(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】少なくとも1つのレールにおけるリプロファイル方法
(51)【国際特許分類】
E01B 31/13 20060101AFI20231206BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20231206BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20231206BHJP
B23P 9/04 20060101ALI20231206BHJP
B23P 15/20 20060101ALI20231206BHJP
B23P 25/00 20060101ALI20231206BHJP
B24B 39/02 20060101ALI20231206BHJP
B24C 1/10 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
E01B31/13
B23C3/00
B24C9/00 H
B23P9/04
B23P15/20
B23P25/00
B24B39/02 Z
B24C1/10 A
(21)【出願番号】P 2022534286
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 AT2020060432
(87)【国際公開番号】W WO2021108826
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-02
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】522223154
【氏名又は名称】マテ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ホフマン
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-229103(JP,A)
【文献】特開2008-284632(JP,A)
【文献】特開昭54-136491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0288342(US,A1)
【文献】特開昭55-157475(JP,A)
【文献】特表2021-533292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 31/13
B23C 3/00
B24C 9/00
B23P 9/04
B23P 15/20
B23P 25/00
B24C 1/10
B24B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレール(2)によって形成され、敷設されたレールの軌道(1)の少なくとも1つのレール(2)を、そのレールヘッド(5)にある走行面(10)のセクション内で少なくともリプロファイルする方法であって、以下のステップを有する:
-加工車両(13)を準備するステップであって、前記加工車両(13)がレールの軌道(1)に沿って走行可能であり、
-加工ユニット(14)を準備し、前記加工ユニット(14)が前記加工車両(13)に配置されており、かつ加工すべき前記走行面(10)の加工が、前記加工車両(13)の走行の間に実施され、前記加工ユニット(14)が、
-少なくとも1つの回転駆動される、切削除去する切削工具(17)を備えた少なくとも1つの第1切削部(16)を有し、前記少なくとも1つの切削工具(17)が、前後に配置されており且つリプロファイルすべき
前記レールヘッド
(5)のプロファイルに沿って整列された多数のカッターヘッドブレードを備えたフライスホィールとして形成されており、
-少なくとも1つの第2切削部(20)を有し、
-第1の加工ステップ内で、前記レールヘッド(5)をその走行面(10)のセクション内で、少なくとも1つの切削除去する切削工具(17)を用いて加工するステップであって、第1の加工ステップ内で、フライスプロセスで材料の除去が実施され、かつこの材料の除去において、レール(2)の長手方向の延びの方向に、波形の山(18)と波形の谷(19)を有する表面の波打ちが形成され、かつ後続の第2の加工ステップにおいて、第2切削部を用いて表面の波打ちが減少かつ/又は修正され、
-第2の加工ステップ内で表面の波打ちが減少される際に、少なくとも波形の山(18)が可塑変形されて、均一化され、かつ
-少なくとも波形の山(18)の可塑変形が、加工すべき走行面(10)の方向へ向けられた、少なくとも1つの変形力(21)を用いて実施される、
方法において、
-少なくとも1つの変形力(21)が脈動的に加えられ、かつ、前記レール(2)の材料がわずかに移動され、且つ、前記第2の加工ステップにおいて、加工すべき走行面への第2切削部の切削工具の連続的な接触がない、
ことを特徴とするリプロファイルする方法。
【請求項2】
加工すべき前記レールヘッド(5)に対して、前記
第1の切削部(16
)及び前記第2の切削部(20)の少なくとも1つを垂直及び/又は側方に案内するための少なくとも1つのガイド手段(22)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの変形力(21)が、加工すべき前記走行面(10)への法線方向に適用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、その下限を20N
、その上限を80kN
とする力-値範囲内の値である、ことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、強度が増加されながら適用されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、その下限を100ヘルツ(Hz)
、その上限を25キロヘルツ(kHz)
とする周波数値範囲内の周波数でもたらされる、ことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、均一な周波数で、あるいは変化する周波数で適用される、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2切削部(20)が、少なくとも1つの変形工具(23)を有している、ことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの変形工具(23)が、加工すべき前記レールヘッド(5)へ向けられた作業面(24)を有し、前記作業面(24)が、長手方向の延びの方向に前後に直接的に少なくとも2つ
の波形の山(18)にわたって、延びる、長手方向の延びを伴って形成されている、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の変形工具(23)が設けられており、かつ前記変形工具(23)が互いにオフセットされて、加工すべき横断面のプロファイルにわたって分配して配置されている、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
多数の変形工具(25)が設けられており、前記変形工具(25)の各々が、半球状に形成されたハンマーヘッドを有している、ことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記多数の変形工具(25)の最大の変形距離が、少なくともまだ
前記波形の谷(19)に達する前に終了する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記多数の変形工具(25)の最大の変形距離が、
前記波形の谷(19)において終了する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記多数の変形工具(25)の最大の変形距離が、
前記波形の谷(19)を越えてレール基部(7)の方向に
前記レール(2)の
前記レールヘッド(5)の材料内へ延びている、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
脈動的に加えられる変形力(21)が、ブラスト方法と多数のブラストボディ(29)を用いて、加工すべき
前記走行面(10)へもたらされる、ことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ブラストボディ(29)が、変形プロセス後に収集ユニット(27)
によって、収集される、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
加工された
前記走行面(10)の長手方向の延びに対する法線方向における表面の波打ちの振幅が、下限を0.001mm
及び上限を0.01mm
とする、振幅-値領域に基づく振幅値まで減少される、ことを特徴とする請求項1から16のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
表面の波打ちが、0.004mmより小さい平均粗さ値Raに減少され、かつ/又は修正される、ことを特徴とする請求項1から17のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
第1の加工ステップにおいて、長手方向の延びの方向に前後に直接的に位置する
前記波形の山(18)が、互いに対して、その下限を1.0mm
、かつその上限を14mm
とする、間隔値の範囲内の間隔値で形成される、ことを特徴とする請求項1から18のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
リプロファイルプロセスの間の
前記加工車両(13)の前進速度が、その下限を3m/min
、かつその上限を40m/min
とする、速度値の範囲内の速度値で実施される、ことを特徴とする請求項1から19のうちいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのレールの、少なくともそのレールヘッドにある走行面のセクション(Abschnitt)をリプロファイル(Reprofilieren)する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多条のフライスカッターヘッドを用いたフライスプロセスによって軌道レールをリプロファイルする場合に、個々のフライス痕内にいわゆるフライス切削の波形が生じる。それは、走行方向に交代する隆起と凹部の周期的なパターンであって、それはほとんど見ることはできないが、除去されなければならない。これは、たとえば研磨あるいは砥石をかけることによって行うことができる。しかし、そのためにベルト研磨機又は正面フライスを使用することもできる。測定によって、このフライス切削の波形は、除去されない場合に、レール上を走行する鉄道の騒音公害に重大な影響を有することが、明らかにされている。特に、この波の形状と配置及び場合によっては周期長さが、軌道レールの音放出特性に測定可能な影響を有することが、明らかにされている。規格EN13231によれば、所定の限界内の波形は許容されるが、実際には走行駆動において、特に走行速度が高い場合には、高すぎる騒音公害が発生することになる。
【0003】
レールヘッドのリプロファイルは、位置固定されている切削部(Bearbeitungsaggregaten)を有し、かつ加工すべきレールがそれに対して移動されている加工ユニット(Bearbeitungseinheit)により行うことができ、あるいはレールがすでに、そのレールから形成されるレールの軌道内で軌道の道床内に敷設されており、加工を実施しながら、加工ユニットを有する加工車両が敷設されたレールの軌道に沿って走行されることによって行われる。
【0004】
同じ出願人の特許文献1は、レールに沿って移動可能かつ少なくともその走行面に圧接可能な、回転し、且つ切削除去する少なくとも1つの形状付与工具を用いてレールの走行面を加工する方法と装置を開示している。さらに、切削除去する形状付与工具による加工後に、成形加工されたレール表面に適合された少なくとも1つのロールボディが、レールの走行面の凹凸をならすために、レールの走行面を冷間変形しながらレールにわたって転動される。圧延体として作用するロールボディがその外表面をレールの走行面上に常に圧接して転動し、それによって、走行面上で軸線を中心に転動する外表面の母面は、成形加工された、すなわち、すでにリプロファイルされたレール表面の横断面に相当する。走行移動の間に、ロールボディからは一定の高い接触圧がレールへ加わる。レールとの接触面がある程度小さい場合には、高い接触圧によって、所望の冷間変形をもたらす圧接が生じる。この方法は、実際において、基本的に実証されているが、加圧に必要な接触圧が高いために、すべてのタイプの加工機械には適用できなかった。可能な接触圧は、それぞれの加工機械の固有の重量に実質的に依存している。
【0005】
さらに、同じ出願人の特許文献2にも、道床内に敷設された軌道レールのレールヘッドを、フライス加工するための走行可能な装置を用いてフライス加工する方法が提案されている。フライス装置は回転駆動されるフライスカッターヘッドを有しており、そのフライスカッターヘッドが、フライスカッターヘッドドライブを有するシャーシ内に軸承されている。フライスカッターヘッドは、ガイド手段によって垂直に及び/又は左右に、加工すべきレールヘッドに沿って案内され、フライスカッターヘッドは、フライスカッターヘッドの周方向に前後に配置された複数セットのカッターヘッドブレードを有している。カッターヘッドブレードの各セットは、レールヘッドの加工すべきプロファイルを、異なる半径のほぼ円形の部分円弧において模擬する。フライスプロセスにおいて形成された波打ちの後加工は回避されるべきである。しかしこれは、実際には、きわめて稀であって、もっとも最適な条件においてのみ得られる。しかし、大抵の場合、きわめて長い加工時間が必要となり、そのため、加工すべきレールの軌道もしくは敷設された道床の、より長い遮断もこの点と関係する。また、加工時間を短縮するためには、走行面の追加的な後加工も必要となる。
特許文献3には、構成部品を非ゼロの圧延力によって冷間圧延する方法が開示されており、圧延力は変化する周波数と振幅によって脈動し、最大値からのもっとも低い箇所は、圧延工具の圧入であって、前記圧入が静的な負荷において生じた限りにおいて、圧入幅自体の2倍より大きくない間隔で、互いに連続する、冷間圧延する方法が開示されている。
特許文献4には、波打ちを防止するために、レール車両用のレールの走行面を機械的に処理する方法が開示されており、レール表面は、少なくとも走行面の領域内で、式A=BxZ
2
+Cを満たすアルメン値にて、ショットピーニング法により加工され、ショットピーニング法は周囲温度において行われる、方法が開示されている。
特許文献5は、レール部分を圧縮して硬化させる装置を開示しており、その装置によって衝撃力が間欠的に加えられ、多数のハンマー工具が共通の工具支持体内に間欠的な衝撃ストロークのために駆動可能に取り付けられており、且つさらに加工すべきレール部分を固定するための支持台が設けられている。工具支持体及び/又は支持台は、レール部分の走行面の長手方向に互いに対して移動可能に取り付けられており、且つ可逆的に駆動可能であって、ハンマー工具は、表面の処理すべき領域に相当する衝撃片内の、レール部分の表面の輪郭に取り外し可能に結合されている。
【0006】
しかし、大体において適用される研磨の後、加工ステップは、いくつかの欠点を有している。研磨の際に火花飛翔が発生することがあり、それによって火災を引き起こすことがあり得る。さらに、その場合に生じる研磨塵を吸い出すことは容易ではなく、それによってある程度の環境負荷が高まる。さらに、加工車両の操作者に塵を曝露することは、更なる健康リスクともなる。研磨プロセスは、加工された表面部分のレール材料内にマルテンサイト形成をもたらし、それによって研磨された表面部分の破損の危険が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】オーストリア国特許出願公開第521163号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1820902号明細書
【文献】独国特許出願公開第2920889号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0465683号明細書
【文献】オーストリア特許第391285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、かつ、表面の波打ちを小さくして加工時間を短縮することができる、レールをリプロファイルする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項に記載のリプロファイル方法によって解決される。
【0010】
本発明に係る方法は、複数のレールによって形成され、敷設されたレールの軌道の少なくとも1つのレールをリプロファイルするために用いられ、加工は少なくとも、そのレールヘッドにある走行面のセクション内で行われる。以下のステップが設けられている:
-加工車両を準備するステップであって、加工車両がレールの軌道に沿って走行可能であり、
-加工ユニットを準備ステップであって、加工ユニットが加工車両に配置されており、かつ加工すべき走行面の加工が、加工車両の走行の間に実施され、加工ユニットが、
-少なくとも1つの回転駆動される、切削除去する切削工具を備えた少なくとも1つの第1切削部を有し、少なくとも1つの切削工具が、前後に配置されており且つリプロファイルすべきレールヘッドのプロファイル(Schienenkopfprofils)に沿って整列された多数のカッターヘッドブレードを有するフライスホィール又はフライスカッターヘッドとして形成されており、
-少なくとも1つの第2切削部を有し、
-第1の加工ステップにおいてレールヘッドの走行面のセクションが、少なくとも1つの切削除去する切削工具を用いて加工されるステップであって、第1の加工ステップにおいて、フライスプロセスで材料の除去が実施され、かつこの材料の除去においてレールの長手方向の延びの方向に、波形の山と波形の谷を有する表面の波打ちが形成され、かつ後続の第2の加工ステップにおいて、第2切削部を用いて表面の波打ちが減少及び/又は修正され、
-第2の加工ステップにおいて表面の波打ちを減少させる際に、少なくとも1つの波形の山が可塑変形されて、均一化され、かつ
-少なくとも波形の山の可塑変形が、加工すべき走行面の方向に向けられた少なくとも1つの変形力によってもたらされ、かつ、さらに、
-少なくとも1つの変形力が、脈動的に加えられ、かつ、レールの材料がわずかに移動され、且つ第2の加工ステップにおいて、加工すべき走行面への第2切削部の切削工具の連続的な接触がない。
【0011】
この手順において、経済的、かつそれに伴って短縮された加工時間でリプロファイルが実施されて、効果的である。すなわちレールは、より短い加工時間の後に再び組み込みとそれにともなって走行操業が可能になる。そしてさらに、他の場合には生じる塵汚染も回避され、フライスプロセスの際に形成される、走行面の表面の波打ちが減少される。したがってさらに、そうでない場合には走行駆動において生じる騒音公害が著しく減少される。走行面の長手方向のプロファイル内の少なくとも波形の山あるいは隆起部の可塑変形によって、表面硬化及びそれと結びついて後続のより長い使用期間がもたらされる。
【0012】
加工車両が準備され、加工車両に加工ユニットが配置されており、かつ加工車両が敷設され、かつ複数のレールによって形成されるレールの軌道に沿って走行可能であるので、加工すべき走行面の加工は、加工車両の走行中に実施される。
【0013】
この手順において、経済的かつそれに伴って短縮された加工時間によってリプロファイルが実施され、かつ加工すべきレールの軌道の遮断が短縮されて、効果的である。すなわちレールの軌道は、比較的短い時間の後に再びあらかじめ定められた操業のために利用される。そしてさらに、そうでない場合には発生する塵汚染も回避され、それにもかかわらずフライスプロセスにおいて形成される、走行面の表面の波打ちが減少及び/又は修正される。したがって、そうでない場合には走行駆動中に生じる騒音公害も著しく減少される。走行面の長手方向のプロファイル内の少なくとも波形の山又は隆起を可塑変形することによって、レールの表面硬化及びこれに関連して、その後のより長い使用期間がもたらされる。
【0014】
さらに、少なくとも1つの変形力が、脈動的に加えられる。変形力を脈動的に適用することは、第2切削部の切削工具を加工すべき走行面に常に添接させることを行わない、という利点を有している。したがってより小さい前進力で、もしくはより小さい駆動出力で、加工車両がさらに移動される。
【0015】
変形例の方法も好ましいものであって、それにおいて切削部の少なくとも1つを加工すべきレールヘッドに対して垂直及び/又は側方に案内するための、少なくとも1つのガイド手段が設けられている。少なくとも1つのガイド手段を設けることによって、リプロファイルプロセスを実施するために切削部の少なくとも1つを、レールのあらかじめ定められた幾何学的寸法に適合させ、かつ案内することができる。好ましくは切削部の各々に、専用のガイド手段が割り当てられ、それによってより高いガイド精度と、これに関連して、レールヘッドの走行面の領域における、より正確なリプロファイルを実施することができる。
【0016】
他の手順は、少なくとも1つの変形力が、加工すべき走行面に対する法線方向に適用されることを、特徴としている。したがって第2の加工ステップの間に、少なくとも変形すべき波形の山もしくは隆起の均一な変形を実施することができる。さらに、平坦性もしくは、まっすぐに延びる目標ライン又は目標平面からの偏差を最小に抑えることができる。
【0017】
変形例の方法も効果的であって、それにおいて少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力は、その下限を20N、特に150N、そしてその上限を80kN、特に1.5kNとする、力-値範囲内の値である。
【0018】
脈動する変形力をもたらすためにそれぞれ選択された方法及び選択された手段に応じて、たとえば20Nの下限と50Nの上限、あるいは150Nの下限と1.5kNの上限を有する、あるいは20kNの下限と80kNの上限を有する、力-値範囲を選択することができる。
【0019】
あらかじめ定められた力-値範囲を定めることによって、レール表面における変形の程度を、フライスプロセス後のそれぞれの条件に適合させることができる。
【0020】
他の手順は、少なくとも1つの脈動的な変形力が、強度が増加されながら適用されることを、特徴としている。あらかじめ定められた所定の限界内の変形力の強度を強化することによって、レール走行面を均一化する際に、様々な使用条件へ可変的に適合することができる。
【0021】
さらに、好ましい手順において、少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力は、その下限を100ヘルツ(Hz)、特に500ヘルツ(Hz)、そしてその上限を25キロヘルツ(kHz)、特に3キロヘルツ(kHz)とする、周波数値範囲内の周波数でもたらされる。
【0022】
脈動的な変形力を適用するための、それぞれ選択された方法及び選択された手段に応じて、たとえば、100ヘルツ(Hz)の下限と350ヘルツ(Hz)の上限を有する、あるいは500ヘルツ(Hz)の下限と3キロヘルツ(kHz)の上面を有する、あるいはまた5キロヘルツ(kHz)の下限と25キロヘルツ(kHz)の上限を有する、周波数値範囲を選択することができる。
【0023】
したがって、あらかじめ定められた限界内で、加工すべき波打ちに対して、衝撃数をより良好に適合させることができる。
【0024】
他の好ましい手順において、少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力が、均一な周波数で、あるいは変化する周波数で、適用されることを特徴としている。それによってそれぞれ振動の重畳を、より容易に阻止することができる。
【0025】
他の好ましい手順において、第2切削部が少なくとも1つの変形工具を有することを、特徴としている。第2切削部に少なくとも1つの変形工具を搭載することによって、適用すべき変形力を、ある種のハンマー運動で、レールの加工すべき走行面に適用することができる。
【0026】
変形例も効果的であって、それにおいて少なくとも1つの変形工具が、加工すべきレールヘッドの走行面へ向けられた作業面を有しており、その作業面が、長手方向の延びの方向に前後に直接的に少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの波形の山にわたって延びる、長手方向の延びを伴って形成されている。作業面の選択された最小長さによって、作業の間、複数の波形の山にわたって延びる作業面の添接を保証することができる。したがって少なくとも変形すべき波形の山のより良好かつより均一な平坦化を得ることができる。
【0027】
他の手順は、複数の変形工具が設けられており、かつそれらの変形工具が互いにオフセットされて、加工すべき横断面のプロファイルにわたって分配して配置されていることを、特徴としている。それによって、第2の加工ステップにおいて1つの作業工程内で横断面のプロファイルのより大きいセクションを加工できる、可能性が形成される。
【0028】
さらに、好ましい手順において、多数の変形工具が設けられており、かつ変形工具の各々が半球形状に形成されたハンマーヘッドを有している。好ましくはピン形状又はニードル形状に形成されている、多数の変形工具を選択することによって、少なくとも個々の波形の山に対して更なる均一化を実施することができる。
【0029】
他の好ましい手順は、多数の変形工具の最大の変形距離が、少なくともまだ波形の谷に達する前に終了することを、特徴としている。多数の変形工具の最大の変形距離は、波形の谷において終了することもできる。さらに、多数の変形工具の最大の変形距離は、波形の谷を越えてレール基部の方向にレールのレールヘッドの材料内へ延びることもできる。すなわち多数の変形工具の最大の変形距離を定めかつ限定することによって、第2の加工ステップにおいて加工すべき走行面の表面部分をあらかじめ正確に定めて、決定することができる。それによってさらに、波形の山の変形度をより良好に前もって定めることもできる。
【0030】
好ましい変形例において、脈動的に加えられる変形力は、ブラスト方法及び多数のブラストボディを用いて、加工すべき走行面へもたらされる。それによって同様に、機械的変形作用を、少なくとも平坦化すべき波形の山もしくは隆起へもたらすことができる。たとえばボール又は同様のボディによって形成することができる、ブラストボディの運動によって、ブラストボディはある程度の運動エネルギを有し、その運動エネルギの大部分は、個々のブラストボディがレールの加工すべき表面もしくは表面へ衝突する場合に、適用されるべき変形力に変換される。
【0031】
他の手順は、ブラストボディが変形プロセス後に収集ユニット、特に吸い込み装置を用いて収集されることを、特徴としている。したがってすでに使用されたブラストボディを新しい処理プロセスに再使用することを可能にすることができる。そしてさらに、レールの軌道の領域内で、廃棄及びそれに関連する可能性のある環境汚染が大幅に減少される。
【0032】
他の好ましい手順は、表面の波打ちの振幅が、加工された走行面の長手方向の延びに対する法線方向に、その下限を0.001mm、特に0.004mmとし、かつその上限を0.01mm、特に0.008mmとする振幅-値領域に基づく振幅値に減少されることを、特徴としている。したがって、ホィールフライスを用いた除去プロセスがその前に行われているにもかかわらず、第2の加工ステップによって、表面の波打ちをきわめて小さくすることができる。したがって鉄道車両の走行駆動において発生する騒音公害は、大幅に減少させることができる。振幅値は、音響放出に寄与する周期的な表面構造を下回るように選択され、且つこのような限界内で平坦化される。
【0033】
好ましい変形例において、表面の波打ちは0.004mmより小さい平均粗さ値Raに減少かつ/又は修正される。したがって同様に、高い平坦化度及びこれに関連してきわめて小さい表面の波打ちを得ることができる。
【0034】
他の手順は、第1の加工ステップにおいて、長手方向に延びる方向に直接的に前後に位置する波形の山が、互いに対して、その下限を1.0mm、特に1.8mmとし、その上限を14mm、特に10mmとする間隔値の範囲内の間隔値で形成されることを、特徴としている。したがって、たとえばフライスホィールの回転数、フライスホィールの周囲にわたって分配して配置されているフライスブレードの数及びフライスホィールとレールの間の相対速度のような、重要な加工パラメータにしたがって、表面の波打ちをあらかじめ定められた限界内で決定し、かつ定めることができる。
【0035】
そして、リプロファイルプロセスの間の加工車両の前進速度について、その下限を3m/min、特に5m/minとし、その上限を40m/min、特に30m/minとする速度値の範囲内の速度値で実施される手順も効果的である。すなわちレールと加工車両の間の相対速度を選択することによって、第2の加工ステップ後に得られる走行面の平坦さへ付加的な影響を及ぼすことができる。
【0036】
本発明を、よりよく理解するために、以下の図を用いて詳細に説明する。
【0037】
図は、それぞれ著しく簡略化した図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、レールの目標のプロファイルを有するレールの軌道を横断面で、拡大して示している。
【
図2】
図2は、レールの軌道をその上にある、加工ユニットを備えた加工車両及びその切削部と共に示す上面図である。
【
図3】
図3は、レールのレールヘッドを、第1の加工ステップ後及び可塑変形力をもたらす第2切削部の変形工具と共に側面図で示している。
【
図4】
図4は、レールの他のレールヘッドを第1の加工ステップ後、かつ可塑変形力をもたらす多数の変形工具と共に側面図で示している。
【
図5】
図5は、レールの他のレールヘッドを第1の加工ステップ後及び、ショットブラスト方法により可塑変形力をもたらすための他の可能性と共に側面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、それによって、説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分に、意味に関して置き換えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置の記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置の記載は、位置が変化した場合には新しい位置へ移し替えられる。
【0040】
以下において、「特に」という概念は、それが対象又は方法ステップの可能な特別な形成又はより近い明確化であり得るが、必ずしもその必然的な好ましい実施形態又は必然的な手順を表す必要はないことを表すものとする。
【0041】
最初に述べておくが、以下で記述されるリプロファイル方法は、一方では固定位置に位置決めされた加工設備によっても、他方では可動の加工設備によっても、実施することができる。以下においては、可動の加工設備が設けられており、それが少なくとも1つ加工すべきレールに沿って移動される場合が記述される。
【0042】
基本的に関連する
図1から
図5内で、レールのリプロファイルに用いられる加工の構成要素の様々な可能性と配置が示され、かつ記述されている。
【0043】
図1は、少なくとも1対のレール2を有するレールの軌道1の横断面を示しており、それらのレール2は互いに対して平行に軌幅の間隔で互いに離隔して配置されている。レール2は、好ましくは短い、規則的な間隔で大体において、軌道軸線3に対して横方向に並べられた、コンクリート、鋼、木又はプラスチックからなる枕木4上に固定されており、ここでは、固定部材の表示は省かれている。軌道軸線3は、中心軸を形成しており、この中心軸に、垂直の方向を有する中心平面が延びることができる。レールの軌道1のレール2は、鉄器類や道床と共に軌道として線路区間の上部構造を形成する。ここで示され、かつ記述されるレール2は、基本的に、線路システム内で線形の支持及び案内要素、並びにそれに伴って、その上にあるレール車両のためのあらかじめ定められた走行路を形成する。なお、レール2の横断面は、様々に形成することができ、この横断面は単に例として選択されたものであることを、述べておく。
【0044】
レール2の各々は、その横断面で見てレールヘッド5、レールウェブ6及びレール基部7を有している。レールヘッド5は、レールウェブ6によって支持されており、かつレール基部7は枕木4あるいはその他の支持体もしくは土台に固定されている。
【0045】
レールヘッド5の、レール車両の車輪と接触できる部分は、これに関連して走行面10と称される。レール車両の図示されない車輪フランジは、それぞれレール2の互いに向き合った側に配置されており、これらは、軌道軸線3もしくは軌道中心へ向いた側でもある。レールヘッド5の側方は、内側の側面8とそれに対向して配置された外側の側面9によって画成されている。横断面で見て側壁8と9の間に延びる輪郭部分は、もっとも広い意味においてレール2の走行面10と称することができる。各レール2の走行面10は、ドライブ面11とドライブエッジ12から構成されている。ドライブ面11は、レールヘッド5の上側に延びるように配置されており、ドライブエッジ12は、軌道中心もしくは軌道軸線3へ向いた、内側の側面8への移行部を形成している。
【0046】
敷設されたレール2の走行面10に、時間が経つにつれて、たとえば腐食、磨耗、亀裂のような損傷、波状起伏、波打ち、車輪スリップ痕、小穴形成のような、ドライブ面の表面疵、反ったドライブ面の平坦化のような横断面のプロファイル変化、捲れ、隆起などが生じる。実質的に走行面10のもっとも外側の領域に限定される、磨耗現象及び/又は損傷は、レール2のリプロファイルによって大部分除去することができる。大体において、切削除去する加工方法によって、レール2の表面のレールヘッド5の磨耗もしくは損傷した材料が除去されて、加工されたレールヘッドは可能な限り再びレール2の目標のプロファイルに近くに復元される。
【0047】
本発明に係る方法は、走行面10、特にそのドライブ面11及び/又はドライブエッジ12のプロファイル又はリプロファイルに関するものであって、加工がドライブエッジ12を越えて内側の側面8にわたって延びることもあり得る。しかし、場合によってはドライブ面11を越えて外側の側面9にわたって、加工を実施することも可能である。
【0048】
図2には、レール2から形成されるレールの軌道1が上面図で、かつレール2上に支持され、且つ、加工ユニット14を有し、レール2の上で案内される加工車両13が著しく様式化され、かつ簡略化されて示されている。可能な加工方向及びそれに伴って加工車両13の前進方向が矢印で示されており、ここではこれは、左から右へ向かって行われる。レールの軌道の長手軸の方向に互いに離隔した車輪セット15のみが示唆されており、その車輪セットの内の少なくとも1つの車輪セット15は、駆動手段と駆動結合することができる。加工車両13のベースフレームの表示は、見やすくするために省かれており、加工車両13の輪郭のみが示唆されている。
【0049】
加工ユニット14は、回転駆動され且つ切削除去する少なくとも1つの切削工具17を備えた少なくとも1つの第1切削部16を有している。第1切削部16の支持は、たとえばスライドシューを用いて行うことができ、レール2に関して案内し、かつ関連した配列をするために、専用のガイド手段を設けることができる。好ましくは、2つのレール2に、それぞれそれを加工するための専用の第1切削部16を対応づけることができる。この少なくとも1つの切削工具17は、この実施例において、周囲に前後に配置され、かつリプロファイルすべきレールヘッドのプロファイルに沿って並べられた多数のカッターヘッドブレードを備えたフライスホィールとして形成されている。カッターヘッドブレードは、詳細には示されず、単に簡略化して示唆されている。カッターヘッドブレードは、それぞれ周囲にわたって分配して配置されたカッターヘッドセットが組み合わせられて構成されており、各カッターヘッドセットは、その方位及び配置がレールヘッド5のプロファイルに適合された複数のカッターヘッドブレードから形成されている。フライスホィールの回転運動によって、それぞれ周方向に前後に配置されている、各カッターヘッドセットのカッターヘッドブレードによって、別個の加工された軌道が形成される。第1切削部16及びその切削工具17のための様々な駆動手段の表示もしくは詳細な名称づけは、見やすくするために省かれている。
【0050】
図3は、レール2を側面図で示しており、ここでは、上述したカッターヘッドブレードによって形成された単一の痕跡である表面の波打ちが、リプロファイルによる除去プロセスの経過において生じ、ノンスケールで誇張されて示されている。表面の波打ちは、少なくとも1つのレール2と加工ユニット14との間の相対移動によって生じる。たとえば、リプロファイルプロセス時の加工車両13の前進速度あるいはレール2の前進速度は、その下限を3m/min、特に5m/min、かつ上限を40m/min、特に30m/minとする、速度値の範囲からの速度値によって実施することができる。
【0051】
第1の加工ステップにおいてレールヘッド5の走行面10の加工が、少なくとも1つの切削除去する切削工具17を用いて行われ、第1の加工ステップにおいて材料の除去はフライス工程によって実施される。レール2の長手方向の延びの方向に実施される、この材料の除去において、波形の山18と波形の谷19を有する上述した表面の波打ちが形成される。波形の山18は隆起部とも、そして波形の谷19は凹部とも称することができる。
【0052】
フライスプロセスによる第1の加工ステップの経過において生じる表面の波打ちは、たとえば、1つの痕跡もしくはフライス跡内、及び長手方向の延びの方向における前後の波形の山18によって、その下限を1.0mm、特に1.8mm及びその上限を14mm、特に10mmとする、間隔値の範囲に基づく、前後の間隔値で形成されることがあり得る。この間隔値は、フライスホィールの回転数、カッターヘッドセットの数及びレール2と切削除去する切削工具17との間の相対速度に依存している。速度差が大きくなり、かつ/又はフライスホィールの回転数が小さくなるほど、それだけ間隔値は大きくなる。
【0053】
図2と
図3を一緒に見るとわかるように、加工ユニット14はさらに少なくとも1つの第2切削部20を有しており、それは、上述した表面の波打ちを減少させるために設けられている。もちろんこれは、レールヘッド5の領域内でそれ以上材料を除去せずに行い、もしくは実施しなければならない。
【0054】
少なくとも1つの波形の山18を減少させ、それに伴って平坦にすることは、可塑変形を用いて行われる。可塑変形によって、レール2の材料もしくは原材料は、わずかに移動され、それによって走行面10の直線性が改良される。材料のわずかな移動もしくは変位は、主として、かつ主な程度もしくは主な割合で、波形の山18において行われ、この変位は、主な程度においてレール2の長手方向の延びの方向に行われる。すなわちそれぞれの波形の山18は、好ましくは適用された変形力21によって、直接に隣接して配置された、あるいは直接その隣にある波形の谷19へと、それぞれ変形される。したがって、レール2のリプロファイルが済んだ走行面10の主にまっすぐに延びる長手方向との整合が得られる。
【0055】
可塑変形を実施するために、加工すべき走行面10の方向へ向けられた少なくとも1つの変形力21を加えることが必要である。変形力21は、たとえば第2の、あるいは他の切削工具のような、様々な手段によって加えることができる。少なくとも1つの変形力21は、加工すべき走行面10へ法線方向にもたらされなければならない。さらに、変形力21が脈動的に加えられると、効果的であり得る。これは、一般的に従来技術から知られているように、電気及び/又は空気圧及び/又は油圧の駆動手段を用いて行うことができる。
【0056】
ここで、脈動的に加えるというのは、工作物表面にわたって材料内へ非連続的に伝達されるエネルギ(衝突エネルギ)が投入されることである。レール材料の変形又は冷間変形は、衝撃エネルギが工作物表面を叩く場合のエネルギ散逸によって行われ、これは可塑散逸エネルギと称することができる。
【0057】
脈動的に加えられる少なくとも1つの変形力21は、強度を強めながらもたらすことができる。さらに、脈動的に加えられる少なくとも1つの変形力21の周波数も、均一に、あるいは周波数を変化させながら、加えることができる。したがって、秒あたりの振動数は、それぞれの使用条件又は要求に適合させることができる。
【0058】
冒頭で述べたように、切削部16、20を有する加工ユニット14は、固定位置に位置決めすることができ、加工すべきレール2は、加工ステップの際、加工ユニット14に関して、その長手方向の延びの方向に加工ユニット14によって移動される。
【0059】
しかし好ましくは、後加工とリプロファイルは、軌道道床内に敷設されたレールの軌道1において実施される。この場合において、加工ユニット14は加工車両13に配置され、あるいはそれに保持されている。加工車両13は、敷設され、かつレール2によって形成されたレールの軌道1に沿って走行し、加工すべき走行面10の加工は、加工車両13の走行移動の間に実施される。
【0060】
加工すべきレール2と切削部16、20の少なくとも1つとの間の整列を得るために、一般的に知られているように、加工すべきレールヘッド5に関して切削部16、20の少なくとも1つに垂直方向及び/又は横方向に案内するためのガイド手段22を設けることができる。好ましくは、切削部16、20の各々に、専用のガイド手段22を割り当てて、それと結合することができる。
【0061】
図3からさらに明らかなように、第2切削部20は少なくとも1つの変形工具23を有することができる。この少なくとも1つの変形工具23は、加工すべきレール表面(走行面10)から持ち上げられた位置で示されている。少なくとも1つの変形工具23は、加工すべきレールヘッド5の走行面10へ向いた作業面24を有している。作業面24自体は、平面的に形成されており、かつそれが有する長手方向の延びは、長手方向の延びの方向において前後に直接的に配置された少なくとも2つ、しかし好ましくは少なくとも3つの波形の山18にわたって延びている。これがそれぞれ
図3及び後続の
図4に示唆されている。作業面24の長手方向の延びは、前後に直接的に配置された、多数の波形の山18にわたって延びることもできる。
【0062】
したがって作業面24は、少なくとも1つの波形の谷19、しかし好ましくは少なくとも2つの波形の谷19を、レール2の長手延び方向の方向に覆う。すなわち作業面24は、第2の加工ステップの間も常に波形の山18の少なくとも2つに変形のために添接する。なお、たとえば個々のカッターヘッドブレードの上述した跡の各々に、専用の変形工具23を割り当てることができる。その場合に複数の変形工具23が設けられており、それらの変形工具23は、加工すべき横断面のプロファイル(Profilquerschnitt)にわたって互いにオフセットされて配置されている。
【0063】
少なくとも1つの変形工具23がかなり大きく、かつ大きい容量で形成されている場合に、少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力21は、その下限を20kN、特に40kN、かつその上限を80kN、特に60kNとする、力-値範囲内とすることができる。
【0064】
さらに、少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力21は、その下限を100ヘルツ(Hz)、特に150ヘルツ(Hz)、そしてその上限を350ヘルツ(Hz)、特に300ヘルツ(Hz)とする周波数値範囲内とすることができる。
【0065】
図4には、加工すべきレール2における第2切削部20の他の可能な配置及び構成が、レール2を見る側面図で示されている。ここでも、リプロファイルによる除去プロセスの途上で生じた、上述したカッターヘッドブレードによって形成された単一の痕跡の表面の波打ちが、大きく誇張され、かつ縮尺を離れて示されている。
【0066】
この実施例において、第2切削部20は、多数の変形工具25を有している。変形工具25の各々は、ピン形状又はニードル形状に形成されており、かつそれぞれ半球状に形成されたハンマーヘッドを有することができる。多数の変形工具25の最大の変形距離は、少なくともまだ波形の谷19に達する前に終了するように、定められる。しかし、最大の変形距離は、波形の谷19において終了するように、定めることもできる。しかしそれとは関係なく、さらに、変形距離が波形の谷19を越えてレール基部7の方向にレールヘッド5の材料内へ延びることも、可能である。さらに、個々の変形工具25がすべて同時に変形すべき走行面10の方向へ変位するのではなく、変形運動はピン形状又はニードル形状に形成された多数の変形工具25によって脈動的に、かつ交互に行うことができることが、示されている。したがって変形工具25の加工端部は、走行面10から互いに異なる間隔で示されている。
【0067】
脈動的な変形力21を加えるためのこの例において、変形力は、その下限として150N、特に650Nを、そしてその上限として1.5kN、特に1.0kNを有する力-値範囲に基づくことができる。
【0068】
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力21は、その下限として500ヘルツ(Hz)、特に1キロヘルツ(kHz)、そしてその上限として3キロヘルツ(kHz)、特に2キロヘルツ(kHz)を有する周波数値範囲内の周波数で、加えることができる。
【0069】
図5にはさらに、第2切削部20によって加えられる変形力21を、ボールブラスト方法(Kugelstrahlverfahrens)によってもたらすことができることが、示されている。ボールブラスト方法においては、多数の個々のボール26があらかじめ定められた速度で加工すべき走行面10上へ投げつけられ、もしくは移動されて、それによって変形力21がもたらされる。ボール26によるこの加工ステップにおいては、変形プロセス後にこれらのボールは、収集ユニット27、特に吸い込み装置、を用いて再び集められる。したがって集められたボール26は、再利用できる。個々のボール26の供給が、図式的に示唆されており、その場合にこれらのボールは、加工すべき走行面10の方向へ向けられている、中央の供給通路28内で、あらかじめ定められた速度で移動される。走行面10への衝突とそれに結びついた機械的冷間変形の後に、ボール26は、ここでは供給通路28を中心に外側に配置されている収集ユニット27による吸い込みプロセスによって収集される。この表示は、図式的に簡略化して選択されており、その場合にここでは走行面10へボールブラストを斜め又は角度をもって方向づけすることも、可能である。
【0070】
上述したボールブラスト方法において、ボール形状を有する特別に形成されたブラストボディが使用される。さらにここで述べておくが、第2切削部20によってもたらされる変形力21は、ボール26によってだけでなく、任意に異なるように形成された、いわゆるブラストボディ29によって、脈動するエネルギ伝達によっても、もたらすことができる。個々のブラストボディ29の立体形状は、ボール形状から離れて、任意に選択することもできる。たとえば、エネルギ投入し、それに結びついて可塑変形するためにサンドブラスト方法を使用することもできる。ブラストボディ29のための材料として、たとえば金属、鉱物又はセラミックの材料を選択することができる。
【0071】
変形力21を脈動的に加えるためのここに記述される例において、変形力は、その下限として20N、特に30Nを、そしてその上限として50N、特に40Nを有する力-値範囲内の力にすることができる。
【0072】
その場合には、少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力21は、その下限として5キロヘルツ(kHz)、特に10キロヘルツ(kHz)、かつその上限として25キロヘルツ(kHz)、特に20キロヘルツ(kHz)を有する周波数値範囲内の周波数値とすることができる。
【0073】
上述し、かつ様々な手段で実施される第2の加工ステップのすべてにおいて、表面の波打ちの振幅は、加工された走行面10の長手方向の延びへの法線方向において、その下限として0.001mm、特に0.004mm、かつその上限として0.01mm、特に0.008mmを有する振幅値範囲の振幅値へ減少される。
【0074】
可塑変形に基づいて、表面の波打ちを0.004mmより小さい平均粗さ値Raに減少させ、かつ/又は修正することもできる。しかしそれによって、走行面10の少なくとも処理された部分の表面硬化も得ることができる。
【0075】
さらに、可塑変形プロセスは、レール2のそれぞれレール材料の再結晶温度より下で実施される。したがって少なくとも表面領域内では、熱負荷と望ましくない組織変化を阻止することができる。
【0076】
上述したリプロファイルプロセスのすべてにおいて、まず、少なくともレールヘッド5の領域内で、少なくとも1つの切削除去する切削工具17、特にホィールフライスを用いて機械的に材料の除去が行われる。次に、それに続いて、上述したレールヘッド5の材料の更なる機械的変形が行われる。第2又は後続の作用ステップにおいては、それ以上の材料の除去は行われず、表面の波打ちの機械的変形及びそれと結びついた平滑化のみが行われる。
【0077】
実施例は、可能な実施変形例を示しており、その場合にここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0078】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0079】
具体的な説明内の値領域についてのすべての記載は、その任意の部分領域とすべての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1から10は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1から1.7、または3.2から8.1、あるいは5.5から10のすべての部分領域、を一緒に含んでいるものとする。
【0080】
最後に形式的に指摘しておくが、構造をよりよく理解するために、部材は一部縮尺を離れており、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
複数のレール(2)によって形成され、敷設されたレールの軌道(1)の少なくとも1つのレール(2)を、そのレールヘッド(5)にある走行面(10)のセクション内で少なくともリプロファイルする方法であって、以下のステップを有する:
-加工車両(13)を準備するステップであって、前記加工車両(13)がレールの軌道(1)に沿って走行可能であり、
-加工ユニット(14)を準備し、前記加工ユニット(14)が前記加工車両(13)に配置されており、かつ加工すべき前記走行面(10)の加工が、前記加工車両(13)の走行の間に実施され、前記加工ユニット(14)が、
-少なくとも1つの回転駆動される、切削除去する切削工具(17)を備えた少なくとも1つの第1切削部(16)を有し、前記少なくとも1つの切削工具(17)が、前後に配置されており且つリプロファイルすべきレールヘッドのプロファイルに沿って整列された多数のカッターヘッドブレードを備えたフライスホィールとして形成されており、
-少なくとも1つの第2切削部(20)を有し、
-第1の加工ステップ内で、前記レールヘッド(5)をその走行面(10)のセクション内で、少なくとも1つの切削除去する切削工具(17)を用いて加工するステップであって、第1の加工ステップ内で、フライスプロセスで材料の除去が実施され、かつこの材料の除去において、レール(2)の長手方向の延びの方向に、波形の山(18)と波形の谷(19)を有する表面の波打ちが形成され、かつ後続の第2の加工ステップにおいて、第2切削部を用いて表面の波打ちが減少かつ/又は修正され、
-第2の加工ステップ内で表面の波打ちが減少される際に、少なくとも波形の山(18)が可塑変形されて、均一化され、かつ
-少なくとも波形の山(18)の可塑変形が、加工すべき走行面(10)の方向へ向けられた、少なくとも1つの変形力(21)を用いて実施される、
方法において、
-少なくとも1つの変形力(21)が脈動的に加えられ、かつ、前記レール(2)の材料がわずかに移動される、
ことを特徴とするリプロファイルする方法。
[態様2]
加工すべき前記レールヘッド(5)に対して、前記切削部(16、20)の少なくとも1つを垂直及び/又は側方に案内するための少なくとも1つのガイド手段(22)が設けられている、ことを特徴とする態様1に記載の方法。
[態様3]
少なくとも1つの変形力(21)が、加工すべき前記走行面(10)への法線方向に適用されることを特徴とする態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、その下限を20N、特に150N、その上限を80kN、特に1.5kNとする力-値範囲内の値である、ことを特徴とする態様1から3のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様5]
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、強度が増加されながら適用されることを特徴とする態様1から4のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様6]
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、その下限を100ヘルツ(Hz)、特に500ヘルツ(Hz)、その上限を25キロヘルツ(kHz)、特に3キロヘルツ(kHz)とする周波数値範囲内の周波数でもたらされる、ことを特徴とする態様1から5のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様7]
少なくとも1つの脈動的に加えられる変形力(21)は、均一な周波数で、あるいは変化する周波数で適用される、ことを特徴とする態様6に記載の方法。
[態様8]
第2切削部(20)が、少なくとも1つの変形工具(23)を有している、ことを特徴とする態様1から7のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様9]
前記少なくとも1つの変形工具(23)が、加工すべき前記レールヘッド(5)へ向けられた作業面(24)を有し、前記作業面(24)が、長手方向の延びの方向に前後に直接的に少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの波形の山(18)にわたって、延びる、長手方向の延びを伴って形成されている、ことを特徴とする態様8に記載の方法。
[態様10]
複数の変形工具(23)が設けられており、かつ前記変形工具(23)が互いにオフセットされて、加工すべき横断面のプロファイルにわたって分配して配置されている、ことを特徴とする態様8又は9に記載の方法。
[態様11]
多数の変形工具(25)が設けられており、前記変形工具(25)の各々が、半球状に形成されたハンマーヘッドを有している、ことを特徴とする態様1から7のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様12]
多数の変形工具(25)の最大の変形距離が、少なくともまだ波形の谷(19)に達する前に終了する、ことを特徴とする態様11に記載の方法。
[態様13]
多数の変形工具(25)の最大の変形距離が、波形の谷(19)において終了する、ことを特徴とする態様11に記載の方法。
[態様14]
多数の変形工具(25)の最大の変形距離が、波形の谷(19)を越えてレール基部(7)の方向にレール(1)のレールヘッド(5)の材料内へ延びている、ことを特徴とする態様11に記載の方法。
[態様15]
脈動的に加えられる変形力(21)が、ブラスト方法と多数のブラストボディ(29)を用いて、加工すべき走行面(10)へもたらされる、ことを特徴とする態様1から7のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様16]
ブラストボディ(29)が、変形プロセス後に収集ユニット(27)、特に吸い込み装置によって、収集される、ことを特徴とする態様15に記載の方法。
[態様17]
加工された走行面(10)の長手方向の延びに対する法線方向における表面の波打ちの振幅が、下限を0.001mm、特に0.004mm及び上限を0.01mm、特に0.008mmとする、振幅-値領域に基づく振幅値まで減少される、ことを特徴とする態様1から16のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様18]
表面の波打ちが、0.004mmより小さい平均粗さ値Raに減少され、かつ/又は修正される、ことを特徴とする態様1から17のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様19]
第1の加工ステップにおいて、長手方向の延びの方向に前後に直接的に位置する波形の山(18)が、互いに対して、その下限を1.0mm、特に1.8mm、かつその上限を14mm、特に10mmとする、間隔値の範囲内の間隔値で形成される、ことを特徴とする態様1から18のうちいずれかの態様に記載の方法。
[態様20]
リプロファイルプロセスの間の加工車両(13)の前進速度が、その下限を3m/min、特に5m/min、かつその上限を40m/min、特に30m/minとする、速度値の範囲内の速度値で実施される、ことを特徴とする態様1から19のうちいずれかの態様に記載の方法。
【符号の説明】
【0081】
1 レールの軌道
2 レール
3 軌道軸線
4 枕木
5 レールヘッド
6 レールウェブ
7 レール基部
8 内側の側面
9 外側の側面
10 走行面
11 ドライブ面
12 ドライブエッジ
13 加工車両
14 加工ユニット
15 車輪セット
16 第1切削部
17 切削工具
18 波形の山
19 波形の谷
20 第2切削部
21 変形力
22 ガイド手段
23 変形工具
24 作業面
25 変形工具
26 ボール
27 収集ユニット
28 供給通路
29 ブラストボディ