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特許7398007ANGPTL3発現を阻害する組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ANGPTL3発現を阻害する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20231206BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/712
A61K31/7125
A61K31/713
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022556016
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021022967
(87)【国際公開番号】W WO2021188795
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】62/991,335
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521359667
【氏名又は名称】ディセルナ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100218578
【弁理士】
【氏名又は名称】河井 愛美
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ボブ ディー
(72)【発明者】
【氏名】デュデック ヘンリク ティー
(72)【発明者】
【氏名】サクセナ ユトサフ
(72)【発明者】
【氏名】エイブラムス マーク
(72)【発明者】
【氏名】トゥラノフ アントン
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/177784(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/168589(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/055633(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/154387(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/113
A61P 3/04
A61P 9/10
A61P 3/10
A61P 1/16
A61P 3/06
A61K 31/712
A61K 31/7125
A61K 31/713
A61P 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス鎖及びアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドであって、前記センス鎖は、前記アンチセンス鎖と二重鎖領域を形成
前記センス鎖が、
5’ [mUs][mC][mA][mA][mA][mA][mU][fG][fG][fA][fA][mG][mG][mU][mU][mA][mU][mA][mC][mA][mG][mC][mA][mG][mC][mC][mG][ademA-GalNAc][ademA-GalNAc][ademA-GalNAc][mG][mG][mC][mU][mG][mC](配列番号230)
であり、
前記アンチセンス鎖が、
5’ [Meホスホネート-4O-mUs][fGs][fUs][fA][fU][mA][fA][mC][mC][fU][mU][mC][mC][fA][mU][mU][mU][mU][mG][mAs][mGs][mG](配列番号231)
であり、
mUsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾ウリジンを表し、
mCは、2’-OMe修飾シトシンを表し、
mAは、2’-OMe修飾アデノシンを表し、
mUは、2’-OMe修飾ウリジンを表し、
fGは、2’-F修飾グアノシンを表し、
fAは、2’-F修飾アデノシンを表し、
mGは、2’-OMe修飾グアノシンを表し、
ademA-GalNAcは、2’-アミノジエトキシメタノール-アデニン-GalNAcを表し、
Meホスホネート-4O-mUsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する5’-ホスホネート-4’-オキシ-2’-OMeウリジンを表し、
fGsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-F修飾グアノシンを表し、
fUsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-F修飾ウリジンを表し、
fUは、2’-F修飾ウリジンを表し、
mAsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾アデノシンを表し、
mGsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾グアノシンを表す、
オリゴヌクレオチド
【請求項2】
オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物であって、前記オリゴヌクレオチドがセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖は、前記アンチセンス鎖と二重鎖領域を形成し、
前記センス鎖が、
5’ [mUs][mC][mA][mA][mA][mA][mU][fG][fG][fA][fA][mG][mG][mU][mU][mA][mU][mA][mC][mA][mG][mC][mA][mG][mC][mC][mG][ademA-GalNAc][ademA-GalNAc][ademA-GalNAc][mG][mG][mC][mU][mG][mC](配列番号230)
であり、
前記アンチセンス鎖が、
5’ [Meホスホネート-4O-mUs][fGs][fUs][fA][fU][mA][fA][mC][mC][fU][mU][mC][mC][fA][mU][mU][mU][mU][mG][mAs][mGs][mG](配列番号231)
であり、
mUsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾ウリジンを表し、
mCは、2’-OMe修飾シトシンを表し、
mAは、2’-OMe修飾アデノシンを表し、
mUは、2’-OMe修飾ウリジンを表し、
fGは、2’-F修飾グアノシンを表し、
fAは、2’-F修飾アデノシンを表し、
mGは、2’-OMe修飾グアノシンを表し、
ademA-GalNAcは、2’-アミノジエトキシメタノール-アデニン-GalNAcを表し、
Meホスホネート-4O-mUsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する5’-ホスホネート-4’-オキシ-2’-OMeウリジンを表し、
fGsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-F修飾グアノシンを表し、
fUsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-F修飾ウリジンを表し、
fUは、2’-F修飾ウリジンを表し、
mAsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾アデノシンを表し、
mGsは、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾グアノシンを表す、
医薬組成物。
【請求項3】
静脈内投与に適した担体を更に含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記担体が水を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記担体がリン酸緩衝生理食塩水を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
細胞、細胞集団、または対象においてANGPTL3の発現を低減させることにおける使用のための求項2~5のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項7】
ANGPTL3の発現を低減させることは、ANGPTL3 mRNAの量またはレベル、ANGPTL3タンパク質の量またはレベル、もしくはその両方を低減させることを含む、請求項に記載の使用のための医薬組成物
【請求項8】
対象においてトリグリセリド(TG)の量またはレベルを低減させることにおける使用のための求項2~5のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項9】
対象においてコレステロールの量またはレベルを低減させることにおける使用のための求項2~5のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項10】
前記対象がANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する、請求項のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物
【請求項11】
ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象を治療することにおける使用のための求項2~5のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項12】
ANGPTL3発現に関連する前記疾患、障害、または状態は、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、脂質異常及び/またはコレステロール代謝障害、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病、心血管疾患、冠動脈疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、ホモ接合体及びヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症、及びスタチン耐性高コレステロール血症からなる群より選択される、請求項10又は11に記載の使用のための医薬組成物
【請求項13】
ANGPTL3の発現に関連する前記疾患、障害、または状態は、心血管疾患、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、NASH、肥満、またはそれらの組み合わせである、請求項12に記載の使用のための医薬組成物
【請求項14】
2の組成物または治療剤と組み合わせて投与される、請求項13のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法119条(e)の下、2020年3月18日出願の米国特許仮出願第62/991,335号の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は、参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、アンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)の発現を阻害するオリゴヌクレオチド及びその使用、特にANGPTL3の発現に伴う疾患、障害及び/または状態の治療に関連する使用に関する。
【0003】
配列表の参照
本開示は、配列表と共に電子形式で出願される。配列表は、ファイル名が「400930_182359_SL.txt」であり、作成日は2021年3月18日、サイズは371キロバイトであるファイルとして提供される。この電子形式の配列表の情報を、本明細書に参照によりその全内容にわたって援用する。
【背景技術】
【0004】
脂質代謝障害は、トリグリセリド及び/またはコレステロールなどの血清脂質レベルの上昇をもたらす可能性がある。血清脂質の上昇は、高血圧、心血管疾患、糖尿病、及び他の病理学的状態と強く関連付けられている。治療の進歩にも関わらず、心血管疾患及び代謝性疾患を治療するための治療法に対する非常に高いかつ満たされていない医学的ニーズが依然として存在している。
【0005】
高トリグリセリド血症は、血液中のトリグリセリド濃度が異常に上昇することを特徴とする脂質代謝障害である(例えば、>150mg/dL)。高トリグリセリド血症は、心血管疾患(例えば、動脈硬化症)の発症と関連している。重度の高トリグリセリド血症(例えば、>500mg/dL)は、膵炎、発疹性黄色腫、または網膜脂血症を引き起こし得る。場合によっては、非常に高レベルのカイロミクロンがカイロミクロン血症症候群を引き起こす可能性があり、この症候群は、繰り返す腹痛、吐き気、嘔吐、及び膵炎を特徴とする(Pejic&Lee(2006)J. Am. Board. Fam. Med.19:310-316)。高脂血症は、血液中のいずれか1つまたは全ての脂質及び/またはリポタンパク質のレベル上昇を特徴とする別の脂質代謝障害である。
【0006】
ANGPTL3は、脂質代謝を調節し、主に肝臓で発現される分泌タンパク質のアンジオポエチン様ファミリーのメンバーである(Koishi et al.(2002)Nat. Genet.30:151-157)。ANGPTL3は、トリグリセリドの加水分解を触媒するリポタンパク質リパーゼ(LPL)を阻害し、高密度リポタンパク質(HDL)リン脂質を加水分解する内皮リパーゼ(EL)を阻害する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様は、疾患、障害、及び/またはANGPTL3発現に関連する状態を治療するための組成物及び方法に関する。本開示は、部分的に、ANGPTL3の発現を選択的に阻害及び/または低減させるオリゴヌクレオチドの発見及び開発に基づいている。
【0008】
いくつかの実施形態において、本開示は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116のいずれか1つに記載される配列を含むアンチセンス鎖を含む、ANGPTL3の発現を低減させるためのオリゴヌクレオチドを提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列を含むセンス鎖を含む、ANGPTL3の発現を低減させるためのオリゴヌクレオチドを提供する。
【0010】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、長さが15個~30個のヌクレオチドのアンチセンス鎖及び長さが15個~40個のヌクレオチドのセンス鎖を含み、当該アンチセンス鎖は、配列番号125、126、127、118、119、120、121、122、123、124、及び117のいずれか1つに記載される、ANGPTL3の標的配列に対する相補的な領域を有し、当該相補的な領域は、長さが少なくとも15個の連続ヌクレオチドである。
【0011】
いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖は、長さが19個~27個のヌクレオチドまたは長さが21個~27個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖は、長さが22個のヌクレオチドである。
【0012】
いくつかの実施形態において、センス鎖は、長さが19個~40個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、センス鎖は、長さが36個のヌクレオチドである。
【0013】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも19個のヌクレオチドまたは少なくとも21個のヌクレオチドの二重鎖領域を有する。いくつかの実施形態において、二重鎖領域は、長さが20個のヌクレオチドである。
【0014】
いくつかの実施形態では、ANGPTL3に対する相補的な領域は、長さが少なくとも19個の連続ヌクレオチド、または長さが少なくとも21個の連続ヌクレオチドである。
【0015】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、センス鎖の3’末端に、S1-L-S2として示されるステムループを含み、S1は、S2と相補的であり、Lは、S1とS2との間に長さが3個~5個のヌクレオチドのループを形成する。
【0016】
いくつかの実施形態では、ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖及びセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、長さが21個~27個のヌクレオチドであり、かつANGPTL3に対する相補的な領域を有し、センス鎖は、その3’末端に、S1-L-S2として示されるステムループを含み、S1-L-S2中のS1は、S2に対して相補的であり、Lは、S1とS2との間に長さが3個~5個のヌクレオチドのループを形成し、アンチセンス鎖及びセンス鎖は、長さが少なくとも19個のヌクレオチドの二重鎖構造を形成するが、それらは共有結合で連結されていない。
【0017】
いくつかの実施形態において、当該ループLは、テトラループである。いくつかの実施形態において、Lは、長さが4個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、Lは、GAAA配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、長さが27個のヌクレオチドのアンチセンス鎖及び長さが25個のヌクレオチドのセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが22個のヌクレオチドのアンチセンス鎖及び長さが36個のヌクレオチドのセンス鎖を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、二重鎖領域を有するオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖に、3’オーバーハング配列を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖の3’オーバーハング配列は、長さが2個のヌクレオチドである。
【0020】
いくつかの実施形態では、ANGTPL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、各々長さが21個~23個のヌクレオチドの範囲であるアンチセンス鎖及びセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが19個~21個のヌクレオチドの範囲である二重鎖構造を有する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが1個以上のヌクレオチドの3’オーバーハング配列を含み、3’オーバーハング配列は、アンチセンス鎖、センス鎖、またはアンチセンス鎖及びセンス鎖に存在する。いくつかの実施形態では、長さが2個のヌクレオチドの3’オーバーハング配列であって、3’オーバーハング配列は、アンチセンス鎖に存在し、センス鎖は、長さが21個のヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は、長さが23個のヌクレオチドであり、センス鎖及びアンチセンス鎖は、長さが21個のヌクレオチドの二重鎖を形成する。
【0021】
いくつかの実施形態において、ANGTPL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは2’修飾を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドが、例えば、2’修飾で修飾される。
【0022】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含み、好ましくは、ホスホロチオエート結合を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドの糖の4’炭素は、リン酸アナログを含み、例えば、オキシメチルホスホネート、ビニルホスホネート、またはマロニルホスホネートを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ポリペプチドまたは脂質などの1つ以上の標的指向性リガンドに結合される。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む。いくつかの実施形態において、GalNac部分は、一価のGalNAc部分、二価のGalNAc部分、三価のGalNAc部分、または四価のGalNAc部分を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、ステムループのLの1個以上のヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態において、ステムループのLの最大4個のヌクレオチドが、それぞれ一価のGalNAc部分に結合される。
【0026】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドは、RNAiオリゴヌクレオチドである。
【0027】
他の態様において、本開示は、本明細書中のオリゴヌクレオチドを投与することによって、細胞、細胞集団、または対象におけるANGPTL3の発現を低減させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞、細胞集団、または対象におけるANGPTL3発現を低減させる方法は、本明細書に記載の有効量のオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を細胞または細胞集団に接触させるか、または対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、ANGPTL3発現を減少させる方法は、ANGPTL3 mRNAの量またはレベル、ANGPTL3タンパク質の量またはレベル、もしくはその両方を減少させることを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書の有効量のオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を対象に投与することによって、対象のトリグリセリド(TG)の量またはレベルを低減させる方法を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書の有効量のオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を対象に投与することによって、対象のコレステロールの量またはレベルを低減させる方法を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドで治療する対象は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する。いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法は、本明細書のオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することで、対象を治療することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、投与のための本明細書のオリゴヌクレオチドは、長さが15個~50個のヌクレオチドのセンス鎖、及び長さが15個~30個のヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、アンチセンス鎖と二重鎖領域を形成し、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116から選択される相補的配列、またはその医薬組成物を含むことで、対象を治療することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法は、表5に示される表の行から選択される一対のセンス鎖及びアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を治療有効量でそれを必要とする対象に投与することで、対象を治療することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態は、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、脂質異常及び/またはコレステロール代謝障害、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病、心血管疾患、冠動脈疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、ホモ接合体及びヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症、及びスタチン耐性高コレステロール血症からなる群より選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態は、心血管疾患、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、NASH、肥満、またはそれらの組み合わせである。
【0035】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物は、第2の治療剤またはその組成物と組み合わせて投与される。
【0036】
さらなる態様において、本開示は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態の治療のための薬物の製造における、本開示のオリゴヌクレオチドのいずれか、またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドまたは本開示の医薬組成物は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態の治療に使用するためのものであるか、または使用に適合するものである。
【0038】
さらなる態様において、本開示のオリゴヌクレオチドは、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を治療するためのキットの形態で提供される。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書のオリゴヌクレオチドと、医薬的に許容可能な担体とを含む。いくつかの実施形態において、キットは、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象への投与のための説明書を含む添付文書をさらに含む。
【0039】
キットまたは使用のいくつかの実施形態において、ANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態は、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、脂質異常及び/またはコレステロール代謝障害、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病、心血管疾患、冠動脈疾患、NASH、NAFLD、ホモ接合体及びヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症、及びスタチン耐性高コレステロール血症からなる群より選択される。
【0040】
キットまたは使用のいくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態は、心血管疾患、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、NASH、肥満、またはそれらの組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ANGPTL3 mRNA対照偽処理細胞のパーセント(%)に対する、示したDsiRNAをトランスフェクトしたHuH-7細胞におけるANGPTL3 mRNAのパーセントを示すグラフを提供する。
図2】ANGPTL3 mRNA対照偽処理細胞のパーセント(%)に対する、示したDsiRNAをトランスフェクトしたHuH-7細胞におけるANGPTL3 mRNAのパーセントを示すグラフを提供する。
図3】ジェネリックGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドの構造及び化学修飾パターンを示す概略図を提供する。
図4】リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で処理したマウスから得た肝臓試料中のANGPTL3 mRNAに対する、示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したマウスから得た肝臓試料中のANGPTL3 mRNAのパーセント(%)を示すグラフを提供する。
図5A】PBSで処理した非ヒト霊長類(NHP)に対する、示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したNHPからの肝臓試料中の処理後28日目のANGPTL3 mRNAのパーセント(%)を表すグラフを提供する。
図5B】PBSで処理した非ヒト霊長類(NHP)に対する、示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したNHPからの肝臓試料中の処理後56日目のANGPTL3 mRNAのパーセント(%)を表すグラフを提供する。
図5C】PBSで処理した非ヒト霊長類(NHP)に対する、示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したNHPからの肝臓試料中の処理後84日目のANGPTL3 mRNAのパーセント(%)を表すグラフを提供する。
図6】経時的にPBSで処理したNHPからの肝臓試料中のANGPTL3 mRNAに対する、示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したNHPからの肝臓試料中のANGPTL3 mRNAの平均パーセント(%)を示すグラフを提供する。
図7】経時的にPBSで処理したNHPからの血清中のANGPTL3タンパク質に対する、示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したNHPから得た血清中のANGPTL3タンパク質の平均パーセント(%)を示すグラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
I.定義
【0043】
本明細書で使用される場合、1つ以上の目的の値に適用される「約」は、記載されている参照値と同様の値を指す。特定の実施形態において、「約」は、別途記載のない限りまたは別途内容から明らかでない限り(かかる数が可能な値の100%を超え得る場合を除く)、述べられた基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下に含まれる値の範囲を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、薬理学的に有用な形で(例えば、対象の状態を治療するために)対象に物質(例えば、オリゴヌクレオチド)を与えることを意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「ANGPTL3」は、分泌ポリペプチドのアンジオポエチン様ファミリーのメンバーであるアンジオポエチン様タンパク質3を指す。ANGPTL3は、哺乳類の肝臓で主に発現し、ANGPTL3タンパク質は、シグナルペプチド、N末端コイルドコイルドメイン、C末端フィブリノーゲン(FBN)様ドメインを含む、アンジオポエチンの特徴的な構造を有する。本開示の目的において、「ANGPTL3」は、ヒト、マウス、霊長類、サル、ウシ、ニワトリ、げっ歯類、ラット、ブタ、ヒツジ、及びモルモットを含むがこれらに限定されない任意の脊椎動物または哺乳動物由来のANGPTL3を指す。ANGPTL3は、ネイティブANGPTL3の少なくとも1つのインビボまたはインビトロで活性を維持するネイティブANGPTL3の断片及び変異体を指す。ANGPTL3は、ANGPTL3の完全長で未処理の前駆体型、並びにシグナルペプチドの翻訳後切断から生じる成熟型、及びFBN様ドメインのタンパク質分解処理から生じる型を網羅する。ヒトANGPTL3 mRNA転写物の例示的な配列は、一般に入手でき(GenBank受託番号GI:41327750(NM_014495.2))、本明細書に開示されている(配列番号128)。カニクイザルANGPTL3 mRNAの例示的な配列は、一般に入手でき(GenBank受託番号GI:102136264(XM_005543185.2))、本明細書に開示されている(配列番号129)。マウスANGPTL3 mRNAの例示的な配列は、一般に入手でき(GenBank受託番号GI:142388354(NM_013913.3))、本明細書に開示されている(配列番号130)。ラットANGPTL3の例示的な配列は、一般に入手でき(GenBank受託番号GI:68163568(NM_001025065.1))、本明細書に開示されている(配列番号131)。
【0046】
本明細書で使用される場合、「アシアロ糖タンパク質受容体」または「ASGPR」は、主要48kDaサブユニット(ASGPR-1)及び非主要40kDaサブユニット(ASGPR-2)により形成される二分性C型レクチンを指す。ASGPRは、主として肝実質細胞の類洞表面で発現され、末端ガラクトースまたはGalNAc残基(アシアロ糖タンパク質)を含む循環糖タンパク質との結合、内在化、及びその後の排出に主要な役割を果たす。
【0047】
本明細書で使用される場合、「減弱する」、「減弱すること」、「減弱」などは、減少または効果的に停止することを指す。非限定的な例として、本明細書における治療の1つ以上は、対象における脂質異常症、高トリグリセリド血症、及び高脂血症の発症または進行を低減または効果的に停止させることができる。この減弱は、例えば、脂質異常症、高トリグリセリド血症、及び高脂血症の1つ以上の態様(例えば、症状、組織特徴、及び細胞の炎症活性または免疫活性など)の減少、存在することが予想される場合には、対象の脂質異常症、高トリグリセリド血症、及び高脂血症の1つ以上の態様の進行(悪化)が検出不能もしくは対象の脂質異常症、高トリグリセリド血症、及び高脂血症の態様が検出不能であることにより例示され得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「相補的」は、2つのヌクレオチドが互いに塩基対を形成することを可能にする2つのヌクレオチド間の(例えば、2つの反対側の核酸の、または単一核酸鎖の反対側の領域での)構造的関係性を指す。例えば、対向する核酸のピリミジンヌクレオチドに相補的である1つの核酸のプリンヌクレオチドは、互いに水素結合を形成することにより共に塩基対合し得る。いくつかの実施形態において、相補的なヌクレオチドは、ワトソン・クリック型、または、安定した二重鎖の形成を可能にする他の任意の形で塩基対を形成していてもよい。いくつかの実施形態において、2つの核酸は、本明細書に記載のように、相補的な領域を形成するように互いに相補的な複数のヌクレオチドの領域を有していてもよい。
【0049】
デ本明細書で使用される場合、「デオキシリボヌクレオチド」は、リボヌクレオチドと比較して、そのペントース糖の2’位に、ヒドロキシルの代わりに水素を有するヌクレオチドを指す。修飾デオキシリボヌクレオチドは、糖、リン酸基、もしくは塩基にまたは糖、リン酸基、もしくは塩基の修飾または置換を含む、2’位以外の原子の1つ以上の修飾または置換を有するデオキシリボヌクレオチドである。
【0050】
本明細書で使用される場合、「二本鎖オリゴヌクレオチド」または「dsオリゴヌクレオチド」は、実質的に二重鎖形態であるオリゴヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドの二重鎖領域(複数可)の相補的塩基対合は、共有結合的に個別の核酸鎖のヌクレオチドの逆平行配列間で形成される。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドの二重鎖領域(複数可)の相補的塩基対合は、共有結合で連結されている核酸鎖のヌクレオチドの逆平行配列間で形成される。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドの二重鎖領域(複数可)の相補的塩基対合は、互いに塩基対合するヌクレオチドの相補的逆平行配列を提供するように(例えば、ヘアピンにより)フォールディングされている単一核酸鎖で形成される。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドは、互いに完全に二重鎖である2つの共有結合的に個別の核酸鎖を含む。しかしながら、いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドは、部分的に二重鎖である、(例えば、一方のまたは両方の末端にオーバーハングを有する)2つの共有結合的に個別の核酸鎖を含む。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドは、部分的に相補的であり、したがって、内部ミスマッチまたは末端ミスマッチを含んでいてもよい1つ以上のミスマッチを有していてもよいヌクレオチドの逆平行配列を含む。
【0051】
本明細書で使用される場合、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)に関する「二重鎖」は、ヌクレオチドの2つの逆平行配列の相補的塩基対合により形成される構造を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、例えば、所望の稠度または安定効果を提供または寄与するように組成物に含まれていてもよい非治療剤を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「肝実質細胞」または「(複数の)肝実質細胞」は、肝臓の実質組織の細胞を指す。こうした細胞は、肝臓質量の約70%~85%を占め、血清アルブミン、FBN、及びプロトロンビン群の凝固因子(第3因子及び第4因子を除く)を製造する。肝実質細胞系細胞のマーカーとしては、限定されないが、トランスサイレチン(Ttr)、グルタミンシンテターゼ(Glul)、肝実質細胞核内因子1a(Hnf1a)、及び肝実質細胞核内因子4a(Hnf4a)を挙げることができる。成熟肝実質細胞のマーカーとしては、限定されないが、シトクロムP450(Cyp3a11)、フマリルアセトアセテートヒドロラーゼ(Fah)、グルコース6-ホスフェート(G6p)、アルブミン(Alb)、及びOC2-2F8を挙げることができる。例えば、Huch et al.(2013)Nature.494:247-250を参照すること。
【0054】
本明細書で使用される場合、「肝毒性剤」は、肝臓に対してそれ自体が毒性であるか、またはプロセシングされて、肝臓に対して毒性である代謝物質を形成し得る化学化合物、ウイルス、または他の物質を指す。肝毒性剤としては、限定されないが、四塩化炭素(CCl4)、アセトアミノフェン(パラセタモール)、塩化ビニル、ヒ素、クロロホルム、非ステロイド系抗炎症薬(アスピリン及びフェニルブタゾン等)を挙げることができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「不安定リンカー」は、(例えば、酸性pHによって)切断され得るリンカーを指す。「かなり安定なリンカー」とは、切断できないリンカーを指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「肝臓炎症」または「肝炎」は、肝臓が、特に、傷害または感染の結果として、肝毒性剤への露出により引き起こされ得るように、腫大し、機能障害を起こし、及び/または苦痛を起こす身体状態を指す。症状としては、黄疸(皮膚または目が黄色になること)、疲労、虚弱、悪心、嘔吐、食欲減退、及び体重減少を挙げることができる。肝臓炎症は、治療せずにおくと、線維症、肝硬変、肝不全、または肝臓がんへと進行する場合がある。
【0057】
本明細書で使用される場合、「肝線維症」または「肝臓の線維症」は、炎症及び肝臓細胞死に起因するコラーゲン(I、III、及びIV)、FBN、ウンズリン、エラスチン、ラミニン、ヒアルロナン、及びプロテオグリカンを含んでいてもよい細胞外マトリックスタンパク質の肝臓における過剰蓄積を指す。肝線維症は、治療せずにおくと、肝硬変、肝不全、または肝臓がんへと進行する場合がある。
【0058】
本明細書で使用される場合、「ループ」は、適切なハイブリダイゼーション条件下で(例えば、リン酸緩衝液中で、細胞中で)、非対合領域に隣接する2つの逆平行領域がハイブリダイズして二重鎖(「ステム」と呼ばれる)を形成するように、互いに十分に相補的である核酸の2つの逆平行領域が隣接している核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)の非対合領域を指す。
【0059】
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオチド間結合」という用語は、ホスホジエステル結合を含む参照ヌクレオチド間結合と比較すると、1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチド間結合を指す。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、非天然結合である。典型的には、修飾ヌクレオチド間結合は、修飾ヌクレオチド間結合が存在する核酸に1つ以上の望ましい特性を付与する。例えば、修飾ヌクレオチドは、熱安定性、分解に対する耐性、ヌクレアーゼ耐性、溶解度、生物学的利用能、生物活性、免疫原性低減などを向上させることができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオチド」は、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド、アデニンデオキシリボヌクレオチド、グアニンデオキシリボヌクレオチド、シトシンデオキシリボヌクレオチド及びチミジンデオキシリボヌクレオチドから選択される対応する参照ヌクレオチドと比較すると、1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、非天然ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、その糖、核酸塩基、及び/またはリン酸基に1つ以上の化学修飾を有する。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、対応する参照ヌクレオチドに結合された1つ以上の化学部分を有する。典型的には、修飾ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドが存在する核酸に1つ以上の望ましい特性を付与する。例えば、修飾ヌクレオチドは、熱安定性、分解に対する耐性、ヌクレアーゼ耐性、溶解度、生物学的利用能、生物活性、免疫原性低減などを向上させることができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ニック化テトラループ構造」は、個別のセンス(パッセンジャー)鎖及びアンチセンス(ガイド)鎖により特徴付けられるRNAiオリゴヌクレオチドの構造を指しており、センス鎖は、アンチセンス鎖と相補的な領域を有し、鎖の少なくとも一方が、一般にセンス鎖が、この少なくとも一方の鎖内に形成される隣接ステム領域を安定させるように構成されているテトラループを有する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」は、(例えば、長さが約100個未満のオリゴヌクレオチドの)短い核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、一本鎖(ss)であってもよくまたはdsであってもよい。オリゴヌクレオチドは、二重鎖領域を有していてもよくまたは有していなくともよい。一組の非限定的な例として、オリゴヌクレオチドは、限定されないが、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、ダイサー基質干渉RNA(dsiRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短鎖siRNA、またはss siRNAであってもよい。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドは、RNAiオリゴヌクレオチドである。
【0063】
本明細書で使用される場合、「オーバーハング」は、一方の鎖または領域が二重鎖を形成する相補鎖の末端を超えて、その一方の鎖または領域が伸長することに起因する末端非塩基対合ヌクレオチド(複数可)を指す。いくつかの実施形態において、オーバーハングは、dsオリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端の二重鎖領域から伸長する1つ以上の非対合ヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、オーバーハングは、dsオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖またはセンス鎖上の3’または5’オーバーハングである。
【0064】
本明細書で使用される場合、「リン酸アナログ」は、リン酸基の静電特性及び/または立体特性を模倣する化学部分を指す。いくつかの実施形態において、リン酸アナログは、しばしば酵素的除去を受けやすい5’-リン酸の代わりに、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに配置される。いくつかの実施形態において、5’リン酸アナログは、ホスファターゼ耐性結合を含む。リン酸アナログとしては、限定されないが、5’メチレンホスホネート(5’-MP)及び5’-(E)-ビニルホスホネート(5’-VP)などの5’ホスホネートが挙げられる。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、5’-末端ヌクレオチドの糖の4’位の炭素にリン酸アナログを有する(「4’-リン酸アナログ」と呼ばれる)。4’-リン酸アナログとしては、オキシメチル基の酸素原子が糖部分(例えば、その4’炭素)に結合したオキシメチルホスホネートまたはそのアナログが挙げられる。例えば、米国特許仮出願第62/383,207号(2016年9月2日出願)及び米国特許仮出願第62/393,401号(2016年9月12日出願)を参照すること。オリゴヌクレオチドの5’末端に対する他の修飾が開発されている(例えば、国際特許出願第WO2011/133871号、米国特許第8,927,513号、及びPrakash et al.(2015)Nucleic Acids Res. 43:2993-3011を参照すること)。
【0065】
本明細書で使用される場合、ある遺伝子(例えば、ANGPTL3)の「発現の低減」は、適切な参照(例えば、参照細胞、細胞集団、試料、または対象)と比較すると、その遺伝子によってコードされるRNA転写産物(例えば、ANGPTL3 mRNA)またはタンパク質の量もしくはレベルの減少、及び/または細胞、細胞集団、試料、または対象におけるその遺伝子の活性量もしくはレベルの減少を指す。例えば、細胞を本明細書のオリゴヌクレオチド(例えば、ANGPTL3 mRNAを含むヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチド)と接触させる行為は、dsオリゴヌクレオチドで処理されていない細胞と比較すると、(例えば、RNAi経路によるANGPTL3 mRNAの分解を介して)ANGPTL3 mRNA、タンパク質、及び/または活性の量またはレベルの減少をもたらし得る。同様に、本明細書で使用される場合、「発現の低減」は、遺伝子(例えば、ANGPTL3)の発現の低減をもたらす行為を指す。本明細書で使用される場合、「ANGPTL3発現の低減」は、適切な参照(例えば、参照細胞、細胞集団、試料、または対象)と比較すると、細胞、細胞集団、試料、または対象におけるANGPTL3 mRNA、ANGPTL3タンパク質、及び/またはANGPTL3活性の量もしくはレベルの減少を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「相補的な領域」は、ヌクレオチドの逆平行配列と十分に相補的であることにより、(例えば、リン酸緩衝液中、細胞内など)適当なハイブリダイゼーション条件下で2つのヌクレオチド配列間のハイブリダイゼーションを可能にするような、核酸のヌクレオチド配列(例えば、dsオリゴヌクレオチド)を指す。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、mRNA標的配列に相補的な領域を有する標的配列を含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「リボヌクレオチド」は、そのペントース糖として、2’位にヒドロキシル基を有するリボースを有するヌクレオチドを指す。修飾されたリボヌクレオチドとは、リボース、リン酸基、もしくは塩基にまたはリボース、リン酸基、もしくは塩基の修飾または置換を含む、2’位以外の原子の1つ以上の修飾または置換を有するリボヌクレオチドである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「RNAiオリゴヌクレオチド」は、(a)センス鎖(パッセンジャー)とアンチセンス鎖(ガイド)とを有するdsオリゴヌクレオチドであって、アンチセンス鎖またはアンチセンス鎖の一部がアルゴノート2(Ago2)エンドヌクレアーゼによって標的mRNAの切断に使用されるdsオリゴヌクレオチド、または(b)一本のアンチセンス鎖を有するssオリゴヌクレオチドであって、そのアンチセンス鎖(またはそのアンチセンス鎖の一部)が、Ago2エンドヌクレアーゼによって標的mRNAの切断に使用される一本鎖オリゴヌクレオチドのいずれかを指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「鎖」は、ヌクレオチド間結合(例えば、ホスホジエステル結合、またはホスホロチオエート結合)を介して互いに連結されたヌクレオチドの一本の連続した配列を指す。いくつかの実施形態において、鎖は、2つの遊離末端(例えば、5’末端及び3’末端)を有する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「対象」は、マウス、ウサギ、及びヒトを含む任意の哺乳動物を意味する。一実施形態では、対象は、ヒトまたはNHPである。さらに、「個人」または「患者」は、「対象」と互換的に用いられる場合がある。
【0071】
本明細書で使用される場合、「合成」は、人工的に合成された(例えば、機械(例えば、固体核酸合成装置)を使用して)、またはそれ以外でその分子を通常生成する天然のソース(例えば、細胞または生物)に由来していない核酸または他の分子を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「標的指向性リガンド」は、目的の組織または細胞の同種分子(例えば、受容体)に選択的に結合し、別の物質を目的の組織または細胞に対して標的化するためにその別の物質に結合することができる分子(例えば、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ポリペプチド、または脂質)を指す。例えば、いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、オリゴヌクレオチドを目的の特定の組織または細胞に標的化するためにそのオリゴヌクレオチドに結合されていてもよい。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、細胞表面受容体に選択的に結合する。したがって、いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、オリゴヌクレオチドに結合されている場合、細胞の表面に発現されている受容体に選択的に結合し、オリゴヌクレオチド、標的指向性リガンド、及び受容体を含む複合体が細胞によりエンドソーム内部移行されることにより、特定の細胞内へのオリゴヌクレオチドの送達を促進する。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、オリゴヌクレオチドが、細胞内で標的指向性リガンドから放出されるように、細胞内部移行後にまたは細胞内部移行中に切断されるリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合されている。
【0073】
本明細書で使用される場合、「テトラループ」は、ヌクレオチドのフランキング配列のハイブリダイゼーションにより形成される隣接二重鎖の安定性を増加させるループを指す。安定性の増加は、無作為に選択されたヌクレオチドの配列からなる同等の長さの一組のループから平均的に予想される隣接ステム二重鎖のTmよりも高い隣接ステム二重鎖の融解温度(Tm)の上昇として検出可能である。例えば、テトラループは、少なくとも2塩基対(bp)の長さの二重鎖を含むヘアピンに、10mMのNaHPO4中で、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約56℃、少なくとも約58℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、または少なくとも約75℃のTmをもたらし得る。いくつかの実施形態において、テトラループは、スタッキング相互作用によって、隣接したステム二重鎖のbpを安定化させることができる。加えて、テトラループのヌクレオチド間の相互作用としては、限定ではないが、非ワトソン・クリック型塩基対、スタッキング相互作用、水素結合、及び接触相互作用が挙げられる(Cheong et al.(1990)Nature 346:680-682;Heus&Pardi(1991)Science.253:191-194)。いくつかの実施形態において、テトラループは、ヌクレオチド3個~6個を含むか、またはそれからなり、典型的にはヌクレオチド4~5個である。特定の実施形態において、テトラループは、ヌクレオチド3個、4個、5個、または6個を含むかまたはそれからなり、修飾されていてもよく、または修飾されていなくともよい(例えば、標的指向性部分に結合されていてもよく、または結合されていなくともよい)。一実施形態において、テトラループは、ヌクレオチド4個からなる。テトラループでは任意のヌクレオチドを使用することができ、Cornish-Bowden(1985)Nucleic Acids Res.13:3021-3030に記載されるようにそのようなヌクレオチドの標準的なIUPAC-IUB記号を使用することができる。例えば、文字「N」は、任意の塩基がその位置にあり得ることを意味するために使用することができ、文字「R」は、A(アデニン)またはG(グアニン)がその位置にあり得ることを示すために使用することができ、「B」は、C(シトシン)、G(グアニン)、またはT(チミン)がその位置にあり得ることを示すために使用できる。テトラループの例としては、テトラループのUNCGファミリー(例えば、UUCG)、テトラループのGNRAファミリー(例えば、GAAA)、及びCUUGテトラループが挙げられる(Woese et al.(1990)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8467-8471、Antao et al.(1991)Nucleic Acids Res.19:5901-5905)。DNAテトラループの例としては、テトラループのd(GNNA)ファミリー(例えば、d(GTTA))、テトラループのd(GNRA)ファミリー、テトラループのd(GNAB)ファミリー、テトラループのd(CNNG)ファミリー、及びテトラループのd(TNCG)ファミリー(例えば、d(TTCG))が挙げられる。例えば、Nakano et al.(2002)Biochem.41:4281-14292;Shinji et al.(2000)Nippon Kagakkai Koen Yokoshu 78:731を参照すること。いくつかの実施形態において、テトラループは、ニック化テトラループ構造内に含まれる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療すること」は、例えば、既存の状態(例えば、疾患、障害)に関して対象の健康及び/または福祉を向上させるために、または状態が発生する可能性を予防または減少させるために、治療剤(例えば、本明細書のオリゴヌクレオチド)を対象に投与することにより、ケアの提供を必要とする対象にそれを行う行為を指す。いくつかの実施形態において、治療は、対象が経験する状態(例えば、疾患、障害)の少なくとも1つの徴候、症状、または寄与要因の頻度または重症度を低減することを含む。
【0075】
II.ANGPTL3発現のオリゴヌクレオチド阻害剤
【0076】
本開示は、とりわけ、ANGPTL3発現を阻害するオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、本明細書におけるANGPTL3発現を阻害するオリゴヌクレオチドは、ANGPTL3 mRNAを標的とする。
【0077】
i.ANGPTL3標的配列
【0078】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ANGPTL3 mRNAを含む標的配列を標的とする。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドの一部、断片、もしくは鎖(例えば、dsオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖またはガイド鎖)は、ANGPTL3 mRNAを含む標的配列に結合またはアニーリングすることで、ANGPTL3発現を阻害する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、インビボでANGPTL3発現を阻害するためにANGPTL3標的配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ANGPTL3標的配列を標的とするオリゴヌクレオチドによるANGPTL3の発現の阻害量または程度は、オリゴヌクレオチドの効力と相関する。いくつかの実施形態において、ANGPTL3標的配列を標的とするオリゴヌクレオチドによるANGPTL3の発現の阻害量または程度は、オリゴヌクレオチドを処理したANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象または患者における治療効果の量または程度と相関する。
【0079】
複数の異なる種(例えば、ヒト、カニクイザル、マウス、及びラット、例えば、実施例1を参照すること)のmRNAを含む、ANGPTL3をコードするmRNAのヌクレオチド配列を検査し、インビトロ及びインビボ試験を行った結果(例えば、実施例2及び実施例3を参照すること)、ANGPTL3 mRNAの特定のヌクレオチド配列は、他のヌクレオチド配列よりもオリゴヌクレオチドに基づく阻害を受けやすく、したがって本明細書のオリゴヌクレオチドの標的配列として有用であることを発見した。いくつかの実施形態において、本明細書(例えば、表5)に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、dsオリゴヌクレオチド)のセンス鎖は、ANGPTL3標的配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書(例えば、表5)に記載のdsオリゴヌクレオチドの上記センス鎖の一部または領域は、ANGPTL3標的配列を含む。いくつかの実施形態において、ANGPTL3標的配列は、配列番号117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、及び127のいずれか1つの配列を含むかまたはそれからなる。
【0080】
ii.ANGPTL3-標的指向性配列
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、細胞内のmRNAを標的とし、その発現を阻害するために、ANGPTL3 mRNAに相補的な領域を(例えば、ANGPTL3 mRNAの標的配列内に)有する。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、相補的(ワトソン・クリック)塩基対合によってANGPTL3標的配列に結合またはアニーリングする相補的な領域を有するANGPTL3標的指向性配列(例えば、dsオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖またはガイド鎖)を含む。標的指向性配列または相補的な領域は、一般に、オリゴヌクレオチド(またはその鎖)のANGPTL3 mRNAに対する結合またはアニーリングを、その発現を阻害するために、可能にするのに好適な長さ及び塩基構成である。いくつかの実施形態では、例えば、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約26個、少なくとも約27個、少なくとも約28個、少なくとも約29個、または少なくとも約30個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、約12個~約30個(例えば、12個~30個、12個~22個、15個~25個、17個~21個、18個~27個、19個~27個、または15個~30個)のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、または約30個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、18個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、19個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、20個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、21個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、22個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、23個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、長さが、24個のヌクレオチドである。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、ANGPTL3標的配列と完全に相補的である標的指向性配列または相補的な領域(例えば、二本鎖オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖またはガイド鎖)を含む。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、ANGPTL3標的配列に対して完全に相補的である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つの配列と完全に相補的な標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つの配列と部分的に相補的な標的指向性配列または相補的な領域を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、ANGPTL3 mRNAを含むヌクレオチドの連続配列と相補的な標的指向性配列または相補的な領域を含み、ヌクレオチドの連続配列は、長さが約12個~約30個のヌクレオチド(例えば、長さが12個~30個、12個~28個、12個~26個、12個~24個、12個~20個、12個~18個、12個~16個、14個~22個、16個~20個、18個~20個、または18個~19個のヌクレオチド)である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ANGPTL3 mRNAを含むヌクレオチドの連続配列と相補的な標的指向性配列または相補的な領域を含み、ヌクレオチドの連続配列は、長さが10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ANGPTL3 mRNAを含むヌクレオチドの連続配列と相補的な標的指向性配列または相補的な領域を含み、ヌクレオチドの連続配列は、長さが19個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つのヌクレオチドの連続配列と相補的な標的指向性配列または相補的な領域を含み、任意に、ヌクレオチドの連続配列は、長さが19個のヌクレオチドである。
【0084】
いくつかの実施形態において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列の連続ヌクレオチドと相補的なオリゴヌクレオチドの標的指向性配列または相補的な領域は、アンチセンス鎖の全長にわたる。いくつかの実施形態において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列の連続ヌクレオチドと相補的なオリゴヌクレオチドの相補的な領域は、アンチセンス鎖の全長の一部にわたる。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列の1個~20個のヌクレオチドにわたるヌクレオチドの連続伸長に対して少なくとも部分的に(例えば、完全に)相補的な領域(例えば、dsオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖上)を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、対応するANGPTL3標的配列と1つ以上のbpミスマッチを有する標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態において、標的指向性配列または相補的な領域は、適切なハイブリダイゼーション条件下でANGPTL3 mRNAに結合またはアニーリングする標的指向性配列または相補的な領域の能力、及び/またはANGPTL3発現を阻害するオリゴヌクレオチドの能力が維持されると、対応するANGPTL3標的配列との最大約1つ、最大約2つ、最大約3つ、最大約4つ、または最大約5つなどのミスマッチを有し得る。あるいは、標的指向性配列または相補的な領域は、適切なハイブリダイゼーション条件下でANGPTL3 mRNAに結合またはアニーリングする標的指向性配列または相補的な領域の能力、及び/またはANGPTL3発現を阻害するオリゴヌクレオチドの能力が維持されると、対応するANGPTL3標的配列との1以下、2以下、3以下、4以下、または5以下のミスマッチを有し得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、対応する標的配列と1つのミスマッチを有する標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、対応する標的配列と2つのミスマッチを有する標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、対応する標的配列と3つのミスマッチを有する標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、対応する標的配列と4つのミスマッチを有する標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、対応する標的配列と5つのミスマッチを有する標的指向性配列または相補的な領域を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、対応する標的配列との複数のミスマッチ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のミスマッチ)を有する標的配列または相補的な領域を含み、少なくとも2つ(例えば、全て)のミスマッチは、連続して配置されるか(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の連続ミスマッチ)、またはミスマッチが標的指向性配列または相補的な領域全体に散在する。
【0086】
iii.オリゴヌクレオチドの種類
【0087】
様々なオリゴヌクレオチドの種類及び/または構造は、RNAiオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNAなどを含むがこれらに限定されない本明細書の方法においてANGPTL3を標的とすることに有用である。本明細書またはその他に記載のオリゴヌクレオチドの種類のいずれも、本明細書のANGPTL3標的指向性配列を組み込むフレームワークとして使用することが企図される。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、ダイサー介入の上流または下流のRNA干渉(RNAi)経路に関与することで、ANGPTL3発現を阻害する。例えば、各鎖が、1~5個のヌクレオチドの少なくとも1つの3’オーバーハングを有し、19個~25個のヌクレオチドのサイズを有するRNAiオリゴヌクレオチドが開発されている(例えば、米国特許第8,372,968号を参照すること)。ダイサーによりプロセシングされて、活性RNAi産物を生成する、より長鎖のオリゴヌクレオチドも開発されている(例えば、米国特許第8,883,996号を参照すること)。さらなる研究により、一方の鎖が熱力学的に安定したテトラループ構造を有する構造を含む、少なくとも一方の鎖の少なくとも一方の端部が二重鎖の標的指向性領域を越えて伸長されている伸長dsオリゴヌクレオチドが作製されている(例えば、米国特許第8,513,207号及び米国特許第8,927,705号、並びに国際特許出願公開第WO2010/033225号を参照すること)。そのような構造は、(分子の一方の側または両側に)ss伸長並びにds伸長を含んでいてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書でのオリゴヌクレオチドは、ダイサーの介入(例えば、ダイサー切断)の下流のRNAi干渉経路に関与する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、センス鎖の3’末端に(例えば、長さが1個、2個、または3個のヌクレオチドの)オーバーハングを有する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド(例えば、siRNA)は、標的RNAに対してアンチセンスであるヌクレオチド21個のガイド鎖と、相補的なパッセンジャー鎖とを含むことができ、両方の鎖はアニールして19bpの二重鎖と一方または両方の3’末端にヌクレオチド2個のオーバーハングを形成する。長さが23個のヌクレオチドのガイド鎖及び長さが21個のヌクレオチドのパッセンジャー鎖を有するオリゴヌクレオチドを含み、分子の右側に平滑末端(パッセンジャー鎖の3’末端/ガイド鎖の5’末端)及び分子の左側に2ヌクレオチドの3’ガイド鎖オーバーハング(パッセンジャー鎖の5’末端/ガイド鎖の3’末端)を有するより長鎖のオリゴヌクレオチド設計も可能である。このような分子には、21bpの二重鎖領域が存在する。例えば、米国特許第9,012,138号、米国特許第9,012,621号、及び米国特許第9,193,753号を参照すること。
【0090】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、両方とも長さが約17個~26個(例えば、17個~26個、20個~25個、または21個~23個)のヌクレオチドの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、両方とも長さが19個~22個のヌクレオチドの範囲である。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は長さが等しい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖もしくはアンチセンス鎖のいずれかにまたはセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方に3’オーバーハングが存在する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドがセンス鎖及びアンチセンス鎖を含み、両方とも長さが21個~23個のヌクレオチドの範囲である場合、センス鎖、アンチセンス鎖、またはセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方にある3’オーバーハングは、長さが1個または2個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、分子の右側(パッセンジャー鎖の3’末端/ガイド鎖の5’末端)に平滑末端が存在し、分子の左側(パッセンジャー鎖の5’末端/ガイド鎖の3’末端)に2ヌクレオチドの3’ガイド鎖オーバーハングが存在する、22個ヌクレオチドのガイド鎖及び20個ヌクレオチドのパッセンジャー鎖を有する。このような分子には、20bpの二重鎖領域が存在する。
【0091】
本明細書の組成物及び方法で使用される他のオリゴヌクレオチド設計としては、以下のものが挙げられる。16量体siRNA(例えば、NUCLEIC ACIDS IN CHEMISTRY AND BIOLOGY. Blackburn(ed.),Royal Society of Chemistry,2006を参照すること)、shRNA(例えば、19bpまたはより短いステムを有するもの。例えば、Moore et al.(2010)Methods Mol. Biol.629:141-158を参照すること)、平滑末端siRNA(例えば、長さが19bpのもの。例えば、Kraynack&Baker(2006)RNA 12:163-176を参照すること)、非対称siRNA(aiRNA。例えば、Sun et al.(2008)Nat. Biotechnol.26:1379-1382を参照すること)、非対称短鎖二重鎖siRNA(例えば、Chang et al.(2009)Mol Ther.17:725-732を参照すること)、フォーク型siRNA(例えば、Hohjoh(2004)FEBS Lett.557:193-198を参照すること)、ss siRNA(Elsner(2012)Nat. Biotechnol.30:1063)、ダンベル型環状siRNA(例えば、Abe et al.(2007)J. Am. Chem. Soc.129:15108-15109を参照すること)、及び低分子内部セグメント干渉RNA(small internally segmented interfering RNA)(siRNA。例えば、Bramsen et al.(2007)Nucleic Acids Res.35:5886-5897を参照すること)。いくつかの実施形態で使用されて、ANGPTL3の発現を低減または阻害することができるオリゴヌクレオチド構造のさらなる非限定的な例として、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、及び短鎖siRNAが挙げられる(例えば、Hamilton et al.(2002)EMBO J.21:4671-4679を参照すること。また、米国特許出願公開第2009/0099115号を参照すること)。
【0092】
さらに、いくつかの実施形態において、本明細書のANGPTL3発現を低減または阻害するオリゴヌクレオチドは、ssである。そのような構造としては、これに限定されないが、ss RNAi分子が挙げられる。最近の努力により、ss RNAi分子の活性が示されている(例えば、Matsui et al.(2016)Mol. Ther.24:946-955を参照すること)。しかしながら、いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向に記載して、特定の核酸の標的セグメントの逆相補体を含み、細胞でのその標的RNAのRNaseH媒介性切断を誘導するように(例えば、ギャップマー(gapmer)として)、または細胞での標的mRNAの翻訳を阻害するように(例えば、ミックスマー(mixmer)として)適切に修飾されている核酸塩基配列を有するssオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用するASOは、例えば、米国特許第9,567,587号(例えば、長さ、核酸塩基の糖部分(ピリミジン、プリン)、及び核酸塩基の複素環部分の改変を含む)に示されるものを含む、当該技術分野では周知の任意の適切な方法で修飾されてもよい。さらに、ASOは、特定の標的遺伝子の発現を低減させるために数十年間使用されてきた(例えば、Bennett et al.(2017)Annu. Rev. Pharmacol.57:81-105を参照すること)。
【0093】
iv.二本鎖オリゴヌクレオチド
【0094】
本開示は、ANGPTL3 mRNAを標的とし、かつ(例えば、RNAi経路を介して)ANGPTL3の発現を阻害するdsオリゴヌクレオチドであって、センス鎖(本明細書ではパッセンジャー鎖とも呼ばれる)及びアンチセンス鎖(本明細書ではガイド鎖とも呼ばれる)を含むdsオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、個別の鎖であり、共有結合で連結されていない。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、共有結合で連結されている。
【0095】
いくつかの実施形態において、センス鎖は、第1の領域(R1)及び第2の領域(R2)を有し、R2は、第1のサブ領域(S1)、テトラループ(L)、またはトリループ(triL)、及び第2のサブ領域(S2)を含む。LまたはtriLは、S1及びS2の間に位置し、S1及びS2は第2の二重鎖(D2)を形成する。D2の長さは様々であり得る。いくつかの実施形態において、D2は、長さが約1個~6個のbpである。いくつかの実施形態において、D2は、長さが2個~6個、3個~6個、4個~6個、5個~6個、1個~5個、2個~5個、3個~5個、または4個~5個のbpである。いくつかの実施形態において、D2は、長さが1個、2個、3個、4個、5個、または6個のbpである。いくつかの実施形態において、D2は長さが6個のbpである。
【0096】
いくつかの実施形態において、センス鎖のR1及びアンチセンス鎖は、第1の二重鎖(D1)を形成する。いくつかの実施形態において、D1は、長さが、約15個(例えば、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、または少なくとも21個)のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、D1は、長さが約12個~30個のヌクレオチドの範囲である(例えば、長さが12個~30個、12個~27個、15個~22個、18個~22個、18個~25個、18個~27個、18個~30個、または21個~30個のヌクレオチド)。いくつかの実施形態において、D1は、長さが、約12個(例えば、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、または少なくとも30個)のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、D1は、長さが12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、または30個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、D1は、長さが20個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖を含むD1は、センス鎖及び/またはアンチセンス鎖の全長にわたっていない。いくつかの実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖を含むD1は、センス鎖またはアンチセンス鎖の一方の全長及び/またはセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方の全長にわたる。特定の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖を含むD1は、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方の全長にわたる。
【0097】
いくつかの実施形態において、本明細書のdsオリゴヌクレオチドは、表3に配置するように、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つの配列を有するセンス鎖、及び配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116から選択される相補的配列を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態において、センス鎖は、配列番号99の配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号100の配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、本明細書のdsオリゴヌクレオチドは、表4に配置するように、配列番号19、25、49、71、73、75、79、99、101、103、及び113のいずれか1つの配列を含むセンス鎖、及び配列番号20、26、50、72、74、76、80、100、102、104、及び114から選択される相補的配列を含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態において、センス鎖は、配列番号99の配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号100の配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドまたは他の核酸の構造を記述する際に、配列表に示された配列を参照している場合がある点は理解されたい。このような実施形態において、実際のオリゴヌクレオチドまたは他の核酸は、特定の配列と本質的に同じまたは同様の相補的特性を保持しながら、特定の配列と比較して1つ以上の代替的ヌクレオチド(例えば、DNAヌクレオチドのRNA対応物またはRNAヌクレオチドのDNA対応物)及び/または1つ以上の修飾ヌクレオチド及び/または1つ以上の修飾ヌクレオチド間結合及び/または1つ以上の他の修飾を有し得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書のdsオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド25個のセンス鎖と、ダイサー酵素が作用すると、成熟RISCに組み込まれるアンチセンス鎖を生じるヌクレオチド27個のアンチセンス鎖とを含む。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドのセンス鎖は、27個のヌクレオチドよりも長い(例えば、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、または40個のヌクレオチド)。いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドのセンス鎖は、25個のヌクレオチドよりも長い(例えば、26個、27個、28個、29個、または30個のヌクレオチド)。
【0101】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドの一方の5’末端は、他方の5’末端と比較して熱力学的に不安定である。いくつかの実施形態において、センス鎖の3’末端に平滑末端を有し、アンチセンス鎖の3’末端にオーバーハングを有する非対称オリゴヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖の3’オーバーハングは、長さが約1個~8個のヌクレオチド(例えば、長さが1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のヌクレオチド)である。通常、RNAiのオリゴヌクレオチドは、アンチセンス(ガイド)鎖の3’末端に2個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。しかしながら、他のオーバーハングも可能である。いくつかの実施形態において、オーバーハングは、1個~6個のヌクレオチド、場合によっては、1個~5個、1個~4個、1個~3個、1個~2個、2個~6個、2個~5個、2個~4個、2個~3個、3個~6個、3個~5個、3個~4個、4個~6個、4個~5個、5個~6個のヌクレオチド、または1個、2個、3個、4個、5個、または6個のヌクレオチドの長さを含む3’オーバーハングである。しかしながら、いくつかの実施形態において、オーバーハングは、1個~6個のヌクレオチド、場合によっては、1個~5個、1個~4個、1個~3個、1個~2個、2個~6個、2個~5個、2個~4個、2個~3個、3個~6個、3個~5個、3個~4個、4個~6個、4個~5個、5個~6個のヌクレオチド、または1個、2個、3個、4個、5個、または6個のヌクレオチドの長さを含む5’オーバーハングである。
【0102】
いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖の3’末端の2つの末端ヌクレオチドは、修飾されている。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖の3’末端の2つの末端ヌクレオチドは、標的と相補的である。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖の3’末端の2つの末端ヌクレオチドは、標的と相補的ではない。いくつかの実施形態において、ニック化テトラループ構造中のオリゴヌクレオチドの各3’末端の2つの末端ヌクレオチドは、GGである。典型的には、オリゴヌクレオチドの各3’末端の2つの末端GGヌクレオチドの一方または両方は、標的と相補的ではない。
【0103】
いくつかの実施形態において、センス鎖とアンチセンス鎖との間には、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)のミスマッチが存在する。センス鎖とアンチセンス鎖との間に複数のミスマッチが存在する場合、それらは、連続して位置していてもよく(例えば、2つ、3つ、またはそれ以上が連続してもよく)、または相補的な領域の全体にわたって散在していてもよい。いくつかの実施形態において、センス鎖の3’末端は、1つ以上のミスマッチを含む。一実施形態において、2つのミスマッチが、センス鎖の3’末端に組み込まれている。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのセンス鎖の3’末端のセグメントの塩基ミスマッチまたは不安定化は、恐らくはダイサーによるプロセシングを促進することにより、RNAiの合成二重鎖の効力を向上させた。
【0104】
a.アンチセンス鎖
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるANGPTL3を標的とするオリゴヌクレオチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116のいずれか1つに記載される配列を含むかまたはそれからなるアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116のいずれか1つに記載される配列の、少なくとも約12個(例えば、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、または少なくとも23個)の連続ヌクレオチドを含むまたはそれからなるアンチセンス鎖を含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、dsオリゴヌクレオチドは、長さがヌクレオチド最大40個(例えば、長さがヌクレオチド最大40個、最大35個、最大30個、最大27個、最大25個、最大21個、最大19個、最大17個、または最大12個)のアンチセンス鎖を有する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくともヌクレオチド約12個(例えば、長さが少なくともヌクレオチド12個、少なくとも15個、少なくとも19個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも25個、少なくとも27個、少なくとも30個、少なくとも35個、または少なくとも38個)のアンチセンス鎖を有してもよい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが約12個~約40個(例えば、12個~40個、12個~36個、12個~32個、12個~28個、15個~40個、15個~36個、15個~32個、15個~28個、17個~22個、17個~25個、19個~27個、19個~30個、20個~40個、22個~40個、25個~40個、または32個~40個)のヌクレオチドの範囲のアンチセンス鎖を有してもよい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、または40個のヌクレオチドのアンチセンス鎖を有してもよい。
【0107】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、「ガイド鎖」と呼ばれる場合がある。例えば、アンチセンス鎖がRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、アルゴノートタンパク質、例えばAgo2に結合できる場合、または1つ以上の同様の因子に組み込まれ、または結合して標的遺伝子をサイレンシングを誘導することができる場合、アンチセンス鎖はガイド鎖と呼ぶことができる。いくつかの実施形態において、ガイド鎖に相補的なセンス鎖は、「パッセンジャー鎖」と呼ぶことができる。
【0108】
b.センス鎖
【0109】
いくつかの実施形態において、本明細書のANGPTL3を標的とするオリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載されるセンス鎖配列を含むかまたはそれからなる。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列の、少なくとも約12個(例えば、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、または少なくとも23個)の連続ヌクレオチドを含むかまたはそれからなるセンス鎖を有する。
【0110】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが最大約40個のヌクレオチド(例えば、長さが最大40個、最大36個、最大30個、最大27個、最大25個、最大21個、最大19個、最大17個、または最大12個のヌクレオチド)のセンス鎖(または、パッセンジャー鎖)を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが、少なくとも約12個のヌクレオチド(例えば、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも19個、少なくとも21個、少なくとも25個、少なくとも27個、少なくとも30個、少なくとも36個、または少なくとも38個のヌクレオチド)のセンス鎖を有してもよい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが約12個~約40個(例えば、12個~40個、12個~36個、12個~32個、12個~28個、15個~40個、15個~36個、15個~32個、15個~28個、17個~21個、17個~25個、19個~27個、19個~30個、20個~40個、22個~40個、25個~40個、または32個~40個)のヌクレオチドの範囲のセンス鎖を有してもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、または40個のヌクレオチドのセンス鎖を有してもよい。
【0111】
いくつかの実施形態において、センス鎖は、その3’末端にステムループ構造を含む。いくつかの実施形態において、センス鎖は、その5’末端にステムループ構造を含む。いくつかの実施形態において、ステムは、長さが2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、または14個のbpの二重鎖である。いくつかの実施形態において、ステムループは、分子を分解(例えば、酵素分解)から保護し、標的細胞に送達するための標的化特性を促進する。例えば、いくつかの実施形態において、ループは、オリゴヌクレオチドの遺伝子発現阻害活性に大きく影響することなく修飾を行うことができるさらなるヌクレオチドを提供する。特定の実施形態において、本明細書では、オリゴヌクレオチドは、センス鎖が、(例えば、その3’末端に)S1-L-S2として示されるステムループを含むものである。ここで、S1は、S2と相補的であり、Lは、S1とS2との間に、長さが最大約10個のヌクレオチド(例えば、長さが3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のヌクレオチド)のループを形成する。図3は、このようなオリゴヌクレオチドの非限定的な例示を示す。
【0112】
いくつかの実施形態において、ステムループのループ(F)は、テトラループ(例えば、ニック化テトラループ構造内)である。テトラループは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、及びそれらの組み合わせを含むことができる。通常、テトラループは4~5個のヌクレオチドを有する。
【0113】
v.オリゴヌクレオチドの修飾
【0114】
a.糖の修飾
【0115】
いくつかの実施形態において、修飾糖(本明細書では糖アナログとも呼ばれる)は、例えば、1つ以上の修飾が糖の2’、3’、4’、及び/または5’位の炭素に生じるような、修飾されたデオキシリボースまたはリボース部分を含む。いくつかの実施形態において、修飾された糖は、ロック核酸(「LNA」、例えば、Koshkin et al.(1998)Tetrahedon 54:3607-3630を参照すること)、アンロック核酸(「UNA」、例えば、Snead et al.(2013)Mol. Ther-Nucl. Acids 2:e103を参照すること)、及び架橋型核酸(「BNA」、例えば、Imanishi&Obika(2002)Chem Commun.(Camb)21:1653-1659を参照すること)に提示されているものなどの非天然代替炭素構造も含んでもよい。
【0116】
いくつかの実施形態において、糖のヌクレオチド修飾は、2’-修飾を含む。いくつかの実施形態において、2’-修飾は、2’-O-プロパルギル、2’-O-プロピルアミン、2’-アミノ、2’-エチル、2’-フルオロ(2’-F)、2’-アミノエチル(EA)、2’-O-メチル(2’-OMe)、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)、2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキシエチル](2’-O-NMA)、または2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-d-アラビノ核酸(2’-FANA)であってもよい。いくつかの実施形態において、修飾は、2’-F、2’-OMe、または2’-MOEである。いくつかの実施形態において、糖の修飾は、糖環の1つ以上の炭素の修飾を含んでいてもよい糖環の修飾を含む。例えば、ヌクレオチドの糖の修飾は、糖の1’-炭素または4’-炭素に連結されている糖の2’-酸素、またはエチレンもしくはメチレン架橋を介して1’-炭素もしくは4’-炭素に連結されている2’-酸素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、2’-炭素から3’-炭素の結合を欠如する非環式糖を有する。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、例えば、糖の4’位にチオール基を有する。
【0117】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、少なくとも約1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、またはそれら以上)の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、少なくとも約1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、またはそれら以上)の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、少なくとも約1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、またはそれら以上)の修飾ヌクレオチドを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのセンス鎖のヌクレオチドは、全て修飾されている。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖のヌクレオチドは、全て修飾されている。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド(すなわち、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方)は、全て修飾されている。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、2’-修飾(例えば、2’-Fまたは2’-OMe、2’-MOE、及び2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-d-アラビノ核酸)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは2’修飾(例えば、2’-Fまたは2’-OMe)を含む。
【0119】
本開示は、異なる修飾パターンを有するオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドは、表3及び4(並びに図3)のいずれか1つに記載するように、修飾パターンを有するセンス鎖配列、及び表3及び4(並びに図3)のいずれか1つに記載するように、修飾パターンを有するアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態において、これらのオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の8、9、10、または11位の1つ以上が2’-F基で修飾される。他の実施形態において、これらのオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の1~7位及び12~20位のヌクレオチドのそれぞれの糖部分が2’-OMeで修飾される。
【0120】
いくつかの実施形態において、本発明は、表Aに記載されたものから選択される修飾または非修飾センス鎖であるか、またはそれらを含むオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、表Aに記載されたものから選択される修飾または非修飾アンチセンス鎖であるか、またはそれらを含むオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、表Aに記載されたものから選択される修飾または非修飾二本鎖オリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、表Aに記載されたものから選択されるセンス鎖修飾パターンを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、表Aに記載されたものから選択されるアンチセンス鎖修飾パターンを提供する。
【0121】
いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖は、糖部分の2’位で2’-Fで修飾された3個のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖の2、5、及び14位の糖部分、及び場合によっては、1、3、7、及び10位の最大3個のヌクレオチドが、2’-Fで修飾される。他の実施形態において、アンチセンス鎖の2、5、及び14位の位置のそれぞれの糖部分は、2’-Fで修飾される。他の実施形態において、アンチセンス鎖の1、2、5、及び14位の位置のそれぞれの糖部分は、2’-Fで修飾される。さらに他の実施形態において、アンチセンス鎖の1、2、3、5、7、及び14位の位置のそれぞれの糖部分は、2’-Fで修飾される。さらに別の実施形態において、アンチセンス鎖の1、2、3、5、10、及び14位の位置のそれぞれの糖部分は、2’-Fで修飾される。別の実施形態において、アンチセンス鎖の2、3、5、7、10、及び14位の位置のそれぞれの糖部分は、2’-Fで修飾される。
【0122】
b.5’末端リン酸
【0123】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの5’-末端リン酸基は、Ago2との相互作用を促進する。しかしながら、5’-リン酸基を含むオリゴヌクレオチドは、ホスファターゼまたは他の酵素による分解を受けやすく、インビボでのバイオアベイラビリティを制限する可能性がある。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、こうした分解に耐性のある5’リン酸のアナログを有する。いくつかの実施形態において、リン酸アナログは、オキシメチルホスホネート、ビニルホスホネート、またはマロニルホスホネートであってもよい。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチド鎖の1’末端は、天然の5’リン酸基の静電特性及び立体特性を模倣する化学部分(「リン酸模倣物」)に結合される。
【0124】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、糖の4’-炭素位置にリン酸アナログを有する(「4’-リン酸アナログ」と呼ばれる)。例えば、国際特許出願公開第WO2018/045317号を参照すること。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、5’末端ヌクレオチドに4’-リン酸アナログを含む。いくつかの実施形態において、リン酸アナログは、オキシメチル基の酸素原子が糖部分(例えば、その4’炭素)に結合したオキシメチルホスホネートまたはそのアナログである。他の実施形態において、4’-リン酸アナログは、チオメチルホスホネートまたはアミノメチルホスホネートであり、チオメチル基の硫黄原子またはアミノメチル基の窒素原子は、糖部分またはそのアナログの4’-炭素に結合している。特定の実施形態において、4’-リン酸アナログは、オキシメチルホスホネートである。いくつかの実施形態において、オキシメチルホスホネートは、式-O-CH2-PO(OH)2または-O-CH2-PO(OR)2で表され、Rは、独立に、H、CH3、アルキル基、CH2CH2CN、CH2OCOC(CH33、CH2OCH2CH2Si(CH33、または保護基から選択される。特定の実施形態において、アルキル基は、CH2CH3である。より典型的には、Rは、独立に、H、CH3、またはCH2CH3から選択される。
【0125】
c.修飾されたヌクレオシド間結合
【0126】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、修飾されたヌクレオシド間結合を含み得る。いくつかの実施形態において、リン酸の修飾または置換は、少なくとも1個(例えば、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、または少なくとも5個)の修飾ヌクレオチド間結合を含むオリゴヌクレオチドを生じ得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つは、約1~10個(例えば、1個~10個、2個~8個、4個~6個、3個~10個、5個~10個、1個~5個、1個~3個、または1個~2個)の修飾ヌクレオチド間結合を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の修飾ヌクレオチド間結合を含む。
【0127】
修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロジチオアート結合、ホスホロチオアート結合、ホスホトリエステル結合、チオノアルキルホスホネート結合、チオンアルキルホスホトリエステル結合、ホスホラミダイト結合、ホスホネート結合、またはボラノホスフェート結合であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0128】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、センス鎖の1位と2位、アンチセンス鎖の1位と2位、アンチセンス鎖の2位と3位、アンチセンス鎖の3位と4位、アンチセンス鎖の20位と21位、及び/またはアンチセンス鎖の21位と22位のうちの1つ以上の間にホスホロチオエート結合を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、センス鎖の1位と2位、アンチセンス鎖の1位と2位、アンチセンス鎖の2位と3位、アンチセンス鎖の20位と21位、及びアンチセンス鎖の21位と22位のそれぞれの間にホスホロチオエート結合を含む。
【0129】
d.塩基修飾
【0130】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾された核酸塩基を有する。いくつかの実施形態において、修飾核酸塩基(本明細書では塩基アナログとも呼ばれる)は、ヌクレオチド糖部分の1’位に連結される。特定の実施形態において、修飾核酸塩基は、窒素塩基である。特定の実施形態において、修飾核酸塩基は、窒素原子を含まない。例えば、米国特許出願公開第2008/0274462号を参照すること。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、ユニバーサル塩基を含む。しかしながら、特定の実施形態において、修飾ヌクレオチドは、核酸塩基を含まない(無塩基)。
【0131】
いくつかの実施形態において、ユニバーサル塩基は、二重鎖中に存在する場合に二重鎖の構造を大きく変えることなく、複数の種類の塩基と対合させて配置することができる修飾ヌクレオチドのヌクレオチド糖部分の1’位、またはヌクレオチド糖部分置換の同等の位置に配置された複素環部分である。いくつかの実施形態において、標的核酸と完全に相補的である参照一本鎖核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)と比較して、ユニバーサル塩基を含む一本鎖核酸は、相補的な核酸と形成される二重鎖よりも低いTmを有する標的核酸と二重鎖を形成する。しかしながら、いくつかの実施形態において、ユニバーサル塩基が塩基に置き換えられて1つのミスマッチを生じている参照一本鎖核酸と比較して、ユニバーサル塩基を含む一本鎖核酸は、ミスマッチ塩基を含む核酸と形成される二重鎖よりも高いTmを有する標的核酸と二重鎖を形成する。
【0132】
ユニバーサル結合ヌクレオチドの非限定的な例としては、限定されないが、イノシン、1-β-D-リボフラノシル-5-ニトロインドール及び/または1-β-D-リボフラノシル-3-ニトロピロール(米国特許出願公開第2007/0254362号、Van Aerschot et al.(1995)Nucleic Acids Res.23:4363-4370、Loakes et al.(1995)Nucleic Acids Res.23:2361-2366、Loakes&Brown(1994)Nucleic Acids Res.22:4039-4043を参照すること)が挙げられる。
【0133】
e.可逆的修飾
【0134】
標的細胞に到達する前にオリゴヌクレオチドをインビボ環境から保護するための特定の修飾を行うことができるが、これらの修飾は、標的細胞の細胞質ゾルに到達するとオリゴヌクレオチドの効力または活性を低減させる場合がある。分子が細胞の外部で所望の特性を保持するような可逆的修飾であって、その後細胞のサイトゾル環境に進入すると除去される可逆的修飾をなすことができる。可逆的修飾は、例えば、細胞内酵素の作用により、または細胞内部の化学的条件(例えば、細胞内グルタチオンによる還元)により除去することができる。
【0135】
いくつかの実施形態において、可逆的に修飾されたヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分を含む。典型的には、核酸分子は、ヌクレオチド間ジホスフェート連結により生成される負電荷を遮蔽し、細胞取り込み及びヌクレアーゼ耐性を向上させるように、環式ジスルフィド部分で化学的に修飾されている。米国特許出願公開第2011/0294869号、国際特許出願公開第WO2014/088920号、国際特許出願公開第WO2015/188197号、及びMeade et al.(2014)Nat. Biotechnol.32:1256-1263を参照すること。ヌクレオチド間ジホスフェート連結のこの可逆的修飾は、サイトゾルの還元環境(例えば、グルタチオン)により細胞内で切断されるように設計されている。より初期の例としては、細胞内部で切断可能であることが報告されていた中和ホスホトリエステル修飾が挙げられる(Dellinger et al.(2003)J. Am. Chem. Soc.125:940-950を参照すること)。
【0136】
いくつかの実施形態において、そのような可逆的修飾は、オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼ及び他の過酷な環境条件(例えば、pH)に曝されることになるインビボ投与中(例えば、血液及び/または細胞のリソソーム/エンドソーム区画の通過中)の保護を可能にする。グルタチオンのレベルが細胞外空間と比較してより高い細胞のサイトゾルへと放出されると、修飾が元に戻り、結果としてオリゴヌクレオチドが切断される。可逆的なグルタチオン感受性部分を使用すると、不可逆な化学的修飾を使用して利用可能な選択肢と比較して、立体的により大きな化学基を目的のオリゴヌクレオチドに導入することが可能である。これは、そうしたより大きな化学基がサイトゾルで除去されることになり、したがって、細胞のサイトゾル内部でオリゴヌクレオチドの生物学的活性に干渉するはずがないからである。結果として、そうしたより大きな化学基を操作して、ヌクレアーゼ耐性、親油性、電荷、熱安定性、特異性、及び免疫原性低減などの種々の利点を、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドに付与することができる。いくつかの実施形態において、グルタチオン感受性部分の構造を操作して、その放出の動力学を修飾することができる。
【0137】
いくつかの実施形態において、グルタチオン感受性部分は、ヌクレオチドの糖に結合される。いくつかの実施形態において、グルタチオン感受性部分は、修飾ヌクレオチドの糖の2’炭素に結合される。いくつかの実施形態において、グルタチオン感受性部分は、特に修飾ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの5’-末端ヌクレオチドである場合、糖の5’-炭素に位置する。いくつかの実施形態において、グルタチオン感受性部分は、特に修飾ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの3’-末端ヌクレオチドである場合、糖の3’-炭素に位置する。いくつかの実施形態において、グルタチオン感受性部分は、スルホニル基を含む。例えば、「Compositions Comprising Reversibly Modified Oligonucleotides and Uses Thereof(可逆的に修飾されたオリゴヌクレオチドを含む組成物及びその用途)」と題される2016年8月23日に出願された米国仮特許出願第62/378,635号を参照すること。
【0138】
vi.標的指向性リガンド
【0139】
いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドを、1つ以上の細胞または1つ以上の臓器に対して標的化することが望ましい。そのような戦略を通して、他の臓器における望ましくない影響を回避すること、またはオリゴヌクレオチドが有益ではない細胞、組織、もしくは臓器へのオリゴヌクレオチドの過度の損失を回避することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、特定の組織、細胞、または臓器の標的化及び/または送達を促進するように(例えば、肝臓へのオリゴヌクレオチドの送達を促進するように)修飾される。特定の実施形態において、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、肝臓の肝実質細胞へのオリゴヌクレオチドの送達を促進するように修飾される。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の標的指向性リガンド(複数可)に結合されている少なくとも1つのヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上のヌクレオチド)を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質もしくはタンパク質の一部(例えば、抗体または抗体断片)、または脂質を含む。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、アプタマーである。例えば、標的指向性リガンドは、腫瘍脈管構造もしくは神経膠腫細胞を標的とするために使用されるRGDペプチド、腫瘍脈管構造もしくは小孔(stoma)を標的とするためのCREKAペプチド、CNS脈管構造上に発現されるトランスフェリン受容体を標的とするためのトランスフェリング(transferring)、ラクトフェリン、もしくはアプタマー、または神経膠腫細胞上のEGFRを標的とするための抗EGFR抗体であってもよい。特定の実施形態において、標的指向性リガンドは、1つ以上のGalNAc部分である。
【0141】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの1個以上(例えば、1、2、3、4、5、または6個)のヌクレオチドが各々、個別の標的指向性リガンドに結合される。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの2個~4個のヌクレオチドが各々、個別の標的指向性リガンドに結合される。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、標的指向性リガンドが歯ブラシの毛の部分に似ており、オリゴヌクレオチドが歯ブラシに似た格好となるように、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかの端部の2~4個のヌクレオチドに結合される(例えば、標的指向性リガンドは、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’または3’末端のヌクレオチド2個~4個のオーバーハングまたは伸長部分に結合される)。例えば、オリゴヌクレオチドは、センス鎖の5’末端または3’末端のいずれかにステムループを含んでいてもよく、ステムループの1、2、3、または4個のヌクレオチドは、標的指向性リガンドに個々に結合されていてもよい。いくつかの実施形態において、本開示が提供するオリゴヌクレオチド(例えば、dsオリゴヌクレオチド)は、センス鎖の3’末端にステムループを含み、ステムループのループは、トリループまたはテトラループを含み、トリループまたはテトラループをそれぞれ構成する3個または4個のヌクレオチドは、個別に標的指向性リガンドに結合される。
【0142】
GalNAcは、ASGPRの高親和性リガンドであり、ASGPRは、主として肝実質細胞の類洞表面で発現され、末端ガラクトースまたはGalNAc残基(アシアロ糖タンパク質)を含む循環糖タンパク質との結合、内在化、及びその後の排出に主要な役割を果たす。本開示のオリゴヌクレオチドにGalNAc部分を結合(間接的または直接的)させて、これらのオリゴヌクレオチドを細胞で発現されるASGPRに標的化することができる。いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ以上のGalNAc部分に結合され、GalNAc部分は、オリゴヌクレオチドをヒト肝細胞(例えば、ヒト肝実質細胞)で発現するASGPRに標的化する。いくつかの実施形態において、GalNAc部分は、オリゴヌクレオチドを肝臓に標的化する。
【0143】
いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドは、一価GalNAcに直接的にまたは間接的に結合される。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、複数の一価のGalNAcに直接的または間接的に結合される(すなわち、2、3、または4個の一価のGalNAc部分に結合され、典型的には3個または4個の一価のGalNAc部分に結合される)。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の二価のGalNAc、三価のGalNAc、または四価のGalNAc部分に結合される。
【0144】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、または6個)のヌクレオチドが、それぞれGalNAc部分に結合される。いくつかの実施形態において、テトラループの2~4個のヌクレオチドが、それぞれ個別のGalNAcに結合される。いくつかの実施形態において、トリループの1~3個のヌクレオチドが、それぞれ個別のGalNAcに結合される。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、GalNAc部分が歯ブラシの毛の部分に似ており、オリゴヌクレオチドが歯ブラシに似た格好となるように、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかの端部の2~4個のヌクレオチドに結合される(例えば、リガンドはセンス鎖またはアンチセンス鎖の5’または3’末端のヌクレオチド2~4個のオーバーハングまたは伸長部分に結合される)。いくつかの実施形態において、GalNAc部分は、センス鎖のヌクレオチドに結合される。例えば、4個のGalNAc部分をセンス鎖のテトラループ内のヌクレオチドに結合させることができ、その場合、各GalNAc部分は1個のヌクレオチドに結合される。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、下記に示されるような[ademG-GalNAc]または2’-アミノジエトキシメタノール-グアニン-GalNAcと呼ばれる、グアニンヌクレオチドに結合された一価のGalNAcを含む。
【化1】
【0146】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、下記に示されるような[ademA-GalNAc]または2’-アミノジエトキシメタノール-アデニン-GalNAcと呼ばれる、アデニンヌクレオチドに結合された一価のGalNAcを含む。
【化2】
【0147】
そのような結合の例を、5’から3’方向にヌクレオチド配列GAAAを含むループについて下記に示す(L=リンカー、X=ヘテロ原子)。ステム結合点が示されている。このようなループは、例えば、表5に記載され、かつ図3に示されるセンス鎖の27~30位に存在し得る。化学式中、
【化3】
が、オリゴヌクレオチド鎖への結合点を表すために用いられている。
【化4】
【0148】
適当な方法または化学的手法(例えば、クリックケミストリー)を用いて標的指向性リガンドをヌクレオチドに連結することができる。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、クリックリンカーを使用してヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態において、アセタールベースのリンカーを用いて標的指向性リガンドを本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つのヌクレオチドに結合する。アセタールベースのリンカーは、例えば、国際特許出願公開第WO2016/100401号に開示される。いくつかの実施形態において、リンカーは、不安定なリンカーである。しかしながら、他の実施形態では、リンカーは安定している。GalNAc部分がアセタールリンカーを使用してループのヌクレオチドに結合されている、5’から3’方向にヌクレオチドGAAAを含むループの例を下記に示す。このようなループは、例えば、表5に記載され、かつ図3に示されるセンス鎖のいずれか1つの27~30位に存在し得る。化学式中、
【化5】
は、オリゴヌクレオチド鎖への結合点である。
【化6】
【0149】
上記のように、様々な適当な方法または化学的合成技術(例えば、クリックケミストリー)を用いて標的指向性リガンドをヌクレオチドに連結することができる。いくつかの実施形態において、標的指向性リガンドは、クリックリンカーを使用してヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態において、アセタールベースのリンカーを用いて標的指向性リガンドを本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つのヌクレオチドに結合する。アセタールベースのリンカーは、例えば、国際特許出願公開第WO2016/100401号に開示される。いくつかの実施形態において、リンカーは、不安定なリンカーである。しかしながら、他の実施形態において、リンカーは安定したリンカーである。
【0150】
いくつかの実施形態において、二重鎖伸長部分(例えば、長さが最大bp3個、4個、5個、または6個)が、標的指向性リガンド(例えば、GalNAc部分)とdsオリゴヌクレオチドとの間に配置される。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、それに結合されたGalNAcを有さない。
【0151】
III.製剤
【0152】
オリゴヌクレオチドの使用を促進するための種々の製剤が開発されている。例えば、オリゴヌクレオチドは、分解を最小限に抑え、送達及び/または取り込みを促進し、または製剤中のオリゴヌクレオチドに別の有益な特性を与える製剤を使用して対象または細胞環境に送達することができる。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液、リポソーム、ミセル構造、及びカプシド中に配合される。
【0153】
カチオン性脂質を含むオリゴヌクレオチドの製剤を使用して、細胞内へのオリゴヌクレオチドのトランスフェクションを促進することができる。例えば、リポフェクチン、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリカチオン性分子(例えば、ポリリシン)などのカチオン性脂質を使用することができる。好適な脂質としては、オリゴフェクタミン、リポフェクタミン(Life Technologies)、NC388(Ribozyme Pharmaceuticals,Inc.,Boulder,Colo.)、またはFuGene6(Roche)が挙げられ、これらはいずれも製造元の指示に従って使用することができる。
【0154】
したがって、いくつかの実施形態において、製剤は脂質ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、賦形剤は、リポソーム、脂質、脂質複合体、マイクロスフェア、マイクロ粒子、ナノスフェア、またはナノ粒子を含むか、または投与を要する対象の細胞、組織、臓器、もしくは身体に投与するための他の形で配合することができる(例えば、Remington:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,22nd edition, Pharmaceutical Press,2013を参照すること)。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書の製剤は、賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、賦形剤は、活性成分の改善された安定性、改善された吸収性、改善された溶解性及び/または治療増強効果を組成物に付与する。いくつかの実施形態において、賦形剤は、緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス塩基、または水酸化ナトリウム)、または溶媒(例えば、緩衝液、ペトロラタム、ジメチルスルホキシド、または鉱油)である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、その貯蔵寿命を延ばすために凍結乾燥された後、使用(例えば、対象への投与)に先立って溶液とされる。したがって、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つを含む組成物中の賦形剤は、凍結乾燥保護剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、またはポリビニルピロリドン)、または崩壊温度調節剤(例えば、デキストラン、Ficoll(商標)、またはゼラチン)とすることができる。
【0156】
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路に適合するように配合される。投与経路としては、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、皮下)、経口(例えば、吸入)、経皮(例えば、局所)、経粘膜、及び直腸内投与が挙げられる。
【0157】
注射用途に適した医薬組成物としては、滅菌注射溶液または分散液の即時調製用の滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液及び滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与用では、適当な担体として、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または散媒であり得る。多くの場合、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に加えることが好ましい。必要な量のオリゴヌクレオチドを選択された溶媒中に、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに加えた後、滅菌濾過を行うことによって滅菌注射液を調製することができる。
【0158】
いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも約0.1%以上の治療剤を含み得るが、活性成分(複数可)のパーセンテージは、全組成物の重量または体積の約1%~約80%とすることができる。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の有効期間、及び他の薬理学的考慮事項などの要因は、かかる医薬製剤の調製の分野における当業者によって企図されるものであり、したがって、様々な投与量及び治療レジメンが望ましい場合がある。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドのいずれかの肝臓標的送達を対象としているが、他の組織の標的化も企図される。
【0160】
IV.使用方法
【0161】
i.細胞におけるANGPTL3発現の低減
【0162】
本開示により、ANGPTL3の発現を低減させるために、有効量の本明細書のオリゴヌクレオチドのいずれか1つを細胞または細胞集団に接触または送達するための方法が提供される。これらの方法は、本明細書に記載のステップを含むことができ、これらは、記載された順序で実行されてもよいが、必ずしもそうである必要はない。しかしながら、他の順序もあり得る。さらに、個別または複数のステップは並行して実行してもよく、及び/または時間的に重なり合って実行してもよく、及び/または個別または複数回繰り返されるステップであってもよい。さらに、これらの方法は、追加の不特定のステップを含んでもよい。
【0163】
本明細書の方法は、任意の適当な細胞タイプで有用である。いくつかの実施形態において、細胞は、mRNAを発現するあらゆる細胞である(例えば、肝実質細胞、マクロファージ、単球由来細胞、前立腺癌細胞、脳細胞、内分泌組織、骨髄、リンパ節、肺、胆嚢、肝臓、十二指腸、小腸、膵臓、腎臓、胃腸管、膀胱、脂肪及び軟組織及び皮膚)。いくつかの実施形態において、細胞は、対象から得られた初代細胞である。いくつかの実施形態において、初代細胞は、限られた数の継代を行っており、それにより、細胞は天然の表現型特性を実質的に維持している。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドが送達される細胞は、エクスビボまたはインビトロである(すなわち、培養中の細胞または細胞が存在する生物に送達され得る)。
【0164】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドは、限定されないが、オリゴヌクレオチドを含む溶液の注入、オリゴヌクレオチドで被覆した粒子によるボンバードメント、オリゴヌクレオチドを含む溶液への細胞または細胞集団の露出、またはオリゴヌクレオチドの存在下での細胞膜のエレクトロポレーションを含む適当な核酸送達方法を使用して送達する。例えば、脂質媒介担体輸送、化学媒介輸送、及びリン酸カルシウムなどのカチオン性リポソームトランスフェクションなどの、オリゴヌクレオチドを細胞に送達するための他の適当な方法を使用することもできる。
【0165】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現の低減は、ANGPTL3の発現に関連する細胞または細胞集団の1つ以上の特性または特徴を評価するための適切なアッセイまたは技術によって(例えば、ANGPTL3の発現バイオマーカーを使用して)、またはANGPTL3の発現を直接的に示す分子(例えば、ANGPTL3 mRNAまたはANGPTL3タンパク質)を評価するアッセイまたは技術によって判定され得る。いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドがANGPTL3の発現を低減させる程度は、オリゴヌクレオチドと接触した細胞または細胞集団におけるANGPTL3の発現と、適当な対照(例えば、オリゴヌクレオチドと接触していない適切な細胞または細胞集団、または対照オリゴヌクレオチドと接触した適当な細胞または細胞集団)とを比較することによって評価される。いくつかの実施形態において、RNAi分子の送達後、タンパク質におけるmRNA発現の適当な対照レベルを所定のレベルまたは値とすることで、対照レベルを毎回測定する必要がなくなる。所定のレベルまたは値は、様々な形態のものとすることができる。いくつかの実施形態において、所定のレベルまたは値は、中央値または平均などの単一のカットオフ値とすることができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチドの投与は、細胞内または細胞集団内のANGPTL3の発現を低減させる。いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現の低減は、mRNAの適当な対照レベルと比較して、約1%以下、約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、約50%以下、約55%以下、約60%以下、約70%以下、約80%以下、または約90%以下である。適当な対照レベルは、本明細書のオリゴヌクレオチドと接触していない細胞または細胞集団におけるmRNAの発現及び/またはタンパク質翻訳のレベルとすることができる。いくつかの実施形態において、本明細書の方法による細胞へのオリゴヌクレオチドの送達の効果は、一定期間の後に評価される。例えば、細胞内のmRNAのレベルは、細胞内へのオリゴヌクレオチドの導入の少なくとも約8時間、約12時間、約18時間、または約24時間後、または、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、もしくは最長14日後にも分析することができる。
【0167】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、細胞内でオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、そのセンス鎖及びアンチセンス鎖)を含む鎖を発現させるように操作された導入遺伝子の形態で送達される。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、本明細書で開示される任意のオリゴヌクレオチドを発現するように操作されている導入遺伝子を使用して送達される。導入遺伝子は、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、または単純ヘルペスウイルス)または非ウイルスベクター(例えば、プラスミドまたは合成mRNA)を使用して送達することができる。いくつかの実施形態において、導入遺伝子を対象に直接注射することができる。
【0168】
ii.医療的使用
【0169】
本開示は、ANGPTL3の発現を低減させることから利益を受けると思われる対象(例えば、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有するヒト)を治療するために使用する、または使用に適合可能なオリゴヌクレオチドも提供する。いくつかの点において、本開示は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害または状態を有する対象を治療するために使用する、または使用に適合するオリゴヌクレオチドを提供する。本開示は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を治療するための薬物または医薬組成物の製造における使用、または使用に適合可能なオリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、使用のための、または使用に適合可能なオリゴヌクレオチドは、(例えば、RNAi経路を介して)ANGPTL3 mRNAを標的とし、ANGPTL3の発現を低減させる。いくつかの実施形態において、使用のための、または使用に適合可能なオリゴヌクレオチドは、ANGPTL3 mRNAを標的とし、ANGPTL3 mRNA、ANGPTL3タンパク質、及び/またはANGPTL3活性の量もしくはレベルを低減させるための使用、または使用に適合可能である。
【0170】
さらに、以下の方法は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有するか、またはこれらの素因がある対象を選択することを含み得る。場合によっては、この方法は、TGまたはコレステロールの上昇(または変化したLPL及び/またはEL活性)などのANGPTL3の発現のマーカーを有するか、またはこれらの素因がある個体を選択することを含み得る。
【0171】
また、このようにして、以下に詳述するように、この方法は、ANGPTL3の発現のマーカーのベースライン値を測定または取得するなどのステップと、その後、そのように取得した値を1つ以上の他のベースライン値またはオリゴヌクレオチドを投与した後に得られる値と比較し、治療の有効性を評価するステップとを含み得る。
【0172】
iii.治療方法
【0173】
本開示は、本明細書のオリゴヌクレオチドを用いて、疾患、障害、または状態を有するか、有することが疑われるか、または発症する危険性がある対象を治療する方法も提供する。いくつかの態様において、本開示は、本明細書のオリゴヌクレオチドを用いて、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態の発症または進行を治療または軽減する方法を提供する。他の態様において、本開示は、本明細書のオリゴヌクレオチドを用いて、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象において1つ以上の治療効果を達成する方法を提供する。本明細書の方法のいくつかの実施形態において、対象は、本明細書のオリゴヌクレオチドのいずれか1つ以上を治療有効量で投与することによって治療される。いくつかの実施形態において、治療は、ANGPTL3の発現を低減させることを含む。いくつかの実施形態において、対象は治療的に処置を受ける。いくつかの実施形態において、対象は予防的に処置を受ける。
【0174】
この方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるANGPTL3の発現を低減することで、対象が治療されるように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、ANGPTL3 mRNAの量またはレベルが対象において低減する。いくつかの実施形態において、ANGPTL3タンパク質の量またはレベルが対象において低減する。いくつかの実施形態において、ANGPTL3の活性の量またはレベルが対象において低減する。いくつかの実施形態において、トリグリセリド(TG)の量またはレベル(例えば、1つ以上のTGまたは総合TG)が対象において低減する。いくつかの実施形態において、対象におけるコレステロール(例えば、総合コレステロール、LDLコレステロール、及び/またはHDLコレステロール)の量またはレベルが低減する。いくつかの実施形態において、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの量またはレベルが対象において低減する。いくつかの実施形態において、LPLの量または活性は、対象において変化する。いくつかの実施形態において、ELの量または活性が対象において変化する。いくつかの実施形態において、以下の任意の組み合わせが対象において低減または変化する:ANGPTL3の発現、ANGPTL3 mRNAの量またはレベル、ANGPTL3タンパク質の量またはレベル、ANGPTL3活性の量またはレベル、TGの量またはレベル、コレステロールの量またはレベル、及び/またはLPL及び/またはELの量または活性。
【0175】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるANGPTL3の発現が、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のANGPTL3の発現と比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現は、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象(例えば、参照対象または対照対象)におけるANGPTL3の発現と比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0176】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるANGPTL3 mRNAの量またはレベルが、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のANGPTL3 mRNAの量またはレベルと比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、ANGPTL3 mRNAの量またはレベルは、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象(例えば、参照対象または対照対象)におけるANGPTL3 mRNAの量またはレベルと比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0177】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるANGPTL3タンパク質の量またはレベルが、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のANGPTL3タンパク質の量またはレベルと比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、ANGPTL3タンパク質の量またはレベルは、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象(例えば、参照対象または対照対象)におけるANGPTL3タンパク質の量またはレベルと比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0178】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるANGPTL3の活性または発現が、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のANGPTL3の活性の量またはレベルと比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、ANGPTL3の活性の量またはレベルは、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象(例えば、参照対象または対照対象)におけるANGPTL3の活性の量またはレベルと比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0179】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるTG(例えば、1つ以上のTGまたは総合TG)の量またはレベルが、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のTGの量またはレベルと比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、TGの量またはレベルは、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象(例えば、参照対象または対照対象)におけるTGの量またはレベルと比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0180】
一般に、ヒト対象の正常または望ましいTG範囲は、<100mg/dLが理想的である場合、血液の<150mg/dLである。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象は、≧150mg/dLのTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象は、高いTGレベルの境界線であると見なされる150mg/dL~199mg/dLの範囲のTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象は、高いTGレベルと見なされる200mg/dL~499mg/dLの範囲のTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象は、非常に高いTGレベルと見なされる500mg/dL以上(すなわち、≧500mg/dL)の範囲のTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象は、≧150mg/dL、≧200mg/dL、または≧500mg/dLのTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象は、200mg/dL~499mg/dL、または500mg/dL以上のTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される患者または治療される患者は、≧200mg/dLのTGの量またはレベルを有することが特定または判定される。
【0181】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるコレステロール(例えば、総合コレステロール、LDLコレステロール、及び/またはHDLコレステロール)の量またはレベルが、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のコレステロールの量またはレベルと比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、コレステロールの量またはレベルは、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象(例えば、参照対象または対照対象)におけるコレステロールの量またはレベルと比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0182】
一般に、成人のヒト患者の正常または望ましいコレステロールの範囲(総合コレステロール)は、血液中に<200mg/dLである。いくつかの実施形態において、治療のために選択される患者または治療される患者としては、≧200mg/dLのコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される患者または治療される患者としては、高コレステロールレベルの境界線であると見なされる200mg/dL~239mg/dLの範囲のコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される患者または治療される患者としては、高コレステロールレベルと見なされる240mg/dL以上(すなわち、≧240mg/dL)の範囲のコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される患者または治療される患者としては、200mg/dL~239mg/dL、または240mg/dL以上のコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される患者または治療される患者としては、≧200mg/dLまたは≧240mg/dL以上のコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。
【0183】
本明細書の方法のいくつかの実施形態において、本明細書のオリゴヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、ANGPTL3に関連する疾患、障害、または状態を有する対象におけるLDLコレステロールの量またはレベルが、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物の投与前のLDLコレステロールの量またはレベルと比較して、少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減するように、対象に投与される。いくつかの実施形態において、LDLコレステロールの量またはレベルは、オリゴヌクレオチドまたは医薬組成物を受けていない対象(例えば、参照対象または対照対象)、または対照オリゴヌクレオチド、医薬組成物、または治療を受ける対象におけるLDLコレステロールの量またはレベルと比較すると、対象において少なくとも約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または99%超低減する。
【0184】
一般に、成人のヒト対象の正常または望ましいLDLコレステロールの範囲は、血液中に<100mg/dLである。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、≧100mg/dLのLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、最適を上回ると見なされる100mg/dL~129mg/dLの範囲のLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、高レベルの境界線であると見なされる130mg/dL~159mg/dLの範囲のLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、高LDLコレステロールレベルと見なされる160mg/dL~189mg/dLの範囲のLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、非常に高いLDLコレステロールレベルと見なされる190mg/dL以上(すなわち、≧190mg/dL)の範囲のLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、≧100mg/dL、≧130mg/dL、≧160mg/dL、または≧190mg/dL以上、好ましくは、≧160mg/dLまたは≧190mg/dL以上のLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。いくつかの実施形態において、治療のために選択される対象または治療される対象としては、100mg/dL~129mg/dL、130mg/dL~159mg/dL、160mg/dL~189mg/dL、または190mg/dL以上のLDLコレステロールの量またはレベルを有することが特定または判定される。
【0185】
対象または対象から得られる試料におけるANGPTL3の発現、ANGPTL3 mRNA、ANGPTL3タンパク質、ANGPTL3活性、TG、及び/またはLDLコレステロールの量またはレベル、LPL及び/またはELの量または活性を判定する好適な方法は、当該技術分野で知られている。さらに、本明細書に記載の実施例は、ANGPTL3の発現を判定する方法を例示する。
【0186】
いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現、ANGPTL3 mRNA、ANGPTL3タンパク質、ANGPTL3活性、TG、LDLコレステロール、LPLタンパク質、LPL活性、ELタンパク質、EL活性、またはそれらの任意の組み合わせの量またはレベルが、細胞(例えば、肝実質細胞)で低減し、細胞集団またはグループ(例えば、オルガノイド)で低減し、臓器(例えば、肝臓)で低減し、血液またはその画分(例えば、血漿)で低減し、組織(例えば、肝臓組織)で低減し、試料(例えば、肝生検試料)、または対象から取得または分離されるその他の適切な生物学的材料で低減する。いくつかの実施形態において、ANGPTL3の発現、ANGPTL3 mRNA、ANGPTL3タンパク質、ANGPTL3活性、TG、LDLコレステロール、LPLタンパク質、LPL活性、ELタンパク質、EL活性、またはそれらの任意の組み合わせの量またはレベルが、2種以上の細胞(例えば、肝実質細胞及び1つ以上の他の種の細胞)で低減し、複数の細胞グループで低減し、複数の臓器(例えば、肝臓及び1つ以上の他の臓器)で低減し、血液の複数の画分(例えば、血漿及び1つ以上の他の血液画分)で低減し、複数種の組織(例えば、肝臓組織及び1つ以上の他の種の組織)で低減し、複数種の分離された試料(例えば、肝生検試料及び1つ以上の他の種の生検試料)などで低減する。
【0187】
ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態の例としては、限定されないが、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、脂質異常症及び/またはコレステロール代謝障害、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病(T2D)、心血管疾患、慢性腎臓病、冠動脈疾患、NASH、NAFLD、ホモ接合体及びヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症、スタチン耐性高コレステロール血症、及びその他のANGPTL3関連の代謝関連障害及び疾患が挙げられる。本明細書における特に興味深い点は、心血管疾患、T2D、高トリグリセリド血症、NASH、肥満、またはそれらの組み合わせである。
【0188】
それらの高い特異性のために、本明細書のオリゴヌクレオチドは、疾患細胞及び組織の標的遺伝子のmRNAを特異的に標的とする。疾患の予防において、標的遺伝子は、疾患の発症または維持に必要なもの、または疾患に罹患するより高いリスクに関連することが確認されているものであり得る。疾患の治療において、オリゴヌクレオチドを疾患を示す細胞または組織と接触させることができる。例えば、ANGPTL3の発現に関連する障害または状態に関連する野生型(すなわち、ネイティブ)または変異遺伝子の全部または一部と実質的に同一のオリゴヌクレオチドを、肝実質細胞やその他の肝細胞などの目的の細胞または組織型と接触させるか、またはそれらに導入してもよい。
【0189】
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ヒトなどの任意の哺乳動物由来の標的遺伝子であり得る。本明細書に記載の方法によって、任意の遺伝子をサイレンシングすることができる。
【0190】
本明細書に記載される方法は、典型的には、オリゴヌクレオチドを有効量、すなわち、望ましい治療結果を生じることができる量で対象に投与することを含む。治療上許容される量は、疾患または障害を治療することが可能な量であり得る。任意の1人の対象に対する適当な投与量は、対象のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の組成物、組成物中の活性成分(複数可)、投与の時間及び経路、一般的な健康状態、及び同時に投与されている他の薬剤を含む特定の因子に応じて決められる。
【0191】
いくつかの実施形態において、本明細書中の組成物のいずれか1つを、経腸的に(例えば、経口、胃栄養チューブによって、十二指腸栄養チューブによって、胃瘻を介して、または直腸に)、非経口的に(例えば、皮下注射、静脈内注射または注入、動脈内注射または注入、骨内注入、筋肉内注射、脳内注射、脳室内注射、髄腔内注射)、局所的に(例えば、経皮、吸入、点眼、または粘膜を介して)、または標的臓器への直接注射(例えば、対象の肝臓)することによって、対象に投与する。典型的には、本明細書のオリゴヌクレオチドは、静脈内にまたは皮下に投与される。
【0192】
非限定的の一組の例として、本開示のオリゴヌクレオチドは、通常、四半期ごと(3ヶ月に1回)、隔月(2ヶ月に1回)、毎月、または毎週投与される。例えば、オリゴヌクレオチドは、毎週、または2週または3週ごとに1回に投与されてもよい。あるいは、オリゴヌクレオチドを毎日投与されてもよい。いくつかの実施形態において、対象には、オリゴヌクレオチドの1回以上の負荷用量で、それに続く、オリゴヌクレオチドの1回以上の維持用量で投与される。
【0193】
いくつかの実施形態において、治療される対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類または他の哺乳動物の対象である。他の例示的な対象としては、イヌ及びネコなどの愛玩動物、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどの家畜、並びにマウス、ラット、モルモット、ハムスターなどの動物が挙げられる。
【0194】
V.キット
【0195】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書のオリゴヌクレオチドを含むキット及び使用説明書を提供する。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書のオリゴヌクレオチドと、キットの使用説明書を含む添付文書と、及び/またはその任意の構成要素を含む。いくつかの実施形態において、キットは、好適な容器内に、本明細書のオリゴヌクレオチド、1つ以上の対照物、並びに様々な緩衝剤、試薬、酵素、及び当該技術分野で周知の他の標準的な構成要素を含む。いくつかの実施形態において、上記容器は、オリゴヌクレオチドを投入し、場合によっては、適切に分注する、少なくとも1つのバイアル、ウェル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、またはその他の容器手段を含む。追加の構成要素を提供するいくつかの実施形態においては、キットは、この構成要素が配置される追加の容器を含む。また、キットは、オリゴヌクレオチド及び任意の他の試薬を商業販売のために厳重に封じ込めるための手段を含む。このような容器は、所望のバイアルが保持される、射出成形またはブロー成形のプラスチック容器を含み得る。容器及び/またはキットは、使用説明及び/または警告を載せたラベルを含み得る。
【0196】
いくつかの実施形態においては、キットは、本明細書のオリゴヌクレオチド及び医薬的に許容可能な担体、またはオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物、及びANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態の治療またはその進行の遅延を必要とする対象においてそれを行うための説明書を含む。
【実施例
【0197】
本開示は、以下の実施例に示される特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本開示の真の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、均等物が置き換えられてもよいことを理解されたい。さらに、以下の実施例は、例証目的で提示されることにすぎず、決して本開示の範囲を限定するように意図されていない。また、特定の状態、材料、物質の組成、プロセス、単数または複数のプロセスステップを、本開示の目的、主旨、及び範囲に適応させるために、変形させてもよい。全てのそのような変形は、本開示の範囲内であることを意図する。当該技術分野で周知の標準的な技術、または以下に具体的に説明する技術を利用する。
【0198】
実施例1:二本鎖RNAiオリゴヌクレオチドの調製
【0199】
オリゴヌクレオチド合成及び精製
【0200】
前述の実施例に記載のds RNAiオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の方法を使用して化学合成される。一般に、ds RNAiオリゴヌクレオチドは、19mer~23merのsiRNAについて説明した固相オリゴヌクレオチド合成法を使用して合成される(例えば、Scaringe et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:5433-5441、及びUsman et al.(1987)J. Am. Chem. Soc. 109:7845-7845を参照すること。また、米国特許第5,804,683号、米国特許第5,831,071号、米国特許第5,998,203号、米国特許第6,008,400号、米国特許第6,111,086号、米国特許第6,117,657号、米国特許第6,353,098号、米国特許第6,362,323号、米国特許第6,437,117号、及び米国特許第6,469,158号を参照すること)。
【0201】
標準方法(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)に従って、個々のRNA鎖を合成してHPLC精製する。例えば、固相ホスホラミダイト化学反応を使用してRNAオリゴヌクレオチドを合成し、脱保護し、標準技法(Damha&Olgivie(1993)Methods Mol. Biol.20:81-114、Wincott et al.(1995)Nucleic Acids Res.23:2677-2684)を使用してNAP-5カラム(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)上で脱塩する。15分間の段階的線形勾配を使用したAmersham Source 15Qカラム(1.0cm×25cm、Amersham Pharmacia Biotech)上でイオン交換高速液体クロマトグラフィ(IE-HPLC)を使用して、オリゴマーを精製する。勾配を90:10緩衝剤A:Bから52:48緩衝剤A:Bに変化させる。ここで、緩衝剤Aは、pH8.5の100mM Trisであり、緩衝剤Bは、pH8.5の100mM Tris、1M NaClである。試料を260nmで監視し、全長オリゴヌクレオチド種に対応するピークを収集し、プールし、NAP-5カラム上で脱塩し、凍結乾燥させる。
【0202】
Beckman PACE 5000(Beckman Coulter,Inc.;Fullerton,CA)上のキャピラリ電気泳動(CE)によって、各オリゴマーの純度を判定する。CEキャピラリは、100μm内径を有し、ssDNA 100R Gel(Beckman-Coulter)を含有する。典型的には、約0.6nmoleのオリゴヌクレオチドが、キャピラリに注入され、444V/cmの電場で流され、260nmにおけるUV吸光度によって検出される。変性Tris-ホウ酸塩-7M-尿素流動緩衝剤をBeckman-Coulterから購入する。以下で説明される実験で使用するためにCEによって評価されるように、少なくとも90%純粋であるオリゴリボヌクレオチドが得られる。化合物同一性は、製造業者の推奨プロトコルにしたがって、Voyager DE(商標)Biospectometry Work Station(Applied Biosystems;Foster City,CA)でのマトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型(MALDI-TOF)質量分光法によって検証される。しばしば期待分子量の0.2%以内で、全てのオリゴマーの相対分子量が得られる。
【0203】
二重鎖の調製
【0204】
例えば、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES、pH7.5からなる二重緩衝剤中で(例えば、100μM濃度において)ssRNAオリゴマーを再懸濁させる。相補的なセンス及びアンチセンス鎖を等モル量で混合して、例えば、50μM二重鎖の最終溶液を得る。試料をRNA緩衝液(IDT)中で5分間100℃まで加熱し、使用前に室温まで冷却する。ds RNA オリゴヌクレオチドは、-20℃で保存される。ss RNAオリゴマーは、凍結乾燥またはヌクレアーゼを含まない水中で、-80℃で保存される。
【0205】
実施例2:RNAiオリゴヌクレオチドによるインビトロでのANGPTL3発現の阻害
【0206】
ANGPTL3標的配列の同定
【0207】
ANGPTL3の発現のRNAiオリゴヌクレオチド阻害剤を同定するために、コンピュータベースのアルゴリズムを使用して、RNAi経路によるANGPTL3の発現の阻害をアッセイするのに適したANGPTL3標的配列をコンピュータで生成する。アルゴリズムは、ヒトANGPTL3 mRNAの好適なANGPTL3標的配列(例えば、配列番号128、表1)に相補的なRNAiオリゴヌクレオチドガイド鎖配列を提供する。ヒトANGPTL3 mRNAの例示的な標的配列を表2に示す。アルゴリズムによって同定されたガイド鎖配列の一部は、対応するサルのANGPTL3標的配列及び/またはマウスANGPTL3 mRNA(それぞれ配列番号129及び130、表1)にも相補的である。それぞれがアルゴリズムによって同定されたANGPTL3標的配列に相補的な領域を有する固有のガイド鎖を有する(DsiRNAオリゴヌクレオチドとしてフォーマットされた)384種のds RNAiオリゴヌクレオチドを生成する。
【0208】
【表1】
【0209】
【表2】
【0210】
インビトロ細胞ベースのアッセイ
【0211】
上記の384種DsiRNAのそれぞれがANGPTL3発現を阻害する能力は、インビトロ細胞ベースのアッセイを使用して決定される。簡単に言えば、ANGPTL3 を安定して発現するHuH-7ヒト肝細胞を、マルチウェル細胞培養プレートの別々のウェルで各DsiRNA(0.5nM)でトランスフェクトする。細胞は、トランスフェクトした後に24時間維持された後、トランスフェクトされた細胞からの残りのANGPTL3 mRNAのレベルは、TAQMAN(登録商標)ベースのqPCRアッセイを使用して判定される。2つのqPCRアッセイ、3’アッセイ及び5’アッセイを使用し、それぞれHEX及びFAMプローブによって測定されるmRNAレベルを判定する。
【0212】
384種のDsiRNAを用いたHuH-7細胞ベースのアッセイの結果を図1及び図2に示す。図1は、ヒト、サル及びマウスのANGPTL3 mRNA(「三種共通」)に相補的なガイド鎖を有する109種のDsiRNAを用いたHuH-7細胞ベースのアッセイの結果を示す。陰性対照と比較して、細胞内に35%以下のANGPTL3 mRNAが残存する三種共通DsiRNAのトランスフェクションは、ANGPTL3の発現阻害剤(本明細書では「ヒット」と呼ぶ)の候補と見なされる。図2は、ヒト及びサルのANGPTL3 mRNA(「ヒト-サル」)に相補的なガイド鎖を有する275種のDsiRNAを用いたHuH-7細胞ベースのアッセイの結果を示す。陰性対照と比較して、残りのANGPTL3 mRNAが30%以下になるヒト-サルDsiRNAもヒットと見なされる。図1及び図2に、残存するmRNAのパーセントをそれぞれ3’アッセイ(円形状)及び5’アッセイ(ダイヤモンド形状)で示す。
【0213】
これらの結果は、ヒトANGPTL3 mRNAを標的とするように設計されたDsiRNAが細胞内のANGPTL3の発現を阻害すること(DsiRNAトランスフェクト細胞におけるANGPTL3 mRNAの量の減少によって判定される)、及びDsiRNAヒットを含むヌクレオチド配列がANGPTL3の発現を阻害するRNAiオリゴヌクレオチドの生成に有用であることを示す。さらに、これらの結果は、複数のANGPTL3標的配列がANGPTL3の発現のRNAi媒介阻害に好適であることを示す。
【0214】
実施例3:RNAiオリゴヌクレオチドによるインビボでのANGPTL3発現の阻害
【0215】
実施例2に記載のHuH-7細胞ベースのアッセイでスクリーニングされた384種のDsiRNAのうち、55種のDsiRNAヒットのヌクレオチド配列(表3)がインビボでのさらなる評価のために選択される。簡単に言えば、55種の選択されたDsiRNAのヌクレオチド配列を使用して、36-merパッセンジャー鎖及び22-merガイド鎖を有するニック化テトラループGalNAc結合構造(本明細書では「GalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチド」と呼ぶ)を含む55種の対応する二本鎖RNAiオリゴヌクレオチドを生成する。さらに、GalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドのパッセンジャー鎖及びガイド鎖を含むヌクレオチド配列は、修飾ヌクレオチド及びホスホロチオエート結合の明確なパターンを有する(例えば、GalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドの一般構造及び化学修飾パターンの概略図である図3を参照すること)。テトラループを含む3つのアデノシンヌクレオチドは、それぞれGalNAc部分に結合する。(CAS番号:14131-60-3)。
【0216】
【表3-1】
【表3-2】
【0217】
マウス研究
【0218】
表3に示すGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドは、肝実質細胞でヒトANGPTL3 mRNAを一時的に発現するように操作されたマウスで評価される。3つのGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチド(ANGPTL3-0204-M2、ANGPTL3-0327-M2、及びANGPTL3-1327-M2)は、ベンチマーク対照として使用される。簡単に言えば、6~8週齢のメスのCD-1マウスを、用量レベルが1mg/kgのGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで皮下処置する。3日後(72時間)、ユビキタスサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列の制御下で完全なヒトANGPTL3遺伝子をコードするDNAプラスミドをマウスに流体力学的に注入する。プラスミド導入の1日後、肝臓試料を採取する。これらのマウスに由来する全RNAを、同量のPBSのみで処理したマウスと比較して、ANGPTL3 mRNAのqRT-PCR分析を行う。値は、プラスミドに含まれるNeoR遺伝子を使用し、トランスフェクション効率に対して正規化する。
【0219】
図4に示すように、PBSで処理したマウスと比較してオリゴヌクレオチド処理マウスから得た肝臓試料中のANGPTL3 mRNAの量が減少することによって判定されるように、試験した全てのGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドはANGPTL3の発現を阻害する。PBSで処理したマウスに対するベンチマークGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドANGPTL3-0327で処理したマウスの肝臓試料中の残りのANGPTL3 mRNAの平均%を黒棒で示す。図4は、試験した55種のGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドのうちの26種が、ベンチマークGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドANGPTL3-0327よりも大幅にANGPTL3の発現を阻害することを示す。これらの結果に基づいて、図4に矢印で示し、表4に記載した55種のGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドのうちの10種がNHPにおけるANGPTL3の発現を阻害する能力を評価するために選択される。表4に示す10種のGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドは、図3に記載されたパターンM1またはM2のいずれかを有する化学修飾ヌクレオチドを含む。
【0220】
【表4】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【表5-10】
【表5-11】
【表5-12】
【表5-13】
【表5-14】
【表5-15】
【表5-16】
【表5-17】
【表5-18】
【表5-19】
【表5-20】
表Aの修飾パターンにおいて、
「M」は、2’-OMe修飾ヌクレオチドを指す。
「F」は、2’-F修飾ヌクレオチドを指す。
「S」は、3’-ホスホロチオエート結合を有するヌクレオチドを指す。
「{MS}」は、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾ヌクレオチドを指す。
「{FS}」は、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-F修飾ヌクレオチドを指す。
「[adem-GalNAc]」は、2’-GalNAc結合を有するヌクレオチドを指す。
【化7】
「{Px-MS}」は、3’-ホスホロチオエート結合及び5’ホスホネートを有する2’-OMe修飾ヌクレオチドを指す。
表Aの修飾配列において、
「mN」は、2’-OMe修飾ヌクレオチドを指す。
「[fN]」は、2’-F修飾ヌクレオチドを指す。
「[mNs]」は、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-OMe修飾ヌクレオチドを指す。
「[fNs]」は、3’-ホスホロチオエート結合を有する2’-F修飾ヌクレオチドを指す。
「[ademG-GalNAc]」は、2’-GalNAc結合を有するGヌクレオチドを指す。
【化8】
「[ademA-GalNAc]」は、2’-GalNAc結合を有するAヌクレオチドを指す。
【化9】
「[Meホスホネート-4O-mUs]」は、3’-ホスホロチオエート結合を有する5’-ホスホネート-4’-オキシ-2’-OMeウリジンを指す。
【化10】
【0221】
非ヒト霊長類(NHP)研究
【0222】
表4に示すGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドは、カニクイザル(Macaca fascicularis)で評価する。この研究では、平均体重(約5.4kg)が対照群と実験群の間で同等であるように、NHPをグループ化する。各コホートには、2人の男性対象と3人の女性対象が含まれる。GalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドを試験0日目に皮下投与する。試験-8日目、-5日目、及び0日目、並びに投与後毎週、血液試料を採取する。超音波ガイド下コアニードル肝生検は、試験28日目、56日目、及び84日目に収集される。各時点で、肝生検試料に由来する全RNAをqRT-PCR分析し、同等の量のPBSで処理したNHPと比較して、オリゴヌクレオチド処理したNHPのANGPTL3 mRNAを測定する。データを正規化するために、測定値は、2つの参照遺伝子、PPIB、及び18S rRNAの幾何平均に対して行われる。図5A(28日目)、図5B(56日目)、及び図5C(84日目)に示すように、PBSで処理したNHPと比較してオリゴヌクレオチド処理NHPから得た肝臓試料中のANGPTL3 mRNAの量が減少することによって判定されたように、表4に示したGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドでNHPを処理すると、肝臓におけるANGPTL3の発現を阻害する。処理されたNHPの肝臓試料におけるANGPTL3 mRNAの平均パーセント減少は、各処理群のデータポイントのセットの上に示され、経時的な平均値のプロットを図6に示す。評価した全ての時点で、ANGPTL3-1412は、ベンチマークのGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドANGPTL3-0327よりも大幅にANGPTL3の発現を阻害する。また、同NHP研究から、ELISAにより、投与前及び毎週の血液試料から調製した血清中のANGPTL3タンパク質を測定することでANGPTL3の発現の阻害を判定する。図7に示すように、PBSで処理したNHPと比較して、GalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理したNHPでは、血清ANGPTL3タンパク質の有意な減少が観察される。投与前の3つの試料の値を平均して100%に設定し、投与前の平均と比較した相対値としてデータを報告する。まとめると、これらの結果は、NHPをGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドで処理すると、肝臓内のANGPTL3 mRNAの量が低減し、同時に血清中のANGPTL3タンパク質の量が低減することを示す。
【0223】
まとめると、これらの結果は、ヒトANGPTL3 mRNAを標的とするように設計されたGalNAc結合ANGPTL3オリゴヌクレオチドは、インビボでANGPTL3の発現を阻害することを示す(処理された動物におけるANGPTL3 mRNA及びANGPTL3タンパク質の量の低減によって判定される)。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドであって、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116のいずれか1つに記載される配列を含むアンチセンス鎖を含む、前記オリゴヌクレオチド。
〔2〕配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列を含むセンス鎖を含む、前記〔1〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔3〕前記アンチセンス鎖が、配列番号100、102、104、20、26、50、72、74、76、80、及び114のいずれか1つに記載される配列を含む、前記〔1〕または〔2〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔4〕前記センス鎖が、配列番号99、101、103、19、25、49、71、73、75、79、及び113のいずれか1つに記載される配列を含む、前記〔2〕または〔3〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔5〕ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドであって、長さが15~30個のヌクレオチドのアンチセンス鎖及び長さが15~40個のヌクレオチドのセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号125、126、127、118、119、120、121、122、123、124、及び117のいずれか1つに記載される、ANGPTL3の標的配列に対する相補的な領域を有し、前記相補的な領域は、長さが少なくとも15個の連続ヌクレオチドである、前記オリゴヌクレオチド。
〔6〕前記相補的な領域が、前記ANGPTL3の標的配列に対して完全に相補的である、前記〔5〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔7〕前記アンチセンス鎖は、長さが19~27個のヌクレオチドである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔8〕前記アンチセンス鎖は、長さが21~27個のヌクレオチドであり、場合によって、前記アンチセンス鎖は、長さが22個のヌクレオチドである、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔9〕前記センス鎖は、前記アンチセンス鎖と二重鎖領域を形成する、前記〔2〕~〔8〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔10〕前記センス鎖は、長さが19~40個のヌクレオチドであり、場合によって、前記センス鎖は、長さが36個のヌクレオチドである、前記〔9〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔11〕前記二重鎖領域は、長さが少なくとも19個のヌクレオチドである、前記〔9〕または〔10〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔12〕前記二重鎖領域は、長さが少なくとも21個のヌクレオチドであり、場合によって、前記二重鎖領域は、長さが20個のヌクレオチドである、前記〔9〕~〔11〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔13〕前記ANGPTL3に対する相補的な領域は、長さが少なくとも19個の連続ヌクレオチドである、前記〔5〕~〔12〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔14〕前記ANGPTL3に対する相補的な領域は、長さが少なくとも21個の連続ヌクレオチドである、前記〔5〕~〔13〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔15〕前記アンチセンス鎖が、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116のいずれか1つに記載される配列を含む、前記〔5〕~〔14〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔16〕前記センス鎖が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列を含む、前記〔5〕~〔15〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔17〕前記アンチセンス鎖が、配列番号100、102、104、20、26、50、72、74、76、80、及び114のいずれか1つに記載される配列を含む、前記〔5〕~〔16〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔18〕前記センス鎖が、配列番号99、101、103、19、25、49、71、73、75、79、及び113のいずれか1つに記載される配列を含む、前記〔5〕~〔17〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔19〕前記センス鎖は、3’末端にS1-L-S2として示されるステムループを含み、S1は、S2に対して相補的であり、Lは、S1とS2との間に長さが3個~5個のヌクレオチドのループを形成する、前記〔2〕~〔18〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔20〕ANGPTL3の発現を低減させるオリゴヌクレオチドであって、アンチセンス鎖及びセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖は、長さが21個~27個のヌクレオチドであり、かつANGPTL3に対する相補的な領域を有し、前記センス鎖は、3’末端にS1-L-S2として示されるステムループを含み、S1は、S2に対して相補的であり、Lは、S1とS2との間に長さが3個~5個ヌクレオチドのループを形成し、
前記アンチセンス鎖及び前記センス鎖は、長さが少なくとも19個のヌクレオチドの二重鎖構造を形成するが、それらは共有結合で連結されていない、前記オリゴヌクレオチド。
〔21〕前記相補的な領域が、ANGPTL3 mRNAの少なくとも19個の連続ヌクレオチドに対して完全に相補的である、前記〔20〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔22〕Lはテトラループである、前記〔19〕~〔21〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔23〕Lは、長さが4個のヌクレオチドである、前記〔19〕~〔22〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔24〕Lは、GAAAとして記載される配列を含む、前記〔19〕~〔23〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔25〕前記アンチセンス鎖は、長さが27個のヌクレオチドであり、前記センス鎖は、長さが25個のヌクレオチドであり、場合によって、前記アンチセンス鎖は、長さが22個のヌクレオチドであり、前記センス鎖は、長さが36個のヌクレオチドである、前記〔5〕~〔24〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔26〕前記アンチセンス鎖及び前記センス鎖は、長さが25個のヌクレオチドである二重鎖領域、場合によって、前記二重鎖は、長さが20個のヌクレオチドである、前記〔25〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔27〕長さが2個のヌクレオチドの前記アンチセンス鎖に、3’オーバーハング配列を含む、前記〔20〕~〔24〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔28〕前記オリゴヌクレオチドは、長さがそれぞれ21個~23個のヌクレオチドの範囲であるアンチセンス鎖及びセンス鎖を含む、前記〔9〕~〔18〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔29〕前記オリゴヌクレオチドは、長さが19個~21個のヌクレオチドの範囲である二重鎖構造を有する、前記〔28〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔30〕前記オリゴヌクレオチドは、長さが1個以上のヌクレオチドの3’オーバーハング配列を含み、前記3’オーバーハング配列は、前記アンチセンス鎖、前記センス鎖、または前記アンチセンス鎖及び前記センス鎖に存在する、前記〔28〕または〔29〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔31〕前記オリゴヌクレオチドは、長さが2個のヌクレオチドの3’オーバーハング配列を含み、前記3’オーバーハング配列は、前記アンチセンス鎖に存在し、前記センス鎖は、長さが21個のヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖は、長さが23個のヌクレオチドであり、その結果前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖は、長さが21個のヌクレオチドの二重鎖を形成する、前記〔28〕または〔29〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔32〕前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、先行態様のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔33〕前記修飾ヌクレオチドが、2’修飾を含む、前記〔32〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔34〕前記2’-修飾は、2’-アミノエチル、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル、及び2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-d-アラビノ核酸から選択される修飾である、前記〔33〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔35〕前記オリゴヌクレオチドの前記ヌクレオチドは、全て修飾されている、前記〔32〕~〔34〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔36〕前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオチド間結合を含む、先行態様のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔37〕前記少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオアート結合である、前記〔36〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔38〕前記アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドの糖の4’-炭素は、リン酸アナログを含む、先行態様のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔39〕前記リン酸アナログは、オキシメチルホスホネート、ビニルホスホネート、またはマロニルホスホネートである、前記〔38〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔40〕前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、1つ以上の標的指向性リガンドに結合されている、先行態様のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔41〕各標的指向性リガンドは、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ポリペプチド、または脂質を含む、前記〔40〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔42〕各標的指向性リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む、前記〔40〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔43〕前記GalNac部分は、一価のGalNAc部分、二価のGalNAc部分、三価のGalNAc部分、または四価のGalNAc部分である、前記〔42〕に記載のオリゴヌクレオチド。
〔44〕前記ステムループのLの最大4個のヌクレオチドが、それぞれ一価のGalNAc部分に結合される、前記〔19〕~〔24〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔45〕前記オリゴヌクレオチドは、RNAiオリゴヌクレオチドである、先行態様のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
〔46〕先行態様のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容可能な担体、送達剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
〔47〕オリゴヌクレオチドを対象に送達する方法であって、前記〔46〕に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
〔48〕細胞、細胞集団、または対象におけるANGPTL3の発現を低減させる方法であって、
i.前記細胞または前記細胞集団を、前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物と接触させるステップと、
ii.前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップと、を含む前記方法。
〔49〕ANGPTL3の発現を低減させることは、ANGPTL3 mRNAの量またはレベル、ANGPTL3タンパク質の量またはレベル、もしくはその両方を低減させることを含む、前記〔48〕に記載の方法。
〔50〕対象におけるトリグリセリド(TG)の量またはレベルを低減させる方法であって、前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
〔51〕対象におけるコレステロールの量またはレベルを低減させる方法であって、前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
〔52〕前記対象がANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する、前記〔48〕~〔51〕のいずれか1項に記載の方法。
〔53〕ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することで、前記対象を治療することを含む、前記方法。
〔54〕ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法であって、長さが15個~50個のヌクレオチドのセンス鎖及び長さが15個~30個のヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む治療有効量のオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を前記対象に投与することを含み、前記センス鎖は、前記アンチセンス鎖と二重鎖領域を形成し、前記センス鎖が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、及び115のいずれか1つに記載される配列を含み、前記アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、及び116から選択される相補的配列を含むことで前記対象を治療する、前記方法。
〔55〕ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法であって、表5に示される行から選択される一対のセンス鎖及びアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドまたはその医薬組成物を治療有効量で前記対象に投与することで、前記対象を治療することを含む、前記方法。
〔56〕ANGPTL3発現に関連する前記疾患、障害、または状態は、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、脂質異常及び/またはコレステロール代謝障害、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病、心血管疾患、冠動脈疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、ホモ接合体及びヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症、及びスタチン耐性高コレステロール血症からなる群より選択される、前記〔52〕~〔55〕のいずれか1項に記載の方法。
〔57〕ANGPTL3の発現に関連する前記疾患、障害、または状態は、心血管疾患、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、NASH、肥満、またはそれらの組み合わせである、前記〔56〕に記載の方法。
〔58〕前記オリゴヌクレオチドまたは前記医薬組成物は、第2の組成物または治療剤と組み合わせて投与される、前記〔53〕~〔57〕のいずれか1項に記載の方法。
〔59〕ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態の治療のための薬物の製造における、前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物の使用。
〔60〕ANGPTL3の発現に関連する疾患、障害、または状態の治療に使用するためのまたは使用に適合する、前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは前記〔46〕に記載の医薬組成物。
〔61〕前記〔1〕~〔45〕のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド及び任意の医薬的に許容可能な担体、及びANGPTL3発現に関連する疾患、障害、または状態を有する対象への投与のための説明を含む添付文書を含む、キット。
〔62〕ANGPTL3発現に関連する前記疾患、障害、または状態は、高トリグリセリド血症、肥満、高脂血症、脂質異常及び/またはコレステロール代謝障害、アテローム性動脈硬化症、II型糖尿病、心血管疾患、冠動脈疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、ホモ接合体及びヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症、及びスタチン耐性高コレステロール血症からなる群より選択される、前記〔59〕に記載の使用、前記〔60〕に記載の使用のためのオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物、または前記〔61〕に記載のキット。
〔63〕ANGPTL3の発現に関連する前記疾患、障害、または状態は、心血管疾患、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、NASH、肥満、またはそれらの組み合わせである、前記〔59〕に記載の使用、前記〔60〕に記載の使用のためのオリゴヌクレオチドまたは医薬組成物、または前記〔61〕に記載のキット。
【0224】
配列表
以下の核酸及び/またはアミノ酸配列は、上記の開示に述べられているものであり、参照として以下に提供する。
【0225】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【配列表】
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