(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】機械用電気油圧駆動システム、電気油圧駆動システムを伴う機械、および電気油圧駆動システムを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20231206BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20231206BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F15B11/02 B
F15B11/16 Z
E02F9/20
(21)【出願番号】P 2021577626
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 US2020036030
(87)【国際公開番号】W WO2021029940
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】カール・ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダーラーン,デイル
(72)【発明者】
【氏名】フランツォーニ,ゲルマーノ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-086704(JP,A)
【文献】特開2006-105226(JP,A)
【文献】国際公開第2001/088381(WO,A1)
【文献】特許第3862256(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076558(US,A1)
【文献】特開2015-048899(JP,A)
【文献】特開平11-141504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧システムであって、
シリンダ、および前記シリンダ内にスライド可能に適合されたピストンを備える油圧シリンダアクチュエータであって、前記ピストンは、ピストンヘッド、および前記ピストンヘッドから伸展する棒を備え、前記ピストンヘッドは、前記シリンダの内部空間を分割して第1のチャンバおよび第2のチャンバにし、前記油圧シリンダアクチュエータは、前記ピストンを所与の方向に駆動するために前記第1のチャンバまたは前記第2のチャンバに提供される流体の第1の流体流量が、前記ピストンが動くときに他方のチャンバから放出される流体の第2の流体流量と異なるように不平衡である油圧シリンダアクチュエータと、
前記油圧シリンダアクチュエータの前記第1のチャンバまたは前記第2のチャンバに流体流を提供して前記ピストンを駆動するために、第1の電気モータにより反対の回転方向に駆動される双方向流体流供給源になるように構成された第1のポンプと、
ブースト流体流を提供するように、または前記第1の流体流量と第2の流体流量の差を備える過剰な流体流を受け取るように構成されたブースト流管路と、
油圧モータアクチュエータと、
前記油圧モータアクチュエータに流体流を提供
し、前記油圧モータアクチュエータを駆動させるために第2の電気モータにより駆動される、前記第2の電気モータにより反対方向に回転可能な対応する前記双方向流体流供給源になるように構成された第2のポンプであって、
前記油圧シリンダアクチュエータが前記第1のポンプにより駆動させられている間、前記第1の流体流量と前記第2の流体流量との間の差を埋め合わせるために、前記ブースト流管路に流体で連結されて、前記油圧シリンダアクチュエータに前記ブースト流体流を提供する第2のポンプと
を備える油圧システム。
【請求項2】
前記第1のポンプは、(i)第1の流体流の管路を介して前記第1のチャンバに流体で連結された第1のポンプポート、および(ii)第2の流体流の管路を介して前記第2のチャンバに流体で連結された第2のポンプポートを有し、前記油圧システムは、
(i)前記第1の流体流の管路に流体で連結された第1のパイロットポート、(ii)前記第2の流体流の管路に流体で連結された第2のパイロットポート、および(iii)前記ブースト流管路に流体で連結されたブーストポートを有する逆シャトル弁であって、前記第1の流体流の管路と前記第2の流体流の管路の間の圧力差に応答する逆シャトル弁
をさらに備える、
請求項1に記載の油圧システム。
【請求項3】
前記第1の流体流の管路内の圧力レベルが前記第2の流体流の管路内の圧力レベルよりも高いとき、前記逆シャトル弁のシャトル要素は中で移動して、前記第2のパイロットポートに前記ブーストポートを流体で連結して、前記第2の流体流の管路に前記ブースト流体流を提供し、
前記第2の流体流の管路内の前記圧力レベルが前記第1の流体流の管路内の前記圧力レベルよりも高いとき、前記逆シャトル弁の前記シャトル要素は中で移動して、前記ブーストポートに前記第1のパイロットポートを流体で連結して、前記第1の流体流の管路から前記ブースト流管路に前記過剰な流体流を提供する、
請求項2に記載の油圧システム。
【請求項4】
前記第1のポンプポートと前記油圧シリンダアクチュエータの前記第1のチャンバの間で前記第1の流体流の管路内に配置された第1の荷重保持弁であって、作動するまで前記第1のチャンバから前記第1のポンプポートに至る流体流を遮断している間、前記第1のポンプポートから前記第1のチャンバに至る流体流を可能にするように構成された第1の荷重保持弁と、
前記第2のポンプポートと前記油圧シリンダアクチュエータの前記第2のチャンバの間で前記第2の流体流の管路内に配置された第2の荷重保持弁であって、作動するまで前記第2のチャンバから前記第2のポンプポートに至る流体流を遮断している間、前記第2のポンプポートから前記第2のチャンバに至る流体流を可能にするように構成された第2の荷重保持弁と
をさらに備える、請求項2に記載の油圧システム。
【請求項5】
ワークポート圧力逃し弁組立体であって、(i)前記第1のチャンバ内の流体の圧力レベルがしきい圧力値を超えたときに前記第1のチャンバから前記ブースト流管路に至る流体の流路を提供するように構成された、前記第1の荷重保持弁と前記第1のチャンバの間に配置された第1の圧力逃し弁、および(ii)前記第2のチャンバ内の流体の圧力レベルが前記しきい圧力値を超えるときに前記第2のチャンバから前記ブースト流管路に至る対応する流体の流路を提供するように構成された、前記第2の荷重保持弁と前記第2のチャンバの間に配置された第2の逃し弁を備えるワークポート圧力逃し弁組立体
をさらに備える、請求項4に記載の油圧システム。
【請求項6】
ポンプ圧力逃し弁組立体であって、(i)前記第1のポンプポートでの流体の圧力レベルがしきい圧力値を超えたときに前記第1のポンプポートから前記ブースト流管路に至る流体の流路を提供するように構成された、前記第1のポンプポートと前記第1の荷重保持弁の間に配置された第1の圧力逃し弁、および(ii)前記第2のポンプポートでの流体の圧力レベルが前記しきい圧力値を超えるときに前記第2のポンプポートから前記ブースト流管路に至る対応する流体の流路を提供するように構成された、前記第2のポンプポートと前記第2の荷重保持弁の間に配置された第2の圧力逃し弁を備えるポンプ圧力逃し弁組立体
をさらに備える、請求項4に記載の油圧システム。
【請求項7】
前記第2のポンプは、(i)第1の流体流の管路を介して前記油圧モータアクチュエータに流体で連結された第1のポンプポート、および(ii)第2の流体流の管路を介して前記油圧モータアクチュエータに流体で連結された第2のポンプポートを有し、前記油圧システムは、
前記第2のポンプと並列に配置されたシャトル弁であって、(i)前記第1の流体流の管路に流体で連結された第1の注入口ポート、(ii)前記第2の流体流の管路に流体で連結された第2の注入口ポート、および(iii)前記ブースト流管路に流体で連結された放出口ポートを有し、前記第1の注入口ポートと前記第2の注入口ポートの間の圧力差に応答し、前記第2のポンプが、第1の回転方向に回転して前記第1の流体流の管路に流体を提供しようと、第2の回転方向に回転して前記第2の流体流の管路に前記流体を提供しようと、前記流体は前記シャトル弁の前記放出口ポートに、次いで前記ブースト流管路に流れるシャトル弁
をさらに備える、
請求項1に記載の油圧システム。
【請求項8】
前記ブースト流管路内に配置されたバイパス弁であって、電気コマンド信号により作動するまで前記シャトル弁の前記放出口ポートからの流体流を遮断するように構成された電気作動常閉弁であるバイパス弁
をさらに備える、請求項7に記載の油圧システム。
【請求項9】
機械であって、
複数の油圧シリンダアクチュエータであって、前記複数の油圧シリンダアクチュエータの各油圧シリンダアクチュエータは、シリンダ、および前記シリンダ内にスライド可能に適合されたピストンを備え、前記ピストンは、ピストンヘッド、および前記ピストンヘッドから伸展する棒を備え、前記ピストンヘッドは、前記シリンダの内部空間を分割して第1のチャンバおよび第2のチャンバにし、前記各油圧シリンダアクチュエータは、所与の方向に前記ピストンを駆動するために前記第1のチャンバまたは前記第2のチャンバに提供される流体の第1の流体流量が、前記ピストンが動くときに他方のチャンバから放出される流体の第2の流体流量と異なるように不平衡であり、前記複数の油圧シリンダアクチュエータの前記各油圧シリンダアクチュエータは、対応する前記油圧シリンダアクチュエータの前記第1のチャンバまたは前記第2のチャンバに流体流を提供して前記ピストンを駆動するために、対応する電気モータにより反対回転方向に駆動される双方向流体流供給源になるように構成された対応するポンプを備える電気静圧作動システムEHAにより動作する複数の油圧シリンダアクチュエータと、
ブースト流体流を提供するように、または前記第1の流体流量と前記第2の流体流量の差を備える過剰な流体流を受け取るように構成されたブースト流管路と、
油圧モータEHAが動作させる油圧モータアクチュエータであって、前記油圧モータアクチュエータに流体流を提供
し、前記油圧モータアクチュエータを駆動させるために電気モータにより駆動される、前記電気モータにより反対方向に回転可能な対応する双方向流体流供給源になるように構成されたポンプを備え、
前記油圧シリンダアクチュエータが前記対応するポンプにより駆動させられている間、前記第1の流体流量と前記第2の流体流量との間の差を埋め合わせるために、前記ポンプは、前記ブースト流管路に流体で連結されて、前記対応する油圧シリンダアクチュエータに前記ブースト流体流を提供する油圧モータアクチュエータと
を備える機械。
【請求項10】
前記機械は、ブーム、アーム、バケット、および回転台を有する掘削機であり、前記複数の油圧シリンダアクチュエータは、ブーム油圧シリンダアクチュエータ、アーム油圧シリンダアクチュエータ、およびバケット油圧シリンダアクチュエータを備え、前記油圧モータアクチュエータは、前記回転台を回転させるように構成された旋回油圧モータアクチュエータである、請求項9に記載の機械。
【請求項11】
前記対応するポンプは、(i)第1の流体流の管路を介して前記第1のチャンバに流体で連結された第1のポンプポート、および(ii)第2の流体流の管路を介して前記第2のチャンバに流体で連結された第2のポンプポートを有し、前記対応する油圧シリンダアクチュエータの前記EHAは、
(i)前記第1の流体流の管路に流体で連結された第1のパイロットポート、(ii)前記第2の流体流の管路に流体で連結された第2のパイロットポート、および(iii)前記ブースト流管路に流体で連結されたブーストポートを有する逆シャトル弁であって、前記第1の流体流の管路と前記第2の流体流の管路の間の圧力差に応答し、
前記第1の流体流の管路内の圧力レベルが前記第2の流体流の管路内の圧力レベルよりも高いとき、前記逆シャトル弁のシャトル要素は中で移動して、前記第2のパイロットポートに前記ブーストポートを流体で連結して、前記第2の流体流の管路に前記ブースト流体流を提供し、
前記第2の流体流の管路内の前記圧力レベルが前記第1の流体流の管路内の前記圧力レベルよりも高いとき、前記逆シャトル弁の前記シャトル要素は中で移動して、前記ブーストポートに前記第1のパイロットポートを流体で連結して、前記第1の流体流の管路から前記ブースト流管路に前記過剰な流体流を提供する
逆シャトル弁をさらに備える、
請求項9に記載の機械。
【請求項12】
前記EHAは、
前記第1のポンプポートと前記対応する油圧シリンダアクチュエータの前記第1のチャンバの間で前記第1の流体流の管路内に配置された第1の荷重保持弁であって、作動するまで前記第1のチャンバから前記第1のポンプポートに至る流体流を遮断している間、前記第1のポンプポートから前記第1のチャンバに至る流体流を可能にするように構成される第1の荷重保持弁と、
前記第2のポンプポートと前記対応する油圧シリンダアクチュエータの前記第2のチャンバの間で前記第2の流体流の管路内に配置された第2の荷重保持弁であって、作動するまで前記第2のチャンバから前記第2のポンプポートに至る流体流を遮断している間、前記第2のポンプポートから前記第2のチャンバに至る流体流を可能にするように構成された第2の荷重保持弁と
をさらに備える、請求項11に記載の機械。
【請求項13】
前記EHAは、
ワークポート圧力逃し弁組立体であって、(i)前記第1のチャンバ内の流体の圧力レベルがしきい圧力値を超えたときに前記第1のチャンバから前記ブースト流管路に至る流体の流路を提供するように構成された、前記第1の荷重保持弁と前記第1のチャンバの間に配置された第1の圧力逃し弁、および(ii)前記第2のチャンバ内の流体の圧力レベルが前記しきい圧力値を超えるときに前記第2のチャンバから前記ブースト流管路に至る対応する流体の流路を提供するように構成された、前記第2の荷重保持弁と前記第2のチャンバの間に配置された第2の逃し弁を備えるワークポート圧力逃し弁組立体
をさらに備える、請求項12に記載の機械。
【請求項14】
前記EHAは、
ポンプ圧力逃し弁組立体であって、(i)前記第1のポンプポートでの流体の圧力レベルがしきい圧力値を超えたときに前記第1のポンプポートから前記ブースト流管路に至る流体の流路を提供するように構成された、前記第1のポンプポートと前記第1の荷重保持弁の間に配置された第1の圧力逃し弁、および(ii)前記第2のポンプポートでの流体の圧力レベルが前記しきい圧力値を超えるときに前記第2のポンプポートから前記ブースト流管路に至る対応する流体の流路を提供するように構成された、前記第2のポンプポートと前記第2の荷重保持弁の間に配置された第2の圧力逃し弁を備えるポンプ圧力逃し弁組立体
をさらに備える、請求項12に記載の機械。
【請求項15】
前記油圧モータアクチュエータを駆動する前記ポンプは、(i)第1の流体流の管路を介して前記油圧モータアクチュエータに流体で連結された第1のポンプポート、および(ii)第2の流体流の管路を介して前記油圧モータアクチュエータに流体で連結された第2のポンプポートを有し、前記油圧モータEHAは、
前記ポンプと並列に配置されたシャトル弁であって、(i)前記第1の流体流の管路に流体で連結された第1の注入口ポート、(ii)前記第2の流体流の管路に流体で連結された第2の注入口ポート、および(iii)前記ブースト流管路に流体で連結された放出口ポートを有し、前記第1の注入口ポートと前記第2の注入口ポートの間の圧力差に応答し、前記ポンプが、第1の回転方向に回転して前記第1の流体流の管路に流体を提供しようと、第2の回転方向に回転して前記第2の流体流の管路に前記流体を提供しようと、前記流体は前記シャトル弁の前記放出口ポートに、次いで前記ブースト流管路に流れるシャトル弁
をさらに備える、請求項9に記載の機械。
【請求項16】
前記ブースト流管路内に配置されたバイパス弁であって、電気コマンド信号により作動するまで前記シャトル弁の前記放出口ポートからの流体流を遮断するように構成された電気作動常閉弁であるバイパス弁
をさらに備える、請求項15に記載の機械。
【請求項17】
前記複数の油圧シリンダアクチュエータの1つからの前記過剰な流体流は、前記ブースト流管路を介して前記複数の油圧シリンダアクチュエータの別の前記油圧シリンダアクチュエータのための前記ブースト流体流の一部分として提供される、請求項9に記載の機械。
【請求項18】
前記機械の対応する電気モータに電力を提供するように構成された対応するパワー・エレクトロニクス・モジュールと、
前記複数の油圧シリンダアクチュエータの対応するピストンに要求された速度を示すコマンド信号を受信して、それに応答して、対応するコマンド信号を前記対応するパワー・エレクトロニクス・モジュールに提供するように構成されたコントローラと、
前記対応するパワー・エレクトロニクス・モジュールに直流電力を提供するように構成された電池と
をさらに備える、請求項9に記載の機械。
【請求項19】
方法であって、
油圧システムのコントローラで、油圧シリンダアクチュエータのピストンを伸展させるリクエストを受信するステップであって、前記油圧シリンダアクチュエータは、前記ピストンがスライド可能に適合されたシリンダを備え、前記ピストンは、ピストンヘッド、および前記ピストンヘッドから伸展する棒を備え、前記ピストンヘッドは、前記シリンダの内部区間を分割してヘッド側チャンバおよび棒側チャンバにするステップと、
応答して第1の電気モータに第1のコマンド信号を送信して、第1のポンプを駆動して、第1の流体流の管路を介して前記ヘッド側チャンバに流体流を提供し、前記ピストンを伸展させるステップであって、前記油圧シリンダアクチュエータは、前記ピストンを伸展させるために前記第1の流体流の管路を介して前記ヘッド側チャンバに提供される流体の第1の流体流量が、前記ピストンが伸展するときに前記棒側チャンバから放出され、第2の流体流の管路を介して前記第1のポンプに戻して提供される流体の第2の流体流量よりも大きくなるように不平衡であるステップと、
第2の電気モータに第2のコマンド信号を送信して、第2のポンプを駆動するステップであって、前記第2のポンプは、油圧モータアクチュエータを駆動するために前記第2の電気モータにより駆動される、前記第2の電気モータにより反対方向に回転可能な双方向流体流供給源となるように構成されるステップと、
前記第2の流体流の管路に前記第2のポンプを流体で連結するブースト流管路を介して前記第2のポンプからブースト流体流を提供するステップであって、その結果、前記ブースト流体流は、
前記油圧シリンダアクチュエータの前記ピストンが伸展する間、前記第2の流体流の管路を介して前記第1のポンプに戻る流体を結合し、前記第1の流体流量と前記第2の流体流量の差を埋め合わせるステップと
を備える方法。
【請求項20】
前記油圧システムは、前記ブースト流管路内に配置されたバイパス弁を備え、前記バイパス弁は、作動していないときに前記ブースト流管路を通して前記第2のポンプから得られる流体流を遮断するように構成された電気作動常閉弁であり、前記方法は、
前記バイパス弁に第3のコマンド信号を送信して、前記バイパス弁を開けて、前記第2のポンプから前記ブースト流管路を通して前記第2の流体流の管路に流体が流れるようにすることができるステップ
をさらに備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2019年8月14日に出願された米国仮特許出願第62/886,419号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に作業機で少なくとも1つの不平衡油圧シリンダアクチュエータを伸縮させるための油圧作動システムに関し、少なくとも1つの不平衡油圧シリンダアクチュエータを駆動する静圧ポンプ(hydrostatic pump)用のメークアップ流またはブースト流は、付加的専用ブーストシステムによるのではなくむしろ作業機の別の油圧アクチュエータを駆動する別の静圧ポンプにより提供される。
【背景技術】
【0003】
限定することなく油圧掘削機、ホイールローダ、ショベルカー、バックホーショベル、採鉱設備、産業機械などのような作業機が、つり腕および/または傾動アーム、ブーム、バケット、ステアリングおよび方向転換機能、移動手段などのような1つまたは複数の作動構成要素を有するのは一般的である。通常、そのような機械では原動機は、アクチュエータに流体を提供するために油圧ポンプを駆動する。オープンセンタ弁またはクローズドセンタ弁は、アクチュエータに至る流体の流れを制御する。そのような弁は、そこを通る絞り流に起因して動力損失が大きいことを特徴とする。さらに、そのような従来のシステムは、アクチュエータのうちいくつを使用しているかとは無関係に、ポンプから一定量の流れを提供することを伴うことがある。したがって、そのようなシステムは効率が低いことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国仮特許出願第62/886,419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、作業機の効率を高める油圧システムを有することが望ましいことがある。本開示が本明細書で提示するのはこれらおよび他の考察に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、機械用電気油圧駆動システムに関する実装形態について記述する。
【0007】
実装形態の第1の例では、本開示は油圧システムについて記述する。油圧システムは、(i)シリンダ、およびシリンダ内にスライド可能に適合されたピストンを備える油圧シリンダアクチュエータであって、ピストンは、ピストンヘッド、およびピストンヘッドから伸展する棒を備え、ピストンヘッドは、シリンダの内部空間を分割して第1のチャンバおよび第2のチャンバにし、油圧シリンダアクチュエータは、所与の方向にピストンを駆動するために第1のチャンバまたは第2のチャンバに提供される流体の第1の流体流量が、ピストンが動くときに他方のチャンバから放出される流体の第2の流体流量と異なるように不平衡である油圧シリンダアクチュエータと、(ii)油圧シリンダアクチュエータの第1のチャンバまたは第2のチャンバに流体流を提供してピストンを駆動するために、第1の電気モータにより反対の回転方向で駆動される双方向の流体流供給源になるように構成された第1のポンプと、(iii)ブースト流体流を提供するように、または第1の流体流量と第2の流体流量の差を備える過剰な流体流を受け取るように構成されたブースト流管路と、(iv)油圧モータアクチュエータと、(v)油圧モータアクチュエータに流体流を提供するために第2の電気モータにより駆動される、第2の電気モータにより反対方向に回転可能な対応する双方向流体流供給源になるように構成された第2のポンプであって、油圧シリンダアクチュエータにブースト流体流を提供するためにブースト流管路に流体で連結された第2のポンプとを備える。
【0008】
実装形態の第2の例では、本開示は機械について記述する。機械は、(i)複数の油圧シリンダアクチュエータであって、複数の油圧シリンダアクチュエータの各油圧シリンダアクチュエータは、シリンダ、およびシリンダ内でスライド可能に適合されたピストンを備え、ピストンは、ピストンヘッド、およびピストンヘッドから伸展する棒を備え、ピストンヘッドは、シリンダの内部空間を分割して第1のチャンバおよび第2のチャンバにし、各油圧シリンダアクチュエータは、所与の方向にピストンを駆動するために第1のチャンバまたは第2のチャンバに提供される流体の第1の流体流量が、ピストンが動くときに他方のチャンバから放出される流体の第2の流体流量と異なるように不平衡であり、複数の油圧シリンダアクチュエータの各油圧シリンダアクチュエータは、対応する油圧シリンダアクチュエータの第1のチャンバまたは第2のチャンバに流体流を提供してピストンを駆動するために、対応する電気モータにより反対の回転方向に駆動される双方向流体流供給源になるように構成された対応するポンプを備える電気静圧作動システム(electro-hydrostatic actuation system、EHA)により動作する複数の油圧シリンダアクチュエータと、(ii)ブースト流体流を提供するように、または第1の流体流量と第2の流体流量の差を備える過剰な流体流を受け取るように構成されたブースト流管路と、(iii)油圧モータEHAにより動作する油圧モータアクチュエータであって、油圧モータアクチュエータに流体流を提供するために電気モータにより駆動される、電気モータにより反対方向に回転可能な対応する双方向流体流供給源になるように構成されたポンプを備え、ポンプは、ブースト流体流に流体で連結されて、対応する油圧シリンダアクチュエータにブースト流体流を提供するためにブースト流体の流路に流体で連結された油圧モータアクチュエータとを含む。
【0009】
実装形態の第3の例では、本開示は方法について記述する。方法は、(i)油圧システムのコントローラで、油圧シリンダアクチュエータのピストンを伸展させるリクエストを受信するステップであって、油圧シリンダアクチュエータは、ピストンがスライド可能に適合されたシリンダを備え、ピストンは、ピストンヘッド、およびピストンヘッドから伸展する棒を備え、ピストンヘッドは、シリンダの内部空間を分割してヘッド側チャンバおよび棒側チャンバにするステップと、(ii)応答して第1の電気モータに第1のコマンド信号を送信して、第1のポンプを駆動して、第1の流体流の管路を介してヘッド側チャンバに流体流を提供し、ピストンを伸展させるステップであって、油圧シリンダアクチュエータは、ピストンを伸展させるために第1の流体流の管路を介してヘッド側チャンバに提供される流体の第1の流体流量が、ピストンが伸展するときに棒側チャンバから放出され、第2の流体流の管路を介して第1のポンプに戻して提供される流体の第2の流体流量よりも大きくなるように不平衡であるステップと、(iii)第2の電気モータに第2のコマンド信号を送信して、第2のポンプを駆動するステップであって、第2のポンプは、油圧モータアクチュエータを駆動するために第2の電気モータにより駆動される、第2の電気モータにより反対方向に回転可能な双方向流体流供給源になるように構成されるステップと、(iv)第2の流体流の管路に第2のポンプを流体で連結するブースト流管路を介して第2のポンプからブースト流体流を提供するステップであって、その結果、ブースト流体流は、第2の流体流の管路を介して第1のポンプに戻る流体を結合し、第1の流体流量と第2の流体流量の差を埋め合わせるステップとを備える。
【0010】
前述の要約は例示的でしかなく、決して限定することを意図するものではない。上記で記述する例示的様態、実装形態、および特徴に加えて図および以下の詳細な記述を参照することにより、他の様態、実装形態、および特徴が明らかになるであろう。
【0011】
例証する例に特徴的であると考えられる新規の特徴について、添付の特許請求の範囲に示す。しかしながら、例証する例だけではなく、例証する例の好ましい利用形態、他の目的、およびそれらについての記述も、添付図と併せて読んだとき、本開示の例証する例の以下の詳細な記述を参照することにより最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2-1】実装形態の例による、油圧シリンダアクチュエータを駆動するための電気静圧アクチュエータシステムを例示する。
【
図2-2】実装形態の例による、油圧シリンダアクチュエータを駆動するための電気静圧アクチュエータシステムを例示する。
【
図3-1】実装形態の例による掘削機の油圧システムを例示する。
【
図3-2】実装形態の例による掘削機の油圧システムを例示する。
【
図4】実装形態の例による、油圧システムを動作させるための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
掘削機などの油圧機械の例は、多数の油圧アクチュエータを使用して、さまざまな仕事を達成することができる。従来のシステムでは、エンジンは1つまたは複数のポンプを駆動し、次いで1つまたは複数のポンプは、アクチュエータ内部にあるチャンバに加圧流体を提供する。アクチュエータ(たとえば、ピストン)表面に作用する加圧流体力は、アクチュエータおよび接続された作業ツールの動きを引き起こす。油圧エネルギーが利用されると、流体はチャンバから排出されて、低圧貯蔵器に戻る。
【0014】
従来のシステムは、アクチュエータに提供されている流体およびアクチュエータから貯蔵器に戻る流体を絞る弁を含む。弁を通る流体を絞ることによりエネルギー損失を生じさせ、エネルギー損失は、機械のデューティサイクルの間に油圧システムの効率を低減する。流体を絞る別の望ましくない効果は作動液の加熱であり、その結果、冷却要件および費用が高くなる。さらに、オープンセンタ弁を伴ういくつかの従来のシステムでは、1つまたは複数のポンプは、デューティサイクルの特定の時点で機械の操作者がアクチュエータをいくつ使用するかとは無関係に、すべてのアクチュエータを動かすのに十分な大量の流体流を提供する。アクチュエータにより消費されない過剰な流体は、貯蔵器に「捨てられる」。ある例では、そのような油圧システムの効率は20%程度の低さになる可能性がある。油圧機械がデューティサイクルあたりより少ない燃料を使用可能にするために、油圧機械の効率を高めることが望ましいことがある。さらにまた、より効率的な油圧機械を有することにより、従来の内燃機関駆動油圧機械ではなくむしろ再充電可能電池を有する電気システムを使用することが可能になることがある。
【0015】
油圧機械の効率を高めるために、上記で記述する従来の油圧システムの代わりに電気静圧アクチュエータシステムを使うことができる。電気静圧アクチュエータシステムは、アクチュエータのモーションを制御するために油圧シリンダなどのアクチュエータに流体を提供するための静圧ポンプに接続された双方向変速電気モータを含むことができる。電気モータの速度および方向は、アクチュエータに至る流体の流れを制御する。
【0016】
中で動くように構成されたピストンを有する典型的な不平衡(差動)油圧シリンダでは、ピストンのヘッド側でのピストンの横断面積は、ピストンの棒側でのピストンの横断面積よりも広い。ピストンが伸展するとき、ピストンのヘッド側を有する油圧シリンダチャンバを充填するために、ピストンの棒側を有する油圧シリンダチャンバから放出されているよりも多くの流体を必要とする。逆にピストンが収縮するとき、棒側チャンバを充填するために、ヘッド側チャンバから放出されているよりも少ない流体を必要とする。
【0017】
流れの差を埋め合わせるために、専用の付加的流れブーストポンプを使用して、流れの差を提供することができる。専用の付加的ポンプを有することにより、油圧システムの費用および複雑さを増大させる可能性がある。その結果、本明細書で開示するように、付加的ブーストポンプの使用を回避する油圧システムを有することが望ましいことがある。
【0018】
図1は、実装形態の例による掘削機100を例示する。掘削機100は、ブーム102、アーム104、バケット106、および回転台110に搭載された運転室108を含むことができる。回転台110は、キャタピラ112などの車輪またはキャタピラを伴う車台の最上部に位置することができる。アーム104はまた、ディッパ(dipper)またはスティックと呼ぶこともできる。
【0019】
ブーム102、アーム104、バケット106、および回転台110の動きは、油圧シリンダおよび油圧モータを用いて作動液を使用することにより達成することができる。詳細には、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114を用いてブーム102を動かすことができ、アーム油圧シリンダアクチュエータ116を用いてアーム104を動かすことができ、バケット油圧シリンダアクチュエータ118を用いてバケット106を動かすことができる。
【0020】
回転台110は、旋回駆動装置により回転させることができる。旋回駆動装置は、回転台110が搭載される回転リングまたは旋回ギアを含むことができる。旋回駆動装置はまた、回転台110の真下に配置され、かつギアボックスに連結された旋回油圧モータアクチュエータ120(
図3も参照のこと)を含むことができる。ギアボックスは、旋回ギアの歯部と係合するピストンを有するように構成することができる。したがって、加圧流体を用いて旋回油圧モータアクチュエータ120を作動させることにより、旋回油圧モータアクチュエータ120にギアボックスのピニオンを回転させ、それにより回転台110を回転させる。
【0021】
運転台108は、掘削機100の操作者用制御ツールを含むことができる。実例では、掘削機100は、掘削機100のコントローラに電気信号を提供するために操作者が使用することができる右側ジョイスティック122および左側ジョイスティック124を有する電子制御方式による運転システムを含むことができる。コントローラはこの場合、掘削機100のさまざまな電気的に作動する構成要素に電気コマンド信号を提供して、上述のさまざまなアクチュエータを駆動し、掘削機100を動作させる。ある例として、左側ジョイスティック124は、アーム油圧シリンダアクチュエータ116および旋回油圧モータアクチュエータ120を動作させることができるのに対して、右側ジョイスティック122は、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114およびバケット油圧シリンダアクチュエータ118を動作させることができる。
【0022】
掘削機100のアクチュエータを駆動する油圧システムの効率を高めるために、従来のポンプおよび絞り弁システムではなくむしろ本明細書で開示する電気静圧システムを使用することができる。
【0023】
図2は、実装形態の例による、電気静圧アクチュエータシステム(EHA)200を例示する。
図2に描くように、EHA200を使用して、油圧シリンダアクチュエータ202など、任意のタイプのアクチュエータを駆動することができる。油圧シリンダアクチュエータ202は、たとえばブーム油圧シリンダアクチュエータ114、アーム油圧シリンダアクチュエータ116、またはバケット油圧シリンダアクチュエータ118からなる任意のシリンダアクチュエータを表すことができる。しかしながら、さらにまたEHA200を使用して、旋回油圧モータアクチュエータ120などの油圧モータアクチュエータを駆動することができる。
【0024】
油圧シリンダアクチュエータ202は、シリンダ204、および中で直線方向に動くように構成された、シリンダ204内でスライド可能に適合されたピストン206を含む。ピストン206は、ピストンヘッド208、およびシリンダ204の中央の長手方向の軸方向に沿ってピストンヘッド208から伸展する棒210を含む。棒210は(たとえば、ブーム102、アーム104、またはバケット106およびそこに加えられる任意の力を表す)荷重212に連結される。ピストンヘッド208は、シリンダ204の内部空間を分割して第1のチャンバ214および第2のチャンバ216にする。
【0025】
第1のチャンバ214は、中の流体がピストンヘッド208と相互作用するのでヘッド側チャンバと呼ぶことができ、第2のチャンバ216は、棒210が中に部分的に配置されるので棒側チャンバと呼ぶことができる。流体は、ワークポート(workport)215を通って第1のチャンバ214との間で流れることができ、ワークポート217を通って第2のチャンバ216との間で流れることができる。
【0026】
ピストンヘッド208は直径DHを有することができるのに対して、棒210は直径DRを有することができる。したがって、第1のチャンバ214内の流体は、ピストンヘッド面積と呼ぶことができる、
【0027】
【0028】
に等しい、ピストンヘッド208の横断面表面積と相互作用する。他方では、第2のチャンバ216内の流体は、ピストン環状面積
【0029】
【0030】
と呼ぶことができる、ピストン206の環状表面積と相互作用する。
【0031】
面積A
環状はピストンヘッド面積A
Hよりも狭い。したがって、ピストン206がシリンダ204内部で伸展する(たとえば
図2で左側に動く)または収縮する(たとえば、
図2で右側に動く)とき、第1のチャンバ214の中に入る、または第1のチャンバ214から放出される流体流の量Q
Hは、第2のチャンバ216から放出される、または第2のチャンバ216の中に入る流体流の量Q
環状よりも大きい。詳細には、ピストン206が特定の速度Vで動いている場合、Q
H=A
HVはQ
環状=A
環状Vよりも大きい。流れの差はQ
H-Q
環状=A
RVとして決定することができ、式中、A
Rは棒210の横断面積であり、
【0032】
【0033】
に等しい。この構成では、油圧シリンダアクチュエータ202は、その一方のチャンバとの間の流体流が他方のチャンバとの間の流体流に等しくないので、不平衡アクチュエータと呼ぶことができる。
【0034】
EHA200は、油圧シリンダアクチュエータ202に至る作動液の流れの割合および方向を制御するように構成される。そのような制御は、双方向流体流供給源として構成されたポンプ220を駆動するために使用される電気モータ218の速度および方向を制御することにより達成される。ポンプ220は、油圧シリンダアクチュエータ202の第1のチャンバ214に至る流体流の管路224により接続された第1のポンプポート222、および油圧シリンダアクチュエータ202の第2のチャンバ216に至る流体流の管路228により接続される第2のポンプポート226を有する。用語「流体流の管路」は、示された接続性を提供する1つまたは複数の流体通路、導管などを示すために本明細書の至る所で使用される。
【0035】
第1のポンプポート222および第2のポンプポート226は、電気モータ218およびポンプ220の回転方向に基づき注入口ポートと放出口ポートの両方になるように構成される。したがって、電気モータ218およびポンプ220は、第1の回転方向に回転して第1のポンプポート222から流体を引き出し、第2のポンプポート226に流体をポンプで注入することができる、または逆に第2の方向に回転して第2のポンプポート226から流体を引き出し、第1のポンプポート222に流体をポンプで注入することができる。
【0036】
図2に描くように、ポンプ220および油圧シリンダアクチュエータ202は、閉ループ油圧回路の形で構成される。詳細には、流体は、ポンプが貯蔵器から流体を抜き取り、次いで流体が貯蔵器に戻る開ループ回路ではなく、ポンプ220と油圧シリンダアクチュエータ202の間でループの形で再循環されている。むしろEHA200では、ポンプ220は、第1のポンプポート222を通してワークポート215に、または第2のポンプポート226を通してワークポート217に流体を提供し、他方のワークポートから放出されている流体は、ポンプ220の対応するポートに戻る。したがって、流体は、ポンプ220と油圧シリンダアクチュエータ202の間で再循環されている。
【0037】
ある例では、ポンプ220は定容量形ポンプとすることができ、ポンプ220が提供する流体流の量は、電気モータ218の速度により(すなわち、ポンプ220の入力軸に連結した電気モータ218の出力軸の回転速度により)制御される。たとえば、ポンプ220は、たとえば1回転あたり立方インチ(in3/rev)の単位でポンプ220が発生させる、または提供する流体の量を決定する、特定のポンプ変位PDを有するように構成することができる。電気モータ218は、毎分回転数(revolutions per minute、RPM)の単位を有する指令速度で動作していることが可能である。したがって、流体流量Qは、電気モータ218の速度にPDを乗じることにより、ポンプ220が油圧シリンダアクチュエータ202に提供する毎分立方インチ(in3/分)単位で決定される。
【0038】
流量Qは次にピストン206の線速度を決定する。実例では、電気モータ218がポンプ220を第1の回転方向に回転させて、第1のチャンバ214に流体を提供している場合、ピストン206は、速度
【0039】
【0040】
で伸展することができる。他方では、電気モータ218がポンプを第2の回転方向に回転させて、第2のチャンバ216に流体を提供している場合、ピストン206は、速度
【0041】
【0042】
で収縮することができる。
【0043】
図2に描くように、ポンプ220の筐体またはケースは、貯蔵器232に流体で連結された排出漏出管路230を介して排出することができる。したがって、ポンプ220のケースは、詳細にはポンプ220を高い回転速度まで迅速に回転させたとき、ポンプ220の内圧を低減するために排出漏出管路230を通して自由に排出することができ、それにより、ポンプ軸封止部の長寿命を保証する。
【0044】
EHA200は、第1のポンプポート222とワークポート215の間で流体流の管路224内に配置された第1の荷重保持弁234をさらに含む。EHA200はまた、第2のポンプポート226とワークポート217の間で流体流の管路228内に配置された第2の荷重保持弁236を含む。荷重保持弁234、236は、制御されない手法でピストン206が動くことを防止する(すなわち、加重212が落下するのを防止する)圧力制御弁として構成される。詳細には、荷重保持弁234、236は、作動するまでチャンバ214、216からポンプ202に戻る流体流を遮断する間、ポンプ220からチャンバ214、216に至る自由な流れを可能にする逆止め弁として動作するように構成される。用語「遮断する」は、たとえば毎分の液滴の最小の流れまたは漏出の流れを除く流体流を実質的に防止することを示すために本明細書の至る所で使用される。
【0045】
ある例では、荷重保持弁234、236は、エネルギーを与えられたとき、対応する荷重保持弁234、236内部で要素(たとえば、ポペット弁)を動かして、流体を動かして、対応するチャンバ214、216からポンプ220に流体が流れるようにできるソレノイドコイル235、237をそれぞれ備えるソレノイドアクチュエータを有することができる。実例では、ピストン206を伸展させるために、ポンプ220は、第1のポンプポート222から(作動していない)荷重保持弁234を通して第1のチャンバ214にワークポート215を通して流体流を提供することができる。第2のチャンバ216から放出されている流体は、ソレノイドコイル237にエネルギーを与えて第2のチャンバ216から第2のポンプポート226に至る流体の流路を開くことにより荷重保持弁236が作動するまで、荷重保持弁236により遮断される。
【0046】
逆にピストン206を収縮させるために、ポンプ220は、第2のポンプポート226から(作動していない)荷重保持弁236を通して第2のチャンバ216にワークポート217を通して流体流を提供することができる。第1のチャンバ214から放出されている流体は、ソレノイドコイル235にエネルギーを与えて第1のチャンバ214から第1のポンプポート222に至る流体の流路を開くことにより荷重保持弁234が作動するまで、荷重保持弁234により遮断される。
【0047】
ある例では、荷重保持弁234、236は、作動時に完全に開くオン/オフ弁とすることができる。別の例では、流体を放出しているチャンバ(チャンバ214、216のいずれか)内の流体の圧力レベルを制御することが望ましいことがある。この例では、荷重保持弁234、236は、流体を放出している対応するチャンバ内で特定の背圧を達成する特定サイズの開口部を有するように調整することができる比例弁として構成することができる。
【0048】
場合によっては、油圧シリンダアクチュエータ202は、荷重保持弁234、236がチャンバ214、216からの流体流を遮断するとき、チャンバ214、216のいずれかの中で過度の圧力を引き起こす(たとえば、掘削サイクルの間にバケット106が硬い岩に打ち当たる)荷重212により引き起こされる大きな力を受ける可能性がある。ピストン206に過剰な外部荷重を加えた場合に過度の圧力を受ける可能性からシリンダ204を保護するために、EHA200は、荷重保持弁234、236と油圧シリンダアクチュエータ202の間に配置されたワークポート圧力逃し弁組立体238を含む。
【0049】
ワークポート圧力逃し弁組立体238は、第1のチャンバ214を保護するように構成された、流体流の管路224と共通流体流の管路241の間に接続された圧力逃し弁240を含むことができる。ワークポート圧力逃し弁組立体238はまた、第2のチャンバ216を保護するように構成された、流体流の管路228と共通流体流の管路241の間に接続された圧力逃し弁242を含むことができる。圧力逃し弁240、242は、対応するチャンバ214、216内の流体の圧力レベルが300バールまたは4350ポンド/平方インチ(pounds per square inch、psi)などのしきい圧力値を超えるとき(以下で記述するようにブースト流管路256に連結した流体である)共通流体流の管路241に至る流体の流路を開き、提供するように構成される。
【0050】
ワークポート圧力逃し弁組立体238は、それぞれ圧力逃し弁240、242と並列に配置された耐キャビテーション逆止め弁243、244をさらに含むことができる。耐キャビテーション逆止め弁243、244は、チャンバ214、216のいずれかでのキャビテーションの可能性を防止または低減するように構成される。詳細には、耐キャビテーション逆止め弁243、244は、チャンバ214、216内の流体の圧力レベルが共通流体流の管路241内の流体の圧力レベル以下に低下するとき、共通流体流の管路241からチャンバ214、216に至る流体の流路を提供する。
【0051】
さらに、ポンプ220はまた、ポンプポート222、226で過度の圧力を受ける可能性がある。たとえば、ポンプポート222、226は、ポンプ220が動作している間に荷重保持弁234、236が両方とも瞬間的に一緒に作動する場合、または対応する荷重保持弁が作動する間に過負荷状況に起因してチャンバ214、216のいずれかで圧力レベルが実質的に増大する場合、過度の圧力を受ける可能性がある。過度の圧力の可能性からポンプ220を保護するために、EHA200はまた、ポンプ220と荷重保持弁234、236の間に配置されたポンプ圧力逃し弁組立体246を含んでよい。
【0052】
ポンプ圧力逃し弁組立体246は、第1のポンプポート222を保護するように構成された、流体流の管路224と共通流体流の管路241の間に接続された圧力逃し弁248を含むことができる。ポンプ圧力逃し弁組立体246はまた、第2のポンプポート226を保護するように構成された、流体流の管路228と共通流体流の管路241の間に接続された圧力逃し弁250を含むことができる。圧力戻し弁248、250は、流体流の管路224、228内の流体の圧力レベルが250バールまたは3625psiなどのしきい圧力値を超えるとき、共通流体流の管路241に至る流体の流路を開いて提供するように構成される。したがって、ある例では、圧力戻し弁248、250の圧力設定は、圧力戻し弁240、242の対応する設定よりも低い可能性がある。
【0053】
ポンプ圧力逃し弁組立体246は、それぞれ圧力逃し弁248、250と並列に配置された耐キャビテーション逆止め弁251、252をさらに含むことができる。耐キャビテーション逆止め弁251、252は、ポンプポート222、226のいずれかでキャビテーションの可能性を防止または低減するように構成される。詳細には、耐キャビテーション逆止め弁251、252は、ポンプポート222、226の圧力レベルが共通流体流の管路241内の流体の圧力レベル以下になるとき、流体流の管路224、228を介して共通流体流の管路241からチャンバ222、226に至る流体の流路を提供する。
【0054】
上述のように、油圧シリンダアクチュエータ202は、第1のチャンバ214に提供される、または第1のチャンバ214から放出される流体流量の量が、第2のチャンバ216に提供される、または第2のチャンバ216から放出される流体流量の量よりも大きくなるように不平衡である。したがって、第1のポンプポート222から第1のチャンバ214に提供される、または第1のチャンバ214から第1のポンプポート222で受け取る流体流量の量は、第2のポンプポート226から第2のチャンバ216に提供される、または第2のチャンバ216から第2のポンプポート226で受け取る流体流量の量よりも大きい。ポンプ220が提供する流体流量とポンプ220で受け取る流体流量の間にあるそのような相違は、キャビテーションを引き起こす可能性があり、ポンプ220は適切に動作しないことがある。EHA200は、流体流量を高めて、そのような流体流量の相違を埋め合わせる構成を提供する。
【0055】
詳細には、EHA200は、メークアップ流またはブースト流の管路256に接続された共通流体流の管路241にシリンダ204のチャンバ214、216を流体で連結するように構成された逆シャトル弁254を含むことができる。逆シャトル弁254は、ポンプ220の両端間の圧力差(すなわち、第1の流体流の管路224と第2の流体流の管路228の間の圧力差)に応答するように構成される。
【0056】
ある例では、逆シャトル弁254は、ポンプ220の両端間の圧力差により位置が決定されるシャトル要素(たとえば、ポペット弁またはスプール)を中に有するパイロット式三位置シャトル弁として構成することができる。逆シャトル弁254は、流体流の管路224に流体で連結された第1のパイロットポート258、および流体流の管路228に流体で連結された第2のパイロットポート260を有することができる。
【0057】
逆シャトル弁254はまた、共通流体流の管路241を介してブースト流管路256に流体で連結された第3のポートまたはブーストポート262を有する。逆シャトル弁254は、流体流の管路224と228の間の圧力差により動作して、(i)流体流の管路224内の圧力が所定の量だけ流体流の管路228内の圧力レベルを超えるとき、共通流体流の管路241に流体流の管路228を接続して、共通流体流の管路241を通して流体流の管路228にメークアップ流またはブースト流を供給し、(ii)流体流の管路228内の圧力が所定の量だけ流体流の管路224内の圧力レベルを超えるとき、共通流体流の管路241により第1のチャンバ214からの過剰な流体を受け取り、ブースト流管路256に提供するように、共通流体流の管路241に流体流の管路224を接続する。
【0058】
具体的には、ピストン206を伸展させるために電気モータ218によりポンプ220を駆動して、流体流の管路224に流体を供給する場合、ポンプ220の両端間の圧力差は、逆シャトル弁254のシャトル要素を移動させて、パイロットポート260にブーストポート262を接続し、それにより、流体流の管路224から共通流体流の管路241に至る流れを遮断している間、共通流体流の管路241(およびブースト流管路256)に流体流の管路228を流体で連結する。したがって、逆シャトル弁254は、ブースト流管路256からポンプポート226に至る流体の流路を提供して、第1のチャンバ214に提供される流体の流量と流体流の管路228を通して第2のチャンバ216から戻る流体の流量の差を埋め合わせる。
【0059】
逆に、ポンプ220を反対方向に駆動して、ピストン206を収縮させるとき、ポンプ220の両端間の圧力差は、逆シャトル弁254のシャトル要素を移動させて、ブーストポート262にパイロットポート258を接続し、それにより、流体流の管路228から共通流体流の管路241に至る流れを遮断している間、共通流体流の管路241に流体流の管路224を流体で連結する。このように、逆シャトル弁254は、流体流の管路224を通して第1のチャンバ214からブースト流管路256に戻る流体の過剰な流れのために流体の流路を提供する。
【0060】
この構成では、逆シャトル弁254は、流体流の管路224,228のうち一方が共通流体流の管路241から切断されたとき、他方の流体流の管路は接続され、それにより、ピストン206の油圧ロックアップの可能性を除去するわけではないとしても低減するように構成される。
【0061】
用語「逆」は、逆シャトル弁254が従来のシャトル弁と異なるときに逆シャトル弁254とみなされる。従来のシャトル弁は、第1の注入口、第2の注入口、および放出口を有してよい。弁要素は、特定の注入口を通して流体から圧力を受けるときにそのような従来のシャトル弁が反対の注入口に向けて弁要素を押しつけるように、そのような従来のシャトル弁内部で自由に動く。この動きは反対の注入口を遮断してよく、一方では、流体は特定の注入口から放出口に流れることができるようになる。このように、2つの異なる流体供給源は、一方の供給源から他方の供給源への逆流なしに放出口に加圧流体を提供することができる。逆シャトル弁254は、指定された放出口を有するのではなく、むしろブーストポート262からパイロットポート260に至る流体流を提供する、またはパイロットポート258からブーストポート262に至る流体流を提供する。
【0062】
上記に記述する構成の例では、逆シャトル弁254は、流体流の管路224と228の間の圧力差に応答してシャトル要素が動くパイロット式弁である。他の例では、逆シャトル弁254は、EHA200の電気コントローラ(たとえば、以下で記述するコントローラ282)が、流体流の管路224、228内で検知された圧力レベルに基づきシャトル要素を動かす電気信号を提供することができるように電気的に作動させることができる。
【0063】
いくつかの例では、ポンプ220は、特定のしきい速度を超えて(たとえば、500RPMを超えて)電気モータ218により動かされるとき、より効率的である可能性がある。しかしながら、いくつかの動作条件の下では、特定のしきい速度でポンプ220が供給するよりも少量の流量で達成可能な線速度でピストン206を伸縮させることが望ましいことがある。これらの例および動作条件では、ポンプ220を特定のしきい速度で動作させて、ポンプ220を効率的に動作させ、一方では、油圧シリンダアクチュエータ202により消費されない過剰な流れを貯蔵器232に提供することが望ましいことがある。
【0064】
たとえば、EHA200は、ポンプ220と並列に配置されたシャトル弁264を含むことができる。シャトル弁264は、流体流の管路224に流体で連結された第1の注入口ポート266、流体流の管路228に流体で連結された第2の注入口ポート268、および放出口ポート270を有することができる。シャトル弁264は、注入口ポート266と268の間の圧力差に基づき移動可能なシャトル要素を中に有することができる。流体流の管路224内の圧力レベルが流体流の管路228内の圧力レベルよりも高い場合、注入口ポート266から放出口ポート270に流体を提供することができる。逆に、流体流の管路224内の圧力レベルが流体流の管路228内の圧力レベルよりも低い場合、注入口ポート268から放出口ポート270に流体を提供することができる。
【0065】
EHA200は、バイパス弁272をさらに含むことができる。バイパス弁272は、たとえば電気作動常閉弁として構成することができる。バイパス弁272は、作動していないとき、シャトル弁264の放出口ポート270からの流体流を遮断する。他方で、バイパス弁272のソレノイドコイル274にコマンド信号を提供した場合、バイパス弁272は開いて、放出口ポート270から貯蔵器232に至る流体の流路を提供する。
【0066】
したがって、ピストン206に関して遅い伸展速度コマンドを実現する流体流量の量よりも多くの流体流をポンプ220が供給する例および動作条件では、流体流の管路224から注入口ポート266を通して放出口ポート270に、次いでバイパス弁272を通して貯蔵器232に過剰な流れを提供することができるようにバイパス弁272を作動させる。同様に、ピストン206に関して遅い収縮速度コマンドを実現する流体流量の量よりも多くの流体流をポンプ220が供給する例および動作条件では、流体流の管路228から注入口ポート268を通して放出口ポート270に、次いでバイパス弁272を通して貯蔵器232に過剰な流れを提供することができるようにバイパス弁272を作動させる。
【0067】
例では、EHA200は、流体流の管路275を介してバイパス弁272に流体で連結された熱逃し弁276を含むことができる。流体流の管路275内の流体の圧力が特定の値を超えるように流体流の管路275内の流体の温度が上昇する場合、熱逃し弁276は開いて、流体流の管路275内の流体を逃して、中の圧力レベルを低減することができる。例では、EHA200はまた、作動液から熱を抽出するための熱交換器278、および貯蔵器232に戻る前に流体をフィルタ処理するためのフィルタ組立体280を含むことができる。
【0068】
図2に描くように、EHA200は、コントローラ282を含むことができる。コントローラ282は、1つまたは複数のプロセッサまたはマイクロプロセッサを含むことができ、データ記憶装置(たとえば、メモリ、一時的コンピュータ可読媒体、非一時的コンピュータ可読媒体など)を含んでよい。データ記憶装置は、コントローラ282の1つまたは複数のプロセッサにより実行されたとき、コントローラ282に本明細書で記述する動作を遂行させる命令を記憶していてよい。
【0069】
コントローラ282は、センサ情報を備える入力情報をさまざまなセンサまたは入力機器から得られる信号を介して受信し、それに応答してEHA200のさまざまな構成要素に電気信号を提供することができる。たとえば、コントローラ282は(たとえば、掘削機100のジョイスティック122、124から)コマンドまたは入力を受信して、特定の望ましい速度で所与の方向にピストン206を動かす(たとえば、ピストン206を伸縮させる)ことができる。コントローラ282はまた、ピストン206の速度、さまざまな油圧管路、チャンバ、またはEHA200のポート内の圧力レベル、荷重212の大きさなどのうち1つまたは複数の位置を示すセンサ情報を受信することができる。それに応答して、コントローラ282は、パワー・エレクトロニクス・モジュール284を介して電気モータ218に、およびソレノイドコイル235またはソレノイドコイル237にコマンド信号を提供して、制御された方式で、指令された方向に指令された望ましい速度でピストン206を動かすことができる。図面内の視覚的混乱を少なくするために、コントローラ282からソレノイドコイル235、237、および274へのコマンド信号線を
図2に示していない。しかしながら、コントローラ282は、EHA200および掘削機100のさまざまなソレノイドコイル、入力機器、センサなどに(たとえば、有線または無線を介して)電気的に連結されることを理解されたい。
【0070】
パワー・エレクトロニクス・モジュール284はたとえば、掘削機100の電池286から提供される直流(direct current、DC)電力から、電気モータ218を駆動することができる三相電力への変換を支援することができる半導体スイッチング素子(トランジスタ)の配列を有するインバータを備えることができる。電池286はまた、コントローラ282に電気的に連結されて、コントローラ282に電力を提供し、コントローラ282からコマンドを受信することができる。他の例では、電池286を介して掘削機100を電気的に推進させるのではなくむしろ内燃機関(internal combustion engine、ICE)により推進させる場合、ICEに発電機を連結して、パワー・エレクトロニクス・モジュール284への電力を発生させることができる。
【0071】
ピストン206を伸展させる(たとえば、
図2でピストン206を左に動かす)ために、コントローラ282は、パワー・エレクトロニクス・モジュール284にコマンド信号を送信して、電気モータ218を回転させ、第1の回転方向にポンプ220を回転させることができる。その結果、ポンプポート222から流体流の管路224および作動していない荷重保持弁234を通して第1のチャンバ214に流体を提供して、ピストン206を伸展させる。
【0072】
第2のチャンバ216からポンプポート226に流体が流れるようにするために、コントローラ282は、荷重保持弁236のソレノイドコイル237にコマンド信号を送信して、ソレノイドコイル237を作動させ、第2のチャンバ216からポンプポート226に至る流体の流路を開く。流体流の管路224を通してポンプ220が提供する加圧流体は、逆シャトル弁254のシャトル要素を移動させて、流体流の管路228にブースト流管路256を接続して、ポンプポート226に一緒に流れる前に第2のチャンバ216から放出される流体を結合するメークアップ流またはブースト流を提供する。メークアップ流またはブースト流QブーストはQブースト=ARVとして決定され、式中、ARは棒210の横断面積であり、Vは上述のようにピストン206の速度である。
【0073】
したがって、ポンプポート226に提供される流量の量は、ポンプポート222および流体流の管路224を通して第1のチャンバ214にポンプ220が提供する流量の量に実質的に等しい。とりわけ、流体流の管路228を通してチャンバ216からポンプポート226に戻る流体の圧力レベルは低く、したがって、ポンプポート226に戻る流れの低い圧力レベルに適合する低い圧力レベルでブースト流を提供することができる。たとえば、荷重212が抵抗性であると仮定して、荷重212に対抗してピストン206を伸展させるために第1のチャンバ214にポンプ220が提供してよい4500psiなどの高い圧力レベルと比較して、ブースト流は10バール~35バールまたは145psi~500psiの範囲の圧力レベルを有することができる。
【0074】
ピストン206を収縮させる(たとえば、
図2でピストン206を右に動かす)ために、コントローラ282は、パワー・エレクトロニクス・モジュール284にコマンド信号を送信して、電気モータ218を回転させ、第1の回転方向とは逆の第2の回転方向にポンプ220を回転させることができる。その結果、ポンプポート226から流体流の管路228および作動していない荷重保持弁236を通して第2のチャンバ216に流体を提供して、ピストン206を収縮させる。
【0075】
第1のチャンバ214からポンプポート222に流体が流れるようにするために、コントローラ282は、荷重保持弁234のソレノイドコイル235にコマンド信号を送信して、ソレノイドコイル235を作動させ、第1のチャンバ214からポンプポート222に至る流体経路を開く。流体流の管路228を通してポンプ220が提供する加圧流体は、逆シャトル弁254のシャトル要素を移動させて、ブースト流管路256に流体流の管路224を接続し、それにより、ブースト流管路256に第1のチャンバ214から戻る過剰な流れを提供する。過剰な流れはQ過剰=ARVとして決定することができる。したがって、第1のチャンバ214からポンプポート222に戻る流体流量の量は、ポンプポート226および流体流の管路228を通して第2のチャンバ216にポンプ220が提供する流れの量に実質的に等しく、一方では、第1のチャンバ214からの過剰な流れは、ブースト流管路256に提供される。
【0076】
ある例では、付加的ブーストポンプおよび関連する流体接続を含むことができる専用ブーストシステムを使用して、ブースト流管路256に流体を提供し、ブースト流管路256から過剰な流体流を受け取ることができる。そのような専用ブーストシステムは、油圧システムに費用および複雑性を加える。
【0077】
さらに、ICEが駆動する従来の機械では、ICEは典型的には一定速度で動作し、ブーストポンプはICEに直接連結され、それにより、アクチュエータが必要としないときでさえ流体流を連続して提供する。そのような必要とされない流体流はエネルギーを浪費し、機械を非効率にする。
【0078】
電気モータにより駆動されるブーストポンプを有する(たとえば、電池で駆動される)電気機械では、機械の費用に専用電気モータ、およびブーストポンプに関連するパワーエレクトロニクスの費用が加わる。したがって、専用ブーストシステムなしに機械の油圧システムを構成することが望ましいことがあるが、むしろ既存のポンプおよびモータを利用してブースト流を提供する手法で油圧システムを構成し、それにより、システムの費用を低減し、システム効率を増大させることが望ましいことがある。
【0079】
図3は、実装形態の例による、掘削機100の油圧システム300を例示する。油圧システム300は、掘削機100のさまざまなアクチュエータを制御するEHA200A、200B、200C、および200Dを含む。詳細には、EHA200A~200Cは、EHA200Aがブーム油圧シリンダアクチュエータ114を制御し、EHA200Bがアーム油圧シリンダアクチュエータ116を制御し、EHA200Cがバケット油圧シリンダアクチュエータ118を制御するような油圧シリンダEHAであるのに対して、EHA200Dは、旋回油圧モータアクチュエータ120を制御する油圧モータEHAである。
【0080】
EHA200A、200B、200C、および200Dは、
図2に関して上記で記述するEHA200と同じ構成要素を備える。したがって、EHA200A、200B、200C、および200Dの構成要素または要素は、それぞれEHA200A、200B、200C、および200Dに対応する接尾辞「A」、「B」、「C」、または「D」を付けて、EHA200に関して使用する同じ参照番号を用いて指定される。EHA200A、200B、200C、および200Dの構成要素は、上記で記述するようにEHA200の構成要素に類似する手法で動作する。
【0081】
さらに、図面内の視覚的混乱を少なくするために、コントローラ282、パワー・エレクトロニクス・モジュール284、および電池286を
図3に示していない。しかしながら、油圧システム300は、コントローラ282に類似する手法で油圧システム300のさまざまな構成要素を動作させ、作動させるように構成された、コントローラ282などのコントローラを含むことを理解されたい。また、電気モータ218A、218B、218C、および218Dは、パワー・エレクトロニクス・モジュール284に類似する対応するパワー・エレクトロニクス・モジュールにより駆動され、制御されることを理解されたい。電池286に類似する電池はまた、油圧システム300のさまざまな構成要素およびモジュールに電力を供給することができる。
【0082】
油圧システム300は、不平衡アクチュエータにブースト流を提供することができる専用ブーストシステムを有するのではなくむしろ旋回ポンプ220Dがブーストシステムを動作させてブースト流を提供するように構成されるように構成される。詳細には、EHA200A、200B、200Cのバイパス弁272A、272B、272Cは、流体流の管路275を介して貯蔵器232に流体で連結され、一方では、旋回油圧モータアクチュエータ120のEHA200Dのバイパス弁272Dは、ブースト流管路256に流体で連結される。
【0083】
この構成では、不平衡アクチュエータのいずれかがブースト流を要求する場合、掘削機100のコントローラは、開くようにバイパス弁272Dに指令して、電気モータ218Dに指令して旋回ポンプ220Dを回転させ、シャトル弁264Dおよびバイパス弁272Dを通してブースト流管路256にブースト流体流を提供することができる。詳細には、コントローラは、不平衡アクチュエータが要求する流量の量を決定し、電気モータ218Dに指令して、要求された量の要求された流体流量を発生させる特定の速度で回転させることができる。
【0084】
さらに、油圧システム300は、ピストンが収縮している不平衡アクチュエータのいくつかから戻る過剰な流れを、ピストンが伸展している他の不平衡アクチュエータにより使用できるようにする。たとえば、第1のアクチュエータの第1のピストンが収縮しており、その結果、第1のアクチュエータからブースト流管路256に過剰な流れが提供され、一方では、第2のアクチュエータの第2のピストンが伸展しており、その結果、ブースト流管路256からのブースト流を消費する場合、ブースト流管路256を介して第1のアクチュエータからの過剰な流れを第2のアクチュエータに提供することができる。
【0085】
上述のように、ブースト流体流は、低圧レベル(たとえば10バール~35バール)を有する戻り流を結合する。ある例では、戻り流の圧力レベルに実質的に等しい特定の圧力レベルでブースト流体流を提供するために、油圧システム300は、ブースト流管路256内の流体の圧力レベルを制御するように構成された電気油圧式圧力逃し弁(electro-hydraulic pressure relief valve、EHPRV)302を含むことができる。
【0086】
EHPRV302は、
図3に示すように貯蔵器232にブースト流管路256を流体で連結する。EHPRV302は、たとえば機械的逃し部分、およびソレノイドコイル304を有する電気油圧比例部分を含むことができる。ある例として、機械的逃し部分は、EHPRV302内の弁本体またはスリーブ内部に形成された座部に固定されたばねにより圧迫された可動要素(たとえば、ポペット弁)を有することができる。ばねはEHPRV302の圧力設定を決定する。
【0087】
ブースト流管路256内の流体の圧力レベルが特定の圧力レベルを、すなわちEHPRV302の圧力設定を超えるとき、可動要素はばねに打ち勝ち、座部から持ち上げられ、それにより、ブースト流管路256から貯蔵器232に流体を流す。その結果、ブースト流管路256内の圧力レベルは、EHPRV302の圧力設定を超えない。
【0088】
EHPRV302の電気油圧比例部分は、たとえば比例二方弁を含むことができる。ソレノイドコイル304に電気信号が提供されたとき、電気油圧比例部分内のスプールまたは可動要素は動き、流体信号が機械的逃し部分に提供されるようにする。流体信号は、ソレノイドコイル304に供給された電気信号の大きさに基づき、機械的逃し部分のばねにより決定される圧力設定を変える。信号の大きさが増大するにつれ、たとえば、圧力設定は増大し、逆も同様である。この構成では、旋回ポンプ220Dによりブースト流管路256に提供されるブースト流体流の圧力レベルは、ソレノイドコイル304への電気信号により制御し、変えることができる。
【0089】
油圧システム300の動作について記述するシナリオの例として、掘削機100の操作者は、ジョイスティック122、124を使用して、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114のピストン206Aを伸展させることを要求し、アーム油圧シリンダアクチュエータ116のピストン206Bを収縮させると仮定する。油圧システム300のコントローラ(たとえば、コントローラ282)は、操作者のコマンドを示す信号をジョイスティック122、124から受信する。それに応答して、コントローラは、ジョイスティックコマンド信号の大きさをピストン206A、206Bに要求される速度に変換し、それに応じて、要求された速度を達成する流体流量の量を決定することができる。
【0090】
コントローラのメモリに記憶することができるポンプ220A、220Bの変位に基づき、コントローラは、電気モータ218A、218Bにモータコマンド信号を提供して、対応する回転速度で回転させ、その結果、対応する回転速度でポンプ220A、220Bを回転させて、決定された量の流体流量を提供する。電気モータ218A、218Bは、ピストン206A、206Bが反対方向に動くべきとき、反対回転方向で回転することができる。
【0091】
コントローラはさらに、EHA200Aの荷重保持弁236Aを作動させて、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114の棒側チャンバから放出される流体が棒側チャンバを通して流れてブームポンプ220Aに戻ることができるようにする。コントローラはまた、EHA200Bの荷重保持弁234Bを作動させて、アーム油圧シリンダアクチュエータ116のヘッド側チャンバから放出される流体がヘッド側チャンバを通して流れてポンプ220Bに戻ることができるようにする。
【0092】
ピストン206Aは伸展しているので、ブースト流は、逆シャトル弁254を通してブースト流管路256から抜き取られて、ブームポンプ220Aに一緒に流れる前に棒側チャンバから戻る流体を結合する。ピストン206Aに関して指令された速度がVブームであり、かつピストン206Aの棒の横断面積がA棒_ブームであると仮定すると、ブースト流量は、コントローラによりVブームA棒_ブームと決定することができる。他方では、ピストン206Bは収縮しているので、逆シャトル弁254Bを通してブースト流管路256に過剰な流れが提供される。ピストン206Bに関して指令された速度がVアームであり、かつピストン206Bの棒の横断面積がA棒_アームであると仮定すると、過剰な流量は、コントローラによりVアームA棒_アームと決定することができる。
【0093】
コントローラは、ブースト流管路256に提供される過剰な流量が、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114が要求するブースト流量を十分に満たすように、アーム油圧シリンダアクチュエータ116からの過剰な流量が、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114が要求するブースト流量以上であるかどうかを判断することができる。過剰な流量が、要求されたブースト流量以上ではない場合、コントローラは、電気モータ218Dを作動させて、旋回ポンプ220Dを駆動し、流量の差を提供することができる。
【0094】
詳細には、操作者がジョイスティック122、124を介して回転台110に回転するように指令しない場合、EHA200Dの荷重保持弁234D、236Dは作動しない。その結果、コントローラは、電気モータ218Dを作動させて、いずれかの方向に回転させ、旋回ポンプ220Dを駆動して、VブームA棒_ブームとVアームA棒_アームの差に等しい流体流を提供することができる。
【0095】
旋回ポンプ220Dから流れる流体は、荷重保持弁234D、236Dが作動していないので、旋回油圧モータアクチュエータ120により消費されない。その結果、旋回ポンプ220Dから流れる流体は、シャトル弁264Dの注入口ポートの一方に提供され、シャトル弁264Dのシャトル要素を移動させ、シャトル弁264Dの放出口ポートに流れる。コントローラはさらに、EHA200Dのバイパス弁272Dを作動させて、流体がシャトル弁264Dの放出口ポートからブースト流管路256に流れ、次いでEHA200Aの逆シャトル弁254Aに流れて、VブームA棒_ブームとVアームA棒_アームの差を埋め合わせることができるようにする。コントローラはさらに、EHPRV302に電気コマンド信号を提供して、ブームポンプ220Aに戻る流体の圧力レベルに実質的に等しい、ブースト流管路256内の特定の圧力レベルを維持することができる。
【0096】
代替シナリオでは、操作者は、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114およびアーム油圧シリンダアクチュエータ116の動きを指令するのと同時に、回転台110の回転を指令してよい。実例では、操作者は、ジョイスティック122、124を使用して、特定の回転速度ω旋回で回転台110の回転を指令することができる。旋回油圧モータアクチュエータ120の変位および指令された速度ω旋回に基づき、コントローラは、旋回油圧モータアクチュエータ120に提供される、速度ω旋回を達成する流体流量の量Q旋回を決定し、回転台110の指令された回転方向に基づき荷重保持弁234D、236Dの一方を作動させる。
【0097】
この場合、コントローラは、VブームA棒_ブームとVアームA棒_アームの間の流れの差に加えてω旋回に等しい、旋回ポンプ220Dが供給する流体流量の総量Q総量を決定する。コントローラは次いで、電気モータ218Dに指令して、旋回ポンプ220Dにコントローラが決定した流体流量の総量Q総量を提供させる速度で回転させる。コントローラはさらに、バイパス弁272Dおよび荷重保持弁234Dまたは236Dを作動させ、調整して、旋回油圧モータアクチュエータ120とブーム油圧シリンダアクチュエータ114用ブースト流の間で旋回ポンプ220Dからの流体流(すなわち、VブームA棒_ブームとVアームA棒_アームの差)を配分する。このように、旋回ポンプ220Dが提供する流体の一部分を旋回油圧モータアクチュエータ120により消費して、回転台110を駆動し、シャトル弁264Dおよびバイパス弁272Dを通してブースト流管路256に別の一部分を提供して、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114により消費する。
【0098】
とりわけ、ブーム102、アーム104、およびバケット106の不平衡アクチュエータと異なり、回転台110の旋回油圧モータアクチュエータ120は平衡し、動作したときにブースト流を要求することも、過剰な流れを供給することもない。その結果、旋回ポンプ220Dの一方のポートを通して提供される流体流は、旋回ポンプ220Dの他方のポートに戻して提供される流体流に等しい。
【0099】
場合によっては、速度ω旋回を達成するために旋回油圧モータアクチュエータ120が要求する流体流量に加えてブースト流管路256に要求される総流量Q総量は、旋回ポンプ220Dのポンプ変位に基づき旋回ポンプ220Dが供給することができる最大許容流体流量Q最大、および電気モータ218Dの最大許容モータ速度を超える可能性がある。これらの場合、コントローラは、1未満の値をもたらす
【0100】
【0101】
に等しい速度低減係数を決定することができる。コントローラは次いで、ピストン206Aに関する速度コマンドVブームおよび旋回油圧モータアクチュエータ120に関する旋回コマンドω旋回に速度低減係数を乗じて、それぞれ最初のコマンドVブームおよびω旋回よりも小さな修正コマンドVブーム_修正およびω旋回_修正を決定することができる。コントローラは次いで、修正コマンドを使用して、ブースト流管路256および旋回油圧モータアクチュエータ120に要求された流体流量の量を決定することができ、その結果、これらの量は、旋回ポンプ220Dのその最大許容流量Q最大を超えない。
【0102】
上記で提供するシナリオは例示のための例である。異なる方法でブーム102、アーム104、バケット106、および回転台110の作動を伴う他のシナリオは、上記で論じるシナリオに類似する手法でコントローラにより管理することができることを理解されたい。
【0103】
この構成では、掘削機100を動作させるには、専用ブーストシステムを使用することを伴わない。むしろ、回転台110のEHA200D、および詳細には旋回ポンプ220Dは、旋回油圧モータアクチュエータ120を動作させるように構成されることに加えて、ブーストシステムとして動作することができる。このように、油圧システム300の費用および複雑性は、それぞれのポンプ、モータ、弁、および油圧管路を伴う付加的専用ブーストシステムを伴う他のシステムよりも低くなることがある。
【0104】
図4は、実装形態の例による、油圧システム300を動作させるための方法400の流れ図である。
【0105】
方法400は、ブロック402~408の1つまたは複数により例示するように、1つまたは複数の動作または活動を含んでよい。連続した順序でブロックを例示するが、これらのブロックはまた、並列に、および/または本明細書で記述する順序と異なる順序で遂行されてよい。また、さまざまなブロックは、組み合わせてより少ないブロックにしてよい、分割して付加的ブロックにしてよい、および/または所望の実装形態に基づき取り除いてよい。本明細書で開示するこれまたは他の処理および方法については、流れ図は本例の1つの可能な実装形態の機能性および動作を示すことを理解されたい。代替実装形態は、当業者が理解するように、関与する機能性に応じて実質的に同時に、または逆順を含む、示し論じる順序とは順不同で機能を実行してよい本開示の例の範囲内に含まれる。
【0106】
ブロック402で、方法400は、油圧システム(たとえば、油圧システム300)のコントローラ(たとえば、コントローラ282)で油圧シリンダアクチュエータ(たとえば、ブーム油圧シリンダアクチュエータ114)のピストン(たとえば、ピストン206A)を伸展させるリクエストを受信するステップを含み、油圧シリンダアクチュエータは、スライド可能にピストンが適合されたシリンダ(たとえば、シリンダ204)を備え、ピストンは、ピストンヘッド(たとえば、ピストンヘッド208)およびピストンヘッドから伸展する棒(たとえば、棒210)を備え、ピストンヘッドは、シリンダの内部空間を分割してヘッド側チャンバ(たとえば、チャンバ214)および棒側チャンバ(たとえば、チャンバ216)にする。
【0107】
ブロック404で、方法400は、応答して第1の電気モータ(たとえば、電気モータ218A)に第1のコマンド信号を送信して、第1のポンプ(たとえば、ブームポンプ220A)を駆動して、第1の流体流の管路(たとえば、流体流の管路224)を介してヘッド側チャンバに流体流を提供し、ピストンを伸展させるステップを含み、油圧シリンダアクチュエータは、ピストンを伸展させるために第1の流体流の管路を介してヘッド側チャンバに提供される流体の第1の流体流量が、ピストンが伸展するときに棒側チャンバから放出され、第2の流体流の管路(たとえば、流体流の管路228)を介して第1のポンプに戻して提供される流体の第2の流体流量よりも大きくなるように不平衡である。
【0108】
ブロック406で、方法400は、第2の電気モータ(たとえば、電気モータ218D)に第2のコマンド信号を送信して、第2のポンプ(たとえば、旋回ポンプ220D)を駆動するステップを含み、第2のポンプは、油圧モータアクチュエータ(たとえば、旋回油圧モータアクチュエータ120)を駆動するために第2の電気モータにより駆動される、第2の電気モータにより反対方向に回転可能な双方向流体流供給源となるように構成される。
【0109】
ブロック408で、方法400は、第2の流体流の管路に第2のポンプを流体で連結するブースト流管路256を介して第2のポンプからブースト流体流を提供するステップを含み、その結果、ブースト流体流は、第2の流体流の管路を介して第1のポンプに戻る流体を結合し、第1の流体流量と第2の流体流量の差を埋め合わせる。コントローラはまた、バイパス弁272Dに第3のコマンド信号を送信して、バイパス弁272Dを開けて、第2のポンプからブースト流管路を通して第2の流体流の管路に流体が流れるようにすることができる。
【0110】
上記の詳細な記述は、添付図面を参照して、開示するシステムのさまざまな特徴および動作について記述している。本明細書で記述する例示的実装形態は、限定することを意味するものではない。開示するシステムのある種の様態を、本明細書ですべて企図される広汎な異なる構成で配列および組み合わせることができる。
【0111】
さらに、前後関係がそうではないと示唆しない限り、図の各々で例示する特徴は、互いに組み合わせて使用してよい。したがって、図は、例示する特徴が実装形態ごとにすべて必要であるわけではないという理解のもとで、一般に1つまたは複数の実装形態全体の構成要素の様態と見るべきである。
【0112】
その上、本明細書または特許請求の範囲での要素、ブロック、またはステップのどの列挙も、明確にするためのものである。したがって、そのような列挙は、これらの要素、ブロック、またはステップが特定の配列に忠実である、または特定の順序で行われることを要求する、または意味すると解釈されるべきではない。
【0113】
さらに、機器またはシステムを使用または構成して、図に提示する機能を遂行してよい。いくつかの実例では、機器および/またはシステムの構成要素は、そのような性能を可能にするように(ハードウェアおよび/またはソフトウェアを用いて)実際に構成され、構造化されるように機能を遂行するように構成されてよい。他の例では、機器および/またはシステムの構成要素は、特有の手法で動作するとき、機能を遂行するように適合されるように、遂行することができるように、または遂行するのに適するように配列されてよい。
【0114】
「実質的に」または「約」という用語により、列挙する特性、パラメータ、または値は、正確に達成される必要がないが、たとえば公差、測定誤差、測定精度限界、および当業者に公知の他の要因を含む偏差または変動は、特性が提供することを意図した効果を排除しない量で発生することがあることを意味する。
【0115】
本明細書で記述する配列は、例示するためだけのものである。したがって、他の配列および他の要素(たとえば機械、インタフェース、動作、順序、および動作のグループ化など)を代わりに使用することができ、所望の結果に従っていくつかの要素を完全に省いてよいことを当業者は認識されよう。さらに、記述されている要素の多くは、任意の適切な組合せおよび場所で別個の構成要素もしくは分散構成要素として、または他の構成要素と併用して実装されてよい機能的実体である。
【0116】
さまざまな様態および実装形態について本明細書で開示してきたが、他の様態および実装形態は当業者に明らかであろう。本明細書で開示するさまざまな様態および実装形態は、例示するためのものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、以下の特許請求の範囲により、そのような特許請求の範囲に権利を与える均等物の全範囲と共に示される。また、本明細書で使用する専門用語は、特定の実装形態について記述するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。