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特許7398008コネクタ付筐体およびコネクタ付筐体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】コネクタ付筐体およびコネクタ付筐体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022557254
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2021032031
(87)【国際公開番号】W WO2022085308
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2020175689
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生沼 千広
(72)【発明者】
【氏名】堀江 裕
(72)【発明者】
【氏名】河野 由紀子
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-114052(JP,A)
【文献】特開平09-303561(JP,A)
【文献】特開2019-060457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0098550(US,A1)
【文献】特開2007-278362(JP,A)
【文献】特開2008-180293(JP,A)
【文献】米国特許第5102347(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
F16J 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された筐体と、
前記貫通孔に挿入されるコネクタと、
前記コネクタに装着され、前記貫通孔の内壁と接触するシール材と、を備え、
前記貫通孔の内壁は、潤滑剤が塗布され前記シール材と接触する第1内面と、前記潤滑剤が塗布され前記第1内面に対して前記筐体側に第1の鈍角で形成される第2内面と、前記第2内面と前記筐体の外面とを繋ぐ第3内面と、を有し、
前記第3内面は、前記第1内面に対して前記筐体側に前記第1の鈍角よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角で形成され、
前記貫通孔に挿入された前記コネクタは、前記筐体の外面と接着剤又は封止剤を介して固定されるコネクタ付筐体。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ付筐体において、
前記貫通孔における前記コネクタの挿入方向断面において、
前記第2内面の長さは前記第3内面の長さよりも大きいコネクタ付筐体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコネクタ付筐体において、
前記第1内面と前記第2内面とを繋ぐ第1境界部は、面取り形状またはR形状であるコネクタ付筐体。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のコネクタ付筐体において、
前記第3内面と前記コネクタとの間に所定の空間が形成されるコネクタ付筐体。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のコネクタ付筐体において、
前記筐体は、回転電機の筐体であり、
前記コネクタは、前記回転電機との電気的接続コネクタであるコネクタ付筐体。
【請求項6】
貫通孔が形成された筐体と、
前記貫通孔に挿入されるコネクタと、
前記コネクタに装着され、前記貫通孔の内壁と接触するシール材と、を備え、
前記貫通孔の内壁は、前記シール材と接触する第1内面と、前記第1内面に対して前記筐体側に第1の鈍角で形成される第2内面と、前記第2内面と前記筐体の外面とを繋ぐ第3内面と、を有し、前記第3内面は、前記第1内面に対して前記筐体側に前記第1の鈍角よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角で形成されたコネクタ付筐体の製造方法であって、
前記第1内面と前記第2内面に潤滑剤を塗布する工程と、
前記シール材を前記第1内面と接触させながら前記貫通孔に前記コネクタを挿入する工程と、
前記コネクタと前記筐体の外面とを接着剤又は封止剤を介して固定する工程と、を含むコネクタ付筐体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ付筐体およびコネクタ付筐体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、回転電機の筐体には、回転電機との電気的接続のためにコネクタが取り付けられる。コネクタの取り付けは、筐体内部の水密性等を保つ必要から、筐体には潤滑剤が塗布された貫通孔が形成され、シール材が装着されたコネクタが貫通孔の内壁と接触しながら貫通孔に挿入される。この場合、筐体の外面に潤滑剤が付着すると、筐体の外面とコネクタとを接着する接着剤等の接着力が低下するため、外面に潤滑剤が付着するのを防止する必要がある。
【0003】
特許文献1には、シール部材を装着したコネクタが嵌合されるアルミ製筺体の嵌合孔が、入口側の第1穿孔と、第1穿孔より小さい奥側の第2穿孔と、第1穿孔と第2穿孔とのつなぎ目に大きさの差を調整するためにテーパー面の段差部とにより形成される防水構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2012-114052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、貫通孔の内壁に塗布された潤滑剤が筐体の外面に付着しないようにするための貫通孔の形状は考慮されておらず、潤滑剤が筐体の外面に付着する課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコネクタ付筐体は、貫通孔が形成された筐体と、前記貫通孔に挿入されるコネクタと、前記コネクタに装着され、前記貫通孔の内壁と接触するシール材と、を備え、前記貫通孔の内壁は、潤滑剤が塗布され前記シール材と接触する第1内面と、前記潤滑剤が塗布され前記第1内面に対して前記筐体側に第1の鈍角で形成される第2内面と、前記第2内面と前記筐体の外面とを繋ぐ第3内面と、を有し、前記第3内面は、前記第1内面に対して前記筐体側に前記第1の鈍角よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角で形成され、前記貫通孔に挿入された前記コネクタは、前記筐体の外面と接着剤又は封止剤を介して固定される。
本発明によるコネクタ付筐体の製造方法は、貫通孔が形成された筐体と、前記貫通孔に挿入されるコネクタと、前記コネクタに装着され、前記貫通孔の内壁と接触するシール材と、を備え、前記貫通孔の内壁は、前記シール材と接触する第1内面と、前記第1内面に対して前記筐体側に第1の鈍角で形成される第2内面と、前記第2内面と前記筐体の外面とを繋ぐ第3内面と、を有し、前記第3内面は、前記第1内面に対して前記筐体側に前記第1の鈍角よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角で形成されたコネクタ付筐体の製造方法であって、前記第1内面と前記第2内面に潤滑剤を塗布する工程と、前記シール材を前記第1内面と接触させながら前記貫通孔に前記コネクタを挿入する工程と、前記コネクタと前記筐体の外面とを接着剤又は封止剤を介して固定する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体の外面への潤滑剤の付着を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コネクタ付筐体の断面図である。
図2】例1における貫通孔と筐体の部分拡大断面図である。
図3】例2における貫通孔と筐体の部分拡大断面図である。
図4】例3における貫通孔と筐体の部分拡大断面図である。
図5】例4における貫通孔と筐体の部分拡大断面図である。
図6】(A)(B)(C)コネクタ付筐体の製造方法を示す図である。
図7】回転電機の筐体とコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0010】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0011】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0012】
図1は、コネクタ付筐体の断面図である。
図1には、貫通孔10が形成された筐体20と、貫通孔10に挿入されるコネクタ30とを示す。筐体20は、例えば、回転電機の筐体である。コネクタ30は、例えば、回転電機との電気的接続コネクタである。コネクタ30内を挿通する電気的配線は図示を省略している。コネクタ30には、貫通孔10の内壁11と接触するシール材31がコネクタ30の周囲に装着されている。シール材31は、例えばОリングである。
【0013】
貫通孔10は、コネクタ30が挿入される入口側の開口が大きく形成され、奥側の開口は小さく形成されている。コネクタ30を貫通孔10に挿入する前に、貫通孔10の内壁11には、潤滑剤12が塗布される。その後、コネクタ30のシール材31を内壁11と接触させながらシール材31を変形させて貫通孔10の奥側にコネクタ30を挿入するが、潤滑剤12が塗布されているので、挿入時の接触抵抗が軽減される。コネクタ30を貫通孔10に挿入した後に、コネクタ30は筐体20の外面21と接着剤32を介して固定される。なお、接着剤32のみならず封止剤を用いてもよい。封止剤を用いた場合は、コネクタ30は筐体20の外面21にボルトなどで固定される。
【0014】
図2は、図1の領域Pにおける貫通孔10と筐体20の部分拡大断面図であり、例1を示す。この図2では、コネクタ30を挿入する前であって、潤滑剤12が塗布された状態を示す。図2は、貫通孔10と筐体20の部分例1における拡大断面図である。
【0015】
図2に示すように、貫通孔10の内壁11は、貫通孔10の奥側の第1内面11-1と入り口側の第3内面11-3と、第1内面11-1と第3内面11-3とを繋ぐ段差の部分の第2内面11-2とを有する。第3内面11-3は、第2内面11-2と筐体20の外面21とを繋ぐ。第2内面11-2は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1で形成される。第3内面11-3は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角α2で形成される。図2に示す例では、第2の鈍角α2は180度である。すなわち、90度<α1<α2≦180度である。
【0016】
なお、第1内面11-1と第2内面11-2との境界面11-0は面取り形状により角を取り除いている。これにより、コネクタ30のシール材31を変形させて貫通孔10にコネクタ30を挿入する場合に挿入をより容易にすることができる。しかし、境界面11-0は必ずしも必要ではなく角のままでも良い。
【0017】
潤滑剤12は、シール材31と接触する第1内面11-1と第2内面11-2とに塗布され、第3内面11-3には塗布されない。コネクタ30は、シール材31を第2内面11-2に接触させてシール材31を変形させながら貫通孔10にコネクタ30を挿入し、その後、シール材31を第1内面11-1に接触して挿入を完了する。
【0018】
潤滑剤12の塗布時に潤滑剤12の塗布装置が筐体20の外面21に近接していると、表面張力により潤滑剤12が外面21に引っ張られ、潤滑剤12が外面21に付着するおそれがある。コネクタ30と筐体20との接着面である外面21に潤滑剤12が付着した場合は、コネクタ30と筐体20の外面21との接着力が低下してしまう。そこで、本実施形態では、貫通孔10を例1に示した形状にし、塗布装置が第1内面11-1と第2内面11-2に潤滑剤12を塗布し、塗布されない第3内面11-3により、筐体20の外面21までの距離を確保した。これにより、潤滑剤12の表面張力の影響が小さくなり外面21への潤滑剤12の付着を防止することができ、コネクタ30と筐体20の外面21との接着力の低下を防止できる。
【0019】
また、図2に示す貫通孔10におけるコネクタ30の挿入方向断面において、第2内面11-2の長さL2は第3内面11-3の長さL3よりも長いことが望ましい。潤滑剤12が塗布されない第3内面11-3の長さL3を長くすることにより、筐体20の外面21までの距離を確保でき、潤滑剤12の表面張力の影響が小さくなり外面21への潤滑剤12の付着を防止することができる。
【0020】
さらに、図1に示すように、第3内面11-3とコネクタ30との間に所定の空間Sを形成した。これにより、第1内面11-1と第2内面11-2とに塗布された潤滑剤12が多い場合にこれを所定の空間で吸収することができ、筐体20の外面21への潤滑剤12の付着をより確実に防止できる。
【0021】
図3は、図1の領域Pにおける貫通孔10と筐体20の部分拡大断面図であり、例2を示す。この図3では、コネクタ30を挿入する前であって、潤滑剤12が塗布される前の状態を示し、境界面11-0の形状が図2に示す例1とは異なる。
【0022】
図3に示すように、第1内面11-1と第2内面11-2との境界面11-0はR形状により角を取り除いている。これにより、シール材31を変形させて貫通孔10にコネクタ30を挿入する場合に挿入をより容易にすることができる。その他の構成は図2に示した例1の構成と同様であり、同一の個所には同一の符号を付してその説明を省略する。そして、例2においても既に述べた例1と同様の効果を奏する。
【0023】
図4は、図1の領域Pにおける貫通孔10と筐体20の部分拡大断面図であり、例3を示す。この図4では、コネクタ30を挿入する前であって、潤滑剤12が塗布される前の状態を示し、第2内面11-2と第3内面11-3の角度の一例を示す。
【0024】
図4に示すように、第2内面11-2は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1で形成される。第3内面11-3は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角α2で形成される。図4に示す例3では、第1の鈍角α1は135度であり、第2の鈍角α2は160度である。その他の構成は図2に示した例1の構成と同様であり、同一の個所には同一の符号を付してその説明を省略する。そして、例3においても既に述べた例1と同様の効果を奏する他、第2の鈍角α2を180度より小さくしたので、塗布装置による潤滑剤12の塗布時に第3内面11-3への接触を確実に回避でき、筐体20の外面21への潤滑剤12の付着を防止できる。
【0025】
図5は、図1の領域Pにおける貫通孔10と筐体20の部分拡大断面図であり、例4を示す。この図5では、コネクタ30を挿入する前であって、潤滑剤12が塗布される前の状態を示し、第2内面11-2と第3内面11-3の角度の一例を示すものであり、例3と比較して、第1の鈍角α1を小さくした例を示す。
【0026】
図5に示すように、第2内面11-2は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1で形成される。第3内面11-3は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角α2で形成される。図5に示す例4では、第1の鈍角α1は120度であり、第2の鈍角α2は160度である。その他の構成は図2に示した例1の構成と同様であり、同一の個所には同一の符号を付してその説明を省略する。そして、例4においても既に述べた例1と同様の効果を奏す他、第2の鈍角α2を180度より小さくしたので、塗布装置による潤滑剤12の塗布時に第3内面11-3への接触を確実に回避でき、筐体20の外面21への潤滑剤12の付着を防止できる。
【0027】
図6(A)、図6(B)、図6(C)は、コネクタ付筐体の製造方法を示す図である。図6(A)は、潤滑剤12を塗布する工程、図6(B)は、コネクタ30を挿入する工程、図6(C)は、コネクタ30を固定する工程を示す。
【0028】
筐体20には、例1~例4で例示した貫通孔10が形成されている。すなわち、貫通孔10の内壁11は、シール材31と接触する第1内面11-1と、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1で形成される第2内面11-2と、第2内面11-2と筐体20の外面21とを繋ぐ第3内面11-3と、を有し、第3内面11-3は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角α2で形成される(例1~例4参照)。
【0029】
図6(A)に示す、潤滑剤12を塗布する工程では、潤滑剤12を含侵させた塗布装置40を第1内面11-1に摺接し、潤滑剤12を第1内面11-1に塗布する。この際に、余剰の潤滑剤12により第2内面11-2にも潤滑剤12が塗布される。潤滑剤12は第3内面11-3には塗布されず、第3内面11-3の存在により、筐体20の外面21までの距離を確保しているので、潤滑剤12の表面張力の影響が小さくなり外面21への潤滑剤12の付着を防止できる。
【0030】
図6(B)に示す、コネクタ30を挿入する工程では、シール材31を第1内面11-1と接触させながら貫通孔10にコネクタ30を挿入する。
図6(C)に示す、コネクタ30を固定する工程では、コネクタ30と筐体20の外面21とを接着剤32を介して固定する。接着剤32のみならず封止剤で固定してもよい。
【0031】
図7は、回転電機200の筐体20とコネクタ30の斜視図である。
回転電機200は、筐体20の内部に回転子と固定子を備え、筐体20はカバー22で閉じられる。そして、回転子に直結されたシャフト23が筐体20から導出されている。
【0032】
コネクタ30は、回転電機200との電気的接続コネクタであり、コネクタ30内を挿通する電気的配線は図示を省略している。図1を参照して説明したように、コネクタ30には、貫通孔10の内壁11と接触するシール材31がコネクタ30の周囲に装着されている。
【0033】
筐体20には、例1~例4で例示した貫通孔10が形成されている。したがって、貫通孔10にコネクタ30を挿入した場合に、筐体20の外面21への潤滑剤12の付着を防止できる。そのため、コネクタ30を筐体20の外面21に固定した場合に、コネクタ30と筐体20の外面21との接着力の低下を防止できる。
【0034】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)コネクタ付筐体は、貫通孔10が形成された筐体20と、貫通孔10に挿入されるコネクタ30と、コネクタ30に装着され、貫通孔10の内壁11と接触するシール材31と、を備え、貫通孔10の内壁は、潤滑剤12が塗布されシール材31と接触する第1内面11-1と、潤滑剤12が塗布され第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1で形成される第2内面11-2と、第2内面11-2と筐体20の外面21とを繋ぐ第3内面11-3と、を有し、第3内面11-3は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角α2で形成され、貫通孔10に挿入されたコネクタ30は、筐体20の外面21と接着剤32又は封止剤を介して固定される。これにより、筐体20の外面21への潤滑剤12の付着を防止できる。
【0035】
(2)コネクタ付筐体の製造方法は、貫通孔10が形成された筐体20と、貫通孔10に挿入されるコネクタ30と、コネクタ30に装着され、貫通孔10の内壁11と接触するシール材31と、を備え、貫通孔10の内壁11は、シール材31と接触する第1内面11-1と、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1で形成される第2内面11-2と、第2内面11-2と筐体20の外面21とを繋ぐ第3内面11-3と、を有し、第3内面11-3は、第1内面11-1に対して筐体20側に第1の鈍角α1よりも大きい角度であって180度以下である第2の鈍角α2で形成されたコネクタ付筐体の製造方法であって、第1内面11-1と第2内面11-2に潤滑剤12を塗布する工程と、シール材31を第1内面11-1と接触させながら貫通孔10にコネクタ30を挿入する工程と、コネクタ30と筐体20の外面21とを接着剤32又は封止剤を介して固定する工程と、を含む。これにより、筐体20の外面21への潤滑剤12の付着を防止できる。
【0036】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の実施形態と複数の例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10・・・貫通孔、11・・・内壁、11-0・・・境界面、11-1・・・第1内面、11-2・・・第2内面、11-3・・・第3内面、12・・・潤滑剤、20・・・筐体、21・・・外面、22・・・カバー、23・・・シャフト、30・・・コネクタ、31・・・シール材、32・・・接着剤、40・・・塗布装置、200・・・回転電機、α1・・・第1の鈍角、α2・・・第2の鈍角、L2・・・第2内面の長さ、L3・・・第3内面の長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7