc.,Hayward,CA)を利用したsequencing by synthesis(SBS)法を用いてライブラリをディープシークエンシングして、アセンブリしたそれぞれのライブラリメンバーのリードカウントを測定した(
図26)。
【0380】
発生し得る全ライブラリメンバーのうち発生し得るライブラリメンバー(すなわち、CAR変異体)の総数3,721(最大頻度1216カウント、最低頻度2カウント)を、シークエンシングにより検出した。ライブラリ全体のカウント平均数は333(中央値は311カウント)であり、ライブラリメンバーにおける140.90%の標準偏差は、中央値の2倍以内または中央値の3倍以内98%のカウントで表した。
【0381】
このように、シークエンシングにより、入れ子アセンブリ法で、可変モジュールの全ての可能な組み合わせを発現するライブラリメンバーを含む2Dライブラリを作製可能であることを確認した。
【0382】
実施例3:ライブラリパーツの正規化
ライブラリパーツの正規化を用いた、組み合わせライブラリ内のクローン分布を向上させる方法を開発した。
【0383】
任意の組み合わせアセンブリ反応では、一部のパーツ(例えば、モジュール)は、その他のパーツと比べてより効率的に、アセンブリ産物へと一体化する。ゆえに、比較的非効率的に一体化するパーツを含むアセンブリ産物(例えば、タンパク質変異体)は、最終組み合わせライブラリ内で低発現しているか、または、存在しないことになる。同様の理由で、その他のアセンブリ産物(例えば、効率的に一体化するパーツを含むタンパク質変異体)は過剰に豊富となり、結果として、全ての下流アッセイにおいて試料が過剰となってしまう。
【0384】
この問題に対応するために、ライブラリアセンブリを向上させる方法を開発した。この方法では、全てのパーツ(DNAインサート)が同一容量で存在する状態で、最初のアセンブリ反応が実施される。この目的のため、それぞれのパーツを1uLずつ含有するようにマスターミックスを調製した。組み合わせアセンブリの完了後、任意の簡便な定量的アッセイを用いて、産物の混合物を求める。例えば、本実施例では、次世代シークエンシングを用いて(
図27を参照されたい)、ライブラリ全体におけるそれぞれのパーツの比率を計算した(
図28に示す線形方程式内で、e
1、e
2…として表す)。それから、線形代数を用いてそれぞれのパーツ(マスターミックス中の)の新たな最適容量を同時に計算し、その後、ライブラリを再合成してより均一に分布する変異体を得た。
【0385】
CARの組み合わせライブラリ(それぞれのCARは、直列に連結した、61の異なる共刺激ドメインを2つ含有する(61
2、つまり、3721種のタンパク質変異体))を合成することにより、この手法を実証した。アセンブリした組み合わせライブラリ内のパーツにおける効率性、濃度、豊富度間の簡便な比例関係を利用することによって、この方法を用いて特定パーツの相対的頻度を定量的に制御可能であることが証明された。
図29に示すように、アセンブリマスターミックス中のパーツセットの相対濃度における10倍の倍率変化が、組み合わせライブラリの得られた組成物中のパーツ頻度における10倍の倍率変化となり得ることが予測された(黒色バー)。アセンブリした組み合わせライブラリ内における5パーツの平均頻度を測定した際に(白色バー)、10倍の倍率変化で予測した効果が実際に確認された。得られた正規化済み大規模組み合わせライブラリ(
図26に示すとおり)は、ライブラリ内の変異体分布において著しい向上を示した(例えば、正規化前ライブラリ内の変異体分布(
図27)と比較して)。
【0386】
本発明における特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の真の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことが可能であること、また均等物で置き換え可能であることを当業者は理解するであろう。更に、特定の状態、材料、物質の組成物、プロセス、1つのプロセス工程または複数のプロセス工程について多くの修正を行い、本発明の目的、趣旨及び範囲に適合させることも可能である。全てのこのような修正は、本書に添付する特許請求の範囲の範囲内となることを意図している。
【配列表】