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特許7397931工事代金処理装置、工事代金処理方法、および工事代金処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】工事代金処理装置、工事代金処理方法、および工事代金処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022132020
(22)【出願日】2022-08-22
(62)【分割の表示】P 2017154780の分割
【原出願日】2017-08-09
(65)【公開番号】P2022159565
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩史
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】Kシリーズ Super APCO解説書(建設業原価・会計システム) 初版,富士通株式会社,1993年06月01日,第1版,特にp.126,134,137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた工事代金処理装置であって、
前記制御部は、
支払先毎に工事代金の一部の支払いを保留する際の保留率を設定したマスタにアクセス可能に構成されており、
支払先と、費目と、工事金額とを含む仕入伝票データに基づいて、前記マスタを参照して、当該支払先の保留率に当該工事金額を乗算して保留金額を決定して、保留金額を含む支払予定金額と、支払予定日とを含む支払予定データを作成する保留金額決定手段を備えたことを特徴とする工事代金処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、
支払いの保留を解除する保留解除手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の工事代金処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、
前記保留解除手段で支払いの保留が解除された場合に、前記支払予定データの保留金額の実際の支払予定日を設定して支払処理をする支払処理手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の工事代金処理装置。
【請求項4】
制御部を備えた情報処理装置で実行される工事代金処理方法であって、
前記制御部は、
支払先毎に工事代金の一部の支払いを保留する際の保留率を設定したマスタにアクセス可能に構成されており、
前記制御部で実行される、
支払先と、費目と、工事金額とを含む仕入伝票データに基づいて、前記マスタを参照して、当該支払先の保留率に当該工事金額を乗算して保留金額を決定して、保留金額を含む支払予定金額と、支払予定日とを含む支払予定データを作成する保留金額決定ステップを含むことを特徴とする工事代金処理方法。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための工事代金処理プログラムであって、
前記制御部は、
支払先毎に工事代金の一部の支払いを保留する際の保留率を設定したマスタにアクセス可能に構成されており、
前記制御部において、
支払先と、費目と、工事金額とを含む仕入伝票データに基づいて、前記マスタを参照して、当該支払先の保留率に当該工事金額を乗算して保留金額を決定して、保留金額を含む支払予定金額と、支払予定日とを含む支払予定データを作成する保留金額決定ステップを実行させるための工事代金処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事代金処理装置、工事代金処理方法、および工事代金処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、工事請負出来高管理システムとして特許文献1がある。かかる特許文献1の工事請負出来高管理システムは、管理センタ25には、現場16から送信された工事の進捗内容を確認してその承認を行う進捗内容承認手段2と、承認された工事の出来高数量を累計する出来高数量累計手段3と、承認された工事の出来高数量に基づいて出来高率を計算する出来高率計算手段4と、撮影手段により撮影された現場写真を記憶する現場進捗状況写真管理手段5と、ビデオカメラにより撮影された現場状況把握のための映像を放映する映像放映手段6と、少なくとも工事現場16の立体図又は工事現場周辺地域立体図を作成する立体地図作成手段7と、各手段のデータに基づいて所定期間内の累計データを蓄積する累計データ蓄積手段8と、を備えている。
【0003】
また、特許文献1の段落0013には、「図3(b)は受注者が日々の出来高を入力する画面の一例である。受注者は「出来高数量」「出来高率」を入力する。それにより「出来高金額」と「支払金額」が自動的に計算される。支払金額は出来高金額の90%として計算され、残額10%は保留金ファイルへ保留され、支払は工事完了後に一括で支払われる。例えば、一番上の出来高数量「1」、出来高率「10%」のとき出来高金額が「100円」とすると支払金額はその90%の「90円」が支払われる。また確認・承認欄には受注者と発注者側の欄があり、夫々がチェックして確認・承認を行なう。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-47948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、工事代金の保留金額を別途計算して支払時に判断して一括で支払われるため、工事の状況をみながら保留金を支払うことはできない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、工事代金の保留金の支払いを工事の状況をみながら簡易に処理することができる工事代金処理装置、工事代金処理方法、および工事代金処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、制御部を備えた工事代金処理装置であって、前記制御部は、工事代金の一部の支払いを保留する際の保留金額を決定する保留金額決定手段と、支払いの保留を解除する保留解除手段と、上記保留解除手段にて解除された保留金額の実際の支払予定日を設定して支払処理をする支払処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記保留金額決定手段は、工事代金の保留率を決定し、工事未払金に当該保留金率を乗算して保留金額を算出し、前記保留金額のマイナス明細とプラス明細を作成し、前記マイナス明細の支払予定日に当初の支払予定日を設定し、前記プラス明細の支払予定日に未来日付を設定することが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記支払処理手段は、前記保留解除手段にて保留金額が解除された場合に、前記プラス明細の支払予定日の前記未来日付を前記実際の支払予定日に変更することが望ましい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される工事代金処理方法であって、前記制御部で実行される、工事代金の一部の支払いを保留する際の保留金額を決定する保留金額決定ステップと、支払いの保留を解除する保留解除ステップと、上記保留解除ステップにて解除された保留金額の実際の支払予定日を設定して支払処理をする支払処理ステップと、を含むことが望ましい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための工事代金処理プログラムであって、前記制御部で実行させるための、工事代金の一部の支払いを保留する際の保留金額を決定する保留金額決定ステップと、支払いの保留を解除する保留解除ステップと、上記保留解除ステップにて解除された保留金額の実際の支払予定日を設定して支払処理をする支払処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、工事代金の保留金の支払いを工事の状況をみながら簡易に処理することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、工事代金の保留金の概要を説明するための図である。
図2図2は、本実施の形態に係る工事代金処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、支払先マスタ、仕入ヘッダデータ、仕入明細データ、支払予定データのデータ構成例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る工事代金処理装置の全体の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る処理の具体例を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態に係る工事代金処理装置の出力装置に表示される表示画面の一例を説明するための図である。
図7図7は、本実施の形態に係る工事代金処理装置の出力装置に表示される表示画面の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る工事代金処理装置、工事代金処理方法、および工事代金処理プログラムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
建設業界では、元請会社が下請会社に工事を発注する場合、工事代金のうち一部の金額を保留する。この保留金は支払予定日未定のデータの位置づけとなる。保留金は、工事完了などのタイミングで予定支払日を再設定し、支払処理をする。以下では、単位を千円として説明する。
【0016】
図1は、工事代金の保留金の概要を説明するための図である。同図は、元請会社が下請会社に工事を例えば¥100で発注した場合の支払(元請会社)と入金(下請会社)の明細の一例を示している。
【0017】
元請会社の検収時は、未完成工事支出金=¥100/工事未払金=¥100となる。これに対して、下請会社の引渡時は、売掛金=¥100/完成工事代=¥100となる。
【0018】
保留金額を¥10とした場合、元請会社の支払時は、工事未払金=¥90/CASH=¥90となる。これに対して、下請会社の入金は、CASH=¥90/売掛金=¥90となる。
【0019】
元請会社の保留解除時は、工事未払金=¥10/CASH=¥10となる。これに対して、下請会社の入金は、CASH=¥10/売掛金=¥10となる。
【0020】
従来は、保留金額を別途計算して支払時に判断していた。そのため、保留解除の際は工事の状況をみながらの判断ができなかった。
【0021】
そこで、本実施の形態では、工事代金の保留金額の支払いを工事の状況をみながら簡易に処理するために、支払先マスタに設定された保留率(保留金率)又は入力画面で指定した保留率に応じて、工事の検収のタイミングで保留する金額をプラス明細とマイナス明細に分割管理することで通常の支払時に対象外とする。そして、保留解除の際は、工事の状況を見ながら、分割管理した保留金を次回の支払サイクルの対象とするかを判断する。
【0022】
すなわち、本実施の形態では、工事の検収時に支払予定を分割しておくことで、支払予定の分割・変更という通常処理を応用し、業界特有の業務フローを簡単にシステム化している。
【0023】
[2.構成]
本実施形態に係る工事代金処理装置100の構成について、図2を参照して説明する。図2は、工事代金処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
工事代金処理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、工事代金処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0025】
工事代金処理装置100は、図2に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。工事代金処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0026】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、工事代金処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、工事代金処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0027】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、ユーザが出力装置(モニタ)114の画面に表示して、入力装置112で操作することを、「UIを介したユーザ操作」と記載する場合がある。
【0028】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0029】
記憶部106は、支払先マスタ106a、仕入ヘッダデータ106b、仕入明細データ106c、支払予定データ106d、及び仕入伝票データファイル106e等を格納する。ユーザは、支払先マスタ106a、仕入ヘッダデータ106b、仕入明細データ106c、支払予定データ106d、及び仕入伝票データファイル106eの内容を出力装置114の画面に表示して確認することが可能となっており、また、UIを介したユーザ操作により、入力・変更・追加等の登録や編集が可能に構成されている。図3は、支払先マスタ106aと、仕入ヘッダデータ106bと、仕入明細データ106cと、支払予定データ106dのデータ構成例を示す図である。
【0030】
仕入伝票データファイル106eは、仕入伝票データを格納するためのファイルである。仕入伝票データは、仕入番号、プロジェクト、工事未払金額、支払先、仕入明細番号、費目、及び金額等で構成されている(例えば、図5参照)。ユーザは、入力装置112又はネットワーク300に接続された端末装置を介して、仕入伝票データを工事代金処理装置100に入力し、制御部102は、入力される仕入伝票データを仕入伝票データファイル106eに格納する。制御部102は、仕入伝票データの内容を、仕入ヘッダデータ106b、仕入明細データ106c、及び支払予定データ106dの対応する部分にそれぞれ登録する(反映させる)。
【0031】
支払先マスタ106aは、図3に示すように、支払先コード、支払先名、及び工事未払代金の保留率等を対応づけたテーブル等である。制御部102は、UIを介したユーザ操作に応答して、支払先マスタ106aの支払先コード、支払先名、及び工事未払代金の保留率のデータを登録する。ユーザは、支払先マスタ106aに、支払先毎に工事未払代金の保留率を予め登録しておくことができる。
【0032】
仕入ヘッダデータ106bは、図3に示すように、仕入番号、支払先コード、支払先名、プロジェクト、及び保留金設定等を対応づけたデータである。制御部102は、支払先マスタ106aの「保留率」を参照して、仕入ヘッダデータ106bの「保留金設定」を登録する。
【0033】
仕入明細データ106cは、図3に示すように、仕入番号、仕入明細番号、費目、及び金額等を対応づけて格納するテーブル等である。
【0034】
支払予定データ106dは、図3に示すように、仕入番号、仕入明細番号、支払予定額、仕入金額、及び支払予定日等を対応づけたデータである。制御部102は、UIを介したユーザ操作に応答して、支払予定データ106dの支払予定日を登録する。また、制御部102は、検収時に、支払予定データ106dについて、保留金額のマイナス明細とプラス明細を登録し、マイナス明細の支払予定日に当初の支払予定日を設定し、プラス明細の支払予定日に未来日付を設定する。さらに、制御部102は、保留の解除時にプラス明細の支払予定日の未来日付を実際の支払予定日に変更する。
【0035】
制御部102は、工事代金処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、保留金額決定部102aと、保留解除部102bと、支払処理部102cと、を備えている。制御部102は、仕入伝票データを、仕入ヘッダデータ106b、仕入明細データ106c、支払予定データ106dの対応する部分にそれぞれ登録する(反映させる)。
【0036】
保留金額決定部102aは、工事代金の一部の支払いを保留する際の保留金額を決定する。より具体的には、保留金額決定部102aは、UIを介したユーザ操作に応答して、工事代金の保留率を決定して支払先マスタ106aの「保留率」を登録する。保留金額決定部102aは、工事未払金額に「保留率」を乗算して保留金額を算出する。
【0037】
また、保留金額決定部102aは、支払予定データ106dについて、検収時に保留金を分割管理するために、保留金額のマイナス明細とプラス明細を登録し、マイナス明細の支払い予定日に当初の支払い予定日を設定し、プラス明細の支払予定日に未来日付を設定する。
【0038】
保留解除部102bは、UIを介したユーザ操作に応答して、プロジェクトを指定して支払いの保留を解除する。
【0039】
支払処理部102cは、UIを介したユーザ操作に応答して、保留解除部102bにて解除された保留金額の支払予定日を新たに設定して支払処理を行う。具体的には、支払処理部102cは、支払予定データ106dの指定されたプロジェクトのマイナス明細の未来日付を実際の支払予定日に変更する。
【0040】
[3.全体の処理の概略]
図2及び図4を参照して、本実施形態における工事代金処理装置100の全体の処理を流れの概略を説明する。図4は、本実施形態における工事代金処理装置100の全体の処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
保留金額決定部102aは、対象のプロジェクトの仕入伝票単位で工事代金の一部の支払いを保留する際の保留金額を決定する(ステップS1)。より具体的には、保留金額決定部102aは、工事代金の保留率を決定し、工事未払金に当該保留金率を乗算して支払保留金額を算出する。また、保留金額決定部102aは、検収のタイミングで保留金を分割管理し、保留金額のマイナス明細とプラス明細を作成し、マイナス明細の支払い予定日に当初の支払い予定日を設定し、プラス明細の支払い予定日に未来日付を設定する。
【0042】
保留解除部102bは、UIを介したユーザ操作に応答して、プロジェクトを指定して支払いの保留を解除する(ステップS2)。
【0043】
支払処理部102cは、保留解除部102bにて解除された保留金の支払予定日を新たに設定して支払処理を行う(ステップS3)。具体的には、支払処理部102cは、プラス明細の未来日付を実際の支払予定日に変更する。
【0044】
[4.処理の具体例]
本実施形態に係る工事代金処理装置100の処理の具体例について、図2及び図5を参照して詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る工事代金処理装置100の処理の具体例を説明するための図である。
【0045】
制御部102は、対象のプロジェクトの仕入伝票データを仕入伝票データファイル106eから読み出す。図5に示す例では、仕入番号(伝票)「No001」、プロジェクト「001-005」、工事未払金「¥315」、支払先名「支払先001」、仕入明細番号「1」の外注費「¥105」、仕入明細番号「2」の外注費「¥210」となっている。また、仕入番号「No051」は、プロジェクト「001-005」、工事未払金「¥315」、支払先名「支払先051」、仕入明細番号「1」の外注費「¥105」、仕入明細番号「2」の外注費「¥210」となっている。制御部102は、仕入伝票データの内容を、仕入ヘッダデータ106b、仕入明細データ106c、及び支払予定データ106dの対応する部分にそれぞれ登録する(反映させる)。
【0046】
支払先マスタ106aには、例えば、仕入先コード「001」、「051」、支払先名「支払先001」、「支払先051」、保留率「10%」、「10%」がそれぞれ登録されている。
【0047】
仕入ヘッダデータ106bには、仕入番号「No001」、仕入先コード「001」、支払先名「支払先001」、プロジェクト「001-005」が登録される。また、制御部102は、支払先マスタ106aの支払先名「支払先001」の保留率「10%」を参照して、仕入ヘッダデータ106bの保留金設定「10%」を登録する。
【0048】
仕入明細データ106cには、仕入番号「No001」、「No001」、仕入明細番号「1」、「2」、費目「外注費」、「外注費」及び金額「¥105」、「¥210」がそれぞれ登録される。
【0049】
支払予定データ106dには、仕入番号「No001」、「No001」、仕入明細番号「1」、「2」、支払予定金額「¥105」、「¥210」が登録される。また、制御部102は、UIを介したユーザ操作(不図示の画面でのユーザ操作)に応じて、例えば、支払予定日「2017/8/10」、「2017/8/10」をそれぞれ登録する。
【0050】
制御部102は、検収のタイミングで、保留金を分割管理するために、保留金額のマイナス明細とプラス明細を作成し、マイナス明細の支払い予定日に当初の支払予定日を設定し、プラス明細の支払予定日に未来日付を設定する。制御部102は、例えば、仕入ヘッダデータ106bの仕入番号「No001」の保留金設定「10%」を参照して、支払予定金額「¥315(=¥105+¥210)」の「10%」である保留金額「¥31」のマイナス明細とプラス明細を作成し、仕入明細番号「0」、「0」、支払予定金額「-¥31」、「¥31」、当初の支払予定日である支払予定日「2017/8/10」、未来日付である「2099/12/31」をそれぞれ登録する。
【0051】
支払予定日が「2017/8/10」のものについては、通常の支払いサイクルで支払処理され、仕入明細番号「1」の支払予定金額「¥105」、仕入明細番号「2」の支払予定金額「¥210」、及び仕入明細番号「0」の支払予定金額「-¥31」の合計である「¥284」が支払予定日「2017/8/10」に支払処理(例えば、FB(ファームバンキング)での振込処理)される。仕入明細番号「0」、支払予定金額「¥31」、支払予定日「2099/12/31」については、保留が解除されるまで支払いが保留される。
【0052】
制御部102は、UIを介したユーザ操作により、プロジェクトを指定して保留解除が指示されると、制御部102は、指定されたプロジェクトについて、支払予定データ106dのマイナス明細の未来日付を実際の支払予定日に変更する。これにより、変更された支払予定日に保留金が支払われる。具体的には、例えば、制御部102は、UIを介したユーザ操作に応じて、仕入明細番号「0」、支払予定金額「¥31」の支払予定日「2099/12/31」を、例えば、「2017/9/14」に変更する。これにより、保留金額「¥31」が、次の支払いサイクルで処理され、「2017/9/14」に支払処理(例えば、FB(ファームバンキング)で振込処理)される。
【0053】
このように、工事の検収のタイミングで保留金をプラス明細とマイナス明細に分割管理して、保留金を通常の支払時に対象外とし、保留解除の際は、ユーザは、工事の状況を見ながら、分割管理した保留金の実際の支払い日を設定することができる。
【0054】
[5.表示画面の一例]
図6及び図7は、本実施の形態に係る工事代金処理装置10の出力装置114に表示される表示画面の一例を説明するための図である。図6は、仕入入力画面の一例を示す図である。図7は、支払先情報画面の一例を示す図である。
【0055】
図6に示す仕入入力画面では、プロジェクト毎に、仕入区分(仕入伝票)単位でのデータの確認・編集が可能となっている。例えば、仕入区分を指定して、支払情報確認ボタン400を押すと、図7に示す支払先情報画面が表示される。支払先情報画面では、支払先の保留金率や支払予定日を設定することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、保留金額決定部102aは、工事代金の一部の支払いを保留する際の保留金額を決定し、保留解除部102bは、支払いの保留を解除し、支払処理部102cは、保留解除部102bにて解除された保留金額の実際の支払予定日を設定して支払処理をすることとしたので、工事代金の保留金額の支払いを工事の状況をみながら簡易に処理することが可能となる。
【0057】
また、保留金額決定部102aは、保留金率を決定し、工事未払金に当該保留金率を乗算して保留金額を算出し、保留金額のマイナス明細とプラス明細を作成し、マイナス明細の支払予定日に当初の支払予定日を設定し、プラス明細の支払予定日に未来日付を設定することとしたので、簡単な処理により保留金額を分割することが可能となる。
【0058】
また、支払処理部102cは、保留解除部102bにて保留金額が解除された場合に、プラス明細の支払予定日の未来日付を実際の支払予定日に変更することとしたので、工事の状況をみながら保留金の支払予定日を簡単に設定することが可能となる。
【0059】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0060】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0061】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0062】
また、工事代金処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0063】
例えば、工事代金処理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて工事代金処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0064】
また、このコンピュータプログラムは、工事代金処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0065】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0066】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0067】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0068】
また、工事代金処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、工事代金処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0069】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 工事代金処理装置
102 制御部
102a 保留金額決定部
102b 保留解除部
102c 支払処理部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 支払先マスタ
106b 仕入ヘッダデータ
106c 仕入明細データ
106d 支払予定データ
106e 仕入伝票データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7