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  • -多自由度数値制御ターンテーブル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】多自由度数値制御ターンテーブル
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/48 20060101AFI20231206BHJP
   B23Q 1/66 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B23Q1/48 D
B23Q1/66 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022533522
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2020116910
(87)【国際公開番号】W WO2021135425
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】201911419346.4
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517012970
【氏名又は名称】科徳数控股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KEDE NUMERICAL CONTROL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Huanghai Street, Economic and Technological Development Zone, Dalian, Liaoning 116600 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 虎
(72)【発明者】
【氏名】劉 立新
(72)【発明者】
【氏名】孫 宏▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韋▼ 志鴻
(72)【発明者】
【氏名】杜 長林
(72)【発明者】
【氏名】郭 翠娟
(72)【発明者】
【氏名】張 国▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】李 亜鵬
(72)【発明者】
【氏名】張 海波
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】孔 祥▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 啓棟
(72)【発明者】
【氏名】徐 鋼
(72)【発明者】
【氏名】王 軍
(72)【発明者】
【氏名】王 峰
(72)【発明者】
【氏名】李 迎華
(72)【発明者】
【氏名】劉 紹毅
(72)【発明者】
【氏名】鞠 茲丹
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103084854(CN,A)
【文献】特開昭58-211847(JP,A)
【文献】米国特許第05429345(US,A)
【文献】国際公開第2019/053830(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/144831(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101279422(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105945841(CN,A)
【文献】中国実用新案第202726572(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00-1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転接続ディスクと、B軸線を中心に回転接続ディスクを駆動して回転させるためのB軸動力制御機構と、を含むB軸回転アセンブリと、
移動ベースと、テーブルと、テーブルを駆動して移動ベース上でC2軸線を中心に回転させるためのC2軸動力制御機構と、を含むC2軸テーブル回転アセンブリと、
揺動ベースと、S軸動力制御機構と、を含むS軸テーブル移動アセンブリと、
ロッカーアームと、揺動ベースを駆動してC1軸線を中心にロッカーアーム上で揺動させるためのC1軸動力制御機構と、を含み、前記ロッカーアームは回転接続ディスクに固定され、C1軸線はB軸線と交差するC1軸テーブル揺動アセンブリと、を含み、
前記S軸動力制御機構は移動ベースを駆動して揺動ベース上でS軸線に沿って移動させることにより、ワークの被加工領域をC1軸線とB軸線との交点に近づけることができ、
前記B軸回転アセンブリは工作機械のX軸運動ベースに取り付けられ、B軸は工作機械のX軸及びZ軸に垂直であり、前記ロッカーアームはロッカーアームベースと、扇形ロッカーアームと、を含み、前記扇形ロッカーアームとロッカーアームベースは接続されてL形構造を呈し、前記ロッカーアームベースは回転接続ディスクに固定され、前記扇形ロッカーアームの扇形面に前記ロッカーアームベースを補助支持するためのC1軸円弧ガイドレールが設けられ、前記扇形ロッカーアームの扇形面はB軸線に平行であり、前記テーブルのテーブル面はB軸線に平行であることを特徴とする多自由度数値制御ターンテーブル。
【請求項2】
前記S軸線はC1軸線に垂直であることを特徴とする、請求項1に記載の多自由度数値制御ターンテーブル。
【請求項3】
前記C1軸線は前記B軸線と相互に垂直であり、B軸とC1軸及び工作機械直線軸は5軸RTCP(Rotation Tool Center Point、工具中心点)動作を共同で実行することを特徴とする、請求項1に記載の多自由度数値制御ターンテーブル。
【請求項4】
S軸テーブル移動アセンブリは揺動ベースに設置されたS軸ガイドレールを含み、前記S軸動力制御機構は移動ベースを駆動してS軸ガイドレール上で移動させることができることを特徴とする、請求項1に記載の多自由度数値制御ターンテーブル。
【請求項5】
前記B軸線は垂直軸線であり、前記扇形ロッカーアームの扇形面は垂直面であり、前記C1軸線及びC2軸線はいずれも水平軸線であり、前記テーブルのテーブル面は垂直面であることを特徴とする、請求項に記載の多自由度数値制御ターンテーブル。
【請求項6】
前記扇形ロッカーアームの円弧形部分は工具から遠い側に向いていることを特徴とする、請求項に記載の多自由度数値制御ターンテーブル。
【請求項7】
前記B軸動力制御機構及びC2軸動力制御機構はトルクモータ・ダイレクトドライブ動力機構であり、前記C1軸動力制御機構はサーボモータ・ダブルギヤバックラッシ除去結合構造であり、前記S軸動力制御機構はサーボモータ・リードスクリュー機構であることを特徴とする、請求項に記載の多自由度数値制御ターンテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工作機械技術分野に関し、具体的には、多自由度数値制御ターンテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ブリスク類部品は航空宇宙、船舶、自動車エンジン等の分野で一般的な重要部品であり、ロケットエンジン、航空機エンジン等の主な構成部品の一つである。この種類の部品は複雑な螺旋曲面を有し、加工精度、加工効率に対して高い要件を有する。ブリスク類部品の加工は一般的に高精度5軸マシニングセンタのような工作機械を選択して使用し、このタイプの高精度5軸マシニングセンタの一般的な回転軸構造は、2軸クレードルターンテーブルである。クレードルターンテーブルは一般的に水平に配置され、クレードルが0度の時にテーブルが水平である。一般的なターンテーブルであるAC軸2軸ターンテーブル、BC軸2軸ターンテーブル、単軸ターンテーブル等は、ブリスク類部品の一般的な加工装置であり、軸系の制御点の相対位置はいずれも一定であり、通常はブリスク類部品をクランプする場合、ワークの軸心と回転軸心を合わせる必要があるが、被加工領域と制御回転軸との間に大きな距離があり、大径のブリスクを加工する場合、テーブルが水平である5軸マシニングセンタを使用すると、刃先点の位置が制御軸系から離れすぎて、工作機械でRTCP(Rotation Tool Center Point、工具中心点)動作を実行する時、直線軸の位置補償値を増大させるため、効率及び加工表面の品質にいずれも大きな影響を及ぼす。制御上の欠陥以外に、構造においては、大径ブリスク類部品を加工するターンテーブルのロッカーアームは水平に配置され、ロッカーアーム回転軸全体の動力に対してより高い要件が求められ、構造のサイズが大きく、工作機械の型が大きく、ターンテーブルの干渉空間がより大きく、製品全体のコストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、多自由度数値制御ターンテーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が提供する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0005】
多自由度数値制御ターンテーブルは、B軸回転アセンブリと、C1軸テーブル揺動アセンブリと、C2軸テーブル回転アセンブリと、S軸テーブル移動アセンブリと、を含み、
前記B軸回転アセンブリは、回転接続ディスクと、B軸線を中心に回転接続ディスクを駆動して回転させるためのB軸動力制御機構と、を含み、
前記C2軸テーブル回転アセンブリは、移動ベースと、テーブルと、テーブルを駆動して移動ベース上でC2軸線を中心に回転させるためのC2軸動力制御機構と、を含み、
前記S軸テーブル移動アセンブリは、揺動ベースと、S軸動力制御機構と、を含み、
前記C1軸テーブル揺動アセンブリは、ロッカーアームと、揺動ベースを駆動してC1軸線を中心にロッカーアーム上で揺動させるためのC1軸動力制御機構と、を含み、
前記ロッカーアームは回転接続ディスクに固定され、前記C1軸線はB軸線と交差し、
前記S軸動力制御機構は移動ベースを駆動して揺動ベース上でS軸線に沿って移動させることにより、ワークの被加工領域をC1軸線とB軸線との交点に近づけることができる。
【0006】
さらに、前記S軸線はC1軸線に垂直である。
【0007】
さらに、前記C1軸線は前記B軸線と相互に垂直であり、B軸とC1軸及び工作機械直線軸は5軸RTCP(Rotation Tool Center Point、工具中心点)動作を共同で実行する。
【0008】
さらに、S軸テーブル移動アセンブリは揺動ベースに設置されたS軸ガイドレールを含み、前記S軸動力制御機構は移動ベースを駆動してS軸ガイドレール上で移動させる。
【0009】
さらに、前記B軸回転アセンブリは工作機械のX軸運動ベースに取り付けられ、前記B軸は工作機械のX軸及びZ軸に垂直であり、前記ロッカーアームはロッカーアームベースと、扇形ロッカーアームと、を含み、前記扇形ロッカーアームとロッカーアームベースは接続されてL形構造を呈し、前記ロッカーアームベースは回転接続ディスクに固定され、前記扇形ロッカーアームの扇形面に前記ロッカーベースを補助支持するためのC1軸円弧ガイドレールが設けられ、前記扇形ロッカーアームの扇形面はB軸線に平行であり、前記テーブルのテーブル面はB軸線に平行である。
【0010】
さらに、前記B軸線は垂直軸線であり、前記扇形ロッカーアームの扇形面は垂直面であり、前記C1軸線及びC2軸線はいずれも水平軸線であり、前記テーブルのテーブル面は垂直面である。
【0011】
さらに、前記扇形ロッカーアームの円弧形部分は工具から遠い側に向いている。
【0012】
さらに、前記B軸動力制御機構及びC2軸動力制御機構はトルクモータ・ダイレクトドライブ動力機構であり、前記C1軸動力制御機構はサーボモータ・ダブルギヤバックラッシ除去結合構造であり、前記S軸動力制御機構はサーボモータ・リードスクリュー機構である。
【発明の効果】
【0013】
従来技術に比べて、本発明に記載の多自由度数値制御ターンテーブルは以下の利点を有する。
【0014】
1、本発明は従来の5軸マシニングセンタが使用する2軸ターンテーブルの形式を変更することにより、4つの軸系の連携制御を採用し、C1軸及びB軸をRTCP動作を実行する軸系として選択し、C1軸及びS軸を追加することで、回転加工時に工具の刃先点をRTCP動作の実行に関与する軸線にできるだけ近づけることができ、刃先点の位置を5軸制御軸にできるだけ近づけるか又は合わせることができ、それを動作に関与させることで、直線軸座標の変化がより小さく、直線軸補償の幅がより小さく、加工効率がより高く、表面品質及び加工精度が直線軸の精度から受ける影響をより小さくする。
【0015】
2、軸系を介して部品の位置を調整することにより、工作機械の限られた空間内で、より大きなサイズの部品を加工することができ、設備コストを削減し、同時にサイズが大きな部品の加工精度を保証することができ、複雑な曲面ブリスク類部品の特徴により適し、生産のニーズを満たす。
【0016】
3、垂直ターンテーブルの構造形式は、従来の水平ターンテーブルの構造に比べて、ブリスク類等の複雑な曲面を有する部品の加工に適し、横型マシニングセンタと組み合わせて、高温合金、ステンレス鋼等の各種の金属材質のブリスクを加工することができ、一回のクランプで旋削加工、フライス加工、ドリル加工、ボーリング加工、タッピング加工等の方式の加工を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の実施例の構造概略図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、B軸回転アセンブリ1と、C1軸テーブル揺動アセンブリ2と、C2軸テーブル回転アセンブリ3と、S軸テーブル移動アセンブリ4と、を含む多自由度数値制御ターンテーブルであって、前記B軸回転アセンブリ1は回転接続ディスク11と、B軸線12を中心に回転接続ディスク11を回転させるためのB軸動力制御機構13と、を含み、前記C2軸テーブル回転アセンブリ3は移動ベース33と、テーブルと、テーブルを駆動して移動ベース33上でC2軸線31を中心に回転させるためのC2軸動力制御機構32と、を含み、前記S軸テーブル移動アセンブリ4は揺動ベース43と、テーブルを駆動して揺動ベース43上でS軸線に沿って移動させるためのS軸動力制御機構41とを含み、前記C1軸テーブル揺動アセンブリ2はロッカーアーム21と、揺動ベース43を駆動してロッカーアーム21上でC1軸線22を中心に揺動させるためのC1軸動力制御機構23と、を含み、前記C1軸線22はB軸線12と交差する。前記S軸動力制御機構41は移動ベース33を駆動して揺動ベース43上でS軸線に沿って移動させることにより、ワークの被加工領域をC1軸線とB軸線との交点に近づけることができ、S軸線はS軸方向の軸線である。数値制御工作機械はB軸回転アセンブリ1を介してロッカーアーム21に接続され、被加工ワーク(本実施例ではブリスク5である)は移動ベース33上のテーブルにクランプされる。具体的には、B軸とC1軸及び工作機械直線軸は5軸RTCP(Rotation Tool Center Point、工具中心点)動作を共同で実行し、C1軸はテーブル揺動回転軸系であり、B軸は垂直部分全体の各アセンブリ回転運動制御軸系であり、C2軸はテーブル回転運動軸系であり、S軸は、テーブルが移動可能な位置であり、C1軸線及びB軸線に対するテーブルの位置を調整するためのものであり、刃先点の位置をRTCP動作の実行に関与する軸線にできるだけ近づけるか又は合わせることができ、それを動作に関与させることで、直線軸座標の変化がより小さく、直線軸補償の幅がより小さく、加工効率がより高く、表面品質及び加工精度が直線軸の精度から受ける影響をより小さくし、軸系を介して部品の位置を調整することにより、工作機械の限られた空間内で、より大きなサイズの部品を加工することができ、設備コストを削減し、同時にサイズが大きな部品の加工精度を保証することができ、複雑な曲面ブリスク類部品の特徴により適し、生産のニーズを満たす。
【0019】
好ましい解決手段として、前記S軸線はC1軸線22及びB軸線12が共に位置する平面に垂直であり、前記C1軸線22と前記B軸線12は互いに垂直である。
【0020】
前記揺動ベース43にS軸ガイドレール42が設けられ、C2軸テーブル回転アセンブリ3と揺動ベース43はS軸ガイドレール42を介して接続され且つS軸動力制御機構41に接続され、ブリスク5、C2軸テーブル回転アセンブリ3、S軸ガイドレール42及びS軸動力制御機構41はいずれも揺動ベース43に取り付けられる。C2軸テーブル回転アセンブリ3は、ブリスク5を動かしてC2軸動力制御機構32を介して360°の回転割り出しを行うことができる。ブリスク5をクランプするC2軸テーブル回転アセンブリ3は、S軸ガイドレール42の方向に、S軸動力制御機構41を介して、軸方向に沿って移動運動することができる。
【0021】
前記B軸線12は垂直軸線であり、前記S軸線、C1軸線22及びC2軸線31はいずれも水平軸線であり、前記ロッカーアーム21はロッカーアームベース211と、ロッカーアームベース211に固定された扇形ロッカーアーム212と、を含み、前記扇形ロッカーアーム212とロッカーアームベース211は接続されてL形構造の一体部材を呈し、前記ロッカーアームベース211は回転接続ディスク11に固定され、前記B軸動力制御機構13はロッカーアームベース211を駆動して回転させ、前記扇形ロッカーアーム212の扇形面に前記揺動ベース43を補助支持するためのC1軸円弧ガイドレール213が設けられ、前記揺動ベース43を扇形ロッカーアーム212の扇形輪郭に沿って揺動させることができる。垂直ロッカーアーム構造は、大径のブリスクを加工する場合、干渉空間を減少させ、角度回転の制限が小さく、ターンテーブルの幅寸法を短縮し、回転軸の動力制御に対する要件を低下させ、適用する工作機械の幅寸法を縮小し、工作機械のコストを削減するが、扇形ロッカーアーム212は干渉空間をさらに減少させる。本実施例において、前記扇形ロッカーアーム212の円弧形部分は工具6から遠い側に向いており、前記B軸線12は前記扇形ロッカーアーム212の扇形面に平行で、前記扇形ロッカーアーム212の扇形面はB軸線12に平行であり、すなわち、B軸線12はロッカーアームベース211の回転中心であり、扇形ロッカーアーム212とB軸線12との間に距離が存在し、ロッカーアームベース211の縁部に設置することができ、それによりワークをテーブルに積載した時、ワークの被加工領域をB軸線12の対応する位置に到達させることができる。
【0022】
本実施例において、前記B軸回転アセンブリは工作機械のX軸運動ベースに取り付けられ、前記B軸線は工作機械のX軸及びZ軸に垂直であり、前記B軸線は工作機械のY軸に平行である。具体的には、前記B軸線12は垂直軸線であり、前記扇形ロッカーアーム212の扇形面は垂直面であり、前記C1軸線22及びC2軸線31はいずれも水平軸線であり、前記テーブルのテーブル面は垂直面である。
【0023】
前記B軸動力制御機構13及びC2軸動力制御機構32はトルクモータ・ダイレクトドライブ動力機構結合エンコーダであり(動力機構はウォームギヤ、ローラカム等の形式を採用してもよい)、高精度、高安定性、機械構造がコンパクトであるなどの利点を実現する。揺動軸の揺動運動の動力機構は、揺動軸が駆動する必要がある重量が大きいことから、その大きな慣性モーメントを考慮して、前記C1軸動力制御機構23はサーボモータ・ダブルギヤバックラッシ除去結合構造及びエンコーダであり(動力機構はダイレクトドライブモータ、リンク機構、リードスクリュー等の形式を採用してもよい)、サーボモータ及びダブルギヤバックラッシ除去構造を用いてサイズ空間を縮小すると同時に大きなトルクを出力して揺動軸の動作を保証することができ、本実施例において、前記C1軸動力制御機構23は扇形ロッカーアームに設置され、C1軸動力制御機構23及び揺動ベース43はそれぞれ扇形ロッカーアーム212の裏面及び前面に位置する。前記S軸動力制御機構41はサーボモータ・リードスクリュー、エンコーダであり(動力機構は油圧シリンダ、電気シリンダ、リニアモータ等の形式を採用してもよい)、サーボモータ・リードスクリューのセルフロック剛性が高いという利点を十分に利用し、ストロークの正確な制御を実現する。トルクモータ・ダイレクトドライブ動力機構、サーボモータ・ダブルギヤバックラッシ除去構造及びサーボモータ・リードスクリュー機構自体の構造原理はいずれも従来技術であり、ここでは説明を省略する。
【0024】
5軸マシニングセンタにおいて、本実施例はX軸、Y軸、Z軸、B軸及びC1軸を用いて5軸RTCP動作を共同で実行し、C1軸は揺動制御が可能であり、テーブルをC1軸線22の周りで揺動運動させ、C2軸をテーブル割り出し軸とし、S軸をテーブル位置調整軸として、C1軸線22に対するテーブルの位置を調整することができる。本実施例はワークを加工する時、ワークの加工領域をC1軸線22とB軸線12にできるだけ近づけるか又は合わせ、被加工物としてブリスクを例にすると、外縁は複雑な曲面であり、C2軸テーブル回転アセンブリ3の位置を調整し、及びブリスクのクランプ高さを調整することにより、加工時に外縁の加工領域をC1軸線22とB軸線12にできるだけ近づけるか又は合わせ、それにより加工時に工具の刃先点を5軸RTCP動作の実行に関与するC1軸線22及びB軸線12にできるだけ近づけることができ、本実施例のC1軸線22はB軸線12と同一平面上にあり、RTCP動作を実行する時、数値制御システムの軸系偏差に対する補償が小さく、加工精度を向上させる。
【0025】
前述した実施例は、本発明の好ましい実施態様を説明するものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の主旨から逸脱しない前提で、当業者が本発明の技術案に対してなされた変形及び改良は、いずれも本発明の特許請求の範囲に収まる。
【符号の説明】
【0026】
1 B軸回転アセンブリ
11 回転接続ディスク
12 B軸線
13 B軸動力制御機構
2 C1軸テーブル揺動アセンブリ
21 ロッカーアーム
211 ロッカーアームベース
212 扇形ロッカーアーム
213 円弧ガイドレール
22 C1軸線
23 C1軸動力制御機構
3 C2軸テーブル回転アセンブリ
31 C2軸線
32 C2軸動力制御機構
33 移動ベース
4 S軸テーブル移動アセンブリ
41 S軸動力制御機構
42 S軸ガイドレール
43 揺動ベース
5 ワーク
6 工具
7 ベッド
X X軸方向
Y Y軸方向
Z Z軸方向
B B軸回転方向
C1 C1軸揺動方向
C2 C2軸回転方向
S S軸方向
図1