(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】筐体の漏洩検知方法及び漏洩検知システム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/20 20060101AFI20231206BHJP
G01M 3/22 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01M3/20 B
G01M3/22
(21)【出願番号】P 2022558555
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2022081242
(87)【国際公開番号】W WO2022227907
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】202110488231.1
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張寧
(72)【発明者】
【氏名】連登偉
(72)【発明者】
【氏名】趙賓
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-241265(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112213045(CN,A)
【文献】特開2012-251849(JP,A)
【文献】特開2018-009892(JP,A)
【文献】特開2004-340844(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003977(WO,A1)
【文献】特表2010-516998(JP,A)
【文献】特開2018-128300(JP,A)
【文献】特開2020-106456(JP,A)
【文献】米国特許第06289722(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第105987796(CN,A)
【文献】特開2005-207994(JP,A)
【文献】特開平10-281915(JP,A)
【文献】特開昭57-169649(JP,A)
【文献】実開昭61-108949(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00~3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の漏洩検知方法であって、
複数の被測定位置を有する被測定筐体内にトレーサーガスを充填することと、
前記被測定筐体にトレーサーガスを所定時間充填した後、前記被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を検出および取得し、トレーサーガスの濃度が予め設定された範囲であるか否かを判断することと、
各被測定位置の漏洩率を検出することとを含む、筐体の漏洩検知方法。
【請求項2】
前記筐体の漏洩検知方法は、
前記濃度が予め設定された範囲に達した後、各被測定位置のトレーサーガス濃度を検出することで、各被測定位置の漏洩率を得ることをさらに含む、請求項1に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項3】
前述した、前記被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を検出することは、
前記被測定筐体内のガスをガス標定検出装置に導き、前記ガス標定検出装置によって前記被測定筐体内のガスにおけるトレーサーガスの濃度を検出することを含む、請求項2に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項4】
前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定位置の標定漏洩率を取得することをさらに含む、請求項1から
3のいずれか1項に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項5】
前述した、前記被測定位置の標定漏洩率を取得することは、
前記被測定筐体内のガスを、標定機構を介してガス標定検出装置に引き出し、前記被測定筐体内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後、被測定位置の標定漏洩率を取得することを含む、請求項
4に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項6】
前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体内のガスを引き出すことをさらに含む、請求項1から
5のいずれか1項に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項7】
前述した、被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体内のガスを引き出すことは、
前記被測定筐体の第一の端から前記被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体の前記第一の端と対向する第二の端から前記被測定筐体内のガスを引き出すことを含む、請求項
6に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項8】
前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体の第一の時刻と第二の時刻における圧力差を取得することで、前記圧力差が予め設定された範囲を超えるか否かを判断することをさらに含む、請求項1から
7のいずれか1項に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項9】
前記筐体の漏洩検知方法は、
前述した、各被測定位置の漏洩率を検出することの後、前記被測定筐体内のトレーサーガスを引き出すことをさらに含む、請求項1から
8のいずれか1項に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項10】
前記筐体の漏洩検知方法は、
前述した、被測定筐体内にトレーサーガスを充填することの前に、防護カバーによって前記複数の被測定位置を覆設することによって、前記複数の被測定位置が、前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができることをさらに含む、請求項1から
9のいずれか1項に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項11】
前述した、防護カバーによって前記複数の被測定位置を覆設することによって、前記複数の被測定位置が、前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができることは、
前記複数の被測定位置を複数の前記防護カバーによって対応して覆設することによって、被測定位置が、対応する前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができることを含む、請求項
10に記載の筐体の漏洩検知方法。
【請求項12】
被測定筐体の複数の被測定位置に対して漏洩検出を行うための漏洩検知システムであって、
前記被測定筐体内にトレーサーガスを充填するように構成されるガス充填装置と、
前記被測定位置に対応して設置され、
前記被測定筐体にトレーサーガスを所定時間充填した後、前記被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を検出および取得し、トレーサーガスの濃度が予め設定された範囲であるか否かを判断し、対応する被測定位置の漏洩率を検出するように構成されるガス検出装置とを含む、漏洩検知システム。
【請求項13】
前記漏洩検知システムは、複数の漏洩検知治具をさらに含み、前記漏洩検知治具は、前記被測定位置に対応して設置され、前記ガス検出装置は、前記漏洩検知治具によって前記被測定位置に取り付けられる、請求項
12に記載の漏洩検知システム。
【請求項14】
前記漏洩検知システムは、負圧装置をさらに含み、前記負圧装置は、前記被測定位置のガスを前記ガス検出装置に導くように構成される、請求項
12又は
13に記載の漏洩検知システム。
【請求項15】
前記ガス検出装置は、感ガスセンサを含む、請求項
12から
14のいずれか1項に記載の漏洩検知システム。
【請求項16】
前記漏洩検知システムは、防護カバーをさらに含み、前記防護カバーは、前記複数の被測定位置を覆設することによって、前記複数の被測定位置が、前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができるように構成される、請求項
12から
15のいずれか1項に記載の漏洩検知システム。
【請求項17】
前記防護カバーの数は、複数であり、前記被測定位置は、前記防護カバーに対応して設置されて、前記ガス検出装置が前記防護カバーによって対応する被測定位置の漏洩率を検出することによって、被測定位置が、対応する前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができる、請求項
16に記載の漏洩検知システム。
【請求項18】
前記漏洩検知システムは、ガス標定検出装置をさらに含み、前記標定検出装置は、前記被測定筐体の標定漏洩率を取得するように構成される、請求項
12から
17のいずれか1項に記載の漏洩検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年04月30日に提出され名称が「筐体の漏洩検知方法及び漏洩検知システム」である中国特許出願202110488231.1の優先権を主張しており、同出願の内容の全てを、ここに参照として取り込む。
【0002】
本出願は、漏洩検知技術分野に関し、具体的には、筐体の漏洩検知方法及び漏洩検知システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電池は、筐体と、筐体内に収容される複数の電池セルとを含み、筐体は、複数の部分を含み、複数の部分が接続された後、複数の電池セルを収容する空間が規定される。なお、電池の安全性能のために、電池の筐体上には、放圧機構が設けられ、放圧機構は、筐体の内部の圧力又は温度が閾値に達したときに内部の圧力を逃がすことによって、電池の安全を確保するために用いられる。筐体の各部分の接続位置のシール性能、放圧機構と筐体との接続位置のシール性能は、電池の安全性能に重要な影響を与える。そのため、筐体の各部分の接続位置、放圧機構と筐体との接続位置に対して漏洩検知を行って、そのシール性能が需要を満たすか否かを検出する必要がある。しかし従来の漏洩検知方法及び漏洩検知治具は、大まかな検出結果しか取得できず、高シール性能の要求を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は、漏洩検知構造の正確性を向上させるための筐体の漏洩検知方法及び漏洩検知システムを提供する。
【0005】
第一の方面によれば、本出願の実施例は、筐体の漏洩検知方法を提供する。前記漏洩検知方法は、複数の被測定位置を有する被測定筐体内にトレーサーガスを充填することと、
各被測定位置の漏洩率を検出することとを含む。
【0006】
上記技術案では、被測定筐体の各被測定位置に対して漏洩検出を行うことにより、後に漏洩の位置に対して漏洩防止処理を意図的に行うことを実現できるように具体的な漏洩位置を決定することができるだけでなく、各被測定位置の漏洩率を検出し、筐体の漏洩検出の精度を向上させることができるとともに、どのレベルの漏洩防止対処をとるか、又は漏洩防止対処をとるか否かに根拠を提供することもできる。
【0007】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を検出し、前記濃度が予め設定された範囲に達した後、各被測定位置のトレーサーガス濃度を検出することで、各被測定位置の漏洩率を得ることをさらに含む。
【0008】
上記技術案では、被測定筐体内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後、各被測定位置の漏洩率を検出することで、被測定筐体内のトレーサーガス濃度を検出条件に達させ、被測定筐体内トレーサーガス濃度差異による漏洩検出の差異を消去する。
【0009】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前述した、前記被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を検出することは、
前記被測定筐体内のガスをガス標定検出装置に導き、前記ガス標定検出装置によって前記被測定筐体内のガスにおけるトレーサーガスの濃度を検出することを含む。
【0010】
上記技術案では、被測定筐体内のガスをガス標定検出装置に導いた後、トレーサーガス濃度検出を行うことによって、トレーサーガス濃度検出を行うことを容易にするとともに、ガス標定検出装置と被測定筐体との相対的な位置関係をより柔軟にすることができる。
【0011】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体にトレーサーガスを所定時間充填した後、前記被測定筐体内のトレーサーガス濃度を取得し、トレーサーガス濃度が予め設定された範囲であるか否かを判断することをさらに含む。
【0012】
上記技術案では、被測定筐体内にトレーサーガスを所定時間充填した後、被測定筐体内のトレーサーガス濃度の検出を開始し、被測定筐体内のトレーサーガス濃度をリアルタイムで検出又は複数回検出する必要がなく、検出効率を向上させる。
【0013】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、前記被測定位置の標定漏洩率を取得することをさらに含む。
【0014】
上記技術案では、被測定位置の標定漏洩率を取得した後、被測定位置の漏洩率を対応する標定漏洩率と比較した後、被測定位置の漏洩率が標定漏洩率よりも低い場合、被測定位置のシール設計は、需要を満たす。
【0015】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前述した、前記被測定位置の標定漏洩率を取得することは、
前記被測定筐体内のガスを、標定機構を介してガス標定検出装置に引き出し、前記被測定筐体内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後、被測定位置の標定漏洩率を取得することを含む。
【0016】
上記技術案では、筐体内のガスを、標定機構を介してガス標定検出装置に引き出し、被測定筐体の標定漏洩率を取得し、被測定筐体の標定漏洩率を取得することを容易にするだけでなく、標定漏洩率を取得する正確度を向上させることができる。
【0017】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体内のガスを引き出すことをさらに含む。
【0018】
上記技術案では、被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、被測定筐体内にもともと存在するガスを引き出して、トレーサーガスのために空間を譲ることができ、被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を予め設定された範囲に達させることができる。そしてトレーサーガスの充填と被測定筐体内にもともと存在するガスの排出とを同時に行うことによって、トレーサーガスの被測定筐体内への拡散を加速化させることができる。
【0019】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前述した、被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体内のガスを引き出すことは、
前記被測定筐体の第一の端から前記被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体の前記第一の端と対向する第二の端から前記被測定筐体内のガスを引き出すことを含む。
【0020】
上記技術案では、被測定筐体の第一の端から被測定筐体内にトレーサーガスを充填する過程で、被測定筐体の第一の端と対向する第二の端から被測定筐体内にもともと存在するガスを引き出すことは、トレーサーガスのために空間を譲ることができ、被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を予め設定された範囲に達させることができるだけでなく、トレーサーガスの被測定筐体内への均一な拡散を加速化させることができ、被測定筐体内部全体を迅速に充満させ、被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を一様に近づけることができる。
【0021】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体の第一の時刻と第二の時刻における圧力差を取得することで、前記圧力差が予め設定された範囲を超えるか否かを判断することをさらに含む。
【0022】
上記技術案では、筐体漏洩検出を行う時に、検出需要を満たすために、被測定筐体内部に一定の圧力を保持する必要がある。なお、被測定筐体に漏洩率が比較的に大きい位置がない場合、一定の時間帯内で、被測定筐体内部の圧力は、ある予め設定された範囲内にあり、予め設定された範囲を超える場合、漏洩率が比較的に大きい位置があることを示し、被測定筐体を再修理する必要がある。
【0023】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、
前述した、各被測定位置の漏洩率を検出することの後、前記被測定筐体内のトレーサーガスを引き出すことをさらに含む。
【0024】
上記技術案では、被測定筐体漏洩検出が完了した後、被測定筐体内のトレーサーガスを引き出し、トレーサーガスが被測定筐体内部環境を汚染し、電池セルの電池性能に影響を与えることを回避する。
【0025】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前記筐体の漏洩検知方法は、
前述した、被測定筐体内にトレーサーガスを充填することの前に、防護カバーによって前記複数の被測定位置を覆設することによって、前記複数の被測定位置が、前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができることをさらに含む。
【0026】
上記技術案では、防護カバーによって複数の被測定位置を覆設し、比較的清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させることができる。
【0027】
本出願の第一の方面によるいくつかの実施例では、前述した、防護カバーによって前記複数の被測定位置を覆設することによって、前記複数の被測定位置が、前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができることは、
複数の前記防護カバーによって前記複数の被測定位置を対応して覆設することによって、被測定位置が、対応する前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができることを含む。
【0028】
上記技術案では、防護カバーによって対応する被測定位置を覆設することにより、漏洩のトレーサーガスは、対応する防護カバー内に入って、対応する被測定位置のために清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させることができる。
【0029】
第二の方面によれば、本出願の実施例は、被測定筐体の複数の被測定位置に対して漏洩検出を行うための漏洩検知システムを提供する。この漏洩検知システムは、
被測定筐体内にトレーサーガスを充填するように構成されるガス充填装置と、
被測定位置に対応して設置され、対応する被測定位置の漏洩率を検出するように構成されるガス検出装置とを含む。
【0030】
上記技術案では、ガス検出装置は、被測定筐体の各被測定位置に対して漏洩検出を行うことができ、後に漏洩の位置に対して漏洩防止処理を意図的に行うことを実現できるように具体的な漏洩位置を決定することができるだけでなく、各被測定位置の漏洩率を検出することで、どのレベルの漏洩防止対処をとるか、又は漏洩防止対処をとるか否かに根拠を提供することもでき、より正確な漏洩情報を取得する。
【0031】
本出願の第二の方面によるいくつかの実施例では、前記漏洩検知システムは、複数の漏洩検知治具をさらに含み、前記漏洩検知治具は、前記被測定位置に対応して設置され、前記ガス検出装置は、前記漏洩検知治具によって前記被測定位置に取り付けられる。
【0032】
上記技術案では、ガス検出装置は、漏洩検知治具によって被測定位置に取り付けられ、被測定位置に対するガス検出装置の安定した検出を容易にする。
【0033】
本出願の第二の方面によるいくつかの実施例では、前記漏洩検知システムは、負圧装置をさらに含み、前記負圧装置は、前記被測定位置のガスを前記ガス検出装置に導くように構成される。
【0034】
上記技術案では、負圧装置の設置は、被測定位置のガスをガス検出装置に迅速に移動して検出させ、被測定位置から漏洩したガスのガス検出装置に移動する時間を短縮させることができ、それによって筐体全体に対する漏洩検知の時間を短縮させ、検出効率を向上させる。
【0035】
本出願の第二の方面によるいくつかの実施例では、前記ガス検出装置は、感ガスセンサを含む。
【0036】
上記技術案では、感ガスセンサは、長期にわたって安定して動作可能、再現性が良く、応答が速く、共存物質(例えば環境ガス)による影響が小さいなどの利点がある。
【0037】
本出願の第二の方面によるいくつかの実施例では、前記漏洩検知システムは、防護カバーをさらに含み、前記防護カバーは、前記複数の被測定位置を覆設することによって、前記複数の被測定位置が、前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができるように構成される。
【0038】
上記技術案では、防護カバーは、複数の被測定位置を覆設し、比較的清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させることができる。
【0039】
本出願の第二の方面によるいくつかの実施例では、前記防護カバーの数は、複数であり、前記被測定位置は、前記防護カバーに対応して設置されて、前記ガス検出装置が前記防護カバーによって対応する被測定位置の漏洩率を検出することによって、被測定位置が、対応する前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができる。
【0040】
上記技術案では、防護カバーによって対応する被測定位置を覆設することにより、漏洩のトレーサーガスは、対応する防護カバー内に入って、対応する被測定位置のために清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させることができる。
【0041】
本出願の第二の方面によるいくつかの実施例では、前記漏洩検知システムは、ガス標定検出装置をさらに含み、前記ガス標定検出装置は、前記被測定筐体の標定漏洩率を取得するように構成される。
【0042】
上記技術案では、ガス標定検出装置は、被測定筐体内のトレーサーガスの濃度を検出することができるだけでなく、被測定筐体内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後の標定漏洩率を取得することもでき、後に検出される各被測定位置の漏洩率のために比較値を提供し、各被測定位置の漏洩率が標定漏洩率よりも低い場合のみ、被測定筐体のシールレベルは、設計需要を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例において使用される必要がある図面を簡単に紹介する。理解すべきことは、以下の図面が、本出願のいくつかの実施例を示しているため、範囲に対する限定と見なされるべきではない。当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の関連する図面を得ることができる。
【
図1】本出願の実施例による漏洩検知システムによる被測定筐体の一つの被測定位置の漏洩検出の第一の視野角の概略図である。
【
図2】本出願の実施例による漏洩検知システムによる被測定筐体の一つの被測定位置の漏洩検出の第二の視野角の概略図である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図4】本出願のさらに別のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図5】本出願の別のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図6】本出願のいくつかの実施例による被測定筐体の構造概略図である。
【
図7】本出願のさらに別のいくつかの実施例による被測定筐体の構造概略図である。
【
図8】
図7の被測定筐体における気流方向の概略図である。
【
図9】本出願のさらに別のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図10】本出願の別の実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図11】本出願のまた別の実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図12】本出願のさらにまた別の実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図13】本出願のいくつかの実施例による標定ステップを有する筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図14】本出願の別のいくつかの実施例による標定ステップを有する筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図15】本出願のいくつかの実施例による被測定筐体の一状態を標定する概略図である。
【
図16】本出願のいくつかの実施例による被測定筐体の別の状態を標定する概略図である。
【
図17】本出願のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図18】本出願のさらに別のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図19】本出願のさらに別のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図20】本出願の別のいくつかの実施例による筐体の漏洩検知方法のフローチャートである。
【
図21】本出願の別のいくつかの実施例による筐体漏洩検知方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明瞭にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述する。明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。一般的には、ここで図面に記述され、示される本出願の実施例の構成要素は、様々な異なる配置で配置されてもよく、設計されてもよい。
【0045】
そのため、以下では、図面による本出願の実施例に対する詳細な記述は、保護が要求される本出願の範囲を制限することを意図するものではなく、本出願の選択的な実施例のみを表すものである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0046】
説明すべきこととして、衝突されない場合、本出願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせられてもよい。
【0047】
なお、類似した符号とアルファベットは、以下の図面において類似の項目を表すため、一旦いずれかの一つが一図面において定義されると、その後の図面において、それについてさらに定義と解説をする必要はない。
【0048】
本出願の実施例の記述では、説明すべきこととして、指示方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくか、又は本明細書の製品の使用時に慣習的に並べられる方位又は位置関係であるか、又は当業者が慣習的に理解する方位又は位置関係であり、単に本出願の記述を容易にし、記述を簡略化するためのものであり、言及される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして解釈されるべきではない。なお、用語「第一」、「第二」、「第三」などは、単に記述を区別するためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。
【0049】
本出願の実施例の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明確に規定又は限定しない限り、用語である「設置」、「取り付け」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体に接続されてもよく、直接に接続してもよく、中間媒体を介して間接的に接続してもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0050】
本出願に現れる「複数」とは、二つ以上(二つを含む)である。
【0051】
本出願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これについて限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体又は他の形状などを呈することができ、本出願の実施例は、これについても限定されない。電池セルは、一般的に、パッケージング方式によって柱形電池、四角形電池と軟質バッグ電池という3種類に分けられ、本出願の実施例は、これについても限定されない。
【0052】
本出願の実施例でいう電池とは、より高い電圧と容量を提供するための一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本出願でいう電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、一つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0053】
本出願では、筐体は、複数のケース部によって取り外し可能な接続又は固定接続を介して形成された収容空間を有する構造であり、筐体の収容空間は、電池セルを収容するために用いられてもよく、無論、筐体は、シール保存が必要な他の対象体を収容するためにも用いられてもよい。本出願の実施例は、これについて限定されない。筐体内に収容される対象体は、円柱体、扁平体、長方体又は他の形状などであってもよく、本出願の実施例では、これについても限定されない。例えば、筐体の収容空間に収容されるのは電池セルであれば、電池セルは、円柱体、扁平体、長方体又は他の形状などであってもよく、電池セルは、一般的に、パッケージング方式によって、柱形電池セル、直方体角形電池セルと軟質バッグ電池セルという3種類に分けられ、本出願の実施例では、これについても限定されない。
【0054】
電池技術の発展は、多岐にわたる設計因子、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮しなければならず、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0055】
電池にとって、筐体のシール性能は、その充放電過程における安全性能に影響を与える重要な因子である。シール性能が設計需要を満たさないと、外部環境が電池の筐体の内部使用環境に影響を与えやすく、例えば筐体シール性能が悪く、防水性能が比較的弱く、水が筐体内部に入って内部短絡を招き、短絡、過充電などの現象が発生した場合、電池セル内部に熱暴走の発生による圧力又は温度が急激に上昇し、深刻な場合電池セルが爆発、発火するおそれがある。
【0056】
そのため、電池の筐体のシール性能が需要を満たすことを確保するために、電池の筐体のシール性能を厳密に管理する必要がある。一般的な手段は、筐体に対して漏洩率検出を行い、漏洩率に基づき筐体のシール性能を判断することであり、漏洩率が小さいほど、シール性能が良く、逆に、シール性能が悪いことを示している。
【0057】
発明者は、電池の筐体の漏洩率検出時に、全体検出を採用し、即ち、筐体全体を検出空間に入れ、筐体内部にトレーサーガスを充填し、筐体内から漏洩したトレーサーガスが被測定空間内に入り、被測定空間内のトレーサーガスの濃度を検出することによって、筐体の漏洩率を取得することを見出した。しかし、このような検出方法によって取得されたものは、筐体全体の漏洩率であり、筐体の漏洩が発生した具体的な位置と具体的な漏洩位置の漏洩率を決定できない。
【0058】
これに鑑み、本出願の実施例は、技術案を提供し、筐体の各被測定位置に対して漏洩率検出を行うことによって、具体的な漏洩位置と漏洩位置の漏洩率を決定する。
【0059】
本出願の実施例に記述された技術案は、電池の筐体検出及び他の漏洩検出が必要な筐体に適用される。
【0060】
以下の実施例では、説明を容易にするために、電池の筐体を被測定筐体10として説明する。
【0061】
図1、
図2に示すように、本出願の実施例は、被測定筐体10の複数の被測定位置11に対して漏洩検出を行うための漏洩検知システム100を提供する。漏洩検知システム100は、ガス充填装置(図示せず)と、ガス検出装置20とを含む。ガス充填装置は、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填するように構成される。ガス検出装置20は、被測定位置11に対応して設置され、対応する被測定位置11の漏洩率を検出するように構成される。
【0062】
説明すべきこととして、「ガス検出装置20は、被測定位置11に対応して設置される」ことは、ガス検出装置20が被測定位置11と一対一に対応して設置され、被測定位置11の数が複数である場合、対応するガス検出装置20の数が被測定位置11の数と同じであるとして理解されてもよい。「ガス検出装置20は、被測定位置11に対応して設置される」ことは、一つの被測定位置11が一つのガス検出装置20によってその漏洩率を検出し、ガス検出装置20の数が一つであっても、このガス検出装置20によって各被測定位置11の漏洩率をそれぞれ検出するとしても理解されてもよい。
【0063】
ガス検出装置20によって被測定筐体10の各被測定位置11に対して漏洩検出を行うことは、後に漏洩の位置に対して漏洩防止処理を意図的に行うことを実現できるように具体的な漏洩位置を決定することができるだけでなく、各被測定位置11の漏洩率を検出することで、どのレベルの漏洩防止対処をとるか、又は漏洩防止対処をとるか否かに根拠を提供することもでき、より正確な漏洩情報を取得する。
【0064】
トレーサーガスは、漏洩検知用のガスであり、トレーサーガス自体が持つ品質のため、それが検出又は追跡されやすくなる。空気と混合した後、それ自体は、何の変化もなく、且つ非常に低い濃度で検出されることができる。トレーサーガスは、ヘリウムガス、二酸化炭素、アンモニアガス、水素ガスなどを含む。
【0065】
ガス検出装置20は、トレーサーガスの違いによって異なる選択が可能である。いくつかの実施例では、ガス検出装置20は、感ガスセンサ、例えば半導体感ガスセンサ、焦電型センサ、光ファイバーセンサ、パラジウム合金フィルム水素ガスセンサを含む。感ガスセンサは、長期にわたって安定して動作可能であり、再現性が良く、応答が速く、共存物質(例えば環境ガス)による影響が小さいなどの利点がある。
【0066】
ガス検出装置20は、トレーサーガスの濃度をリアルタイムで検出する。
【0067】
いくつかの実施例では、ガス検出装置20は、ヘリウムリークディテクターをさらに含んでもよい。ガス検出装置20がヘリウムリークディテクターを含む場合、ヘリウムガス又は水素ガスをトレーサーガスとする。ヘリウムガスのノイズフロアが低く、即ち検出環境は、大気中であり、大気中のヘリウムガスの含有量が非常に少なく、検出精度に影響を与えない。ヘリウムガスの分子量及び粘度係数が小さいため、漏れ孔を通過して拡散しやすい。また、ヘリウムガスは、不活性ガスであり、機器を腐食しないため、ヘリウムガスをトレーサーガスとしてよく使用する。ヘリウムリークディテクターを被測定位置11に置き、トレーサーガスが被測定位置11から漏洩してヘリウムリークディテクターと接触すると、ヘリウムリークディテクターにて反応が生じ、それによって被測定位置11に漏洩が発生するか否か及び漏洩率の大きさが分かる。
【0068】
実際の検出中に、ガス検出装置20によって被測定位置11に近づいて漏洩率検出を行うと、ガス検出装置と被測定位置11との距離の相違によって検出結果に差異が存在する可能性がある。
【0069】
これに基づき、いくつかの実施例では、漏洩検知システム100は、複数の漏洩検知治具30をさらに含み、漏洩検知治具30は、被測定位置11に対応して設置され、ガス検出装置20は、漏洩検知治具30によって被測定位置11に取り付けられる。漏洩検知治具30の構造寸法は、一定であるため、ガス検出装置20が漏洩検知治具30によって被測定位置11に取り付けられた後、ガス検出装置20と被測定位置11との距離が一定となると、ガス検出装置20と被測定位置11との距離変化による漏洩検出結果に影響を与えることを回避する。なお、ガス検出装置20は、漏洩検知治具30によって被測定位置11に取り付けられて、被測定位置11に対するガス検出装置の安定した検出を容易にする。
【0070】
例示的に、
図1、
図2に示すように、被測定筐体10の一つの被測定位置11は、ストライプシール位置であり、シール位置は、一定の長さを有し、このシール位置に対応する漏洩検知治具30は、本体31と、二つのホイール32とを含み、ホイール32は、本体31に回動可能に設けられ、本体31上には、吸気口311が設けられ、二つのホイール32の間には、吸気管33が設けられ、二つのホイール32は、吸気位置を規定しており、吸気管33は、吸気口311と連通しており、ガス検出装置20は、漏洩検知治具30に取り付けられ、吸気口311によって吸気管33と連通しており、被測定位置11から漏洩したガスは、吸気管33と吸気口311を経てガス検出装置20に到着することができる。ホイール32は、シール位置のシール界面に接触しており、ホイール32の回転は、漏洩検知治具30をシール界面に沿って移動させて、吸気管33に対応する位置を変化させることができる。漏洩検知治具30は、シール界面とガス検出装置との距離を一定に保つ。
【0071】
いくつかの実施例では、漏洩検知治具30は、倣いカバーであってもよく、倣いカバーを被測定位置に覆設することにより、被測定位置から漏洩したトレーサーガスは、倣いカバーに入り、倣いカバー上の出口を介してガス検出装置20に到着する。倣いカバーは、被測定位置の構造にマッチングした構造であり、例えば被測定位置がボルト接続位置である場合、倣いカバーの内部は、ナットとワッシャの外形にマッチングしたキャビティであり、さらに例えば、被測定位置が放圧機構の接続位置である場合、倣いカバーの内部は、放圧機構の外形にマッチングしたキャビティである。
【0072】
いくつかの実施例では、漏洩検知システム100は、負圧装置40をさらに含み、負圧装置40は、被測定位置11のガスをガス検出装置20に導くように構成される。
【0073】
図1、
図2に示すように、負圧装置40は、ガス検出装置20の漏洩検知治具30から離反する側、即ちガス検出装置20の下流に接続される。負圧装置は、吸気口311から被測定位置11のガスを負圧の形式でガス検出装置20に吸引することによって、ガス検出装置20が、対応する被測定位置11から漏洩したトレーサーガスの濃度を検出することができる。負圧装置40の設置は、被測定位置11のガスをガス検出装置20に迅速に移動して検出させ、被測定位置11から漏洩したガスがガス検出装置20に移動する時間を短縮させることができ、それによって筐体全体に対する漏洩検知の時間を短縮させ、検出効率を向上させる。
【0074】
被測定位置11の形状、構造などによって、対応する漏洩検知治具30の構造は、異なってもよい。
【0075】
いくつかの実施例では、漏洩検知システムは、ガス標定検出装置(
図1、
図2において図示せず)をさらに含み、ガス標定検出装置は、被測定筐体10の標定漏洩率を取得するように構成される。
【0076】
ガス標定検出装置は、被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を検出することができ、被測定筐体10内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後の標定漏洩率を検出することもでき、後に検出される各被測定位置11の漏洩率のために比較値を提供することができ、各被測定位置11の漏洩率が標定漏洩率よりも低い場合のみ、被測定筐体10のシールレベルは、設計需要を満たし、即ち被測定筐体のシールは、合格とする。
【0077】
そのうち、ガス標定検出装置とガス検出装置20は、同一の検出装置であってもよく、この検出装置は、まず、ガス標定検出装置として被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を検出し、被測定筐体10内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後に被測定筐体10の標定漏洩率を取得し、被測定筐体10の標定漏洩率を取得した後、ガス検出装置として各被測定位置の漏洩率を検出してから、各被測定位置11の漏洩率を先に取得した標定漏洩率と比較する。
【0078】
いくつかの実施例では、ガス標定検出装置とガス検出装置20は、それぞれ独立した検出装置であってもよい。
【0079】
外部環境気流の検出結果への影響を回避するために、いくつかの実施例では、前記漏洩検知システムは、防護カバー(図示せず)をさらに含み、防護カバーは、複数の被測定位置11を覆設することによって、複数の被測定位置11が、防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができるように構成される。防護カバーによって複数の被測定位置11を覆設することによって、比較的清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させることができる。
【0080】
いくつかの実施例では、防護カバーは、一つであり、被測定筐体10全体を防護カバー内に入れることによって、各被測定位置11が、防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができ、ガス検出装置20は、防護カバー内にて対応する被測定位置11の漏洩率を検出する。
【0081】
別のいくつかの実施例では、ガス検出装置は、防護カバー外に設置され、対応する被測定位置11のガスを負圧装置によって防護カバー外のガス検出装置に導くことにより、ガス検出装置は、防護カバー外にて対応する被測定位置11から漏洩したトレーサーガスの濃度に対して検出を行う。
【0082】
いくつかの実施例では、防護カバーの数は、複数であり、被測定位置11は、防護カバーに対応して設置され、被測定位置11の数は、防護カバーの数と同じであり、ガス検出装置20が防護カバーによって対応する被測定位置11の漏洩率を検出することによって、被測定位置11が、対応する前記防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができる。防護カバーによって対応する被測定位置11を覆設して、漏洩のトレーサーガスは、対応する防護カバー内に入ることができ、対応する被測定位置11のために清潔、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、各被測定位置11から漏洩したトレーサーガスの相互干渉を回避し、さらに検出精度を向上させる。
【0083】
図3に示すように、本出願の実施例は、筐体の漏洩検知方法をさらに提供する。被測定筐体10は、複数の被測定位置11を有し、この筐体の漏洩検知方法は、
被測定筐体10内にトレーサーガスを充填するステップS100と、
各被測定位置11の漏洩率を検出するステップS200とを含む。
【0084】
被測定筐体10の各被測定位置11に対して漏洩検出を行うことにより、後に漏洩の位置に対して漏洩防止処理を意図的に行うことを実現できるように具体的な漏洩位置を決定することができるだけでなく、各被測定位置11の漏洩率を検出し、筐体の漏洩検出の精度を向上させることができるとともに、どのレベルの漏洩防止対処をとるか、又は漏洩防止対処をとるか否かに根拠を提供することもできる。
【0085】
被測定筐体10内部にトレーサーガスを充填し、被測定筐体10内部のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達させ、トレーサーガスのために空間を譲ることができるためには、被測定筐体10内部にもともと存在するガスを排出する必要がある。被測定筐体10の耐負圧能力が限られているため、まず被測定筐体10を絶対真空にしてからトレーサーガスを充填する方法を採用すれば、被測定筐体10を損傷させやすい。なお、被測定筐体10内にトレーサーガスを単独して充填すると、被測定筐体10の耐圧能力の制限を受け、被測定筐体10内に充填されるトレーサーガスの量が限られ、トレーサーガス濃度を向上させることは非常に困難であり、ガス検出装置20の検出濃度に対する需要(トレーサーガス濃度が低いほどガス検出装置のテスト結果精度が低い)に達することは困難である。そのため、
図4に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する過程で、前記被測定筐体10内のガスを引き出すステップS300をさらに含む。
【0086】
被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する過程で、被測定筐体10内にもともと存在するガスを引き出すことによって、トレーサーガスのために空間を譲って、被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度が予め設定された範囲に達させ、被測定筐体10内部が負圧になることを回避することができる。そしてトレーサーガスの充填と被測定筐体10内にもともと存在するガスの排出とを同時に行うことで、トレーサーガスの被測定筐体10内への拡散を加速化させることができる。
【0087】
被測定筐体10内にトレーサーガスを流すだけであれば、筐体内にトレーサーガスを均一に拡散させるのに長期間静置を要し、特にガス充填端から遠ざかる位置でのトレーサーガス濃度が非常に低くなる。そのため、
図5に示すように、いくつかの実施例では、ステップS300は、
被測定筐体10の第一の端から被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する過程で、被測定筐体10の第一の端と対向する第二の端から被測定筐体10内のガスを引き出すステップS310を含む。
【0088】
被測定筐体10の第一の端と第二の端とが対向して配置され、被測定筐体10の第一の端には、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填するためのガス充填口14が設けられ、被測定筐体10の第二の端には、筐体内部のガスを排出するための排気口15が設けられる。ガス充填口14から被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する過程で、被測定筐体10内のトレーサーガスが徐々に増加し、被測定筐体10内にもともと存在するガスが排気口15から排出され、トレーサーガスのために空間を譲って、被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を予め設定された範囲に達させることができる。なお、被測定筐体10の対向して配置される一端からガスが充填され、他端から排気される置換方法は、固定のガスの流れ方向を形成することができ、トレーサーガスは、気流によって被測定筐体10の内部の各部位に迅速に拡散され、効率を大幅に向上させ、被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を迅速に一様に近づけることができる。
【0089】
被測定筐体10内の空気を排出することにより、より多くのトレーサーガスを充填することができ、需要に応じて被測定筐体10内部のトレーサーガス濃度を上げて、ガス検出装置がより良いテスト効果を達成することができる。各ガス充填チャンネルと排気チャンネルには、いずれも調圧弁と電磁弁が備えられており、圧力パラメータと時間とを柔軟に調節することができる。
【0090】
説明すべきこととして、「被測定筐体10の第一の端と第二の端とが対向して配置される」ことは、被測定筐体10の第一の端と第二の端がそれぞれ、被測定筐体10が第一の方向Aに沿って対向して配置される第一の箱壁12と第二の箱壁13であり、ガス充填口14が第一の側面に設置され、排気口15が第二の側面に設置されると理解されてもよい。ガス充填口14の中心軸線は、排気口15の中心軸線に平行であるか、又はなす角をなして配置される。
【0091】
例示的に、
図6に示すように、ガス充填口14は、第一の箱壁12に設置され、排気口15は、第二の箱壁13に設置される。ガス充填口14の中心軸線は、排気口15の中心軸線に平行であり、トレーサーガスは、図における中実矢印の方向に沿って拡散し、被測定筐体10内部の本来のガスは、図における中空矢印の方向に沿って移動する。
【0092】
図7に示すように、被測定筐体10は、第二の方向Bに沿って対向して配置される第三の箱壁16と、第四の箱壁17とをさらに有し、第一の方向Aは、第二の方向Bに垂直であり、ガス充填口14は、第一の側壁に設けられ、排気口15は、第三の側壁に設けられて第二の側壁に近づき、この時、第一の端と第二の端は、略対向して配置される。
図8に示すように、気流の流れ原理によれば、被測定筐体10内部にもともと存在するガスが排気口15から排出される過程で、即ち図における中空矢印に示す排出方向において、トレーサーガスは、第一の方向Aと第二の方向Bに沿って被測定筐体10内部にて迅速に拡散することができ、拡散レートをさらに加速化させることができ、且つトレーサーガスを被測定筐体10内部全体に迅速に充満させ、被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を一様に近づけることができる。
【0093】
図9に示すように、いくつかの実施例では、ステップS300は、
被測定筐体10内にトレーサーガスを充填することを実行する過程で、被測定筐体10内のガスを一定時間引き出した後、被測定筐体10内のガスの引き出しを停止し、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填し続けるステップS320をさらに含む。
【0094】
筐体漏洩検出を行う時に、検出需要を満たすために、被測定筐体10内部に一定の圧力を保持する必要がある。なお、被測定筐体10に漏洩率が比較的に大きい位置がない場合、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填し、一定の時間帯内で、被測定筐体10内部の圧力がある予め設定された範囲内となる。そのため、
図10に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
前記被測定筐体10の第一の時刻と第二の時刻における圧力差を取得することで、圧力差が予め設定された範囲を超えるか否かを判断するステップS400をさらに含む。
【0095】
第一の時刻から第二の時刻までの時間帯内において、被測定筐体10の内圧が予め設定された範囲を超えると、被測定筐体10に比較的に大きい漏洩率の漏洩位置を有することを示し、この漏洩位置は、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する時、被測定筐体10内の圧力が常に予め設定された範囲に達することができず、検出需要を満たすことが困難であり、且つ検出環境へ大量のトレーサーガスを排出し、検出結果に影響を与え、被測定筐体を再修理する必要がある。そのため、被測定筐体10に比較的に大きい漏洩率漏洩の漏洩位置を有するか否かを検出することが必要となる。
【0096】
いくつかの実施例では、ステップS400を実行してから、ステップS100を実行し、被測定筐体10に漏洩率が比較的に大きい位置が存在し、漏洩率が比較的に大きい位置からのトレーサーガスの漏洩によるガス検出装置20の検出結果への影響及び環境汚染を回避する。
【0097】
いくつかの実施例では、被測定筐体10に漏洩率が比較的に大きい位置が存在するか否かを検出するために、ステップS100の前に真空を引く方式で実現してもよい。比較的に大きい漏洩率がない位置であれば、被測定筐体10に対して真空を一定時間引いた後、例えば真空を引く時間帯が第一の時刻から第二の時刻まであり、第一の時刻における被測定筐体10内部の圧力と第二の時刻における被測定筐体10内部の圧力との差は、所定範囲内である。比較的に大きい漏洩率がある位置であれば、第一の時刻被測定筐体10内部の圧力と第二の時刻被測定筐体10内部の圧力との差は、所定範囲を超える可能性がある。真空を引く方式で被測定筐体10に大きな漏洩率位置が存在するか否かを検出することにより、被測定筐体10内に負圧を形成することができ、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する過程で、被測定筐体10内でのトレーサーガスの拡散レートは、大幅に向上する。真空を引く方式で被測定筐体10に大きな漏洩率位置が存在するか否かを検出する過程で、被測定筐体10内の負圧は、被測定筐体10の耐負圧能力を超えてはならない。
【0098】
図11に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を検出し、濃度が予め設定された範囲に達した後、各被測定位置11のトレーサーガス濃度を検出することで、各被測定位置11の漏洩率を得るステップS500をさらに含む。
【0099】
被測定筐体10内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後、各被測定位置11の漏洩率を検出することで、被測定筐体内のトレーサーガス濃度を検出条件に達させ、被測定筐体10内トレーサーガス濃度差異による漏洩検出の差異を消去する。
【0100】
いくつかの実施例では、被測定筐体にトレーサーガスを所定時間充填した後、被測定筐体内のトレーサーガス濃度を取得し、トレーサーガス濃度が予め設定された範囲であるか否かを判断する。被測定筐体10内にトレーサーガスを所定時間充填した後、被測定筐体内のトレーサーガス濃度の検出を開始し、被測定筐体10内のトレーサーガス濃度をリアルタイムで検出又は複数回検出する必要がなく、検出効率を向上させる。
【0101】
図12に示すように、いくつかの実施例では、ステップS500は、
被測定筐体10内のガスをガス標定検出装置60に導き、ガス標定検出装置60によって被測定筐体10内のガスにおけるトレーサーガスの濃度を検出するステップS510を含む。
【0102】
被測定筐体10内のガスをガス検出装置20に導いた後、トレーサーガス濃度検出を行うことによって、トレーサーガス濃度検出を行うことを容易にするとともに、ガス検出装置20と被測定筐体10との相対的な位置関係をより柔軟にすることができる。
【0103】
図13に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
被測定筐体10内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後、被測定筐体10の標定漏洩率を取得するステップS520をさらに含む。
【0104】
被測定筐体10内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後の標定漏洩率を取得することによって、後に検出される各被測定位置11の漏洩率のために比較値を提供し、各被測定位置11の漏洩率が標定漏洩率よりも低い場合のみ、被測定筐体10のシールレベルは、設計需要を満たす。
【0105】
いくつかの実施例では、ステップS510とステップS520は、同一のステップとみることができ、即ちステップS510において測定された被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度が予め設定された範囲にあると、換算によって標定漏洩率を得ることができる。
【0106】
図14に示すように、いくつかの実施例では、ステップS520は、
被測定筐体10内のガスを、標定機構70を介してガス標定検出装置60に引き出し、被測定筐体の標定漏洩率を取得するステップS521を含む。被測定筐体10の標定漏洩率の取得を容易にするだけでなく、標定漏洩率を取得する正確度を向上させることもできる。
【0107】
そのうち、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、前記被測定位置の標定漏洩率を取得することをさらに含む。被測定位置の標定漏洩率を取得した後、被測定位置の漏洩率を対応する標定漏洩率と比較した後、被測定位置の漏洩率が標定漏洩率よりも低い場合、被測定位置のシール設計は、需要を満たす。各被測定位置のシールが設計需要を満たすことを確保する。
【0108】
具体的には、前記被測定位置の標定漏洩率を取得することは、被測定筐体10内のガスを、標定機構70を介してガス標定検出装置60に引き出し、被測定筐体10内のトレーサーガス濃度が予め設定された範囲に達した後、被測定位置11の標定漏洩率を取得することを含む。
【0109】
図15に示すように、被測定筐体10内のガスを、標定機構70を介してガス標定検出装置60に引き出し、被測定筐体10の標定漏洩率を取得するという過程は、標定と呼ぶ。そのうち、標定機構70は、標準漏洩孔を備えた機構であり、標定機構70は、対応する被測定位置11で作られた倣い装置に基づいてもよく、この倣い装置には、標準漏洩孔が設置される。トレーサーガスが標定機構70を通過した後、検出して得られたガス濃度は、標準濃度であり、後に被測定位置11の漏洩率を検出する時、被測定位置11で検出して得られたトレーサーガス濃度を標準濃度と比較することにより、対応する被測定位置がシール要求を満たすか否かを得ることができ、且つトレーサーガス濃度換算によって漏洩率を得ることができる。この方法によって、漏洩検出のたびに、独立して標定することを実現することができ、被測定筐体10内のトレーサーガス濃度の差異によるテスト差異を回避することができる。
【0110】
S400ステップでは、被測定筐体10の排気口15からガスを取り、ガス管50によって各被測定位置11に対応するガス標定検出装置60に接続することを採用してもよく、具体的には、ガス管50は、各被測定位置11に対応する標定機構70を介してガス標定検出装置60に接続され、ガス標定検出装置60で測定して得られたガス濃度から被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度を換算して得ることができる。且つ被測定筐体10内のトレーサーガスの濃度が予め設定された範囲に達した後、ガス標定検出装置60は、被測定筐体10の標定漏洩率を取得することもできる。この方法によって、被測定筐体10内のガス濃度を標準漏洩率対応ガス濃度の測定可能な範囲内に制御し、テスト正確度を向上させることができる。それに加えて、トレーサーガス濃度の範囲を制御することにより、ガス検出装置20テスト回路に対するリアルタイムモニタリングを実現し、漏洩検知システム異常をタイムリーで発見し、品質リスクを回避することができる。
【0111】
図15に示すように、複数の標定機構70は、同一のガス管50によって連通し、同一箇所からガスを取り(例えば、いずれも排気口15からガスを取り)、ガスを取る位置の数を減らすことができるだけでなく、複数の位置に対して標定を同時に行い、標定効率を向上させることもできる。
【0112】
図15、
図16を参照すると、いくつかの実施例では、ガス標定検出装置60とガス検出装置20は、同一の検出装置である。各被測定位置11は、標定機構70に対応して設置され、各被測定位置11には、漏洩検知治具30が対応して設置され、各標定機構70は、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)に対応して設置され、各標定機構70は、ガス管50によって排気口15(又はガス充填口14)と連通しており、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)は、標定機構70と、それに対応する漏洩検知治具30の吸気口311とに連通可能である。
【0113】
図15に示すように、標定過程を行う時に、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)と漏洩検知治具30の吸気口311とが遮断され、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)と標定機構70とが連通する。被測定筐体10内のガスは、排気口15からガス管50及び標定機構70を経て、最後にガス標定検出装置60(ガス検出装置20)に到着し、最終的に、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)で測定して得られたトレーサーガスの濃度から被測定筐体10の標定漏洩率を取得する。
【0114】
図16に示すように、被測定位置11に対して漏洩検出を行う時に、対応する被測定位置のガス標定検出装置60(ガス検出装置20)と漏洩検知治具30の吸気口311とが連通し、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)と標定機構70とが遮断され、被測定筐体10内のガスは、被測定位置11から漏洩し、対応する漏洩検知治具30を経て、最後にガス標定検出装置60(ガス検出装置20)に到着し、最終的に、対応する被測定位置11の漏洩率を取得し、標定漏洩率と比較して、被測定位置11の漏洩率が標定漏洩率よりも低い場合、対応する被測定位置11のシールは、設計需要を満たす。
【0115】
いくつかの実施例では、まずガス標定検出装置60(ガス検出装置20)を対応する被測定位置11の標定機構70と接続することで標定漏洩率を取得した後、このガス標定検出装置60(ガス検出装置20)を対応する被測定位置11に対応する漏洩検知治具30に移動させて被測定位置11の漏洩率検出を行ってもよい。
【0116】
いくつかの実施例では、ガス標定検出装置60とガス検出装置20は、同一の検出装置であり、且つガス標定検出装置60(ガス検出装置20)の数は、一つであり、ガス標定検出装置60(ガス検出装置20)は、各被測定位置11にて対応する位置の標定漏洩率を順に取得し、この被測定位置11に対して漏洩率検出を行う。
【0117】
いくつかの実施例では、ガス標定検出装置60とガス検出装置20は、それぞれ独立した検出装置であり、ガス標定検出装置60は、対応する被測定位置11の標定機構70と連通し、対応する被測定位置11の標定漏洩率を取得するために用いられ、ガス検出装置20は、対応する被測定位置11の漏洩検知治具30の吸気口311と連通し、この被測定位置11に対して漏洩率検出を行うために用いられる。
図17に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
各被測定位置11の漏洩率を検出した後、被測定筐体10内のトレーサーガスを引き出すステップS600をさらに含む。
【0118】
被測定筐体10漏洩検出が完了した後、被測定筐体10内のトレーサーガスを引き出し、トレーサーガスが被測定筐体10内部環境を汚染し、電池セルの電池性能に影響を与えることを回避する。
【0119】
図18に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する前に、防護カバーによって複数の被測定位置11を覆設することによって、複数の被測定位置11が、防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができるステップS700をさらに含む。防護カバーによって複数の被測定位置11を覆設することによって、比較的清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させることができる。
【0120】
各被測定位置11から漏洩したトレーサーガスの相互干渉による漏洩検出結果に影響を与えることを回避するために、
図19に示すように、いくつかの実施例では、ステップS700は、
複数の防護カバーによって複数の被測定位置11を対応して覆設することによって、被測定位置11が、対応する防護カバー内にトレーサーガスを漏洩することができるステップS710を含む。
【0121】
防護カバーによって対応する被測定位置11を覆設することによって、漏洩のトレーサーガスが対応する防護カバー内に入ることができ、対応する被測定位置11のために清潔で、安定した検出環境を構築し、外部気流の検出結果への影響を最小限に抑え、検出精度を向上させる。
【0122】
電池の筐体には、一般的に、放圧機構が設けられ、放圧機構は、筐体内部の圧力又は温度が閾値に達したときに作動し、筐体内部の圧力を逃がすために用いられる。放圧機構は、例えば防爆弁、防爆片、空気弁、放圧弁又は安全弁などの形式を採用してもよく、具体的には、感圧又は感温の素子又は構造を採用してもよい。即ち、電池の内圧又は温度が所定の閾値に達したときに、放圧機構が動作するか、又は放圧機構に設けられた薄肉構造が破壊され、それによって内圧又は温度を逃がすための開口又はチャンネルが形成される。そのうち、「作動」とは、放圧機構が動作するか、又は一定の状態にアクティブ化され、それによって電池の内圧及び温度が逃がされることである。放圧機構によって行われた動作は、放圧機構のうちの少なくとも一部分が破裂されること、破砕されること、引き裂かれること、又は開かれることなどを含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構が作動するときに、電池の内部の高温高圧物質を排出物として作動部位から外に排出する。このように、制御可能な圧力又は温度の場合に、電池セルにて放圧及び降温を発生させ、それによって潜在的なより深刻な事故の発生を回避することができる。
【0123】
そのため、
図20に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する前に、被測定筐体10上の放圧機構を当接させて、被測定筐体10内の圧力が閾値に達したときに放圧機構が作動することを阻止するステップS800をさらに含む。放圧機構が漏洩位置の一つとなり、被測定筐体10の被測定位置11に対する漏洩率検出の正確性に影響を与えることを回避する。
【0124】
電池の筐体には、他のシール性能要求が比較的に低い位置、例えばコネクタ(電池内部の電気エネルギーを引き出すためのもの)を取り付けるための位置をさらに有するため、被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する前に、コネクタを取り付けるための位置を封止し、コネクタを取り付ける位置からトレーサーガスを漏洩して検出結果に影響を与えることを回避する。
【0125】
漏洩検出を行う前に、ガス検出装置20が位置する環境自体には、被測定位置11から漏洩されていないトレーサーガスを有すれば、ガス検出装置20により検出された被測定位置11から漏洩されたトレーサーガスの濃度の結果に影響を与え、検出して得られた漏洩率が高くなる。そのため、
図21に示すように、いくつかの実施例では、筐体の漏洩検知方法は、
被測定筐体10内にトレーサーガスを充填する前に、ガス検出装置20が位置する環境のトレーサーガスの濃度を検出するステップS900をさらに含む。ガス検出装置20が位置する環境にバックグラウンドトレーサーガスが存在するため、ガス検出装置20により検出されたトレーサーガス濃度が高くなることによって、対応する被測定位置11の漏洩率が高くなることを回避する。
【0126】
ガス検出装置20が位置する環境のトレーサーガス濃度を検出する時、マルチガス検出装置20を採用して並行テストを行うことができ、テスト点は、すでに対応するテスト待ちの環境に配置されており、被測定筐体10内のガスの排出を開始する時、ガス検出装置20を起動すれば、環境におけるトレーサーガス濃度に対する監視を実現することができ、ガス検出装置20が位置する環境のバックグラウンドトレーサーガス濃度を効果的に監視し、バックグラウンド濃度が大きすぎるため、テスト値が大きくなることを回避することができる。被測定位置11の漏洩率の検出を開始する時、すでにガス検出装置20が位置する環境にトレーサーガスが存在することを検出すれば、排気システムを組み合わせて、消散したトレーサーガスをタイムリーで除去することができる。
【0127】
説明すべきこととして、検出ガス検出装置20(被測定位置11から漏洩されたトレーサーガスの濃度を検出するためのガス検出装置20)が位置する環境のトレーサーガスの濃度は、別個の検出装置検出によって検出されてもよく、この環境に投入される機器検出装置で検出されてもよい。
【0128】
ステップS900、ステップS700(又はステップS710)、ステップS800の実行順序は、本出願で限定されない。例えば、まず、ステップS900を実行し、ステップS700(又はステップS710)を実行してから、ステップS800を実行し、又は、まずステップS800を実行し、ステップS700(又はステップS710)を実行してから、ステップS900を実行し、又はまず、ステップS700(又はステップS710)を実行し、ステップS800を実行してから、S900を実行する。
【0129】
以上は、本出願の好ましい実施例に過ぎず、本出願を制限するものではない。当業者にとって、本出願は、様々な変更及び変化があってもよい。本出願の精神と原則内で行われる任意の修正、同等の置き換え、改良などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0130】
100-漏洩検知システム、10-被測定筐体、11被測定位置、12-第一の箱壁、13-第二の箱壁、14-ガス充填口、15-排気口、16-第三の箱壁、17-第四の箱壁、20-ガス検出装置、30-漏洩検知治具、31-本体、311-吸気口、32-ホイール、33-吸気管、40-負圧装置、50-ガス管、60-ガス標定検出装置、70-標定機構、A-第一の方向、B-第二の方向