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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/30 20160101AFI20231206BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231206BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H02K11/30
H02M7/48 M
B62D5/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022561263
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2021018941
(87)【国際公開番号】W WO2022102146
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2020187192
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】石井 旭
(72)【発明者】
【氏名】濱田 啓二
(72)【発明者】
【氏名】山田 成俊
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-072621(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039572(WO,A1)
【文献】特開2016-059149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/30
H02M 7/48
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻線組と第2巻線組とを有するモータを駆動するモータ駆動装置であって、
第1駆動系統であって、第1電源回路及び第1中央演算装置を備え、前記第1巻線組への通電を制御する前記第1駆動系統と、
第2駆動系統であって、第2電源回路及び第2中央演算装置を備え、前記第2巻線組への通電を制御する前記第2駆動系統と、
を有し、
前記第1駆動系統は、基板に、前記第1電源回路、前記第1中央演算装置を当該順に第1方向に沿って配列してなり、
前記第2駆動系統は、前記基板に、前記第2電源回路、前記第2中央演算装置を当該順に第2方向に沿って配列してなり、
前記第1方向と前記第2方向とを逆向きとして、前記第1電源回路及び前記第1中央演算装置の配列と前記第2電源回路及び前記第2中央演算装置の配列とを前記基板に並んで配し、
前記基板の平面視で前記第1電源回路と前記第1中央演算装置との間を通り前記第1方向に直交する直線を第1仮想線とし、前記基板の平面視で前記第2電源回路と前記第2中央演算装置との間を通り前記第2方向に直交する直線を第2仮想線としたとき、前記第1中央演算装置及び前記第2中央演算装置が、前記第1仮想線と前記第2仮想線とで挟まれる領域に配置されるよう構成した、
モータ駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のモータ駆動装置であって、
前記第1中央演算装置と前記第2中央演算装置とを、前記基板の平面視で前記第1方向及び前記第2方向に直交する直線である第3仮想線を隔てて前記領域に配置した、
モータ駆動装置。
【請求項3】
請求項1記載のモータ駆動装置であって、
前記第1中央演算装置と前記第2中央演算装置とを前記領域に隣り合わせに配置した、
モータ駆動装置。
【請求項4】
請求項1記載のモータ駆動装置であって、
前記第1中央演算装置と前記第2中央演算装置とを、それぞれの一部が隣り合わせになるよう前記領域に配置した、
モータ駆動装置。
【請求項5】
請求項1記載のモータ駆動装置であって、
前記モータの出力軸の延長方向に、前記モータと一体の基板収容部を備え、
前記基板は、前記基板の実装面が前記出力軸の軸線と直交するように前記基板収容部に収容され、
前記基板の平面視で前記軸線に直交する直線である第4仮想線を挟んで、前記第1電源回路及び前記第1中央演算装置の配列と前記第2電源回路及び前記第2中央演算装置の配列とを並んで配した、
モータ駆動装置。
【請求項6】
請求項5記載のモータ駆動装置であって、
前記モータは、車両用の電動パワーステアリング装置において操舵力を発生するモータである、
モータ駆動装置。
【請求項7】
請求項1記載のモータ駆動装置であって、
前記第1駆動系統は、前記第1電源回路及び前記第1中央演算装置とともに、第1コネクタ、第1入力回路、第1電源リレー回路、及び第1出力回路を備え、
前記第2駆動系統は、前記第2電源回路及び前記第2中央演算装置とともに、第2コネクタ、第2入力回路、第2電源リレー回路、及び第2出力回路を備え、
前記第1駆動系統は、前記基板に、前記第1コネクタ、前記第1電源回路、前記第1中央演算装置、前記第1入力回路、前記第1電源リレー回路、前記第1出力回路を当該順に前記第1方向に沿って配列してなり、
前記第2駆動系統は、前記基板に、前記第2コネクタ、前記第2電源回路、前記第2中央演算装置、前記第2入力回路、前記第2電源リレー回路、前記第2出力回路を当該順に前記第2方向に沿って配列してなる、
モータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1巻線組と第2巻線組とを有するモータを駆動するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が開示するモータ駆動装置は、冗長的に設けた複数のマイコンでモータの駆動を制御するモータ駆動装置であって、複数のモータ駆動回路と、複数のマイコンと、複数のクロック生成回路とを備え、複数のモータ駆動回路は、複数の巻線組を有する1つ以上のモータを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-153070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1駆動系統及び第2駆動系統でモータを駆動する冗長化されたモータ駆動装置であって、各駆動系統それぞれが電源回路などの発熱量の多い部品(以下、発熱部品と称する。)を含む場合、基板上で第1駆動系統の発熱部品と第2駆動系統の発熱部品とが隣り合って配置されると、発熱部品同士の熱干渉によって両発熱部品の発熱量が上昇する場合がある。
【0005】
そして、各駆動系統の発熱部品の発熱量が共に上昇して両駆動系統が同時期に故障すると、冗長化による機能保全の効果が得られなくなってしまう。
ここで、基板上で第1駆動系統の発熱部品と第2駆動系統の発熱部品とが隣り合って配置されることを避けるため、第1駆動系統を構成する複数の回路部品の配置パターンと第2駆動系統を構成する複数の回路部品の配置パターンとを異ならせると、駆動系統の間で配線抵抗の差が生じる。
【0006】
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動系統の間で配線抵抗に差が生じることを抑止しつつ、各駆動系統の発熱部品の発熱量が互いの熱干渉によって上昇することを抑止できる、モータ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るモータ駆動装置によれば、その一態様において、第1巻線組と第2巻線組とを有するモータを駆動するモータ駆動装置であって、第1駆動系統であって、第1電源回路及び第1中央演算装置を備え、前記第1巻線組への通電を制御する前記第1駆動系統と、第2駆動系統であって、第2電源回路及び第2中央演算装置を備え、前記第2巻線組への通電を制御する前記第2駆動系統と、を有し、前記第1駆動系統は、基板に、前記第1電源回路、前記第1中央演算装置を当該順に第1方向に沿って配列してなり、前記第2駆動系統は、前記基板に、前記第2電源回路、前記第2中央演算装置を当該順に第2方向に沿って配列してなり、前記第1方向と前記第2方向とを逆向きとして、前記第1電源回路及び前記第1中央演算装置の配列と前記第2電源回路及び前記第2中央演算装置の配列とを前記基板に並んで配し、前記基板の平面視で前記第1電源回路と前記第1中央演算装置との間を通り前記第1方向に直交する直線を第1仮想線とし、前記基板の平面視で前記第2電源回路と前記第2中央演算装置との間を通り前記第2方向に直交する直線を第2仮想線としたとき、前記第1中央演算装置及び前記第2中央演算装置が、前記第1仮想線と前記第2仮想線とで挟まれる領域に配置されるよう構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駆動系統の間で配線抵抗に差が生じることを抑止しつつ、各駆動系統の発熱部品の発熱量が互いの熱干渉によって上昇することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電動パワーステアリング装置の構成図である。
図2】モータ駆動装置の構成を示すブロック図である。
図3】モータユニットの分解斜視図である。
図4】モータ駆動装置を構成する回路部品の配置を模式的に示す図である。
図5】電源回路及び中央演算装置の配置の第1態様を示す基板の平面図である。
図6】電源回路及び中央演算装置の配置の第2態様を示す基板の平面図である。
図7】電源回路及び中央演算装置の配置の第3態様を示す基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るモータ駆動装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るモータ駆動装置を適用する車両用の電動パワーステアリング装置の一態様を示す構成図である。
但し、本発明に係るモータ駆動装置は、車両用の電動パワーステアリング装置以外にも適用できることは明らかである。
【0011】
電動パワーステアリング装置200は、車両100の転舵輪である前輪110,110を転舵させる転舵機構210と、転舵機構210に操舵力を付与するモータユニット220とを備える。
なお、電動パワーステアリング装置200は、モータユニット220による操舵力の付与を、運転者の操舵力を補助するため、或いは、自律的な操舵のために実施する。
【0012】
モータユニット220は、モータ230、及び、モータ230を制御するモータ駆動装置240を一体的に備える。
モータ230は、例えば3相同期電動機であって、U相コイル、V相コイル及びW相コイルからなる巻線組を、第1巻線組と第2巻線組の2組有する。
【0013】
そして、モータ駆動装置240は、モータ230の第1巻線組への通電を制御する第1駆動系統と、モータ230の第2巻線組への通電を制御する第2駆動系統とを備え、冗長化されている。
第1駆動系統は、後で詳細に説明するように、第1中央演算装置、及び、第1中央演算装置などに電源供給する第1電源回路を含んで構成され、第2駆動系統は、第2中央演算装置、及び、第2中央演算装置などに電源供給する第2電源回路を含んで構成される。
なお、第1中央演算装置は、換言すれば、第1マイクロコンピュータであり、第2中央演算装置は、換言すれば、第2マイクロコンピュータである。
また、第1電源回路及び第2電源回路は、例えばDC/DCコンバータなどを備えたICである。
【0014】
第1中央演算装置及び第2中央演算装置は、各種信号を外部から取得し、取得した信号に基づく演算処理によってモータ230の発生トルクを制御するための操作量を求め、操作量に関する信号を出力する。
なお、第1駆動系統の構成する第1中央演算装置及び第1電源回路を含む複数の回路部品、及び、第2駆動系統を構成する第2中央演算装置及び第2電源回路を含む複数の回路部品は、1枚の基板上に実装される。
【0015】
転舵機構210は、ステアリングホイール201、ステアリングシャフト202、ピニオン軸203、及び、ラック軸204を備える。
減速機構205は、モータ230が発生するトルクをラック軸204に伝達する。
【0016】
車両100の運転者がステアリングホイール201を回転させると、転舵機構210は、ステアリングシャフト202を介してピニオン軸203に操舵トルクを伝達する。
そして、転舵機構210は、ピニオン軸203の回転運動をラック軸204の直線運動に変換し、ラック軸204の両端に連結した前輪110,110を転舵させる。
操舵トルクセンサ206は、ステアリングホイール201の操舵トルクを検出する。
【0017】
モータ駆動装置240は、操舵補助を実施する場合、操舵トルクセンサ206から取得した操舵トルクに関する信号や車速センサ207から取得した車速に関する信号などに基づき、トルク指令値(換言すれば、モータ制御の目標値)を算出する。
そして、モータ駆動装置240は、算出したトルク指令値に基づいてモータ230の各巻線組への通電をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
【0018】
図2は、モータ駆動装置240の構成を示すブロック図である。
なお、図2は、モータ駆動装置240を構成する電子部品やコネクタなどの回路部品を示す図であって、基板上での回路部品の配置を示すものではなく、モータ駆動装置240を構成する回路部品の基板上における配置については、後で説明する。
【0019】
モータ230は、第1巻線組230Aと第2巻線組230Bとを有する。
そして、モータ駆動装置240は、第1巻線組230Aへの通電を制御する第1駆動系統240Aと、第2巻線組230Bへの通電を制御する第2駆動系統240Bとを備える。
つまり、モータ駆動装置240は、複数系統、詳細には2系統の冗長構成を有する。
【0020】
第1駆動系統240Aは、第1コネクタ241A、第1電源回路242A、第1中央演算装置243A、第1入力回路244A、第1電源リレー回路245A、第1出力回路246Aを備える。
同様に、第2駆動系統240Bは、第2コネクタ241B、第2電源回路242B、第2中央演算装置243B、第2入力回路244B、第2電源リレー回路245B、第2出力回路246Bを備える。
【0021】
つまり、第1駆動系統240Aは、発熱部品である第1電源回路242Aを含む複数の回路部品からなる第1回路部品群を有し、第2駆動系統240Bは、第1回路部品群と同じ複数の回路部品からなる第2回路部品群を有する。
なお、第1駆動系統240Aの第1回路部品群と第2駆動系統240Bの第2回路部品群とが同一の回路部品を有する構成に限定されず、第2駆動系統240Bは、第1回路部品群と同じまたは同様の複数の回路部品からなる第2回路部品群を有すればよい。
【0022】
但し、第1駆動系統240A,第2駆動系統240Bをそれぞれ構成する回路部品を、コネクタ241A,241B、電源回路242A,242B、中央演算装置243A,243B、入力回路244A,244B、電源リレー回路245A,245B、出力回路246A,246Bに限定するものではない。
第1駆動系統240A,第2駆動系統240Bは、少なくとも電源回路242A,242B及び中央演算装置243A,243Bを備えればよい。
また、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとを通信ラインで結んで、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとの間で相互に通信できるよう構成することができる。
【0023】
図3は、モータユニット220の分解斜視図である。
モータ230は、モータハウジング250内に収容され、モータ230の出力部231は、モータハウジング250から突き出した状態に設けられる。
【0024】
モータ230の出力軸の延長方向にモータ230(詳細には、モータハウジング250)と一体の基板収容部260を設けてあり、モータユニット220は、前記延長方向に沿って基板収容部260、モータ230を含むモータハウジング250、出力部231をこの順に備えて構成される。
基板収容部260は、モータ駆動装置240を構成する各種の電子部品やコネクタ241A,241Bなどの回路部品を実装した基板270を収容する。
【0025】
基板収容部260(換言すれば、基板収容室)は、モータハウジング250の端部に取り付けられる枠体251と、枠体251の開放端を覆うように枠体251に取り付けられるカバー252とで形成される。
換言すれば、モータハウジング250、枠体251、及びカバー252で囲まれる空間を基板収容部260とする。
そして、基板270は、実装面がモータ230の軸線に直交するように基板収容部260内に収容され、枠体251にねじなどを用いて固定される。
【0026】
なお、基板270は、モータ駆動装置240を構成する回路部品とともに、モータ230の回転を検出する磁気式角度センサを構成するセンサモジュール(図示省略)を備えることができる。
基板270に磁気式角度センサを構成するセンサモジュールを設ける場合、モータ230の出力軸の端部230a(換言すれば、出力部231とは反対の端部)が、モータハウジング250から基板収容部260内に突き出るようにする。
そして、モータハウジング250から突き出た出力軸の端部230aに磁石を取り付け、この磁石と対向するように、センサモジュールを基板270に設ける。
【0027】
図3のモータユニット220において、基板270は、少なくとも一部がモータハウジング250の周縁をはみ出す大きさを有し、枠体251及びカバー252は、係る基板270を収容できるように形成される。
そして、コネクタ241A,241Bは、基板270のモータハウジング250の周縁からはみ出す部分のモータハウジング250を向く面に、嵌合方向がモータ230の軸線と平行になるように設けられる。
【0028】
つまり、コネクタ241A,241Bは、挿抜方向がモータ230の軸線と平行で、かつ、雄コネクタ(図示省略)をモータ230の出力部231から基板収容部260に向かう方向に移動させることで、雌コネクタであるコネクタ241A,241Bに雄コネクタが接続されるように、モータハウジング250の周囲に配置される。
但し、コネクタ241A,241Bを、基板270のカバー252と対向する面に、挿抜方向がモータ230の軸線と平行になるように配置し、雄コネクタをカバー252からモータハウジング250に向かう方向に移動させることで、コネクタ241A,241Bに接続される構成することができる。
【0029】
モータ駆動装置240は、前述したように、第1駆動系統240Aと第2駆動系統240Bとを備える。
そして、第1駆動系統240Aは第1電源回路242Aを備え、第2駆動系統240Bは第2電源回路242Bを備え、第1電源回路242A及び第2電源回路242Bは発熱部品である。
【0030】
ここで、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとを基板270上に隣り合わせになるように配置すると、互いの熱干渉によって第1電源回路242A及び第2電源回路242Bの発熱量が共に上昇し、両駆動系統が同時期に故障するおそれがある。
例えば、各駆動系統240A,240Bの回路部品を図2の状態のまま基板270上に配置した場合、各駆動系統240A,240Bで同一方向に向けて同じ順で回路部品を配列し、かつ、各配列を横並びに配する(換言すれば、並んで配する)ことになるため、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとを始め、同じ種類の回路部品同士が隣り合わせになる。
【0031】
係る配列では、直線状の配列を横並びに2列設けるから、基板270上に回路部品を効率よく実装することができ、また、各駆動系統240A,240Bでの回路部品の配列パターンが同じであるため、駆動系統240A,240Bの間で配線抵抗に差が生じることを抑止できる。
しかし、基板270上で、発熱部品である第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせに配置されることになって、相互の熱干渉による発熱量の上昇が懸念される。
【0032】
そこで、モータ駆動装置240においては、第1駆動系統240Aでの回路部品の配置パターンと第2駆動系統240Bでの回路部品の配置パターンとを同じにしつつ、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせにならない、換言すれば、発熱部品同士が隣り合わせにならない、回路部品の配置を採用する。
図4は、基板270上における各回路部品の配置を模式的に示す図であって、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせにならない回路部品の配置の一態様を示す。
【0033】
図4の配置パターンでは、第1駆動系統240Aを構成する第1コネクタ241A、第1電源回路242A、第1中央演算装置243A、第1入力回路244A、第1電源リレー回路245A、第1出力回路246Aを、当該順で第1方向AD1に沿って直線状に配列する。
同様に、第2駆動系統240Bを構成する第2コネクタ241B、第2電源回路242B、第2中央演算装置243B、第2入力回路244B、第2電源リレー回路245B、第2出力回路246Bを、当該順で第2方向AD2に沿って直線状に配列する。
【0034】
更に、第1方向AD1と第2方向AD2とを逆向きとして、第1駆動系統240Aを構成する回路部品の直線状の配列と、第2駆動系統240Bを構成する回路部品の直線状の配列とを、基板270に並んで配する。
つまり、第1駆動系統240Aを構成する回路部品の直線状の配列に対して、第2駆動系統240Bを構成する回路部品の直線状の配列を、第1方向AD1と第2方向AD2とを逆向きとして横並びに配する。
【0035】
そして、基板270上において、第1コネクタ241Aと第2出力回路246Bとを隣り合わせに配置し、第1電源回路242Aと第2電源リレー回路245Bとを隣り合わせに配置し、第1中央演算装置243Aと第2入力回路244Bとを隣り合わせに配置し、第1入力回路244Aと第2中央演算装置243Bとを隣り合わせに配置し、第1電源リレー回路245Aと第2電源回路242Bとを隣り合わせに配置し、更に、第1出力回路246Aと第2コネクタ241Bとを隣り合わせに配置する。
つまり、図4に示した回路部品の配置では、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせにならない。
【0036】
なお、第1方向AD1或いは第2方向AD2に沿った回路部品の配列において、回路部品のパッケージの中央が直線上に並ぶように配列する必要はなく、第1方向AD1或いは第2方向AD2に対して左右にずれた位置に回路部品のパッケージを配置することができる。
また、基板270の平面視でモータ230の出力軸の軸線A1に直交する直線である第4仮想線VL4を挟んで、第1駆動系統240Aの回路部品の配列と、第2駆動系統240Bの回路部品の配列とを横並びに配することができる。
【0037】
図4に示した回路部品の配置では、発熱部品である第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせにならないから、相互の熱干渉によって発熱量が増大することを抑止できる。
また、図4に示した回路部品の配置では、第1駆動系統240Aを構成する回路部品の配置パターンと、第2駆動系統240Bを構成する回路部品の配置パターンとが同じであるため、駆動系統240A,240Bの間で配線抵抗の差が生じることが抑止される。
更に、図4に示した回路部品の配置では、第1駆動系統240Aを構成する第1回路部品群の直線状の配列と、第2駆動系統240Bを構成する第2回路部品群の直線状の配列とを基板270上に横並びに配するから、基板270に無駄スペースが生じることを抑止して、回路部品を基板270に効率よく実装することができる。
【0038】
以下では、電源回路242A,242B及び中央演算装置243A,243Bのみに着目して、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせにならないための配置の仕方を説明する。
図5は、電源回路242A,242B及び中央演算装置243A,243Bの基板270上での配置パターンの一態様を示す。
【0039】
ここで、第1駆動系統240Aを構成する第1電源回路242A、第1中央演算装置243Aを、当該順に第1方向AD1に沿って配列し、また、第2駆動系統240Bを構成する第2電源回路242B、第2中央演算装置243Bを、当該順に第2方向AD2に沿って配列する。
そして、第1方向AD1と第2方向AD2とを逆向きとして、第1電源回路242A及び第1中央演算装置243Aの配列と第2電源回路242B及び第2中央演算装置243Bの配列とが基板270に横並びに配する。
【0040】
ここで、基板270の平面視で第1電源回路242Aと第1中央演算装置243Aとの間を通り第1方向AD1に直交する直線を第1仮想線VL1とし、基板270の平面視で第2電源回路242Bと第2中央演算装置243Bとの間を通り第2方向AD2に直交する直線を第2仮想線VL2とする。
そして、第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bが、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2とで挟まれる帯状の領域RM内に配置されるようにする。
また、領域RM内で、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとを、基板270の平面視で第1方向AD1及び第2方向AD2に直交する直線である第3仮想線VL3を隔てて配置して、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとが隣り合わせにならないようにする。
【0041】
更に、基板270の平面視でモータ230の出力軸の軸線A1に直交する直線である第4仮想線VL4を挟んで、第1電源回路242Aと第1中央演算装置243Aとの配列と、第2電源回路242Bと第2中央演算装置243Bとの配列とを横並びに配することができる。
上記のようにして電源回路242A,242B及び中央演算装置243A,243Bを基板270上に配置すれば、図4の配置と同様に、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせにならず、かつ、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとが隣り合わせにならない配置となる。
【0042】
更に、第1方向AD1と第2方向AD2とを逆向きとして、第1電源回路242A及び第1中央演算装置243Aの配列と第2電源回路242B及び第2中央演算装置243Bの配列とを基板270に横並びに配し、しかも、第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bを、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2とで挟まれる領域RMに配置するようにする。
この場合、各駆動系統240A,240Bの回路部品の配列における電源回路242A,242Bの位置(換言すれば、順番)に関わらず、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせになることを避けることができる。
【0043】
例えば、各駆動系統240A,240Bの回路部品の配列における電源回路242A,242Bの位置が中央である場合、第1方向AD1と第2方向AD2とを逆向きとしても、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせになる場合がある。
しかし、第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bを領域RMに配置することは、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとを、領域RMを隔てて配置することになる。
したがって、各駆動系統240A,240Bの回路部品の配列における電源回路242A,242Bの位置に関わらず、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせになることを避けた配置となる。
【0044】
なお、第1方向AD1と第2方向AD2とを逆向きとして、第1電源回路242A及び第1中央演算装置243Aの配列と第2電源回路242B及び第2中央演算装置243Bの配列とが基板270に横並びに配し、かつ、第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bを領域RMに配置する場合、各駆動系統240A,240Bの間で配置パターンが同じであれば、各駆動系統240A,240Bの全回路部品をそれぞれ直線状に配置する必要はない。
例えば、電源回路242A,242B及び中央演算装置243A,243B以外の回路部品を、電源回路242A,242Bと中央演算装置243A,243Bとの配列に対して横にずれて配置したり、複数例に分けて配置したりすることができる。
【0045】
図6及び図7は、領域RM内における第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bの配置のバリエーションを示す。
図6は、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとの一部が相互隣り合わせになるように、第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bを領域RM内に配置した状態を示す。
また、図7は、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとが隣り合わせになるように、第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bを領域RM内に配置した状態を示す。
【0046】
図6に示した配置及び図7に示した配置のいずれにおいても、第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとが配置される領域RMを隔てて、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが配置されることになるため、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとは隣り合わせにならない。
つまり、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2とで挟まれる領域RMに第1中央演算装置243A及び第2中央演算装置243Bを配置するようにすれば、領域RM内で第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとが隣り合わせになるか否かに関わらず、第1電源回路242Aと第2電源回路242Bとが隣り合わせになることを避けることができる。
したがって、領域RM内で第1中央演算装置243Aと第2中央演算装置243Bとを隣り合わせにするか否かは、回路部品の配置パターンや、回路部品の配列の長さと基板270の大きさとの関係などの諸条件に応じて任意に選定することができる。
【0047】
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【0048】
例えば、基板270の形状は、円形、長方形、正方形のいずれであっても、本発明に係る回路部品の配置を適用できる。
また、第1電源回路242A及び第1中央演算装置243Aの配列と、第2電源回路242B及び第2中央演算装置243Bの配列とを、基板270の中央からずれた位置に横並びに配することができ、第4仮想線VL4を挟んだ横並び配置に限定するものではない。
【0049】
また、基板270は、第1リジッド部、第2リジッド部、及び、第1リジッド部と第2リジッド部との間のフレキシブル部を備え、フレキシブル部が撓み変形して第1リジッド部と第2リジッド部とが重なり合った状態で、基板収容部260に収容させることができる。
そして、第1電源回路242A及び第1中央演算装置243Aの配列と第2電源回路242B及び第2中央演算装置243Bの配列とを第1リジッド部に配置し、電源リレー回路245A,245Bや出力回路246A,246Bなどの回路部品を第2リジッド部に配置することができる。
上記のフレキシブル部を有した基板270を用いる場合、図5図7に示した基板270を第1リジッド部と第2リジッド部とのいずれか一方と見做すことができる。
【符号の説明】
【0050】
230…モータ、230A…第1巻線組、230B…第2巻線組、240…モータ駆動装置、240A…第1駆動系統、240B…第2駆動系統、242A…第1電源回路、243A…第1中央演算装置、242B…第2電源回路、243B…第2中央演算装置、270…基板、VL1…第1仮想線、VL2…第2仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7