(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】経鼻胃管固定装置
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20231206BHJP
A61J 15/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61M25/02 500
A61J15/00 A
(21)【出願番号】P 2021148598
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-05
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520361726
【氏名又は名称】蘇 建忠
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(72)【発明者】
【氏名】蘇 建忠
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-504107(JP,A)
【文献】米国特許第05188609(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0306603(US,A1)
【文献】米国特許第05944696(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/02
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着部材と、連結部材と、挟持部材とを備える経鼻胃管固定装置であって、
前記粘着部材は、患者の鼻柱上に粘着する粘着面と、環状柱と、係留部とを有し、前記粘着面の相対する一端面に一体状の前記環状柱及び前記係留部が設けられ、前記環状柱の直径が前記係留部の直径よりも小さく、
前記連結部材には、片体と、円柱体と、球体とが設けられ、前記片体の中間箇所に係着溝が設けられ、また前記係着溝に連結される一端箇所に嵌装孔が設けられ、前記嵌装孔は、前記粘着部材の前記係留部を被嵌するために供され、前記係着溝は、前記粘着部材の前記環状柱を前記係着溝の上に摺設するために供され、前記片体の前記嵌装孔に近接する一端に前記円柱体が連結され、前記円柱体の他端に前記球体が連結され、前記球体内に枢結部を有し、かつ前記球体の前記枢結部の自由端に向かう箇所に切溝が設けられ、
前記挟持部材には、連接ロッドが設けられ、前記連接ロッドの一端に球軸部が設けられ、前記球軸部は、前記球体の前記枢結部内に枢転可能に設置され、前記連接ロッドの前記球軸部から遠ざかる一端に挟持部が設けられ、前記挟持部の外側箇所から前記連接ロッドに向かう方向に2個の押圧部が延出され、かつ前記挟持部内に挟持空間が形成されることを特徴とする、経鼻胃管固定装置。
【請求項2】
前記粘着部材は、四辺形片体状であり、前記粘着面がシリコーン材質からなり、前記環状柱が円形柱形態であり、及び前記係留部が円片状であることを特徴とする、請求項1に記載の経鼻胃管固定装置。
【請求項3】
前記連結部材は、前記連結部材の前記片体が楕円形態であり、前記円柱体が
断面円形であり、かつ前記片体、前記円柱体及び前記球体は、一体成形の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の経鼻胃管固定装置。
【請求項4】
前記挟持部材、前記連接ロッド、前記挟持部及び前記押圧部は、一体成形の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の経鼻胃管固定装置。
【請求項5】
前記挟持部材の前記連接ロッドが丸棒状であり、前記挟持部がC字形であることを特徴とする、請求項1に記載の経鼻胃管固定装置。
【請求項6】
前記押圧部が楕円片体であることを特徴とする、請求項1に記載の経鼻胃管固定装置。
【請求項7】
粘着部材と、連結部材と、挟持部材とで構成される経鼻胃管固定装置であって、前記粘着部材は係留部が設けられ、
前記粘着部材の一端が患者の鼻柱上に粘着され、他端が前記連結部材に可動的に設置され、
前記連結部材は、円柱体と枢結部付きの球体が含まれ、
前記挟持部材の一端に球軸部が設けられ、
前記粘着部材は患者の鼻柱上に貼られ、前記円柱体の一端は前記係留部に可動に接続され、前記挟持部材の前記球軸部は前記球体の前記枢結部に配置さ
れ、前記挟持部材によって患者上の経鼻胃管チューブを操作挟持可能にすることで、前記経鼻胃管チューブが経鼻胃管の患者の鼻孔内の所在位置を自由調整可能にさせることを特徴とする、経鼻胃管固定装置。
【請求項8】
長方形の粘着部材を備える経鼻胃管固定装置であって、
前記粘着部材上に
半球状に突出した凸駒が設けられ、前記凸駒のうちの一側に長方形の切溝が設けられ、前記長方形の切溝に
中空球孔が内設され、前記
中空球孔内は、挟持部材の球軸部を枢設するために供され、前記球軸部により前記
中空球孔内に前記粘着部材を回転可能に保持し、また前記粘着部材の一端に、患者の胸腹部上に粘着する粘着面を有し、前記挟持部材に連接ロッドが設けられ、前記連接ロッドの一端に前記球軸部が設けられ、前記挟持部材の前記球軸部及び前記連接ロッドは、使用者に合わせて2個の押圧部を親指と人差し指とで前記連接ロッドの内側に向かって押圧するように操作可能とされ、挟持部を開いた際に、挟持空間には患者の胸腹部上のチューブの大きさに合わせて挟持固定が行え、前記挟持部材の前記球軸部及び前記連接ロッドは、患者の胸腹部上のチューブと合わせて使用され、患者の胸腹部上のチューブの患者の胸腹部上に位置する適当な位置を自由調整できるようにしてなることを特徴とする、経鼻胃管固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経管食物摂取システムに係り、特に、経鼻胃管固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発達及び医療技術の進歩に伴い、疾病の発見と治療上、いずれも大幅に突破と進化をしており、負傷者・患者の生存率を相対的に高め、患者が負傷・病気または老化などにより自ら飲食できなくなる場合、医療従事者や家族は、経鼻胃管フードフィーダを介して経管食物摂取を介護しなければならず、すなわち、挿管方式により、胃内容物の残存量と胃酸の検査を行い、胃を温め、腸を潤すための温湯、患者に所要の栄養を供給するための栄養液(例えば、ミルク)、及び治療効果などを提供するための薬物を注入する。
【0003】
近頃、現有技術の経鼻胃管は、医療器具構造の一つであり、流動体を患者の体内に導入したり、体内から排除したりするために用いられ、人体の外部に配置された前記経鼻胃管の一端に流動体を導入または排除する接合部構造が設けられ、鼻孔から胃内部まで挿入され、一部が体外にしばしば露出しているので、その一部が任意に垂れ下がっているため、患者の寝返り時やいかなる看護処置を施す時、経鼻胃管が不意に引っ張られると、容易に滑り抜けてしまい、患者に支障をきたすことになり、大半の経鼻胃管は、患者の通常生活に影響するのみならず、かつ病人に与える傷害及び医療事故も増えやすくなり、患者の行動に干渉するため、不便性と危険性が生じる。
【0004】
よく見られる経鼻胃管の固定方法としては、通気性粘着テープを利用して粘着固定することがあり、まず、1枚の通気性粘着テープを取り、それから粘着テープの一端を鼻柱に沿って貼り付け、最後に粘着テープの他端を再び経鼻胃管チューブに沿って包囲粘着すれば、経鼻胃管を固定する動作が完了することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の使用における一定の不便さは、以下に述べるとおりである。
1.通気性粘着テープの操作時に、裁断する必要があるため、使用操作が容易ではない。
2.通気性粘着テープの包囲粘着は、常に鼻腔を経鼻胃管の着力点として行われるので、鼻腔に潰瘍や感染がよく引き起こされる。
3.剥ぎ取る過程において、経鼻胃管が引っ張られやすく、患者の快適感を悪化させてしまう。
4.通気性粘着テープは、いずれも巻回重合されて巻回体として梱包され、粘着テープの非粘着面に粘着剤が残りやすくなって粘性を持ちやすく、汚れが発生しやすいばかりでなく、病原菌による感染の疑いも持たれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる経鼻胃管固定装置は、粘着部材と、連結部材と、挟持部材とで構成され、前記粘着部材は、一端が患者の鼻柱上に粘着され、他端が連結部材に可動的に設置され、前記連結部材の粘着部材に接近する一端とは異なる他端は、前記挟持部材と枢結されるために供され、前記挟持部材は、患者上の経鼻胃管チューブを操作挟持することができることで、前記経鼻胃管チューブが経鼻胃管の患者の鼻内の所在位置を自由調整可能にさせる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主たる目的は、経鼻胃管の位置を自由調整可能にして患者の快適性を高め、さらに経鼻胃管が患者の鼻孔の内側箇所に長時間圧迫されることをなくし、及び鼻孔の内側箇所が長期圧迫を受けた後に生じる褥瘡を軽減する目的にある。
【0008】
本発明の副次的な目的は、患者に経鼻胃管の取り付け時に容易に取り付けられる利便性を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】本発明の組付け作動を示す他の断面図である。
【
図7】本発明の使用状態の調整作動を示す側面図である。
【
図9】本発明の使用状態の調整作動を示す斜視図である。
【
図10】本発明の他の使用状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明のさらに他の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施例について、添付図面を参照しながら、下記に詳細に説明し、本明細書の記述を参照することにより、本分野の技術者であれば実施可能であることが期待される。
【0011】
まず、
図1~
図5のように、本発明にかかる経鼻胃管固定装置は、粘着部材10と、連結部材20と、挟持部材30とを備え、前記粘着部材10は、四辺形片体状であり、前記粘着部材10は、シリコーン材質からなる粘着面11と、円形柱の環状柱12と、円片状の係留部13とを有し、前記粘着面11は、患者の鼻柱上に繰り返し使用可能に粘着され、前記粘着部材10の粘着面11の相対する一端面に一体状の環状柱12及び係留部13が設けられ、その環状柱12の直径が係留部13の直径よりも小さく、前記連結部材20は、一本キー状のような形体を有し、その前記連結部材20には、一体成形される楕円形の片体21、
断面が円形である円柱体22及び球体23が設けられ、前記片体21、円柱体22及び球体23は、一体成形の形態であり、前記片体21の中間箇所に貫通長方形の係着溝211が設けられ、また係着溝211に連結される一端箇所に貫通円形状の嵌装孔212が設けられ、前記嵌装孔212は、前記粘着部材10の係留部13を被嵌するために供され、前記係着溝211は、前記粘着部材10の環状柱12を係着溝211の上に摺設するために供され、前記片体21の嵌装孔212に近接する一端に円柱体22が連結され、前記円柱体22の他端に前記球体23が連結され、前記球体23内に円形凹陥孔状の枢結部231を有し、かつ前記球体23の枢結部231の自由端に向かう箇所に切溝232が設けられ、前記挟持部材30は、振り子のような形態を有し、前記挟持部材30には、丸棒状の連接ロッド31が設けられ、前記連接ロッド31の一端に球軸部32が設けられ、前記球軸部32は、前記球体23の枢結部231内に枢転可能に設置され、前記連接ロッド31の球軸部32から遠ざかる一端にC字形をなす挟持部33が設けられ、前記挟持部33の外側箇所から連接ロッド31に向かう方向に2個の楕円片体の押圧部34が延出され、かつ前記挟持部33内に円形中空状の挟持空間331が形成され、また前記挟持部材30の連接ロッド31、挟持部33及び押圧部34は、一体成形の形態である。
【0012】
その経鼻胃管固定装置の使用状態について、
図6~
図9を用いて説明する。使用者が経鼻胃管固定装置を使用する場合、前記粘着部材10の一端にあるシリコーン材質からなる粘着面11を、患者の鼻柱上に粘着し、他端にある環状柱12及び係留部13と連結部材20の嵌装孔212とは、前記粘着部材10の係留部13を被嵌するために供され、前記係着溝211は、前記粘着部材10の環状柱12を係着溝211の上に摺設するために供されて可動的に設置され、前記連結部材20の球体23の枢結部231は、前記挟持部材30の球軸部32を枢転自在に設置するために供され、前記挟持部材30の球軸部32及び連接ロッド31は、使用者に合わせて2個の押圧部34を親指と人差し指とで連接ロッド31の内側に向かって押圧するように操作可能とされ、挟持部33を開いた際に、挟持空間331には患者上の経鼻胃管チューブの大きさに合わせて挟持固定が行え、前記挟持部材30の球軸部32及び連接ロッド31は、前記経鼻胃管チューブが経鼻胃管の患者の鼻孔内の所在位置を自由調整可能にさせるように合わせて使用することができる。
【0013】
また、
図10~
図11のように、胸腹部の術後の経鼻胃管固定装置の別の使用状態図が示されており、その内、前記経鼻胃管固定装置をその下から上に向けて呈示し、それは長方形の粘着部材10を備え、前記粘着部材10上に半円
半球状に突出した弾丸のような凸駒14が設けられ、前記凸駒14のうちの一側に長方形の切溝15が設けられ、前記長方形の切溝15に中空円孔
中空球孔16が内設され、その中空円孔
中空球孔16内は、前記挟持部材30の球軸部32を枢設するために供され、その球軸部32により中空円孔
中空球孔16内に前記粘着部材10を回転可能に保持し、また前記粘着部材10の一端に粘着面11を有し、前記粘着面11は、患者の胸腹部上に粘着され、前記挟持部材30の球軸部32及び連接ロッド31は、使用者に合わせて2個の押圧部34を親指と人差し指とで連接ロッド31の内側に向かって押圧するように操作可能とされ、挟持部33を開いた際に、挟持空間331には患者の胸腹部上のチューブの大きさに合わせて挟持固定が行え、前記挟持部材30の球軸部32及び連接ロッド31は、前記患者の胸腹部上のチューブと合わせて使用され、患者の胸腹部上のチューブの患者の胸腹部上に位置する適当な位置を自由調整できるようにしてなる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
上記の具体的実施例の構造によれば、下記の効果利益を得ることができる。
1.本発明の経鼻胃管固定装置によれば、前記粘着部材10、連結部材20及び挟持部材30を組み合わせて使用し、患者に経鼻胃管の取り付け時に容易に取り付けられる利便性を提供することができる。
2.本発明の経鼻胃管固定装置によれば、それは、前記挟持部材30の球軸部32及び連接ロッド31に合わせて使用することにより、経鼻胃管の位置を自由調整でき、患者の快適性を高めることができる。
3.本発明の経鼻胃管固定装置によれば、それは、前記挟持部材30の球軸部32及び連接ロッド31に合わせて使用することにより、経鼻胃管が患者の鼻孔の内側箇所の固定位置に長時間圧迫されることをなくし、鼻孔の内側箇所が長期圧迫を受けた後に生じる褥瘡を軽減することができる目的を達成する。
【符号の説明】
【0015】
10:粘着部材
11:粘着面
12:環状柱
13:係留部
14:凸駒
15:切溝
16:円孔
20:連結部材
21:片体
211:係着溝
212:嵌装孔
22:円柱体
23:球体
231:枢結部
232:切溝
30:挟持部材
31:連接ロッド
32:球軸部
33:挟持部
331:挟持空間
34:押圧部