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特許7398014極低周波磁気センシング信号の送信システム、方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】極低周波磁気センシング信号の送信システム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20231206BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20231206BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20231206BHJP
   H03K 17/695 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H04B1/04 A
H01Q7/00
H03K17/16 M
H03K17/695
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022580871
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2022122378
(87)【国際公開番号】W WO2023006128
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】202210792846.8
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522388545
【氏名又は名称】シノマック センシング テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SINOMACH SENSING TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】242 Beihai Street, Dadong District Shenyang, Liaoning 110043 China
(73)【特許権者】
【識別番号】522388556
【氏名又は名称】シェンヤン アカデミー オブ インストゥルメンテーション サイエンス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG ACADEMY OF INSTRUMENTATION SCIENCE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】242 Beihai Street, Dadong District Shenyang, Liaoning 110043 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,チュングアン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヂーチャオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,グァンホン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジャルイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,シャンチン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,インジャオ
(72)【発明者】
【氏名】アン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】チュ,シュアイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,ジュンフォン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジャフゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ユービン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ヂータオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジョンウェイ
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104633388(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0314129(US,A1)
【文献】特表2019-514153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/02 - 1/04
H01Q 7/00
H03K 17/16
H03K 17/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御モジュールと、駆動モジュールと、アンテナ励磁モジュールと、を含み、
前記制御モジュールは、入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成し、
前記駆動モジュールは、入力された前記周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得、
前記アンテナ励磁モジュールは、入力された前記駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得、電力スイッチングトランジスタ、直流抵抗、第2フライバックダイオード、第1アンテナポート、第2アンテナポート、ゲートソース電圧出力端及びアンテナ巻線を含み、
前記第1アンテナポートの一側は、電源に接続され、他側は、前記アンテナ巻線、前記直流抵抗の順に直列接続された後に前記第2アンテナポートに接続され、前記ゲートソース電圧出力端は、前記電力スイッチングトランジスタのゲートに接続され、前記電力スイッチングトランジスタのドレインは、前記第2アンテナポートに接続され、前記電力スイッチングトランジスタのソースは、接地し、
前記第2フライバックダイオードの一側は、前記第1アンテナポートと前記アンテナ巻線との間に接続され、他側は、前記直流抵抗と前記第2アンテナポートとの間に接続され、前記アンテナ巻線、前記直流抵抗及び前記第2フライバックダイオードは、直列接続されて磁気リセット回路を構成し、前記磁気リセット回路は、前記電力スイッチングトランジスタがオフにされるとき、前記アンテナ巻線における励磁電流を低減させ、
前記ゲートソース電圧出力端は、前記電力スイッチングトランジスタ、前記第2アンテナポート、前記直流抵抗、前記アンテナ巻線、前記第1アンテナポートに直列接続されて励磁回路を構成し、前記励磁回路は、前記ゲートソース電圧出力端に入力された前記駆動電圧信号に基づいて、出力された励磁電流を制御する、
ことを特徴とする極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項2】
前記駆動モジュールは、ブロックコンデンサ、放電抵抗、第1フライバックダイオード、ゲート抵抗、ゲートソース抵抗及びゲート電圧出力端を含み、
前記周期的パルス信号を制御する入力端は、前記ブロックコンデンサ、前記ゲート抵抗及び前記ゲートソース抵抗の順に直列接続された後に接地して充電回路を構成し、前記ゲート抵抗と前記ゲートソース抵抗との間には、前記ゲート電圧出力端が設けられ、
前記放電抵抗は、前記周期的パルス信号を制御する入力端とグランドとの間に設けられており、前記第1フライバックダイオードは、カソードが前記ブロックコンデンサと前記ゲート抵抗との間に接続されており、アノードが前記グラウンドに接続されており
前記ブロックコンデンサ、前記放電抵抗及び前記第1フライバックダイオードは、直列接続されて放電回路を構成し、前記放電回路は、前記周期的パルス信号が低電位電圧値にあるとき、前記ブロックコンデンサを放電し、前記ゲート電圧出力端を介して低電位の前記駆動電圧信号を出力し、前記低電位電圧値は、前記周期的パルス信号の最高電圧値より小さく、
前記充電回路は、前記周期的パルス信号が高電位電圧値にあるとき、前記ブロックコンデンサを充電し、前記ゲート電圧出力端を介して高電位の前記駆動電圧信号を出力し、前記高電位電圧値は、前記周期的パルス信号の最高電圧値以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項3】
前記充電回路は、前記周期的パルス信号を制御する入力端が継続的に高電位電圧値の前記周期的パルス信号を入力するとき、前記ゲート電圧出力端をゼロまで低下させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項4】
前記周期的パルス信号の電圧振幅値は、0Vから5Vであり、信号周波数は、3Hzから30Hzであり、デューティ比は、50%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項5】
前記磁気リセット回路は、前記ゲートソース電圧出力端に低電位の前記駆動電圧信号が入力される場合、前記電力スイッチングトランジスタをオフにし、前記磁気リセット回路によって前記アンテナ巻線の電流をゼロに低下させ、
前記励磁回路は、前記ゲートソース電圧出力端に高電位の前記駆動電圧信号が入力される場合、前記電力スイッチングトランジスタをオンにし、前記励磁回路によって前記磁気センシング信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項6】
前記磁気リセット回路は、前記電力スイッチングトランジスタがオフにされるとき、前記アンテナ巻線の電流を放電し、第1放電期間に応じて前記アンテナ巻線の電流を低減させ、前記第1放電期間は、前記アンテナ巻線のアンテナインダクタンス量と前記アンテナ巻線の直流抵抗との比であり、前記電力スイッチングトランジスタのオフ期間は、前記第1放電期間より長い、
ことを特徴とする請求項5に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項7】
前記アンテナ巻線に用いられるエナメル線の線径、巻線の巻き数及び巻線の半径は、正比例する、
ことを特徴とする請求項1に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システムに適用される極低周波磁気センシング信号の送信方法であって、
入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成するステップと、
入力された前記周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得るステップと、
入力された前記駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする極低周波磁気センシング信号の送信方法。
【請求項9】
周期的パルス信号を入力するためのパルス信号ポートと、
接地を提供するための信号グラウンドポートと、
電源電圧を入力するための電源ポートと、
第1アンテナポート及び第2アンテナポートと、
前記パルス信号ポート、前記信号グランドポート、前記電源ポート、前記第1アンテナポート及び前記第2アンテナポートのいずれにも電気的に接続され、請求項1~7のいずれか一項に記載の極低周波磁気センシング信号の送信システムが配置されているコントローラと、を含む、
ことを特徴とする極低周波磁気センシング信号の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁駆動の技術分野に関し、特に極低周波磁気センシング信号の送信システム、方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
極低周波とは、周波数が3Hzから30Hzであり、波長が十万キロメートルから百万キロメートルの無線電波である。極低周波の無線電波は、土壌、海水及び金属管路を透過することができるため、極低周波の無線電波は管路点検及び管路内外の通信などに適用される。
【0003】
通信プロセスにおいて、交番電界を利用して送信アンテナを励磁して生成された交番磁界が、受信アンテナによって誘導されて誘導電圧を得ることは、信号の送受信プロセスである。送信アンテナの交流インピーダンスは、十分に大きいときにのみ、送信アンテナの両端に印加される電圧振幅値が十分に大きいことを確保することができ、このようにして信号の送受信プロセスを完成することができるので、交流インピーダンスのパラメータは、送信信号の電圧振幅値に直接影響を与える。極低周波の周波数は、4G等の高周波帯域電磁波より遥かに低く、送信アンテナの交流インピーダンスは、周波数とインダクタンスとの積に等しいため、極低周波送信アンテナとして、インダクタンス量を数桁増加する必要があり、インダクタンス量が十分に大きい場合、励磁プロセスにおいて送信アンテナ誘導起電力の問題を考慮する必要がある。送信アンテナ誘導起電力による電圧応力を解消するために、現在採用されている方法は、予め設定された固定周波数に従ってスイッチのオンを制御することにより、主周波数が固定周波数である極低周波の三角波磁界信号を生成し、それにより送信アンテナ誘導起電力による電圧応力を弱める。
【0004】
しかしながら、上記方法では三角波を制御信号とし、I/Oインタフェースの適合性についてはパルス信号よりはよくなく、また上記方法において送信アンテナの電磁誘導動作は、連続モードにあり、コイルのアンペア量が高く、そのため送信アンテナのサイズが増加し、送信アンテナのサイズの増加に伴って印加される電圧応力も増加することが当然である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、極低周波帯域における送信アンテナの励磁駆動が、普通のコントローラI/Oインタフェースを介してスイッチング制御を直接行うことができず、送信アンテナの高電磁誘導特性による電圧応力が高すぎるという問題を解決するために、極低周波磁気センシング信号の送信システム、方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信システムは、制御モジュールと、駆動モジュールと、アンテナ励磁モジュールと、を含み、
制御モジュールは、入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成し、
駆動モジュールは、入力された周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得、
アンテナ励磁モジュールは、入力された駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得る。
【0007】
任意選択的に、駆動モジュールは、ブロックコンデンサ、放電抵抗、第1フライバックダイオード、ゲート抵抗、ゲートソース抵抗及びゲート電圧を含み、
制御周期的パルス信号の入力端は、ブロックコンデンサ、ゲート抵抗及びゲートソース抵抗の順に直列接続された後に接地して充電回路を構成し、ゲート抵抗とゲートソース抵抗との間には、ゲート電圧出力端が設けられ、
制御周期的パルス信号の入力端とグランドとの間には、放電抵抗と第1フライバックダイオードがさらに設けられ、
ブロックコンデンサ、放電抵抗及び第1フライバックダイオードが直列接続されて放電回路を構成し、放電回路は、周期的パルス信号が低電位電圧値にあるとき、ブロックコンデンサを放電し、ゲート電圧出力端を介して低電位の駆動電圧信号を出力し、低電位電圧値は、周期的パルス信号の最高電圧値より小さく、
充電回路は、周期的パルス信号が高電位電圧値にあるとき、ブロックコンデンサを充電し、ゲート電圧出力端を介して高電位の駆動電圧信号を出力し、高電位電圧値は、周期的パルス信号の最高電圧値以上である。
【0008】
任意選択的に、充電回路は、制御周期的パルス信号の入力端が継続的に高電位電圧値の周期的パルス信号を入力するとき、ゲート電圧出力端をゼロに低下させる。
【0009】
任意選択的に、周期的パルス信号の電圧振幅値は、0Vから5Vであり、信号周波数は、3Hzから30Hzであり、デューティ比は、50%である。
【0010】
任意選択的に、アンテナ励磁モジュールは、電力スイッチングトランジスタ、直流抵抗、第2フライバックダイオード、第1アンテナポート、第2アンテナポート、ゲートソース電圧出力端及びアンテナ巻線を含み、
第1アンテナポートの一側は、電源に接続され、他側は、アンテナ巻線、直流抵抗の順に直列接続された後に第2アンテナポートに接続され、ゲートソース電圧出力端は、電力スイッチングトランジスタのゲートに接続され、電力スイッチングトランジスタのドレインは、第2アンテナポートに接続され、電力スイッチングトランジスタのソースは、接地し、
第2フライバックダイオードの一側は、第1アンテナポートとアンテナ巻線との間に接続され、他側は、直流抵抗と第2アンテナポートとの間に接続され、アンテナ巻線、直流抵抗及び第2フライバックダイオードは、直列接続されて磁気リセット回路を構成し、磁気リセット回路は、電力スイッチングトランジスタがオフにされるとき、アンテナ巻線における励磁電流を低減させ、
ゲートソース電圧出力端は、電力スイッチングトランジスタ、第2アンテナポート、直流抵抗、アンテナ巻線、第1アンテナポートに直列接続されて励磁回路を構成し、励磁回路は、ゲートソース電圧出力端に入力された電圧に基づいて、出力された励磁電流を制御する。
【0011】
任意選択的に、磁気リセット回路は、駆動電圧信号に入力された電圧値がゲートソース電圧の電圧値より小さい場合、電力スイッチングトランジスタをオフにし、且つ磁気リセット回路によってアンテナ巻線の電流をゼロに低下させ、
励磁回路は、駆動電圧信号に入力された電圧値がゲートソース電圧の電圧値以上である場合、電力スイッチングトランジスタをオンにし、励磁回路によって磁気センシング信号を生成する。
【0012】
任意選択的に、磁気リセット回路は、、電力スイッチングトランジスタがオフにされるとき、アンテナ巻線の電流を放電し、第1放電期間に応じてアンテナ巻線の電流を低減させ、第1放電期間は、アンテナ巻線のアンテナインダクタンス量とアンテナ巻線の直流抵抗との比であり、電力スイッチングトランジスタのオフ期間は、第1放電期間より長い。
【0013】
任意選択的に、アンテナ巻線に用いられるエナメル線の線径、巻線の巻き数及び巻線の半径は、正比例する。
【0014】
さらに、本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信方法は、
入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成するステップと、
入力された周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得るステップと、
入力された駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得るステップと、を含む。
【0015】
さらに、本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信装置は、
周期的パルス信号を入力するためのパルス信号ポートと、
接地を提供するための信号グラウンドポートと、
電源電圧を入力するための電源ポートと、
第1アンテナポート及び第2アンテナポートと、
パルス信号ポート、信号グラウンドポート、電源ポート、第1アンテナポート及び第2アンテナポートのいずれにも電気的に接続され、極低周波磁気センシング信号送信システムが配置されているコントローラと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本願は、極低周波磁気センシング信号の送信システム、方法及び装置を提供し、当該システムは、制御モジュールと、駆動モジュールと、アンテナ励磁モジュールと、を含む。制御モジュールは、入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成し、駆動モジュールは、入力された周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得、アンテナ励磁モジュールは、入力された駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得る。本願の技術的構成によれば、送信アンテナ誘導起電力の問題を効果的に解決することができ、また、送信アンテナ誘導起電力による電圧応力の問題を解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、本願の技術的構成をより明らかに説明するために、実施例に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、当業者であれば、創造的な労働をせず、これらの図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
図1】本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信システムの概略図である。
図2】本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信システムにおける駆動モジュール回路の原理概略図である。
図3】本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信システムにおけるアンテナ励磁モジュール回路の原理概略図である。
図4】本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信方法のフローチャートである。
図5】本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面と組み合わせて、本発明の実施例の技術的構成を明確に、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造な労働をせず得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0019】
極低周波送信アンテナは、信号を送信するプロセスにおいて、極低周波の周波数が3Hzから30Hzであるため、送信アンテナのインダクタンス量を増加するときにのみ、送信アンテナの両端に印加される電圧振幅値が十分に大きいことを保証して、信号の送信を完成することができるが、送信アンテナのインダクタンス量を増加することによりアンテナ誘導起電力による電圧応力が発生するという問題を引き起こすため、本発明は、極低周波パルス信号に対して駆動制御と励磁調整制御を行い、送信に用いられる磁気センシング信号を得ることにより、送信アンテナのインダクタンス量を増加するとき、アンテナ誘導起電力による電圧応力が発生するという問題を解決し、普通のコントローラI/Oインタフェースを介して高電磁誘導を持つ送信アンテナに対してパルス制御を直接行うことを実現する。
【0020】
本願の実施例の技術的構成を理解しやすいために、本願の実施例の具体的な実施形態について説明する前に、まず本願の実施例が属する技術分野のいくつかの技術的用語について簡単に説明する。
【0021】
[励磁]
アンテナは、コア付きの高電磁誘導性負荷として、電力スイッチがオンにされるときにエネルギー貯蔵プロセスを行い、それに対応してオフにされるときに磁気リセットによるエネルギー放出を行うため、1つの周期内に磁気平衡を常に保持することができ、すなわち定常状態では磁束累積を行うことができない。
【0022】
[I/Oインタフェース]
入出力は、あらゆる操作、プログラムやデバイスとコンピュータとの間で発生するデータ伝送プロセスを指す。
【0023】
[不連続モード]
誘導コイルにおける電流変化にゼロ値が現れる動作形態である。すなわち、誘導コイルの電流が周期的に増加又は減少する場合、次の周期が始まる前にインダクタ中の電流がゼロまで減少すると、インダクタ中の電流は不連続的となる。
【0024】
[「ソフト」スイッチング]
スイッチングプロセスの前後に共振を導入し、スイッチがオンにされる前に電圧をまずゼロに低下させ、オフにされる前に電流をまずゼロに低下させ、スイッチングプロセスにおける電圧、電流の重畳を解消し、それによりスイッチング損失を大幅に低減し、さらには除去する。
【0025】
[電圧応力]
電圧応力は、当分野に適用される電圧と部品の仕様値との比である。一般に、設計時の電圧応力は90%を超えない。
【0026】
[誘導電圧]
電磁誘導現象では閉回路の一部の導体が磁界において磁力線を切断する動きをすると、誘導電流が発生する。回路が閉回路でなければ、誘導電圧が発生する。誘導電流は、磁界が電気を生成するため誘導電圧がある。
【0027】
[交流インピーダンス]
回路における各電気の周波数をfに統一し、角周波数をwとすると、抵抗の交流インピーダンスは、その抵抗値Rであり、インダクタンス値がLのインダクタのインピーダンスは、jwL(jは、虚数単位である)であり、電気容量値がCのコンデンサのインピーダンスは、1/(jwC)である。
【0028】
[振幅値]
1つの周期内で交流電流が瞬時に出現する最大絶対値であり、1つの正弦波でもあり、ピークからトラフまでの距離の半分である。
【0029】
[MOS(Metal Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)トランジスタスイッチング回路]
MOSトランジスタスイッチング回路は、MOSトランジスタのゲートgがMOSトランジスタのソースsとドレインdのオンオフを制御する原理により構成される回路である。MOSトランジスタは、NチャネルとPチャネルに分けられ、本発明におけるNMOSの特性は、ゲートソース電圧Vgsが一定の値より大きいと導通し、ソースsが接地する場合に適用し、ゲート電圧Vgがパラメータマニュアルにおける所定のゲートソース電圧Vgsより大きければよく、ドレインdが電源に接続され、ソースsが接地することである。注意すべきものとして、ゲートソース電圧Vgsは、ゲートgとソースsとの圧差であり、そのためNMOSがハイサイド駆動とする場合、ドレインdとソースsが導通するとき、ドレインdとソースsの電位が等しく、ドレインdとソースsが継続して導通できるように、ゲートgは、必ずソースsとドレインdの電圧より高くなければならない。
【0030】
図1は、本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信システムの概略図である。
図1に示すように、本願の実施例に係る極低周波磁気センシング信号の送信システムは、5Pinインタフェースを用い、電磁受信装置とコントローラI/Oインタフェースとの間に接続され、コントローラI/Oインタフェースは、制御信号を入力し、制御信号を本願の送信システムに伝送し、本願の送信システムによって制御信号に対して駆動制御及び励磁調整制御を行うと、磁気センシング信号を出力し且つ電磁受信装置に伝送することができ、普通のコントローラI/Oインタフェースを介して高電磁誘導を持つ送信アンテナに対してパルス制御を直接行うことができることを実現し、本願の送信システムの信頼性を向上させることができる。
【0031】
具体的には、本願の送信システムは、制御モジュール11と、駆動モジュール12と、アンテナ励磁モジュール13と、を含む。制御モジュール11は、駆動モジュール12に電気的に接続され、駆動モジュール12は、アンテナ励磁モジュール13に電気的に接続される。
【0032】
制御モジュール11は、コントローラI/Oインタフェースから入力された制御コマンドによって生成された周期的パルス信号を受信するために用いられ、周期的パルス信号は、周期的な電圧信号であり、周期的な電圧信号は、1つの周期内でパルス信号の電圧振幅値が規則的に変化し、パルス信号の電圧振幅値の「高い」ことが周期全体を占める比重のことであり、例えば、振幅値が5Vの場合はハイレベルに対応し、0Vの場合はローレベルに対応し、周期内の信号振幅値は5Vでなければ0Vであり、一般にデューティ比を50%に設定し、すなわち「5V」と「0V」との振幅値はそれぞれ半分を占め、デューティ比の単位は「%」であり、デューティ比は、ハイレベルが1つの周期内に占める時間比率であり、ここで5Vはハイレベルである。したがって、周期的パルス信号の電圧振幅値は、0Vから5Vであり、信号周波数は、3Hzから30Hzであり、デューティ比は、50%である。
【0033】
図2に示すように、本願の実施例に係る駆動モジュール12の回路原理概略図であり、駆動モジュール12は、ブロックコンデンサCb、放電抵抗Rd、第1フライバックダイオードDf、ゲート抵抗Rg、ゲートソース抵抗Rgs及びゲート電圧Vgを含み、
そのうち、図2に示すように、周期的パルス信号を制御する入力端がブロックコンデンサCb、ゲート抵抗Rg及びゲートソース抵抗Rgsの順に直列接続された後に接地して充電回路を構成し、ゲート抵抗Rgとゲートソース抵抗Rgsとの間にはゲート電圧Vg出力端が設けられる。
【0034】
周期的パルス信号を制御する入力端に入力された周期的パルス信号が高電位電圧値にある場合、充電回路は、ブロックコンデンサCbを充電し、ゲート電圧Vgの出力端を介して高電位の駆動電圧信号を出力することができる。高電位電圧値は、周期的パルス信号の最高電圧値以上であり、例えば、周期的パルス信号の最高電圧値が5Vであれば、高電位電圧値は5V以上であり、この時の周期的パルス信号が高電位電圧値にあり、充電回路がブロックコンデンサCbを充電し、ゲート電圧Vg出力端を介して5Vの駆動電圧信号を出力する必要があることを示す。周期的パルス信号を制御する入力端が高電位電圧値の周期的パルス信号を継続的に入力する場合、高電位電圧値の周期的パルス信号は、アンテナ励磁モジュール13に継続的に入力され、これは、電力スイッチングトランジスタN-MOSを継続的にオンにする必要があり、したがって充電回路によってブロックコンデンサCbを満充電にした後、ゲート電圧Vgの出力端をゼロに低下させ、それによりアンテナ励磁モジュール13における電力スイッチングトランジスタN-MOSが継続的にオンにされることを防止する。周期的パルス信号を制御する入力端が高電位電圧値を継続的に入力する場合、すなわち「5V」を継続的に入力する場合、電力スイッチングトランジスタN-MOSを継続的にオンにする必要があり、電力スイッチングトランジスタN-MOSが継続的にオンにされるとアンテナを焼損させるため、本願は、充電回路の設置によってこのような状況の発生を効果的に回避することができる。
【0035】
周期的パルス信号を制御する入力端とグランドとの間に、放電抵抗Rd及び第1フライバックダイオードDfがさらに設けられ、ブロックコンデンサCb、放電抵抗Rd及び第1フライバックダイオードDfは、直列接続されて放電回路を構成し、周期的パルス信号が低電位電圧値にある場合、放電回路は、ブロックコンデンサCbを放電し、ゲート電圧Vgの出力端を介して低電位の駆動電圧信号を出力し、低電位電圧値は、周期的パルス信号の最高電圧値より小さい。例えば、周期的パルス信号の最高電圧値が5Vであれば、低電位電圧値は5Vより小さい。
【0036】
図3は、本願の実施例に係るアンテナ励磁モジュール13の回路原理概略図であり、アンテナ励磁モジュールは、電力スイッチングトランジスタN-MOS、直流抵抗、第2フライバックダイオードDf、第1アンテナポートVo1、第2アンテナポートVo2、ゲートソース電圧出力端Vgs及びアンテナ巻線を含む。
【0037】
ここで、図3に示すように、第1アンテナポートVo1の一側は、電源に接続され、他側は、アンテナ巻線、直流抵抗の順に直列接続された後に第2アンテナポートVo2に接続され、ゲートソース電圧Vgs出力端は、電力スイッチングトランジスタN-MOSのゲートgに接続され、電力スイッチングトランジスタN-MOSのドレインdは、第2アンテナポートVo2に接続され、電力スイッチングトランジスタN-MOSのソースsは、接地する。
【0038】
第2フライバックダイオードDfの一側は、第1アンテナポートVo1とアンテナ巻線との間に接続され、他側は、直流抵抗と第2アンテナポートVo2との間に接続され、アンテナ巻線、直流抵抗及び第2フライバックダイオードDfは、直列接続されて磁気リセット回路を構成し、電力スイッチングトランジスタN-MOSがオフにされるとき、磁気リセット回路は、アンテナ巻線における励磁電流を低減させることができる。具体的には、電力スイッチングトランジスタN-MOSがオフにされるとき、磁気リセット回路は、第2フライホイールダイオードDf及び直流抵抗を介してアンテナ巻線の電流を放電し、具体的な放電期間は、第1放電期間に応じてアンテナ巻線の電流を低減させるものであり、第1放電期間は、アンテナ巻線のアンテナインダクタンス量とアンテナ巻線の直流抵抗との比であり、電力スイッチングトランジスタN-MOSのオフ期間を第1放電期間より長くするときにのみ十分な時間でアンテナ巻線の電流を低減させることができる。ここで、アンテナ巻線に用いられるエナメル線の線径、巻線の巻き数及び巻線の半径は、正比例し、ルックアップテーブルによって取得することができ、アンテナ巻線の線径がアンペア要件を満たすことを保証することができる。本願において、アンテナ巻線は、より小さい線径を選択することができ、巻線の巻き数と磁気コアが変わらない前提下で、磁気コアの長さを短縮することによりアンテナ巻線のサイズの最適化を実現することができる。
【0039】
具体的には、ゲート電圧Vgの出力端は、ゲートソース電圧Vgsに電気的に接続され、ゲート電圧Vgの出力端から出力された駆動電圧信号が入力された電圧値がゲートソース電圧Vgsの電圧値より小さい場合には、ゲートソース電圧Vgsの電圧値は、自身の属性によって決定され、一般にゲートソース電圧Vgsの電圧値は、1.7Vであり、駆動電圧信号が入力された電圧値が1.7Vより小さい場合、電力スイッチングトランジスタN-MOSをオフにし、磁気リセット回路によってアンテナ巻線の電流をゼロに低下させる必要がある。それによりアンテナ巻線の磁気リセットが保証される。
【0040】
ゲートソース電圧Vgs出力端は、電力スイッチングトランジスタN-MOS、第2アンテナポートVo2、直流抵抗、アンテナ巻線、第1アンテナポートVo1に直列接続されて励磁回路を構成し、励磁回路は、ゲートソース電圧Vgs出力端に入力された電圧に基づいて出力された励磁電流を制御する。具体的には、ゲート電圧Vgの出力端から出力された駆動電圧信号が入力された電圧値がゲートソース電圧Vgsの電圧値以上である場合には、ゲートソース電圧Vgsの電圧値は、自身の属性によって決定され、一般にゲートソース電圧Vgsの電圧値は1.7Vであり、駆動電圧信号が入力された電圧値が1.7V以上であれば、電力スイッチングトランジスタN-MOSをオンにし、且つ励磁回路によって磁気センシング信号を生成する必要がある。
【0041】
図4に示すように、本願の実施例は、極低周波磁気センシング信号の送信方法をさらに提供し、当該方法は、下記のようなステップS101~S103を含む。
【0042】
ステップS101では、入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成する。
【0043】
ステップS102では、入力された周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得る。
【0044】
ステップS103では、入力された駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得る。
【0045】
図5に示すように、本願の実施例は、極低周波磁気センシング信号の送信装置をさらに提供し、当該装置は、
周期的パルス信号を入力するためのパルス信号ポートと、
接地を提供するための信号グラウンドポートと、
電源電圧を入力するための電源ポートと、
第1アンテナポート及び第2アンテナポートと、
パルス信号ポート、信号グラウンドポート、電源ポート、第1アンテナポート及び第2アンテナポートのいずれにも電気的に接続され、極低周波磁気センシング信号送信システムが配置されているコントローラと、を含む。
【0046】
上記技術的構成によれば、本願は、極低周波磁気センシング信号の送信システム、方法及び装置を提供し、当該システムは、制御モジュールと、駆動モジュールと、アンテナ励磁モジュールと、を含む。制御モジュールは、入力されたコマンドに基づいて、周期的な電圧信号である周期的パルス信号を生成するためのものであり、駆動モジュールは、入力された周期的パルス信号に対して駆動電圧制御を行って駆動電圧信号を得るためのものであり、アンテナ励磁モジュールは、入力された駆動電圧信号に基づいて、励磁調整制御を行って送信に用いられる磁気センシング信号を得るためのものである。本願の技術的構成によれば、送信アンテナ誘導起電力の問題を効果的に解決することができ、また、送信アンテナ誘導起電力による電圧応力の問題を解消することもできる。
【0047】
本明細書における各実施例間の同一又は類似の部分は、互いに参照すればよく、ここで重複する説明は省略する。
【0048】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本願の技術的構成を説明するためのものに過ぎず、それらを限定するものではない。前記各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者は、前記各実施例に記載の技術的構成を修正し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴を均等に置き換えることができ、これらの修正又は置き換えは、対応する技術的構成の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させないことを理解すべきである。
【0049】
上記の説明は、説明の便宜上、特定の実施形態に関連してなされている。しかしながら、上記の例示的な議論は、実施形態を網羅的にし、又は上記開示された特定の形態に限定することを意図しない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。上記の実施形態の選択及び説明は、原理及び実際の用途をよりよく説明し、それによって当業者が実施形態をよりよく使用することを可能にし、且つ考慮される様々な異なる変形形態の具体的な使用に適合するためのものである。
図1
図2
図3
図4
図5