(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】有機溶液からモノイソシアネートを除去するための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 273/18 20060101AFI20231206BHJP
C07C 275/28 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C07C273/18
C07C275/28
(21)【出願番号】P 2021521241
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 US2019044434
(87)【国際公開番号】W WO2020091867
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】521158196
【氏名又は名称】ダウ ポルトガル プロドゥトス キミコス, ソシエダト ウニペッソアル, エルディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘフナー、ジュニア、ロバート イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ヘルジ
(72)【発明者】
【氏名】クラム、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】コスタ、アルメニオ
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-024553(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069605(WO,A1)
【文献】特表2008-508269(JP,A)
【文献】特開2005-225879(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1854429(KR,B1)
【文献】国際公開第2014/091011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 273/
C07C 275/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒から有機モノイソシアネートを除去するための方法であって、
a)i)出発溶液であって、前記出発溶液の重量に基づいて少なくとも85重量パーセントの、イソシアネート基およびアミン基との反応に対して不活性な1つ以上の有機溶媒と、前記出発溶液の前記重量に基づいて最大15重量パーセントの、少なくとも1つのモノイソシアネートを含む有機イソシアネート化合物とを含有する、出発溶液を、ii)前記1つ以上の有機溶媒に可溶な少なくとも1つのアミンであって、少なくとも1つの第一級または第二級アミノ基を、前記出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり0.01~0.8当量の第一級および/または第二級アミノ基を提供するのに十分な割合で有する、アミンと、接触させるステップと、
b)前記モノイソシアネートの少なくとも一部を前記アミン混合物の少なくとも一部と反応させて、1つ以上の尿素化合物を形成するステップと、を
含み、
前記モノイソシアネートがフェニルイソシアネートであり、そして、
前記アミンが、アニリン、MDA、および/またはPMDAである、方法。
【請求項2】
前記出発溶液およびアミン混合物が、前記出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり0.2~0.75当量の第一級および/または第二級アミノ基を提供するのに十分な割合で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)が、前記アミンを前記出発溶液に2つ以上の増分で、または連続的に添加することによって実施される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記出発溶液が、イソシアネート製造プロセスからのプロセスストリームを含み、前記プロセスストリームが、ポリアミンをプロセス溶媒中の溶液中のホスゲンと反応させることによって生成されるポリイソシアネート生成物から前記プロセス溶媒を分離することによって得られる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記出発溶液が、イソシアネート製造プロセスからのプロセスストリームを含み、前記プロセスストリームが、MDAおよび/またはPMDAをプロセス溶媒中の溶液中のホスゲンと反応させることによって生成されるポリイソシアネート生成物から前記プロセス溶媒を分離することによって得られる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の尿素化合物の少なくとも一部が、前記イソシアネート製造プロセスにリサイクルされる、
請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の尿素化合物の少なくとも一部がポリイソシアネートと反応させられて、1つ以上のビウレット化合物を形成する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の尿素化合物の少なくとも一部がイソシアネート製造プロセスにリサイクルされ、ポリイソシアネート生成物が、ポリアミンをプロセス溶媒中の溶液中のホスゲンと反応させることによって生成され、前記ステップまたは前記1つ以上の尿素化合物を前記ポリイソシアネートと反応させることが、前記プロセス溶媒から前記ポリイソシアネート生成物を分離するステップで実施される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が、前記1つ以上の尿素化合物とともにリサイクルされる、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
c)前記1つ以上の有機溶媒の少なくとも一部を前記1つ以上の尿素化合物から分離するステップをさらに含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
MDIおよび/またはポリマーMDIの製造プロセスであって、
a)溶媒中でアニリンをホルムアルデヒドと反応させて、前記溶媒中のMDAと、PMDAと、未反応のアニリンとの混合物を生成するステップと、
b)ステップa)で生成された前記混合物からアニリンを蒸留して、前記溶媒と、MDAと、PMDAと、残留アニリンと、を含有するプロセスストリームを生成するステップと、
c)ステップb)からの前記プロセスストリームをホスゲン化して、前記溶媒と、MDIと、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、フェニルイソシアネートと、を含有するイソシアネートプロセスストリームを形成するステップと、
d)MDIと、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、フェニルイソシアネートとを、ステップc)で得られた前記イソシアネートプロセスストリームから蒸留により分離して、溶媒ストリームであって、溶媒と、前記溶媒ストリームの重量に基づいて0.2~10重量パーセントのフェニルイソシアネートと、前記溶媒ストリームの重量に基づいて0.0001~5重量パーセントのMDIおよび/または少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、を含有する、溶媒ストリーム、を生成するステップと、
e)ステップd)で得られた前記溶媒ストリームを、フェニルイソシアネートのモル当たり0.01~0.8モルのアニリンの比率で、アニリンと混合し、前記アニリンの少なくとも一部をフェニルイソシアネートと反応させて、尿素化合物を形成するステップと、
f)前記尿素化合物の少なくとも一部をポリイソシアネートと反応させて、ビウレット化合物を形成するステップと、を含む、製造プロセス。
【請求項12】
ステップe)が、前記アミンを前記出発溶液に2つ以上の増分で、または連続的に、少なくとも80℃の温度で添加することによって実施される、
請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項13】
ステップf)が、前記尿素化合物および任意選択でステップe)からの前記溶媒を直接または間接的にステップd)にリサイクルすることによって実施され、それにより、前記尿素化合物の少なくとも一部が、前記MDIおよび/または少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートの少なくとも一部と反応して、ビウレット化合物を形成する、
請求項11または12に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶液からモノイソシアネートを除去するための方法に関する。
【0002】
ポリイソシアネートは工業的に大量に生産される。ポリイソシアネートの主な用途は、ポリウレタンポリマーおよびポリ尿素ポリマーを製造するための原料としてである。
【0003】
モノイソシアネートは、製造プロセスの副生成物として生成されることがある。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはポリマーMDIが製造されとき、通常、少量のフェニルイソシアネートが生成される。「ポリマーMDI」は、MDIの1つ以上の異性体と、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、の混合物である。
【0004】
これらのモノイソシアネートは、通常、生成物から除去される。MDIまたはポリマーMDIの場合、フェニルイソシアネートは、生成物が反応溶媒から分離されるときに除去されることが多い。これにより、溶媒と、フェニルイソシアネートの大部分と、少量のMDIまたはポリマーMDIと、を含有するストリームが生成される。
【0005】
溶媒は、一般に、リサイクルされるが、そうするためには、モノイソシアネートが時間とともに蓄積しないように、モノイソシアネートを溶媒から除去されなければならない。特に、フェニルイソシアネートの場合、潜在的な毒性学的懸念のために、その化合物の除去および分解が重要である。
【0006】
したがって、溶媒ストリームからモノイソシアネートを除去するための効果的かつ安価な方法が望まれている。
【0007】
いくつかの従前のアプローチは、イソシアネート基の反応性を利用して、モノイソシアネートを、溶媒から容易に分離される固形物に変換してきた。したがって、EP1,773,755は、フェニルイソシアネートの三量体化を触媒して、トリス(フェニル)イソシアヌレートを形成することを記載している。US4,745,216は、フェニルイソシアネートを、アミノまたはヒドロキシル官能基を有するポリマービーズと反応させることを記載している。US4,405,527は、フェニルイソシアネートを、化学量論量以上の量のポリアミンまたはグリコールと反応させて、フェニルイソシアネートをウレタンまたは尿素に変換することを記載している。
【0008】
これらのアプローチはすべて、重大な欠点を有する。添加される原料の費用がある。これらの添加される原料は、不純物の別の発生源を意味し、この場合もやはり蓄積を避けるために、リサイクルされる前に、不純物自体が、溶媒から厳密に除去されなければならない。水は安価であるが、モノイソシアネートの尿素への低変換を伴う遅い反応をもたらす傾向があり、かつ別の汚染源であるモノアミン副生成物を生成する傾向もある。US4,405,527のように、化学量論量以上の量のポリアミンを添加することは、ポリアミンが完全に消費または除去されないことが多いため、特に問題となる可能性がある。これらのポリアミンが溶媒と一緒にリサイクルされると、ポリアミンが望ましくない反応に関与し、場合によっては、所望のポリイソシアネート生成物を消費して収率を低下させ、より高分子量の不純物を形成して、粘度を増加し、および生成物の他の特性を変え、そうした不純物が生成物中に残されると、それらが除去されなければならない場合に、困難な分離の問題を生じさせる。未反応のポリアミンはまた、ホスゲン化されて、所望の生成物から除去するのが非常に困難な望ましくないポリイソシアネート化学種を形成する可能性がある。さらに、特定のポリアミンを添加すると、多くの場合、工業規模での取り扱いが非常に困難な、対応するポリ尿素の濃厚なスラリーが急速に生成される。
【0009】
本発明は、有機溶媒から有機モノイソシアネートを除去するための方法である。この方法は、
a)i)出発溶液であって、出発溶液の重量に基づいて少なくとも85重量パーセントの、イソシアネート基ならびにアミン基との反応に対して不活性な1つ以上の有機溶媒と、出発溶液の重量に基づいて最大15重量パーセントの、少なくとも1つのモノイソシアネートを含む有機イソシアネート化合物とを含有する、出発溶液を、ii)1つ以上の有機溶媒に可溶な少なくとも1つのアミンであって、少なくとも1つの第一級または第二級アミノ基を、出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり0.01~0.80当量の第一級および/または第二級アミノ基を提供するのに十分な割合で有する、アミンと、接触させることと、
b)モノイソシアネートの少なくとも一部をアミンの少なくとも一部と反応させて、1つ以上の尿素化合物を形成することと、を含む。
【0010】
このプロセスは、モノイソシアネートとアミン化合物との反応生成物に対応する尿素化合物を含む尿素化合物を生成する。
【0011】
モノイソシアネート化合物の良好な変換が、短い反応時間で達成される。この反応は、攪拌が容易で取り扱いが容易な状態で残留する薄いスラリーを生成する傾向がある。このため、反応混合物がさらなる処理に移送されるまで、尿素化合物を溶液または液相の懸濁液の状態に維持することができる。これは、例えば、US4,405,527に記載されているようなプロセスに対する主要な利点を表す。
【0012】
さらに、このプロセスで形成された尿素化合物は、多くの場合、イソシアネート製造プロセスに戻されて、プロセスまたはそのように生成された生成物への悪影響がたとえあったとしても、ごくわずかでリサイクルされ得る。これらの尿素化合物は、イソシアネート製造プロセスの特定のステップの条件下で、ビウレット化合物を形成し得る。多くの場合、これらのビウレット化合物は、その特性、イソシアネートの機能性および有用性にほとんど影響を与えずに、生成物のイソシアネート内に残留され得ることが見出された。このことが特によく当てはまるのは、アミンが、プロセスのステップb)で反応するときに低分子量尿素を生成するモノアミンである場合である。
【0013】
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、ステップb)で生成された1つ以上の尿素化合物を、過剰量のポリイソシアネートと反応させて、ビウレット修飾ポリイソシアネート組成物を生成するステップをさらに含む。
【0014】
代替の実施形態では、プロセスは、ステップb)で形成された1つ以上の尿素化合物から1つ以上の有機溶媒の少なくとも一部を分離するステップを含む。
【0015】
特定の実施形態では、本発明は、MDIおよび/またはポリマーMDIの製造プロセスであって、
a)溶媒中でアニリンをホルムアルデヒドと反応させて、溶媒中のMDAと、PMDAと、未反応のアニリンとの混合物を生成するステップと、
b)ステップa)で生成された混合物からアニリンを蒸留して、溶媒と、MDAと、PMDAと、残留アニリンと、を含有するプロセスストリームを生成するステップと、
c)ステップb)からのプロセスストリームをホスゲン化して、溶媒と、MDIと、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、フェニルイソシアネートとを含有するイソシアネートプロセスストリームを形成するステップと、
d)MDIと、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、フェニルイソシアネートとを、ステップc)で得られたイソシアネートプロセスストリームから蒸留により分離して、溶媒ストリームであって、溶媒と、溶媒ストリームの重量に基づいて0.2~10重量パーセントのフェニルイソシアネートと、溶媒ストリームの重量に基づいて0.0001~5重量パーセントのMDIおよび/または少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、を含有する、溶媒ストリーム、を生成するステップと、
e)ステップd)で得られた溶媒ストリームを、フェニルイソシアネート1モル当たり0.01~0.8モルのアニリンの比率でアニリンと混合し、アニリンの少なくとも一部をフェニルイソシアネートと反応させて、尿素化合物を形成するステップと、
f)尿素化合物の少なくとも一部をポリイソシアネートと反応させて、ビウレット化合物を形成するステップと、を含む、製造プロセスである。
【0016】
出発溶液は、1つ以上の有機溶媒を含有する。溶媒は、一般に、(i)モノイソシアネートおよびアミン化合物の溶媒であり、(ii)イソシアネート基を欠き、かつ(iii)不活性、すなわち、プロセスの条件下でイソシアネート基およびアミノ基に対して非反応性であることで徴付けられる。好適な溶媒の例としては、モノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、およびm-ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族、様々なトリクロロベンゼン異性体、それらの混合物などが挙げられる。他の好適な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、パラキシレン、およびハロゲン化または非ハロゲン化された様々な脂肪族炭化水素、それらの任意の2つ以上の混合物などが挙げられる。
【0017】
出発溶液は、少なくとも1つのモノイソシアネートを含有する。モノイソシアネートは、正確に1つのイソシアネート基を含有する、溶媒(複数可)に可溶な有機化合物である。モノイソシアネートは、好ましくは、室温で液体または固体である。イソシアネート基は、脂肪族(脂環式を含む)または芳香族炭素原子に結合されてもよい。具体的な例は、フェニルイソシアネート、p-クロロメチルフェニルイソシアネート、o-クロロメチルフェニルイソシアネート、およびトルエンモノイソシアネートである。
【0018】
出発溶液は、1つ以上のポリイソシアネートを含有し得る。ポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含有する、溶媒(複数可)に可溶な有機化合物である。イソシアネート基は、脂肪族(脂環式を含む)または芳香族炭素原子に結合されてもよい。具体的な例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-、2,4’-、および/または2,2’-異性体を含む)、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有するポリメチレンポリフェニルイソシアネート、およびトルエンジイソシアネートが挙げられる。
【0019】
有機溶媒(複数可)は、出発溶液の重量の少なくとも85%を構成する。特定の実施形態では、有機溶媒(複数可)は、出発溶液の重量の少なくとも90%を構成し得、出発溶液の重量の最大95%、最大99.8%、最大99.5%、最大99%、または最大98.5を構成し得る。
【0020】
モノイソシアネート(複数可)は、出発溶液の重量の最大15%を構成し得る。モノイソシアネート(複数可)は、出発溶液の重量の少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、または少なくとも1.5%を構成し、出発溶液の重量の最大10%、最大7.5%、最大5%、最大4%、または最大3%を構成し得る。
【0021】
ポリイソシアネート(複数可)は、出発溶液の重量の最大5%を構成し得る。ポリイソシアネート(複数可)は、存在する場合、出発溶液の重量の少なくとも0.0001%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、または少なくとも1.5%を構成し得、出発溶液の重量の最大5%、最大4%、または最大3%を構成し得る。
【0022】
出発溶液は、ポリイソシアネート製造施設からのプロセスストリームであり得るか、またはプロセスストリームを含み得る。ポリイソシアネートは、溶液中でポリアミンをホスゲンと反応させることによって製造されることがある。ポリイソシアネート生成物から溶媒を分離すると、溶媒に加えて、少量のモノイソシアネート、場合によっては少量のポリイソシアネートを含有するプロセスストリームが生成されることがある。
【0023】
特定の実施形態では、プロセスストリームは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)製造施設から取得される。MDIおよびポリマーMDIは、アニリンをホルムアルデヒドとともに縮合し、最終的にメチレンジアニリン(MDA)および/または3つ以上のアニリン基を有するポリメチレンポリアニリン(PMDA)を生成し、これらが、次に、溶液中のホスゲンと反応させられて、対応するポリイソシアネートを生成することによって、工業的に製造される。少量の未反応のアニリンがホスゲン化されて、フェニルイソシアネートを生成する。生成物が反応溶媒から分離されると、溶媒、少量のフェニルイソシアネート、および少量のMDIおよび/またはより高次のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含有するプロセスストリームが生成される。このプロセスストリームが、本発明のプロセスの有用な出発溶液である。
【0024】
アミン化合物は、出発溶液の溶媒(複数可)に可溶であり、少なくとも1つの第一級または第二級アミノ基を有することで特徴付けられる。アミノ基(複数可)は、脂肪族(脂環式を含む)または芳香族炭素原子に結合されてもよい。アミン化合物(複数可)は、最大10個、最大6個、または最大4個の第一級および/または第二級アミノ基を含有し得る。
【0025】
アミン化合物は、好ましくは、室温で液体または固体である。アミン化合物は、例えば、少なくとも80、または少なくとも90、最大1500、最大1200、最大1000、最大800、または最大500、または最大350の分子量を有し得る。有用なアミン化合物の例としては、2,2’-メチレンジアニリン、2,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンジアニリン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、3~10個、特に3~6個のフェニルアミン基を含有する1つ以上のPMDAなどが挙げられる。上記の任意の2つ以上の混合物が有用である。
【0026】
好適なモノアミン化合物は、アニリンである。別の好適なアミン化合物は、2,4’-および4,4’-メチレンジアニリンの混合物であり、この混合物は、2,2’-メチレンジアニリンをさらに含有し得る。
【0027】
別の好適なアミン化合物は、少なくとも1つのジアミンと、3~10個の第一級および/または第二級アミノ基を有する少なくとも1つのポリアミン化合物と、の混合物である。そのような混合物は、例えば、アミン混合物の重量に基づいて30~80重量パーセントの1つ以上のジアミン化合物と、20~70重量パーセントのポリアミン(複数可)と、を含有し得る。このタイプの特に好適な混合物は、MDAの1つ以上の異性体30~80重量パーセントと、3~10個、特に3~6個のアニリン基を含有する1つ以上のPMDA20~70重量パーセントと、の混合物である。MDAとPMDAとの混合物は、本明細書では「ポリマーMDA」と呼ばれることがある。
【0028】
アミン(ならびに出発溶液、およびそれから形成される反応混合物)が、本質的に水を欠くことも好ましい。本発明の目的のために、アミン化合物または出発溶液は、その総重量に基づいて、0.05重量%以下の水を含有する場合、本質的に水を欠くと見なされる。アミンおよび出発溶液はそれぞれ、0.01重量%以下の水を含有することが好ましい。
【0029】
本発明のプロセスにおいて、出発溶液およびアミン化合物は、出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり0.01~0.8当量の第一級および/または第二級アミノ基を提供するのに十分な割合で接触させられる。いくつかの実施形態では、出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり、少なくとも0.1、少なくとも0.6、少なくとも0.4、または少なくとも0.5当量の第一級および/または第二級アミノ基が提供される。この当量比を計算するために、1モルの第一級アミノ基が、その1当量と見なされる。
【0030】
アミン化合物は、アミン化合物を一度にすべて、または2個以上の増分(例えば、少なくとも3個、または少なくとも4個の増分、および最大10個、最大8個、または最大6個の増分)で、またはさらには継続的に、添加することによって、出発溶液と接触させられ得る。アミン化合物が2つ以上の増分で、または連続的に添加される場合、いくつかの実施形態では、アミン化合物は、(i)組み合わされたすべての増分で添加されるアミン化合物の総量は、出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり、0.01~0.8当量の第一級および/または第二級アミノ基が添加されるようにしたものであり、かつ(ii)反応混合物中のイソシアネート基の当量に対する、アミン化合物によって提供される第一級および/または第二級アミノ基の当量の瞬間比が0.6:1以下、好ましくは0.5:1以下に維持されるように、添加される。「瞬間」比は、アミン化合物と出発溶液とを混合し、その後の反応を実施して尿素化合物を形成するステップ中の任意の特定の時点における比を指す。
【0031】
アミン化合物は増分で添加され、増分は、例えば、30秒~60分、1分~30分、または5分~20分の反応期間によって分離され得る。
【0032】
接触ステップは、例えば、0℃~275℃の温度で実施され得る。いくつかの実施形態では、接触ステップは、少なくとも5℃、少なくとも15℃、または少なくとも20℃の温度で実施される。他の実施形態では、接触ステップは、少なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃などの高温で実施される。好適な上限温度は、最大225℃、最大200℃、最大180℃、最大160℃、または最大140℃である。
【0033】
接触後、モノイソシアネートの少なくとも一部が、アミン化合物の少なくとも一部と反応して、1つ以上の有機溶媒中に1つ以上の尿素化合物を形成する。この反応は、上記のより低い接触温度でも、出発溶液とアミン化合物(複数可)とが混合されるとすぐに始まることが多い。接触ステップがやや低い温度(50℃以下など)で実施される場合でも、出発溶液とアミン化合物(複数が)とが混合された後、反応混合物をより高い温度に加熱することが有益であることが多い。このより高い温度は、より速い反応速度および/またはより完全な反応を得るために、例えば、少なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、または少なくとも100℃、かつ、例えば、最大250℃、最大225℃、最大200℃、最大180℃、最大160℃、または最大140℃であり得る。いくつかの実施形態では、より高い温度は、溶媒(複数可)の還流温度であり得る。
【0034】
反応は、大気圧より低い圧力から大気圧より高い圧力までの広範囲の圧力にわたって実施され得る。圧力は、アミン(複数可)、モノイソシアネート、および溶媒が反応温度で揮発しないように、十分に高くあるべきである。
【0035】
反応ステップ(b)は、わずか約1分~8時間以上かかり得る。以下の実施例に示されるように、一般に、より長い反応時間は、アミン化合物(複数可)のより完全な消費を促進するが、モノイソシアネートの消費のほとんどが、以下の実施例で説明されるように、反応の最初の数分間で急速に起こる傾向がある。好適な反応時間は、少なくとも5分、または少なくとも10分、最大約2時間、または最大約1時間である。
【0036】
いくつかの実施形態では、反応ステップは、反応混合物中のアミン化合物(複数可)の濃度が、反応混合物(出発溶液とアミン化合物(複数可)との和)の総重量に基づいて、0.01重量%以下に減少するまで続けられる。しかしながら、これは必要ではなく、大量のアミン化合物(複数可)が残っている間に反応が中断されてもよい。驚くべきことに、アミン化合物がアニリンであるか、またはアニリンを含み、モノイソシアネートがフェニルイソシアネートであるか、またはフェニルイソシアネートを含む実施形態では、場合によっては、アニリンが反応ステップですべて消費されるわけではなく、したがってそのような場合、反応ステップが完了した後、最大0.05重量%または最大0.03重量%など、幾分大量に残り得ることが見出された。(i)アニリンを上記のように2つ以上の増分で、および/または連続的に出発溶液に添加すること、および/または(ii)少なくとも80℃、または少なくとも90℃、特に90~130℃の温度で、アニリンを出発溶液と混合することによって、アニリンを完全に消費することが好ましい。一方、MDAおよびPMDAは、出発溶液と一度に混合された場合、および/またはより低い温度で出発溶液と混合された場合でも、これらのアミンの完全な消費を伴って完全に反応する傾向がある。
【0037】
アミン化合物(複数可)とモノイソシアネートとの反応は、1つ以上の尿素化合物を生成する。これらの尿素化合物(複数可)は、多くの場合、溶媒に部分的または完全に不溶性である固体である(少なくとも室温で)が、尿素化合物がフェニルイソシアネートとアニリンとの反応生成物である場合など、いくつかの場合には、尿素化合物の一部またはすべてが、溶媒(複数可)に可溶であり得る。固体の形成により、スラリーが生成される。本発明の利点は、スラリーがいくぶん薄く、容易に攪拌できる状態で残留することである。したがって、尿素化合物の粒子は、攪拌または他の機械的方法を使用して、容易に懸濁状態に保たれる。これにより、簡易な産業機器を使用する、容易な取り扱いおよび原料移送が促進される。
【0038】
モノイソシアネートは、アミン化合物との反応によって消費され、それにより、反応混合物中のモノイソシアネートの量が低減される。モノイソシアネートの量は、例えば、出発溶液中の量と比較して、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも75%低減され得る。ポリイソシアネート化合物もまた、出発溶液中に存在する場合、アミン混合物との反応によって消費され得る。そのような場合、それらの原料の量も、反応ステップで低減されるであろう。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、1つ以上の有機溶媒の少なくとも一部が、1つ以上の尿素化合物から分離される。デカンテーション、ろ過、遠心分離などの固液分離法が、好適である。有機溶媒は、尿素化合物の一部またはすべてからの分離後、少量のモノイソシアネート化合物(複数可)を含有する。工業用ポリイソシアネート製造設定では、この分離された有機溶媒は、ホスゲン化反応の下流の任意の点でポリイソシアネート製造プロセスに戻されてリサイクルされ得、および/または本発明のプロセスに戻されてリサイクルされ得る。
【0040】
有機溶媒から分離された尿素化合物は、廃棄され、燃焼され、またはその他の方法で処分され得る。モノイソシアネートを尿素化合物に変換することにより、モノイソシアネートの処理および廃棄に関連付けられた毒物学的および他の懸念が、少なくとも部分的に軽減される。
【0041】
特定の条件下の尿素化合物は、イソシアネート化合物と反応して、ビウレット化合物を形成し得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、尿素化合物(複数可)は、ポリイソシアネートと混合され、ポリイソシアネートと反応させられて、1つ以上の尿素化合物とポリイソシアネートとの反応生成物に対応する1つ以上のビウレット化合物を含有する組成物を生成する。
【0042】
ビウレット形成に好適な条件は、少なくとも100℃、または少なくとも120℃、かつ、例えば、最大230℃、または最大200℃などの高温を含む。一般に、1~300分の反応時間が好適であり、より好適な反応時間は、1~120分、または5~60分である。圧力は、超大気圧、大気圧、または亜大気圧であり得る。
【0043】
そのようなビウレット形成反応は、尿素化合物を含有する有機溶媒を、ホスゲン化ステップの下流の任意の点で、イソシアネート製造プロセスに戻してリサイクルすることによって、好都合に実施される。イソシアネート製造プロセスは、多くの場合、イソシアネート生成物をプロセス溶媒から分離するステップを含む。この分離は、多くの場合、蒸留によって実施され、蒸留条件は、典型的には、ビウレット形成に好適な温度および他の条件を含む。
【0044】
したがって、プロセスの一実施形態では、尿素化合物を含有する有機溶媒は、イソシアネート製造プロセスにリサイクルされ、結果得られる、プロセス溶媒(リサイクルされる溶媒を含む)、イソシアネート化合物、および尿素化合物を含有するプロセスストリームが、蒸留ステップに供される。蒸留ステップは、ビウレット形成、およびプロセス溶媒からのポリイソシアネート生成物の回収が同時に達成されるように、ビウレット形成ステップに関して上記のような温度で実施される。この蒸留ステップは、大気圧より低い圧力で実施され得る。これにより、ビウレット構造を含有する実質的に無溶媒のポリイソシアネート組成物、および溶媒を含有する留出物ストリームが得られ、この留出物ストリームは、典型的には、少量のモノイソシアネート(複数可)および、場合によっては、溶媒とともに蒸留されるポリイソシアネートを含有するであろう。
【0045】
さらに、ビウレット形成反応は、イソシアネート製造プロセスの外部にある別の反応器で実施され得る。次に、ビウレット修飾イソシアネート生成物が、イソシアネート製造プロセスに戻されて導入され得る。別個のビウレット形成反応は、バッチ反応または連続反応のいずれであってもよい。
【0046】
イソシアネート化合物に対する尿素化合物の重量比は、例えば、イソシアネート化合物100重量部当たり0.001~5重量部の尿素化合物など、低くあるべきである。より好適な量は、同じ基準で、0.005~2.5部、または0.01~1.5部である。
【0047】
今述べた方法で尿素化合物がリサイクルされる場合、アミン化合物は、アニリンなどのモノアミンであることが好ましい。モノアミンとモノイソシアネートとの反応で生成される尿素化合物は、より低い分子量を有する傾向があり、より低い分子量のビウレット化合物を形成する。
【0048】
特定の実施形態では、出発溶液は、MDIおよび/またはポリマーMDI製造施設からのプロセスストリームである。そのような製造施設は、ホスゲンがMDA、および/またはMDAと1つ以上のPMDAとの混合物と反応させられて、ポリイソシアネート化合物を生成するホスゲン化ユニットを含む。そのような製造施設はまた、アニリンとホルムアルデヒドとが反応させられて、MDAおよび/またはPMDAを製造する上流ユニットを含み得る。そのような製造施設では、典型的には、アニリンが過剰に存在し、過剰分が、生成物から蒸留されてリサイクルされる。蒸留ステップで除去されない少量のアニリンが、ホスゲン化ユニットに導入されて、フェニルイソシアネートに変換される。溶媒がMDIおよび/またはポリマーMDIから分離されると、フェニルイソシアネートの全部または一部が溶媒内で濃縮されるプロセスストリームが形成される。これらの実施形態では、このプロセスストリームが、本発明の尿素形成プロセスで使用するための出発溶液を形成する。
【0049】
そのようなプロセスストリームは、有機溶媒(好ましくは塩素化ベンゼン化合物である)と、フェニルイソシアネートと、任意選択であるが、典型的には、少量の2,4’-、4,4’-、および/または2,2’-MDIと、を含む。フェニルイソシアネートの含有量は、プロセスストリームの重量に基づいて0.05~10重量%であり得、より典型的には0.1~5重量%であり、MDIは、同じ基準で最大5重量%を構成し得る。
【0050】
この特定の実施形態では、アミン化合物は、アニリン、MDA(2,4’-、4,4’-、および/または2,2’-異性体)、またはMDA(2,4’-、4、4’-、および/または2,2’-異性体)と1つ以上のPMDAとの混合物であり得る。アミン化合物がアニリンである場合、前述のようにビウレット形成のために、形成する尿素化合物を(任意選択でプロセス溶媒とともに)、ホスゲン化ステップの下流の任意の点で、イソシアネート製造プロセスに戻してリサイクルすることが好ましい。ビウレット形成は、好ましくは、MDIおよび/またはポリマーMDIがプロセス溶媒から分離されるフラッシングおよび/または蒸留ステップ中に実施される。アミン化合物がMDAおよび/またはPMDAである場合、尿素化合物をイソシアネート製造プロセスにリサイクルするよりも、尿素化合物を溶媒から分離することが好ましいが、必要に応じて、前者が行われ得る。尿素化合物から分離した後の有機溶媒は、ホスゲン化の下流のイソシアネート製造プロセスの任意の点で、プロセスに戻されて好都合にリサイクルされる。
【0051】
あるいは、ビウレット形成はまた、上記のように、バッチ反応または連続反応として、外部反応において実施され得る。
【0052】
本発明による、フェニルイソシアネートとアニリンとの反応によって形成される尿素は、上記のように少量でMDIおよび/またはPMDI製造プロセスにリサイクルされると、未修飾MDIおよび/またはPMDI生成物と同じ方法で使用され得るビウレット含有イソシアネート生成物を生成する。MDIおよび/またはPMDIにリサイクルされる尿素の量によっては、生成物の粘度がわずかに上昇することがある。分子量(Mn、Mw、Mz)および多分散度(すべて、分子量1000のポリエチレングリコール標準物質に対してGPCで測定)はすべて、わずかに増加する傾向がある。イソシアネートの含有量および機能性は、通常、わずかに低下する。一般に、イソシアネート化合物100重量部当たり約0.5重量部未満の尿素化合物がリサイクルされる場合、ビウレット含有イソシアネート生成物の特性、有用性、または性能に有意な変化は検出されない。
【0053】
以下の実施例は、本発明を例解するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、別途示されない限り、重量による。
【0054】
比較サンプルAおよびB
原液は、ポリイソシアネート生成物を反応溶媒から分離した後、ポリマーMDI製造施設から得られるプロセスストリームをエミュレートするように調製される。原液は、MDIの2,4’-および4,4’-異性体の混合物0.05%と、約2%のフェニルイソシアネート(以下に報告される高圧クロマトグラフィで測定された正確な量)と、残部のモノクロロベンゼンと、を含有する。
【0055】
比較サンプルA:窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、1当量のアミノ基に対して1当量のイソシアネート基の比率で、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)と室温で混合される。濃厚な、かろうじて攪拌可能な白いスラリーが、約2分以内に形成される。このスラリーが加熱還流され、8分間還流され、次に室温まで冷却される。フェニルイソシアネートの濃度が、2.15%から0.044%に低減される。ただし、形成されるスラリーは濃厚すぎて、ほとんどの産業機器で処理できない。
【0056】
比較サンプルB:今回は、原液が、MDAと混合される前に、より多くのモノクロロベンゼンで1:19の比率に希釈されることを除き、比較サンプルAが繰り返される。これにより、フェニルイソシアネートの濃度が、約0.1パーセントに減少する。MDAの量が、比例して低減される。すぐに加熱還流が開始され、16分後に還流が達成される。その時点で、およびその後定期的に、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)による分析のためにサンプルが採取される。反応混合物を還流させてから約30分後まで、粒子は形成されない。結果は、表1に示されるとおりである。
【表1】
【0057】
系を希釈することにより、濃厚なスラリーの問題は回避され得る。ただし、表1のデータが示すように、MDAは、そのような希薄系内ではフェニルイソシアネートと非常にゆっくり反応する。フェニルイソシアネートの量を半分に減らすには、約3時間かかる。
【0058】
実施例1~3および比較サンプルCならびにD
比較サンプルC:窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、1当量のアミノ基に対して1当量のイソシアネート基の比率で、アニリンと室温で混合される。濃厚な、かろうじて攪拌可能な白いスラリーが、1分以内に形成される。このスラリーが、加熱還流される。アニリンと原液とが混合されて106分後、イソシアネート基の開始当量当たりさらに0.49当量のアニリンが添加され、還流が続けられる。その後、分析のためにサンプルが採取される。結果は、表2に示されるとおりである。
【表2】
【0059】
表2のデータが示すように、フェニルイソシアネートの良好な変換が認められるが、アニリンがすべて消費されているわけではない。さらに、濃厚なスラリーは、うまく処理することができない。アニリンをさらに添加した後でも、未反応のフェニルイソシアネートが存在する。
【0060】
実施例1:窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、0.62当量のアミノ基に対して1当量のイソシアネート基の比率で、アニリンと(同様に還流時に)混合される。このスラリーは、還流に維持される。還流溶液は、20分還流後に濁る。サンプルが、分析のために定期的に採取される。167分での生成物(最終生成物)のガスクロマトグラフィ質量分析で、未反応のアニリンの存在が確認される。結果は、表3に示されるとおりである。
【表3】
【0061】
上記の反応で生成された尿素化合物が、真空ろ過によって回収され、一定の重量が得られるまで真空下(100℃/16時間)で乾燥される。窒素下で、0.3グラムの尿素化合物が、29.7グラムのポリマーMDI(平均イソシアネート官能価2.7、イソシアネート当量134)と混合され、12分間にわたって撹拌しながら100℃に加熱され、その温度に22分間保持される。次に、6分かけて温度を125℃まで上昇させ、その温度に1時間保持される。ビウレット含有生成物のイソシアネート当量が、滴定によって測定される。マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量スペクトル(MALDI-TOF MS)分析により、ビウレット構造の存在を確認する。
【0062】
比較のために、ポリマーMDI自体が、同じ処理および加熱プロファイルに供される。
【0063】
ビウレット含有生成物および加熱されたポリマーMDIの粘度がそれぞれ、25.6℃において、40mmのコーンと54μmのギャップとを有するプレートアンドコーンレオメータ上で測定される。各々について分子量が、無水メタノール中の1%w/v溶液を使用して、1000MWのポリエチレングリコール標準物質に対してGPCで測定される。
【0064】
前述の試験の結果は、表4に示されるとおりである。
【表4】
【0065】
実施例2:実施例1が繰り返されるが、今回は、イソシアネート基の当量当たり0.495当量しかアミノ基を提供しないように、アニリンの量をさらに低減する。約1分後に、薄い、容易に攪拌可能なスラリーが形成される。表5に示されるような結果を伴う分析のために、サンプルが定期的に採取される。
【表5】
【0066】
実施例3:実施例1が繰り返されるが、今回は、イソシアネート基の当量当たり0.256当量しかアミノ基を提供しないように、アニリンの量をさらに低減する。約4分後に、薄い、容易に攪拌可能なスラリーが形成される。表6に示されるような結果を伴う分析のために、サンプルが定期的に採取される。
【表6】
【0067】
比較サンプルD:実施例1が再度繰り返されるが、今回は、イソシアネート基1当量当たり0.099当量しかアミノ基を提供しないように、アニリンの量をさらに低減する。粒子は、分析のためにサンプルが取り出されて冷却されるまで、還流溶液内に認められない。13分の反応時間からのサンプルで始まるガスクロマトグラフィ分析で、1,3-ジフェニル尿素が観察される。定期的な分析の結果は、表7に示されるとおりである。
【表7】
【0068】
実施例4
窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、0.045当量のアニリンおよび0.205当量のポリマーMDAに対して1当量のイソシアネート基の比率で、アニリンおよびポリマーMDAと室温で混合される。ポリマーMDAは、約40~45重量%のメチレンジアニリン(o,o’-、o,p’-、およびp,p’-異性体)を含有する。残りの55~60重量%は、3つ以上のアニリン基を有するオリゴマである。このポリマーMDAは、グラム当たり9.835ミリ当量の窒素と、グラム当たり0.0305ミリ当量の第三級アミンと、を含有する。
【0069】
薄い、白いスラリーが、1分以内に形成される。このスラリーが、加熱還流される。その後、分析のために、サンプルが定期的に採取される。376分の反応からのサンプルのHPLC分析で、ポリマーMDIが存在しないことが示される。結果は、表8に示されるとおりである。
【表8】
【0070】
比較例EおよびF
比較例E:窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、0.262当量の水に対して1当量のイソシアネート基の比率で、水と室温で混合される。このスラリーが、加熱還流される。その後、分析のために、サンプルが定期的に採取される。反応溶液は、反応中ずっと透明なままである。結果は、表9に示されるとおりである。
【表9】
【0071】
比較例Fは、水に対するイソシアネートの比率が1:0.252であり、80℃までしか加熱しないことを除いて、同じ方法で実施される。反応溶液は、この場合もやはり、反応中ずっと透明なままである。結果は、表10に示されるとおりである。
【表10】
【0072】
比較サンプルEおよびFは、水を使用してフェニルイソシアネートを除去する試みの効果を示すものである。フェニルイソシアネートの変換はほとんど認められず、還流で、アニリンはほとんど生成されない。
【0073】
実施例5~9
実施例5:窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、前の実施例で説明されたように、0.250当量のポリマーMDAに対して1当量のイソシアネート基の比率で、ポリマーMDAと室温で混合される。原液とポリマーMDAとが混合されるとすぐに、薄い、白いスラリーが形成される。このスラリーが、加熱還流される。その後、分析のために、サンプルが定期的に採取される。378分の反応時間後のHPLC分析で、ポリマーMDAは検出されない。結果は、表11に示されるとおりである。
【表11】
【0074】
このプロセスでは、ポリマーMDAの完全な消費を伴って、フェニルイソシアネートの約25%が急速に除去される。さらに、スラリーは容易に攪拌可能なままであり、工業規模で容易に処理され得る。
【0075】
実施例6:0.502当量のポリマーMDAに対して1当量のイソシアネート基の当量比が使用されることを除いて、実施例5が繰り返される。実施例5と同様に、原液とポリマーMDAとを接触させるとすぐに、薄い、容易に攪拌可能なスラリーが形成される。196分の反応時間までに、HPLC分析でポリマーMDAは検出されない。定期的な分析の結果が、表12に示されている。
【表12】
【0076】
ポリマーMDAの量を、イソシアネートの当量当たり約0.5当量に増やすことによって、より多くの量のフェニルイソシアネートが除去される。この場合もやはり、ポリマーMDAの完全な除去が認められ、スラリーは、薄く、取り扱いが容易なままである。
【0077】
実施例7:0.681当量のポリマーMDAに対して1当量のイソシアネート基の当量比が使用されることを除いて、実施例5が再び繰り返される。この場合もやはり、ストック溶液とポリマーMDAとを接触させるとすぐに、薄い、容易に攪拌可能なスラリーが形成される。定期的な分析の結果が、表13に示されている。47分の反応時間後、またはその後、HPLC分析でポリマーMDAは検出されない。
【表13】
【0078】
添加されるアミンの量を、イソシアネートの当量当たり0.681当量に増やすことによって、ポリマーMDAの完全な消費を伴って、フェニルイソシアネートの約70%が消費される。スラリーは薄く、容易に処理される。
【0079】
実施例8:窒素下で攪拌しながら、ある量の原液が、加熱還流される。これとは別に、3.3重量%の量の、クロロベンゼン中のポリマーMDAの溶液が、加熱還流される。還流溶液は、0.638当量のアミノ基に対して1当量のイソシアネート基の比率で混合され、還流に維持される。この場合もやはり、約30秒以内に、薄い、容易に攪拌可能なスラリーが形成される。定期的な分析の結果が、表14に示されている。1分間の反応時間後、またはその後に、HPLC分析でポリマーMDAは検出されない。
【表14】
【0080】
この実験では、反応時間の1分以内に、フェニルイソシアネートの半分超が除去される。ポリマーMDAの完全な消費を伴って、ほぼ75%が、21分以内に除去される。スラリーは薄く、容易に処理される。
【0081】
実施例1で説明されたように、尿素化合物が、溶媒から除去されて、乾燥される。実施例1で説明されたように、0.3グラムの尿素化合物が、29.7グラムのポリマーMDI(平均イソシアネート官能価2.7、イソシアネート当量134)と混合され、加熱される。結果得られたビウレット修飾ポリイソシアネートの特性は、表15に示すとおりである。同様に処理され、熱処理された出発ポリイソシアネートの特性が、比較の目的で、再び提供されている。
【表15】
【0082】
前述のように、ビウレット修飾ポリマーMDIは、未修飾イソシアネート生成物の特性からわずかしか変更されない特性を有する。
【0083】
実施例9:0.543当量のポリマーMDAに対して1当量のイソシアネート基の当量比が使用されること、および反応混合物が、加熱還流される代わりに、室温で撹拌されることを除いて、実施例5が再度繰り返される。薄い、容易に攪拌可能なスラリーとなる溶液形態が、約3分後に形成される。定期的な分析の結果が、表16に示されている。338分の反応時間において、HPLC分析でポリマーMDAは検出されない。
【表16】
【0084】
室温でも、84分の反応時間で、フェニルイソシアネートのほぼ半分が除去される。338分においてサンプリングされると、ポリマーMDAの完全な除去が観察される。薄いスラリーは、産業機器で容易に処理される。
【0085】
実施例10Aおよび10B
実施例10A:98%のモノクロロベンゼンと、1.89%のフェニルイソシアネートと、0.11重量%のMDIと、の溶液が、イソシアネート基の当量当たり0.7当量のアミノ基を提供する量で、正味の(neat)アニリンと混合される。結果得られた反応混合物が、還流で2時間加熱され、室温まで冷却される。
【0086】
次に、反応混合物が、フリットガラス漏斗(孔径10~16ミクロン)で真空ろ過されて、沈殿した尿素化合物を除去する。4.23グラムの尿素化合物が、回収される。
【0087】
実施例10B:実施例10Aが、尿素化合物を濾別することなく、繰り返される。代わりに、反応混合物が回転蒸発されて溶媒を除去し、尿素化合物が残される。5.65グラムの乾燥尿素化合物が得られる。
【0088】
これらの結果は、ろ過が、尿素化合物の約75%しか除去しないことを示す。
【0089】
実施例11
窒素雰囲気下で、クロロベンゼン中のフェニルイソシアネート(33.33ミリ当量)の2%溶液(197.12グラム)が、冷却コンデンサ(-2℃)と、熱電対-加熱マントル-温度コントローラアセンブリと、オーバーヘッド窒素入口(0.2リットル/分)と、マグネチックスターリングと、を備える3ネック、500ミリリットルの丸底ガラス反応器に添加される。磁気的に攪拌された溶液が、100℃に加熱される。アニリン(10.0ミリ当量、アミンとイソシアネートとの当量比0.3:1)が、表面下に注入される。アニリン注入の3分後に、透明な溶液が、容易に攪拌される白いスラリーになる。アニリンが注入された後、結果得られた反応混合物が、100℃で60分間撹拌される。アニリン注入後10分以内に、アニリン濃度が、測定可能な値を下回って低下する。フェニルイソシアネートが、約40分後に1.33重量%に低下し、ほぼそのレベルに留まる。
【0090】
アニリン注入後の最初の60分以内に、これらの分析のために、約12グラムの反応混合物が除去され、その時点で、アニリンの2回目の注入(9.74ミリ当量)が行われる。2回目のアニリン注入後、あらゆる反応の前のイソシアネート当量に対するアミン当量の比率は、約0.49:1である。出発溶液中のフェニルイソシアネートの当量数に対する、2回の注入で添加されたアニリンの総当量の比は、約0.6:1である。
【0091】
反応物が、100℃で撹拌され続ける。2回目のアニリン注入の22分後、フェニルイソシアネートの濃度は、0.79重量パーセントであり、アニリンの量は、検出レベルを下回っている。2回目のアニリン添加後40~60分で、フェニルイソシアネートの濃度が、約0.70重量パーセントで安定する。
【0092】
実施例12
窒素雰囲気下で、クロロベンゼン中のフェニルイソシアネート(33.18ミリ当量)の2.01%溶液(197.58グラム)が、冷却コンデンサ(-2℃)と、熱電対-加熱マントル-温度コントローラアセンブリと、オーバーヘッド窒素入口(0.2リットル/分)と、マグネチックスターリングと、を備える3ネック、500ミリリットルの丸底ガラス反応器に添加される。磁気的に攪拌された溶液が、100℃に加熱される。アニリン(5.82ミリ当量、フェニルイソシアネートの当量当たり約0.175当量)が、表面下に注入される。アニリン注入の9分後、透明な溶液が、容易に攪拌される白いスラリーになる。最初のアニリン注入の累積10分後、アニリンの2回目の注入(5.83ミリ当量、残りのフェニルイソシアネートの当量当たり約0.213当量)が行われる。最初のアニリン注入の累積20分後、アニリンの3回目の注入(5.79ミリ当量、残りのフェニルイソシアネートの当量当たり約0.269当量)が行われる。最初のアニリン注入の累積30分後、アニリンの4回目の注入(5.82ミリ当量、残りのフェニルイソシアネートの当量当たり約0.370当量)が行われる。4回の注入で添加されたアニリンの総量は、出発溶液中のフェニルイソシアネートの当量当たり0.7当量である。プロセス全体を通して、攪拌しながら、温度が100℃に維持される。
【0093】
4回目のアニリン注入の10分後に、フェニルイソシアネートの濃度が0.53%に減少する。その時のアニリン濃度は、0.02%である。4回目のアニリン注入後20分までに、フェニルイソシアネートの濃度は0.49%であり、残ったアニリンの量は、検出限界を下回る。
【0094】
実施例13
窒素雰囲気下で、クロロベンゼン中のフェニルイソシアネート(75.1ミリ当量)の4.50%溶液(198.79グラム)が、冷却コンデンサ(-2℃)と、熱電対-加熱マントル-温度コントローラアセンブリと、オーバーヘッド窒素入口(0.2リットル/分)と、マグネチックスターリングと、を備えた3ネック、500ミリリットルの丸底ガラス反応器に添加される。磁気的に攪拌された溶液が、100℃に加熱される。アニリン(4.90グラム、フェニルイソシアネートの当量当たり52.57ミリ当量)が、表面下に注入される。アニリンの注入の約10秒後に、透明な溶液が、濃厚であるが、容易に攪拌できる白いスラリーになる。アニリンは、出発溶液中のフェニルイソシアネートの当量当たり0.7当量である。プロセス全体を通して、攪拌しながら、温度が100℃に維持される。アニリン注入の10分後に、フェニルイソシアネートの濃度が1.67%に減少する。その時のアニリン濃度は0.15%である。アニリン注入の20分後までに、フェニルイソシアネート濃度は1.41%であり、残ったアニリンの量は0.026%である。
【0095】
実施例14~16および比較サンプルGおよびH
実施例14:MDIの2,4’-および4,4’-異性体の混合物20.44グラムと、フェニルイソシアネート406.77グラムと、クロロベンゼン19.906キログラムと、を含有する溶液が、157℃において180分間加圧下で、234.30グラムのアニリンと反応させられ、フェニルイソシアネートの最終濃度が、0.53%になる。上記の反応で生成された尿素化合物が、生成物スラリーの一部を回転蒸発させることによって回収され、一定重量になるまで真空下(100℃/25時間)で乾燥される。窒素下で、0.0200グラムの尿素化合物が、199.98グラムのポリマーMDI(平均イソシアネート官能価2.7、イソシアネート当量134)と混合され、14分間にわたって撹拌しながら125℃に加熱され、その温度に15分間保持される。
【0096】
実施例15:窒素下で、実施例14に記載された尿素化合物0.2000グラムが、実施例14に記載されたポリマーMDI199.80グラムと混合され、14分間にわたって攪拌しながら125℃に加熱され、その温度に15分間保持される。
【0097】
実施例16:実施例15からの生成物3.0149グラムと、ポリマーMDI(実施例14に記載)27.1320グラムと、が混合される。
【0098】
比較サンプルG:比較のために、ポリマーMDI自体(実施例14に記載)が、同じ処理および加熱プロファイルに供される。したがって、200.00グラムのポリマーMDIが、14分間にわたって、攪拌しながら125℃に加熱され、その温度に15分間保持される。
【0099】
比較サンプルH:実施例14に記載されたポリマーMDIが、一切の処理または変更なしに試験される。
【0100】
実施例14~16および比較サンプルGならびにHから得られた生成物のイソシアネート当量(IEW)が、滴定によって測定される。各々の粘度が、25.6℃において、40mmのコーンと54μmのギャップと有するプレートアンドコーンレオメータ上で測定される。各々について分子量が、無水メタノール中の1%w/v溶液を使用して、1000MWのポリエチレングリコール標準物質に対してGPCで測定される。上記の試験の結果は、表17に示されるとおりである。
【表17】
【0101】
表17のデータが示すように、実施例14~16のビウレット修飾ポリマーMDI生成物は、未修飾イソシアネート生成物の特性から最小限しか変更されない特性を有する。より多くの量のビウレット修飾を伴うポリマーMDIは、新鮮なポリマーMDIで有益に希釈され得る。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
有機溶媒から有機モノイソシアネートを除去するための方法であって、
a)i)出発溶液であって、前記出発溶液の重量に基づいて少なくとも85重量パーセントの、イソシアネート基およびアミン基との反応に対して不活性な1つ以上の有機溶媒と、前記出発溶液の前記重量に基づいて最大15重量パーセントの、少なくとも1つのモノイソシアネートを含む有機イソシアネート化合物とを含有する、出発溶液を、ii)前記1つ以上の有機溶媒に可溶な少なくとも1つのアミンであって、少なくとも1つの第一級または第二級アミノ基を、前記出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり0.01~0.8当量の第一級および/または第二級アミノ基を提供するのに十分な割合で有する、アミンと、接触させるステップと、
b)前記モノイソシアネートの少なくとも一部を前記アミン混合物の少なくとも一部と反応させて、1つ以上の尿素化合物を形成するステップと、を含む、方法。
項2.
前記出発溶液およびアミン混合物が、前記出発溶液中のイソシアネート基の当量当たり0.2~0.75当量の第一級および/または第二級アミノ基を提供するのに十分な割合で混合される、項1に記載の方法。
項3.
前記モノイソシアネートがフェニルイソシアネートを含む、項1または2に記載の方法。
項4.
ステップa)が、前記アミンを前記出発溶液に2つ以上の増分で、または連続的に添加することによって実施される、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
前記出発溶液が、イソシアネート製造プロセスからのプロセスストリームを含み、前記プロセスストリームが、ポリアミンをプロセス溶媒中の溶液中のホスゲンと反応させることによって生成されるポリイソシアネート生成物から前記プロセス溶媒を分離することによって得られる、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記出発溶液が、イソシアネート製造プロセスからのプロセスストリームを含み、前記プロセスストリームが、MDAおよび/またはPMDAをプロセス溶媒中の溶液中のホスゲンと反応させることによって生成されるポリイソシアネート生成物から前記プロセス溶媒を分離することによって得られる、項5に記載の方法。
項7.
前記1つ以上の尿素化合物の少なくとも一部が、前記イソシアネート製造プロセスにリサイクルされる、項5または6に記載の方法。
項8.
前記1つ以上の尿素化合物の少なくとも一部がポリイソシアネートと反応させられて、1つ以上のビウレット化合物を形成する、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
前記1つ以上の尿素化合物の少なくとも一部がイソシアネート製造プロセスにリサイクルされ、ポリイソシアネート生成物が、ポリアミンをプロセス溶媒中の溶液中のホスゲンと反応させることによって生成され、前記ステップまたは前記1つ以上の尿素化合物を前記ポリイソシアネートと反応させることが、前記プロセス溶媒から前記ポリイソシアネート生成物を分離するステップで実施される、項8に記載の方法。
項10.
前記有機溶媒が、前記1つ以上の尿素化合物とともにリサイクルされる、項9に記載の方法。
項11.
c)前記1つ以上の有機溶媒の少なくとも一部を前記1つ以上の尿素化合物から分離するステップをさらに含む、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
項12.
前記アミンが、アニリン、MDA、および/またはPMDAである、項1~11のいずれか一項に記載の方法。
項13.
MDIおよび/またはポリマーMDIの製造プロセスであって、
a)溶媒中でアニリンをホルムアルデヒドと反応させて、前記溶媒中のMDAと、PMDAと、未反応のアニリンとの混合物を生成するステップと、
b)ステップa)で生成された前記混合物からアニリンを蒸留して、前記溶媒と、MDAと、PMDAと、残留アニリンと、を含有するプロセスストリームを生成するステップと、
c)ステップb)からの前記プロセスストリームをホスゲン化して、前記溶媒と、MDIと、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、フェニルイソシアネートと、を含有するイソシアネートプロセスストリームを形成するステップと、
d)MDIと、少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、フェニルイソシアネートとを、ステップc)で得られた前記イソシアネートプロセスストリームから蒸留により分離して、溶媒ストリームであって、溶媒と、前記溶媒ストリームの重量に基づいて0.2~10重量パーセントのフェニルイソシアネートと、前記溶媒ストリームの重量に基づいて0.0001~5重量パーセントのMDIおよび/または少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートと、を含有する、溶媒ストリーム、を生成するステップと、
e)ステップd)で得られた前記溶媒ストリームを、フェニルイソシアネートのモル当たり0.01~0.8モルのアニリンの比率で、アニリンと混合し、前記アニリンの少なくとも一部をフェニルイソシアネートと反応させて、尿素化合物を形成するステップと、
f)前記尿素化合物の少なくとも一部をポリイソシアネートと反応させて、ビウレット化合物を形成するステップと、を含む、製造プロセス。
項14.
ステップe)が、前記アミンを前記出発溶液に2つ以上の増分で、または連続的に、少なくとも80℃の温度で添加することによって実施される、項13に記載の製造プロセス。
項15.
ステップf)が、前記尿素化合物および任意選択でステップe)からの前記溶媒を直接または間接的にステップd)にリサイクルすることによって実施され、それにより、前記尿素化合物の少なくとも一部が、前記MDIおよび/または少なくとも3つのフェニルイソシアネート基を有する1つ以上のポリメチレンポリフェニルイソシアネートの少なくとも一部と反応して、ビウレット化合物を形成する、項13または14に記載の製造プロセス。