(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】通信サーバ装置、交通関連サービスのためのリクエストを管理するための方法及び通信システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20231206BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
(21)【出願番号】P 2021527935
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 SG2018050573
(87)【国際公開番号】W WO2020106211
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】518236797
【氏名又は名称】グラブタクシー ホールディングス プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRABTAXI HOLDINGS PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Media Close, #01-03/06, Singapore 138498, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】アル-デュジャイリ, アブデュラハ シャミル ハシム
(72)【発明者】
【氏名】ウィラワン, ヘンドラ テジャ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ウェンキン
(72)【発明者】
【氏名】オウ, ス ミン セレーネ
(72)【発明者】
【氏名】ロー, ゼン ジアン ケニス
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ガンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ホー, チン ハウ
(72)【発明者】
【氏名】ベジャズシニー, ドミトリ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ヨンハオ
(72)【発明者】
【氏名】サンデラジャン, アブヒナブ
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-94704(JP,A)
【文献】特開2012-215921(JP,A)
【文献】特開2002-114149(JP,A)
【文献】特開2018-96810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
G09B 29/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを含む交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置であって、
前記通信サーバ装置は、
前記メモリに記憶された命令を実行する前記プロセッサの制御下、出発地を示すデータフィールドと、目的地を示すデータフィールドとを含むユーザリクエストデータの受信に応答して、
前記出発地から前記目的地へ対応する複数の乗り継ぎ地点用のデータを有する複数の乗り継ぎ地点データフィールドを含むデータレコードを生成し、
前記データレコードにおいて、前記出発地から前記目的地までのナビゲーション方向を定義する対応する複数の移動セクション用の複数の移動セクションデータフィールドを生成し、
各移動セクションデータフィールドについて、前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドの各乗り継ぎ地点データフィールドと前記移動セクションデータフィールドを関連付け、
関連付けられた乗り継ぎ地点データフィールドのデータに基づいて、対応する移動セクション用の各交通モードを決定し、前記各交通モードに関する交通データを生成するように構成され、
前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する変動乗り継ぎ地点データフィールドを含み、
前記変動乗り継ぎ地点の位置は、変更可能であり、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定され、
前記変動乗り継ぎ地点データフィールドと関連付けられた前記移動セクションデータフィールドのための前記各交通モードは、配車交通モードを含み、
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連する前記データは、料金サージ関連パラメータに対応し、
前記複数の移動セクションデータフィールドおよび前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、前記出発地から前記目的地までの複数の旅行オプションを定義するように生成され、
前記複数の旅行オプションの各旅行オプションは、前記複数の移動セクションデータフィールドのうちの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドによって定義され、
前記少なくとも2つの移動セクションデータフィールドは、前記出発地から始まり、前記目的地で終わる単一の旅行の前記ナビゲーション方向を定義する対応する移動セクション用のものであり、
前記複数の旅行オプションは、少なくとも1つのマルチモーダル旅行オプションを含むことを特徴とする通信サーバ装置。
【請求項2】
前記通信サーバ装置は、前記複数の旅行オプションから、前記各旅行オプションを定義する前記少なくとも2つの移動セクションデータフィールドに対応する前記交通データに基づいて、1つまたは複数のパレート最適化旅行オプションを特定するようにさらに構成される請求項1に記載の通信サーバ装置。
【請求項3】
前記通信サーバ装置は、定義されたイプシロン分解能値に基づいて、特定される前記パレート最適化旅行オプションの数を制御するようにさらに構成される請求項2に記載の通信サーバ装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連する前記データは、ドライバの供給、ユーザへのアクセス可能性、または迂回関連パラメータのうちの少なくとも1つにさらに対応する請求項1ないし3のいずれかに記載の通信サーバ装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連する前記データは、前記料金サージ関連パラメータに対応し、
前記通信サーバ装置は、
前記データレコードにおいて、前記出発地から前記目的地までの対応する複数の初期変動乗り継ぎ地点用の複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドを生成し、
前記複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの各初期変動乗り継ぎ地点データフィールドについて、前記料金サージ関連パラメータの値を決定し、
前記複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが料金急騰の高リスクを示す閾値を上回る値を有する場合、前記初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する前記初期変動乗り継ぎ地点を無視し、
前記複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが前記閾値を下回る値を有する場合、前記変動乗り継ぎ地点の候補として、前記初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する前記初期変動乗り継ぎ地点を維持する、ようにさらに構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の通信サーバ装置。
【請求項6】
前記通信サーバ装置は、
前記複数の移動セクションデータフィールドの前記移動セクションデータフィールドにおいて、前記対応する移動セクションを通るユーザの移動進行を更新し、
前記対応する移動セクションの終了前に、前記ユーザの通信デバイスを介して、前記ユーザに警告を提供する請求項1ないし
5のいずれかに記載の通信サーバ装置。
【請求項7】
交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置で実行される方法であって、前記方法は、前記通信サーバ装置のプロセッサの制御下、
出発地を示すデータフィールドと、目的地を示すデータフィールドとを含むユーザリクエストデータの受信に応答して、
前記出発地から前記目的地へ対応する複数の乗り継ぎ地点用のデータを有する複数の乗り継ぎ地点データフィールドを含むデータレコードを生成する工程と、
前記データレコードにおいて、前記出発地から前記目的地までのナビゲーション方向を定義する対応する複数の移動セクションの複数の移動セクションデータフィールドを生成する工程と、
各移動セクションデータフィールドについて、前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドの各乗り継ぎ地点データフィールドと前記移動セクションデータフィールドを関連付け、さらに、前記関連付けられた乗り継ぎ地点データフィールドの前記データに基づいて、前記対応する移動セクションの各交通モードを決定し、前記各交通モードに関する交通データを生成し、
前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する変動乗り継ぎ地点データフィールドを含み、
前記変動乗り継ぎ地点の位置は、変更可能であり、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連するデータに基づいて決定され、
前記変動乗り継ぎ地点データフィールドと関連付けられた前記移動セクションデータフィールドのための前記各交通モードは、配車交通モードを含み、
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連する前記データは、料金サージ関連パラメータに対応し、
前記複数の移動セクションデータフィールドおよび前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、前記出発地から前記目的地までの複数の旅行オプションを定義するように生成され、
前記複数の旅行オプションの各旅行オプションは、前記複数の移動セクションデータフィールドのうちの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドによって定義され、
前記少なくとも2つの移動セクションデータフィールドは、前記出発地から始まり、前記目的地で終わる単一の旅行の前記ナビゲーション方向を定義する対応する移動セクション用のものであり、
前記複数の旅行オプションは、少なくとも1つのマルチモーダル旅行オプションを含むことを特徴とする交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置で実行される方法。
【請求項8】
前記複数の旅行オプションから、前記各旅行オプションを定義する前記少なくとも2つの移動セクションデータフィールドに対応する前記交通データに基づいて、1つまたは複数のパレート最適化旅行オプションを特定する工程をさらに含む請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
定義されたイプシロン分解能値に基づいて、特定されるべき前記パレート最適化旅行オプションの数を制御する工程をさらに含む請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連する前記データは、ドライバの供給、ユーザへのアクセス可能性、または迂回関連パラメータのうちの少なくとも1つにさらに対応する請求項
7ないし
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連する前記データは、前記料金サージ関連パラメータに対応し、前記方法は、
前記データレコードにおいて、前記出発地から前記目的地までの対応する複数の初期変動乗り継ぎ地点用の複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドを生成する工程と、
前記複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの各初期変動乗り継ぎ地点データフィールドについて、前記料金サージ関連パラメータの値を決定する工程と、
前記複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが料金急騰の高リスクを示す閾値を超える値を有する場合、前記初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する前記初期変動乗り継ぎ地点を無視する工程と、
前記複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが前記閾値未満の値を有する場合、前記変動乗り継ぎ地点の候補として、前記初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する前記初期変動乗り継ぎ地点を維持する工程と、を含む請求項
7ないし
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記複数の移動セクションデータフィールドの前記移動セクションデータフィールドにおいて、前記対応する移動セクションを通るユーザの移動進行を更新する工程と、
前記対応する移動セクションの終了前に、前記ユーザの通信デバイスを介して、前記ユーザに警告を提供する工程と、をさらに含む請求項
7ないし
11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項
7ないし
12のいずれかに記載の方法を実施するための命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項
7ないし
12のいずれかに記載の方法を実施するための命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
プロセッサによって実行されたとき、請求項
7ないし
12のいずれかに記載の方法を前記プロセッサに実行させる命令を記憶することを特徴とする非一時記憶媒体。
【請求項16】
通信サーバ装置と、互いに通信を確立する少なくとも1つのユーザ通信デバイスと、前記通信サーバ装置のために動作可能な通信ネットワーク装置と、を含む交通関連サービスのリクエストを管理するための通信システムであって、
前記少なくとも1つのユーザ通信デバイスは、第1のプロセッサと、第1のメモリとを含み、
前記少なくとも1つのユーザ通信デバイスは、前記第1のプロセッサの制御下、
出発地を示すデータフィールドと、目的地を示すデータフィールドとを含む第1のリクエストデータの受信に応答して、
前記出発地および前記目的地に対応するデータを生成し、
処理のために前記通信サーバ装置によって受信用の前記データを送信するために、前記第1のメモリに記憶された第1の命令を実行するように構成され、
前記通信サーバ装置は、第2のプロセッサと、第2のメモリとを含み、
前記通信サーバ装置は、前記第2のプロセッサの制御下、
前記少なくとも1つのユーザ通信デバイスによって送信された前記データを示す第2のリクエストデータを受信することに応答して、
前記出発地から前記目的地への対応する複数の乗り継ぎ地点のためのデータを有する複数の乗り継ぎ地点データフィールドを含むデータレコードを生成し、
前記データレコードにおいて、前記出発地から前記目的地までのナビゲーション方向を定義する対応する複数の移動セクション用の複数の移動セクションデータフィールドを生成するために、前記第2のメモリに記憶された第2の命令を実行するように構成され、
前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する変動乗り継ぎ地点データフィールドを含み、
前記変動乗り継ぎ地点の位置は、変更可能であり、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連するデータに基づいて決定され、
前記通信サーバ装置は、各前記移動セクションデータフィールドについて、前記移動セクションデータフィールドを前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドの各乗り継ぎ地点データフィールドに関連付けるようにさらに構成され、前記関連する乗り継ぎ地点データフィールドの前記データに基づいて、前記対応する移動セクションのための各交通モードを決定し、前記各交通モードに関して交通データを生成するようにさらに構成され、
前記少なくとも1つのユーザ通信デバイスによる受信のために、前記複数の移動セクションに対応するデータを送信し、前記複数の移動セクションの各移動セクションについて、前記移動セクションに関連する各乗り継ぎ地点に対応する前記データと、前記移動セクションのための前記各交通モードに対応するデータと、前記各交通モードに関して前記交通データと、を送信するように構成され、
前記変動乗り継ぎ地点データフィールドと関連付けられた前記移動セクションデータフィールドのための前記各交通モードは、配車交通モードを含み、
前記少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータと関連する前記データは、料金サージ関連パラメータに対応し、
前記複数の移動セクションデータフィールドおよび前記複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、前記出発地から前記目的地までの複数の旅行オプションを定義するように生成され、
前記複数の旅行オプションの各旅行オプションは、前記複数の移動セクションデータフィールドのうちの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドによって定義され、
前記少なくとも2つの移動セクションデータフィールドは、前記出発地から始まり、前記目的地で終わる単一の旅行の前記ナビゲーション方向を定義する対応する移動セクション用のものであり、
前記複数の旅行オプションは、少なくとも1つのマルチモーダル旅行オプションを含むことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、通信および旅行計画(journey planning)の分野に関する。本発明の一態様は、交通関連サービス(transport-related services)のリクエストを管理するための通信サーバ装置に関する。本発明の別の態様は、交通関連サービスのリクエストを管理するための方法に関する。さらなる態様は、コンピュータプログラム製品、コンピュータプログラム、本方法を実施するための命令を有する非一時的記憶媒体、および交通関連サービスのリクエストを管理するための通信システムに関する。
【0002】
本発明の一態様は、リクエスト(例えば、出発地(O)から目的地(D)までの旅行に関する交通関連サービスリクエスト)を処理するための特定のアプリケーションを有する。しかし、これに限定されるものではない。これは、ユーザからのリクエストに応答して、ユーザによる選択のために、OからDまでの旅行(journey)オプション(マルチモーダル旅行オプションを含む)を提供する工程を含む。パレート最適化旅行オプションは、ユーザのために特定される。
【背景技術】
【0003】
交通システムは一般に、最初/最後のマイルの問題に直面している。ユーザは、自分の出発地から交通ネットワークに到達する、および/または、交通ネットワークから自分の目的地に移動するという課題に直面する。公知のシステムは、オンデマンドレッグ(leg)を固定レッグに止める(stitching)ことによって、またはその逆によって、最初/最後のマイルの課題を解決しようとする。非公式に、これは、パーク・アンド・ライドとして知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の態様は、独立請求項に記載されている。いくつかの任意選択の特徴は、従属請求項に定義される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示される技術の実施は、1つまたは複数の重要な技術的利点を提供する。これは、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに基づいて決定される変動乗り継ぎ地点(variable transit point)を有するネットワークの生成を含む。変動乗り継ぎ地点は、固定またはスケジュールベースの交通サービスによって制約されず、固定された位置に厳密に割り当てられなくてもよい。しかし、その場所は、任意の望ましい効果を最大化し、パラメータに関する任意の望ましくない効果またはリスクを最小化するために、交通ネットワークの1つまたは複数のパラメータを考慮して適切に決定される。
【発明の効果】
【0006】
少なくともいくつかの実装形態では、本明細書で開示される技術は、多くのパラメータに対して最適化されるパレート最適化(pareto-optimised)旅行オプションの特定を提供する。本技術はまた、タクシー配車交通モード(ride-hailing transportation mode)に関連付けられる変動乗り継ぎ地点を提供する。変動乗り継ぎ地点は、ドライバの供給、アクセス可能性、料金急騰のリスク、または最小限の迂回のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
ここで、本発明を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【0008】
【
図1】
図1は、交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置を含む例示的な通信システムを示す概略ブロック図である。
【0009】
【
図2A】
図2Aは、交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置を示す概略ブロック図を示す。
【0010】
【
図2B】
図2Bは、データレコードを示す概略ブロック図を示す。
【0011】
【
図2C】
図2Cは、交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置において実行される方法を示すフローチャートを示す。
【0012】
【
図3】
図3は、時間-価格空間におけるマルチモーダル移動(trip)の比較例を示す。
【0013】
【
図4】
図4は、マルチモーダルネットワークの一例を示す。
【0014】
【
図5A】
図5Aは、右上のノードから左下のノードへの最適な可能なマルチモーダル経路を示す例を示す。
【0015】
【
図5B】
図5Bは、時間および料金の2D空間におけるパレート最適化マルチモーダル旅程(itineraries)をフィルタリングした結果を示す。
【0016】
【
図6】
図6は、マルチモーダル移動レコメンダーシステムのブロック図を示す。
【0017】
【
図7A】
図7Aは、マルチモーダル旅行オプションを生成するための方法を示すフローチャートを示す。
【0018】
【
図7B】
図7Bは、変動乗り継ぎ地点を決定するための方法を示すフローチャートを示す。
【0019】
【
図7C】
図7Cは、固定乗り継ぎ地点を決定するための方法を示すフローチャートを示す。
【0020】
【
図8A】
図8Aは、パレート最適化マルチモーダル旅行オプションの決定のための入力としてのマルチモーダルネットワークの例を示す。
【0021】
【
図8B】
図8Bは、入力として
図8Aのマルチモーダルネットワークを使用して、出力としてパレート最適化マルチモーダル旅行オプションを有するマルチモーダルネットワークの例を示す。
【0022】
【
図9】
図9は、例示的なデータ構造およびそれらの目的を示す。
【0023】
【0024】
【
図10B】
図10Bは、インドネシアのジャカルタの一部について決定された上位100個のノードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
マルチモーダル移動レコメンダーシステムは、例えば、競合するマルチモーダル旅程を生成し、特定するためのシステムを提供する。
【0026】
ユーザまたは誰かを出発地(O)から目的地(D)に到達させるためのシステムが提供される。このシステムは、任意の時点におけるユーザの選好および状況に合わせることができ、最も最適化された経路にある。システムは、オンデマンドおよび/またはタクシー配車交通オプション、ならびに公共交通(または任意の第3者交通サービス)基盤を活用する。そして、1つ(または複数)の可能な旅行(マルチモーダル旅行を含む)を介して、乗客を出発地から目的地に到達させる。その可能な旅行は、乗客の選好(例えば、継続時間、料金、乗り換え回数など)に関して最適化される。
【0027】
システムは、以下の技術的特徴のうちの1つまたは複数を含む。
【0028】
(i)マルチモーダル移動生成:ノードがストリート(または交差点)であり、エッジがノードを接続する交差点(またはストリート)であるグラフの道路ネットワークと、ノードが指定された停止場であり、エッジが接続点であるグラフの交通ネットワークとを仮定すると、両方のネットワークのノード(または頂点)のインテリジェントフィルタリングに基づいて、出発地(O)を目的地(D)(すなわち、O→D)に接続するマルチモーダルネットワークを導き出す。
【0029】
道路ネットワークおよび交通ネットワークは、道路ネットワーク用のオープンストリートマップ(OSM)データソース、および交通ネットワーク用の公的に利用可能な公共交通データに基づいて、社内で生成される。
【0030】
(ii)マルチモーダル最適移動特定:導出されたマルチモーダルネットワークに基づいて、システムは、効率的な多目的のサーチを実行して、ユーザまたは乗客の1つまたは複数の選好に関して、出発地(O)から目的地(D)までの1つまたは複数の最適経路を特定する。
【0031】
最初に
図1を参照すると、様々な実施形態に適用可能な通信システム100が示されている。通信システム100は、通信サーバ装置102と、第1のユーザ(またはクライアント)通信デバイス104と、第2のユーザ(またはクライアント)通信デバイス106とを含む。これらのデバイス102、104、106は、例えば、インターネット通信プロトコルを実現するそれぞれの通信リンク110、112、114を介して、通信ネットワーク108(例えばインターネット)の中または通信ネットワーク108に接続される。通信デバイス104、106は、他の通信ネットワーク(例えば、移動セルラー通信ネットワークを含む公衆交換電話ネットワーク(PSTNネットワーク))を介して通信することができる。しかし、これらは、明確にするために、
図1から省略されている。デバイス104、106と同様の1つまたは複数の他の通信デバイスが存在し得ることを理解されたい。
【0032】
通信サーバ装置102は、
図1に概略的に示されるように単一のサーバであり、複数のサーバコンポーネントに分散された通信サーバ装置102によって実行される機能を有している。
図1の例では、通信サーバ装置102は、多数の個別のコンポーネントを含む。その個別のコンポーネントは、1つまたは複数のマイクロプロセッサー(μP)116と、実行可能命令120のロードのためのメモリ118(例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)のような揮発性メモリ)とを含む。実行可能命令120は、サーバ装置102がプロセッサ116の制御の下で実行する機能性を規定する。しかし、これらに限定されない。通信サーバ装置102はまた、サーバ装置102が通信ネットワーク108を介して通信することを可能にする入出力(I/O)モジュール122を含む。ユーザインターフェース(UI)124は、ユーザ制御のために設けられ、例えば、1つまたは複数のコンピューティング周辺デバイス(例えば、ディスプレイモニタ、コンピュータキーボードなど)を含む。通信サーバ装置102は、データベース(DB)126を含む。その目的は、以下の説明から容易に明らかになる。
【0033】
ユーザ通信デバイス104は、多数の個別のコンポーネントを含む。その個別のコンポーネントは、1つまたは複数のマイクロプロセッサー(μP)128と、実行可能命令132のロードのためのメモリ130(例えば、RAMのような不揮発性メモリ)とを含む。実行可能命令132は、ユーザ通信デバイス104がプロセッサ128の制御下で実行する機能を規定する。しかし、これらに限定されない。ユーザ通信デバイス104はまた、ユーザ通信デバイス104が通信ネットワーク108を介して通信することを可能にする入力/出力(IO)モジュール134を含む。ユーザ制御のために、ユーザインターフェース(UI)136が提供される。ユーザ通信デバイス104が例えば、スマートフォンまたはタブレットデバイスである場合、ユーザインターフェース136は、多くのスマートフォンおよび他の携帯デバイスにおいて普及しているようなタッチパネルディスプレイを有する。あるいは、ユーザ通信デバイス104が例えば、デスクトップまたはラップトップコンピュータである場合、ユーザインターフェースは、例えば、1つまたは複数のコンピューティング周辺装置(例えば、ディスプレイモニタ、コンピュータキーボード等)を有する。
【0034】
ユーザ通信デバイス106は、例えば、ユーザ通信デバイス104と同一または類似のハードウェアアーキテクチャを有するスマートフォンまたはタブレットデバイスである。
【0035】
図2Aは、交通関連サービスのリクエストを管理するための通信サーバ装置202を示す概略ブロック図である。一方、
図2Bは、通信サーバ装置202によって生成されるデータレコード240を示す概略ブロック図である。
【0036】
通信サーバ装置202は、プロセッサ216と、メモリ218とを含む。通信サーバ装置202は、メモリ218に保存された命令を実行するプロセッサ218の制御下で、ユーザリクエストデータ(出発地を示すデータフィールドと、目的地を示すデータフィールドとを含む)を受信することに応答して、出発地から目的地までの対応する複数の乗り継ぎ地点用のデータ(非限定的な例として、各データ244a、244bとして乗り継ぎ地点データフィールド242a、242bのために図示されている)を有する複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kを有するデータレコード240を生成するように構成されている。複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kは、変動乗り継ぎ地点に相当するデータ244bを有する変動乗り継ぎ地点データフィールド(例えば、図の目的のために、データフィールド242b)を含む。その変動乗り継ぎ地点は、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定される。通信サーバ装置202は、データレコード240において、出発地から目的地までのナビゲーション方向を定義する対応する複数の移動(trip)セクションのために、複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nを生成するように構成される。各移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nについて、通信サーバ装置202は、移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nを複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kのそれぞれの乗り継ぎ地点データフィールドと関連付けるように構成されている。さらに、通信サーバ装置202は、乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kのデータ244a、244bに基づいて、対応する移動セクションのそれぞれの交通モードを決定し、各交通モードに関して、交通(transit)データ(非限定的な例として、移動セクションデータフィールド246a,246cのために、各交通データ248a、248cとして図示される)を生成するようにさらに構成されている。プロセッサ216およびメモリ218は、(線217によって表されるように)互いに結合され、例えば、物理的に結合され、および/または電気的に結合されている。プロセッサ216は、プロセッサ116の文脈で説明したものであってもよく(
図1)、および/または、メモリ218は、メモリ118の文脈で説明したものであってもよい(
図1)。
【0037】
すなわち、交通関連サービスのリクエストを管理するまたは旅行計画の通信サーバ装置202を設けてもよい。サーバ装置202は、ユーザにより、交通関連サービスの(予約)リクエストに関するユーザリクエストデータを受信する。リクエストは、例えば、ユーザ通信デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルド/ポータブル通信デバイス、デスクトップまたはラップトップコンピュータなど)によって行われる。メモリ218に記憶され、プロセッサ216によって実行される命令にしたがって、そして、出発地(O)(または開始位置)を示すデータフィールドおよび目的地(D)(または終了位置)を示すデータフィールドを含むユーザリクエストデータを受信するのに応答して、通信サーバ装置202は、複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kを有するデータレコード240を生成する。そのうちの少なくとも1つは、変動乗り継ぎ地点データフィールド(例えば242b)である。複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kの各々は、出発地から目的地までの対応する複数の乗り継ぎ地点についてのデータ244a、244bを含む。変動乗り継ぎ地点データフィールド242bに関連する変動乗り継ぎ地点に対応するデータ244bは、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータ(または条件)に関連するデータに基づいて適切に決定される。データ(例えば、244a、244b)は、乗り継ぎ地点データ、または対応する複数の乗り継ぎ地点のより大きなデータセットの一部、または対応する乗り継ぎ地点データフィールド(例えば、242a、242b)である。
【0038】
通信サーバ装置202はさらに、データレコード240内に、OからDへのナビゲーション方向を定義するために、またはOからDへの移動をカバーするために、対応する複数の移動セクション(またはセグメントまたはレッグ)に関する複数の移動(またルート)セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nを生成する。複数の移動セクションは、OからDへの連続するまたは接続する移動セクションを含む。
【0039】
複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242k、および複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nは、データレコード240内に任意の適切な方法で配置される。
【0040】
任意の数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242k、および/または任意の数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nがあることを理解されたい。移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nの数は、乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kの数よりも多くてもよい。
【0041】
各移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nについて、通信サーバ装置202はさらに、複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kのそれぞれの乗り継ぎ地点データフィールドに移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nを関連付けるように構成されている。非限定的な例として、
図2Bの点線両矢印によって示されるように、移動セクションデータフィールド246aは、乗り継ぎ地点データフィールド242aに関連付けられる。移動セクションデータフィールド246bは、乗り継ぎ地点データフィールド242cに関連付けられる。移動セクションデータフィールド246cは、乗り継ぎ地点データフィールド242bに関連付けられる。移動セクションデータフィールド246dは、乗り継ぎ地点データフィールド242kに関連付けられる。移動セクションデータフィールド246eは、乗り継ぎ地点データフィールド242bに関連付けられるなどである。
【0042】
各移動セクションデータフィールド(例えば、非限定的な例として、データフィールド246aを使用する)について、通信サーバ装置202は、関連する乗り継ぎ地点データフィールド(例えば、242a)のデータ(例えば、244a)に基づいて、対応する移動セクション用のそれぞれの交通モードを決定し、それぞれの交通モードに関する交通データ(例えば、248a)を生成するようにさらに構成される。交通データ(例えば、248a、248c)は、対応する移動セクションデータフィールド(例えば、246a、246c)のより大きなデータセットの一部である。
【0043】
乗り継ぎ地点データ(例えば、244a、244b)および交通データ(例えば、248a、248c)は、ユーザへの表示/提示のために、またはユーザによる選択のために、送信または提供される。このようなデータは、リクエストを行ったユーザの通信デバイスに送信される。
【0044】
データレコード240は、メモリ218に記憶されてもよいし、通信サーバ装置202のデータベース(例えば、
図1の126)の一部として記憶されてもよい。
【0045】
複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nおよび複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kは、出発地から目的地までの複数の旅行オプションを定義するように生成される。複数の旅行オプションの各旅行オプションは、複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドによって定義される。少なくとも2つの移動セクションデータフィールドは、出発地から始まり、目的地で終わる単一の旅行のナビゲーション方向を定義する対応する移動セクションのためのものである。複数の旅行オプションは、少なくとも1つのマルチモーダル旅行オプションを含む。
【0046】
「マルチモーダル」旅行オプションは、それぞれの異なる交通モードに関連する少なくとも2つの移動セクションを有する旅行オプションを意味する。言い換えれば、マルチモーダル旅行オプションの少なくとも2つの移動セクションは、異なる交通モード(すなわち、マルチモーダル)によって供給される。
【0047】
説明したように、各移動セクション(または移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246n)は、関連するまたは対応する乗り継ぎ地点(または乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242k)を有する。それぞれの乗り継ぎ地点は、それぞれの移動セクションの開始点または終了点を意味する。変動乗り継ぎ地点は、ユーザが変動乗り継ぎ地点に関連する移動セクションを開始する地点または位置、あるいはユーザが移動セクションを終了または停止する地点または位置を指す。
【0048】
変動乗り継ぎ地点とは別に、複数の乗り継ぎ地点は、1つまたは複数の固定乗り継ぎ地点および/または1つまたは複数の他の変動乗り継ぎ地点を含む。これは、複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kが固定乗り継ぎ地点に対応するデータを有する1つまたは複数の固定乗り継ぎ地点データフィールドと、変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する1つまたは複数の変動乗り継ぎ地点データフィールドとを含むことを意味する。
【0049】
「固定乗り継ぎ地点」は、スケジュールベース/固定(時刻表)交通モード/サービス(例えば、LRT、MRT、列車、バス、フェリー等)によって供給される移動セクションに関連付けられる。したがって、固定乗り継ぎ地点は、固定/スケジュールベースの移動セクションに関連付けられる。非限定的な例として、固定乗り継ぎ地点は、列車の駅、バス停、またはフェリーターミナルなどに対応する。
【0050】
「変動乗り継ぎ地点」は、オンデマンド/変動交通モード/サービス(例えば、タクシー配車サービスまたはライドシェアリング(ride-sharing)サービスなど)によって供給されている移動セクションに関連付けられる。したがって、変動乗り継ぎ地点は、変動/オンデマンド移動セクションに関連付けられる。変動乗り継ぎ地点は、固定サービスの存在によって制約されない。変動乗り継ぎ地点の位置は、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定されるように、潜在的に変化する。
【0051】
変動乗り継ぎ地点(またはそのデータ)は、任意に選択されるよりむしろ、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータ、または単にユーザの「現在」位置に固定された乗り継ぎ地点に基づいて決定されることを理解されたい。例えば、変動乗り継ぎ地点に関連する移動セクションで開始することを望むユーザの場合、変動乗り継ぎ地点は、必ずしも、ユーザが現在いる正確な場所でなくてもよい。むしろ、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連する情報は、移動セクションを開始するための適切な変動乗り継ぎ地点を決定するために処理または分析される。これは、ユーザの「現在」位置から離れている可能性がある。
【0052】
非限定的な例として、複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kおよび対応するデータ244a、244bは、装置202の乗り継ぎ地点ランキングエンジン(または回路またはモジュール)によって生成される。複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nは、装置202のルーティングエンジン(または回路またはモジュール)によって生成される。ルーティングエンジンは、移動セクションを提供するために、予測価格設定エンジンと、時間依存ルーティングエンジンと、時間非依存ルーティングエンジンとを含む。そして、関心のある基準(例えば、継続時間、料金、交通データの一部としての乗り換え回数)をパラメータ化する。乗り継ぎ地点ランキングエンジン、予測価格設定エンジン、時間依存ルーティングエンジン、および時間非依存ルーティングエンジンのうちの1つまたは複数は、プロセッサ216の一部であってもよく、またはプロセッサ216によって実装されてもよい。
【0053】
様々な実施形態では、複数の移動セクションおよび複数の乗り継ぎ地点は、出発地から始まり、目的地で終わる複数の旅行オプション(または候補旅行)を定義する。これは、ユーザリクエストデータに応答して、OからDへ移動のために、複数のマルチモーダル旅行オプション(または候補マルチモーダル旅行)を生成することを意味する。複数の移動セクションおよび複数の乗り継ぎ地点をそれぞれの旅行オプションに定義する。旅行オプションは、複数の移動セクションのうちの少なくともいくつかと、少なくとも1つの乗り継ぎ地点とを含む。1つの全旅行オプションは、複数の移動セクションのうちの2つまたは複数によって定義されてもよい。複数の移動セクションのうちの1つまたは複数は複数の旅行オプションで定義され、および/または複数の乗り継ぎ地点のうちの1つまたは複数は複数の旅行オプションで定義されることを理解されたい。これは、移動セクションおよび/または乗り継ぎ地点が2つ以上の旅行オプションによって共有されるか、またはそれらに共通であることを意味する。複数の旅行オプションは、少なくとも1つのマルチモーダル旅行オプションを含む。
【0054】
様々な実施形態では、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータは、動的交通ネットワーク関連パラメータを含む。例えば、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関する情報は、リアルタイムで変動可能であってもよい。
【0055】
様々な実施形態では、複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kは、複数の変動乗り継ぎ地点データフィールド(例えば、データフィールド242bを含む)を含む。複数の変動乗り継ぎ地点データフィールドの各変動乗り継ぎ地点データフィールドは、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定される各変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する。各変動乗り継ぎ地点データフィールドは、複数の旅行オプションのそれぞれの旅行オプションの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドの移動セクションデータフィールドに関連付けられる。
【0056】
通信サーバ装置202は更に、複数の旅行オプションから、各旅行オプションを定義する少なくとも2つの移動セクションデータフィールドに対応する交通データ(例えば、248a、248c)に基づいて、1つまたは複数のパレート最適化旅行オプションを特定するように(メモリ218に記憶された命令を実行するためにプロセッサ216の制御下)構成されている。パレート最適化旅行オプションは、交通データの1つまたは複数のコンポーネント(例えば、継続時間、料金、または乗り換え回数のうちの少なくとも1つ)に関して最適化される。1つまたは複数のパレート最適化旅行オプションは、例えば、プロセッサ216の一部として、装置202の多目的最短経路エンジン(または回路またはモジュール)を使用して特定される。
【0057】
通信サーバ装置202はさらに、定義されたイプシロン分解能値に基づいて、特定されるパレート最適化旅行オプションの数を制御するように(メモリ218に記憶された命令を実行するためにプロセッサ216の制御下で)構成される。これは、定義または指定されるイプシロン分解能の値に基づいて達成される。
【0058】
様々な実施形態では、道路ネットワーク、および別個に交通ネットワークをメモリ218に格納する。複数の乗り継ぎ地点データフィールド242a、242b、242c~242kおよび複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nは、道路ネットワークおよび交通ネットワークに対応するデータを使用して生成される。「道路ネットワーク」は、時間に依存しないネットワークであり、需要/変動交通モードまたはサービスに関連付けられる。一方、「交通ネットワーク」は、時間に依存するネットワークであり、スケジュールベース/固定交通モードまたはサービスに関連付けられる。道路ネットワークと交通ネットワークとを別々に維持することによって、適切なルーティングアルゴリズムを各ネットワークに適用することができる。非限定的な例として、収縮階層(Contraction Hierarchy)アルゴリズムを道路ネットワークに使用する。一方、接続スキャンアルゴリズムを交通ネットワークに使用する。
【0059】
通信サーバ装置202は、道路ネットワークまたは交通ネットワークの少なくとも1つにリアルタイムでデータ更新を提供するように(プロセッサ216の制御下で、メモリ218に記憶された命令を実行するように)、さらに構成されている。2つのネットワークを別々に維持管理した結果、それぞれのネットワークに更新が別々に提供される。
【0060】
様々な実施形態では、変動乗り継ぎ地点データフィールド(例えば、242b)に関連付けられた移動セクションデータフィールド(例えば、246c)用のそれぞれの交通モードは、ライドシェアリング交通モードを含む。これは、例えば、カーシェアリング、カープール又は自転車シェアリングを含む。
【0061】
様々な実施形態では、変動乗り継ぎ地点データフィールド(例えば、242b)に関連付けられた移動セクションデータフィールド(例えば、246c)用のそれぞれの交通モードは、タクシー配車交通モードを含む。これは、例えば、自動車配車、または自転車(自動二輪)配車を含む。
【0062】
様々な実施形態では、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータは、ドライバの供給、ユーザへの(変動乗り継ぎ地点の)アクセス可能性、料金サージ関連パラメータ、または迂回関連パラメータのうちの少なくとも1つに対応する。
【0063】
少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータが料金サージ関連パラメータに対応する実施形態では、通信サーバ装置202は、データレコード240内に、出発地(O)から目的地(D)までの対応する複数の初期変動乗り継ぎ地点用の複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドを生成するように(プロセッサ216の制御下で、メモリ218に記憶された命令を実行するように)、さらに構成されている。また、通信サーバ装置202は、複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの各初期変動乗り継ぎ地点データフィールドについて、料金サージ関連パラメータの値(例えば、サージ乗数値)を決定するように構成されている。また、複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが料金急騰の高リスクを示す閾値を上回る値を有する場合、通信サーバ装置202は、初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する初期変動乗り継ぎ地点を無視(または除去)するように構成されている。そして、複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが閾値未満の値を有する場合、通信サーバ装置202は、変動乗り継ぎ地点(例えば、変動乗り継ぎ地点データフィールド242bに対応する)の候補として、初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する初期変動乗り継ぎ地点を維持するように構成されている。料金急騰の危険性が高いことを示すカットオフポイントとして閾値を設定し、閾値と比較することにより、料金急騰の傾向があるか、または料金急騰の高い危険性を有する変動乗り継ぎ地点は、考慮から除外される。
【0064】
少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータが迂回関連パラメータに対応する実施形態では、通信サーバ装置202は、データレコード240内で、出発地(O)から目的地(D)までの対応する複数の一次変動乗り継ぎ地点のための複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドを生成するように(プロセッサ216の制御下で、メモリ218に記憶された命令を実行するように)さらに構成される。また、通信サーバ装置202は、複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドの各一次変動乗り継ぎ地点データフィールドについて、迂回関連パラメータの(ランキングまたは重要度)値を決定するように構成される。複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの一次変動乗り継ぎ地点データフィールドが最小迂回を示す閾値を超える値を有する場合、通信サーバ装置202は、変動乗り継ぎ地点の候補(例えば、変動乗り継ぎ地点データフィールド242bに対応する)として、その一次変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する一次変動乗り継ぎ地点を維持するようにさらに構成されている。そして、複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの一次変動乗り継ぎ地点データフィールドが閾値未満の値を有する場合、その一次変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する一次変動乗り継ぎ地点を無視(または除去)するように構成される。最小の迂回を表すカットオフポイントとして閾値を設定し、閾値と比較することによって、迂回を最小にする変動乗り継ぎ地点は、考慮のために維持される。本明細書で使用される「一次」という用語は、「初期」を意味し、料金サージ関連パラメータに関して上述した「初期変動乗り継ぎ地点」という用語と区別するために使用されている。
【0065】
様々な実施形態では、通信サーバ装置202は、複数の移動セクションデータフィールド246a、246b、246c、246d、246e~246nの1つの移動セクションデータフィールドにおいて、対応する移動セクションを通るユーザの移動進行(travel progress)を更新するように(プロセッサ216の制御下でメモリ218に格納された命令を実行するように)構成されている。そして、通信サーバ装置202は、対応する移動セクションの終了前に(例えば、対応する移動セクションの終了に向かって)、ユーザの通信デバイスを介して、ユーザに警告を提供するようにさらに構成されている。
【0066】
図2Cは、交通関連サービスのリクエストを管理するために通信サーバ装置において実行され、通信サーバ装置のプロセッサの制御下で実行される方法を示すフローチャート250を示す。出発地(O)を示すデータフィールドと、目的地(D)を示すデータフィールドとを含むユーザリクエストデータを受信することに応答して、252において、出発地から目的地まで対応する複数の乗り継ぎ地点のデータを有する複数の乗り継ぎ地点データフィールドを含むデータレコードが生成される。複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定される変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する変動乗り継ぎ地点データフィールドを含む。254において、複数の移動セクションデータフィールドは、出発地から目的地までのナビゲーション方向を定義する対応する複数の移動セクションのためにデータレコード内に生成される。256において、各移動セクションデータフィールドについて、移動セクションデータフィールドは、複数の乗り継ぎ地点データフィールドのそれぞれの乗り継ぎ地点データフィールドに関連付けられる。さらに、関連する乗り継ぎ地点データフィールドのデータに基づいて、対応する移動セクションについてそれぞれの交通モードが決定される。交通データは、各交通モードに関して生成される。
【0067】
様々な実施形態では、複数の移動セクションデータフィールドおよび複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、出発地から目的地までの複数の旅行オプションを定義するように生成される。複数の旅行オプションの各旅行オプションは、複数の移動セクションデータフィールドのうちの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドによって定義される。少なくとも2つの移動セクションデータフィールドは、出発地から始まり、目的地で終わる単一の旅行のナビゲーション方向を定義する対応する移動セクションのためである。複数の旅行オプションは、少なくとも1つのマルチモーダル旅行オプションを含む。
【0068】
複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、複数の変動乗り継ぎ地点データフィールドを含む。複数の変動乗り継ぎ地点データフィールドの各変動乗り継ぎ地点データフィールドは、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定される各変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する。各変動乗り継ぎ地点データフィールドは、複数の旅行オプションのそれぞれの旅行オプションの少なくとも2つの移動セクションデータフィールドの移動セクションデータフィールドに関連付けられる。
【0069】
本方法は、複数の旅行オプションから、各旅行オプションを定義する少なくとも2つの移動セクションデータフィールドに対応する交通データに基づいて、1つまたは複数のパレート最適化旅行オプションを特定する工程をさらに含む。この方法は、定義されたイプシロン分解能値に基づいて、特定されるべきパレート最適旅行オプションの数を制御する工程をさらに含む。
【0070】
様々な実施形態では、複数の乗り継ぎ地点データフィールドおよび複数の移動セクションデータフィールドは、別々に維持される道路ネットワークおよび交通ネットワークから生成される。データ更新は、リアルタイムで道路ネットワークまたは交通ネットワークのうちの少なくとも1つに提供される。
【0071】
様々な実施形態では、変動乗り継ぎ地点データフィールドに関連する移動セクションデータフィールド用の各交通モードは、ライドシェアリング交通モードを含む。
【0072】
様々な実施形態では、変動乗り継ぎ地点データフィールドに関連する移動セクションデータフィールド用の各交通モードは、タクシー配車交通モードを含む。
【0073】
様々な実施形態では、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータは、ドライバの供給、ユーザへのアクセス可能性、料金サージ関連パラメータ、または迂回関連パラメータのうちの少なくとも1つに対応する。
【0074】
少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータが料金サージ関連パラメータに対応する実施形態では、方法は、データレコードにおいて、出発地から目的地までの対応する複数の初期変動乗り継ぎ地点についての複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドを生成する工程と、複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの各初期変動乗り継ぎ地点データフィールドについて、料金サージ関連パラメータの値を決定する工程と、をさらに含む。方法はまた、複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが料金高騰の高リスクを示す閾値を超える値を有する場合、その初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する初期変動乗り継ぎ地点を無視する工程を有する。また、方法は、複数の初期変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの初期変動乗り継ぎ地点データフィールドが閾値未満の値を有する場合、変動乗り継ぎ地点の候補として、その初期変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する初期変動乗り継ぎ地点を維持する工程を含む。
【0075】
少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータが迂回関連パラメータに対応する実施形態では、方法は、データレコードにおいて、出発地から目的地までの対応する複数の一次変動乗り継ぎ地点のための複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドを生成する工程と、複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドの各一次変動乗り継ぎ地点データフィールドについて、迂回関連パラメータの値を決定する工程と、をさらに含む。方法はまた、複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの一次変動乗り継ぎ地点データフィールドが最小迂回を示す閾値を上回る値を有する場合、変動乗り継ぎ地点の候補として、その一次変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する一次変動乗り継ぎ地点を維持する工程を含む。また、方法は、複数の一次変動乗り継ぎ地点データフィールドの1つの一次変動乗り継ぎ地点データフィールドが閾値を下回る値を有する場合、その一次変動乗り継ぎ地点データフィールドに対応する一次変動乗り継ぎ地点を無視する工程を含む。
【0076】
本方法は、複数の移動セクションデータフィールドのうちの1つの移動セクションデータフィールドにおいて、対応する移動セクションを通るユーザの移動進行を更新する工程と、対応する移動セクションの終了前に、ユーザの通信デバイスを介してユーザに警告を提供する工程とをさらに含む。
【0077】
通信サーバ装置202の文脈における記述は、フローチャート250の文脈で説明されている方法に関連して適用可能であり、その逆も同様であることが理解されるべきである。
【0078】
また、本明細書で説明するような交通関連サービスのリクエストを管理するための方法を実施するための命令を有するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0079】
また、本明細書で説明するような交通関連サービスのリクエストを管理するための方法を実施するための命令を有するコンピュータプログラムが提供される。
【0080】
さらに、命令を記憶する非一時的記憶媒体が提供される。これは、プロセッサによって実行されると、本明細書で説明されるような交通関連サービスのリクエストを管理するための方法をプロセッサに実行させる。
【0081】
様々な実施形態はさらに、交通関連サービスのリクエストを管理する通信システムをさらに提供する。その通信システムは、通信サーバ装置と、少なくとも1つのユーザ通信デバイスと、通信サーバ装置のために動作可能な通信ネットワーク装置とを有する。少なくとも1つのユーザ通信デバイスは、それを介して互いに通信を確立する。少なくとも1つのユーザ通信デバイスは、第1のプロセッサと、第1のメモリとを含む。少なくとも1つのユーザ通信デバイスは、第1のプロセッサの制御下で、出発地を示すデータフィールドと目的地を示すデータフィールドとを含む第1のリクエストデータの受信に応じて、第1のメモリに記憶された第1の命令を実行し、出発地と目的地に対応するデータを生成し、処理のために通信サーバ装置によって受信用のデータを送信するように構成されている。通信サーバ装置は、第2のプロセッサと、第2のメモリとを含む。通信サーバ装置は、第2のプロセッサの制御下で、少なくとも1つのユーザ通信デバイスによって送信されるデータを示す第2のリクエストデータの受信に応じて、出発地から目的地までの対応する複数の乗り継ぎ地点のデータを有する複数の乗り継ぎ地点データフィールドを含むデータレコードを生成するために、第2のメモリに記憶された第2の命令を実行するように構成されている。その複数の乗り継ぎ地点データフィールドは、少なくとも1つの交通ネットワーク関連パラメータに関連するデータに基づいて決定される変動乗り継ぎ地点に対応するデータを有する変動乗り継ぎ地点データフィールドを含む。通信サーバ装置は、データレコードにおいて、出発地から目的地までのナビゲーション方向を定義する対応する複数の移動セクションの複数の移動セクションデータフィールドを生成するように構成されている。各移動セクションデータフィールドについて、通信サーバ装置は、複数の乗り継ぎ地点データフィールドのそれぞれの乗り継ぎ地点データフィールドと移動セクションデータフィールドを関連付けるようにさらに構成されている。通信サーバ装置はさらに、関連する乗り継ぎ地点データフィールドのデータに基づいて、対応する移動セクションのそれぞれの交通モードを決定し、それぞれの交通モードに関する交通データを生成するように構成されている。そして、通信サーバ装置は、少なくとも1つのユーザ通信デバイスによる受信のために、複数の移動セクションに対応するデータを送信し、複数の移動セクションの各移動セクションのために、移動セクションに関連するそれぞれの乗り継ぎ地点に対応するデータと、移動セクションのための各交通モードに対応するデータと、各交通モードに関する交通データとを送信するように構成されている。
【0082】
様々な実施形態は、次の特徴のうちの1つまたは両方によって、1つまたは複数の問題に対処する。特徴(i)は、出発地(O)から目的地(D)(O→D)への可能な競合マルチモーダル移動をエンコードするマルチモーダルネットワークの作成である。特徴(ii)は、1つまたは複数の基準に関して好ましいマルチモーダル移動を抽出するための、上記の特徴(i)において作成されたマルチモーダルネットワーク上の推論である。
【0083】
マルチモーダル移動は、2つ以上のレッグを含む。その各レッグは、異なる交通モードによって供給される。一般に、交通モードは、オンデマンド/変動(例えば、グラブカー、グラブバイク、グラブタクシー、グラブサイクルなどのライドシェアリングまたはタクシー配車モード/サービス)またはスケジュールベース/固定(時刻表)サービス(例えば、LRT、MRT、列車、バス、フェリーなど)の2つのタイプのうちの1つである。
【0084】
一方、シングルモード移動は、具体的な基準に関して最適である。例えば、公共交通機関は、時間および乗り換え回数を犠牲にして、O→Dのための安価な手段を提供する。一方、タクシーは、典型的に、OからDに到達するための迅速で簡便な方法を提供する。
【0085】
一方、マルチモーダル移動は、2つ以上の基準(例えば、料金、時間、および乗り換え回数)の間のトレードオフを提供する。
【0086】
図3は、時間-価格空間においてマルチモーダル移動をどのように比較するかの例を示す。これは、異なるマルチモーダルルートまたは旅行オプションについての時間と価格の間のトレードオフを例示している。
図3は、マルチモーダルルート推奨において使用されるパレート最適性のアプローチをさらに示す。
【0087】
公共交通区間または移動セクションを有するマルチモーダルルートは、「サンドウィッチ」乗客のための旅行オプションである。この乗客は、純粋な公共交通移動よりも速い移動をしたいが、2地点間移動より安い移動をしたい。
図3において、y軸上の「時間」は、移動時間、乗り換え回数、歩行時間等の一般化された尺度を示すために使用される。純粋な公共交通ルート(星型360で表される)、マルチモーダルルートまたは旅行オプション(「i」、「ii」、「iii」とラベル付けされた黒い正方形と、異なる旅行オプションに対して「1」、「2」、「3」、「4」とラベル付けされた黒いひし形とで表される)と、2地点間(point-to-point)ルート(星型362で表される)は、
図3に示すように、移動の時間および価格によって分類される。黒い正方形「i」から「iii」と、黒いひし形「1」から「4」は、最適なマルチモーダル旅行オプションを表す黒いひし形「1」から「4」とともに、実現可能なマルチモーダル旅行オプションを表す。ひし形「4」で表されるマルチモーダル旅行オプションは、理想的ではあるが、時にはまれなケースを示す。その時間は、2地点間ルート362よりも短い。観察されるように、マルチモーダル移動は、公共交通ルート(星型360によって表される)と、2地点間ルート(星型362によって表される)との間のどこかにあるトレードオフの目的関数で解を提供する。
【0088】
最適条件は、以下のように示される。マルチモーダルωは、他のルートがない場合および他のルートがない場合のみ、パレート最適である。(時間υ,価格υ)≦(時間ω,価格ω)。ここで、「≦」は、ベクトル不等号であり、a≦b、ai≦bi∀i(「∀」は「すべてについて」を意味する)であり、a≠bである。
【0089】
パレート最適性については、以下でさらに説明する。
最適なシングルモード移動を見つけることは、通常、対応する交通モードの経路(グラフ)のネットワーク上の最短経路問題として扱われる。マルチモーダル移動または旅行では、時間依存ネットワーク(または交通ネットワーク)(例えば、MRT)と、時間非依存ネットワーク(または道路ネットワーク)(例えば、タクシー配車サービス)との2つの異なるタイプのネットワークを考慮する必要がある。異なるルーティングアルゴリズムは、例えば、道路ネットワークのための収縮階層アルゴリズムと、交通ネットワークのための接続スキャンアルゴリズムとを、異なるネットワークに適用する。
【0090】
道路ネットワークおよび交通ネットワークは、様々な実施形態において別々に維持される。これにより、ネットワークのそれぞれに対して、適切なルーティングアルゴリズムを使用することができる。高レベルの軽量ネットワーク(またはマルチモーダルネットワーク)が構築される。そのノードは、1つのモード(それぞれ1つのネットワークタイプ)から別のモードへの乗り継ぎ地点を表す。このようなマルチモーダルネットワークの非限定的な例を
図4に示す。
【0091】
図4は、出発地(O)(またはピックアップ)462から目的地(D)(またはドロップオフ)464へ誘導されたマルチモーダルネットワーク460の例を示す。出発地462と目的地464との間に複数の乗り継ぎ地点(そのデータは乗り継ぎ地点データフィールドに提供される)を提供または生成する。そのうちの1つまたは複数は、変動乗り継ぎ地点(2つの変動乗り継ぎ地点について466a、466bで表す)である。そのうちの1つまたは複数は、固定乗り継ぎ地点(3つの固定乗り継ぎ地点について468a、468b、468cで表す)である。点466a、466bなどの変動乗り継ぎ地点は、変動/オンデマンドレッグまたは移動セクションの開始(または終了)を示す。一方、点468a、468b、468cなどの固定乗り継ぎ地点は、固定/スケジュールベースのサービスの開始(または終了)を示す。
図4の頭字語「POI」は、「関心点」を意味する。これは、検討中のマップ内の特別な点を指す。様々な実施形態では、乗り継ぎ地点はPOIである。固定POI(例えば、バス停、MRTステーションなど)および変動POI(1つまたは複数の乗り継ぎ地点が収縮階層アルゴリズムによって選択される)がある。
【0092】
マルチモーダル旅行オプションを含む複数の旅行オプションは、出発地462から目的地464まで、複数の乗り継ぎ地点を介して定義される。非限定的な例として、第1の旅行オプションは、移動セクション(またはリンクまたはレグ)470a、472、474、476と、変動乗り継ぎ地点466aと、固定乗り継ぎ地点468a、468bとを含む。第1の旅行オプションは、マルチモーダル旅行オプションである。別の例として、移動セクション470b、472、474、476と、同じ乗り継ぎ地点466a、468a、468bとを有する第2の旅行オプションがある。さらなる非限定的な例として、移動セクション478、480aを有する第3の旅行オプションと、移動セクション478、480bを有する第4の旅行オプションとが生成される。その両方の旅行オプションは、同じ変動乗り継ぎ地点466bを含む。様々な移動セクション(例えば、470a、470b、472、474など)に関する情報またはデータを、それぞれの移動セクションデータフィールドに提供する。
【0093】
異なる移動セクションは、それぞれの交通モードまたはサービスに対応するか、またはそれらを供給する。例えば、移動セクション472に関与する歩行があってもよい。2つの固定乗り継ぎ地点468a、468bの間の移動セクション474などの移動セクションは、固定/スケジュールベースの交通モード(例えば、シャトル、バス、MRTなど)に対応する。変動乗り継ぎ地点に関連付けられるか、またはそれにリンクする移動セクション(例えば、移動セクション470a、470b、480bなど)は、ライドシェアリングサービスまたはタクシー配車サービスなどの変動/オンデマンド交通モード/サービスに対応する。
【0094】
図4において、頭字語「GB」はGrabBike(タクシー配車)、「GC」はGrabCar(タクシー配車)、「GS」はGrabShare(ライドシェアリングサービス)を指す。頭字語「GF」はGrabFareを指し、GrabFareは特定の旅行の料金を決定するのに役立つ内部API(アプリケーションプログラミングインターフェース)サービスである。さらに、頭字語「GR」は、ルーティングに関連する内部APIサービスであるGrabRoadを指す。このサービスは、特定の旅行の継続(duration)を決定するために呼び出され、または開始される。
【0095】
各移動セクションまたはリンク上のルーティングは、移動セクションのタイプに基づいて行われる。非限定的な例として、接続スキャンアルゴリズムは、両端に四角形を有する破線によって表される移動セクション(例えば、移動セクション474)に使用される。収縮階層(または収縮階層アルゴリズム)は、両端に円を有する点線によって表される移動セクション(例えば、移動セクション470a、478、480a)に使用される。様々な実施形態では、接続スキャンアルゴリズムは、固定/スケジュールベースの交通モード/サービスに対応する移動セクションに使用される。一方、収縮階層は、変動/オンデマンド交通モード/サービスに対応する移動セクションに使用される。
【0096】
乗り継ぎ地点は、OD依存性および/または時間依存性であってもよい。これは、一般に、最適ルートに含まれるべき乗り継ぎ地点(変動および固定の両方)を決定する際に適用される。「OD依存」によって、乗り継ぎ地点は、ネットワークから決定されることを意味する。その結果、OからDへのシングルモード旅行を使用して、ユーザまたは乗客がとるルートと比較して、またはルートを越えて、マルチモーダル旅行において最小限の迂回を被る。「時間依存」によって、乗り継ぎ地点が決定されることを意味する。その結果、後続のオンデマンド/変動レッグの割振りが最大化され、予測料金と実際の料金との間の不一致が最小化される。
【0097】
配分(またはオンデマンド交通サービスの運転者へのユーザの割り当て)を最大にするために、より良好な供給(すなわち運転者)量を有する変動乗り継ぎ地点が、旅行オプションのために推奨される。
【0098】
予測料金と実際の料金との間の差を最小限に抑えるために、様々な実施形態は、リアルタイム条件を追跡することによって、および乗り継ぎ地点を選択し、ルートを作成する際に予測モデルを組み込むことによって、価格急増のリスクを管理する。料金は、以下の1つまたは複数に基づいて予測される。それは、(例えば、変動移動セクションのための最短経路アルゴリズムによって、および固定移動セクションのための接続スキャンアルゴリズムによって)それぞれの乗り継ぎ地点への乗客の推定到着時間と、供給(ドライバの利用可能性)と、需要(予約の数)と、(例えば、ナイーブ予測および機械学習モデルによって)それぞれの乗り継ぎ地点での予測の急増と、である。
【0099】
バス停、MRTステーション、または他の公共交通施設に典型的に対応する固定乗り継ぎ地点の形態の1つのタイプの乗り継ぎ地点のみを有する既知のシステムと比較して、様々な実施形態のマルチモーダルネットワーク(例えば、マルチモーダルネットワーク460(
図4))は、固定交通サービスの存在によって制約されない1つまたは複数の変動乗り継ぎ地点をさらに含む。さらに、変動乗り継ぎ地点の判定は、様々な実施形態において決定変数の一部を形成する。
【0100】
変動乗り継ぎ地点は、以下のいずれかまたは両方に基づいて決定または選択される。
【0101】
(1)変動乗り継ぎ地点は、アクセス可能であり、乗客をピックアップし、降ろすのに適している。これは、履歴予約データを活用し、データから推論および検証を行うことによって達成される。
【0102】
(2)変動乗り継ぎ地点は、あまりに多くの迂回を被るべきではない。これは、収縮階層(CH)アルゴリズムを実施することによって達成される。このアルゴリズムでは、ノードは、最初に「重要度」によって順序付けられる。「階層」は、最も重要度の低いノードを反復的に「縮小」することによって生成される。ノード(例えば、ノードu)を縮小することは、ショートカットによってノードを通過する最短経路に置き換えることを意味する(例えば、以下でさらに説明する
図10Aを参照されたい)。高い重要度は、対応するストリートセグメントが接続するストリートセグメントの数に対して多くの最短経路の一部であることを示す。言い換えれば、移動のルートは、ネットワークの残りの部分よりも、そのようなストリートセグメントのいくつかを通過する可能性が高い。このアプローチは、アクセス可能性および最小迂回基準の両方を捕捉する。CHアルゴリズム出力の一例を、以下にさらに説明する
図10Bに示す。
【0103】
固定乗り継ぎ地点に加えて、様々な実施形態における変動乗り継ぎ地点の実施は、より多くのルートの可能性を開くことができる。これは、その後、推奨される1つまたは複数の最適な旅行オプションまたはルートを得る機会を増大させる。さらに、変動乗り継ぎ地点は、(例えば、履歴予約データに基づいて)アクセス可能性および/または(例えば、収縮階層アルゴリズムによって)迂回が少ないことを考慮して決定される。
【0104】
導出されたネットワークは、
図4の例に示されるように、可能なマルチモーダル旅行オプションまたは旅程を提供またはエンコードする。しかしながら、生成された旅行オプションの全てが最適ではない場合がある。
図5Aは、右上のノード560から左下のノード562までの(複数の矢印によってトレースされる)可能な最適なマルチモーダル経路を示す例を示す。異なるタイプの矢印(実線矢印、点線矢印など)は、異なる交通モードを表すために
図5Aに提供される。その結果、複数の異なるノード(ノードは
図5Aにおいて実線の円によって表される)を介して、右上のノード560から左下のノード562に進む様々な異なる可能なマルチモーダル経路/選択肢があることを示す。ノード560からノード562への各経路の組み合わせは、以下でさらに説明する
図5Bに示すように、時間および料金に関して異なる性能目標をもたらす。
【0105】
図5Aで生成された各マルチモーダル経路またはルートについて、その関連する時間および料金を決定または計算する。時間(f1)および料金(f2)の正規化された値を取り、それらを時間および料金の2D空間にプロットすることによって、マルチモーダル経路は、
図5Bに示された2D空間グラフに投影される。ここで、
図5Bの各点(白抜き円および塗りつぶし円)は、生成されたマルチモーダル旅行オプションを表す。網掛けの領域の点(塗りつぶし円で表される)は、支配的(すなわち、準最適なマルチモーダル旅行オプションまたは旅程)であることを示す。一方、網掛けの領域の前の点(白抜き円で表される)は、パレート最適化(比類なきまたは非支配的)マルチモーダル旅行オプションを示す。
【0106】
推奨される最適なマルチモーダル旅行オプションの数は、
図5Bに示されるように、イプシロン-ドミナンスのアプローチに基づいて制御される。異なる解像度が異なる数のパレート最適化マルチモーダル旅程を提供することを示すために、様々なイプシロン解像度値が
図5Bに示される。非限定的な例として、1のイプシロン分解能は、1つのパレート最適化旅行オプションまたは旅程を提供する。0.25のイプシロン分解能は、2つのパレート最適化旅行オプションを提供する。0.2のイプシロン分解能は、3つのパレート最適化旅行オプションを提供する。ユーザまたは乗客に提示されるパレート最適化旅行オプションまたは旅程の数は、イプシロン分解能値を調整することによって制御される。
図5Bに示すように、最適な旅行オプションの数は、イプシロン分解能が増加することにつれて減少する。
【0107】
マルチモーダルシステムの1つの特徴は、ユーザ自身の選好に応じて、より多くのオプションをユーザに提供することである。例えば、5つの最適な旅行オプションが選択用に乗客に提供されるべきであると決定された場合、0.1のイプシロン分解能値が設定される。
図5Bでは、イプシロン分解能0.1に対応するグラフについて、白丸(白抜き円)で表される5つのパレート最適化旅行オプションは、参照を容易にするために、それぞれ「1」~「5」とラベル付けされている。極端に予算を意識しているユーザまたは乗客について、ユーザは、旅行オプション「5」を選択する。一方、極端に時間を意識している別のユーザは、旅行オプション「1」を選択する。さらに、乗客自身のそれぞれの予算および/または継続時間の要件に適合するために、乗客が選択するための、間に3つの他の旅行オプション、すなわち「2」、「3」および「4」がある。
【0108】
ここで、非限定的な例示的な装置および方法を説明する。
【0109】
図6は、マルチモーダル(MM)移動レコメンダーシステム662のブロック図を示す。レコメンダーシステム662は、通信サーバ装置の一部である。MMシステム662は、1つまたは複数のモジュールまたはエンジンを含む。これは、限定はされないが、マルチモーダルネットワーク生成エンジン664と、乗り継ぎ地点ランキングエンジン666と、予測価格設定エンジン668と、時間依存ルーティングエンジン670と、時間非依存ルーティングエンジン672と、多目的最短経路エンジン674とを含む。マルチモーダルネットワーク生成エンジン664と、乗り継ぎ地点ランキングエンジン666、予測価格設定エンジン668、時間依存ルーティングエンジン670、時間非依存ルーティングエンジン672および多目的最短経路エンジン674のそれぞれと、の間に通信があってもよい。
図6に示す「1」~「4」は、以下に説明する各工程に対応する。
【0110】
1.乗客は、ピックアップポイント(出発地:O)、ドロップオフポイント(目的地:D)、および出発時刻(T)を指定する予約リクエスト660を作成する。したがって、出発地(O)を示すデータフィールドと、目的地(D)を示すデータフィールドとを含むユーザリクエストデータがある。ユーザリクエストデータは、出発時刻(T)を示すデータフィールドをさらに含む。
【0111】
2.MMシステム662は、リクエスト660を受信する。そして、マルチモーダルネットワーク生成エンジン664は、マルチモーダルネットワークのノード(例えば、乗り継ぎ地点)を検索するために乗り継ぎ地点ランキングエンジン666を呼び出すことによって、そのプロセスを開始する(例えば、
図4を参照)。乗り継ぎ地点ランキングエンジン666は、低いサージ値を有する時間非依存乗り継ぎ地点のリストを得るために呼び出される。時間依存ルーティングエンジン670はまた、時間依存乗り継ぎ地点のリストを取得するために呼び出される。
【0112】
3.マルチモーダルネットワーク生成エンジン664は、予測価格設定エンジン668と、時間依存ルーティングエンジン670と、時間非依存ルーティングエンジン672とを呼び出して、リンク(例えば、
図4に示されるエッジを参照)を追加し、関心のある基準(例えば、交通データの一部を定義するための、移動セクションまたはレッグの継続時間、移動セクションの料金、乗り換えの回数)でリンクをパラメータ化する。工程(2)において、時間依存ルーティングエンジン670は、時間依存乗り継ぎ地点のリストを戻すのみである。工程(3)において、時間依存ルーティングエンジン670はまた、乗り継ぎ地点と、それぞれのパラメータ(継続時間、料金、および乗り換え回数)との間のリンクを戻す。
【0113】
4.マルチモーダルネットワーク生成エンジン664は、生成されたマルチモーダルネットワークを多目的最短経路エンジン674に渡して、パレート最適化マルチモーダル旅行オプションまたは旅程を特定する。これは、順番に乗客に渡される。
【0114】
図7Aは、マルチモーダル旅行オプション(またはルート)を生成する方法を示すフローチャート750を示す。
【0115】
752において、ピックアップポイント(O)、ドロップオフポイント(D)、およびピックアップ時間(T)は、ユーザリクエストに基づいて取得される。
【0116】
754において、OからDへの旅行について、変動乗り継ぎ地点は、マルチモーダルネットワークに含まれるように、決定され、または選択される。変動乗り継ぎ地点に対応するデータは、それぞれの変動乗り継ぎ地点データフィールドに提供される。
【0117】
756において、OからDへの旅行について、固定乗り継ぎ地点は、マルチモーダルネットワークに含まれるように、決定され、または選択される。固定乗り継ぎ地点に対応するデータは、それぞれの固定乗り継ぎ地点データフィールドに提供される。
【0118】
758において、1つまたは複数のリンクは、定義されたフレームワークに基づいて、決定された変動乗り継ぎ地点および固定乗り継ぎ地点のそれぞれに追加される。これは、「変動-固定-変動」または「変動-変動」を含むが、これらに限定されない。料金(またはコスト)、継続時間、および乗り換え回数は、交通データを定義するために、各リンクのために決定される。
【0119】
760において、パレート最適マルチモーダル移動セクションまたは旅程は、費用、時間、および乗り換え回数を考慮して(例えば、多目的最短経路(MOSP)アルゴリズムによって)決定される。これは、758で追加された(すべての)可能なリンクがコスト、時間、および乗り換え回数のパレート最適性に基づいて評価されることを意味する。より詳細は、
図8Aおよび8Bを参照して以下にさらに説明される。
【0120】
762において、マルチモーダル旅行オプション(またはルート)が生成される。
【0121】
図7Bは、変動乗り継ぎ地点(または関心点、POI)を決定するための方法を示すフローチャート770を示す。
【0122】
772において、変動乗り継ぎ地点の初期のリストが(例えば、収縮階層アルゴリズムによって)検索される。
【0123】
774で、初期リストから、OからDへの旅行またはルートに最も近い変動乗り継ぎ地点を有するさらなるリストが選択される。
【0124】
776において、それぞれの変動乗り継ぎ地点への到着時間が推定される。
【0125】
778において、サージ乗算器の値は、それぞれの変動乗り継ぎ地点の位置および推定到着時間に基づいて推定される。
【0126】
780において、変動乗り継ぎ地点がランク付けされ、最低サージ乗算器の値を有する変動乗り継ぎ地点の定義された数nが選択される。
【0127】
782で、必要な変動乗り継ぎ地点は、マルチモーダルネットワークのために選択される。
【0128】
図7Cは、固定乗り継ぎ地点(または関心点、POI)を決定するための方法を示すフローチャート790を示す。
【0129】
792において、Oから最も近い固定乗り継ぎ地点の定義された数n1と、Dから最も近い固定乗り継ぎ地点の定義された数n2とは、決定または取得される。
【0130】
794において、公共交通またはスケジュールベースのサービスは、(例えば、接続スキャンアルゴリズム(CSA)によって)Oに近い各固定乗り継ぎ地点からDに近い各固定乗り継ぎ地点まで生成される。
【0131】
796において、必要な変動乗り継ぎ地点は、マルチモーダルネットワークのために選択される。
【0132】
パレート最適化マルチモーダル移動セクションまたは旅程は、以下のように、多目的最短経路アルゴリズムに基づいて生成される。
【0133】
図8Aは、ノード「0」862aによって表される出発地(O)からノード「1」864aによって表される目的地(D)へのパレート最適化マルチモーダル旅行オプションの決定のための入力としてのマルチモーダルネットワーク860aの例を示す。非限定的な例として、マルチモーダルネットワーク860aは、複数の移動セクション(リンク)(例えば、866a、867a、868a、869a、870a、871a、872a、873a)と、複数の乗り継ぎ地点(ノード「2」から「10」によって表される)を含む。この複数の乗り継ぎ地点は、固定乗り継ぎ地点(例えば、ノード「2」874a)と、変動乗り継ぎ地点(例えば、ノード「7」876a)とを含む。マルチモーダルネットワーク860aは、出発地862aから目的地864aへの複数の旅行オプションを提供する。例えば、旅行オプションは、乗り継ぎ地点876aおよび移動セクション869a、870aを介して、破線矢印878aによってトレースされるように示される。
【0134】
マルチモーダルネットワーク860a(「G(V、E、W)」であってもよい)は、頂点(V)(またはノード)、エッジ(E)(またはリンク)、およびそれぞれの重み付け/目的関数(W)を含む。考慮される目的関数は、対応する交通モードの交通データを定義する継続時間(分で示される)、料金($)、および乗り換え数(X T)を含む。
【0135】
図8Bは、入力としてマルチモーダルネットワーク860a(
図8A)を使用する、出力としてのパレート最適化マルチモーダル旅行オプションを有するマルチモーダルネットワーク860bの例を示す。
図8Bにおいて、より細い線は、非パレート最適移動セクション(例えば、移動セクション870a)を表す。一方、より太い線は、パレート最適移動セクション(例えば、移動セクション873a)を表す。
【0136】
マルチモーダルネットワーク860bは、パレート最適化ルートのリストを示す。ルートは、他のルートが上述の3つの目的関数の全てにおいてより良好でない場合に、パレート最適である。
【0137】
関連する手順は、以下を含む。
‐ui←uの初期状態(状態とは、検討中の3つの目的関数の値の配列を指す)。
‐uの非支配的セットのセットに追加する(他のルートが3つの目的関数すべてにおいてより良好でない場合、ルートは、パレート最適/非支配的である)。
‐初期状態を優先度キューPQに置く。
‐PQが空でない間:
〇 p←最も高い優先度を有する状態をポップする(優先度がその目的関数で辞書順に並べられる)。
〇 pのノードの隣接ノードを繰り返し、それらの状態を生成する。
■ 隣接ノードrの生成された状態lがrの現在の非支配的状態のセットに対してパレート最適である場合:
●rの非支配的状態のセットにlを加える。
●PQにlを加える。
‐uの非支配的状態のセットを戻す。
【0138】
図9は、様々な実施形態において使用され得る例示的なデータ構造、およびそれらの対応する目的を示す。
【0139】
様々な実施形態は、既知のシステムおよび方法を超える改善を提供する。
【0140】
1.限られたタイプのマルチモーダル移動
既知のシステムは、「変動+固定」、「固定+変動」の形式の移動を提供する。一方、様々な実施形態はさらに、「変動+変動」、「変動+固定+変動」等の形式の移動を提供することができる。これは、公知のシステムが1つのタイプのみの乗り継ぎ地点(すなわち、固定された乗り継ぎ地点)を有することを意味する。一方、様々な実施形態が別のタイプの乗り継ぎ地点(すなわち、変動乗り継ぎ地点)を考慮することを意味する。
【0141】
これらの追加のルーティング形態の効果は、ダイナミック料金/利用可能性が(以下でさらに説明する「急騰リスク」および「配分リスク」の後続のポイントに関連して)考慮されるとき、明らかになる。
【0142】
変動乗り継ぎ地点は、2つの変動移動セクションまたはレッグを連結する。固定乗り継ぎ地点は、一般に、固定またはスケジュールベースの交通モードが提供される乗り継ぎ地点に相当する。例えば、これは、列車の駅、バス停、またはフェリーターミナルなどである。一方、変動乗り継ぎ地点は、固定サービスの存在によって制約されない。さらに、変動乗り継ぎ地点は、アクセス可能であり、乗客をピックアップし、降ろすのに適していることが好ましい。また、変動乗り継ぎ地点は最小限の迂回を被ることが望ましい。アクセス可能性は過去の予約で評価され、検証されるが、最小限の迂回の問題を過去の予約で検討することは簡単ではない。この点に関して、重要度の概念は、道路ネットワーククエリア上の最短距離/時間を促進(早める)する際に採用される。
【0143】
道路ネットワーク上での効率的なルーティングのために、収縮階層(CH)アルゴリズムを使用する。これは、道路ネットワークの圧縮された道路セグメントのランキングを維持する。高い重要度は、対応するストリートセグメントが接続するストリートセグメントの数に対して、多くの最短経路の一部であることを示す。言い換えれば、移動のルートは、ネットワークの残りの部分よりも、そのようなストリートセグメントのいくつかを通過する可能性が高い。この概念は、アクセス可能性および最小迂回基準の両方を捕捉する。
【0144】
図10Aを参照すると、ノードu1060は、ノードv1062およびノードw1064よりも重要ではないと考えられる。したがって、ノードu1060は、重要なノードv1062およびw1064をリンクするショートカット1066で縮小される。数字「3」、「4」、および「7」の各々は、エッジ重みを表す。これは、1つの点から他の点までの距離/継続時間に対応する。収縮階層の間、元の重みは、その収縮バージョンで合計することによって維持される。
【0145】
例示的な非限定的な例として、
図10Bは、インドネシアのジャカルタの一部について決定された上位100個のノード(潜在的な変動乗り継ぎ地点)を示す。ノードは、
図10Bにおいて、黒丸によってマークされている。一方、マーカーは、ジャカルタの重要なストリートの100個の代表的なPOI(関心のある地点)である。すなわち、CHによれば、変動乗り継ぎノードは、対応するストリートに沿って潜在的に適切である。
【0146】
2.急騰リスク
マルチモーダル移動の後続のレッグが将来発生するので、料金が適切にまたは正確に推定される場合に、対応する料金を予測する必要がある。既知のシステムは、この問題に対処していない。様々な実施形態は、以下のように、過去のデータに基づいてこのリスクに対処しようと試みる。
【0147】
(a)乗り継ぎ地点の予測ランキング:機械学習モデルは、供給、サージなどの観点で、OからDまでのルートに沿った乗り継ぎ地点をリアルタイムでランク付けするために構築される。これは、考慮すべき高すぎる急騰リスクを有する乗り継ぎ地点を廃棄する際の第1段階と考えることができる。
【0148】
(b)移動セクションまたはレッグの予測価格設定:高リスクの乗り継ぎ地点をフィルターした後、サージを起こしやすい1つまたは複数の後続の移動セクションの料金を推定する。
【0149】
3.配分リスク
マルチモーダル移動の後続レッグが将来起こるため、対応する(運転者)供給条件を予測する必要がある。急騰リスクと同様に、既知のシステムは、この問題に対処していない。しかしながら、様々な実施形態は、急騰リスクに対するアプローチと同様なこのリスクを取り扱うことができる。リスクは、乗り継ぎ地点(POI)の予測モデルおよび推定価格/供給条件に基づいて処理される。
【0150】
4.効率的なネットワークのメンテナンスおよび照会
様々な実施形態は、マルチモーダルネットワークを生成するために、様々なタイプのネットワーク(変動交通モード/サービスによってカバーされる道路ネットワークと、固定交通モード/サービスによってカバーされる交通ネットワーク)を別々に維持する。そのようなアプローチは、以下のうちの1つまたは複数を可能にする。
【0151】
●各ネットワーク用のそれぞれのまたは特殊化されたルーティングアルゴリズム(例えば、時間非依存の収縮階層(CH)、時間依存の接続スキャンアルゴリズム(CSA))を使用する能力。
●時間依存ネットワークにリアルタイム更新を導入することの容易さ。時間依存ネットワークは別々に維持されるため、急いで時間依存ネットワークを修正するために、リアルタイム更新のストリームを消費することはより簡単である。そのような更新の例は、推奨されるルートまたは移動セクションに影響を及ぼす列車遅延/乱れを含む。更新は時間非依存ネットワークに提供されるが、これらは、推奨されるルートまたは移動セクションに何ら影響を及ぼさない。このような更新は、タクシー配車交通サービスのための交通/車両のリアルタイム位置を追跡する目的のためである。その結果、ユーザまたは乗客は、その所在を知ることができる。
●拡張可能性(scalability)とメンテナンスの容易さ。
【0152】
時間依存(交通)ネットワークと、時間非依存(道路)ネットワークとの間に効率的でモジュール式のネットワークを構築することによって、1つまたは複数の動的変動乗り継ぎ地点は、時間依存ネットワーク上にリアルタイム更新の追加によって、決定または作成される。非限定的な例として、列車の故障中に、周辺地域におけるタクシー配車サービスの需要が増加する。これは、その後、その地域におけるサージ値を増大させる。この場合、乗り継ぎ地点ランキングエンジンは、変動乗り継ぎ地点を選択する可能性が低い。本明細書で説明されるように、変動乗り継ぎ地点は、接続性およびより少ない迂回(CHアルゴリズム)、ドライバ供給の利用可能性(配分リスク)、および価格競争力(急騰リスク)のうちの1つまたは複数に基づいてリアルタイムで決定される。
【0153】
さらに、様々な実施形態において記載されたリアルタイム能力を有することによって、ユーザは、必ずしも、マルチモーダル旅行または旅行全体について高度な予約を行う必要がない。この点に関して、様々な実施形態において、移動の状態は追跡される。そして、ユーザは、次の移動セクションの予約を行うようにユーザに警告するために、ユーザがいる移動セクションの終わり付近または終わりに向かって促される。
【0154】
上述したように、出発地(O)から目的地(D)(「O→D」)に到達しようとするユーザ/乗客のためのマルチモーダル旅行オプションを生成することによって、マルチモーダル旅行または移動を推奨するための装置、方法、およびシステムが提供される。競合する(または最適である)マルチモーダル旅行オプションも特定される。マルチモーダル旅行は、O→Dのための旅行を構成する2つ以上の移動セクションを含む。ここで、旅行は、タイプ/モード(例えば、オンデマンド/変動(または時間非依存)サービス(例えば、タクシー、ライドシェアリング、タクシー配車、バイクシェアリングプラットフォーム/スキーム)、およびスケジュールベース/固定(または時刻表または時間依存)サービス(例えば、MRT、地下鉄、電車、バス、フェリー)など)の、異なる移動セクションにおける異なる交通手段によって供給される。例えば、旅行は、オンデマンドサービスの組み合わせ、固定サービスの組み合わせ、またはオンデマンドサービスと固定サービスの組み合わせを含む。
【0155】
2つのネットワーク(道路ネットワークおよび交通ネットワーク)は、別々に維持される。そこから、道路ネットワークおよび交通ネットワークの両方の情報を使用して、マルチモーダルネットワークを導出する。「道路ネットワーク」とは、相互接続されたノード(すなわち、道路/交差点)(「変動乗り継ぎ地点」)のシステムを指す。マルチモーダルシステムにおける道路ネットワークは、オンデマンド/変動交通サービスによってカバーされる。「交通ネットワーク」とは、相互接続されたノード(すなわち、指定された停止場)(「固定乗り継ぎ地点」)のシステムを指す。マルチモーダルシステムにおける交通ネットワークは、固定/スケジュールベースのサービスによってカバーされる。道路ネットワークと交通ネットワークとを別々に保つことによって、最適なルーティングアルゴリズムは、それぞれの異なるネットワーク(例えば、収縮階層ルーティング、または接続スキャンアルゴリズムなど)に適用される。さらに、リアルタイム更新は、いずれかのネットワークに別々に提供されてもよい。
【0156】
マルチモーダルネットワークは、異なる乗り継ぎ地点を有する様々な旅行オプションを提供する。その異なる乗り継ぎ地点は、変動/オンデマンド移動セクションの開始(または終了)を示す「変動乗り継ぎ地点」と、固定/スケジュールベースのサービスの開始(または終了)を示す「固定乗り継ぎ地点」とを含む。乗り継ぎ地点は、シングルモードO→D旅行にわたるマルチモーダル旅行における迂回を最小限に抑え、予測料金と実際の料金との間の不一致を最小限に抑えるように選択される。より良好な供給(すなわち、ドライバ)量を有する乗り継ぎ地点も、配分を最大にするように、後続のオンデマンド/変動レッグのために、ユーザにマルチモーダルネットワークによって推奨される。
【0157】
導出されたマルチモーダルネットワークに基づいて、O→Dのための最適なマルチモーダル旅行は、ユーザ選好に従って特定される。最適なマルチモーダル旅行オプションは、「パレート効率」を使用して特定され、選択のためにユーザに多くのパレート最適化旅行オプションを提供する。これは、1つのパラメーター(例えば、コスト)に対するユーザの選好に基づいて旅行オプションを選択するユーザが他のパラメータ(例えば、時間および/または利便性)に関して、(可能な限り最良の方法で)あまり多くの被害を受けないことを保証するのに役立つ。ユーザに推奨されるまたは利用可能にされる最適なマルチモーダル旅行オプションの数を制限/制御する最適化のために、「イプシロンドミナンス」の概念を使用する。
【0158】
システムはまた、履歴データに基づいて、サージ価格設定の高いリスクを有するマルチモーダルネットワーク内の乗り継ぎ地点を決定し、任意に推奨されるマルチモーダル旅行オプションからそのような乗り継ぎ地点を除去する。
【0159】
様々な実施形態が、より多くのアプリケーションをカバーするために使用され、他の交通(自転車、フェリー、およびミニバンを含むが、これらに限定されない)モードを含むように拡張されてもよいことを理解されたい。様々な実施形態はまた、供給および需要の形態において採用されてもよく、潜在的に、サービスのための一貫した価格設定を可能にしてもよい。
【0160】
また、本明細書で説明するような交通関連サービスのリクエストを管理するための方法を実施するための命令を有するコンピュータプログラム製品と、交通関連サービスのリクエストを管理するための方法を実施するための命令を有するコンピュータプログラムと、プロセッサによって実行されると、プロセッサに交通関連サービスのリクエストを管理するための方法を実行させる命令を記憶する非一時記憶媒体とがまた提供される。
【0161】
本発明は、例としてのみ記載されていることが理解される。添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される技術に様々な修正を行うことができる。開示された技術は、スタンドアロン方式で、または互いに組み合わせて提供される技術を含む。したがって、1つの技術に関して説明された特徴は、別の技術と組み合わせて提示されてもよい。