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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-06
(45)【発行日】2023-12-14
(54)【発明の名称】テープカセット及びラベルの作成方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 11/02 20060101AFI20231207BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20231207BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20231207BHJP
   B65C 9/46 20060101ALI20231207BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20231207BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B65C11/02
B41J3/36 T
B41J17/32 A
B65C9/46
G09F3/02 C
G09F3/00 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019177066
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021054440
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土森 祥平
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 有希
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 千恵
(72)【発明者】
【氏名】乗松 隆広
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-010932(JP,A)
【文献】特開2019-069531(JP,A)
【文献】特開2016-071238(JP,A)
【文献】特開2004-216833(JP,A)
【文献】特開2018-111314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 11/02
B41J 3/36
B41J 17/32
B65C 9/46
G09F 3/02
G09F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な貼り合わせ用粘着剤と背景層と透明な基材と透明な貼り付け用粘着剤と剥離材との順で積層されている複数の層を有るテープと、
前記貼り合わせ用粘着剤を介し前記テープと貼り合わされる透明なカバーフィルムと、
記カバーフィルムにインクを転写するインクリボンと、
を有し、
前記背景層は、前記テープのうちテープ幅方向の一方側に設けられており、
前記インクリボンは、
前記カバーフィルムのうち前記背景層に対応する前記テープ幅方向の一方側部分にインクを転写し、
前記テープと前記カバーフィルムとの貼り合わせによって印字済テープを形成するテープカセットであって、
前記貼り合わせにより、前記カバーフィルムの前記テープ幅方向の一方側部分であって前記インクの転写により印字が形成された前記カバーフィルムの前記一方側部分、前記貼り合わせ用粘着剤、前記背景層、前記基材、前記貼り付け用粘着剤、前記剥離材の6層からなる印字表記領域の第1積層構造と、前記第1積層構造の前記テープ幅方向の他方側に並んで配置され、前記カバーフィルムの前記テープ幅方向の他方側部分であって前記インクの転写による印字の形成がなされない前記カバーフィルムの前記他方側部分、前記貼り合わせ用粘着剤、前記基材、前記貼り付け用粘着剤、前記剥離材の5層からなる印字非表記領域の第2積層構造と、を構築する
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項2】
透明な貼り合わせ用粘着剤と背景層と透明な基材と透明な貼り付け用粘着剤と剥離材との順で積層されている複数の層を有るテープであって、前記背景層は前記テープのうちテープ幅方向の一方側に設けられている当該テープと、透明なカバーフィルムと、インクリボンと、をプリンタに装着する第1ステップと、
前記インクリボンによって、前記カバーフィルムのうち前記背景層に対応する前記テープ幅方向の一方側部分にインクを転写して印刷する第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記テープと前記カバーフィルムとを貼り合せて印字ラベルを生成する第3ステップであって、前記印字ラベルは、前記カバーフィルムの前記テープ幅方向の一方側部分であって前記インクの転写により印字が形成された前記カバーフィルムの前記一方側部分、前記貼り合わせ用粘着剤、前記背景層、前記基材、前記貼り付け用粘着剤、前記剥離材の6層からなる印字表記領域の第1積層構造と、前記第1積層構造の前記テープ幅方向の他方側に並んで配置され、前記カバーフィルムの前記テープ幅方向の他方側部分であって前記インクの転写による印字の形成がなされない前記カバーフィルムの前記他方側部分、前記貼り合わせ用粘着剤、前記基材、前記貼り付け用粘着剤、前記剥離材の5層からなる印字非表記領域の第2積層構造と、を含む前記第3ステップと、
を有することを特徴とするラベルの作成方法。
【請求項3】
請求項2記載のラベル作成方法において、
前記生成された印字ラベルの長さ方向の両端部のうち、前記印刷がなされた部分に近い側の一端部を横断面略円形の被着体に貼り付けた後、他端部を前記一端部に重なるように前記被着体に巻きつける、第10ステップをさらに有する
ことを特徴とするラベルの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを作成する際に用いられるテープカセット及びそのラベルの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被印字テープに印刷を行って印字ラベルを生成し、その印字ラベルを断面略円形の被着体に巻き付けて使用する技術が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、印字ラベル(セルフラミネート用印刷済ラベル)の長さ方向一方側端部近傍に印刷によるテキスト等の表記部分(印刷部)を設け、被着体に巻き付ける際には、印字ラベルのうち上記表記部分のある長さ方向一方側部分をまず被着体に貼り付けた後、残りの透明な長さ方向他方側部分(透明フィルム部)を、順次被着体に巻き付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、被着体の径の大小によって、以下のような制約が生じ得る。すなわち、被着体が比較的小径である場合には、上記のようにして被着体の外周の一周分に対し印字ラベルを巻き付けたとき、まだ巻き付けられていない余り部分が比較的長く生じている状態となる。この余り部分は、上記表記部分を含んでおらず全体として視覚的に透明である。したがって、上記余り部分をさらに被着体に巻き付けていって上記表記部分の上を覆うことで、(当該表記部分を外部から視覚的に認識可能としつつ)こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。
【0005】
これに対して、被着体が比較的大径である場合には、上記のまだ巻き付けられていない余り部分の長さが比較的短くなるため、その余り部分をさらに被着体に巻き付けていったとしても上記表記部分の上までは覆うことができない場合がある。この場合、前述のようにこすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができない。
【0006】
したがって、印字ラベルを被着体へ貼り付けた際に表記部分を上記剥がれや汚れ等から保護するためには、あまり外径の大きな被着体へ貼り付けることができなかった。言い換えれば、印字ラベルの貼り付け対象として適用できる被着体の外径の大きさに制限があった。
【0007】
本発明の目的は、印字ラベルの貼り付け対象として適用できる被着体の外径範囲を大きく広げることができる、テープカセット及びラベルの作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、透明な基材と背景層と剥離材とを含んで積層されている複数の層を有し、前記複数の層において、前記基材、前記背景層、前記剥離材の順、若しくは、前記背景層、前記基材、前記剥離材の順、で含まれているテープと、前記テープと貼り合わされる透明なカバーフィルムと、前記テープ若しくは前記カバーフィルムにインクを転写するインクリボンと、を有し、前記背景層は、前記テープのうちテープ幅方向の一部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本願発明のテープカセットは、印字ラベルを作成する際に用いられる。すなわち、印字ラベルの作成時には、透明な基材、背景層、剥離材を含むテープに、透明なカバーフィルムが貼り合わされる。その際、テープに貼り合わされるカバーフィルムのうち背景層に対応する部位、若しくは、テープの背景層自体、にインクリボンの転写により印刷を行うことができる。そしてその後、貼り合わされたテープ及びカバーフィルムを、適宜のテープ長さ方向位置においてテープ幅方向に切断することにより、透明なカバーフィルム越しに、背景層の地色を背景色としつつ上記印刷されたテキスト等を表記する、印字ラベルを作成することができる。
【0010】
作成された印字ラベルを断面略円形の被着体に巻き付ける際は、ラベルの巻き付け方向は上記テープ幅方向となる。またこのとき、印字ラベルでは前述のように背景層が当該テープ幅方向の一部のみに設けられている。したがって、被着体に巻き付けられる際には、印字ラベルのうち上記背景層のある側をまず被着体に貼り付けた後、残りの背景層のない側を、順次被着体に巻き付けていく態様となる。
【0011】
被着体が比較的小径である場合には、上記のようにして被着体の外周の一周分に対し印字ラベルを巻き付けたとき、まだ巻き付けられていない余り部分が比較的長く生じた状態となる。この余り部分は、背景層を含んでおらず、かつ含まれる基材及びカバーフィルムが透明であることから、余り部分全体として視覚的に透明となる。この結果、上記余り部分をさらに被着体に巻き付けていって上記背景層の径方向外側に位置するテキスト等の表記部分の上を覆ったとしても、当該表記部分を外部から視覚的に認識可能な貼り付け態様とすることができる。そしてこのとき、上記のようにテキスト等の表記部分が上記余り部分で覆われることで、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。
【0012】
一方被着体が比較的大径である場合には、上記のまだ巻き付けられていない余り部分の長さが比較的短くなるため、その余り部分をさらに被着体に巻き付けていったとしても上記表記部分の上までは覆うことができない場合がある。しかしながら、前述のようにこの印字ラベルの作成時において、基材、背景層、剥離材を含むテープとカバーフィルムとが貼り合わされている。そのため、インクリボンのインクの転写が行われた上記表記部分、すなわちカバーフィルムのうち背景層に対する部位、若しくは、テープの背景層自体は、上記のように貼り合わされるカバーフィルムとテープとの間に存在している。この結果、上記のように余り部分が表記部分の上を覆えなかったとしても、前述と同様、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。
【0013】
以上の結果、本願発明においては、被着体が比較的小径である場合でも大径である場合でも、インク転写による表記部分を確実に保護することができる。この結果、印字ラベルの貼り付け対象として適用できる被着体の外径範囲を、大きく広げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印字ラベルの貼り付け対象として適用できる被着体の外径範囲を大きく広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係わるラベル作成装置の概略構成を表す説明図である。
図2】未印刷状態のテープの平面図、印字済テープの平面図、図2(a)に示した構造のIIx-IIx断面による横断面図、及び、図2(b)に示した構造のIIy-IIy断面による横断面図である。
図3】印字ラベルの平面図、及び、図3(a)中IIIB-IIIB断面による横断面図である。
図4】小径の被着体に対する印字ラベルの取り付け挙動を表す模式図である。
図5】大径の被着体に対する印字ラベルの取り付け挙動を表す模式図である。
図6】印字ラベルの利用例を表す斜視図である。
図7】背景層に隣接して透明インク層を配置する変形例における、印字済テープの平面図、図7(a)に示した構造の横断面図、及び、印字ラベルの平面図である。
図8】背景層が中間領域に設けられる変形例における、印字済テープの平面図、図8(a)に示した構造の横断面図、及び、印字ラベルの平面図である。
図9】基材層の下に背景層を設ける変形例における、印字済テープの平面図、図9(a)に示した構造の横断面図、及び、印字ラベルの平面図である。
図10】背景層の大きさがテープ幅の1/2以上である変形例における、印字済テープの平面図、図9(a)に示した構造の横断面図、及び、印字ラベルの平面図である。
図11】剥離材層の一部を残して印字背景層の代用とする変形例における、未印刷状態のテープの平面図、印字済テープの平面図、図11(a)に示した構造のXIx-XIx断面による横断面図、及び、図11(b)に示した構造のXIy-XIy断面による横断面図である。
図12】印字ラベルの平面図、及び、図12(a)中XIIB-XIIB断面による横断面図である。
図13】テープの印字背景層に印刷を行う変形例における、ラベル作成装置の概略構成を表す説明図である。
図14】テープの平面図、図14(a)に示した構造のXIVx-XIVx断面による横断面図、テープとカバーフィルムとの貼り合わせ挙動を表す断面図、印字済テープの平面図、及び、図14(d)に示した構造のXIVy-XIVy断面による横断面図である。
図15】印字ラベルの平面図、及び、図15(a)中XVB-XVB断面による横断面図である。
図16】カバーフィルムの感熱層に印字を形成する変形例における、ラベル作成装置の概略構成を表す説明図である。
図17】テープの平面図、図17(a)に示した構造のXVIIx-XVIIx断面による横断面図、テープとカバーフィルムとの貼り合わせ挙動を表す断面図、印字済テープの平面図、及び、図17(d)に示した構造のXVIIy-XVIIy断面による横断面図である。
図18】印字ラベルの平面図、及び、図18(a)中XVIIIB-XVIIIB断面による横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1図7を参照しつつ説明する。
【0017】
<ラベル作成装置>
まず、本実施形態のテープカートリッジを用いて印字ラベルを作成するラベル作成装置の機能的構成を図1により説明する。
【0018】
図1において、ラベル作成装置1(プリンタに相当)は、制御回路2と、ユーザ(操作者)が適宜の操作を行える操作部3と、所定の表示を行う表示部4と、各種情報を記憶するRAM5と、搬送ローラ6と、印字ヘッド7と、カットレバー8と、カッタ9と、を有する。
【0019】
ラベル作成装置1には、カートリッジホルダ12が設けられている。このカートリッジホルダ12には、筐体11内にテープロール10A,10B(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を収納したテープカートリッジ10(テープカセットに相当)が着脱可能である。テープロール10Aには、カバーフィルム23が巻回され、テープロール10Bには、複数層を備えたテープToが巻回されている。なお、カバーフィルム23及びテープToの詳細な層構造等については後述する。
【0020】
制御回路2は、図示しないCPU及びROMを備えている。制御回路2は、上記RAM5の一時記憶機能を利用しつつ、上記ROMに予め記憶された各種プログラムを実行するとともに、ラベル作成装置1全体の制御を行う。
【0021】
搬送ローラ6は、印字ヘッド7に対向して設けられており、テープロール10Aから繰り出される透明なカバーフィルム23を印字ヘッド7との間で挟持する。なお、本明細書中において「透明」とは、印字内容を人間が視認可能な程度の透過性を備えている性質を表し、いわゆる「半透明」等を含む概念である。
【0022】
印字ヘッド7は、搬送ローラ6によって搬送されるカバーフィルム23に対しインクリボン供給ロール14Aから繰り出されたインクリボンIRのインクを転写することにより、印字を形成する。印字形成後のインクリボンIRは、インクリボン巻取りロール14Bにより巻き取られる。
【0023】
上記構成において、まず、テープカートリッジ10がカートリッジホルダ12に装着される(第1ステップに相当)。その後、搬送ローラ6の回転よりテープロール10Aから繰り出されたカバーフィルム23に対し、印字ヘッド7によって、ユーザの意図する文字・図像等の所望の印字オブジェクト(後述の印字R参照)が形成される(以下適宜、「印刷」と称する。第2ステップに相当)。印字オブジェクトが形成されたカバーフィルム23は、テープロール10Bから繰り出されたテープToとともに圧着ローラ13A,13Bにより挟持されつつ、テープToと圧着され、印字済テープTとなる。その後、ユーザによるカットレバー8の操作によってカッタ9が作動して印字済テープTが切断され、印字ラベルLが生成される(第3ステップに相当)。
【0024】
<テープの詳細構成>
上記テープTo、及び、印字形成後の印字済テープTの詳細構成を図2(a)~(d)に示す。これら図2(a)~(d)において、テープTo及び印字済テープTは、厚さ方向の一方側(図2(c)及び図2(d)中の下側)から、厚さ方向の他方側(図2(c)及び図2(d)中の上側)へ向かって、紙又は有色フィルム又は布又は金属を含む構成の、不透明な剥離材層24(剥離材に相当)と、透明な貼り付け用粘着剤層22と、透明な基材層21(基材に相当)と、がこの順序で積層されている。なお、本明細書中において「不透明」とは、印字内容を人間が視認不可能な性質を表し、いわゆる「半透明」等は含まない概念である。
【0025】
剥離材層24は、基材層21の上記厚さ方向一方側の面に、上記貼り付け用粘着剤層22を介して貼られている。また基材層21のうち、上記厚さ方向他方側の面には、適宜の非透明な色彩を備えた印字背景層25(背景層に相当)が部分的に(すなわち図2(c)及び図2(d)に示すようにテープ幅方向の一部に)設けられている。この印字背景層25の上記厚さ方向他方側、及び、上記印字背景層25が設けられていない基材層21の上記厚さ方向他方側は、透明な貼り合わせ用粘着剤層26で覆われている。
【0026】
上記積層構造の結果、テープToは、貼り合わせ用粘着剤層26、印字背景層25、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の5層からなる印字表記領域D1と、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の4層からなる非表記領域D2と、を有している。この例では、この例では、「A01」「A02」「A03」、・・・のテキストからなる印字オブジェクト(すなわち上記印字R)が前述のように印字ヘッド7によりカバーフィルム23に形成され、そのカバーフィルム23がテープToに貼り合わされて印字済テープTが生成されている(なお、図2では図示の煩雑化を避けるためにテキスト「A01」のみを図示。以下の各図にて同様)。その際、カバーフィルム23の印字Rに対応する位置にテープToの印字背景層25が位置している。そして、その印字済テープTがカッタ9によって適宜のテープ長さ方向位置においてテープ幅方向に切断される(図2(b)中の2点鎖線参照)ことにより、図3(a)、図3(b)に示すように、透明なカバーフィルム23越しに、印字背景層25の地色を背景色としつつ上記印刷されたテキスト「A01」を表記する、印字ラベルLが作成される。
【0027】
<印字ラベルの詳細構成>
なお、図3(a)及び図3(b)は、被着体302(後述)に貼り付けるために上記剥離材層24が貼り付け用粘着剤層22から引き剥がされた状態の印字ラベルLを示している。すなわちこの場合の印字ラベルLは、上記印字表記領域D1には、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、印字背景層25、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の5層が含まれる。また上記非表記領域D2には、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の4層が含まれる。
【0028】
<印字ラベルの被着体への取り付け手順>
上記のようにして作成された印字ラベルLを横断面略円形の被着体302に巻き付けるときの手順を、図4及び図5により説明する。
【0029】
図4(a)~(c)は、被着体302が比較的小径である場合の例を示している。前述したように、印字ラベルLにおいては、印字背景層25がテープ幅方向の一部のみに設けられている。したがって、被着体302に巻き付けられる際には、図4(a)に示すように印字ラベルLのうち上記印字背景層25のある側(図3中の上側)をまず被着体302に貼り付けた後、図4(b)に示すように残りの印字背景層25のない側(図3中の下側)を、順次被着体302に巻き付けていく態様となる。このようにして被着体302の外周のほぼ一周分に対し印字ラベルLを巻き付けたとき、被着体302が小径の場合には、図4(b)に示すように、まだ巻き付けられていない余り部分Lrが比較的長く生じた状態となる。この余り部分Lrは、印字背景層25を含んでおらず、かつ余り部分Lrに含まれる貼り付け用粘着剤層22、基材層21、貼り合わせ用粘着剤層26、及びカバーフィルム23がすべて透明であることから、余り部分Lrは全体として視覚的に透明となる。この結果、図4(c)に示すように上記余り部分Lrをさらに被着体302に巻き付けていって上記印字背景層25及びその径方向外側に位置する印字Rの表記部分の上に重なるように覆ったとしても、当該表記部分を外部から視覚的に認識可能な貼り付け態様とすることができる。そしてこのとき、上記のようにテキスト等の表記部分が上記余り部分Lrで覆われることで、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。なお、以上の被着体302への巻き付け挙動が、請求項記載の第10ステップに相当している。
【0030】
一方、図5(a)~(c)は、被着体302が比較的大径である場合の例を示している。この場合には、図5(b)に示すように、被着体302の外周のほぼ一周分に対し印字ラベルLを巻き付けたとき、上記まだ巻き付けられていない余り部分Lrの長さが比較的短くなり、その余り部分Lrをさらに被着体302に巻き付けていったとしても上記表記部分の上までは覆うことができない場合がある(図5(c)参照)。しかしながら、前述のようにこの印字ラベルLの作成時において、基材層21、印字背景層25、剥離材層24を含むテープToとカバーフィルム23とが貼り合わされている。そのため、インクリボンIRのインクの転写が行われた部分、すなわちカバーフィルム23のうち印字背景層25に対する部位である上記印字Rは、上記のように貼り合わされたカバーフィルム23とテープToとの間に存在している(図2(d)参照)。この結果、上記のように余り部分Lrが上記表記部分の上を覆えなかったとしても、前述と同様、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。
【0031】
<印字ラベルの利用例>
上記印字ラベルLの利用例を図6に示す。この例では、上記被着体302として、例えば有線LANのネットワーク上で情報の中継を行うスイッチングハブに使用されるケーブルが適用される場合を示している。図6において、上記スイッチングハブ300は、上段、下段の各列でそれぞれ8つのスロット301(合計16のスロット)を有している。図示する例では、上段の8つのスロット301それぞれに対応して、左から順に「A01」~「A08」の識別名称を表すプレートPLが設けられている。また、下段の8つのスロット301それぞれに対応して、左から順に「A09」~「A16」の識別名称を表すプレートPLが設けられている。
【0032】
上記各スロット301には、それぞれ、適切に対応する上記被着体302を接続する必要がある。接続の便宜を図るために、各スロット301にそれぞれ挿入される各被着体302の端部に、それぞれの接続先となるスロット301の上記識別名称と同じ内容の印字Rを形成した、上記印字ラベルLが装着される。つまり、被着体302には、接続されるべきスロット301のプレートPLの識別名称と同一のテキストが印字された印字ラベルLが取り付けられる。これにより、接続するスロット301と被着体(ケーブル)302との対応関係が明確となり、誤配線を防ぐことができる。
【0033】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、被着体302が比較的小径である場合には、印字ラベルLの余り部分Lrを巻き付けることで印字Rの表記部分の上を覆い、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。またその際、余り部分Lr全体が透明であることで、上記表記部分を外部から視覚的に認識可能とすることができる。また被着体302が比較的大径である場合で余り部分Lrが上記表記部分の上を覆えなかった場合でも、印字Rをカバーフィルム23で覆う構造であることにより、前述と同様、こすれによる剥がれや汚れの付着等から印字Rの表記部分を保護することができる。以上の結果、被着体302が比較的小径である場合でも大径である場合でも、インク転写による印字Rの表記部分を確実に保護することができる。この結果、印字ラベルLの貼り付け対象として適用できる被着体32の外径範囲を、大きく広げることができる。
【0034】
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。なお、以下の各変形例において、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0035】
(1)背景層に隣接して透明インク層を配置する場合
本変形例を、上記実施形態の図2(b)、図2(d)、図3(a)にそれぞれ対応する、図7(a)、図7(b)、図7(c)により説明する。これら図7(a)~(c)に示すように、本変形例のテープToでは、上記実施形態と同様、印字背景層25が、テープToのうちテープ幅方向の一方側(図7(a)及び図7(b)の左側)の端部に寄せて設けられている。そして、本変形例では、印字背景層25の有無により生じうる段差の解消のために、例えば公知のグラビア印刷により形成される透明インク層27(透明層に相当)が、印字背景層25に隣接してテープ幅方向の他方側に並んで配置される。
【0036】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。またこれに加え、印字背景層25に対しテープ幅方向に並んで透明インク層27を配置することにより、透明インク層27を設けない場合に生じうる、上記積層構造中の段差を回避することができる。
【0037】
(2)背景層が中間領域に設けられる場合
本変形例を、上記実施形態の図2(b)、図2(d)、図3(a)にそれぞれ対応する、図8(a)、図8(b)、図8(c)により説明する。これら図8(a)~(c)に示すように、本変形例のテープToでは、印字背景層25が、テープ幅方向の一方側(図8(a)及び図8(b)の左側)の端部及びテープ幅方向の他方側(図8(a)及び図8(b)の右側)の端部を含まない、中間領域に設けられている。
【0038】
この結果、テープToは、テープ幅方向の一方側(図8(a)及び図8(b)の左側)の端部を含む、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の4層からなる非表記領域D0と、テープ幅方向の他方側(図8(a)及び図8(b)の右側)の端部を含む、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の4層からなる非表記領域D2と、それら非表記領域D0,D2の間に位置し、テープ幅方向の一方側(図8(a)及び図8(b)の左側)の端部及び他方側(図8(a)及び図8(b)の右側)の端部を含まない上記中間領域に位置する、貼り合わせ用粘着剤層26、印字背景層25、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の5層を備えた印字表記領域D1と、を有している。そして、カバーフィルム23のうち、印字背景層25に対応する位置、言い換えれば印字済テープTの印字表記領域D1内となる位置に、印字Rが形成されている。
【0039】
この結果、図8(c)に示す本変形例の印字ラベルLは、上記印字表記領域D1においては、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、印字背景層25、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の5層が含まれる一方、上記非表記領域D0,D2においては、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の4層が含まれる。
【0040】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0041】
(3)基材層の下に背景層を設ける場合
本変形例を、上記実施形態の図2(b)、図2(d)、図3(a)にそれぞれ対応する、図9(a)、図9(b)、図9(c)により説明する。本変形例のテープToでは、上記印字背景層25が、基材層21の剥離材層14側(言い替えれば貼り付け用粘着剤層22側)に配置される。この結果、図9(a)~(c)に示すように、印字済テープTにおいて、印字表記領域D1は、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、印字背景層25、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の6層によって構成され、非表記領域D2は、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の4層によって構成される。
【0042】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0043】
(4)背景層の大きさがテープ幅の1/2以上である場合
本変形例を、上記実施形態の図2(b)、図2(d)、図3(a)にそれぞれ対応する、図10(a)、図10(b)、図10(c)により説明する。本変形例では、上記図2(a)~(d)に示した上記実施形態のテープTo及び印字済テープTの構成において、上記印字背景層25のテープ幅方向の寸法が大きくなっている。すなわち、印字背景層25のテープ幅方向の一方側(図10(a)及び図10(b)の左側)の端部は、上記実施形態と同様、テープTo及び印字済テープTの端部と一致している一方、印字背景層25のテープ幅方向の他方側(図10(a)及び図10(b)の右側)の端部は、上記一方側端部からテープ幅の1/2を超える距離だけ離れた位置にある。言い換えれば、上記印字背景層25のテープ幅方向の寸法は、テープTo及び印字済テープTに備えられる上記基材層21のテープ幅方向の寸法の1/2以上(この例では1/2を超えている)となっている。
【0044】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0045】
(5)剥離材層の一部を残して印字背景層の代用とする場合
<テープの詳細構成>
本変形例におけるテープTo及び印字済テープTの詳細構成を、上記実施形態の図2(a)~(d)にそれぞれ対応する図11(a)~(d)に示す。これら図11(a)~(d)において、本変形例のテープTo及び印字済テープTは、上記実施形態のテープTo及び印字済テープTから上記印字背景層25が省略されている。すなわち、テープToは、上記印字表記領域D1及び上記非表記領域D2のいずれにおいても、厚さ方向の一方側(図11(c)及び図11(d)中の下側)から厚さ方向の他方側(図11(c)及び図11(d)中の上側)へ向かって、上記剥離材層24、上記貼り付け用粘着剤層22、上記基材層21、上記貼り合わせ用粘着剤層26、がこの順序で積層されている。そして、剥離材層24のうち、上記印字表記領域D1と上記非表記領域D2との境界部分に、テープ長さ方向に延びる破断線S(いわゆるミシン目;切れ目の列に相当)が設けられている。なお、破断線Sとして、切れ目に相当するスリット又は厚さ方向の薄肉部、若しくは、穴(有底穴及び貫通孔の両方を含む)又はその穴の列、等を設けてもよい。
【0046】
<印字ラベルの詳細構成>
上記テープTo及び印字済テープTにより作成された印字ラベルLの詳細構成を、上記実施形態の図3(a)及び図3(b)にそれぞれ対応する図12(a)及び図12(b)に示す。これら図12(a)及び図12(b)において、本変形例の印字ラベルLでは、被着体302に貼り付ける際に、上記破断線Sを破断することで、上記剥離材層24のうち上記非表記領域D2に対応する部分のみが引き剥がされ、上記印字表記領域D1に対応する部分は残される。この結果、本変形例の印字ラベルLは、図12(b)に示すように、上記印字表記領域D1では、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、及び剥離材層24の5層が含まれる一方、上記非表記領域D2では、カバーフィルム23、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の4層が含まれることとなる。これにより、上述した印字背景層25の代わりに上記印字表記領域D1における剥離材層24を用いて、図12(a)に示すように、透明なカバーフィルム23越しに、剥離材層24の地色を背景色としつつ上記印刷されたテキスト「A01」を表記する、印字ラベルLが実現される。
【0047】
なお、本変形例の上記構成を備えたテープカートリッジ10を前述のようにカートリッジホルダ12に装着することが、請求項記載の第4ステップに相当し、その後カバーフィルム23に印刷を行うことが第5ステップに相当し、その後印刷後のカバーフィルム23とテープToとを貼り合わせて印字済テープTを生成することが第6ステップに相当している。
【0048】
<変形例の効果>
以上説明したように、本変形例では、剥離材層24に破断線Sが設けられ、印字ラベルLを被着体302に貼り付ける際に、上記破断線Sが破断されることにより、剥離材層24のうち破断線Sよりもテープ幅方向の片側(すなわち印字表記領域D1に対応する部分)が引き剥がされずに印字ラベルL側に残される。したがって、印刷時に、テープToに貼り合わされるカバーフィルム23のうち上記印字表記領域D1に対応する部分に印刷を行うことで、前述の印字背景層25と同様、上記残った剥離材層24を背景色として利用しつつ上記印刷されたテキスト等を表記する、印字ラベルLを作成することができる。
【0049】
そして本変形例においても、前述と同様、被着体302が比較的大径である場合であっても、印字ラベルLの作成時におけるテープToとカバーフィルム23との貼り合わせによって、上記表記部分はカバーフィルム23とテープToとの間に存在している。この結果、前述と同様、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。
【0050】
なお、上記変形例において、テープToに貼り合わされるカバーフィルム23のうち上記印字表記領域D1に対応する部分に印刷を行うのに代え、テープToに備えられる基材層21等の適宜の層のうち上記印字表記領域D1に対応する部分に対し、印字ヘッド7により印刷を行ってもよい(後述の変形例(6)参照)。この場合も、上記同様、上記残った剥離材層24を背景色として利用しつつ上記テープTo側に印刷されたテキスト等を表記する、印字ラベルLを作成することができる。
【0051】
(6)テープの印字背景層に印刷を行う場合
<ラベル作成装置>
本変形例におけるラベル作成装置の機能的構成を、上記実施形態の図1に対応する図13に示す。
【0052】
図13において、カートリッジホルダ12には、上記実施形態のテープカートリッジ10に代えてテープカートリッジ10′(本変形例におけるテープカセットに相当)が装着される。テープカートリッジ10′は、筐体11内に、テープロール10A′,10B′(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を収納している。テープロール10A′には、粘着剤層23a′(後述の図14参照)を備えたカバーフィルム23′が巻回され、テープロール10B′には、上記実施形態のテープToから貼り合わせ用粘着剤層26を省略したテープTo′(後述の図14参照)が巻回されている。
【0053】
搬送ローラ6は、テープロール10B′から繰り出される上記テープTo′を印字ヘッド7との間で挟持する。印字ヘッド7は、搬送ローラ6によって搬送されるテープTo′の印字背景層25(後述)に対しインクリボン供給ロール14Aから繰り出されたインクリボンIRのインクを転写することにより、所望の印字R(後述の図14参照)を形成する。印字背景層25に印字Rが形成されたテープTo′は、テープロール10A′から繰り出されたカバーフィルム23′と圧着ローラ13A,13Bによって圧着され、印字済テープT′となる。その後、カッタ9により印字済テープT′が切断されることで、印字ラベルL′が生成される。
【0054】
<テープの詳細構成>
上記テープTo′の詳細構成を図14(a)及び図14(b)に示す。これら図14(a)及び図14(b)において、本変形例では、テープTo′は、厚さ方向の一方側(図14(b))中の下側)から、厚さ方向の他方側(図14(b)中の上側)へ向かって、上記剥離材層24、上記貼り付け用粘着剤層22、上記基材層21がこの順序で積層されている。前述と同様、基材層21のうち、上記厚さ方向他方側の面には上記印字背景層25が部分的に設けられている。
【0055】
上記積層構造の結果、テープTo′は、印字背景層25、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の4層からなる印字表記領域D1と、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、剥離材層24の3層からなる非表記領域D2と、を有している。そして、本変形例では、前述したように、「A01」「A02」「A03」、・・・のテキストからなる上記印字Rが印字ヘッド7により印字背景層25に形成される。
【0056】
また、図14(c)に示すように、本変形例のカバーフィルム23′は、上記厚さ方向の一方側(図14(c))中の下側)に粘着剤層23a′を備えている。前述のように印字背景層25に印字Rが形成されたテープTo′は、上記粘着剤層23a′を介し上記カバーフィルム23′と貼り合わされて、印字済テープT′となる。すなわちこの貼り合わせの際、上記テープTo′の印字背景層25の上記厚さ方向他方側、及び、上記印字背景層25が設けられていない基材層21の上記厚さ方向他方側に、貼り合わせ用粘着剤層23′の上記粘着剤層23a′が付着することとなる。
【0057】
印字済テープT′の詳細構成を図14(d)及び図14(e)に示す。これら図14(d)及び図14(e)において、本変形例の印字済テープT′は、前述の貼り合わせにより、厚さ方向の一方側(図14(e)中の下側)から、厚さ方向の他方側(図14(e)中の上側)へ向かって、上記印字表記領域D1では、剥離材層24、貼り付け用粘着剤層22、基材層21、印字Rを備えた印字背景層25、粘着剤層23a′を含むカバーフィルム23′がこの順序で積層されることとなる。また上記非表記領域D2では、剥離材層24、貼り付け用粘着剤層22、基材層21、粘着剤層23a′を含むカバーフィルム23′がこの順序で積層されることとなる。
【0058】
<印字ラベルの詳細構成>
そして、前述と同様、印字済テープT′がカッタ9によって切断されることで、図15(a)及び図15(b)に示すように、透明なカバーフィルム23′越しに、印字背景層25の地色を背景色としつつ当該印字背景層25にテキスト「A01」が印刷され表記された、印字ラベルL′が作成される。すなわちこの印字ラベルL′は、上記印字表記領域D1には、粘着剤層23a′を備えたカバーフィルム23′、印字Rを備えた印字背景層25、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の各層が含まれる。また上記非表記領域D2には、粘着剤層23a′を備えたカバーフィルム23′、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の各層が含まれる。
【0059】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0060】
(7)カバーフィルムの感熱層に印字を形成する場合
<ラベル作成装置>
本変形例におけるラベル作成装置の機能的構成を、上記実施形態の図1に対応する図16に示す。
【0061】
図16において、カートリッジホルダ12には、上記実施形態のテープカートリッジ10に代えてテープカートリッジ10″(本変形例におけるテープカセットに相当)が装着される。テープカートリッジ10′は、筐体11内に、テープロール10A″,10B″(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を収納している。テープロール10A′には、透明フィルム23a″及び感熱層23b″(後述の図17参照)を備えたカバーフィルム23″が巻回され、テープロール10B′には、上記実施形態のテープToから印字背景層25を省略したテープTo″(後述の図17参照)が巻回されている。また、本変形例では、インクリボンIRを用いずに印刷が行われる(後述)ため、インクリボン供給ロール14A、及び、インクリボン巻取りロール14Bが省略されている。
【0062】
テープカートリッジ10″がカートリッジホルダ12に装着された(請求項記載の第7ステップに相当)後、搬送ローラ6は、テープロール10A″から繰り出される上記カバーフィルム23″を印字ヘッド7との間で挟持する。印字ヘッド7は、搬送ローラ6によって搬送されるカバーフィルム23″の上記感熱層23b″に対し入熱し発色させることにより、所望の印字R(後述の図18参照)を形成する(請求項における第8ステップに相当)。感熱層23b″に印字Rが形成されたカバーフィルム23″は、テープロール10B″から繰り出されたテープTo″と圧着ローラ13A,13Bによって圧着され、印字済テープT″となる(請求項における第9ステップに相当)。その後、カッタ9により印字済テープT″が切断されることで、印字ラベルL″が生成される。
【0063】
<テープの詳細構成>
上記テープTo′の詳細構成を図17(a)及び図17(b)に示す。これら図17(a)及び図17(b)において、本変形例のテープTo″は、上記実施形態のテープToから印字背景層25を省略した構成であり、厚さ方向の一方側(図17(b))中の下側)から、厚さ方向の他方側(図17(b)中の上側)へ向かって、上記剥離材層24、上記貼り付け用粘着剤層22、上記基材層21、及び上記貼り合わせ用粘着剤層26がこの順序で積層されている。
【0064】
また、図17(c)に示すように、本変形例のカバーフィルム23″においては、前述と同様、「A01」「A02」「A03」、・・・のテキストからなる上記印字Rが、印字ヘッド7により、カバーフィルム23″の上記感熱層23b″に形成される。印字Rが形成されたカバーフィルム23″は、上記貼り合わせ用粘着剤層26を介し上記テープTo″と貼り合わされて、印字済テープT″となる。
【0065】
印字済テープT″の詳細構成を図17(d)及び図17(e)に示す。これら図17(d)及び図17(e)において、本変形例の印字済テープT″は、前述の貼り合わせにより、厚さ方向の一方側(図17(e)中の下側)から、厚さ方向の他方側(図16(e)中の上側)へ向かって、上記印字表記領域D1では、剥離材層24と、貼り付け用粘着剤層22と、基材層21と、貼り合わせ用粘着剤層26と、発色により形成された印字Rを備えた感熱層23b″及び透明フィルム23a″を含むカバーフィルム23″と、がこの順序で積層されることとなる。また上記非表記領域D2では、剥離材層24と、貼り付け用粘着剤層22と、基材層21と、貼り合わせ用粘着剤層26と、発色のない感熱層23b″及び透明フィルム23a″を含むカバーフィルム23″と、がこの順序で積層されることとなる。
【0066】
<印字ラベルの詳細構成>
そして、前述と同様、印字済テープT″がカッタ9によって切断されることで、図18(a)及び図18(b)に示すように、カバーフィルム23″の透明フィルム23a″越しに、感熱層23b″においてテキスト「A01」が印字形成され表記された、印字ラベルL″が作成される。すなわちこの印字ラベルL′は、上記印字表記領域D1には、感熱層23b″に印字Rが形成されたカバーフィルム23″、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の各層が含まれる。また上記非表記領域D2には、感熱層23b″に印字Rが形成されないカバーフィルム23″、貼り合わせ用粘着剤層26、基材層21、貼り付け用粘着剤層22の各層が含まれる。
【0067】
<変形例の効果>
以上説明したように、本変形例では、印字ラベルL″の作成時には、テープTo″に対し、感熱層23b″を備えたカバーフィルム23″が貼り合わされる。その際、カバーフィルム23″のうちテープTo″に貼り合わされる側に感熱層23b″が備えられており、当該感熱層23b″に対し適宜入熱され発色させることで、所望の印刷が行われる。その後、テープTo″及びカバーフィルム23″がテープ幅方向に切断されることで印字ラベルL″が作成される。
【0068】
そして本変形例においても、前述と同様、被着体302が比較的小径である場合には前述同様に上記余り部分Lrが比較的長く生じるが、感熱層23b″での発色による印刷であることから、印字長を過大にしなければ上記余り部分Lrに上記発色による印字Rの表記部分は含まれない。そして、テープTo″及びカバーフィルム23″の透明フィルム23a″はそれぞれ透明であるため、感熱層23b″が発色していない余り部分Lr全体として、視覚的に透明とすることができる。この結果、前述と同様、上記余り部分Lrをさらに被着体302に巻き付けていって上記表記部分の上を覆ったとしても、当該表記部分を外部から視覚的に認識可能とすることができる。これにより、前述と同様、上記表記部分が上記余り部分Lrで覆われることで、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。また、前述と同様、被着体302が比較的大径である場合であっても、印字ラベルL″の作成時において、テープTo″とカバーフィルム23″との貼り合わせによって、感熱層23b″の発色による上記表記部分は、上記カバーフィルム23″とテープTo″との間に存在している。この結果、前述と同様、こすれによる剥がれや汚れの付着等から当該表記部分を保護することができる。
【0069】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0070】
なお、以上において、図1図13図16中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0071】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0072】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 ラベル作成装置(プリンタ)
10 テープカートリッジ(テープカセット)
10′ テープカートリッジ(テープカセット)
10″ テープカートリッジ(テープカセット)
21 基材層(基材)
22 粘着剤層(粘着層)
23 カバーフィルム
23′ カバーフィルム
23a′ 粘着剤層
23″ カバーフィルム
23″a 透明フィルム
23b″ 感熱層
24 剥離材層(剥離材)
25 印字背景層(背景層)
27 透明インク層(透明層)
302 被着体
IR インクリボン
L 印字ラベル
Lr 余り部分
L′ 印字ラベル
L″ 印字ラベル
R 印字
S 破断線
T 印字済テープ
T′ 印字済テープ
T″ 印字済テープ
To テープ
To′ テープ
To″ テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図18