(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】三次元コードを含むエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/20 20200101AFI20231206BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20231206BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20231206BHJP
A24F 40/53 20200101ALI20231206BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/60
A24F40/51
A24F40/53
(21)【出願番号】P 2021573272
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020066050
(87)【国際公開番号】W WO2020249600
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】フロラック ディオニシウス
(72)【発明者】
【氏名】ヨクノウィッツ イーヴァン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0189695(US,A1)
【文献】特開2003-344257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/20
A24F 40/60
A24F 40/51
A24F 40/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品であって、
エアロゾル形成基体と、
三次元コードを備える表面エリアと、を備え、
前記三次元コードがピットおよびランドを備え、
前記三次元コードが反射表面上または反射表面内に提供され
、
前記三次元コードが前記エアロゾル発生物品に取り付けられたステッカーまたはラッパーの形態で提供される、
エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記三次元コードが、光学的手段または機械的手段によって読み取り可能である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記エアロゾル発生物品がディスク形状であり、かつ前記エアロゾル発生装置内に回転可能に取り付け可能である、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記三次元コードが、透明な保護材料によって覆われる、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
エアロゾル発生装置であって、
請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するためのくぼみと、
前記エアロゾル発生物品の前記三次元コードを読み取る能力を有する検出器と、を備える、
エアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記三次元コードを読み取るための前記検出器が、前記三次元コードを読み取るための光学的手段を備える、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記三次元コードを読み取るための前記光学的手段が、放射源
を備える、請求項6に記載のエアロゾル発生
装置。
【請求項8】
前記三次元コードを読み取るための前記光学的手段が、少なくとも一つの鏡および光レシーバをさらに備え、前記少なくとも一つの鏡が、前記放射を前記三次元コードへと方向付けるように構成され、前記光レシーバが、前記三次元コードから反射された放射を受光するように構成される、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記エアロゾル発生物品を受容するための前記くぼみが、前記エアロゾル発生物品を回転可能に取り付けるための手段を備える、請求項5~8
のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記三次元コードを読み取るための前記検出器が、前記三次元コードを読み取るための機械的手段を備える、請求項5~9
のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記三次元コードを読み取るための前記機械的手段が、表面トポロジースキャンを実施するための手段を含
む、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記機械的手段が、原子間力顕微鏡法を実施するための手段を含み、前記原子間力顕微鏡法が、前記三次元コードを備える前記表面エリアの表面トポグラフィーに応答してたわみ変形可能なカンチレバーを含み、前記検出器が、前記カンチレバーのたわみを検出するための放射源をさらに含む、請求項11に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記放射源が、前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体を加熱するようにも構成される、請求項7
に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
請求項5~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に作動するエアロゾル発生システムの一部として、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するための三次元コードを備える、エアロゾル発生物品に関する。
【0002】
電気加熱式エアロゾル発生システムは、典型的に、エアロゾル形成基体を加熱し、吸入可能なエアロゾルを形成するためのヒーターに接続された電源(電池など)を含む。使用時に、こうした電気加熱式エアロゾル発生システムは、典型的に、一つ以上の揮発性化合物をエアロゾル形成基体から放出するための温度範囲を提供するために、ヒーターに電気エネルギーを提供する。電気加熱式エアロゾル発生システムは、再使用可能であってもよく、またエアロゾル形成基体を包含するエアロゾル発生物品を受容するように配置されてもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0003】
電気加熱式エアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品は、典型的に特別に設計される。風味は、エアロゾル形成基体の制御された加熱によって生成され、かつ放出される。電気加熱式エアロゾル発生システムのために設計されたエアロゾル発生物品の動作条件は、エアロゾル発生物品のタイプ、量、風味、またはその他の特性に応じて変化してもよい。電気加熱式エアロゾル発生システムにおいてエアロゾル発生物品に対して不適切な動作条件を適用すると、結果として芳しくないユーザー体験をもたらしかねない。不適切な動作条件はまた、過熱を引き起こしかねず、これがエアロゾル発生システムの完全性に影響を与えかねない。
【0004】
加えて、使い捨てエアロゾル発生物品は、偽造されやすくなりかねない。こうした偽物製品は通常、品質基準がより低いため、それらの使用は消費者に対する潜在的なリスクを表す場合がある。三次元コードは、この点に関して、無許可の出所からの使い捨てエアロゾル発生物品を備えたエアロゾル発生システムの使用を防止することを支援しうる。
【0005】
先行技術において、エアロゾル発生物品に二次元コードを提供することは周知である。こうしたコードは、エアロゾル発生物品の表面上に識別可能なインクによって形成されてもよく、このコードはその後、エアロゾル発生装置によって検出される。例えば、バーコードは、エアロゾル発生物品上に、またはエアロゾル発生物品と関連付けられた包装上に印刷されてもよい。こうした二次元コードは、エアロゾル発生物品の通常の取り扱い中に損傷を受けやすい。加えて、これらの二次元コードは、通常、従来の光学的技法で読み取りが可能で、また簡単に複製され、したがって偽造されやすい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、エアロゾル発生物品の検出の改善を提供する、改善されたエアロゾル発生システムを提供することである。本発明の目的は、エアロゾル発生物品の改善された認証を提供する、改善されたエアロゾル発生システムを提供することである。本発明の目的は、偽造物品を製造する困難さが増大した、改善されたエアロゾル発生システムを提供することである。本発明の目的は、エアロゾル発生物品に関する一つ以上の情報を、改善された方法でエアロゾル発生装置に提供することである。
【0007】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品が提供される。エアロゾル発生物品はエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、表面エリアを有してもよい。エアロゾル発生物品は、三次元コードを備えてもよい。エアロゾル発生物品の表面エリアの少なくとも一部分は、三次元コードを備える。
【0008】
本発明の実施形態によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品が提供される。エアロゾル発生物品はエアロゾル形成基体を含む。エアロゾル発生物品は、表面エリアを有する。エアロゾル発生物品の表面エリアの少なくとも一部分は、三次元コードを備える。
【0009】
三次元コードは、任意の適切な形態でエアロゾル発生物品に提供されてもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品に取り付けられてもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。一部の実施形態では、三次元コードは、三次元コードを備えるステッカーを付着することによって、エアロゾル発生物品に取り付けられてもよい。一部の実施形態では、三次元コードは、三次元コードを形成する材料の層をエアロゾル発生物品の上へと配置することによって、エアロゾル発生物品に取り付けられてもよい。
【0010】
三次元コードは、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品と一体的に形成されてもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品の表面エリアに彫り込まれてもよい。
【0011】
三次元コードは、数多くの利点を提供しうる。コードは、肉眼では見えないように形成されてもよい。よって、エアロゾル発生物品の外観は、その表面上の三次元コードの存在によって影響を受けない。さらに、その不可視性から、潜在的な偽造者は、三次元コードの存在に気付かない場合さえもある。
【0012】
偽造者が三次元コードの存在に気付いた場合でさえも、三次元コードの複製と実装は、従来の二次元コードより複雑であり、かつ困難である可能性がある。また、偽造者が入手できない追加的な機械が必要となる場合もある。
【0013】
三次元コードは、エアロゾル発生物品の単一のエリアに提供されてもよい。一部の実施形態では、三次元コードは、エアロゾル発生物品のいくつかのエリアに提供されてもよい。三次元コードのこうした提供によって、例えば、不注意による損傷または不正確な製造によるコードの破壊が補償されうる。データ完全性を検証するために、三次元コードチェックサムまたは類似の関数を使用してもよい。
【0014】
一般に、三次元コードの形態は、三次元コードを読み出すために使用されることを意図した読み取り手段に適合させてもよい。これらの読み取り手段は、光学的または機械的な読み取り手段を含んでもよい。光学的読み取り手段は、CD-ROM/DVD-ROM装置で使用される読み取り手段と類似したものでもよい。機械的読み取り手段は、原子間力顕微鏡法を実施するための手段など、表面トポロジースキャンを実施するための手段を備えてもよい。
【0015】
三次元コードは、光学的手段によって読み取り可能であってもよい。三次元コードは、機械的手段によって読み取り可能であってもよい。三次元コードは、光学的手段と機械的手段との両方によって読み取り可能であってもよい。三次元コードは、ピットおよびランドを含んでもよい。ピットおよびランドは、エアロゾル発生物品の表面に彫り込まれてもよい。ピットおよびランドは、反射表面に彫り込まれてもよい。一部の実施形態では、ピットの深さは、光学的読み取り手段の波長の約1/4となってもよい。
【0016】
従来のCDフォーマットと同様に、ピットおよびランドは、バイナリデータの1および0を表すために使用されてもよい。一部の実施形態では、非ゼロ復帰符号化を使用してもよい。非ゼロ復帰符号化が使用される一部の実施形態では、ピットからランドへ、またはランドからピットへの変化は1を示し、一方で変化がないことはゼロまたは一連のゼロを示す。
【0017】
三次元コードの個別の構造の寸法は、10ナノメートル~100マイクロメートルの範囲としうる。CD技術で典型的に使用されるピットおよびランドは、100ナノメートル~5マイクロメートルの範囲の寸法を有する。ピットの深さは通常、50~500ナノメートルの量となる。こうした構造は、容易に入手可能な光学的装置を用いて適切に読み出すことができる。一部の実施形態では、三次元コードは、肉眼では見えない。一部の実施形態では、平均視力を有する人は、三次元コードを見ることができない場合がある。
【0018】
エアロゾル発生物品は、任意の適切な形状を有してもよい。エアロゾル発生物品は、平坦な形状を有してもよい。エアロゾル発生物品は、回転対称形状を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、円筒形状を有してもよい。エアロゾル発生物品はディスク形状であってもよい。エアロゾル発生物品は、非回転対称断面を有してもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、正方形の断面または長方形の断面を有してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の一つ以上の層を備えてもよい。エアロゾル形成基体の一つ以上の層は、貼り合わせられていてもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体がその中に提供されるくぼみを画定するハウジングを有してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の支持面を画定する平坦な基体を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、発熱体を備えてもよい。エアロゾル発生物品は電気発熱体を備えてもよい。物品をエアロゾル発生装置と共に使用する時には、エアロゾル発生物品の発熱体には、エアロゾル形成基体を加熱するために電気エネルギーが提供されてもよい。例えば、一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、サセプタ素子を備える。本明細書で使用される場合、「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。交流電磁場中に位置するとき、典型的にサセプタの中で渦電流が誘導され、かつヒステリシス損失が生じる場合があり、サセプタの加熱を生じさせる。サセプタがエアロゾル形成基体と熱的接触の状態で位置している、またはエアロゾル形成基体に熱的に近接近して位置していると、基体はサセプタによって加熱され、これによりエアロゾルが形成される。一部の実施形態では、サセプタは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と少なくとも部分的に物理的に直接接触して配置される。
【0019】
サセプタは、誘導加熱することができる任意の材料から形成されてもよい。好ましくは、サセプタは、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度へと誘導加熱することができる任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは金属または炭素を含む。好ましいサセプタは、強磁性材料(例えばフェライト鉄)、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、およびフェライトを含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。適切なサセプタはアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。
【0020】
好ましいサセプタは金属サセプタ(例えばステンレス鋼)である。しかしながら、サセプタ材料はまた、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、アルミニウム、ニオブ、インコネル合金(オーステナイトニッケルクロム系超合金)、金属化フィルム、セラミック(例えば、ジルコニアなど)、遷移金属(例えば、Fe、Co、Niなど)、または半金属構成要素(例えば、B、C、Si、P、Alなど)も含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。
【0021】
サセプタは、5%超の、好ましくは20%超の、好ましくは50%超の、または90%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましい。好ましいサセプタは摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。適切なサセプタは、非金属コアの上に配置された金属層を有する非金属コア、例えば、セラミックコアの表面上に形成された金属のトラックを含んでもよい。
【0022】
サセプタ素子は、例えば、粉末、細片、断片、固体ブロック、シート、ラッパー等、任意のいくつかの形態で提供されてもよい。
【0023】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置とともに使用するために配設されてもよい。エアロゾル発生装置は、サセプタ材料中に渦電流および/またはヒステリシス損失を誘発するように構成された一つ以上の誘導コイルを含んでもよく、これは結果としてサセプタ材料の加熱をもたらす。それ故に、サセプタ素子を備えるエアロゾル発生物品は、一つ以上の誘導コイルを含むエアロゾル発生装置によって加熱されてもよい。サセプタ材料を含むサセプタ素子は、例えばPCT公開特許出願国際公開第2014/102092号および同第2015/177255号に記載のものなど、任意の適切な材料を含んでもよい。
【0024】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は発熱体を含まず、その代わりにエアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置によって加熱されるように構成される。エアロゾル発生物品がサセプタ素子を含まない場合でさえも、エアロゾル発生物品は、一部の実施形態では、一つ以上のインダクタ(誘導コイルなど)と、装置によって提供されるサセプタ素子とを含むエアロゾル発生装置によって、加熱可能である場合がある。装置によって提供されるサセプタ素子は、装置がエアロゾル発生物品を受容する時、サセプタ素子がエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と接触するか、またはそれに近接するように配設されてもよい。
【0025】
三次元コードは、エアロゾル形成基体についての情報を提供してもよい。三次元コードは、エアロゾル形成基体のタイプについての情報を提供してもよい。例えば、三次元コードは、エアロゾル形成基体がメントール風味エアロゾル形成基体であることについての情報を提供してもよい。一部の実施形態では、三次元コードは、エアロゾル形成基体に対する好ましい加熱プロファイルについての情報を提供してもよい。
【0026】
エアロゾル発生物品は、いくつかのセクションを含んでもよい。いくつかのセクションには、同じ種類のエアロゾル形成基体が提供されてもよい。いくつかのセクションには、異なる種類のエアロゾル形成基体が提供されてもよい。三次元コードは、それぞれのセクション内に提供されるエアロゾル形成基体についての情報を提供してもよい。エアロゾル発生物品の使用において、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の異なるセクションが相互に無関係に加熱されうるように作動するよう構成されてもよい。
【0027】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に回転可能に据え付け可能になるように構成されてもよい。このようにして、エアロゾル発生物品は、CD-ROMがCDプレーヤーで読み出されるのと同様に、三次元コードを読み出すことが可能になりうる。エアロゾル発生物品は、放射ビームの光学的経路内で回転可能であってもよく、これにより、三次元コードを含むエアロゾル発生物品の表面エリアは放射ビームを通して搬送され、またこれにより、反射ビームは光レシーバ内に受光される。
【0028】
一部の実施形態では、三次元コードを含むエアロゾル発生物品の表面エリアは、透明な保護材料によって覆われてもよい。これによって、三次元コードは損傷または有害な外部の影響から保護されうる。保護材料は、高分子材料であってもよい。一部の実施形態では、保護材料はポリエチレンを含む。一部の実施形態では、保護材料はポリプロピレンを含む。一部の実施形態では、保護材料はポリエチレンとポリプロピレンとの両方を含む。
【0029】
三次元コードは、エアロゾル発生物品に取り付けられたステッカーの形態で提供されてもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品に取り付けられたラッパーの形態で提供されてもよい。一部の実施形態では、こうしたステッカーまたはラッパーは、層状構造から形成されてもよい。層状構造は、高分子材料の二つの層の間に挟まれる反射材料を含んでもよい。高分子材料の二つの層は同一であってもよい。高分子材料の二つの層は異なっていてもよい。高分子材料の二つの層は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの高分子材料から選択されてもよい。反射材料の層は金属材料を含んでもよい。反射材料の層は、アルミニウム箔などの金属箔を含んでもよい。
【0030】
一部の実施形態では、本発明は、エアロゾル発生装置に関する。エアロゾル発生装置は、上述のようにエアロゾル発生物品を受容するように構成される。エアロゾル発生装置は、くぼみを備えてもよい。くぼみは、エアロゾル発生物品を少なくとも部分的に受容するために配設されてもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の三次元コードを読み取る能力を有する検出器を備えることが好ましい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、吸入可能なエアロゾルを発生するためにエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用する装置に関する。エアロゾル発生装置は携帯型装置であってもよい。エアロゾル発生装置は手持ち式装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、片手の指の間に保持されるように構成された装置であってもよい。
【0032】
エアロゾル発生装置は電気回路を備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部であってもよい。電気回路はメモリを備えてもよい。メモリは、一つ以上の許容可能な三次元コードについての情報を含んでもよい。一つ以上の三次元コードは、純正のエアロゾル発生装置を示すものとして、既知のまたはメモリ内部に予めプログラムされたコードであってもよい。メモリは、一つ以上の加熱プロファイルについての情報を含んでもよい。メモリは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の一つ以上の事前定義されたタイプの好ましい加熱プロファイルについての情報を含んでもよい。メモリは、動作情報を含むルックアップテーブルを含んでもよい。ルックアップテーブルは、それぞれの一つ以上のタイプのエアロゾル形成基体の各々に対する好ましい加熱プロファイルを含んでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。
【0033】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の本体内に電源を備えてもよい。電源は電池であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、一回以上の使用体験のために十分なエネルギーを貯蔵することを可能にする容量を有してもよい。
【0034】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための発熱体をさらに備えてもよい。本開示の一部の実施形態では、発熱体は電気抵抗性のある発熱体を備えてもよい。電気抵抗性のある発熱体は電気抵抗性材料を含んでもよい。発熱体は任意の適切な形態をとってもよい。例えば、発熱体は、加熱ブレード、加熱ピン、または加熱チューブの形態をとってもよい。一部の実施形態では、発熱体は、ケースの形態をとってもよい。一部の実施形態では、発熱体は、基体の形態をとってもよい。一部の実施形態では、ケースまたは基体は、異なる導電部分を含む。一部の実施形態では、ケースまたは基体は、電気抵抗金属チューブを備えてもよい。一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を通って延びる一つ以上の加熱用の針またはロッドであってもよい。その他の代替としては、加熱用のワイヤーまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、または合金のワイヤーもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、発熱体は剛直な担体材料内に、またはその上に配置されてもよい。電気抵抗性のある発熱体は、温度と抵抗率との間で定義された関係を有する金属を使用して形成されてもよい。一部の実施形態では、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成されてもよく、そしてその後、ガラスなどの別の断熱材料に挟まれてもよい。この様式で形成されたヒーターは、随意に、動作中の発熱体の加熱と、発熱体の温度のモニターとの両方に使用されてもよい。一部の実施形態では、発熱体は、複数の発熱体を含んでもよい。
【0035】
発熱体は、有利なことに、例えば、伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。発熱体は、使用時に、発熱体がエアロゾル形成基体と少なくとも部分的に接触するか、またはエアロゾル形成基体が配置される担体と接触するように配設されてもよい。一部の実施形態では、発熱体からの熱は、熱伝導性要素によってエアロゾル形成基体へと伝導されてもよい。
【0036】
電気回路は発熱体への電力供給を調節するように構成されてもよい。一部の実施形態では、電力は、エアロゾル発生装置の起動に続いて連続的に発熱体に供給されてもよい。一部の実施形態では、電力は、発熱体に断続的に供給されてもよい。例えば、一部の実施形態では、電力は、吸煙するごとにヒーターに供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように構成されてもよく、また好ましくは、発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力供給を制御するように構成されてもよい。
【0037】
上述のように、エアロゾル発生装置は、三次元コードを読み取るための検出器を備える。検出器は、三次元コードを読み取るための適切な手段を備えてもよい。
【0038】
検出器は、エアロゾル発生物品の三次元コードを読み取るための光学的手段を備えてもよい。三次元コードを読み取るための光学的手段は、放射源を備えてもよい。放射源は、三次元コードを読み出すために使用される放射を発生させるように構成されてもよい。放射源は、放射ビームを発生させるように構成されてもよい。放射源は、レーザー放射源であってもよい。放射源は、任意の適切な波長の放射を発生させてもよい。放射源は、予め定義された波長を有する放射を発生させてもよい。放射源は、UV放射を発生させてもよい。放射源は、IR放射を発生させてもよい。放射源は、可視光を発生させてもよい。放射源は、単色放射を発生させてもよい。単色放射は、予め定義された波長を有する放射であってもよい。
【0039】
一部の実施形態では、三次元コードを読み取るための光学的手段は、三次元コードから反射された放射を受光するための光レシーバを少なくとも備えてもよい。一部の実施形態では、三次元コードを読み取るための光学的手段は、少なくとも一つの鏡を備えてもよい。少なくとも一つの鏡は、放射を三次元コードに向かって方向付けるように構成されてもよい。
【0040】
検出器が、三次元コードを読み取るための光学的手段を備える実施形態では、三次元コードは、随意に、反射材料内に、または反射材料上に提供されてもよい。三次元コードを読み取るための光学的手段は、三次元コードから反射された放射を受光するように構成された光レシーバを備えてもよい。
【0041】
三次元コードを読み取るための光学的手段は、三次元コードの接触のない、かつ非侵襲的な読み取りを可能にする。エアロゾル発生物品が使い捨てエアロゾル発生物品として構成されている実施形態では、光学検出手段は、エアロゾル発生装置の取り扱いを容易にしうる。光学的検出手段は、検出器とエアロゾル発生物品との直接的な物理的接触を必要としないため、エアロゾル発生物品は、検出器のすぐ近くに取り付けられる必要はない。その結果、エアロゾル発生物品の挿入および取り外しに伴い検出器を損傷するリスクが低くなりうる。
【0042】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品をその中に回転可能に取り付けることを可能にするように構成されてもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生物品を受容するためのくぼみは、エアロゾル発生物品を回転可能に取り付けるための手段を備えてもよい。例えば、装置は、エアロゾル発生装置が取り付けられうるポストまたはスピンドルを備えてもよい。装置は、エアロゾル発生装置が取り付けられうる回転可能なプレートを備えてもよい。
【0043】
使用時に、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置のくぼみ内で回転してもよい。エアロゾル発生物品の回転は、三次元コードが、放射源によって発せられた放射の光学的経路を通してなどのように、三次元コードを読み取るために光学的手段の光学的経路を通して搬送されるようなものであってもよい。このようにして、光学的手段は、CD-ROM装置で行われるのと類似したやり方で、三次元コードによって提供される情報を読み取ってもよい。
【0044】
一部の実施形態では、三次元コードを読み取るためのエアロゾル発生装置の検出器は、三次元コードを読み取るための機械的手段を含んでもよい。こうした機械的手段は、表面トポロジースキャンを実施するための手段を備えてもよい。機械的手段は、例えば、一つ以上の原子間力顕微鏡法(AFM)を実施するための手段を含んでもよい。
【0045】
一つ以上の原子間力顕微鏡法を実施するための手段は、カンチレバーを含んでもよい。カンチレバーは、エアロゾル発生物品の三次元コードを含む表面エリアの表面トポグラフィーに応答して、たわむように配置されてもよい。カンチレバーのたわみは、光学的手段によって検出されてもよい。この目的のために、検出器は、カンチレバーのたわみを検出するための放射源をさらに備えてもよい。
【0046】
原子間力顕微鏡法の一般的な動作原理は、針状の先端を力センサー(典型的にはカンチレバー)上に取り付けて、表面の近くに持ってくることである。先端を表面に直接接触させることができ、表面を横切って先端を一定の距離移動させ、先端のたわみを検出することによって、表面トポグラフィーを直接測定することができる。表面トポグラフィーは、特定の表面エリアのトポグラフィー画像が得られるように、ラインごとにスキャンされる。
【0047】
AFMはまた、力センサーがその固有周波数で振動するように駆動される、いわゆる「非接触モード」で動作させてもよい。先端を表面の近くに持ってくることによって、先端と表面との間の相互作用は、振動周波数を変化させる。振動周波数のこの変化は、スキャンされた表面エリアのトポグラフィープロファイルに変換されうる。
【0048】
力センサーがたわみ変形可能なカンチレバーである実施形態では、カンチレバーのたわみは、カンチレバーの裏側に方向付けられたレーザービームの反射によって決定されうる。レーザービームは、カンチレバーの裏側から光レシーバへと反射される。反射されたビームは、光レシーバによって検出され、そしてカンチレバーのたわみの振幅または振動周波数を決定するために使用されてもよい。
【0049】
三次元コードは、エアロゾル発生物品の表面エリアの上に直接的に提供されてもよい。有利なことに、これは特に、原子間力顕微鏡法を介した三次元コードの読み取りを容易にする。特に、三次元コードは、機械的手段によるコードの検出を阻止する場合があるため、保護層によって覆われるべきではない。保護被覆がないと、三次元コードは、エアロゾル発生物品の取り扱い中に物理的損傷を受けやすくなる場合がある。一部の実施形態では、三次元コードは、単一の表面エリア上のみではなく、エアロゾル発生物品の複数の表面エリアにも提供される。それ故に、一つの表面エリアでの三次元コードが損傷または破壊された場合でも、必要とされる情報は、エアロゾル発生物品の別の表面エリアの上に提供された同一のコードから読み取られうる。
【0050】
表面トポロジースキャン法を使用する利点は、エアロゾル発生物品が、三次元コードを有する少なくとも一つの比較的平坦な表面エリアが提供される限り、任意の所望の形状を有しうることである。さらなる利点は、エアロゾル発生物品を必ずしもエアロゾル発生装置に回転可能に取り付ける必要がないことである。
【0051】
三次元コードの寸法は、それらがそれぞれの検出器によって確実に読み取られるように選ばれてもよい。検出器が、三次元コードを読み取るための光学的手段を含む場合、コード要素を形成する個々のピットおよびランドの寸法は、コードを読み出すために使用される放射の波長に依存してもよい。例えば、ピットの深さは、放射源の波長の約1/4となってもよい。ピットの深さは、約50ナノメートル~約1マイクロメートルの範囲であってもよい。ピットおよびランドの幅は、約100ナノメートルから最大で約5マイクロメートルまでの範囲であってもよい。
【0052】
原子間力顕微鏡法は、通常、表面撮像にナノメートル規模で使用され、さらにはサブナノメートル規模で使用されることもある。それ故に、原子間力顕微鏡法は、上述の寸法を有するピットおよびランドのような三次元表面構造を読み出すために非常に好適である。
【0053】
一部の実施形態では、検出器は、三次元コードを読み取るための光学的手段と、三次元コードを読み取るための機械的手段との両方を備える。一部の実施形態では、検出器は、三次元コードを読み取るための光学的手段または三次元コードを読み取るための機械的手段のうちの一つのみを含む。
【0054】
上記で考察した三次元コードを読み出すための光学的手段または機械的手段の各々は、放射源を含んでもよい。特に、この放射源がレーザー源である場合、一部の実施形態では、放射は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するためにも使用されてもよい。この点に関して、一部の実施形態では、ビームスプリッタが提供されてもよい(例えば、エアロゾル発生装置の一部として)。ビームスプリッタは、放射源のビームを、三次元コードの読み取りに使用されるビームと、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の加熱に使用されるビームとに分離するように構成されてもよい。一部の実施形態では、追加的な鏡が提供されてもよく、これによってビームはエアロゾル形成基体に向けて方向付けられてもよい。追加的な鏡は、ビームスプリッタと組み合わせて、またはビームスプリッタの代替として使用されてもよい。一部のこうした実施形態では、使用時に、三次元コードの読み出しは、新しいエアロゾル発生物品の挿入後、および/またはエアロゾル発生装置のスイッチがオンになる際に実施されてもよい。一部の実施形態では、放射が三次元コードを読み出すために必要とされない時はいつでも、放射はエアロゾル形成基体を加熱するために使用されてもよい。この目的のために、放射を誘導するために使用される一つ以上の鏡は、移動可能に構成されてもよい。有利なことに、放射は、エアロゾル形成基体を加熱するために、エアロゾル形成基体の望ましい任意の表面エリアへと方向付けることができる。
【0055】
エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に回転可能に据え付け可能な実施形態では、回転可能な据え付けの回転速度は調節可能であってもよい。三次元コードを読み出すための回転速度は、エアロゾル形成基体の加熱中に使用される回転速度より高くてもよい。エアロゾル発生装置は、回転速度を調整するように構成されてもよい。これは、エアロゾル発生装置によって実施されるタスクに応じて適切な条件を選択することを可能にしうる。
【0056】
本発明の実施形態では、上述のような、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0057】
本発明の別の実施形態では、エアロゾル発生システムでエアロゾルを発生させるための方法が提供される。方法は、三次元コードを有するエアロゾル発生物品を提供することと、検出器によって三次元コードを読み取ることと、三次元コード内に含まれる情報に基づいてエアロゾル発生装置を動作させることと、を含む。
【0058】
一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は検出器を備える。
【0059】
一部の実施形態では、方法は、読み取られた三次元コードが、予想される三次元コードと合致するかどうかを判定することを含む。
【0060】
一部の実施形態では、方法は、三次元コードを復号することを含む。方法は、復号された読み取られた三次元コードが、予想される復号された三次元コードと合致するかどうかを判定することを含んでもよい。
【0061】
一部の実施形態では、方法は、三次元コードが予想される三次元コードと合致する(または復号された三次元コードが復号された予想される三次元コードと合致する)と判定することに依存して、エアロゾル発生装置の発熱体の起動を可能にすることを含む。一部の実施形態では、発熱体の起動を可能にすることは、電源が発熱体に電力を供給することを可能にすることを含んでもよい。
【0062】
一部の実施形態では、方法は、三次元コードが予想される三次元コードと合致しない(または復号された三次元コードが復号された予想される三次元コードと合致しない)と判定することに依存して、エアロゾル発生装置の発熱体の起動を妨げることを含む。一部の実施形態では、発熱体の起動を妨げることは、電源が発熱体に電力を供給することを妨げることを含んでもよい。
【0063】
一部の実施形態では、三次元コード内に提供される情報は、エアロゾル発生装置の起動に伴い読み取られてもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置の起動は、エアロゾル発生装置のスイッチをオンにすることを含んでもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置の初回の起動またはスイッチをオンにすることは、発熱体の起動を含まない。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置の初回の起動またはスイッチをオンにする際でさえも、発熱体は当初、無効化されてもよい。一部の実施形態では、発熱体は、エアロゾル発生物品の三次元コードに提供された情報が、読み取られ、かつ予想される情報に合致すると決定された後にのみ、起動されてもよい。一部の実施形態では、三次元コードで提供される情報は、一つまたは複数の目的のために使用されてもよい。
【0064】
三次元コードは、エアロゾル発生物品に関する情報を提供してもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品の一つ以上の特異性に関する情報を提供してもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品の一つ以上の特定の特性に関する情報を提供してもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品に対する一つ以上の好ましい装置動作パラメータに関する情報を提供してもよい。三次元コードは、エアロゾル発生物品の成分、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の成分、好ましい動作温度範囲、エアロゾル発生物品の使用期限、および/またはエアロゾル発生物品に関する任意のさらなる情報のうちの任意の一つ以上またはそれらの組み合わせに関する情報を含んでもよい。
【0065】
エアロゾル発生装置は、三次元コードによって提供されるこうした情報を使用して、エアロゾル発生装置の一つ以上のパラメータを調整してもよい。エアロゾル発生装置は、三次元コードによって提供されるこうした情報を使用して、これらのパラメータに対応するエアロゾル発生装置の一つ以上のパラメータを調整してもよい。エアロゾル発生装置の一つ以上のパラメータを調整することは、それによって、提供されるエアロゾル発生物品に対する適切な動作条件が採用されることを確実にしうる。
【0066】
一部の実施形態では、三次元コードによって提供される情報は、任意の適切な手段によってユーザーに表示または通知されてもよい。例えば、一部の実施形態では、視覚表示装置は、エアロゾル発生装置の外表面に提供されてもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は、情報をユーザーに伝えるためのLEDなどの一つ以上の光を含む。一部の実施形態では、情報は、スピーカーを介してなど、音声手段によってユーザーに伝えられてもよい。一部の実施形態では、情報は、一つ以上の触覚信号によってユーザーに伝達されてもよい。
【0067】
一部の実施形態では、情報は、エアロゾル発生物品の真正性をチェックするために使用されてもよい。この目的のために、三次元コードは、特定の情報を含んでもよく、これは製品が、真正な供給元に由来する純正の製品であるかどうかを判定することが可能にする。
【0068】
エアロゾル発生物品が複数の異なるセクションを含む実施形態では、三次元コードは、これらのセクションのマッピングを提供してもよい。これは、セクションの各々のうちの一つ以上が、その他のセクションのうちの一つ以上からの一つ以上の異なる特性を有する場合に特に有益である場合がある。異なる特性の例としては、異なるエアロゾル形成基体、異なるたばこブレンド、異なるエアロゾル形成体濃度、異なる密度、異なるタイプの感覚媒体(例えば、固体、液体、ゲルの区別)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに必ずしも限定されない。エアロゾル発生物品が複数の異なるセクションを含む実施形態では、三次元コードは、各セクションの成分についての情報を提供してもよい。一部の実施形態では、各セクションの成分についての情報を提供する三次元コードは、所与のセクションに対して、一つ以上の異なる温度経時的加熱プロファイルを適用するために使用されてもよい。このようにして、一部の実施形態では、ユーザーは、エアロゾル形成基体のどのセクションを加熱するかを選択してもよい。一部の実施形態では、それ故に、エアロゾル発生装置は、選択されたセクションの各々に対して適切な、一つ以上の事前定義された動作条件下で動作してもよい。一部の実施形態では、コントローラは、三次元コードの状態で提供される情報に対応する加熱されるエアロゾル発生物品のセクションの特定の配列を自動的に選択してもよい。例えば、一部の実施形態では、コントローラは、構成成分の濃度が増加する、または濃度が減少するセクションを加熱してもよい。有利なことに、吸入体験は、所望の送達体験を達成するための特定のまたは予め定義された配列に従ってもよい。例えば、吸入体験は、医学的な進行を達成するために、特定のまたは予め定義された配列に従ってもよい。一部の実施形態では、コントローラは、ある吸入体験のエアロゾル形成基体の消費に関するフィードバックを提供してもよい。
【0069】
一実施形態に関して説明される特徴は、本発明のその他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0070】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生物品および検出手段を示す。
【
図2】
図2は、正方形(
図2a)および円筒状(
図2b)形状を有するエアロゾル発生物品の実施形態を示す。
【
図3】
図3は、接触モードAFMの機能的レイアウトの概略図を示す。
【
図4】
図4は、非接触モードAFMの機能的レイアウトの概略図を示す。
【
図5】
図5は、従来のCD-ROMの一セクションを概略的に示す。
【
図6】
図6は、従来のCD-ROMのAFM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、本発明によるエアロゾル発生物品を示す。エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生装置とともに使用するための、かつエアロゾル発生装置の中に挿入するための交換可能な物品である。
図1に図示するエアロゾル発生物品10は、ディスク形状であり、かつ貼り合わされたエアロゾル形成基体12の二つの層12a、12bを含む。三次元コード16を含むステッカー14は、エアロゾル発生基体12の上層12aに取り付けられる。
【0073】
ステッカー14は、反射するアルミ箔を備え、その上へと三次元コード16が彫り込まれている。三次元コード16は、ピットおよびランドを含み、そしてCD-ROMまたはDVD技術で使用されるピットおよびランドと類似の構造を有してもよい。三次元コード16を有害な外部の影響から保護するために、コード構造はポリエチレンから作製された透明な層(図示せず)によって保護される。
【0074】
使用時に、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生装置に回転可能に取り付けられる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品10上の三次元コード16を読み出すために構成された検出器20を含む。
図1の実施形態では、検出器20は、レーザーダイオード22、レシーバ24、およびいくつかの鏡25、26、27、ならびにビームスプリッタ28、29を備える光学系である。
【0075】
レーザーダイオード22は、405ナノメートルの波長を有する光ビーム23を生成するように構成される。この光ビーム23は、三次元コード16を有するステッカー14の上へと、二つのビームスプリッタ28、29および鏡25によって方向付けられる。ビームは、ステッカー14の表面から反射される。反射されたビームは、光レシーバ24によって受光され、そしてエアロゾル発生装置のコントローラによって評価される。三次元コード16を読み取るために、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生装置内で回転される。エアロゾル発生物品10の回転は、
図1の矢印17によって示され、そして三次元コード16がレーザービーム23を通して搬送されるように構成される。反射したレーザービームは、レシーバ24によって受光され、コントローラによって復号される。
【0076】
コントローラは、三次元コード16で提供された情報に基づいて、エアロゾル発生物品10の真正性を確認するように構成される。コントローラは、復号された三次元コードを、一つ以上の予想される情報または予想される復号された三次元コードと比較して、エアロゾル発生物品10の真正性を判定する。三次元コード16は、エアロゾル発生物品10内に提供されたエアロゾル形成基体12のタイプに関するさらなる情報を含んでもよい。この情報に基づいて、コントローラは、エアロゾル発生装置の一つ以上の動作パラメータを調整してもよい。
【0077】
図2aおよび
図2bでは、エアロゾル発生物品10の二つのさらなる実施形態が図示されている。
図2aでは、エアロゾル発生物品10もまた、ディスク形状であり、そしてエアロゾル発生物品10のハウジングを形成するアルミニウムから作製されたリング形状の外壁30を有する。エアロゾル形成基体12は、リング形状の外壁30内の中央エリアに提供される。三次元コード16は、ハウジングの外側壁32に直接的に彫り込まれている。三次元コード16は、例えば、エアロゾル発生物品10の輸送中に、または取り扱い中に、コード16を備えるエリアのうちの一つが損傷した場合でも、コード16を読み取ることができるように、複数の場所に提供される。
【0078】
エアロゾル形成基体12は、エアロゾル発生物品10内の四つの異なるセクション34に提供される。これらのセクション34は各々、異なる種類のエアロゾル形成基体12を含んでもよい。エアロゾル発生装置は、これらのセクション34の各々を相互に独立して加熱するように構成されてもよい。三次元コード16は、各セクション34に提供されるエアロゾル形成基体12についての情報を提供し、これによりコントローラは、所望の予め定義されたプロファイルに従ってエアロゾル発生装置を動作させることができる。
【0079】
図2bに図示するエアロゾル発生物品10は、回転対称的な形状ではなく、正方形である。エアロゾル形成基体12は、この場合もエアロゾル発生物品10の中央エリアに提供される。三次元コード16は、エアロゾル発生物品10の各隅に取り付けられているステッカー14上に提供されている。
【0080】
非回転対称なエアロゾル発生物品10の三次元コード16は、有利なことに、エアロゾル発生物品10の比較的速い回転を必要としない検出器によって読み出されてもよい。こうした実施形態では、
図2bのエアロゾル発生物品10の三次元コード16は、原子間力顕微鏡法(AFM)などの一つ以上の表面スキャン技法を使用して読み出されてもよい。
【0081】
図3および
図4は、AFMの二つの主な動作原理を例示する。
図3では、いわゆる接触方式が概略的に示され、ここでは微細な先端42を支える屈曲可能なカンチレバー40が試料表面44を横切って案内される。カンチレバー40の先端42は、表面トポグラフィーを追従し、これがカンチレバー40の屈曲角度の変化につながる。カンチレバー40の屈曲角度は、レーザーダイオード46およびセグメント化されたフォトダイオード48を含む光学的装置によってモニターされる。レーザーダイオード46は、カンチレバー40の裏側に方向付けられ、かつセグメント化されたフォトダイオード48へと反射されるレーザービーム23を発生させる。カンチレバー40の屈曲角度のわずかな変化は、フォトダイオード48の感度の高いエリアを横切るレーザースポットの移動につながり、これが、制御電子機器49によってスキャンされたサンプル表面44の高さプロファイルへと変換されることができる。
【0082】
AFMの別の動作原理である、いわゆる非接触方式を
図4に図示する。この場合も、微細な先端42を支える屈曲可能なカンチレバー40が提供される。しかしながら、このカンチレバー40は、表面44と直接接触せず、圧電素子43によって励起されて、表面44の上方のある特定の距離dにおいて固有周波数で振動する。先端42が表面44に近づくと、表面44と先端42との間の引力が、カンチレバー40の振動周波数にわずかに影響を及ぼす。カンチレバー40の振動は、この場合も、カンチレバー40の後ろ側からセグメント化されたフォトダイオード(
図4には図示せず)へと反射されるレーザービーム23によって検出される。
【0083】
振動周波数の変化は、先端42と表面44との間の引力に対する直接的な尺度である。これらの力は、先端42と試料表面44との間の距離に強く依存するため、振動周波数の変化も、先端42と試料表面44との間の距離に直接関連する。先端42の表面44への距離は、圧電位置決め要素50によって調整することができる。非接触AFMモードで表面44のトポグラフィー画像を生成するために、カンチレバー40は表面44を横切ってスキャンされ、振動周波数は、表面トポグラフィーに従って先端42と表面44との間の距離を調整することによって一定に保たれる。それ故に、表面エリア44のスキャン中にカンチレバー40の垂直調整移動を記録することによって、表面44のトポグラフィー画像が得られる。
【0084】
図2bのエアロゾル発生物品10の三次元コード16を読み取るために、エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置によって受容される時、エアロゾル発生装置内に提供されるコンパクトなAFM装置は、エアロゾル発生物品10の四隅のいずれかの上に提供されるステッカー14のうちの一つの上に、またはその近くに配設されてもよい。AFMは、ステッカー14のうちの一つの三次元コード16を自動的に読み出してもよい。この場合も、制御ユニットは、AFM画像を評価し、三次元コード16内に提供された情報を復号するように構成される。
【0085】
図5では、CD-ROMで使用されるようなコードが図示されている。コードは、反射表面60内に提供されたピット62およびランド64から成る。それぞれの単一のピット62は、幅66および長さ68および深さを有する。一部の実施形態では、各ピットは同一の寸法を有し、またこれは単に、三次元コードを提供する表面エリアにわたるピットの分布である。一部の実施形態では、一つ以上のピットは、異なる一つ以上の寸法であるが、ピットの規則正しい分布を有する。一部の実施形態では、すべてのピットの分布、およびピットの寸法のうちの一つ以上は、三次元コードを提供するために異なっていてもよい。
図5に示す図示した実施形態では、各ピット62は、約600ナノメートルの幅66と、約800ナノメートルの長さ68とを有し、また約200ナノメートルの深さである。列の間のピッチ70は、1.6マイクロメートルとなる。本発明の三次元コード16については、一部の実施形態では、所望の情報を含むためには、単一列のピット62およびランド64で十分である場合がある。
図5に示す実施形態では、約780ナノメートルの波長72を有するレーザービーム23を生成するレーザーダイオードを使用してもよい。表面上のレーザービームのスポットサイズ74は、典型的には、ピットの幅よりわずかに大きく、そして約1.5マイクロメートルとなってもよい。ピット62の深さは、レーザービーム23の波長の約1/4となる。
【0086】
図6は、接触モード原子間力顕微鏡によって撮像された、CD-ROMのトポグラフィー画像を示す。ピット62およびランド64は、約1.6マイクロメートルのピッチ60を有する列に沿って整列される。ピット62は、明るいランド64の間の暗いへこみとして現れる。
【0087】
CD装置は典型的に、バイナリコードについて、いわゆる8ビットから14ビットへの変調(EFM)が使用され、ここで、ピット62からランド64への変化およびその逆の変化が「1」ビットに対応し、また変化がないことが「0」ビットに対応する。本発明のエアロゾル発生物品10が回転可能に取り付けられ、かつエアロゾル発生物品10の回転中にコードが光学的に検出される実施形態に対して、類似の符号化を使用されてもよい。表面スキャン技法を使用して三次元コード16を検出する実施形態に対して、異なる符号化を適用してもよい。例えば、ピット62がバイナリ「0」に対応してもよく、ランド64がバイナリ「1」に対応してもよい。
【0088】
図1の実施形態では、ビームスプリッタ28、29および鏡25は、レーザービーム23の一部をエアロゾル発生物品10のステッカー14に向かって方向付け、かつ三次元コード16で提供される情報を読み出すために使用される。レーザービーム23のその他の部分は、エアロゾル形成基体12に直接的に方向付けられ、かつエアロゾル形成基体12を加熱するため、または少なくとも加熱を支援するために使用される。この目的のために、追加的な鏡26、27が提供される。ビームスプリッタ28、29および鏡25、26、27は、エアロゾル発生装置内に移動可能(
図1に双方向矢印で示す)に取り付けられてもよく、またレーザービーム23をエアロゾル形成基体12の特定の所望のセクションへと方向付けるように調整されてもよい。これは、異なる種類のエアロゾル形成基体12を含む複数の異なるセクション34を備える、
図2aで図示するようなエアロゾル発生物品10では特に有用である場合がある。三次元コード16で提供される情報に応じて、コントローラは、レーザー光が所望のエアロゾル形成基体12に向かって方向付けられるように光学系を調整してもよい。
【0089】
図7は、エアロゾル発生装置81とエアロゾル発生物品10とを備えるエアロゾル発生システム80の分解図を示す。エアロゾル発生装置81は、主ハウジング部82およびマウスピース部84を備える。主ハウジング部82は、電源86と、コントローラ88と、検出器20と、回転可能な取付プレート90と、を備える。マウスピース部84は、主ハウジング部82から取り外し可能となるように構成される。エアロゾル発生物品10の挿入のために、マウスピース部84は、一時的に取り外され、これによりエアロゾル発生物品10を、回転可能なプレート90の上へと挿入することができる。エアロゾル発生物品10の挿入後、マウスピース部84は主ハウジング部82へと再取り付けされて、エアロゾル発生システム80は使用するための準備が整う。
【0090】
エアロゾル発生物品は、取付プレート90へと取り付けられる。検出器20は、レーザーダイオードと、レシーバと、いくつかの鏡およびビームスプリッタ(
図7では詳細に示さず)と、を備える、
図1に図示するような光学系である。レーザーダイオードによって生成される光ビームは、三次元コードを読み取るために回転可能に据え付けられたエアロゾル発生物品10へと方向付けられる。