(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電池管理システム及び電池管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20231206BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231206BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20231206BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231206BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20231206BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231206BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20231206BHJP
G01R 31/396 20190101ALI20231206BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/02 H
H02J7/04 L
H02J7/10 L
H02J7/10 B
H02J7/10 H
H02J7/00 S
H02H7/18
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/367
G01R31/396
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193452
(22)【出願日】2022-12-02
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522466326
【氏名又は名称】亞福儲能股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APh ePower Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】蘇 修賢
(72)【発明者】
【氏名】陳 斌豪
(72)【発明者】
【氏名】江 冠儒
(72)【発明者】
【氏名】▲ライ▼ 奕翔
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109061521(CN,A)
【文献】特開2007-335337(JP,A)
【文献】特開2017-219404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/04
H02J 7/10
H02J 7/00
H02H 7/18
H01M 10/48
G01R 31/367
G01R 31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池管理システムであって、
複数の電池パックの温度パラメータを取得するように構成される温度サンプリング回路と、
前記複数の電池パックにそれぞれ結合され、前記複数の電池パックの複数の開回路電圧パラメータを取得するように構成される複数の電圧測定回路と、
前記複数の電池パックに結合され、前記複数の電池パックの電流パラメータを取得するように構成される電流サンプリング回路と、
前記電圧測定回路、前記電流サンプリング回路、および前記温度サンプリング回路に結合されるマイクロコントローラと、を備え、
前記マイクロコントローラは、前記開回路電圧パラメータおよび前記温度パラメータ
を用いて、
電池パラメータテーブルを検索して前記複数の電池パックの複数の初期充電状態パラメータを取得し、前記初期充電状態パラメータ、前記温度パラメータ、および前記電流パラメータに従って、
クーロンカウント法を介して前記複数の電池パックの複数の現在の電池電力をそれぞれ計算する、電池管理システム。
【請求項2】
前記複数の電池パックは、ハイブリッドパルス電力特性試験を介して、対応する電池等価モデルを事前に構築し、前記電池パラメータテーブルは、異なる温度に対応する複数の電池モデルパラメータを前記電池等価モデルに入力することによって確立される、請求項1に記載の電池管理システム。
【請求項3】
前記温度サンプリング回路が次の時点の別の温度パラメータを取得すると、前記マイクロコントローラは、前記開回路電圧パラメータおよび前記別の温度パラメータに従って前記複数の電池パックの前記初期充電状態パラメータを更新し、更新された前記初期充電状態パラメータに従って前記複数の電池パックの前記現在の電池電力を再計算する、請求項1に記載の電池管理システム。
【請求項4】
前記複数の電池パック及び前記マイクロコントローラに結合される保護回路を、さらに備え、
前記温度パラメータに従って前記複数の電池パックが異常な温度状態にあると前記マイクロコントローラが判断すると、前記マイクロコントローラは前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの充電/放電ループを遮断する、請求項1に記載の電池管理システム。
【請求項5】
前記マイクロコントローラは、前記電流パラメータに従って前記複数の電池パックが過電流状態にあると判断すると、前記マイクロコントローラは、前記電流パラメータに従って前記複数の電池パックが充電動作または放電操作を行っていると判断し、前記マイクロコントローラは、前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの充電ループまたは放電ループを遮断する、請求項4に記載の電池管理システム。
【請求項6】
前記複数の電池パックおよび前記マイクロコントローラにそれぞれ結合された複数の平衡回路を、さらに備え、
前記マイクロコントローラは、前記電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の電圧パラメータを取得し、前記マイクロコントローラは、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つが前記電圧パラメータに従って過電圧状態にあると判断すると、前記マイクロコントローラは、前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの
充電ループを遮断し、前記マイクロコントローラは、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つに対して電池平衡動作を行うように、対応する前記平衡回路のうちの少なくとも1つを動作させる、請求項4に記載の電池管理システム。
【請求項7】
前記マイクロコントローラは、前記電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の電圧パラメータを取得し、前記マイクロコントローラは、前記電圧パラメータに従って前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つが低電圧状態にあると判断すると、前記マイクロコントローラは、前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの
放電ループを遮断し、前記マイクロコントローラは、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つに対応する前記初期充電状態パラメータを補正する、請求項4に記載の電池管理システム。
【請求項8】
前記マイクロコントローラは、前記電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の現在の電圧パラメータを取得し、前記マイクロコントローラは、前記電流サンプリング回路を介して前記複数の電池パックの現在の電流パラメータを取得し、前記マイクロコントローラは、前記現在の電圧パラメータが遮断電圧に達し、前記現在の電流パラメータが遮断電流に達すると判断すると、前記マイクロコントローラは、前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの
充電ループを遮断し、前記複数の電池パックに対応する前記初期充電状態パラメータを補正する、請求項4に記載の電池管理システム。
【請求項9】
前記複数の電池パックは、それぞれ、直列に接続された複数のアルミニウムイオン電池を備える、請求項1に記載の電池管理システム。
【請求項10】
温度サンプリング回路を介して複数の電池パックの温度パラメータを取得するステップと、
前記複数の電池パックに結合される複数の電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の開回路電圧パラメータを取得するステップと、
前記複数の電圧測定回路および前記温度サンプリング回路に結合されるマイクロコントローラを介して
、前記開回路電圧パラメータおよび前記温度パラメータを用いて電池パラメータテーブルを検索して前記複数の電池パックの複数の初期充電状態パラメータを取得するステップと、
前記複数の電池パックおよび前記マイクロコントローラに結合される電流サンプリング回路を介して前記複数の電池パックの電流パラメータを取得するステップと、
前記初期充電状態パラメータ、前記温度パラメータ、および前記電流パラメータに従って、前記マイクロコントローラを介して
クーロンカウント法を介して前記複数の電池パックの複数の現在の電池電力をそれぞれ計算するステップと、を有する、電池管理方法。
【請求項11】
前記複数の電池パックは、ハイブリッドパルス電力特性試験を介して、対応する電池等価モデルを予め構築し、前記電池パラメータテーブルは、異なる温度に対応する複数の電池モデルパラメータを前記電池等価モデルに入力することによって確立される、請求項10に記載の電池管理方法。
【請求項12】
前記温度サンプリング回路が次の時点の別の温度パラメータを得るとき、前記開回路電圧パラメータ及び前記別の温度パラメータに従って前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックの前記初期充電状態パラメータを更新するステップと、
更新された前記初期充電状態パラメータに従って前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックの前記現在の電池電力を再計算するステップと、をさらに有する、請求項10に記載の電池管理方法。
【請求項13】
前記マイクロコントローラが、前記温度パラメータに従って前記複数の電池パックが異常な温度状態にあると判断すると、前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックに結合された保護回路を作動させ、前記
複数の電池パックの充電/放電ループを遮断するステップを、さらに有する、請求項10に記載の電池管理方法。
【請求項14】
前記マイクロコントローラが、前記電流パラメータに従って前記複数の電池パックが過電流状態にあると判断した場合、前記電流パラメータに従って前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックが充電動作を行っているか、または、放電動作を行っているかを判断し、前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの充電ループまたは放電ループを遮断するステップを、さらに有する、請求項13に記載の電池管理方法。
【請求項15】
前記電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の電圧パラメータを取得するステップと、
前記マイクロコントローラが、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つが前記電圧パラメータに従って過電圧状態にあると判断し、マイクロコントローラを介して前記保護回路を動作させて前記複数の電池パックの
充電ループを遮断するステップと、
前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックに結合された複数の対応する平衡回路のうちの少なくとも1つを動作させて、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つに対して電池平衡動作を実行するステップとを、さらに有する、請求項13に記載の電池管理方法。
【請求項16】
前記電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の電圧パラメータを取得するステップと、
前記マイクロコントローラが、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つが前記電圧パラメータに従って低電圧状態にあると判断すると、前記マイクロコントローラを介して前記保護回路を動作させて、前記複数の電池パックの
放電ループを遮断し、前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つに対応する前記初期充電状態パラメータを補正するステップとを、さらに有する、請求項13に記載の電池管理方法。
【請求項17】
前記電圧測定回路を介して前記複数の電池パックの複数の現在の電圧パラメータを取得するステップと、
前記電流サンプリング回路を介して前記複数の電池パックの現在の電流パラメータを取得するステップと、
前記マイクロコントローラが、前記現在の電圧パラメータが遮断電圧に達し、前記現在の電流パラメータが遮断電流に達すると判断すると、前記マイクロコントローラを介して前記保護回路を動作させ、前記複数の電池パックの
充電ループを遮断するステップと、
前記マイクロコントローラを介して前記複数の電池パックに対応する前記初期充電状態パラメータを補正するステップと、を、さらに有する、請求項13に記載の電池管理方法。
【請求項18】
前記マイクロコントローラが、所定の時間の間、前記複数の電池パックがスタティックなままであると判断すると、前記マイクロコントローラを介して、前記複数の電池パックに対応する前記初期充電状態パラメータを補正するステップを、さらに有し、前記所定の時間は12時間である、請求項10に記載の電池管理方法。
【請求項19】
前記複数の電池パックは、それぞれ、直列に接続された複数のアルミニウムリチウムイオン電池
を備える、請求項10に記載の電池管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池管理技術に関し、特に電池管理システム及び電池管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー開発の動向に伴い、蓄電池は多様な分野の適用要件に広く適用されており、蓄電池の使用をいかに効果的に管理・保護するかは、今日の重要な研究開発の焦点の一つである。しかしながら、従来の電池管理方法は、ほとんどが単一電池のみに対して電力管理及び保護を行うか、又は直列に接続された若しくは並列に接続された特定の電池のみを使用して電池を監視するので、一般的な高電圧電池パックの電池応用分野に対する効果的な電池管理及び保護を行うことができない。
【0003】
この点に関し、高電圧電池パックが負荷によって要求される定格電圧を満たすことを可能にするために、電池パックの端子電圧を増加させるために、高電圧電池パックが直列に接続されるために複数の電池が必要とされる。とはいえ、内部抵抗によって電池間にわずかな差があるため、各電池の端子電圧は全く同じではなく、各電池の容量や内部抵抗が異なる場合がある。このように、充放電期間中の電池パックの電荷移動の過程において、電池パック内のある電池の端子電圧がしきい値電圧を上回るか、または下回る可能性があるが、従来の電池管理システムは、各電池の電池状態の瞬時または正確な判断に基づいて、応答を行うことができない。したがって、電池パックの安全性および寿命は、しばしば低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の電池パックの複数の現在の電池電力を正確に推定することができる電池管理システムおよび電池管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電池管理システムは、温度サンプリング回路、複数の電圧測定回路、電流サンプリング回路、およびマイクロコントローラを含む。温度サンプリング回路は、複数の電池パックの温度パラメータを取得するように構成される。電圧測定回路は、電池パックにそれぞれ結合され、電池パックの複数の開回路電圧パラメータを取得するように構成される。電流サンプリング回路は、電池パックに結合され、電池パックの電流パラメータを取得するように構成される。マイクロコントローラは、電圧測定回路、電流サンプリング回路、および温度サンプリング回路に結合されている。マイクロコントローラは、開回路電圧パラメータおよび温度パラメータに従って、電池パックの複数の初期充電状態パラメータを取得し、初期充電状態パラメータ、温度パラメータ、および電流パラメータに従って、電池パックの複数の現在の電池電力をそれぞれ計算する。
【0006】
本発明の電池管理方法は、以下のステップを含む。温度サンプリング回路を介して複数の電池パックの温度パラメータを取得するステップと、複数の電圧測定回路を介して前記電池パックの複数の開回路電圧パラメータを取得するステップと、前記開回路電圧パラメータおよび前記温度パラメータに従ってマイクロコントローラを介して前記電池パックの複数の初期充電状態パラメータを取得するステップと、電流サンプリング回路を介して前記電池パックの電流パラメータを取得するステップと、前記初期充電状態パラメータ、前記温度パラメータ、および前記電流パラメータに従って、前記マイクロコントローラを介して前記電池パックの複数の現在の電池電力をそれぞれ計算するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記に基づいて、本開示の電池管理システム及び電池管理方法は、電池温度が変化するとき、現在の電池温度における電池パックのそれぞれの初期充電状態を正確に推定することができるので、電池パックの現在の電池電力を正確に計算することができる。さらに、電池管理システムおよび開示の電池管理方法は、電池パックの現在の電池電力を更新し続けて、関連する電池保護機構を効果的に達成することができる。
【0008】
前述のことをより理解しやすくするために、図面を伴ったいくつかの実施形態を以下のように詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による電池管理システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電池管理方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による充電状態と開回路電圧の関係のグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態による充電状態と直流インピーダンスの関係のグラフである。
【
図5】本発明の別の実施形態による電池管理システムの概略図である。
【
図6A】本発明の別の実施形態による電池管理方法のフローチャートである。
【
図6B】本発明の別の実施形態による電池管理方法のフローチャートである。
【
図6C】本発明の別の実施形態による電池管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の内容をさらに理解するために、以下の実施形態は、本発明が実現され得ることに基づく例として使用される。加えて、可能な限り、図面および実施形態において同一の参照番号を有する要素/構成要素/ステップは、同一または類似の構成要素を表す。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による電池管理システムの概略図である。
図1を参照すれば、電池管理システム100は、マイクロコントローラ110と、複数の電圧測定回路120_1~120_Nと、温度サンプリング回路130と、電流サンプリング回路140と、保護回路150とを含む。ここで、Nは正の整数である。電池管理システム100は、電池モジュール10内に配置されてもよく、電池パック200_1~200_Nの電池状態を管理するために、複数の電池パック200_1~200_Nに結合されてもよい(または、電気的に接続されてもよい)。実施形態では、マイクロコントローラ110は、電圧測定回路120_1~120_N、温度サンプリング回路130、電流サンプリング回路140、および保護回路150に結合される。電池管理システム100は、電力線103を介して負荷正電極101と電池正電極201との間に電気的に接続され、電力線104を介して負荷負電極102と電池負電極202との間に電気的に接続される。さらに、電池パック200_1~200_Nは、電池正電極201と電池負電極202との間に連結されてもよい。本実施形態において、電池パック200_1~200_Nは、それぞれ直列接続された複数のアルミニウムイオン電池を含んでもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。実施形態において、電池パック200_1~200_Nは、それぞれ、直列に接続された複数のアルミニウムコンデンサンス、またはアルミニウム材料から作られた固体もしくは液体(電解)コンデンサ、電池、もしくはスーパーコンデンサ等の種々のアルミニウムエネルギー蓄積装置を含み得るが、これらに限定されない。本発明の実施形態のそれぞれにおいて提供される電池管理システムおよび電池管理方法は、様々なアルミニウムエネルギー蓄積装置に適用可能であり得る。他の実施形態においても、電池パック200_1~200_Nは、それぞれ、他の材料から作られた蓄電池またはコンデンサであってもよい。
【0012】
本実施形態では、電圧測定回路120_1~120_Nは、それぞれ電池パック200_1~200_Nに1つずつ結合されて、電池パック200_1~200_Nのそれぞれの電圧測定を行う。温度サンプリング回路130は、隣接する電池パック200_1~200_N又は電池コンポーネントの周辺に配置又は接続されて、電池パック200_1~200_Nの現在の電池温度を効果的に感知してもよい。電流サンプリング回路140は電力線104に結合されてもよく、電池パック200_1~200_Nの現在の電流パラメータを測定してもよい。実施形態において、電流サンプリング回路140は、双方向電流測定の機能を有していてもよい。特に、電流サンプリング回路140は、高クーロン効率および瞬時高電力出力などの、アルミニウムリチウムイオン電池(または、固体または液体(電解)コンデンサ、電池、またはアルミニウム材料から作られたスーパーコンデンサなどの他のアルミニウムエネルギー蓄積装置)の特性に適合さ電池ことができる。保護回路150は電力線103に結合されてもよく、マイクロコントローラ110は、保護回路150を制御することによって、電力線103が導電性であるか否かを判断して、電池パック200_1~200_Nが充電または放電されるべきか否かを制御してもよい。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態による電池管理方法のフローチャートである。
図1及び
図2を参照すれば、電池管理システム100は、以下のステップS210~S250を実行して、電池パック200_1~200_Nの電池の電力を効果的に推定してもよい。ステップS210において、マイクロコントローラ110は、温度サンプリング回路130を介して電池パック200_1~200_Nの温度パラメータ(現在の温度)を取得してもよい。ステップS220において、マイクロコントローラ110は、電圧測定回路120_1~120_Nを介して、電池パック200_1~200_Nの複数の開回路電圧(OCV)パラメータ(現在の温度における開回路電圧)を取得し得る。ステップS230において、マイクロコントローラ110は、開回路電圧パラメータおよび温度パラメータに応じて、電池パック200_1~200_Nの複数の初期充電状態(SOC)パラメータを取得してもよい。
【0014】
図3を
図1および
図2と共に参照すると、
図3は、本発明の一実施形態による、初期充電状態および開回路電圧の関係のグラフである。例えば、充電状態と電池パック200_1~200_Nの開回路電圧との関係は、電池温度が異なるために非線形であり得る。電池管理システム100は、
図3に示されるように異なる温度に対応する電池パック200_1~200_Nの電池パラメータ情報(例えば、ルックアップテーブルの形式で電池管理システム100の記憶ユニットに記憶される)を予め組み込んでおくことができる。
図3は、開回路電圧および充電状態に対応する関係曲線301~304を含んでもよく、関係曲線301~304は、例えば、それぞれ、25℃、40℃、60℃、および80℃の温度に対応してもよい。温度サンプリング回路130を介してマイクロコントローラ110によって取得され得る電池パック200_1~200_Nの現在の温度が40℃であり、ある特定の電圧測定回路を介してマイクロコントローラ110によって取得され得る、ある特定の電池パックの開回路電圧が1.8ボルトであると仮定すると、マイクロコントローラ110は、
図3の関係曲線302を介して、ある特定の電池パックの初期充電状態を40%として決定することができる。換言すれば、マイクロコントローラ110は、電池パック200_1~200_Nのそれぞれの開回路電圧に従って、対応する初期充電状態をそれぞれ取得し得る。従って、マイクロコントローラ110は、温度及び温度パラメータによって変化する開回路電圧パラメータに従って、電池パック200_1~200_Nのそれぞれの初期充電状態を正確に推定し得る。
【0015】
ステップS240において、マイクロコントローラ110は、電流サンプリング回路140を介して電池パック200_1~200_Nの電流パラメータを取得してもよい。ステップS250において、マイクロコントローラ110は、初期充電状態パラメータ、温度パラメータ、および電流パラメータに従って、クーロンカウント法を介して電池パック200_1~200_Nの複数の現在の電池電力(すなわち、現在の充電状態)をそれぞれ計算し得る。この点に関して、
図4を全体で参照すると、
図4は、本発明の一実施形態による、充電状態および直流インピーダンスの関係のグラフである。例えば、充電状態と電池パック200_1~200_Nの直流インピーダンスとの関係は、電池温度が異なるために非線形であり得る。電池管理システム100は、
図4に示されるように異なる温度に対応する電池パック200_1~200_Nの電池パラメータ情報(例えば、ルックアップテーブルの形式で電池管理システム100の記憶ユニットに記憶される)を予め組み込んでおくことができる。
図4は、直流インピーダンスおよび充電状態に対応する関係の曲線401~404を含んでもよく、関係曲線401~404は、例えば、それぞれ、25℃、40℃、60℃、および80℃の温度に対応してもよい。温度サンプリング回路130を介してマイクロコントローラ110によって取得され得る電池パック200_1~200_Nの現在の温度が40℃であると仮定すると、マイクロコントローラ110は、特定の電池パックの直流インピーダンスを、現在の温度(40℃)および
図4の関係の曲線402を介して先に取得した特定の電池パックの初期充電状態(40%)に従って、0.0115オームとして決定することができる。換言すれば、マイクロコントローラ110は、電池パック200_1~200_Nのそれぞれの初期充電状態に応じて、対応する直流インピーダンスをそれぞれ取得し得る。したがって、実施形態における電池管理システム100は、温度および直流インピーダンスによって変化する初期充電状態パラメータに従って、電池パック200_1~200_Nのそれぞれの現在の電池電力(すなわち、現在の充電状態)を正確に推定し得る。
【0016】
さらに具体的には、マイクロコントローラ110が温度サンプリング回路130を通じて次の時点の別の温度パラメータを得て、別の温度パラメータが前の時点の温度パラメータと異なる場合、マイクロコントローラ110は、また、別の温度パラメータおよび別の温度パラメータに対応する別の複数の開回路電圧パラメータに応じて、電池パック200_1~200_Nの初期充電状態パラメータを更新することができる。また、マイクロコントローラ110は、更新された初期充電状態パラメータに応じて、電池パック200_1から200_Nの現在の電池電力を再計算してもよい。したがって、実施形態における電池管理システム100は、電池パック200_1~200_Nのそれぞれの現在の電池電力を正確に推定し続けるように、時間の経過に伴って温度が変化するにつれて、初期充電状態パラメータを瞬時に改訂することができる。
【0017】
本実施形態における電池パック200_1~200_Nは、パルス放電内部抵抗、パルス充電内部抵抗、及び所定の放電深度(DOD)の下での電池全内部抵抗のような電池放電パラメータを、異なる温度条件下でのハイブリッドパルス電力特性試験(HPPC)を介したオームの法則の計算を通じて、前もって得てもよく、また、実験データに適合させるために最小二乗法を利用してもよいことは、注目に値する。次に、HPPCの各段の曲線あてはめパラメータを曲線あてはめアルゴリズムに供給することにより、オームの内部抵抗、分極抵抗コンデンサ、開回路電圧のような種々の電池性能データパラメータを得ることができる。この点に関し、異なる温度でのアルミニウムイオン電池(又は、固体又は液体(電解)コンデンサ、電池、又はアルミニウム材料から作られたスーパーコンデンサのような他のアルミニウムエネルギー蓄積装置)に適用可能な一組の数学的状態予測モデルを実施形態において構成することができ、電池の充電状態は、電池の充電状態の変化する状況を観察するためのパラメータ結果を推定するための行列推定方法を利用することによって正確に予測することができる。
【0018】
また、具体的には、本実施形態における蓄電池の充電状態を、例えば、開回路電圧法やクーロン計数法に基づいて推定してもよく、これに応じて充電状態の予測や補正が行われることになる。この点に関し、電池の充電状態を推定するプロセスにおいて、充電状態モデル予測行列は、実施形態において電池の充電状態を推定するように構成されてもよい。さらに、電池電圧、電流、および温度を監視することにより、異なる放電温度、電流、および電圧において電池に応じて、充電状態が推定される。充電状態の状態マトリクスは、予測および補正のための可変状態因子として、電池の充電状態および電池の電位差を取り得、充電状態因子は、電池の非線形システムの離散性および線形化パラメータによって得られてもよい。したがって、行列推定方法の推定処理を用いて、HPPCによって生成された関連電池データによって構成された電池等価モデルは、実施形態において電池の充電状態を推定するように構成されてもよい。
【0019】
さらに、異なる温度の電池特性によって電池等価モデルを確立することができる。この電池等価モデルは、例えば2位相RC等価回路モデルであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態における電池等価モデルの確立は、電気化学的腐食偏光及び電解質濃度偏光の影響を更に考慮に入れることができることに留意するに値する。
【0020】
図5は、本発明の別の実施形態による電池管理システムの概略図である。
図5を参照すれば、電池管理システム500は、マイクロコントローラ510と、複数の電圧測定回路520_1~520_Nと、温度サンプリング回路530と、電流サンプリング回路540と、保護回路550と、複数の平衡回路560_1~560_Nと、電圧変換器570とを含む。電池管理システム500は、電池モジュール50内に配置されてもよく、複数の電池パック600_1~600_Nに結合されて(電気的に接続されて)、電池パック600_1~600_Nの電池状態を管理してもよい。本実施形態では、マイクロコントローラ510は、電圧測定回路520_1~520_N、温度サンプリング回路530、感知抵抗器541、保護回路550、平衡回路560_1~560_N、および電圧変換器570に結合される。電池管理システム500は、電力線503によって負荷正電極501と電池正電極601との間に電気的に接続され、電力線504によって負荷負電極502と電池負電極602との間に電気的に接続される。さらに、電池パック600_1~600_Nは、電池正電極601と電池負電極602との間に連結されてもよい。実施形態において、電池パック600_1~600_Nは、それぞれ、直列に接続された複数の電池C1_1~CN_Mを含んでもよく、ここで、NおよびMは、正の整数であり、電池C1_1~CN_Mは、それぞれ、単一電池である。
【0021】
本実施形態において、電池管理システム500のマイクロコントローラ510は、電圧測定回路520_1~520_N、ならびに、負荷正電極501および負荷負電極502に結合される負荷装置との通信を達成するために、シリアル周辺インタフェース(SPI)を採用し得る。また、電池管理システム500のマイクロコントローラ510は、ユニバーサル非同期受信機/発信器(UART)を介して外部コンピュータ機器に接続され、外部コンピュータ機器がマイクロコントローラ510にファームウェアを記録することを可能にする。また、外部コンピュータ機器は、UARTを介して瞬時の電池電力情報をヒューマンマシンインタフェースに出力して、電池情報の表示及び/又は記録機能を達成することができる。それにもかかわらず、本発明の電池管理システム500によって採用され得る通信インターフェースは、上記に限定されない。別の実施形態において、例えば、電池管理システム500の内部ユニット間の接続インタフェースまたは外向き接続インタフェースを実現するために、インター集積回路(I2C)、コントローラ領域ネットワーク(CAN)、または他の種類の通信インタフェースが採用されてもよい。
【0022】
本実施形態では、電圧測定回路520_1~520_Nは、それぞれ、電池パック600_1~600_Nに1つずつ接続される。電圧測定回路520_1~520_Nは、それぞれアナのそれぞれのログ・フロントエンド(AFE)単位であってもよい。電圧測定回路520_1~520_Nは、それぞれ、電池モニタ及び信号取込部を備えていてもよい。電圧測定回路520_1~520_Nのそれぞれの信号取込部は、電池パック600_1~600_Nの複数の電圧信号を瞬時に取込んでもよく、電圧信号の電圧パラメータを電池モニタを介してモニタして、電池パック600_1~600_Nが過電圧イベントを発生したのか、低電圧イベントを発生したのかをそれぞれ判断してもよい。電圧測定回路520_1~520_Nは、例えば、直列に接続する12個の単電池(すなわちM=12)をそれぞれ検出するとしてもよい。さらに、電圧測定回路520_1~520_Nは、マイクロトランスによって互いに絶縁されてもよく、デイジーチェーンによって互いに接続されてもよい。この点に関し、電圧測定回路520_1~520_Nによって積み重ね得る回路の数は、例えば、10(すなわち、N=10)であってもよい。言い換えると、枠組みの下で管理される電池の最大数は、直列の120ユニットに達する可能性があり、電池端末の電圧測定機能のための、例えば、0~5ボルト(V)の広い範囲が提供される可能性がある。
【0023】
本実施形態において、電圧測定回路520_1~520_Nは、それぞれ、SPIモジュールおよび絶縁型(iso) SPIモジュールを含んでもよい。電圧測定回路520_1~520_Nは、個々のSPIモジュールを通じてマイクロコントローラ510にそれぞれ接続されてもよく、電圧測定回路520_1~520_Nは、さらに、同期制御機能(電池平衡制御等)を達成するために、個々の絶縁型(iso) SPIモジュールを通じて互いにそれぞれ接続されてもよい。本実施形態において、電圧測定回路520_1~520_Nは、それぞれ、関連する電圧感知結果または関連する制御コマンドを記憶するように構成されたランダムアクセスメモリ・レジスタ(RAMレジスタ)をさらに含んでもよい。本実施形態では、平衡回路560_1~560_Nは、それぞれ、電池パック600_1~600_Nに1つずつ結合される。マイクロコントローラ510は、電池平衡制御モジュールを含んでもよく、電圧測定回路520_1~520_Nによって提供された電池パック600_1~600_Nの電圧測定結果を受信して、平衡回路560_1~560_Nが電池パック600_1~600_Nの電池電力の平衡をとるように構成されたか否かを判断してもよい。
【0024】
本実施形態において、電流サンプリング回路540は、感知抵抗器541及びサンプリング回路542を含むことができる。感知抵抗器541は、電力線504に直列に結合され得、サンプリング回路542が、感知抵抗器541上の電圧変化をサンプリングすることを通じて電力線504を流れる電流のパラメータを計算することを可能にする。しかし、別の実施形態では、電流サンプリング回路540はホール素子によって実現することもできる。本実施形態において、マイクロコントローラ510は、システムオンチップ(SOC)カウンタを含んでもよく、電池パック600_1~600_Nの電池電力を計算するために、サンプリング回路542によって提供される電池パック600_1~600_Nの電流測定結果を受信してもよい。
【0025】
本実施形態において、保護回路550は、スイッチングトランジスタ551及び552、並びにダイオード553及び554を含むことができる。スイッチングトランジスタ551及び552は、それぞれp型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とすることができるが、本発明はこれに限定されない。スイッチングトランジスタ551の第1端子は、電池正電極601とダイオード553の負極に結合され、スイッチングトランジスタ551の第2端子は、スイッチングトランジスタ552の第1端子、ダイオード553の正極、およびダイオード554の正極に結合される。スイッチングトランジスタ552の第1端子は、ダイオード553の正極とダイオード554の正極とに結合され、スイッチングトランジスタ552の第2端子は、負荷の正極501とダイオード554の負極とに結合される。
【0026】
本実施形態では、電池パック600_1~600_Nが通常状態にあるとき、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ551およびスイッチングトランジスタ552が伝導状態になるように制御して、スイッチングトランジスタ551およびスイッチングトランジスタ552が放電ループおよび/または充電ループを形成することを可能にする。このようにして、電池正電極601が電池パック600_1~600_Nから受ける放電電流を、スイッチングトランジスタ551およびスイッチングトランジスタ552を介して負荷正電極501に供給することができ、すなわち、電池パック600_1~600_Nを負荷装置に放電させることができる。負荷正電極501は、スイッチングトランジスタ551およびスイッチングトランジスタ552を介して電池正電極601に充電電流を提供し得る。すなわち、負荷装置を電池パック600_1~600_Nに充電させることができる。
【0027】
本実施形態では、電池パック600_1~600_Nが異常放電によって過放電状態にあるとき、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ551を非伝導状態に制御して放電ループを閉じることができる。この時点で、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ552を制御して伝導状態を維持することができる。このように、電池パック600_1~600_Nは、負荷装置に対して放電されない場合があるが、負荷装置は、電池パック600_1~600_Nを充電することを許可されてもよい。負荷装置から負荷正電極501によって受け取られた充電電流は、電池パック600_1~600_Nを充電するために、スイッチングトランジスタ552およびダイオード553を介して電池正電極601に供給されてもよい。電池電圧が低電圧リセット値に引き上げられるまで、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ551を制御して伝導状態に戻し、電池パック600_1~600_Nを再び負荷装置に放電させることを可能にしてもよい。
【0028】
本実施形態では、電池パック600_1~600_Nが、過充電の発生により過充電状態にある場合、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ552を非伝導状態に制御して、充電ループを閉じることができる。この時点で、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ551を制御して伝導状態を維持することができる。このように、負荷装置は、電池パック600_1~600_Nを充電しないが、電池パック600_1~600_Nを負荷装置ま電可能とすることができる。なお、電池パック600_1~600_Nの放電電流は、電池正電極601、スイッチングトランジスタ551、及び放電用ダイオード554を介して負荷正電極501に供給されてもよい。電池電圧が高電圧リセット値まで低下するまで、マイクロコントローラ510は、スイッチングトランジスタ552を伝導状態に戻すよう制御して、負荷装置が再度電池パック600_1~600_Nを充電することを可能にしてもよい。
【0029】
実施形態では、マイクロコントローラ510は、保護制御回路及びトランジスタドライバを含むことができる。トランジスタドライバは、スイッチングトランジスタ551およびスイッチングトランジスタ552のそれぞれの制御端子に2つの制御信号を出力することができる。この点、保護制御回路は、電圧測定回路520_1~520_N、温度サンプリング回路530、及びサンプリング回路542によってそれぞれ設けられた、電圧測定結果、温度測定結果、及び電池パック600_1~600_Nの電流測定結果に応じて、スイッチングトランジスタ551及びスイッチングトランジスタ552をトランジスタドライバによって動作させてループを伝導又は閉路させるために、異常事象が発生しているか否かを判定してもよい。
【0030】
本実施形態において、電圧変換器570は、直流-直流変換器(DC-DCコンバータ)であって、直流電圧変換機能を提供することができる。電圧変換器570は、電力線503に結合され、電池パック600_1~600_Nによって提供される直流電圧信号を取得することができる。電圧変換器570は、直流電圧信号を、マイクロコントローラ510を駆動することができる出力電圧に変換することができ、出力電圧をマイクロコントローラ510に供給することができる。さらに、別の実施形態では、マイクロコントローラ510は、例えばSPIインタフェースモジュール及びプリチャージモジュールをさらに含んでもよい。マイクロコントローラ510は、SPIインターフェースモジュールを通じて他の機能回路および外部負荷装置に接続することができる。マイクロコントローラ510は、プリチャージモジュールを介して電池パック600_1~600_Nをプリチャージすることができる。
【0031】
図6A、
図6B、および
図6Cは、本発明の別の実施形態による電池管理方法のフローチャートである。
図5、
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照すれば、電池管理システム500は、電池管理及び保護機能を達成するために、以下のステップS601からS643を実行することができる。注目に値するのは、マイクロコントローラ510が、電池の現在の動作状態を示すために複数のフラグを有するデータを記録することができ、現在の電池状態を負荷装置に更新することができることである。負荷装置は、現在の電池状態に従って、電池パック600_1~600_N上で対応する動作を行うように決定してもよく、対応する動作が完了すると、負荷装置(または、マイクロコントローラ510は自動的に更新する)は、データを、マイクロコントローラ510によって記録されたフラグで更新してもよい。
【0032】
ステップS601において、マイクロコントローラ510は、システム設定を負荷関連の制御コマンドおよび保護パラメータに初期化する。ステップS602において、マイクロコントローラ510は、充電初期状態の測定を行い、電池パック600_1~600_Nのそれぞれの開回路電圧パラメータに応じた電池パック600_1~600_Nのそれぞれの初期充電状態パラメータを取得する。ステップS603において、マイクロコントローラ510は、温度サンプリング回路530を介して電池パック600_1~600_Nの温度パラメータを取得してもよい。ステップS604において、マイクロコントローラ510は、電圧測定回路520_1~520_Nを介して電池パック600_1~600_Nの電圧パラメータを取得してもよい。ステップS605において、マイクロコントローラ510は、電流サンプリング回路540を介して電池パック600_1~600_Nの電流パラメータを取得してもよい。ステップS606において、マイクロコントローラ510は、電流サンプリング回路540を介して電力線504上の電流方向を判断して、電池パック600_1~600_Nの現在の動作状態が充電モードであるか、放電モードであるか、またはスタティックモードであるかを判断し得る。ステップS607において、マイクロコントローラ510は、温度パラメータ、電圧パラメータ、および電流パラメータに従って、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を計算してもよい。この点に関し、電池パック600_1~600_Nの本電池電力の計算方法は、
図1~
図4における上述の実施形態の説明を参照することができるので、ここでは何の繰り返しもない。
【0033】
ステップS608において、マイクロコントローラ510は、温度サンプリング回路530を介して異常な温度が発生しているかどうかを判断してもよい。異常な温度が発生した場合、ステップS609において、マイクロコントローラ510は、温度フラグを異常であるとして設定することができる。ステップS610において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて充電/放電ループを遮断することができる。ステップS618において、マイクロコントローラ510は、システムを自動的にチェックするか、又は手段によって電池モジュール50をチェックするようにユーザに思い出させることができる。ステップS611において、マイクロコントローラ510は、負荷装置に現在の電池状態を送信して、負荷装置が現在の電池状態に従って対応する動作を行うことを可能にしてもよい。次に、マイクロコントローラ510は、ステップS603を実行してよく、ステップS603~S607を介して電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してよい。
【0034】
異常な温度が発生しない場合、マイクロコントローラ510は、ステップS612において、電流サンプリング回路540を介して過電流イベントが発生したかどうかを判断することができる。過電流イベントが発生した場合、ステップS613において、マイクロコントローラ510は、電流の方向を判断する。電池パック600_1~600_Nの現在の動作が充電モードにある場合、それから、ステップS614において、マイクロコントローラ510は、異常電流として充電フラグを設定し得る。ステップS615において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて充電ループを遮断することができる。相対的に、電池パック600_1~600_Nの現在の動作が放電モードである場合、それから、ステップS616において、マイクロコントローラ510は、異常電流として放電フラグを設定し得る。ステップS617において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて放電ループを遮断することができる。次に、マイクロコントローラ510は、S618、S611、およびS603~S607を実行して、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0035】
過電流イベントが発生していない場合、マイクロコントローラ510は、ステップS619において、過電圧イベントが発生しているか否かを電圧測定回路520_1~520_Nを介して判定してもよい。現在の電池パック600_1~600_Nのうちの少なくとも1つにおいて過電圧事象が発生した場合、ステップS620において、マイクロコントローラ510は、充電フラグを異常電圧として設定することができる。ステップS621において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて充電ループを遮断することができる。ステップS622において、マイクロコントローラ510は、電池平衡を実行するために、対応する平衡回路560_1~560_Nのうちの少なくとも1つを動作させることができる。次に、コントローラ510は、対応する動作を行うように負荷装置に通知するためにS611、S603~S607を実行してもよく、また、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0036】
過電圧イベントが発生していない場合、マイクロコントローラ510は、ステップS623において、低電圧イベントが発生しているか否かを、電圧測定回路520_1~520_Nを介して判定してもよい。現在の電池パック600_1~600_Nのうちの少なくとも1つにおいて低電圧イベントが発生した場合、ステップS624において、マイクロコントローラ510は、異常電圧として放電フラグを設定してもよい。ステップS625において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて放電ループを遮断することができる。ステップS626において、マイクロコントローラ510は、電池パック600_1~600_Nの過度の放電により初期充電状態パラメータを補正してもよい。次に、コントローラ510は、対応する動作を行うように負荷装置に通知するためにS611、S603~S607を実行してもよく、また、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0037】
低電圧イベントが発生していない場合、ステップS627およびステップS628において、マイクロコントローラ510は、充電が電圧測定回路520_1~520_Nおよび電流サンプリング回路540を介して遮断電圧および/または遮断電流に到達しているかどうかを判断してもよい。充電が遮断電圧及び遮断電流に到達した場合、次いでステップS629において、マイクロコントローラ510は、充電の完了として充電フラグを設定することができる。ステップS630において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて充電ループを遮断することができる。次に、制御部510は、対応する動作を行うように負荷装置に通知するためにS611、S603~S607を実行してもよく、また、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0038】
充電が遮断電圧又は遮断電流に達しない場合、ステップS631において、マイクロコントローラ510は、電池パック600_1~600_Nが所定時間(例えば、12時間)の間、スタティックなままであるか否かを判断し得る。電池パック600_1~600_Nが所定時間の間、スタティックなままである場合、ステップS632において、マイクロコントローラ510は、初期充電状態パラメータを補正してもよい。次に、コントローラ510は、対応する動作を行うように負荷装置に通知するためにS611、S603~S607を実行してもよく、また、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0039】
もし、電池パック600_1~600_Nが前記所定時間の間、スタティックなままでなければ、ステップS633において、マイクロコントローラ510は、電池パック600_1~600_Nの温度が温度サンプリング回路530を介して温度リセット値に達したか否かを判断してもよい。電池パック600_1~600_Nの温度が温度リセット値に達すると、マイクロコントローラ510は、温度フラグを常温として設定してもよい。ステップS635において、マイクロコントローラ510は、現在のフラグが異常であるか否かを判断してもよい。そうである場合、マイクロコントローラ510は、S611、S603~S607を実行して、対応する動作を実行するように負荷装置に通知することができ、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新することができる。電池パック600_1~600_Nの温度が温度リセット値に到達しない場合、マイクロコントローラ510は、S611、S603~S607を実行して、負荷装置に通知し、対応する動作を実行してもよく、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0040】
現在のフラグが異常でない場合、ステップS636において、マイクロコントローラ510は、電池平衡を行うか否かを判断することができる。電池パック600_1~600_Nが電池平衡を実行している場合、ステップS637において、マイクロコントローラ510は、電池パック600_1~600_Nの電圧が電圧測定回路520_1~520_Nを介して高電圧リセット値に達したか否かを判断してもよい。電池パック600_1~600_Nの電圧が高電圧リセット値に達した場合、ステップS638において、マイクロコントローラ510は、充電フラグを通常電圧として設定してもよい。ステップS639において、マイクロコントローラ510は、電池平衡動作を終了してもよい。ステップS643において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて、充電ループをリセットしてもよい(充電を継続してもよい)。次に、マイクロコントローラ510は、対応する動作を行うように負荷装置に通知するためにS611、S603~S607を実行してもよく、また、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力で再帰的に更新してもよい。
【0041】
電池パック600_1~600_Nの電圧が高電圧リセット値に達していない場合、ステップS640において、マイクロコントローラ510は、電池パック600_1~600_Nの電圧が電圧測定回路520_1~520_Nを介して低電圧リセット値に達したか否かを判断してもよい。電池パック600_1~600_Nの電圧が低電圧リセット値に達した場合、ステップS641において、マイクロコントローラ510は、放電フラグを通常電圧として設定してもよい。ステップS642において、マイクロコントローラ510は、保護回路550を動作させて、放電ループをリセットしてもよい(放電を継続してもよい)。電池パック600_1~600_Nの電圧が低電圧リセット値に到達しない場合、マイクロコントローラ510は、S611、S603~S607を実行して、負荷装置に通知し、対応する動作を実行し、電池パック600_1~600_Nの現在の電池電力を再帰的に更新してもよい。
【0042】
以上をまとめると、本発明の電池管理システムおよび電池管理方法は、電池パックの電圧パラメータ、電流パラメータ、および温度パラメータを瞬時に監視して、過電圧、過電流、または過温度に対する保護機構を達成することができる。本発明の電池管理システムおよび電池管理方法は、電池の充電状態に及ぼす温度の影響を考慮することができ、したがって、電池パックの初期充電状態を自動的に更新して、電池パックの現在の電池電力を正確に推定することができる。さらに、本発明の電池管理システムは、多様な分野および多様な蓄電池に適用されるように適合される積み重ね可能なモジュール設計を達成することができ、本発明の電池管理システムは、電池平衡機能をさらに達成することができる。したがって、本発明の電池管理システムおよび電池管理方法は、さらに、蓄電池の寿命を延ばす作用を有することができる。
【0043】
本発明の範囲または精神を逸脱することなく、本発明の実施形態に種々の修正および変形がなされ得ることは、当業者には明らかである。以上を鑑みて、本発明は、それらが以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあることを条件として、修正および変形をカバーすることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の電池管理システムおよび電池管理方法は、電池パックの電池状態を推定するために適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10,50 電池モジュール
100,500 電池管理システム
101,501 負荷正電極
102,502 負荷負電極
103,104、503、504 電力線
110,510 マイクロコントローラ
120_1~120_N、520_1~520_N 電圧測定回路
130, 530 温度サンプリング回路
140, 540 電流サンプリング回路
541 検出抵抗器
542 サンプリング回路
150,550 保護回路
551,552 スイッチングトランジスタ
553,554 ダイオード
560_1~560_N 平衡回路
570 電圧変換器
200_1~200_N、600_1~600_N 電池パック
201,601 電池正電極
202,602 電池負電極
S210~S250 ステップ
S601~S643 ステップ
301~304 関係曲線
401~404 関係曲線
C1_1~CN_M 電池