(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】正孔チャネル半導体トランジスタ、その製造方法および応用
(51)【国際特許分類】
H01L 21/337 20060101AFI20231206BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20231206BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20231206BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20231206BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20231206BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20231206BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231206BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L29/80 V
H01L29/80 H
H01L21/20
H01L29/78 301B
H01L29/78 301X
(21)【出願番号】P 2022528141
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 CN2021078960
(87)【国際公開番号】W WO2021208624
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】202010288958.0
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522184383
【氏名又は名称】広東致能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黎 子蘭
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110224019(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/337
H01L 21/338
H01L 21/20
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を用意し、その上表面に対してエッチングを行って、平行する第1表面および第2表面と、第1表面および第2表面のそれぞれと繋がる垂直表面とを有する階段状構造を形成することと、
前記垂直表面に核生成層を形成し、前記核生成層を前記垂直表面の一部の表面に形成させ、または前記核生成層を前記垂直表面の全部の表面に形成させることと、
前記核生成層を核として第1チャネル層を側方にエピタキシャル成長させることと、
前記第1チャネル層を核として第2チャネル層を側方にエピタキシャル成長させることと、
前記第1チャネル層を覆う、前記垂直表面に垂直である方向での両側の前記第2チャネル層を除去して、前記第1チャネル層および前記第2チャネル層に障壁層を形成して、同時に前記障壁層と前記
第1チャネル層
および前記第2チャネル層との界面で二次元正孔ガスおよび移動不能なバックグラウンド負電荷、および/または二次元電子ガスおよび移動不能なバックグラウンド正電荷を形成することとを含み、
前記垂直表面の格子が、六方対称性を有する
ことを特徴とする非平面正孔チャネル半導体トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記第1チャネル層を核としてN型埋め込み層を側方にエピタキシャル成長させることと、
前記
N型埋め込み層を核として第2チャネル層を側方にエピタキシャル成長させることと、
をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上に、平行する第1表面および第2表面と、第1表面および第2表面のそれぞれと繋がる垂直表面とを有する階段状構造が形成され、前記垂直表面の格子が、六方対称性を有する、基板と、
前記垂直表面を核として前記第2表面の制限下で、前記第2表面に垂直に側方にエピタキシャル成長した、第1チャネル層および第2チャネル層を含む非平面チャネル層と、
前記第1チャネル層および前記第2チャネル層に形成された障壁層とを備え、前記障壁層と前記第1チャネル層および前記第2チャネル層との界面で二次元正孔ガスおよび/または二次元電子ガスが形成されており、
前記第2チャネル層が、前記第1チャネル層の、前記第2表面に垂直である方向での前記第2表面から離れた側に形成されている
ことを特徴とする非平面正孔チャネル半導体トランジスタ。
【請求項4】
前記基板の前記垂直表面以外の他の表面に第1絶縁層が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の非平面正孔チャネル半導体トランジスタ。
【請求項5】
前記基板の前記垂直表面に核生成層が形成されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の非平面正孔チャネル半導体トランジスタ。
【請求項6】
前記核生成層の外部にバッファ層がさらに形成され、前記バッファ層が、単層または多層構造を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の非平面正孔チャネル半導体トランジスタ。
【請求項7】
基板を備え、前記基板の上表面に垂直に非平面のチャネル層がエピタキシャル成長されており、
前記チャネル層が、第1チャネル層と第2チャネル層とを含み、前記第2チャネル層が、前記第1チャネル層の、前記上表面に垂直である方向での前記上表面から離れた側に形成されており、
前記第1チャネル層および前記第2チャネル層に障壁層(130)が形成され、前記障壁層(130)と前記チャネル層との界面で二次元正孔ガスおよび/または二次元電子ガスが形成されている
ことを特徴とする非平面正孔チャネル半導体デバイス。
【請求項8】
第3チャネル層をさらに備え、前記第3チャネル層が、非意図的にドープされたGaNまたは真性GaN、またはInGaNであり、或いは、前記第3チャネル層が、ドーピング濃度の比較的に低いGaNである
ことを特徴とする請求項7に記載の非平面正孔チャネル半導体デバイス。
【請求項9】
請求項3~6のいずれか1項に記載の非平面正孔チャネル半導体トランジスタを備える
ことを特徴とする無線周波数デバイス。
【請求項10】
請求項7または8に記載の非平面正孔チャネル半導体デバイスを備える
ことを特徴とする無線周波数デバイス。
【請求項11】
請求項3~6のいずれか1項に記載の非平面正孔チャネル半導体トランジスタを備える
ことを特徴とする電気パワーデバイス。
【請求項12】
請求項7または8に記載の非平面正孔チャネル半導体デバイスを備える
ことを特徴とする電気パワーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願の相互参照
本開示は、2020年4月13日に中国専利局に提出された、出願番号が202010288958.0であり、名称が「正孔チャネル半導体トランジスタ、その製造方法および応用」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本開示に参照として取り込まれる。
【0002】
本開示は、半導体分野に属し、より具体的に、正孔チャネルIII族窒化物半導体トランジスタ、その製造方法および応用に関する。
【背景技術】
【0003】
III族窒化物半導体は、重要な新型半導体材料であり、主にAlN、GaN、InNおよびこれらの材料の化合物であるAlGaN、InGaN、AlInGaNなどを含む。前記III族窒化物半導体の、直接バンドギャップ、ワイドバンドギャップ、高破壊電界強度などの利点を利用し、デバイス構造およびプロセスを最適化に設計することで、III族窒化物半導体がパワー半導体および無線通信の分野で応用の見込みがある。現在、正孔チャネルIII族窒化物トランジスタを実現する可能性が認められたが、このタイプのトランジスタの製造には、依然として困難である。
【0004】
また、従来のIII族窒化物半導体トランジスタは、多くが横型のデバイス構造に設計され、単位面積での集積度が高くない。また、従来のIII族窒化物半導体デバイストランジスタは、ノーマリオン型デバイスであるため、省エネに不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、上記の欠陥を克服するため、新型の正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの形態に対する基本的な理解を提供するため、以下、本開示の簡略内容を提供する。なお、この内容は、本開示のすべての内容ではないことが理解すべきである。これは、本開示の肝心または重要な部分を特定するためのものでもないし、本開示の範囲を限定するためのものでもなく、いくつの概念を簡略に提出してその後のより詳細な説明の前書きとされるものにすぎない。
【0007】
本開示の内容の一局面において、非平面正孔チャネル半導体トランジスタの製造方法を提供し、該非平面正孔チャネル半導体トランジスタの製造方法は、
基板を用意し、その上表面に対してエッチングを行って、略平行する第1表面および第2表面と、第1表面および第2表面のそれぞれと繋がる垂直表面とを有する階段状構造を形成することと、
前記垂直表面を核として前記第2表面の制限下で、前記第2表面に垂直に非平面チャネル層を側方にエピタキシャル成長させることと、
前記チャネル層に障壁層を形成して、同時に前記障壁層と前記チャネル層との界面で二次元正孔ガスおよび移動不能なバックグラウンド負電荷、および/または前記二次元電子ガスおよび移動不能なバックグラウンド正電荷を形成することとを含み、
前記垂直表面の格子が、六方対称性を有する。
【0008】
任意選択で、前記基板は、Al2O3、4H-SiC、(110)面のシリコンまたは(112)面のシリコンから選択される。
【0009】
任意選択で、前記垂直表面は、Al2O3の(0001)面、4H-SiCの(0001)面またはシリコンの(111)面から選択される。
【0010】
任意選択で、前記基板の、前記垂直表面以外の他の表面に第1絶縁層を形成する。
【0011】
任意選択で、前記第1絶縁層を形成する方法は、前記基板にSiNを同一面蒸着し、垂直配向のエッチング技術を利用して、前記垂直表面におけるSiNのみを残し、そして、垂直表面以外の他の表面に二酸化ケイ素層を形成し、さらにウェットエッチングを利用して側壁におけるSiNを除去し、前記他の表面における二酸化ケイ素層を残す。
【0012】
任意選択で、前記垂直表面に核生成層を形成し、前記核生成層を前記垂直表面の一部の表面に形成させ、または前記核生成層を前記垂直表面の全部の表面に形成させることをさらに含む。
【0013】
任意選択で、前記核生成層材料により形成される多結晶または非晶質の層を除去しまたは前記第1絶縁層に残す。
【0014】
任意選択で、前記基板がシリコン基板である場合、前記核生成層を有しなければならない。
【0015】
任意選択で、前記核生成層を核としてバッファ層を側方にエピタキシャル成長させることをさらに含む。
【0016】
任意選択で、前記核生成層または前記バッファ層を核として第1チャネル層を側方にエピタキシャル成長させることをさらに含む。
【0017】
任意選択で、前記第1チャネル層を核としてN型埋め込み層を側方にエピタキシャル成長させることをさらに含む。
【0018】
任意選択で、前記埋め込み層は、二次元正孔ガスの95~100%を空乏化することができる。
【0019】
任意選択で、前記N型埋め込み層と前記二次元正孔ガスによりボディダイオードを構成する。
【0020】
任意選択で、前記第1チャネル層または前記埋め込み層を核として第2チャネル層を側方にエピタキシャル成長させることをさらに含む。
【0021】
任意選択で、前記第1チャネル層および第2チャネル層の材料は、同じであってもよく、異なってもよい。
【0022】
任意選択で、前記第1チャネル層は、N-型GaNであり、前記第2チャネル層は、GaNであり、または、前記第1チャネル層は、P-型GaNであり、前記第2チャネル層は、GaNである。
【0023】
任意選択で、前記第1チャネル層の(0001-)面を露出し、または前記第1チャネル層の(0001)面および(0001-)面をともに露出することをさらに含む。
任意選択で、前記第1チャネル層を覆う、<0001>方向における前記障壁層を除去することをさらに含む。
【0024】
任意選択で、前記第1チャネル層の<0001>方向に第4絶縁層を形成する。
【0025】
任意選択で、前記第1チャネル層がP-型GaNである場合、前記第1チャネル層と前記N型埋め込み層とがPN構造を形成する。
【0026】
任意選択で、前記障壁層を成長させる前に、第3チャネル層を成長させることをさらに含む。
【0027】
任意選択で、前記第3チャネル層は、非意図的にドープされたGaNまたは真性GaNであり、或いは、ドーピング濃度の比較的に低いGaNまたはInGaNである。
【0028】
任意選択で、トランジスタのソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を形成することをさらに含む。
【0029】
任意選択で、前記ソース電極およびドレイン電極が、前記トランジスタの前記チャネル層と物理的に接触するとともに前記二次元正孔ガスとオーミック接触し、または、前記ソース電極およびドレイン電極が、前記障壁層と物理的に接触してオーミック接触を形成する。
【0030】
任意選択で、前記ゲート電極が、前記障壁層とショットキー接触を形成し、または絶縁性接触を形成する。
【0031】
任意選択で、前記絶縁性接触とは、前記障壁層の、前記ゲート電極に対応する位置でゲート絶縁層を形成することである。
【0032】
任意選択で、前記ゲート絶縁層の形成方法として、MOCVD法により前記障壁層を形成したあと、その場で(in-situ)前記ゲート絶縁層を成長させ、または前記ゲート絶縁層を、前記障壁層と異なる成長設備で別途して成長させる。
【0033】
任意選択で、前記ドレイン、ゲートおよびソースは、前記基板の第1表面に略垂直な方向に順に設置され、前記ソースおよびドレインの位置は、互いに交換してもよい。
【0034】
任意選択で、前記埋め込み層と接続するボディ電極を形成することをさらに含む。
【0035】
任意選択で、前記埋め込み層と物理的に接触することにより、前記ボディ電極を形成する。
【0036】
任意選択で、前記二次元電子ガスとオーミック接触することにより前記ボディ電極を形成し、前記二次元電子ガスにより前記ボディ電極を前記埋め込み層と電気的に接続させる。
【0037】
任意選択で、前記ボディ電極は、前記デバイスがオフにされるとき、第2電極と第3電極との間の二次元電子ガスを完全または部分的に空乏化し、前記バックグラウンド正電荷のみが残され、元の2DHG内の前記バックグラウンド負電荷による電界を部分的に相殺し、前記電界の分布をより均一にさせる。
【0038】
任意選択で、前記ドレインの形成方法は、前記基板の第1表面に第1金属層を形成し、等方性エッチングにより前記トランジスタの前記障壁層(0001-)面に少し堆積された前記第1金属層を除去することをさらに含む。
【0039】
任意選択で、前記ゲートの形成方法は、前記第1金属層に同一面蒸着により第2絶縁層を形成し、前記障壁層または前記ゲート絶縁層から露出するように前記第2絶縁層の高さを設定し、そして、前記第2絶縁層に第2金属層を形成し、等方性エッチングにより前記トランジスタの前記障壁層(0001-)面に少し堆積された前記第2金属層を除去することをさらに含む。
【0040】
任意選択で、前記ソースの形成方法は、前記第2金属層に同一面蒸着により第3絶縁層を形成し、そして、前記第3絶縁層に第3金属層を形成し、フォトエッチングによりエッチングして前記ソースを形成することをさらに含む。
【0041】
本開示の内容の他の局面において、非平面正孔チャネル半導体トランジスタを提供し、前記非平面正孔チャネル半導体トランジスタは、
上に、略平行する第1表面および第2表面と、第1表面および第2表面のそれぞれと繋がる垂直表面とを有する階段状構造が形成され、前記垂直表面の格子が、六方対称性を有する、基板と、
前記垂直表面を核として前記第2表面の制限下で、前記第2表面に垂直に側方にエピタキシャル成長した非平面チャネル層と、
前記チャネル層に形成された障壁層とを備え、前記障壁層と前記チャネル層との界面で二次元正孔ガスおよび/または前記二次元電子ガスが形成されている。
【0042】
任意選択で、前記基板は、Al2O3、真性GaN、4H-SiCおよび(110)面のシリコンまたは(112)面のシリコンから選択される。
【0043】
任意選択で、前記垂直表面は、Al2O3の(0001)面、4H-SiCの(0001)面およびシリコンの(111)面から選択される。
【0044】
任意選択で、前記基板の、前記垂直表面以外の他の表面に第1絶縁層が形成されている。
【0045】
任意選択で、前記基板の前記垂直表面に核生成層が形成されている。
【0046】
任意選択で、前記第1絶縁層に前記核生成層材料により形成された多結晶または非晶質の層が形成されている。
【0047】
任意選択で、前記核生成層の外部にバッファ層がさらに形成され、前記バッファ層が、単層または多層の構造を有する。
【0048】
任意選択で、前記核生成層の外部に第1チャネル層が形成されている。
【0049】
任意選択で、前記バッファ層の外部に第1チャネル層が形成されている。
【0050】
任意選択で、前記第1チャネル層にN型埋め込み層が形成され、前記N型埋め込み層と前記二次元正孔ガスとがボディダイオード構造を形成する。
【0051】
任意選択で、第2チャネル層がさらに形成されている。
【0052】
任意選択で、前記第1チャネル層と第2チャネル層の材料とは、同じであってもよく、異なってもよい。
【0053】
任意選択で、前記第1チャネル層は、N-型GaNまたはP-型GaNであり、前記第2チャネル層は、GaNである。
【0054】
任意選択で、第3チャネル層がさらに形成され、前記第3チャネル層が、非意図的にドープされたGaNまたは真性GaNであり、またはInGaNであり、或いは、前記第3チャネル層が、ドーピング濃度の比較的に低いGaNである。
【0055】
任意選択で、前記第1チャネル層の<0001>方向に前記障壁層が形成されていない。
【0056】
任意選択で、前記第1チャネル層の<0001>方向に第4絶縁層が形成されている。
【0057】
任意選択で、前記第1チャネル層がP型GaNである場合、前記第1チャネル層と前記埋め込み層とがボディダイオード構造を形成する。
【0058】
任意選択で、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極をさらに有する。
【0059】
任意選択で、前記ソース電極/ドレイン電極が、前記トランジスタの前記チャネル層と物理的に接触するとともに前記二次元正孔ガスとオーミック接触し、または、前記ソース電極/ドレイン電極が、前記障壁層と物理的に接触してオーミック接触を形成する。
【0060】
任意選択で、前記ゲート電極が、前記障壁層とショットキー接触を形成し、または絶縁性接触を形成する。
【0061】
任意選択で、絶縁性接触とは、前記ゲート電極と前記障壁層との間にゲート絶縁層が形成されることである。
【0062】
任意選択で、前記ドレイン、ゲートおよびソースは、前記基板の第1表面に略垂直な方向に順に設置され、前記ソースおよびドレインの位置は、互いに交換してもよい。
【0063】
任意選択で、ボディ電極をさらに有し、前記ボディ電極が前記埋め込み層と電気的に接続され、前記ボディ電極を設置することにより、閾値電圧を安定にさせるとともに、前記埋め込み層と前記二次元正孔ガスとからなるボディダイオードが、前記トランジスタチャネルの電流方向に対する逆方向の電流を導通させ、または、前記ボディ電極の接続により、前記埋め込み層と、前記P-型GaNにより形成される前記第1チャネル層とからなるボディダイオードの回路応用を実現する。
【0064】
任意選択で、前記ボディ電極が前記埋め込み層と物理的に接続し、または前記ボディ電極が前記二次元電子ガスを介してオーミック接触する。
【0065】
任意選択で、前記第1チャネル層においてドレインに対応する領域に対してP-型ドーピングを行い、前記第2チャネル層においてソースに対応する領域に対してP-型ドーピングを行う。
【0066】
本開示の内容の他の局面において、非平面正孔チャネル半導体デバイスを提供し、該平面正孔チャネル半導体デバイスは、
1つの基板を備え、前記基板の上表面に垂直に非平面のチャネル層がエピタキシャル成長されており、
前記チャネル層が、第1チャネル層と第2チャネル層とを含み、
前記チャネル層に障壁層(130)が形成され、前記障壁層(130)と前記チャネル層との界面で二次元正孔ガスおよび/または前記二次元電子ガスが形成されている。
【0067】
任意選択で、前記基板は、Al2O3、真性GaN、4H-SiCおよび(110)面のシリコンまたは(112)面のシリコンから選択される。
【0068】
任意選択で、前記基板の上表面に第1絶縁層が形成されている。
【0069】
任意選択で、前記基板に核生成層が形成されている。
【0070】
任意選択で、前記核生成層の外部にバッファ層がさらに形成され、前記バッファ層が、単層または多層の構造を有する。
【0071】
任意選択で、第1チャネル層および第2チャネル層は、前記ベース板の上表面に平行して上下に積層される。
【0072】
任意選択で、前記第1チャネル層と第2チャネル層との間にN型埋め込み層が設けられている。
【0073】
任意選択で、前記N型埋め込み層と前記二次元正孔ガスとがボディダイオード構造を形成する。
【0074】
任意選択で、前記第1チャネル層と前記第2チャネル層の材料とは、同じであってもよく、異なってもよい。
【0075】
任意選択で、前記第1チャネル層は、N-型GaNまたはP-型GaNであり、前記第2チャネル層は、真性GaNまたはN-型GaNである。
【0076】
任意選択で、第3チャネル層がさらに形成され、前記第3チャネル層が、非意図的にドープされたGaN、InGaNまたはAlInGaNである。
【0077】
任意選択で、前記第1チャネル層の<0001>方向に前記障壁層が形成されていない。
【0078】
任意選択で、前記第1チャネル層の<0001>方向に第4絶縁層が形成されている。
【0079】
任意選択で、前記第1チャネル層がP型GaNである場合、前記第1チャネル層と前記埋め込み層とがボディダイオード構造を形成する。
【0080】
任意選択で、ソース、ドレインおよびゲートをさらに有する。
【0081】
任意選択で、前記ソース/ドレインが、前記デバイスの前記チャネル層と物理的に接触するとともに前記二次元正孔ガスとオーミック接触し、または、前記ソース/ドレインが前記障壁層と物理的に接触してオーミック接触を形成する。
【0082】
任意選択で、前記ゲートが、前記障壁層とショットキー接触を形成し、または絶縁性接触を形成する。
【0083】
任意選択で、絶縁性接触とは、前記ゲートと前記障壁層との間にゲート媒体層が形成されることである。
【0084】
任意選択で、前記ソース電極、ゲート電極およびドレイン電極は、前記基板の上表面に略垂直な方向に順に設置され、前記ソース電極およびゲート電極の位置は、互いに交換してもよい。
【0085】
任意選択で、ボディ電極をさらに有し、前記ボディ電極が前記埋め込み層と電気的に接続される。
【0086】
任意選択で、前記ボディ電極が前記埋め込み層と物理的に接続し、または前記ボディ電極が前記二次元電子ガスを介してオーミック接触する。
【0087】
本開示の内容の他の局面において、上記のトランジスタを備える無線周波数デバイスを提供する。
【0088】
本開示の内容の他の局面において、上記のトランジスタを備える電気パワーデバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
本開示の目的、特徴および利点をより容易に理解するため、以下、図面を参照しながら本開示の具体的な内容を説明する。図面は、本開示の原理を示すものにすぎず、図面において、ユニットの寸法および相対位置を比例で描くとは限らない。
【
図1】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図2】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図3】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図4】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図5】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図6】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図7】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図8】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図9】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図10】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図11】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図12】正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図13】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図14】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図15】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図16】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図17】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図18】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図19】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図20】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図21】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図22】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図23】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図24】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図25】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図26】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図27】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図28】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図29】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図30】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図31】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図32】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図33】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法の模式図である。
【
図34】選択可能な正孔チャネルIII族窒化物トランジスタの製造方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な内容を説明する。明瞭および簡明のため、明細書において、本開示の内容を実現するすべての特徴を説明するのではない。しかしながら、開発者の具体的な目標を実現するように、本開示を実現する過程において本開示の内容を実施できる多くの方式を採用してもよく、そして、本開示の内容によってはこれらの方式が変更されることもある。
ここで、必須でない細部で本開示の内容が複雑になることを避けるため、図面において、本開示の案に深く関わっているデバイス構造のみを示し、いくつかの細部を省略する。
なお、以下、図面を用いて本開示の内容を説明したが、本開示の内容は、説明された実施形態に限定されない。本開示の内容において、実施可能である限り、異なる実施形態の間で特徴を置き換えまたは組合せてもよく、または、1つの実施形態において1つまたは複数の特徴を省略してもよい。
下記の具体的な実施形態について図面を参照することができ、図面は、本開示の一部を示すとともに例示的な実施形態を示す。なお、保護しようとする主題の範囲から逸脱しない限り、他の実施形態により構造の形成および/または論理の変更を行ってもよい。また、方向および位置(例えば、上、下、頂部、底部など)は、図面に示される特徴を理解するためのものにすぎず、限定的に以下の具体的な実施形態のみを採用することを意味しない。
本開示の明細書および特許請求の範囲に使用される用語について、特に断りがない限り、「一」、「1つ」および「前記」は、複数のものを指すことも可能である。なお、本明細書に使用される用語の「および/または」は、該当列挙項目のうちの1つまたは複数の項目の任意の1つおよびそのすべての可能な組合せを含む。
【0091】
III族窒化物半導体は、主にウルツ鉱(Wurtzite)と閃亜鉛鉱(Zinc-blende)との2種の結晶構造を有する。ウルツ鉱は、安定で、比較的高品質の結晶を得ることができるため、実際に応用されるIII族窒化物半導体は、一般的にウルツ鉱構造を有する。
【0092】
このため、本開示に係るIII族窒化物トランジスタ構造は、ウルツ鉱(Wurtzite)結晶構造を用いるIII族窒化物トランジスタを含む。任意選択で、III族窒化物トランジスタは、正孔チャネルIII族窒化物トランジスタであり、任意選択で、正孔チャネルIII族窒化物トランジスタは、ノーマリオフの正孔チャネル窒化物トランジスタであり、任意選択で、前記ノーマリオフの正孔チャネル窒化物トランジスタは、ノーマリオフの正孔チャネル窒化ガリウムトランジスタである。
【0093】
図1~
図3に示すように、III族窒化物トランジスタは、基板100を含み、窒化物トランジスタにおいて独立のベース板または塊状のGaN材料を採用することができ、GaN材料の調製が非常に高価であるため、一実施可能な方式として、GaNを異種基板においてエピタキシャル成長させてデバイスを作製することである。異種基板材料として、主にAl
2O
3(サファイア)、シリコンおよびSiCなどがある。Al
2O
3の(0001)面、4H-SiCの(0001)面およびシリコンの(111)面などは、六方対称の格子構造を有するため、ヘテロエピタキシャル成長のための基板面として適し、窒化物半導体がその上に核生成、成長すれば、比較的高品質のGaN結晶またはAlN結晶を得ることに寄与できる。
【0094】
また、サファイア基板は、低コストで、窒化ガリウムエピタキシャル層と格子整合性がよいため、多く使用されている。放熱性を考慮すれば、シリコン基板を用いてGaNエピタキシャル層を調製することも多くなってくるが、シリコン基板を用いる場合に漏れ電流および耐圧の問題を考慮する必要がある。本開示に係るプロセスにおいて、これに対して設計されており、シリコン基板材料によるデバイス性能に対する影響を防止することができ、耐圧の向上および暗電流の低減に著しく寄与できる。
【0095】
上記のように、異種基板の材質は、実際のニーズに応じて選択することができ、本開示では、基板の具体的な材料が限定されなく、基材の表面に形成された基材の表面に垂直な垂直トレンチの側面が六方対称性の格子構造を有するものであればよい。本開示において、基板材料は、Al2O3(サファイア)、4H-SiC、シリコンおよび真性GaNなどであってもよい。
【0096】
本開示において、
図1に示すように、基板100においてフォトエッチングしてエッチングし、階段状構造を形成し、階段状構造が、基板100の第1表面1001と、第1表面に平行な第2表面1002と、第1表面1001および第2表面1002のそれぞれと繋がる垂直表面1003とからなり、垂直表面が、六方対称性を有し、例示的に、階段状構造の段差深さは、約5μmである。
【0097】
垂直表面に核生成層101を形成し、核生成層101を該垂直表面の一部の表面に形成させ、または垂直表面の全部の表面に形成させる。シリコン材料である場合、Ga原子のメルトバック効果のため、例えばGaNの半導体層を基板に直接成長させることができなく、一般的に、基板にAlN、GaN核生成層などの構造を先に成長させて、さらにGaNエピタキシャル層を成長させるようにする必要がある。GaNがAl2O3(サファイア)、SiC、真性GaNに直接核生成、成長をすることができるが、結晶品質のコントロールの面から、プロセスに核生成層101を導入してもよい。
【0098】
核生成層101を核として基板100の第2表面1002の制限下で、第2表面に垂直で上に向かって第1チャネル層110を側方にエピタキシャル成長させ、さらに第2チャネル層120を側方にエピタキシャル成長させる。第1チャネル層110および第2チャネル層120の材料は、同じてあってもよく、異なってもよい。例示的に、第1チャネル層は、N-型ドーピングがされたGaN層であり、第2チャネル層は、GaN層であり、または、第1チャネル層は、P-型ドーピングがされたGaN層であり、第2チャネル層は、GaN層であり、そのドーピング濃度が1E17~1E20/cm3である。なお、基板を階段状にエッチングしなくてもよく、例えば、直接基板の上表面に核生成、成長を行って第1チャネル層および第2チャネル層を形成してもよい。
【0099】
任意選択で、
図2に示すように、核生成層と第1チャネル層との間にバッファ層140をさらに有してもよく、バッファ層140は、単層または多層の構造を有してもよく、バッファ層の材料は、例えば、AlN、GaN、AlGaN、InGaN、AlInNおよびAlGaInNのうちの1種または複数種であってもよい。
【0100】
任意選択で、第2チャネル層120における、トランジスタのソース電極が形成された箇所に対応する領域において、相応のP-型ドーピングを行い、第1チャネル層110における、トランジスタのドレイン電極が形成された箇所に対応する領域においてもP-型ドーピングを行ってもよい。P-型ドーピングは、相応の領域の接触抵抗を効果的に下げることができる。P-型ドーピング濃度は、1E17~1E20/cm3であってもよい。
【0101】
第1チャネル層を覆う、第1表面の方向での両側の第2チャネル層120を除去して、第1チャネル層を露出する。第1チャネル層および第2チャネル層に障壁層130を形成し、例えば、AlGaNのものである。
【0102】
チャネル層および障壁層は、III族窒化物半導体を採用し、III族窒化物半導体が極性を有するため、極性半導体の表面または2種の異なる極性半導体の界面で固定分極電荷が存在する。これらの固定分極電荷の存在により、移動可能な正孔および電子を吸引して二次元正孔ガス2DHGおよび二次元電子ガス2DEGを形成することができる。これらの二次元正孔ガス2DHGおよび二次元電子ガス2DEGの発生には、付加の電界が不要で、半導体内のドーピング効果にも依存せず、自発的に発生し、ドーピングが不要であるため、二次元正孔ガスが受けるイオン散乱作用が大幅に減少し、移動度が比較的に高い。
【0103】
障壁層を形成したあと、<0001->方向における、第1チャネル層および第2チャネル層内の、障壁層との界面で2DHGが形成される。または、第1チャネル層を覆う、<0001->方向および<0001>方向における第2チャネル層120を除去して、第1チャネル層を露出する。第1チャネル層および第2チャネル層に障壁層130を形成し、例えば、AlGaNのものである。これによって、<0001->方向における第1チャネル層および第2チャネル層内の、障壁層との界面で2DHGが形成されるとともに、<0001>方向における第1チャネル層および第2チャネル層内の、障壁層との界面で2DEGが形成される。
【0104】
トランジスタのソース電極200、ドレイン電極210およびゲート電極220を形成し、ソース電極200、ドレイン電極210およびゲート電極220の位置が、具体的に限定されなく、ソース電極およびドレイン電極を、トランジスタのチャネル層(110/120)と物理的に接触するとともに二次元正孔キャリアガス(2DHG)とオーミック接触するようにさせてもよく、ソース電極およびドレイン電極を、障壁層130と直接物理的に接触するようにさせてもよい。また、ゲート電極220は、障壁層130において障壁層130と絶縁性接触またはショットキー接触を形成することができ、絶縁性接触とは、ゲート電極と障壁層との間にゲート絶縁層300を形成することである。ゲート絶縁層は、二酸化ケイ素、高誘電率媒体材料などであってもよく、ゲート絶縁層300により障壁層に対する表面パッシベーション効果を得ることができ、トランジスタのゲート漏れ電流の減少に寄与し、トランジスタを電気電子デバイスとすることができる。
【0105】
ゲートが直接障壁層において形成された場合、ゲート漏れ電流が比較的に大きく、この場合、障壁層が十分高い禁制帯幅を保つことができれば、媒体層の役割を果たすことができ、このように作製できたトランジスタが無線周波数(RF)デバイスとされることが多い。
【0106】
例示的に、
図3に示すように、ソース電極200、ドレイン電極210およびゲート電極220は、基板100の第1表面に垂直な方向に配置してもよい。ドレイン電極210の方は、基板100の第1表面1001により近い。なお、ソース電極を、基板100の第1表面1001により近いように配置してもよい。
【0107】
図4~
図12および
図34を参照しながら、該構造の半導体デバイスを製造する製造方法を詳細に説明する。
【0108】
ステップ1は、
図4に示すように、基板100を用意し、基板100にフォトエッチングパターンを形成し、そして、その上表面に対してエッチングを行って階段状構造を形成し、例示的に、エッチングの深さは、約5μmである。階段状構造は、基板100の第1表面1001と、第1表面1001に平行な第2表面1002と、第1表面1001および第2表面1002のそれぞれと繋がる垂直表面1003とからなり、垂直表面が、六方対称の格子構造を有し、六方対称格子構造を有する垂直表面において窒化物半導体の核生成および成長が容易であり、これに対して、他の表面において窒化物半導体の核生成および成長が容易ではない。
【0109】
ステップ2は、
図5に示すように、垂直表面に核生成層101を形成し、核生成層101を垂直表面の一部の表面に形成させ、または垂直表面の全部の表面に形成させる。核生成層の材料は、例えばGaN、ALNなどである。
【0110】
シリコン材料である場合、Ga原子のメルトバック効果のため、GaNを基板に直接成長させることができなく、一般的に、基板に例えば核生成層などの構造を先に成長させて、さらにGaNエピタキシャル層を成長させるようにする必要がある。
【0111】
ステップ3は、
図6に示すように、核生成層101を核として基板100の第2表面1002の制限下で、基板の垂直表面に沿って上に向かうとともに基板の第2表面に沿って側面に向かってバッファ層140をエピタキシャル成長させたあと、第1チャネル層110を側方にエピタキシャル成長させる。なお、バッファ層が必須でないため、
図7に示すように、核生成層を核として第1チャネル層110を側方にエピタキシャル成長させる。
【0112】
ステップ4は、
図8に示すように、第1チャネル層110を核としてさらに第2チャネル層120を側方にエピタキシャル成長させる。第1チャネル層110および第2チャネル層120の材料は、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、第1チャネル層を側方にエピタキシャル成長させる過程においてN-型ドーピングまたはP-型ドーピングを行う。なお、ここで、後にドレインが第1チャネル層に形成される形態を例として説明しているが、後にソースが第1チャネル層に形成される場合、第2チャネル層を側方にエピタキシャル成長させる過程においてN-型ドーピングまたはP-型ドーピングを行う。
【0113】
任意選択で、第2チャネル層120における、トランジスタのソース電極が形成された箇所に対応する領域において、相応のP-型ドーピングを行い、第1チャネル層110における、トランジスタのドレイン電極が形成された箇所に対応する領域においてP-型ドーピングを行う。P-型ドーピングは、相応の領域の接触抵抗を効果的に下げることができる。
【0114】
ステップ5は、
図9に示すように、第1チャネル層を覆う、<0001
->方向における第2チャネル層120を除去し、第1チャネル層の(0001
-)面を露出するとともに、第1チャネル層を覆う、<0001>方向における第2チャネル層120を除去し、第1チャネル層の(0001)面を露出する。そして、
図10に示すように、第1チャネル層および第2チャネル層に障壁層130を形成し、例えば、AlGaNである。これによって、<0001
->方向における第1チャネル層および第2チャネル層内の、障壁層との界面で2DHGおよび移動不能なバックグラウンド負電荷を形成し、<0001>方向における第1チャネル層および第2チャネル層内の、障壁層との界面で2DEGおよび移動不能なバックグラウンド正電荷を形成する。
【0115】
ステップ6は、
図11に示すように、トランジスタのソース電極200、ドレイン電極210およびゲート電極220を形成し、ソース電極200、ドレイン電極210およびゲート電極220の位置が、具体的に限定されなく、ソース電極およびドレイン電極を、トランジスタのチャネル層(110/120)と物理的に接触するとともに二次元正孔キャリアガス(2DHG)とオーミック接触するようにさせてもよく、ソース電極およびドレイン電極を、障壁層130と直接物理的に接触するようにさせてもよい。また、ゲート電極220は、障壁層130において障壁層130と絶縁性接触またはショットキー接触を形成することができる。
【0116】
図12に示すように、絶縁性接触とは、ゲート電極と障壁層との間にゲート絶縁層300を形成することである。ゲート絶縁層300の形成方法として、MOCVDチャンバー内に障壁層を形成したあと、その場で(in-situ)成長させるようにしてもよく、障壁層と異なる成長設備で単独に成長させるようにしてもよい。なお、その場で成長させたゲート絶縁層の品質がより優れるため、絶縁層をその場(in-situ)で成長させることが好ましい。
【0117】
ゲート絶縁層は、二酸化ケイ素、SiN、高誘電率媒体材料などであってもよく、ゲート絶縁層300により障壁層に対する表面パッシベーション効果を得ることができ、トランジスタのゲート漏れ電流の減少、トランジスタの電力電子のものでの応用に有利である。ゲート電極が直接障壁層において形成された場合、このように作製できたトランジスタが無線周波数(RF)デバイスに応用されることが多く、ゲート絶縁層を有するトランジスタは、そのゲート漏れ電流が比較的に大きいためである。
【0118】
例示的に、ソース電極200、ドレイン電極210およびゲート電極220は、基板100の第1表面に垂直な方向に配置してもよい。ドレイン電極210の方は、基板100の第1表面1001により近い。ゲート電極220は、ドレイン電極210とソース電極200との間に位置する。
【0119】
任意選択で、第1チャネル層および第2チャネル層におけるソース領域およびドレイン領域にP-型ドーピングが存在する場合、ソース電極およびドレイン電極がトランジスタのチャネル層と物理的に接触し、このようにすれば、オーミック接触抵抗を下げることに有利である。
【0120】
このため、垂直表面で成長した非平面型のIII族窒化物トランジスタによれば、デバイスの集積度を向上させることができ、ゲート漏れ電流を効果的に減少させることができ、そして、製造プロセスが簡単で、エピタキシャル成長の質がよく、正孔の移動度を効果的に向上させることができる。
【0121】
図13に示すように、第1チャネル層と第2チャネル層との間にN型埋め込み層をさらに有する。
【0122】
その具体的な製造方法は、
図14に示すように、ステップ4において、AlN核生成層を核として基板100の第2表面1002の制限下で、第1チャネル層110を側方にエピタキシャル成長させたあと、第2チャネル層120を側方にエピタキシャル成長させる前に、先にN型埋め込み層を側方にエピタキシャル成長させて形成し、N型埋め込み層は、例えばN型GaN層である。そして、埋め込み層を核として第2チャネル層120を側方にエピタキシャル成長させる。N型埋め込み層のドーピング濃度は、例えば1E17~5E19/cm
3であり、1E+18/cm
3~5E+19/cm
3であることがより好ましい。N型GaN層は、チャネル層における二次元正孔ガスを空乏化することができ、これによって、デバイスがノーマリオフ状態を有する。なお、ドーピングがグレーデッドドーピングであってもよく、ここで説明を省略する。任意選択で、N型埋め込み層の<0001
->方向における投影は、ゲート電極の該方向における投影範囲内に位置し、または、ゲート電極の該方向における投影と部分的に重なり合う。N型埋め込み層のドーピング濃度、サイズのパラメータなどは、デバイスのパラメータに基づいて設置することができ、その上の二次元正孔ガスの95%~100%を空乏化できればよく、二次元正孔ガスの濃度が高いほど、相応にドーピング濃度をそれに応じて上げることができる。
【0123】
そして、
図15に示すように、第1チャネル層を覆う、<0001
->方向における第2チャネル層120と埋め込み層を除去し、第1チャネル層の(0001
-)面を露出するとともに、第1チャネル層を覆う、<0001>方向における第2チャネル層120と埋め込み層を除去し、第1チャネル層の(0001)面を露出する。
【0124】
なお、N型GaN層および2DHGチャネルが形成される同時に、ボディダイオードの構造も実現される。
【0125】
N型GaN層により、デバイスがノーマリオフ状態を有するとともに、2DHGとのPN構造が形成され、2DHGが該PN構造における「P」部分を構成する。PN構造は、トランジスタ構造に形成され、後で電極の接続によりこのようなPN構造を各種の回路に応用することができ、回路の設計および機能を豊富にすることができる。例示的に、回路応用において、PN構造は、HHMT電流方向に対する逆方向の電流を導通させることができる。
【0126】
任意選択で、ボディ電極230をさらに有し、ボディ電極がN型埋め込み層に接続される。例示的に、
図16に示すように、ボディ電極は、障壁層、第2チャネル層の非極性または半極性面に対してエッチングを行うことにより、N型埋め込み層までの貫通孔をエッチングしたあと、さらに金属を充填してボディ電極230を形成する。
【0127】
なお、
図17に示すように、ボディ電極の形成方法として、第1チャネル層を覆う、<0001>方向における障壁層を完全または部分的に除去し、N型埋め込み層を露出し、そして露出したN型埋め込み層にボディ電極230を形成するようにしてもよい。
【0128】
なお、ボディ電極230が存在しない場合、N型半導体埋め込み層の電位が変動するため、デバイスの閾値電圧を安定に制御することに不利である。
【0129】
また、N型埋め込み層と、P-型GaNからなる第1チャネル層とによりPN構造が構成され、PN構造が、ドレイン電極とボディ電極との電圧設定によりトランジスタの両端に並列接続される。回路応用において、PN構造は、HHMT電流方向に対する逆方向の電流を導通させることができ、回路の設計および機能を豊富にすることができる。
【0130】
任意選択で、
図18に示すように、ボディ電極230をさらに有し、ボディ電極230が二次元電子ガスと接触する。なお、ボディ電極230は、二次元電子ガスと接触できればよく、その具体的な位置が限定されない。例示的に、(0001)面の障壁層をエッチングし、(0001)面の第2チャネル層を露出し、そして第2チャネル層にボディ電極230を形成する。自発効果およびピエゾ効果により、<0001>方向における第1チャネル層および第2チャネル層内の、障壁層との界面で二次元電子ガス(2DEG)が形成される。このため、ボディ電極は、二次元電子ガスを介してN型窒化物半導体埋め込み層と電気的に接続し、その電位を制御する。
【0131】
なお、ボディ電極230が存在しない場合、N型半導体埋め込み層の電位が変動するため、デバイスの閾値電圧を安定に制御することに不利であり、これに対して、チャネル層内に自発に形成した二次元電子ガスを利用し、ボディ電極230が二次元電子ガスを介してN型半導体埋め込み層と間接電気的に接続することにより、N型埋め込み層の電位を制御し、そして、ボディ電極の設置もより自由になる。任意選択で、上記のPN構造は、このようなボディ電極と二次元電子ガスとの接続方式で回路に応用されてもよく、これによって、PN構造が、HHMT電流方向に対する逆方向の電流を導通させることができ、回路の設計および機能を豊富にすることができる。
【0132】
チャネル層内に二次元電子ガスが自発に形成するとき移動不能なバックグラウンド正電荷が存在するため、バックグラウンド正電荷が二次元電子ガスを吸引する。ボディ電極は、デバイスのオフ過程において、ドレイン電極が負高電圧にあるため、2DHGが空乏化され、バックグラウンド負電荷が残され、ボディ電極と2DEGとの接続が、電界作用でゲートとドレインとの間の2DEGの全部または一部が空乏化され、バックグラウンド正電荷が露出する。バックグラウンド正電荷は、バックグラウンド負電荷による電界の分布を部分的に相殺するとともに、デバイスの耐圧能力を向上させることができる。
【0133】
任意選択で、
図19~
図21に示すように、第1チャネル層、埋め込み層および第2チャネル層に障壁層を形成する前に、第3チャネル層160をさらに形成する。図示のように、その作製方法として、上記のステップ5において障壁層を堆積して形成させる前に、第3チャネル層160を先に成長させる。第3チャネル層160は、非意図的にドープされたGaNまたは真性GaNであってもよい。なお、第3チャネル層は、ドーピング濃度の比較的に低いGaNであってもよく、例示的に、ドーピング濃度が1E18/cm
3未満であり、該比較的に低いドーピング濃度によれば、チャネルに対するよいオフ状態を保つことができるとともに、ドーピングされた原子またはイオンのチャネルキャリアに対する散乱を低下させることができる。または、第3チャネル層は、InGaNであってもよい。
【0134】
埋め込み層150により相応のチャネルでの2DHGの95~100%を空乏化するとき、イオン散乱などの作用のため、トランジスタが導通するときの抵抗が大幅に上げられ、第3チャネル層を設置することによれば、N型半導体埋め込み層によるイオン散乱作用を顕著に低下させることができ、したがって、トランジスタのオン抵抗を下げることができる。また、第3チャネル層を設置することによれば、イオン散乱による電子移動度の低下を軽減させることができ、そして、第1チャネル層および第2チャネル層が禁制帯幅のより小さい材料を採用することによれば、第1チャネル層および第2チャネル層と障壁層とのより大きい禁制帯幅差異を得ることができる。また、第3チャネル層は、障壁層を成長させる前に形成されるため、プロセスに対する変動が小さい。
【0135】
任意選択で、基板の垂直表面1003以外の他の表面に
図22に示す絶縁層310が形成される。任意選択で、絶縁層は、他の表面を完全に覆う。
【0136】
なお、基板がSi基板である場合、Si基板の(111)面と(1-1-1-)面とが性質上に差がないため、基板の垂直表面1003は、Si基板の(111)面または(1-1-1-)面であってもよい。Si基板は、(110)面または(112)面を採用するSi基板であってもよい。絶縁層を設置することによれば、成長するときにGa原子のSi基板に対するメルトバック作用を防止することができる。また、核生成層、例えばAlNの選択的成長が困難であるため、シリコンの垂直表面に単結晶AlNが形成される以外、絶縁層400にも非晶質または多結晶のAlNが生成しやすい。これらの非晶質または多結晶のAlNがデバイスの構造および機能に悪影響を与える可能性があるため、非晶質または多結晶の部分をエッチングし、または成長するときにCl2またはHCLガスなどのClを含むエッチングガスを導入し、ガスの、単結晶AlNと多結晶/非晶質AlNとに対するエッチング選択比を利用して、絶縁層310における非晶質または多結晶のAlN層を除去し、垂直表面1003における単結晶AlN層だけを残す。Ga含有材料の窒化物半導体は、絶縁層に直接核生成、成長しにくいため、該窒化物半導体が垂直表面において形成された単結晶AlN層だけで選択的成長を実現する。
【0137】
なお、多結晶または非晶質のAlN層は、本質的に一種の絶縁層であり、Ga含有材料の窒化物半導体が多結晶または非晶質のAlN層に核生成、成長しにくいため、絶縁層310における多結晶または非晶質のAlN層を残してもよい。任意選択で、多結晶または非晶質のAlN層を除去してもよい。
【0138】
なお、Al2O3基板またはSiC基板を採用する場合、上記の絶縁層をなしにしてもよい。これは、主にGa原子とAl2O3またはSiCとが両立できるため、メルトバック現象が発生しないからである。窒化物半導体は、六方対称の格子構造を有する垂直表面でより核生成、成長しやすく、したがって、垂直表面自身が選択的に成長させる能力をもつ。
【0139】
さらに、Al2O3またはSiCの基板を採用する場合、絶縁層を有することにより、垂直表面での核生成と成長のプロセスウィンドウがより大きく、より制御可能になる。したがって、Al2O3またはSiCの基板を採用する場合、垂直表面1003以外の他の表面に絶縁層310を形成してもよい。
【0140】
垂直表面1003以外の他の表面に絶縁層310を形成する方法は、例示的に下記の通りである。
【0141】
図23~
図25に示すように、基板においてエッチングを行って凸状台形状を形成し、凸状台が2つの対向する垂直表面を有する。例示的に、基板がシリコンである場合、垂直表面は、シリコンの(111)面である。そして、垂直表面でLPCVDなどの技術を利用してSiNを成長させ、垂直配向のエッチング技術を利用して、側壁に形成されるSiNのみを残す。そして、酸化工程によりSiO
2を成長させ、垂直表面において、SiNの保護でSiO
2の成長がなく、シリコン片の他の表面にSiO
2層が形成される。さらに、SiNとSiO
2とのエッチング選択比を利用し、熱リン酸などによるウェットエッチングプロセスにより、垂直表面のSiNをエッチングし、他の表面における大部分の二酸化ケイ素を残す。
【0142】
絶縁層の設計によれば、基板材料のデバイス性能に対する影響を防止することができ、耐圧の向上および暗電流の低減に寄与できる。
【0143】
以下、
図26~
図31を参照しながら、ソース、ドレインおよびゲートの作製方法を例示的に説明する。
【0144】
HHMTトランジスタを形成したあと、堆積およびリフトオフまたは堆積およびレーザーポジショニングエッチングなどの方法で基板の第1表面に形成された第1絶縁層に比較的に厚い第1金属層210を形成し、第1金属層は、第1絶縁層に堆積される以外、トランジスタの障壁層の(0001-)面にも少し堆積され、そして、等方性エッチングによりトランジスタの障壁層の(0001-)面における金属層を除去する。そして、第1金属層に同一面蒸着により第2絶縁層320を形成し、CMP、およびエッチングバックまたは第2絶縁層320の成長厚さの精確制御により、トランジスタのゲート領域に位置するように第2絶縁層の高さを設定して、ゲート領域での障壁層またはゲート絶縁層を露出する。第1金属層の形成方法と同様、第2絶縁層に第2金属層220を形成する。同様に、第2金属層は、第2絶縁層に堆積される以外、トランジスタの障壁層の(0001-)面にも少し堆積され、そして、等方性エッチングによりトランジスタ障壁層の(0001-)面における金属層を除去する。そして、第2金属層に同一面蒸着により第3絶縁層330を形成し、エッチングバックまたは第3絶縁層の成長厚さの精確制御により、トランジスタのソース領域に位置するように第3絶縁層の高さを設定して、ソース領域での障壁層または第2チャネル層を露出する。そして、同様に、第3絶縁層に第3金属層200を形成し、フォトエッチングによりソース電極を形成する。これによって、図示のように、2つのトランジスタの間にゲート、ソースおよびドレインを同時に形成する。
【0145】
なお、ソースおよびドレインの位置は、互いに交換してもよく、ソースおよびドレインは、焼なましなどの工程により二次元正孔ガスとオーミック接触を形成することができる。ゲート電極は、障壁層とショットキー接触を形成し、またはゲート媒体により障壁層から絶縁される。
【0146】
上記のように、上記の基板の上記特定面でIII族窒化物半導体チャネル層および障壁層が成長しており、例えば、GaN材料またはAlGaN材料のものであり、その表面が(0001)面または(000-1)面である場合、ガリウム極性または窒素極性を有し、すなわち、<0001>配向または<0001->配向を有する。したがって、<0001->方向におけるチャネル層内の、チャネル層と障壁層との界面に近い箇所に2DHGが存在し、<0001>方向におけるチャネル層内の、チャネル層と障壁層との界面に近い箇所に2DEGが存在する。
【0147】
任意選択で、
図32に示すように、<0001>方向における障壁層が除去され、<0001>方向において二次元電子ガス2DEGを形成することができなくなる。または、
図33の示すように、III族窒化物半導体チャネル層の(0001)面に第4絶縁層340を形成してチャネル層の(0001)面を保護する。なお、第4絶縁層は、III族窒化物半導体チャネル層の、基板の第1表面および第2表面に平行な非極性面にまで延在することができる。
【0148】
二次元電子ガス2DEGの存在により、ソース、ドレインおよびゲートの電位変化に応答することができ、これによって、寄生容量およびリークパスを増加させる。
【0149】
無線周波数電子デバイスを提供する。無線周波数電子デバイスは、例えば、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの他の電子設備であり、上記のトランジスタのいずれか1種を備える。
【0150】
電気電子デバイスを提供する。電気電子デバイスは、携帯電話基地局、光通信システムなどの分野における電力増幅器に使用され、または電源デバイスであってもよく、電気電子デバイスが、上記のトランジスタのいずれか1種を備える。
【0151】
本開示に係る案は、少なくとも下記の効果の1つを実現することができる。正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造は、ゲート漏れ電流を減少させることができ、閾値電圧が高く、パワーが高く、信頼性が高く、低オン抵抗およびデバイスのノーマリオフ状態を実現することができ、安定な閾値電圧を提供することができ、したがって、正孔チャネルIII族窒化物トランジスタが優れるスイッチング特性を有する。
【0152】
本開示に係る案は、下記の効果の少なくとも1つをさらに実現することができる。単位面積でより高いチャネル密度を実現することができ、トランジスタの集積密度を向上させ、トランジスタの構造および製造プロセスが比較的に簡単であり、生産コストを効果的に削減することができる。
【0153】
上記記載は、具体的な実施形態を用いて本開示を説明したが、当業者であればわかるように、これらの説明は、例示的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定するものではない。当業者は、本開示の精神および原理を逸脱しない限り、本開示に対して各種の変形および変更を行ってもよく、これらの変形および変更も本開示の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本開示に係る新型正孔チャネルIII族窒化物トランジスタ構造およびその製造方法は、プロセスが簡単で、コストが低く、単位面積でより高いチャネル密度を実現することができ、耐電圧が高く、パワーが高く、オン抵抗が低いなどの高い性能を持つ省エネのノーマリオフ型正孔チャネルIII族窒化物トランジスタを提供することができる。