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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】調湿材及び調湿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20231206BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B01D53/26 200
B01J20/26 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022511686
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2021008130
(87)【国際公開番号】W WO2021199865
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2020061765
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 豪
(72)【発明者】
【氏名】井出 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松浦 恭子
(72)【発明者】
【氏名】越智 奨
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-503501(JP,A)
【文献】特開2000-033224(JP,A)
【文献】特開昭58-216936(JP,A)
【文献】実公昭31-012792(JP,Y1)
【文献】特開2012-239998(JP,A)
【文献】特開2000-097863(JP,A)
【文献】特開平02-002823(JP,A)
【文献】特開平01-201364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26、53/28
B01J 20/22-20/34
G01N 21/81、31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸収または排出可能な第1粒子と、
空気中の水分を吸収または排出可能な第2粒子と、を備え、
前記第1粒子は、吸湿性物質を含む第1調湿性液体と、
前記第1調湿性液体を保持する第1保持部と、を有し、
前記第2粒子は、前記吸湿性物質を含む第2調湿性液体と、
前記第2調湿性液体を保持する第2保持部と、を有し、
前記第1保持部及び前記第2保持部は、高分子材料を形成材料とし、
前記第1調湿性液体は、前記第1調湿性液体が含む水分量に応じて色が変化する第1指示薬を有し、
前記第2調湿性液体は、前記第1指示薬の変色域とは異なる変色域において、前記第2調湿性液体が含む水分量に応じて色が変化する第2指示薬を有し、
前記第1調湿性液体と前記第2調湿性液体に含まれる吸湿性物質は、無機塩を含み、
前記無機塩は、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムから選ばれる1つ以上である調湿材。
【請求項2】
前記第1指示薬及び前記第2指示薬は、pH指示薬である請求項1に記載の調湿材。
【請求項3】
前記第1調湿性液体および前記第2調湿性液体の少なくとも一方は、2種以上の前記吸湿性物質を含む請求項1または2に記載の調湿材。
【請求項4】
前記吸湿性物質は、吸湿性の多価アルコールをさらに含む請求項3に記載の調湿材。
【請求項5】
前記第1保持部及び前記第2保持部を構成する前記高分子材料は、吸水性ポリマーである請求項1から4のいずれか1項に記載の調湿材。
【請求項6】
前記第1粒子は、前記第1調湿性液体を含むコアと、
前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第1保持部と、を有するコアシェル構造を有し、
前記第2粒子は、前記第2調湿性液体を含むコアと、
前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第2保持部と、を有するコアシェル構造を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の調湿材。
【請求項7】
前記第1粒子は、前記第1調湿性液体を含むコアと、
前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第1保持部と、を有するコアシェル構造を有し、
前記第2粒子が有する前記第2保持部は、吸水性ポリマーである請求項1から4のいずれか1項に記載の調湿材。
【請求項8】
一定の色を示す固定色粒子をさらに有する請求項1から7のいずれか1項に記載の調湿材。
【請求項9】
前記固定色粒子は、前記吸湿性物質を含む調湿性液体と、
前記調湿性液体を粒子状に保持する保持部と、を有する請求項8に記載の調湿材。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の調湿材と、
前記調湿材を収容する収容部と、を有し、
前記収容部は、少なくとも一部が光透過性を有する調湿装置。
【請求項11】
前記収容部は、前記第1粒子を収容する第1収容部と、
前記第2粒子を収容する第2収容部と、を有する請求項10に記載の調湿装置。
【請求項12】
前記調湿材が含む水分を除去する除去部をさらに有する請求項11に記載の調湿装置。
【請求項13】
前記第1粒子は、前記第1調湿性液体を含むコアと、前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第1保持部と、を有するコアシェル構造を有し、
前記第2粒子が有する前記第2保持部は、吸水性ポリマーであり、
前記除去部は、前記第2収容部よりも前記第1収容部に近い位置に配置している請求項12に記載の調湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿材及び調湿装置に関する。本願は、2020年3月31日に日本で出願された特願2020-61765号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、高分子材料を形成材料とするビーズ状の吸湿材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す吸湿材(吸湿性ミリビーズ)は、高い吸湿性を有し、且つ、水分を吸収したとき及び水分を放出したときの寸法変化が小さいという特長を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-056404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特長のため、上述の吸湿材を使用する使用者は、使用中の吸湿材の外観から、吸湿材がどの程度の水分を吸収しているかを把握しにくい。そのため、例えば、使用者が吸湿材の交換時期を把握し難いという課題がある。
【0005】
また、上述の吸湿材に関わらず、使用中の吸湿材がどの程度の水分を吸収しているかを把握できると、使用しやすく、改良が求められていた。
【0006】
本発明の一態様はこのような事情に鑑みてなされたものであって、吸収した水分量を把握しやすい調湿材を提供することを目的とする。また、上述した調湿材を有し、吸収した水分量を把握しやすい調湿装置を提供することを併せて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一形態は、以下の態様を包含する。
【0008】
[1]空気中の水分を吸収または排出可能な第1粒子と、空気中の水分を吸収または排出可能な第2粒子と、を備え、前記第1粒子は、吸湿性物質を含む第1調湿性液体と、前記第1調湿性液体を保持する第1保持部と、を有し、前記第2粒子は、前記吸湿性物質を含む第2調湿性液体と、前記第2調湿性液体を保持する第2保持部と、を有し、前記第1保持部及び前記第2保持部は、高分子材料を形成材料とし、前記第1調湿性液体は、前記第1調湿性液体が含む水分量に応じて色が変化する第1指示薬を有し、前記第2調湿性液体は、前記第1指示薬の変色域とは異なる変色域において、前記第2調湿性液体が含む水分量に応じて色が変化する第2指示薬を有する調湿材。
【0009】
[2]前記第1調湿性液体および前記第2調湿性液体の少なくとも一方は、2種以上の前記吸湿性物質を含む[1]に記載の調湿材。
【0010】
[3]前記吸湿性物質は、吸湿性の多価アルコールおよび吸湿性の無機塩を含む[2]に記載の調湿材。
【0011】
[4]前記第1保持部及び前記第2保持部を構成する前記高分子材料は、吸水性ポリマーである[1]から[3]のいずれか1項に記載の調湿材。
【0012】
[5]前記第1粒子は、前記第1調湿性液体を含むコアと、前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第1保持部と、を有するコアシェル構造を有し、前記第2粒子は、前記第2調湿性液体を含むコアと、前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第2保持部と、を有するコアシェル構造を有する[1]から[3]のいずれか1項に記載の調湿材。
【0013】
[6]前記第1粒子は、前記第1調湿性液体を含むコアと、前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第1保持部と、を有するコアシェル構造を有し、前記第2粒子が有する前記第2保持部は、吸水性ポリマーである[1]から[3]のいずれか1項に記載の調湿材。
【0014】
[7]一定の色を示す固定色粒子をさらに有する[1]から[6]のいずれか1項に記載の調湿材。
【0015】
[8]前記固定色粒子は、前記吸湿性物質を含む調湿性液体と、前記調湿性液体を粒子状に保持する保持部と、を有する[7]に記載の調湿材。
【0016】
[9][1]から[8]のいずれか1項に記載の調湿材と、前記調湿材を収容する収容部と、を有し、前記収容部は、少なくとも一部が光透過性を有する調湿装置。
【0017】
[10]前記収容部は、前記第1粒子を収容する第1収容部と、前記第2粒子を収容する第2収容部と、を有する[9]に記載の調湿装置。
【0018】
[11]前記調湿材が含む水分を除去する除去部をさらに有する[10]に記載の調湿装置。
【0019】
[12]前記第1粒子は、前記第1調湿性液体を含むコアと、前記高分子材料で形成されたシェル状の前記第1保持部と、を有するコアシェル構造を有し、前記第2粒子が有する前記第2保持部は、吸水性ポリマーであり、前記除去部は、前記第2収容部よりも前記第1収容部に近い位置に配置している[11]に記載の調湿装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、吸収した水分量を把握しやすい調湿材を提供することができる。吸収した水分量を把握しやすい吸湿材を提供することができる。また、上述した調湿材を有し、吸収した水分量を把握しやすい調湿装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、第1実施形態の調湿材1を示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態の第1粒子1A又は第2粒子1Bを示す模式図である。
図3図3は、第2実施形態に係る調湿材2を示す模式図である。
図4図4は、第3実施形態に係る調湿材3の説明図である。
図5図5は、第4実施形態に係る調湿装置100の説明図である。
図6図6は、第5実施形態に係る調湿装置200の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1,2は、本実施形態の調湿材1を示す説明図である。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0023】
図1は、本実施形態の調湿材1を示す模式図である。本実施形態の調湿材1は、空気中の水分を吸収または排出可能な第1粒子1Aと、空気中の水分を吸収または排出可能な第2粒子1Bと、を備えている。本実施形態の調湿材1は、調湿材1が置かれた環境の湿度に応じて、調湿材1が置かれた場所の空気に含まれる水分を吸収または放出する。
以下、順に説明する。
【0024】
<第1粒子、第2粒子>
図2は、本実施形態の第1粒子1A又は第2粒子1Bを示す模式図である。第1粒子1A及び第2粒子1Bはそれぞれ、調湿性液体11と、調湿性液体11を保持する保持部12とを有する。
【0025】
本明細書において「調湿」とは、空気中に含まれる水蒸気の量を調節することを指す。調湿は、空気中の水蒸気を除去することにより、空気中に含まれる水蒸気の量を相対的に減らす「吸湿」と、空気に水蒸気を供給し、空気中に含まれる水蒸気の量を相対的に増やす「加湿」と、の両方を含む。
【0026】
以下の説明では、第1粒子1Aが有する調湿性液体を「第1調湿性液体」と称し、第1粒子1Aが有する保持部を「第1保持部」と称することがある。
同様に、第2粒子1Bが有する調湿性液体を「第2調湿性液体」と称し、第2粒子1Bが有する保持部を「第2保持部」と称することがある。
【0027】
また、第1調湿性液体と第2調湿性液体とを区別することなく説明する場合には、共通して「調湿性液体」との表現を用いる。
同様に、第1保持部と第2保持部とを区別することなく説明する場合には、共通して「保持部」との表現を用いる。
【0028】
<調湿性液体>
第1粒子1A及び第2粒子1Bが有する調湿性液体11は、第1粒子1A及び第2粒子1Bが置かれた場所の空気が調湿性液体11よりも相対的に湿っている場合に、置かれた場所の空気の湿度との間で平衡状態となるまで、周囲の空気に含まれる水分を吸収する性質(吸湿性)を有する。
【0029】
また、調湿性液体11は、第1粒子1A及び第2粒子1Bが置かれた場所の空気が調湿性液体よりも相対的に乾燥している場合に、置かれた場所の空気の湿度との間で平衡状態となるまで、調湿性液体11に含まれる水分を空気中に放出する性質を有する。
【0030】
なお、調湿性液体11は、加熱される場合にも調湿性液体11に含まれる水分を空気中に放出する。
【0031】
調湿性液体11は、吸湿性物質と、調湿性液体11が含む水分量に応じて色が変化する指示薬と、を含む。
【0032】
(吸湿性物質)
吸湿性物質としては、有機材料と無機材料とを挙げることができる。
【0033】
吸湿性物質として用いられる吸湿性の有機材料としては、例えば2価以上の(多価)アルコール、ケトン、アミド基を有する有機溶媒、糖類、保湿化粧品などの原料として用いられる公知の材料などが挙げられる。それらの中でも、親水性が高いことから、吸湿性物質として好適に用いられる有機材料としては、多価アルコール、アミド基を有する有機溶媒、糖類、保湿化粧品等の原料として用いられる公知の材料が挙げられる。
【0034】
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。また、吸湿性の多価アルコールは、多価アルコールの二量体、重合体であってもよい。
【0035】
アミド基を有する有機溶媒としては、例えばホルムアミド、アセトアミドなどが挙げられる。
【0036】
糖類としては、例えばスクロース、プルラン、グルコース、キシロール、フラクトース、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。
【0037】
保湿化粧品などの原料として用いられる公知の材料としては、例えば2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、ベタイン、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが挙げられる。
【0038】
吸湿性物質として用いられる吸湿性の無機材料としては、例えば、吸湿性の無機塩が挙げられる。このような無機塩としては、
塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム等の塩化物;
臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化カリウム等の臭化物;
硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;
硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の金属塩が挙げられる。
【0039】
中でも、無機塩としては、塩化リチウム、塩化カルシウムが好ましい。
【0040】
その他、吸湿性の無機材料としては、酸化リン、シリカゲル、明礬石、ゼオライト等が挙げられる。
【0041】
シリカゲル、明礬石、ゼオライトは、分散媒に分散させた分散液として調湿性液体11を構成し得る。分散媒としては、極性溶媒を用いることができる。極性溶媒としては、水、エタノール、メタノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコールを例示することができる。
【0042】
調湿性液体11は、2種以上の吸湿性物質を含むと好ましい。調湿性液体11が吸湿性物質を2種以上有することにより、調湿性液体11の物性調整が容易となる。
【0043】
吸湿性物質が2種以上の吸湿性物質を含む場合、例えば2種以上の多価アルコールを用いてもよく、2種以上の無機塩を用いてもよく、多価アルコールと無機塩とを併用してもよい。
【0044】
調湿性液体11は、吸湿性の多価アルコールおよび吸湿性の無機塩を含むことが好ましい。
【0045】
(指示薬)
本実施形態の調湿性液体11が有する指示薬としては、pH指示薬を好適に用いることができる。調湿性液体11は、濃度が変化するとpHが変化する。すなわち、調湿性液体11は、吸収した水分量に応じてpHが変化する。そのため、調湿性液体11がpH指示薬を有していると、第1粒子1A及び第2粒子1Bは、調湿性液体11が吸収した水分量に応じて色が変化する。
【0046】
さらに、本実施形態の調湿材1(第1粒子1A及び第2粒子1B)は、置かれた場所の空気の湿度との間で平衡状態となるまで、水分を吸収または放出する。そのため、予めpH指示薬の色と、第1粒子1A及び第2粒子1Bの置かれる環境の湿度と、の対応関係を調べておくことで、第1粒子1A及び第2粒子1Bの色から、調湿材1が置かれた環境の湿度を簡易的に把握することができる。
【0047】
以下の説明では、第1粒子1Aが有する指示薬を「第1指示薬」と称し、第2粒子1Bが有する指示薬を「第2指示薬」と称することがある。
【0048】
pH指示薬としては、例えばメチルイエロー、ブロモフェノールブルー、コンゴーレッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、リトマス、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、チモールブルー、ニュートラルレッド、クレゾールレッドリトマス、パラニトロフェノール、メチルパープル及びフェノールフタレインなど、公知のpH指示薬を挙げることができる。
【0049】
また、pH指示薬として、トリアリールメタン誘導体、フルオラン誘導体、ピラゾロン誘導体、アゾ誘導体、キサンテン誘導体を用いることもできる。
【0050】
第1指示薬及び第2指示薬はそれぞれ、1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0051】
また、2種以上のpH指示薬を混合して用いる場合、pH指示薬を用いる際の配合比として公知の比率で混ぜて用いることができる。例えば、本実施形態の調湿性液体11が有する指示薬として、上述のpH指示薬のうち、チモールブルー、メチルレッド、ブロモチモールブルー及びフェノールフタレインを含む山田式万能指示薬(万能pH指示薬)を用いてもよい。
【0052】
本実施形態の調湿材1において、第1指示薬と第2指示薬とは変色域が異なっている。そのため、第1粒子1A及び第2粒子1Bは、指示薬の色と、調湿材1の置かれる環境の湿度と、の対応関係を互いに異ならせることができる。
【0053】
通常、pH指示薬は、色変化を生じる場合にはわずかなpHの変化で呈色する。一方で、pH指示薬は、変色域以外のpH範囲では色変化が鈍い。そのため、調湿材1が1種の指示薬のみを有する場合には、変色域が1つであり、変色域以外のpH範囲(調湿性液体の濃度)では、調湿性液体の濃度変化を検出し難い。
【0054】
これに対し、本実施形態の調湿材1のように、第1粒子1Aが有する第1指示薬と、第2粒子1Bが有する第2指示薬との変色域が異なる場合、一方の指示薬の色変化が鈍いpH範囲において他方の指示薬の色変化が鋭敏という関係とすることができる。そのため、調湿性液体の濃度変化を検出しやすく、調湿材1が置かれた環境の湿度を把握しやすい。
【0055】
第1指示薬の色および第2指示薬の色は、互いに異なることが好ましい。また、第1指示薬の色および第2指示薬の色は、pHに応じた色変化において、色相環上の角度で30度以上異なる色となるpH範囲があることが好ましい。このような第1指示薬と第2指示薬とを用いた調湿材1では、色変化を確認しやすくなる。
【0056】
第1指示薬と第2指示薬の組み合わせとして、例えば、第1指示薬としてブロモクレゾールグリーンを用い、第2指示薬として万能pH指示薬を用いる組み合わせを挙げることができる。
【0057】
(その他物質)
さらに、調湿性液体11は、その他物質として溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、上述の吸湿性物質を溶解させる溶媒、または吸湿性物質を混和する溶媒が挙げられる。このような溶媒としては水を挙げることができる。
【0058】
また、溶媒として、上述の吸湿性の有機材料として挙げた多価アルコールや有機溶媒を用いることもできる。
【0059】
調湿性液体11が溶媒を含む場合、溶媒と指示薬との混合比(質量比)は、(溶媒):(指示薬)=100:1~50:1の範囲とすることが好ましい。
【0060】
また、調湿性液体11は、その他物質として色調調整のため色素を含んでもよい。
【0061】
<保持部>
第1粒子1A及び第2粒子1Bが有する保持部12は、上述の調湿性液体11を保持する機能を有する。
【0062】
本実施形態の保持部12は、公知の吸水性の高分子材料(吸水性ポリマー)を形成材料とする。保持部12の形成材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩、デンプン-アクリル酸塩グラフトポリマー、酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0063】
<調湿材の製造方法>
本実施形態の調湿材1の製造方法は、保持部12を製造する工程と、得られた保持部12に調湿性液体11を膨潤させる工程と、により製造することができる。
【0064】
保持部12を製造する工程では、公知の逆相懸濁重合法により保持部12を製造することができる。詳しくは、保持部12は、界面活性剤や分散剤を含む疎水性の有機溶媒を連続相とし、上述した吸水性の高分子材料の繰り返し単位を構成するモノマーと、重合開始剤と、架橋剤を含む混合液を分散相として、懸濁重合することで製造することができる。
【0065】
モノマーは、例えば、アクリル酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸を用いることができる。
【0066】
重合開始剤は、例えば、ラジカル重合開始剤として公知の有機過酸化物やアゾ化合物を用いることができる。
【0067】
架橋剤は、得られる保持部12の吸水性能を調整するために用いられる。モノマーと共重合させる架橋剤の量が多いほど、保持部12を構成する高分子材料の架橋が密になり、吸湿性が低下する。モノマーと共重合させる架橋剤の量が少ないほど、保持部12を構成する高分子材料の架橋が粗になり、吸湿性が向上する。
【0068】
連続相である有機溶媒は、例えば脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、及び脂肪族エステル類等を用いることができる。
【0069】
用いることが可能な界面活性剤に限定はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0070】
分散剤は、有機溶媒中にモノマーを安定分散させることができる限り、特に限定はなく公知の分散剤を用いることができる。分散剤としては、例えば脂肪酸エステル、セルロースエーテル、セルロースエステル等を用いることができる。
【0071】
逆相懸濁重合法で製造した保持部12は、乾燥させると好ましい。
【0072】
なお、重合の際、規則正しく並んだシリカ(コロイド結晶)を入れて重合後、シリカをエッチングなどで取り除くことにより、保持部12に構造色を付与することとしてもよい。構造色を有する保持部12については、公知の逆オパールゲルを製造する方法と同様にして製造可能である。
【0073】
調湿性液体11に浸漬する前の保持部12の大きさ(直径)は、例えば1mm以上30mm以下とすることができる。保持部12の大きさは、上記逆相懸濁重合における撹拌速度、界面活性剤の量、分散剤の量及び重合開始剤の量からなる群から選ばれる少なくとも1つを変更することで制御可能である。
【0074】
また、保持部12を調湿性液体11に浸漬して得られる第1粒子1A及び第2粒子1Bは、調湿性液体11が膨潤することにより、調湿性液体11に浸漬する前の保持部12よりも大きくなる。例えば、第1粒子1A及び第2粒子1Bの大きさ(直径)は、例えば4mm以上150mm以下とすることができる。
【0075】
調湿材1を構成する第1粒子1A及び第2粒子1Bは、調湿材1が置かれた場所の空気が調湿性液体11よりも相対的に湿っている場合に周囲の空気から水分を吸収する。また、第1粒子1A及び第2粒子1Bは、調湿材1が置かれた場所の空気が調湿性液体11よりも相対的に乾燥している場合に、吸収している水分を放出する。
【0076】
このように保持する水分量が変化すると、第1粒子1A及び第2粒子1Bが有する調湿性液体11は、濃度変化してpHが変化する。これにより、調湿性液体11が有する指示薬が呈色し、第1粒子1A及び第2粒子1Bが吸湿又は水分を放出したことを検出することができる。
【0077】
第1粒子1A及び第2粒子1Bには、それぞれ変色域が異なる第1指示薬及び第2指示薬が用いられている。そのため、第1粒子1A及び第2粒子1Bは、調湿性液体の濃度変化を検出しやすく、調湿材1が置かれた環境の湿度を簡易的に検出しやすい。
【0078】
また、第1粒子1A及び第2粒子1Bは、吸湿することにより膨潤し、吸湿前よりも直径が大きくなる。また、第1粒子1A及び第2粒子1Bは、水分を放出することにより収縮し、水分放出前よりも直径が小さくなる。そのため、調湿材1は、第1粒子1A及び第2粒子1Bの大きさに基づいて、調湿材1が吸湿又は水分を放出したことを検出することができる。さらに、調湿材1は、第1粒子1A及び第2粒子1Bの大きさに基づいて、調湿材1が置かれた場所の湿度を簡易的に検出することができる。
【0079】
調湿材1を構成する第1粒子1A及び第2粒子1Bの存在比は、用いる第1指示薬及び第2指示薬の色と、第1粒子1A及び第2粒子1Bが色変化したときの確認しやすさを考慮して、適宜設定することができる。例えば、第1粒子1Aと第2粒子1Bの質量比で、(第1粒子):(第2粒子)=10:90~90:10としてもよく、25:75~75:25としてもよく、40:60~60:40としてもよい。
【0080】
以上のような構成の調湿材1によれば、吸収した水分量を把握しやすい吸湿材を提供することができる。
【0081】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る調湿材2の説明図である。図3は、調湿材2が有する第1粒子2A又は第2粒子2Bの説明図である。
【0082】
本実施形態の調湿材2が有する第1粒子2A及び第2粒子2Bは、調湿性液体21と、調湿性液体21を保持する保持部22とを有する。本実施形態の調湿材2は、調湿材2が置かれた環境の湿度に応じて、調湿材2が置かれた場所の空気に含まれる水分を吸収、または放出する。
【0083】
本実施形態の調湿材2が有する第1粒子2Aは、調湿性液体21を含むコアと、高分子材料で形成されたシェル状の第1保持部と、を有するコアシェル構造を有している。
本実施形態の調湿材2が有する第2粒子2Bは、調湿性液体21を含むコアと、高分子材料で形成されたシェル状の第2保持部と、を有するコアシェル構造を有している。
【0084】
<調湿性液体>
調湿性液体21は、吸湿性物質と、調湿性液体21が含む水分量に応じて色が変化する指示薬と、保持部22の形成材料と、を含む。
【0085】
吸湿性物質および指示薬は、第1実施形態で例示した各物質を用いることができる。
【0086】
調湿性液体21が含む保持部22の形成材料については、後述する。
【0087】
<保持部>
保持部22は、コアシェル構造を有する第1粒子2Aのシェル(第1保持部)又は第2粒子2Bのシェル(第2保持部)に該当する。保持部22は、内部に調湿性液体21を保持する空間を有する中空粒子である。
【0088】
保持部22の形成材料としては、ゲル化剤と反応してゲルを形成する高分子材料を用いることができる。具体的には、保持部22の形成材料として、一価のアルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルアルコールなどのポリアルコール類を用いることができる。
【0089】
本明細書においては、保持部22の形成材料として用いられる上記材料は、保持部12の形成材料である「吸水性ポリマー」には含まれないものとする。
【0090】
上記高分子材料と反応して高分子材料をゲル化させるゲル化剤としては、多価金属塩の水溶液、酸性水溶液、四ホウ酸ナトリウム水溶液が挙げられる。
【0091】
多価金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及びアルミニウム塩など多価金属イオンの塩が挙げられる。
【0092】
上記ゲルを形成する高分子材料と、ゲル化剤との組み合わせとしては、以下の組み合わせが挙げられる。
(1)一価のアルギン酸塩と多価金属塩水溶液との組み合わせ
(2)一価のアルギン酸塩と酸性水溶液との組み合わせ
(3)(カルボキシ)メチルセルロースと多価金属塩水溶液との組み合わせ
(4)ポリビニルアルコールと四ホウ酸ナトリウム水溶液との組み合わせ
なお、「(カルボキシ)メチルセルロース」は、メチルセルロースとカルボキシメチルセルロースとの両方を意味する。
【0093】
保持部22は、上述の調湿性液体を含んでいてもよい。
【0094】
保持部22は、透湿性を有する。
【0095】
<調湿材の製造方法>
第1粒子2A及び第2粒子2Bの製造方法は、調湿性液体を調整する工程と、調湿性液体に保持部の形成材料を混合した混合液を得る工程と、混合液をゲル化剤に滴下する工程と、を有する。
【0096】
調湿性液体を調整する工程では、上述の吸湿性物質、指示薬及び溶媒その他の物質を混合する。
【0097】
混合液を得る工程では、別途調整した保持部の形成材料の水溶液を、調湿性液体に混合する。例えば、保持部の形成材料としてアルギン酸ナトリウムを用いる場合、1質量%以上5質量%以下のアルギン酸ナトリウム水溶液を調整し、調湿性液体と混合する。
【0098】
混合液全体に対する調湿性液体の割合は、10質量%以上90質量%以下とすることができる。
【0099】
混合液をゲル化剤に滴下する工程では、得られた混合液をゲル化剤水溶液に滴下する。保持部の形成材料としてアルギン酸ナトリウムを用いる場合、例えばゲル化剤として塩化カルシウム水溶液を用いる。塩化カルシウム水溶液の濃度は、例えば1質量%以上10質量%以下とすることができる。
【0100】
混合液をゲル化剤に滴下すると、滴下した混合液の液滴の表面に含まれるアルギン酸ナトリウムがゲル化剤と反応してゲル化する。その結果、ゲル化した液滴の表面は、調湿材2のシェル(保持部22)となり、ゲル化していない液滴の内部は、第1粒子2A又は第2粒子2Bのコアとなる。
【0101】
混合液をゲル化剤に滴下した後、得られる粒子は、ゲル化剤から24時間以内に取り出すとよい。これにより、ゲル化剤が第1粒子2A及び第2粒子2Bの中心にまで浸透し、粒子全体がゲル化してしまう不具合を抑制できる。取り出す時間は、予め予備実験を行い、不具合が生じない時間を確認して、第1粒子2A及び第2粒子2Bの組成や大きさに応じて変更するとよい。
【0102】
さらに、混合液をゲル化剤に滴下する工程で得られた粒子を、凍結乾燥させる工程を有していてもよい。凍結乾燥は、上記粒子を凍結させた後、減圧環境下にて凍結した水分を昇華させて行う。これにより、保持部の水分が部分的に除去され、除去された水分の箇所が空孔と考えられる。その結果、凍結乾燥前よりも凍結乾燥後の粒子の方が、表面積が広くなり、得られる粒子(調湿材2)は、凍結乾燥前よりも水分を吸収しやすくなると考えられる。
【0103】
また、凍結乾燥により、保持部22を構成する高分子材料の一部が切れて低分子量化する効果も期待できる。これにより、保持部22を構成する高分子材料の架橋が粗になり、吸湿性が向上すると考えられる。
【0104】
以上のような構成の調湿材2であっても、吸収した水分量又は放出した水分量を把握しやすい調湿材を提供することができる。
【0105】
なお、本実施形態においては、第1粒子2A及び第2粒子2Bがいずれもコアシェル構造を有することとしたが、これに限らない。第1粒子2Aが第2実施形態で示したコアシェル構造を有し、第2粒子2Bが第1実施形態で示した第2粒子1Bと同じ構造を有していてもよい。
【0106】
以下の説明では、第1実施形態で示した粒子を「膨潤粒子」と称する。また、第2実施形態で示した粒子を「コアシェル粒子」と称する。
【0107】
調湿材を構成する膨潤粒子及びコアシェル粒子の存在比は、適宜設定することができる。例えば、膨潤粒子とコアシェル粒子の質量比で、(膨潤粒子):(コアシェル粒子)=10:90~90:10としてもよく、25:75~75:25としてもよく、40:60~60:40としてもよい。
【0108】
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る調湿材3の説明図である。本実施形態の調湿材3は、第1粒子3A、第2粒子3B、固定色粒子3Cを有する。
【0109】
第1粒子3Aは、第1実施形態の第1粒子1Aまたは第2実施形態の第1粒子2Aを採用することができる。
【0110】
第2粒子3Bは、第1実施形態の第2粒子1Bまたは第2実施形態の第2粒子2Bを採用することができる。
【0111】
固定色粒子3Cは、調湿材3の吸湿量に関わらず、一定の色を示す粒子である。固定色粒子3Cは、調湿材3が置かれた環境の湿度に応じて、調湿材3が置かれた場所の空気に含まれる水分を吸収または放出する機能を有していてもよく、上記機能を有していなくてもよい。
【0112】
以下の説明においては、「置かれた場所の空気に含まれる水分を吸収または放出する」機能を「調湿機能」と称することがある。
【0113】
固定色粒子3Cが調湿機能を有さない場合、固定色粒子3Cの形成材料は、ガラスや、高分子材料を用いることができる。
【0114】
固定色粒子3Cが調湿機能を有する場合、固定色粒子3Cは、吸湿性物質を含む調湿性液体と、調湿性液体を粒子状に保持する保持部と、を有する。
【0115】
固定色粒子3Cが有する調湿性液体は、上述した調湿性液体を採用することができる。
固定色粒子3Cが有する保持部は、上述した保持部を採用することができる。
【0116】
すなわち、固定色粒子3Cは、第1実施形態の第1粒子1Aから指示薬を除いた粒子、または第2実施形態の第1粒子2Aから指示薬を除いた粒子とすることができる。
【0117】
固定色粒子3Cの色は、第1粒子又は第2粒子の色と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0118】
また、調湿材3を用いて調湿する目標となる湿度がある場合、固定色粒子3Cの色は、目標となる湿度における第1粒子又は第2粒子と同じ色であってもよい。固定色粒子3Cがこのような色であると、調湿材3が置かれた環境が目標となる湿度となったかどうかを判断しやすくなる。
【0119】
調湿材3が固定色粒子3Cを含むことにより、第1粒子3A及び第2粒子3Bの色変化を認識しやすい。
【0120】
調湿材3を構成する第1粒子3Aと第2粒子3Bと固定色粒子3Cとの存在比は、用いる第1指示薬及び第2指示薬の色と、固定色粒子3Cの色と、第1粒子3A及び第2粒子3Bが色変化したときに確認しやすさを考慮して、適宜設定することができる。例えば、第1粒子3Aと第2粒子3Bとの和と、固定色粒子3Cとの質量比で、(第1粒子+第2粒子):(固定色粒子)=10:90~90:10としてもよく、25:75~75:25としてもよく、40:60~60:40としてもよい。
【0121】
第1粒子3Aと第2粒子3Bとの比は、第1実施形態で示したように適宜設定することができる。
【0122】
以上のような構成の調湿材3であっても、吸収した水分量を把握しやすい吸湿材を提供することができる。
【0123】
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4実施形態に係る調湿装置100の説明図である。調湿装置100は、調湿材110と、収容部120とを有する。収容部120は、容器121と、蓋122とを有する。
【0124】
調湿材110としては、上述した調湿材1~3のいずれかを採用することができる。調湿材110は、容器121に充填されている。
【0125】
容器121は、調湿材110を充填する内部空間を有し、開口部121aにおいて上部が開口している。図5に示す容器121は、平面視矩形であり、面方向の寸法よりも高さ方向の寸法の方が小さい扁平した薄型容器である。
【0126】
容器121は、調湿材110の状態を視認可能とするために、光透過性を有すると好ましい。このような容器121の形成材料は、光透過性の材料を好適に用いることができる。例えば、容器121の形成材料として、ガラスや、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)及びポリ塩化ビニル(PVC)等の公知の高分子材料を用いることができる。
【0127】
容器121は、全体が光透過性を有していてもよく、一部のみが光透過性を有していてもよい。
【0128】
蓋122は、容器121の上方から容器121に被せ、開口部121aを塞ぐ。これにより、収容部120は、調湿材110を収容部120の内部に収容する。
【0129】
蓋122は、蓋112の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔122aを有する。貫通孔122aを介して、調湿装置100を置いた場所の空気が、収容部120の内外に流動する。
【0130】
貫通孔122aの大きさは、調湿材110が通過できない大きさであり、且つ上述した空気の流動を阻害しない大きさであれば、適宜設定することができる。また、貫通孔122aの平面視形状も、貫通孔122aの機能を阻害しないならば、適宜設定することができる。
【0131】
蓋122は、光透過性を有していてもよく、光透過性を有していなくてもよい。
【0132】
蓋122の形成材料は、高分子材料を好適に用いることができる。
【0133】
以上のような調湿装置100は、上述した調湿材を有するため、吸収した水分量を把握しやすい調湿装置となる。
【0134】
[第5実施形態]
図6は、本発明の第5実施形態に係る調湿装置200の説明図である。調湿装置200は、調湿材210と、収容部220とを有する。
【0135】
調湿材210は、上述した調湿材1~3のいずれかを採用することができる。
【0136】
収容部220は、第1収容部221と、第2収容部222と、除去部223とを有する。
【0137】
第1収容部221は、調湿材210が有する第1粒子210Aを収容する空間である。
第2収容部222は、調湿材210が有する第2粒子210Bを収容する空間である。
【0138】
第1収容部221及び第2収容部222には、外部の空気を第1収容部221及び第2収容部222に取り入れる吸気口、及び第1収容部221及び第2収容部222の空気を外部に排出する排気口を有する。吸気口および排気口の位置は、調湿装置200の効果を阻害しない範囲において、任意に設定することができる。
【0139】
また、第1収容部221及び第2収容部222の壁面に複数の貫通孔を設け、貫通孔が吸気口及び排気口の機能を有していてもよい。貫通孔は、メッシュ状であってもよく、スリット状であってもよい。
【0140】
第1収容部221と第2収容部222とは、空気が流動可能な貫通孔を有する仕切り228を介して隣り合っている。調湿装置200では、第1収容部221と第2収容部222とが、仕切り228を挟んで高さ方向(縦方向)に配置している。
【0141】
第1収容部221の壁と、第2収容部222の壁とは、それぞれ少なくとも一部が光透過性を有している。
【0142】
第1収容部221と第2収容部222との形成材料には、上述の第4実施形態における容器121の形成材料を採用することができる。
【0143】
除去部223は、調湿材210から水分を除去する。除去部223は、第1収容部221の下方に位置している。すなわち、除去部223は、第2収容部222よりも第1収容部221に近い位置に配置している。
【0144】
除去部223は、第1収容部221及び第2収容部222に送風する送風機を有する。除去部223は、第1収容部221及び第2収容部222に送風し、第1収容部221に収容された第1粒子210Aと、第2収容部222に収容された第2粒子210Bから一部の水分を除去することができる。
【0145】
また、除去部223は、熱源を有していてもよい。熱源を有する除去部223は、第1収容部221及び第2収容部222に温風又は熱風を送風し、第1粒子210A及び第2粒子210Bを加熱する。これにより、第1粒子210A及び第2粒子210Bから一部の水分が蒸発する。
【0146】
また、除去部223は、第1粒子210A及び第2粒子210Bに光を照射する光源を有していてもよい。第1粒子210A及び第2粒子210Bに光を照射することにより、第1粒子210A及び第2粒子210Bが光を吸収して発熱する。生じる熱により、第1粒子210A及び第2粒子210Bから一部の水分が蒸発する。
【0147】
除去部223が光源を有する場合、第1収容部221の底部221aは光透過性を有しているとよい。
【0148】
また、除去部223が光源を有する場合、第1収容部221及び第2収容部222は、それぞれ第1粒子210A及び第2粒子210Bを撹拌する撹拌装置を有していてもよい。これにより、各収容部において調湿材210(第1粒子210A又は第2粒子210B)の位置が変化し、調湿材210全体に光を照射しやすくなる。
【0149】
また、除去部223が光源を有する場合、第1収容部221及び第2収容部222のいずれか一方または両方に、黒色の固定色粒子を混合してもよい。黒色の固定色粒子が光を好適に吸収して発熱し、第1粒子210A及び第2粒子210Bから一部の水分の蒸発を促進することができる。
【0150】
上記構成の場合、除去部223に近い第1収容部221に収容される第1粒子210Aは、第2実施形態で示した第1粒子2Aと同じくコアシェル状の構造を有する粒子が好ましい。
【0151】
また、除去部223から遠い第2収容部222に収容される第2粒子210Bは、第1実施形態で示した第1粒子1Aと同じく、保持部12に調湿性液体11を膨潤させた粒子が好ましい。
【0152】
コアシェル粒子は、膨潤粒子よりも相対的に乾燥し難い。そのため、コアシェル粒子を除去部223に近い位置に配置することにより、好適にコアシェル粒子から水分を除去することができる。
【0153】
さらに、調湿装置200は、調湿装置200の内部で空気を流動させるためのファンを有していてもよい。ファンは、例えば調湿装置200の外部から調湿装置200の内部に空気を取り入れ、調湿装置200の内部で空気を流動させる。これにより、調湿装置200が有する調湿材210の周囲の空気が入れ替わりやすく、調湿が容易となる。
【0154】
以上のような調湿装置200は、上述した調湿材を有するため、吸収した水分量を把握しやすい調湿装置となる。
【0155】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6