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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】経路生成装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231206BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231206BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
G05D1/02 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022099981
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2020039341の分割
【原出願日】2016-03-16
(65)【公開番号】P2022128477
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】平松 敏史
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031649(JP,A)
【文献】特開2016-007195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部を走行させる走行領域内に前記車体部に装着される作業機による作業が行われる作業経路を生成する経路生成設定部と、
前記走行領域内に、前記作業経路が生成される第1領域と、前記第1領域の側部であり前記作業経路が生成されない第2領域と、を設定する領域設定部と、を備え、
前記第1領域に前記作業経路が生成された際、当該作業経路に、前記車体部の幅と前記作業機の幅との少なくとも一方に基づく走行作業幅よりも狭い狭作業経路が生じる場合、当該狭作業経路に対して作業を行うか否かの選択を受け付ける、
経路生成システム。
【請求項2】
前記狭作業経路に対して作業を行うことが選択された場合、
前記経路生成設定部は、前記第2領域の一部を前記第1領域として前記作業経路を生成する、
請求項1に記載の経路生成システム。
【請求項3】
前記狭作業経路に対して作業を行わないことが選択された場合、
前記経路生成設定部は、前記作業経路における作業終了位置を手前の位置に変更する、
請求項1に記載の経路生成システム。
【請求項4】
前記狭作業経路に対して作業を行うか否かを作業者に選択させるための選択画面を表示する制御部を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の経路生成システム。
【請求項5】
車体部を走行させる走行領域内に前記車体部に装着される作業機による作業が行われる作業経路を生成する経路生成設定部と、
前記走行領域内に、前記作業経路が生成される第1領域と、前記第1領域の側部であり前記作業経路が生成されない第2領域と、を設定する領域設定部と、を備え、
前記領域設定部は、前記経路生成設定部によって前記第1領域において前記作業経路が生成された際、当該作業経路に、前記車体部の幅と前記作業機の幅との少なくとも一方に基づく走行作業幅よりも狭くなる狭作業経路が生じる場合、前記第2領域の幅を狭くするように調整する、
経路生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人走行作業車両により作業を行う作業システムにおいて、無人走行作業車両が作業を行う作業経路に、作業幅に満たない作業領域が存在する場合の経路生成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、親作業車とこの親作業車に追従する無人操縦式の子作業車とにより対地作業を行う作業車協調システムが公知となっている(例えば、特許文献1参照)。該作業車協調システムにおいては、親作業車は運転者による有人操縦によって、圃場両端の転回エリアでの親転回走行経路と、両端の転回エリア間を対地作業しながら直線走行する親作業走行経路が作り出され、子作業車の走行経路は、両端の転回エリアの間を対地作業しながら親作業車を追従する子作業走行経路と、転回エリアでの子転回走行経路からなり、無人操縦によってその経路を走行するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-178759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記技術において、親作業車と子作業車とにより圃場内の作業領域を協調作業し、最終の作業経路に小作業車となる無人走行作車両が位置したとき、その経路の作業幅が小作業車が備える作業機の作業幅より短い場合、無人走行作車両は作業領域をはみ出して作業をしてしまうため、自動走行を停止し、作業を終了してしまうことがあった。この場合未作業地が残ることになる。また、最終の経路が斜めの作業領域を通過するような場合においては、どの位置から作業を始めるか、または、終了するかが明確に設定されていないと、未作業地が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、作業経路を生成するときに、自律走行作業車両(無人走行作車両)の作業機の作業幅に満たない作業領域が発生する場合、作業幅に満たない作業領域をどのように処理するかを設定できる経路生成装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る経路生成システムは、車体部を走行させる走行領域内に前記車体部に装着される作業機による作業が行われる作業経路を生成する経路生成設定部と、前記走行領域内に、前記作業経路が生成される第1領域と、前記第1領域の側部であり前記作業経路が生成されない第2領域と、を設定する領域設定部と、を備え、前記第1領域に前記作業経路が生成された際、当該作業経路に、前記車体部の幅と前記作業機の幅との少なくとも一方に基づく走行作業幅よりも狭い狭作業経路が生じる場合、当該狭作業経路に対して作業を行うか否かの選択を受け付ける。
【0007】
一態様に係る経路生成システムは、車体部を走行させる走行領域内に前記車体部に装着される作業機による作業が行われる作業経路を生成する経路生成設定部と、前記走行領域内に、前記作業経路が生成される第1領域と、前記第1領域の側部であり前記作業経路が生成されない第2領域と、を設定する領域設定部と、を備え、前記領域設定部は、前記経路生成設定部によって前記第1領域において前記作業経路が生成された際、当該作業経路に、前記車体部の幅と前記作業機の幅との少なくとも一方に基づく走行作業幅よりも狭くなる狭作業経路が生じる場合、前記第2領域の幅を狭くするように調整する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1領域に作業経路を生成したときに走行作業幅の所定幅よりも狭い条または狭い部分が存在する狭作業経路が生じる場合、狭作業経路と第1領域の側部に設定される側部余裕地である第2領域に跨る走行作業幅の作業経路を第1領域に生成することによって、未耕地が残ることがない作業経路の設定を行うことできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自律走行作業車両と走行作業車両の概略側面図。
図2】制御ブロック図。
図3】初期画面を示す図。
図4】圃場設定を示す図。
図5】圃場の領域を示す図。
図6】作業領域内の最終条の作業経路が狭作業経路となる場合の圃場を示す図。
図7】作業領域が台形となる場合の圃場を示す図。
図8】作業領域が階段状となる場合の圃場を示す図。
図9】最初の作業経路長が短い場合の圃場を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
無人で自律走行可能な自律走行作業車両(以下、無人車両と称することがある)1、及び、この自律走行作業車両1に協調して作業者(ユーザ)が操向操作する有人の走行作業車両(以下、有人車両と称することがある)100をトラクタとし、自律走行作業車両1及び走行作業車両100には作業機としてロータリ耕耘装置がそれぞれ装着されている実施例について説明する。但し、作業車両はトラクタに限定するものではなく、コンバイン等でもよく、また、作業機はロータリ耕耘装置に限定するものではなく、畝立て機や草刈機やレーキや播種機や施肥機等であってもよい。
【0011】
本明細書において「自律走行」とは、トラクタが備える制御部(ECU)によりトラクタが備える走行に関する構成が制御されて予め定められた経路に沿ってトラクタが走行することを意味する。単一の圃場における農作業を、無人車両及び有人車両で実行することを、農作業の協調作業、追従作業、随伴作業などと称することがある。なお、農作業の協調作業としては、「単一圃場における農作業を、無人車両及び有人車両で実行すること」に加え、「隣接する圃場等の異なる圃場における農作業を同時期に無人車両及び有人車両で実行すること」が含まれてもよい。
【0012】
図1は、自律走行作業車両及び走行作業車両の概略構成を示す側面図であり、図2は、それらの制御構成を示す制御ブロック図である。図1図2において、自律走行作業車両1となるトラクタの全体構成について説明する。トラクタの車体部は、ボンネット2内にエンジン3が内設され、該ボンネット2の後部のキャビン11内にダッシュボード14が設けられ、ダッシュボード14上に操向操作手段となるステアリングハンドル4が設けられている。該ステアリングハンドル4の回動により操舵装置を介して前輪9・9の向きが回動される。操舵装置を作動させる操舵アクチュエータ40は制御部30を構成するステアリングコントローラ301と接続される。自律走行作業車両1の操舵方向は操向センサ20により検知される。操向センサ20はロータリエンコーダ等の角度センサからなり、前輪9の回動基部に配置される。但し、操向センサ20の検知構成は限定するものではなく操舵方向が認識されるものであればよく、ステアリングハンドル4の回動を検知したり、パワーステアリングの作動量を検知してもよい。操向センサ20により得られた検出値は制御部30のステアリングコントローラ301に入力される。
【0013】
制御部30は、ステアリングコントローラ301、エンジンコントローラ302、変速制御コントローラ303、水平制御コントローラ304、作業制御コントローラ305、測位制御ユニット306、自律走行制御コントローラ307等を備え、それぞれCPU(中央演算処理装置)やRAMやROM等の記憶装置やインターフェース等を備え、記憶装置には動作させるためのプログラムやデータ等が記憶され、CAN通信によりそれぞれ情報やデータ等を送受信できるように通信可能としている。
【0014】
前記ステアリングハンドル4の後方に運転席5が配設され、運転席5下方にミッションケース6が配置される。ミッションケース6の左右両側にリアアクスルケース8・8が連設され、該リアアクスルケース8・8には車軸を介して後輪10・10が支承される。エンジン3からの動力はミッションケース6内の変速装置(主変速装置や副変速装置)により変速されて、後輪10・10を駆動可能としている。変速装置は例えば油圧式無段変速装置で構成して、可変容量型の油圧ポンプの可動斜板をモータ等の変速手段44により作動させて変速可能としている。変速手段44は制御部30の変速制御コントローラ303と接続されている。後輪10の回転数は車速センサ27により検知され、走行速度として変速制御コントローラ303に入力される。但し、車速の検知方法や車速センサ27の配置位置は限定するものではない。
【0015】
ミッションケース6内にはPTOクラッチやPTO変速装置が収納され、PTOクラッチはPTO入切手段45により入り切りされ、PTO入切手段45は表示手段49を介して制御部30の自律走行制御コントローラ307と接続され、PTO軸への動力の断接を制御可能としている。また、作業機として播種機や畦塗機等を装着した場合、作業機独自の制御ができるように作業機コントローラ308が備えられ、該作業機コントローラ308は情報通信配線(所謂、ISOBUS)を介して作業制御コントローラ305と接続される。
【0016】
前記エンジン3を支持するフロントフレーム13にはフロントアクスルケース7が支持され、該フロントアクスルケース7の両側に前輪9・9が支承され、前記ミッションケース6からの動力が前輪9・9に伝達可能に構成している。前記前輪9・9は操舵輪となっており、ステアリングハンドル4の回動操作により回動可能とするとともに、操舵装置の駆動手段となるパワステシリンダからなる操舵アクチュエータ40により前輪9・9が左右操舵回動可能となっている。操舵アクチュエータ40は制御部30のステアリングコントローラ301と接続されて制御される。
【0017】
エンジン回転制御手段となるエンジンコントローラ302にはエンジン回転数センサ61や水温センサや油圧センサ等が接続され、エンジンの状態を検知できるようにしている。エンジンコントローラ302では設定回転数と実回転数から負荷を検出し、過負荷とならないように制御するとともに、後述する遠隔操作装置112にエンジン3の状態を送信して表示装置113で表示できるようにしている。
【0018】
また、ステップ下方に配置した燃料タンク15には燃料の液面を検知するレベルセンサ29が配置されて表示手段49と接続され、表示手段49は自律走行作業車両1のダッシュボードに設けられ、燃料の残量を表示する。そして、燃料の残量は自律走行コントローラ307で作業可能時間が演算され、通信装置110を介して遠隔操作装置112に情報が送信されて、遠隔操作装置112の表示装置113に燃料残量と作業可能時間が表示可能とされる。なお、回転計、燃料計、油圧、異常を表示する表示手段と、現在位置等を表示可能な表示手段とは別構成でもよい。
【0019】
前記ダッシュボード14上にはエンジンの回転計や燃料計や油圧等や異常を示すモニタや設定値等を表示する表示手段49が配置されている。表示手段49は遠隔操作装置112と同様にタッチパネル式として、データの入力や選択やスイッチ操作やボタン操作等も可能としている。
【0020】
また、トラクタの車体部の後部に作業機装着装置23を介して作業機としてロータリ耕耘装置24が昇降可能に装設させている。前記ミッションケース6上に昇降シリンダ26が設けられ、該昇降シリンダ26を伸縮させることにより、作業機装着装置23を構成する昇降アームを回動させてロータリ耕耘装置24を昇降できるようにしている。昇降シリンダ26は昇降アクチュエータ25の作動により伸縮され、昇降アクチュエータ25は制御部30の水平制御コントローラ304と接続されている。また、前記作業機装着装置23の左右一側のリフトリンクには傾斜シリンダが設けられ、該傾斜シリンダを作動させる傾斜アクチュエータ47は水平制御コントローラ304と接続されている。
【0021】
位置検出部となる測位制御ユニット306には位置情報を検出可能とするための移動GPSアンテナ(測位アンテナ)34とデータ受信アンテナ38が接続され、移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38は前記キャビン11上に設けられる。測位制御ユニット306には、位置算出手段を備えて緯度と経度を算出し、現在位置を表示手段49や遠隔操作装置112の表示装置113で表示できるようにしている。なお、GPS(米国)に加えて準天頂衛星(日本) やグロナス衛星(ロシア)等の衛星測位システム(GNSS)を利用することで精度の高い測位ができるが、本実施形態ではGPSを用いて説明する。
【0022】
自律走行作業車両1は、車体部の姿勢変化情報を得るためにジャイロセンサ31、および進行方向を検知するために方位角検出部32を具備し制御部30と接続されている。但し、GPSの位置計測から進行方向を算出できるので、方位角検出部32を省くことができる。ジャイロセンサ31は自律走行作業車両1の車体部前後方向の傾斜(ピッチ)の角速度、車体部左右方向の傾斜(ロール)の角速度、および旋回(ヨー)の角速度、を検出するものである。該三つの角速度を積分計算することにより、自律走行作業車両1の車体部の前後方向および左右方向への傾斜角度、および旋回角度を求めることが可能である。ジャイロセンサ31の具体例としては、機械式ジャイロセンサ、光学式ジャイロセンサ、流体式ジャイロセンサ、振動式ジャイロセンサ等が挙げられる。ジャイロセンサ31は制御部30に接続され、当該三つの角速度に係る情報を制御部30に入力する。
【0023】
方位角検出部32は自律走行作業車両1の向き(進行方向)を検出するものである。方位角検出部32の具体例としては磁気方位センサ等が挙げられる。方位角検出部32はCAN通信手段を介して自律走行制御コントローラ307に情報が入力される。
【0024】
こうして自律走行制御コントローラ307は、上記ジャイロセンサ31、方位角検出部32から取得した信号を姿勢・方位演算手段により演算し、自律走行作業車両1の姿勢(向き、車体部前後方向及び車体部左右方向の傾斜、旋回方向)を求める。
【0025】
次に、自律走行作業車両1の位置情報を衛星測位システムの一つであるGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を用いて取得する。GPSを用いた測位方法としては、単独測位、相対測位、DGPS(ディファレンシャルGPS)測位、RTK-GPS(リアルタイムキネマティック-GPS)測位など種々の方法が挙げられ、これらいずれの方法を用いることも可能であるが、本実施形態では測定精度の高いRTK-GPS測位方式を採用する。
【0026】
RTK-GPS測位は、位置が判っている基準局と、位置を求めようとする移動局とで同時にGPS観測を行い、基準局で観測したデータを無線等の方法で移動局にリアルタイムで送信し、基準局の位置成果に基づいて移動局の位置をリアルタイムに求める方法である。
【0027】
本実施形態においては、自律走行作業車両1に移動局となる測位制御ユニット306と移動GPSアンテナ34とデータ受信アンテナ38が配置され、基準局となる固定通信機35と固定GPSアンテナ36とデータ送信アンテナ39が所定位置に配設される。本実施形態のRTK-GPS測位は、基準局および移動局の両方で位相の測定(相対測位)を行い、基準局の固定通信機35で測位したデータをデータ送信アンテナ39からデータ受信アンテナ38に送信する。
【0028】
自律走行作業車両1に配置された移動GPSアンテナ34はGPS衛星37・37・・・からの信号を受信する。この信号は測位制御ユニット306に送信され測位される。そして、同時に基準局となる固定GPSアンテナ36でGPS衛星37・37・・・からの信号を受信し、固定通信機35で測位し測位制御ユニット306に送信し、観測されたデータを解析して移動局の位置を決定する。
【0029】
こうして、自律走行コントローラ307は自律走行作業車両1を自律走行させる自律走行手段として備えられる。つまり、自律走行コントローラ307と接続された各種情報取得ユニットによって、自律走行作業車両1の走行状態を各種情報として取得し、自律走行コントローラ307と接続された各種制御ユニットによって、自律走行作業車両1の自律走行を制御する。具体的には、GPS衛星37・37・・・から送信される電波を受信して測位制御ユニット306において設定時間間隔で車体部の位置情報を求め、ジャイロセンサ31及び方位角検出部32から車体部の変位情報および方位情報を求め、これら位置情報と変位情報と方位情報に基づいて車体部が予め設定した経路(走行経路と作業経路)Rに沿って走行するように、操舵アクチュエータ40、変速手段44、昇降アクチュエータ25、PTO入切手段45、エンジンコントローラ302等を制御して自律走行し自動で作業できるようにしている。
【0030】
また、自律走行作業車両1には障害物センサ41が配置されて制御部30と接続され、障害物に衝突しないようにしている。例えば、障害物センサ41はレーザセンサや超音波センサやカメラで構成して車体部の前部や側部や後部に配置して制御部30と接続し、制御部30によって車体部の前方や側方や後方に障害物があるかどうかを検出し、障害物が設定距離以内に近づくと走行を停止させるように制御する。
【0031】
また、自律走行作業車両1には前方を撮影するカメラ42Fや後方の作業機や作業後の圃場状態を撮影するカメラ42Rが搭載され制御部30と接続されている。カメラ42F・42Rは本実施形態ではキャビン11のルーフの前部上と後部上に配置しているが、配置位置は限定するものではなく、キャビン11内の前部上と後部上や一つのカメラ42を車体部中心に配置して鉛直軸を中心に回転させて周囲を撮影しても、複数のカメラ42を車体部の四隅に配置して車体部周囲を撮影する構成であってもよい。また、キャビン11やボンネット2等に自律走行作業車両1の製造社のエンブレムが取り付けられている場合、当該エンブレムの背面側にカメラ42F・42Rを配することとしてもよい。その場合、エンブレム内には貫通穴或いは所定の隙間が設定され、カメラ42F・42Rのレンズが当該貫通穴或いは隙間の位置に相当することで撮影が妨げられない。カメラ42F・42Rで撮影された映像は走行作業車両100に備えられた遠隔操作装置112の表示装置113に表示される。
【0032】
遠隔操作装置112は前記自律走行作業車両1の後述する経路Rを設定したり、自律走行作業車両1を遠隔操作したり、自律走行作業車両1の走行状態や作業機の作動状態を監視したり、作業データを記憶したりするものであり、操作側の制御部(CPUやメモリ)130や通信装置111や表示装置113や記憶部114等を備える。
【0033】
有人走行車両となる走行作業車両100は作業者が乗車して運転操作するとともに、走行作業車両100に遠隔操作装置112を搭載して自律走行作業車両1を操作可能としている。走行作業車両100の基本構成は自律走行作業車両1と略同じ構成であるので詳細な説明は省略する。なお、走行作業車両100(または遠隔操作装置112)にGPS用の制御ユニットを備える構成とすることも可能である。
【0034】
遠隔操作装置112は、走行作業車両100及び自律走行作業車両1のダッシュボードやキャビン11のピラー等に設けられる取付部(不図示の例えば遠隔操作装置112を取り付け固定可能なアーム部材)に着脱可能としている。遠隔操作装置112は走行作業車両100の取付部に取り付けたまま操作することも、走行作業車両100の外に持ち出して携帯して操作することも、自律走行作業車両1の取付部に取り付けたまま操作することも可能である。遠隔操作装置112は例えばノート型やタブレット型のパーソナルコンピュータ等の無線通信端末で構成することができる。本実施形態ではタブレット型のコンピュータで構成している。
【0035】
さらに、遠隔操作装置112と自律走行作業車両1は無線で相互に通信可能に構成しており、自律走行作業車両1と遠隔操作装置112には通信するための通信装置110・111がそれぞれ設けられている。通信装置111は遠隔操作装置112に一体的に構成されている。通信手段は例えばWiFi等の無線LANで相互に通信可能に構成されている。遠隔操作装置112は画面に触れることで操作可能なタッチパネル式の操作画面とした表示装置113を筐体表面に設け、筐体内に通信装置111や制御部130や記憶部114やバッテリ等を備える。記憶部114には、自律走行作業車両1や走行作業車両100や作業機の仕様(本体部及び作業機の全長や幅や高さ等の各種長さ、エンジンの種類や馬力、変速比、作業能力等)や後述する経路設定に関わる設定値や設定後の経路等が記憶される。なお、経路生成設定後に自律走行作業車両1の制御部30に転送した後は、制御部30に備える記憶部にも記憶される。
【0036】
次に、遠隔操作装置112により経路Rを設定する手順について説明する。図3は、遠隔操作装置の表示装置に表示される初期画面を示す。但し、自律走行作業車両1が備える制御部30によって経路Rを設定できるようにすることも可能である。遠隔操作装置112の表示装置113はタッチパネル式としており、電源をオンして遠隔操作装置112を起動させると初期画面が現れるようにしている。初期画面では、図3に示すように、トラクタ設定ボタン201、圃場設定ボタン202、経路生成設定ボタン203、データ転送ボタン204、作業開始ボタン205、終了ボタン206が表示される。
【0037】
まず、トラクタ設定について説明する。トラクタ設定ボタン201をタッチすると、過去にこの遠隔操作装置112によりトラクタを用いて作業を行った場合、つまり、過去に設定したトラクタが存在する場合、そのトラクタ名(機種)が表示される。表示された複数のトラクタ名から今回使用するトラクタ名をタッチして選択すると、その後、後述する圃場設定に進み、或いは、初期画面に戻ることが可能である。新規にトラクタ設定を行う場合には、トラクタの機種を特定する。この場合、機種名を直接入力する。或いは、複数のトラクタの機種を表示装置113に一覧表示させて所望の機種を選択できるようにしている。
【0038】
トラクタの機種が設定されると、トラクタに装着される作業機のサイズ、形状、作業機の位置の設定画面が現れる。作業機の位置は例えば前部か、前輪と後輪の間か、後部か、オフセットか、を選択する。作業機の設定が終了すると、作業中の車速、作業中のエンジン回転数、旋回時の車速、旋回時のエンジン回転数の設定画面が現れる。作業中の車速は往路と復路で異なる車速とすることも可能である。車速、及び、エンジン回転数の設定が終了すると、後述する圃場設定に進み、或いは、初期画面に戻ることが可能である。
【0039】
次に、圃場設定について、説明する。図4は、圃場設定時において自律走行作業車両にユーザが搭乗して行う外周走行の様子を示す。図5は、作業領域、枕地領域等、圃場内の設定される領域を示す。圃場設定ボタン202をタッチすると、過去にこの遠隔操作装置112によりトラクタを用いて作業行った場合、つまり、過去に設定した圃場が存在する場合、設定されている圃場の名前が表示される。表示された複数の圃場名から今回作業を行う圃場名をタッチして選択すると、その後、後述する経路生成設定に進み、或いは、初期画面に戻ることが可能である。なお、設定された圃場を編集又は新規に設定することも可能である。
【0040】
登録された圃場がない場合には、新規の圃場設定となる。新規の圃場設定を選択すると、図4に示すように、トラクタ(自律走行作業車両1)を圃場H内の四隅のうちの一つの隅Aに位置させ、「測定開始」のボタンをタッチする。その後、トラクタを圃場Hの外周に沿って走行させて圃場形状を登録する。次に、作業者は、登録された圃場形状から、角位置A・B・C・Dや変曲点を登録して圃場形状を特定する。
【0041】
圃場Hが特定されると、図5に示すように、作業開始位置Sと、作業開始方向Fと、作業終了位置Gを設定する。この圃場H内に障害物が存在する場合には、障害物の位置までトラクタを移動させ、「障害物設定」ボタンをタッチして、その周囲を走行して、障害物設定を行う。なお、表示装置113には圃場の地図画像を表示することが可能であり、当該地図画像に、上記特定された圃場形状が重畳表示される場合、表示装置113上で障害物の周囲を指定することで、障害物設定を行うことができてもよい。上記作業が終了すると、または、過去に登録した圃場を選択すると、確認画面となり、OK(確認)ボタンと「編集/追加」ボタンが表示される。過去に登録した圃場に変更がある場合には、「編集/追加」ボタンをタッチする。
【0042】
前記圃場設定においてOKボタンをタッチすると、経路生成設定となる。経路生成設定は初期画面で経路生成設定ボタン203をタッチすることによっても経路生成設定が可能となる。経路生成設定では、自律走行作業車両1に対して走行作業車両100がどの位置で走行するかの選択画面が表示される。つまり、自律走行作業車両1と走行作業車両100の位置関係を設定する。具体的には、(1)走行作業車両100が自律走行作業車両1の左後方に位置する。(2)走行作業車両100が自律走行作業車両1の右後方に位置する。(3)走行作業車両100が自律走行作業車両1の真後ろに位置する。(4)走行作業車両100は随伴しない(自律走行作業車両1のみで作業を行う)。の4種類が表示され、タッチすることにより選択できる。
【0043】
次に、走行作業車両100の作業機の幅を設定する。つまり、作業機の幅を数字で入力する。次に、スキップ数を設定する。つまり、自律走行作業車両1が圃場外周端部(枕地)に至り第一の経路から第二の経路に移動する時に、経路を何本飛ばすかを設定する。具体的には、(1)スキップしない。(2)1列スキップ。(3)2列スキップ。のいずれかを選択する。次に、オーバーラップの設定を行う。つまり、作業経路と隣接する作業経路における作業幅の重複量の設定を行う。具体的には、(1)オーバーラップしない。(2)オーバーラップする。を選択する。なお、「オーバーラップする」を選択すると、数値入力画面が表示され、数値を入力しないと次に進むことができない。
【0044】
次に、外周設定が行われる。つまり、図5に示すような、自律走行作業車両1と走行作業車両100とにより、または、自律走行作業車両1により作業を行う作業領域HAの外側の領域が設定される。言い換えれば、圃場端で非作業状態として旋回走行する枕地HBと、枕地HBと枕地HBとの間の左右両側の圃場外周に接する非作業領域とする側部余裕地HCが設定される。よって、圃場H=作業領域HA+枕地HB+枕地HB+側部余裕地HC+側部余裕地HCとなる。通常、枕地HBの幅Wbと側部余裕地HCの幅Wcは、走行作業車両100が装着した作業機の幅の二倍以下の長さとして、自律走行作業車両1と走行作業車両100とによる随伴作業が終了した後に、作業者が走行作業車両100に乗り込み、手動操作で外周を二周することで、仕上げることができるようにしている。但し、圃場外周の形状が複雑でない場合には、自律走行作業車両1で外周を作業することも可能である。なお、外周設定において、枕地HBの幅Wb及び側部余裕地HCの幅Wcは、作業機の幅に応じて自動的に所定の幅に算出されるが、算出された枕地HBの幅Wb及び側部余裕地HCの幅Wcは、任意の幅に変更可能であり、ユーザは所望の幅に変更した上で、変更後の幅Wb、幅Wcを夫々、枕地HBの幅、側部余裕地HCの幅として設定可能である。但し、任意の幅に変更可能である場合、圃場内における走行、作業並びに安全性を考慮して算出される最小設定幅以下に設定することはできない。例えば、枕地HBや側部余裕地HCにおいて自律走行作業車両1が走行や旋回した場合に、作業機が圃場外に飛び出ないことを保証する幅が最小設定幅として算出される。
【0045】
上記の各種設定の入力が終了すると、確認画面が現れ、確認をタッチすると、自動で経路Rが生成される。経路Rは作業経路Raと走行経路Rbからなり、作業経路Raは作業領域HA内で生成される経路で、作業を行いながら走行する経路であり、直線の経路となる。但し、作業領域HAが矩形でない場合には作業領域HA外の領域(枕地HBと側部余裕地(サイドマージン)HC)にはみ出すこともある。走行経路Rbは作業領域HA外の領域で生成される経路で、作業を行わずに走行する経路であり、直線と曲線を組み合わせた経路となる。主に、枕地HBでの旋回走行となる。
【0046】
前記経路Rは自律走行作業車両1と走行作業車両100の経路Rが生成される。前記作業経路生成後にその作業経路を見たい場合は、経路生成設定ボタン203をタッチすることでシミユレーション画像が表示され、確認することができる。なお、経路生成設定ボタン203をタッチしなくても経路Rは生成されている。経路生成設定の各項目を設定すると、経路生成設定が表示され、その下部に、「経路設定ボタン」「データ転送する」「ホームへ戻る」が選択可能に表示される。
【0047】
経路生成設定で生成された経路(経路R)に関する情報を転送するときは、初期画面において設けられたデータ転送ボタン204をタッチすることで転送できる。この転送は遠隔操作装置112で行われるため、これら設定した情報を自律走行作業車両1の制御装置に転送する必要がある。この転送は、(1)端子を用いて転送する方法と、(2)無線で転送する方法があり、本実施形態では、端子を用いる場合には、USBケーブルを用いて遠隔操作装置112と自律走行作業車両1の制御装置を直接つなぐ、あるいは、USBメモリに一旦記憶させてから、自律走行作業車両1のUSB端子に接続して転送する。また、無線で転送する場合は、WiFi(無線LAN)を用いて転送する。
【0048】
次に、前記経路生成設定において、自律走行作業車両1の作業経路Raに所定幅より狭い条または狭い部分が存在する場合の処理について説明する。作業経路Ra上の作業領域の幅を作業域幅Wrとし、前記所定幅は、自律走行作業車両1または走行作業車両100に装着される作業機(ロータリ耕耘装置24)の作業幅(以下走行作業幅W1)、または、作業機が本体部(トラクタ)の幅よりも狭い場合は本体部の幅とする。本実施形態では、作業機の幅は本体部の幅よりも長く、自律走行作業車両1と走行作業車両100には同じ作業機が装着されるものとし、オーバーラップは0として説明する。また、所定幅に満たない部分(作業領域)を有する条の経路を狭作業経路Rcと称する。
【0049】
経路生成設定において、作業経路Raに所定幅(以下の本実施形態では走行作業幅W1)より狭い条または狭い部分が存在する狭作業経路Rcがある場合、その経路Rを表示して、作業を行うか、行わないかを選択できるようにしている。つまり、狭作業経路Rcを自律走行作業車両1が作業するか、作業しないかを、予め設定しておかないと、自律走行作業車両1が狭作業経路Rcの手前に到達したときに、その作業経路Raが走行作業幅W1に満たないので作業不可能と判断して、狭作業経路Rcに入る手前で停止して作業を中断してしまうおそれがあるからである。また、狭作業経路Rcの作業を行わずに終了すると、未耕地が残ってしまうことになる。そこで、経路生成設定において、狭作業経路Rcが存在する場合には、作業を行うか、行わないかを予め選択できるようにしている。なお、有人の走行作業車両100の作業経路Raに狭作業経路Rcが存在する場合には、作業者が決め、選択画面は表示されない。但し、選択できるようにしてもよい。
【0050】
前記狭作業経路Rcを作業すると設定した場合には、側部余裕地HC(第2領域)にはみ出して作業が行われる。狭作業経路Rcを作業しないと設定した場合には、狭作業経路Rcの作業領域HAは、作業領域HAの作業が終了した後に、枕地HBと側部余裕地HCを作業するときに行われる。若しくは、左右の側部余裕地HCの幅を調整して、狭作業経路Rcが走行作業幅W1となるように幅を広げて狭作業経路Rcをなくすようにすることもできる。左右の側部余裕地HCの幅を狭くして、狭作業経路Rcが走行作業幅W1となるように幅を広げる場合、変更後(狭くした後)の側部余裕地HCの幅が走行作業幅W1及び走行作業長L1に基づいて特定される制限幅以下とならないようにされる。言い換えれば、側部余裕地HCの幅を制限幅以下としなければ狭作業経路Rcが走行作業幅W1とならない場合、左右の側部余裕地HCの幅を調整しないこととする。
【0051】
具体的に、圃場Hの形状に応じた処理を説明する。まず、矩形の圃場で経路Rが生成される場合、作業領域HAで走行作業幅W1の往復の作業経路Raが生成される。図6に示すように、最終作業経路Ra(最終条)において、作業域幅Wrは走行作業幅W1(所定幅)より短くなり、狭作業経路Rcが発生する。言い換えれば、作業領域HAの幅は走行作業幅W1の整数倍となることは殆どないため、最終条には狭作業経路Rcができてしまう。
【0052】
この経路生成設定時に、操作側の制御部130は、狭作業経路Rcの作業を行うか、行わないかの選択画面を表示する。作業者が「作業を行う」を選択すると、操作側の制御部130は側部余裕地HCにはみ出して作業を実施するように、狭作業経路Rcは作業経路Raとして生成される。なお、狭作業経路Rcを作業しないと設定した場合には、前記圃場Hに対して設定された前記作業終了位置G(図5図6)とは異なり、1工程手前の条の終端となる前記作業経路Raに作業の終了位置Gaが設定される。
【0053】
また、圃場Hの形状が台形等、終了側の圃場端の辺が斜めの形状の場合、図7に示すように、走行作業幅W1に満たない三角形状の作業領域ができる。この場合も経路生成設定時に、操作側の制御部130は最終条が走行作業幅W1(所定幅)に満たないと判断して狭作業経路Rcとし、この狭作業経路Rcを自律走行作業車両1が作業するとなった場合、狭作業経路Rcの作業を行うか、行わないかの選択画面を表示する。作業者が「作業を行う」を選択すると、操作側の制御部130は側部余裕地HCにはみ出して作業を実施するように、狭作業経路Rcを作業経路Raとして生成する。
【0054】
また、作業領域HAの形状が、図8に示すような階段状である場合、飛び出た凸部領域において、走行作業幅W1に満たない狭作業経路Rcができる。この場合も経路生成設定時に、操作側の制御部130は、作業域幅Wrが走行作業幅W1(所定幅)に満たないと判断して狭作業経路Rcとし、この狭作業経路Rcを自律走行作業車両1が作業するとなった場合、狭作業経路Rcの作業を行うか、行わないかの選択画面を表示する。作業者が「作業を行う」を選択すると、操作側の制御部130は側部余裕地HCにはみ出して作業を実施するように、狭作業経路Rcは作業経路Raとして生成される。
【0055】
また、圃場Hの形状が台形等、開始側の圃場端の辺が斜めの形状の場合、図9に示すように、走行作業幅W1に満たない部分を有する三角形状の作業領域ができ狭作業経路Rcとなる。この狭作業経路Rcの経路長(進行方向長さ)Lcが、走行作業長L1を所定倍した長さに満たない場合、前記狭作業経路Rcに作業経路Raを生成しないようにしている。つまり、走行作業長L1とは、前記車体部に作業機を装着した状態の前端から後端までの長さとし、遠隔操作装置112の記憶部114に記憶されており、操作側の制御部130は、経路生成設定時に前記狭作業経路Rcの経路長Lcが、前記走行作業長L1の何倍になるか演算し、所定倍した長さに満たない場合、前記狭作業経路Rcに作業経路Raを生成しないものである。所定倍は、例えば、2倍とする。このような短い作業経路では、走行作業車両100を作業者が運転して作業処理し、バックして作業開始位置に戻って、協調作業を行うほうが、効率良く作業ができるからである。但し、図7図8のような、作業経路Raの延長上に狭作業経路Rcができる場合は除外する。
【0056】
本実施形態では狭作業経路Rcの作業を行うか行わないかを選択可能としたが、上述したように、作業領域HAの幅が走行作業幅W1の定数倍となることは殆どないことから、作業者に選択させることなく、原則として狭作業経路Rcで作業を行うこととし、所定条件下では狭作業経路Rcで作業を行わないことしてもよい。所定条件としては上述した狭作業経路Rcの経路長が走行作業長L1の定数倍に満たない場合が例示される。
【0057】
以上のように、衛星測位システムを利用して、設定した経路Rを走行可能な自律走行作業車両1の車体部を走行させる走行領域となる圃場H、並びに、前記車体部の幅、及び/もしくは、前記車体部に装着される作業機(ロータリ耕耘装置24)の幅となる走行作業幅W1の情報を記憶可能な記憶部114と、前記圃場H内における前記作業機による作業経路Raを生成可能な操作側の制御部130と、を備え、前記圃場Hは、前記作業経路Raを含む第1領域となる作業領域HAと、第1領域の周囲に設定される第2領域となる枕地HBと側部余裕地HCとを含み、前記操作側の制御部130は、前記第1領域に作業経路Raを生成したときに前記走行作業幅W1よりも狭い狭作業経路Rcが生じる場合、該狭作業経路Rcには前記第2領域に跨る走行作業幅W1の作業経路Raを生成可能とするので、第一領域に狭作業経路Rcが発生する場合であっても、自律走行作業車両1による作業経路Raの設定が所定の原則に従って行われ、未耕地が残ることがない経路生成設定が行われる。
【0058】
また、前記記憶部114は、前記車体部に作業機を装着した状態の前端から後端までの長さとなる走行作業長L1の情報を記憶し、前記操作側の制御部130は、前記狭作業経路Rcの経路長Lcが、前記走行作業長L1を所定倍した長さに満たない場合、前記狭作業経路Rcに作業経路を生成しないので、特に短い作業経路はUターンや切り返しを繰り返すことなく別の形態で作業を行って、作業効率を向上させることができる。
【0059】
また、前記操作側の制御部130は、前記走行領域(圃場H)に対して設定される作業開始位置Sと作業方向Fと作業終了位置Gとに基づいて前記作業経路Raを生成可能であって、前記狭作業経路Rcに作業経路Raを生成しない場合、前記走行領域に対して設定された前記作業終了位置Gと、前記作業経路における前記作業機による作業の終了位置と異なる位置の作業終了位置Gaに設定可能とするので、作業終了位置Gaで作業を終了してから狭作業経路Rcの作業を行わずに作業終了位置Gまで移動させる必要がなくなり、作業を速く終了して、無駄な走行を防止できる。なお、作業終了位置Gaから作業終了位置Gまで枕地HB及び側部余裕地HCを通って走行させることとしてもよい。これにより作業車が圃場設定において設定した作業終了位置Gに自律走行作業車両1が移動することとなって圃場出口が作業終了位置G付近にある場合等に作業者が自ら操作して自律走行作業車両1を作業終了位置Gに移動させる必要がなくなり、作業者の手間を省くことができる。
【0060】
<発明の付記>
即ち、一態様に係る経路生成システムは、車体部を走行させる走行領域、前記車体部の幅、前記車体部に装着される作業機の幅となる走行作業幅、それぞれの情報を記憶可能な記憶部と、前記走行領域において、前記作業機により作業される作業経路を生成可能な制御部と、前記作業経路が生成される第1領域と、前記第1領域の側部に設定される側部余裕地である第2領域とを設定する設定部と、を備え、前記制御部は、前記第1領域に生成した前記作業経路において前記走行作業幅の所定幅よりも狭くなる経路が存在する場合、前記第2領域を前記第1領域として走行作業幅の作業経路を生成する経路生成装置である。
【0061】
一態様に係る経路生成システムは、上記経路生成システムにおいて、前記第2領域の幅が前記走行作業幅に基づいて特定される制限幅以下となる場合に、前記制御部は、前記第2領域の幅を調整することができないものである。
【0062】
上記態様によれば、第1領域に作業経路を生成したときに走行作業幅の所定幅よりも狭い条または狭い部分が存在する狭作業経路が生じる場合、狭作業経路と第1領域の側部に設定される側部余裕地である第2領域に跨る走行作業幅の作業経路を第1領域に生成することによって、未耕地が残ることがない作業経路の設定を行うことできる。
【符号の説明】
【0063】
1 自律走行作業車両
30 制御部
110・111 通信装置
112 遠隔操作装置
114 記憶部
130 操作側の制御部
G・Ga 作業終了位置
H 圃場
L1 走行作業長
R 経路
Ra 作業経路
Rb 走行経路
Rc 狭作業経路
HA 作業領域
W1 走行作業幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9