(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20231206BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J3/00 C
B25J3/00 D
(21)【出願番号】P 2021559199
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015911
(87)【国際公開番号】W WO2022030047
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2021-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020131900
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】春名 正樹
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴景
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】延命 朋希
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531008(JP,A)
【文献】特表2016-538894(JP,A)
【文献】特開2004-223128(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012812(WO,A1)
【文献】特開2004-243516(JP,A)
【文献】特開2020-75354(JP,A)
【文献】特開2012-236244(JP,A)
【文献】特開2014-180723(JP,A)
【文献】特開2017-13206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/18 - 19/416
G05B 19/42 - 19/46
A61B 34/00 - 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実機械を模擬した補助装置を着用していない操作者が前記実機械を遠隔操作する際に用いる遠隔操作装置であって、
前記実機械の運動可能な範囲であって、前記操作者によって設定される複数の拘束点で構成される運動可能範囲を生成する制限部と、
前記実機械が映像化された実機械映像と、前記運動可能範囲が映像化された可動情報映像と、を表示する映像表示部と、
前記映像表示部に表示された前記実機械映像及び前記可動情報映像を見た前記操作者からのジェスチャー操作による操作情報と、前記運動可能範囲と、に基づいて、
前記運動可能範囲は前記実機械が設置される空間座標系に変換し、前記操作情報を変換された前記運動可能範囲で拘束した後、変換前の前記運動可能範囲が入力された空間座標系に逆変換して前記実機械を操作するための入力情報である第1指令情報を生成する操作部と、
を備える遠隔操作装置。
【請求項2】
前記運動可能範囲は、前記複数の拘束点を結ぶ直線と、前記複数の拘束点を結ぶ曲線と、前記複数の拘束点を結ぶ直線によって囲まれた領域と、前記複数の拘束点を結ぶ曲線によって囲まれた領域と、のうちのいずれか1つである請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記実機械映像は、撮像手段によって撮影される前記実機械が映像化されたものである請求項1または2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記第1指令情報を用いて前記実機械のモデルを生成する実機械モデル生成部と、前記撮像手段を操作するための入力情報である第2指令情報を用いて前記撮像手段のモデルを生成する撮像モデル生成部とを有し、前記実機械のモデルと前記撮像手段のモデルとを組み合わせたモデル情報を出力するモデル生成部と、
前記制限部が生成した前記運動可能範囲と、前記モデル生成部が出力した前記モデル情報とに基づいて、前記運動可能範囲を映像化して前記可動情報映像を生成する映像モデル生成部と、
を更に備え、
前記映像表示部は、前記実機械映像と、前記映像モデル生成部からの前記可動情報映像とを表示する請求項3に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記操作者からの前記操作情報に基づいて、前記撮像手段を駆動する駆動装置を操作するための入力情報である第5指令情報を更に生成する請求項3または4のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記操作部は、前記操作者からの前記操作情報に基づいて、前記撮像手段を駆動する駆動装置を操作するための入力情報である第5指令情報を更に生成し、
前記モデル生成部は、前記第5指令情報を用いて前記駆動装置のモデルを生成する駆動モデル生成部を更に有し、前記駆動装置のモデルを更に組み合わせた前記モデル情報を出力する請求項4に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記操作者からの前記操作情報に基づいて、前記実機械に接続されるマニピュレータを操作するための入力情報である第6指令情報を更に生成する請求項2~5のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記操作者からの前記操作情報に基づいて、前記実機械に接続されるマニピュレータを操作するための入力情報である第6指令情報を更に生成し、
前記モデル生成部は、前記第6指令情報を用いて前記マニピュレータのモデルを生成するマニピュレータモデル生成部を更に有し、前記マニピュレータのモデルを更に組み合わせた前記モデル情報を出力する請求項4または6に記載の遠隔操作装置。
【請求項9】
前記制限部は、前記操作者からの制限情報に基づいて、前記マニピュレータの開閉可能範囲を設定する請求項7または8に記載の遠隔操作装置。
【請求項10】
前記制限部は、前記操作者からの制限情報に基づいて、前記マニピュレータの姿勢制限範囲を設定する請求項7~9のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項11】
前記操作部は、前記運動可能範囲が設定された空間座標系を前記実機械が設置される座標系に変換する座標系変換部と、
変換された前記座標系において、前記運動可能範囲を構成する複数の拘束点に対し逆運動学計算を行い、計算結果を前記第1指令情報として出力する逆運動学計算部と、
を更に備える請求項4または6に記載の遠隔操作装置。
【請求項12】
前記操作部は、複数の前記撮像手段のうちの少なくとも1つの前記撮像手段を有効とするよう、前記撮像手段への指令情報を生成する請求項3~11のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実機械を操作者が遠隔操作する遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作者が実機械を遠隔操作する際、操作者が予測する実機械の挙動と、実際の実機械の挙動が異なることから、実機械の運動予測が困難となり、作業効率が悪くなる。
【0003】
特許文献1は、非常に器用なシステムのユーザインタフェースを開示する。当該システムは、実機械の運動予測を容易にするために、実機械の運動可能範囲を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2018-513711号公報(第10-12頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の遠隔操作装置では、操作者は実機械の運動可能範囲を把握することができず、作業効率が悪くなるという課題があった。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、実機械の運動可能範囲を設定し、設定された運動可能範囲を操作者に提示することで、作業効率が良くなる遠隔操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る遠隔操作装置は、実機械を模擬した補助装置を着用していない操作者が前記実機械を遠隔操作する遠隔操作装置であって、前記実機械の運動可能な範囲であって、前記操作者によって設定される複数の拘束点で構成される運動可能範囲を生成する制限部と、前記実機械が映像化された実機械映像と、前記運動可能範囲が映像化された可動情報映像と、を表示する映像表示部と、前記映像表示部に表示された前記実機械映像及び前記可動情報映像を見た前記操作者からのジェスチャー操作による操作情報と、前記運動可能範囲と、に基づいて、前記運動可能範囲は前記実機械が設置される空間座標系に変換し、前記操作情報を変換された前記運動可能範囲で拘束した後、変換前の前記運動可能範囲が入力された空間座標系に逆変換して前記実機械を操作するための入力情報である第1指令情報を生成する操作部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、遠隔操作装置は、実機械の運動可能範囲を設定し、設定された運動可能範囲を操作者に提示することで、従来に比べて作業効率を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1における操作部を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図3】実施の形態1における操作部の一例を示す模式図である。
【
図4】実施の形態1における実機械を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図5】実施の形態1において第1のモードで運動可能範囲を設定する場合の制限部の一例を示す模式図である。
【
図6】実施の形態1において第1のモードで運動可能範囲を設定した場合の映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図7】実施の形態1において第2のモードで運動可能範囲を設定する場合の制限部の一例を示す模式図である。
【
図8】実施の形態1において第2のモードで運動可能範囲を設定した場合の映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図9】実施の形態1において第3のモードで運動可能範囲を設定する場合の制限部の一例を示す模式図である。
【
図10】実施の形態1において第3のモードで運動可能範囲を設定した場合の映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図11】実施の形態1において第4のモードで運動可能範囲を設定する場合の制限部の一例を示す模式図である。
【
図12】実施の形態1において第4のモードで運動可能範囲を設定した場合の映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図13】実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲を設定する場合のモデル生成部の構成の一例を示す模式図である。
【
図14】実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲を設定する場合の操作部の一例を示す模式図である。
【
図15】実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲を設定した場合の映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図16】実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲を設定した場合の映像表示部での別の映像の一例を示す模式図である。
【
図17】実施の形態2における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】実施の形態2における実機械を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図19】実施の形態2における実機械を含む別の構成の一例を示す模式図である。
【
図20】実施の形態2における映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図21】実施の形態2における映像表示部での別の映像の一例を示す模式図である。
【
図22】実施の形態3における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図23】実施の形態3における遠隔操作装置の別の構成の一例を示すブロック図である。
【
図24】実施の形態3における実機械を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図25】実施の形態4における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図26】実施の形態4における遠隔操作装置の別の構成の一例を示すブロック図である。
【
図27】実施の形態4における実機械を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図28】実施の形態4における制限部の一例を示す模式図である。
【
図29】実施の形態4における映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図30】実施の形態4における映像表示部での別の映像の一例を示す模式図である。
【
図31】実施の形態5における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図32】実施の形態5における遠隔操作装置の別の構成の一例を示すブロック図である。
【
図33】実施の形態5における実機械を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図34】実施の形態1から5における遠隔操作装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図35】実施の形態6における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図36】実施の形態6における遠隔操作装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図37】実施の形態7における遠隔操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図38】実施の形態7における実機械を含む構成の一例を示す模式図である。
【
図39】実施の形態7における映像表示部での映像の一例を示す模式図である。
【
図40】実施の形態7における運動可能範囲とエンドエフェクタの運動軌跡との関係を示す模式図である。
【
図41】実施の形態7における遠隔操作装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、説明を容易にするために、各図中にxyz直交座標系の座標軸を示す。実機械3において、後に説明するx軸並進機構31とy軸並進機構32とz軸並進機構33とが配置される方向でxyz直交座標系を定義する。x軸並進機構31が配置される方向と同じ方向をx軸方向とする。奥側が+x方向であり、手前側が-x方向である。y軸並進機構32が配置される方向と同じ方向をy軸方向とする。左側が+y方向であり、右側が-y方向である。z軸並進機構33が配置される方向と同じ方向をz軸方向とする。上側が+z方向であり、下側が-z方向である。また、操作部12および操作者に対し、奥行方向をx軸方向とする。奥側が+x方向であり、手前側が-x方向である。操作部12および操作者に対し、左右方向をy軸方向とする。左側が+y方向であり、右側が-y方向である。操作部12および操作者に対し、上下方向をz軸方向とする。上側が+z方向であり、下側が-z方向である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。遠隔操作装置1は、撮像手段4によって撮影される実機械3を操作者が遠隔操作するものである。
【0012】
図1に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、モデル生成部13と、映像モデル生成部14と、映像表示部15とを備える。
【0013】
制限部11は、図示しない操作者からの制限情報S1を受け取る。制限部11は、この制限情報S1に基づいて運動可能範囲S3を生成し、操作部12および映像モデル生成部14に与える。制限情報S1は、実機械3の運動可能な範囲を操作者が設定する情報である。運動可能範囲S3は、操作者によって設定される、実機械3の運動可能な範囲である。すなわち、制限部11は、操作者からの制限情報S1に基づいて、実機械3の運動可能範囲S3を設定する。
【0014】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3とを受け取る。操作部12は、操作情報S2と運動可能範囲S3とに基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5とを生成し、第1指令情報S4を実機械3および実機械モデル生成部131に与え、第2指令情報S5を撮像手段4および撮像モデル生成部132に与える。操作情報S2は、実機械3を遠隔操作するための運動コマンドである。この運動コマンドは、後に説明する操作部12内の操縦桿121およびボタン122の操作そのものである。第1指令情報S4は、実機械3を操作するための入力情報である。具体的には、第1指令情報S4は、実機械3を動かすドライバーICやマイコンなどへの入力情報である。第2指令情報S5は、撮像手段4を操作するための入力情報である。具体的には、第2指令情報S5は、撮像手段4への、撮影のON/OFF切り替えコマンド、および倍率調整コマンドなどである。操作者は、撮像手段4の倍率を調整することで、実機械3の全体映像と拡大映像との両方を確認しながら実機械3を操作することができる。
【0015】
モデル生成部13は、操作部12からの第1指令情報S4および第2指令情報S5を受け取る。モデル生成部13は、これらの情報に基づいてモデル情報S6を生成し、映像モデル生成部14に与える。モデル生成部13は、第1指令情報S4を用いて実機械3のモデルを生成する実機械モデル生成部131と、第2指令情報S5を用いて撮像手段4のモデルを生成する撮像モデル生成部132とを有する。モデル情報S6は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルとを組み合わせたものであり、例えば実機械3を所定の方向から見えるように仮想的に投影された3次元モデルである。ここで所定の方向とは、撮像手段4が実機械3を撮影する方向と同じである。すなわち、モデル生成部13は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルとを組み合わせたモデル情報S6を出力する。
【0016】
映像モデル生成部14は、制限部11からの運動可能範囲S3と、モデル生成部13からのモデル情報S6とを受け取る。映像モデル生成部14は、これらの情報に基づいて、運動可能範囲S3が映像化された可動情報映像S7を生成し、映像表示部15に与える。可動情報映像S7は、実機械3に対応した運動可能範囲S3が映像化されたものである。
【0017】
映像表示部15は、映像モデル生成部14からの可動情報映像S7と、撮像手段4からの実機械映像S8とを受け取る。映像表示部15は、可動情報映像S7と実機械映像S8とに基づいて映像S9を生成し、映像S9を操作者に提示する。映像表示部15は、実機械映像S8と可動情報映像S7とを表示する。実機械映像S8は、実機械3を撮影して映像化されたものである。映像表示部15は、可動情報映像S7内の3次元モデルの位置と実機械映像S8内の実機械の位置とが一致するよう、可動情報映像S7の位置調整を行う。これにより、可動情報映像S7が実機械映像S8に対し正確な位置に重畳される。可動情報映像S7の位置調整は、可動情報映像S7と実機械映像S8との画像特徴点あるいはマーカーなどを利用した画像処理によって行われてもよい。あるいは、可動情報映像S7と実機械映像S8との初期位置を補正することによって行われてもよい。可動情報映像S7の位置調整を行う方法は、これらに限定されない。また、映像表示部15は実機械映像S8と可動情報映像S7とを重畳して表示する必要はなく、例えばそれぞれの映像を別画面で表示してもよい。但し、以下では重畳して表示するものとして説明する。
【0018】
実機械3は、操作部12からの第1指令情報S4と、ターゲット5からの反作用力S11と、非ターゲット6からの反作用力S12を受け取る。実機械3は、この第1指令情報S4に基づいて作用力S10を生成し、ターゲット5に与える。ターゲット5は、実機械3が作用力S10を与えて動かす対象物である。ターゲット5からの反作用力S11は、実機械3がターゲット5を動かす際に発生する。また、非ターゲット6からの反作用力S12は、実機械3がターゲット5を動かし、非ターゲット6に接触する際に発生する。
【0019】
撮像手段4は、操作部12からの第2指令情報S5を受け取る。撮像手段4は、この第2指令情報S5に基づいて実機械3を撮影して実機械映像S8を生成し、映像表示部15に与える。
【0020】
ターゲット5は、実機械3からの作用力S10を受け取る。ターゲット5は、この作用力S10に基づいて、反作用力S11を実機械3に与える。
【0021】
非ターゲット6は、ターゲット5が非ターゲット6に接触すると、反作用力S12を実機械3に与える。図示しないが、反作用力S12は、ターゲット5を経由した非ターゲット6からの力も含む。非ターゲット6は、ターゲット5とは異なり、実機械3が作用力S10を意図的に与えない対象物である。
【0022】
図1において、撮像手段4が常に同じ位置に固定され、かつ常に撮影ONの状態であれば、第2指令情報S5が撮像手段4に入力されなくても、実機械映像S8が得られる。この場合、第2指令情報S5は撮像手段4に入力される必要はなく、撮像モデル生成部132にのみ入力される。これは、以降の実施の形態でも同様である。
【0023】
図2(a)および(b)は、実施の形態1における操作部12を含む構成の一例を示す模式図である。
図2(a)は、操作者を背面から見た図であり、
図2(b)は、操作者を上面から見た図である。
【0024】
図2に示すように、操作者は、映像表示部15の映像S9を見ながら、操作部12を用いて実機械3を遠隔操作する。
図2に示す操作部12、映像表示部15、および映像S9は、
図1に示す操作部12、映像表示部15、および映像S9と同じであるため、説明を省略する。
【0025】
図3は、実施の形態1における操作部12の一例を示す模式図である。
図3に示すように、操作部12は、操縦桿121と、ボタン122とを有する。
【0026】
操縦桿121は、x軸方向、y軸方向、およびxy面内を操作可能とするコントローラである。操縦桿121は、実機械3を遠隔操作するのに用いられる。すなわち、操縦桿121の操作方向に対応して、実機械3が運動する。例えば、操作者が操縦桿121を+x方向に操作すると、実機械は+x方向に運動する。
【0027】
ボタン122は、実機械3をz軸方向に動かすためのボタンである。例えば、操作者がボタン122を押し続けると、実機械3は+z方向に運動し、ボタン122を離すと、実機械3は-z方向に運動する。この状態でボタン122を押すと、実機械3は停止する。
【0028】
操作部12は、
図3に示すような操縦桿121とボタン122とを有するものに限定されない。例えば、操作者がジェスチャーで操作してもよいし、実機械3を模擬した図示しない補助装置を操作者が着用して操作してもよい。ここでジェスチャーは、例えば操作者の近くに配置される図示しないカメラに向かって手を振るなどの動作である。ジェスチャーあるいは補助装置の操作方向に対応して、実機械3が運動する。例えば操作者がジェスチャーあるいは補助装置を用いて+x方向に操作すると、実機械は+x方向に運動する。
【0029】
図4は、実施の形態1における実機械3を含む構成の一例を示す模式図である。
図4に示す撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示す撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0030】
図4に示すように、実機械3は、x軸並進機構31と、y軸並進機構32と、z軸並進機構33と、実機械端34とを有する。
【0031】
x軸並進機構31は、実機械端34をx軸方向に動かす。すなわち、x軸並進機構31は、操作者が操作部12の操縦桿121をx軸方向に操作すると、実機械端34をx軸方向に動かす。
【0032】
y軸並進機構32は、実機械端34をy軸方向に動かす。すなわち、y軸並進機構32は、操作者が操作部12の操縦桿121をy軸方向に操作すると、実機械端34をy軸方向に動かす。
【0033】
z軸並進機構33は、実機械端34をz軸方向に動かす。すなわち、z軸並進機構33は、操作者が操作部12のボタン122を押すと、実機械端34をz軸方向に動かす。
【0034】
実機械端34は、操作者からの操作情報S2に基づいて運動する。
【0035】
図4において、撮像手段4は、実機械3を視野に収められる位置に配置される。撮像手段4は、実機械3を撮影して実機械映像S8を生成する。映像表示部15は、この実機械映像S8を表示する。これは、従来の遠隔操作装置と同様である。実施の形態1における映像表示部15は、実機械映像S8と、実機械3の運動可能範囲S3の映像である可動情報映像S7とを重畳した映像S9を表示する。以下では、制限部11での運動可能範囲S3の設定方法について述べる。
【0036】
制限部11は、5つのモード(以下、「第1のモード」、「第2のモード」、「第3のモード」、「第4のモード」、および「第5のモード」と称する)のうちのいずれか1つのモードによって、実機械3の運動可能範囲S3を設定する。第1のモードは、操作部12の操作を強制的に限定する手段によって、運動可能範囲S3を設定するモードである。第2のモードは、運動可能とする方向に対応するボタンを押すことによって、運動可能範囲S3を設定するモードである。第3のモードは、予め用意された運動可能パターンによって、運動可能範囲S3を設定するモードである。第4のモードは、複数の拘束点を結ぶ直線あるいは曲線によって、運動可能範囲S3を設定するモードである。第5のモードは、光を放出する光源のモデルを生成する光源モデル生成部133によって、運動可能範囲S3を設定するモードである。
【0037】
まずは、第1のモードについて詳細に説明する。第1のモードでは、操作部12は、操作者からの操作を強制的に限定する手段を有する。制限部11は、この手段によって運動可能範囲S3を設定する。ここで、強制的に限定する手段とは、操作部12の操作可能な範囲を物理的に限定するものである。一例として、後に説明するx軸並進板11aおよびy軸並進板11bである。
図5(a)および(b)は、実施の形態1において第1のモードで運動可能範囲S3を設定する場合の制限部11の一例を示す模式図である。
図5(a)は、制限部11がx軸並進板11aの場合の模式図である。
図5(b)は、制限部11がy軸並進板11bの場合の模式図である。
【0038】
図5(a)に示すx軸並進板11aは、操作部12に装着される。これにより、操縦桿121の操作をx軸方向に制限することができる。同様に、
図5(b)に示すy軸並進板11bは、操作部12に装着される。これにより、操縦桿121の操作をy軸方向に制限することができる。
【0039】
図6(a)および(b)は、実施の形態1において第1のモードで運動可能範囲S3を設定した場合の映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図6(a)は、x軸並進板11aを操作部12に装着した場合の映像S9aの模式図である。
図6(b)は、y軸並進板11bを操作部12に装着した場合の映像S9bの模式図である。
【0040】
図6(a)に示すように、映像S9aは、実機械映像S8aと可動情報映像S7aとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7aは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図6(a)の場合、可動情報映像S7aは、x軸方向と同じ方向の運動可能範囲S3の映像となり、実機械映像S8aの上側と下側とに表示される。
【0041】
図6(b)に示すように、映像S9bは、実機械映像S8aと可動情報映像S7bとが重畳された映像となる。可動情報映像S7bは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図6(b)の場合、可動情報映像S7bは、y軸方向と同じ方向の運動可能範囲S3の映像となり、実機械映像S8aの上側と下側とに表示される。
【0042】
x軸並進板11aが操作部12に装着されると、映像モデル生成部14は運動可能範囲S3がx軸方向であることを同定する。同様に、y軸並進板11bが操作部12に装着されると、映像モデル生成部14は運動可能範囲S3がy軸方向であることを同定する。また、映像モデル生成部14は、この同定した情報とモデル生成部13からのモデル情報S6とを適合させ、可動情報映像S7aを生成する。モデル情報S6の代わりに、実機械映像S8aを画像処理することで取得される空間情報、すなわち実機械映像S8a内のx軸方向に相当するベクトル情報であってもよい。この場合、映像モデル生成部14は、同定した情報と空間情報とを適合させ、可動情報映像S7aを生成する。これは、y軸並進板11bが操作部12に装着された場合でも同様である。
【0043】
また、
図6(a)および(b)では、それぞれ可動情報映像S7aおよびS7bが実機械映像S8a内の上側と下側とに表示されているが、運動可能範囲S3と同じ方向であることが分かれば、表示される場所は限定されない。例えば、実機械映像S8a内の中央であってもよい。これは、以降の実施の形態でも同様である。
【0044】
加えて、映像表示部15は、実機械端34のxy平面上における位置の映像を、映像S9aおよびS9bに重畳させてもよい。例えば、実機械端34のxy平面への図示しない投影点を可動情報映像S7aおよびS7bに重畳させる。この投影点のx座標とy座標は、実機械端34のx座標とy座標であり、それぞれ操縦桿121のx軸方向の操作量とy軸方向の操作量に対応する。操作量に関する情報は、モデル情報S6に含まれる。映像モデル生成部14は、このモデル情報S6に基づいて投影点の映像を生成し、映像表示部15は、投影点の映像を映像S9aおよび映像S9bに重畳させる。これは、以降の実施の形態でも同様である。投影点を映像S9aおよびS9bに重畳させることで、実機械3の操作性が向上する。
【0045】
なお、第1のモードにおける制限部11は、x軸並進板11aおよびy軸並進板11bに限定されず、例えば図示しない斜め方向の並進板であってもよいし、図示しないx軸方向とy軸方向を共に運動可能とする並進板であってもよい。また、操作者が手を振るジェスチャーであってもよいし、実機械を模擬した図示しない補助装置を操作者が着用してもよい。ジェスチャーの場合、実機械3の運動可能範囲S3をジェスチャーにより設定した後、同じくジェスチャーにより実機械3を遠隔操作する。操作者が補助装置を着用する場合、補助装置そのものが運動可能範囲S3を制限された構造を有する。すなわち、操作者が補助装置を着用すると、運動可能範囲S3を制限されながら、実機械3を遠隔操作する。一例として、モビルスーツである。
【0046】
第1のモードで運動可能範囲S3を設定した場合、操作者は、運動可能範囲S3が制限された状態で、可動情報映像S7aあるいはS7bを確認しながら操作部12を操作する。これにより、実機械3の遠隔操作を行う上で、作業効率を良くすることができる。
【0047】
次に、第2のモードについて詳細に説明する。第2のモードでは、操作部12は、運動可能とする方向に対応するボタンを有する。制限部11は、このボタンを押すことで運動可能範囲S3を設定する。
図7は、実施の形態1において第2のモードで運動可能範囲S3を設定する場合の制限部11の一例を示す模式図である。
図7は、制限部11がx軸制限ボタン11cおよびy軸制限ボタン11dの場合の模式図である。
【0048】
図7に示すx軸制限ボタン11cおよびy軸制限ボタン11dは、操作部12に設けられる。操作者がx軸制限ボタン11cを押すと、操縦桿121の操作をx軸方向に制限することができる。同様に、操作者がy軸制限ボタン11dを押すと、操縦桿121の操作をy軸方向に制限することができる。なお、x軸制限ボタン11cおよびy軸制限ボタン11dは、必ずしも操作部12に設けられる必要はなく、操作者の近くであればどこに設けられてもよい。
【0049】
図8(a)および(b)は、実施の形態1において第2のモードで運動可能範囲S3を設定した場合の映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図8(a)は、x軸制限ボタン11cを押した場合の映像S9aの模式図である。
図8(b)は、y軸制限ボタン11dを押した場合の映像S9bの模式図である。
図8(a)の映像S9aは、
図6(a)の映像S9aと同じであり、
図8(b)の映像S9bは、
図6(b)の映像S9bと同じであるため、説明を省略する。
【0050】
x軸制限ボタン11cが押されると、映像モデル生成部14は運動可能範囲S3がx軸方向であることを同定する。これにより、可動情報映像S7aが生成される。同様に、y軸制限ボタン11dが押されると、映像モデル生成部14は運動可能範囲S3がy軸方向であることを同定する。これにより、可動情報映像S7bが生成される。
【0051】
なお、x軸制限ボタン11cとy軸制限ボタン11dとが両方押されると、運動可能範囲S3はx軸方向とy軸方向の両方となる。
【0052】
また、上記ではx軸制限ボタン11cを押した場合、運動可能範囲S3はx軸方向となり、y軸制限ボタン11dを押した場合、運動可能範囲S3はy軸方向となる。その代わりに、x軸制限ボタン11cを押した場合、x軸方向を拘束する構造とし、y軸制限ボタン11dを押した場合、y軸方向を拘束する構造としてもよい。この場合、x軸制限ボタン11cを押した場合、運動可能範囲S3はy軸方向となり、y軸制限ボタン11dを押した場合、運動可能範囲S3はx軸方向となる。
【0053】
第2のモードで運動可能範囲S3を設定した場合、第1のモードでの効果に加え、操作者は、第1のモードで必要なx軸並進板11aおよびy軸並進板11bを不要とし、これらを操作部12に装着する手間を省くことができる。
【0054】
次に、第3のモードについて詳細に説明する。第3のモードでは、制限部11は、予め用意された運動可能パターンによって運動可能範囲S3を設定する。
図9は、実施の形態1において第3のモードで運動可能範囲S3を設定する場合の制限部11の一例を示す模式図である。
【0055】
図9に示すように、映像表示部15からの映像S9cに、制限パターン11e~11jが表示される。制限パターン11e~11jは、予め用意された運動可能パターンである。操作者は、実機械3を遠隔操作する前に、操作部12を用いて制限パターン11e~11jの中からいずれか1つを選択する。例えば、操作者が制限パターン11eを選択する場合、操縦桿121を用いてカーソル11kを制限パターン11eに合わせ、ボタン122を押す。これにより、制限部11は運動可能範囲S3をx軸方向に設定する。なお、運動可能パターンは制限パターン11e~11jに限定されない。また、映像表示部15がタッチディスプレイ機能を有しており、操作者が手で画面操作して、制限パターン11e~11jの中から選択してもよい。これにより、カーソル11kを不要とし、簡単な操作を可能とする。
【0056】
図10(a)~(f)は、実施の形態1において第3のモードで運動可能範囲S3を設定した場合の映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図10(a)は、制限パターン11eが選択された場合の映像S9aの模式図である。
図10(b)は、制限パターン11fが選択された場合の映像S9bの模式図である。
図10(c)は、制限パターン11gが選択された場合の映像S9dの模式図である。
図10(d)は、制限パターン11hが選択された場合の映像S9eの模式図である。
図10(e)は、制限パターン11iが選択された場合の映像S9fの模式図である。
図10(f)は、制限パターン11jが選択された場合の映像S9gの模式図である。
図10(a)の映像S9aは、
図6(a)の映像S9aと同じであり、
図10(b)の映像S9bは、
図6(b)の映像S9bと同じであるため、説明を省略する。
【0057】
図10(c)に示すように、映像S9dは、実機械映像S8aと可動情報映像S7cとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7cは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図10(c)の場合、可動情報映像S7cは、斜め方向の運動可能範囲S3の映像となる。
【0058】
図10(d)に示すように、映像S9eは、実機械映像S8aと可動情報映像S7dとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7dは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図10(d)の場合、可動情報映像S7dは、斜め方向の運動可能範囲S3の映像となる。
【0059】
図10(e)に示すように、映像S9fは、実機械映像S8aと可動情報映像S7eとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7eは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図10(e)の場合、可動情報映像S7eは、x軸方向と同じ方向、およびy軸方向と同じ方向の運動可能範囲S3の映像となる。
【0060】
図10(f)に示すように、映像S9gは、実機械映像S8aと可動情報映像S7fとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7fは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図10(f)の場合、可動情報映像S7fは、2つの斜め方向の運動可能範囲S3の映像となる。
【0061】
制限部11eが選択されると、映像モデル生成部14は運動可能範囲S3がx軸方向であることを同定する。これにより、可動情報映像S7aが生成される。制限部11f~11jが選択された場合でも同様である。
【0062】
第3のモードで運動可能範囲S3を設定した場合、第2のモードでの効果に加え、運動可能範囲S3の選択肢が多くなる。
【0063】
次に、第4のモードについて詳細に説明する。第4のモードでは、制限部11は、複数の拘束点を結ぶ直線あるいは曲線によって運動可能範囲S3を設定する。
図11(a)~(d)は、実施の形態1において第4のモードで運動可能範囲S3を設定する場合の制限部11の一例を示す模式図である。
【0064】
図11(a)に示すように、操作者は、映像S9hを見ながら、操作部12を用いて運動可能範囲S3を設定する。具体的には、操縦桿121を用いてカーソル11maを制限部11m内の任意の箇所に合わせ、ボタン122を押すことで拘束点を複数設定する。
図11(a)では、4つの拘束点11md、11me、11mf、および11mgが順番に設定される。設定後、OKボタン11mbを押すと、運動可能範囲S3の設定が終了する。また、設定中にCANCELボタン11mcを押すと、1つ前の拘束点設定に戻る。例えば、拘束点11mfを設定した後にCANCELボタン11mcを押すと、拘束点11meが設定された状態に戻る。これにより、拘束点を設定し直すことができる。
図11(a)の場合、4つの拘束点11md、11me、11mf、および11mgを結ぶ直線が運動可能範囲S3となる。
【0065】
図11(b)に示すように、操作者は、映像S9iを見ながら、操作部12を用いて運動可能範囲S3を設定する。具体的には、操縦桿121を用いてカーソル11naを制限部11n内の任意の箇所に合わせ、ボタン122を押すことで拘束点を複数設定する。
図11(b)では、4つの拘束点11nd、11ne、11nf、および11ngが順番に設定される。設定後、OKボタン11nbを押すと、運動可能範囲S3の設定が終了する。なお、各拘束点を設定後、次の拘束点にカーソル11naを移動する際、ボタン122を押しながら移動する。これにより、移動経路に従った運動可能範囲S3が設定され、直線または任意の曲線にすることができる。しかし、ボタン122を押しながらカーソル11naを移動させると、直線または曲線が歪む。そこで、操作部12はこれを自動的に補正する機能を有し、補正することで歪みを無くすことができる。また、設定中にCANCELボタン11ncを押すと、1つ前の拘束点設定に戻る。例えば、拘束点11nfを設定した後にCANCELボタン11ncを押すと、拘束点11neが設定された状態に戻る。これにより、拘束点を設定し直すことができる。
図11(b)の場合、4つの拘束点11nd、11ne、11nf、および11ngを結ぶ曲線が運動可能範囲S3となる。
【0066】
図11(c)に示すように、操作者は、映像S9jを見ながら、操作部12を用いて運動可能範囲S3を設定する。具体的には、操縦桿121を用いてカーソル11оaを制限部11о内の任意の箇所に合わせ、ボタン122を押すことで拘束点を複数設定する。
図11(c)では、4つの拘束点11оd、11оe、11оf、および11оgが順番に設定され、拘束点11оdが再度設定される。設定後、OKボタン11оbを押すと、運動可能範囲S3の設定が終了する。また、設定中にCANCELボタン11оcを押すと、1つ前の拘束点設定に戻る。例えば、拘束点11оfを設定した後にCANCELボタン11оcを押すと、拘束点11оeが設定された状態に戻る。これにより、拘束点を設定し直すことができる。
図11(c)の場合、4つの拘束点11оd、11оe、11оf、および11оgを結ぶ直線、あるいは直線によって囲まれた領域が運動可能範囲S3となる。直線とするか、あるいは領域とするかは、予め選択できるものとする。
【0067】
図11(d)に示すように、操作者は、映像S9kを見ながら、操作部12を用いて運動可能範囲S3を設定する。具体的には、操縦桿121を用いてカーソル11paを制限部11p内の任意の箇所に合わせ、ボタン122を押すことで拘束点を複数設定する。
図11(d)では、4つの拘束点11pd、11pe、11pf、および11pgが順番に設定され、拘束点11pdが再度設定される。設定後、OKボタン11pbを押すと、運動可能範囲S3の設定が終了する。なお、各拘束点を設定後、次の拘束点にカーソル11paを移動する際、ボタン122を押しながら移動する。これにより、移動経路に従った運動可能範囲S3が設定され、直線または任意の曲線にすることができる。しかし、ボタン122を押しながらカーソル11paを移動させると、直線または曲線が歪む。そこで、操作部12はこれを自動的に補正する機能を有し、補正することで歪みを無くすことができる。また、設定中にCANCELボタン11pcを押すと、1つ前の拘束点設定に戻る。例えば、拘束点11pfを設定した後にCANCELボタン11pcを押すと、拘束点11peが設定された状態に戻る。これにより、拘束点を設定し直すことができる。
図11(d)の場合、4つの拘束点11pd、11pe、11pf、および11pgを結ぶ曲線、あるいは曲線によって囲まれた領域が運動可能範囲S3となる。直線とするか、あるいは領域とするかは、予め選択できるものとする。
【0068】
図11(a)~(d)において、映像表示部15がタッチディスプレイ機能を有しており、操作者が手で画面操作して、運動可能範囲S3を設定してもよい。これにより、カーソル11ma、11na、11оa、および11paを不要とし、簡単な操作を可能とする。
【0069】
図12(a)~(f)は、実施の形態1において第4のモードで運動可能範囲S3を設定した場合の映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図12(a)は、制限部11mで運動可能範囲S3を設定し、映像モデル生成部14で生成された可動情報映像S7gを実機械映像S8aに重畳した映像S9mの模式図である。
図12(b)は、制限部11nで運動可能範囲S3を設定し、映像モデル生成部14で生成された可動情報映像S7hを実機械映像S8aに重畳した映像S9nの模式図である。
図12(c)は、制限部11оで運動可能範囲S3を設定し、映像モデル生成部14で生成された可動情報映像S7iを実機械映像S8aに重畳した映像S9оの模式図である。
図12(d)は、制限部11pで運動可能範囲S3を設定し、映像モデル生成部14で生成された可動情報映像S7jを実機械映像S8aに重畳した映像S9pの模式図である。
図12(e)は、制限部11оで運動可能範囲S3を設定し、映像モデル生成部14で生成された可動情報映像S7kを実機械映像S8aに重畳した別の映像S9qの模式図である。
図12(f)は、制限部11pで運動可能範囲S3を設定し、映像モデル生成部14で生成された可動情報映像S7mを実機械映像S8aに重畳した別の映像S9rの模式図である。
【0070】
図12(a)に示すように、映像S9mは、実機械映像S8aと可動情報映像S7gとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7gは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図12(a)の場合、可動情報映像S7gは、4つの拘束点を結ぶ直線である運動可能範囲S3の映像となる。
【0071】
図12(b)に示すように、映像S9nは、実機械映像S8aと可動情報映像S7hとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7hは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図12(b)の場合、可動情報映像S7hは、4つの拘束点を結ぶ曲線である運動可能範囲S3の映像となる。
【0072】
図12(c)に示すように、映像S9оは、実機械映像S8aと可動情報映像S7iとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7iは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図12(c)の場合、可動情報映像S7iは、4つの拘束点を結ぶ直線である運動可能範囲S3の映像となる。
【0073】
図12(d)に示すように、映像S9pは、実機械映像S8aと可動情報映像S7jとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7jは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図12(d)の場合、可動情報映像S7jは、4つの拘束点を結ぶ曲線である運動可能範囲S3の映像となる。
【0074】
図12(e)に示すように、映像S9qは、実機械映像S8aと可動情報映像S7kとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7kは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図12(e)の場合、可動情報映像S7kは、4つの拘束点を結ぶ直線によって囲まれた領域である運動可能範囲S3の映像となる。
【0075】
図12(f)に示すように、映像S9rは、実機械映像S8aと可動情報映像S7mとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7mは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図12(f)の場合、可動情報映像S7mは、4つの拘束点を結ぶ曲線によって囲まれた領域である運動可能範囲S3の映像となる。
【0076】
制限部11mで運動可能範囲S3が設定されると、映像モデル生成部14は運動可能範囲S3が4つの拘束点を結ぶ直線であることを同定する。これにより、可動情報映像S7gが生成される。制限部11n~11pで運動可能範囲S3が設定された場合でも同様である。
【0077】
第4のモードで運動可能範囲S3を設定した場合、第3のモードでの効果に加え、運動可能範囲S3の設定自由度が高くなる。
【0078】
次に、第5のモードについて詳細に説明する。
図13は、実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲S3を設定した場合のモデル生成部13の構成の一例を示すブロック図である。第5のモードでは、操作部12は、制限部11からの運動可能範囲S3に基づいて、光を放出する光源を操作するための入力情報である第3指令情報S13を更に生成する。モデル生成部13は、第3指令情報S13を用いて光源のモデルを生成する光源モデル生成部133を更に有し、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルと光源のモデルとを組み合わせたモデル情報S6を出力する。
【0079】
モデル生成部13は、操作部12から実機械モデル生成部131への第1指令情報S4、操作部12から撮像モデル生成部132への第2指令情報S5、および操作部12から光源モデル生成部133への第3指令情報S13に基づいてモデル情報S6を生成し、映像モデル生成部14に与える。第3指令情報S13は、光を放出する光源を操作するための入力情報である。具体的には、第3指令情報S13は、光源への電源ON/OFF切り替えコマンド、および光源をxy平面内で回転させるための入力情報である。この第3指令情報S13がそのまま光源モデル生成部133へ入力されることにより、光源モデル生成部133からの光線の出力ON/OFF切り替え制御、および光線の軌跡の回転制御が可能となる。
【0080】
図14は、実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲S3を設定する場合の操作部12の一例を示す模式図である。
図14は、
図3に示す操縦桿121がRz方向の回転も可能であり、制限部11の機能を有する場合の模式図である。反時計周りが+Rz方向、時計周りが-Rz方向である。
【0081】
操作者が操縦桿121をxy平面内で回転させてボタン122を押すと、ボタン122が押された時の操縦桿121の方向ベクトルが運動可能範囲S3として設定される。なお、操作者は、方向ベクトルを複数設定してもよい。この場合、操縦桿121をxy平面で回転させ、ボタン122を押す動作を繰り返し行う。これにより、複数の方向ベクトルが運動可能範囲S3として設定される。あるいは、複数の方向ベクトルによって囲まれた領域が運動可能範囲S3として設定される。複数の方向ベクトルとするか、あるいは領域とするかは、予め選択できるものとする。
【0082】
図15は、実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲S3を設定した場合の映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図15は、操縦桿121で運動可能範囲S3を設定した場合の映像S9sの模式図である。
【0083】
図15に示すように、映像S9sは、実機械映像S8aと可動情報映像S7nとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7nは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図15の場合、可動情報映像S7nは、方向ベクトルで表される運動可能範囲S3の映像と、モデル情報S6のうち光源モデル生成部133からのモデル情報の映像とが含まれる。
【0084】
図16は、実施の形態1において第5のモードで運動可能範囲S3を設定した場合の映像表示部15での別の映像S9の一例を示す模式図である。
図16は、操縦桿121で方向ベクトルを2つ設定し、2つの方向ベクトルによって囲まれた領域を運動可能範囲S3として選択した場合の映像S9tの模式図である。
【0085】
図16に示すように、映像S9tは、実機械映像S8aと可動情報映像S7оとが重畳された映像となる。実機械映像S8aは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7оは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
図16の場合、可動情報映像S7оは、2つの方向ベクトルで囲まれた領域で表される運動可能範囲S3の映像と、モデル情報S6のうち光源モデル生成部133からのモデル情報の映像とが含まれる。
【0086】
第5のモードで運動可能範囲S3を設定した場合、第4のモードでの効果と同様の効果が得られる。
【0087】
以上で説明した実施の形態1によれば、制限部11によって実機械3の運動可能範囲S3が設定される。これにより、実機械3の複雑な遠隔操作を回避できる。また、制限部11からの運動可能範囲S3とモデル生成部13からのモデル情報S6とに基づいて生成される可動情報映像S7と、撮像手段4によって生成される実機械映像S8とを重畳させた映像S9が映像表示部15によって生成される。これにより、運動可能範囲S3を確認しながら実機械3を遠隔操作でき、従来に比べて作業効率を良くすることができる。
【0088】
実施の形態2.
図17は、実施の形態2における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0089】
図17に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、映像表示部15とを備える。
図17に示す制限部11、実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示す制限部11、実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0090】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3とを受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5と第4指令情報S14とを生成し、第1指令情報S4を実機械3に与え、第2指令情報S5を撮像手段4に与え、第4指令情報S14を運動可能範囲形成手段7に与える。第4指令情報S14については、後に説明する。
【0091】
映像表示部15は、撮像手段4からの実機械映像S8および可動情報映像S15を受け取る。映像表示部15は、これらの映像を重畳した映像S9を生成し、操作者に提示する。可動情報映像S15は、撮像手段4によって直接撮影される運動可能範囲S3の映像である。
【0092】
撮像手段4は、操作部12からの第2指令情報S5を受け取る。撮像手段4は、この第2指令情報S5に基づいて、実機械映像S8と可動情報映像S15とを映像表示部15に与える。
【0093】
運動可能範囲形成手段7は、実機械3の運動可能範囲S3を形成する。運動可能範囲形成手段7は、操作部12からの第4指令情報S14を受け取る。
図17では、運動可能範囲形成手段7は実機械3と接続されているが、運動可能範囲S3を実機械3内で示すことができれば、実機械3と接続されていなくてもよい。運動可能範囲形成手段7は、例えば光を放出する光源であり、レーザ光源やLED光源などである。この場合、光源から放出され、実機械3およびその周辺に結像される光のパターンが運動可能範囲S3となる。光のパターンは、撮像手段4によって撮影されて映像となり、映像表示部15に表示される。光源は、撮像手段4によって撮影可能な波長の光を放出するものである。例えば、撮像手段4として赤外カメラを用いる場合、光源は赤外領域の波長を有するレーザである。第4指令情報S14は、実機械3の運動可能範囲S3を形成する運動可能範囲形成手段7を操作するための入力情報である。具体的には、第4指令情報S14は、運動可能範囲形成手段7への電源ON/OFF切り替えコマンド、および運動可能範囲形成手段7をxy平面内で回転させるための入力情報である。
【0094】
図17に示すように、運動可能範囲形成手段7を撮像手段4で撮影することで、実機械映像S8だけでなく可動情報映像S15も撮像手段4で取得することができる。これにより、実施の形態1における遠隔操作装置1に対し、モデル生成部13と映像モデル生成部14とを不要とする。
【0095】
実施の形態2における操作部12を含む構成は、
図2に示す構成と同じであるため、説明を省略する。
【0096】
実施の形態2における操作部12は、
図14に示す操作部12と同じである。すなわち、操縦桿121はRz方向の回転も可能であり、制限部11の機能を有する。運動可能範囲S3の設定方法は、
図14を用いて説明した設定方法と同じである。
【0097】
図18は、実施の形態2における実機械3を含む構成の一例を示す模式図である。
図18に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図4に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0098】
図18に示すように、z軸並進機構33の中央近傍に、運動可能範囲形成手段7が接続されている。この場合、運動可能範囲形成手段7はレーザ光源71であり、レーザ光源71からレーザ光線72が出力される。レーザ光線72の出力方向は、操縦桿121を用いて設定される。
図18の場合、運動可能範囲形成手段7はz軸並進機構33の中央近傍に配置されているが、これに限定されない。例えば、z軸並進機構33の上側あるいは下側に配置されてもよい。また、実機械3の外側に配置されてもよい。
【0099】
図19は、実施の形態2における実機械3を含む別の構成の一例を示す模式図である。
図19に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図4に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0100】
図19に示すように、z軸並進機構33の中央近傍に、運動可能範囲形成手段7が接続されている。この場合、運動可能範囲形成手段7はマルチレーザ光源73であり、マルチレーザ光線74が出力される。マルチレーザ光線74の出力方向は、操縦桿121を用いて設定される。
図19の場合、運動可能範囲形成手段7はz軸並進機構33の中央近傍に配置されているが、これに限定されない。例えば、z軸並進機構33の上側あるいは下側に配置されてもよい。また、実機械3の外側に配置されてもよい。
【0101】
運動可能範囲形成手段7が、
図18に示すレーザ光源の場合、操作者が操縦桿121をxy平面内で回転させてボタン122を押すと、ボタン122が押された時の操縦桿121の方向ベクトルが運動可能範囲S3として設定される。
【0102】
運動可能範囲形成手段7が、
図19に示すマルチレーザ光源の場合、操作者が操縦桿121をxy平面内で回転させてボタン122を押す動作を2回行うと、2つの方向ベクトルが運動可能範囲S3として設定される。あるいは、2つの方向ベクトルによって囲まれた領域が運動可能範囲S3として設定される。2つの方向ベクトルとするか、あるいは領域とするかは、予め選択できるものとする。
【0103】
図20は、実施の形態2における映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図20は、操縦桿121で運動可能範囲S3を設定した場合の映像S9uの模式図である。
【0104】
図20に示すように、映像S9uは、実機械映像S8bと可動情報映像S15aとが重畳された映像となる。実機械映像S8bは、撮像手段4によって撮影された実機械3と運動可能範囲形成手段7との映像である。可動情報映像S15aは、撮像手段4によって撮影された運動可能範囲S3の映像である。
図20の場合、可動情報映像S15aは、方向ベクトルで表される運動可能範囲S3の映像となる。
【0105】
図21は、実施の形態2における映像表示部15での別の映像S9の一例を示す模式図である。
図21は、操縦桿121で方向ベクトルを2つ設定し、2つの方向ベクトルによって囲まれた領域を運動可能範囲S3として選択した場合の映像S9vの模式図である。
【0106】
図21に示すように、映像S9vは、実機械映像S8cと可動情報映像S15bとが重畳された映像となる。実機械映像S8cは、撮像手段4によって撮影された実機械3と運動可能範囲形成手段7との映像である。可動情報映像S15bは、撮像手段4によって撮影された運動可能範囲S3の映像である。
図21の場合、可動情報映像S15bは、2つの方向ベクトルで囲まれた領域で表される運動可能範囲S3の映像となる。
【0107】
以上で説明した実施の形態2によれば、運動可能範囲形成手段7が実機械3に設けられることにより、実機械映像S8と可動情報映像S15との両方が撮像手段4によって生成される。これにより、実施の形態1で得られる効果に加え、実施の形態1のモデル生成部13と映像モデル生成部14とを不要とすることができる。
【0108】
実施の形態3.
図22は、実施の形態3における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0109】
図22に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、モデル生成部13と、映像モデル生成部14と、映像表示部15とを備える。
図22は、
図1に示す実施の形態1の構成に対し、駆動モデル生成部134と駆動装置8とが追加された構成を示すブロック図である。
図22に示す制限部11、映像モデル生成部14、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示す制限部11、映像モデル生成部14、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0110】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3とを受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5と第5指令情報S16とを生成し、第1指令情報S4を実機械3および実機械モデル生成部131に与え、第2指令情報S5を撮像手段4および撮像モデル生成部132に与え、第5指令情報S16を駆動装置8および駆動モデル生成部134に与える。第5指令情報S16については、後に説明する。
【0111】
モデル生成部13は、操作部12によって生成される第5指令情報S16を用いて撮像手段4を駆動する駆動装置8のモデルを生成する駆動モデル生成部134を更に有する。モデル生成部13は、操作部12から実機械モデル生成部131への第1指令情報S4、操作部12から撮像モデル生成部132への第2指令情報S5、および操作部12から駆動モデル生成部134への第5指令情報S16に基づいてモデル情報S6を生成し、映像モデル生成部14に与える。第5指令情報S16は、撮像手段4を駆動する駆動装置8を操作するための入力情報である。具体的には、第5指令情報S16は、駆動装置8を制御するための制御情報である。
【0112】
駆動装置8は、撮像手段4と接続され、操作部12からの第5指令情報S16を受け取る。駆動装置8は、この第5指令情報S16に基づいて回転する。これにより、撮像手段4の向きが変わり、実機械3を撮影する方向を変更することができる。
【0113】
なお、本実施の形態において、実施の形態1における第5のモードで運動可能範囲S3を設定する場合は、
図13に示す光源モデル生成部133を
図22のモデル生成部13に追加すればよい。この場合、モデル生成部13は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルと光源のモデルと駆動装置8のモデルとを組み合わせたモデル情報S6を出力する。本実施の形態におけるモデル生成部13は、実機械モデル生成部131と撮像モデル生成部132と駆動モデル生成部134とを有していればよく、必ずしも光源モデル生成部133を有していなくてもよい。また、モデル情報S6は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルと駆動装置8のモデルとを組み合わせたものであればよく、必ずしも光源のモデルを組み合わせなくてもよい。
【0114】
図23は、実施の形態3における遠隔操作装置1の別の構成の一例を示すブロック図である。
【0115】
図23に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、映像表示部15とを備える。
図23は、
図17に示す実施の形態2の構成に対し、駆動装置8が追加された構成を示すブロック図である。
図23に示す制限部11、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、非ターゲット6、および運動可能範囲形成手段7は、
図17に示す制限部11、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、非ターゲット6、および運動可能範囲形成手段7と同じであるため、説明を省略する。また、
図23に示す駆動装置8は、
図22に示す駆動装置8と同じであるため、説明を省略する。
【0116】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3とを受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5と第4指令情報S14と第5指令情報S16とを生成し、第1指令情報S4を実機械3に与え、第2指令情報S5を撮像手段4に与え、第4指令情報S14を運動可能範囲形成手段7に与え、第5指令情報S16を駆動装置8に与える。
【0117】
実施の形態3における操作部12を含む構成は、
図2に示す構成と同じであるため、説明を省略する。
【0118】
実施の形態3における操作部12は、
図3に示す操作部12と同じである。操作者は、撮像手段4の向きを変更するモードと、実機械3を遠隔操作するモードとを切り替えることにより、撮像手段4の向きを調整しながら実機械3を遠隔操作できる。両者の切り替えは、図示しない手段により行われる。撮像手段4の向きを変更する場合、操縦桿121をx軸方向あるいはy軸方向に操作する。これにより、撮像手段4は、x軸方向あるいはy軸方向に向きが変更される。
【0119】
図24は、実施の形態3における実機械3を含む構成の一例を示す模式図である。
図24は、
図22に示す遠隔操作装置1を用いて実機械3を操作する時の模式図である。
図24に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図4に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0120】
駆動装置8は、撮像手段4に接続され、操作部12からの第5指令情報S16に基づいて、撮像手段4の向きを変更する。映像表示部15での実機械映像S8の向きは、撮像手段4の向きに応じて切り替わる。
【0121】
以上で説明した実施の形態3によれば、駆動装置8により撮像手段4の向きが変更される。これにより、実施の形態2で得られる効果に加え、操作者は、実機械映像S8の向きを逐次変更しながら実機械3を操作でき、効率的に遠隔操作を行うことができる。
【0122】
実施の形態4.
図25は、実施の形態4における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0123】
図25に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、モデル生成部13と、映像モデル生成部14と、映像表示部15とを備える。
図25は、
図1に示す実施の形態1の構成に対し、マニピュレータモデル生成部135とマニピュレータ9とが追加された構成を示すブロック図である。
図25に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0124】
制限部11は、操作者からの制限情報S1を受け取る。制限部11は、この制限情報S1に基づいて運動可能範囲S3と開閉可能範囲S17と姿勢制限範囲S18とを生成し、操作部12および映像モデル生成部14に与える。開閉可能範囲S17は、マニピュレータ9の開閉可能な範囲である。姿勢制限範囲S18は、マニピュレータ9が所定の姿勢に制限される時の姿勢、言い換えると、所定の傾きに制限される時の傾きである。
【0125】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3と、制限部11からの開閉可能範囲S17と、制限部11からの姿勢制限範囲S18とを受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5と第6指令情報S19とを生成し、第1指令情報S4を実機械3および実機械モデル生成部131に与え、第2指令情報S5を撮像手段4および撮像モデル生成部132に与え、第6指令情報S19をマニピュレータ9およびマニピュレータモデル生成部135に与える。第6指令情報S19は、実機械3に接続されるマニピュレータ9を操作するための入力情報である。具体的には、第6指令情報S19は、マニピュレータ9を動かすドライバーICやマイコンなどへの入力情報である。
【0126】
モデル生成部13は、操作部12によって生成される第6指令情報S19を用いてマニピュレータ9のモデルを生成するマニピュレータモデル生成部135を更に有する。モデル生成部13は、操作部12から実機械モデル生成部131への第1指令情報S4、操作部12から撮像モデル生成部132への第2指令情報S5、および操作部12からマニピュレータモデル生成部135への第6指令情報S19に基づいてモデル情報S6を生成し、映像モデル生成部14に与える。
【0127】
映像モデル生成部14は、制限部からの運動可能範囲S3と、開閉可能範囲S17と、姿勢制限範囲S18と、モデル生成部13からのモデル情報S6とを受け取る。映像モデル生成部14は、これらの情報に基づいて、運動可能範囲S3と開閉可能範囲S17と姿勢制限範囲S18との映像である可動情報映像S20を生成し、映像表示部15に与える。
【0128】
映像表示部15は、映像モデル生成部14からの可動情報映像S20と、撮像手段4からの実機械映像S8を受け取る。映像表示部15は、これらの映像を重畳した映像S9を生成し、操作者に提示する。
【0129】
マニピュレータ9は、実機械3に接続され、操作部12からの第6指令情報S19を受け取る。
【0130】
なお、本実施の形態において、実施の形態1における第5のモードで運動可能範囲S3を設定する場合は、
図13に示す光源モデル生成部133を
図25のモデル生成部13に追加すればよい。また、実施の形態3における駆動モデル生成部134をモデル生成部13に追加してもよいし、撮像手段4は駆動装置8と接続されて向きを変更されてもよい。この場合、モデル生成部13は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルと光源のモデルと駆動装置8のモデルとマニピュレータ9のモデルとを組み合わせたモデル情報S6を出力する。本実施の形態におけるモデル生成部13は、実機械モデル生成部131と撮像モデル生成部132とマニピュレータモデル生成部135とを有していればよく、必ずしも光源モデル生成部133と駆動モデル生成部134とを有していなくてもよい。また、モデル情報S6は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルとマニピュレータ9のモデルとを組み合わせたものであればよく、必ずしも光源のモデルと駆動装置8のモデルとを組み合わせなくてもよい。
【0131】
図26は、実施の形態4における遠隔操作装置1の別の構成の一例を示すブロック図である。
【0132】
図26に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、映像表示部15とを備える。
図26は、
図17に示す実施の形態2の構成に対し、マニピュレータ9が追加された構成を示すブロック図である。
図26に示す制限部11、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、非ターゲット6、および運動可能範囲形成手段7は、
図17に示す制限部11、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、非ターゲット6、および運動可能範囲形成手段7と同じであるため、説明を省略する。また、
図26に示すマニピュレータ9は、
図25に示すマニピュレータ9と同じであるため、説明を省略する。
【0133】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3とを受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5と第4指令情報S14と第6指令情報S19とを生成し、第1指令情報S4を実機械3に与え、第2指令情報S5を撮像手段4に与え、第4指令情報S14を運動可能範囲形成手段7に与え、第6指令情報S19をマニピュレータ9に与える。
【0134】
図26に示すように、制限部11は、
図25に示す制限部11とは違い、運動可能範囲S3のみを生成する。すなわち、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17および姿勢制限範囲S18は生成されない。あるいは、制限部11は、
図25と同様、運動可能範囲S3だけでなく、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17および姿勢制限範囲S18を生成してもよい。但し、図示しない開閉可能範囲を示す手段と、図示しない姿勢制限範囲を示す手段とが必要となり、操作部12はこれらに対する指令情報を生成する。
【0135】
図26において、撮像手段4は駆動装置8と接続されて向きが変更されてもよい。この場合、操作部12は、実機械3への第1指令情報S4と、撮像手段4への第2指令情報S5と、運動可能範囲形成手段7への第4指令情報S14と、駆動装置8への第5指令情報S16と、マニピュレータ9への第6指令情報S19とを生成する。
【0136】
実施の形態4における操作部12を含む構成は、
図2に示す構成と同じであるため、説明を省略する。
【0137】
実施の形態4における操作部12は、
図3に示す操作部12と同じである。また、操縦桿121は制限部11の機能を有する。なお、実機械3を遠隔操作する際、操縦桿121を操作部12の中心位置に合わせた状態で回転させることで、マニピュレータ9を開閉させる操作を行ってもよい。
【0138】
図27は、実施の形態4における実機械3を含む構成の一例を示す模式図である。
図27は、
図25に示す遠隔操作装置1を用いて実機械3を操作する時の模式図である。
図27に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図4に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0139】
マニピュレータ9は、実機械端34に回動自在に接続される。マニピュレータ9は、制限部11および操縦桿121によって、開閉可能範囲S17および姿勢制限範囲S18が設定される。
【0140】
図28は、実施の形態4における制限部11の一例を示す模式図である。
図28は、
図25に示す遠隔操作装置1を用いて実機械3を操作する時の模式図である。また、
図28は、実施の形態1における第3のモードと類似するモードで、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17を設定する場合の模式図である。
【0141】
図28に示すように、映像表示部15からの映像S9wに、制限パターン11qおよび11rが表示される。制限パターン11qおよび11rは、予め用意されたマニピュレータ9の開閉可能パターンである。操作者は、実機械3を遠隔操作する前に、実機械3の運動可能範囲S3を任意のモードで設定し、マニピュレータ9の開閉可能パターンを制限パターン11qおよび11rのうちどちらかを選択する。例えば、操作者が制限パターン11qを選択する場合、操縦桿121を用いてカーソル11sを制限パターン11qに合わせ、ボタン122を押す。これにより、制限部11はマニピュレータ9の開閉可能範囲S17をx軸方向に設定する。なお、開閉可能パターンは制限パターン11qおよび11rに限定されず、斜めを含んでもよい。また、映像表示部15がタッチディスプレイ機能を有しており、操作者が手で画面操作して、制限パターン11qおよび11rのうちどちらかを選択してもよい。これにより、カーソル11sを不要とし、簡単な操作を可能とする。
【0142】
また、
図28では、実施の形態1における第3のモードと類似するモードで、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17を設定するが、第1のモード、第2のモード、第4のモード、あるいは第5のモードと類似するモードで、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17を設定してもよい。
【0143】
図29(a)および(b)は、実施の形態4における映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図29は、
図25に示す遠隔操作装置1を用いて実機械3を操作する時の模式図である。
図29(a)は、実機械3の運動可能範囲S3がx軸方向に設定され、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17として制限パターン11qが選択された場合の映像S9xの模式図である。
図29(b)は、実機械3の運動可能範囲がx軸方向に設定され、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17として制限パターン11rが選択された場合の映像S9yの模式図である。
【0144】
図29(a)に示すように、映像S9xは、実機械映像S8dと可動情報映像S20aと可動情報映像S20bとが重畳された映像となる。実機械映像S8dは、撮像手段4によって撮影された実機械3とマニピュレータ9との映像である。可動情報映像S20aは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。可動情報映像S20bは、映像モデル生成部14によって生成された、開閉可能範囲S17の映像である。
図29(a)の場合、可動情報映像S20aは、x軸方向と同じ方向の運動可能範囲S3の映像となる。また、可動情報映像S20bは、x軸方向と同じ方向の開閉可能範囲S17の映像となる。
【0145】
図29(b)に示すように、映像S9yは、実機械映像S8eと可動情報映像S20aと可動情報映像S20cとが重畳された映像となる。実機械映像S8eは、撮像手段4によって撮影された実機械3とマニピュレータ9との映像である。可動情報映像S20aは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。可動情報映像S20cは、映像モデル生成部14によって生成された、開閉可能範囲S17の映像である。
図29(b)の場合、可動情報映像S20aは、x軸方向と同じ方向の運動可能範囲S3の映像となる。また、可動情報映像S20cは、y軸方向と同じ方向の開閉可能範囲S17の映像となる。
【0146】
図29(a)および(b)では、可動情報映像S20aは実機械映像S8dおよびS8e内の上側に表示され、可動情報映像S20bおよびS20cはそれぞれ実機械映像S8dおよびS8e内の下側に表示されているが、これに限定されない。
【0147】
次に、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17に加え、姿勢制限範囲S18を設定する方法について説明する。操作者は、実機械3を遠隔操作する前に、実機械3の運動可能範囲S3を任意のモードで設定し、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17を任意のモードで設定し、マニピュレータ9の姿勢制限範囲S18を操縦桿121で設定する。操作者は、操縦桿121をx軸方向あるいはy軸方向に動かすことで姿勢制限範囲S18を設定する。
【0148】
図30は、実施の形態4における映像表示部15での別の映像S9の一例を示す模式図である。
図30は、
図25に示す遠隔操作装置1を用いて実機械3を操作する時の模式図である。また、
図30は、実機械3の運動可能範囲S3がx軸方向に設定され、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17がy軸方向に設定され、マニピュレータ9の姿勢制限範囲S18がy軸の斜め方向に設定された場合の映像S9zの模式図である。
【0149】
図30に示すように、映像S9zは、実機械映像S8fと可動情報映像S20aと可動情報映像S20cと可動情報映像S20dとが重畳された映像となる。実機械映像S8fは、撮像手段4によって撮影された実機械3とマニピュレータ9との映像である。可動情報映像S20aは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。可動情報映像S20cは、映像モデル生成部14によって生成された、開閉可能範囲S17の映像である。可動情報映像S20dは、映像モデル生成部14によって生成された、姿勢制限範囲S18の映像である。
図30の場合、可動情報映像S20aは、x軸方向と同じ方向の運動可能範囲S3の映像となる。また、可動情報映像S20cは、y軸方向と同じ方向の開閉可能範囲S17の映像となる。更に、可動情報映像S20dは、斜め方向の姿勢制限範囲S18の映像となる。
【0150】
図30では、可動情報映像S20aは実機械映像S8f内の上側に表示され、可動情報映像S20cは実機械映像S8f内の下側に表示され、可動情報映像S20dは実機械映像S8f内の中心付近に表示されているが、これに限定されない。
【0151】
以上で説明した実施の形態4によれば、制限部11によって実機械3の運動可能範囲S3だけでなく、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17と姿勢制限範囲S18とが設定される。これにより、実施の形態3で得られる効果に加え、操作者はマニピュレータ9の複雑な遠隔操作を回避できる。また、映像モデル生成部14によって、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17と姿勢制限範囲S18との映像である可動情報映像S20が生成され、この可動情報映像S20と実機械映像S8とが重畳された映像S9が映像表示部15で表示される。これにより、マニピュレータ9の開閉可能範囲S17と姿勢制限範囲S18とを確認しながらマニピュレータ9を操作でき、効率的に遠隔操作を行うことができる。
【0152】
実施の形態5.
図31は、実施の形態5における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0153】
図31に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、モデル生成部13と、映像モデル生成部14と、映像表示部15とを備える。
図31は、
図1に示す実施の形態1の構成に対し、4つの撮像手段41~44が追加された構成を示すブロック図である。
図31に示す制限部11、モデル生成部13、映像モデル生成部14、映像表示部15、実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示す制限部11、モデル生成部13、映像モデル生成部14、映像表示部15、実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0154】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3とを受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S5と第2指令情報S51~S54とを生成し、第1指令情報S4を実機械3および実機械モデル生成部131に与え、第2指令情報S5を撮像モデル生成部132に与え、第2指令情報S51~S54をそれぞれ撮像手段41~44に与える。第2指令情報S51~S54は、それぞれ撮像手段41~44への、撮影のON/OFF切り替えコマンド、および倍率調整コマンドなどである。操作部12は、撮像手段41~44のうちいずれか1つを撮影ONとし、それ以外を撮影OFFとするよう、第2指令情報S51~S54を生成する。これにより、撮影したい方向に対応した撮像手段を選択できる。あるいは、操作部12は、撮像手段41~44のうち複数の撮像手段に対し撮影ONとするよう、第2指令情報S51~S54を生成してもよい。これにより、複数の映像を合体させた3次元映像が生成され、実機械3を直接操作するのと同じ操作感が得られる。すなわち、操作部12は、複数の撮像手段41~44のうちの少なくとも1つの撮像手段を有効とするよう、撮像手段41~44への指令情報を生成する。第2指令情報S5は、第2指令情報S51~S54のうち、撮影ONを設定した撮像手段に対応する指令情報と同じである。撮影ONを設定した撮像手段が複数の場合は、第2指令情報S5は複数生成され、撮像モデル生成部132も複数設けられる。
【0155】
撮像手段41~44は、それぞれ操作部12からの第2指令情報S51~S54を受け取る。撮像手段41~44は、これらの情報に基づいて実機械映像S8を生成し、映像表示部15に与える。具体的には、撮像手段41~44のうち、操作部12によって撮影ONのコマンドが送信された撮像手段で撮影された実機械映像S8が、映像表示部15に入力される。なお、
図39では、撮像手段の数量は4つであるが、数量は2つ以上であればいくつでもよい。
【0156】
なお、本実施の形態において、実施の形態1における第5のモードで運動可能範囲S3を設定する場合は、
図13に示す光源モデル生成部133を
図31のモデル生成部13に追加すればよい。また、実施の形態3における駆動モデル生成部134をモデル生成部13に追加してもよいし、撮像手段4は駆動装置8と接続されて向きを変更されてもよい。更に、実施の形態4におけるマニピュレータモデル生成部135をモデル生成部13に追加してもよいし、実機械3にマニピュレータ9が接続されてもよい。この場合、モデル生成部13は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルと光源のモデルと駆動装置8のモデルとマニピュレータ9のモデルとを組み合わせたモデル情報S6を出力する。本実施の形態におけるモデル生成部13は、実機械モデル生成部131と撮像モデル生成部132とを有していればよく、必ずしも光源モデル生成部133と駆動モデル生成部134とマニピュレータモデル生成部135とを有していなくてもよい。また、モデル情報S6は、実機械3のモデルと撮像手段4のモデルとを組み合わせたものであればよく、必ずしも光源のモデルと駆動装置8のモデルとマニピュレータ9のモデルとを組み合わせなくてもよい。
【0157】
図32は、実施の形態5における遠隔操作装置1の別の構成の一例を示すブロック図である。
【0158】
図32に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、映像表示部15とを備える。
図32は、
図17に示す実施の形態2の構成に対し、4つの撮像手段41~44が追加された構成を示すブロック図である。
図32に示す制限部11、映像表示部15、実機械3、ターゲット5、非ターゲット6、および運動可能範囲形成手段7は、
図17に示す制限部11、映像表示部15、実機械3、ターゲット5、非ターゲット6、および運動可能範囲形成手段7と同じであるため、説明を省略する。また、
図32に示す撮像手段41~44は、
図31に示す撮像手段41~44と同じであるため、説明を省略する。
【0159】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、制限部11からの運動可能範囲S3を受け取る。操作部12は、これらの情報に基づいて第1指令情報S4と第2指令情報S51~S54と第4指令情報S14とを生成し、第1指令情報S4を実機械3に与え、第2指令情報S51~54をそれぞれ撮像手段41~44に与え、第4指令情報S14を運動可能範囲形成手段7に与える。第2指令情報S51~S54は、
図31に示す第2指令情報S51~S54と同じである。
【0160】
図32において、撮像手段41~44は駆動装置8と接続されて向きが変更されてもよいし、実機械3はマニピュレータ9と接続されてもよい。この場合、操作部12は、実機械3への第1指令情報S4と、撮像手段41~44への第2指令情報S51~S54と、運動可能範囲形成手段7への第4指令情報S14と、駆動装置8への第5指令情報S16と、マニピュレータ9への第6指令情報S19とを生成する。
【0161】
実施の形態5における操作部12を含む構成は、
図2に示す構成と同じであるため、説明を省略する。また、実施の形態5における操作部12は、
図3に示す操作部12と同じであるため、説明を省略する。
【0162】
図33は、実施の形態5における実機械3を含む構成の一例を示す模式図である。
図33は、
図31に示す遠隔操作装置1を用いて実機械3を操作する時の模式図である。
図33に示す実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図4に示す実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0163】
撮像手段41~44は、いずれも実機械3を視野に収められる位置に配置される。なお、撮像手段41~44それぞれに、図示しない駆動装置81~84が接続されてもよい。
【0164】
図34は、実施の形態5における遠隔操作装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図34のフローチャートは、実施の形態1から4における遠隔操作装置1に対しても適用される。
【0165】
図35に示すように、図示しない手段により遠隔操作装置1が起動すると、制限部11は、操作者からの制限情報S1に基づいて、実機械3の運動可能範囲S3を設定する(ステップST1)。
【0166】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、実機械3の運動可能範囲S3とに基づいて、実機械3を操作するための入力情報である第1指令情報S4を生成する(ステップST2)。
【0167】
映像表示部15は、撮像手段4からの実機械映像S8と、映像モデル生成部14からの可動情報映像S7とを表示する(ステップST3)。あるいは、映像表示部15は、撮像手段4からの実機械映像S8と可動情報映像S15とを表示する。可動情報映像S7は、制限部11からの運動可能範囲S3が映像化されたものである。また、可動情報映像S15は、運動可能範囲形成手段7を撮影することで取得される運動可能範囲S3の映像である。
【0168】
図示しない手段が操作者に対し遠隔操作開始を指示する(ステップST4)。操作者は、映像表示部15が表示する実機械映像S8と可動情報映像S7、あるいは実機械映像S8と可動情報映像S15とを確認しながら、実機械3を遠隔操作する。図示しない手段は、操作者からの遠隔操作終了の指示を受け取った場合に、遠隔操作装置1を停止させる。
【0169】
以上で説明した実施の形態5によれば、複数の撮像手段のうちいずれか1つを有効として、実機械3が撮影される。これにより、実施の形態4で得られる効果に加え、操作者は、実機械映像S8の向きを逐次選択しながら実機械3を操作でき、効率的に遠隔操作を行うことができる。また、複数の撮像手段を有効として実機械3が撮影され、複数の映像を合体させた3次元映像が生成される。これにより、実施の形態4で得られる効果に加え、実機械3を直接操作するのと同じ操作感が得られる。
【0170】
実施の形態6.
図35は、実施の形態6における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0171】
図35に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11と、操作部12と、モデル生成部13と、映像モデル生成部14aと、映像表示部15aとを備える。
図35は、映像モデル生成部14aが可動情報映像S7だけでなく実機械映像S81を出力する点が、
図1とは異なる。また、
図35は、映像表示部15aが撮像手段4からの実機械映像S8を入力する代わりに、映像モデル生成部14aからの実機械映像S81を入力する点が、
図1とは異なる。
図35に示す制限部11、操作部12、モデル生成部13、実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示す制限部11、操作部12、モデル生成部13、実機械3、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0172】
映像モデル生成部14aは、制限部11からの運動可能範囲S3と、モデル生成部13からのモデル情報S6とを受け取る。映像モデル生成部14aは、これらの情報に基づいて、運動可能範囲S3が映像化された可動情報映像S7と、実機械映像S81とを生成し、映像表示部15aに与える。実機械映像S81は、例えば実機械3の3次元モデルが映像化されたものである。
【0173】
映像表示部15aは、映像モデル生成部14からの可動情報映像S7と実機械映像S81とを受け取る。映像表示部15aは、可動情報映像S7と実機械映像S81とに基づいて映像S9を生成し、映像S9を操作者に提示する。映像表示部15aは、実機械3を撮影して映像化された実機械映像S8ではなく、実機械3の3次元モデルが映像化された実機械映像S81を表示する。実施の形態1~5と合わせて一般化すると、映像表示部15aは、実機械3が映像化された実機械映像S81と、実機械3に対応した運動可能範囲S3が映像化された可動情報映像S7とを表示する。但し、実機械3を遠隔操作してターゲット5を動かす場合には、実機械3とターゲット5との位置関係を把握するために、遠隔操作装置1は撮像手段4からの映像を入力してもよい。
【0174】
映像表示部15aが実機械3を撮影して映像化されたものを表示する代わりに、例えば実機械3の3次元モデルが映像化されたものを表示することで、撮像手段4を不要にすることができる。また、実機械3とターゲット5との位置関係を把握するために撮像手段4が必要であっても、撮像手段4を解像度が小さい安価なものにすることができる。これは、映像表示部15aで表示される実機械映像S81が実機械3の3次元モデルであり、撮像手段4の解像度に依存しないためである。
【0175】
図36は、実施の形態6における遠隔操作装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0176】
図36に示すように、図示しない手段により遠隔操作装置1が起動すると、制限部11は、操作者からの制限情報S1に基づいて、実機械3の運動可能範囲S3を設定する(ステップST1)。
【0177】
操作部12は、操作者からの操作情報S2と、実機械3の運動可能範囲S3とに基づいて、実機械3を操作するための入力情報である第1指令情報S4を生成する(ステップST2)。
【0178】
映像表示部15aは、映像モデル生成部14aからの実機械映像S81と可動情報映像S7とを表示する(ステップST5)。
【0179】
図示しない手段が操作者に対し遠隔操作開始を指示する(ステップST4)。操作者は、映像表示部15aが表示する実機械映像S8と可動情報映像S7とを確認しながら、実機械3を遠隔操作する。
【0180】
以上で説明した実施の形態6によれば、映像表示部15aが実機械3を映像化したものを表示する代わりに、例えば実機械3の3次元モデルを映像化したものを表示することで、撮像手段4を不要にすることができる。また、撮像手段4が必要であっても、解像度が小さい安価なものにすることができる。
【0181】
実施の形態7.
図37は、実施の形態7における遠隔操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0182】
図37に示すように、遠隔操作装置1は、制限部11sと、操作部12aと、モデル生成部13と、映像モデル生成部14と、映像表示部15とを備える。
図37は、制限部11の代わりに制限部11sを備える点、および操作部12の代わりに操作部12aを備える点が、
図1とは異なる。
図37に示すモデル生成部13、映像モデル生成部14、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6は、
図1に示すモデル生成部13、映像モデル生成部14、映像表示部15、実機械3、撮像手段4、ターゲット5、および非ターゲット6と同じであるため、説明を省略する。
【0183】
制限部11sは、操作者からの制限情報S1を受け取る。制限部11sは、この制限情報S1に基づいて運動可能範囲S3を生成し、操作部12a内の座標系変換部123および映像モデル生成部14に与える。本実施の形態では、本実施の形態では、制限部11sは、実機械3が設置されるxyz直交座標系を含む任意の空間座標系で運動可能範囲S3を設定する。このため、制限部11sは、例えば
図5に示すx軸並進板11aおよびy軸並進板11bなどを用いて物理的に運動可能範囲S3を設定するのではなく、ソフトウェア処理によって運動可能範囲S3を設定する。ここでソフトウェア処理とは、運動可能範囲S3を設定したい座標系において複数の点を設定し、これらの点を含む直線、曲線、平面、あるいは曲面を運動可能範囲S3とすることである。
【0184】
操作部12aは、座標系変換部123と、逆運動学計算部124と、第2指令情報生成部125とを備える。
【0185】
座標系変換部123は、制限部11sから運動可能範囲S3を受け取る。座標系変換部123は、運動可能範囲S3が設定された空間座標系を実機械3が設置されるxyz直交座標系に変換する。これは、運動可能範囲S3が設定された空間座標系からxyz直交座標系への写像に相当する。
【0186】
逆運動学計算部124は、操作者からの操作情報S2と、制限部11sからの運動可能範囲S3とを受け取る。逆運動学計算部124は、操作情報S2と運動可能範囲S3とに基づいて、座標系変換部123で変換されたxyz直交座標系において、運動可能範囲S3を構成する複数の点に対し逆運動学計算を行い、逆運動学計算後の第1指令情報S41を実機械3と実機械モデル生成部131とに与える。
【0187】
第2指令情報生成部125は、操作者から操作情報S2を受け取る。第2指令情報生成部125は、操作情報S2に基づいて第2指令情報S5を生成し、撮像手段4および撮像モデル生成部132に与える。第2指令情報S5は、実施の形態1における第2指令情報S5と同じであるため、説明を省略する。
【0188】
なお、実機械3は、制限部11sが設定する運動可能範囲S3内を運動するが、物理的に運動できない場合がある。そこで、遠隔操作装置1は、操作部12aと実機械3との間、および操作部12aと実機械モデル生成部131との間に、図示しない第1の補正部を設けてもよい。第1の補正部は、逆運動学計算部124から第1指令情報S41を受け取り、第1指令情報S41を補正する。第1の補正部は、補正された第1指令情報を実機械3と実機械モデル生成部131とに与える。一例として、実機械3の物理的な可動範囲が運動可能範囲S3よりも狭い場合に、実機械3に対して可動範囲を超えた入力値を第1指令情報S41として与えてしまう。そこで、第1の補正部は、可動範囲に収まるよう第1指令情報S41を補正する。
【0189】
なお、遠隔操作装置1は、第1の補正部の代わりに、制限部11sと操作部12aとの間、および制限部11sと映像モデル生成部14との間に、図示しない第2の補正部を設けてもよい。第2の補正部は、制限部11sからの運動可能範囲S3を補正し、補正後の運動可能範囲を座標系変換部123および映像モデル生成部14に与える。具体的には、第2の補正部は、運動可能範囲S3が設定された空間座標系をxyz直交座標系に変換し、運動可能範囲S3を構成する複数の点に対し逆運動学計算を行う。そして、第2の補正部は、逆運動学計算された運動可能範囲を補正し、これに対し運動学計算を行ったものを補正後の運動可能範囲として、操作部12aおよび映像モデル生成部14へ出力する。ここで、逆運動学計算された運動可能範囲を補正したものを第1指令情報S41として実機械3および実機械モデル生成部131へ出力してもよく、この場合には運動学計算は不要となる。しかし、映像表示部15が補正後の運動可能範囲を表示する場合には、運動学計算を行う。
【0190】
図38は、実施の形態7における実機械3を含む構成の一例を示す模式図である。
図38に示す撮像手段4は、
図4に示す撮像手段4と同じであるため、説明を省略する。
【0191】
図38に示すように、実機械3は2リンクマニピュレータである。2リンクマニピュレータは、逆運動学計算部124からの第1指令情報S41によって2つのアクチュエータ36が回転することで、エンドエフェクタ35の位置を決定するロボットアームである。この場合、運動可能範囲S3は、エンドエフェクタ35に対して設定される。なお、
図37では、実機械3および実機械モデル生成部131に対し第1指令情報S41のみが入力されるが、実機械3が2リンクマニピュレータの場合、2つのアクチュエータ36に対応する2つの異なる第1指令情報S41が入力される。
【0192】
また、実機械3が
図38に示す2リンクマニピュレータの場合、逆運動学計算部124は、エンドエフェクタ35の位置を2つのアクチュエータ36の角度に換算するための換算式を用いることで、逆運動学計算を行う。よって、第1指令情報S41はアクチュエータ36の角度に相当する。但し、実機械3が2リンクマニピュレータではなく、例えば6リンクマニピュレータの場合、あるいは実機械3が移動台車などに設置される場合には、換算式が複雑となる。そこで、逆運動学計算部124は、例えばエンドエフェクタ35の位置に対しアクチュエータ36の角度を線形化することによって換算式を単純化し、エンドエフェクタ35の位置などの変数に乗算される係数を最適化アルゴリズムによって求めてもよい。あるいは、係数を機械学習によって求めてもよい。最適化アルゴリズムは、例えば勾配降下法などである。なお、遠隔操作装置1が第2の補正部を備える場合、第2の補正部が行う運動学計算とは、アクチュエータ36の角度をエンドエフェクタ35の位置に換算するための換算式を用いることである。
【0193】
なお、実機械3は2リンクマニピュレータに限定されない。
【0194】
図39(a)および(b)は、実施の形態7における映像表示部15での映像S9の一例を示す模式図である。
図39(a)は、直線を運動可能範囲S3として設定した場合の映像表示部15での映像S91aの模式図である。
図39(b)は、平面を運動可能範囲S3として設定した場合の映像表示部15での映像S91bの模式図である。
【0195】
図39(a)に示すように、映像S91aは、実機械映像S8gと可動情報映像S7pとが重畳された映像となる。実機械映像S8gは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7pは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
【0196】
図39(b)に示すように、映像S91bは、実機械映像S8hと可動情報映像S7qとが重畳された映像となる。実機械映像S8hは、撮像手段4によって撮影された実機械3の映像である。可動情報映像S7qは、映像モデル生成部14によって生成された、運動可能範囲S3の映像である。
【0197】
制限部11sがソフトウェア処理によって運動可能範囲S3を設定する場合、2つの問題が生じる。1つ目の問題は、制限部11sが設定した運動可能範囲S3とエンドエフェクタ35の運動軌跡との間に乖離が生じることである。
図40(a)および(b)は、実施の形態7における運動可能範囲S3とエンドエフェクタ35の運動軌跡との関係を示す模式図である。
図40(a)は、複数の点C1によって運動可能範囲S3aを設定した場合のエンドエフェクタ35の運動軌跡T1を示すものである。
図40(b)は、複数の点C2によって運動可能範囲S3bを設定した場合のエンドエフェクタ35の運動軌跡T2を示すものである。
【0198】
図40(a)に示すように、単位時間あたりに設定する点C1の数が少ない場合、点C1の間隔が大きくなるため、運動可能範囲S3aと運動軌跡T1との間に乖離が生じる。これは、逆運動学計算を行う対象である運動可能範囲S3の軌跡と第1指令情報S41の軌跡とが必ずしも一致せず、両者が非線形の関係になるからである。第1指令情報S41はアクチュエータ36への指令情報であり、この軌跡は回転軌跡である。一方、運動可能範囲S3の軌跡は回転軌跡に限定されず任意の軌跡を取り得る。
【0199】
これを解決するには、
図40(b)に示すように単位時間あたりに設定する点C2の数を多くすることが挙げられる。但し、多くし過ぎると計算負荷が大きくなるため、計算負荷とのバランスで点C2を設定することが望ましい。また、
図40(a)に示す点C1の数を変えず、局所的に設定する方法が挙げられる。これは、エンドエフェクタ35の移動速度を小さくすることに相当する。更に、エンドエフェクタ35の運動がアクチュエータ36と同じ回転運動となるよう、運動可能範囲S3を設定することが挙げられる。
【0200】
なお、実施の形態1から6の場合、実機械3はx軸並進機構31、y軸並進機構32、およびz軸並進機構33により構成されるため、単位時間あたりに設定する点の数が少ない場合でも、運動可能範囲S3と運動軌跡との間に乖離は生じない。これは、例えば運動可能範囲S3をx軸に設定した場合、第1指令情報S4の軌跡はx軸となり、運動可能範囲S3の軌跡と一致し、両者が線形の関係になるからである。
【0201】
2つ目の問題は、運動可能範囲S3を設定しない自由運動と、運動可能範囲S3を設定する拘束運動との切り替え時に、第1指令情報S41が不連続となることである。自由運動では、xyz直交座標系で実機械3が運動する。一方、拘束運動では、運動可能範囲S3が設定される空間座標系に一旦変換された後に、xyz直交座標系に変換される。運動可能範囲S3が設定される空間座標系に変換される際に、第1指令情報S41が不連続となる。これにより、アクチュエータ36に対し急な指令値変更を要求することになるため、アクチュエータ36が損傷する可能性がある。
【0202】
これを解決するには、アクチュエータ36に対する指令値変更を第1の所定範囲内に抑えるような位置にエンドエフェクタ35を移動させた後に、自由運動から拘束運動に切り替えることが挙げられる。第1の所定範囲とは、例えばアクチュエータ36を流れる電流が所定値以下となるような範囲である。あるいは第1の所定範囲とは、周辺の環境(機器や人など)に衝突しないような範囲である。また、自由運動から拘束運動に切り替える際、切り替え直前のエンドエフェクタ35の座標点との距離が第2の所定範囲内となるような点を複数の点から選定し、切り替え直後には選定された点にエンドエフェクタ35が移動するよう、第1指令情報S41を生成することが挙げられる。ここで、第2の所定範囲とは、第1の所定範囲と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、複数の点とは、運動可能範囲S3を構成する複数の点のことである。更に、運動可能範囲S3が設定される空間座標系がxyz直交座標系になるよう、運動可能範囲S3を設定することが挙げられる。これにより、座標系の変換が発生せずに済む。更に、自由運動と拘束運動との2つの運動パターンで実機械3を遠隔操作する代わりに、拘束運動のみで遠隔操作することが挙げられる。
【0203】
図41は、実施の形態7における遠隔操作装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0204】
図41に示すように、図示しない手段により遠隔操作装置1が起動すると、制限部11sは、操作者からの制限情報S1に基づいて、実機械3の運動可能範囲S3を設定する(ステップST6)。制限部11sは、ソフトウェア処理によって運動可能範囲S3を設定する。
【0205】
座標系変換部123は、運動可能範囲S3が設定された空間座標系をxyz直交座標系に変換する(ステップST7)。
【0206】
逆運動学計算部124は、座標系変換部123で変換されたxyz直交座標系において、運動可能範囲S3を構成する複数の点に対し逆運動学計算を行い、逆運動学計算後の第1指令情報S41を実機械3と実機械モデル生成部131とに与える(ステップST8)。
【0207】
映像表示部15は、撮像手段4からの実機械映像S8と、映像モデル生成部14からの可動情報映像S7とを表示する(ステップST3)。
【0208】
図示しない手段が操作者に対し遠隔操作開始を指示する(ステップST4)。操作者は、映像表示部15が表示する実機械映像S8と可動情報映像S7とを確認しながら、実機械3を遠隔操作する。図示しない手段は、操作者からの遠隔操作終了の指示を受け取った場合に、遠隔操作装置1を停止させる。
【0209】
以上で説明した実施の形態7によれば、制限部11sがソフトウェア処理によって運動可能範囲S3を設定するため、任意の空間座標系で運動可能範囲S3を設定することができる。
【0210】
実施の形態1~6において、実機械3の運動可能範囲S3は、x軸方向、y軸方向、またはxy平面上の任意の方向に設定されるが、z軸方向、yz平面上の任意の方向、またはxz平面上の任意の方向に設定されてもよい。また、運動可能範囲S3は、任意の平面上に設定されてもよい。
【0211】
また、実施の形態1~7において、映像表示部15,15aとしてヘッドマウントディスプレイを用い、操作者はヘッドマウントディスプレイを装着して、映像S9を確認しながら実機械3を遠隔操作してもよい。
【0212】
更に、実施の形態1~7において、実機械端34、マニピュレータ9あるいはエンドエフェクタ35がターゲット5に接触したことを、図示しない手段により操作者に提示してもよい。例えば、実機械端34、マニピュレータ9あるいはエンドエフェクタ35に触覚センサーを取り付ける。ターゲット5への接触を確認した後は、必ずしも実機械映像S8,S81を確認しながら実機械を操作する必要はないため、撮像手段4による撮影をOFFにする期間を設けることができる。これにより、撮像手段4のメモリ容量を削減でき、遠隔操作装置1と撮像手段4との通信の負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0213】
1 遠隔操作装置、 3 実機械、 4,41~44 撮像手段、 5 ターゲット、 6 非ターゲット、 7 運動可能範囲形成手段、 8 駆動装置、 9 マニピュレータ、 11,11m~11p,11s 制限部、 11a x軸並進板、 11b y軸並進板、 11c x軸制限ボタン、 11d y軸制限ボタン、 11e~11j,11q,11r 制限パターン、 11k,11ma~11pa,11s カーソル、 11mb~11pb OKボタン、 11mc~11pc CANCELボタン、 11md~11mg,11nd~11ng,11оd~11оg,11pd~11pg 拘束点、 12,12a 操作部、 123 座標系変換部、 124 逆運動学計算部、 125 第2指令情報生成部、 13 モデル生成部、 14,14a 映像モデル生成部、 15,15a 映像表示部、 31 x軸並進機構、 32 y軸並進機構、 33 z軸並進機構、 34 実機械端、 35 エンドエフェクタ、 36 アクチュエータ、 71 レーザ光源、 72 レーザ光線、 73 マルチレーザ光源、 74 マルチレーザ光線、 121 操縦桿、 122 ボタン、 131 実機械モデル生成部、 132 撮像モデル生成部、 133 光源モデル生成部、 134 駆動モデル生成部、 135 マニピュレータモデル生成部、 S1 制限情報、 S2 操作情報、 S3,S3a,S3b 運動可能範囲、 S4,S41 第1指令情報、 S5,S51~S54 第2指令情報、 S13 第3指令情報、 S14 第4指令情報、 S16 第5指令情報、 S19 第6指令情報、 S6 モデル情報、 S7,S7a~S7k,S7m~S7q,S15,S15a,S15b,S20,S20a~S20d 可動情報映像、 S8,S81,S8a~S8h 実機械映像、 S9,S9a~S9k,S9m~S9z,S91a,S91b 映像、 S10 作用力、 S11,S12 反作用力、 S17 開閉可能範囲、 S18 姿勢制限範囲、 C1,C2 運動可能範囲を構成する点、 T1,T2 運動軌跡。