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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】レンズ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20231206BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231206BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20231206BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 E
G03B30/00
H04N23/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022156661
(22)【出願日】2022-09-29
(65)【公開番号】P2023051866
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202111166496.6
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512152743
【氏名又は名称】信泰光學(深セン)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】598001814
【氏名又は名称】亞洲光學股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ASIA OPTICAL CO.,INC.
【住所又は居所原語表記】NO.22-3 South 2nd Road,T.E.P.Z,Taichung,Taiwan R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】林 国泉
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-185933(JP,A)
【文献】特開2022-138339(JP,A)
【文献】特開2021-105653(JP,A)
【文献】特開2016-033569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G02B 7/02-7/16
G03B 30/00
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ装置であって、
ベースと、
前記ベース内に設置され、第一方向に沿って運動可能な少なくとも一つの可動レンズ群を有するレンズモジュールと、
前記可動レンズ群の運動を駆動する駆動装置と、
前記第一方向に沿って隔てられ、前記ベースに固定される定位素子と、
前記定位素子上に繞設される牽引素子と、
前記可動レンズ群と、それぞれ、前記牽引素子に接続されるカウンターウェイトブロック
を備え、
前記駆動装置は、前記可動レンズ群と前記ベースの側壁の一者上に固定される磁石、および、もう一者上に固定されるコイルを有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記レンズ装置は、さらに、前記可動レンズ群と前記カウンターウェイトブロックの少なくとも一者を導引する導引ユニットを有し、前記導引ユニットは、第一方向に沿って、前記ベース上に設置され、
記導引ユニットは、前記ベースの両側に接続される第一導引ユニットを有し、前記可動レンズ群が、前記第一導引ユニットと滑動するように設置され、
前記可動レンズ群上に、接続部を有し、前記磁石、あるいは、前記コイルは、前記接続部上に固定され、
前記接続部と前記ベースの側壁は近接し、且つ、互いに向き合い、また、前記接続部は、対応するカウンターウェイトブロックと対応する側壁間にあることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記可動レンズ群は、前記接続部により、前記牽引素子上に固定され、前記可動レンズ群、および、前記カウンターウェイトブロックは、それぞれ、前記牽引素子の両側に接続され、
前記接続部は平板状であるか、あるいは、
前記接続部は、前記可動レンズ群の側面に接続される第一部分、および、前記第一部分から、前記ベースの対応する側壁に延伸する第二部分を有することを特徴とする請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記カウンターウェイトブロックと前記ベースの側壁の一者上に固定される磁石、および、もう一者上に固定されるコイルを有し、前記導引ユニットは、前記ベースの一側に接続される第二導引ユニットを有し、前記カウンターウェイトブロックは、滑動可能で、前記第二導引ユニット上を貫通し、
前記カウンターウェイトブロックと前記ベースの側壁は近接し、且つ、互いに向き合い、また、前記カウンターウェイトブロックは、対応する可動レンズ群と対応する側壁の間にあることを特徴とする請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記カウンターウェイトブロック上に、前記コイル、あるいは、前記磁石が固定される凹槽を設置し、前記凹槽は、前記第一方向に沿って延伸する、あるいは、
前記カウンターウェイトブロック自身が、前記コイル、あるいは、磁石であることを特徴とする請求項4に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記レンズモジュールは、少なくとも二個の隣接する可動レンズ群を有し、
前記隣接する可動レンズ群のカウンターウェイトブロックは、それぞれ、前記ベースの両側に位置し、
前記定位素子は定位柱で、前記牽引素子は引き紐である、あるいは、前記定位素子はベルトホイールで、前記牽引素子はベルトである、あるいは、前記定位素子はギアで、前記牽引素子はチェーンであり、
前記可動レンズ群と前記カウンターウェイトブロックの質量は等しいことを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学分野に関するものであって、特に、レンズ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のレンズ装置10の構造を示す図である。図1に示されるように、レンズ装置10は、ベース11、ベース11上に設置される第一レンズ群13、第二レンズ群14、第三レンズ群15、第四レンズ群16、および、感光アセンブリ(photosensitive assembly)(図示しない)を有する。ベース11に、ガイド素子12が固定され、第二レンズ群14、および、第三レンズ群15は、ガイド素子12に沿って運動可能であり、ズーム操作、あるいは、集束操作を実行する。
【0003】
レンズ装置10はさらに、第二レンズ群14の運動を駆動する駆動装置を有する。駆動装置は、ベース11上に設置されるコイル(図示しない)、および、第二レンズ群14上に設置される磁石18を有する。ポジションセンサー (図示しない)が、ベース11上に設置される。コイルが通電する状態下で、磁石18と相互作用して、第二レンズ群14の運動を駆動する。ポジションセンサーは、第二レンズ群14の運動距離と位置を感知する。所定位置に到達するとき、第二レンズ群14が運動を停止する。第三レンズ群15の運動は、第二レンズ群14に類似する。
【0004】
このようなレンズ装置の欠点は、図示される水平状態下で、第二レンズ群14、および、第三レンズ群15が、電磁力の作用下で移動することである。レンズ全体が直立状態下にあるとき、ガイド素子12も直立状態にある。第二レンズ群14、第三レンズ群15とガイド素子間にギャップがあるので、第二レンズ群14、第三レンズ群15が、重力作用下で、ガイド素子12に沿って脱落するのを防止するため、コイルに継続的に電力を供給する必要がある。しかし、これは、電力消耗を大幅に増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-38402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の欠点を改善するため、本発明は、電量消耗を減少させることができるレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な実施形態によるレンズ装置は、ベース、レンズモジュール、駆動装置、定位素子、牽引素子、および、カウンターウェイトブロックを有する。レンズモジュールは、ベース内に設置され、且つ、第一方向に沿って運動可能な少なくとも一つの可動レンズ群を有する。駆動装置は、可動レンズ群の運動を駆動する。定位素子は、第一方向に沿って隔てられ、ベース上に固定される。牽引素子は、定位素子上に繞設される。カウンターウェイトブロック、および、可動レンズ群が、それぞれ、牽引素子に接続される。
【0008】
本発明のレンズ装置によると、レンズ装置は、さらに、可動レンズ群とカウンターウェイトブロックの少なくとも一者を導引する導引ユニットを有し、導引ユニットは、第一方向に沿って、ベース上に設置される。
【0009】
本発明のレンズ装置によると、駆動装置は、可動レンズ群とベースの側壁の一者上に固定される磁石、および、もう一者上に固定されるコイルを有し、導引ユニットは、ベースの両側に接続される第一導引ユニットを有し、可動レンズ群が、第一導引ユニットと滑動するように設置される。
【0010】
本発明のレンズ装置によると、可動レンズ群上に、接続部を設置し、磁石、あるいは、コイルは、接続部上に固定され、接続部とベースの側壁は近接し、且つ、互いに向き合い、接続部は、対応するカウンターウェイトブロックと対応する側壁間にある。
【0011】
本発明のレンズ装置によると、可動レンズ群は、接続部により、牽引素子上に固定され、可動レンズ群、および、カウンターウェイトブロックは、それぞれ、牽引素子の両側に接続され、
接続部は平板状であるか、あるいは、
接続部は、可動レンズ群の側面に接続される第一部分、および、第一部分から、ベースの対応する側壁に延伸する第二部分を有する。
【0012】
本発明のレンズ装置によると、駆動装置は、カウンターウェイトブロックとベースの側壁の一者上に固定される磁石、および、もう一者上に固定されるコイルを有し、導引ユニットは、ベースの一側に接続される第二導引ユニットを有し、カウンターウェイトブロックは、滑動可能で、第二導引ユニット上を貫通する。
【0013】
本発明のレンズ装置によると、カウンターウェイトブロックとベースの側壁は近接し、且つ、互いに向き合い、カウンターウェイトブロックは、対応する可動レンズ群と対応する側壁の間にある。
【0014】
本発明のレンズ装置によると、カウンターウェイトブロック上に、コイル、あるいは、磁石を固定する凹槽を設置し、凹槽は、第一方向に沿って延伸する、あるいは、カウンターウェイトブロック自身が、コイル、あるいは、磁石である。
【0015】
本発明のレンズ装置によると、レンズモジュールは、少なくとも二個の隣接する可動レンズ群を有し、隣接する可動レンズ群のカウンターウェイトブロックは、それぞれ、ベースの両側に位置する。定位素子は定位柱で、牽引素子は引き紐である。あるいは、定位素子はベルトホイールで、牽引素子はベルトである。あるいは、定位素子はギアで、牽引素子はチェーンである。
本発明のレンズ装置によると、可動レンズ群とカウンターウェイトブロックの質量は等しい。
【発明の効果】
【0016】
本発明を実施するレンズ装置は、以下の長所を有する。可動レンズ群が所定の位置まで運動した後、停止し、この時、レンズ装置全体が直立状態であっても、カウンターウェイトブロック、および、レンズ群が、牽引素子により、互いからのけん引力を受け、よって、電力消耗が大幅に減少する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施形態は、図面と後続の詳細な説明を参照する。
図1】従来のレンズ装置の構造を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態によるレンズ装置の構造を示す図である。
図3】本発明の第一実施形態によるレンズ装置の分解図である。
図4】本発明の第一実施形態によるレンズ装置のベース、および、第二レンズ群の構造を示す図である。
図5】本発明の第一実施形態によるレンズ装置のベース、および、第二レンズ群の上面図である。
図6】本発明の第一実施形態によるレンズ装置の第二レンズ群の構造を示す図である。
図7】本発明の第一実施形態によるレンズ装置の第三レンズ群の構造を示す図である。
図8】本発明の第二実施形態によるレンズ装置の構造を示す図である。
図9】本発明の第二実施形態によるレンズ装置の分解図である。
図10】本発明の第二実施形態によるレンズ装置のベース、および、第二レンズ群の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、技術構想、および、利点は、添付図面を参照しながら後続の詳細な説明および実施例を参照することによってさらに十分に理解され得る。理解できることは、後述の詳細な記述、および、実施形態は、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明はそれらに制限されない。
【0019】
図2は、本発明の第一実施形態によるレンズ装置100の構造を示す図である。図3は、本発明の第一実施形態によるレンズ装置100の分解図である。図4は、本発明の第一実施形態によるレンズ装置100のベース101、および、第二レンズ群1022の構造を示す図である。図5は、本発明の第一実施形態によるレンズ装置100のベース101、および、第二レンズ群1022の上面図である。図2図5に示されるように、本発明のレンズ装置100は、ベース101、光路転向モジュール (図示しない)、レンズモジュール102、および、画像形成モジュール (図示しない)を有する。光路転向モジュール、レンズモジュール102、および、画像形成モジュールは、順に、ベース101上に設置される。レンズモジュール102は、第一方向Xに延伸する光軸を有する。
【0020】
ベース101は、第一方向Xに垂直で、且つ、相対して設置された第一側壁1011、第二側壁1012、および、第二方向Yに垂直で、且つ、相対して設置された第三側壁1013、および、第四側壁1014を有する。第一方向Xは、第二方向Yに垂直である。第一側壁1011、および、第二側壁1012上に、それぞれ、光線を通過させる光学孔(optical holes)が設置される。
光路転向モジュール (図示しない)は、第三方向Zから入射した光線を、第一方向Xに反射する。
【0021】
レンズモジュール102は、複数のレンズ群を有し、且つ、少なくとも一つの可動レンズ群を有し、可動レンズ群は、第一方向Xの光軸に沿って運動可能であり、ズーム操作、あるいは、集束操作を実現する。各レンズ群は、それぞれ、各自レンズフレーム、および、対応するレンズフレームに固定されるレンズを有する。各レンズ群は、一個、あるいは、複数のレンズを有する。図示される実施形態において、レンズモジュール102は、四個のレンズ群を有する。第一レンズ群1021は、第一レンズフレーム1021a、および、第一レンズフレーム1021a中に設置される一つ以上の第一レンズ1021bを有する。第二レンズ群1022は、第二レンズフレーム1022a、および、第二レンズフレーム1022a中に設置される一つ以上の第二レンズ1022bを有する。第三レンズ群1023は、第三レンズフレーム1023a、および、第三レンズフレーム1023a中に設置される一つ以上の第三レンズ123bを有する。第四レンズ群1024は、第四レンズフレーム1024a、および、第四レンズフレーム1024a中に設置される一つ以上の第四レンズ1024bを有する。第二レンズ群1022と第三レンズ群1023間に、さらに、アパーチャー1025を設置する。しかし、本発明はこの限りではなく、アパーチャー1025は、その他のレンズ群間に設置されるか、あるいは、一個のレンズ群上に設置されてもよい。
【0022】
本実施形態において、第二レンズ群1022、および、第三レンズ群1023は、第一方向Xに沿って、運動可能である。しかし、これは、単に、説明目的のためであり、本発明はそれに制限されない。
【0023】
ベース101内に、第一導引ユニットが、第一方向Xに沿って設置される。本実施形態において、第一導引ユニットは導引棒104であり、導引棒104の数量は、少なくとも二個である。二本の導引棒104は、それぞれ、第一側壁1011、および、第二側壁1012の上部分の両側に接続される。第二レンズフレーム1022a両側は、それぞれ、導引棒104に適合する開口1022cと孔1022dを有して、第二レンズフレーム1022aを、導引棒104で滑動させる。第二レンズフレーム1022aの一側は、第一方向Xに沿って延伸する接続スリーブ1022eを有する。接続スリーブ1022e中に上述の孔1022dが設置され、この孔1022dは、導引棒104と適合する。第三レンズフレーム1023aの構造は、第二レンズフレーム1022aに類似し、よって、それらの記述は省略する。第一レンズ群1021、および、第四レンズ群1024は、導引棒104に固定してもよいし、あるいは、ベース101に固定してもよい。
【0024】
レンズ装置100は、さらに、可動レンズ群を駆動して、第一方向Xに沿って運動させる駆動装置、および、位置感知装置を有する。駆動装置は、可動レンズ群とベース101の一者上に固定される磁石、および、もう一者上に固定されるコイルを有する。位置感知装置は、可動レンズ群上に固定される定位磁石、および、ベース101上に固定されるポジションセンサーを有する。
【0025】
図示される実施形態において、第二レンズ群1022の側面上に、第一磁石1051が固定される。ベース101の第三側壁1013と第四側壁1014の一者の内側に、対応する第一コイル1052が固定される。第一コイル1052の数量は、一個であるか、あるいは、第一方向Xに沿って、緊密に、あるいは、間隔を隔てて複数個である。第三レンズ群1023の側面上に、第二磁石1053が固定され、ベース101の第三側壁1013と第四側壁1014のもう一者の内側に、対応する第二コイル1054が固定される。第二コイル1054の数量は、一個であるか、あるいは、第一方向Xに沿って、緊密に、あるいは、間隔を隔てて複数個である。
【0026】
第二レンズ群1022とベース101の互いに相対する側面(つまり、第二方向Yと垂直な側面)に、一つ以上の第一磁石1051が設置される。第一磁石1051は、多極磁石(multi-pole magnet)であり、第一方向Xに沿って隔てて設置された異なる磁極を有する。第一磁石1051は、第一磁極、および、第一磁極と隔てて設置される第二磁極を有してもよい。
【0027】
第三レンズ群1023とベース101の互いに相対する側面(つまり、第二方向Yと垂直な側面)に、一つ以上の第二磁石1053が設置される。第二磁石1053は、多極磁石であり、第一方向Xに沿って隔てて設置された異なる磁極を有する。第二磁石1053は、第一磁極、および、第一磁極と隔てて設置される第二磁極を有してもよい。
【0028】
第二レンズ群1022の側面に、さらに、第一定位磁石が固定される。第一定位磁石は、第一磁石1051下方に位置する。ベース101の第三側壁1013と第四側壁1014内側に、対応する第一ポジションセンサーが固定される。第一ポジションセンサーの位置と第一定位磁石は対応する。レンズ装置100は、第一ポジションセンサーにより感知される第二レンズ群1022の位置に基づいて、第一コイル1052内の電流の大きさや方向を変化させ、これにより、対応する電磁力の大きさや方向を変化させて、第二レンズ群1022の運動方向と位置を変化させる。第一コイル1052が通電するとき、第一磁石1051と相互作用して、第二レンズ群1022を、第一方向Xに沿って運動させる。第二レンズ群1022の運動と位置の変化に伴い、第一磁石1051の第一コイル1052に対する作用力が平衡に達して、第二レンズ群1022が運動を停止し、所定位置で留まる。第三レンズ群の設置と操作は、第二レンズ群に類似し、よって、詳細は省略する。
【0029】
第三レンズ群1023の側面上に、第二位置磁石が固定され、第二位置磁石は、第三レンズ群1023の側面の下部に位置することができる。ベース101の第三側壁1013と第四側壁1014の内側に、対応する第二ポジションセンサーが固定される。これは、第一定位磁石、および、第一ポジションセンサーに類似し、よって、詳細は省略する。
一部のレンズ群が、第一方向Xの光軸に沿って運動することにより、レンズ装置100のズーム操作、あるいは、集束操作が実行される。
【0030】
レンズ装置100はさらに、少なくとも二個の定位素子、牽引素子、および、カウンターウェイトブロックを有する。定位素子は、第一方向Xで間隔を隔てられ、且つ、ベース101に固定される。牽引素子は、定位素子上に繞設される。牽引素子は、可動レンズ群とカウンターウェイトブロックを接続して、可動レンズ群とカウンターウェイトブロックの間に、少なくとも一つの定位素子を隔てている。定位素子の数量が二個であるとき、可動レンズ群、および、カウンターウェイトブロックが、それぞれ、牽引素子の両側に位置する。カウンターウェイトブロックと可動レンズ群の質量は等しい。
【0031】
図示される実施形態において、ベース101上に、二個の第一定位素子1071が固定される。第一定位素子1071は、第一方向Xに沿って隔てて配列され、第一定位素子1071は、第三方向Zに沿って延伸する第一定位柱である。第一牽引素子1072は、二個の第一定位柱間に繞設され、且つ、張った状態の環形の引き紐(pulling string)である。第一牽引素子1072の両端は、二個の第一定位素子1071上に繞設され、且つ、第一牽引素子1072の両側は、第一方向Xに沿って延伸する。第一カウンターウェイトブロック1073、および、第二レンズ群1022は、それぞれ、第一牽引素子1072の両側に接続され、且つ、第一カウンターウェイトブロック1073と第二レンズ群1022の質量は、等しい。
【0032】
第一定位素子1071、および、第一牽引素子1072は、その他の実施方式を採用することもできる。たとえば、第一定位素子1071は、軸線が、第三方向Zに沿って延伸するベルトホイールであり、第一牽引素子1072は、ベルトホイール上に繞設されるベルトである。あるいは、第一定位素子1071は、軸線が、第三方向Zに沿って延伸するギアであり、第一牽引素子1072は、ギア上に繞設されるとともに、結合されるチェーンである。
【0033】
第二レンズ群1022は、所定位置まで運動した後、停止し、第一コイル1052に供給される電力が切断されて、第二レンズ群1022に作用する電磁力が消失し、この時、レンズ装置100全体が直立状態(つまり、第一方向Xが、重力作用方向である)であっても、第一カウンターウェイトブロック1073、および、第二レンズ群1022は、第一牽引素子1072により、互いからのけん引力を受け、けん引力は、カウンターウェイトブロック1073と第二レンズ群1022自身の重力に等しいので、第二レンズ群1022は、けん引力と重力の作用下で平衡になって静止し、落下しない。第一コイル1052に継続的に電力を供給する必要がないので、電力消耗が大幅に減少する。
【0034】
第一カウンターウェイトブロック1073と第二レンズ群1022の質量が等しくない状況下で、第一カウンターウェイトブロック1073の重量が、第二レンズ群1022に対して一定の牽引力を加えることができるので、第一コイル1052の通電に完全に依存して、第二レンズ群1022の重力を平衡させることが不要で、第一コイル1052と第一磁石1051間の小さい電磁力だけで、平衡を補助することができ、第一コイル1052が通電する状況下で、電力消耗が、大幅に減少する。
【0035】
図6は、本発明の第一実施形態によるレンズ装置の第二レンズ群1022の構造を示す図である。図6と併せて参照すると、第一定位素子1071は、ベース101の第三側壁1013と第四側壁1014の一者に近接して設置される。第二レンズ群1022上に、第一接続部1022fを設置する。第一接続部1022fは、導引棒104に適合する開口1022c、あるいは、孔1022d下方に設置され、且つ、第一カウンターウェイトブロック1073と互いに相対する。第二レンズ群1022は、第一接続部1022fにより、第一牽引素子1072上に接続される。しかし、本発明はこの限りではなく、第二レンズ群1022の外周は、直接、第一牽引素子1072に接続することもでき、且つ、同時に、第一接続部1022fを有して、第一磁石1051、あるいは、第一コイル1052を設置する。
【0036】
第一接続部1022fは、第二レンズ群1022の側面から、第一方向Xに沿って延伸し、第二レンズフレーム1022aの側面と一体成型される平板状であり、第一磁石1051、あるいは、第一コイル1052が、第一接続部1022fに固定される。この時、第一接続部1022fは、第二方向Yに垂直である。第一接続部1022f上に、第一磁石1051、あるいは、第一コイル1052と対応する凹槽を設置して、装着を便利にすることも可能である。
【0037】
第一磁石1051と第一コイル1052間の有効相互作用のため、第一接続部1022fは、第三側壁1013と第四側壁1014の一者と近接し、且つ、互いに向き合う。また、第一接続部1022fは、対応する第一カウンターウェイトブロック1073と第三側壁1013、および、第四側壁1014の一者の間にある。
【0038】
選択的に、第一接続部1022fは、第二レンズフレーム1022aの側面に接続される第一部分1022fー1、および、第一部分1022fー1からベース101に延伸する第二部分1022fー2を有する。図面から分かるように、第一部分1022fー1は、第一方向Xと第三方向Zの平面内にある。第二部分1022fー2は、第一方向Xと第二方向Yの平面内にある。
第一磁石1051と第一コイル1052の一者が、第一接続部1022f上に固定され、もう一者が、ベース101に固定され、且つ、互いに相対する。
【0039】
図示される実施形態において、第一接続部1022fの一端は、第二レンズフレーム1022a上に固定される。特に、第一接続部1022fの第一部分1022fー1の一端は、第二レンズフレーム1022a上に固定される。任意で、第一接続部1022fの中間部(一端ではない)が、第二レンズフレーム1022a上に固定される。
【0040】
第三レンズ群1023は、第二レンズ群1022に類似する。図2図5、および、図7を併せて参照すると、ベース101上に、二個の第二定位素子1074を固定し、第二定位素子1074は、第一方向Xに沿って隔てて配列される。第二牽引素子1075の両端は、二個の第二定位素子1074上に繞設され、第二カウンターウェイトブロック1076、および、第三レンズ群1023は、それぞれ、第二牽引素子1075の両側に接続され、且つ、第二カウンターウェイトブロック1076と第三レンズ群1023の質量は等しい。第三レンズ群1023上に、第二接続部1023fを設置する。これらの構造は、上記と同じであり、詳述しない。理解できることは、本実施形態中、第一定位素子1071、および、第二定位素子1074の数量は二個であるが、本発明はそれらに制限されないことであり、必要に応じて、増加が可能である。
【0041】
第一接続部1022fは、第二レンズフレーム1022aと第三側壁1013の相対する側面に設置してもよいし、第二レンズフレーム1022aと第四側壁1014の相対する側面上に設置してもよいし、あるいは、第二レンズフレーム1022aの二個の側面上、且つ、それぞれ、第三側壁1013、および、第四側壁1014に相対して設置されてもよい。第二接続部1023fは、第一接続部1022fに類似する。
【0042】
好ましくは、第二レンズ群1022の第一接続部1022fと第三レンズ群1023の第二接続部1023fが、運動時に相互干渉するのを防止するとともに、体積をできるだけ縮小するため、第二レンズ群1022の第一接続部1022fと、第三側壁1013、および、第四側壁1014の一者は相対し、第三レンズ群1023の第二接続部1023fと、第三側壁1013、および、第四側壁1014のもう一者は相対する。第一カウンターウェイトブロック1073、および、第二カウンターウェイトブロック1076は、それぞれ、ベース101の両側に位置する。
【0043】
本実施形態において、第一カウンターウェイトブロック1073、および、第二カウンターウェイトブロック1076は、金属、たとえば、鉄、銅、アルミニウムなどで形成され、小さい体積で、大きい質量を実現して、第二レンズ群1022、および、第三レンズ群1023の質量を平衡させる。
【0044】
図8は、本発明の第二実施形態によるレンズ装置200の構造を示す図である。図9は、本発明の第二実施形態によるレンズ装置200の分解図である。図10は、本発明の第二実施形態によるレンズ装置200のベース201、および、第二レンズ群2022の構造を示す図である。簡潔にするため、第一実施形態と同じ、あるいは、類似する部分は、説明を省略する。本実施例において、相同、あるいは、類似する素子は、同じ参照符号により示される。
【0045】
レンズ装置200は、第一方向Xに沿って隔てられ、ベース201に固定される二個の定位素子、二個の定位素子上に繞設される牽引素子、および、カウンターウェイトブロックを有し、カウンターウェイトブロックと可動レンズ群の質量は等しい。牽引素子は、可動レンズ群とカウンターウェイトブロックに接続されて、可動レンズ群、および、カウンターウェイトブロックは、それぞれ、牽引素子の両側に位置する。
【0046】
第一定位素子2071は、ベース101の第三側壁2013と第四側壁2014の一者に近接して設置される。第二レンズ群2022は、第一牽引素子2072上に接続される。第一カウンターウェイトブロック2073、および、第二レンズ群2022は、それぞれ、第一牽引素子2072の両側に接続される。
【0047】
第一実施形態と異なるのは、この実施形態中、第一磁石2051、あるいは、第一コイル2052が、第一カウンターウェイトブロック2073上に固定されることである。第一磁石(図示しない。図面の第二磁石2053を参照する)と第一コイル2052の有効相互作用のため、第一カウンターウェイトブロック2073は、第三側壁2013と第四側壁2014の一者(図面中、第四側壁2014)と近接し、且つ、互いに向き合う。また、第一カウンターウェイトブロック2073は、第二レンズ群2022と第三側壁2013、および、第四側壁2014の一者の間に設置される。
【0048】
図示される実施形態において、第一カウンターウェイトブロック2073は、ほぼ平板状であり、中間に、凹槽を設置する。凹槽は、第一方向Xに延伸する。第一磁石が、凹槽中に固定される。但し、第一カウンターウェイトブロック2073は、別の形状でもよく、たとえば、第一実施形態に類似する形状である。理解できることは、第一カウンターウェイトブロック2073が、第一磁石2051で代替されてもよいことである。つまり、第一磁石2051と第二レンズ群2022の質量が等しく、第一磁石2051が、第一カウンターウェイトブロック2073として機能する。言い換えると、カウンターウェイトブロックは、凹槽を設置する必要がないとともに、磁石全体が、カウンターウェイトブロックとなる。
【0049】
運動の安定性を保証するため、ベース201上に、第一方向Xに沿って、第二導引ユニット2077が設置される。図示される実施形態において、第二導引ユニット2077は、第一側壁2011と第二側壁2012間に接続される導引棒である。導引棒2077の数量は、二個であり、且つ、第三側壁2013と第四側壁2014の一者に近接し、第一カウンターウェイトブロック2073の上部分と下部分は、滑動可能で、導引棒2077を貫通する。
【0050】
第二レンズ群2022の両側に、第一カウンターウェイトブロック2073、および、第二導引ユニット2077を設置する状況下で、第二レンズ群2022は、自身の第一導引ユニット204を省略することができるが、本発明はそれらに制限されず、第一カウンターウェイトブロック2073は、第二導引ユニット2077により、第一方向Xの運動を達成し、第二レンズ群2022は、自身の第一導引ユニット204により、第一方向Xの運動を達成することができる。
【0051】
本実施形態において、第一カウンターウェイトブロック2073上に、第一磁石2051、あるいは、第一コイル2052を固定し、大きい質量を有するので、第一カウンターウェイトブロック2073は、金属、プラスチックなどで形成することができる。
【0052】
第一コイル2052が通電するとき、第一磁石2051と相互作用して、第一カウンターウェイトブロック2073が、第一方向Xに沿って運動する。第一カウンターウェイトブロック2073は、第一牽引素子2072により、第二レンズ群2022に接続され、第一カウンターウェイトブロック2073が運動するとき、第二レンズ群2022を駆動して、第一方向Xと反対の方向で運動させる。
第三レンズ群2023と第二レンズ群2022は類似し、よって、説明を省略する。
【0053】
可動レンズ群は、所定の位置まで運動した後、停止し、対応するコイルに供給される電力は切断されて、可動レンズ群の運動に作用する電磁力が消失し、この時、レンズ装置全体が直立状態であっても、カウンターウェイトブロック、および、レンズ群は、牽引素子により、互いからのけん引力を受け、けん引力は、カウンターウェイトブロックと可動レンズ群自身の重力に等しいので、可動レンズ群は、けん引力と重力の作用下で平衡で静止し、落下しない。可動レンズ群に継続的に電力を供給する必要がないので、電力消耗が大幅に減少する。
【0054】
カウンターウェイトブロックと可動レンズ群の質量が等しくなくても、カウンターウェイトブロックの重力は、可動レンズ群に対して、一定の牽引力を加えることができるので、コイルの通電に完全に依存して、レンズ群の重力を平衡させることが不要で、コイルと磁石間の小さい電磁力だけで、平衡を補助することができ、コイルが通電する状況下で、電力消耗が、大幅に減少する。
【0055】
実施例の形式で且つ好ましい実施形態の観点から本発明が説明されているが、本発明が実施形態に限定されると理解されるべきものではない。むしろ、(当業者にとって明らかな)さまざまな改変や類似の構成を包含することが意図されている。したがって、添付されている特許請求の範囲の射程は、すべてのそのようなさまざまな改変および類似の構成を包含する最も広い解釈と一致しているべきである。
【符号の説明】
【0056】
10 レンズ
11 ベース
12 ガイド素子
13 第一レンズ群
14 第二レンズ群
15 第三レンズ群
16 第四レンズ群
18 磁石
100 レンズ
101 ベース
102 レンズモジュール
104 導引棒
200 レンズ装置
201 ベース
204 第一導引ユニット
1011 第一側壁
1012 第二側壁
1013 第三側壁
1014 第四側壁
1021 第一レンズ群
1021a 第一レンズフレーム
1021b 第一レンズ
1022 第二レンズ群
1022a 第二レンズフレーム
1022b 第二レンズ
1022c 開口
1022d 孔
1022e 接続スリーブ
1022f 第一接続部
1022f-1 第一部分
1022f-2 第二部分
1023 第三レンズ群
1023a 第三レンズフレーム
1023b 第三レンズ
1023f 第二接続部
1024 第四レンズ群
1024a 第四レンズフレーム
1024b 第四レンズ
1025 アパーチャー
1051 第一磁石
1052 第一コイル
1053 第二磁石
1054 第二コイル
1071 第一定位素子
1072 第一牽引素子
1073 第一カウンターウェイトブロック
1074 第二定位素子
1075 第二牽引素子
1076 第二カウンターウェイトブロック
2011 第一側壁
2012 第二側壁
2013 第三側壁
2014 第四側壁
2022 第二レンズ群
2023 第三レンズ群
2052 第一コイル
2053 第二磁石
2071 第一定位素子
2072 第一牽引素子
2073 第一カウンターウェイトブロック
2077 第二導引ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10