(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】受信装置及び受信方法、並びに該受信装置を備えた移動端末試験装置
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20231206BHJP
H04B 17/15 20150101ALI20231206BHJP
【FI】
H04L27/26 410
H04B17/15
(21)【出願番号】P 2021121846
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 淳樹
(72)【発明者】
【氏名】イシップ マーク
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-104744(JP,A)
【文献】特表2006-522553(JP,A)
【文献】特開2007-104294(JP,A)
【文献】特開2005-303455(JP,A)
【文献】特開2013-187817(JP,A)
【文献】特開2017-184050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0316541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04B 17/15
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信部(10)と、
前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調部(20)と、
前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成部(312)と、
前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出部(313)と、
前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出部(314)と、
前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定部(315)と、
前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正部(316)と、
を備え、
前記データ抽出部は、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出する、受信装置。
【請求項2】
移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信部(10)と、
前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調部(20)と、
前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成部(312)と、
前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出部(313)と、
前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出部(314)と、
前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定部(315)と、
前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正部(316)と、
を備え、
前記データ抽出部は、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、所定の基準値より小さいエラーベクトル振幅(EVM)を有するシンボルに対応する信号データを抽出する、受信装置。
【請求項3】
前記位相誤差補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号との位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第2の補正部(32)をさらに備える、請求項
1又は2に記載の受信装置。
【請求項4】
移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信部(10)と、
前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調部(20)と、
前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成部(312)と、
前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出部(313)と、
前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出部(314)と、
前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定部(315)と、
前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正部(316)と、
を備え、
前記データ抽出部は、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出し、
前記位相誤差補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出し、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第3の補正部(32A)をさらに備える
、受信装置。
【請求項5】
前記第3の補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号との位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第4の補正部(33A)と、
前記第4の補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号から、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データを抽出し、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第5の補正部(34B)と、
をさらに備える、請求項
4に記載の受信装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の受信装置(100)と、
前記位相誤差の補正が行われた前記復調コンスタレーション信号を解析する解析部(40)と、
前記解析部による解析の結果を表示する表示部(50)と、
を備える移動端末試験装置。
【請求項7】
移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信ステップ(S1)と、
前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調ステップ(S4、S5)と、
前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成ステップ(S11)と、
前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出ステップ(S12)と、
前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出ステップ(S13)と、
前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定ステップ(S14)と、
前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正ステップ(S15)と、
を含み、
前記データ抽出ステップにおいて、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、
IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出する、受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復調信号の位相誤差を補正する受信装置及び受信方法、並びに該受信装置を備えた移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば移動体通信端末などの被試験装置(DUT(Device Under Test))から送信される信号を解析し、DUTの送信性能を調べる送信試験が、移動端末試験装置を用いて行われている。DUTから送信される信号は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やLTE(Long Term Evolution)、5G NR(New Radio)などの通信規格に従って変調された変調信号である。
【0003】
無線LANやLTE、5G NRなどの広帯域の無線伝送システムでは、変調方式として周波数利用効率のよいとされるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が広く用いられている。OFDM方式は、所定のデータブロック毎に同期をとるブロック伝送方式であり、具体的には、送信側にてデータ列を逆多重化して並列データに変換して各サブキャリアにマッピングした後、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理、D/A変換、直交変調等を行って送信信号とする。また、IFFT処理により時間領域の信号に変換した後、該信号の後端の一部をガードインターバルとしてその信号の前方に付加することで、マルチパスフェージングによるシンボル間干渉に耐性を持たせている。
【0004】
移動端末試験装置は、このようにして生成された変調信号を受信して復調し信号解析を行うものであり、精度の高い解析を行うためには正確に復調する必要がある。しかし、例えば、DUTにおいて生成された送信信号と、受信装置において復調した復調信号との間で、周波数のずれがある場合には、復調信号において位相誤差のずれ(位相回転)が生じ、DUTの正確な送信性能を把握することができない。そのため、復調信号に生じている位相誤差を適切に補正する必要がある。復調信号の位相誤差を補正する装置としては、例えば、特許文献1に記載された装置が知られている。
【0005】
特許文献1には、OFDM復調信号のコンスタレーションより周波数対位相特性を求め、位相差を変化させて、周波数対位相特性の傾きがゼロに近づく位相差を探索することで、位相の同期処理を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の装置にあっては、復調信号の位相同期(すなわち位相誤差の補正)に用いる周波数対位相特性を精度よく効率的に取得することは考慮されていなかった。取得した周波数対位相特性の精度が高くない場合、復調信号の位相を精度よく効率的に同期させることができないという懸念があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる受信装置及び受信方法、並びに該受信装置を備えた移動端末試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の受信装置は、上記目的達成のため、移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信部(10)と、前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調部(20)と、前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成部(312)と、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出部(313)と、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出部(314)と、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定部(315)と、前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正部(316)と、を備え、前記データ抽出部は、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出することを特徴とする。
【0010】
上述のように、本発明の受信装置では、データ抽出部が、復調コンスタレーション信号(以下、単に復調信号ともいう)と理想コンスタレーション信号から、所定の条件に適合した一部の信号データを選抜して抽出する。抽出された信号データに関して、位相誤差算出部が、位相誤差を算出し、位相誤差特性推定部が、抽出された信号データの区間での位相誤差の周波数特性又は時間特性(以下、単に位相誤差の特性ともいう)を推定する。そして、位相誤差補正部が、推定された位相誤差の特性に基づいて、復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する。このように、信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定することができるので、その特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0011】
復調信号に位相回転が生じている場合、例えば1スロット内の全シンボル区間のうち、例えばDMRS(Demodulation Reference Signal)などの既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データは、他シンボルの信号データより位相誤差の特性を推定する上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0012】
また、本発明の受信装置は移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信部(10)と、前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調部(20)と、前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成部(312)と、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出部(313)と、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出部(314)と、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定部(315)と、前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正部(316)と、を備え、前記データ抽出部は、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出することを特徴とする。
【0013】
復調信号に位相回転が生じている場合、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データは、他の理想コンスタレーション点に対応する信号データより位相誤差の特性を決める上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0014】
また、本発明の受信装置は、移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信部(10)と、前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調部(20)と、前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成部(312)と、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出部(313)と、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出部(314)と、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定部(315)と、前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正部(316)と、を備え、前記データ抽出部は、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、所定の基準値より小さいエラーベクトル振幅(EVM)を有するシンボルに対応する信号データを抽出することを特徴とする。
【0015】
復調信号に位相回転が生じている場合、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データは、EVMの高い他のシンボルに対応する信号データより位相誤差の特性を決める上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0016】
また、本発明の受信装置は、前記位相誤差補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号との位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第2の補正部(32)をさらに備える構成であってもよい。
【0017】
信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の粗補正を行った後で、第2の補正部が全周波数区間(全サブキャリア区間)又は全シンボル区間に含まれる全部の信号データを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の本補正を行うことにより、復調信号の位相誤差をより効率的に精度よく補正することができる。
【0018】
また、本発明の受信装置は、前記位相誤差補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出し、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第3の補正部(32A)をさらに備える構成であってもよい。
【0019】
信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の粗補正を行った後で、第3の補正部が、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の粗補正を行っている。このように、異なる方法により2段階で位相誤差の粗補正を行うことにより、より正確な理想コンスタレーション信号を得ることができ、これにより、復調信号の位相誤差をより効率的に精度よく補正することができる。
【0020】
また、本発明の受信装置は、前記第3の補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号との位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第4の補正部(33A)と、前記第4の補正部により位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された前記復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号から、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データを抽出し、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出し、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、前記推定された前記位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する第5の補正部(34B)と、をさらに備える構成であってもよい。
【0021】
信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の粗補正を行った後で、第4の補正部が全区間の信号データを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の本補正を行い、次いで、第5の補正部が、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差の粗補正を行っている。このように、異なる方法により複数段階で位相誤差の粗補正及び本補正を行うことにより、復調信号の位相誤差をより効率的に精度よく補正することができる。
【0022】
また、本発明の移動端末試験装置は、上記いずれかに記載の受信装置(100)と、
前記位相誤差の補正が行われた前記復調コンスタレーション信号を解析する解析部(40)と、前記解析部による解析の結果を表示する表示部(50)と、を備えることを特徴とする。
【0023】
この構成により、本発明の移動端末試験装置は、復調信号の位相誤差をより効率的に精度よく補正することができ、それにより、移動体通信端末の試験を精度よく行うことができる。
【0024】
また、本発明の受信方法は、移動体通信端末(2)から直交周波数分割多重(OFDM)方式で変調された変調信号を受信する受信ステップ(S1)と、前記受信された変調信号を復調して復調コンスタレーション信号を取得する復調ステップ(S4、S5)と、前記復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する理想コンスタレーション信号生成ステップ(S11)と、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、一部の信号データを選抜して抽出するデータ抽出ステップ(S12)と、前記抽出された信号データに関して、前記理想コンスタレーション信号に対する前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出する位相誤差算出ステップ(S13)と、前記算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する位相誤差特性推定ステップ(S14)と、前記推定された位相誤差の周波数特性又は時間特性に基づいて前記復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する位相誤差補正ステップ(S15)と、を含み、前記データ抽出ステップにおいて、前記復調コンスタレーション信号と前記理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出することを特徴とする。
【0025】
上述のように、本発明の受信方法では、データ抽出ステップにおいて、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、所定の条件に適合した一部の信号データを選抜して抽出する。抽出された信号データに関して、位相誤差算出ステップにて、位相誤差を算出し、位相誤差特性推定部にて、全データ区間での位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定する。そして、位相誤差補正ステップにて、推定された位相誤差の特性に基づいて、復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する。このように、信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定することができるので、その特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。特に、復調信号に位相回転が生じている場合、例えば1スロット内の全シンボル区間のうち、例えばDMRSなどの既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データは、他シンボルの信号データより位相誤差の特性を推定する上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる受信装置及び受信方法、並びに該受信装置を備えた移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る移動端末試験装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】大きな位相回転が生じた復調信号に関し、(a)はサブキャリア(周波数)に対するEVMのグラフを示し、(b)はサブキャリア(周波数)に対する位相誤差のグラフを示す。
【
図3】位相回転により位相誤差の異常が生じる様子を示す説明図である。
【
図4】復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する方法を説明する図である。
【
図5】サブキャリア(周波数)に対する位相誤差のグラフを示す図であり、図中、設定された周波数区間と、該周波数区間における位相誤差の周波数特性を示す近似直線が図示されている。
【
図6】(a)は復調信号の位相誤差を補正しない場合のコンスタレーションを示し、(b)は全周波数区間の信号データを用いて位相誤差を補正した場合のコンスタレーションを示し、(c)は中央の一部の周波数区間の信号データのみを用いて位相誤差を補正した場合のコンスタレーションを示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る移動端末試験装置を用いて行う移動端末試験のフローチャートを示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る移動端末試験装置を用いて行う移動端末試験のフローチャートを示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る位相誤差検出部の構成を示す図である。
【
図10】基準シンボル及びその前後のシンボルを用いて位相誤差の粗補正を行う方法を説明するための図である。
【
図11】IQ平面の原点近傍の理想コンスタレーション点に対応する信号データを用いて位相誤差の粗補正を行う方法を説明するための図である。
【
図12】第2の実施形態に係る位相誤差補正方法のフローチャートを示す図である。
【
図13】第3の実施形態に係る位相誤差検出部の構成を示す図である。
【
図14】所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データを用いて位相誤差の補正を行う方法を説明するための図である。
【
図15】所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データを用いて位相誤差の補正を行う方法を説明するための図である。
【
図16】第3の実施形態に係る位相誤差補正方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る移動端末試験装置1は、被試験装置(DUT)2から送信された変調信号aを受信して解析することによりDUT2の送信性能を試験するものであり、受信部10、復調部20、位相誤差補正部30、解析部40、表示部50、制御部60、及び操作部70を備えている。受信部10、復調部20、及び位相誤差補正部30を含む部分を受信装置100ともいう。DUT2としては、限定するものではないが、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末などの移動体通信端末が挙げられる。DUT2から送信される変調信号aは、例えばLTE、5G NRなどの通信規格に従って例えば直交周波数分割多重(OFDM)方式により変調されたOFDM変調信号である。以下、各構成要素について説明する。
【0030】
(受信部)
受信部10は、DUT2から送信される変調信号a(OFDM変調信号)を、アンテナを介して、あるいは、有線で受信するようになっており、ダウンコンバータ11、アナログ-デジタル変換器(ADC)12、及び直交復調部13を備えている。
【0031】
ダウンコンバータ11は、ミキサや局部発信器を備え、DUT2から送信された変調信号aと、局部発振器により生成されたローカル信号とをミキサに入力してダウンコンバートし、中間周波数(IF)信号bを生成するようになっている。中間周波数信号bは、ADC12に送られる。
【0032】
ADC12は、ダウンコンバータ11により周波数変換された中間周波数信号bをサンプリングしてアナログ信号からデジタル信号に変換するようになっている。得られたデジタルの中間周波数信号cは、直交復調部13に送られる。
【0033】
直交復調部13は、ADC12から出力されたデジタルの中間周波数信号cをベースバンド信号に周波数変換するとともに、I相成分及びQ相成分に直交復調するようになっている。得られた直交復調信号dは、復調部20に送られる。直交復調信号dは複素信号である。
【0034】
上記説明では、受信部10はダウンコンバータ11において中間周波数信号に変換されるとしたが、ダウンコンバータ11においてベースバンドの信号に変換するようにしてもよい。また、直交復調部13と復調部20の間に信号同期部を設け、直交復調信号dに対してシンボルやフレームの同期処理を行うようにしてもよい。
【0035】
(復調部)
復調部20は、受信部10の直交復調部13から出力された直交復調信号dをOFDM復調するようになっており、高速フーリエ変換(FFT(Fast Fourier Transform))部21、及びサブキャリア復調部22を備えている。
【0036】
FFT部21は、直交復調部13から出力された直交復調信号dに対して、高速フーリエ変換処理を施し、周波数ドメイン信号eを生成するようになっている。なお、必要に応じ、FFT部21においてFFT処理を行う前に、直交復調信号dの各シンボルからCP(Cyclic Prefix)を除去しておくようにする。生成した周波数ドメイン信号eは、サブキャリア復調部22に送られる。
【0037】
FFT部21とサブキャリア復調部22の間に、伝送路推定・補正部を設けてもよい。この伝送路推定・補正部は、FFT部21から出力された周波数ドメイン信号eに対して例えばパイロット信号による伝送路推定を行い、伝送路の補正を行うものである。伝送路推定・補正部が設けられている場合には、補正済みの周波数ドメイン信号がサブキャリア復調部22に送られる。
【0038】
サブキャリア復調部22は、周波数ドメイン信号eに対してサブキャリア毎に復調処理を行ってOFDM復調信号fを生成するようになっている。OFDM復調信号fは、位相誤差補正部30に送られる。
【0039】
位相誤差補正部30は、後で詳細に説明するが、OFDM復調信号fの位相誤差を補正するようになっている。位相誤差の補正されたOFDM復調信号sは、解析部40に送られる。
【0040】
(解析部・表示部)
解析部40は、位相誤差補正部30から出力された、位相誤差の補正されたOFDM復調信号sに対して、例えば、送信パワー、EVM(Error Vector Magnitude)、コンスタレーション、スペクトラム等を測定・解析し、DUT2の送信性能を試験するように構成されている。解析部40による測定・解析結果は、表示部50に送られる。
【0041】
表示部50は、解析部40から送られた測定・解析結果のデータやグラフ等を含めて、DUT2の試験結果を液晶表示器等に表示するようになっている。
【0042】
操作部70は、DUT2を試験する際の測定項目や測定条件、判定条件等のパラメータを設定するためユーザが操作するものであり、例えば、タッチパネルやハードウェアキーで構成されたキーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、これらを制御する制御回路等で構成される。
【0043】
制御部60は、操作部70からの入力を受け付け、各種パラメータを設定するとともに、受信部10、復調部20、位相誤差補正部30、解析部40、表示部50などの機能部の制御を行うようになっている。
【0044】
(データ構造)
ここで、DUT2から送信される変調信号aのデータ構造の一例について説明する。
【0045】
例えば、変調信号aは、時間軸方向で見ると、連続した複数のフレームにより構成され、1フレームは10個のサブフレームから構成されている。1サブフレームの時間長は1msであり、よって1フレームの時間長は10msである。サブフレームは、1又は複数のスロットから構成され、1サブフレームに含まれるスロット数はサブキャリア間隔に応じて決められている。1スロットには、例えば14個のシンボルが含まれている。
【0046】
周波数方向で見ると、変調信号aは、複数のリソースブロックにより構成され、1リソースブロックには例えば12個の連続するサブキャリアが含まれる。
【0047】
(位相誤差)
OFDM復調信号fに大きな位相回転が含まれていると、変調精度を正確に評価するのが難しくなる。
図2(a)は、一例として、位相回転のある復調信号に関し、サブキャリア(周波数)に対するEVMのグラフを示す。中央のサブキャリア区間でEVMが小さく、その両端のサブキャリア区間でEVMが大きくなっている。
【0048】
図2(b)は、一例として、位相回転のある復調信号に関し、サブキャリア(周波数)に対する位相誤差のグラフを示す。位相誤差は、中央のサブキャリア区間で傾斜した直線状の周波数特性を示しており、その両端のサブキャリア区間では中央のような直線状の周波数特性は認められない。
【0049】
図3は、位相回転により位相誤差の異常が生じる様子を示す説明図である。DUT2や受信部10等の構成要素に周波数誤差があると、
図3に示すようにOFDM復調信号fを構成するIQデータ列に位相回転が生じる。本明細書では、時間の経過に伴い経過時間に比例して位相誤差が大きくなってゆく現象を位相回転と称する。
【0050】
図3では、理想コンスタレーション点IdealConst[0]の周りに存在する復調コンスタレーション点が、IQ平面の原点を中心に円弧状に帯状に広がっている。このとき、A部に存在する復調コンスタレーション点は、理想コンスタレーション点IdealConst[0]との距離よりも、理想コンスタレーション点IdealConst[1]との距離の方が短くなっている。また、B部に存在する復調コンスタレーション点は、理想コンスタレーション点IdealConst[0]との距離よりも、理想コンスタレーション点IdealConst[2]との距離の方が短くなっている。このため、A部に存在する復調コンスタレーション点は、対応する理想コンスタレーション点がIdealConst[1]にあり、B部に存在する復調コンスタレーション点は、対応する理想コンスタレーション点がIdealConst[2]にあるものと誤って認識される。
【0051】
このようにして対応する理想コンスタレーション点が誤認識されると、位相誤差が本来の値から大きく外れ、それによりEVMも真の値から外れてしまう。本実施形態では、位相回転により生じる位相誤差を補正することにより、真の位相誤差の情報を得て、これを基にEVMなどの値を求めてDUT2の送信性能を試験するものである。
【0052】
(位相誤差補正部)
次に、位相誤差補正部30について説明する。
【0053】
位相誤差補正部30は、復調部20から出力されるOFDM復調信号fの位相誤差を補正するものであり、第1段補正部31と第2段補正部32とを備えている。第1段補正部31は、位相誤差の粗補正を行うものであり、復調コンスタレーション信号取得部311と、第1理想コンスタレーション信号生成部312と、データ抽出部313と、第1位相誤差算出部314と、第1位相誤差特性推定部315と、第1位相誤差補正部316とを備えている。第2段補正部32は、位相誤差の本補正を行うものであり、第2理想コンスタレーション信号生成部322と、第2位相誤差算出部324と、第2位相誤差特性推定部325と、第2位相誤差補正部326とを備えている。なお、本実施形態の第2段補正部32は、本発明の第2の補正部に対応している。以下、各構成要素について説明する。
【0054】
第1段補正部31の復調コンスタレーション信号取得部311は、サブキャリア復調部22からOFDM復調信号fを取得し、復調コンスタレーション信号DemodConst[n]として格納する。ここで、nはデータ番号であり、n=0,1,...,N-1であり、Nはデータ総数である。すなわち、復調コンスタレーション信号は離散的な信号データ列であり、各信号データはI相成分とQ相成分を有する複素データである。
【0055】
第1理想コンスタレーション信号生成部312は、復調コンスタレーション信号DemodConst[n]から理想コンスタレーション信号IdealConst[n]を生成するようになっている。
図4は、復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する方法を説明する図である。
図4の上図は、例として復調コンスタレーション信号の3つの信号データであるDemodConst[0], DemodConst[1], DemodConst[2]がIQ平面上にプロットされている。IQ平面上の理想的なコンスタレーションは、「+」のマークで示されている。
【0056】
図4の下図は、復調コンスタレーション信号の3つの信号データDemodConst[0], DemodConst[1], DemodConst[2]のコンスタレーション点から、それぞれ最も近い理想コンスタレーション点であるIdealConst[0], IdealConst[1], IdealConst[2]が、IQ平面上にプロットされている。すなわち、復調コンスタレーション信号の3つの信号データDemodConst[0], DemodConst[1], DemodConst[2]は、それぞれ理想コンスタレーション点IdealConst[0], IdealConst[1], IdealConst[2]に対応しているものと推定する。このようにして、復調コンスタレーション信号の各信号データDemodConst[n]から、IQ平面上で最も近い理想コンスタレーション信号の各信号データIdealConst[n]が生成される。ここで、n=0,1,...,N-1であり、Nはデータ総数である。
【0057】
データ抽出部313は、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、所定の条件に適合した一部の信号データを選抜して抽出するようになっている。具体的には、データ抽出部313は、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、全サブキャリアを含む全周波数区間のうち、中間あるいは中央の一部の周波数区間に含まれるサブキャリアに対応した信号データを抽出する。
【0058】
図5は、復調信号に位相回転がある場合における、サブキャリア(周波数)に対する位相誤差のグラフを示す図である。横軸はサブキャリア番号であり、サブキャリア番号が増えるに従い、周波数はサブキャリア間隔ずつ増すので、横軸は周波数を表していると考えてもよい。
図5には、設定された周波数区間Cと、該周波数区間Cにおける位相誤差の周波数特性を示す近似直線Dが図示されている。
【0059】
図5は、右側にCP-OFDMシンボル(0~13)に対する位相誤差のグラフも示している。横軸はシンボル番号であり、シンボル番号が増えるに従い、経過時間が増すので、横軸は時間を表していると考えてもよい。
【0060】
例えば、
図5において、データ抽出部313は、全サブキャリア(0~3275)を含む全周波数区間のうち、中央の周波数区間Cに含まれるサブキャリア(s1~s2)に対応した信号データを抽出する。すなわち、s1≦サブキャリア番号≦s2を満たすデータ番号mの信号データDemodConst[m]及びIdealConst[m]をそれぞれ抽出する。
【0061】
p個のデータ番号m1,m2,...,mpの信号データが抽出されるとすると、抽出される信号データは次のように表される。
復調コンスタレーション信号:DemodConst[mi]
理想コンスタレーション信号:IdealConst[mi]
ここで、i=1,2,...,pである。
【0062】
一部の周波数区間Cは、限定するものではないが、例えば、全周波数区間の20%~40%に設定され、好ましくは全周波数区間の中央30%であり、より好ましくは中央20%である。また、一部の周波数区間Cは、必ずしも全周波数区間の中央に設定する必要はなく、必要に応じて、中央からずらして設定してもよく、全周波数区間の一方の端部を含むように設定してもよい。
【0063】
第1位相誤差算出部314は、抽出された信号データに関して、理想コンスタレーション信号に対する復調コンスタレーション信号の位相誤差PhaseError[mi]を算出するようになっている。ここでi=1,2,...,pである(pは抽出データ数)。
【0064】
具体的には、データ番号m1,m2,...,mpの信号データの位相は次式で表される。
復調コンスタレーション信号:DemodPhase[mi]=arg(DemodConst[mi]) (1)
理想コンスタレーション信号:IdealPhase[mi]=arg(IdealConst[mi]) (2)
ここで、i=1,2,...,pであり、pは抽出データ数である。
【0065】
よって、復調コンスタレーション信号から抽出された各信号データについて、対応する理想コンスタレーション信号の各信号データからの位相誤差は、次のように表される。
PhaseError[mi]=DemodPhase[mi]-IdealPhase[mi]
=arg(DemodConst[mi])-arg(IdealConst[mi]) (3)
ここで、i=1,2,...,pであり、pは抽出データ数である。
【0066】
第1位相誤差特性推定部315は、算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性を推定するようになっている。具体的には、例えば
図5に示すように、周波数区間Cの位相誤差の周波数特性を直線Dで近似する。一次式で表される直線Dは、例えば最小二乗法などにより求めることができる。位相誤差の周波数特性を表す直線Dは、周波数区間Cの外部において破線で示すように補間され全周波数区間に適用可能とする。
【0067】
第1位相誤差補正部316は、位相誤差の周波数特性に基づいて全周波数区間における復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正するようになっている。
【0068】
具体的には、第1位相誤差補正部316は、位相誤差の周波数特性を近似する直線Dの傾きがゼロになるように、すなわち直線Dが周波数軸(横軸)に平行になるように、全周波数区間において復調コンスタレーション信号の位相を回転させて位相誤差を補正する。このようにして位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号を得ることにより、後で説明する第2理想コンスタレーション信号生成部322により正確な理想コンスタレーション信号を得ることができる。別言すれば、第1段補正部31は、より正確な理想コンスタレーション信号を得ることを目的に行うものである。
【0069】
次に、位相誤差の本補正を行う第2段補正部32について説明する。
【0070】
第2段補正部32は、第1位相誤差補正部316により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号と、該位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号から再度生成される理想コンスタレーション信号との位相誤差を算出し、算出された位相誤差に基づいて位相誤差の周波数特性を推定し、推定された位相誤差の周波数特性に基づいて復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正するようになっている。
【0071】
具体的には、第2理想コンスタレーション信号生成部322は、第1位相誤差補正部316により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号から、IQ平面上で各信号データに最も近い理想コンスタレーション点を特定することにより、理想コンスタレーション信号を再度生成するようになっている。
【0072】
第2位相誤差算出部324は、第1位相誤差補正部316により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号と、第2理想コンスタレーション信号生成部322により再度生成された理想コンスタレーション信号との位相誤差を算出するようになっている。
【0073】
第2位相誤差特性推定部325は、第2位相誤差算出部324により算出された位相誤差から、全周波数区間における位相誤差の周波数特性を表す近似直線を、例えば最小二乗法により求めるようになっている。
【0074】
第2位相誤差補正部326は、第2位相誤差特性推定部325により推定された位相誤差の周波数特性を基に、第1位相誤差補正部316により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号の位相誤差を再度補正するようになっている。第2位相誤差補正部326により位相誤差が補正された復調コンスタレーション信号は、位相誤差の補正されたOFDM復調信号sとして解析部40に送られる。
【0075】
なお、第1段補正部31により位相誤差の粗補正された復調コンスタレーション信号を、位相誤差の補正されたOFDM復調信号sとして解析部40に送り、信号解析を行うようにしてもよい。
【0076】
本実施形態に係る移動端末試験装置1及び受信装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース、ハードディスク等の記憶装置等を有するコンピュータを個別にあるいは全体として備えている。これにより、例えば、受信部10、復調部20、位相誤差補正部30、解析部40、表示部50、制御部60、操作部70等の機能の一部または全部は、ROMや記憶装置に記憶された各種処理プログラムをRAMに読み出してCPUで実行することにより実現することができる。例えば、制御部60がコンピュータであってもよい。
【0077】
次に、第1の実施形態に係る移動端末試験装置1を用いて行う移動端末試験方法について、
図1及び
図7を参照しつつ説明する。
【0078】
DUT2は、OFDM変調方式により変調された変調信号aを送信する。
【0079】
受信部10は、アンテナを介して、あるいは有線にて変調信号aを受信し、ダウンコンバータ11に入力する。
【0080】
ダウンコンバータ11は、DUT2から送信された変調信号aを中間周波数の中間周波数信号bにダウンコンバートする(ステップS1)。中間周波数信号bは、ADC12に送られる。
【0081】
ADC12は、アナログの中間周波数信号bをサンプリングしてデジタルの中間周波数信号cを生成する(ステップS2)。サンプリングは、例えば、14シンボル(1スロット)当り14640回、30720回、又は61440回行うようにする。デジタルの中間周波数信号cは、直交復調部13に送られる。
【0082】
直交復調部13は、ADC12から送られたデジタルの中間周波数信号cをベースバンドの信号に直交復調して直交復調信号dを生成する(ステップS3)。直交復調信号dは、時間ドメインの複素信号であり、I相成分とQ相成分を有している。直交復調信号dは、復調部20のFFT部21に送られる。
【0083】
FFT部21は、直交復調部13が出力した時間ドメインの直交復調信号dに対し、高速フーリエ変換を行って周波数ドメイン信号eを取得する(ステップS4)。周波数ドメイン信号eは、サブキャリア復調部22に送られる。
【0084】
サブキャリア復調部22は、周波数ドメイン信号eからサブキャリア毎に復調処理を行ってOFDM復調信号fを取得する(ステップS5)。サブキャリア毎の復調処理は、DUT2においてサブキャリア毎に行われた変調方式に対応した復調処理であり、例えば、BPSK(Binary Phase shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)、8PSK(Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMなどの復調である。OFDM復調信号fは、位相誤差補正部30に送られる。
【0085】
位相誤差補正部30は、後で詳細に説明するように、OFDM復調信号fの位相誤差を補正する(ステップS6)。位相誤差の補正されたOFDM復調信号sは、解析部40に送られる。
【0086】
解析部40は、位相誤差補正部30により位相誤差の補正されたOFDM復調信号sに対して、例えば、送信パワー、EVM、コンスタレーション、スペクトラム等を測定し、解析する(ステップS7)。
【0087】
表示部50は、ステップS7において解析部40により得られた測定・解析結果のデータやグラフ等の情報tを表示する(ステップS8)。
【0088】
次に、位相誤差の補正処理について、
図1及び
図8を参照しつつ説明する。
【0089】
位相誤差補正部30において、復調コンスタレーション信号取得部311は、復調部20のサブキャリア復調部22からOFDM復調信号fを「復調コンスタレーション信号」として取得し格納する(ステップS10)。復調コンスタレーション信号gは、I相成分とQ相成分を有する複素デジタル信号である。復調コンスタレーション信号gは、第1理想コンスタレーション信号生成部312とデータ抽出部313に送られる。
【0090】
第1理想コンスタレーション信号生成部312は、復調コンスタレーション信号gから理想コンスタレーション信号hを生成する(ステップS11)。具体的には、第1理想コンスタレーション信号生成部312は、復調コンスタレーション信号の各信号データについて、IQ平面上で距離が最も近い理想コンスタレーション点を求めることにより、理想コンスタレーション信号hを生成する。理想コンスタレーション信号hは、データ抽出部313に送られる。
【0091】
データ抽出部313は、復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から、全サブキャリアを含む全周波数区間のうち中央の一部の周波数区間に含まれるサブキャリアに対応した信号データを抽出する(ステップS12)。信号データを抽出する周波数区間は、位相誤差の周波数特性を有意に示す区間であり、全周波数区間の例えば中央20%の区間である。信号データを抽出する周波数区間は、サブキャリアの変調方式によっても変わり、一般に多値度が大きくなるほど、狭くなる。信号データを抽出する周波数区間は、ユーザが操作部70を介して設定してもよいし、あるいは、全周波数区間においてEVMや位相誤差を測定し、その平均値と所定の閾値を比較する等、所定の基準に基づいて設定するようにしてもよい。
【0092】
第1位相誤差算出部314は、データ抽出部313により復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から抽出された信号データに関して、位相誤差を算出する(ステップS13)。
【0093】
第1位相誤差特性推定部315は、設定された一部の周波数区間において第1位相誤差算出部314により算出された位相誤差のデータから、位相誤差と周波数との関係(すなわち、位相誤差の周波数特性)を示す近似直線を推定する(ステップS14)。
【0094】
第1位相誤差補正部316は、第1位相誤差特性推定部315により得られた近似直線を用いて、全周波数区間において復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する(ステップS15)。具体的には、位相誤差の周波数特性を示す近似直線の傾斜がゼロになるように、復調コンスタレーション信号の各信号データの位相を回転させる。このように、第1段補正部31では、全周波数区間のうち一部の周波数区間のデータ信号を用いて復調信号の位相誤差を粗補正している。
【0095】
次いで、第2段補正部32の第2理想コンスタレーション信号生成部322は、第1位相誤差補正部316により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号から、第1理想コンスタレーション信号生成部312と同様にして、理想コンスタレーション信号を再度生成する(ステップS16)。
【0096】
第2位相誤差算出部324は、第1位相誤差補正部316により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号と、第2理想コンスタレーション信号生成部322により再度生成された理想コンスタレーション信号から、全周波数区間において位相誤差を算出する(ステップS17)。
【0097】
第2位相誤差特性推定部325は、第2位相誤差算出部324により算出された位相誤差から、全周波数区間において位相誤差の周波数特性を示す近似直線を推定する(ステップS18)。
【0098】
第2位相誤差補正部326は、第2位相誤差特性推定部325により推定された近似直線に基づいて、全周波数区間において復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する(ステップS19)。このように、第2段補正部32では、全周波数区間のデータ信号を用いて位相誤差の周波数特性を取得し、その周波数特性を基に位相誤差を本補正している。位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号は、解析部40に送られる。なお、第1段補正部31により位相誤差の粗補正された復調コンスタレーション信号を解析部40に送り、信号解析を行うようにしてもよい。
【0099】
図6(a)は、位相誤差を補正しない場合の復調信号のコンスタレーションを示す。位相誤差を補正しない場合は、位相回転による位相誤差の異常がコンスタレーションに現れ、コンスタレーションに乱れが生じている。
図6(b)は、全周波数区間の信号データを用いて位相誤差の周波数特性を求め、該周波数特性を基に位相誤差を補正した場合のコンスタレーションを示す(本補正のみ行い、粗補正なし)。位相誤差を補正しない場合よりも、コンスタレーションが改善されているが、依然として周辺の四隅でコンスタレーションに乱れが生じている。
図6(c)は、第1の実施形態に従い本補正の前に粗補正を行った場合の復調信号のコンスタレーションを示す。
図6(b)に示す本補正のみの場合と比べて、コンスタレーションに乱れがなく、本補正のみの場合に比べて著しく改善されていることが分かる。
【0100】
次に、作用・効果について説明する。
【0101】
上述のように、本実施形態に係る受信装置100及び移動端末試験装置1では、データ抽出部313が、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、全サブキャリアを含む全周波数区間のうち中央の一部の周波数区間に含まれるサブキャリアに対応した信号データを抽出する。抽出された信号データに関して、第1位相誤差算出部314が、位相誤差を算出し、第1位相誤差特性推定部315が、抽出された信号データの区間での位相誤差の周波数特性を推定する。そして、第1位相誤差補正部316が、推定された位相誤差の周波数特性に基づいて、復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する。このように、信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の周波数特性を推定することができるので、その特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る受信装置100及び移動端末試験装置1では、第1段補正部31において信頼性の高い一部の信号データのみを用いて位相誤差の周波数特性を推定し、該周波数特性に基づいて位相誤差の粗補正を行った後で、第2段補正部32において全周波数区間(全サブキャリア区間)に含まれる信号データを用いて位相誤差の周波数特性を推定し、該周波数特性に基づいて位相誤差の本補正を行うことにより、復調信号の位相誤差をより効率的に精度よく補正することができる。特に、位相誤差の粗補正後に、理想コンスタレーション信号を再度生成することにより、より正確な理想コンスタレーション信号に基づいて位相誤差を算出するので、位相誤差の周波数特性をより精度よく推定することができる。
【0103】
<変形例1>
第1の実施形態において、データ抽出部313は、復調コンスタレーション信号gと理想コンスタレーション信号hから、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出するように構成してもよい。この場合、第1位相誤差特性推定部315は、第1位相誤差算出部314により算出された一部のシンボル区間の位相誤差のデータから、位相誤差の時間特性を示す近似直線を推定する。第1位相誤差補正部316は、全シンボル区間に延長された一次近似式を用いて全シンボル区間について位相誤差を補正する。
【0104】
復調信号に位相回転が生じている場合、例えば1スロット内の全シンボル区間のうち、例えばDMRSなどの既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データは、他シンボルの信号データより位相誤差の特性を推定する上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0105】
<変形例2>
第1の実施形態において、データ抽出部313は、復調コンスタレーション信号gと理想コンスタレーション信号hから、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出するように構成してもよい。この場合、第1位相誤差特性推定部315は、抽出データに対応する一部の区間にて第1位相誤差算出部314により算出された位相誤差のデータから、位相誤差の周波数特性又は時間特性を示す近似直線を推定する。第1位相誤差補正部316は、全区間に延長された1次近似式を用いて、全区間について位相誤差を補正する。
【0106】
復調信号に位相回転が生じている場合、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データは、他の理想コンスタレーション点に対応する信号データより位相誤差の特性を決める上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0107】
<変形例3>
第1の実施形態において、データ抽出部313は、復調コンスタレーション信号gと理想コンスタレーション信号hから、所定の基準値より小さいエラーベクトル振幅(EVM)を有するシンボルに対応する信号データを抽出するように構成してもよい。この場合、第1位相誤差特性推定部315は、抽出データに対応する一部のシンボル区間にて第1位相誤差算出部314により算出された位相誤差のデータから、位相誤差の時間特性を示す近似直線を推定する。第1位相誤差補正部316は、全シンボル区間に延長された一次近似式を用いて全シンボル区間について位相誤差を補正する。
【0108】
復調信号に位相回転が生じている場合、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データは、EVMの高い他のシンボルに対応する信号データより位相誤差の特性を決める上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができる。
【0109】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る受信装置及び移動端末試験装置について、図面を参照して説明する。
【0110】
図9に示すように、本実施形態に係る受信装置及び移動端末試験装置は、位相誤差補正部30Aの構成が第1の実施形態の位相誤差補正部30の構成とは異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0111】
本実施形態に係る位相誤差補正部30Aは、位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31Aと、第1段補正部31Aとは別の観点から位相誤差の粗補正を行う第2段補正部32Aと、位相誤差の本補正を行う第3段補正部33Aとを備えている。なお、本実施形態の第2段補正部32Aは、本発明の第3の補正部に対応している。
【0112】
第1段補正部31Aの第1データ抽出部313Aは、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出するようになっている。
【0113】
図10に示すように、シンボル#0,シンボル#1,...,シンボル#13の14個のシンボルを1ブロック(スロット)として扱う場合を想定する。この例では、シンボル#2が既知のDMRSシンボルである。第1データ抽出部313Aは、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうちDMRSのシンボル#2とその両隣のシンボル#1及びシンボル#3、すなわちシンボル#1~#3の区間に存在する信号データを抽出する。ただし、信号データを抽出するシンボル区間のシンボル数は3個に限定されるものではなく、2個あるいは4個以上であってもよい。
【0114】
第1位相誤差算出部314は、シンボル#1~#3の区間において各信号データの位相誤差を算出し、シンボル毎に位相誤差の平均値を算出する。
図10では、シンボル単位での平均位相誤差がプロットされている。
【0115】
具体的には、第1位相誤差算出部314は、次式によりシンボル毎の平均位相誤差を算出する。
【数1】
ここで、Mは各シンボルに含まれるサブキャリア総数である。
【0116】
第1位相誤差特性推定部315は、シンボル#1~#3の区間の平均位相誤差のデータから、平均位相誤差の時間特性を示す近似直線を、例えば最小二乗法により推定する。近似直線を表す一次近似式は、他のシンボル(シンボル#0、シンボル#4~#13)の区間において補間し、全シンボル区間(シンボル#0~シンボル#13)に及ぶ一次近似式とする。
【0117】
第1位相誤差補正部316は、全シンボル区間に延長された一次近似式を用いて全シンボル区間について位相誤差を補正する。
【0118】
このように、位相回転が生じている場合であっても、例えばDMRSなどの所定の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データは、他シンボルより位相誤差の特性を推定する上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の時間特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相を精度よく効率的に補正することができる。また、次段の第2段補正部32Aにおいて、より正確な理想コンスタレーション信号を生成することができる。
【0119】
第2段補正部32Aの第2データ抽出部323は、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出するようになっている。
【0120】
例えば、
図11に示すように、第2データ抽出部323は、図中のE部に含まれる、IQ平面の原点に最も近い4個の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出する。IQ平面の原点近傍の理想コンスタレーション点に対応する信号データは、理想コンスタレーションが正常である可能性が高く、位相誤差の周波数特性又は時間特性を求める上で信頼性が高いと考えられる。本実施形態では、信頼性の高い、IQ平面の原点近傍の理想コンスタレーション点に対応する信号データのみを用いて、位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、位相誤差の粗補正を行うものである。
【0121】
なお、QAM以外の場合には、第2段補正部32Aによる粗補正は省略してもよい。また、16QAM以上の場合も、当該4か所にコンスタテーションが無いシンボルについては、粗補正はスキップしてもよい。本実施形態では、IQ平面の原点に最も近い当該4か所に割り当てられているサブキャリアのみを用いて位相誤差を算出する。ただし、信号データを抽出する対象となる理想コンスタレーション点は、IQ平面の原点に最も近い4点に限定されず、IQ平面の原点に近い12点、16点など4点より多くてもよく、あるいは4点より少なくてもよい。
【0122】
次に、位相誤差の補正処理について、
図12を参照しつつ説明する。
【0123】
位相誤差補正部30Aにおいて、復調コンスタレーション信号取得部311は、復調部20のサブキャリア復調部22からOFDM復調信号fを「復調コンスタレーション信号」として取得し格納する(ステップS30)。
【0124】
第1理想コンスタレーション信号生成部312は、復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を生成する(ステップS31)。
【0125】
第1データ抽出部313Aは、復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から、DMRSシンボル及びその両隣のシンボルに対応する信号データを抽出する(ステップS32)。
【0126】
第1位相誤差算出部314は、復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から抽出された信号データに関して、位相誤差を算出する(ステップS33)。
【0127】
第1位相誤差特性推定部315は、第1位相誤差算出部314により算出された一部のシンボル区間の位相誤差のデータから、位相誤差の時間特性を示す近似直線を推定する(ステップS34)。近似直線は、該一部のシンボル区間の外側の区間について補間し、全シンボル区間を定義域とする一次近似式とする。
【0128】
第1位相誤差補正部316は、第1位相誤差特性推定部315により推定された近似直線を表す1次近似式を用いて、全シンボル区間において復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する(ステップS35)。
【0129】
次いで、第2理想コンスタレーション信号生成部322は、補正後の復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を再度生成する(ステップS36)。
【0130】
第2データ抽出部323は、復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の4個の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出する(ステップS37)。
【0131】
第2位相誤差算出部324は、復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から抽出された信号データに関して、位相誤差を算出する(ステップS38)。
【0132】
第2位相誤差特性推定部325は、第2位相誤差算出部324により算出された位相誤差のデータから、位相誤差の周波数特性又は時間特性を示す近似直線を推定する(ステップS39)。第2データ抽出部323により抽出される信号データと、該信号データのサブキャリアとの関係に着目すると、位相誤差の周波数特性が得られる。また、第2データ抽出部323により抽出される信号データと、該信号データが属するシンボルとの関係に着目すると、位相誤差の時間特性が得られる。近似直線は、全区間を定義域とする一次近似式とする。
【0133】
第2位相誤差補正部326は、第2位相誤差特性推定部325により得られた1次近似式を用いて、全区間において復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する(ステップS40)。
【0134】
次いで、第3理想コンスタレーション信号生成部332は、補正後の復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を再度生成する(ステップS41)。
【0135】
第3位相誤差算出部334は、全区間において、補正後の復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から位相誤差を算出する(ステップS42)。
【0136】
第3位相誤差特性推定部335は、第3位相誤差算出部334により算出された位相誤差のデータから、位相誤差の周波数特性を示す近似直線を推定する(ステップS43)。
【0137】
第3位相誤差補正部336は、第3位相誤差特性推定部335により得られた近似直線を用いて、全区間において復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正する(ステップS44)。
【0138】
第3位相誤差補正部336により位相誤差が補正された復調コンスタレーション信号は、位相誤差の補正されたOFDM復調信号sとして解析部40に送られる。
【0139】
このように、位相回転が生じている場合であっても、IQ平面の原点近傍の4個の理想コンスタレーション点に対応する信号データは、理想コンスタレーションが正常である可能性が高く、他のコンスタレーション点より位相誤差の特性を決める上で信頼性が高いデータである。よって、このような信号データのみを用いて位相誤差の周波数特性又は時間特性を推定し、該特性に基づいて位相誤差を補正することにより、復調信号の位相を精度よく効率的に補正することができる。
【0140】
また、第1段補正部31Aが、既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データのみを用いて位相誤差の粗補正を行った後で、第2段補正部32Aが、IQ平面の原点近傍の理想コンスタレーション点に対応する信号データのみを用いて位相誤差の粗補正を行っている。このように、2段階で異なる方法により位相誤差の粗補正を行うことにより、より正確に理想コンスタレーション点を得ることができ、それにより、復調信号の位相をより精度よく効率的に補正することができる。
【0141】
上記説明では、位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31Aにおいて、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出していたが、この構成に限定されない。第1段補正部31Aにおいて、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、IQ平面の原点近傍の所定の理想コンスタレーション点に対応する信号データを抽出するようにしてもよい。この場合には、第1段補正部31Aとは別の観点から位相誤差の粗補正を行う第2段補正部32Aにおいて、復調コンスタレーション信号と理想コンスタレーション信号から、全シンボル区間のうち既知の基準シンボルを含む一部のシンボル区間に含まれる信号データを抽出するようにしてもよい。
【0142】
また、本実施形態の位相誤差補正部30Aは、位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31Aと、第1段補正部31Aとは別の観点から位相誤差の粗補正を行う第2段補正部32Aと、位相誤差の本補正を行う第3段補正部33Aとを備えているが、この構成に限定されない。第2段補正部32A及び第3段補正部33Aのいずれか一方、又は両方を省略した構成であってもよいし、第1段補正部32A及び第3段補正部33Aのいずれか一方、又は両方を省略した構成であってもよい。
【0143】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る受信装置及び移動端末試験装置について、図面を参照して説明する。
【0144】
図13に示すように、本実施形態に係る受信装置及び移動端末試験装置は、位相誤差補正部30Bにおいて第4段補正部34Bが追加されている点で第2の実施形態と異なっている。第1及び第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0145】
具体的には、本実施形態に係る位相誤差補正部30Bは、位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31Aと、位相誤差の粗補正を行う第2段補正部32Aと、位相誤差の本補正を行う第3段補正部33Aとを備え、更に、別の観点から位相誤差の粗補正を行う第4段補正部34Bを備えている。なお、本実施形態の第3段補正部33A及び第4段補正部34Bは、それぞれ本発明の第4の補正部及び第5の補正部に対応している。
【0146】
第4段補正部34Bは、第4理想コンスタレーション信号生成部342、第4データ抽出部343、第4位相誤差算出部344、第4位相誤差特性推定部345、及び第4位相誤差補正部346を備えている。
【0147】
第4理想コンスタレーション信号生成部342は、第3段補正部33Aにより位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を再度生成するようになっている。
【0148】
第4データ抽出部343は、第3位相誤差補正部336により位相誤差の補正された復調コンスタレーション信号と、第4理想コンスタレーション信号生成部342により生成された理想コンスタレーション信号から、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データを抽出するようになっている。
【0149】
具体的には、第4データ抽出部343は、取得した復調コンスタレーション信号のシンボル毎のEVMを算出する。
図14(a)は、算出したEVMのグラフの一例を示す。
図14(a)から、シンボル#1,#8,#10,#13,#14のEVMがそれ以外のシンボルのEVMと比べて大きいことが分かり、これらのシンボルに関して行った位相誤差の補正が効果的でなかったことが推測される。
【0150】
図14(b)は、復調コンスタレーション信号の位相誤差のグラフを示す。位相誤差の時間特性は、シンボル#1,#8,#10,#13,#14において直線的な傾向から外れていることが分かる。これらのシンボルの信号データを用いて位相誤差の特性を推定すると、正確な特性が取得できない可能性がある。
【0151】
そこで、本例では、EVMの基準値として例えば1.0%を設定して、シンボル#1,#8,#10,#13,#14を除外するようにする。具体的には、第4データ抽出部343は、基準値より小さいEVMを有するシンボルであるシンボル#2,#3,#4,#5,#6,#7,#9,#11,#12に対応する信号データを抽出する。
【0152】
図5(c)は、シンボル#2,#3,#4,#5,#6,#7,#9,#11,#12に対応する信号データを用いた場合の位相誤差のグラフを示す。
図5(b)と比べて、位相誤差の直線状の時間特性が明瞭になっている。
【0153】
第4位相誤差算出部344は、第4データ抽出部343により抽出された信号データに関して、理想コンスタレーション信号に対する復調コンスタレーション信号の位相誤差を算出するようになっている。
【0154】
第4位相誤差特性推定部345は、算出された位相誤差に基づいて位相誤差の時間特性を推定するようになっている。
【0155】
第4位相誤差補正部346は、位相誤差の時間特性に基づいて全シンボル区間における復調コンスタレーション信号の位相誤差をシンボル毎あるいは信号データ毎に補正するようになっている。
図15は、位相誤差の時間特性を示す近似直線Lに基づいてシンボル#1,#8,#10,#13,#14の位相誤差を補正する様子を示す図である。
図15では、EVMが基準値より大きいシンボルについて位相誤差を補正しているが、全シンボルについて直線Lに基づいて位相誤差を補正してもよい。
【0156】
次に、位相誤差の補正処理について、
図16を参照しつつ説明する。
【0157】
第3位相誤差補正部336により復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正するまでは、第2の実施形態と同じである。第3の実施形態では、第4理想コンスタレーション信号生成部342が、補正後の復調コンスタレーション信号から理想コンスタレーション信号を再度生成する(ステップS50)。
【0158】
次いで、第4データ抽出部343は、補正後の復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から、シンボル毎のEVMを算出する。そして、第4データ抽出部343は、補正後の復調コンスタレーション信号及び理想コンスタレーション信号から、基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データを抽出する(ステップS51)。
【0159】
第4位相誤差算出部344は、抽出された信号データに関して位相誤差を算出する(ステップS52)。第4位相誤差算出部344は、シンボル毎に位相誤差の平均(平均位相誤差)を求めてもよい。
【0160】
第4位相誤差特性推定部345は、第4位相誤差算出部344により算出された位相誤差又は平均位相誤差から、位相誤差の時間特性を求める(ステップS53)。位相誤差の時間特性は、一次式で表される直線により近似される。
【0161】
次いで、第4位相誤差補正部346は、第4位相誤差特性推定部345により得られた1次近似式を用いて全シンボル区間における復調コンスタレーション信号の位相誤差をシンボル毎又は信号データ毎に補正する(ステップS54)。第4データ抽出部343により除外されたシンボルに関して、復調コンスタレーション信号の位相誤差を補正するようにしてもよい。
【0162】
第4位相誤差補正部346により位相誤差が補正された復調コンスタレーション信号は、位相誤差の補正されたOFDM復調信号sとして解析部40に送られる(C)。
【0163】
このように、第2の実施形態に係る位相誤差補正部30Aによる位相誤差の補正の後、所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データだけを用いて位相誤差特性を求めて位相誤差の粗補正を行っている。このように、複数段階で異なる方法により位相誤差の補正を行うことにより、より正確な理想コンスタレーション信号を得ることができ、それにより、復調信号の位相誤差をより精度よく補正することができる。このようにして、位相誤差の異常を回避することができる。
【0164】
また、第3の実施形態において、第4段補正部34Bの後に、第3段補正部33Aと同じ構成の第5補正部を設けてもよい。このように、EVMを基に信頼性の高いシンボルだけを用いて位相誤差特性を求めて位相誤差の粗補正を行った後、全周波数区間に関して位相誤差特性を求めて位相誤差の本補正を行うことにより、精度よく位相誤差を補正することができる。
【0165】
上述したように、第1の実施形態では、下記(1)と(5)の補正部が用いられ、第2の実施形態では、下記(2)、(3)、(5)の補正部が用いられ、第3の実施形態では、下記(2)、(3)、(5)、(4)の補正部が用いられている。
(1)中央の一部周波数区間に含まれる信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31、
(2)既知の基準シンボルとその両隣のシンボルに含まれる信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31A、
(3)IQ平面の原点近傍の4個の理想コンスタレーション点に対応する信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第2段補正部32A、
(4)所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第4段補正部34B、
(5)全区間の信号データを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の本補正を行う第2段補正部32。
ただし、本発明は、上記実施形態に記載の組み合わせに限定されず、上記(1)~(5)に記載の補正部の全部又は一部の任意の組み合わせを任意の順序で含むように構成してもよい。
【0166】
例えば、上記(2)の既知の基準シンボルとその両隣のシンボルに含まれる信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第1段補正部31Aを単独又は他の補正部と組み合わせて用いる構成であってもよい。また、上記(3)のIQ平面の原点近傍の例えば4個の理想コンスタレーション点に対応する信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第2段補正部32Aを単独又は他の補正部と組み合わせて用いる構成であってもよい。また、上記(4)の所定の基準値より小さいEVMを有するシンボルに対応する信号データだけを用いて位相誤差特性を求め、該特性を全区間に適用して位相誤差の粗補正を行う第4段補正部34Bを単独又は他の補正部と組み合わせて用いる構成であってもよい。
【0167】
以上説明したように、本発明は、復調信号の位相誤差を精度よく効率的に補正することができるという効果を有し、受信装置及び受信方法、並びに該受信装置を備えた移動端末試験装置の全般に有用である。
【符号の説明】
【0168】
1 移動端末試験装置
2 DUT(移動体通信端末)
10 受信部
11 ダウンコンバータ
12 ADC
13 直交復調部
20 復調部
21 FFT部
22 サブキャリア復調部
30、30A、30B 位相誤差補正部
31、31A 第1段補正部
311 復調コンスタレーション信号取得部
312 第1理想コンスタレーション信号生成部
313 データ抽出部
313A 第1データ抽出部
314 第1位相誤差算出部
315 第1位相誤差特性推定部
316 第1位相誤差補正部
32 第2段補正部(第2の補正部)
32A 第2段補正部(第3の補正部)
322 第2理想コンスタレーション信号生成部
323 第2データ抽出部
324 第2位相誤差算出部
325 第2位相誤差特性推定部
326 第2位相誤差補正部
33A 第3段補正部(第4の補正部)
332 第3理想コンスタレーション信号生成部
334 第3位相誤差算出部
335 第3位相誤差特性推定部
336 第3位相誤差補正部
34B 第4段補正部(第5の補正部)
342 第4理想コンスタレーション信号生成部
343 第4データ抽出部
344 第4位相誤差算出部
345 第4位相誤差特性推定部
346 第4位相誤差補正部
40 解析部
50 表示部
60 制御部
70 操作部
100 受信装置
a 変調信号
b 中間周波数信号
c デジタルの中間周波数信号
d 直交復調信号
e 周波数ドメイン信号
f OFDM復調信号(復調コンスタレーション信号、復調信号)
s 位相誤差の補正されたOFDM復調信号