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特許7397976電力線通信に適用されるインタフェース回路、ストリング及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電力線通信に適用されるインタフェース回路、ストリング及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/54 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H04B3/54
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022519498
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2020091995
(87)【国際公開番号】W WO2021057054
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】201910936910.3
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュウイ,ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ヤーン
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007382(JP,A)
【文献】国際公開第2013/014879(WO,A1)
【文献】特開2014-039178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信に適用されるシステムであって、
インバータ、複数のオプティマイザグループ、複数のキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線、
を有し、
前記複数のオプティマイザグループの各々が、1つ以上のオプティマイザを有し、各オプティマイザが、各太陽光発電モジュールに一対一の対応関係で接続され、且つ各太陽光発電モジュールによる直流出力を調節可能な直流に変換するように構成され、オプティマイザグループが、前記複数の電力線のうちの1つを介して前記複数のキャパシタのうちの1つに直列に接続され、
前記複数のキャパシタのいずれか一端に接続された前記複数の電力線が前記磁気リングを通り抜け、
前記信号線が前記磁気リングを通り抜けて前記インバータに接続され、前記信号線、前記複数の電力線、前記磁気リング、及び前記複数のキャパシタが、電力線通信PLC信号を伝送するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記複数のキャパシタのいずれか一端に接続された前記複数の電力線が前記磁気リングを通り抜けることは、
各オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が前記磁気リングを通り抜ける、
ことを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のキャパシタのいずれか一端に接続された前記複数の電力線が前記磁気リングを通り抜けることは、
各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が前記磁気リングを通り抜ける、
ことを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のキャパシタのいずれか一端に接続された前記複数の電力線が前記磁気リングを通り抜けることは、
第1のオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線と、第2のオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線とが、前記磁気リングを通り抜け、前記第1のオプティマイザグループ及び前記第2のオプティマイザグループは、前記複数のオプティマイザグループのうち2つの異なるオプティマイザグループである、
ことを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
電力線通信に適用されるインタフェース回路であって、
複数のキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線、
を有し、
前記複数のキャパシタの両端にそれぞれ前記複数の電力線が接続され、キャパシタの一端に接続された電力線ポートが第1のインタフェースを形成し、キャパシタの他端に接続された電力線ポートが第2のインタフェースを形成し、
キャパシタのいずれか一端に接続された前記電力線が前記磁気リングを通り抜け、
前記信号線が前記磁気リングを通り抜け、前記信号線の2つのポートがそれぞれ第3のインタフェース及び第4のインタフェースを形成し、
前記第1のインタフェース及び前記第2のインタフェースは、オプティマイザに接続するように構成され、
前記第3のインタフェース及び前記第4のインタフェースは、インバータに接続するように構成され、
当該インタフェース回路は、PLC信号を伝送するように構成されている、
インタフェース回路。
【請求項6】
当該インタフェース回路は更に、
前記第3のインタフェースと前記第4のインタフェースとに接続されたインバータ、
を有する、請求項に記載のインタフェース回路。
【請求項7】
請求項に記載のインタフェース回路を有するストリングであって、当該ストリングは更に、
少なくとも1つのオプティマイザグループ、
を有し、
前記少なくとも1つのオプティマイザグループの各々が、複数の直列接続されたオプティマイザを有し、前記少なくとも1つのオプティマイザグループの両端がそれぞれ前記第1のインタフェース及び前記第2のインタフェースに接続される、
ストリング。
【請求項8】
当該ストリングは更に、
前記オプティマイザに接続された太陽光発電モジュールであり、前記オプティマイザが、当該太陽光発電モジュールによって出力される直流を調節可能な直流に変換するように構成されている、太陽光発電モジュール、
を有する、請求項に記載のストリング。
【請求項9】
電力線通信に適用される装置であって、当該装置は、請求項に記載のストリングを少なくとも1つ有し、当該装置は更に、
前記第3のインタフェースと前記第4のインタフェースとに接続されたインバータ、
を有する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
の出願は、電力線通信技術の分野に関し、特に、電力線通信に適用されるインタフェース回路、ストリング、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーの再生可能でクリーンな性質により、グリッド接続太陽光発電(photovoltaic,PV)技術が急速に発展している。例えばオプティマイザ(シャットダウン装置とも呼ばれる)、インバータ、PVモジュール、及び電力線などのコンポーネントを含む太陽光発電システムは、高効率PVグリッド接続ソリューションの1つである。
【0003】
図1は、現在の一般的な太陽光発電システムを示しており、そこでは、電力線を用いてインバータをオプティマイザに接続するとともに1つのオプティマイザを別の1つのオプティマイザに接続し(これら複数のオプティマイザが直列接続され、そして、インバータに接続される)、そして、電力線通信(Power Line Communication,PLC)を用いることによって、インバータとオプティマイザ(例えば、図1におけるオプティマイザ1からオプティマイザn)の各々との間での情報転送(例えば、サービスクエリ情報、コマンド制御情報、及びこれらに類するものについてのインタラクション操作)が行われる。インバータを電力線通信のマスタとみなすことができ、オプティマイザを電力線通信のスレーブとみなすことができる。電力線通信は、電力線通信、搬送通信、又は略してPLC通信などとも称されることがある。それは、高圧送電線(通常、電力搬送分野において35kV又はそれより高い電圧レベルを有する)、中圧送電線(10kV電圧レベル)、又は低圧配電線(380/220V加入者線)を情報伝送媒体として用いることによって音声又はデータ伝送を行う特殊な通信モードである。
【0004】
換言すれば、PLC通信は、基本的に、電力線に対してネットワーク信号(PLC信号とも呼ばれる)を変調して、既存の電力線を用いてネットワークケーブルレイアウト問題を解決する一方式である。インバータは、カップリング装置を用いることによって、電力線にPLC信号を送信するとともに電力線からPLC信号を受信する必要がある。現在、カップリング装置は一般に直接キャパシタカップリング方式を用いており、直接キャパシタカップリング方式の主な実装原理は、インバータがPLC信号を変調し、そして、キャパシタを用いてPLC信号を電力線に直接送信するというものである。しかしながら、この直接キャパシタカップリング方式は、キャパシタ選択について厳しい要件を課す(例えば、電力線上のPLC信号のインピーダンス要件を満たす必要があり、また、PLC信号減衰が激しすぎてはならない)。また、インバータに接続された2本の電力線間の最大電圧差が1500Vに達し得るので、キャパシタ選択は更に、インバータの内部の変調回路への影響を低減させるために安全仕様の要件を満たす必要がある。
【発明の概要】
【0005】
この出願の実施形態は、電力線通信に適用されるインタフェース回路、ストリング、及びシステムを提供する。電力線通信に適用される当該インタフェース回路、ストリング、装置、及びシステムは、磁気リングカップリング方式で形成される。直流の正極と負極との間で、当該インタフェース回路に接続されたオプティマイザグループ上に生成される高電圧が、当該インタフェース回路に接続されたインバータの内部の変調回路に導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータ内部の変調回路に入る(又はインバータ内部の変調回路上に生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。
【0006】
これに鑑み、この出願の実施形態の第1態様によれば、電力線通信に適用されるシステムが提供され、具体的には、インバータ、少なくとも1つのオプティマイザグループ、少なくとも1つのキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線を含む。オプティマイザグループの数は、キャパシタの数と同じであってもよいし、異なってもよい。これは、ここで限定されることではない。留意すべきことには、上記少なくとも1つのオプティマイザグループの各々が、1つ以上のオプティマイザ及び1つ以上の太陽光発電モジュールを含み、各オプティマイザが、各太陽光発電モジュールに一対一の対応関係で接続され、且つ各太陽光発電モジュールによる直流出力を調節可能な直流に変換するように構成され、上記1つ以上のオプティマイザが、電力線を介して少なくとも1つのキャパシタに直列に接続される(例えば、オプティマイザグループの数がキャパシタの数と同じである場合、1つ以上のオプティマイザモジュールを含む各オプティマイザグループが各キャパシタに一対一の対応関係で直列に接続される)。そして、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜け、すなわち、各オプティマイザグループ内のオプティマイザが直列に接続された後に、該オプティマイザグループが、電力線を介して各キャパシタの両端に接続される。最後に、信号線が磁気リングを通り抜けてインバータに接続される。信号線、電力線、磁気リング、及びキャパシタは、インバータ及び/又は少なくとも1つのオプティマイザ上に生成されるPLC信号を伝送するように構成される。
【0007】
この出願の前述の実施形態では、磁気リングカップリング方式を用いることにより、直流の正極と負極との間でオプティマイザグループ上に生成される高電圧がインバータに導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータに入る(又はインバータ内部で生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。従って、インバータ内部の変調回路の設計に、安全仕様、キャパシタンス値、及びこれらに類するものの要件が課されず、それにより、設計要求が低減され、安全性能が改善される。
【0008】
この出願の実施形態の第1の態様を参照するに、この出願の実施形態の第1の態様の第1の実装において、当該システム内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、1つのオプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは具体的に、該オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0009】
この出願の実施形態の第1の態様を参照するに、この出願の実施形態の第1の態様の第2の実装において、当該システム内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、1つのオプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは具体的に、該オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0010】
この出願の前述の実施形態では、当該システムは、1つのみのオプティマイザグループを含み、該オプティマイザグループの直流負極出力端又は直流正極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜ける。この出願の前述の実施形態は、多様性にフィーチャして、1つのオプティマイザグループのみが存在する場合に電力線がどのように磁気リングを通り抜けるかを具体的に記述している。
【0011】
この出願の実施形態の第1の態様を参照するに、この出願の実施形態の第1の態様の第3の実装において、当該システム内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは、各オプティマイザグループの直流出力端正極に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0012】
この出願の実施形態の第1の態様を参照するに、この出願の実施形態の第1の態様の第4の実装において、当該システム内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは、各オプティマイザグループの直流出力端負極に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0013】
この出願の実施形態の第1の態様を参照するに、この出願の実施形態の第1の態様の第5の実装において、当該システム内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは、第1のオプティマイザグループの直流出力端正極に接続された電力線と、第2のオプティマイザグループの直流負極に接続された電力線とが、磁気リングを通り抜けることを含み、第1のオプティマイザグループ及び第2のオプティマイザグループは、上記複数のオプティマイザグループのうち2つの異なるオプティマイザグループである。
【0014】
この出願の前述の実施形態において、当該システムは、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含む。従って、それらオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が全て磁気リングを通り抜けるか、あるいは、それらオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が全て磁気リングを通り抜けるか、あるいは、それらオプティマイザグループの直流負極出力端又は直流正極出力端に接続された電力線が混在した方式で磁気リングを通り抜けるかする。この出願の前述の実施形態は、柔軟性及び選択性にフィーチャして、複数のオプティマイザグループが存在する場合に電力線がどのように磁気リングを通り抜けるかを具体的に記述して、磁気リングの複数の通り抜け方を提供している。
【0015】
この出願の実施形態の第2の態様によれば、電力線通信に適用されるインタフェース回路が提供される。当該インタフェース回路は、少なくとも1つのキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線を含み得る。上記少なくとも1つのキャパシタの両端にそれぞれ電力線が接続される。各キャパシタの一端に接続された電力線ポートが第1のインタフェースを形成し、各キャパシタの他端に接続された電力線ポートが第2のインタフェースを形成する。第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、オプティマイザに接続するように構成される。各キャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜ける。さらに、信号線も磁気リングを通り抜ける。信号線の2つのポートがそれぞれ第3のインタフェース及び第4のインタフェースを形成する。第3のインタフェース及び第4のインタフェースは、インバータに接続するように構成される。当該インタフェース回路は、オプティマイザ及び/又はインバータ上に生成されるPLC信号を伝送するように構成される。
【0016】
この出願の実施形態の第2の態様を参照するに、この出願の実施形態の第2の態様の第1の実装において、当該インタフェース回路は更に、第3のインタフェースと第4のインタフェースとに接続されたインバータを含む。
【0017】
この出願の前述の実施形態は、電力線通信に適用されるインタフェース回路を具体的に記述している。斯くして、直流の正極と負極との間で、当該インタフェース回路に接続されたオプティマイザグループ上に生成される高電圧が、当該インタフェース回路に接続されたインバータの内部の変調回路に導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータ内部の変調回路に入る(又はインバータ内部の変調回路上に生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。
【0018】
この出願の実施形態の第3の態様によれば、電力線通信に適用されるストリングが提供される。この出願の実施形態の第2の態様に従ったインタフェース回路に加えて、当該ストリングは更に、少なくとも1つのオプティマイザグループを含む。該少なくとも1つのオプティマイザグループの各々が、複数の直列接続されたオプティマイザを含み、各オプティマイザグループの両端が、それぞれ、前述のインタフェース回路の第1のインタフェース及び第2のインタフェースに接続される。
【0019】
この出願の実施形態の第3の態様を参照するに、この出願の実施形態の第3の態様の第1の実装において、当該ストリングは更に、各オプティマイザに接続された太陽光発電モジュールを含むことができ、該オプティマイザが、該太陽光発電モジュールによって出力される直流を調節可能な直流に変換するように構成される。
【0020】
この出願の前述の実装は、電力線通信に適用されるストリングを具体的に記述している。第1のインタフェース及び第2のインタフェースを用いることによって、ストリング内の各オプティマイザグループが、上の各キャパシタに一対一で接続される。斯くして、各オプティマイザグループ内のオプティマイザによって生成されるPLC信号を、電力線、信号線、磁気リング、及び対応するキャパシタを用いて伝送することができる。
【0021】
この出願の実施形態の第4の態様によれば、電力線通信に適用される装置が提供される。当該装置は、この出願の実施形態の第3の態様と第3の態様の第1の実装とのいずれかに従ったストリングを含む。加えて、当該装置は更にインバータを含み、該インバータが別個に第3のインタフェースと第4のインタフェースとに接続され得る。この場合、電力線、信号線、磁気リング、及び少なくとも1つのキャパシタが、インバータ及び/又はオプティマイザに生成されるPLC信号を伝送するように構成される。該キャパシタは信号チャネルとして存在する。
【0022】
この出願の前述の実施形態では、磁気リングカップリング方式を用いることにより、直流の正極と負極との間でオプティマイザグループ上に生成される高電圧がインバータに導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータに入る(又はインバータ内部で生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。
【0023】
この出願の実施形態の第4の態様を参照するに、この出願の実施形態の第4の態様の第1の実装において、当該装置内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、1つのオプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは具体的に、該オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0024】
この出願の実施形態の第4の態様を参照するに、この出願の実施形態の第4の態様の第2の実装において、当該装置内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、1つのオプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは具体的に、該オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0025】
この出願の前述の実施形態では、当該装置は、1つのみのオプティマイザグループを含み、該オプティマイザグループの直流負極出力端又は直流正極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜ける。この出願の前述の実施形態は、多様性にフィーチャして、1つのオプティマイザグループのみが存在する場合に電力線がどのように磁気リングを通り抜けるかを具体的に記述している。
【0026】
この出願の実施形態の第4の態様を参照するに、この出願の実施形態の第4の態様の第3の実装において、当該装置内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは、各オプティマイザグループの直流出力端極に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0027】
この出願の実施形態の第4の態様を参照するに、この出願の実施形態の第4の態様の第4の実装において、当該装置内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは、上記複数のオプティマイザグループの各々の直流負極に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることを含む。
【0028】
この出願の実施形態の第4の態様を参照するに、この出願の実施形態の第4の態様の第5の実装において、当該装置内の上記少なくとも1つのオプティマイザグループは具体的に、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含み、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けることは、第1のオプティマイザグループの直流出力端正極に接続された電力線と、第2のオプティマイザグループの直流負極に接続された電力線とが、磁気リングを通り抜けることを含み、第1のオプティマイザグループ及び第2のオプティマイザグループは、上記複数のオプティマイザグループのうち2つの異なるオプティマイザグループである。
【0029】
この出願の前述の実施形態において、当該装置は、複数の(例えば、2つ以上の)オプティマイザグループを含む。従って、それらオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が全て磁気リングを通り抜けるか、あるいは、それらオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が全て磁気リングを通り抜けるか、あるいは、それらオプティマイザグループの直流負極出力端又は直流正極出力端に接続された電力線が混在した方式で磁気リングを通り抜けるかする。この出願の前述の実施形態は、柔軟性及び選択性にフィーチャして、複数のオプティマイザグループが存在する場合に電力線がどのように磁気リングを通り抜けるかを具体的に記述して、磁気リングの複数の通り抜け方を提供している。
【0030】
この出願の実施形態の第5の態様によれば、電力線通信に適用されるシステムが更に提供される。当該システムは具体的に、
インバータ、オプティマイザグループ、キャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線を含む。磁気リングを通り抜ける信号線の両端がインバータに接続され、磁気リングを通り抜ける電力線の両端がそれぞれキャパシタ及びオプティマイザグループに接続される。磁気リング、信号線、電力線、及びキャパシタが、電力線通信PLC信号を伝送するように構成される。オプティマイザグループは、1つのオプティマイザ又は複数の直列接続されたオプティマイザを含む。オプティマイザグループは、太陽光発電モジュールに接続して、該太陽光発電モジュールによって出力される直流の大きさを調節するように構成される。
【0031】
この出願の前述の実施形態では、磁気リングカップリング方式を用いることにより、直流の正極と負極との間でオプティマイザグループ上に生成される高電圧がインバータに導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータに入る(又はインバータ内部で生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。
【0032】
この出願の実施形態の第5の態様を参照するに、この出願の実施形態の第5の態様の第1の実装において、磁気リングを通り抜ける信号線の両端がインバータに接続され、磁気リングを通り抜ける電力線の両端がそれぞれキャパシタ及びオプティマイザグループに接続されることは、具体的に、第1の磁気リングを通り抜ける第1の信号線の両端がインバータに接続され、第1の磁気リングを通り抜ける第1の電力線の両端がそれぞれ第1のキャパシタ及び第1のオプティマイザグループに接続され、第2の磁気リングを通り抜ける第2の信号線の両端がインバータに接続され、第2の磁気リングを通り抜ける第2の電力線の両端がそれぞれ第2のキャパシタ及び第2のオプティマイザグループに接続されることを含む。
【0033】
この出願の前述の実施形態は、複数の磁気リングが存在する場合に、柔軟性にフィーチャして、オプティマイザグループと、キャパシタと、該複数の磁気リングとの間の特定の接続関係を具体的に記述している。
【0034】
この出願の実施形態の第5の態様を参照するに、この出願の実施形態の第5の態様の第2の実装において、磁気リングを通り抜ける信号線の両端がインバータに接続され、磁気リングを通り抜ける電力線の両端がそれぞれキャパシタ及びオプティマイザグループに接続されることは、具体的に、磁気リングを通り抜ける信号線の両端がインバータに接続され、磁気リングを通り抜ける第1の電力線の両端がそれぞれ第1のキャパシタ及び第1のオプティマイザグループに接続され、磁気リングを通り抜ける第2の電力線の両端がそれぞれ第2のキャパシタ及び第2のオプティマイザグループに接続されることを含む。
【0035】
この出願の前述の実施形態は、1つの磁気リングが存在する場合に、柔軟性にフィーチャして、オプティマイザグループと、キャパシタと、該磁気リングとの間の特定の接続関係を具体的に記述している。
【0036】
この出願の実施形態の第5の態様の第2の実装を参照するに、この出願の実施形態の第5の態様の第3の実装において、磁気リングを通り抜ける第1の電力線の両端がそれぞれ第1のキャパシタ及び第1のオプティマイザグループに接続され、磁気リングを通り抜ける第2の電力線の両端がそれぞれ第2のキャパシタ及び第2のオプティマイザグループに接続されることは、具体的に、第1の電力線が、直流を出力する第1のオプティマイザグループの正極に接続され、第2の電力線が、直流を出力する第2のオプティマイザグループの負極に接続されることを含む。
【0037】
この出願の前述の実施形態は、複数のオプティマイザグループが存在する場合に、柔軟性にフィーチャして、キャパシタと該複数のオプティマイザグループとの間の特定の接続方式を具体的に記述している。
【0038】
この出願の実施形態の第5の態様の第2の実装を参照するに、この出願の実施形態の第5の態様の第4の実装において、磁気リングを通り抜ける第1の電力線の両端がそれぞれ第1のキャパシタ及び第1のオプティマイザグループに接続され、磁気リングを通り抜ける第2の電力線の両端がそれぞれ第2のキャパシタ及び第2のオプティマイザグループに接続されることは、具体的に、第1の電力線が、直流を出力する第1のオプティマイザグループの正極に接続され、且つ第2の電力線が、直流を出力する第2のオプティマイザグループの正極に接続されること、又は、第1の電力線が、直流を出力する第1のオプティマイザグループの負極に接続され、且つ第2の電力線が、直流を出力する第2のオプティマイザグループの負極に接続されること、を含む。
【0039】
この出願の前述の実施形態は、複数のオプティマイザグループが存在する場合に、選択性にフィーチャして、キャパシタと該複数のオプティマイザグループとの間の別の特定の接続方式を具体的に記述している。
【0040】
この出願の実施形態の第6の態様によれば、電力線通信に適用されるインタフェース回路が提供される。当該インタフェース回路は具体的に、磁気リング、信号線、複数の電力線、及びキャパシタを含み得る。キャパシタの一端に接続された第1の電力線のポートが第1のインタフェースを形成し、キャパシタの他端に接続された第2の電力線のポートが第2のインタフェースを形成する。第1の電力線又は第2の電力線が磁気リングを通り抜ける。磁気リングを通り抜ける信号線の両端がそれぞれ第3のインタフェース及び第4のインタフェースを形成する。第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、オプティマイザに接続するように構成される。第3のインタフェース及び第4のインタフェースは、インバータに接続するように構成される。当該インタフェース回路は、PLC信号を伝送するように構成される。
【0041】
この出願の前述の実施形態は、電力線通信に適用されるインタフェース回路を具体的に記述している。斯くして、直流の正極と負極との間で、当該インタフェース回路に接続されたオプティマイザグループ上に生成される高電圧が、当該インタフェース回路に接続されたインバータの内部の変調回路に導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータ内部の変調回路に入る(又はインバータ内部の変調回路上に生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。
【0042】
この出願の実施形態の第7の態様によれば、電力線通信に適用されるインバータが更に提供される。当該インバータは具体的に、磁気リング、信号線、複数の電力線、及びキャパシタを含み得る。キャパシタの一端に接続された電力線ポートが第1のインタフェースを形成し、キャパシタの他端に接続された電力線ポートが第2のインタフェースを形成する。第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、オプティマイザに接続するように構成される。インタフェース回路は、PLC信号を伝送するように構成される。
【0043】
この出願の実施形態の第8の態様によれば、電力線通信に適用されるストリングが更に提供される。この出願の実施形態の第6の態様に従ったインタフェース回路に加えて、当該ストリングは更にオプティマイザグループを含む。該オプティマイザグループは、1つのオプティマイザ又は複数の直列接続されたオプティマイザを含み、該オプティマイザグループの両端が、それぞれ、前述のインタフェース回路の第1のインタフェース及び第2のインタフェースに接続される。
【0044】
この出願の実施形態の第8の態様を参照するに、この出願の実施形態の第8の態様の第1の実装において、当該ストリングは更に、各オプティマイザに接続された太陽光発電モジュールを含むことができ、該オプティマイザが、該太陽光発電モジュールによって出力される直流の大きさを調節するように構成される。
【0045】
この出願の前述の実装は、電力線通信に適用されるストリングを具体的に記述している。第1のインタフェース及び第2のインタフェースを用いることによって、ストリング内の各オプティマイザグループが、上の各キャパシタに一対一で接続される。斯くして、各オプティマイザグループ内のオプティマイザによって生成されるPLC信号を、電力線、信号線、磁気リング、及び対応するキャパシタを用いて伝送することができる。
【0046】
この出願の実施形態の第9の態様によれば、電力線通信に適用される装置が更に提供される。当該装置は、この出願の実施形態の第8の態様と第8の態様の第1の実装とのいずれかに従ったストリングを含む。加えて、当該装置は更にインバータを含み、該インバータが別個に第3のインタフェースと第4のインタフェースとに接続され得る。この場合、電力線、信号線、磁気リング、及びキャパシタが、インバータ及び/又はオプティマイザに生成されるPLC信号を伝送するように構成される。該キャパシタは信号チャネルとして存在する。
【0047】
前述の技術的ソリューションから学び得ることには、この出願の実施形態で提供される電力線通信に適用されるインタフェース回路は、少なくとも1つのキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線を含む。上記少なくとも1つのキャパシタの両端にそれぞれ電力線が接続される。上記少なくとも1つのキャパシタの一端に接続された電力線ポートが第1のインタフェースを形成し、上記少なくとも1つのキャパシタの他端に接続された電力線ポートが第2のインタフェースを形成する。例えば、1つのキャパシタ(C1と称する)が存在する場合、キャパシタC1の両端にそれぞれ電力線が接続される。一端の電力線のインタフェースが第1のインタフェースであり、他端の電力線のインタフェースが第2のインタフェースである。他の一例で、3つのキャパシタ(C2、C3、及びC4と称する)が存在する場合、これら3つのキャパシタの両端にそれぞれ電力線が接続される。C2、C3、及びC4の一端にそれぞれ接続された電力線のインタフェースを各々、第1のインタフェースと称することができ、C2、C3、及びC4の他端にそれぞれ接続された電力線のインタフェースを各々、第2のインタフェースと称することができる。さらに、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜ける。同様に、信号線も磁気リングを通り抜ける。信号線の2つのポートがそれぞれ第3のインタフェース及び第4のインタフェースを形成する。当該インタフェース回路は電力線通信に適用される。第1のインタフェース及び第2のインタフェースは更に、オプティマイザグループに接続され得る(オプティマイザグループ内のオプティマイザは太陽光発電モジュールに接続される)。第3のインタフェース及び第4のインタフェースを更にインバータに接続して、電力線、信号線、磁気リング、及び上記少なくとも1つのキャパシタが、オプティマイザ及び/又はインバータ上に生成されるPLC信号を伝送するように構成され得るようにすることができる。この出願の前述の実施形態では、電力線通信に適用されるインタフェース回路が、磁気リングカップリング方式で形成される。直流の正極と負極との間で、インタフェース回路に接続されたオプティマイザグループ上に生成される高電圧が、インタフェース回路に接続されたインバータの内部の変調回路に導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータ内部の変調回路に入る(又はインバータ内部の変調回路上に生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。さらに、1つの磁気リングのみを使用するので、太陽光発電システム全体のコストが更に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】現在の一般的な太陽光発電システムの概略図である。
図2】太陽光発電システムで一般的に使用されている、PLC信号を伝送するのに用いられる直接キャパシタカップリング方式の概略図である。
図3】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるシステムの概略図である。
図4】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるシステムの他の概略図である。
図5】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるシステムの他の概略図である。
図6】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるシステムの他の概略図である。
図7】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるシステムの他の概略図である。
図8】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるインタフェース回路の概略図である。
図9】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるインタフェース回路の他の概略図である。
図10】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるインタフェース回路の他の概略図である。
図11】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるストリングの概略図である。
図12】この出願の一実施形態に従った電力線通信に適用されるストリングの他の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
この出願の実施形態は、電力線通信に適用されるインタフェース回路、ストリング、及びシステムを提供する。電力線通信に適用される当該インタフェース回路は、磁気リングカップリング方式で形成される。斯くして、直流の正極と負極との間で、当該インタフェース回路に接続されたオプティマイザグループ上に生成される高電圧が、当該インタフェース回路に接続されたインバータの内部の変調回路に導入されることはなく、オプティマイザ上に生成されるPLC信号のみが電力線及び信号線を通ってインバータ内部の変調回路に入る(又はインバータ内部の変調回路上に生成されるPLC信号が信号線及び電力線を通ってオプティマイザに入る)。これは、例えばキャパシタなどのデバイスの仕様要件及び設計上の難しさを低減させ、安全性能を向上させる。さらに、1つの磁気リングのみを使用するので、太陽光発電システム全体のコストが更に低減される。
【0050】
実施形態を説明する前に、先ず、この出願の実施形態に現れ得る概念を説明する。理解されるべきことには、関係する概念の説明は、この出願の実施形態の具体的状況によって限られ得るが、これは、この出願がそれらの具体的状況のみに限定されることを意味するものではなく、異なる実施形態の具体的状況は異なることができる。これは、ここで特に限定されることではない。
【0051】
太陽光発電システムは、例えばオプティマイザ(シャットダウン装置とも呼ばれる)、インバータ、PVモジュール、及び電力線などのコンポーネントを含む。PVモジュールは、コアコンポーネントであり、太陽エネルギーを電気エネルギー(これは通常は直流である)に変換するためのシステムである。PVモジュールに対する光放射の影響は比較的大きいので、光放射が強くて放射時間が長いとき(例えば、夏季)、変換により得られる直流電流は相対的に大きく、逆に、光放射が弱くて放射時間が短いとき(例えば、曇りの日)には、変換により得られる直流は相対的に小さい。例えば、遮る物体によってPVモジュールが覆われているとき、PVモジュールの電気エネルギー収率が著しく低下する。また、PVモジュールが直列接続された後に電力線上に生成される電圧は非常に高いので、火災又は他の危険の場合に、人の安全を守るため、PVモジュールが直列接続された後に生成される電圧を下げる方法が存在することを必要とする。前述の説明に基づき、オプティマイザが登場する。オプティマイザは、シャットダウン装置とも呼ばれ、PVモジュールによって生成される直流を調節可能な直流へと変換する(すなわち、PVモジュールによって出力される直流に対して直流-直流変換を行って、調節可能な電圧及び電流を持つ直流を出力する)ための装置である。オプティマイザは、PVモジュールによって生成される直流を動的に制御するように構成される。例えば、PVモジュールが覆われているとき、複数の直列接続されたPVモジュールのうち、あるPVモジュール(すなわち、覆われたPVモジュール)は不安定な出力電力を有する。オプティマイザがない場合、直列接続されたPVモジュールの電力線上の電流値は、覆われたPVモジュールによって出力される電流値(すなわち、最小の電流値)まで減少し、資源の無駄を生じる。オプティマイザの機能は、各PVモジュールの出力電力をバランスさせ、電力線上の全体的な出力電力が安定であるようにすることである。さらに、オプティマイザは、可能性ある安全上の危険を減らすために、緊急時に、対応して接続されたPVモジュールの出力を遮断し得る。インバータは、直流-交流電源であり、すなわち、オプティマイザによって出力される調節可能直流出力を交流へと変換する。インバータとオプティマイザは電力線を介して接続され、電力線を用いて、サービスクエリ情報、コマンド制御情報、及びこれらに類するものについてのインタラクション操作を含め、情報転送が行われる。
【0052】
加えて、太陽光発電システムにおいて現在一般的に使用されている電力線通信方式(すなわち、直接キャパシタカップリング方式)を更に説明する。直接キャパシタカップリング方式の主な実装原理は、インバータがPLC信号を変調し、そして、キャパシタを用いてPLC信号を電力線に直接送信するというものである。具体的には、図2に示すように(図2にはPVモジュールは示していない)、少なくとも1つのオプティマイザ(例えば、1つのオプティマイザ又は2つ以上のオプティマイザが存在することができ、これはここで限定されることではない)を直列接続することによって形成されるオプティマイザグループ11が、別個に、電力線を介して2つのキャパシタC11及びC12(PLC信号は差動信号であるため、一部の実装ではキャパシタC11又はC12の一方のみが存在してもよい)の一端に接続され、C11及びC12の他端がインバータ内部の変調回路に接続される。なお、オプティマイザグループ11と同様の複数の他のオプティマイザグループ(図2におけるオプティマイザグループ12、…、及びオプティマイザグループ1n)をインバータの変調回路に接続して、複数のオプティマイザグループに対するインバータの制御を実装してもよい。しかしながら、この直接キャパシタカップリング方式は、キャパシタ選択について厳しい要件を課す(例えば、電力線上のPLC信号のインピーダンス要件を満たす必要があり、また、PLC信号減衰が激しすぎてはならない)。また、インバータに接続された2本の電力線間の最大電圧差が1500Vに達し得るので、このキャパシタカップリング方式は更に、高い直流電圧をインバータの変調回路(変調回路はPLC信号を送信するように構成される)に導入する。従って、インバータの変調回路のケーブルレイアウト方式及びコンポーネント選択に対して、より高い要件が課され、インバータ内部の変調回路のコストが増加する。複数の信号(図2におけるオプティマイザグループ11、オプティマイザグループ12、…、及びオプティマイザグループ1n)に対してカップリングが必要とされる場合、カップリングに用いられる複数のキャパシタ(図2に示すキャパシタC11、C12、C21、C22、…、Cn1、及びCn2)が更に必要となり、コストが更に増加する。
【0053】
これに基づき、キャパシタカップリング方式によって生じる前述の問題を解決するため、この出願の一実施形態は、先ず、電力線通信に適用されるシステムを提供する。当該システムは、インバータ、少なくとも1つのオプティマイザグループ、少なくとも1つのキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線を含む。オプティマイザグループの数は、キャパシタの数と同じであってもよいし、異なってもよい。留意すべきことには、上記少なくとも1つのオプティマイザグループの各々が、1つ以上のオプティマイザ及び1つ以上の太陽光発電モジュールを含み、各オプティマイザが、各太陽光発電モジュールに一対一の対応関係で接続され、且つ各太陽光発電モジュールによる直流出力を調節可能な直流に変換するように構成され、上記1つ以上のオプティマイザが、電力線を介して少なくとも1つのキャパシタに直列に接続される(例えば、オプティマイザグループの数がキャパシタの数と同じである場合、1つ以上のオプティマイザモジュールを含む各オプティマイザグループが各キャパシタに一対一の対応関係で直列に接続される)。そして、上記少なくとも1つのキャパシタのいずれか一端に接続された電力線が磁気リングを通り抜け、すなわち、各オプティマイザグループ内のオプティマイザが直列に接続された後に、該オプティマイザグループが、電力線を介して各キャパシタの両端に接続される。最後に、信号線が磁気リングを通り抜けてインバータに接続される。信号線、電力線、磁気リング、及びキャパシタは、インバータ及び/又は少なくとも1つのオプティマイザ上に生成されるPLC信号を伝送するように構成される。
【0054】
この出願のこの実施形態では、1つ以上のオプティマイザグループが存在し得るので、1つ以上の対応するキャパシタが存在し得る。以下、様々なケースを別々に説明する。
【0055】
ケース1:システムが、1つのオプティマイザグループと、1つのキャパシタとを含む。
【0056】
図3に示すように、システムが1つのみのオプティマイザグループA(オプティマイザグループAは少なくとも1つのオプティマイザを含み、各オプティマイザが1つのPVモジュールに対応して接続される;図3にはPVモジュールを示していない)を含む場合、キャパシタC31の両端へのオプティマイザグループAの接続を受けて電圧が生成される。図3では、オプティマイザグループAの直流正極出力端に接続された電力線を実線で表し、オプティマイザグループAの直流負極出力端に接続された電力線を破線で表している。このケースでは、オプティマイザグループAの直流正極出力端に接続された電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜けることができ、これは、図3に示したケースである。確かなことには、オプティマイザグループAの直流負極出力端に接続された電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜けてもよい。これは、ここで限定されることではない。
【0057】
ケース2:システムが、少なくとも2つのオプティマイザグループと、少なくとも2つのキャパシタとを含む。
【0058】
図4に示すように、システムが複数のオプティマイザグループ(2つ以上のオプティマイザグループであり、各オプティマイザグループが少なくとも1つのオプティマイザを含み、各オプティマイザグループが1つのPVモジュールに対応して接続される;図4にはPVモジュールを示していない)を含む場合、各オプティマイザグループが、図3におけるものと同様の接続方式で接続されてからインバータに接続され得る。具体的には、図4に示すように、各オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が各磁気リングを通り抜ける。実際には、代わりに、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が各磁気リングを通り抜けてもよい。詳細をここで説明することはしない。
【0059】
また、図4における方式に加えて、システムが少なくとも2つのオプティマイザグループと少なくとも2つのキャパシタとを含むケースは、代わりに図5に示され得る。図5に示すシステムが少なくとも2つのオプティマイザグループを含むとき(各オプティマイザグループが少なくとも1つのオプティマイザを含み、各オプティマイザが1つのPVモジュールに対応して接続される;図5にはPVモジュールを示していない)、各オプティマイザグループに接続された対応するキャパシタの両端に電圧が生成される。図5では、各オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線を実線で表し、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線を破線で表している。このケースでは、各オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜けることができ、これは、図5に示したケースである。少なくとも2つのオプティマイザグループが含まれる図5のこのケースは、複数のオプティマイザグループの電力線にPLC信号をカップリングすることを可能にする。しかしながら、このカップリング方式は、磁気リングに対して貫通電流(through-current)要件を課し、すなわち、複数のオプティマイザグループ上の電流の和の影響が磁気リングの飽和を引き起こさないことが要求される。
【0060】
留意すべきことには、この出願の一部の実装では、代わりに、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が磁気リングを通り抜けてもよい。図6に示すように、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜ける。
【0061】
更に留意すべきことには、この出願の一部の実装では、代わりに、第1のオプティマイザグループの直流出力端正極に接続された電力線と、第2のオプティマイザグループの直流負極に接続された電力線とが、磁気リングを通り抜けてもよい。第1のオプティマイザグループ及び第2のオプティマイザグループは、複数のオプティマイザグループのうちの2つの異なるオプティマイザグループである。図7(3つのオプティマイザグループを示している)に示すように、1つのオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜け、さらに、2つのオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜ける。この出願の一部の実装では、代わりに、磁気リングを通り抜ける電力線が、あるオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線と、あるオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線とを含むのであれば、2つのオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜けてもよく、さらに、1つのオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜ける。これは、ここで特に限定されることではない。
【0062】
あるオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線又は/及びあるオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が混在した方式で磁気リングを通り抜けるものである前述の方式は、磁気リングに対する貫通電流要件を減ずることができる。磁気リングの貫通電流への影響は、主に、電流のバイアスによって引き起こされる磁気リングの激しい透磁率減衰に由来する。例えば、システム内の6つのオプティマイザグループをインバータに接続する必要があると仮定すると、オプティマイザグループ1、2、及び3の直流正極出力端に接続された電力線と、オプティマイザグループ4、5、及び6の直流負極出力端に接続された電力線とが共に磁気リングを通り抜けるとし得る。オプティマイザグループ1、2、及び3の直流正極出力端に接続された電力線上の電流と、オプティマイザグループ4、5、及び6の直流負極出力端に接続された電力線上の電流は、逆の方向を持ち、これらの電流によってそれぞれ生成される磁束も逆の方向を持つので、磁束を重ね合わすとそれらが互いに打ち消し合い、それにより、磁気リングへのバイアスの影響が大幅に低減される。
【0063】
また、この出願の一実施形態は更にインタフェース回路を提供する。当該インタフェース回路は電力線通信に適用される。当該インタフェース回路は、少なくとも1つのキャパシタ、磁気リング、複数の電力線、及び信号線を含み得る。当該インタフェース回路は、異なる数のキャパシタを含み得るので、以下、幾つかのケースを別々に説明する。
【0064】
1. インタフェース回路が、1つのキャパシタ、磁気リング、電力線、及び信号線を含む。
【0065】
インタフェース回路が1つのキャパシタC31のみを含む場合、キャパシタC31と磁気リング、電力線、及び信号線との間の接続の概略図を図8に示す。キャパシタC31の両端にそれぞれ電力線が接続される。キャパシタC31の一端に接続された電力線ポートが第1のインタフェースP1を形成し、キャパシタC31の他端に接続された電力線ポートが第2のインタフェースP2を形成する。キャパシタC31のいずれか一端に接続された電力線(図8には、第1のインタフェースP1を形成する電力線を示している)が磁気リングを通り抜ける。さらに、信号線も磁気リングを通り抜ける。信号線の一方のポートが第3のインタフェースP3を形成し、信号線の他方のポートが第4のインタフェースP4を形成する。
【0066】
2. インタフェース回路が、少なくとも2つのキャパシタ、磁気リング、電力線、及び信号線を含む。
【0067】
インタフェース回路が少なくとも2つのキャパシタを含み、3つのキャパシタ(それぞれ、C41、C42、及びC43)を有する一例を説明のために用いる場合、それら3つのキャパシタと磁気リング、電力線、及び信号線との間の接続の概略図を図9に示す。キャパシタC41、C42、及びC43の各々の両端に、電力線の各々が別々に接続される。キャパシタC41、C42、及びC43の一端に接続された電力線ポートが3つの第1のインタフェースを形成し、これら3つの第1のインタフェースを、それぞれ、P11、P12、及びP13と称し得る。キャパシタC41、C42、及びC43の他端に接続された電力線ポートが3つの第2のインタフェースを形成し、これら3つの第2のインタフェースを、それぞれ、P21、P22、及びP23と称し得る。キャパシタC41、C42、及びC43のいずれか一端に接続された電力線(図9には、3つの第1のインタフェースP11、P12、及びP13を形成する電力線を示している)が磁気リングを通り抜ける。さらに、信号線も磁気リングを通り抜ける。信号線の一方のポートが第3のインタフェースP31を形成し、信号線の他方のポートが第4のインタフェースP41を形成する。
【0068】
留意すべきことには、この出願の一部の実装において、インタフェース回路は更にインバータを含むことができ、該インバータは、第3のインタフェース及び第4のインタフェースを用いることによって磁気リングに接続される。従って、インバータ上に生成されるPLC信号を、インタフェース回路の電力線、磁気リング、及び少なくとも1つのキャパシタを用いて伝送することができる。理解を容易にするために、図10を説明のための例として用いる。図10に示すインタフェース回路が1つのキャパシタを含むケースは、図8に示すインタフェース回路に基づいて、第3のインタフェースP3と第4のインタフェースP4とがインバータ内部の変調回路に接続される。斯くして、インバータ内部の変調回路によって生成されたPLC信号を、信号線及び磁気リングを用いて電力線にカップリングさせることができる。同様に、図9に示すインタフェース回路を基礎として用いる場合にも、同様のやり方でインタフェース回路の第3のインタフェースP31と第4のインタフェースP41とがインバータ内部の変調回路に接続される。詳細をここで説明することはしない。
【0069】
電力線通信に適用されるインタフェース回路に加えて、この出願の一実施形態は更にストリングを提供する。当該ストリングも電力線通信に適用され、当該ストリングは、図8及び図9のいずれかに従ったインタフェース回路を含み得る。加えて、当該ストリングは更に、少なくとも1つのオプティマイザグループを含む。少なくとも1つのオプティマイザグループの数は、前述のインタフェース回路内の少なくとも1つのキャパシタの数と同じである。さらに、上記少なくとも1つのオプティマイザグループの各々は、少なくとも1つのオプティマイザを直列に接続することによって形成される(この直列接続は電力線を介して行われる)。各オプティマイザグループは、第1のインタフェース及び第2のインタフェースを用いることによって、上述の各キャパシタに一対一の対応関係で接続される。斯くして、各オプティマイザグループ内のオプティマイザによって生成されるPLC信号を、電力線、信号線、磁気リング、及び対応するキャパシタを用いて伝送することができる。当該ストリングは異なる数のオプティマイザグループを含み得るので、以下、幾つかのケースを別々に説明する。
【0070】
1. ストリングが1つのオプティマイザグループを含む。
【0071】
ストリングが1つのオプティマイザグループのみを含む場合、対応するインタフェース回路は1つのキャパシタのみを含む。図11に示すように、ストリング内のオプティマイザグループAの各オプティマイザが電力線を用いて直列に接続された後、ストリングが、第1のインタフェースP1及び第2のインタフェースP2(これらは図11には示していない)を用いてキャパシタC31に接続される。
【0072】
2. ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含む。
【0073】
ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含む場合、対応するインタフェース回路は、その数がオプティマイザグループの数と同じであるキャパシタを含む。図12に示すように、3つのオプティマイザグループが存在する例を説明のために用いる。これら3つのオプティマイザグループを、それぞれ、オプティマイザグループB、オプティマイザグループC、及びオプティマイザグループDと称する。この場合、(図9に示したように)3つの対応するキャパシタが存在する。オプティマイザグループB、オプティマイザグループC、及びオプティマイザグループDは、それぞれ、図4に示すキャパシタC41、C42、及びC43に一対一の対応関係で接続される(第1のインタフェースP11、P12、及びP13、並びに第2のインタフェースP21、P22、及びP23は、図12には示していない)。
【0074】
留意すべきことには、この出願の一部の実装において、ストリングは、少なくとも1つのオプティマイザグループに加えて、少なくとも1つのPVモジュールを含む。PVモジュールの数は、上記少なくとも1つのオプティマイザグループ内の全てのオプティマイザの数と同じである。各PVモジュールが各オプティマイザに一対一の対応関係で接続される。すなわち、1つのオプティマイザが、1つのPVモジュールに接続されるとともに、対応するPVモジュールによって生成される直流を調節するように、すなわち、各PVモジュールによって出力される直流を調節可能な直流に変換するように構成される。
【0075】
電力線通信に適用されるインタフェース回路及びストリングに加えて、この出願の一実施形態は更に装置を提供する。当該装置も電力線通信に適用される。当該装置は、図11及び図12のいずれかに従った少なくとも1つのストリングを含む。加えて、当該装置は更にインバータを含む。該インバータは、第3のインタフェース及び第4のインタフェースを用いることによって、磁気リングに別個に接続され得る。この場合、電力線、信号線、磁気リング、及び少なくとも1つのキャパシタが、インバータ及び/又はオプティマイザ内で生成されるPLC信号を伝送するように構成される。キャパシタは信号チャネルとして存在する。この出願のこの実施形態では、1つ以上のストリングが存在し得るとともに、各ストリング内に1つ以上のオプティマイザグループが存在し得る。以下、様々なケースを別々に説明する。
【0076】
ケース1:装置が1つのストリングを含み、該ストリングが1つのオプティマイザグループを含む。
【0077】
図3と同様に、装置が1つのみのストリングを含み且つ該ストリングが1つのみのオプティマイザグループAを含む場合、キャパシタC31の両端へのオプティマイザグループAの接続を受けて電圧が生成される。図3では、オプティマイザグループAの直流正極出力端に接続された電力線を実線で表し、オプティマイザグループAの直流負極出力端に接続された電力線を破線で表している。このケースでは、オプティマイザグループAの直流正極出力端に接続された電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜けることができる。確かなことには、オプティマイザグループAの直流負極出力端に接続された電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜けてもよい。これは、ここで限定されることではない。
【0078】
ケース2:装置が少なくとも2つのストリングを含み、各ストリングが1つのオプティマイザグループを含む。
【0079】
図4と同様に、装置が複数の(2つ以上の)ストリングを含み且つ各ストリングが1つのみのオプティマイザグループを含む場合、図4に示すように、各ストリングが、図3におけるものと同様の接続方式でインバータに接続され得る。留意すべきことには、各ストリング内のオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線が各磁気リングを通り抜ける。実際には、代わりに、オプティマイザグループの直流負極出力端に接続されたストリング内の電力線が各磁気リングを通り抜けてもよい。詳細をここで説明することはしない。
【0080】
ケース3:装置が1つのストリングを含み、該ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含む。
【0081】
図5と同様に、装置が1つのストリングを含み且つ該ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含む場合、各オプティマイザグループに接続された対応するキャパシタの両端に電圧が生成される。各オプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線を実線で表し、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線を破線で表している。このケースでは、各オプティマイザグループの直流正極出力端に接続されたストリング内の電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜けることができ、これは、図5に示したケースである。
【0082】
ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含むこのケースは、複数のストリングの電力線にPLC信号をカップリングすることを可能にする。しかしながら、このカップリング方式は、磁気リングに対して貫通電流(through-current)要件を課し、すなわち、複数のストリング上の電流の和の影響が磁気リングの飽和を引き起こさないことが要求される。
【0083】
留意すべきことには、この出願の一部の実装では、代わりに、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続されたストリング内の電力線が磁気リングを通り抜けてもよい。図6と同様に、各オプティマイザグループの直流負極出力端に接続されたストリング内の電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜ける。
【0084】
更に留意すべきことには、この出願の一部の実装では、ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含むので、代わりに、第1のオプティマイザグループの直流出力端正極に接続された電力線と、第2のオプティマイザグループの直流負極に接続された電力線とが、磁気リングを通り抜けてもよい。第1のオプティマイザグループ及び第2のオプティマイザグループは、複数のオプティマイザグループのうちの2つの異なるオプティマイザグループである。図7と同様に、1つのオプティマイザグループの直流正極出力端に接続されたストリング内の電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜け、さらに、2つのオプティマイザグループの直流負極出力端に接続されたストリング内の電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜ける。この出願の一部の実装では、代わりに、磁気リングを通り抜ける電力線が、あるオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線と、あるオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線とを含むのであれば、2つのオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線(すなわち、実線)が磁気リングを通り抜けてもよく、さらに、1つのオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線(すなわち、破線)が磁気リングを通り抜ける。これは、ここで特に限定されることではない。
【0085】
あるオプティマイザグループの直流正極出力端に接続された電力線又はあるオプティマイザグループの直流負極出力端に接続された電力線が混在した方式で磁気リングを通り抜けるものである前述の方式は、磁気リングに対する貫通電流要件を減ずることができる。磁気リングの貫通電流への影響は、主に、電流のバイアスによって引き起こされる磁気リングの激しい透磁率減衰に由来する。例えば、ストリング内の6つのオプティマイザグループをインバータに接続する必要があると仮定すると、オプティマイザグループ1、2、及び3の直流正極出力端に接続された電力線と、オプティマイザグループ4、5、及び6の直流負極出力端に接続された電力線とが共に磁気リングを通り抜けるとし得る。オプティマイザグループ1、2、及び3の直流正極出力端に接続された電力線上の電流と、オプティマイザグループ4、5、及び6の直流負極出力端に接続された電力線上の電流は、逆の方向を持ち、これらの電流によってそれぞれ生成される磁束も逆の方向を持つので、磁束を重ね合わすとそれらが互いに打ち消し合い、それにより、磁気リングへのバイアスの影響が大幅に低減される。
【0086】
ケース4:装置が少なくとも2つのストリングを含み、各ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループを含む。
【0087】
装置が少なくとも2つのストリングを含み且つ各ストリングが少なくとも2つのオプティマイザグループ(各オプティマイザグループが少なくとも1つのオプティマイザを含み、各オプティマイザが1つのPVモジュールに対応して接続される)を含む場合、各ストリングが、図5乃至図7に示したものと同様の接続方式でインバータに接続されて、インバータによる複数のストリング内の複数のオプティマイザグループの制御を実装し得る。詳細をここで説明することはしない。
【0088】
最後に、前述の実施形態は、単に、この出願の技術的ソリューションを説明することを意図したものであり、この出願を限定することを意図したものではない。前述の実施形態を参照してこの出願を詳細に説明しているが、当業者が理解するはずのことには、この出願の実施形態の技術的ソリューションの範囲から逸脱することなく、なおも、前述の実施形態で説明された技術的ソリューションに対する変更を行ったり、その一部の技術的特徴に対して均等な置換を行ったりすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12