(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】内視鏡に用いられるための可撓性を有するチューブ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20231206BHJP
A61B 1/31 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61B1/005 511
A61B1/31
(21)【出願番号】P 2022212157
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2022-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514043908
【氏名又は名称】中西 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100143638
【氏名又は名称】長谷部 真久
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】中西 弘幸
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-285004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0058582(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1693677(KR,B1)
【文献】特開2016-140695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡に用いるための可撓性を有する樹脂を含むチューブであって、
前記チューブの先端部には光学系装置が接続されているとともに、
1つの軸心に沿って所定間隔で設けられた複数の第1の筒状部と、
前記複数の第1の筒状部のうちの隣接する第1の筒状部の間に設けられた複数の第2の筒状部と
を含み、
前記複数の第1の筒状部と隣接する前記複数の第2の筒状部とは当接した状態で固定されており、
前記複数の第2の筒状部は、前記複数の第1の筒状部に比べて可撓性が低い節部を構成する、チューブ。
【請求項2】
前記チューブの内部に操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤは、その先端が前記チューブに接続されている、請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
前記複数の第2の筒状部は、前記第1の筒状部よりも厚さが厚い、請求項1に記載のチューブ。
【請求項4】
前記複数の第2の筒状部は、前記複数の第1の筒状部の内径に比べて、内径が小さい受け体を備え、
前記チューブの内部に、前記チューブ内を移動可能な操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤは軸線状に一定間隔で複数の押し片を有し、前記押し片のそれぞれは、前記受け体に対して通過不能な形状を有する、請求項3に記載のチューブ。
【請求項5】
前記チューブは、複数の第1の部品と、前記複数の第1の部品より可撓性が低い複数の第2の部品とを含み、前記複数の第1の部品が前記複数の第1の筒状部をなし、前記複数の第2の部品が前記複数の第2の筒状部をなすように前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品とは接続されている、請求項1に記載のチューブ。
【請求項6】
前記チューブは、
チューブ本体と、
前記チューブ本体の内周側あるいは外周側に取り付けられた複数のチューブ片と
を含み、
前記チューブ本体のうちの前記複数のチューブ片と重なる複数の部分が、前記複数の第2の筒状部を形成し、
前記チューブ本体のうちの前記複数のチューブ片のいずれとも重ならない複数の部分が、前記複数の第1の筒状部を形成している、請求項1に記載のチューブ。
【請求項7】
前記チューブは、大腸用内視鏡に用いられるものであって、直径が約10mm以下の円筒状体である、請求項1に記載のチューブ。
【請求項8】
前記複数の第1の筒状部の長さ(第2の筒状部のうちの隣接する第2の筒状部の間隔)は、約2cm~約50cmである、請求項1に記載のチューブ。
【請求項9】
前記複数の第2の筒状部の長さは約0.2mm~約80mmである、請求項1に記載のチューブ。
【請求項10】
前記チューブは、
チューブ本体と、
前記チューブ本体に設けられた複数の固定永久磁石と
を含み、
前記複数の固定永久磁石は、前記チューブ本体内に移動可能に設けられた可動永久磁石との間に働く磁力により、前記チューブ本体を移動させる移動力を前記チューブ本体に発生させるものであり、
前記チューブ本体と前記複数の固定永久磁石とが重なる部分が、前記複数の第2の筒状部となり、
前記チューブ本体のうちの前記複数の固定永久磁石のいずれとも重ならない複数の部分が、前記複数の第1の筒状部となっている、請求項1に記載のチューブ。
【請求項11】
前記チューブ本体には、前記可動永久磁石に接続された操作ワイヤが前記チューブ本体内で移動可能な状態で設けられている、請求項10に記載のチューブ。
【請求項12】
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、請求項1に記載のチューブ。
【請求項13】
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、請求項4に記載のチューブ。
【請求項14】
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、請求項10に記載のチューブ。
【請求項15】
内視鏡に用いるための可撓性を有する樹脂を含むチューブであって、
前記チューブの先端部には光学系装置が接続されているとともに、
前記チューブの内部に前記チューブ
を前進および/または後進の操作
をするためのワイヤを備え、
前記ワイヤ
は前記チューブに接続されている、チューブ。
【請求項16】
内視鏡に用いるための可撓性を有する樹脂を含むチューブであって、
前記チューブの先端部には光学系装置が接続されているとともに、
前記チューブの内部に前記チューブの操作が可能なワイヤを備えるが、
前記チューブは、前記ワイヤを挿通するためのサブチューブは有さず、
前記ワイヤの先端は前記チューブに接続されている、チューブ。
【請求項17】
前記ワイヤは前記チューブの内壁空間内に備えられる、請求項15
または16に記載のチューブ
【請求項18】
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、請求項15
または16に記載のチューブ。
【請求項19】
前記チューブは、
チューブ本体と、
前記チューブ本体に設けられた複数の固定永久磁石と
を含み、
前記複数の固定永久磁石は、前記チューブ本体内に移動可能に設けられた可動永久磁石との間に働く磁力により、前記チューブ本体を移動させる移動力を前記チューブ本体に発生させるものであり、
前記チューブ本体と前記複数の固定永久磁石とが重なる部分が、複数の第2の筒状部となり、
前記チューブ本体のうちの前記複数の固定永久磁石のいずれとも重ならない複数の部分が、複数の第1の筒状部となっている、請求項15または16に記載のチューブ。
【請求項20】
前記ワイヤは、所定の間隔で配置された複数のワイヤ節部を有し、
前記ワイヤ節部は、前記ワイヤのうちの前記ワイヤ節部以外の部分より可撓性が低い構造となっている、請求項15
または16に記載のチューブ。
【請求項21】
内視鏡に用いるための可撓性を有する樹脂を含むチューブであって、
前記チューブの先端部には光学系装置が接続されているとともに、
1つの軸心に沿って少なくとの1つの第1の筒状部と、
前記少なくとも1つの第1の筒状部に隣接する少なくとも1つの第2の筒状部と
を含み、
前記少なくとも1つの第2の筒状部は、前記少なくとも1つの第1の筒状部に比べて可撓性が低い節部を構成する、チューブ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第1の筒状部は、前記チューブの先端部である、請求項
21に記載のチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に用いられるための可撓性を有するチューブに関し、特に、大腸検査用内視鏡に用いられるチューブの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療器具として生体内の観察、処置などに用いられる内視鏡がある。
【0003】
内視鏡は、通常、屈曲した被検者の臓器(特に大腸)内へ挿入される部材を金属製からなる複数の湾曲駒などを連続して繋げた金属製の棒状の筒状体(以下、「金属製棒状筒状体」という)から構成され、ある程度湾曲できるようにしているが、依然として硬く、かつ径が大きい(太い構造)となっている(例えば、特許文献1の
図4を参照)。
【0004】
その理由は以下のとおりである。
【0005】
例えば、大腸腸管は、屈曲したり蛇行したりしており、内部にはほとんど空気が入っていない状態である。そのため、内視鏡を用いた大腸腸管の観察においては、腸管内腔の視野が確保できず進行方向が判断できないことにより挿入に苦慮することを考慮して、従来、腸管内腔に空気を注入して視野を確保し、内視鏡の金属製棒状筒状体を押しながら腸管内腔に挿入することになる。このとき空気の注入により伸展した腸管の屈曲部における反発力はかなりの強度を有するため、従来の内視鏡の金属製棒状筒状体は、挿入時の抵抗に負けないように硬く、太い構造となっている。
【0006】
ところが、このように硬くて太い構造のため、金属製棒状筒状体で押された腸管の屈曲部は過伸展し、この結果、疼痛が発生するといった課題があり、また、腸管穿孔などの重大な合併症に至る危険性も生じるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであって、内視鏡に用いられる部材として、従来の内視鏡に用いられる金属製棒状筒状体よりも直径が小さく、または柔軟性を有していても、目標の部位まで容易に挿入可能なチューブを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
内視鏡に用いるための可撓性を有するチューブであって、
1つの軸心に沿って所定間隔で設けられた複数の第1の筒状部と、
前記複数の第1の筒状部のうちの隣接する第1の筒状部の間に設けられた複数の第2の筒状部と
を含み、
前記複数の第2の筒状部は、前記複数の第1の筒状部に比べて可撓性が低い節部を構成する、チューブ。
(項目2)
前記チューブの内部に操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤは、その先端が前記チューブの先端部に接続されている、項目1に記載のチューブ。
(項目3)
前記複数の第2の筒状部は、前記第1の筒状部よりも厚さが厚い、項目1に記載のチューブ。
(項目4)
前記複数の第2の筒状部は、前記複数の第1の筒状部の内径に比べて、内径が小さい受け体を備え、
前記チューブの内部に、前記チューブ内を移動可能な操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤは軸線状に一定間隔で複数の押し片を有し、前記押し片のそれぞれは、前記受け体に対して通過不能な形状を有する、項目3に記載のチューブ。
(項目5)
前記チューブは、複数の第1の部品と、前記複数の第1の部品より可撓性が低い複数の第2の部品とを含み、前記複数の第1の部品が前記複数の第1の筒状部をなし、前記複数の第2の部品が前記複数の第2の筒状部をなすように前記複数の第1の部品と前記複数の第2の部品とは接続されている、項目1に記載のチューブ。
(項目6)
前記チューブは、
チューブ本体と、
前記チューブ本体の内周側あるいは外周側に取り付けられた複数のチューブ片と
を含み、
前記チューブ本体のうちの前記複数のチューブ片と重なる複数の部分が、前記複数の第2の筒状部を形成し、
前記チューブ本体のうちの前記複数のチューブ片のいずれとも重ならない複数の部分が、前記複数の第1の筒状部を形成している、項目1に記載のチューブ。
(項目7)
前記チューブは、大腸用内視鏡に用いられるものであって、直径が約10mm以下の円筒状体である、項目1に記載のチューブ。
(項目8)
前記複数の第1の筒状部の長さ(第2の筒状部のうちの隣接する第2の筒状部の間隔)
は、約2cm~約50cmである、項目1に記載のチューブ。
(項目9)
前記複数の第2の筒状部の長さは約0.2mm~約80mmである、項目1に記載のチューブ。
(項目10)
前記チューブは、
チューブ本体と、
前記チューブ本体に設けられた複数の固定永久磁石と
を含み、
前記複数の固定永久磁石は、前記チューブ本体内に移動可能に設けられた可動永久磁石との間に働く磁力により、前記チューブ本体を移動させる移動力を前記チューブ本体に発生させるものであり、
前記チューブ本体と前記複数の固定永久磁石とが重なる部分が、前記複数の第2の筒状部となり、
前記チューブ本体のうちの前記複数の固定永久磁石のいずれとも重ならない複数の部分が、前記複数の第1の筒状部となっている、項目1に記載のチューブ。
(項目11)
前記チューブ本体には、前記可動永久磁石に接続された操作ワイヤが前記チューブ本体内で移動可能な状態で設けられている、項目10に記載のチューブ。
(項目12)
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、項目1に記載のチューブ。
(項目13)
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、項目4に記載のチューブ。
(項目14)
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、項目10に記載のチューブ。
(項目15)
内視鏡に用いるための可撓性を有するチューブであって、
前記チューブの内部に操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤの先端は前記チューブの先端部に接続されている、チューブ。
(項目16)
前記チューブは、先端部に形成された流体の排出口と、前記流体を前記先端部に供給する流路とを有し、前記流路から前記排出口からの前記流体の排出により前記チューブに推進力を発生するように構成されている、項目15に記載のチューブ。
(項目17)
前記チューブは、
チューブ本体と、
前記チューブ本体に設けられた複数の固定永久磁石と
を含み、
前記複数の固定永久磁石は、前記チューブ本体内に移動可能に設けられた可動永久磁石との間に働く磁力により、前記チューブ本体を移動させる移動力を前記チューブ本体に発生させるものであり、
前記チューブ本体と前記複数の固定永久磁石とが重なる部分が、複数の第2の筒状部となり、
前記チューブ本体のうちの前記複数の固定永久磁石のいずれとも重ならない複数の部分が、複数の第1の筒状部となっている、項目15または16に記載のチューブ。
(項目18)
前記操作ワイヤは、所定の間隔で配置された複数のワイヤ節部を有し、
前記ワイヤ節部は、前記操作ワイヤのうちの前記ワイヤ節部以外の部分より可撓性が低い構造となっている、項目15に記載のチューブ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内視鏡に用いられるチューブとして、従来の内視鏡に用いられている金属製棒状筒状体よりも柔軟性を有し、および/または直径が小さくても、目標の部位まで容易に挿入可能なチューブを得ることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1によるチューブ110の外観を示すとともに、その断面構造を具体的に示す図。
【
図2】
図1に示すチューブ110を利用した内視鏡100およびこの内視鏡100を含む内視鏡システム1を概念的に示す図。
【
図3】
図1に示すチューブ110の変形例1によるチューブ1101の外観および断面構造を示す図。
【
図4】
図1に示すチューブ110の変形例2によるチューブ1102の外観および断面構造を示す図。
【
図5】
図1に示すチューブ110の変形例3によるチューブ1103の外観および断面構造を示す図。
【
図6】本発明の実施形態2によるチューブ4101の外観および断面構造を示す図。
【
図7】
図6に示すチューブ4101の変形例1によるチューブ410を概念的に示す図。
【
図8】
図6に示すチューブ4101の変形例2によるチューブ4102を概念的に示す図。
【
図9】
図6に示すチューブ4101の変形例3によるチューブ4103を概念的に示す図。
【
図10】本発明の実施形態3によるチューブ210の構造を示す図。
【
図11】
図10に示すチューブ210に含まれる移動磁力発生部220を構成する種々の磁石の構造を示す図。
【
図12】
図10に示すチューブ210の変形例1によるチューブ2101の構造を示す図。
【
図13】
図10に示すチューブ210の変形例2によるチューブ2102の構造を示す図。
【
図14】本発明の実施形態4によるチューブ310を概念的に示す図。
【
図15】本発明の実施形態5によるチューブ510の外観および断面構造を示す図。
【
図16】本発明の実施形態6によるチューブ610の外観および断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0013】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0014】
本発明は、内視鏡に用いられるチューブとして、従来の金属性棒状筒状体よりも柔軟性を有し、および/または直径が小さくても、目標の部位まで容易に挿入可能なチューブを得ることを課題とし、
内視鏡に用いるための可撓性を有するチューブであって、
1つの軸心に沿って所定間隔で設けられた複数の第1の筒状部と、
複数の第1の筒状部のうちの隣接する第1の筒状部の間に設けられた複数の第2の筒状部と
を含み、
複数の第2の筒状部は、複数の第1の筒状部に比べて可撓性が低い節部を構成する、チューブを提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0015】
従って、本発明のチューブは、複数の第1の筒状部と、これらに比べて可撓性が低い複数の第2の筒状部とを含み、隣接する第1の筒状部の間に第2の筒状部が設けられたものであれば、特に限定されるものではなく、その他の部材を含んでいてもよい。
【0016】
例えば、1つの実施形態において、チューブはその内部に操作ワイヤを備え、操作ワイヤの先端がチューブの先端部に接続されている。この場合、操作ワイヤの操作によりチューブを移動させる駆動力を少なくともチューブ先端に発生させることができ、また、チューブの複数個所に設けられた第2の筒状部によるチューブのたわみ難さが腸管屈曲部での過進展を抑制することになり、その結果、チューブの移動を容易にすることが可能となる。
【0017】
例えば、本発明のチューブは、肉厚の厚い複数の節部を有する一体構造であり、複数の節部が上述した複数の第2の筒状部をなし、チューブのうちの複数の節部以外の複数の部分が上述した複数の第1の筒状部をなすものでもよい。
【0018】
あるいは、本発明のチューブは、複数の第1の部品と、可撓性が複数の第1の部品より低い複数の第2の部品とを接続した構造を有し、複数の第1の部品が上述した複数の第1の筒状部をなし、複数の第2の部品が上述した複数の第2の筒状部をなすものでもよい。
【0019】
あるいは、本発明のチューブは、チューブ本体と、チューブ本体の内周側あるいは外周側に取り付けられた複数のチューブ片(外側チューブ片あるいは内側チューブ片)とを含み、チューブ本体のうちの複数のチューブ片と重なる複数の部分が、上述した複数の第2の筒状部を形成し、チューブ本体のうちの複数のチューブ片のいずれとも重ならない複数の部分が、上述した複数の第1の筒状部を形成するものであってもよい。
【0020】
ここで、チューブは、大腸用内視鏡に用いられるものである場合、直径が約10mm以下、特に、約3mm~約10mmの円筒状体であることが好ましい。なぜなら、チューブの直径を細くすると被検者の負担は軽減するが、操作性が低下し、逆にチューブの直径を太くすると、操作性は高まるが被検者の負担が増大することから、チューブの直径が上記の範囲内であれば、被検者の負担をある程度小さく抑えつつ、操作性を確保できるからである。
【0021】
本発明のチューブは、いずれの実施形態においてもその先端に光学系装置を備えることにより内視鏡を構成するものである。
【0022】
円筒状体とは、楕円筒体であってもよいし、半円筒体など円筒体の一部分から構成されていてもよい。
【0023】
複数の第1の筒状部の素材は可撓性を有する範囲で任意の素材であり得る。樹脂であってもよいし、一部に金属を含む場合であってもよい。
【0024】
複数の第2の筒状部の素材は、第1の筒状部よりも可撓性が低い(硬さが高い)ものであれば任意であり得る。例えば、素材自体が第1の筒状部の素材よりも可撓性が低い(硬さが高い)素材であってもよいし、同じ素材であっても大きさや厚みを変更することで可撓性を低く(硬さを高く)してもよい。
【0025】
例えば、第2の筒状部の厚さを第1の筒状部の厚さよりも厚くして可撓性を低くする場合において、第2の筒状部をチューブの外周側に突出させることで第1の筒状部よりも厚くしてもよいし、第2の筒状部をチューブの内部側に突出させることで第1の筒状部よりも厚くしても良いし、外周側および内部側にそれぞれ突出させることで厚くしてもよい。
【0026】
また、その他の実施形態において、第2の筒状部は、第1の筒状部に比べて、チューブの内部側に突出したそれぞれ受け体を備えていてもよく、さらに、チューブの内部にチューブ内を移動可能な操作ワイヤが設けられ、操作ワイヤは軸線状に一定間隔で複数の押し片を有し、押し片のそれぞれは、受け体に対して通過不能な形状を有し得る。このようにすることで、操作ワイヤをチューブ内で前進および/または後進による操作により複数の押し片が、これに対向する受け体に当接した状態のままチューブを押すことになり、チューブを移動させる駆動力をチューブの複数箇所で均一に発生させることが可能となる。
【0027】
受け体の内径の形状は任意であり得る。例えば、略円形状であってもよいし、略矩形状であってもよい。
【0028】
押し片の形状もまた、受け体の内径部分に対して通過不能であれば任意の形状であり得る。例えば、略円形状であってもよいし、略矩形状であってもよい。
【0029】
例えば、第1の筒状部の肉厚は、約0.1mm~約1.5mmが好ましい。上記範囲の肉厚とすることで、複数の第1の筒状部を含むチューブの柔軟性を確保しやすくなる。
【0030】
また、複数の第2の筒状部のうちの隣接する第2の筒状部の間隔(言い換えると、第1の筒状部の長さ)は、約2cm~約50cm、より好ましくは約3cm~約30cm、さらに好ましくは約4cm~約15cmである。隣接する第2の筒状部の間隔、つまり可撓性の低い部分の間隔を大きくすると、チューブ全体が柔らかくなり、つまり、被検者の負担が軽減する一方で、操作性が低下し、隣接する第2の筒状部の間隔、つまり可撓性の低い部分の間隔を小さくすると、チューブ全体が硬くなって操作性が向上する一方で被検者の負担が増大することから、隣接する第2の筒状部の間隔が上記の範囲内とすることで、被検者の負担を抑えつつ、操作性を確保し目標の部位まで挿入することが可能となる。
【0031】
例えば、第2の筒状部の長さは約0.2mm~約80mmであり、肉厚は約1.5mm~約2.0mmであることが好ましい。上記範囲の長さおよび肉厚とすることにより、複数の第2の筒状部を含むチューブの硬さを確保するのが容易となる。
【0032】
また、チューブの長さは、約100cm~約300cmであることが好ましい。被検者によって大腸の長さは様々であり長くても約250cmであることから、最大約300cmであり得る。チューブを上記範囲よりも長くすると、検査領域が拡大する一方で操作性が低下し、逆にチューブを上記範囲よりも短くすると、操作性は高まるが、検査領域が制限されることから、チューブが大腸用内視鏡に用いられる場合、チューブの長さが上記の範囲内であれば、操作性を確保しつつ、通常の大腸全体の検査が可能となる。
【0033】
さらに、チューブは、チューブを移動させる駆動力として磁力などを発生する駆動力発生部を有するものであることが好ましい。駆動力発生部を有することにより、チューブの直径をより小さくしたり、あるいは隣接する第2の筒状部の間隔をより広げたり、また、チューブをより長くした場合でも、操作性の低下を抑制あるいは回避することが可能となる。チューブにこれを移動させる移動力を発生することで、チューブの操作を補助できるからである。
【0034】
また、チューブを移動させる駆動力を発生する駆動力発生部は、チューブの先端部にのみ設けられてもよいし、チューブの全体に渡って複数設けられてもよい。ここで、チューブに複数の駆動力発生部が設けられる場合、複数の駆動力発生部が所定の間隔を空けてチューブの軸心に沿って繰り返し配置されていてもよいし、間隔を空けずに隣接するように繰り返し配置されていてもよい。
【0035】
ここで、チューブを移動させる駆動力は、上述したように、チューブ内に操作ワイヤを設けて操作ワイヤの操作力でチューブを移動させるものでもよいし、チューブに固定された固定永久磁石と、チューブ内を移動可能に設けられた移動永久磁石との間に働く磁力であってもよいし、チューブから排出される流体の反動による推進力でもよい。また、それらの組み合わせであっても良い。
【0036】
チューブを移動させる駆動力が磁力である場合、チューブには固定永久磁石が取り付けられることとなるので、チューブのうちの固定永久磁石と重なる部分を上述した第2の筒状部(可撓性の低い部分)とすることができる。
【0037】
特に、駆動力発生部がチューブに沿って連続して設けられている場合には、固定永久磁石は一定の間隔を隔てて繰り返し配置されることとなるので、第2の筒状部(可撓性の低い部分)を駆動力発生部の数に相当する個数配置することができる。
【0038】
つまり、この場合、チューブには固定永久磁石が取り付けられることとなるので、チューブのうちの固定永久磁石と重なる部分を上述した第2の筒状部(可撓性の低い部分)とし、チューブのうちの固定永久磁石のいずれとも重ならない部分を上述した第1の筒状部(可撓性の高い部分)とすることができる。
【0039】
この場合、可動永久磁石には、チューブ本体に設けられた操作ワイヤが接続されていることが好ましい。操作ワイヤを押し引きすることで可動永久磁石をチューブ本体内で移動させることが可能となるからである。
【0040】
さらに、操作ワイヤはチューブ内部を通るので、チューブの内壁に操作ワイヤが接触しないようにチューブの内壁から操作ワイヤを浮上させるための機構をチューブおよび操作ワイヤに取り付けてもよい。
【0041】
例えば、チューブの内周面には複数のリング状磁石体をこれらがチューブの軸心方向に配列されるように組み込んでチューブ側浮上用磁石を構成し、操作ワイヤの外周面には複数のリング状磁石体をこれらが操作ワイヤの軸心方向に配列されるように取り付けてワイヤ側浮上用磁石を構成してもよい。この場合、操作ワイヤに取り付けたリング状磁石体がチューブに組み込んだリング状磁石体の内側に配置され、これらの磁石体が対向する面に同じ極性の磁極が現れるようにすることで、操作ワイヤをチューブ内で浮上させることができる。
【0042】
また、チューブを移動させる駆動力をチューブから排出される流体の反動による推進力とする場合、チューブの先端部に流体の排出口が形成され、チューブ内に先端部に流体を供給する流路が形成された簡単な構造をチューブに備えることでチューブの操作を補助できる。
【0043】
また、チューブ内に操作ワイヤが設けられている場合は、必ずしもチューブは、可撓性が低い複数の節部(第2の筒状部)有さなくても良い。
【0044】
なぜなら、ワイヤの性質として細いが、屈曲しにくいという特性を有しており、この性質がチューブにも作用して、仮にチューブの直径が小さいもの、あるいは柔軟性を有するものとの協働で、所望の可撓性を確保しつつも、腸管屈曲部での過進展を抑制し得る硬さを得ることが可能となるためである。
【0045】
なお、操作ワイヤは所定間隔をもって可撓性が低い複数の節部を有することが、より曲がりにくくする効果を奏する上で好ましい。この場合、具体的には、操作ワイヤは、所定の間隔で配置された複数のワイヤ節部を有し、ワイヤ節部は、操作ワイヤのうちのワイヤ節部以外の部分より可撓性が低い構造となっている。
【0046】
上述したように、本発明のチューブは、複数の第1の筒状部と、これらに比べて可撓性が低い複数の第2の筒状部とを含み、隣接する第1の筒状部の間に第2の筒状部が設けられたもの、あるいはその内部に操作ワイヤが設けられ、操作ワイヤがチューブの先端部に接続されているものであれば、特に限定されるものではないが、以下の実施形態およびその変形例では、具体的な構成として以下のものを挙げる。
【0047】
実施形態1(
図1~
図2):可撓性の低い節部(第2の筒状部)を有する一体構造のチューブであって、駆動力発生部を有さないもの。
【0048】
実施形態1の変形例1(
図3):実施形態1のチューブの一体構造を、複数の第1の部品と、これより可撓性が低い複数の第2の部品とを交互に接続した構造に置き換えたもの。
【0049】
実施形態1の変形例2(
図4):実施形態1のチューブの一体構造を、チューブ本体と、チューブ本体の外周側に取り付けられた複数のチューブ片(外側チューブ片)とを含む構造に置き換えたもの。
【0050】
実施形態1の変形例3(
図5):実施形態1のチューブの一体構造を、チューブ本体と、チューブ本体の内周側に取り付けられた複数のチューブ片(内側チューブ片)とを含む構造に置き換えたもの。
【0051】
実施形態2(
図6):実施形態1の節部を有するチューブにおいて、操作ワイヤによる駆動力発生部を操作ワイヤの先端部にのみ設けたもの。
【0052】
実施形態2の変形例1(
図7):実施形態2(
図6)において、操作ワイヤによる駆動力発生部を操作ワイヤの先端部以外にも設けたもの。
【0053】
実施形態2の変形例2(
図8):実施形態2(
図6)において、節を有するチューブの構造に代えて、チューブ内に設けられた操作ワイヤが節部を有する構造を用いたもの。
【0054】
実施形態2の変形例3(
図9):実施形態2の変形例2(
図8)において、節を有する操作ワイヤに代えて、節を有しない均一な構造の操作ワイヤを備えたもの。
【0055】
実施形態3(
図10~
図11):可撓性の低い部分(第2の筒状部)を有するチューブであって、駆動力発生部が先端部にのみ設けられ、この駆動力発生部が、チューブを移動させる駆動力として固定永久磁石と可動永久磁石との間に働く磁力を発生するもの。
【0056】
実施形態3の変形例1(
図12):実施形態3(
図10~
図11)のチューブにおいて、先端部に設けられた駆動力発生部に加えて複数の駆動力発生部がチューブの全体に渡って所定の間隔を空けて繰り返し配置されたもの。
【0057】
実施形態3の変形例2(
図13):実施形態3のチューブにおいて、先端部に設けられた駆動力発生部に加えて複数の駆動力発生部がチューブの全体に渡って間隔を空けずに繰り返し配置し、チューブにおける、それぞれの駆動力発生部を構成する固定永久磁石が配置された部分を第2の筒状部として利用したもの。
【0058】
実施形態4(
図14):可撓性の低い部分(第2の筒状部)を有するチューブであって、駆動力発生部を有し、この駆動力発生部が発生するチューブを移動させる駆動力が、チューブの排出口から排出される流体の反動による推進力であるもの。
【0059】
実施形態5(
図15):実施形態3の変形例2(
図13)と実施形態4(
図14)とを組み合わせたもの(つまり、チューブを移動させる駆動力として磁気によるものと流体によるものとを併用したもの)。
【0060】
実施形態6(
図16):実施形態2の変形例1(
図7)と実施形態4(
図14)とを組み合わせたもの(つまり、チューブを移動させる駆動力として、操作ワイヤにより直接チューブに作用させるものと流体によるものとを併用したもの)。
【0061】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0062】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1によるチューブ110を示す図であり、
図1(a)は、その外観を示し、
図1(b)は、
図1(a)のR1部分の具体的構造を示し、
図1(c)は、
図1(b)のIc-Ic線断面の構造を拡大して示す。
【0063】
本発明の実施形態1によるチューブ110は、内視鏡100に用いるための可撓性を有するチューブである。このチューブ110は、
図1(a)に示すように、1つの軸心Xに沿って所定間隔で設けられた複数の第1の筒状部110aと、複数の第1の筒状部110aのうちの隣接する第1の筒状部の間に設けられた複数の第2の筒状部110bとを含む。ここで、複数の第2の筒状部110bは、複数の第1の筒状部110aに比べて可撓性が低い部分である。
【0064】
具体的には、実施形態1のチューブ110は、
図1(b)および(c)に示すように、1つの軸心に沿って所定の間隔で配置された複数の節部(チューブ節部)111bを含む一体構造を有している。ここで、複数のチューブ節部111bが複数の第2の筒状部110bをなし、チューブのうちの複数のチューブ節部111b以外の複数の部分(チューブ非節部)111aが複数の第1の筒状部110aをなすように、複数のチューブ節部111bはチューブのチューブ非節部111aよりも肉厚が厚い構造となっている。具体的には、チューブ非節部111aの肉厚が約0.1mm~約1.5mmであるのに対して、チューブ節部111bの肉厚は、約1.5mm~約2.0mmである。
【0065】
ここで、チューブ110は、大腸用内視鏡に用いられることを想定したものであり、直径が約10mm以下の円筒状体形状を有しており、1つの実施形態においては、約5mmもしくは約10mmである。チューブ110の直径は、被検者の負担の軽さおよび操作性の観点に基づき約10mm以下の範囲、例えば、約3mm~約10mmで適宜設定される。
【0066】
また、第2の筒状部110bを構成するチューブ節部111bの配置間隔は、約2cm~約50cmである。間隔を狭くすると可撓性が小さくなり、間隔を大きくすると可撓性が大きくなることを考慮すると、配置間隔は好ましくは約3cm~約30cm、さらに好ましくは約4cm~約15cmである。
【0067】
さらに、大腸用内視鏡に用いられる場合を想定すると、大腸という器官の構造から、チューブは、約100cm~約300cmの長さを有することが好ましく、この範囲内とすることでチューブの操作性(すなわち目標の部位まで容易に挿入可能)を損なわずに例えば大腸の略全域の検査をカバー可能となる。
【0068】
さらに、チューブ110は、可撓性を有するものであれば素材は任意であり得る。1つの実施形態において、ビニールなどの樹脂であるが、本発明はこれに限定されない。金属などが含まれていても良い。
【0069】
このようなチューブ110は、光学系装置101とともに内視鏡100として用いられるものであり、以下、チューブ110を含む内視鏡100、およびこの内視鏡100を利用した内視鏡システム1を説明する。なお、上記システムは、実施形態1に限定されず、本明細書に記載の全ての実施形態において適用され得る。
【0070】
図2は、
図1に示すチューブ110を利用した内視鏡100およびこの内視鏡100を含む内視鏡システム1を概念的に示す図である。
【0071】
この内視鏡システム1は、
図2に示すように、撮像装置(図示せず)を含む光学系装置101および光学系装置101に接続されるチューブ110を含む内視鏡100と、内視鏡100を操作するための内視鏡操作装置50とを備えており、内視鏡操作装置50には、チューブ110を格納するチューブ格納部3が設けられている。ここで、チューブ110は
図1に示すものである。
【0072】
この内視鏡操作装置50は、例えば、
図2に示すように、入力部54および表示部55を有するとともに、第1の操作部51および第2の操作部52を有している。この内視鏡操作装置50を構成する装置筐体50aでは、入力部54は、各種の情報を入力するための入力デバイス(キーボードなど)が組み込まれた部分であり、表示部55は、データを表示するモニタが組み込まれた部分である。また、装置筐体50aの第1操作部51には、例えば、チューブ110の推進(前進あるいは後進)を行うための推進レバー51a、チューブ110の先端を方向転換するための方向転換レバー51b、チューブ110に装着された処置用器具(図示せず)の処置用器具操作レバー51cおよび処置用電源操作レバー51dが設けられており、装置筐体50aの第2操作部52には、例えば、内視鏡100のチューブ110あるいは別のチューブを介して管腔L内に空気あるいは水を送るための送気送水スイッチ52aおよび管腔Lからの空気あるいは水の吸引を行うための吸引スイッチ52bが設けられている。
【0073】
このように、本実施形態1のチューブ110では、肉厚の厚い複数の節部111bを有する一体構造としたので、複数の節部111bが上述した複数の第2の筒状部110bをなし、複数のチューブ非節部111aが上述した複数の第1の筒状部110aをなすこととなり、これにより内視鏡用のチューブとして、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれたチューブ110を得ることができる。このようにすることで、従来の金属製棒状筒状体を用いたときのように疼痛や穿孔などの合併症の発生を防ぐことができ、かつ従来の金属製棒状筒状体よりも細く、および/または柔軟性を有していても、操作性良く目標の部位まで挿入することが可能となるという優れた効果を奏する。
【0074】
なお、上述した実施形態1では、チューブ110は、肉厚の厚い複数の節部111bを有する構造としているが、チューブ110において、可撓性の低い部分と可撓性の高い部分とを実現する構造は実施形態1のものに限定されず、以下、可撓性の低い部分と可撓性の高い部分とを含むチューブの具体的構成の他の例を説明する。以下に示す他の例においても実施形態1にて説明した上記効果を同様に奏することが可能である。
【0075】
(実施形態1の変形例1)
図3は、
図1に示すチューブ110の変形例1によるチューブ1101を示す図であり、
図3(a)は、
図1(a)のR1部分に相当する部分を示し、
図3(b)および(c)は、
図3(a)に示す第1の部品1111aおよび第2の部品1111bの寸法を示し、
図3(d)は、
図3(a)のIIId-IIId線断面の構造を拡大して示す。
【0076】
この実施形態1の変形例1によるチューブ1101は、
図3(a)、(d)に示すように、複数の第1の部品1111aと、複数の第1の部品1111aより可撓性が低い複数の第2の部品1111bとを含み、複数の第1の部品1111aと複数の第2の部品1111bとは交互に接続されている。また、このチューブ1101は、光学系装置(図示せず)とともに内視鏡(図示せず)を構成するものである。
【0077】
ここで、第1の部品1111aおよび第2の部品1111bはいずれも円筒形状を有している。第1の部品1111aはビニールあるいはゴムなどの可撓性の高い素材であるが、第2の部品1111bは、第1の部品1111aよりも可撓性の低い素材であれば、ビニールあるいはゴムに限定されず、ステンレスなどの金属でもよい。
【0078】
ここで、第1の部品1111aの直径(外径)D1aは、約10mm以下であり、好ましくは約10mm~約3mmであり、この実施形態においては、約10mmである。また、第1の部品1111aの長さL1aは、約2cm~約50cmであり(
図3(b)参照)、より具体的には、約3cm~約30cmであり、好ましくは、約4cm~約15cmである。
【0079】
また、第2の部品1111bの直径(外径)D1bは、第1の部品1111aと同じ寸法である。また、第2の部品1111bの長さL1bは、約0.2~約80mmであり、1つの実施形態において、約20mmである(
図3(c)参照)。
【0080】
このようなチューブ1101においても、複数の第1の部品1111aが、可撓性の高い複数の第1の筒状部1101aをなし、複数の第2の部品1111bが可撓性の低い複数の第2の筒状部1101bをなすことで、内視鏡用のチューブとして、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれたものが得られる。
【0081】
(実施形態1の変形例2)
図4は、
図1に示すチューブ110の変形例2によるチューブ1102を示す図であり、
図4(a)は、
図1(a)のR1部分に相当する部分を示し、
図4(b)および(c)は、
図4(a)に示すチューブ本体1112aおよびチューブ片1112bの寸法を示し、
図4(d)は、
図4(a)のIVd-IVd線断面の構造を拡大して示す。
【0082】
この実施形態1の変形例2によるチューブ1102は、
図4(a)、(d)に示すように、1つの軸心X12を軸心とするチューブ本体1112aと、チューブ本体1112aの外周側に取り付けられた複数のチューブ片(外側チューブ片)1112bとを含む。ここで、チューブ本体1112aのうちの複数の外側チューブ片1112bと重なる複数の部分が、可撓性の低い複数の第2の筒状部1102bを形成し、チューブ本体1112aのうちの複数の外側チューブ片1112bのいずれとも重ならない複数の部分が、可撓性の高い複数の第1の筒状部1102aを形成している。また、このチューブ1102は、光学系装置(図示せず)とともに内視鏡(図示せず)を構成するものである。
【0083】
ここで、チューブ本体1112aの直径(外形)D2aは、約10mm以下(より具体的には約3mm~約10mm)である。また、チューブ本体1112aの長さL2aは、約100cm~約300cmである(
図4(b)参照)。
【0084】
また、外側チューブ片1112bの内径D2bは、チューブ本体1112aの外形と同じであり、また、外側チューブ片1112bの長さL2bは、約0.2mm~約80mmであり、1つの実施形態において、約20mmである(
図4(c)参照)。
【0085】
このようなチューブ1102においても、チューブ本体1112aのうちの複数の外側チューブ片1112bと重なる複数の部分が、可撓性の低い複数の第2の筒状部1102bとなり、チューブ本体1112aのうちの複数の外側チューブ片1112bのいずれとも重ならない複数の部分が、可撓性の高い複数の第1の筒状部1102aとなる。
【0086】
第1の筒状部1102aの長さは、約2cm~約50cmであり、より具体的には、約3cm~約30cmであり、好ましくは、約4cm~約15cmである。
【0087】
その結果、チューブ本体1112aに外側チューブ片1112bを装着したチューブ1102も、内視鏡用のチューブとして、局所的には剛性が高いが全体として柔らかものとなる。
【0088】
(実施形態1の変形例3)
図5は、
図1に示すチューブ110の変形例3によるチューブ1103を示す図であり、
図5(a)は、
図1(a)のR1部分に相当する部分を示し、
図5(b)および(c)は、
図5(a)に示すチューブ本体1113aおよびチューブ片1113bの寸法を示し、
図5(d)は、
図5(a)のVd-Vd線断面の構造を拡大して示す。
【0089】
この実施形態1の変形例3によるチューブ1103は、
図5(a)、(d)に示すように、1つの軸心X13を軸心とするチューブ本体1113aと、チューブ本体1113aの内周側に取り付けられた複数のチューブ片(内側チューブ片)1113bとを含む。ここで、チューブ本体1113aのうちの複数の内側チューブ片1113bと重なる複数の部分が、可撓性の低い複数の第2の筒状部1103bを形成し、チューブ本体1113aのうちの複数の内側チューブ片1113bのいずれとも重ならない複数の部分が、可撓性の高い複数の第1の筒状部1103aを形成している。また、このチューブ1103は、光学系装置(図示せず)とともに内視鏡(図示せず)を構成するものである。
【0090】
ここで、チューブ本体1113aは、変形例2のチューブ本体1112aと同一のものであり、その直径D3aおよび長さL3aは、チューブ本体1112aの直径D2aおよび長さL2aと等しい。
【0091】
また、内側チューブ片1113bの外径D3bは、約3mm~約10mmである。また、内側チューブ片1113bの長さは、約0.2mm~約80mmであり、1つの実施形態において、約20mmである(
図4(c)参照)。
【0092】
このようなチューブ1103においても、チューブ本体1113aのうちの複数の内側チューブ片1113bと重なる複数の部分が、可撓性の低い複数の第2の筒状部1103bとなり、チューブ本体1113aのうちの複数のチューブ片1113bのいずれとも重ならない複数の部分が、可撓性の高い複数の第1の筒状部1103aとなる。
【0093】
第1の筒状部1103aの長さは、約2cm~約50cmであり、より具体的には、約3cm~約30cmであり、好ましくは、約4cm~約15cmである。
【0094】
その結果、チューブ1103も、内視鏡用のチューブとして、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれたものとなる。
【0095】
なお、実施形態1およびその変形例1~3で説明したチューブ110およびチューブ1101~1103は、内視鏡100(つまり、チューブ110の先端部)を被検者の管腔(例えば、大腸)内で前進させるのに、操作者がチューブ110の基端部を操作した操作力を、チューブを介して先端部に伝えて先端部を管腔内で移動させるタイプのものであるが、本発明のチューブは、チューブを移動させる駆動力を発生する駆動力発生部を少なくとも先端部に設けたものでもよく、以下、このような駆動力発生部を備えたチューブを実施形態2として説明する。
【0096】
(実施形態2)
図6は、実施形態2のチューブ4101を概念的に示す図であり、
図6(a)はその外観を示し、
図6(b)は、
図6(a)のXIIb-XIIb線断面の構造を示す。
【0097】
この実施形態2のチューブ4101は、実施形態1のチューブと同様に節部を有するチューブの内部に操作ワイヤ430を設け、操作ワイヤ430の先端部を、チューブ4101の先端部である、先端開口を塞ぐ蓋体4111に接続したものであり、これによりチューブ4101の先端にのみ、操作ワイヤ430でチューブ4101の内面を押したり引いたりして、チューブ4101を移動させる駆動力を発生する駆動力発生部420aが形成されている。また、このチューブ4101は、光学系装置101とともに内視鏡400aを構成するものである。
【0098】
この実施形態2のチューブ4101は、具体的には、可撓性の高い第1の部品4111aと可撓性の低い第2の部品4111bとを接続してなる構造となっており、第2の部品4111bがチューブ4101の節部を形成している。
【0099】
このような構成のチューブ4101では、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれた構造とすることで、被検者の負担を軽減しつつ操作性を確保でき、さらには操作ワイヤ430の操作により、チューブ4101を移動させる駆動力をチューブ4101の先端部420aに発生させることができ、被検者の管腔内でのチューブ4101の移動をより確実に、またより滑らかに行うことができる。
【0100】
なお、上記実施形態2では、チューブ4101の先端部にのみチューブを移動させる駆動力を発生させているが、チューブ4101を移動させる駆動力はチューブ4101の全体に渡って均等に発生させてもよく、このような構成のチューブ410を実施形態2の変形例1として説明する。
【0101】
(実施形態2の変形例1)
図7は、本発明の実施形態2の変形例1によるチューブ410を概念的に示す図であり、
図7(a)はその外観を示し、
図7(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれチューブ内の蓋体(先端受け体)4111、第1の部品4111a、第2の部品(受け体)4111b、および押し片440を示し、
図7(f)は、
図7(a)のXIf-XIf線断面の構造を示し、
図7(g)は、押し片440が受け体4111bを前進方向に押す状態を示し、
図7(h)は、押し片440が受け体4111bを後進方向に押す状態を示す。
【0102】
この実施形態2の変形例1のチューブ410は、実施形態2によるチューブ4101、すなわち、複数の第1の部品4111aとこれより可撓性が低い複数の第2の部品4111bとを接続した構造のチューブ4101(
図6参照)において、チューブ4101を移動させる駆動力を、チューブに設けられている第2の部品(受け体)4111bを操作ワイヤ430に固定された押し片440で押すことで発生させる駆動力発生部420を複数備えたものである。
【0103】
なお、この実施形態2の変形例1では、第1の部品4111aには、実施形態1の変形例1の第1の部品1111aと同一のものを用いているが、第2の部品4111bには、これが駆動力発生部420を形成する関係から、押し片440が第2の部品4111bに当接して通過不能となるように、実施形態1の変形例1の第2の部品1111bよりも内径が小さいものを用いている。また、このチューブ410は、光学系装置101とともに内視鏡400を構成するものである。
【0104】
具体的には、この実施形態2の変形例1によるチューブ410は、実施形態1の変形例1のチューブ1101と同様に、複数の第1の部品4111aと、複数の第1の部品4111aより可撓性が低い複数の第2の部品4111bとを含み、複数の第1の部品4111aと複数の第2の部品4111bとは交互に接続した構造となっており(
図7(a)、(f))、チューブ410の先端は蓋体(先端側受け体)4111で塞がれている。ここで、蓋部4111は
図7(b)に示すように円盤形状を有し、第1の部品4111aおよび第2の部品(受け体)4111bは、
図7(c)、(d)に示すようにいずれも円筒形状を有し、第2の部品4111bの肉厚は第1の部品4111aよりも厚くなっている。従って、第1の部品4111aは、チューブ410における可撓性の高い第1の筒状部410aを形成し、第2の部品4111bは、チューブ410における可撓性が低い第2の筒状部410bを形成している。
【0105】
また、この実施形態2の変形例1のチューブ410は、操作ワイヤ430によりチューブ410の内面を押したり引いたりすることで、チューブ410を移動させる駆動力を発生させる駆動力発生部420を複数有しており、以下この駆動力発生部420を説明する。
【0106】
チューブ410の内部には、
図7(f)に示すように、操作ワイヤ430がチューブ410に対して移動可能に設けられており、この操作ワイヤ430には、隣接する第2の部品4111bの間に位置して第2の部品4111bの端面に当接可能となるように複数の押し片440が所定の間隔で取り付けられている。
【0107】
ここで、押し片440は、第2の部品4111bよりも外径の小さい円盤形状を有しており、その中央には操作ワイヤ430を通して固定するためのワイヤ固定孔440hが形成されている。また、第2の部品4111bの内径は、押し片440の外形より小さく、第2の部品4111bは、押し片440が通過不能なものであり、押し片440を受ける受け部となっている。
【0108】
このように、操作ワイヤ430に固定された押し片440とこれに隣接する第2の部品4111bとは、チューブ410を移動させる駆動力を発生する駆動力発生部420を形成している。
【0109】
従って、操作ワイヤ430がチューブ410に対して押し込む方向に操作されたとき、
図7(g)に示すように、操作ワイヤ430に固定された押し片440は、第2の部品4111bの下面(チューブ410の基端側面)に当接してチューブ410を前進させる駆動力を発生する。逆に、操作ワイヤ430がチューブ410に対して引き抜く方向に操作されたとき、
図7(h)に示すように、操作ワイヤ430に固定された押し片440は、第2の部品4111bの上面(チューブ410の先端側面)に当接し、チューブ410を後進させる駆動力を発生する。
【0110】
なお、このチューブ410の操作ワイヤ430は、弾力および/または伸縮性を有する材料(例えば、バネ素材、樹脂やゴムなど)から構成されているのが好ましい。上述の構成からなるチューブとすることで大腸などの形状に沿って、より容易に変形することが可能となる。
【0111】
このようなチューブ410では、第1の部品4111aと第2の部品4111bとを交互に接続することで、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれた構造を実現し、これにより、被検者の負担を軽減しつつ操作性を確保でき、さらには、チューブ410の全体に渡って複数の駆動力発生部420を設けたことで、操作ワイヤ420の操作により、チューブ410を移動させる駆動力をチューブ410の全体に渡ってほぼ均等に発生させることが可能となり、被検者の管腔内でのチューブ410の移動をより確実にかつより滑らかに行うことができる。
【0112】
なお、上述した実施形態1~2とその変形例では、チューブを可撓性の高い部分と可撓性の低い部分とを有する構造としたものを示したが、チューブ内に設けられる操作ワイヤを、可撓性の高い部分と可撓性の低い部分とを有する構造としたものでも、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれたチューブを実現することが可能であり、以下このような構成のチューブを実施形態2の変形例2として説明する。
【0113】
(実施形態2の変形例2)
図8は、
図6に示すチューブ4101の変形例2によるチューブ4102を概念的に示す図であり、
図8(a)はその外観を示し、
図8(b)は、
図8(a)のXIIIb-XIIIb線断面の構造を示す。
【0114】
この実施形態2の変形例2のチューブ4102では、その内部に設けられた操作ワイヤ430bは、所定の間隔で可撓性の低い節部(ワイヤ節部)432を有しており、ワイヤ節部432は、操作ワイヤ430bにおけるワイヤ節部以外の部分(ワイヤ非節部)431とは材質あるいは構造が異なる。
【0115】
例えば、ワイヤ節部432は、
図8(a)および(b)に示すようにワイヤ非節部431に比べて太くしてもよいし、あるいは、ワイヤ節部432を構成する素材を、ワイヤ非節部431を構成する素材に比べて硬いものとしてもよい。
【0116】
また、この実施形態2の変形例2においても、操作ワイヤ430bの先端部は、実施形態2の変形例1と同様に、チューブ4102の先端部の内面に接続されている。
【0117】
なお、このチューブ4102は、光学系装置101とともに内視鏡400bを構成するものである。
【0118】
このような構成のチューブ4102では、チューブ4102内に設けられる操作ワイヤ430bを他の部分よりも可撓性の低い節部を有する構造としたことで、この操作ワイヤ430bを、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれた構造とすることができ、この特性がチューブ4102に反映される。その結果、被検者の負担を軽減しつつ操作性を確保できる。
【0119】
さらに、このチューブ4102では、操作ワイヤ430bの先端がチューブ4102の先端部内面に接続されているので、この操作ワイヤ430bの操作により、チューブ4102を移動させる駆動力をチューブ4102の先端部に発生させることができ、被検者の管腔内でのチューブ4102の移動をより確実にかつより滑らかに行うことができる。
【0120】
なお、実施形態2の変形例2では、チューブ4102ではなく、チューブ4102に設けられる操作ワイヤ430aを可撓性の低い部分(ワイヤ節部)432を有する構造として、チューブ4102を局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれた構造としたが、チューブ内に操作ワイヤが設けられている場合は、必ずしもチューブあるいは操作ワイヤは、可撓性が低い複数の節部(第2の筒状部)を有さなくてもよい。
【0121】
(実施形態2の変形例3)
図9は、
図7に示すチューブ410の変形例3によるチューブ4103を概念的に示す図であり、
図9(a)はその外観を示し、
図9(b)は、
図9(a)のXIVb-XIVb線断面の構造を示す。
【0122】
この実施形態2の変形例3のチューブ4103は、その内部に操作ワイヤ430cが設けられ、操作ワイヤ430cの先端部がチューブ4103の先端部の内面に接続されたものである。
【0123】
なお、このチューブ4103は、光学系装置101とともに内視鏡400cを構成するものである。
【0124】
このような構成の実施形態2の変形例3のチューブ4103においても、内部に設けられた操作ワイヤ430cの先端がチューブ4103の先端部の内面に接続されているので、操作ワイヤ430cの押し引きにより、チューブ4103を移動させる駆動力を発生することができる。
【0125】
また、ワイヤは、細柔いが、屈曲しにくいという特性を有しており、この性質がチューブにも作用して、仮にチューブの直径が小さくても、あるいはチューブが柔軟性を有していても、チューブとの協働で、所望の可撓性を確保しつつも、腸管屈曲部での過進展を抑制し得る硬さを得ることが可能となる。
【0126】
なお、チューブを移動させる駆動力を発生する構成は、操作ワイヤにより直接チューブの内壁面に作用させる操作力を、チューブを移動させる駆動力とするものに限定されず、チューブを移動させる駆動力が磁力によるものあるいは流体の噴射によるものでもよく、このように、チューブを移動させる駆動力を磁力により発生するものを実施形態3として説明し、チューブを移動させる駆動力を流体の噴射により発生するものを実施形態4として以下に具体的に説明する。
【0127】
(実施形態3)
図10は、本発明の実施形態3によるチューブ210の構造を示す図であり、
図10(a)は、その外観を示し、
図10(b)は、
図10(a)のVIb-VIb線断面の構造を示し、
図10(c)は、
図10(b)のR2部分を拡大して示す。なお、
図10(b)では、光学系装置101は外観を示している。
【0128】
この実施形態3のチューブ210は、実施形態1の変形例2によるチューブ1102、すなわち、チューブ本体1112aの外周側にチューブ片(外側チューブ片)1112bを装着したものにおいて、チューブ210を移動させる磁力を発生する移動磁力発生部220と、移動磁力発生部220を操作する操作ワイヤ230と、操作ワイヤ230をチューブ210内で磁力により浮上させるワイヤ浮上機構とを備えたものである。
【0129】
従って、このチューブ210におけるチューブ本体211aに複数の外側チューブ片211bを所定間隔で取り付けた構造は、実施形態1の変形例2のチューブ1102におけるチューブ本体1112aに外側チューブ片1112bを取り付けた構造と同一である。
【0130】
つまり、このチューブ210では、チューブ本体211aのうちの外側チューブ片211bと重なる部分が可撓性の低い第2の筒状部210bを形成しており、チューブ本体211aのうちの外側チューブ片211bと重ならない部分が、可撓性の高い第1の筒状部210aを形成している。そこで、以下には、移動磁力発生部220、操作ワイヤ230、およびワイヤ浮上機構を説明する。
【0131】
なお、
図10に示す内視鏡200は、このようなチューブ210を光学系装置101とともに備えたものである。
【0132】
(移動磁力発生部220)
移動磁力発生部220は、
図10(a)~
図10(c)に示すように、チューブ210の先端部に組み込まれており、固定永久磁石10と可動永久磁石20とを含む。この固定永久磁石10は、先端側磁石11と基端側磁石12とを含み、先端側磁石11と基端側磁石12とが可動永久磁石20を挟むようにチューブ210の軸心に沿って所定間隔を空けて配置され、先端側磁石11と可動永久磁石20との間、および基端側磁石12と可動永久磁石20との間には斥力が働くように構成されている。この移動磁力発生部220の構成は、チューブ210の先端側から基端側にかけて複数箇所配置されてもよく、その場合の詳細は、実施形態2の変形例1および2で後述する。
【0133】
さらに、
図10(a)~
図10(c)に示すように、操作ワイヤ230の先端部は、操作ワイヤ230の基端側での操作により可動永久磁石20がチューブ210内で移動可能となるように可動永久磁石20に接続されている。
【0134】
図10(c)に示すように、可動永久磁石20は、チューブ210の先端部に組み込まれた対向する一対の磁石、つまり、先端側磁石11と基端側磁石12との間で移動可能に配置され、可動永久磁石20と先端側磁石11との間、および可動永久磁石20と基端側磁石12との間には、いずれも斥力が働くようにこれらの磁石の磁極が設定されているので、可動永久磁石20を操作ワイヤ230により先端側磁石11に近づけたりあるいは基端側磁石12に近づけたりすることで、チューブ110を移動させる駆動力(磁力)をチューブ210の先端部に発生させることができる。
【0135】
図11は、
図10に示すチューブ210で用いられる種々の磁石の構造を示す図であり、
図11(a)、
図11(b)、および
図11(c)はそれぞれ、移動磁力発生部220を構成する先端側磁石11、可動永久磁石20、および基端側磁石12を示し、
図11(d)は、操作ワイヤ230をチューブ210内で浮上させるチューブ浮上機構を示し、
図11(e)は、チューブ浮上機構に含まれるワイヤ側浮上用磁石30を構成するリング状磁石体31を示し、
図11(f)は、チューブ浮上機構に含まれるチューブ側浮上用磁石40を構成するリング状磁石体41を示す。
【0136】
(可動永久磁石20)
可動永久磁石20は、
図11(b)に示すように、円柱形状を有し、先端側磁石11に対向する上半部がS極部(上半S極部)20sとなり、基端側磁石12に対向する下半部がN極部(下半N極部)20nとなるように構成されており、例えば、ネオジム磁石が用いられるが、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石など他の種類の磁石を用いることができる。
【0137】
(固定永久磁石10)
次に、固定永久磁石10として用いられている対向する一対の永久磁石、つまり、先端側磁石11および基端側磁石12を説明する。
【0138】
(先端側磁石11)
先端側磁石11は、
図11(a)に示すように、チューブ110内を移動する可動永久磁石20に比べると直径が大きい円盤形状を有し、可動永久磁石20に対向する下半部がS極部(下半S極部)11sとなり、その反対側の部分がN極部(上半N極部)11nとなるように構成されている。具体的には先端側磁石11には、可動永久磁石20と同様の磁石を用いることができる。
【0139】
(基端側磁石12)
基端側磁石12は、
図11(c)に示すように、先端側磁石11と同様に、チューブ110内を移動する可動永久磁石20に比べると直径が大きな円盤形状を有し、外形形状が実質的に先端側磁石11と同等であり、可動永久磁石20に対向する上半部がN極部(上半N極部)12nとなり、その反対側の部分がS極部(下半S極部)12sとなるように構成されている。また、この基端側磁石12は、可動永久磁石20につながる操作ワイヤ230を貫通させる必要があり、その中心部には、貫通孔12hが形成されている。具体的には基端側磁石12にも先端側磁石11と同様の磁石を用いることができる。
【0140】
そして、このチューブ210では、チューブ210の内周面から操作ワイヤ230および可動永久磁石20を浮上させるための磁石(チューブ側浮上用磁石40およびワイヤ側浮上用磁石30)が、チューブ210および操作ワイヤ230に設けられている。その理由は、可動永久磁石20および操作ワイヤ230をチューブ210の内周面に接触しないようにすることで、接触による動摩擦抵抗を実質的になくして可動永久磁石20および操作ワイヤ230をチューブ110内で滑らかに移動させるためである。
【0141】
以下、チューブ側浮上磁石40、およびワイヤ側浮上磁石30として具体的な構成を説明する。
【0142】
このチューブ210は、
図10(c)に示すように、チューブ本体(例えば、ビニール製筒状部材)211aの周壁の内周面に複数のリング状磁石体41(
図11(d)参照)を所定のピッチで組み込んだものであり、チューブ210は蛇腹構造となっている。チューブ110がこのような蛇腹構造を有することで、浮上用磁石を組み込んだチューブ210を曲がりやすい構造としている。このチューブ210では、複数のリング状磁石体41によりチューブ側浮上磁石40が形成されている。
【0143】
ここで、リング状磁石体41は、
図11(f)に示すように、扇型の磁石片41aを複数個(ここでは4個)組み合わせて構成されており、内周側部位41sがS極となり、外周側部位41nがN極となるように構成されている。従って、複数のリング状磁石体41からなるチューブ側浮上磁石40の内周面はS極となり、チューブ210の内周面もS極となる。
【0144】
このチューブ210では、操作ワイヤ230は、
図11(d)に示すように、ワイヤ本体230aの外周面に複数のリング状磁石体31を所定のピッチで取り付けたものであり、操作ワイヤ230も蛇腹構造となっている。ここで、ワイヤ本体230aは、金属製ワイヤ部材である。操作ワイヤ230がこのような蛇腹構造を有することで、ワイヤ側浮上用磁石30を組み込んだ操作ワイヤ230を曲がりやすい構造としている。
【0145】
ここで、リング状磁石体31は、
図11(e)に示すように、扇形磁石片31aを複数個(ここでは4個)組み合わせて構成されており、外周側部位31sがS極となり、内周側部位31nがN極となるように構成されている。従って、複数のリング状磁石体31からなるワイヤ側浮上磁石30の外周面はS極となり、操作ワイヤ130の外周面もS極となる。
【0146】
図11(d)に示すように、チューブ210の内周面には、内周面がS極となるように複数のリング状板磁石体41が組み込まれており、また、チューブ210内に配置される操作ワイヤ230の外周面には、外周面がS極となるように複数のリング板磁石体31が組み込まれていることで、チューブ210内では、操作ワイヤ230は磁力による反発によりチューブ210の内壁から浮上することとなる。
【0147】
また、可動永久磁石20はこのような操作ワイヤ230の先端に固定されているので、チューブ210内では、可動永久磁石20もチューブ210の内周面から浮上した状態に保持される。
【0148】
なお、この実施形態3のチューブ210では、チューブ側浮上磁石40は、可動永久磁石20が移動する領域、つまり、移動磁力発生部220内では設けていない。これは、可動永久磁石20の下半N極部20nが、チューブ側浮上用磁石40を形成するリング状磁石体41のうちのS極となる内周側部位41sと引き合う状況を回避するためである。ただし、可動永久磁石20の下半N極部20nとリング状磁石体41のうちのS極となる内周側部位41sとの間の引力よりも、可動永久磁石20の上半N極部20sとリング状磁石体41のうちのS極となる内周側部位41sとの間の斥力の方が十分大きい場合は、チューブ側浮上磁石40が、可動永久磁石20が移動する領域、つまり、移動磁力発生部220内で設けてあってもよい。
【0149】
このような構成のチューブ210では、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれた構造とすることで、被検者の負担を軽減しつつ操作性を確保でき、さらには、チューブの先端部にこれを前進させる駆動力を発生することで、チューブの先端部が柔らかい部分を含んでいても操作性よくチューブを管腔内に挿入することが可能となる。
【0150】
なお、上述した移動磁石発生部220は、チューブ210の先端部だけでなく、チューブ210の先端側から基端側にかけて複数箇所配置されてもよく、このような構成のチューブを、実施形態2の変形例1および2として後述する。
【0151】
(実施形態3の変形例1)
図12は、
図10に示すチューブ210の変形例1によるチューブ2101の構造を示す図であり、
図12(a)は、チューブ2101の全体を模式的に示し、
図12(b)は、
図12(a)のR3部分の縦断面の構造を拡大して示し、
図12(c)は、
図12(a)のR3a部分の縦断面の構造をさらに拡大して示す。
【0152】
この実施形態3の変形例1によるチューブ2101は、実施形態3のチューブ210において、チューブ210の先端部に配置した移動磁力発生部220に加えて、同様の構成の移動磁力発生部220aをチューブ210の先端側から基端側にかけて複数箇所に配置したものである。ただし、最先端の移動磁力発生部220以外の移動磁力発生部220aでは、固定永久磁石10aを構成する先端側磁石11aおよび基端側磁石12にはいずれも操作ワイヤ230を通過させる必要があるので、先端側磁石11aは、基端側磁石12と同様に貫通孔11hを有している。
【0153】
なお、このチューブ2101は、光学系装置101とともに内視鏡201を構成するものである。
【0154】
このチューブ2101では、その他の構成は、実施形態3のチューブ210と同様であり、チューブ本体2111aの外周面には、その軸心に沿って所定の間隔でチューブ片(外側チューブ片)2111bが取り付けられており、チューブ本体2111aのうちの外側チューブ片2111bと重なる部分が、可撓性の低い第2の筒状部2101bとなり、チューブ本体2111aのうちの外側チューブ片2111bと重なっていない部分が、可撓性の高い第1の筒状部2101aとなっている。
【0155】
このような構成のチューブ2101では、操作ワイヤ230の操作により、チューブ2101を移動させる駆動力をチューブ2101の全体に渡って発生させることができ、被検者の管腔内でのチューブ2101の移動をより確実に行うことができる。
【0156】
(実施形態3の変形例2)
図13は、
図10に示すチューブ210の変形例2によるチューブ2102の構造を示す図であり、
図13(a)は、チューブ2102の全体を模式的に示し、
図13(b)は、
図13(a)のR4部分の縦断面の構造を拡大して示し、
図13(c)は、
図13(b)のR4a部分をさらに拡大して示す。
【0157】
この実施形態3の変形例2によるチューブ2102は、実施形態3のチューブ210のチューブ本体211aにおいて、チューブ210の先端部に配置した移動磁力発生部220に加えて、同様の構成の移動磁力発生部220bをチューブ210の先端側から基端側にかけて連続して繰り返し配置し、移動磁力発生部220bを構成する固定永久磁石12aを、チューブ210のうちの可撓性の低い部分を構成する部材として用いたものである。なお、このチューブ2102は、光学系装置101とともに内視鏡202を構成するものである。
【0158】
この変形例2のチューブ2102においては、最先端の移動磁力発生部220の先端側磁石11以外の固定永久磁石12aには、貫通孔12hが形成されたものを用いている。
【0159】
このチューブ2102では、その先端部には先端側磁石11が設けられ、これに続いて固定永久磁石として、貫通孔12hが形成された基端側磁石12aと同じ構造の固定永久磁石12aが一定ピッチで繰り返しチューブ2102の基端側に向けて配置されている。
【0160】
また、先端側磁石11とこれに隣接する基端側磁石12aとの間、および隣接する固定永久磁石12aの間には可動永久磁石20が設けられ、可動永久磁石20は1つの操作ワイヤ232に接続されている。ここでは、操作ワイヤ232は、
図12(c)に示す操作ワイヤ230のワイヤ本体230aのみで構成されており、操作ワイヤ230のワイヤ側浮上用磁石30を含まないものである。
【0161】
なお、このように移動磁力発生部220bを切れ目なく繰り返し配置した構造のチューブ2102では、移動磁力発生部220bを構成する固定永久磁石12aの貫通孔12hが、操作ワイヤ232をガイドする働きにより操作ワイヤ232がチューブ2102の内壁に接触しないように保持することが可能であることから、ワイヤ側浮上用磁石30およびチューブ側浮上用磁石40を設けていないが、操作ワイヤ232を摩擦抵抗なく保持する必要がある場合は、上述した浮上用磁石を設けてもよい。
【0162】
このように、このチューブ2102では、その軸心に沿って固定永久磁石12aが一定のピッチで繰り返し配置されており、チューブ本体2112aのうちの固定永久磁石12aと重なる部分は、可撓性の低い第2の筒状部2102bとなり、チューブ本体2112aのうちの固定永久磁石12aと重なっていない部分が、可撓性の高い第1の筒状部2102aとなっている。従って、この実施形態3の変形例2では、第2の筒状部2102bを形成する外側チューブ片211bは用いていない。
【0163】
このような構成のチューブ2102では、操作ワイヤ232の操作により、チューブ2101を移動させる駆動力をチューブ2102の全体に渡ってほぼ均等に発生させることができ、被検者の管腔内でのチューブ2102の移動をより確実にかつより滑らかに行うことができる。
【0164】
なお、上述した実施形態3(
図10~
図11)およびその変形例1(
図12)で示した、チューブを移動させる駆動力として磁力を発生する構成(つまり、移動磁力発生部)は、上述したように実施形態1の変形例2のチューブ1102に適用する場合だけでなく、実施形態1のチューブ110、実施形態1の変形例1のチューブ1101、あるいは実施形態1の変形例3のチューブ1103に適用してもよいことは言うまでもない。
【0165】
また、上述した実施形態3の変形例2(
図13)で示した、チューブを移動させる駆動力として磁力を発生する構成(つまり、移動磁力発生部)は、実施形態1のチューブ110、実施形態1の変形例1~3のチューブ1101~1103に適用してもよいことは言うまでもない。
【0166】
また、上述した実施形態3およびその変形例1および2では、チューブを移動させる駆動力として磁力を発生するものを示したが、チューブを移動させる駆動力は磁力に限定されず、例えば流体の噴射により発生する推進力でもよく、以下の実施形態4では、チューブとして、チューブからの流体噴射の反動によりチューブ先端部にチューブを移動させる駆動力を発生するものを説明する。
【0167】
(実施形態4)
図14は、本発明の実施形態4によるチューブ310を概念的に示す図であり、
図14(a)は、その外観を示し、
図14(b)は、
図14(a)のXb-Xb線断面の構造を示し、
図14(c)は、
図14(a)のXc-Xc線断面の構造を拡大して示す。なお、
図14(b)では、光学系装置101は外観を示している。
【0168】
この実施形態4のチューブ310は、実施形態1の変形例2によるチューブ1102、すなわち、チューブ本体1112aの外周側にチューブ片(外側チューブ片)1112bを装着したチューブにおいて、チューブ内を流れる流体により、チューブを移動させる駆動力を発生する機構を備えたものである。なお、このチューブ310は、光学系装置101とともに内視鏡300を構成するものである。
【0169】
すなわち、このチューブ310は、
図14(a)~
図14(c)に示すように、その先端側の開口が塞がれ、かつ、チューブ310の内部空間にチューブの軸心X3に沿った複数の流体通路321a~321dが形成されるように内部空間が複数の隔壁322a~322dで仕切られた構造となっている。
【0170】
また、光学系装置101は、チューブ310の先端部に支持されており、チューブ310は、複数の流体通路321a~321dから流体を排出する排出口323a~323dを有している。ここで、排出口323a~323dは、排出口からの流体の排出により先端部に推進力が発生するようにチューブの先端付近の側壁に形成されている。
【0171】
そして、このチューブ310では、その他の構成は、実施形態1の変形例2のチューブ1102と同様であり、チューブ本体311aの外周面には、その軸心X3に沿って所定の間隔でチューブ片(外側チューブ片)311bが取り付けられており、チューブ本体311aのうちの外側チューブ片311bと重なる部分が、可撓性の低い第2の筒状部310bとなり、チューブ本体311aのうちの外側チューブ片311bと重なっていない部分が、可撓性の高い第1の筒状部310aとなっている。
【0172】
このような構成のチューブ310では、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれた構造を実現することができ、これにより被検者の負担を軽減しつつ操作性を確保でき、さらには、チューブの先端部にこれを前進させる駆動力を発生することで、チューブの先端部が柔らかい部分を含んでいても操作性よくチューブを管腔内(例えば大腸)に容易に挿入することが可能となる。
【0173】
なお、上述した実施形態4で示した、チューブを移動させる駆動力として流体による力を発生する構成は、実施形態1の変形例2のチューブ1102に適用する場合だけでなく、本発明のその他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
【0174】
さらに、チューブを移動させる駆動力を発生させる構造は、上述した磁力によるものと、上述した流体の反動によるものとを組み合わせたものでもよいし、あるいは、上述したように、チューブ内に設けられた操作ワイヤにより直接チューブの内面に押し引きするものと、上述した流体の反動によるものとを組み合わせたものでもよく、以下これらの実施形態を説明する。
【0175】
具体的には、実施形態5として、チューブを移動させる駆動力として磁気によるものと流体によるものとを用いるものを挙げ、実施形態6として、チューブを移動させる駆動力として、操作ワイヤにより直接チューブに作用させるものと流体によるものとを用いるものを挙げる。
【0176】
(実施形態5)
図15は、本発明の実施形態5によるチューブ510を概念的に示す図であり、
図15(a)は、その外観を示し、
図15(b)は、
図15(a)のXVb-XVb線断面の構造を示し、
図15(c)は、
図15(b)のXVc-XVc線断面の構造を示す。
【0177】
このチューブ510は、チューブを移動させる駆動力として磁気によるものと流体によるものとを用いるものであり、端的には、実施形態3の変形例2(
図13)に実施形態4と(
図14)を組み合わせたものである。
【0178】
具体的には、このチューブ510は、光学系装置101とともに内視鏡500を形成するものであり、実施形態3の変形例2のチューブ2102(
図13(b)参照)において、そのチューブ本体2112aの側壁部に、
図14に示すチューブ310における流体通路321a~321dに相当する流体通路521a~521dを形成し、さらに、チューブ本体2112aの先端部に、これらの流体通路521a~521dにつながる排出口523a~523dを形成したものである。ここで、排出口523a~523dは、これらの排出口からの流体の排出により先端部に推進力が発生するように送水チューブの先端付近の側壁に形成されている。
【0179】
このような構成のチューブ510では、チューブを移動させる駆動力を発生させる構造として、磁力によるものと、流体の反動によるものとを含むので、管腔内でのチューブの移動をより効果的に行うことが可能である。
【0180】
(実施形態6)
図16は、本発明の実施形態6によるチューブ610を概念的に示す図であり、
図16(a)は、その外観を示し、
図16(b)は、
図16(a)のXVIb-XVIb線断面の構造を示し、
図16(c)は、
図16(b)のXVIc-XVIc線断面の構造を拡大して示し、
図16(d)は、
図16(b)のXVId-XVId線断面の構造を示し、
図16(e)は、
図16(a)のR5部分の内部構造を示す。
【0181】
このチューブ610は、チューブを移動させる駆動力として、操作ワイヤにより直接チューブに作用させるものと、流体の噴射によるものとを用いるものであり、端的には、実施形態2の変形例1(
図7)に実施形態4(
図14)とを組み合わせたものである。
【0182】
具体的には、このチューブ610は、光学系装置101とともに内視鏡600を形成するものであり、実施形態2の変形例1のチューブ410(
図7(f)参照)において、筒形状の第1の部品4111aおよび第2の部品4111bの側壁部に、
図14に示すチューブ310における流体通路321a~321dに相当する流体通路621a~621dを形成し、さらに、最先端の第1の部品4111の先端部に、これらの流体通路621a~621dにつながる排出口623a~623dを形成したものである。ここで、排出口623a~623dは、これらの排出口からの流体の排出により先端部に推進力が発生するように送水チューブの先端付近の側壁に形成されている。
【0183】
すなわち、この実施形態6のチューブ610は、実施形態2の変形例1のチューブ410と同様に、第1の部品6111、6111aと第2の部品6111bとを有するものであるが、第1の部品6111および6111aには流体流路621a~621dを形成する貫通孔61a~61dが形成されており(
図16(c))、第2の部品6111bにも流体流路621a~621dを形成する貫通孔62a~62dが形成されている(
図16(d))。ここで、最先端の第1の部品6111には、流体流路621a~621dにつながる排出口623a~623dも形成されている(
図16(c))。
【0184】
なお、この実施形態6のチューブ610では、チューブ610における可撓性の高い第1の筒状部6101aは、第1の部品6111aにより構成され、チューブ610における可撓性の低い第2の筒状部6101bは、第2の部品6111bにより構成されている。
【0185】
そして、
図16(a)、(b)に示すように、隣接する第2の部品(受け体)6111bとその間に配置された押し片640とにより、操作ワイヤ630により直接チューブ610にこれを移動させる駆動力を作用させる駆動力発生部620が形成されている。
【0186】
この駆動力発生部620では、操作ワイヤ630をチューブ610に押し込む方向に操作したとき、操作ワイヤ630に固定されている押し片640が矢印A1方向に移動して受け体としての第2の部品6111bの下面に当接してチューブ610を押込み(
図7(g)参照)、逆に、操作ワイヤ630をチューブ610から引き抜く方向に操作したとき、操作ワイヤ630に固定されている押し片640が矢印A2方向に移動して受け体としての第2の部品6111bの上面に当接してチューブ610を引き戻す(
図7(h)参照)。
【0187】
ここで、操作ワイヤ630をチューブ610に対して押し込む際には、チューブ610の最先端の第1の部品6111の排出口623a~623dから流体が噴出するように流体流路621a~621dに流体を流すことにより、チューブ610には、操作ワイヤ630の操作による駆動力と流体の噴出による駆動力とが発生し、チューブ610の移動をより効果的に行うことができる。
【0188】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本発明は、内視鏡用に用いられる部材において、局所的には柔らかくかつ全体として剛性が保たれ、目標の部位まで容易に挿入可能な内視鏡用チューブを得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0190】
1 内視鏡システム
3 チューブ格納部
10、10a、12a 固定永久磁石
11、11a 先端側磁石
11h、12h、61a~61d、62a~62d 貫通孔
11n、12n 上半N極部
11s、12s 下半S極部
12 基端側磁石
12a 磁石貫通穴
20、20a 可動永久磁石
30 ワイヤ側浮上用磁石
31、41 リング状磁石体
31a、41a 扇形磁石片
31n、41s 内周側部位
31s、41n 外周側部位
40 チューブ側浮上用磁石
50 内視鏡操作装置
50a 装置筐体
51 第1の操作部
51a 推進レバー
51b 方向転換レバー
51c 処置用器具操作レバー
51d 処置用電源の操作レバー
52 第2の操作部
52a 送気送水スイッチ
52b 吸引スイッチ
54 入力部
55 表示部
100、200、201、202、300、400、400a、400b、400c、500、600 内視鏡
101 光学系装置
110、1101~1103、210、2101、2102,310、410、4101、4102、4103,510、610 チューブ
110a、1101a、1102a、1103a、210a、2101a、2102a、310a、410a、2101a 第1の筒状部
110b、1101b、1102b、1103b、210b、2101b、2102b、310b、410b、2101b,6101a 第2の筒状部
111a チューブ非節部
111b チューブ節部
1111a、4111a、6111、6111a 第1の部品
1111b、4111b、6111b 第2の部品
1112a,1113a、211a、2111a、2112a、311a チューブ本体
1112b、211b、2111b、311b 外側チューブ片
1113b 内側チューブ片
220、220a、220b 移動磁力発生部
230、430、430b、430c、630 操作ワイヤ
230a ワイヤ本体
321a~321d、521a~521d 流体通路
322a~322d 隔壁
323a~323d、523a~523d、623a~623d 排出口
420、420a、420c、620 駆動力発生部
431 ワイヤ非節部
432 ワイヤ節部
440、640 押し片
440h ワイヤ固定孔
4111 蓋体
【要約】
【課題】本発明の課題は、内視鏡に用いられる部材として、従来の金属製棒状筒状体よりも直径が小さく、または柔軟性を有していても、目標の部位まで容易に挿入可能なチューブを得ることを目的とする。
【解決手段】本発明のチューブは、内視鏡に用いるための可撓性を有するチューブ110であって、1つの軸心Xに沿って所定間隔で設けられた複数の第1の筒状部110aと、複数の第1の筒状部110aのうちの隣接する第1の筒状部の間に設けられた複数の第2の筒状部110bとを含み、複数の第2の筒状部110bは、複数の第1の筒状部110aに比べて可撓性が低い節部を備えるものである。
【選択図】
図1