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特許7397875ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム及びそれを利用したユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法
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  • 特許-ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム及びそれを利用したユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム及びそれを利用したユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021537417
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 KR2019006672
(87)【国際公開番号】W WO2020054947
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0109103
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518012755
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ ゲオサイエンス アンド ミネラル リソーセズ(ケイアイジーエイエム)
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】キ,ウォン-ソ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ドンウ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジュン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンホ
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-215998(JP,A)
【文献】特開2018-077829(JP,A)
【文献】特開2014-132231(JP,A)
【文献】国際公開第02/001505(WO,A1)
【文献】石井裕剛,屋内環境の自動モデル化機能を備えたVR地震体験システムの開発と評価,日本バーチャルリアリティ学会論文誌,日本,特定非営利活動法人日本バーチャルリアリティ学会,第21巻,第2号,第345-357頁,ISSN:1344-011X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多様な事物が配置されている生活空間をカメラで撮影した映像情報を受信する映像受信部と、
前記映像情報に撮影されている事物を客体と認識し、前記客体の3次元空間における位置及び大きさを抽出して空間情報に変換する映像信号処理部と、
前記空間情報に基づいて模擬された地震条件に応じて、地震発生時の前記生活空間における前記客体の運動現象のシミュレーションを行う地震シミュレーション部と、
を含み、前記シミュレーションは、前記生活空間のうち、耐震に脆弱な部分を示すことを特徴とする、
ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムであって、
前記ユーザの生活空間の耐震脆弱性は、前記シミュレーションが行われた後に倒れた家具によって脱出口までの動線がどのような長さになるのかによって決定することができ、動線が長いほど、高い脆弱性を示し、動線が短いほど、低い脆弱性を示し
前記地震シミュレーション部は動力学的シミュレーションを利用し、
前記動力学的シミュレーションは、それぞれの客体の衝突を検出し、作用力及び回転力によって計算された結果値を時間で積分し、その結果、速度及び変位を順次に計算することによって前記客体の運動を追跡し、
前記映像信号処理部は、認識された前記客体の密度、重さ、圧縮強度、引張強度、摩擦係数、ヤング率、ポアソン比、及び反発係数のうち少なくともいずれか一つの物性に関する情報を空間情報と共に利用し、
前記映像信号処理部は、認識された前記客体の接触対象に対する決着方法に関する情報を空間情報と共に利用し、
当該システムは、前記生活空間のアドレス、階数、耐震設計可否、及び地質学的情報のうち少なくとも一つの生活空間情報を提供する生活空間情報提供部を更に含み、
前記地震条件は、地震の強度及び前記生活空間情報によって決定されることを特徴とする、
ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム及びそれを利用したユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
韓国の地震観測史上最大の地震であるリヒタースケール5.8の地震が、2016年9月12日に慶尚北道慶州市で発生した。また、2017年11月15日には慶尚北道浦項市でリヒタースケール5.4の地震が発生した。
【0003】
地震のため、浦項では韓東大学の外壁が倒れ、大成アパートが傾くなど、地震被害として約672億ウォンの財産被害が発生した。
【0004】
何より大きい問題は、浦項市北区興海邑で70代の女性が倒れた壁に下敷きになって重傷を負うなど、62名が負傷する人名被害が発生したことである。
【0005】
このような地震による人名被害を予防するために、政府では地震時の行動要領を案内している。しかし、このような地震時の行動要領は一般的な事項のみ列挙されていて、現実感がない。
【0006】
地震による人名被害及び財産被害を減らすためには、個々の人々が実際に地震が発生したら自分の生活空間でどのような現象が起こるのかに関する現実感のある体験をする必要がある。つまり、自分の生活空間の耐震脆弱性を認知する必要がある。
【0007】
しかし、専門家が一々それぞれの生活空間を訪問して耐震脆弱性を評価することは不可能である。よって、より容易にそれぞれの生活空間の耐震脆弱性を分析し得る方案が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためのものであって、専門家が直接訪問しなくてもユーザの生活空間の耐震脆弱性を分析し得るシステムを提供しようとする。
【0009】
また、このようなユーザの生活空間の耐震脆弱性の分析システムを利用して得た結果に基づいて、ユーザにユーザの生活空間で地震を体験し得るシステムを提供しようとする。
【0010】
一方、本発明の明示されていない他の目的は、下記詳細な説明及びその他の効果から容易に推論し得る範囲内で追加的に考慮されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記一目的を達成するための本発明一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムは、多様な事物が配置されている生活空間をカメラで撮影した映像情報を受信する映像受信部と、前記映像情報に撮影されている事物を客体と認識し、前記客体の3次元区間における位置及び大きさを抽出して空間情報に変換する映像信号処理部と、前記空間情報に基づいて模擬された地震条件に応じて、地震発生時の前記空間における前記客体の運動現象をシミュレーションする地震シミュレーション部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
一例において、前記映像信号処理部は、人工神経網を介して前記客体の種類を認識することを特徴とする。
【0013】
一例において、前記映像信号処理部は、認識された客体の密度、重さ、圧縮強度、引張強度、摩擦係数、ヤング率、ポアソン比、及び反発係数のうち少なくともいずれか一つの物性に関する情報を空間情報と共に利用することを特徴とする。
【0014】
一例において、前記映像信号処理部は、認識された客体の接触対象に対する決着方法に関する情報を空間情報と共に利用することを特徴とする。
【0015】
一例において、前記生活空間のアドレス、階数、耐震設計可否、及び地質学的情報のうち少なくとも一つの生活空間情報を提供する生活空間情報提供部を更に含み、前記地震条件は、地震の強度及び前記生活空間情報によって決定されることを特徴とする。
【0016】
一例において、前記地震シミュレーションを行う過程をユーザに提供して生活空間での地震を間接体験するようにするディスプレー装置または仮想現実(VR)装置にシミュレーション過程及び結果を提供する送信部を更に含むことを特徴とする。
【0017】
前記一目的を達成するための本発明の他の実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法は、上述したシステムを利用する。この際、本発明他の実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法は、前記映像受信部がユーザが自分の生活空間を撮影した映像情報を受信するステップと、前記映像信号処理部で前記映像情報に撮影されている事物を客体と認識し、前記客体の3次元区間における位置及び大きさを抽出して空間情報に変換するステップと、前記地震シミュレーション部で前記空間情報に基づいて模擬された地震条件に応じて、地震発生時の前記空間における前記客体の運動現象をシミュレーションするステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムは、専門家によらずとも生活空間の測定ユニットを介して得たそれぞれのユーザの生活空間の情報に基づいて映像信号処理部で客体化し、客体化された生活空間に動力学シミュレーション部を介して地震状況を動力学的に模擬することで、該当生活空間の耐震性弱性を分析することができる。
【0019】
このように各生活空間の耐震性弱性を分析することで、該当生活空間のユーザは地震発生時に脆弱なところを補完して、地震による人名被害及び財産被害を減らすことができる。
【0020】
また、本発明の一例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムの結果を利用して、ユーザにユーザの生活空間における地震を体験する機会を提供することができる。
【0021】
一方、ここで明示的に言及されていない効果であっても、本発明の技術的特徴によって期待される下記明細書に記載されている効果及びその暫定的な効果は、本発明の明細書に記載されているように取り扱われることを付言する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムの構成図である。
図2】耐震脆弱性を分析する生活空間を示す図である。
図3】カメラを利用して生活空間を撮影し、映像情報を得ることを示す図である。
図4】映像信号処理部が映像情報から生活空間に含まれている客体を認識させることで、空間情報を得ることを示す図である。
図5a】空間情報に対して地震シミュレーションを行う過程を段階別に示す図である。
図5b】空間情報に対して地震シミュレーションを行う過程を段階別に示す図である。
図5c】空間情報に対して地震シミュレーションを行う過程を段階別に示す図である。
図5d】空間情報に対して地震シミュレーションを行う過程を段階別に示す図である。 ※添付した図面は本発明の技術思想に関する理解のために参照として例示されることを明らかにし、本発明の権利範囲はそれによって制限されない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を説明するに当たって、関連する公知機能に関して本分野の技術者に自明な事項であって、本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0024】
生活空間とは、部屋と居間などを含む住居空間や業務や事業を行う事務室、店などを意味する。人々は一日の大半をこのような生活空間で過ごすため、本人が生活する空間の地震脆弱性を把握することは地震による被害を減らすことに直結する。しかし、一般人が本人の生活空間の地震脆弱性を評価することは非常に難しく、専門家が直接全ての生活空間の地震脆弱性を評価することもコスト、時間などの問題で不可能である。
【0025】
そこで、発明者は一般人が本人の生活空間の耐震脆弱性を簡便に分析し得るユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムを開発した。
【0026】
図1は本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム1000の構成図であり、図2乃至図5は本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム1000の動作を説明するための図である。
【0027】
図1を中心に、図2乃至図5を参照して、本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム1000の構成及び動作について説明する。
【0028】
本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム1000は、映像受信部100、映像信号処理部200、及び地震シミュレーション部300を含む。一方、映像信号処理部200、地震シミュレーション部300、及び後述する生活空間情報提供部250が行う動作は、プロセッサやコントローラによってコンピュータまたは情報処理装置上で行われる。
【0029】
まず、図2のように、多様な事物を含む生活空間がある。このような生活空間の耐震脆弱性を分析するためには、生活空間に関する映像情報を収集すべきである。但し、より正確な耐震脆弱性を分析するためには、それぞれの事物を客体として認識し、生活空間に関する3次元情報が必要である。よって、本発明の一例で使用するカメラは、2次元的情報だけでなく、3次元的情報を含む映像情報を収集し得るべきである。
【0030】
例えば、カメラはモノレンズカメラ、ステレオレンズカメラ、及びデプスカメラからなる群より選択されたいずれか一つまたはこれらの組み合わせを利用する。但し、これに限らず、3次元的情報を収集し得るものであればライダー(Lidar)のような装置を利用してもよい。
【0031】
但し、本発明は一般人がほぼ持っている携帯電話のカメラを利用することで、本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム1000に対する接近性を向上させることができる。
【0032】
モノレンズカメラは、生活空間に関する2次元的情報以外にも、カメラの動きによる映像の差を利用して、生活空間に関する3次元的情報を含む映像情報を得ることができる。ステレオレンズカメラは、モノレンズカメラの原理に加え、2つのレンズから得られる映像の差を分析して、生活空間に関する2次元的情報以外にも生活空間に関する3次元的情報を含む映像情報を得ることができる。また、デプスカメラは、物体に反射して戻ってくる赤外線のパターンを検出し、生活空間に関する2次元的情報以外にも、デプス(depth)に関する情報まで含むRGBD情報のような3次元的情報を含む映像情報を得ることができる。
【0033】
カメラを介して得られた映像情報は、映像受信部100に伝送される。映像受信部100で受信した映像情報は、映像信号処理部200で耐震脆弱性分析のための処理が行われる。
【0034】
つまり、映像信号処理部200は、受信した映像情報を分析して映像情報に撮影された事物を客体と認識する。また、それぞれの客体の3次元区間における位置及び体積を抽出して空間情報に変換する。
【0035】
この際、客体とは空間を構成する全ての対象を意味する。例えば、床、壁、及び天井のような空間の外形を構成する対象と、テーブル、椅子、植木鉢、コップ、電灯、及び本のような空間を占める対象を含む。
【0036】
映像情報に撮影されている事物を客体と認識するために、本発明の一例の映像信号処理部200は、人工神経網、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN;Convolution Neural Network)を利用する。
【0037】
映像信号処理部200は、映像情報でそれぞれの事物を客体と認識する。詳しくは、人工神経網はデータベースに各客体が映像情報内にいかなる特徴を有するのかを貯蔵し、映像情報を分析して該当特徴を有する事物を客体と認識するのである。例えば、図4を参照すると、本発明の一例の映像情報から映像信号処理部200がテーブル、椅子、コップ、本、植木鉢、ドア、及び電灯などを客体と認識したことが分かる。この際、それぞれの客体は3次元空間における座標と大きさに関する情報を共に認識される。映像信号処理部200での客体の認識方法は公知の機能を利用してもよく、特定の方法に制限されない。
【0038】
一方、映像信号処理部200は、認識した客体の特性に関する情報または認識した客体の接触に対する決着方法に関する情報を空間情報と共に利用する。映像信号処理部200で客体が認識されると、映像信号処理部200は外部データベースまたは内部データベースに接続して該当客体の特性や決着方法を抽出する。
【0039】
客体の特性に関する情報とは、認識された客体の密度、重さ、圧縮強度、引張強度、摩擦係数、ヤング率、ポアソン比、及び反発係数のうち少なくとも一つの物性に関する情報を意味する。
【0040】
また、認識された客体の接触対象に対する決着方法に関する情報とは、認識された接触に対して置かれているのか、接着されているのか、紐によって垂れ下がっているのかなどを意味する。時計を例に挙げると、時計がテーブルと接していれば決着関係を「置かれている」と認識し、時計が壁と接していれば決着関係を「釘によって固定されている」と認識する。図4を参照すると、映像信号処理部200は図3のような映像信号から、テーブル及び椅子は床に置かれており、コップと本はテーブルの上に置かれており、植木鉢は椅子に置かれており、電灯は電線によって天井から垂れ下がっているなどの客体の接触対象に対する決着方法を認識して空間情報と共に利用する。
【0041】
一方、一つの映像方法に示されていないものに関する情報は、他の様々な地点から得た映像情報や、一般的な幾何形状予測によるデータベース基盤の推論を介して補完する。例えば、図3のテーブルの左側上の椅子は全体形状が撮影されていないが、一般に椅子はテーブルに隣接して配置されるものであり、一部の形状が椅子に当たるとの情報に基づいて椅子と認識する。
【0042】
要するに、映像信号処理部200は事物を客体と認識し、客体の種類に関する情報を認識する。また、映像信号処理部200は客体の大きさ及び3次元空間内での座標を認識し、客体の形状に関する情報を認識。また、それぞれの客体の物性に関する情報が分かる。そして、映像信号処理部200はこのような情報のうち一部または全部を空間情報として利用して、地震シミュレーション部300に伝送する。
【0043】
地震シミュレーション部300は区間情報を受信し、該当空間情報に対して地震条件を模擬する地震シミュレーションを行う。
【0044】
地震シミュレーションは動力学的シミュレーションを利用する。動力学シミュレーションとしては、アンリアルエンジン(Unreal Engine)、ユニティエンジン(Unity Engine)、ゲームメーカ(Gamemaker)を利用する。このようなアンリアルエンジン、ユニティエンジン、ゲームメーカは、それぞれのサイトからサービス提供者が購入して利用し得る。
【0045】
一方、各個別空間における地震条件は、地震の強度だけでなく震源からの距離、階数、及び建物の耐震設計可否によって変更され得るため、本発明の一例は生活空間のアドレス、回数、耐震設計可否、建築方式(組積式、鉄筋コンクリート式など)、及び地質学的情報のうち少なくとも一つの生活空間情報を提供する生活空間情報提供部250を更に含む。生活空間情報提供部250は、国土部、建築都市研究情報センター、地質資源研究院などのデータベースから必要な生活空間情報を受信して地震シミュレーション部300に提供する。
【0046】
つまり、地震シミュレーション部300の地震条件は、地震強度と生活空間情報によって決定される。
【0047】
地震シミュレーション部300では、空間情報に基づいて模擬された地震条件に応じて地震発生時に前記空間における前記客体の運動現象をシミュレーションする。つまり、地震シミュレーション部300はそれぞれの客体の衝突を感知し、作用力と回転力を計算して出た結果値を時間で積分し、速度及び変位を順次に計算することで、客体の運動を追跡する。
【0048】
図5を参照して詳しく説明すると、シミュレーションが進行するによる動作を説明する。
【0049】
まず、図5aから分かるように、それぞれの客体は安定した状態で置かれている。
【0050】
地震条件に応じてシミュレーションが始まると、図5bのように垂れ下がっている電灯が揺れ、椅子の上に置かれている植木鉢も振動し、コップも倒れるようになる。この際、コップは円筒状であるため、倒れた後は力と作用点などに変化が生じてより容易に転がるようになる。
【0051】
次に、図5cに示したように、椅子の上に置かれていた植木鉢も落ちるようになる。この際、割れる特性を有する植木鉢が既に割れていることが分かる。
【0052】
最後に図5dを見ると、コップとドアにも最終段階では割れが生じることが分かる。また、天井に垂れ下がっていた電灯も固定ピンが抜けるようになり、下に垂れ下がっていることが分かる。
【0053】
このように地震シミュレーションを行うと、客体の状態変化に応じて生活空間で地震による大きな被害が予想される位置がどこであるのかが分かる。よって、ユーザは本人の生活空間をカメラを利用して撮影することで、本人の生活空間のいかなる部分が耐震に脆弱なのかが分かる。よって、ユーザは容易に本人の生活空間の耐震脆弱性の高い部分を補完し、地震発生時に予想される被害を防止することができる。
【0054】
特に、ユーザは地震条件の地震強度を変化させながら、自分の生活空間がどの大きさの地震まで安全なのかを判断することができる。
【0055】
一方、ユーザの生活空間の耐震脆弱性は、シミュレーションの後に倒れた家具などによって脱出口までの動線がどのような長さになるのかによって判断される。例えば、脱出口が塞がれていれば0点、1m内であれば10点に換算して、ユーザの生活空間の各位置の耐震脆弱性を評価することができる。
【0056】
また、ユーザの生活空間の耐震脆弱性は、地震シミュレーションの間に身を隠せる隠れ家が存在するのか否かによって判断される。例えば、人が下にもぐれるような空間を有するテーブルであれば、一定点数の加算点が与えられる。
【0057】
また、本発明の一例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムは、地震シミュレーションを行う過程をユーザに提供してユーザ本人の生活空間における地震を間接体験するようにするディスプレー装置または仮想現実装置に地震シミュレーション過程及び結果を提供する送信部400を更に含む。
【0058】
ディスプレー装置または仮想現実装置は、地震シミュレーション部300で行われる地震シミュレーションの過程及び結果をユーザが認識し得る形態に可視化または実感化する役割をする。
【0059】
ディスプレー装置とは携帯電話、テレビ、モニタなどを意味し、地震シミュレーション300による動力学的シミュレーションをレンダリングエンジンを介して映像化し、映像をディスプレー装置で再生するようにすることで、ユーザが地震発生時の本人の生活空間におけるそれぞれの客体の挙動を目で確認できるようにする。
【0060】
仮想現実装置は、MHD(Head Mounted Display)、VR操作装置(ジョイスティックまたはグローブ)、及びその他の安全装置などからなる。仮想現実装置は、トラッキングセンサ(Tracking Sensor)でHMDとVR操作装置の位置を追跡してユーザのヒューマンモデルを生成し、ヒューマンモデルを地震シミュレーション部300に含ませてユーザに地震シミュレーションを行う過程を間接体験させるか、地震発生時に本人の生活空間で取るべき行動を予行演習させる。
【0061】
一方、上述した本発明の一例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システム1000は、映像受信部100、映像信号処理部200、生活空間情報提供部250、地震シミュレーション部300、及び送信部400をコンピュータ上でプログラムを実行させて具現するため、各情報やデータは全て標準化過程を経てコンピュータに入力され、プロセッサによって動作される。
【0062】
このような本発明一例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析システムを利用したユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法は、前記映像受信部がユーザが自分の生活空間を撮影した映像情報を受信するステップと、前記信号処理部で前記映像情報に撮影されている事物を客体と認識し、前記客体の3次元区間における位置及び大きさを抽出して空間情報に変換するステップと、前記地震シミュレーション部で前記空間情報に基づいて模擬された地震条件に応じて、地震発生時の前記空間における前記客体の運動現象をシミュレーションするステップと、を含む。
【0063】
この際、ユーザは自分の生活空間に対して地震条件を変更しながら耐震脆弱性をテストすることができる。
【0064】
また、ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法を利用したユーザは、地震への関心が高いことを反証する。よって、ユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法を利用したユーザに実際の地震発生時に地震警報を通知するステップを更に含んでもよい。
【0065】
一方、本発明のユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法を介して行われた地震シミュレーションの過程及び結果は、個人情報が保護される限り隣接する他のユーザに提供されてもよく、類似地域の複数のユーザの地震シミュレーションの過程及び結果を介して該当地域の耐震脆弱性を分析することもできる。
【0066】
本発明の一実施例によるユーザの生活空間の耐震脆弱性分析方法は、多様なコンピュータ手段を介して判読可能なプログラムの形態に具現されて、コンピュータで判読可能な記録媒体に記録される。ここで、記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独にまたは組み合わせて含む。記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別設計され構成されたものであるか、コンピュータソフトウェアの当業者に公知になって使用可能なものであってもよい。
【0067】
例えば、記録媒体はハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気光媒体(magnetooptical media)、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を貯蔵し行うように特別構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって作られるもののような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行される高級言語コードを含んでもよい。このようなハードウェア装置は本発明の動作を行うために一つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成されるが、その逆も同じである。
【0068】
本発明の保護範囲は、これまで明示的に説明した実施例の記載と表現に限らない。また、本発明の属する技術分野において自明な変更や置換によって本発明の保護範囲が制限されないことも再度付言する。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d