(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】階段の施工方法、階段の側板、階段の踏み板及び階段
(51)【国際特許分類】
E04F 11/025 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
E04F11/025
(21)【出願番号】P 2022171144
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2022110192の分割
【原出願日】2018-02-28
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000145437
【氏名又は名称】株式会社ウッドワン
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】八木 弘
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082002(JP,A)
【文献】特開2001-098729(JP,A)
【文献】特開平08-177188(JP,A)
【文献】特開平09-144261(JP,A)
【文献】特開2013-155541(JP,A)
【文献】特開2004-225262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0190118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であって、前記蹴込板取付溝の後方に前記蹴込板を後傾姿勢に位置決めする直線部又は突起部を有する作業溝が設けられた階段に使用される階段構成部材において、
前記作業溝が、前記踏み板取付溝に連通するとともに、前記後傾姿勢において前記作業溝内で前記蹴込板の上端部が前記踏み板取付溝の下側縁部から突出した状態となるように形成されていることを特徴とする側板及び蹴込板からなる階段構成部材。
【請求項2】
踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であって、前記蹴込板取付溝の後方に前記蹴込板を後傾姿勢に位置決めする直線部又は突起部を有する作業溝が設けられた階段に使用される階段構成部材において、
前記踏み板取付溝とは別の、一方が前記側板の下側斜辺に、他方が前記作業溝に連通し、前記蹴込板を差し込む差込溝が設けられていることを特徴とする側板からなる階段構成部材。
【請求項3】
踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であって、前記蹴込板取付溝の後方に前記蹴込板を後傾姿勢に位置決めする直線部又は突起部を有する作業溝が設けられた階段に使用される階段構成部材において、
前記作業溝が、
前記踏み板取付溝の後方入口よりも下方の下側斜辺に連通するとともに、前記蹴込板を
前記連通した下側斜辺から挿入できるように設けられていることを特徴とする側板からなる階段構成部材。
【請求項4】
踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であって、前記蹴込板取付溝の後方に前記蹴込板を後傾姿勢に位置決めする直線部又は突起部を有する作業溝が設けられた階段に使用される階段構成部材において、
下面に形成された前記蹴込板の上端部を嵌め込むための挿入溝
自身の後側
縁部に、蹴込板の後面の軌跡に応じた膨出部が設けられていることを特徴とする踏み板からなる階段構成部材。
【請求項5】
踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であって、前記蹴込板取付溝の後方に前記蹴込板を後傾姿勢に位置決めする直線部又は突起部を有する作業溝が設けられた階段に使用される階段構成部材において、
下面に形成された前記蹴込板の上端部を嵌め込むための挿入溝の後方に、前記蹴込板に当接する突起部又は前記蹴込板に当接する突起用部材を挿入する穴が設けられていることを特徴とする踏み板からなる階段構成部材。
【請求項6】
請求項1に記載の側板及び蹴込板、請求項2又は請求項3に記載の側板
及び請求項4又は請求項5に記載の踏み
板の少なくとも1つを構成要素とする階段構成部材。
【請求項7】
請求項
6に記載の階段構成部材を使用した階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段の施工方法、階段の側板、階段の踏み板及び階段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木造住宅等の屋内階段として、
図16に示すような階段が設置されている。
図16に示す階段100は、斜め上方向に延びる平行に配置された一対の側板3,4の間に、水平方向の複数の踏み板1及び垂直方向の複数の蹴込板2が配置されて、複数の段を構成するようになっている。
【0003】
一対の側板3,4にはそれぞれ、踏み板1を嵌装するための踏み板取付溝及び蹴込板2を嵌装するための蹴込板取付溝が形成されており、踏み板1及び蹴込板2を嵌め込むようになっている。側板3,4を屋内の壁面等に固定した後で蹴込板2を嵌め込むには、側板3,4それぞれの蹴込板取付溝及び上側の踏み板1の下面の溝計3方向の溝に同時に嵌め込む必要があり、下方から差し込まなければならない。しかしながら、1段目は床があるので下方は塞がれている。又、2段目では、蹴込板2の高さが邪魔になり、嵌め込むのが困難であった。又、作業者が床面に屈みこんで作業する必要もあり、苦労する。
【0004】
そのため、先に階段全体を組み立ててから所定位置に設置する方法があるが、組み立てた後の階段は重い、大きいという問題があった。また、側板を一か所で壁構造材に留めて、そこを中心に回転するように下端を持ち上げて床面から浮かせ、踏み板及び蹴込板を嵌め込む方法があるが、重さ、歪みの問題や、嵌め込み後の踏み板及び蹴込板が邪魔になって側板を壁構造材に取り付ける釘などが打ちにくいという問題があった。
【0005】
これに対して、特許文献1には、側板の蹴込板取付溝の後方に、後方に向けて斜め下向きに傾斜する作業溝を設け、踏み板の設置後に蹴込板を下から挿入して先端側を上方に持ち上げるように回転させながら側板の蹴込板取付溝まで導くようにした蹴込板取付方法に関する発明が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、側板の蹴込板取付溝の後方を全て切除して蹴込板の挿入を容易にするととのに、踏み板を支えるための支持部材を設けた階段の施工方法に関する発明が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、ひな壇階段の側板(ささら桁)の階段で、最下段の蹴込板を階段の前面から挿入するようにした階段の組付構造に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-299630号公報
【文献】特開2011-236577号公報
【文献】特開2016-37769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された蹴込板取付方法は、上側の踏み板が先に設置された状態で最下段の蹴込板を嵌め込むので、低く狭い位置で、見えない溝に蹴込板の先端を下から手で挿入する必要があり、手が入りにくく作業に手間取るという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載された階段の施工方法は、同様に低く狭く見えにくい位置で作業が必要であると共に、踏み板を支えるための支持部材を別部品として所定位置に取り付けなければならず、作業負担となる。
【0011】
また、特許文献3に記載された階段の組付構造は、蹴込板を前面から挿入するものであって、蹴込板の左右端を側板で押さえることができず、蹴込板の固定の安定性に問題がある。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、蹴込板の嵌め込み作業が容易であり、別部品が不要で、安定性にも優れた階段の施工方法、階段及び階段の側板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の階段の施工方法は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段の施工方法であって、前記蹴込板取付溝の後方に作業溝を設け、前記蹴込板を前記作業溝内で後傾姿勢から垂直姿勢又は前傾姿勢に移動させて前記蹴込板取付溝に嵌装することを特徴とする。
【0014】
また好ましくは、前記作業溝が前記踏み板取付溝に連通するように設けられており、前記蹴込板を前記踏み板取付溝から差し込んで後傾姿勢とすることを特徴とする。
【0015】
また好ましくは、前記側板に前記蹴込板の差込溝が設けられ、前記差込溝は、一方が前記側板の下側斜辺に、他方が前記作業溝に連通し、前記蹴込板を前記差込溝から差し込んで後傾姿勢とすることを特徴とする。
【0016】
また好ましくは、前記作業溝が前記側板の下側斜辺に連通するように設けられており、前記蹴込板を前記側板の下側斜辺から後傾姿勢で前記作業溝に挿入することを特徴とする。
【0017】
また好ましくは、前記踏み板の下面に形成した挿入溝に前記蹴込板の上端部を嵌め込みながら前記踏み板を前方に移動させて、前記蹴込板を後傾姿勢から垂直姿勢又は前傾姿勢に移動させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の階段の側板は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段の側板であって、前記側板にさらに作業溝が設けられ、前記作業溝は前記蹴込板取付溝の後方に連通するとともに、前記踏み板取付溝の下方に連通し、前記蹴込板が、導入口から挿入され、前記作業溝を通って、前記蹴込板取付溝まで挿入可能であることを特徴とする。
【0019】
また好ましくは、前記蹴込板を後傾姿勢に位置決めする位置決め手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
また好ましくは、前記踏み板取付溝が後方に向けて上下方向に拡大していることを特徴とする。
【0021】
また好ましくは、前記踏み板取付溝が前記作業溝よりも深いことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の階段の踏み板は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段の踏み板であって、下面に形成された前記蹴込板の上端部を嵌め込む挿入溝の後方に、前記蹴込板に当接する突起部を設けたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の階段は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、前記踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、前記蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であって、前記側板にさらに作業溝が設けられ、前記作業溝は前記蹴込板取付溝の後方に連通するとともに、前記踏み板取付溝の下方に連通し、前記蹴込板が、導入口から挿入され、前記作業溝を通って、前記蹴込板取付溝まで挿入可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の階段の施工方法は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段の施工方法であるので、踏み板及び蹴込板が各溝により保持され、別部品が不要であり蹴込板の固定の安定性にも優れている。また、蹴込板取付溝の後方に作業溝を設け、蹴込板を作業溝内で後傾姿勢から垂直姿勢又は前傾姿勢に移動させて蹴込板取付溝に嵌装するので、蹴込板を踏み板の無い段階で挿入でき、また、後傾姿勢で作業溝に挿入することができ、側板の下端を床面に置いた状態であっても蹴込板の高さが邪魔にならず、作業が容易である。さらに、蹴込板下端を床に擦らず傷付けない。
【0025】
また、作業溝が踏み板取付溝に連通するように設けられており、蹴込板を踏み板取付溝から差し込んで後傾姿勢とする場合には、蹴込板を踏み板の無い段階で挿入でき、踏み板と同様に水平方向に挿入することができるので、さらに作業が容易である。
【0026】
また、側板に蹴込板の差込溝が設けられ、差込溝は、一方が側板の下側斜辺に、他方が作業溝に連通し、蹴込板を差込溝から差し込んで後傾姿勢とする場合には、蹴込板を下向きに差し込むことができるので、さらに作業が容易である。
【0027】
また、作業溝が側板の下側斜辺に連通するように設けられており、蹴込板を側板の下側斜辺から後傾姿勢で作業溝に挿入する場合には、蹴込板を側板の下側斜辺に沿わせるだけでよいので、さらに作業が容易である。
【0028】
また、踏み板の下面に形成した挿入溝に蹴込板の上端部を嵌め込みながら踏み板を前方に移動させて、蹴込板を後傾姿勢から垂直姿勢に移動させる場合には、踏み板を前方に移動させるだけで、蹴込板を所定の位置まで移動させることができ、さらに作業が容易である。
【0029】
本発明の階段の側板は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段の側板であるので、踏み板及び蹴込板が各溝により保持され、別部品が不要であり蹴込板の固定の安定性にも優れている。また、側板にさらに作業溝が設けられ、作業溝は蹴込板取付溝の後方に連通するとともに、踏み板取付溝の下方に連通し、蹴込板が、導入口から挿入され、前記作業溝を通って、前記蹴込板取付溝まで挿入可能であるので、蹴込板を踏み板の無い段階で挿入できる。また、側板の下端を床面に置いた状態であっても蹴込板の高さが邪魔にならず、作業が容易である。さらに、蹴込板下端を床に擦らず傷付けない。
【0030】
また、蹴込板を後傾姿勢に位置決めする位置決め手段を設けた場合には、踏み板の挿入溝の高さ方向の位置に応じて蹴込板の上端部を位置決めすることで、挿入溝の踏み板の下面に形成した挿入溝に蹴込板の上端部を嵌め込みやすくなるので、さらに作業が容易である。
【0031】
また、踏み板取付溝が後方に向けて上下方向に拡大している場合には、踏み板の角度を上下方向に動かすことで、踏み板の下面に形成した挿入溝に蹴込板の上端部を嵌め込みやすくなるので、さらに作業が容易である。
【0032】
また、踏み板取付溝が作業溝よりも深い場合には、作業溝を設けた前後方向の範囲においても踏み板を支持する踏み板支持部を残すことができるので、踏み板をより安定して支持することができる。
【0033】
また、本発明の階段の踏み板は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段の踏み板であるので、踏み板及び蹴込板が各溝により保持され、別部品が不要であり蹴込板の固定の安定性にも優れている。また、下面に形成された蹴込板の上端部を嵌め込む挿入溝の後方に、蹴込板に当接する突起部を設けたので、蹴込板の上端部を挿入溝に誘導することで、踏み板の下面に形成した挿入溝に蹴込板の上端部を嵌め込みやすくなるので、作業が容易である。
【0034】
また、本発明の階段は、踏み板取付溝及び蹴込板取付溝が形成された平行に配置される一対の側板と、踏み板取付溝に嵌装される踏み板と、蹴込板取付溝に嵌装される蹴込板とからなる階段であるので、踏み板及び蹴込板が各溝により保持され、別部品が不要であり蹴込板の固定の安定性にも優れている。また、側板にさらに作業溝が設けられ、作業溝は蹴込板取付溝の後方に連通するとともに、踏み板取付溝の下方に連通し、蹴込板が、導入口から挿入され、前記作業溝を通って、前記蹴込板取付溝まで挿入可能であるので、蹴込板を踏み板の無い段階で挿入できる。また、側板の下端を床面に置いた状態であっても蹴込板の高さが邪魔にならず、作業が容易である。さらに、蹴込板下端を床に擦らず傷付けない。
【0035】
このように、本発明によれば、蹴込板の嵌め込み作業が容易であり、別部品が不要で、安定性にも優れた階段の施工方法、階段及び階段の側板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施形態1に係る側板を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図3】実施形態1に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図4】実施形態1に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図5】実施形態1に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図6】実施形態1に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図7】踏み板への蹴込板の嵌め込み状態を示す側面図である。
【
図9】実施形態2に係る階段の側板を示す斜視図である。
【
図10】実施形態3に係る階段の側板を示す斜視図である。
【
図11】実施形態4に係る階段の側板を示す斜視図である。
【
図12】実施形態5に係る階段の側板を示す斜視図である。
【
図13】実施形態6に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図14】実施形態7に係る階段の施工方法の説明図である。
【
図15】実施形態8に係る階段の施工方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、
図1乃至
図16を参照して、本発明の実施形態に係る階段の施工方法について説明する。本実施形態に係る階段の施工方法は、
図16に示す階段100を施工するものである。階段100は、斜め上方向に延びる平行に配置された一対の側板3,4の間に、水平方向の複数の踏み板1及び垂直方法の複数の蹴込板2が配置されて、複数の段を構成するようになっている。一対の側板3,4にはそれぞれ、踏み板1を嵌装するための踏み板取付溝及び蹴込板2を嵌装するための蹴込板取付溝が形成されており、踏み板1及び蹴込板2を嵌め込むようになっている。
【0038】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る側板3を示す斜視図である。なお、側板3に対向する側板4も、側板3と同様(対称)の構造となっている。
【0039】
側板3の内側面の1段目には、踏み板1を嵌装するための踏み板取付溝11、蹴込板2を嵌装するための蹴込板取付溝12及び蹴込板取付溝12の後方に設けられた作業溝13が形成されている。
【0040】
踏み板取付溝11は、踏み板1の厚みに応じた前後方向の溝であり、上側縁部が水平方向に形成されるとともに、下側縁部が後方に向けて若干下向きに形成されている、これにより、踏み板取付溝11は、後方に向けて上下方向に拡大している。
【0041】
蹴込板取付溝12は、踏み板取付溝11の先端部よりも少し後方の位置で垂直方向に形成されており、蹴込板2が嵌装されると、蹴込板2の左右の前端部が蹴込板取付溝12の前側縁部に当接するようになっている。
【0042】
作業溝13は、蹴込板取付溝12の後方に設けられた、上側に2つの頂点、下側に1つの頂点を有する略三角形状の切欠部であり、蹴込板取付溝12と同じ深さとなっている。作業溝13の後側斜辺は、円弧部13a及び直線部13bから構成されている。直線部13bは、後述する「位置決め手段」として機能する。作業溝13は、蹴込板取付溝12の後方に連通するとともに、踏み板取付溝11の下方に連通している。
【0043】
踏み板取付溝11の深さは、作業溝13の深さよりも深くなっている。これにより、作業溝13を設けた前後方向の範囲においても、踏み板1を支持する踏み板支持部11aが残されている。
【0044】
なお、蹴込板は、一対の側板3,4間で、踏み板取付溝11,11間、作業溝13,13間、蹴込板取付溝12,12間のいずれにも挿入可能である。
【0045】
側板3の内側面の2段目には、踏み板1を嵌装するための踏み板取付溝21、蹴込板2を嵌装するための蹴込板取付溝22及び蹴込板取付溝22の後方に設けられた作業溝23が形成されている。
【0046】
踏み板取付溝21は、踏み板1の厚みに応じた前後方向の溝であり、上側縁部が水平方向に形成されるとともに、下側縁部が後方に向けて若干下向きに形成されている、これにより、踏み板取付溝21は、後方に向けて上下方向に拡大している。
【0047】
蹴込板取付溝22は、踏み板取付溝21の先端部よりも少し後方の位置で垂直方向に形成されており、蹴込板2が嵌装されると、蹴込板2の左右の前端部が蹴込板取付溝22の前側縁部に当接するようになっている。
【0048】
作業溝23は、蹴込板取付溝22の後方設けられた、上側に2つの頂点、下側に1つの頂点を有する略三角形状の切欠部であり、蹴込板取付溝22と同じ深さとなっている。作業溝23の後側斜辺は、円弧部23aから構成されている。作業溝23は、蹴込板取付溝22の後方に連通するとともに、踏み板取付溝21の下方に連通している。
【0049】
踏み板取付溝21の深さは、作業溝23の深さよりも深くなっている。これにより、作業溝23を設けた前後方向の範囲においても、踏み板1を支持する踏み板支持部21aが残されている。
【0050】
なお、蹴込板は、一対の側板3,4間で、踏み板取付溝21,21間、作業溝23,23間、蹴込板取付溝22,22間のいずれにも挿入可能である。
【0051】
次に、
図2乃至
図6を参照して、実施形態1に係る階段の施工方法(1段目)について説明する。なお、
図2乃至
図6において、点線で表示した部分は説明のための仮想線である。
【0052】
まず、
図2(A)に示すように、1段目の踏み板取付溝11の後方の入口(導入口)から、蹴込板2を水平方向に差し込む。差し込まれた蹴込板2は、
図2(B)に示すように、作業溝13の円弧部13aにガイドされながら前側が下がるように回転する。そして、
図2(C)に示すように、作業溝13の直線部13bに沿った後傾姿勢で位置決めされる。このとき、蹴込板2の上端部は踏み板取付溝11の下側縁部から若干突出した状態になっている。
【0053】
蹴込板2を差し込むための溝、すなわち、踏み板取付溝11、蹴込板取付溝12、及び作業溝13からなる蹴込板左右端の通り道の形状は、
図2(B)に示すように、差し込まれる蹴込板2の上下両端が、踏み板取付溝11の上面と、蹴込板取付溝12の前面とに接触しながら差し込まれた際にでも、蹴込板の裏側面(差し込んでいる途中で下になる面)が、踏み板取付溝11の下面、および作業溝13の上面に閊えない様に形成する。
R(θ)=L×(cosθ+sinθ-sinθ×cosθ)-d
ただし、
L:蹴込板の長さ(高さ)、d:蹴込板の厚み。R、θは曲線の局座標パラメタ。
この様な曲線は、蹴込板の長さ(高さ)と、蹴込板の厚みとにより定まり、それよりも切り欠きが小さいと閊えてしまう。蹴込板の形状の公差や、挿入し易さを考えると、より大きく切り欠くことも可能である。すなわち、この曲線より作業溝側にはみ出ない位置で、1本あるいは複数の、直線あるいは曲線で、切り欠いてもよい。この実施形態の円弧部13a、23aは上記曲線から、蹴込板の公差を考慮した若干大きな切り込みの曲線となっている。
蹴込板2を所定の後傾姿勢に位置決めする直線部13bは、蹴込板の下端が所定の位置に置かれた際にその上端が、設置された踏み板の下面(
図2(C)の踏み板取付溝内の水平な点線)より低くなる(踏み板が挿入できる最低条件)角度で直線を形成する。望ましくは、踏み板取付溝の下面(後方に傾斜した実線)より突出する位置に踏み板が来る角度で直線を形成する。
θ=cos
-1{(L-a)/√(L
2+d
2)}+cos
-1{L/√(L
2+d
2)}
ただし、
L:蹴込板の長さ(高さ)、d:蹴込板の厚み、a:蹴込板が踏み板溝に入る長さ。
θ:蹴込板取付溝(鉛直)から寝かせる角度。
この様な直線による、蹴込板取付溝(鉛直)から寝かせる角度は、蹴込板の長さ(高さ)と、蹴込板の厚みと、蹴込板が踏み板溝に入る長さとにより定まる。この直線も、上記の曲線同様に、必ずしも直線である必要は無く、蹴込板の角度を決めるために2点がこの直線上に有り、直線から作業溝側にはみ出ない形状に変えてあっても良い。
ここで、上記の曲線と直線とは、蹴込板の長さ、厚み、踏み板溝に入る長さによって定まるが、階段1段の高さに関係する蹴込板の長さ(高さ)が変わると、直線の切り欠きが曲線部分を全て切り欠くこととなって、直線部分のみとなる場合もある。
【0054】
次に、
図3(D)に示すように、1段目の踏み板取付溝11の後方から、踏み板1を水平方向に差し込む。ここで、踏み板1の下面には蹴込板2の上端部を嵌め込むための挿入溝1aが、階段の幅方向に沿って形成されている。そして、
図3(E)に示すように、後傾姿勢に位置決めされた蹴込板2の上端部の位置と、踏み板1の挿入溝1aの位置が一致した状態になったら、
図3(F)に示すように、踏み板1の後側を引き下げる。そうすると、蹴込板2の上端部が踏み板1の挿入溝1aに嵌め込まれる。
【0055】
次に、
図4(G)に示すように、蹴込板2の上端部を踏み板1の挿入溝1aに嵌め込んだ状態で、踏み板1を前方に移動させる。このとき、蹴込板2の上端部が挿入溝1aから外れないようにしながら、踏み板1の後側を持ち上げていく(踏み板1の先端が踏み板取付溝11の上側縁部に当たるので自然に持ち上がる。)。蹴込板2は、作業溝13内で後傾姿勢から垂直姿勢に移動する。そして、
図4(H)に示すように、蹴込板2の左右の前端部が蹴込板取付溝12の前側縁部に当接する。
【0056】
最後に、
図4(H)及び
図4(I)に示すように、踏み板1の下面と踏み板取付溝11との隙間に楔9を打ち込んで固定する。
【0057】
なお、
図3(D)~(F)に示す、蹴込板2の上端部を踏み板1の挿入溝1aに嵌め込む工程については、
図5(D´)~(F´)とすることができる。
図5(D´)~(F´)に示す踏み板1の下面には、突起部1bが設けられている。突起部1bは、挿入溝1aの後方に設けられており、後傾姿勢に位置決めされた蹴込板2の上端部の位置と、踏み板1の挿入溝1aの位置が一致した状態において、蹴込板2の後面に当接するようになっている。これにより、蹴込板2の上端部を挿入溝1aに誘導し、さらに蹴込板2を後傾姿勢から垂直姿勢に移動させる間も、抜けにくくすることができる。
【0058】
突起部1bは、踏み板1の幅方向全体に設ける必要はなく、例えば幅方向中央付近に棒状の突起部を設けるだけでもよい。また、突起部1bは、踏み板1と一体的形成してもよいし、踏み板1の下面に突起用部材を挿入する穴を形成しておき、作業現場で適宜突起用部材を挿入してもよい。また使用後の突起用部材を外して、蹴込板2の下部の固定部材として流用することもできる。
【0059】
また、
図3(D)~(F)に示す、蹴込板2の上端部を踏み板1の挿入溝1aに嵌め込む工程については、
図6(J)~(L)とすることができる。まず、
図6(J)に示すように、後傾姿勢に位置決めされた蹴込板2の上端部の位置よりも、踏み板1の挿入溝1aの位置が行き過ぎた状態にする。次に、
図6(K)に示すように、踏み板1の後側を引き下げながら後退させる。そうすると、
図6(L)に示すように、突起部1aが踏み板1の挿入溝1bに嵌め込まれる。
【0060】
図7は、踏み板1への蹴込板2の嵌め込み状態を示す側面図である。
図7に示すように、踏み板1が前方に移動すると、蹴込板2は、後傾姿勢から垂直姿勢に反時計回りに回転しながら上方に導かれて、挿入溝1aに嵌め込まれる。従って、踏み板1の挿入溝1aの後側には、
図7に示すような蹴込板2の後面の軌跡に応じた膨出部1bを設けることが好ましい。あるいは、蹴込板2の上端部には、
図8に示すような面取り部2aを設けることが好ましい。
【0061】
次に、実施形態1に係る階段の施工方法(2段目)について説明する。2段目の場合、1段目と同様に、まず2段目の踏み板取付溝21の後方の入口(導入口)から、蹴込板2を水平方向に差し込む。差し込まれた蹴込板2は、作業溝23の円弧部23aにガイドされながら前側が下がるように回転する。そして、蹴込板2は、作業溝23内で後傾姿勢から垂直姿勢に移動し、蹴込板2の左右の前端部が蹴込板取付溝22の前側縁部に当接する。なお、1段目と異なり、蹴込板取付溝22の下端部は開放されており、蹴込板2は落下するが、蹴込板の高さは高く、その上端が蹴込板取付溝の内部に留まるため、抜けて倒れることはない。
【0062】
次に、踏み板取付溝21の後方から踏み板1を水平方向に差し込んで、先端が当接する位置まで移動させる。そして、蹴込板2を上方に持ち上げて、踏み板1の挿入溝1aに嵌め込んで、蹴込板2の下端部を1段目の踏み板の後端に適宜固定する。
【0063】
最後に、1段目と同様に、踏み板1の下面と踏み板取付溝21との隙間に楔9を打ち込んで固定する。
【0064】
実施形態1に係る階段の施工方法は、踏み板取付溝11,21及び蹴込板取付溝12,22が形成された平行に配置される一対の側板3,4と、踏み板取付溝11,21に嵌装される踏み板1と、蹴込板取付溝12,22に嵌装される蹴込板2とからなる階段の施工方法であるので、踏み板1及び蹴込板2が各溝により保持され、別部品が不要であり蹴込板の固定の安定性にも優れている。また、蹴込板取付溝12,22の後方に作業溝13,23を設け、蹴込板2を作業溝13,23内で後傾姿勢から垂直姿勢に移動させて蹴込板取付溝12,22に嵌装するので、蹴込板2を踏み板の無い段階で挿入でき、また、後傾姿勢で作業溝13,23に挿入することができ、側板3,4の下端を床面に置いた状態であっても蹴込板2の高さが邪魔にならず、作業が容易である。さらに、蹴込板下端を床に擦らず傷付けない。
【0065】
また、踏み板1の下面に形成した挿入溝1aに蹴込板2の上端部を嵌め込みながら踏み板1を前方に移動させて、蹴込板2を後傾姿勢から垂直姿勢に移動させるので、踏み板1を前方に移動させるだけで、蹴込板2を所定の位置まで移動させることができ、さらに作業が容易である。
【0066】
また、挿入溝1aの後方に蹴込板2に当接する突起部1bを設けた場合には、蹴込板2の上端部を挿入溝1aに誘導することで、踏み板1の下面に形成した挿入溝1aに蹴込板2の上端部を嵌め込みやすくなるので、さらに作業が容易である。
【0067】
また、踏み板取付溝11が後方に向けて上下方向に拡大しているので、踏み板1の角度を上下方向に動かすことで、踏み板1の下面に形成した挿入溝1aに蹴込板2の上端部を嵌め込みやすくなるので、さらに作業が容易である。
【0068】
また、蹴込板2を後傾姿勢に位置決めする位置決め手段(直線部13b)を設けたので、踏み板1の挿入溝1aの高さ方向の位置に応じて蹴込板2の上端部を位置決めすることで、踏み板1の下面に形成した挿入溝1aに蹴込板2の上端部を嵌め込みやすくなるので、さらに作業が容易である。
【0069】
また、作業溝13,23が踏み板取付溝11,21に連通するように設けられており、蹴込板2を踏み板取付溝11,21から差し込んで後傾姿勢とするので、蹴込板2を踏み板の無い段階で挿入でき、踏み板1と同様に水平方向に挿入することができるので、さらに作業が容易である。
【0070】
また、踏み板取付溝11,21が作業溝13,23よりも深いので、作業溝13,23を設けた前後方向の範囲においても踏み板1を支持する踏み板支持部11a,21aを残すことができるので、踏み板をより安定して支持することができる。
【0071】
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2に係る側板5を示す斜視図である。実施形態2に係る側板5は、実施形態1に係る側板3とほぼ同様の構成であるが、踏み板支持部を有しない点が異なっている。すなわち、側板5における踏み板取付溝41,51の深さと作業溝43,53深さは同一となっており、作業溝43,53を設けた前後方向の範囲において踏み板1を支持する踏み板支持部は存在しない。
【0072】
実施形態2に係る階段の施工方法は、実施形態1に係る階段の施工方法と同様であり、同様の作用効果を奏するものであるが、踏み板支持部がないため踏み板の安定性については低下する。一方で、蹴込板取付溝42,52の深さが相対的に深くなるので、蹴込板2の固定の安定性は増加する。
【0073】
(実施形態3)
図10は、本発明の実施形態3に係る側板6を示す斜視図である。側板6は、踏み板取付溝61、蹴込板取付溝62及び作業溝63を有している。作業溝63は略扇形形状をしており、後側は後方に向けて下向きとなる円弧部63aとなっている。また、側板6の下側斜辺には差込溝6aが設けられている。差込溝6aは、一方が側板6の下側斜辺に、他方が作業溝63に連通している。
【0074】
実施形態3に係る階段の施工方法は、実施形態1に係る階段の施工方法(1段目)に対して、蹴込板2を差込溝6aの入口(導入口)から差し込んで後傾姿勢とする点が異なっている。蹴込板2を差込溝6aから差し込むと、蹴込板2全体が作業溝63内に収まって後傾姿勢となる。そして、蹴込板2を作業溝63内で、後傾姿勢から垂直姿勢に移動させていき、蹴込板2の上端部が踏み板取付溝11の下側縁部から若干突出した状態になると、いったん停止する。このとき、側板6の内側面に微小な突起を設けるなどして位置決め手段とすることが好ましい。その後は、実施形態1に係る階段の施工方法と同様に、踏み板1を差し込んで、挿入溝1aに蹴込板2の上端部を嵌め込みながら、前方に移動していけばよい。
【0075】
実施形態3に係る階段の施工方法によれば、側板6に蹴込板2の差込溝6aが設けられ、差込溝6aは、一方が側板6の下側斜辺に、他方が作業溝63に連通し、蹴込板2を差込溝6aから差し込んで後傾姿勢とするので、蹴込板2を下向きに差し込むことができるので、さらに作業が容易である。
【0076】
(実施形態4)
図11は、本発明の実施形態4に係る側板106を示す斜視図である。側板106は踏み板取付溝161、蹴込板取付溝162及び作業溝163を有している。作業溝163は略扇形形状をしており、後側は後方に向けて下向きとなる円弧部163aとなっていて、側板106の下側斜辺まで通じている。作業溝163の円弧部163aが側板106の下側斜辺に開口する部分に開口部106a(導入口)があり、実施形態3の挿込溝6aは無い。
【0077】
実施形態4に係る階段の施工方法は、実施形態3に係る階段の施工方法(1段目)に対して、蹴込板2を開口部106aから差し込んで後傾姿勢とする点が異なっている。蹴込板2を開口部106aから差し込み、蹴込板2を扇形に沿って回転させ、突起部164を超えて回転させることで、蹴込板2は突起部164に支えられて後傾姿勢となる。この状態で、蹴込板2の上端部が踏み板取付溝161の下側縁部から若干突出した状態になる様に突起部164を配置している。その後は、実施形態1に係る階段の施工方法と同様に、踏み板1を差し込んで、挿入溝1aに蹴込板2の上端部を嵌め込みながら、前方に移動していけばよい。
【0078】
実施形態4に係る階段の施工方法によれば、側板106に蹴込板2を挿し込む開口部106aが設けられ、蹴込板2を開口部106aから差し込んで回転させて後傾姿勢とするので、蹴込板2を比較的大きな開口から挿入することができるため、作業が容易である。
【0079】
(実施形態5)
図12は、本発明の実施形態5に係る側板7を示す斜視図である。側板7の1段目は実施形態1に係る側板3と同一の構成であるので、説明を省略する。側板7の2段目は、踏み板取付溝81、蹴込板取付溝82及び作業溝83を有している。作業溝83は略扇形形状をしており、後側は後方に向けて下向きとなる円弧部83aとなっている。そして、作業溝83は側板7の下側斜辺に連通している。
【0080】
実施形態5に係る階段の施工方法は、実施形態1に係る階段の施工方法(2段目)に対して、蹴込板2を側板7の下側斜辺から後傾姿勢で作業溝83に挿入する。すなわち、作業溝83が直接下側斜辺に開口している入口(導入口)から挿入する。そして、蹴込板2を作業溝83内で、後傾姿勢から垂直姿勢に移動させていき、蹴込板2の左右の前端部が蹴込板取付溝82の前側縁部に当接する。
【0081】
次に、踏み板取付溝81の後方から踏み板1を水平方向に差し込んで、先端が当接する位置まで移動させる。そして、蹴込板2を上方に持ち上げて、踏み板1の挿入溝1aに嵌め込んで、蹴込板2の下端部を1段目の踏み板の後端に適宜固定する。
【0082】
実施形態5に係る階段の施工方法によれば、作業溝83が側板7の下側斜辺に連通するように設けられており、蹴込板2を側板7の下側斜辺から後傾姿勢で作業溝83に挿入するので、蹴込板2を側板7の下側斜辺に沿わせるだけでよいので、さらに作業が容易である。
【0083】
(実施形態6)
図13は、実施形態6に係る階段の施工方法の説明図である。実施形態6に係る階段の施工方法は、蹴込板2が垂直姿勢ではなく前傾姿勢に設置されるものである。従って実施形態6に係る側板8の蹴込板取付溝92は前傾となるように設けられており、蹴込板2は、作業溝93内で後傾姿勢から前傾姿勢に移動するようになっている。
【0084】
なお、
図13は実施形態1に相当する側板8について蹴込板取付溝92を前傾させたものであるが、蹴込板取付溝を前傾させる点については、本発明の全実施形態において適用可能なものである。
【0085】
(実施形態7)
図14は、実施形態7に係る階段の施工方法の説明図である。
図14(B)は、
図14(A)のa-a拡大断面図である。実施形態7に係る階段の施工方法は、一対の側板3,4のうち側板3だけに作業溝13を設け、側板4には作業溝を設けない構成としたものである。
図14(B)に示すように、実施形態7に係る階段の施工方法においては、蹴込板2を後傾姿勢から前傾姿勢に移動させる工程を側板3の作業溝13のみを用いて行った後、垂直姿勢の蹴込板2を側板4の方に移動させて、側板4の蹴込板取付溝に嵌装するようにしたものである。そのため、側板3の蹴込板取付溝12及び作業溝13の深さを実施形態1のものと比べて2倍としてある。
【0086】
なお、
図14は実施形態1に相当する側板3,4について、片側のみに作業溝13を設けたものであるが、作業溝を片側のみに設ける点については、本発明の全実施形態において適用可能なものである。
【0087】
このように、実施形態7に係る階段の施工方法は、片側だけに作業溝を設ければよいものである。ただし、あまり深く掘ると側板の強度を弱める欠点があるため、蹴込板の幅(階段の横方向)を適宜短くするなどの加工が必要であり、側板に入り込む長さが短くなって、他の実施形態に比べて蹴込板の安定性は劣る。
【0088】
(実施形態8)
図15は、実施形態8に係る階段の施工方法の説明図である。
図15(A)、
図15(B)ともに、2段目の蹴込板を挿入するための、別の掘り込みの例を示している。いずれの側板10にも、既にある1段目の踏み板取付溝の掘り込み部分をその領域に含む、三角形のクロスハッチング部分の全体を掘り込んでいる。1段目の踏み板に釘などで固定する場合、2段目の蹴込板の長さ(上下)は1段目の踏み板の下面までの長さであることが多く、その長さは、床から1段目の踏み板の上端の高さよりも高くなる。その場合、床に閊えて、下側からは入れることが出来ない。そのため、蹴込板が入る高さまで、掘り込みを行う。
図15(A)は、同じ高さで水平に掘り込みを行っている。また、
図15(B)はそれよりも高い、斜め上方から必要な高さまで下がる形状で掘り込みを行っている。
【0089】
このように掘り込んだ側板への蹴込板の施工は、後方から、鉛直あるいは若干斜めにした蹴込板を、横に水平移動あるいは斜め下向きに、上記の掘り込みを経由して移動し、蹴込板取付溝の下で、蹴込板取付溝(鉛直)に合わせた上で、上方に挿入する。これにより、踏み板挿入溝以外に追加して掘り込み加工する面積は、他の実施形態で示した作業溝を掘り込む面積よりも少なくなり、側板の加工時間を短縮して、コストを抑えることが出来る。また、斜めに掘り込んだものは、作業時に上方から下方に向けて蹴込板を移動することが出来るので、作業者が下段の低い位置に両手で蹴込板を持って自然に動かす動作で装着でき、より作業が容易である。さらに、装着途中では、蹴込板の下端を床面に沿わす必要がないので、床面や蹴込板を傷つけることがない。尚、掘り込み位置を上方に上げる事で、床面と蹴込板との距離を取る事も出来る。
【0090】
以上の実施形態で述べたように、本発明における蹴込板は、側板後部に開いている導入口から挿入され、作業溝を通って、蹴込板取付溝まで挿入可能となっている。すなわち、導入口である踏み板取付溝の入口、差込溝の入口、作業溝が直接側板下辺に開口している入口の何れかから挿入され、踏み板取付溝、差込溝などを通って、作業溝を経由して、蹴込板取付溝まで導かれる。
【0091】
このように、本実施形態に係る階段の施工方法は、蹴込板の嵌め込み作業が容易であり、別部品が不要で、安定性にも優れたものである。
【0092】
以上、本発明の実施形態に係る階段の施工方法について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 踏み板
2 蹴込板
3,4,5,6,7,8,10,106 側板
9 楔
11,21,31,41,51,61,71,81,91,161 踏み板取付溝
12,22,32,42,52,62,72,82,92,162 蹴込板取付溝
13,23,33,43,53,63,73,83,93 作業溝
103,104,163 作業溝
100 階段